静岡ガス株式会社
(注) 1 「収益認識に関する会計基準」(企業会計基準第29号 2020年3月31日)等を第175期の期首から適用しており、第175期に係る主要な経営指標等については、当該会計基準等を適用した後の指標等となっております。
2 従業員数欄の(外書)は、臨時従業員の年間平均雇用人員(1日8時間換算)であります。
3 「『税効果会計に係る会計基準』の一部改正」(企業会計基準第28号平成30年2月16日)等を第172期の期首から適用しており、第171期に係る主要な経営指標については、当該会計基準等を遡って適用した後の指標等となっております。
(注) 1 売上高はガス事業売上高、営業雑収益、附帯事業収益の合計額であります。
2 「収益認識に関する会計基準」(企業会計基準第29号 2020年3月31日)等を第175期の期首から適用しており、第175期に係る主要な経営指標等については、当該会計基準等を適用した後の指標等となっております。
3 従業員数欄の(外書)は、臨時従業員の年間平均雇用人員(1日8時間換算)であります。
4 「『税効果会計に係る会計基準』の一部改正」(企業会計基準第28号 平成30年2月16日)等を第172期の期首から適用しており、第171期に係る主要な経営指標については、当該会計基準等を遡って適用した後の指標等となっております。
5 最高・最低株価は、2022年4月3日以前は東京証券取引所市場第一部におけるものであり、2022年4月4日以降は東京証券取引所プライム市場におけるものであります。
当社グループ(当社、連結子会社26社、持分法適用関連会社5社、持分法非適用関連会社2社)が営んでいる主な事業内容と、各関係会社等の当該事業に係る位置づけは次のとおりであります。
当社は、ガスの供給、販売及びLNG(液化天然ガス)の販売を行っております。
下田ガス㈱、信州ガス㈱、佐渡ガス㈱の連結子会社3社は、ガスの製造、供給、販売を行っております。
吉田ガス㈱(連結子会社)は、ガスの供給、販売を行っております。
袋井ガス㈱、中遠ガス㈱、御殿場ガス㈱、島田ガス㈱の連結子会社4社は、当社からガスの卸供給を受けて、ガスの供給、販売を行っております。
清水エル・エヌ・ジー㈱(連結子会社)は、当社からLNG及びLPGを仕入れてガスの製造を行い、当社に販売しております。
なお、当社と清水エル・エヌ・ジー㈱との取引の概要は次のとおりであります。
① 当社は、都市ガスの原料となるLNGを輸入し、清水エル・エヌ・ジー㈱に譲渡しております。
② 清水エル・エヌ・ジー㈱は、当社から仕入れたLNGを主原料として製品ガス(都市ガス)を製造し、全量を当社に販売しております。
南富士パイプライン㈱(持分法非適用関連会社)、静浜パイプライン㈱(持分法適用関連会社)は、当社から委託を受けて、ガスの輸送を行っております。
南遠州パイプライン㈱(持分法非適用関連会社)は、当社からガスの卸供給を受けて、ガスの供給、販売を行っております。
SHIZUOKA GAS TRADING PTE.LTD.(連結子会社)は、当社のLNGトレーディングにおけるフロントオフィス業務を担い、マーケット調査を行っております。
静岡ガスエネルギー㈱(連結子会社)は、LPGの販売及びこれに付随する機器販売並びに配管工事を行っております。なお、同社は、当社及び吉田ガス㈱、下田ガス㈱、信州ガス㈱、佐渡ガス㈱、袋井ガス㈱、中遠ガス㈱、島田ガス㈱にLPGを卸販売しております。
当社及び吉田ガス㈱、下田ガス㈱、信州ガス㈱、佐渡ガス㈱、袋井ガス㈱、中遠ガス㈱、島田ガス㈱は、附帯事業として、LPGの販売(一部簡易ガス事業を含む)を行っております。
当社は、オンサイト・エネルギーサービス事業(注)を行っております。
(注) 従来お客さまが自ら設置していたエネルギー設備(コージェネレーションシステム・空調熱源等)をお客さまに代わって当社がお客さま事業所内に設置し、その設備を運転して発生した電気・熱エネルギーをお客さまに販売する事業。
静岡ガス&パワー㈱(連結子会社)は、電力の販売を行っております。なお、同社は、当社からガスの仕入れをしており、当社に電力を販売しております。
㈱SG・Bang Bo パワーホールディング(連結子会社)は、タイ国で電力の卸販売を行っているEastern Power and Electric Company Limited(持分法適用関連会社)の株式を保有しております。
当社及び吉田ガス㈱、下田ガス㈱、信州ガス㈱、佐渡ガス㈱、袋井ガス㈱、中遠ガス㈱、御殿場ガス㈱、島田ガス㈱は、ガス配管工事の施工及びガス機器の販売を行っております。
静岡ガス・エンジニアリング㈱(連結子会社)は、ガス設備の保全、ガス工事及び空調工事等を行っております。なお、同社は、主に清水エル・エヌ・ジー㈱のガス設備の保全のほか、当社が発注するガス工事等を行っております。
静岡ガスリビング㈱(連結子会社)は、ガス・火災警報器の販売及びリフォーム事業等を行っております。なお、同社は、当社に住設機器等を販売しております。
静岡ガスサービス㈱(連結子会社)は、主に静岡ガスエネルギー㈱のLPGの配送のほか、当社のLNGの輸送等を行っております。
静岡ガスクレジット㈱(連結子会社)は、リース業務等を行っております。なお、同社は、当社に車両、OA機器等をリースしております。
静岡ガス・システムソリューション㈱(連結子会社)は、当社の情報処理及びシステム開発をしております。
静岡ガス保険サービス㈱(連結子会社)は、保険代理業を行っております。
エネリア静岡㈱、エネリア東部㈱の連結子会社2社は、ガス機器の販売及びリフォーム事業等を行っております。なお、当社は、同社にガス配管工事及び保安業務の委託等を行っております。
以上述べた事項を事業系統図によって示すと、次のとおりであります。

(注) 1 主要な事業内容欄には、セグメント情報に記載された名称を記載しております。
2 上記子会社のうち、清水エル・エヌ・ジー㈱は特定子会社であります。
3 上記子会社のうち、有価証券届出書又は有価証券報告書を提出している会社はありません。
4 議決権の所有割合の( )内は、間接所有割合で、内数表示しております。
5 袋井ガス㈱は、持分が100分の50以下でありますが、実質的に支配しているため連結子会社としております。
2022年12月31日現在
(注) 1 従業員数は就業人員であります。
2 従業員数欄の(外書)は、臨時従業員の年間平均雇用人員(1日8時間換算)であります。
3 全社(共通)として記載されている従業員数は、管理部門に所属しているものであります。
2022年12月31日現在
(注) 1 従業員数は就業人員であります。
2 従業員数欄の(外書)は、臨時従業員の年間平均雇用人員(1日8時間換算)であります。
3 平均年間給与は、賞与及び基準外賃金を含んでおります。なお、管理職の地位にある者を算定対象に含んでおりません。
4 全社(共通)として記載されている従業員数は、管理部門に所属しているものであります。
労働組合との関係について特記すべき事項はありません。
文中における将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
当社グループを取り巻く環境は、人口減少や少子高齢化、脱炭素、デジタル化の進展などが大きな潮流となる中、自由化による電力・ガスの競争も一層激しさを増し、大きく変化しています。中でも脱炭素については、2021年に開催されたCOP26において、多くの国が2050年までのカーボンニュートラルの実現を表明するとともに、日本国内においてもカーボンニュートラルに軸足を移す企業が増加するなど、その実現に向けた取り組みが一層加速しています。さらには、新型コロナウイルス感染症の収束が未だ見通せない状況の中、新たな価値観に基づいた生活スタイルへの転換も進んでいます。
こうした事業環境の下、当社グループでは「2050年カーボンニュートラルビジョン」、「2030年ビジョン」の2つのビジョンを2021年に公表しました。「2050年カーボンニュートラルビジョン」では、お客さまや地域とともに、2050年にカーボンニュートラルを実現することを掲げ、そこに至るロードマップを示しました。「2030年ビジョン」では、持続可能なくらしやすい地域を目指し、「安全・安心」「カーボンニュートラル化の実現」「QOL(クオリティ・オブ・ライフ)向上」の3つの視点から、事業を通じて地域の皆さまとともに新たな価値創造のサイクルをおこし、地域共創を実現することを掲げました。
これらのビジョンの実現に向けて、「都市ガス・LPG事業」、「電力・再エネ事業」、「くらしサービス・エンジニアリングサービス事業」、「海外事業」を軸として、以下の取り組みを進めてまいります。
①基盤事業の継続的成長
基盤事業である都市ガス事業およびLPG事業では、引き続き「安全・安心」を第一に保安の確保、安定供給に努めるとともに、天然ガスの普及拡大、グループ顧客基盤の拡大を進めていきます。保安の確保、安定供給については、製造・供給設備への継続的なレジリエンス投資を進めるとともに、デジタル技術を活用した保安レベルのさらなる向上を図ります。LNGの調達については、ロシアのウクライナ侵攻などに伴いLNG市場の価格高騰リスクが高まる中、他社との連携などによりLNG需給バランスの最適化を進めていきます。また、エネルギーの高度利用、省エネの推進、カーボンニュートラルなガスの販売などを通して、お客さまとともに低炭素化やカーボンニュートラル化を推進してまいります
②新たな成長事業の確立
電力・再エネ事業では、顧客基盤を拡大するとともに、電力需給のバランスを取るデマンドレスポンスサービスによる省エネニーズへの対応や、太陽光発電設備の第三者所有型モデル(PPAモデル)を活用した地域電源の普及を推進していきます。また、富士発電所においてガスエンジン設備を増設し、電力のさらなる安定供給に努めます。あわせて、太陽光発電やバイオマス発電を中心に、再生可能エネルギー電源の開発にも積極的に取り組んでまいります。
くらしサービス事業では、お客さまのライフステージにあわせた商材やサービスの創出、提案を進めてまいります。
エンジニアリングサービス事業では、コージェネレーションなどを活用したエネルギーサービスの拡大やお客さまのエネルギー管理、生産プロセスの見える化に取り組むことで、省エネ、省CO2を推進していきます。また、太陽光発電設備のメンテナンスなど新たなサービスも展開してまいります。
海外事業では、東南アジア・南アジアなどを中心に、国内で培った技術力やノウハウを活用した天然ガスシフト、エネルギーの高度利用を推進するとともに、それぞれの地域に適した再生可能エネルギーの開発にも取り組んでいきます。また、カーボンクレジットの創出・調達により、グローバルでのCO2削減にも貢献してまいります。
デジタル分野では、データとデジタル技術などの活用により新たな価値を提供し、地域課題の解決にも挑戦してまいります。
③経営基盤の強化
各事業の持続的な成長に向け、より高度なガバナンス体制やリスク管理体制の確立、DX(デジタルトランスフォーメーション)による業務高度化・効率化、人材活用や育成など、経営基盤の強化に取り組んでいきます。特に成長の源である「人」については、基盤事業を担う人材とともに、成長分野やデジタル化を牽引し新たな価値を創出できる人材の育成、採用を一層推進していきます。あわせて、社員一人ひとりの個性や能力が発揮でき、多様な人材が活躍できる職場環境整備にも取り組んでまいります。
また、地域貢献活動にもグループを挙げて積極的に参加し、取り組んでいく所存です。引き続き、地域の皆さまとともに地域社会の持続的な発展に取り組んでまいります。
有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、経営者が連結会社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に重要な影響を与える可能性があると認識している主要なリスクは以下のとおりであります。
なお、文中における将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。
当社が購入するLNGは、全量を海外から輸入しております。原料輸入先でのトラブル、あるいはLNG船の運行上でのトラブル等、原料調達における不測の事態の発生によっては、当社グループのガス供給・ガス販売に影響を与える可能性があります。このため、LNG供給源の多様化を進め、リスクの低減に努めております。
地震、台風、津波等の大規模な自然災害により、当社グループ及びお客さまの設備に広範な被害が発生した場合は、当社グループの業績に影響を与える可能性があります。このため、当社は自然災害に対する主要ガス設備の強靭化を図るとともに、非常事態体制の整備、事業継続計画(BCP:Business Continuity P1an) の策定や、自家発電設備の整備等により、災害の影響を最小限に止める対策を実施しております。
連結子会社である清水エル・エヌ・ジー㈱の都市ガス製造における不測の事態の発生、あるいは当社において都市ガス供給に伴う大規模な漏洩・爆発事故等が発生した場合には、当社グループのガス供給に影響を与え、さらには社会的責任の発生等の損害が生じる可能性があります。また、当社の都市ガス供給エリア内で不測の大規模停電が発生し、系統電源からの電力供給が停止した場合には、ガスの製造・供給設備の状況によっては都市ガスの供給に支障を及ぼす可能性があります。
このため、供給支障事故に備えた非常災害対策を策定するとともに、定期的な訓練に取り組んでいます。また、電力供給が停止した場合には、自家用発電設備を稼働するなど、緊急時の対策を実施します
当社は、長期契約等によるLNG調達を行います。これら長期契約等における価格体系の変更により、当社が調達するLNG価格がガス料金の決定に際して使用する原料価格の水準と異なる場合は、業績に影響を与える可能性があります。このため、かかる水準との差異を最小化するよう、LNGの売主との価格見直し等を進めてまいります。
ガス料金は、原料費調整制度(原料価格の変動に伴いガス料金を調整する制度)に基づき決定いたします。このため、ガス料金の決定に際しては、ガスの原料となるLNG価格及びプロパン価格が影響を及ぼします。LNG価格及びプロパン価格は、原油価格及び為替相場の変動による影響を受けますが、原料価格の変動は、原料費調整制度に基づきガス料金に反映されるため、その影響は相殺され限定的になります。ただし、原料価格の変動がガス料金に反映されるまでのタイムラグにより、原料価格の変動が異なる決算期のガス料金に反映される場合は、業績に影響を与える場合があります。
当社グループの主たる事業であるガスの販売は、気温や水温の変動により影響を受けるため、当社グループの業績に影響を与える可能性があります。また、ガスの販売量及び売上高は冬季に増加し、夏季に減少する傾向にあるため、当社グループの利益は上半期に偏る傾向にあります。
電力会社など他エネルギーとの競合激化や自由化の進展による競合激化により、当社グループの経営成績に影響を与える可能性があります。
このため、当社グループは、安心・安全・安定供給をベースに、環境性やレジリエンス性向上への取り組み、快適な生活をお送りいただくための新たな料金メニューやくらしサービスの展開、お客さまや地域社会のさまざまな課題を解決すべく、従来からのリアル接点に加えてデジタル接点を活用していくなど、競争激化の中でもお客さまや地域社会との信頼関係強化に努めていきます。
当社グループ及び委託先が取り扱う商品・サービス等に関する品質にトラブルが発生した場合、対応に要する費用の支出や社会的信用の低下等により、業績に影響を及ぼす可能性があります。
このため、当社グループは定期保安巡回の確実な実施によりガス機器の安全利用や事故防止に努め、また、お客さまサービス拠点「エネリア」を中心にお客さま宅への積極的な訪問を実施し、商品やサービスに関してのお困りごとなどの把握から、トラブルを未然に防止することに努めております。
新たな資金調達に際しては、金利情勢の変動により、当社グループの業績に影響を与える可能性があります。ただし、当社グループの有利子負債のほとんどを固定金利で調達しており、当社グループへの影響は限定的であります。
法令、約款、若しくは企業倫理や社会的規範に反する行為が発覚した場合、社会的な責任を含めて有形無形の損害が発生する可能性があります。このため、静岡ガスグループ行動基準を定めコンプライアンスの徹底に努めるとともに、コンプライアンス委員会を設置し、同委員会の策定する基本方針に基づき、当社グループ全体でコンプライアンス向上の取り組みを推進しております。
当社グループで管理しているお客さまの情報が外部へ漏洩した場合、その対応や当社グループの信用の失墜等により、有形無形の損害が発生する可能性があります。
そのため、個人情報保護に関する規程、情報管理に関する規程を制定し全従業員に対して情報管理に対する教育を実施する等、情報漏洩の対策を推進しております。さらに、サイバー攻撃に対する各種セキュリティ対策を行うとともに、事案発生時の対応訓練などを継続的に実施しております。
ガスの製造・供給やお客さま受付、料金に関する基幹的なITシステムに、停止・誤作動等のトラブルが発生した場合は、当社グループの業績および事業継続に影響を与える可能性があります。
このため、各種機器は耐障害性・耐災害性に優れたデータセンターへ設置するとともに、機器および通信の冗長化やデータのバックアップなど、システムの安定稼動に必要な対策を実施しております。
ガス事業法、電気事業法等の各種法令や制度、国のエネルギー政策が変更された場合は、当社グループの業績に影響を与える可能性があります。
新型コロナウイルス感染症等の感染症が拡大した場合、当社グループの業績に影響を与える可能性があります。このため、事業継続計画の策定や非常事態対応体制の整備等、影響を最小化する対策を実施しております。
当社グループは、案件ごとに収益性やリスク等の評価を行い、総合的な経営判断のもとに投資を決定しております。国内外の経済情勢の変化等により、投資が適切に回収できない場合、当社グループの業績に影響を与える可能性があります。
カーボンニュートラルに向けた動きが広がることによる新たな環境規制や制度の導入等により追加的な対応コストの増加が発生した場合、当社グループの業績や財務状況に影響を及ぼす可能性があります。
当社グループは、気候変動問題に伴う規制の変更や将来的な脱炭素社会の実現に向け公表した「静岡ガスグループ2050年カーボンニュートラルビジョン」に則り、2030年に向けて「お客様先・地域全体でのエネルギー高度利用と省エネ推進」「ガス・電気のカーボンニュートラル化」「CO2吸収と利用」に取り組んでまいります。
当連結会計年度(以下、当期という。)における当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)の状況の概要並びに経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりです。
なお、将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。
当期におけるわが国の経済は、新型コロナウイルス感染症の拡大防止と社会経済活動の両立が進み、持ち直しの動きが見られた一方、エネルギー価格の高騰や急速な円安の進行に伴う物価上昇、欧米各国の金融引締めによる世界的な景気後退懸念などにより、先行き不透明な状況が続きました。
エネルギー業界におきましては、2050年までのカーボンニュートラル実現に向けた脱炭素の動きが進展する中、業種や地域の垣根を越えた競争が一層激しさを増す一方、ロシアのウクライナ侵攻などに起因したエネルギーの需給ひっ迫による安定供給や価格高騰への対応など、当社グループを取り巻く環境は大きく変化しました。
このような状況のもと、当社グループは、地域の皆さまとともに様々な課題を解決することで、持続可能なくらしやすい地域をつくる「地域共創」の実現を目指し、ガスを中心とした基盤事業の他、くらしサービスや再生可能エネルギー、海外事業などの分野に積極的に取り組んでまいりました。
当期における当社グループの連結売上高は、前連結会計年度(以下「前期」という)に比べ55.9%増の207,325百万円となりました。
当社グループにおける売上高の大半を占めるガス事業の売上高は、ガス販売量の増加や原料費調整制度によるガス販売単価の上方調整などにより、前期に比べ66.0%増の173,433百万円となりました。
なお、ガス販売量については、家庭用は減少しましたが、業務用、工業用および卸用で増加したことなどから、前期に比べ2.8%増の1,672百万㎥となりました。
LPG・その他エネルギー事業の売上高は、電力事業における販売量増加や燃料費調整制度による販売単価の上方調整、LPG事業における販売量の増加や原料高に伴う販売単価の引き上げなどにより、前期に比べ31.4%増の27,698百万円となりました。
設備工事、受注工事及びガス機器販売等のその他の事業の売上高は、設備工事の売上が増加したことなどにより、前期に比べ4.3%増の15,899百万円となりました。
売上原価は、前期に比べ69.1%増の169,654百万円となりました。ガス事業及びLPG・その他エネルギー事業は、売上の増加に伴う増加の一方、ガス事業においては長期契約でのLNG調達に努め、高騰したスポット市場でのLNG調達を抑制いたしました。また、その他の事業は、設備工事等の増収に伴い増加しました。
供給販売費及び一般管理費は、前期に比べ5.0%増の29,040百万円となりました。
この結果、営業利益は前期に比べ73.0%増の8,629百万円となりました。
営業外損益は、匿名組合投資損失の計上などにより、前期に比べ622百万円の減益要因となりました。
この結果、経常利益は前期に比べ46.6%増の9,491百万円となりました。
特別損益は、前期に投資有価証券売却益の計上があったことにより、前期に比べ32百万円の減益要因となりました。
以上により、税金等調整前当期純利益は9,491百万円となり、これから法人税等や非支配株主に帰属する当期純利益を差し引き、親会社株主に帰属する当期純利益は前期に比べ45.2%増の5,975百万円となりました。
セグメントの経営成績は、次のとおりであります。
お客さま数(取付メーター数)は、新築市場及び既存市場において新規のお客さまの獲得に努めたことなどから、当期中に573戸増加し、期末現在で360,619戸となりました。
ガス販売量は、前期に比べ2.8%増の1,672百万㎥となりました。用途別では、家庭用は、気温が夏場以降高めに推移し給湯需要が減少したことなどにより、前期に比べ2.5%減の92百万㎥となりました。業務用(商業用・公用および医療用)は、イベントの再開など経済活動の回復に伴う空調・給湯需要の増加などにより、前期に比べ3.3%増の77百万㎥となりました。工業用は、お客さま設備の稼働が堅調に推移したことなどから、前期に比べ1.6%増の845百万㎥となりました。卸供給は、前期に比べ5.3%増の658百万㎥となりました。
(注) 1 「お客さま数」は、期末取付メーター数を記載しております。
2 「お客さま数」には、卸供給先のお客さま数は含みません。
売上高は、ガス販売量の増加や原料費調整制度によるガス販売単価の上方調整などにより前期に比べ66.0%増の173,433百万円となりました。セグメント利益(営業利益)は主に売上高の増加に伴い前期に比べ53.9%増の9,055百万円となりました。
電力事業における販売量増加や燃料費調整制度による販売単価の上方調整、LPG事業における販売量の増加や原料高に伴う販売単価の引き上げなどにより、売上高は前期に比べ31.4%増の27,698百万円となり、セグメント利益(営業利益)は同69.8%増の1,523百万円となりました。
設備工事、受注工事およびガス機器販売などのその他の事業は、設備工事売上の増加等により、売上高は前期に比べ4.3%増の15,899百万円となり、セグメント利益(営業利益)は同11.8%減の956百万円となりました。
(注) 1 上記セグメント別の業績数値には、セグメント間の内部取引を含んでおります。
2 本報告書でのガス量は、すべて1㎥当たり45MJ(メガジュール)換算で表示しております。
当社グループにおいては、当社及び連結子会社が営むガスセグメントが、生産、受注及び販売活動の中心となっております。
このため、以下はガスセグメントについて記載しております。
ガスの生産実績は次のとおりであります。
(注) ガス量は1㎥当たり45MJ換算し、表示単位未満を四捨五入しております。
ガスについては、その性質上、受注生産は行っておりません。
ガスは、導管を通じて直接お客さまに販売しております。また、他のガス事業者に卸供給をしております。
(注) 1 「お客さま数」は、期末取付メーター数を記載しております。
2 「お客さま数」には、卸供給先のお客さま数は含みません。
3 販売量は1㎥当たり45MJ換算し、表示単位未満を四捨五入しております。
4 上記数値は、セグメント間の内部取引を含んでおります。
5 主要な販売先として、㈱INPEX及びサーラエナジー㈱へ卸供給をしております。㈱INPEXへの前連結会計年度における販売実績は248百万㎥、総販売実績に対する割合は15.3%であり、当連結会計年度における販売実績は246百万㎥、総販売実績に対する割合は14.8%であります。サーラエナジー㈱への前連結会計年度における販売実績は194百万㎥、総販売実績に対する割合は12.0%であり、当連結会計年度における販売実績は227百万㎥、総販売実績に対する割合は13.6%であります。
なお、当社グループのガスセグメントにおいては、上記のほか、LNGの販売を行っております。
当期末における総資産は、現預金の増加や、ガス販売単価上昇による受取手形、売掛金及び契約資産の増加、新規取得や株式市況の影響による投資有価証券の増加等により、前期末に比べ35,500百万円増の159,497百万円となりました。
負債は、コマーシャル・ペーパーや長期資金の調達等により、前期末に比べ28,042百万円増の59,888百万円となりました。
純資産は、当期の利益計上による利益剰余金の増加等により、前期末に比べ7,458百万円増の99,608百万円となりました。
この結果、当期の自己資本比率は58.2%となりました。
営業活動によるキャッシュ・フローは、4,116百万円の収入(前期は6,909百万円の支出)となりました。これは、減価償却前利益が18,232百万円となり、ガス販売単価の上昇により売上債権及び契約資産が増加したことなどによるものであります。
投資活動によるキャッシュ・フローは、14,074百万円の支出(前期は9,797百万円の支出)となりました。これは、ガス導管網の拡張・整備や再生可能エネルギーなどへの設備投資や投資有価証券の取得等によるものであります。
財務活動によるキャッシュ・フローは、23,552百万円の収入(前期は1,412百万円の支出)となりました。これは、コマーシャル・ペーパーの発行等によるものであります。
以上の結果、当期末における現金及び現金同等物は、前期末と比べ13,715百万円増加し、当期末残高は27,264百万円となりました。
なお、当社グループのキャッシュ・フロー関連指標は以下のとおりであります。
(注) 1 各指標はいずれも連結ベースの財務数値を用いて、以下の計算式により算出しております。
2 株式時価総額は、期末株価終値×期末発行済株式数(自己株式控除後)により算出しております。
3 キャッシュ・フローは、連結キャッシュ・フロー計算書の営業活動によるキャッシュ・フローを使用しております。
4 有利子負債は、連結貸借対照表に計上されている負債のうち、長期借入金(1年以内に期限到来のものを含む)、短期借入金、コマーシャル・ペーパーを対象としております。また、利払いについては、連結キャッシュ・フロー計算書の利息の支払額を使用しております。
当社グループの事業活動の維持拡大に必要な資金を安定的に確保するため、設備投資資金については、自己資金を充当し、不足分を社債の発行や金融機関からの長期借入による調達を基本としております。
また、短期運転資金は、主に自己資金、短期借入金、コマーシャル・ペーパー等で賄っていく方針であります。
なお、当社グループ内でキャッシュ・マネジメント・システムを採用しており、余剰資金の活用等により、当社グループ全体の有利子負債の削減を図っております。
その結果、当連結会計年度末の有利子負債残高は32,177百万円となりました。
当社グループの連結財務諸表は、我が国において一般に公正妥当と認められる会計基準に基づき作成しております。重要な会計方針については、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 注記事項 (連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項)」に記載しております。連結財務諸表の作成にあたっては、過年度実績や経営計画、入手可能で合理的な情報に基づく仮定等から会計上の見積りを行っておりますが、見積りは不確実性を伴うため、実際の結果は異なる場合があります。
なお、新型コロナウイルス感染症の影響については、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 注記事項(追加情報)」に記載しております。
該当事項はありません。
当社グループにおける主要な設備は以下のとおりであります。(2022年12月31日現在)
(注) 帳簿価額のうち「その他」は、構築物、器具備品等であります。
(注) 1 帳簿価額のうち「その他」は、構築物、器具備品等であります。
2 清水エル・エヌ・ジー㈱の袖師基地の敷地 91千㎡は当社グループ外から賃借しております。
会社法に基づき発行した新株予約権は、次のとおりであります。
※ 当事業年度の末日(2022年12月31日)における内容を記載しております。なお、提出日の前月末現在(2023年2月28日)において、これらの事項に変更はありません。
(注) 1 新株予約権1個につき目的となる株式数は、100株である。
2 当社が当社普通株式の株式分割(当社普通株式の株式無償割当てを含む)または株式併合を行う場合には、次の算式により付与株式数の調整を行い、調整の結果生じる1株未満の端数は、これを切り捨てる。
また、割当日以降、当社が合併または会社分割を行う場合その他これらの場合に準じて付与株式数の調整を必要とする場合には、当社は、合理的な範囲で付与株式数を適切に調整することができる。
3 各新株予約権の行使に際して出資される財産の価額は、当該各新株予約権を行使することにより交付を受けることができる株式1株当たりの行使価額を1円とし、これに付与株式数を乗じた金額とする。
4 新株予約権の行使により株式を発行する場合における増加する資本金及び資本準備金に関する事項
(1) 新株予約権の行使により株式を発行する場合における増加する資本金の額は、会社計算規則第17条第1項に従い算出される資本金等増加限度額の2分の1の金額とし、計算の結果生じる1円未満の端数は、これを切り上げる。
(2) 新株予約権の行使により株式を発行する場合における増加する資本準備金の額は、上記(1)記載の資本金等増加限度額から上記(1)に定める増加する資本金の額を減じた額とする。
5 当社が、合併(当社が合併により消滅する場合に限る)、吸収分割もしくは新設分割(それぞれ当社が分割会社となる場合に限る)または株式交換もしくは株式移転(それぞれ当社が完全子会社となる場合に限る)(以上を総称して以下、「組織再編行為」という)をする場合には、組織再編行為の効力発生日(吸収合併につき吸収合併がその効力を生ずる日、新設合併につき新設合併設立株式会社の成立の日、吸収分割につき吸収分割がその効力を生ずる日、新設分割につき新設分割設立株式会社の成立の日、株式交換につき株式交換がその効力を生ずる日及び株式移転につき株式移転設立完全親会社の成立の日をいう 以下同じ)の直前において残存する新株予約権(以下、「残存新株予約権」という)を保有する新株予約権者に対し、それぞれの場合につき、会社法第236条第1項第8号イからホまでに掲げる株式会社(以下、「再編対象会社」という)の新株予約権をそれぞれ交付することとする。ただし、以下の各号に沿って再編対象会社の新株予約権を交付する旨を、吸収合併契約、新設合併契約、吸収分割契約、新設分割計画、株式交換契約または株式移転計画において定めることを条件とする。
(1) 交付する再編対象会社の新株予約権の数
新株予約権者が保有する残存新株予約権の数と同一の数をそれぞれ交付する。
(2) 新株予約権の目的である再編対象会社の株式の種類
再編対象会社の普通株式とする。
(3) 新株予約権の目的である再編対象会社の株式の数
組織再編行為の条件等を勘案の上、(注)2に準じて決定する。
(4) 新株予約権の行使に際して出資される財産の価額
交付される各新株予約権の行使に際して出資される財産の価額は、以下に定められる再編後行使価額に上記(3)に従って決定される当該新株予約権の目的である再編対象会社の株式の数を乗じて得られる金額とする。再編後行使価額は、交付される各新株予約権を行使することにより交付を受けることができる再編対象会社の株式1株当たり1円とする。
(5) 新株予約権を行使することができる期間
上表に定める新株予約権を行使することができる期間の開始日と組織再編行為の効力発生日のうちいずれか遅い日から、上表に定める新株予約権を行使することができる期間の満了日までとする。
(6) 新株予約権の行使により株式を発行する場合における増加する資本金及び資本準備金に関する事項
(注)4に準じて決定する。
(7) 譲渡による新株予約権の取得の制限
譲渡による新株予約権の取得については、再編対象会社の取締役会の決議による承認を要する。
(8) その他の新株予約権の行使の条件
(注)6に準じて決定する。
6 その他の新株予約権の行使の条件
(1) 新株予約権者は、当社または当社の完全子会社のそれぞれの会社において、取締役及び執行役員のいずれの地位をも喪失した日の翌日以降、当該喪失した地位に基づき割当てを受けた新株予約権を行使することができる。
(2) 上記(1)は、新株予約権を相続により承継した者については適用しない。
(3) 新株予約権者が新株予約権を放棄した場合、当該新株予約権を行使することができない。
(4) その他の行使の条件は、当社取締役会決議に基づき、当社と新株予約権者との間で締結した「新株予約権割当契約書」に定めるところによる。
該当事項はありません。
(注) 1 一般募集による増加であります。
発行価格 :798円
発行価額 :760円96銭
資本組入額:381円
2 野村證券㈱へ第三者割当増資による増加であります。
発行価格 :760円96銭
資本組入額:381円
(注) 自己株式2,043,820株は、「個人その他」に20,438単元、「単元未満株式の状況」に20株を含めて記載しております。なお、株式は、株主名簿記載の株式数であり、実保有株式数と同数であります。
2022年12月31日現在
(注) 1 「みずほ信託銀行株式会社退職給付信託 みずほ銀行口 再信託受託者 株式会社日本カストディ銀行」の持株数2,820千株については、委託者である株式会社みずほ銀行が議決権の指図権を留保しております。
2 「みずほ信託銀行株式会社退職給付信託 スルガ銀行口 再信託受託者 株式会社日本カストディ銀行」の持株数1,245千株については、委託者であるスルガ銀行株式会社が議決権の指図権を留保しております。
3 上記のほか、当社所有の自己株式2,043千株(発行済株式総数に対する所有株式数の割合2.68%)があります。
1 報告セグメントの概要
当社グループの報告セグメントは、当社グループの構成単位のうち分離された財務情報が入手可能であり、取締役会が、経営資源の配分の決定及び業績を評価するために、定期的に検討を行う対象となっているものであります。
当社グループは、都市ガス及びLPG普及を中心とした「総合エネルギー事業」を展開することを基本としており、製品・サービス別のセグメントである「ガス」及び「LPG・その他エネルギー」の2つを報告セグメントとしております。
各報告セグメントの主な製品・サービスは以下のとおりであります。
「ガス」・・・ガス、LNG
「LPG・その他エネルギー」・・・LPG、電力、オンサイト・エネルギーサービス