九州電力株式会社
(注) 1 「収益認識に関する会計基準」(企業会計基準第29号 2020年3月31日)、「収益認識に関する会計基準の適用指針」(企業会計基準適用指針第30号 2021年3月26日)及び改正「電気事業会計規則」(昭和40年通商産業省令第57号)を2022年3月期の期首から適用しており、2021年3月期に係る主要な経営指標等については、当該会計基準等を遡及適用した後の指標等を記載している。また、2019年3月期及び2020年3月期に係る主要な経営指標等のうち、売上高(営業収益)については、再生可能エネルギーの固定価格買取制度に係る収益に当該会計基準等を遡及適用した後の数値を記載している。
2 2020年3月期の潜在株式調整後1株当たり当期純利益については、潜在株式は存在するものの、1株当たり当期純損失であるため記載していない。2022年3月期の潜在株式調整後1株当たり当期純利益については、潜在株式がないため記載していない。2023年3月期の潜在株式調整後1株当たり当期純利益については、1株当たり当期純損失であり、また、潜在株式がないため記載していない。
3 2020年3月期及び2023年3月期の株価収益率については、1株当たり当期純損失であるため記載していない。
4 当社及び連結子会社は、有形固定資産の減価償却方法について、主として定率法を採用していたが、2021年3月期より主として定額法に変更している。
(注) 1 「収益認識に関する会計基準」(企業会計基準第29号 2020年3月31日)、「収益認識に関する会計基準の適用指針」(企業会計基準適用指針第30号 2021年3月26日)及び改正「電気事業会計規則」(昭和40年通商産業省令第57号)を2022年3月期の期首から適用しており、再生可能エネルギー固定価格買取制度に係る再エネ特措法賦課金及び再エネ特措法交付金の会計処理については、売上高には計上せず、対応する営業費用から控除する方法に変更している。これらに伴い、2019年3月期から2021年3月期に係る主要な経営指標等のうち、売上高(営業収益)については、これらを遡及適用した後の数値を記載している。
2 2020年3月期の潜在株式調整後1株当たり当期純利益については、潜在株式は存在するものの、1株当たり当期純損失であるため記載していない。2022年3月期の潜在株式調整後1株当たり当期純利益については、潜在株式がないため記載していない。2023年3月期の潜在株式調整後1株当たり当期純利益については、1株当たり当期純損失であり、また、潜在株式がないため記載していない。
3 2020年3月期及び2023年3月期の株価収益率及び配当性向については、1株当たり当期純損失であるため記載していない。
4 最高・最低株価は、2022年4月3日以前は東京証券取引所第一部におけるものであり、2022年4月4日以降は東京証券取引所プライム市場におけるものである。
5 当社は、有形固定資産の減価償却方法について、定率法を採用していたが、2021年3月期より定額法に変更している。
6 当社は、2020年4月1日に、当社が営む一般送配電事業等を当社の完全子会社である九州電力送配電株式会社に継承させる吸収分割を実施している。
当社グループ(当社及び当社の関係会社)は、当社、子会社70社及び関連会社46社(2023年3月31日現在)で構成され、国内電気事業(発電・販売事業及び送配電事業)を中心とする事業を行っている。
報告セグメントは、当連結会計年度より、「発電・販売事業」、「送配電事業」、「海外事業」、「その他エネルギーサービス事業」、「ICTサービス事業」及び「都市開発事業」の6つとしており、当社は主に「発電・販売事業」を営んでいる。
各報告セグメントの主な内容は、次のとおりである。
(1) 発電・販売事業
国内における発電・小売電気事業を主たる事業とする。
(2) 送配電事業
九州域内における一般送配電事業を主たる事業とする。
(3) 海外事業
海外における発電・送配電事業を主たる事業とする。
(4) その他エネルギーサービス事業
電気設備の建設・保守など電力の安定供給に資する事業、ガス・LNG販売事業、石炭販売事業、再生可能エネルギー事業を主たる事業とする。
(5) ICTサービス事業
データ通信事業、光ブロードバンド事業、電気通信工事・保守事業、情報システム開発事業、データセンター事業を主たる事業とする。
(6) 都市開発事業
都市開発・不動産・社会インフラ事業を主たる事業とする。
なお、当連結会計年度において、報告セグメントの区分を変更している。詳細は、「(セグメント情報等)」に記載のとおりである。
〔事業系統図〕
当社グループの事業及び主な関係会社を事業系統図に示すと、以下のとおりである。

(注) 1 株式会社キューデン・インターナショナル及び九州電力送配電株式会社は特定子会社である。
2 株式会社九電工は、有価証券報告書提出会社である。
3 みやざきバイオマスリサイクル株式会社の持分は100分の50以下であるが、実質的に支配しているため子会社としている。
4 議決権の所有割合欄の( )内は、間接所有割合で内数、[ ]内は、緊密な者等の所有割合で外数である。
5 九州電力送配電株式会社は、売上高(連結会社相互間の内部売上高を除く)の連結売上高に占める割合が10%を超えているが、セグメント情報の売上高に占める当該連結子会社の売上高の割合(セグメント間の内部売上高又は振替高を含む。)が100分の90を超えるため、主要な損益情報等の記載を省略している。
2023年3月31日現在
(注) 従業員数は、就業人員数(当社グループ(当社及び連結子会社)からグループ外への出向者を除き、グループ外
から当社グループへの出向者を含む。)を記載している。
2023年3月31日現在
(注) 1 従業員数は、就業人員数(当社から社外への出向者を除き、社外から当社への出向者を含む。)を記載し
ている。
2 平均年間給与は、賞与及び基準外賃金を含んでいる。
労働組合の状況について特記する事項はない。
(4) 管理職に占める女性労働者の割合
2023年3月31日現在
(注) 上記以外の連結子会社の情報は「第7 提出会社の参考情報 2 その他の参考情報 (2) 管理職に占める女性労働者の割合」に記載している。
<補足説明>
上記2社は、「女性の職業生活における活躍の推進に関する法律」(平成27年法律第64号、以下「女性活躍推進法」という。)に基づく第2期行動計画のもとで、女性活躍に向けた取組みを推進している。
(5) 男性労働者の育児休業取得率
2023年3月31日現在
(注) 1 対象期間:2022年4月1日~2023年3月31日
2 上記はいずれも、「育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律」(平成3年法律第76号、以下「育児・介護休業法」という。)に基づき、「育児休業等の取得割合」を算出したもの。
3 上記以外の連結子会社の情報は「第7 提出会社の参考情報 2 その他の参考情報 (3) 男性労働者の育児休業取得率」に記載している。
<補足説明>
上記2社は、男性労働者の育児休業取得率向上に向けて、育児・介護休業法の改正の趣旨も踏まえ、2023年度に男性育休取得率が100%となることを目標に、取得促進の取組みを推進している。
(6) 労働者の男女の賃金の差異
① 正規雇用労働者
2023年3月31日現在
(注) 1 対象期間:2022年4月1日~2023年3月31日
2 賃金には基準内賃金、時間外手当、賞与等を含み、退職金、通勤費等を除く。
3 上記は、各月初日の人員数の平均をもとに算定している。ただし、無給者及び育児休職・介護休職中の者は含まない。また、出向者は出向元の人員として算定している。
4 上記以外の連結子会社の情報は「第7 提出会社の参考情報 2 その他の参考情報 (4) 労働者の男女の賃金の差異」に記載している。
<差異についての補足説明>
年齢構成上、九州電力株式会社及び九州電力送配電株式会社ともに女性は20~30歳代が半数以上を占める等、若年層が多い一方、男性は業務経験が豊富な40~50歳代が7割程度を占めており、職能等級の状況に差があること等に起因している。女性の各年代別の人員数を男性と同数に補正した(補正した人員に各年代の女性平均賃金を乗じた)場合、九州電力株式会社は74.7%、九州電力送配電株式会社は79.8%となる。また、世帯主へ支給する世帯手当・住宅手当や、単身赴任者へ支給する単身赴任旅費について、男性の受給者が大半を占めることから、差異の一因となっている。年齢構成の補正に加え、女性がこれらの手当等について男性と同額を受給するよう補正した場合、九州電力株式会社は78.0%、九州電力送配電株式会社は84.0%となる。なお、年齢等の補正を行わず、同一職位で比較した場合、九州電力株式会社では本店部長:96%程度、本店グループ長:97%程度となる。
② 非正規雇用労働者
2023年3月31日現在
(注) 1 対象期間:2022年4月1日~2023年3月31日
2 賃金には、基準内賃金、時間外手当、賞与等を含み、退職金、通勤費等を除く。なお、定年後再雇用者については、定年前の勤務に基づき支給する賞与は含まない。
3 上記は、各月初日の人員数の平均をもとに算定している。ただし、派遣社員、無給者及び育児休職・介護休職中の者は含まない。
4 上記以外の連結子会社の情報は「第7 提出会社の参考情報 2 その他の参考情報 (4) 労働者の男女の賃金の差異」に記載している。
<差異についての補足説明>
非正規雇用労働者には、その業務内容や技能水準等による複数の雇用区分があり、雇用区分ごとに処遇水準及び男女の人員数が異なる。非正規男性労働者については、処遇水準が相対的に高い定年後再雇用者が大半を占めることから、非正規雇用労働者全体で男女の差異が発生している。各雇用区分・男女別の人員数を全て同数に補正した場合(該当区分に従業員がいない場合を除く)、九州電力株式会社は85.8%、九州電力送配電株式会社は86.8%となる。
③ 全労働者
2023年3月31日現在
(注) 1 対象期間:2022年4月1日~2023年3月31日
2 賃金には、基準内賃金、時間外手当、賞与等を含み、退職金、通勤費等を除く。なお、定年後再雇用者については、定年前の勤務に基づき支給する賞与は含まない。
3 上記以外の連結子会社の情報は「第7 提出会社の参考情報 2 その他の参考情報 (4) 労働者の男女の賃金の差異」に記載している。
<差異についての補足説明>
九州電力送配電株式会社は、技術職種の割合が高く、正規雇用労働者の女性比率が低いことから、女性労働者の中での正規労働者比率が低くなるため、全労働者における女性賃金の比率が低くなっている。(九州電力送配電株式会社の正規労働者、非正規労働者の女性賃金比率は九州電力株式会社と同程度)
正規雇用労働者、非正規雇用労働者それぞれに対して行った補正を加味して算定を行った場合、九州電力株式会社は72.9%、九州電力送配電株式会社は56.9%となる。
当社グループは、「ずっと先まで、明るくしたい。」をブランド・メッセージとする「九電グループの思い」のもと、「低廉で良質なエネルギーをお客さまにお届けすることを通じて、お客さまや地域社会の生活や経済活動を支える」ことを使命に、事業活動を進めている。
なお、当社は、2023年3月、公正取引委員会から独占禁止法に基づく排除措置命令及び課徴金納付命令を、九電みらいエナジー株式会社は排除措置命令を受けた。また、2023年4月、当社と九州電力送配電株式会社は、非常災害時等の対応業務以外で、九州電力送配電株式会社が所有するシステムを当社従業員が使用するなどにより、新電力顧客情報等を閲覧していたことが判明した件について、経済産業省より業務改善命令等を受領した。これらの事案の発生を受け、再発防止及びコンプライアンスを最優先にした事業活動をより一層徹底していく。
世界情勢の不安定化に伴う燃料価格の高騰、電力需給のひっ迫などが発生し、人々の生活や社会経済活動を支える電力を低廉かつ安定的に供給することの重要性がこれまで以上に高まっている。
また、世界的な脱炭素の潮流は、国内ではクリーンエネルギー中心の社会経済や産業構造への転換に向けた動きとして、2023年2月に閣議決定された「GX実現に向けた基本方針」にも色濃く反映されている。
当社グループは、日本政府の方針である「2050年カーボンニュートラル」や「2030年温室効果ガス排出削減目標」の達成に向け、エネルギー事業者としての積極的な貢献が期待されている。
さらに、デジタル技術の進展に伴うお客さまニーズの多様化や柔軟な働き方に対応すべく、デジタルトランスフォーメーション(DX)の推進によるビジネスモデルや業務プロセスの抜本的変革が必要不可欠となるなど、現在の経営環境は大きな転換期にある。また、企業の価値創出の原動力として、人的資本経営の重要性がより一層高まっている。
当社グループは、九州から未来を創る企業グループとして、経営環境が大きく変化するなかにおいても、事業を通じて「社会価値」と「経済価値」の双方を創出し、サステナブルな社会への貢献と九電グループの企業価値の向上を実現するサステナビリティ経営を推進している。
そのうえで、中長期の目指す姿として「九電グループ経営ビジョン2030」と「九電グループ カーボンニュートラルビジョン2050」を定め、グループ一体となって取組みを進めている。
さらに、これらのビジョン実現に向けた経営上の重要課題「マテリアリティ」を特定し、その解決に向けた取組みを中期経営計画として具体的に反映させることで、着実な実践を図り、お客さまから信頼され、選ばれ続ける企業グループを目指していく。(図1、2)
[図1 マテリアリティ(サステナビリティ実現に向けた経営上の重要課題)]

[図2 サステナビリティに係る理念等の体系]

戦略Ⅰ エネルギーサービス事業の進化
エネルギー情勢やお客さまニーズの多様化など、環境変化を先取りし、エネルギーサービスを進化させ、環境に優しく、低廉なエネルギーを安定的にお届けし続ける。
○ 発電・販売事業については、S(安全)+3E(エネルギーの安定供給、環境保全、経済性)の観点から、容量市場など新たな電力取引市場も最大限活用しつつ、最適なエネルギーミックスを追求していく。
再生可能エネルギーについては、グループ内の再エネ事業の統合を進め、国内外で開発を推進し、主力電源化を図っていく。
原子力発電については、CO2排出抑制面やエネルギーセキュリティ面等で総合的に優れた電源であり、安全の確保を大前提として最大限活用していく。原子力の自主的かつ継続的な安全性向上に取り組むとともに、川内原子力発電所の運転期間延長認可取得に向けた対応などを着実に進めていく。また、分かりやすい情報発信やフェイス・トゥ・フェイスのコミュニケーション活動を継続することで、地域の皆さまに「安心できる」と感じていただけるよう取り組んでいく。
火力発電については、最新鋭のLNG火力発電所の開発や、非効率石炭火力のフェードアウト対応に加え、水素・アンモニアの混焼に必要な技術の確立やサプライチェーンの構築など、環境面やコスト競争力、供給安定性のバランスを追求しつつ活用していく。
電力の安定供給については、電力需給変動リスクや燃料価格変動リスク等を踏まえた供給力の確保や燃料調達等を徹底するとともに、電力販売については、競争環境や、社会全体の環境意識の高まりを踏まえ、引き続きお客さまにお選びいただけるよう、エネルギーサービスの充実を図っていく。
○ 送配電事業については、九州電力送配電株式会社を中心に、公平性・透明性・中立性の確保に重きを置いた運営に努めていく。そのうえで、安定供給とコスト低減の両立を実現するとともに、再生可能エネルギーの最大限の受入れや効率的な設備運用等を目指し、送配電ネットワークの次世代化を推進していく。また、これまで培った技術力や資産などを活用し、事業領域の拡大に取り組んでいく。
○ 海外事業については、不安定な世界情勢や資源価格の大幅な変動などの多様化するリスクの見極めを行いつつ、当社がこれまで蓄積したノウハウやネットワークを活かして、進出エリアや事業領域の更なる拡大を図り、一層の収益拡大を目指していく。
戦略Ⅱ 持続可能なコミュニティの共創
地域・社会の課題解決に向けて、グループの強みやエネルギーサービス事業とのシナジー等を発揮できる都市開発やICTサービス等の事業に加え、新規事業・サービスの創出にも取り組んでいく。
○ 都市開発事業については、エネルギーやデジタルなど当社グループならではの付加価値の高い事業を展開し、収益を拡大するとともに、交流人口拡大や賑わいの創出など地域・社会の持続的発展に貢献していく。
○ ICTサービス事業については、DXが進展するなか、光ブロードバンド事業やモバイルサービス事業、データセンター事業等の既存事業に加え、ドローンサービスや地域情報プラットフォームサービスなど、地域・社会のニーズにお応えする新たなサービス創出にグループを挙げて取り組んでいく。
○ 自治体や地域団体との協働による産業振興や交流人口拡大に向けた事業など、地域課題解決に資する取組みを通して、九州地域全体の地方創生や当社グループの新たな事業創出につなげていく。
戦略Ⅲ 経営基盤の強化
持続的成長と中長期の企業価値向上に向けたグループ一体の挑戦により、経営を支える基盤を強化していく。
○ 事業活動に関する積極的かつタイムリーな情報発信や、広聴・提言機能の強化により、お客さまや地域の声を踏まえた経営を推進していく。
○ 安全と健康を最優先する企業活動を徹底することで、事業に関わる全ての人たちの安全を守り、その先にある安心・信頼につなげるとともに、全ての従業員が心身ともに健康で、活き活きと働ける会社をつくっていく。
○ 人的資本経営については、社員の自律性を刺激し活かす仕組みづくりや、知・経験の多様性を活かし共創する組織風土づくり、時間や場所に捉われず柔軟な働き方ができる仕組みづくり等、従業員エンゲージメントを高め、人財の価値を最大限引き出す取組みを推進していく。これらの取組みを通じて、人と組織が成長し続ける文化を醸成し、未来の価値を創出する企業グループを目指していく。
○ ICTを用いた業務効率化・高度化などDXの取組みを通じて、生産性の向上と新たな企業価値創造の強固な基盤を創っていく。
○ コーポレート・ガバナンスの充実や、コンプライアンス経営の推進、情報セキュリティの確保の徹底を図っていく。
特にコンプライアンス経営については、独占禁止法に基づく行政処分を受けた件について、厳粛に受け止めるとともに、各命令の内容を精査・確認のうえ、今後の対応を慎重に検討していく。あわせて、今回の命令内容を踏まえた対策も織り込みながら、独占禁止法遵守に向けた取組みの一層の強化を図っていく。
また、新電力顧客情報等の閲覧に関して、経済産業省より業務改善命令等を受領した件については、二度とこのような事態を引き起こすことがないよう、社長を筆頭とする経営層のリーダーシップのもと、社外の知見もいただきながら、全社員が一丸となって再発防止に取り組み、信頼回復に努めていく。
○ 財務基盤の安定化に向けて、当社は、株式会社みずほ銀行、株式会社日本政策投資銀行及び株式会社三菱UFJ銀行に対して、第三者割当の方法により、2,000億円の優先株式を発行することを2023年6月28日開催の定時株主総会に付議し、承認を得た。
さらに、株主価値向上に向け、財務体質を改善し、株主還元の更なる充実に取り組んでいく。
当社グループとしては、これらの取組みを通じて、ステークホルダーの皆さまへの価値提供を果たしていく。
(文中の将来に関する事項は、有価証券報告書提出日現在において、当社グループが判断したもの)
当社グループ(当社及び連結子会社)の経営成績、財務状況等に重要な影響を与える可能性があると経営者が認識している主要なリスクは、以下のとおりである。
なお、文中における将来に関する事項は、有価証券報告書提出日現在において判断したものである。
(1) 競争環境等の変化
① 国内電気事業
当社グループは、発電・販売事業及び送配電事業を行っており、2022年度連結売上の大部分を占めている。
発電・販売事業については、気温・気候の変化、経済・景気動向、カーボンニュートラルへ向けた電化や省エネの進展、競合他社との競争状況の変化や燃料市場・電力取引市場の状況など外部環境変化により、総販売電力量や販売価格が大きく変動した場合には、当社グループの業績に影響を与える可能性がある。
なお、2022年度の当社グループの総販売電力量は960億kWhで前年度に比べ1.3%減となっている。
かかるリスクに対し、当社グループでは、原子力発電を最大限活用することなどにより供給量の確保や原価の低減に取り組んでいる。また、魅力ある料金プランやサービスを提供し、全社一丸となった営業活動の強化などにより国内電気事業の収益減少リスクの低減に取り組んでいる。
② 海外事業
当社グループは、これまで国内外の電気事業で培ってきた技術やノウハウを活用し、収益拡大が期待できる成長分野として、発電や送電などの海外事業を行っている。2023年3月末現在の海外事業における持分出力は284万kWで、2030年度までに500万kWに拡大することを目標としている。
海外事業には、カントリーリスクの顕在化、物価・金利・為替の変動、環境・エネルギー政策の見直しなど特有のリスクがある。また近年は、脱炭素化の流れの中、再生可能エネルギー、送配電、デジタル化などによる新たなビジネスやイノベーションなど事業機会が多様化しており、同時にリスクも多様化している。このため当初想定のリターンが得られず、当社グループの業績に影響を与える可能性がある。
かかるリスクに対し、当社グループは、案件ごとの管理体制の整備やモニタリングを実施し、リスクの早期把握や低減などのリスクマネジメントを行っている。また、案件ごとの収益性やリスクの評価を定期的に行い、事業ポートフォリオの最適化や収益向上を図っている。
③ その他エネルギーサービス事業
当社グループは、電気設備の建設・保守などの電力の安定供給に資する事業、ガス・LNG販売事業、石炭販売事業や再生可能エネルギー事業に取り組んでいる。
他事業者との競争、燃料国際市況の変動、再生可能エネルギーを巡る制度変更などの外部環境変化が生じた場合、当社グループの業績に影響を与える可能性がある。
かかるリスクに対し、当社グループでは、効率化によるコスト削減及び新たな技術への取組みにより、お客さまニーズに応じたエネルギーサービスを提供し、収益の向上を図るとともに、再生可能エネルギーを取り巻く事業環境変化を的確に捉えた開発を推進している。また、ガス・LNG販売事業のうち燃料上流権益については、案件ごとに収益性評価やリスク評価を行っている。
④ ICTサービス事業、都市開発事業、新規領域の事業
当社グループは、エネルギーサービス事業以外に、当社グループの強みを活かした成長事業として、ICTサービス事業、都市開発事業を展開している。
これらの事業は、社会ニーズの変化、技術の進展・普及、他社との競争激化、物価上昇など、事業環境の変化により、当社グループの業績に影響を与える可能性がある。
また、新たな収益源を生み出す観点から、新規領域を含めたイノベーションにも取り組んでいるが、既存事業領域と異なるリスクを有しており、顕在化した場合は、投資額に見合うリターンを得られず、当社グループの業績に影響を与える可能性がある。
かかるリスクに対し、当社グループでは案件ごとに、収益性評価やリスク評価などを行っている。
(2) 原子力発電を取り巻く状況
① 原子力の安定稼働
当社グループは、原子力発電をGHG排出抑制面やエネルギーセキュリティ面などで総合的に優れた電源であると考えており、国の新規制基準を遵守することに加え、更なる安全性・信頼性向上への取組みを自主的かつ継続的に進めているなど、安全の確保を大前提に、原子力を最大限活用することとしている。
しかしながら、法令・基準などの変更により原子力発電所の稼働が制約される場合や原子力発電所に係る訴訟の結果によっては、原子力発電所の運転停止を余儀なくされ、原子力より割高である代替電源費用の発生や設備投資の増加など当社グループの業績に大きな影響を与える可能性がある。
かかるリスクに対し当社グループは、法令・基準などの変更については、国の審査に真摯かつ丁寧に対応するとともに、追加の安全対策が必要な場合は着実に工事を進めていく。また、訴訟においては、当社グループの主張を十分に尽くし、原子力発電所の安全性などについてご理解いただけるよう努めている。
② 原子燃料サイクル・原子力バックエンド事業
当社グループは、原子燃料サイクル事業の実施主体である日本原燃株式会社に対して、2023年3月末時点で780億円の保証債務を保有しており、日本原燃株式会社の財務状態が悪化した場合、保証の履行を債権者より求められる可能性がある。
かかるリスクに対し、当社グループでは日本原燃株式会社の再処理事業等の早期竣工及びその後の安定稼働に向けて、応援要員の派遣等の支援を行っている。
また、超長期の事業である原子力施設の廃止措置や使用済燃料の再処理・処分などの原子力バックエンド事業等の費用は、今後の制度見直しや将来費用の見積額の変更などによって変動することから、当社グループの業績に影響を与える可能性はあるが、現時点において、当社グループは、国の制度措置等に基づき、必要な費用を計上・拠出していることから、これらのリスクは一定程度低減されている。
上記の費用のうち、当社が実施主体である原子力施設の廃止措置に係る費用については、「核原料物質、核燃料物質及び原子炉の規制に関する法律」に規定された特定原子力発電施設の廃止措置について資産除去債務を計上するとともに、これに対応する費用は「原子力発電施設解体引当金に関する省令」等の規定に基づき、毎年度、原子力発電施設解体引当金等取扱要領に定められた算式(解体に伴って発生する廃棄物の種類及び物量から解体に要する費用を見積もる方法)により算定した原子力発電施設解体費の総見積額を発電設備の見込運転期間にわたり、定額法により費用計上している。ただし、エネルギー政策の変更等に伴って原子炉を廃止する場合については、特定原子力発電施設の廃止日の属する月から起算して10年が経過する月までの期間にわたり、定額法により費用計上している。また、使用済燃料再処理機構や原子力発電環境整備機構が実施主体である使用済燃料の再処理・処分などに係る費用については、「原子力発電における使用済燃料の再処理等のための積立金の積立て及び管理に関する法律の一部を改正する法律」及び「特定放射性廃棄物の最終処分に関する法律」に規定する拠出金を、原子力発電所の運転に伴い発生する使用済燃料や特定放射性廃棄物等の量に応じて費用計上している。
(3) 市場価格の変動
① 燃料価格の変動
当社グループの発電事業における主要な燃料であるLNGや石炭の調達価格は、燃料調達先の設備・操業トラブル、自然災害や政治・経済動向などによる燃料国際市況の変動及び外国為替相場の変動影響を受けることがあり、調達価格の変動が当社グループの業績に影響を与える可能性がある。
特にLNGについては、長期間貯蔵することが困難であり貯蔵量が限られることから、供給元の情勢などによるLNG供給の減少、電力需要の急伸及び発電所の計画外停止などにより、電力の安定供給のためLNGを緊急に調達した場合、調達価格によっては、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性がある。
かかるリスクに対し、当社グループでは、燃料の調達先の分散化や燃料トレーディングなどによる燃料調整機能と電力の自社需給関連機能を一体的に運用することで調整機能を高め、調達の安定性・柔軟性の確保を行っている。
また、燃料の購入などに伴う外貨建債務などについては、必要に応じて為替予約取引や燃料価格スワップ取引などを利用することにより、為替変動リスク及び燃料価格変動リスクを低減している。
なお、燃料価格や外国為替相場の変動を電気料金に反映させる「燃料費調整制度」により、当社グループの業績への影響は緩和されている。ただし、反映までの期ずれがあることや、経過措置料金に反映できる上限があるなどの理由により緩和は一定程度となる。
② 金利の変動
当社グループは、国内電気事業に必要な発電設備、送変電設備及び配電設備といった多数の設備を保有している。これら設備の建設や更新工事などを計画的に進めていくために多額の資金が必要である。
当社グループは、これらの必要資金に充当するため自己資金のほか金融機関からの借入及び社債の発行により資金調達しており、当社グループの有利子負債残高は、2023年3月末時点で3兆9,915億円(総資産の71%に相当)となっている。このため、今後の市場金利の変動が、当社グループの業績に影響を与える可能性がある。
ただし、有利子負債残高の96%が社債や長期借入金であり、その大部分を固定金利で調達していることなどにより、金利の変動による当社グループへの影響を限定化している。
③ 卸電力取引所における取引価格の変動
当社グループでは、低廉で安定した電気をお客さまにお届けするため、自社電源の運用や相対取引の他に、卸電力取引所を活用して電源調達を行っている。また、「再生可能エネルギーの固定価格買取制度」による電源調達を行っており、調達価格は卸電力取引所の取引価格と連動する。
卸電力取引所の取引価格は、売り入札(供給)と買い入札(需要)のバランスによって決定するため、猛暑・厳冬などによる電力需要の急伸又は発電所の計画外停止・電力系統の事故などによる供給力の低下により取引価格が急騰した場合は、購入電力料が増加し、当社グループの業績に影響を与える可能性がある。
かかるリスクに対し、当社グループでは、燃料価格や電力需給の動向に関する想定に基づき、電源調達手段を組み合わせた電源ポートフォリオの最適化やデリバティブ取引の活用などを行っている。
(4) 電気事業関係の制度変更等
政府は、「第6次エネルギー基本計画」や「GX実現に向けた基本方針」のもと、エネルギーの安定供給をはじめ、電力市場の競争の深化やカーボンニュートラルの実現などの公益的課題の達成に向け、エネルギー政策に関する制度設計や市場整備を進めている。
上記を含めた電気事業を取り巻く制度の変更などに伴い、規制や制度に適合するための設備投資や費用などの増加、当社グループが保有する発電設備の稼働率の低下や各種電力取引市場からの収益変動などが発生した場合には、当社グループの業績に影響を与える可能性がある。
かかるリスクに対し、迅速かつ的確に対応できるよう、エネルギー政策、電気事業に係る制度、環境規制などに関する情報を積極的に収集の上、関係箇所で連携し、戦略や具体的対応の検討を実施している。
(5) 気候変動に関する取組み
気候変動への関心が高まる中、世界的に低・脱炭素社会実現に向けた取組みが進んでおり、政府はGX(グリーントランスフォーメーション)を通じて脱炭素、エネルギーの安定供給、経済成長を同時に実現すべく、国内でも「GX実現に向けた基本方針」に基づいた規制の見直し・強化が予想される。
特に、カーボンプライシングの導入や化石燃料の規制が実施された場合、発電設備などの電力供給設備に対する投資、費用が増大するなど、当社グループの業績に影響を与える可能性がある。
また、消費者や社会からの脱炭素ニーズの高まりや環境技術の進展に適応できない場合、事業の停滞など当社グループの業績に影響を与える可能性がある。
さらに、金融・資本市場でも、ESG(環境・社会・ガバナンス)情報を重視する傾向が強まっており、低・脱炭素化への取組みが不十分、あるいは気候変動に関する情報開示に的確に対応していないなどと判断された場合、株主・投資家から信頼・評価を失い、株価低迷や資金調達の困難化など、当社グループの業績に影響を与える可能性がある。
かかるリスクに対応するため、当社グループは、「九電グループ カーボンニュートラルビジョン2050」を策定し、エネルギー供給面(電源の低・脱炭素化)と需要面(電化の推進)の両面から低・脱炭素化に取り組み、日本の脱炭素をリードする企業グループ及び「カーボンマイナス」の実現を目指す。
この具現化に向けて、「カーボンニュートラルの実現に向けたアクションプラン」を策定し、2030年の経営目標(環境目標)や、その達成に向けたKPI(重要業績評価指標)を設定した。なお、温室効果ガス削減目標について国内大手エネルギー事業者で初めて「Science Based Targets(SBT)イニシアチブ」から認定を取得した。
また、当社グループは、気候変動対応を含めたESGの取組みを推進するため、「サステナビリティ推進委員会」、担当役員及び専任部署を設置し、情報開示の充実やステークホルダーとの対話を推進している。
(6) 設備事故・故障、システム障害
① 自然災害
当社グループは、お客さまの生活や社会経済活動に欠かせない電力の安定供給に必要な発電設備や送変電設備、配電設備などの電力供給設備をはじめ、電気事業の遂行に必要となる多数の設備を広範囲に設置している。
地震・津波・台風・集中豪雨など自然災害が発生した場合には、設備・サプライチェーンが被害を受け、広範囲・長期間の停電により社会経済活動に重大な影響を及ぼし、社会的信用が低下する可能性があるとともに、収益の減少や多額の復旧費用など、当社グループの業績に影響を与える可能性がある。
かかるリスクに対し、当社グループでは、設備の耐力強化や復旧資機材の事前確保などを進めるとともに、自治体や自衛隊などの関係機関との協力体制構築により、災害予防、災害応急対策及び災害復旧に取り組んでいる。
また、九州電力送配電株式会社は一般送配電事業者10社連名による「災害時連携計画」を作成し、大規模災害が発生した場合には、他社からの応援受け入れや関係機関との連携などによる迅速な復旧対応が可能な体制を構築している。
なお、原子力施設については、自然災害に対する国の新規制基準の対応に加え、国内外の最新知見などを活かしながら継続的に自主的対策を実施することで、自然災害に対する強化を図っている。
② 設備の高経年化等
当社グループは九州を中心に発電設備、送変電設備、配電設備などの多数の電力供給設備や情報通信設備などを保有している。
大規模発電所や超高圧送電線などで、経年劣化により故障発生確率が上昇し、重大な設備事故が発生した場合、当社グループの経済損失が発生するとともに、広範囲・長期間の停電により社会経済活動に重大な影響を及ぼし、社会的信用が低下する可能性がある。
かかるリスクに対し、当社グループでは設備巡視による危険箇所の事前把握や設備状態に応じたきめ細やかなメンテナンスに取り組んでいる。また、経年の進んだ電力供給設備に対する重点的な点検・補修に加え、計画的な高経年設備の更新に取り組んでいる。さらに、ドローン、画像解析、AIなどの新技術を活用した設備保全の高度化・効率化にも取り組んでいる。
③ システム障害
当社グループでは、お客さま情報や社内情報などを扱う情報処理システムを開発・運用している。また、成長事業として、社外に対してICTサービスを提供している。
このため、これら情報処理システムの動作不具合や停止などのトラブルにより、情報漏洩、業務の停滞及びICTサービス支障が発生した場合、事後対応費用や信頼の失墜など当社グループの業績に影響を与える可能性がある。
かかるリスクに対し、当社グループでは24時間365日のシステム運用監視や計画的な設備更新など、システム障害の未然防止に取り組む一方、システム障害が発生した場合の速やかな初動・復旧体制の整備などを行い、万一の事態に備えている。
④ サイバー攻撃
当社グループに対するサイバー攻撃は年々増加しており、攻撃方法も巧妙かつ悪質化するなど、その脅威はますます増大している。
当社グループでは国内電気事業、ICTサービス事業など、幅広く事業を展開しており、サイバー攻撃により、機密性の高い内部情報や個人情報が流出する可能性がある。
また、海外では電力供給設備に対するサイバー攻撃による停電が発生しており、当社グループの電力供給設備がサイバー攻撃を受けた場合、電力の供給が停止する可能性がある。
いずれの場合にも、当社グループの信頼が失墜するとともに、事後対応費用が発生し、当社グループの業績に影響を与える可能性がある。
かかるリスクに対し、当社グループではサイバーセキュリティ対策室を中心に、多層防御として、組織的・人的・物理的・技術的な対策を講じており、当社グループ全体の情報セキュリティレベルの維持向上を図っている。
(7) オペレーショナルリスク
① 業務上の不備
当社グループは、国内電気事業をはじめ、幅広く事業を展開しており、従業員の過失などによる業務上の不備が生じた場合、お客さまへのサービス提供に支障が出るのみならず社会活動に大きな影響を及ぼす可能性がある。
特に、国内電気事業においては、電力システム改革や再生可能エネルギーの普及などにより、従来と比べ需給運用が複雑化している。作業ミスなどにより、感電など人の死傷や広範囲・長期間の停電などが発生した場合、当社グループの信頼が失墜するとともに、事後対応費用など当社グループの業績に影響を与える可能性がある。
かかるリスクに対し、当社グループでは電力供給設備の作業時のミス未然防止に向けて、綿密な事前の計画、作業管理体制を整備するとともに、作業の教育・訓練を実施している。
また、労働災害・事故の防止にあたっては、「九電グループ安全行動憲章」に基づき、事業に関わるすべての人たちの安全と安心の永続的な確保に向け、重大災害の防止対策や災害の未然防止に向けた先取り型の安全諸活動にグループ一体となって取り組んでいる。この取組みにあたっては、社長を委員長とする「九州電力安全推進委員会」を中心とした安全推進体制を整備し、安全を最優先する風土・文化の醸成に努めている。
② 法令違反等
当社グループは、国内電気事業をはじめ、幅広く事業を展開しており、関連する法令や規制は多岐にわたる。また海外での事業運営においては、当該国の法的規制の適用を受けている。
当社グループでは、これらの様々な法的規制の遵守に努めているが、各種法令や電力システム改革に伴う行為規制などに対する理解が不十分または法令などが変更された際の対応が適切でなく、法令などに違反したと判定された場合や、従業員による個人的な不正行為などを含めて社会的要請に反した場合は、行政指導や行政処分、信頼の失墜、事後対応費用など、当社グループの業績に影響を与える可能性がある。
かかるリスクに対し、当社では法令理解の浸透を通じた法的規制の遵守はもとより、社会的規範や企業倫理を守ることをコンプライアンス経営と定め、社長を委員長とするコンプライアンス委員会のもと、業務執行機関の長を「コンプライアンス責任者」として、活動計画を策定・実践するとともに、社内外に相談窓口を設置するなどの体制を整備し、コンプライアンスを推進している。
また、グループ会社に対しては、コンプライアンス情報の共有や意見交換などを行い、グループ会社と一体となった取組みを推進しているほか、グループ会社の指導・支援に関する管理部門の役割を明確化するなど、当社グループ全体での推進体制の強化を図っている。
なお、当社及び九電みらいエナジー株式会社は、公正取引委員会から独占禁止法第3条(不当な取引制限の禁止)に違反する行為があったとして、2023年3月30日に排除措置命令及び課徴金納付命令を受けた。これに伴い、今後の課徴金納付の可能性に備えるため、当該課徴金納付命令に基づく金額27億円を、独禁法関連損失引当金繰入額として特別損失に計上している。
また、九州電力送配電株式会社及び当社において、行為規制にかかる情報漏洩及びその情報の不正閲覧があり、2023年4月17日、両社は経済産業大臣から電気事業法に基づく業務改善命令を受けた。
これらの事案の発生を受け、再発防止及びコンプライアンスを最優先にした事業活動をより一層徹底していく。
③ 人権侵害
従業員、お客さま及びサプライチェーンにおいて、差別、製品・サービスによる事故、環境汚染・破壊、地域住民の権利の不適切な制限及びハラスメントといった人権侵害が起きた場合、社会的信用の低下とともに取引停止・調達困難・訴訟などによる業務支障や費用増加の可能性がある。
かかるリスクに対し、当社グループでは、「九電グループ人権方針」を策定し、教育・研修の実施やサプライチェーンの管理など人権尊重に係る取組みを行っている。
④ 環境汚染・破壊
環境負荷を低減する取組みが不十分な場合や、サプライチェーンにおいて当社グループまたは取引先が環境汚染などを引き起こした場合、社会的信用の低下とともに取引停止・調達困難・訴訟などによる業務支障や費用増加の可能性がある。
かかるリスクに対し、当社グループでは、環境アセスメントによる生物多様性の保全措置の実施、産業廃棄物の適正管理・処理の実施、資源循環の推進、グリーン調達の推進など、事業活動に伴う環境負荷及び環境リスクの低減に取り組んでいる。
⑤ 人財・スキル不足
デジタル化の進展に伴う当社の事業運営に求められる能力・スキルの高度化や、国内の労働力人口の減少が進む中、継続的に質の高い商品、サービスをお客さまに提供するためには、優秀な人財の確保やそのスキル向上が重要である。
当社グループの国内電気事業は、電力供給設備の運用に技術・ノウハウの継承が必要であり、必要な人財の確保・育成ができなかった場合には、業務品質の低下や生産性の低下など当社グループの業績に影響を及ぼす可能性がある。
また、成長事業における新たな事業創出などにより、収益を生み出せる人財を確保・育成していく必要があり、そうした人財の確保・育成ができなかった場合、今後の持続的な成長を妨げ、業績に影響を及ぼす可能性がある。
かかるリスクに対し、当社は毎年、中長期的な想定に基づく採用計画を策定し、新卒採用に加えて、高度・専門人財などの中途採用も実施することで新たな事業領域を含め必要な人財の確保に努めている。また、「九電グループ経営ビジョン2030」の実現に向け、特に必要となる行動を整理し、それらを職場で実践することで、成長につなげていくことができる人財の育成に取り組んでおり、専門力向上、技術継承、イノベーション創出、DXなどに資する様々な教育・研修を実施している。
更に、当社グループの総合力強化を目指し、グループ合同研修の実施や当社とグループ会社間の人財交流を行うなど、グループ全体の人財育成にも取り組んでいる。
そのほかにも、ダイバーシティ推進の観点から、女性、高年齢者、障がい者など、属性のみならず、多様な知や経験を有する人財が活躍できる職場環境を整備するとともに、人事処遇制度を見直し、多様な人財が更なる働きがいを持って仕事に取組める環境づくりを進めている。
(8) その他
① 固定資産の減損
当社グループは多数の設備を保有しており、その資産及び資産グループが生み出す将来キャッシュ・フローは、当社グループが置かれる経営環境の変化の影響を受ける。
このため、総販売電力量の減少、販売価格の低下、原子力発電所の計画外停止、発電設備の稼働率低下など、様々なリスクの顕在化によって収益性が低下した結果、将来キャッシュ・フローが減少し投資額の回収が見込めなくなった場合は、固定資産の減損により、当社グループの業績に影響を与える可能性がある。
② 繰延税金資産の取崩し
当社グループでは、主に当社において、過年度の原子力発電所停止の長期化や当年度のロシア・ウクライナ情勢などに伴う燃料価格・卸電力市場価格の上昇などを原因として税務上の繰越欠損金が生じているが、これに係る繰延税金資産については、将来の課税所得の見積りに基づいて、その回収可能性を判断している。
このため、総販売電力量の減少、販売価格の低下、原子力発電所の計画外停止など、課税所得に重要な影響を及ぼすリスクが顕在化し、将来の課税所得の悪化が見込まれることになった場合は、繰延税金資産の取崩しにより、当社グループの業績に影響を与える可能性がある。
(1)経営成績等の状況の概要
当連結会計年度のわが国経済は、新型コロナウイルスの感染拡大や物価上昇のなか、感染拡大防止と経済活動の両立等による個人消費の回復などにより、緩やかに持ち直している。九州経済も、同様に個人消費が回復するとともに、輸出・生産について自動車生産が回復するなど、総じて持ち直している。
当社グループにおいては、「九電グループ経営ビジョン2030」の実現に向けて、グループ全体が更に一体感を増し、国内電気事業をはじめ、海外事業・ICTサービス事業・都市開発事業など、様々な分野において挑戦を加速してきた。また、安全性の確保を前提とした原子力の最大限の活用などによる「電源の低・脱炭素化」や「電化の推進」など、カーボンニュートラルの実現に向けた取組みを着実に進めるとともに、事業活動全般にわたる徹底した効率化に、グループ一体となって取り組んできた。
当連結会計年度の業績については、燃料価格の上昇により燃料費調整の期ずれ影響の差損が発生したことに加え、原子力発電所の稼働減により燃料費が増加したことや、卸電力市場価格の上昇により購入電力料が増加したことなどから、赤字となった。
当連結会計年度の小売販売電力量については、域内の契約電力は増加しているものの、域外の契約電力が減少していることなどにより、前連結会計年度に比べ3.6%減の765億kWhとなった。また、卸売販売電力量については、8.9%増の194億kWhとなった。この結果、総販売電力量は1.3%減の960億kWhとなった。
小売・卸売に対する供給面については、原子力をはじめ、火力・揚水等発電設備の総合的な運用等により、また、エリア需給については、調整力電源の運用及び国のルールに基づく再エネ出力制御の実施等により、安定して電力を供給することができた。
当連結会計年度の連結収支については、収入面では、国内電気事業において、燃料価格の上昇に伴う燃料費調整の影響などにより小売販売収入が増加したことに加え、卸売販売収入が増加したことなどから、売上高(営業収益)は前連結会計年度に比べ4,779億円増(+27.4%)の2兆2,213億円、経常収益は4,834億円増(+27.4%)の2兆2,461億円となった。
支出面では、国内電気事業において、燃料価格の上昇や原子力発電所の稼働減などにより燃料費が増加したことに加え、卸電力市場価格の上昇などにより購入電力料が増加したことなどから、経常費用は6,024億円増(+34.8%)の2兆3,327億円となった。
以上により、経常損益は866億円の損失、親会社株主に帰属する当期純損益は渇水準備引当金の取崩しや、有価証券売却益及び独禁法関連損失引当金繰入額をそれぞれ特別利益及び特別損失に計上したことなどから564億円の損失となった。
報告セグメントの業績(セグメント間の内部取引消去前)は、次のとおりである。
(注) 1 当連結会計年度より報告セグメントを変更している。
2 対前年度増減率の数値は、セグメント変更後の区分により作成している。
[参考]国内電気事業再掲
(注) 「発電・販売事業」と「送配電事業」との内部取引消去後の数値を記載している。
② 資産、負債及び純資産の状況
資産は、原子力安全性向上対策工事等に伴う固定資産の増加に加え、棚卸資産などの流動資産が増加したことから、前連結会計年度末に比べ2,613億円増(+4.9%)の5兆6,036億円となった。
負債は、有利子負債が増加したことなどから、前連結会計年度末に比べ3,204億円増(+6.9%)の4兆9,864億円となった。有利子負債残高は、前連結会計年度末に比べ3,534億円増(+9.7%)の3兆9,915億円となった。
純資産は、親会社株主に帰属する当期純損失の計上や配当金の支払いによる減少などにより、前連結会計年度末に比べ591億円減(△8.7%)の6,172億円となった。
この結果、自己資本比率は、前連結会計年度末に比べ1.7ポイント低下し10.4%となった。
当連結会計年度の営業活動によるキャッシュ・フローは、国内電気事業において、小売販売収入や卸売販売収入の増加はあったが、燃料代支出や購入電力料支出の増加などにより、前連結会計年度に比べ2,273億円収入減(△88.2%)の305億円の収入となった。
投資活動によるキャッシュ・フローは、投融資の回収による収入の増加はあったが、設備投資による支出の増加などにより、前連結会計年度に比べ79億円支出増(+2.5%)の3,288億円の支出となった。
財務活動によるキャッシュ・フローは、長期借入れやコマーシャル・ペーパーの発行・償還による収入の増加などにより、前連結会計年度に比べ2,453億円収入増(+308.9%)の3,247億円の収入となった。
以上により、当連結会計年度末の現金及び現金同等物の残高は、前連結会計年度末に比べ288億円増加し、2,706億円となった。
当社グループの事業内容は、国内電気事業(発電・販売事業及び送配電事業)が大部分を占め、国内電気事業以外の事業の生産、受注及び販売の状況は、グループ全体からみて重要性が小さい。また、国内電気事業以外の事業については、受注生産形態をとらない業種が多いため、生産及び受注の状況を金額あるいは数量で示すことはしていない。このため、以下では、生産及び販売の状況を、国内電気事業における実績によって示している。
(注) 1 百万kWh未満は四捨五入のため、合計の数値が一致しない場合がある。
2 当社及び連結子会社(九州電力送配電株式会社、九電みらいエナジー株式会社)の合計値(内部取引消去後)を記載している。
3 発電電力量は、送電端の数値を記載している。
4 「新エネルギー等」は、太陽光、風力、バイオマス、廃棄物及び地熱の総称である。
5 揚水発電所の揚水用電力量等は、貯水池運営のための揚水用に使用する電力量及び自己託送の電力量である。
6 出水率は、当社の自流式水力発電電力量の1991年度から2020年度までの30か年平均に対する比である。
(注) 1 販売電力量の百万kWh未満は四捨五入のため、合計の数値が一致しない場合がある。
2 当社及び連結子会社(九州電力送配電株式会社、九電みらいエナジー株式会社)の合計値(内部取引消去後)を記載している。
3 小売販売収入は小売販売電力量、卸売販売収入は卸売販売電力量に対応する料金収入である。
4 卸売販売電力量には間接オークションに伴う自己約定を含んでいる。
5 電灯料及び電力料には「物価高克服・経済再生実現のための総合経済対策」により国が定める値引きの原資として受領する補助金収入は含んでいない。
石炭、重油、原油、LNGの受払状況
(注) 当社及び連結子会社(九州電力送配電株式会社)の合計値を記載している。
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりである。
なお、文中における将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものである。
① 当連結会計年度の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容
ア 売上高(営業収益)及び経常損益
売上高(営業収益)は、前連結会計年度に比べ4,779億円増(+27.4%)の2兆2,213億円、経常収益は4,834億円増(+27.4%)の2兆2,461億円となった。一方、経常費用は6,024億円増(+34.8%)の2兆3,327億円となった。以上により、経常損益は1,190億円減の866億円の損失となった。
報告セグメントの業績(セグメント間の内部取引消去前)は、次のとおりである。
[発電・販売事業]
発電・販売事業は、国内における発電・小売電気事業等を展開している。
売上高は、燃料価格の上昇に伴う燃料費調整の影響などによる小売販売収入の増加に加え、卸売販売収入が増加したことなどから、前連結会計年度に比べ4,133億円増(+27.2%)の1兆9,309億円となった。
経常損益は、燃料価格の上昇により燃料費調整の期ずれ影響の差損が発生したことに加え、原子力発電所の稼働減により燃料費が増加したことや、卸電力市場価格の上昇などにより購入電力料が増加したことなどから、赤字幅が1,405億円拡大し1,435億円の損失となった。
[送配電事業]
送配電事業は、九州域内における一般送配電事業等を展開している。
売上高は、卸売販売収入が再生可能エネルギー電源からの買取増に伴う卸売販売電力量の増等により増加したことや、託送収益がインバランスに係る収益の増加及び需給調整市場に係る調整交付金の単価増等により増加したことなどから、前連結会計年度に比べ1,106億円増(+18.5%)の7,089億円となった。
経常利益は、購入電力料がインバランスに係る費用の増加及び再生可能エネルギー電源からの買取額の増加等により増加したが、売上高が増加したことなどから、69億円増(+96.6%)の141億円となった。
[海外事業]
海外事業は、海外における発電・送配電事業等を展開している。
売上高は、送電事業に係る収入の増加などにより、前連結会計年度に比べ19億円増(+44.2%増)の62億円、経常利益は、持分法による投資利益の増加などもあり、20億円増(+82.1%)の44億円となった。
[その他エネルギーサービス事業]
その他エネルギーサービス事業は、電気設備の建設・保守など電力の安定供給に資する事業、お客さまのエネルギーに関する様々な思いにお応えするため、ガス・LNG販売、石炭販売、再生可能エネルギー事業等を展開している。
売上高は、ガス・LNG販売価格の上昇や連結子会社において2022年11月に石炭販売事業を開始したことなどにより、前連結会計年度に比べ668億円増(+34.4%)の2,611億円、経常利益は103億円増(+54.7%)の292億円となった。
[ICTサービス事業]
ICTサービス事業は、保有する光ファイバ網やデータセンターなどの情報通信事業基盤や事業ノウハウを活用し、データ通信、光ブロードバンド、電気通信工事・保守、情報システム開発、データセンター事業等を展開している。
売上高は、情報システム開発受託の増加などにより、前連結会計年度に比べ69億円増(+6.2%)の1,193億円、経常利益は4億円増(+6.9%)の65億円となった。
[都市開発事業]
都市開発事業は、都市開発・不動産・社会インフラ事業等を展開している。
売上高は、オール電化マンション販売の減少はあるものの、不動産賃貸収入の増加などにより、前連結会計年度並みの249億円、経常利益は前連結会計年度並みの32億円となった。
イ 渇水準備金引当又は取崩し
当連結会計年度は、電気事業法の規定に基づき、特例許可による渇水準備引当金の一部取崩しについて、経済産業大臣から許可を得たことや出水率が88.2%と平水(100%)を下回ったことから、渇水準備引当金を50億円取り崩した。特例許可の詳細については、「第5 経理の状況」の「1 連結財務諸表等 (1) 連結財務諸表 注記事項 (連結損益計算書関係)」に記載している。
ウ 特別利益
当連結会計年度は、有価証券売却益により112億円を特別利益に計上した。
エ 特別損失
当連結会計年度は、独禁法関連損失引当金繰入額により27億円を特別損失に計上した。
オ 法人税等
法人税等は、当連結会計年度に発生した繰越欠損金に係る繰延税金資産を計上したことなどによる影響で、法人税等調整額が減少したことなどから、前連結会計年度に比べ353億円減の△185億円となった。
カ 親会社株主に帰属する当期純損益
親会社株主に帰属する当期純損益は、前連結会計年度に比べ633億円減の564億円の損失となった。1株当たり当期純損益は133.90円減の123.81円の損失となった。
② キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容並びに資本の財源及び資金の流動性に係る情報
ア キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容
当社グループのキャッシュ・フローの状況については、「4 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1) 経営成績等の状況の概要 ③ キャッシュ・フローの状況」に記載している。
イ 資本の財源及び資金の流動性に係る情報
当社グループは、燃料代などの支払いや設備投資及び投融資、並びに借入金の返済及び社債の償還などに資金を充当している。
これらの資金需要に対して、自己資金に加え、社債や借入金により資金調達を行うとともに、一時的な資金需要の変動に対しては、コマーシャル・ペーパーなどにより機動的な対応を行っている。
また、流動性リスクについては、月次での資金繰により資金需要を的確に把握するよう努めるとともに、コミットメントラインや当座貸越、及びキャッシュ・マネジメント・サービスなどを活用することとしている。
③ 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成している。重要な会計方針については、「第5 経理の状況」の「1 連結財務諸表等 (1) 連結財務諸表 注記事項 (連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項)」に記載している。
当社グループは、連結財務諸表を作成するにあたり、固定資産の減損、繰延税金資産の回収可能性、海外発電事業への投資及び海外における発電所建設等のサービスに係る金融資産の評価、貸倒引当金、退職給付に係る負債及び資産、資産除去債務などに関して、過去の実績等を勘案し、合理的と考えられる見積り、判断を行っているが、実際の結果は見積り特有の不確実性があるため、これらの見積りと異なる場合がある。このうち、特に重要なものは繰延税金資産の回収可能性と海外発電事業への投資及び海外における発電所建設等のサービスに係る金融資産の評価であり、詳細については、「第5 経理の状況」の「1 連結財務諸表等 (1) 連結財務諸表 注記事項 (重要な会計上の見積り)」に記載している。
④ 目標とする経営指標の達成状況等
当社グループは、「九電グループ経営ビジョン2030」に向けた中間目標として、「連結経常利益1,250億円以上(2025年度)」「自己資本比率20%程度(2025年度末)」の財務目標を設定しており、当連結会計年度においては、原子力発電所の稼働減による燃料費の増加や、燃料価格上昇に伴う燃料費調整制度の期ずれ影響等により、経常損益は866億円の損失、自己資本比率10.4%となった。
「1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等」に記載した財務目標及び経営目標の実現に向けて、カーボンニュートラルに貢献する電化の推進などによる国内電気事業の収益拡大に加え、再生可能エネルギー事業や海外事業をはじめとする成長事業への投資による収益拡大などの取組みを引き続き推進していく。
該当事項なし。
当社グループ(当社及び連結子会社)における主要な設備は、以下のとおりである。
2023年3月31日現在
(注) 1 土地欄の( )内は面積(単位㎡)である。
2 上記のほか、発電・販売事業において、土地243,399㎡を賃借しており、そのうち187,944㎡は水力関係分である。
3 従業員数は、発電・販売事業における建設関係従業員など4人を除いたものである。
a 主要発電設備
水力発電設備
2023年3月31日現在
汽力発電設備
2023年3月31日現在
原子力発電設備
2023年3月31日現在
新エネルギー等発電設備
2023年3月31日現在
b 主要業務設備
2023年3月31日現在
2023年3月31日現在
(注) 1 土地欄の( )内は面積(単位㎡)である。
2 上記のほか、送配電事業において、土地888,251㎡を賃借しており、そのうち551,241㎡は送電関係分である。
3 従業員数は、送配電事業における建設関係従業員など55人を除いたものである。
a 主要発電設備
内燃力発電設備
2023年3月31日現在
b 主要送電設備
2023年3月31日現在
c 主要変電設備
2023年3月31日現在
d 主要業務設備
2023年3月31日現在
(3) 在外子会社
2023年3月31日現在
(注) 土地欄の( )内は面積(単位㎡)である。
(注)1 当社の各種類株式の発行可能種類株式総数の合計は1,000,001,000株であるが、上記の「計」の欄には、当社定款に定める発行可能株式総数1,000,000,000株を記載している。なお、当社が実際に発行できる株式の総数は、発行可能株式総数の範囲内である。また、発行可能種類株式総数の合計と発行可能株式総数の一致については、会社法上要求されていない。
2 2023年6月28日開催の定時株主総会並びに普通株主及びA種優先株主による各種類株主総会において、定款の一部変更が行われ、新たな種類株式としてB種優先株式の発行が可能となっている。なお、B種優先株式の発行可能種類株式総数は2,000株となっている。
(注) A種優先株式の内容は、以下のとおりである。
ア 優先配当金
(1) A種優先配当金
当社は、剰余金の配当(A種優先中間配当金(下記(5)に定義する。以下同じ。)を除く。)を行うときは、当該配当に係る基準日の最終の株主名簿に記載又は記録されたA種優先株式を有する株主(以下「A種優先株主」という。)又はA種優先株式の登録株式質権者(以下「A種優先登録株式質権者」という。)に対し、普通株式を有する株主(以下「普通株主」という。)又は普通株式の登録株式質権者(以下「普通登録株式質権者」という。)に先立ち、A種優先株式1株につき下記(2)に定める額の剰余金(以下「A種優先配当金」という。)を配当する。ただし、当該配当に係る基準日を含む事業年度に属する日を基準日として、A種優先配当金の全部又は一部の配当(下記(3)に定める累積未払A種優先配当金の配当を除き、A種優先中間配当金を含む。)がすでに行われているときは、かかる配当の累積額を控除した額とする。また、A種優先配当金の配当の基準日からA種優先配当金の支払いが行われる日までの間に、当社が下記イに従い残余財産の分配を行った又は下記オ若しくはカに従いA種優先株式を取得した場合には、当該A種優先株式につき当該基準日にかかる剰余金の配当を行うことを要しない。
(2) A種優先配当金の額
A種優先配当金の額は、1株につき年2,100,000円とする(ただし、2020年3月31日を基準日とする剰余金の配当額は1,599,452円とする。)。
(3) 累積条項
ある事業年度に属する日を基準日として、A種優先株主又はA種優先登録株式質権者に対して支払う1株当たりの剰余金の配当(以下に定める累積未払A種優先配当金の配当を除き、A種優先中間配当金を含む。)の額の合計額が当該事業年度に係る上記(2)に定めるA種優先配当金の額に達しないときは、その不足額は、当該事業年度の翌事業年度の初日(同日を含む。)以降、実際に支払われた日(同日を含む。)まで、払込金額に対し年率2.1%(以下「A種優先配当率」という。)で1年毎の複利計算により累積する。なお、当該計算は、1年を365日とした日割計算により行うものとし、除算は最後に行い、円位未満小数第1位まで計算し、その小数第1位を四捨五入する。累積した不足額(以下「累積未払A種優先配当金」という。)については、A種優先配当金、A種優先中間配当金及び普通株主若しくは普通登録株式質権者に対する配当金の支払いに先立って、これをA種優先株主又はA種優先登録株式質権者に対して支払う。
(4) 非参加条項
A種優先株主又はA種優先登録株式質権者に対しては、同一事業年度内に、上記(2)に定めるA種優先配当金及び累積未払A種優先配当金の額を超えて剰余金を配当しない。ただし、当社が行う吸収分割手続の中で行われる会社法第758条第8号ロ若しくは同法第760条第7号ロに規定される剰余金の配当又は当社が行う新設分割手続の中で行われる同法第763条第1項第12号ロ若しくは同法第765条第1項第8号ロに規定される剰余金の配当についてはこの限りではない。
(5) A種優先中間配当金
当社は、毎年9月30日を基準日として剰余金の配当を行うときは、毎年9月30日の最終の株主名簿に記載又は記録されたA種優先株主又はA種優先登録株式質権者に対し、普通株主又は普通登録株式質権者に先立ち、A種優先株式1株につき当該基準日の属する事業年度における上記(2)に定めるA種優先配当金の額の2分の1に相当する額(1円に満たない金額は切り上げる。)(以下「A種優先中間配当金」という。)を配当する(ただし、2019年9月30日を基準日とする剰余金の配当額は546,575円とする。)。
イ 残余財産の分配
当社は、残余財産を分配するときは、A種優先株主又はA種優先登録株式質権者に対し、普通株主又は普通登録株式質権者に先立ち、A種優先株式1株当たりの残余財産分配価額として、以下の算式に基づいて算出される額(以下「基準価額」という。)を支払う。
(基準価額算式)
1株当たりの残余財産分配価額 = 100,000,000円 + 累積未払A種優先配当金 + 前事業年度未払A種優先配当金 + 当事業年度未払A種優先配当金額
上記算式における「累積未払A種優先配当金」は、残余財産分配がなされる日(以下「残余財産分配日」という。)を実際に支払われた日として、上記ア(3)に従い計算される額の合計額のうち、残余財産分配日までに実際に支払われていない額とし、「前事業年度未払A種優先配当金」は、基準日の如何にかかわらず、残余財産分配日の属する事業年度の前事業年度(以下本イにおいて「前事業年度」という。)に係るA種優先配当金のうち、残余財産分配日までに実際に支払われていないA種優先配当金がある場合における当該前事業年度に係るA種優先配当金の不足額(ただし、累積未払A種優先配当金に含まれる場合を除く。)とし、また、「当事業年度未払A種優先配当金額」は、100,000,000円にA種優先配当率を乗じて算出した金額について、残余財産分配日の属する事業年度の初日(同日を含む。)以降、残余財産分配日(同日を含む。)までの期間の実日数につき日割計算により算出される金額から、残余財産分配日の属する事業年度の初日(同日を含む。)以降に当該事業年度に属する日を基準日として支払われた配当(累積未払A種優先配当金及び前事業年度未払A種優先配当金を除き、A種優先中間配当金を含む。)がある場合における当該配当の累積額を控除した金額とする。
なお、当該計算は、1年を365日とした日割計算により行うものとし、除算は最後に行い、円位未満小数第1位まで計算し、その小数第1位を四捨五入する。
A種優先株主又はA種優先登録株式質権者に対しては、基準価額を超えて残余財産の分配を行わない。
ウ 議決権
(1) 議決権の有無
A種優先株主は、株主総会において議決権を有しない。
(2) 種類株主総会における決議
当社が会社法第322条第1項各号に掲げる行為をする場合においては、法令に別段の定めのある場合を除き、A種優先株主を構成員とする種類株主総会の決議を要しない旨、当社定款に規定している。
(3) 議決権を有しないこととしている理由
普通株主の権利への影響等を考慮し、A種優先株式には株主総会(種類株主総会を含む。)において議決権を付与していない。
エ 株式の併合又は分割、募集株式の割当て等
当社は、法令に定める場合を除き、A種優先株式について株式の分割又は併合を行わない。当社は、A種優先株主には、募集株式の割当てを受ける権利又は募集新株予約権の割当てを受ける権利を与えず、また、株式無償割当て又は新株予約権無償割当てを行わない。
オ 金銭を対価とする取得請求権
A種優先株主は、当社に対し、2019年6月29日以降いつでも、金銭を対価としてA種優先株式の全部又は一部を取得することを請求することができる(当該請求をした日を、以下「金銭対価取得請求権取得日」という。)。当社は、この請求がなされた場合には、A種優先株式の全部又は一部を取得するのと引換えに、金銭対価取得請求権取得日における会社法第461条第2項所定の分配可能額を限度として、法令上可能な範囲で、金銭対価取得請求権取得日に、A種優先株主に対して、次に定める取得価額の金銭の交付を行うものとする。ただし、分配可能額を超えてA種優先株主から取得請求があった場合、取得すべきA種優先株式は取得請求される株式数に応じた比例按分の方法により決定する。
A種優先株式1株当たりの取得価額は、上記イに定める基準価額算式に従って計算される。なお、本オの取得価額を算出する場合は、上記イに定める基準価額の計算における「残余財産分配日」を「金銭対価取得請求権取得日」と読み替えて、基準価額を計算する。
カ 金銭を対価とする取得条項
当社は、2019年6月29日以降の日で、当社の取締役会が別に定める日が到来したときは、当該日において、A種優先株主又はA種優先登録株式質権者の意思にかかわらず、法令上可能な範囲で、次に定める取得価額の金銭の交付と引換えにA種優先株式の全部又は一部を取得することができる(当該取得を行う日を、以下「金銭対価取得条項取得日」という。)。なお、一部を取得するときは、比例按分その他当社の取締役会が定める合理的な方法により、取得すべきA種優先株式を決定する。
A種優先株式1株当たりの取得価額は、上記イに定める基準価額算式に従って計算される。なお、本カの取得価額を算出する場合は、上記イに定める基準価額の計算における「残余財産分配日」を「金銭対価取得条項取得日」と読み替えて、基準価額を計算する。
該当事項なし。
該当事項なし。
(注) 1 第三者割当によるA種優先株式の発行に伴い、発行済株式総数が1千株、資本金及び資本準備金がそれぞれ50,000百万円増加した。
発行価格 1株につき100百万円
資本組入額 50,000百万円(1株につき50百万円)
割当先 株式会社日本政策投資銀行
なお、上記割当先について、当社は、A種優先株式の内容の変更に関する定款の一部変更を行い、2019年6月27日に定款変更前のA種優先株式の全部を取得するとともに、2019年6月28日に第三者割当による自己株式の処分を行い、定款変更後のA種優先株式1,000株を以下のとおり割り当てた。
株式会社みずほ銀行 400株
株式会社日本政策投資銀行 400株
株式会社三菱UFJ銀行 200株
2 2014年8月1日(A種優先株式発行の効力発生日)をもって資本金及び資本準備金の額をそれぞれ50,000百万円減少させ、その他資本剰余金に振り替えた。
① 普通株式
2023年3月31日現在
(注) 1 2023年3月31日現在の自己株式は273,282株であり、「個人その他」の欄に2,732単元及び「単元未満株式の状況」の欄に82株をそれぞれ含めている。なお、自己株式273,282株は株主名簿記載上の株式数であり、2023年3月31日現在の実保有残高は273,082株である。
2 「その他の法人」及び「単元未満株式の状況」の欄には、証券保管振替機構名義の株式が、それぞれ12単元及び36株含まれている。
3 「金融機関」の欄には、「株式給付信託(BBT)」に係る信託口が保有する当社株式8,423単元が含まれている。
② A種優先株式
2023年3月31日現在
2023年3月31日現在
(注) 九栄会は、当社の従業員持株会である。
なお、所有株式に係る議決権の個数の多い順上位10名は、以下のとおりである。
2023年3月31日現在
1 報告セグメントの概要
当社の報告セグメントは、当社の構成単位のうち分離された財務情報が入手可能であり、取締役会が、業績を評価するために、定期的に検討を行う対象となっているものである。
当社は、製品・事業活動の種類を勘案して区分した各セグメントから構成されており、「発電・販売事業」、「送配電事業」、「海外事業」、「その他エネルギーサービス事業」、「ICTサービス事業」及び「都市開発事業」の6つを報告セグメントとしている。
各報告セグメントに属する主要な製品・事業活動は以下のとおりである。
(報告セグメントの変更等に関する事項)
「九電グループ経営ビジョン2030」の経営目標(2030年度)及び経営ビジョンの実現に向けた中間目標である財務目標(2025年度)の達成状況を把握することを目的として、当社グループ内の事業管理区分を見直したことに伴い、当連結会計年度より、報告セグメントを従来の「発電・販売事業」「送配電事業」「その他エネルギーサービス事業」「ICTサービス事業」「その他の事業」から「発電・販売事業」「送配電事業」「海外事業」「その他エネルギーサービス事業」「ICTサービス事業」「都市開発事業」に変更しており、従来、主に「その他エネルギーサービス事業」に含めていた「海外事業」及び主に「その他の事業」に含めていた「都市開発事業」を報告セグメントとして区分している。
なお、前連結会計年度のセグメント情報については、変更後の報告セグメントに基づき作成しており、「3 報告セグメントごとの売上高、利益又は損失、資産その他の項目の金額に関する情報及び収益の分解情報」の前連結会計年度に記載している。


