サンフロンティア不動産株式会社
(注) 1 「収益認識に関する会計基準」(企業会計基準第29号 2020年3月31日)等を第23期の期首から適用しており、第23期以降に係る主要な経営指標等については、当該会計基準等を適用した後の指標等となっております。
2 当社は、株式給付信託(J-ESOP)を導入しており、株式給付信託の信託口が保有する当社株式については、連結財務諸表において自己株式として計上しております。そのため、1株当たり当期純利益の算定に当たっては、当該株式数を自己株式に含めて普通株式の期中平均株式数を算定しております。また、1株当たり純資産額の算定に当たっては、当該株式数を期末発行済株式総数から控除する自己株式数に含めております。
(注) 1 「収益認識に関する会計基準」(企業会計基準第29号 2020年3月31日)等を第23期の期首から適用しており、第23期以降に係る主要な経営指標等については、当該会計基準等を適用した後の指標等となっております。
2 当社は、株式給付信託(J-ESOP)を導入しており、株式給付信託の信託口が保有する当社株式については、財務諸表において自己株式として計上しております。そのため、1株当たり当期純利益の算定に当たっては、当該株式数を自己株式に含めて普通株式の期中平均株式数を算定しております。また、1株当たり純資産額の算定に当たっては、当該株式数を期末発行済株式総数から控除する自己株式数に含めております。
3 第20期の1株当たり配当額38.5円には、創立20周年記念配当2円を含んでおります。
4 最高株価及び最低株価は、2022年4月3日以前は東京証券取引所市場第一部におけるものであり、2022年4月4日以降は東京証券取引所プライム市場におけるものであります。
当社グループは、当社、連結子会社23社及び持分法適用関連会社1社により構成されており、「不動産再生事業」、「不動産サービス事業」、「ホテル・観光事業」及び「その他」を行っております。
当社グループの事業内容及び当社と関係会社の当該事業に係る位置付けは、次のとおりであります。
(1) 不動産再生事業
不動産再生事業では、リプランニング事業、賃貸ビル事業等を行っております。
① リプランニング事業
都心の既存オフィスビルを購入し、お客様視点のニーズを具現化した高品質でデザイン性に優れた新しいコンセプトのビルへ生まれ変わらせ、地域に根ざしたテナント斡旋力によって稼働率を向上させることで市場価値を高め、ビルオーナー様や投資家に対して販売しております。
また、販売後もプロパティマネジメント事業での不動産サービスを通じてお客様に寄り添い、お客様と深く長いお付き合いができる関係づくりに取り組んでおります。
(主な関係会社)Sun Frontier NY CO.,Ltd.
② 賃貸ビル事業
好立地で将来的にも価値向上が見込めるような事業用収益ビル等、当社の保有基準に従い物件を購入・保有し、あるいは賃借し転貸する、賃貸ビル事業を行っております。当社グループの賃貸仲介、プロパティマネジメント、建設ソリューション、滞納賃料保証事業等で培った総合的な不動産サービス、運営能力を活かし、高稼働率を維持し、安定的な賃料収入を確保しております。また、事業計画中のリプランニング物件において販売までの期間に得る賃貸料収入も当事業の収益となります。
(2) 不動産サービス事業
不動産サービス事業では、プロパティマネジメント事業、ビルメンテナンス事業、売買仲介事業、賃貸仲介事業、貸会議室事業、滞納賃料保証事業等を行っております。
① プロパティマネジメント事業
イ.プロパティマネジメント事業
ビルオーナー様の経営パートナーとして、建物管理から入居者管理、アカウント業務に至るまで、総合的なプロパティマネジメントを行っております。また、リプランニング事業や仲介事業にて不動産をご購入いただいたお客様に対し、継続したサービスの提供により安心してビルを保有していただけるようにしております。
ロ.ビルメンテナンス事業
外窓・外壁のブランコによる高所清掃、補修作業を強みとするビル清掃等の環境衛生管理業務から、警備等の保安管理業務、保守点検等設備管理業務、防水工事及び外壁改修工事に至るまで、建物の総合メンテナンス業務を行っております。
(主な関係会社)SFビルメンテナンス㈱
② 仲介事業
イ.売買仲介事業
金融機関や弁護士、税理士等と連携し、事業用収益ビルや一棟収益マンション等の売却情報に対し、迅速に物件評価・査定を行い、購入希望者を紹介するコンサルティング型仲介事業を行っております。また、豊富な物件情報のうち、一定要件を満たす物件はリプランニング事業の購入対象物件とするとともに、再生した物件を販売物件として顧客に紹介する業務を行っております。
(主な関係会社)東京陽光不動産股份有限公司
ロ.賃貸仲介事業
事業用不動産に特化し、都心エリアに限定した地域密着型のオフィス、店舗の賃貸仲介事業を行っております。また、当社が購入した物件にテナント様を斡旋し、高稼働・高収益ビルとして再生する業務を担います。ビルオーナー様とテナント様双方のニーズを追求する日々の仲介業務を通して得られる潜在的なニーズをリプランニング事業にフィードバックすることも重要な役割としております。
③ 貸会議室事業
東京都心オフィスビルの「空間」と「時間」の価値最大化に取り組んでおり、貸会議室事業である「ビジョンセンター」、月貸しオフィス事業である「ビジョンオフィス」、週貸し・月貸しでスペースを提供する「オーダーメイドスペース」の運営を行っています。当社グループのオフィスビル事業で培った土地勘と支店網が活かせる都心部に集中的に店舗展開し、ご利用者からのご要望にスピード感と柔軟さのある気の利く応対で利便性を追求しております。
(主な関係会社)サンフロンティアスペースマネジメント㈱
④ 滞納賃料保証事業
滞納賃料保証事業は、事業用不動産に入居するテナントの賃料支払債務をビルオーナー様に対して保証する業務であり、入居保証金という信用補填制度の経済的負担の軽減に着目したビジネスを行っております。テナント様には、保証金を減額することで入居時の資金負担を軽減するとともに、信用力をバックアップし、オフィスや店舗への入居を可能にします。また、ビルオーナー様には滞納賃料や原状回復費用、事務負担に加え、滞納テナントとの交渉に伴う精神的な負担を軽減し、ご安心を提供しております。
(主な関係会社)SFビルサポート㈱
(3) ホテル・観光事業
ホテル・観光事業では、ホテル開発事業、ホテル運営事業等を行っております。
① ホテル開発事業
既存ホテルの再生、新規ホテルの開発等を行ったうえで、日本、アジアの富裕層のお客様に対し、安定した収益が確保できる投資商品として販売いたします。特に、当社グループが運営するホテルは、販売後、買主であるお客様と長期賃貸借契約を締結し、お客様と深く長いお付き合いができる関係づくりに取り組んでおります。
(主な関係会社)サンフロンティアホテルマネジメント㈱
サンフロンティア沖縄㈱
② ホテル運営事業
「心温かいホテル」をテーマとして、心温かい従業員がおもてなしする自社ホテルブランド「日和ホテルズ&リゾーツ」、「スカイハートホテル」及び中国春秋グループとの共同ホテルブランド「スプリングサニーホテルズ&リゾーツ」等を運営しております。
さらに、「観光事業で佐渡を元気に!」をスローガンとして、新潟県佐渡島において地域創生事業に取り組んでおります。
(主な関係会社)サンフロンティアホテルマネジメント㈱
スカイハートホテル㈱
サンフロンティア佐渡㈱
(4) その他
その他では、海外開発事業、建設事業等を行っております。
① 海外開発事業
日本、アジアの富裕層のお客様に対してアジアの大都市への不動産投資機会を提供し、また地元経済の発展に貢献するべく、ベトナムにおいて高層分譲マンションの開発や管理事業を推進しているほか、インドネシアにおいて都市型分譲戸建住宅の開発をしております。
(主な関係会社)SUN FRONTIER DANANG CO.,LTD.
② 建設事業
事業用不動産等のリニューアル企画及び修繕・改修工事等を行っております。テナントの入居・退去による内装工事、原状回復工事及びビルオーナー様からの注文工事、リニューアル工事のほか、大手建設会社から建物の内装仕上工事の請負工事及び電気通信工事等も行っております。
(主な関係会社)SFエンジニアリング㈱
SFコミュニケーション㈱
〔事業系統図〕

(注) 1.上記以外に、持分法適用関連会社が1社あります。
2.サンフロンティアホテルマネジメント㈱は、売上高(連結会社相互間の内部売上高を除く。)の連結売上
高に占める割合が10%を超えており、主要な損益情報等は以下のとおりです。
(1)売上高 21,004百万円
(2)経常利益 1,085百万円
(3)当期純利益 1,942百万円
(4)純資産額 9,717百万円
(5)総資産額 19,245百万円
2023年3月31日現在
(注) 1 従業員数は、就業人員であります。
2 従業員数欄の(外書)は、臨時従業員であります。
3 臨時従業員には、パートタイマー及び嘱託契約の従業員を含み、派遣社員を除いております。
4 全社(共通)として記載されている従業員数は、管理部門に所属しているものであります。
2023年3月31日現在
(注) 1 従業員数は、就業人員であります。
2 平均年間給与は、賞与及び基準外賃金を含んでおります。
3 従業員数欄の(外書)は、臨時従業員であります。
4 臨時従業員には、パートタイマー及び嘱託契約の従業員を含み、派遣社員を除いております。
5 全社(共通)として記載されている従業員数は、管理部門に所属しているものであります。
(3) 労働組合の状況
労働組合は結成されておりませんが、労使関係は円滑に推移しております。
(女性活躍推進法、育児・介護休業法に基づく開示)
(注)1 「女性の職場生活における活躍の推進に関する法律」(平成27年法律第64号)の規定に基づき算出してお
ります。
2 管理職に占める女性従業員の割合は、全従業員を対象とする2023年3月末時点の割合です。
3 男性の育児休業取得率は、「育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律」
(平成3年法律第76号)の規定に基づき、「育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉
に関する法律施行規則」(平成3年労働省令第25号)第71条の4第1号における育児休業等の取得割合
を算出しており、全従業員を対象とする2022年4月1日~2023年3月31日までの取得実績です。
4 臨時従業員には、パートタイマー及び嘱託契約の従業員を含み、派遣社員を除いて算出しております。
5 サンフロンティアホテルマネジメント㈱の全従業員に占めるパート・アルバイト従業員比率が62.2%であ
り、内75.7%が女性従業員であるため、男女の賃金差異が大きい結果となっておりますが、従業員の意向
による所得上限を設けた働き方であることが差異の要因となっております。
この他の多様性に関する指標は、当社ホームページ内「サステナビリティ」ESGデータ 社会〔S〕 関連データ
https://www.sunfrt.co.jp/sustainability/esg_library/esg_data/social.html
をご参照ください。
(1) 経営方針・経営戦略等
当社グループは、フィロソフィ経営を実践しており、利他の価値観を共有した集団であることを重視しております。そのうえで「利を求むるにあらず、信任を求むるにあり。変わるのは自分、お客様視点でお困りごとを解決する、期待以上で応える」という大方針のもと、経営において積極果敢に変化・挑戦しながら、事業活動を通した社会課題の解決に取り組むとともに、ステークホルダーの皆様との調和を図り、持続可能で豊かな社会の実現に貢献します。
当社グループは、中長期的に安定した成長を目指し、収益性・生産性の観点から売上高経常利益率20%以上を、また、財務の安全性の観点から自己資本比率50%水準を、株主資本をいかに効率的に運用できたかを表すROE10%以上の水準をそれぞれ維持することを重視しております。
国内経済は、コロナ禍による行動制限が緩和され、経済活動の正常化が図られたことによって、宿泊業や観光業の回復を促進しております。世界経済は、欧米の利上げに伴う景気の停滞や、欧米金融機関の破綻、地政学リスクなど、多方面においてリスクが顕在化しており、金融資本市場の変動を注視する必要があります。
2020年初頭からの新型コロナウイルス感染拡大に伴う影響で、当社グループを取り巻く事業環境は大きく変わりました。こうした事業環境の変化および新常態(ニューノーマル)化を背景に、当社グループは持続的な成長軌道を再設定するため、2021年5月に中期経営計画を見直しました。同計画の掲げる定量目標は変えることなく、最終年度を2025年3月期へ2年間延長させていただきました。その基本方針は「人が集まり、心を通わせ、社会の発展と人々の幸せを創出していく場」を提供することと定め、コロナ禍において価値観が大きく変化した中で人々が集まる場の価値を再定義し、オフィスやホテル等をとおして新たな社会課題の解決に取り組んでまいります。
<サステナビリティへの取り組み>
当社グループでは、創業来「利他」の精神を軸とするフィロソフィ経営を実践してまいりました。また、企業哲学を「再生産不可能な資源の無駄遣いをおさえ、永続的な地球上の人類や動植物の繁栄に寄与する」と定め、社会の持続可能性に資する事業活動を展開しております。
「利他」の精神とは、自分と同じように他者を大切にするという考え方です。多くの人を笑顔にしたい、地球上の人類や動植物の繁栄に寄与したい、その思いが事業思想の根幹です。そして損得ではなく、善悪を判断基準に“正しさ” と“思いやり” をもち、“他者の喜びが自分の喜び” という価値観を共有しながら、お客様に寄り添うことを大切にしています。
このような当社グループの考えを再定義し、サステナビリティ・ビジョンとして掲げました。そして、「環境保護」「地域創生」「人財育成」の3つの重要課題(マテリアリティ)を特定し、「利他」の精神と融合したサステナビリティ経営を推進しております。引き続き、本ビジョンの実現と重要課題に対する具体的施策を実行することにより、事業活動を通して持続可能な社会の実現へ貢献し、中長期的な企業価値の向上を図ってまいります。
<デジタル・トランスフォーメーションの取り組み>
同じく重視するポイントにデジタル化を掲げております。コロナ禍によって社会全体でのデジタル化は急速かつ強制的に進みました。さらに、社会全体では少子化の進展による生産年齢人口減少によって人手不足の時代となっており、同時に労働生産性の向上が求められております。こうした社会情勢の変化のもと、企業におけるDX(デジタル・トランスフォーメーション)化が急務となり、当社においては既存部門であったデジタル化推進室を2022年4月にデジタル技術活用のスピードアップと専門性強化を目指したDX事業部へと組織再編し、データドリブン経営の実現と、当社知見とデジタルを融合させたDXの実践を推進してまいります。
有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、投資者の判断に重要な影響を及ぼす可能性のある事項には、以下のようなものがあります。
なお、文中における将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
1.当社グループを取り巻く事業環境及び当社事業の特性等について
(1) 事業環境
当社グループは、東京都心部を中心に「不動産再生と活用」に取り組み、企業としての市場競争力を高めるべく影響力のある都心部のオフィスビル及び商業ビルを中心に、仲介・管理・保証・工事・賃貸・売買等の一貫した不動産サービスをワンストップで展開しております。しかしながら、経済情勢が悪化し、空室率の上昇や賃料の下落といったように不動産市況が低迷した場合には、当社グループの経営成績、財政状態が影響を受ける可能性があります。
(2) 新型コロナウイルス感染症への対応と事業における主な影響について
①全社的な感染拡大防止の取り組みとして、モバイルワークやサテライトオフィスの活用、時差通勤など、各事業現場に応じた働き方を導入。また、三密回避を徹底しながらもWeb会議やチャットツールを活用し、社員間のコミュニケーションの質と量を維持してまいりました。
②オフィスビル事業においては、管理を受託しているビルに入居するテナントから賃料の減額・減免の要請や解約の申し出がありました。特に飲食店など、コロナ禍で事業に逆風が吹くテナントからの要請が多くありました。一方、大規模オフィスにおけるオフィス面積の縮小・分散で、当社が得意とする中小型オフィスビルへのご移転のお問い合わせが増えたほか、IT関連企業や美容整形などコロナ禍において事業を伸ばす企業の増床や拡張移転もみられております。しかしながら、新型コロナウイルス感染症の影響が長引き、空室率の上昇や賃料の下落といったように不動産市況が低迷した場合には、当社グループの経営成績、財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
③ホテル運営事業においては、ビジネスニーズの高いエリアにおけるホテルの稼働率は底堅く推移した一方で、訪日外国人の入国の急激な減少などにより都市部のホテルの稼働率は低迷いたしました。新型コロナウイルス感染症が長引き、ホテルの稼働率低迷が続いた場合には、当社グループの経営成績、財政状態にさらに影響を及ぼす可能性があります。
(3) リプランニング事業の特性
①リプランニング事業は、主に事業用不動産を対象とした再生事業であり、不稼働又は空室率が高く低収益の事業用不動産を再生することにより収益の改善を実現させる事業であります。売却先は主に不動産賃貸収入を目的とした投資を行う個人・法人等であります。
経済情勢の悪化や信用収縮等により金融市場に混乱が発生した場合、不動産の流通市場が低迷するおそれがあり、リプランニング事業で扱う物件の棚卸資産としての評価額が下がり、また、販売活動が計画通り進まず、当社グループの経営成績、財政状態にも影響を及ぼす可能性があります。
②リプランニング事業は、主に金融機関からの借入により資金調達し物件を購入するため、有利子負債残高は物件購入及び売却の状況によって変動します。資金調達にあたりましては、特定の金融機関からの借入に依存することなく、常に複数の金融機関との均衡を図りつつ、安定的、かつ適正な条件での資金調達に努めております。しかしながら、信用収縮等による金融市場の混乱が発生した場合には、事業の展開に必要な資金調達が進まず、当社グループの経営成績、財政状態にも影響を及ぼす可能性があります。
③リプランニング事業は、物件を購入し、リプランニング完了後に売却を行いますが、当該事業の売上原価及び売上高は物件の売却時に計上されます。また、一取引当たりの金額は、他の不動産サービス事業等の収入等に比較して高額となっております。したがって、その売却の時期や金額の変動等により、当社グループの経営成績、財政状態が影響を受ける可能性があります。
(4) 競合の状況
当社グループの事業は、リプランニング事業、賃貸ビル事業、事業用不動産の売買仲介・賃貸仲介、プロパティマネジメント事業、ビルメンテナンス事業、滞納賃料保証事業、貸会議室事業、ホテル開発事業、ホテル運営事業、海外開発事業及び建設事業等から構成されており、これら各事業が有機的に結合し、事業用不動産に係る一貫したサービスを提供するところにその特徴があります。そして、各事業部門の機能を連鎖させることにより発揮する総合力、及び顧客の広範なネットワークから潜在的な優良物件を購入する等、各部門が連動した事業運営を行なうことにより競争力の維持・強化、競合他社との差別化を図っております。しかしながら、この優位性が保たれない場合は、当社グループの経営成績、財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
(5) ホテルの開発について
ホテルの企画、開発、再生から運営に至るまでを当社グループが担いますが、所有物件に関して、一部は安定稼働後に投資家へ販売する場合もございます。ただし、物件販売後も当該物件を賃借し継続して運営することを基本的なビジネスモデルとしております。リプランニング事業とは異なり、ホテル開発事業では、自社にて土地を仕入れ、一から開発を行う場合があります。そのような場合には、竣工までに相当の期間を必要とするため、ホテルの宿泊収入等の収益を計上できない期間が長くなることや、事業期間が相対的に長くなることによって景気変動の影響を受けやすくなることで、当社グループの経営成績、財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
(6) ホテルの運営について
ホテル運営事業は、一般的に景気動向や個人消費の動向等の影響を受けやすい傾向にあり、景気の低迷による企業の出張需要の減少や個人のレジャー需要の減少、新規ホテルの開業による客室の供給過剰、あるいは感染症の流行等により、客室料金や客室稼働率の低下が起こる場合等、当社グループの経営成績、財政状態に影響を及ぼす可能性があります。また、為替の変動、近隣国との領土問題や反日感情の増大等の情勢変化が生じた場合、外国人観光客の減少、海外渡航の自粛または消費マインドの減退に繋がることが予想され、当社グループの経営成績、財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
(7) カントリーリスクについて
当社グループは、海外事業の拡大を戦略の一つとしていますが、海外では為替動向、宗教や文化及び商習慣の相違、経済情勢の不確実性、紛争・内乱・テロ・暴動等政情不安、現地における労使関係のトラブル等のリスクに直面する可能性があります。また、投資規制、送金に関する規制、税率変更を含む税制改正等、政治的、経済的、法的あるいはその他の障害に伴うリスクがあります。海外事業の拡大においては、投資利益の実現までに長い期間を要することがあり、当社グループの経営成績、財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
(8) 災害等について
地震・暴風雨・洪水等の自然災害、戦争、テロ、火災等の人災が発生した場合には、当社グループが保有・管理・投資を行っている不動産の価値が大きく毀損する可能性があり、当社グループの経営成績、財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
(9) 訴訟等のリスク
当社グループが売買・賃貸・売買又は賃貸の仲介・管理等を行う物件に関連して、取引先又は顧客等による訴訟その他の請求が発生する可能性があります。これらの訴訟等の内容・結果によっては当社グループの経営成績、財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
(10)気候変動・環境に関するリスク
地球環境問題への対応は、企業市民として避けることのできない重要事項と認識しております。環境負荷の低い商品の取り扱い、脱炭素社会への取り組みが遅延した場合、当社グループの社会的評価の低下につながる可能性があり、ひいては業績に影響を及ぼす可能性があります。
(11)サプライチェーンに関連するリスク
当社グループは資材や什器類を外部のサプライヤーに依存しています。当社グループの製品で横断的に使用されている資材や什器類に供給不足あるいは納期遅延や価格高騰が発生する場合等には、当社グループの事業期間の長期化や事業原価の上昇等により当社の経営成績に悪影響を及ぼす可能性があります。
2.資産評価について
(1) 販売用不動産(仕掛販売用不動産を含む)の評価に関するリスク
当社グループは、販売用不動産及び仕掛販売用不動産(オフィスビル、ホテル資産等)の棚卸資産を多く保有しております。これらの棚卸資産の評価については、正味売却価額により評価が行われており、正味売却価額は販売見込額から工事原価の今後発生見込額及び販売経費等見込額を控除した額であり、販売見込額は主として、当社が策定した事業計画に基づき見積もった収益還元価額であります。また、これらの棚卸資産については、新型コロナウイルスの影響を含む商品化の遅延等による所有期間の長期化やテナントリーシングの状況、ホテル稼働率等運営状況による収益性、不動産の投資利回りの変動、市場金利の上昇等のリスクに晒されており、正味売却価額が下落し、評価損の認識等を行う可能性があります。この結果、当社グループの経営成績、財政状態にも影響を及ぼす可能性があります。
(2) ホテル事業に係る固定資産の減損損失に関するリスク
当社グループは、ホテル・観光事業セグメントのホテル開発事業、及びホテル運営事業において、固定資産(建物、建物附属設備、土地、ソフトウェア等)を保有しております。これらの固定資産については、将来における不動産市況の変化、ホテル客室の稼働率の低下等のリスクに晒されており、新型コロナウイルスの影響により、ホテル客室の稼働率が低下して収益性が低下しているため、経営環境の著しい悪化に該当するとして、減損の兆候が生じております。減損の兆候が生じた固定資産の減損損失の認識の判定は、ホテルの事業計画を基礎として、ホテルに係る主要な資産の経済的残存使用年数にわたって得られる割引前将来キャッシュ・フローの見積総額と、ホテルの資産グループの帳簿価額の比較によって行なっております。今後、上記のリスクの拡大に伴い割引前将来キャッシュ・フローの見積総額が減少した場合には、固定資産の減損損失が発生する可能性があります。この結果、当社グループの経営成績、財政状態にも影響を及ぼす可能性があります。
3.法的規制について
当社グループの事業は、宅地建物取引業法、建設業法、不動産の鑑定評価に関する法律、不動産投資顧問業登録規程、金融商品取引法、建築士法、警備業法、マンションの管理の適正化の推進に関する法律、賃貸住宅管理業者登録規程、建築物における衛生的環境の確保に関する法律等による法的規制を受けており、関連許認可を得ております。
当社グループの主要な業務に係る免許や許認可等の有効期限等は下記のとおりであり、現在、当該免許及び許認可等が取消となる事由は発生しておりませんが、万一、将来このような事由が発生した場合、当社グループの事業活動に重大な影響を及ぼす可能性があります。
また、今後、これらの関係法規が改廃された場合や新たな法的規制が設けられた場合にも、当社グループの事業が影響を受ける可能性があります。
(1) 有効期間その他の期限が法令、契約等により定められている主なものは以下のとおりであります。
(2) 不動産証券化事業を行うに当たりましては、資産流動化法に基づく特定目的会社、会社法に基づく株式会社・合同会社のいずれかにより設立されたSPC(特別目的会社)を利用することになります。この内、資産流動化法に基づく特定目的会社により、証券化事業を行う場合には資産流動化法の規制を受けることになります。
4.会計基準・不動産税制の変更について
会計基準、不動産税制に関する変更があった場合、物件の取得、売却のコスト増加等により当社グループの経営成績、財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
5.個人情報保護
当社グループは業務上、ビルオーナー様、テナント様、ホテル宿泊者等の個人情報を保有する「個人情報取扱事業者」に該当し、今後の事業拡大につれ関連情報が増加することが予想されます。これに対しては、情報管理体制を強化し、内部情報管理の徹底を図っておりますが、不測の事態により、顧客情報等個人情報が外部に流失した場合は当社グループの信用を毀損し、経営成績、財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
我が国経済は、ウィズコロナの下で、社会経済活動における制限緩和が一層進み、個人消費や設備投資を中心に持ち直しの動きが継続しました。世界経済は、ウクライナ問題の長期化、各国のインフレの高止まり及び利上げによる景気減速が懸念されております。
不動産市場においては、東京ビジネス地区(都心5区/千代田・中央・港・新宿・渋谷)の3月の平均賃料は19,991円(坪単価)と32カ月連続の下落(計3,023円/13.1%)、同月の平均空室率は6.41%とほぼ横ばいで推移しており(民間調査機関調べ)、オフィス市況全般において軟調な状態は依然として続いております。一方、不動産投資市場は、機関投資家等による投資意欲は総じて強いものの、世界的な金融引き締め局面によって、先行きは予断を許さない状況が続いております。
当期において、当社グループの中核事業である不動産再生事業では、高収益・高品質の物件の販売が今期も順調に推移しました。前期に比較的規模の大きい物件の販売が集中していた影響により、売上高・利益は前期比で減少したものの、前年を上回る高い利益率を継続し、引き続き全社業績を力強く牽引しました。不動産サービス事業においては引き続き好調な業績を示しました。ホテル開発事業では、2軒のホテル売却が完了したため、前期に比べ大幅な増収増益となりました。また、コロナ禍の影響を大きく受けてきたホテル運営事業では、社会経済活動における制限緩和に伴う需要増が継続したことに加え、10月から開始された国内観光を促進する「全国旅行支援」や海外からの個人旅行の解禁もあり、売上が急回復しました。
以上の結果、当連結会計年度の業績は、売上高82,777百万円(前期比16.2%増)、営業利益14,905百万円(同22.9%増)、経常利益14,722百万円(同20.5%増)、親会社株主に帰属する当期純利益11,612百万円(同56.6%増)となりました。
なお、ホテル・観光事業の業績回復に伴い、同事業の繰越欠損金による課税所得の圧縮、及び繰延税金資産計上による税効果等もあり、親会社株主に帰属する当期純利益が大きく伸長しました。
各セグメントの業績は次のとおりであります。
(不動産再生事業)
①リプランニング事業では、ビルの仕入れから、再生・活用企画、建設工事、テナント誘致、管理、販売、そして、その後のビル経営に至るまで、一貫した不動産サービスをワンストップで提供しております。当期も、投資家の旺盛な購買意欲を背景に販売は順調に進捗しました。一方、仕入についてはマクロ経済の変動による不動産市況や金融政策の影響等を見極めつつ、選別しながらも積極的に物件購入を進めました。商品化においては、街やオフィス、働き方の変化を先取りしながら、ハイブリッドな働き方に対応し、新常態の中でも選ばれるオフィスづくりを目指しています。当期も予め内装工事が施され、テナント様の入居時及び退去時にかかる費用の大幅削減が可能なセットアップオフィスを中心に商品化を進めました。賃貸仲介部門との連携により、テナント様の誘致を進め、高稼働・高付加価値の不動産商品に仕上げることで、国内外の幅広いお客様の期待に応える商品を販売いたしました。例えば、12月には都内で5件のオフィスビルを、賃貸仲介部門と密に連携し、ほぼ満室稼働の状態で投資家様に販売いたしました。販売後も当社が管理を受託しているこれら5物件は、2023年1月に建築物省エネルギー性能表示制度『BELS』認証を取得いたしました。当社グループは、更なる省エネルギー化や脱炭素化に向けた取り組みを推進してまいります。米国ニューヨークでの不動産再生事業においては、お客様の資産ポートフォリオ分散ニーズに応えるべく、商品化を進めた2物件を販売いたしました。加えて、不動産特定共同事業の小口所有商品として、医療・教育モール(新築)の販売(3次及び4次組成)と認可保育園(新築)の販売(1次組成及び2次組成)を行い、完売いたしました。リプランニング事業の当期の販売件数は前期と比べて2件増加し24件となり、顧客層は拡大しました。比較的規模の大きい物件の販売が前期に比べて減少したことにより、前期と比べて売上高と利益は減少しましたが、セグメントの売上高と利益は、それぞれ47,995百万円、14,943百万円となり、全期間を通じ前期に次ぐ過去3番目に高い水準でした。
②賃貸ビル事業においては、ストック事業として安定した収益基盤を構築することを目的に、リプランニング事業における賃貸ビル物件数を拡大しつつ、不動産サービス部門で蓄積したオペレーション力を活かしながら、中長期的に賃料収入の増加を図っております。当期の業績は、前期と比べて、棚卸資産として保有する物件からの賃料収入の減少により、売上高と利益は減少しました。
以上の結果、不動産再生事業全体の売上高は50,066百万円(前期比10.5%減)となり、セグメント利益は15,343百万円(同5.7%減)となりました。
当社グループは、「東京を世界一スタートアップフレンドリーな都市へ」という想いのもと、スタートアップを支援する取り組みを推進しております。その取り組みの一つとして、2023年1月にスタートアップの成長を支援するオフィス「A SHIBUYA(エー シブヤ)」を、東京都渋谷区神南(東急渋谷駅ビル3F)に開業し、同施設内にZホールディングス株式会社のコーポレートベンチャーキャピタルである Z Venture Capital及び東南アジアで最大級のシード期ベンチャーキャピタルである East Ventures(以下「EV」)と共同運営で、スタートアップ向けシェアオフィス 『Hive Shibuya(ハイブ シブヤ)』 をオープンいたしました。また、2023年4月には、スタートアップ経営加速クラウド「StartPass」を提供する株式会社StartPassと業務提携を締結いたしました。この業務提携を通じて、ミッションである“スタートアップ企業の経営を加速させる”を実現するために、相互の強みであるオンラインとオフラインを融合した様々なサービスをご提供してまいります。
(不動産サービス事業)
不動産サービス事業では、①プロパティマネジメント事業、②ビルメンテナンス事業、③売買仲介事業、④賃貸仲介事業、⑤貸会議室事業、⑥滞納賃料保証事業等を行っております。各事業部門は、都心の中規模オフィスビル分野において、それぞれの専門性を持ち寄り、協働しながら事業を展開しております。また現場における創意工夫を通して養った専門性を連鎖的に掛け合わせることで付加価値を生み出し、リプランニング事業における高い収益性を創出する基盤にもなっております。
①プロパティマネジメント事業においては、きめ細やかなビル管理によってテナント様の満足度を高めるとともに、賃貸仲介部門との協働によるテナント様誘致、適正賃料への条件改定等に取り組むことで、高稼働・高収益なビル経営を実現し、オーナー様もサポートさせていただいております。当期の業績は、軟調な市況の中、受託棟数を前期から8%超伸長させ、前期に比べ売上高、利益ともに増加しました。
②ビルメンテナンス事業では、「東京を世界一美しい街に」を合言葉に、建物を維持・管理するための点検、美観や快適な空間を保つ清掃、リニューアル工事など、ビルのトータルメンテナンスを行なっております。ブランコによる外窓・外壁等の高所清掃、防水工事、外壁改修工事を強みに、プロパティマネジメント部門との協働を推進しております。当期の業績は、M&Aによる相乗効果と管理棟数の増加等により、前期に比べ売上高、利益ともに増加しました。
③売買仲介事業においては、不動産コンサルティングの一環としてプロパティマネジメント事業や賃貸仲介事業をはじめとする他部門のお客様からの相談案件にスピード対応で取り組んでおります。オフィス部門が一体となってビルオーナー様のビル経営に寄り添って顧客層を拡大し、積み重ねてきた信任をベースに売買仲介の成約につなげております。当期の業績は、国内外の投資家への売買仲介が好調に推移し、前期に比べ売上高、利益ともに増加しました。
④賃貸仲介事業では、都心を中心に10拠点のサービス網を展開し、地域のビルオーナー様に寄り添う身近な相談窓口として機能しております。また、リーシング現場でいち早く得たテナント様のニーズや変化を、オフィス空間の最適活用の研究や提案に活かすことで、リプランニング事業の商品企画において、お客様視点の新たな価値観の創出につなげております。当期の業績は、成約件数の増加により、前期に比べ、売上高、利益ともに増加しました。
⑤貸会議室事業では、時代の変化を捉えたサービスを提供するとともに、データに基づいた集客が奏功し、地域密着でお客様のご要望にフレキシブルかつ機動的な提案営業を通して、継続利用や新規顧客層の需要を掴んでまいりました。当期は、社会経済活動における制限緩和が一層進む中、企業研修、セミナー及び検定試験等の需要回復が継続した上に、新規にオープンした2拠点での大型案件の受注により、前期に比べ売上高が増加し、新拠点オープンや既存拠点の増床に伴う一時的な費用増はあるものの、利益も増加しました。2022年9月と11月に新設した2拠点に加え、2023年の2月から4月にかけて、貸会議室需要増に対応すべく、複数の既存拠点の増床を行い、新たに2拠点を開設しました。
⑥滞納賃料保証事業では、テナント様の滞納賃料の保証のみならず明け渡しまでをサポートし、ビル経営における負担感を和らげるなど、ビルオーナー様に寄り添ったサービスを提供しております。2月からサービスを開始した新ブランドである「TRI-WINS(トライウインズ)は、ビル経営者様・テナント様双方が抱えるリスクや課題を解決し、経済成長や社会の安定に貢献していく、「三方良し」=Win-Win-Winのサービスであり、一般的な保証サービスと比較して調査・審査、滞納賃料保証、滞納対応、退去対応等、サービスの範囲を拡大しています。当期の業績は前期に比べ、空室の増加やテナント様の信用懸念等によりビルオーナー様のご相談が増加した結果、新規保証契約の件数が増加し、売上高、利益ともに増加しました。
以上の結果、不動産サービス事業全体の売上高は8,843百万円(前期比23.6%増)となり、セグメント利益は4,890百万円(同28.6%増)となりました。
(ホテル・観光事業)
ホテル・観光事業では、①ホテル開発事業、②ホテル運営事業等を行っております。
①ホテル開発事業では、2022年8月に売却契約した3軒のホテルのうち、2軒のホテルの引渡しを10月に行ったため、前期に比べ、売上高、利益ともに増加しました。また、これら2軒のホテルと同時に売却契約した1軒のホテルにつきましては、2023年4月に引き渡しを行いました。この取引に伴う売上高と利益については、2024年3月期第1四半期に計上を予定しております。今回のホテル売却によって回収した資金につきましては、今後、「たびのホテル」ブランドと分譲型ホテルコンドミニアムを中心に、M&Aを含むホテル開発に再投資して事業を拡大してまいります。
②ホテル運営事業では、「四条河原町温泉 空庭テラス京都」「四条河原町温泉 別邸 鴨川」を2022年6月に開業しました。現時点で合計21ホテル(2,477室)を運営しております。当期においては、社会経済活動における制限緩和に伴い、国内観光需要の回復が一層進む中、10月の「全国旅行支援」や海外からの個人旅行の解禁の効果を背景に、当社グループの高付加価値戦略に基づき稼働率と客室単価の上昇が継続しました。その結果、前期に比べ、当期の売上高は増加し、利益は黒字となりました。
以上の結果、ホテル・観光事業全体の売上高は22,967百万円(前期比232.3%増)となり、セグメント利益は1,720百万円(前期は1,950百万円の損失)となりました。
(その他)
その他では、①海外開発事業、②建設事業等を行っております。
①海外開発事業においては、成長が期待できる東南アジアへ進出し、日本の高度な施工技術によるマンション・住宅等を中心とした不動産開発を行い、アジアの方々に日本品質を体感いただくことに拘って事業を展開しております。当期は、物件売却収入の減少により、前期に比べ売上高が減少しましたが、ストック・ビジネスとして推進しているベトナムでのマンション管理事業の収入は増加しました。当期の利益については、インドネシアでの棚卸資産の評価減があるものの、ベトナムでの物件売却に伴う利益が増加し、増益となりました。尚、インドネシアでの事業につきましては11月の保有物件完売をもって撤退手続きを開始しました。
②建設事業においては、事業用ビルのリニューアル企画や修繕・改修工事、内装仕上工事および電気通信工事等を行っております。当期の業績は、グループ子会社において大型工事の売上を計上したため、前期に比べ、売上高、利益ともに増加しました。
以上の結果、その他全体の売上高は1,788百万円(前期比5.5%増)となり、セグメント利益は283百万円(同177.8%増)となりました。
当社グループは、「全従業員を守り、物心両面の幸福を追求するとともに、共創の心をもって、持続可能で豊かな社会を実現する。」をミッションに掲げており、その理念を推進するために、当期においても様々なプロジェクトに取り組みました。11月には、再生可能エネルギー普及に必要不可欠な蓄電池技術の開発を手掛けるCONNEXX SYSTEMS株式会社と資本業務提携に合意しました。また、3月には、次世代営農型太陽光発電技術を持つノータスソーラージャパン株式会社と資本業務提携に合意しました。引き続き、当社グループでは、事業活動を通して持続可能な社会の実現に貢献いたしてまいります。
当社グループ(当社及び連結子会社、以下同じ。)は、生産業務を定義することが困難であるため、生産実績の記載は省略しております。
当社グループは、受注生産を行っていないため、受注実績の記載は省略しております。
当連結会計年度の販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
(注) 1 調整額はセグメント間の取引消去であります。
2 主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合
当連結会計年度末における総資産は152,519百万円(前連結会計年度末比11.7%増)、負債は68,553百万円(同10.5%増)、純資産は83,965百万円(同12.8%増)となりました。
総資産の増加の主な要因は、仕掛販売用不動産の減少2,679百万円及び差入保証金の減少1,515百万円等あったものの、現金及び預金の増加11,962百万円、販売用不動産の増加5,558百万円、有形固定資産の建物(純額)の増加1,651百万円等があったことによるものであります。
負債の増加の主な要因は、1年内返済予定の長期借入金の減少1,431百万円及び未払法人税等の減少1,829百万円等があったものの、買掛金の増加760百万円、流動負債その他に含まれる前受金の増加1,104百万円、長期借入金の増加6,000百万円等があったことによるものであります。
純資産の増加の主な要因は、期末配当金の支払い1,121百万円及び中間配当金の支払い1,118百万円等があったものの、親会社株主に帰属する当期純利益の計上11,612百万円等があったことによるものであります。
なお、自己資本比率は52.9%(同0.7%ポイント増)となりました。
当連結会計年度における現金及び現金同等物(以下「資金」という)は、営業活動による資金が16,544百万円増加、投資活動による資金が6,681百万円減少、財務活動による資金が2,039百万円増加した結果、期首残高に比べ11,962百万円増加し、当連結会計年度末残高は41,914百万円となりました。
当連結会計年度における各キャッシュ・フロー及びそれらの要因は、次のとおりであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動においては、16,544百万円の収入超過(前期は17,443百万円の収入超過)となりました。これは主に、法人税等の支払額5,729百万円、利息の支払額490百万円等があったものの、税金等調整前当期純利益14,745百万円、減価償却費1,968百万円、棚卸資産の減少による収入1,854百万円及び仕入債務の増加による収入1,155百万円等があったことによるものであります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動においては、6,681百万円の支出超過(前期は9,386百万円の支出超過)となりました。これは主に、差入保証金の回収による収入2,337百万円等があったものの、有形固定資産の取得による支出7,531百万円、差入保証金の差入による支出692百万円等があったことによるものであります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動においては、2,039百万円の収入超過(前期は449百万円の収入超過)となりました。これは主に、長期借入金の返済による支出18,691百万円、配当金の支払額2,239百万円等があったものの、長期借入れによる収入23,261百万円等があったことによるものであります。
(資本の財源及び資金の流動性について)
当社グループの事業活動における資金需要の主なものは、不動産再生事業に関する棚卸資産の仕入れであります。棚卸資産の仕入れは、個別の棚卸資産を担保とした金融機関からの長期借入金及び営業活動で獲得した資金によって行っております。当該棚卸資産は一年以内を目途に販売することとし、借入金は、月例約定返済を織り込みつつ、棚卸資産の販売時に一括返済することを基本方針としており、資金の流動性は十分に確保されております。
(財務施策について)
当社グループにおける財政施策については、有利子負債に占める短期借入金の比率を下げ、長期借入金の比率を上げることによって加重平均借入期間を伸長させる負債構造を目指しております。加えて、現金及び預金を手厚く確保することを基本方針としており、強固な財務基盤の構築に取り組んでおります。
(4) 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
当社グループの連結財務諸表は、我が国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成しております。この連結財務諸表を作成するにあたって、資産、負債、収益及び費用の報告額に影響を及ぼす見積り及び仮定を用いておりますが、これらの見積り及び仮定に基づく数値は、実際の結果と異なる可能性があります。
連結財務諸表の作成にあたって用いた会計上の見積り及び仮定のうち、重要なものは「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項 (重要な会計上の見積り)」に記載しております。
該当事項はありません。
(1) 提出会社
2023年3月31日現在における各事業所の設備、投下資本並びに従業員の配置状況は、次のとおりであります。
(注) 1 帳簿価額のうち「その他」は車両運搬具、工具、器具及び備品であります。
2 連結会社以外から賃借している主要な設備の内容は、以下のとおりであります。
(2) 国内子会社
(注) 1 帳簿価額のうち「その他」は車両運搬具、工具、器具及び備品であります。
2 従業員数欄の(外書)は、臨時従業員の年間平均雇用人員であります。
3 臨時従業員には、パートタイマー及び嘱託契約の従業員を含み、派遣社員を除いております。
(3) 在外子会社
在外子会社における設備は、重要性が乏しいため、記載を省略しております。
新株予約権の付与状況
※ 当事業年度の末日(2023年3月31日)における内容を記載しております。当事業年度の末日から提出日の前月末現在(2023年5月31日)にかけて変更された事項はありません。
(注)1 新株予約権1個につき目的となる株式数は、10株であります。
ただし、新株予約権の割当日後、当社が株式分割(株式無償割当てを含む。以下同じ)又は株式併合を行う場合は、新株予約権のうち、当該株式分割又は株式併合の時点で行使されていない新株予約権について、次の計算式により付与株数の調整を行い、調整により生じる1株未満の端数については、これを切り捨てる。
調整後付与株式数 = 調整前付与株式数 × 分割又は併合の比率
また、割当日後に当社が合併又は会社分割を行う場合、その他これらの場合に準じ付与株式数の調整を必要とする場合には、合併又は会社分割の条件等を勘案のうえ、合理的な範囲内で株式数は調整されるものとする。
2 新株予約権の行使により株式を発行する場合における増加する資本金および資本準備金に関する事項
①新株予約権の行使により株式を発行する場合における増加する資本金の額は、会社計算規則第17条第1 項に基づき算出される資本金等増加限度額の2分の1の金額とし、計算の結果1円未満の端数が生じたときは、その端数を切り上げるものとする。
②新株予約権の行使により株式を発行する場合における増加する資本準備金の額は、上記①記載の資本金等増加限度額から上記①に定める増加する資本金の額を減じた金額とする。
3 新株予約権の取得に関する事項
①新株予約権者が権利行使をする前に、前記「新株予約権の行使の条件」又は新株予約権割当申込書の定めにより新株予約権を行使できなくなった場合、当社は当社の取締役会が別途定める日をもって当該新株予約権を無償で取得することができる。
②当社が消滅会社となる合併契約、当社が分割会社となる吸収分割契約もしくは新設分割計画又は当社が完全子会社となる株式交換契約もしくは株式移転計画の承認の議案が当社の株主総会(株主総会が不要な場合は当社の取締役会)において承認された場合は、当社の取締役会が別途定める日をもって、同日時点で権利行使されていない新株予約権を無償で取得することができる。
4 当社が、合併(当社が合併により消滅する場合に限る。)、吸収分割、新設分割、株式交換又は株式移転(以上を総称して以下、「組織再編行為」という。)をする場合において、組織再編行為の効力発生日において残存する新株予約権(以下、「残存新株予約権」という。)については、会社法第236条第1項第8 号イからホまでに掲げる株式会社(以下、「再編対象会社」という。)の新株予約権を以下の条件に基づき、新株予約権者に交付することとする。この場合においては、残存新株予約権は消滅し、再編対象会社の新株予約権を新たに交付するものとする。
ただし、以下の条件に沿って再編対象会社の新株予約権を交付する旨を、合併契約、吸収分割契約、新設分割計画、株式交換契約又は株式移転計画において定めた場合に限るものとする。
①交付する再編対象会社の新株予約権の数
新株予約権者が保有する残存新株予約権の数と同一の数を交付するものとする。
②新株予約権の目的となる再編対象会社の株式の種類及び数
新株予約権の目的となる株式の種類は再編対象会社普通株式とし、新株予約権の行使により交付する再編対象会社普通株式の数は、組織再編行為の条件等を勘案のうえ、前記「(注)1」に準じて決定する。
③新株予約権の行使に際して出資される財産の価額
交付される新株予約権の行使に際して出資される財産の価額は、以下に定める再編後行使価額に当該各新株予約権の目的となる株式数を乗じて得られる金額とする。再編後行使価額は、交付される新株予約権を行使することにより交付を受けることができる再編対象会社の株式1株当たりの金額を1円とする。
④新株予約権を行使することができる期間
組織再編行為の効力発生日から、前記「新株予約権の行使期間」に定める新株予約権の行使期間の満了日までとする。
⑤新株予約権の取得に関する事項
前記「(注)3」に準じて決定する。
⑥新株予約権の譲渡制限
譲渡による新株予約権の取得については、再編対象会社の取締役会の承認を要するものとする。
⑦新株予約権の行使により株式を発行する場合における増加する資本金及び資本準備金に関する事項
前記「(注)2」に準じて決定する。
該当事項はありません。
(注)1 有償第三者割当(オーバーアロットメントによる売出しに関連した第三者割当増資)
発行価格 1,192.68円
資本組入額 596.34円
割当先 大和証券㈱
2023年3月31日現在
(注)1 「金融機関」には株式給付信託(J-ESOP)の信託口が保有する当社株式1,280単元が含まれております。
2 自己株式108,869株は、「個人その他」に1,088単元、「単元未満株式の状況」に69株含まれております。
2023年3月31日現在
(注)上記の所有株式数のうち、信託業務に係る株式数は次のとおりであります。
日本マスタートラスト信託銀行株式会社 1,648,400株
株式会社日本カストディ銀行 1,178,000株
1.報告セグメントの概要
当社の報告セグメントは、当社グループの構成単位のうち分離された財務情報が入手可能であり、取締役会が、経営資源の配分の決定及び業績を評価するために、定期的に検討を行う対象となっているものであります。
当社は、本社で製品・サービスの種類別に包括的な戦略を立案し、事業活動を展開しております。
したがって、当社は、本社で定めた製品・サービス別のセグメントから構成されており、「不動産再生事業」、「不動産サービス事業」及び「ホテル・観光事業」の3つを報告セグメントとしております。
「不動産再生事業」は、リプランニング事業、賃貸ビル事業を行っております。「不動産サービス事業」は、プロパティマネジメント事業、ビルメンテナンス事業、売買仲介事業、賃貸仲介事業、貸会議室事業及び滞納賃料保証事業等を行っております。「ホテル・観光事業」は、ホテル開発事業、ホテル運営事業等を行っております。
