株式会社ベクターホールディングス
Vector HOLDINGS Inc.
東京都新宿区西新宿二丁目1番1号
証券コード:26560
業界:小売業
有価証券報告書の提出日:2023年10月19日

    提出会社の経営指標等

回次

第31期

第32期

第33期

第34期

第35期

決算年月

2019年3月

2020年3月

2021年3月

2022年3月

2023年3月

営業収益

(千円)

1,150,302

949,480

867,400

365,330

246,164

経常利益又は経常損失(△)

(千円)

138,859

41,513

57,317

344,398

362,136

当期純利益又は当期純損失(△)

(千円)

207,008

39,484

59,724

345,348

435,868

持分法を適用した場合
の投資利益

(千円)

資本金

(千円)

1,018,718

1,018,718

1,018,718

1,018,718

1,186,298

発行済株式総数

(株)

14,007,000

14,007,000

14,007,000

14,007,000

15,147,000

純資産額

(千円)

1,059,468

1,098,947

1,039,222

693,873

606,695

総資産額

(千円)

1,926,918

1,531,768

1,357,776

976,951

807,178

1株当たり純資産額

(円)

76.33

79.18

74.87

49.99

39.49

1株当たり配当額

(内1株当たり中間配当額)

(円)

 

 

 

 

 

(-)

(-)

(-)

(-)

(-)

1株当たり当期純利益又は当期純損失(△)

(円)

14.91

2.84

4.30

24.88

31.01

潜在株式調整後1株当たり当期純利益金額

(円)

自己資本比率

(%)

55.0

71.7

76.5

71.0

73.5

自己資本利益率

(%)

17.8

3.7

5.6

39.9

67.7

株価収益率

(倍)

62.2

配当性向

(%)

営業活動による
キャッシュ・フロー

(千円)

46,828

159,647

91,256

173,882

428,267

投資活動による
キャッシュ・フロー

(千円)

506,281

138,309

7,752

95,409

182,336

財務活動による
キャッシュ・フロー

(千円)

348,690

現金及び現金同等物
の期末残高

(千円)

757,242

778,580

862,084

783,611

521,697

従業員数(ほか、
平均臨時雇用者数)

(名)

54

25

25

24

30

(10)

(2)

(2)

(3)

(4)

株主総利回り

(比較指標:日経225)

(%)

(%)

90.1

36.5

82.3

65.8

49.8

 

 

 

 

 

(98.8)

(88.2)

(136.0)

(129.7)

(130.7)

最高株価

(円)

633

485

846

457

357

最低株価

(円)

240

146

184

256

220

 

 

(注)1.当社は、連結財務諸表を作成しておりませんので、連結会計年度に係る主要な経営指標については、記載しておりません。

2.当社は関連会社がありませんので、持分法を適用した場合の投資利益については記載しておりません。

3.当社の潜在株式調整後1株当たり当期純利益金額については、潜在株式は存在するものの、1株当たり当期純損失であるため、記載しておりません。なお、第32期、第33期及び第34期の潜在株式は存在しておりません。

4.第31期、第33期、第34期及び当期の株価収益率については、1株当たり当期純損失であるため、記載しておりません。

5.最高株価及び最低株価は、2022年4月3日以前は、東京証券取引所市場JASDAQにおけるものであり、2022年4月4日以降は東京証券取引所スタンダード市場におけるものであります。

6.「収益認識に関する会計基準」(企業会計基準第29号 2020年3月31日)等を第34期の期首から適用しており、第34期に係る主要な経営指標等については、当該会計基準等を適用した後の指標等となっております。

 

 

2 【沿革】

年月

概要

1989年2月

東京都千代田区に、㈲ベクターデザインを出資金200万円をもって設立する。

1993年5月

本社事務所を東京都練馬区に移す。

1994年7月

「PACK2000 1994年後期版」(CD-ROM付フリーソフト・シェアウエア集)を発行する。

1995年12月

インターネット上でのパソコンソフトのダウンロード専門サイト「THE COMMON for SOFTWARE」を開設する。

1996年10月

サイト名を「Vector Software PACK」に変更する。

1996年11月

有限会社を株式会社に改組、商号を株式会社ベクターに変更する。

1998年3月

インターネット上でシェアウェアの送金代行サービス「シェアレジ・サービス」を開始する。

1998年10月

サイト名を「Vector」に変更する。

1999年3月

ヤフー㈱が当社に資本参加する。

1999年7月

インターネット上でソフトハウスのプロダクトソフトを対象にした本格的なダウンロード販売サービス「プロレジ・サービス」を開始する。

1999年7月

書籍事業から撤退する。

2000年1月

ソフトバンク・コマース㈱(注)とパソコン用ソフトウェアのダウンロード販売分野で業務提携。併せてソフトバンク・イーコマース㈱(旧ソフトバンク・コマース㈱)を割当先とする第三者割当増資を実施。同社の持株比率は46%強となり当社の筆頭株主となる。

2000年8月

当社株式を大阪証券取引所ナスダック・ジャパン(ニッポン・ニュー・マーケット―「ヘラクレス」)市場に上場する。

2001年7月

携帯電話向けソフトウェアのポータルサイト運営のため、スパイシーソフト㈱と合弁で子会社スパイシー・ベクター㈱を設立する。

2002年12月

CD、DVDなどマルチメディア・コンテンツの企画、制作、販売業務を行うため、完全子会社㈱ラスターを設立する。

2003年8月

子会社スパイシー・ベクター㈱について、当社の保有する全株式をスパイシーソフト㈱に譲渡したため、子会社でなくなる。

2003年9月

子会社㈱ラスターについて、ゲームソフト等のワンコイン(500円)CDが販売不振に陥り、回復困難と判断して当該事業から撤退する。

2003年12月

インターネットを通じてパソコンソフトのパッケージ販売を開始する。

2004年6月

インターネットを通じてパソコン及び同周辺機器(ハードウェア)の販売を開始する。

2004年10月

インターネットを利用したパソコン・同周辺機器などハードウェア並びにパソコンソフトのパッケージ販売を行うバリューモア㈱の株式を取得し、子会社化する。

2005年9月

ソフトパッケージ販売事業及びハードウェア販売事業の業務を子会社バリューモア㈱に移管する。

2006年11月

オンラインゲーム事業の課金サービスを開始する。

2007年5月

オンラインゲームサービスの企画、運営、配信を行う㈱GAMESPACE24(同年7月商号変更を行い、㈱ベルクスとなる)の株式を取得し、子会社化する。

2007年9月

当社のオンラインゲーム事業を吸収分割により連結子会社㈱ベルクスに統合する。

2008年3月

㈱ガーラに資本参加し、日米欧で展開する新規オンラインゲームタイトルの検討・交渉・獲得並びに運営等に係る業務提携を結ぶ。

2009年2月

連結子会社㈱ベルクスを吸収合併する。

2009年2月

100%子会社㈱ラスターを解散し、清算する。

2009年2月

㈱AQインタラクティブとオンラインゲームのうちブラウザゲームの国内流通・販売・運営並びに共同開発に係る業務提携を結ぶ。

2009年9月

連結対象子会社バリューモア㈱の保有全株式を売却したため、連結対象からはずれる。

2010年10月

大阪証券取引所は傘下のJASDAQ市場とヘラクレス市場及びNEO市場を統合して、新JASDAQ市場を発足させ、当社株式は同市場のスタンダードに上場された。

2013年6月

ソフトバンクBB㈱保有の当社株式の全株式が、親会社ソフトバンク㈱(注)に現物配当された。

2013年7月

大阪証券取引所が現物市場を東京証券取引所に統合したことにより、当社株式は東京証券取引所JASDAQ市場スタンダードの上場となる。

 

 

年月

概要

2016年4月

親会社ソフトバンクグループ㈱保有の当社株式の全株式が、同社の中間持株会社ソフトバンクグループジャパン合同会社(注)に移管された。

2017年4月

ソフトバンクグループインターナショナル合同会社を存続会社、ソフトバンクグループジャパン合同会社を消滅会社とする吸収合併により、ソフトバンクグループインターナショナル合同会社(注)がその他の関係会社となる。

2018年4月

ソフトバンクグループインターナショナル合同会社保有の当社株式の全株式が、ソフトバンク㈱(注)に移管され、ソフトバンク㈱が親会社となる。

2019年1月

「App Pass」運用事業を開始する。

2019年5月

オンラインゲーム事業をライオンズフィルム㈱に事業譲渡する。

2019年10月

本社事務所を東京都渋谷区に移す。

2021年2月

電子署名サービス「みんなの電子署名」を開始する。

2022年3月

改正電子帳簿法対応タイムスタンプ付与サービス「みんなのタイムスタンプ」を開始する。

2022年4月

東京証券取引所が市場区分を見直したことにより、JASDAQ市場からスタンダード市場へ移行

2022年10月

ソフトバンク㈱が当社株式を譲渡したためその他の関係会社となる。

2023年3月

本社事務所を東京都新宿区に移す。

2023年6月

商号を株式会社ベクターホールディングスに変更する。

 

(注)親会社の変遷については、以下の通りであります。なお、ソフトバンク株式会社は、当社の株式保有率が15.17%となったため、「その他の関係会社」となっております。

 


 

 

3 【事業の内容】

当社は「インターネットおよびインターネットに関する技術を使用したサービス」を基軸とする単一セグメントであり、事業の内容は、「インターネットおよびインターネットに関する技術を使用したサービス」であります。事業内において提供する各種ビジネスやサービスとしましては、ソフトウェアの販売、サイト広告の販売、「PayPayポイント」のスマホ専用ポイントモール「QuickPoint」の運営、電子署名サービスのベクターサインの運営等となります。

(注) SB C&S㈱は、IT関連製品の製造・流通・販売、IT関連サービスの提供を行っており、ソフトバンク㈱の完全子会社であります。当社のソフトウェア販売事業に係る主要な仕入先となっております。

 

事業の系統図は、次のとおりであります。(2023年3月31日現在)


4 【関係会社の状況】

 

名称

住所

資本金又は
出資金
(百万円)

主要な事業の内容

議決権の被所有
割合(%)

関係内容

(その他の関係会社)

 

 

 

 

 

ソフトバンク㈱

東京都港区

204,309

移動通信サービスの提供、携帯端末の販売、固定通信サービスの提供、インターネット接続サービスの提供

15.17

App Passの運営に関する業務提携

 

(注) ソフトバンク㈱は、有価証券報告書提出会社であります。

 

 

5 【従業員の状況】
(1) 提出会社の状況

2023年3月31日現在

従業員数(名)

平均年齢(歳)

平均勤続年数(年)

平均年間給与(千円)

30

(4)

43.5

10.4

5,751

 

(注) 1. 臨時従業員数はパートタイマーのみを対象にしており、( )内に当事業年度の平均人員を外数で記載しております。

2. 平均年間給与には、賞与及び基準外賃金を含んでおります。

 

(2) 労働組合の状況

当社では労働組合は、結成されておりませんが、労使関係は、円満に推移しております。

 

(3)管理職に占める女性労働者の割合、男性労働者の育児休業取得率及び労働者の男女の賃金の差異

当事業年度

補足説明

管理職に占める女性労働者の割合(%)

(注)

男性労働者の

育児休業取得率(%)(注)

労働者の男女の

賃金の差異(%)(注)

正規雇用

労働者

パート・

有期労働者

全労働者

正規雇用

労働者

パート・

有期労働者

9.1

0.0

86.9

85.2

 

(注)「女性の職業生活における活躍の推進に関する法律」(平成27年法律第64号)の規定に基づき算出したものであります。

 

1 【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】

当社はインターネットを通じて多くの人々の生活が「より便利に、より楽しく」なるサービスを創造することをモットーに経営を展開しております。

当社では、インターネットビジネスが当社のコアコンピタンスであるとの認識のもと、ヒト、モノ、カネ、情報などからなるすべての経営資源を最大限に活用して収益機会の多様化を図り、企業価値の向上を通じて、株主の皆様の期待に応えるべく努力してまいります。

 

 

3 【事業等のリスク】

 当社の経営成績、財務状況等に影響を及ぼす可能性のあるリスクには以下のようなものがあります。これらのリスク発生の可能性を認識した上で、発生の回避及び発生した場合の対応に努める所存でありますが、あくまでも当事業年度末現在において把握している主要なリスクであり、リスクのすべてを網羅するものではありません。

 

 1. インターネット通信回線及びサーバー機器等のトラブルについて

 当社の事業は、すべてインターネット上で展開しているため、インターネットサービスを支えるサーバーについて複数サーバーによる負荷分散、バックアップの励行等を図り、その安全運用に努めております。また、利用者数の増大に合わせたサーバー増強を継続的に行う方針であります。こうした対応にもかかわらず、予期せぬ規模の自然災害の発生等により通信回線の遮断やサーバー機器等のシステムトラブルが発生した場合には、利用者へのサービス提供が出来なくなり、業績に影響を与える可能性があります。

 

 2. 個人情報の保護について

当社は、2005年11月に財団法人日本情報処理開発協会(JIPDEC)より「プライバシーマーク」の認定を取得し、JISQ15001に適合した個人情報保護体制を構築・運用しております。不測の事態により、万が一個人情報の漏洩があった場合には、信用低下による取引の縮小や停止、損害賠償が発生するなど業績に影響を与える可能性があります。

 

 3. データベースの保護について

 当社のデータベースは、すべて外部からの不正アクセスができないように、ファイアウォール等のセキュリティ手段によって保護されております。さらにソフトウェアの販売サービスのデータベースは、当社の他のデータベースとは独立し、このデータベースには外部からの接続はもとより、社内でも限られた者しかアクセスできないようになっています。これらのデータの漏洩等があった場合には、信用低下による取引の縮小や停止、損害賠償が発生するなど業績に影響を与える可能性があります。

 

 4. 不動作、コンピュータウィルスのチェックについて

 当社は、ソフトウェアの公開前に「各ソフトの作者から公開の許諾を得ること」、「コンピュータウィルスをチェックすること」、「分類目的で内容をチェックすること」を行っていますが、それ以外のチェックは原則として行っておりません。また、ソフトウェアが利用者の意図したとおりに動作しないこと、ソフトウェアのコンピュータウィルス感染などに対して発生した損失や損害に関して、一切責任を負わないことをソフトダウンロードサービスの利用に際して免責事項としております。しかしながら、ソフトウェアの動作不良やコンピュータウィルス感染が取扱い商品の多くで起こった場合、当社の信用低下に繋がり、業績に影響を与える可能性があります。

 

  5. 決済方法とセキュリティについて

 当社は、利用者が商品の購入代金やサービスの利用代金を決済する方法の一つとしてクレジットカード決済を提供しており、その業務を株式会社イーコンテクストに委託しております。これにより、原則として当社が利用者のクレジットカード情報を保持しないこととしております。

また、盗用されたクレジットカードが当社の決済に不正使用されることを防止するため、3Dセキュア(本人認証サービス)や独自の監視システムを導入しております。

上記のように、リスクの最小化とセキュリティレベルの向上に努めておりますが、不測の事態により、万が一利用者のクレジットカード情報が漏洩した場合、あるいは盗用されたクレジットカードが当社の決済に不正使用されることが増加した場合、信用低下による取引の縮小や停止、損害賠償が発生するなど業績に影響を与える可能性があります。

 

  6. 事業体制について

 当社は、2023年3月31日現在、役員6名並びに従業員30名と比較的組織が小さく、内部管理体制も当該規模に応じたものになっております。今後の事業組織の拡大、人員の増加とともに、内部管理体制の一層の充実を図る方針であります。コンピュータ技術、あるいは管理部門に精通しているなど当社が必要とする人材の確保は容易ではないため、人材の確保及び管理体制の強化が順調に進まなかった場合には、適切かつ十分な組織的対応できず、業務に支障をきたす可能性があります。

また、人材の確保及び管理体制の強化が順調に行われた場合でも、人件費、教育及び設備コスト増大など固定費の増加によって収益性の悪化を余儀なくされる可能性があります。

 

  7. ソフトバンクグループ各社との関係について

(1) SB C&S㈱との提携関係及び仕入先の依存状況について

SB C&S㈱は当社のその他の関係会社であるソフトバンク㈱の子会社であります。当社と同社は、2000年1月8日付けでソフトウェアのダウンロード販売等に関する業務提携に関する契約を締結しており、ダウンロード販売事業の仕入れの約3割を同社から行っております。現在、同社との関係性は良好であり、安定的に仕入れを行っておりますが、提携関係の変更・解消があった場合には、業績に影響を与える可能性があります。

 

   8. 法令について

当社は、企業活動に関わる各種法令(公正な競争、消費者保護、プライバシー保護、労務、知的財産権、租税、為替に関する各種関係法令を含みますが、これらに限りません。)の規制を受けています。当社がこれらの法令に違反する行為を行った場合、違反の意図の有無にかかわらず、行政機関からの行政処分や行政指導を受ける可能性があります。その結果、当社の信頼性や企業イメージが低下したり、事業展開に支障が生じたりする可能性があるほか、金銭的負担の発生により、当社の業績に影響を及ぼす可能性があります。また、これらの法令の改正もしくは新たな法令の施行または法令の解釈・適用(その変更を含みます。)により、当社の期待通りに事業を展開できなくなる可能性があります。

 

 9. 継続企業の前提に関する重要事象等

当社は、前期に345,889千円、当期に354,345千円の大幅な営業損失を計上し、また、当期には営業キャッシュ・フローも428,267千円と大幅なマイナスとなっております。当該状況により、継続企業の前提に重要な疑義を生じさせるような状況が存在しております。

当社は、当該状況を解消し又は改善すべく、2024年3月期において、再生可能エネルギー関連ビジネスおよびM&A仲介ビジネスによる大幅な営業収益の増加を計画し、営業損失の大幅縮小および営業キャッシュ・フローがプラスとなる予定であります。

具体的には、2024年3月期の事業年度において、再生可能エネルギー関連ビジネスとしては、鳥取県西伯郡に太陽光発電所用地及び売電権利を取得・販売を手始めに、太陽光発電所の販売事業を順次進め、営業収益の発生の増加と営業損失の大幅縮小を計画しております。また、M&A仲介ビジネスとしては、M&Aの仲介業務によるコンサル事業の営業収益の発生を計画しています。これら事業の推進により、営業損失の縮小と営業キャッシュ・フローの改善に貢献する予定です。

 

 

4 【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】
(業績等の概要)
(1) 業績

当事業年度(2022年4月1日~2023年3月31日)におけるわが国経済は、新型コロナウィルス感染症による国内外の経済への影響やウクライナ情勢の長期化による原材料価格の上昇の影響を受けて停滞が継続しており、景気の先行きについても、欧米に端を発した金融情勢の悪化による影響で不透明且つ厳しい状況が続いております。

このような環境のもと、当事業年度のソフトウエア販売の営業収益、サイト広告販売の営業収益「AppPass」運用受託収入の何れも前事業年度より減少しております。一方、「QuickPoint」(「PayPayポイント」のポイントモール)およびトラストサービス(「みんなの電子署名」「みんなのタイムスタンプ」)の当事業年度の営業収益は、前事業年度より増加しております。

「AppPass」に関連するソフトウエアの減価償却が前事業年度中に終了したことや、前事業年度に役員退職慰労引当金繰入額の計上が一時的に発生していたこと等から、当事業年度の営業費用は前事業年度に比べて減少しております。

また、本社移転に伴う費用8百万円を営業外費用として計上し、前監査法人から金融商品取引法第193条の3第1項に規定する通知を受け、特別調査委員会を設置して事実関係の調査をした費用として59百万円、固定資産の減損損失7百万円、固定資産の除却損5百万円をそれぞれ特別損失として計上しております。

以上の結果、当事業年度の営業収益は2億46百万円(前事業年度比32.6%減)、営業損失は3億54百万円(前事業年度は3億45百万円の営業損失)、経常損失は3億62百万円(前事業年度は3億44百万円の経常損失)、当期純損失は4億35百万円(前事業年度は3億45百万円の当期純損失)となりました。

 

(2) キャッシュ・フローの状況

① 現金及び現金同等物

当事業年度において現金及び現金同等物は、期首残高の7億83百万円から2億61百万円減少し、期末残高が5億21百万円となりました。

② 営業活動によるキャッシュ・フロー

当事業年度の営業活動によるキャッシュ・フローは、税引前当期純損失4億34百万円から減価償却費3百万円、売上債権の増加額75百万円等の加算や役員退職慰労引当金の減少額46百万円、仕入債務の減少16百万円、預り金の減少額89百万円等の減算をした小計段階で4億28百万円の支出となり、利息及び配当金の受取りと法人税等の支払いを加減算した結果、4億28百万円の支出(前事業年度は1億73百万円の支出)となりました。

③ 投資活動によるキャッシュ・フロー

当事業年度の投資活動によるキャッシュ・フローは、有形固定資産の取得による45百万円の支出、無形固定資産の取得による6百万円の支出、長期差入保証金の差入れによる80百万円の支出、敷金の差入れによる40百万円による支出があり、1億82百万円の支出(前事業年度は95百万円の収入)となりました。

この結果、営業活動によるキャッシュ・フローと投資活動によるキャッシュ・フローを合わせた純現金収支は、6億10百万円の支出となっております。

④ 財務活動によるキャッシュ・フロー

当事業年度の財務活動によるキャッシュ・フローは、新株発行により3億35百万円の収入、新株予約権の発行により13百万円の収入があり、3億48百万円の収入となりました。

⑤ 資本の財源及び資金の流動性に係る情報

営業活動によるキャッシュ・フローと投資活動によるキャッシュ・フローを合わせた純現金収支(フリーキャッシュ・フロー)は、610百万円の支出(前事業年度は78百万円の支出)となっております。

 

(キャッシュ・フロー関連指標の推移)

 

2019年
3月期

2020年
3月期

2021年
3月期

2022年
3月期

2023年
3月期

自己資本比率(%)

55.0

71.7

76.5

71.0

73.5

時価ベースの自己資本比率(%)

315.5

160.4

408.9

454.6

450.3

キャッシュ・フロー対有利子負債比率(%)

インスタント・カバレッジ・レシオ(倍)

 

 

(生産、受注及び販売の状況)
(1) 生産実績

該当事項はありません。

 

(2) 受注実績

該当事項はありません。

 

(3) 商品仕入実績

当事業年度における商品仕入実績はありません。

 

(4) 販売実績

当事業年度における販売実績は次のとおりであります。

セグメントの名称

販売金額(千円)

前年同期比(%)

インターネットおよびインターネットに関する技術を使用したサービス

246,164

67.4

合計

246,164

67.4

 

(注)1. 主な相手先別の販売実績及び総販売実績に対する割合

 

前事業年度

当事業年度

金額(千円)

割合(%)

金額(千円)

割合(%)

ソフトバンク㈱

168,773

46.2

95,302

38.7

 

 

(財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析)
(1) 重要な会計方針及び見積り

当社の財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められる企業会計の基準に基づいて作成しております。この財務諸表の作成にあたっては、経営者による資産及び負債並びに収益及び費用の報告数値及び開示に影響を与える見積りを必要とします。経営者は、これらの見積りについて過去の実績や状況を勘案し合理的に判断を行っておりますが、見積り特有の不確実性により、これらの見積りと実際の結果との間に差異が生じる場合があります。

当社の財務諸表で採用する重要な会計方針は、「第5 経理の状況 2[財務諸表等] (1)[財務諸表] [注記事項](重要な会計方針)」に記載しております。

 

(2) 財政状態及び経営成績の分析

① 財政状態の分析

当事業年度末の資産合計は、前事業年度末に比べ1億69百万円減少して8億7百万円となりました。また、負債合計が前事業年度末に比べ82百万円減少して2億円となり、純資産合計が前事業年度末に比べ87百万円減少して6億6百万円となりました。

(資産)

流動資産減少の主な要因は、現金及び預金が2億61百万円、売掛金が17百万円、未収入金が58百万円減少したこと等によるものです。

固定資産増加の主な要因は、無形固定資産が3百万円減少したものの、有形固定資産が42百万円、長期差入保証金が80百万円、敷金が41百万円増加したこと等によるものです。

(負債)

流動負債減少の主な要因は、未払金が50百万円、未払費用が8百万円増加したものの、買掛金が14百万円、預り金が89百万円減少したこと等によるものです。

固定負債減少の要因は、その他が3百万円増加したものの、退職給付引当金が6百万円、役員退職慰労引当金が46百万円減少したことによるものです。

(純資産)

純資産減少の主な要因は、新株発行により資本金が1億67百万円、資本準備金が1億67百万円増加し、新株予約権が13百万円増加したものの、当期純損失4億35百万円を計上したことによるものです。

また、自己資本比率は73.5%となりました。

 

② 経営成績の分析

当事業年度の経営成績に関する分析につきましては、「第2[事業の状況] 4[経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析] (1)業績」に記載しております。

 

(3) 経営成績に重要な影響を与える要因について

経営成績に重要な影響を与える要因につきましては、「第2[事業の状況] 2[事業等のリスク]」に記載しております。

 

(4) 資本の財源及び資金の流動性についての分析

① キャッシュ・フローの分析

キャッシュ・フローの分析につきましては、「第2[事業の状況] 4[経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析] (2)キャッシュ・フローの状況」に記載しております。

② 資金需要

当社の資金需要のうち主なものは、仕入債務の支払いおよび無形固定資産を取得するためのものであります。

 

 

5 【経営上の重要な契約等】

提出会社の経営上の重要な契約等は以下のとおりであります。

重要な業務提携契約

相手方の名称

契約内容

契約期間

SB C&S㈱(注)1

ソフトウェアのダウンロード販売等に関する業務提携

(注)2

 

(注)1. SB C&S㈱は、2014年4月1日を効力発生日としてソフトバンクBB㈱のC&S事業を分割(新設分割)し、2019年1月1日付けでソフトバンクコマース&サービス㈱から社名変更をしております。

2. 契約期間は、契約締結日(2000年1月8日)から、ソフトバンクBB㈱及び同社の子会社及び関連会社が保有する当社株式の総和が、当社の発行済株式総数の3分の1を下回らない期間について有効としております。2013年6月27日付でソフトバンクBB㈱が保有する当社普通株式の全株式を当該会社の親会社であるソフトバンク㈱に現物配当したことによる当該契約の取り扱いについて、その継続を当社とソフトバンクBB㈱の相互で同意しております。

       業務提携の骨子は、以下のとおりであります。

・同社は、当社が運営するインターネットサイトでダウンロード販売するソフトウェアの仕入業務を引き受け、当社の取扱いソフトの品揃えを拡大するためにソフトハウス向けに積極的にプロモーション活動を行う。

・同社は、利用者向けのソフトウェアダウンロード販売を当社に担当させ、自らは行わない。

 

 

2 【主要な設備の状況】

 

事業所名
(所在地)

設備の内容

帳簿価額(千円)

従業員数
(名)

建物

車両

運搬具

工具、器具及び備品

リース

資産

合計

本社
(東京都新宿区)

事務所

33,793

8,290

2,706

3,778

48,568

30(4)

 

(注)1. 本社事務所用建物は賃借しており、その床面積は332.00㎡であります。

2. 従業員数の( )は、パートタイマー人員を外書きしております。

 

① 【株式の総数】

 

種類

発行可能株式総数(株)

普通株式

54,800,000

54,800,000

 

 

② 【発行済株式】

 

種類

事業年度末現在
発行数(株)
(2023年3月31日)

提出日現在
発行数(株)
(2023年6月27日)

上場金融商品取引所名又は
登録認可金融商品取引業協会名

内容

普通株式

15,147,000

15,147,000

東京証券取引所
スタンダード市場

単元株式数は、100株であります。

15,147,000

15,147,000

 

 

 

 

① 【ストックオプション制度の内容】

該当事項はありません。

 

② 【ライツプランの内容】

該当事項はありません。

 

(4) 【発行済株式総数、資本金等の推移】

 

年月日

発行済株式
総数増減数
(株)

発行済株式
総数残高
(株)

資本金増減額
(千円)

資本金残高
(千円)

資本準備金
増減額
(千円)

資本準備金
残高
(千円)

2017年4月1日~
2018年3月31日(注1)

10,000

14,007,000

1,507

1,018,718

1,507

357,715

2022年4月1日~

2023年3月31日(注2)

1,140,000

15,147,000

167,580

1,186,298

167,580

525,295

 

(注)1 新株予約権の行使によるものであります。

  2 有償第三者割当 発行価額 1株当たり294円 資本組入額 1株につき147円

    割当先 合同会社capital harbor

 

 

(5) 【所有者別状況】

2023年3月31日現在

区分

株式の状況(1単元の株式数100株)

単元未満
株式の状
況(株)

政府及び
地方公共
団体

金融機関

金融商品
取引業者

その他の
法人

外国法人等

個人
その他

個人以外

個人

株主数
(人)

2

19

33

15

23

4,151

4,243

所有株式数
(単元)

385

12,364

72,314

2,260

2,727

61,402

151,452

1,800

所有株式数
の割合(%)

0.254

8.163

47.747

1.492

1.800

40.542

100.00

 

(注)  自己株式127,200株は、「個人その他」に1,272単元含まれております。

 

(6) 【大株主の状況】

2023年3月31日現在

氏名又は名称

住所

所有株式数
(株)

発行済株式(自己株式を除く。)の総数に対する所有株式数の割合(%)

合同会社イーグルキャピタル2号ファンド

東京都新宿区西新宿2-1-1

2,400,000

15.98

ソフトバンク㈱

東京都港区海岸1-7-1

2,278,900

15.17

梶並 伸博

東京都渋谷区

1,407,900

9.37

合同会社イーグルキャピタル1号ファンド

東京都新宿区西新宿2-1-1

1,200,000

7.99

合同会社capital harbor

東京都港区元赤坂1-2-7

1,140,000

7.59

木原海鵬

東京都渋谷区

260,000

1.73

株式会社SBI証券

東京都港区六本木1-6-1

236,286

1.57

大和証券株式会社

東京都千代田区丸の内1-9-1

199,200

1.33

SMBC日興証券株式会社

東京都千代田区丸の内3-3-1

163,200

1.09

JPモルガン証券株式会社

東京都千代田区丸の内2-7-3

155,600

1.04

 

9,441,086

62.86

 

(注) 上記のほか、自己株式127,200株があります。

 

① 【貸借対照表】

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

(単位:千円)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

前事業年度

(2022年3月31日)

当事業年度

(2023年3月31日)

資産の部

 

 

 

流動資産

 

 

 

 

現金及び預金

783,611

521,697

 

 

売掛金

※1 60,762

※1 42,896

 

 

未収入金

※1 62,797

4,676

 

 

前払費用

17,282

※1 6,547

 

 

その他

20,439

31,266

 

 

流動資産合計

944,894

607,084

 

固定資産

 

 

 

 

有形固定資産

 

 

 

 

 

建物

6,785

34,034

 

 

 

 

減価償却累計額

1,250

241

 

 

 

 

建物(純額)

5,535

33,793

 

 

 

車両運搬具

-

8,527

 

 

 

 

減価償却累計額

-

236

 

 

 

 

車両運搬具(純額)

-

8,290

 

 

 

工具、器具及び備品

48,053

39,993

 

 

 

 

減価償却累計額及び減損損失累計額

47,194

37,287

 

 

 

 

工具、器具及び備品(純額)

858

2,706

 

 

 

リース資産

-

3,832

 

 

 

 

減価償却累計額

-

54

 

 

 

 

リース資産(純額)

-

3,778

 

 

 

有形固定資産合計

6,393

48,568

 

 

無形固定資産

 

 

 

 

 

ソフトウエア

10,352

-

 

 

 

その他

328

7,096

 

 

 

無形固定資産合計

10,681

7,096

 

 

投資その他の資産

 

 

 

 

 

長期差入保証金

-

80,000

 

 

 

敷金

14,936

56,789

 

 

 

長期前払費用

45

974

 

 

 

その他

-

6,664

 

 

 

投資その他の資産合計

14,981

144,428

 

 

固定資産合計

32,056

200,094

 

資産合計

976,951

807,178

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

(単位:千円)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

前事業年度

(2022年3月31日)

当事業年度

(2023年3月31日)

負債の部

 

 

 

流動負債

 

 

 

 

買掛金

37,767

23,727

 

 

未払金

20,842

※1 71,306

 

 

未払費用

4,239

12,994

 

 

未払法人税等

475

949

 

 

預り金

101,957

12,667

 

 

賞与引当金

10,225

12,932

 

 

特別調査費用引当金

-

5,745

 

 

その他

82

2,154

 

 

流動負債合計

175,590

142,477

 

固定負債

 

 

 

 

退職給付引当金

38,987

32,874

 

 

役員退職慰労引当金

68,500

22,000

 

 

その他

-

3,131

 

 

固定負債合計

107,487

58,005

 

負債合計

283,078

200,483

純資産の部

 

 

 

株主資本

 

 

 

 

資本金

1,018,718

1,186,298

 

 

資本剰余金

 

 

 

 

 

資本準備金

357,715

525,295

 

 

 

その他資本剰余金

1,050,000

1,050,000

 

 

 

資本剰余金合計

1,407,715

1,575,295

 

 

利益剰余金

 

 

 

 

 

利益準備金

750

750

 

 

 

その他利益剰余金

 

 

 

 

 

 

繰越利益剰余金

1,638,358

2,074,226

 

 

 

利益剰余金合計

1,637,608

2,073,476

 

 

自己株式

94,952

94,952

 

 

株主資本合計

693,873

593,165

 

新株予約権

-

13,530

 

純資産合計

693,873

606,695

負債純資産合計

976,951

807,178

 

② 【損益計算書】

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

(単位:千円)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

前事業年度

(自 2021年4月1日

 至 2022年3月31日)

当事業年度

(自 2022年4月1日

 至 2023年3月31日)

営業収益

 

 

 

売上高

※1 365,330

※1 246,164

 

営業収益合計

365,330

246,164

営業費用

 

 

 

支払手数料

69,448

119,600

 

広告宣伝費

99,091

66,268

 

給料手当及び賞与

145,264

161,606

 

賞与引当金繰入額

10,225

12,774

 

役員退職慰労引当金繰入額

68,500

4,000

 

通信費

39,797

38,102

 

減価償却費

135,476

3,797

 

その他

143,415

194,360

 

営業費用合計

711,220

600,509

営業損失(△)

345,889

354,345

営業外収益

 

 

 

受取利息

0

0

 

有価証券利息

1,687

-

 

受取手数料

1,120

477

 

為替差益

298

456

 

その他

19

59

 

営業外収益合計

3,126

993

営業外費用

 

 

 

支払手数料

1,295

 

事務過誤損失

220

 

事務所移転費用

-

8,740

 

その他

120

43

 

営業外費用合計

1,636

8,783

経常損失(△)

344,398

362,136

特別損失

 

 

 

固定資産除却損

-

※2 5,649

 

減損損失

-

※3 7,911

 

特別調査費用

-

59,221

 

特別損失合計

-

72,782

税引前当期純損失(△)

344,398

434,918

法人税、住民税及び事業税

950

949

法人税等調整額

-

-

法人税等合計

950

949

当期純損失(△)

345,348

435,868