東北電力株式会社
(1) 連結経営指標等
(注) 1 従業員数は、就業人員であります。
2 1株当たり純資産額の算定上、「役員報酬BIP信託」に係る信託口が保有する当社株式については、期末発行済株式総数から控除する自己株式に含めております。また、1株当たり当期純利益金額又は1株当たり当期純損失金額及び潜在株式調整後1株当たり当期純利益金額の算定上、当該信託口が保有する当社株式を期中平均株式数の計算において控除する自己株式に含めております。当該制度の概要については、「第5 経理の状況 注記事項 (追加情報)」に記載しております。
3 第98期及び第99期の潜在株式調整後1株当たり当期純利益金額については、1株当たり当期純損失であり、また、潜在株式が存在しないため記載しておりません。
4 第98期及び第99期の株価収益率については、親会社株主に帰属する当期純損失のため、記載しておりません。
5 「収益認識に関する会計基準」(企業会計基準第29号 2020年3月31日)等を第98期の期首から適用しており、第98期以降に係る主要な経営指標等については、当該会計基準等を適用した後の指標等となっております。
(2) 提出会社の経営指標等
(注) 1 従業員数は、就業人員であります。
2 最高株価及び最低株価は、2022年4月3日以前は東京証券取引所市場第一部におけるものであり、2022年4月4日以降は東京証券取引所プライム市場におけるものであります。
3 1株当たり純資産額の算定上、「役員報酬BIP信託」に係る信託口が保有する当社株式については、期末発行済株式総数から控除する自己株式に含めております。また、1株当たり当期純利益金額又は1株当たり当期純損失金額の算定上、当該信託口が保有する当社株式を期中平均株式数の計算において控除する自己株式に含めております。当該制度の概要については、「第5 経理の状況 注記事項 (追加情報)」に記載しております。
4 第97期の潜在株式調整後1株当たり当期純利益金額については、潜在株式は存在するものの、1株当たり当期純損失であるため記載しておりません。第98期及び第99期の潜在株式調整後1株当たり当期純利益金額については、1株当たり当期純損失であり、また、潜在株式が存在しないため記載しておりません。
5 第97期、第98期及び第99期の株価収益率及び配当性向については、当期純損失であるため記載しておりません。
6 2020年4月1日に、当社が営む一般送配電事業及び離島における発電事業等を、吸収分割により東北電力
ネットワーク株式会社に承継させたことにより、第97期より当社の経営指標等の状況は、第96期以前と比較し、大きく変動しております。
7「収益認識に関する会計基準」(企業会計基準第29号 2020年3月31日)等を第98期の期首から適用しており、第98期以降に係る主要な経営指標等については、当該会計基準等を適用した後の指標等となっております。
(注) 東北インテリジェント通信株式会社は2023年4月1日付で商号を株式会社トークネットに変更しております。
当社企業グループは、当社、子会社54社及び関連会社20社の計75社(2023年3月31日現在)で構成されております。
当社及び当社の関係会社は、火力・原子力及び再生可能エネルギーによる電力の安定的な供給や、小売販売・スマート社会実現事業を行う「発電・販売事業」、中立・公平な電力ネットワークサービスを提供する「送配電事業」、電気・通信・土木・建築工事及び電力供給設備の設計・製作、環境保全に関する調査・測量・測定分析を行う「建設業」において事業展開しております。
当社及び関係会社を事業系統図に示すと、以下のとおりであります。なお、次の事業区分は、「第5 経理の状況 1 (1)連結財務諸表 注記」に掲げるセグメント情報の区分と同一であります。

(注) 1 2022年5月11日付で八甲田風力発電㈱を新たに企業グループへ加えました。
2 2022年6月28日付で(同)白石越河風力を新たに企業グループへ加えました。
3 2022年10月7日付で田子小国風力発電(同)を新たに企業グループへ加えました。
4 由利本荘洋上風力O&M(同)は、プロジェクトの事業者公募に落選し、O&M業務を担えなくなったため
解散となり、会社清算が結了したことから、2022年10月7日付で企業グループから除外しました。
5 ㈱シナジアパワーは、破産手続開始により、2022年12月1日付で企業グループから除外しました。
6 東北インテリジェント通信㈱は2023年4月1日付で商号を㈱トークネットに変更しております。
(注) 1 特定子会社に該当いたします。
2 有価証券報告書を提出しております。
3 持分は100分の50以下でありますが、実質的に支配しているため子会社としたものであります。
4 2023年4月1日付で商号を株式会社トークネットに変更しております。
5 東北電力ネットワーク株式会社は、売上高(連結会社相互間の内部売上高を除きます。)の連結売上高に占める割合が100分の10を超えていますが、セグメント情報の売上高に占める当該連結子会社の売上高の割合(セグメント間の内部売上高又は振替高を含みます。)が100分の90を超えるため、主要な損益情報等の記載を省略しております。
6 議決権の所有割合の( )内は、間接所有割合で内数であります。
2023年3月31日現在
(注) 従業員数は、就業人員であります。
2023年3月31日現在
(注) 1 従業員数は、就業人員であります。
2 平均年間給与(税込)は、賞与及び基準外賃金を含んでおります。
特記事項はありません。
(4) 管理職に占める女性労働者の割合、男性労働者の育児休業取得率及び労働者の男女の賃金の差異
① 提出会社
(注) 1 「女性の職業生活における活躍の推進に関する法律」(平成27年法律第64号)の規定に基づき算出したものであります。
2 算定基準日は2023年3月31日であります。
3 「育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律」(平成3年法律第76号)の規定に基づき、「育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律施行規則」(平成3年労働省令第25号)第71条の4第2号における育児休業等及び育児目的休暇の取得割合を算出したものであります。
4 パート・有期労働者には、正規雇用労働者の労働時間(1日8時間)より短時間労働の有期労働者(臨時員)を含んでおり、正規雇用労働者の労働時間を基に人員数の換算を行っております。換算後のパート・有期労働者に占める臨時員の割合は、55.2%であります。
② 連結子会社
(注) 1 「女性の職業生活における活躍の推進に関する法律」(平成27年法律第64号)の規定に基づき算出したものであります。
2 算定基準日は2023年3月31日であります。
3 「育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律」(平成3年法律第76号)の規定に基づき、「育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律施行規則」(平成3年労働省令第25号)第71条の4第1号における育児休業等の取得割合を算出したものであります。
4 「育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律」(平成3年法律第76号)の規定に基づき、「育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律施行規則」(平成3年労働省令第25号)第71条の4第2号における育児休業等及び育児目的休暇の取得割合を算出したものであります。
5 東北電力ネットワーク株式会社の賃金体系は、提出会社と同一であります。パート・有期労働者には、正規雇用労働者の労働時間(1日8時間)より短時間労働の有期労働者(臨時員)を含んでおり、正規雇用労働者の労働時間を基に人員数の換算を行っております。換算後のパート・有期労働者に占める臨時員の割合は、81.7%であります。
6 労働者の人員数について労働時間を基に換算し算出しております。
7 東北インテリジェント通信株式会社は2023年4月1日付で商号を株式会社トークネットに変更しております。
以下に記載の将来に関する事項は、有価証券報告書提出日現在において、当社が判断したものであります。
(1) 東北電力グループ中長期ビジョン「よりそうnext」
当社企業グループは、再生可能エネルギーや分散型エネルギーの普及拡大や事業基盤を置く東北6県・新潟県における人口減少に起因する社会課題の顕在化等を大きな事業環境変化と捉え、2020年2月に東北電力グループ中長期ビジョン「よりそうnext」を策定しました。
「よりそうnext」では、事業環境変化を踏まえ、大規模系統電源による電力供給事業の競争力を徹底強化すること、分散型エネルギーを主体的に活用すること、社会課題を事業機会と捉えてその解決に挑戦することを事業転換の着眼点とし、電力供給事業の構造改革とスマート社会実現事業の収益化を通じ持続的に利益を創出しながら、「東北発の新たな時代のスマート社会」の実現に貢献していくこととしております。
また、再生可能エネルギーの導入拡大や電力小売全面自由化以降の需給・収支の構造変化に伴う収益性低下を抑止し、成長のための資源投入を加速するため、“キャッシュ創出力”に着目した指標として「連結キャッシュ利益※」を財務目標として採用し、達成すべき最低限の水準として「2024年度に3,200億円以上」を設定しました。
※連結キャッシュ利益=営業利益+減価償却費+核燃料減損額+持分法投資損益(営業利益は、燃料費調整制度のタイムラグ影響を除く。)
これまで、電力供給事業の構造改革として、燃料調達から発電・卸売のバリューチェーンの最適化や、変動費・固定費全般の抑制等を進め、スマート社会実現事業の収益化としては、太陽光や蓄電池等の分散型電源を活用したエネルギーサービスや、各種の生活・産業関連サービスのご提案等を進めてきました。
(2) 至近の事業環境
「よりそうnext」実現に向けた取り組みには一定の進捗が見られるものの、2022年2月に勃発したロシアによるウクライナ侵攻に端を発する国際情勢の緊迫化に伴う燃料・電力調達価格の高騰、及び同年3月に福島県沖で発生した地震等の影響を受け、収支・財務ともに東日本大震災発生直後の水準を下回る状況にあります。また、同年6月以降は、燃料価格が燃料費調整制度の回収上限を超過し、その超過分を当社が負担する「逆ザヤ」の状態が続きました。
これに対し、当社では、高圧以上のお客さまの電気料金単価の見直しを2022年11月と2023年4月に行い、2022年12月からは低圧自由料金プランでの燃料費調整制度における上限価格設定の廃止等をさせていただきました。加えて、2023年6月からは、小売規制料金の値上げと低圧自由料金の料金単価等の見直しを実施しております。また、東北電力ネットワーク株式会社においても、2022年9月より「電気最終保障供給約款」を変更し、卸電力取引市場価格の平均実績を反映する「市場価格調整額」を新たに導入しました。
このように、足もとの燃料・電力市場の価格の高騰は当社企業グループの事業運営に大きく影響していますが、国際情勢等を踏まえると、このような電気事業運営上の高いボラティリティは当面継続するものと想定しており、事業運営全般におけるボラティリティの抑制と利益確保の両立が重要と捉えております。
また、2023年1月には、当社及び東北電力ネットワーク株式会社において、新電力のお客さま情報等の不適切な取り扱いを行っていた事案が判明しました。当社企業グループとしては、このたびの事案は、電気事業運営の根幹を揺るがすものと重く受け止めており、再発防止対策の徹底はもとより、従業員の一人ひとりが、業務遂行上のあらゆる場面で公益事業者としての高い倫理観を持ち、ステークホルダーのみなさまからのご信頼の確保に努める所存です。
(3) 2023年度東北電力グループ中期計画における課題と対応
2023年度東北電力グループ中期計画においては、「収支と財務基盤の早期回復」・「『よりそうnext』の実現」の観点から具体的な取り組みを展開します。
「収支と財務基盤の早期回復」については、経営全般の徹底的効率化をベースとしながら、家庭向け・法人向けのサービス提案を強化するとともに、原子力発電所の再稼働を果たすことにより、2023年度の営業黒字を確保し、利益の早期積み上げを図ります。
これと並行して、引き続き、電力供給事業の構造改革とスマート社会実現事業の収益化にも取り組むことで、中長期的な成長の基盤を整え、「よりそうnext」具体化の加速・実現を目指します。
<2023年度中期計画期間における経営展開の基本認識>

<経営効率化の取り組み概要>
各事業における取り組みは以下のとおりです。
■発電・販売事業
(発電・卸売)
経年火力の着実な休廃止(秋田火力発電所第4号機:2024年7月廃止予定)を進めるとともに、火力発電の将来的位置付けや制度措置等を踏まえた電源リプレース等の検討を行い、競争力の確保に努めます。また、火力脱炭素化に向けたFS(事業性調査)・実証を加速させつつ、燃料調達スキームの検討を進めます。
事業環境のボラティリティの抑制と利益確保の両立に向けては、需給最適化と戦略的な燃料調達・発電・卸売を進めます。最適な調達先・調達量・契約体系等を組み合わせた燃料ポートフォリオを構築しつつ、トレーディング機能(東北電力エナジートレーディング株式会社)を通じ、先物市場の拡大も捉えながら最適化や事業機会を追求します。卸販売に際しては、内外無差別な交渉機会の確保と販売利益最大化の両立を図ります。
(原子力)
事業運営のボラティリティの抑制に加え、エネルギーセキュリティの確保やカーボンニュートラルへの挑戦等の観点から、原子力は当社企業グループにとって重要な電源です。女川原子力発電所第2号機は、2023年11月の工事完了、2024年2月の再稼働、同年4月の営業運転再開を目指し安全対策工事に取り組んでおり、当社企業グループにとっての最重要課題の一つとして、引き続き地域のご理解をいただきながら安全最優先で準備を進めます。また、防災体制整備・運転体制強化、教育訓練実施等により、再稼働後の安定運転に万全を期していきます。加えて、再稼働後のさらなる経済性向上に向け、安全確保を最優先に、競争発注拡大等のコスト低減を図ります。
東通原子力発電所第1号機・女川原子力発電所第3号機についても、再稼働に向けた対応を進めるとともに、女川原子力発電所第1号機については、廃炉作業を着実に継続していきます。
(再生可能エネルギー)
当社企業グループでは、2030年代早期に200万kWの新規開発を行うことを目標としており、引き続き地域と共生する新規開発を進めます。一方、新規開発のみならず、既存発電設備の適切な維持・更新によるパフォーマンス向上にも取り組みます。また、当社企業グループとしての開発体制の最適化に資するべく、当社と東北自然エネルギー株式会社との間で風力、太陽光、地熱発電の事業再編を行っており、本体制下で開発を推進していきます。
カーボンニュートラルの潮流が加速する中、再生可能エネルギーについては、開発面のみならず、当社企業グループ各社のノウハウ・強みを合わせ、バリューチェーン・ライフサイクル全般を通じた事業機会の獲得が重要と考えております。このため、VPPや法人向けオンサイト・オフサイトPPA、家庭向け太陽光・蓄電池サービス、風力発電のメンテナンス等による収益拡大を図りつつ、お客さまニーズを捉えた事業モデルの構築を進めていきます。
(スマート社会実現事業)
電力調達価格が高騰している状況を踏まえ、電力小売の展開に当たっては、市場動向・需要動向を的確に捉え、相対取引・市場取引等を組み合わせた最適な電源の確保を進めます。
また、お客さまの負担軽減につなげるため、従来のオール電化に、電気の使用量を抑制できる太陽光発電や蓄電池の「創エネ・蓄エネ」のシステムや、電気以外のさまざまなサービスを組み合わせ、安心・快適でエコな暮らしにつながる「スマートライフ電化」や、省エネメニュー、エネルギーソリューション等のサービス提案を強化します。
このほか、当社企業グループ各社において、お客さまのニーズやお困り事等を起点とした商品・サービス開発を強化し、お客さまにおけるカーボンニュートラルへの対応のニーズの高まりを踏まえ、再生可能エネルギー電気のご提供や関連サービスのご提案を進めます。また、ご好評いただいている「すまい安心サポート」(電気設備・水回りのトラブルサポート)に加え、空き家管理サービス等の新たなサービスの提供エリア拡大や、周辺ビジネス領域の開拓を進めます。

家庭向けには、東北電力フロンティア株式会社においても、「くらしのシンプル保険」や「トキメクくらしの家計ご相談サービス」を始めとするお客さまの暮らしに彩り・トキメキにつながるサービスのご提案を進めております。引き続き、当社及び東北電力フロンティア株式会社が両社の強み・ノウハウを活かすことで、当社企業グループだからこその価値のご提案に努めます。この他、ご家庭向けには、これらサービスご提案の入り口となる「よりそうeねっと」会員獲得や、ライフスタイルのサポートにつながる自由料金プランのご提案等も強化します。法人向けにも、当社企業グループが一体となった開発・販売を強化します。各社が保有する商材を組み合わせ、ワンストップでのご提案を行うことで、お客さまの事業活動に最適なソリューションをご提供します。
現在、スマート社会実現事業については、当社企業グループが強みを持つ「次世代エネルギーサービス領域」、「電気+サービス領域」をコアに事業基盤の構築を進めていますが、これと並行して新たな事業育成に取り組んでいきます。
■送配電事業
2023年4月から導入された新しい託送料金制度(レベニューキャップ制度)のもと、必要な投資や安定供給を確保しながら効率化を着実に実現します。
安定供給の確保に向けては、計画的な設備改修・補修、効率的な設備保守・設備形成等を通じ、送配電網の的確な形成と運用を行います。
また、再生可能エネルギーの導入拡大のためには、系統整備・運用の高度化が重要となります。大規模基幹系統整備への着実な対応(東北北部電源接続案件募集プロセス、東北東京間連系線等)や、日本版コネクト&マネージ等による既存系統の有効活用、再生可能エネルギーの出力予測精度向上を図ることでこれに努めていきます。
さらに、中長期的視点での新規事業と電力需要の拡大として、保有資産やノウハウを活用した収益機会の獲得、エリア需要の拡大に向けた企業誘致の支援も進めます。
■ガバナンス -企業倫理及び法令遵守の徹底
2023年1月以降、当社において、東北電力ネットワーク株式会社が管理する当社以外の小売電気事業者のお客さま情報を当社従業員が閲覧していた事案(東北電力ネットワーク株式会社において非公開とすべき情報が漏えいしていた事案)などが確認され、当社及び東北電力ネットワーク株式会社に対し、電力・ガス取引監視等委員会からの業務改善勧告等がなされました。
東北電力グループとして、引き続き、社員一人ひとりの意識・行動変革、運用面の各種ルールの整備等を行い、二度と同様の事案を発生させないよう、企業倫理・法令遵守及び再発防止策の徹底に努め、ステークホルダーのみなさまからの信頼回復に努めます。

ガバナンスについては、企業倫理・法令遵守の徹底のみならず、様々な側面からこれを強化することが重要と考えております。自然災害や燃料・電力等の市場環境、電気事業制度等の規制環境、さらにはサイバーリスク等、当社企業グループを取り巻くリスクが多様化している点に鑑み、「統合リスク管理方針」・「統合リスクマネジメント会議」のもと、リスクの認識、分析・評価、対応策の検討・実施によるリスク管理活動を展開していきます。
また、社会要請や事業環境等を踏まえた実効性のあるコーポレートガバナンス体制の維持・充実や人的資本等のESG情報開示の充実化による、ステークホルダーとの積極的なコミュニケーションも進めていきます。
■財務目標・成長投資
2023年度の営業黒字確保、女川原子力発電所第2号機の再稼働等により収支をV字回復させ、「よりそうnext」における財務目標(2024年度の連結キャッシュ利益3,200億円以上) を達成します。
「よりそうnext」の実現には、成長分野への投資を行い、これを収益化することが必要と考えております。再生可能エネルギー事業(送配電網の系統増強等を含む)とスマート社会実現事業を成長分野と位置付け、2030年頃までに4,000億円程度を投資し、それぞれの事業拡大と収益化に取り組みます。この際、財務健全性と資本効率性のモニタリングを行い、財務規律を踏まえた投資判断を徹底していきます。

当社企業グループの中核である電気事業は、電力の安定供給のために発電設備や流通設備、燃料の確保等が必要不可欠であり、設備の損傷や電源の長期停止といった設備リスクは、事業運営における重要なリスクとして認識しております。また、電気という日常生活、産業活動に不可欠なインフラを供給するという社会的使命を果たす電気事業は、国のエネルギー政策の動向や関連する制度措置の見直しといった規制リスクを有しており、事業環境における重要なリスクとして認識しております。加えて、電気事業における主要コストである火力燃料費は、原油などのCIF価格及び為替レートの変動の影響を大きく受けることなどから、市場リスクについても重要なリスクとして認識しております。
これらのリスクが顕在化した場合には、当社企業グループの業績及び財政状態は影響を受ける可能性があると認識しており、当社企業グループでは、これらのリスクの低減に努めるとともに、発生した場合は、的確な対応に努めております。
以下では、当社企業グループの業績及び財政状態への影響が大きいリスクを取り上げておりますが、有価証券報告書提出日現在において、当社が判断したものであり、全てのリスクを網羅している訳ではありません。当社企業グループの事業は、現在は未知のリスク、あるいは現時点では重要と見做されていない他のリスクの影響を将来的に受ける可能性があります。
なお、当社は、経営に重大な影響を及ぼすおそれのあるリスクについて、社長執行役員を議長とする統合リスクマネジメント会議を設置し、統合リスク管理方針を定め、モニタリング・リスクマネジメントを行うとともに、各部門は定期的に事業活動に係るリスクの抽出・評価を行い、その対策等を毎年度策定する事業計画に織り込み、管理サイクルの中でリスク管理を実践しております。
【リスク管理体制図】

(1)設備リスク等の事業運営におけるリスク
a.自然災害及び設備事故の発生による影響
(2)規制リスク等の事業運営におけるリスク
a.電気事業を取り巻く制度変更等による影響
b.原子力発電を取り巻く制度変更等による影響
c.原子力のバックエンド事業等のコストの変動による影響
d.気候変動に関するリスク
(3)価格変動等の市場リスク
a.需要及び販売価格の変動による影響
b.燃料費、購入電力料の変動による影響
c.金利の変動による影響
d.退職給付費用・債務の変動による影響
(4)その他のリスク
a.情報流出による影響
b.企業倫理に反した行為による影響
c.新型感染症拡大による影響
d.電気事業以外のリスク
以下に記載の将来に関する事項は、有価証券報告書提出日現在において、当社が判断したものであります。
(1)事業の経過
① 企業グループを取り巻く経営環境
2022年度の我が国経済は、新型コロナウイルス感染症の抑制と経済活動の両立が進むもとで緩やかに持ち直しているものの、資源高の影響など一部に弱さがみられており東北地域においても同様の傾向にあります。
近年、電力業界においては、不安定な国際情勢による燃料価格や電力調達価格の高騰、大規模自然災害の激甚化及びカーボンニュートラル実現に向けた動きの加速など、事業環境は大きく変容し、複雑化しております。加えて、当社においては、2022年3月の福島県沖を震源とする地震による火力発電所の甚大な被害に伴い電力調達コストの負担が増加するなど、収支に大きな影響を与えております。
このような中、当社企業グループは、東北電力グループスローガン「より、そう、ちから。」のもと、電力供給事業の構造改革による徹底的な競争力強化を果たしながら電力の安定供給を担うとともに、スマート社会を実現していくため、様々な取り組みを展開してまいりました。
② 電気料金の値上げとさらなる経営効率化
電力小売全面自由化による販売競争が激化する中、徹底した効率化を進め、継続してコスト競争力の強化を図りながら電力の安定供給に努めてまいりました。一方、燃料価格や電力調達価格の高騰の影響及び地震による甚大な設備被害などの複合的な要因により、電力の供給コストが電気料金の収入を上回る状態となりました。
このままでは電力の安定供給に影響を及ぼしかねない非常に厳しい状況となることから、2022年11月以降、高圧以上の電気料金単価の見直し及び低圧自由料金の燃料費調整制度における上限設定の廃止を実施するとともに、2023年6月からは、低圧規制料金の値上げと低圧自由料金の料金単価等の見直しを実施しております。
引き続き、徹底した経営効率化に取り組み、お客さまに安定的に電気をお届けするとともに、少しでもお客さまの負担軽減につながるよう、電気の効率的な利用方法の提案に取り組んでまいります。
③ 新電力のお客さま情報等の不適切な取り扱い
2023年1月以降、当社において、東北電力ネットワーク株式会社が管理する当社以外の小売電気事業者のお客さま情報を当社従業員が閲覧していた事案(東北電力ネットワーク株式会社において非公開とすべき情報が漏洩していた事案)などが確認されました。これを受け、両社において徹底した調査及び詳細な原因分析を行い、ハード・ソフトの両面から再発防止策を策定いたしました。引き続き再発防止策の徹底に努めてまいります。
[発電・販売事業]
④ スマート社会実現事業の取り組み
スマート社会実現事業については、「電気+サービス」や「次世代エネルギーサービス」を中心に事業化を進めてまいりました。「電気+サービス」としては、お客さまの安全・安心の実現に向け、当社が空き家の所有者に代わり状況を確認する「空き家管理サービス」などのサービスを開発しました。「次世代エネルギーサービス」としては、分散型エネルギーを活用した事業機会の拡大に向け、当社が再生可能エネルギー事業者に代わり発電量の予測などを行う「再エネアグリゲーションサービス」を開始しました。また、2022年12月、スマート社会実現に向けた法人のお客さまの分散型エネルギー導入促進を加速するため、コーポレートPPA事業室を設置いたしました。
東北電力フロンティア株式会社では、暮らしを彩る様々なサービスの提供により事業領域を拡大してまいりました。具体的には、家計に関する課題解決をお手伝いする「トキメクくらしの家計ご相談サービス」や、オンライン申込型自動車保険「東北電力フロンティアくらしのシンプル保険」などを提供してまいりました。
引き続き、当社企業グループとしてスマート社会実現事業の収益化を進め、東北電力グループならではの価値をお客さまにご提供してまいります。
⑤ 発電・卸売の競争力向上の取り組み
電力取引の市場化に伴う量的・価格的な不確実性をコントロールするとともに、トレーディング機能も最大限活用しながら、燃料調達から発電・卸売までのバリューチェーンの最適化に取り組んでまいりました。
燃料調達については、価格高騰局面におけるLNGスポットの調達比率を低減するなど、経済的な燃料確保に努めてまいりました。また、2022年4月にシンガポール駐在員事務所を設立し、海外エネルギー動向などの調査機能を強化し、燃料調達における経済性・安定性のさらなる向上に努めてまいりました。
発電については、電源の競争力を高めつつ環境性を確保するため、経年火力発電所の休廃止を進めるとともに、最新鋭の火力電源である上越火力発電所第1号機の建設を着実に進め、2022年12月に営業運転を開始し、世界最高の発電効率を達成しております。
卸売については、東北電力エナジートレーディング株式会社による電力取引市場や燃料先物取引の活用など市場価格を意識した価格の設定や、柔軟な契約条件など付加価値のある提案を積極的に実施し、収益拡大を図ってまいりました。
⑥ 調達環境の変化を踏まえた電力小売の取り組み
ロシアによるウクライナ侵攻を受け、燃料価格や電力調達価格が高騰していることなどから、2022年秋以降、高圧以上のお客さまに対し電気料金の値上げをお願いするとともに、低圧自由料金の燃料費調整制度における上限設定を廃止いたしました。また、2023年6月からは、低圧規制料金の値上げと低圧自由料金の料金単価等の見直しを実施しております。
また、燃料価格の高騰に伴いお客さまの負担が増えている状況を踏まえ、電気料金の負担軽減につながる提案をしてまいりました。家庭分野においては、節電に取り組まれたお客さまによりそうeポイントをプレゼントする「節電チャレンジキャンペーン」やヒートポンプ機器への買い替え費用の一部を補助する「エコ替えキャンペーン」などを実施いたしました。加えて、カーボンニュートラル実現に向け、最新電化機器を月々定額で利用できる「東北電力eライフリース」や太陽光発電と蓄電池の設置サービス「あおぞらチャージサービス」など、当社企業グループのサービスとあわせた提案を実施し収益拡大を図ってまいりました。法人分野においても、節電のコンサルティングや自家消費型太陽光オンサイトサービスなどの提案をグループ一体で実施してまいりました。
⑦ 再生可能エネルギーに関する取り組み
再生可能エネルギーについては、風力発電を主軸に、200万kWの開発を目指しており、福井県国見岳における風力発電事業に参画したほか、岩手県沖における浮体式洋上風力発電の事業化に向けた実現可能性調査を開始するなど、新たに4件の開発に取り組んでまいりました。また、開発を進めていた案件のうち、国内初の商業用大型洋上風力プロジェクトである秋田港及び能代港洋上風力発電所や玉川第二水力発電所(山形県)など4件が運転を開始しており、開発案件が事業化された場合の持分出力の累計は、2022年度末時点で約65万kWとなっております。
加えて、再生可能エネルギー電源及び関連設備のメンテナンスやトレーニングなどを担う東北電力リニューアブルエナジー・サービス株式会社においては、2023年3月、秋田火力発電所構内に「風力トレーニングセンター秋田塾」を開設し、風車での高所作業などを安全に行うための訓練サービスの提供を開始いたしました。
引き続き、地域に豊富に賦存する再生可能エネルギーの導入拡大に取り組んでまいります。
⑧ 原子力発電所の安全性向上
原子力発電については、新規制基準への適合にとどまらず、より高いレベルでの安全確保に向けて、最新の知見も取り入れながら、設備面と運用面の両面から、さらなる安全性の向上に取り組んでまいりました。
女川原子力発電所第2号機については、新規性基準に係る原子炉設置変更許可、工事計画認可、原子炉施設保安規定変更認可に関して、原子力規制委員会から許認可を受けました。現在、2023年2月に改正された審査基準に基づく保安規定の変更認可に係る審査に適切に対応しております。引き続き、2023年11月の安全対策工事完了に加え、使用前事業者検査や長期間停止している設備の点検・確認などにも着実に取り組み、2024年2月の再稼働を目指してまいります。また、特定重大事故等対処施設の設置に関し、2022年1月に原子力規制委員会に設置変更許可申請を行っており、現在、審査に適切に対応しております。
東通原子力発電所第1号機については、基準地震動や基準津波の評価に係る審査に適切に取り組んでおり、安全対策工事については、2024年度の完了を目指しております。
[送配電事業]
⑨ 電力の安定供給に向けた取り組み
東北電力ネットワーク株式会社は、「電気を安定的に地域のみなさまにお届けする」という使命を果たすため、送配電設備の整備や様々な状況を想定した訓練など、ハード・ソフトの両面から、激甚化し頻発している自然災害への対応力強化及び電力の安定供給に努めてまいりました。
2022年12月に発生した日本海側を中心とした大雪に伴う停電の際には、迅速な復旧に努めたものの、断続的な降雪や倒木により一部復旧が困難となり停電が長期化した地域がありました。このような地域については、ホームページやツイッターの活用、自治体への連絡要員の派遣など、タイムリーな情報提供に努めました。
今後も、訓練などを通じて、両社が連携のうえ電力の安定供給に努めてまいります。
⑩ 再生可能エネルギーの導入拡大に向けた取り組み
東北北部エリアの電源接続案件募集プロセス及び東北東京間連系線などの系統整備の推進、再生可能エネルギーの予測精度向上による出力制御量低減及び佐渡島における最適な電力需給制御に向けた取り組みなど、再生可能エネルギーの導入拡大に向けて取り組んでまいりました。
⑪ 新託送料金制度に基づく託送供給等約款の認可
電力の安定供給や再生可能エネルギー導入拡大に必要な投資の確保と効率化を両立する新たな託送料金制度(レベニューキャップ制度)に基づく託送供給等約款について認可を受け、2023年4月より本託送供給等約款を実施しております。新たな託送料金制度のもと、2023年度から2027年度における達成目標などを示した事業計画を策定しております。東北6県及び新潟県のお客さまの安全・安心で豊かな暮らしを支えるため、当該事業計画に基づき安定供給とコスト低減の両立に取り組んでまいります。
⑫ 新規事業・サービスの展開
収益拡大に向け、東北電力ネットワーク株式会社の設備やノウハウなどのネットワーク資産を活用した新規事業の創出にも取り組んでまいりました。具体的には、お客さまのご自宅における停電や漏電などの電気のトラブルをサポートするサービス「でんきのSOS」や、事業所建物の外壁を利用した広告事業「より、そう、ビジョン@仙台」などに取り組んでまいりました。
(2)経営成績の分析
当連結会計年度の販売電力量の状況については、当社において、節電の影響や前連結会計年度に比べて冬場の気温が高く暖房需要が減少したことなどから、販売電力量(小売)が減少するとともに、販売電力量(卸売)が減少したことなどから、販売電力量(全体)は、818億kWh(前年度比 2.7%減)となりました。
売上高は、燃料費調整額が増加したことなどから、3兆72億円となり、前連結会計年度に比べ、9,027億円(42.9%)の増収となりました。
経常損益については、燃料価格の高騰や円安の影響に加え、卸電力取引市場の価格の上昇により電力調達コストが大幅に増加したことなどから、前連結会計年度に比べ1,500億円減少し、1,992億円の損失となりました。
また、親会社株主に帰属する当期純損益は、前連結会計年度に比べ191億円減少し、1,275億円の損失となりました。
この結果、営業損益及び経常損益は過去最大の損失となり、親会社株主に帰属する当期純損益を含めて、2年連続の赤字となりました。
なお、当連結会計年度における連結キャッシュ利益※は1,366億円となりました。
※「東北電力グループ中長期ビジョン『よりそうnext』」において「連結キャッシュ利益」を財務目標として設定しております。(2024年度に3,200億円以上を目標)
「連結キャッシュ利益」= 営業利益+減価償却費+核燃料減損額+持分法投資損益
(営業利益は、燃料費調整制度のタイムラグ影響を除く。)

当連結会計年度におけるセグメントの業績(セグメント間の内部取引消去前)は次のとおりであります。
[発電・販売事業]
当社の販売電力量(小売)は、前連結会計年度に比べ節電の影響や冬場の気温が高かったことによる暖房需要の減少などから、2.1%減の659億kWhとなりました。このうち、電灯需要は、4.9%減の200億kWh、電力需要は、0.8%減の460億kWhとなりました。また、販売電力量(卸売)は、常時バックアップの契約及びベースロード市場取引量が増加したものの、東北6県及び新潟県以外への卸売が減少したことなどから、5.0%減の159億kWhとなりました。
この結果、当社の販売電力量(全体)は、2.7%減の818億kWhとなりました。
これに対応する供給については、原子力発電所の運転停止継続や福島県沖地震の影響による一部発電所の運転停止により供給力の減少があったものの、卸電力市場などからの電力調達などにより安定した供給力を確保しました。
売上高は、燃料費調整額が増加したことなどから、2兆3,142億円となり、前連結会計年度に比べ、7,114億円(44.4%)の増収となりました。
経常損益は、燃料価格や卸電力取引市場価格の上昇により電力調達コストが大幅に増加し、収入増加を大きく上回ったことから、前連結会計年度に比べ1,354億円の減益となり、2,184億円の損失となりました。
[送配電事業]
当連結会計年度のエリア電力需要は、産業用その他における生産動向などから、2.4%減の771億kWhとなりました。
売上高は、「電気事業者による再生可能エネルギー電気の調達に関する特別措置法」に基づく購入電力量の増加に伴い卸電力取引市場を通じた販売電力量が増加したことや、加えて販売単価も上昇したことなどにより、1兆1,248億円となり、前連結会計年度に比べ、3,317億円(41.8%)の増収となりました。
経常利益は、調整力・インバランスに係る費用の増加や、追加供給力公募(kW公募)及び追加電力量公募(kWh公募)費用の増加などにより、113億円となり、前連結会計年度に比べ、295億円(72.2%)の減益となりました。
[建設業]
売上高は、屋内配線工事や配電線工事が増加したことなどから、3,035億円となり、前連結会計年度に比べ、36億円(1.2%)の増収となりました。
これにより、経常利益は、131億円となり、前連結会計年度に比べ、14億円(12.2%)の増益となりました。
[その他]
売上高は、ガス事業における取引量及び単価が増加したことなどから、2,462億円となり、前連結会計年度に比べ、389億円(18.8%)の増収となりました。
これにより、経常利益は、138億円となり、前連結会計年度に比べ、37億円(38.0%)の増益となりました。
(3) 財政状態の分析
資産は、流動資産における現金及び預金や売掛金などの増加に加え、繰延税金資産及び燃料貯蔵品などの棚卸資産が増加したことから、前連結会計年度末に比べ、4,862億円(10.3%)増加し、5兆2,119億円となりました。
負債は、安定供給に必要となる電力設備の維持・更新に充当する資金などを社債や借入金で調達したことにより、有利子負債残高が、前連結会計年度末に比べ6,153億円(22.3%)増加し、3兆3,756億円となったことなどから、負債総額は、前連結会計年度末に比べ、6,341億円(16.1%)増加し、4兆5,808億円となりました。
純資産は、親会社株主に帰属する当期純損失の計上により利益剰余金が減少したことなどから、前連結会計年度末に比べ、1,478億円(19.0%)減少し、6,310億円となりました。
これにより、自己資本比率は前連結会計年度に比べ4.3ポイント悪化し、10.5%となりました。
(4) キャッシュ・フローの状況の分析
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
燃料価格の高騰により燃料及び電力調達支出が増加したことなどから、前連結会計年度の収入から支出に転じ、937億円の支出(前連結会計年度は971億円の収入)となりました。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
女川原子力発電所第2号機の安全対策工事などによる固定資産の取得支出が増加したものの、投融資の回収による収入が増加したことなどから、前連結会計年度に比べ支出が463億円(14.4%)減少し、2,757億円の支出となりました。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
社債の発行による収入が増加したことなどから、前連結会計年度に比べ収入が3,052億円(104.1%)増加し、5,984億円の収入となりました。
この結果、現金及び現金同等物の当連結会計年度末残高は、前連結会計年度末残高に比べ2,294億円(82.4%)増の5,078億円となりました。
フリー・キャッシュ・フロー※は前連結会計年度に比べ1,409億円(66.6%)減の△3,525億円となりました。
※ フリー・キャッシュ・フロー
<算出方法>
営業活動によるキャッシュ・フロー + 投資活動によるキャッシュ・フロー - 利息及び配当金の受取額
- 利息の支払額
(単位:億円)
また、キャッシュ・フロー指標の変動は次のとおりであります。
(注) 1 キャッシュ・フロー対有利子負債比率:有利子負債/営業活動によるキャッシュ・フロー
2 インタレスト・カバレッジ・レシオ:営業活動によるキャッシュ・フロー/利息の支払額
3 当連結会計年度においては、営業活動によるキャッシュ・フローがマイナスのため記載しておりません。
(資本の財源及び資金の流動性に係る情報)
① 資金調達方針並びに状況
当社は、電気事業における安定供給に必要な設備投資、社債などの償還資金への充当及び東北電力グループ中長期ビジョンに掲げた再生可能エネルギー事業、スマート社会実現事業への投資などの資金需要に対し、資金調達環境の動向や有利子負債、現金及び現金同等物の適正な保有額を総合的に勘案し、社債の発行及び、金融機関からの借入金等を組み合わせて安定的に資金を調達しております。
一般担保付社債については、当連結会計年度において、総額2,757億円発行しております。これらは、株式会社格付投資情報センター(R&I)よりA+、株式会社日本格付研究所(JCR)よりAAの長期債格付を取得しております。なお、当社は、2020年3月27日に「電気事業法等の一部を改正する等の法律(平成27年法律第47号)」(平成27年6月成立)に基づき、経済産業大臣の認定のもと、2020年度から5年間に限り、一般担保付社債の発行が可能となる経過措置を受けております。
また、当社は、将来の成長に向けた投資資金の確保と財務基盤の強化を両立する資金調達手段として、2022年9月に当社として初めてとなる公募ハイブリッド社債(一般担保無・劣後特約付社債)を総額2,800億円発行しております。これらは、株式会社格付投資情報センター(R&I)よりA-、株式会社日本格付研究所(JCR)よりA+の長期債格付を取得しております。
さらに、世界的な燃料価格の高騰や電力卸取引市場の価格上昇に加え、福島県沖を震源とする地震の影響などによる厳しい状況を踏まえ、安定的な事業資金の確保のため、2022年12月に借入総額3,500億円のシンジケートローンによる資金調達を実施しております。
加えて、「東北電力グループ“カーボンニュートラルチャレンジ2050”」の実現に向けた取り組みを一層加速していくため、2023年3月に東北東京間連系線の整備、東北北部エリアにおける電源募集プロセスの系統整備、上越火力発電所の開発などを資金使途としたトランジションボンド及びトランジションローンによる資金調達を当社として初めて実施するなど、持続可能な社会の実現に向けたカーボンニュートラルへの積極的な挑戦を資金調達面から支えるとともに、さらなる資金調達の多様性や安定性の確保に努めております。
上記による資金調達の結果、当連結会計年度末の社債発行残高及び借入金残高はそれぞれ1兆7,357億円、1兆6,399億円となっております。
短期的な資金需要に対しては、機動的なつなぎ資金調達の手段としてコマーシャル・ペーパーなどを活用しております。コマーシャル・ペーパーは、株式会社格付投資情報センター(R&I)よりa-1の短期債格付を取得しており、当連結会計年度は2,000億円の発行限度枠を設定しております。
② 資金の流動性に係る情報
当社は、月次での資金計画などにより、資金需要を的確に把握することに努めるとともに、金融機関との間に当座貸越契約及びコミットメントライン契約を締結していることから、電力需要の変動などに伴い、営業活動によるキャッシュ・フローが減少した場合でも、必要に応じて極度枠の範囲内で速やかに資金調達ができる体制を整えることにより、充分な流動性を確保しております。
(5)重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
当社企業グループの連結財務諸表は、我が国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。この連結財務諸表を作成するにあたり重要となる会計方針については、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項 (連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項)」に記載されているとおりであります。
当社企業グループは、固定資産の減損、繰延税金資産、貸倒引当金、退職給付に係る負債及び資産、資産除去債務などに関して、過去の実績や当該取引の状況に照らして、合理的と考えられる見積り及び判断を行い、その結果を資産・負債の帳簿価額及び収益・費用の金額に反映して連結財務諸表を作成しておりますが、実際の結果は見積り特有の不確実性があるため、これらの見積りと異なる場合があります。
連結財務諸表の作成に当たって用いた会計上の見積り及び仮定のうち、重要なものは「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項 (重要な会計上の見積り)」に記載されているとおりであります。
(6) 生産、受注及び販売の実績
当社企業グループ(当社及び連結子会社)の生産・販売品目は広範囲かつ多種多様であるため「生産実績」を定義することが困難であります。また、建設業においては請負形態をとっており、「販売実績」という定義は実態にそぐわないため、生産、受注及び販売の実績については、記載可能な情報を「(2)経営成績の分析」においてセグメントの業績に関連付けて記載しております。
なお、当社個別の事業の状況は次のとおりであります。
(注) 1 停止中発電所の所内電力量は、自社事業用電力量として、販売実績に記載しております。
2 融通・他社受電電力量には、連結子会社からの受電電力量(東北電力ネットワーク㈱ 5,135百万kWh、酒田共同火力発電㈱ 3,687百万kWh、東北自然エネルギー㈱ 431百万kWh 他)、送電電力量(東北電力ネットワーク㈱ 5,921百万kWh 他)を含んでおります。
3 融通・他社受電電力量の上段は受電電力量、下段は送電電力量を示しております。
4 揚水発電所の揚水用電力量等とは貯水池運営のため揚水用に使用する電力量及び自己託送の電力量であります。
5 出水率は、1991年度から2020年度までの30ヶ年平均に対する比であります。
6 個々の数値の合計と合計欄の数値は、四捨五入の関係で一致しない場合があります。
(注) 1 停止中発電所の所内電力量は、自社事業用電力量として、販売実績に記載しております。
2 小売には自社事業用電力量(74百万kWh)を含んでおります。
3 卸売には特定融通等を含んでおります。
4 個々の数値の合計と合計欄の数値は、四捨五入の関係で一致しない場合があります。
当連結会計年度において、経営上の重要な契約等の決定又は締結等はありません。
当社企業グループ(当社及び連結子会社)の設備の概況と、主たる事業である発電・販売事業及び送配電事業の主要な設備は次のとおりであります。
(1) セグメント別設備概況
2023年3月31日現在
(注) 従業員数は、就業人員であります。
①発電・販売事業
2023年3月31日現在
(注) 1 土地の面積には、借地5,183,243㎡は含まれておりません。
2 従業員数は、就業人員から建設工事関係従業員27人を除いております。
3 上記設備には、福利厚生施設を含んでおります。
②送配電事業
2023年3月31日現在
(注) 1 土地の面積には、借地245,824,807㎡(送電設備用238,496,659㎡他)は含まれておりません。
2 従業員数は、就業人員から建設工事関係従業員50人を除いております。
3 上記設備には、福利厚生施設を含んでおります。
(3) 主要設備
①発電・販売事業
主要水力発電設備
2023年3月31日現在
(注) 認可最大出力50,000kW以上を記載しております。
2023年3月31日現在
(注) 認可最大出力50,000kW以上を記載しております。
2023年3月31日現在
(注) 2011年3月に発生した東日本大震災の影響等により、女川及び東通原子力発電所の全号機が停止しております。
2023年3月31日現在
(注) 認可最大出力50,000kW以上を記載しております。
2023年3月31日現在
②送配電事業
主要送電設備
2023年3月31日現在
(注) 電圧275kV以上で、亘長100㎞以上を記載しております。
2023年3月31日現在
(注) 変電所電圧275kV以上で、出力1,000,000kVA以上を記載しております。
2023年3月31日現在
該当事項はありません。
該当事項はありません。
(注) 旧商法第288条ノ2の規定に基づき、東北インテリジェント通信株式会社の完全子会社化によって、自己株式の交換差益を資本準備金に組入れたものであります。なお、東北インテリジェント通信株式会社は2023年4月1日付で商号を株式会社トークネットに変更しました。
2023年3月31日現在
(注) 1 自己株式2,063,792株は、「個人その他」に20,637単元及び「単元未満株式の状況」に92株含まれております。
2 「その他の法人」及び「単元未満株式の状況」の欄には、株式会社証券保管振替機構名義の株式が、それぞれ26単元及び53株含まれております。
3「金融機関」及び「単元未満株式の状況」の欄には、「役員報酬BIP信託」に係る信託口が保有する株式が、それぞれ8,065単元及び86株含まれております。
2023年3月31日現在
(注) 1 「役員報酬BIP信託」に係る信託口が保有する株式807千株については、発行済株式数から控除する自己株式に含まれておりません。
2 2021年1月8日付で公衆の縦覧に供されている変更報告書において、株式会社みずほ銀行の共同保有者として、アセットマネジメントOne株式会社が2020年12月31日現在で以下の株式を所有している旨が記載されているものの、当社として2023年3月31日現在における実質所有株式数の確認ができないので、上記大株主の状況には含めておりません。
なお、その変更報告書におけるアセットマネジメントOne株式会社の内容は次のとおりであります。
3 2021年12月6日付で公衆の縦覧に供されている変更報告書において、ブラックロック・ジャパン株式会社及び共同保有者(計5名)が2021年11月30日現在で以下の株式を所有している旨が記載されているものの、当社として2023年3月31日現在における実質所有株式数の確認ができないので、上記大株主の状況には含めておりません。
なお、その変更報告書の内容は次のとおりであります。
4 2021年12月21日付で公衆の縦覧に供されている変更報告書において、三井住友トラスト・アセットマネジメント株式会社及び共同保有者(計2名)が2021年12月15日現在で以下の株式を所有している旨が記載されているものの、当社として2023年3月31日現在における実質所有株式数の確認ができないので、上記大株主の状況には含めておりません。
なお、その変更報告書の内容は次のとおりであります。
5 2022年6月22日付で公衆の縦覧に供されている変更報告書において、野村證券株式会社及び共同保有者(計3名)が2022年6月15日現在で以下の株式を所有している旨が記載されているものの、当社として2023年3月31日現在における実質所有株式数の確認ができないので、上記大株主の状況には含めておりません。
なお、その変更報告書の内容は次のとおりであります。
1 報告セグメントの概要
当社企業グループの報告セグメントは、当社企業グループの構成単位のうち分離された財務情報が入手可能であり、経営者が、経営資源を配分し業績を評価するために、定期的に検討を行う対象となっているものであります。
当社企業グループは、電力供給事業を中核とし、お客さまの豊かさの最大化を目指すエネルギーサービス企業 グループとして事業活動を展開しており、「発電・販売事業」、「送配電事業」、「建設業」の3つを報告セグメントとしております。
[発電・販売事業]
・火力・原子力及び再生可能エネルギーによる電力の安定的な供給や、小売販売・スマート社会実現
・コーポレート・間接機能
[送配電事業]
・中立・公平な電力ネットワークサービスの提供
[建設業]
・電気・通信・土木・建築工事及び電力供給設備の設計・製作、環境保全に関する調査・測量・測定分析