中国電力株式会社
(注) 1 「収益認識に関する会計基準」(企業会計基準第29号 2020年3月31日)等を2022年3月期から適用しており、2022年3月期以降に係る主要な経営指標等については、当該会計基準等を適用した後の指標等となっている。
2 2022年3月期及び2023年3月期の潜在株式調整後1株当たり当期純利益については、潜在株式は存在するものの、1株当たり当期純損失であるため記載していない。
3 2022年3月期及び2023年3月期の株価収益率については、1株当たり当期純損失であるため記載していない。
(注) 1 「収益認識に関する会計基準」(企業会計基準第29号 2020年3月31日)等を2022年3月期から適用しており、2022年3月期以降に係る主要な経営指標等については、当該会計基準等を適用した後の指標等となっている。
2 2021年3月期及び2022年3月期の潜在株式調整後1株当たり当期純利益については、潜在株式は存在するものの、1株当たり当期純損失であるため記載していない。
3 2023年3月期の潜在株式調整後1株当たり当期純利益については、1株当たり当期純損失であり、また、潜在株式が存在していないため記載していない。
4 2021年3月期、2022年3月期及び2023年3月期の株価収益率及び配当性向については、1株当たり当期純損失であるため記載していない。
5 最高株価及び最低株価は、2022年4月3日以前は東京証券取引所市場第一部におけるものであり、2022年4月4日以降は東京証券取引所プライム市場におけるものである。
当社グループは、当社、子会社29社及び関連会社33社の計63社(2023年3月31日現在)で構成されている。
事業内容は、総合エネルギー事業、送配電事業、情報通信事業を戦略的事業領域と定め、トータルソリューション事業を展開している。
以上述べた事項を事業系統図によって示すと、次のとおりである。
[事業系統図]

持分法を適用していない関連会社19社は、記載を省略している。
(注)1 2022年度第1四半期連結会計期間より、C&Cインベストメント株式会社が連結子会社となった。
また、Orchid Wind Power GmbH、Starwind Offshore GmbHが持分法適用関連会社となった。
2 2022年度第3四半期連結会計期間より、Sevens Pacific Pte. Ltd.が持分法適用非連結子会社となった。
3 2023年1月18日、当社とエア・ウォーター株式会社間での株式取得及び譲渡により、
エア・ウォーター&エネルギア・パワー山口株式会社はエネルギア・パワー山口株式会社に商号を変更し
連結子会社となり、エア・ウォーター&エネルギア・パワー小名浜株式会社は関連会社に該当しなくなっ
た。
(参考)1 2023年3月31日、当社が株式会社エネルギア介護サービスの発行済株式の全てを譲渡することについて
SOMPOケア株式会社と株式譲渡契約書を締結した。同年7月3日付で譲渡する予定である。
2 2023年7月1日付で、株式会社エネルギア・コミュニケーションズは株式会社エネコムに商号を変更する予定である。
(連結子会社)
(持分法適用関連会社)
(注) 1 議決権の所有割合の( )内は、間接所有割合で内書き。
2 特定子会社に該当している。
3 中国電力ネットワーク株式会社については、売上高(連結会社相互間の内部売上高を除く。)の連結売上高に占める割合が100分の10を超えているが、セグメント情報の売上高に占める当該連結子会社の売上高の割合(セグメント間の内部売上高又は振替高を含む。)が100分の90を超えるため、主要な損益情報等の記載を省略している。
4 C&Cインベストメント株式会社の議決権所有割合は50%であるが、緊密者である株式会社中電工の議決権所有割合が50%であるため子会社としている。
5 中国電力ネットワーク株式会社が議決権の100%を所有している。
6 有価証券報告書を提出している。
7 Chugoku Electric Power International Netherlands B.V.(以下、「CEPIN」という。)が議決権の50%を所有している。
8 C&Cインベストメント株式会社が議決権の33.3%を所有している。
9 Chugoku Electric Power Singapore Pte. Ltd.(以下、「CEPS」という。)が議決権の100%を所有しているSevens Pacific Pte. Ltd.が議決権の46.3%を所有している。
10 CEPINが議決権の50%を所有している3B Power Sdn.Bhd.が議決権の30%を所有している。
11 CEPINが議決権の20%を所有しているOneEnergy Asia Limitedが議決権の100%を所有している。
12 CEPSが議決権の30%を所有しているTTCL Gas Power Pte. Ltd.が議決権の95%を所有している。
13 C&Cインベストメント株式会社が議決権の33.3%を所有しているOrchid Wind Power GmbHが議決権の75%を所有している。
2023年3月31日現在
(注) 従業員数は就業人員数であり、出向者及び休職者を除いている。
2023年3月31日現在
(注) 1 従業員数は就業人員数であり、出向者及び休職者を除いている。
2 平均年間給与は、賞与及び基準外賃金を含んでいる。
(3) 労働組合の状況
労使関係について特に記載すべき事項はない。
(4) 管理職に占める女性労働者の割合、男性労働者の育児休業取得率及び労働者の男女の賃金の差異
① 管理職に占める女性労働者の割合
(注)1 「女性の職業生活における活躍の推進に関する法律」(平成27年法律第64号)の規定に基づき算定している。
2 2023年3月31日現在の状況を記載している。
3 2023年4月1日現在の状況を記載している。
② 男性労働者の育児休業取得率 2022年度実績
(注)1 「育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律」(平成3年法律第76号)の規定に基づき、同法律施行規則(平成3年労働省令第25号)第71条の4第1号により算定している。育児目的休暇は含んでいない。
2 「女性の職業生活における活躍の推進に関する法律」(平成27年法律第64号)の規定に基づき算定している。育児目的休暇は含んでいない。
3 「―」は取得の対象となる男性労働者がいないことを示す。
③ 労働者の男女の賃金の差異 2022年度実績
(注)1 「女性の職業生活における活躍の推進に関する法律」(平成27年法律第64号)の規定に基づき、男性の平均年間賃金に対する女性の平均年間賃金の割合を算定している。
2 算定にあたっては、パート労働者について、正規雇用労働者の所定労働時間で換算した人員数を基に
平均年間賃金を算出している。
3 「―」は女性の非正規雇用労働者がいないことを示す。
当社グループの経営方針、経営環境及び対処すべき課題等は、次のとおりである。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものである。
(1) 一連の不適切事案を踏まえた再発防止に向けた取り組み
当社グループは、公正取引委員会からの独占禁止法に基づく排除措置命令・課徴金納付命令の受領をはじめとする一連の不適切事案の発生を厳粛に受け止め、本年3月、一連の不適切事案に係る根本原因を分析し、再発防止策の策定、実施状況の確認などを統括する組織として「不適切事案再発防止対応本部」(本部長:代表取締役副社長執行役員)を設置した。
同対応本部を中心に、法令遵守の徹底、ガバナンス・内部統制システムの改善等、全社横断的な再発防止策を策定し、全社を挙げて着実に実行することで、同様の事象を二度と発生させることのないよう、取り組んでいく。
○一連の不適切事案に係る対応体制(イメージ図)

○各事案の概要及び主な再発防止策(2023年5月23日現在)

上記のほか、電気料金メニューに係る当社ウェブサイト等の一部記載について、景品表示法に違反している疑いがあるとして、本年1月に消費者庁の委託を受けた公正取引委員会の調査が開始され、当社はこの調査に全面的に協力している。
(2) グループ経営ビジョン「エネルギアチェンジ2030」の実現に向けた取り組み
コロナ禍からの社会経済活動の正常化が進む中、世界的な脱炭素化に向けた潮流加速への対応や、揺れ動く国際情勢のもとでエネルギーの安定供給確保が課題となるなど、電気事業をはじめとする当社グループを取り巻く環境は大きく変化している。
燃料価格や卸電力取引市場価格の高騰等により当年度の連結経常利益は過去最大の赤字となり、また連結自己資本比率も低下するなど、非常に厳しい経営状況にあるが、足元では業績及び財務基盤の回復に最大限注力しつつ、その先にある2030年度をターゲットとするグループ経営ビジョン「エネルギアチェンジ2030」(以下、「経営ビジョン」という。)の実現に向けて、以下の諸課題に取り組んでいく。
① エネルギー事業を中心とした既存事業の強化・進化
当社グループの使命である電力の安定供給を今後も果たしていくため、電気料金の見直しを実施させていただくこととした。当社は、見直し後の料金に織り込んだ経営効率化を着実に実施していくとともに、利益の安定化を目指し、大型電源の安定稼働や、燃料価格や卸電力取引市場価格の変動リスクの低減に向けた対応等を進めていく。
また、2050年カーボンニュートラルの実現に向けた取り組みを推進するため、新たに「中国電力グループカーボンニュートラル戦略基本方針」を策定し、2030年度までに小売事業及び発電事業におけるCO2排出量半減(2013年度比)をはじめとする目標の達成に向けて取り組みを進めている。こうした方針・目標のもと、当社グループは、S+3E(安全性、安定供給、経済性、環境への適合)を同時達成する電源構成の実現を目指しながら、脱炭素化と競争力強化に向けて積極的に取り組んでいく。
(イ)原子力発電所の再稼働・運転開始及び開発に向けた取り組み
原子力発電は、安定供給、経済性、環境への適合の観点から重要な役割を担うベースロード電源であり、また、確立した脱炭素技術としても、一定比率を維持していく必要があると考えている。
島根原子力発電所においては、地震・津波対策などの設備面の安全対策の着実な実施のほか、原子力災害発生時に備えた訓練等の継続的な実施や関係自治体との連携強化など、原子力防災対策にも積極的に取り組み、更なる安全性を不断に追求していく。
島根2号機については、原子力規制委員会より原子炉設置変更許可を受領しており、また新規制基準に係る安全対策に関して、昨年2月に松江市から、同年6月には島根県からそれぞれ安全協定に基づく事前了解の回答をいただくなど、すべての関係自治体から回答をいただいた。
引き続き、新規制基準への適合性審査に適切に対応していくとともに、地域のみなさまからご理解を得られるよう丁寧な説明を行いながら、島根2号機・3号機の早期の再稼働・運転開始に向け、最大限取り組んでいく。
加えて、将来にわたっての重要な電源として新規原子力発電所の開発も必要であると考えており、上関原子力発電所の開発に引き続き取り組んでいく。
(ロ)火力発電の脱炭素化に向けた取り組み
当社は、昨年11月、経済的に利用可能な最良の技術(BAT)である超々臨界圧(USC)を採用し、バイオマス燃料との混焼により環境性にも配慮した電源である三隅発電所2号機の営業運転を開始した。また、同機の運転開始を踏まえ、非効率な経年火力発電所4基の廃止を決定した。
加えて、当社は、「火力発電のトランジション計画」のもと、水素・アンモニア発電について、経済的・技術的な課題等の解決後に遅滞なく導入できるよう、2030年までに実装準備を進めていくとともに、「大崎クールジェンプロジェクト」による石炭火力発電の高効率化、CO2分離・回収技術の開発及びカーボンリサイクルなどの脱炭素化に向けた研究・開発にも取り組んでいく。
(注)廃止を決定した経年火力発電所4基のうち、下松3号機は本年1月に、水島2号機は本年4月に廃止済み。残る下関1号機・2号機の2基は2024年1月に廃止予定。
(ハ)お客さまニーズに合わせたエネルギーサービスの展開
当社グループでは、再生可能エネルギーを活用した電気料金メニューや、太陽光発電PPA(電力購入契約)サービス等の提供のほか、本年3月には、省エネ・CO2削減コンサルティングのサービス提供を開始するなど、カーボンニュートラル実現に向けたお客さまの取り組みをサポートするための脱炭素ソリューションの提供や新たなサービスの開発を進めている。
当社グループは、引き続き、更なるサービスの開発・向上に取り組むことで収益拡大を図るとともに、脱炭素社会の実現に貢献していく。
(注)省エネ・CO2削減コンサルティング=エネルギー使用の現状把握・分析から脱炭素化施策の実行に至る計画(ロードマップ)策定までをパッケージ化して提供するサービス。
(ニ)電力の安定供給の確保
当社グループは、設備保全の高度化・合理化やレジリエンス(災害に対する強靭性及び回復能力)強化の観点から、最新のDX技術を積極的に活用しながら、設備の計画的かつ確実な点検・補修、更新工事などを行うとともに、業務品質の維持・向上に向け、実践的な訓練や点検作業を通じ、保有する技術・技能の向上と着実な継承に努めていく。
また、災害時に迅速かつ円滑に災害対応を実施するため、引き続き、社外関係機関や自治体等との連携強化に努めていく。
② 更なる成長に向けた新たな事業への挑戦
当社グループは、多様化する社会の変化から可能性を見つけ出し、新たな事業領域の開拓に挑戦していく。
(イ)海外事業の領域拡大に向けた取り組み
当社グループは、海外事業を利益の一角を担える事業にしていくため、これまで培ってきた電気事業の知見を活用し、海外事業への出資参画を進め、収益力の強化に取り組んでいる。
引き続き、再生可能エネルギーを中心に発電事業の発掘・獲得を進めるとともに、ネットワーク・小売事業や電力周辺事業に加え、新たなエネルギービジネスに積極的に対応し、事業領域を拡大していく。
(ロ)再生可能エネルギーの導入拡大に向けた取り組み
再生可能エネルギーを地球環境問題への対応だけでなく成長領域の一つと位置づけ、経営ビジョンで掲げる目標達成に向け、水力や風力等の導入に積極的に取り組んでいる。2023年度内には新規導入量の目標である約30万kWを達成できるペースで増加しており、引き続き最大限の導入及び活用の拡大に取り組む。再生可能エネルギーの導入が進むにつれ、調整力の重要性も増すことから、今後は「再生可能エネルギーの導入拡大」と「調整力確保」を両輪として取り組んでいく。
(ハ)エネルギア創造ラボの取り組み
エネルギア創造ラボでは、「地域の未来の創造」と「電気の未来の創造」をコンセプトに掲げ、カーボンニュートラル、DX、SDGsをテーマにベンチャー企業等の先進的な製品・サービスを地域に展開することで、新たな収益源とするとともに地域の課題解決に貢献していく。
本年3月末時点で16件(ファンドを含む。)の投資を行っており、今後も多様なサービス展開を推進するため、早期成長が見込めるベンチャー企業への投資を行い、新たな利益の創出を目指していく。
また、再生可能エネルギーや蓄電池、EV等を活用した新たなエネルギーサービスの開発に向けて、先進技術を有するベンチャー企業等との連携や実証実験等に取り組み、サービスメニューを順次拡大していく。
③ 多様な人材が活躍できる更なる環境づくり
経営ビジョンにおけるミッション「すべての人が持ち場で輝く」の実現に向けて、新たに「多様な人材の活躍推進方針」を策定した。
この方針において、「企業理念」及び「エネルギアグループ企業行動憲章」(以下、「企業行動憲章」という。)に基づき、社員一人ひとりの「自律性」とその力を結集した組織としての「多様性」の更なる推進とともに、個人が組織の中で臆することなく自身の強みを発揮できるよう、個人と組織の「関係性」向上に取り組み、個人の成長と組織の成長のベクトルを合わせていくことを明確にしている。
グループが一体となって、この方針を踏まえた人材マネジメントを実行し、その進捗の定量的把握と継続的改善を通じて、個人と組織が持続的に成長する企業文化を醸成するよう取り組んでいく。
また、人権を取り巻く社会情勢が大きく変化している中、グローバルスタンダードな人権尊重の考え方に沿って、より幅広に人権尊重の取り組みを推し進めるべく、新たに「中国電力グループ人権方針」を策定した。この方針のもと、人権の尊重に留意し業務に取り組んでいく。
④ ESG経営の推進
昨今、サステナビリティに関する取り組みの重要性が高まる中、当社グループは、持続可能な社会の実現に向けた貢献を自らの使命とし、企業行動憲章にもその旨を明記のうえ、ESGを重視した経営を推進している。
世界的な課題でもある2050年カーボンニュートラル実現に向け、脱炭素電源への設備投資等を進めていくため、昨年9月には、段階的な脱炭素移行(トランジション)への活用を資金使途とするトランジション・リンク・ハイブリッド・ローンによる資金調達を実施するなど、ESGファイナンスの活用も進めている。
当社グループにおけるESGの取り組みをステークホルダーのみなさまに分かりやすくお伝えするため、引き続き、気候関連財務情報開示タスクフォース(TCFD)等の主要なフレームワークに対応するとともに、価値創造の担い手である人材に関する取り組みなど、ESG情報の開示の充実に取り組んでいく。
〇 中国電力グループ経営ビジョン「エネルギアチェンジ2030」

〇中国電力グループ カーボンニュートラル戦略基本方針

○火力発電のトランジション計画
カーボンニュートラル実現に向けて、S+3Eを前提に、設備更新時期や技術開発動向等を踏まえ、バイオマス発電や水素・アンモニア発電、IGFC+CCUS/カーボンリサイクル等、新技術の導入・開発等に取り組む。
水素・アンモニア発電については、第6次エネルギー基本計画を踏まえ、2030年代のLNG火力への水素10%混焼・石炭火力へのアンモニア20%混焼の実現に向けて検討を加速させるとともに、経済的・技術的な課題等の解決後に遅滞なく導入できるよう、2030年までに実装準備を進めていく。

○中国電力グループが目指す2050年カーボンニュートラルの姿

当社のリスク管理体制
当社では、リスク管理に対する基本的な考え方を示した「リスク管理基本方針」及び「リスク管理規程」に基づき、全社リスク管理体制を整備し、必要な対策を実施している。グループ会社においても同様の取り組みを展開し、グループ一体となってリスク管理を推進している。また、当社では、コンプライアンス推進部門内に、リスク管理の専任組織を設置し、グループ全体のリスク管理の推進・支援にあたっている。
また、当社では、危機管理の体制及びその運営に関する基本事項を定めた「危機管理規程」に基づき、「リスク戦略会議」や、危機に際して具体的な施策等を検討・実施する「緊急対策本部」の設置について定めている。
リスク管理体制図

事業等のリスク
以下では、当社グループの事業その他に関するリスクについて、当社グループの業績等に重要な影響を及ぼす可能性があると考えられる主な事項及び顕在化した不適切事案の対応状況を記載している。当社グループは、経営ビジョンの実現に向けて、これらのリスク発生の可能性を認識したうえで、発生の回避や発生した場合のリスク低減の対応に努めていく。
なお、文中における将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものである。
(1) 原子力発電に関するリスク
① 原子力発電
当社は、福島第一原子力発電所において発生した事故を踏まえ、地震・津波対策、外部電源の信頼性確保、フィルタ付ベント設備の設置といったシビアアクシデント対策等、2013年7月に施行された新規制基準への適合はもちろんのこと、更なる安全性を不断に追求している。しかしながら、原子力に関する政策変更や法規制・基準の見直し、新規制基準適合性審査の状況、従来から係争中の島根2・3号機の運転差止訴訟及び2023年3月10日に提起された島根2号機運転差止仮処分に対する司法判断等によっては、発電所の運転停止が長期化し、代替火力燃料・電力に係る市場調達費用の増加、温室効果ガス排出に係る対応費用の発生により、当社グループの業績は影響を受ける可能性がある。
当社としては、新規制基準適合性審査の先行実績や規制動向を注視し、当社の原子力発電所の安全対策に、計画的かつ適切に取り組んでいく。
② 原子燃料サイクル・原子力バックエンド事業
原子力のバックエンド事業は、超長期の事業であり不確実性を有していることを踏まえ、使用済燃料再処理に要する費用と特定放射性廃棄物最終処分に要する費用については、それぞれの実施主体である使用済燃料再処理機構と原子力発電環境整備機構に拠出する制度が国により措置され、また、原子力発電施設の廃炉については、現行の解体引当金を積み立てる制度から、使用済燃料再処理機構から改組される使用済燃料再処理・廃炉推進機構に拠出金を拠出する制度へ見直すことが定められ、事業者のリスクが軽減されている。しかしながら、今後の制度の見直し、将来費用の見積り額の変更及び再処理工場の稼働状況等により、当社グループの業績は影響を受ける可能性がある。
当社としては、再処理事業者等の関係先と連携し、事業の着実な実施に取り組んでいく。
(2) 政策・制度の見直しに関するリスク
① 電気事業に係る政策・制度
国は、小売電気事業者間の足元の競争状態を踏まえ、さらなる競争促進に向けて、競争と安定を両立する市場・取引環境の整備や需要家が魅力的・安定的な電気料金サービスを選べる事業競争環境の整備を検討しているところであり、この動向によっては、当社の相対的な競争力の低下や経営環境の変化により、当社グループの業績は影響を受ける可能性がある。
また、電源が有する価値については、容量市場や卸電力取引市場等の各種市場で取引を行うこととなるが、制度変更及び各種市場からの収益変動等が発生した場合には、当社グループの業績は影響を受ける可能性がある。
当社としては、こうした制度変更等のリスクも認識しつつ、総合エネルギー事業全体としての利益最大化に取り組んでいく。
② 気候変動に係る政策・制度
国は、2050年カーボンニュートラルと整合的で野心的な新たな目標として、2021年4月に2030年度の温室効果ガス排出量46%削減(2013年度比)を掲げた。2021年10月に閣議決定された第6次エネルギー基本計画では、S+3Eの大原則をこれまで以上に追求していくために、あらゆる政策を総動員していくとされている。2023年5月には「GX推進法」が可決され、カーボンプライシングの具体策として、2028年度から化石燃料輸入事業者等に対し「炭素に対する賦課金」が、2033年度から発電事業者に対し「有償オークション」が導入されることとなっている。こうした今後の環境政策やカーボンプライシングの制度設計の動向によっては、当社グループの業績は影響を受ける可能性がある。
当社グループは、2023年3月、2050年カーボンニュートラルの実現に向け、「中国電力グループカーボンニュートラル戦略基本方針」を策定した。目標として、小売事業・発電事業ともに、2030年度CO2排出量半減(2013年度比)等を設定し、重点施策として掲げた、再生可能エネルギーの導入拡大、安全確保を大前提とした原子力発電の活用、火力発電のトランジション(バイオマス発電、水素・アンモニア発電等)、ネットワーク設備の高度化及び「お客さま・地域の脱炭素化」に資するサービスの開発と事業展開に着実に取り組んでいく。
また、当社は、経済産業省が主導で設立した自主的な取り組みである「GXリーグ」に参画し、温室効果ガスの
排出削減を着実に進めるとともに、お客さまや取引先と協働し、持続的な社会の実現に向けて挑戦していく。
(3) 市場価格変動等に関するリスク
① 燃料価格、外国為替相場及び卸電力市場
燃料価格や外国為替相場の変動は、「燃料費調整制度」により電気料金に反映され、業績への影響は緩和されるが、一部のお客さまには燃料費調整の上限価格が設定されているため、上限価格を超える部分は電気料金に反映できない。また、卸電力市場価格の変動は、当社の卸電力取引所における電源調達費用や「再生可能エネルギーの固定価格買取制度」における回避可能費用に影響を与える可能性がある。これらにより、当社グループの業績は影響を受ける可能性がある。
当社は、今後の大型電源の稼働による電源構成に占める火力発電及び卸電力調達の割合の低減並びにデリバティブ取引等の金融手法の活用に加え、2023年度からは卸電力取引所における取引価格の変動を電気料金に反映する市場価格調整を高圧以上のお客さまに導入することにより、燃料価格、外国為替相場及び卸市場価格の変動リスクの低減に努めている。
② 金融市場
2023年3月末時点で、当社グループの有利子負債残高は3兆220億円であり、市場金利の変動及び格付の変更に伴う調達金利の変動により支払利息が増減し、当社グループの業績は影響を受ける可能性がある。ただし、有利子負債残高の多くは固定金利で調達した長期資金(社債や長期借入金)であるため、業績への影響は限定的と考えられる。
③ 退職給付費用・債務
2023年3月末時点で当社グループの退職給付債務は2,199億円及び年金資産は2,256億円である。退職給付費用は、割引率等数理計算上で設定される前提条件や年金資産の長期期待運用収益率に基づいて算出されており、金利・株価等の変動に伴う割引率や運用利回りの変動により、退職給付費用が増減し、当社グループの業績は影響を受ける可能性がある。ただし、当社グループは年金資産をリスクを抑えた資産構成で運用しているため、業績への影響は限定的と考えられる。
④ 原材料・資機材価格等
新たな感染症の流行、天災地変及び海外紛争等による原材料・資機材の需給ひっ迫に伴う価格高騰や長納期化により、当社グループの業績は影響を受ける可能性がある。
当社としては、調達環境に応じた発注方式の採用、取引先への早期の発注情報の提供や早期発注、修理への振替 等により、リスクの低減に努めている。
(4) 災害・トラブルの発生に関するリスク
① 自然災害及び設備事故等
電気事業を中核事業とする当社グループは、電力供給設備及び業務システム等の多くの設備を保有しており、大規模な地震及び台風等の激甚災害、テロ等の不法行為その他の理由によるトラブルの発生により、これら設備が被害を受ける可能性がある。その結果として、設備の復旧や代替火力燃料・電力の市場調達等に係る費用の増加、停電の長期化等による社会的信用の低下等により、当社グループの業績は影響を受ける可能性がある。
当社グループとしては、国の法令等に準拠した電力設備設計や計画的な修繕、従業員に係る災害予防、災害応急 対策及び災害復旧を図るための防災等に係る各種業務計画の策定並びに事業継続のための体制整備について、国の審議会の検討結果等も踏まえ適切に対応している。
② 新たな感染症の流行
新たな感染症が流行した場合には、発電所の運転人員等の確保が困難となるなど、電力の安定供給や円滑な業務運営に支障が生じ、当社グループの業績は影響を受ける可能性がある。
当社としては、感染症の流行時においても、安全確保を最優先に、電力の安定供給をはじめとした企業活動のために必要不可欠な業務を継続するため、新型インフルエンザ等対策業務計画を策定しており、あらかじめ事業継続体制を定めたうえで、必要な人員を確保することとしている。
(5) 競争環境の変化に関するリスク
① 小売電気事業
市況の変動等に伴い、小売電気事業における他事業者との競争環境が変化することにより、当社グループの業績は影響を受ける可能性がある。
当社グループとしては、家庭用から事業用までエネルギーに関する多様なニーズに対し、付加価値の高いサービスを提供し、事業基盤である中国地域のお客さまに引き続き選択していただけるよう取り組んでいくとともに、新たなサービスの拡充等により、収益の拡大に向け取り組んでいく。
また、新たな市場での市場取引をはじめ、収益性が見込める販売チャネルを活用し、電力販売利益の最大化を図る。
② 海外事業
当社グループは、経営ビジョンで掲げる利益・財務目標の達成に向け、海外事業を当社グループの利益の一翼を担う事業にしていくため、海外発電事業案件の発掘・投資を進めるとともに、送配電・小売事業や電力周辺事業に加え、新たなエネルギービジネスにも積極的に取り組み、事業領域の拡大を図っている。
カントリーリスクの顕在化や脱炭素化の急速な進展に伴う環境・エネルギー関連の政策変更等の外部環境変化が生じた場合、投資額に見合うリターンを得られず、当社グループの業績は影響を受ける可能性がある。
新規案件の投資決定にあたっては、事業主管箇所において予め定めた基準に基づき評価を行うとともに、投資評価箇所による評価及び経営層への報告の仕組みを通じて、リスク管理を徹底している。また、出資済案件については、出資先の取締役会・株主総会を通じて経営管理を行うことにより、リスク低減に取り組んでいる。
(6) オペレーショナルリスク
① コンプライアンス違反事案の発生
当社グループは、あらゆる業務運営においてコンプライアンス最優先に進めることを経営の基本とし、コンプライアンス徹底の取り組みに努めるとともに、コンプライアンスに反する行為に対しては、速やかな是正措置をとることとしているが、仮に重大なコンプライアンス違反事案が発生した場合には、当社グループへの社会的信用の低下や、円滑な業務運営に支障が生じることなどにより、当社グループの業績は影響を受ける可能性がある。
なお、当社における個別のコンプライアンス違反事案及び対応状況並びに業績等への影響については、下記「②一連の不適切事案」に記載している。
当社としては、コンプライアンス経営推進宣言における3つの行動「良識に照らします、率直に話します、積極的に正します」を踏まえ、役員の率先垂範のもと、コンプライアンス最優先の業務運営の徹底に取り組んでいく。また、グループ会社においてもコンプライアンス最優先の業務運営が行われるよう、各社を支援・指導していく。
② 一連の不適切事案
当社は、他の旧一般電気事業者等と共同して顧客の獲得を制限していたとして、2022年12月1日、公正取引委員会から、独占禁止法に基づく排除措置命令書(案)及び課徴金納付命令書(案)に係る意見聴取通知書を受領した。これを受け、課徴金納付命令書(案)の内容を踏まえ、2022年度第3四半期連結会計期間において、707億円を独占禁止法関連損失引当金繰入額として特別損失に計上した。また、2023年3月30日、同委員会から排除措置命令及び707億円の課徴金納付命令を受領した。これらに対し、当社は、同年4月28日に各命令の取消訴訟提起の意思を表明したところであるが、すでに一部の行政機関からは入札資格の停止や補助金支給停止が課されているほか、今後はお客さま等から損害賠償請求を受けるなどにより、当社の業績は影響を受ける可能性がある。
また、本件について、当社は、2023年3月30日付で、電力・ガス取引監視等委員会(以下、「監視等委員会」という。)から報告徴収を、資源エネルギー庁から報告指示を受領し、それぞれ同年4月12日付及び同年4月7日付で事実関係及び是正措置等について報告したところであり、今後何らかの処分又は指導を受ける可能性がある。
当社は、電気料金メニューに係るホームページ等の一部記載について景品表示法に違反している疑いがあるとして、2023年1月12日、消費者庁の委託を受けた公正取引委員会から、調査開始の通知を受けた。当社としては、このたび指摘を受けた当社ホームページ等の記載については速やかに修正を行い、また、同委員会の調査に全面的に協力しているところであるが、今後の消費者庁の判断によっては、課徴金納付を命じられるなどにより、当社の業績は影響を受ける可能性がある。
なお、当社は、一般社団法人日本卸電力取引所のスポット市場を介して電力の売買を実施するにあたり、取引に係る発電所情報の公表等に関して、一部、不適切な対応があったとして、2023年3月31日付で監視等委員会から業務改善勧告を受領し、今後の改善計画について同年4月28日に報告した。
また、当社及び中国電力ネットワーク株式会社(以下、「中国電力ネットワーク」という。)が2022年12月27日付の監視等委員会からの依頼に基づき調査を行ったところ、当社と中国電力ネットワークが共有している一部のシステムにおいて、中国電力ネットワークが所有する他の小売電気事業者と契約中のお客さまの情報が当社から閲覧できる状態となっていることを確認した(なお、当該システムについては概ね改修を完了しており、未改修部分についても今後、改修予定である)。本件について、当社及び中国電力ネットワークは、2023年1月30日付で監視等委員会及び個人情報保護委員会から報告徴収を受け、監視等委員会から、同年4月17日付で、中国電力ネットワークは業務改善命令を、当社は業務改善勧告をそれぞれ受領し、今後の改善計画について同年5月12日に報告した。
加えて、当社は、経済産業省が管理・運営する「再生可能エネルギー業務管理システム」を利用するため、中国電力ネットワークに付与された専用のID及びパスワードを当社社員が使用していたことについて、2023年4月17日付で資源エネルギー庁から行政指導を受け、今後の改善計画について同年5月12日に報告した。
当社は、これらの改善計画に基づき、再発防止に全社を挙げて取り組んでいるところである。
③ 人材確保等
経営ビジョンを実現し、当社グループが持続的に成長していくためには、その担い手である社員一人ひとりの活躍が不可欠である。エネルギー事業を中心とした既存事業の強化・進化や更なる成長に向けた新たな事業への挑戦等に必要な人材の確保・育成ができなかった場合、もしくは多数の人材が流出した場合には、事業の成長や円滑な業務運営に支障が生じ、当社グループの業績は影響を受ける可能性がある。
当社グループとしては、中長期的な想定に基づく人員計画を策定し、計画人数の確保を図るとともに、経験者採用を積極的に実施することで多様な価値観・経験を有する人材の確保・活用を推進している。人材の多様性の確保を含む人材の育成及び社内環境整備に関するグループ全体の包括的な方針として策定した「多様な人材の活躍推進方針」のもと、グループ一体となって多様な人材が活躍できる更なる環境づくりに取り組んでいく。
④ 業務情報(個人情報含む)の漏えい
当社グループは、電気事業におけるお客さまの情報をはじめとして、多くの業務情報を保有している。これらの業務情報が外部に漏えいした場合、社会的信用の低下を招き、当社グループの業績は影響を受ける可能性がある。
当社としては、管理体制を構築するとともに、情報管理基本方針及び個人情報保護方針等の社内ルールの整備及び定期的な教育・訓練の実施により、業務情報の漏えいの未然防止に取り組んでいる。また、技術的セキュリティ対策の継続的な見直し等により、厳重に業務情報の管理を行っている。
⑤ サイバー攻撃、システム障害
サイバー攻撃やシステム障害により機密性の高い内部情報等の流出、業務の停滞及びサービス停止が発生した場合、社会的信用の低下や事後対応費用の発生等により、当社グループの業績は影響を受ける可能性がある。
当社グループとしては、社外のサイバーテロ演習等への参加、標的型攻撃メール訓練等の情報セキュリティ対策を実施するとともに、サイバー攻撃を早期に検出し対応するための対策を継続的に実施し、また、計画的な設備更新など、システム障害の未然防止に取り組みつつ、システム障害が発生した場合に速やかな初動・復旧体制の整備等を行うことにより、万一の事態に備えている。
⑥ DX(デジタルトランスフォーメーション)への対応遅延
デジタル技術の活用による生産性向上や新たな価値創造に国内外の企業が精力的に取り組んでいる中、当社グループにおいて業務のデジタル化やデータ利活用が進まない場合、市場の変化に即応した商品・サービスの開発・提供や既存事業の労働生産性向上・コスト削減等の対応が後手に回り、競争力の低下を招くことで、当社グループの業績は影響を受ける可能性がある。
当社グループとしては、横断的にDXを推進するための専任組織を設置し、業務のデジタル化やデータを活用し
た既存サービスの付加価値向上、柔軟に働ける環境の整備等の競争力強化に向けた基盤固めに取り組んでいる。
当連結会計年度における当社グループ(当社、連結子会社及び持分法適用会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)の状況の概要並びに経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりである。
なお、文中における将来に関する事項は、有価証券報告書提出日現在において当社グループが判断したものである。
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成している。この連結財務諸表を作成するにあたって、資産、負債、収益及び費用の報告額に影響を及ぼす見積り及び仮定を用いているが、これらの見積り及び仮定に基づく数値は実際の結果と異なる可能性がある。
連結財務諸表の作成にあたって用いた会計上の見積り及び仮定のうち、重要なものは「第5 経理の状況 1連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項(重要な会計上の見積り)」に記載している。
当連結会計年度におけるわが国の経済情勢をみると、ウクライナ情勢などを背景とした世界的な原材料価格の高騰や供給面の制約などの影響を受けたものの、コロナ禍からの社会経済活動の正常化が進む中で、個人消費や設備投資を中心に景気は緩やかに持ち直した。当中国地方においても、ほぼ全国と同様の状況で推移した。
このような中で、当連結会計年度の経営成績は、売上高(営業収益)は、燃料価格上昇に伴う燃料費調整額の増加や電力市場価格等の上昇に伴う他社販売電力料の増加などから、1兆6,946億円と前連結会計年度に比べ5,579億円の増収となった。
営業損益は、燃料価格上昇に伴う燃料費調整制度の期ずれ影響などにより、688億円の損失となり、前連結会計年度に比べ81億円の減益となった。
支払利息などの営業外損益を加えた経常損益は1,067億円の損失となり、前連結会計年度に比べ449億円の減益となった。
渇水準備金を取崩し、特別利益及び特別損失を計上して、法人税などを控除した結果、親会社株主に帰属する当期純損益は1,553億円の純損失となり、前連結会計年度に比べ1,156億円の減益となった。
② 生産、受注及び販売の実績
当社及び連結子会社の業種は広範囲かつ多種多様であり、また、当社の電気事業が事業の大半を占めることから、当社の電気事業の販売実績、発受電実績及び資材の状況を記載している。
a.販売実績
(注)1 他社販売電力量及び他社販売電力料には、インバランス・調整電源等に係る他社販売電力量及び他社販売電力料を含んでいない。
2 小売販売電力量には、自社用を含んでいない。
3 電灯料及び電力料には、「物価高克服・経済再生実現のための総合経済対策」に基づき実施されている「電気・ガス価格激変緩和対策事業」により受領した補助金28,490百万円(電灯・電力計)を含んでいない。
4 四捨五入の関係で合計と一致しない場合がある。
(注)1 他社受電電力量は、インバランス・調整電源等に係る電力量を含んでおり、当連結会計期間末日現在で把握している電力量を記載している。
2 揚水発電所の揚水用電力量とは、貯水池運営のための揚水用に使用する電力である。
3 当連結会計年度の出水率は、1991年度から2020年度までの30か年の年平均に対する比である。
4 発受電電力量合計と総販売電力量の差は損失電力量等である。
5 四捨五入の関係で合計と一致しない場合がある。
c. 資材の状況
(注)助燃用重油を含む
売上高(営業収益)は、燃料価格上昇に伴う燃料費調整額の増加や電力市場価格等の上昇に伴う他社販売電力料の増加などから、1兆5,726億円と前連結会計年度に比べ5,323億円の増収となった。
営業損益は、燃料費調整制度の期ずれ影響などにより、833億円の損失となった。
売上高(営業収益)は、再生可能エネルギーの買取義務量の増に伴う他社販売電力料の増加や最終保障供給料金の増加などから、5,602億円と前連結会計年度に比べ1,241億円の増収となった。
営業利益は、基準接続託送収益の減少や需給調整に係る費用の増加などから、56億円となり、前連結会計年度に比べ160億円の減益となった。
売上高(営業収益)は、電気通信関係事業収入が増加したことなどから、457億円と前連結会計年度に比べ 4億円の増収となった。
営業利益は49億円となり、前連結会計年度に比べ11億円の増益となった。
(3) 財政状態
資産は、三隅発電所2号機の営業運転開始による電気事業固定資産の増加や現金及び預金の増加などにより、前連結会計年度末に比べ4,731億円増加し、4兆400億円となった。
負債は、有利子負債の増加などにより、前連結会計年度末に比べ6,260億円増加し、3兆5,845億円となった。
純資産は、親会社株主に帰属する当期純損失の計上及び配当金の支払いなどにより、前連結会計年度末に比べ1,529億円減少し、4,554億円となった。
この結果、自己資本比率は、11.1%となった。
税金等調整前当期純損失の計上などにより、626億円の支出となった。
前連結会計年度に比べ186億円増加の2,250億円の支出となった。
この結果、差引フリー・キャッシュ・フローは、2,877億円のマイナスとなった。
社債・借入金による資金の調達を行ったことなどにより、4,649億円の収入となった。
以上の結果、当連結会計年度末の現金及び現金同等物の残高は、前連結会計年度末に比べ1,790億円増加し、2,456億円となった。
当面、島根原子力発電所の安全対策工事の設備投資といった大型電源工事によりフリー・キャッシュ・フローはマイナスが続くが、大型電源の稼働後には、反転していくものと試算しており、2030年度までの10年間で、キャッシュ・フローの均衡を図る。
(キャッシュ配分の考え方)
大型電源工事期間中は、キャッシュアウトの抑制に努める。
その時々の事業環境等を踏まえ、適宜、見直しながら、既存領域や成長領域への投資、株主還元等のバランスを取ってキャッシュ配分を行う。
エネルギー事業を中心とした既存事業の強化・進化や更なる成長に向けた新たな事業への挑戦などに必要な資金を、主に社債及び長期借入金により調達している。
また、グループ全体の資金を効率的に活用するため、キャッシュ・マネジメント・サービス(CMS)を通じてグループ内資金融通を行っており、グループ全体で必要な資金を当社が一括して調達している。
さらに、中長期的に安定的かつ低利な資金調達を実現するため、取引先金融機関の拡大やトランジション・リンク・ハイブリッド・ローンの調達、個人向け社債、外貨建社債、転換社債、ハイブリッド社債、トランジションボンド及びトランジション・リンク・ボンドの発行などによる調達手段・調達先の多様化に取り組んでいる。
なお、当社は、一般担保付社債の経過措置に係る認定に基づき、最長2024年度まで一般担保付社債を発行していく。
月次資金繰りに基づき十分な現金及び預金を保有するとともに、金融機関とのコミットメントライン契約や当座貸越契約などにより、不測の資金需要に備える体制をとっている。
当社グループの当連結会計年度の売上高(営業収益)は、燃料価格上昇に伴う燃料費調整額の増加などから、1兆6,946億円と前連結会計年度に比べ5,579億円の増収となった。
連結経常損益は1,067億円の損失と前連結会計年度に比べ449億円の減益となり、連結決算開始以降最も厳しい結果となった。これは、ウクライナ情勢などの影響による記録的な燃料価格の高騰を受け、燃料費調整制度の期ずれ差損が増加したことや燃料費調整単価が上限を超過し続けたことが主な要因と認識している。
今後に向けては、島根原子力発電所2号機の早期再稼働、ヘッジ取引を活用した燃料価格や電力市場価格変動リスクの低減及びグループを挙げた経営効率化に取り組み、収支・財務状況の立て直しを図る。
当社グループは、「1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等」に記載のとおり、2020年1月に公表した経営ビジョンにおいて、2030年度に実現を目指す利益・財務の目標として「連結経常利益600億円以上」及び「連結自己資本比率25%」を設定している。
当連結会計年度においては、連結経常損失1,067億円、連結自己資本比率11.1%となっている。
利益・財務の目標の実現に向けては、電気料金の見直しなどの取り組みを進めるとともに、安全確保を大前提に、島根原子力発電所及び三隅発電所2号機の稼働・運転開始などにより経済性・環境性・リスク耐性を高めていく。競争力のある電源を活用し利益の拡大を図りつつ、市場価格の変動等の外生的要因による収支変動などのリスクへの対応を進めていくことにより、業績の回復及び利益の安定化を図る。加えて、海外事業をはじめ、更なる成長に向けた新たな事業へも挑戦していく。
該当事項なし
2023年3月31日現在
(注) 1 土地欄の( )内は、面積(㎡)である。
2 土地には、このほか借地面積9,027,676㎡がある。
3 従業員数は、建設工事従事者87人、附帯事業従事者8人を除いたものである。
4 汽力発電設備の設備概要及び従業員数については、休止運用中の大崎発電所を含めて記載している。
水力発電所
2023年3月31日現在
(注) 最大認可出力20,000kW以上を記載している。
汽力発電所
2023年3月31日現在
(注) 大崎発電所については、休止運用中。
原子力発電所
2023年3月31日現在
新エネルギー等発電所
2023年3月31日現在
2023年3月31日現在
2023年3月31日現在
(注)1 土地欄の( )内は、面積(㎡)である。
2 中国電力ネットワーク株式会社が保有する内燃力発電設備は、離島供給に係る設備である。
3 中国電力ネットワーク株式会社が業務設備として保有する土地の用途は、主に電柱・資材置場及び技能訓練場である。
4 中国電力ネットワーク株式会社の土地には、このほか借地面積19,035,837㎡がある。
2023年3月31日現在
(注) 電圧500kV以上を記載している。
2023年3月31日現在
(注) 電圧500kV以上で、出力1,000,000kVA以上を記載している。
2023年3月31日現在
(注) 土地欄の( )内は、面積(㎡)である。
該当事項なし
該当事項なし
(注) 転換社債型新株予約権付社債の転換による増加である。
2023年3月31日現在
(注) 1 2023年3月31日現在の自己株式は26,637,409株であり、「個人その他」欄に266,374単元及び「単元未満株式の状況」欄に9株をそれぞれ含めて記載している。なお、自己株式26,637,409株は、株主名簿記載上の株式数であり、2023年3月31日現在の実保有残高は26,637,209株である。
2 「その他の法人」及び「単元未満株式の状況」の欄には、株式会社証券保管振替機構名義の株式が、それぞれ56単元及び26株含まれている。
2023年3月31日現在
(注)1 上記のほか、当社が保有する自己株式が、26,637千株ある。
2 「所有株式数(千株)」は、千株未満四捨五入で記載している。
1 報告セグメントの概要
当社グループの報告セグメントは、当社グループの構成単位のうち分離された財務情報が入手可能であり、取締役 会が、経営資源の配分の決定及び業績を評価するために、定期的に検討を行う対象となっているものである。
当社グループは、電気事業を中核とし、グループの強みを活かせる事業領域(戦略的事業領域)へ集中的に経営資 源を投入することで、トータルソリューション事業を展開しており、一体で事業展開している発電・電力販売事業と総合エネルギー供給事業を統合した「総合エネルギー事業」、一般送配電事業等を展開している「送配電事業」、及び「情報通信事業」の3つを報告セグメントとしている。