インフォコム株式会社
(注) 1.「収益認識に関する会計基準」(企業会計基準第29号 2020年3月31日)等を第40期の期首から適用しており、第40期以降に係る主要な経営指標等については、当該会計基準等を適用した後の指標等となっています。
(注) 1.第37期の1株当たり配当額には、市場変更記念配当2円を含んでいます。
2.最高株価及び最低株価は、2022年4月3日以前は東京証券取引所市場第一部におけるものであり、2022年4月4日以降は東京証券取引所プライム市場におけるものです。なお、第37期の株価については株式分割後の最高株価及び最低株価を記載しており、株式分割前の最高株価及び最低株価を括弧内に記載しています。
3.「収益認識に関する会計基準」(企業会計基準第29号 2020年3月31日)等を第40期の期首から適用しており、第40期以降に係る主要な経営指標等については、当該会計基準等を適用した後の指標等となっています。
4.第40期の1株当たり配当額には、記念配当10円を含んでいます。
5.第41期の1株当たり配当額には、記念配当5円を含んでいます。
2023年3月31日現在における当社グループは、当社及び連結子会社12社で構成されています。その事業は、一般消費者に対して、スマートフォン向けの電子コミック配信サービスを、また企業、医薬・医療機関、介護事業者や公共、教育研究機関等に対して、情報システムの企画・開発・運用・管理等のITサービスを展開しています。
当社グループ各社の事業に係る位置付け及びセグメントとの関連は、以下のとおりです。
当社グループの事業系統図は次のとおりです。

(注) 1.有価証券報告書の提出会社です。
2.議決権の所有割合の( )内は、間接所有割合であり内数表示をしています。
3.特定子会社です。
4.㈱アムタスについては、売上高(連結会社の相互間の内部売上高を除く)の連結売上高に占める割合が10%を超えています。
主要な損益情報等(単位:百万円)
2023年3月31日現在
(注) 1.従業員数は就業人員であり、当社グループからグループ外への出向者を除いています。
臨時雇用者数は、従業員数の100分の10未満であるため記載を省略しています。
2.全社(共通)として記載されている従業員数は、特定のセグメントに区分できない管理部門に所属しているものです。
2023年3月31日現在
(注) 1.従業員数は就業人員であり、当社から社外への出向者を除いています。
臨時雇用者数は、従業員数の100分の10未満であるため記載を省略しています。
2.全社(共通)として記載されている従業員数は、特定のセグメントに区分できない管理部門に所属しているものです。
3.平均年間給与は、賞与及び基準外賃金を含んでいます。
労働組合は結成されていませんが、労使関係は円満に推移しています。
(4) 管理職に占める女性労働者の割合、男性労働者の育児休業取得率及び労働者の男女の賃金の差異
① 提出会社
(注) 1.「女性の職業生活における活躍の推進に関する法律」(2015年法律第64号)の規定に基づき算出したものです。
2.<正規雇用労働者>
正規雇用労働者の男女賃金格差は、主に賃金が高い管理職まで昇進している女性の比率が少ないためです(正社員のうち管理職の比率は、男性32.7%、女性5.4%)。人事制度上、男女での差異はありませんが、今後も引き続き、女性活躍推進に向けた取り組みの継続と人事制度での運用面での改善等を行い、女性管理職比率の改善に取り組んでいくことによって、賃金格差の縮小を目指します。また、女性正社員のうち、補助業務を中心に行う事務職が13.2%いることも女性の平均賃金を下げる理由となります。尚、現在は、新たに事務職は採用しておらず、総合職への転換を進めています。
<非正規雇用労働者>
非正規雇用労働者には、定年(60歳)後の嘱託再雇用社員(有期契約社員)が含まれています(64.4%)。当社では、専門性を持つシニア社員が再雇用後も引き続き活躍すべく、正社員と同等の処遇制度を適用しています。結果として、正規雇用労働者と同様、男性管理職が多く含まれるため(男性38.1%、女性0.0%)、男女の賃金格差が発生しています。
② 連結子会社
(注) 1.「女性の職業生活における活躍の推進に関する法律」(2015年法律第64号)の規定に基づき算出したものです。
2.<正規雇用労働者>
正規雇用労働者の男女賃金格差は、主に賃金が高い管理職まで昇進している女性の比率が少ないためです(正社員のうち管理職の比率は、男性18.8%、女性2.1%)。人事制度上、男女での差異はありませんが、今後も引き続き、女性活躍推進に向けた取り組みの継続と人事制度での運用面での改善等を行い、女性管理職比率の改善に取り組んでいくことによって、賃金格差の縮小を目指します。
<非正規雇用労働者>
非正規雇用労働者の男女賃金格差は、平均賃金差はなく、時間外手当において、女性が若干上回る結果となっています。
文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものです。
当社グループは、ICTの進化を通じて社会のイノベーションに貢献することを企業理念としています。市場、技術の変化を先取りし、自らが常に進化を続けることで、高品質で革新的なサービスを提供し、ICTの新たな活用シーンを次々と創出する特長ある企業グループを目指すと定めた経営ビジョンに基づき、5つの経営方針のもと、グループ一体の経営を行っています。
① 利益ある成長を持続するとともに企業価値の向上を目指す。
② コンプライアンスを規範とした経営を行う。
③ 市場の変化や技術の進化へのスピーディな対応を行う。
④ 働き甲斐のある企業を志向し、社員の能力向上に努める。
⑤ 共創とICTを通じて社会の発展に貢献する。
当社グループは、企業、医薬・医療機関、介護事業者や公共、教育研究機関等に対して、情報システムの企画・開発・運用・管理等のITサービスを、また一般消費者に対して、スマートフォン等向けの電子コミック配信サービス等を展開しています。
中期経営計画(2020年度~2022年度)においては[成長の追求]と[成長を支える経営基盤の継続的強化]を基本方針に、主要施策に取り組みました。
この結果、中期経営計画最終年度(2022年度)において、売上高は過去最高を更新しましたが、海賊版サイト及びコロナ禍の影響を受け、売上高・EBITDA・ROEともに同計画の目標を下回りました。
※1:EBITDA=営業利益+償却費
※2:同計画では成長の追求のためM&Aを積極的に推進する計画としたため、売上高とEBITDAの目標額はレンジ形式で設定しました。
② 当社グループの対処すべき課題
当社グループは、「ICTの進化を通じて社会のイノベーションに貢献する」と定める企業理念のもとで、2023年度を初年度とする3カ年の中期経営計画を策定しました。同計画では、「United Innovation “価値共創 and beyond”」をスローガンに、社会に必要とされる存在価値のある企業グループへの成長を実現するための期間と位置付け、成長戦略を実行します。
また、同計画の策定と併せ、当社グループが持続可能な社会の発展に貢献するために認識すべきサステナビリティ重要課題(マテリアリティ)を特定しました。
当社グループは、同計画を着実に推進し、ICTとリアルビジネスの共創により新たな価値を提供するサービスカンパニーを目指します。
③ 業績目標
中期経営計画では、成長性を重視し売上高とEBITDA(営業利益+償却費)を、また収益性の維持向上が重要と考えるため株主資本当期純利益率(ROE)の目標を設定しています。
④ サステナビリティ重要課題(マテリアリティ)
中期経営計画(2023~2025年度)の詳細は、当社ウェブサイト(https://www.infocom.co.jp/)をご参照ください。
有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、経営者が連結会社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に重要な影響を与える可能性があると認識している主要なリスクは以下のとおりです。なお、文中における将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものです。
当社グループのネットビジネス事業は、一般消費者向けに電子コミック配信サービスを展開しています。スマートフォンやタブレット等の普及に伴い成長する電子書籍市場において、良質なコンテンツを継続的に提供し、各種サービス内容を充実させることで事業の拡大を図る方針ですが、万が一、電子書籍市場の拡大が進まなかった場合や法制度の改定等により当社グループが展開するサービスが規制対象となった場合、当社グループの業績等に影響を及ぼす可能性があります。また、ITサービス事業は、企業等のニーズに応え、情報システム製品や情報技術を活用した各種サービスを提供しています。このため、法制度の改定等を含め、社会や経済情勢の変動等により、IT投資動向が変化した場合、当社グループの業績等に影響を及ぼす可能性があります。
当社グループでは、当該リスクの対応策として、経済情勢や市場環境の変化等を注視するとともに、事業戦略の進捗状況や事業環境の変化等について定期的にモニタリングを行い、環境の変化に応じた事業戦略の見直し等を的確に行うよう対策を講じています。
当社グループは知識集約型産業であり、グループの成長は専門性を有する優秀な人財の確保と育成に大きく影響されます。年間を通じた採用活動や、各種教育・研修の実施等を通じた人財育成の取り組みに加え、嘱託再雇用制度の改定による人財の確保やグループ間での人財最適配置を進めていますが、人財の確保・育成が想定どおりに進まない場合、当社グループの業績等に影響を及ぼす可能性があります。
当社グループは、一般消費者向けネットビジネス事業において保有する個人情報及びITサービス事業において顧客等から預かる個人情報を含む顧客情報の管理及び保護を重要課題と位置付けています。そのため、情報セキュリティ管理の専任組織による情報セキュリティリテラシー維持向上の取り組みや監査部門による業務監査実施に加え、プライバシーマークの認証維持に係る外部機関による審査を受ける等、管理体制の充実を図っています。しかしながら、これら情報の紛失や漏洩等が発生した場合は、当社グループの業績等に影響を及ぼす可能性があります。
当社グループは、情報技術の動向を捉えて新規技術の評価・検証を実施し事業展開に活用しています。しかしながら、技術革新が急速に進展し、その対応が遅れた場合、当社グループの業績等に影響を及ぼす可能性があります。
当社グループでは、グループの業容拡大・成長を目指し各種投融資を実施しています。当社グループでは対象企業の財務内容や契約関係等についての詳細な事前審査を行い、十分にリスク検討をしていますが、当社グループの事業に関する市場の需要動向が大きく変動した場合や製品開発等が遅延あるいは失敗した場合、また投資先企業の業績が悪化し評価減に至る場合等、当社グループの業績等に影響を及ぼす可能性があります。
当社グループは、有形固定資産やソフトウェア・のれん等の固定資産を保有しています。これらの資産については、減損会計を適用し、減損の兆候がある場合には当該資産から得られる将来キャッシュ・フローによって資産の帳簿価額を回収できるかを検証しており、減損処理が必要な資産については適切に処理を行っています。しかし、将来の環境変化により将来キャッシュ・フロー見込額が減少した場合、当社グループの業績等に影響を及ぼす可能性があります。
当社グループは、大地震等の自然災害や火災等の大規模災害が発生し業務遂行が困難となる場合に備え、事業継続計画を策定し、災害発生時の初期対応や迅速な業務の復旧を可能にするための対応体制や環境等の整備を継続しています。また、サイバー攻撃の対策についても情報セキュリティを強化し環境整備を継続しています。しかしながら、大規模災害やサイバー攻撃等による電力網や通信網の障害等、社会インフラの機能が低下した場合、当社グループの業績等に影響を及ぼす可能性があります。
当社グループは、重点事業と位置付ける電子コミック配信サービスとヘルスケア事業において成長戦略の一つに海外展開を掲げています。そのため、拠点を有する米国、韓国、インドネシアに加え、東南アジアなど事業展開の対象地域に関して、各国の情勢、法的規制の変更等を定期的にモニタリングすることにより、地政学リスク顕在化の兆候、事業環境の変化及びこれらの事業活動への影響を早期に把握し、速やかに対応策を講じられるよう努めていますが、サプライチェーンの混乱、物価高騰、世界経済の低迷により事業活動に支障をきたす場合は、当社グループの業績等に影響を及ぼす可能性があります。
帝人㈱は当社議決権の58.0%を所有する親会社です。当社グループは同社グループの中でIT事業を推進するグループと位置付けられ、帝人グループに対して、情報通信システムの開発及びその運用サービス等を提供しています。帝人グループにおいて、当社グループの事業は他の事業グループの各事業と類似しないため、当社グループの事業活動に関する経営判断は独立性が確保されています。しかしながら、今後、同社グループの事業方針・戦略が変更された場合等、当社グループの業績等に影響を及ぼす可能性があります。
[ネットビジネス事業に係るリスク]
当社グループは電子コミック配信サービスを展開するに当たり、配信コンテンツに関して作家や出版社等とデジタルコンテンツの利用許諾契約を締結し、著作権をはじめとする知的財産権を侵害しないように事業を展開しています。しかしながら、電子書籍の販売は比較的新しい業態であるため、今後の法改正や解釈の変更等により、第三者から知的財産権に関する侵害を主張される可能性があります。当社グループは知的財産権に対して顧問弁護士等との連携を図る等の対策を講じていますが、当社グループが著作権者を含む第三者から訴訟を受けた場合は、解決までに多くの時間と費用が発生する等、当社グループの業績等に影響を及ぼす可能性があります。
当社グループは電子コミック配信サービスを展開するに当たり、配信コンテンツに関して作家や出版社等とデジタルコンテンツの利用許諾契約を締結するとともに、これら取引先との良好な信頼関係を築いています。当該サービスの拡大においては、これら契約の継続を前提としていますが、何らかの事情により契約の更新に支障をきたす場合、または著作物の利用料が変動した場合、当社グループの業績等に影響を及ぼす可能性があります。
当社グループでは、取引先とともに成長する仕組みを整え、事業を継続しています。
当社グループは電子コミック配信サービスを展開するに当たり、「青少年が安全に安心してインターネットを利用できる環境の整備等に関する法律」等、法令等の遵守に努めています。また、同サービスは、「児童買春、児童ポルノに係る行為等の処罰及び児童の保護等に関する法律」及び各地方公共団体が制定する青少年健全育成条例等が規制対象とする事業に該当しません。しかしながら、今後の法改正や解釈の変更等により同サービスが何らかの制約を受けることとなった場合、当社グループの業績等に影響を及ぼす可能性があります。
当社グループでは、当該リスクの対応策として、法令や社会環境の変化による規制等の情報の把握に努めるとともに、顧問弁護士等との連携を図る等の対策を講じています。
当社グループが展開する電子コミック配信サービスは、スマートフォン等に広告を掲載することで集客が図られ売上高が増加することから、広告宣伝を最も重要な販売促進活動と位置付けています。広告宣伝活動の実施に関しては、蓄積した知見を基に広告宣伝効果を分析し最適な効果を得られるよう努めていますが、広告会社による規制等の影響により広告宣伝に関する費用対効果を得られない等、広告宣伝活動が当社の想定どおりに推移しない場合、当社グループの業績等に影響を及ぼす可能性があります。
当社グループでは、当該リスクの対応策として、法令や社会環境の変化による規制等の情報の把握に努めるとともに、広告宣伝活動の実施媒体、実施時期、実施期間、実施方法等を定期的に検討し対策を講じています。
当社グループは一般消費者向けネットビジネス事業を展開する部門が「特定商取引に関する法律」が定義する販売事業者に該当するため、当社グループの該当するサービスのサイト上で「特定商取引に関する法律」に基づく表示を行っています。しかしながら、今後、社会情勢の変化等によって「特定商取引に関する法律」の内容に変更が発生した場合、当社グループの業績等に影響を及ぼす可能性があります。
当社グループでは、当該リスクの対応策として、法令や社会環境の変化による規制等の情報の把握に努めるとともに、顧問弁護士等との連携を図る等の対策を講じています。
当社グループは電子コミック配信サービスを展開するに当たり、通信キャリア、決済代行会社等にコンテンツ利用料金の代金回収業務を委託するとともに、これら取引先との良好な信頼関係を築いています。当該サービスの拡大においては、これら契約の継続を前提としていますが、何らかの事情により契約の更新に支障をきたす場合、または手数料率が変動した場合は、当社グループの業績等に影響を及ぼす可能性があります。
当社グループでは、当該リスクの対応策として、委託先との定期的な情報交換を行う等、業務の事情や状況の把握に努めています。
当社グループが電子コミック配信サービスを展開する電子書籍業界は、特許等による特別な参入障壁が存在しない業界であるため近年多数の企業が参入し、競争が激化しています。当社グループは、コンテンツの拡充やシステムの機能強化等サービス内容の充実による差別化を図り会員の獲得を進めていますが、競争激化により会員獲得が想定どおりに進まなかった場合や会員数が減少した場合、当社グループの業績等に影響を及ぼす可能性があります。
当社グループが展開する電子コミック配信サービスは、出版社等から仕入れたデジタルコンテンツを一般消費者のスマートフォン等向けに配信するビジネスです。インターネット上で、出版物等を違法・不正にコピーしたコンテンツを扱う海賊版サイトが存在し、違法なコンテンツが流通することによって、当社の業績に影響を及ぼす可能性があります。
当社グループでは、当該リスクの対応策として、電子書店4社とともに健全な市場の発展を目的に日本電子書店連合を設立し、ユーザーに対して正規版購入の理解と啓蒙活動を行うとともに、電子書籍市場関係者との連携を含む海賊版サイト対策を講じています。
[ITサービス事業に係るリスク]
当社グループがITサービスを展開する情報サービス業界では、顧客の品質要求が高い反面、価格志向も強く、同業他社との価格競争が激しくなっています。当社グループでは、品質管理の強化に加えプロジェクトの生産性向上を重要な課題として認識し、製品・サービスの価値向上と競争力の強化を図っていますが、価格低下の圧力は、当社グループの業績等に影響を及ぼす可能性があります。
当社グループのITサービスでは、事業活動上の品質保証等について、品質管理の専任組織を設置しプロジェクトマネジメントの強化を行い品質管理を徹底しています。しかしながら、複雑化・大型化・短納期化するシステム開発では、開発中の大幅な仕様変更やソフトウェアの欠陥等により、計画どおりの品質を確保できない場合や開発期間の延長、顧客側の検収作業の長期化に伴う売上計上時期の遅延等で採算が悪化することがあります。このような問題が発生した場合、当社グループの業績等に影響を及ぼす可能性があります。
文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものです。
当連結会計年度における当社グループ(当社及び連結子会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりです。
当連結会計年度における日本経済は、新型コロナウイルス感染症が感染拡大と縮小を繰り返しながらも、年度後半には行動制限の緩和が行われ、社会経済活動は正常化へ向けた動きが進みました。一方、地政学的リスクの長期化等の要因から物価が高騰する等、依然として景気の先行きは不透明な状況が続いています。
電子書籍市場は、海賊版サイトの影響の鎮静化により回復基調となりましたが、コロナ禍の巣ごもり特需の終息等により、成長は緩やかになっています。
IT関連市場は、クラウド市場が拡大を牽引する一方で従来のITビジネスは緩やかな増加となり、構造転換が進行しています。またコロナ禍の影響で抑制されていたIT投資は回復傾向にあるものの、業種業態により好況感と不況感が入り交じるまだら模様の状況となっています。
このような経営環境において、当社グループは中期経営計画(2020年4月~2023年3月)の基本方針である[成長の追求]と[成長を支える経営基盤の継続的強化]のもと、電子コミックとヘルスケアを重点事業として継続成長、サービス化の推進、共創の積極的推進(M&A、海外展開)等の施策に取り組みました。
これらの結果、当連結会計年度における当社グループの経営成績は、売上高は過去最高を更新し70,342百万円(前年同期比8.9%増)となりました。営業利益はマーケティング強化によるコスト増等により8,526百万円(同15.6%減)となりました。経常利益は8,595百万円(同15.7%減)、連結子会社に関するのれんの減損損失及び投資有価証券評価損を計上したことにより親会社株主に帰属する当期純利益3,572百万円(同48.3%減)となりました。
セグメント別の経営成績は次のとおりです。
[ネットビジネス・セグメント]
当連結会計年度のネットビジネス・セグメントは、電子コミック配信サービスにおいて、売上高はコンテンツ拡充やマーケティング強化、複数のオリジナルコミックがヒットしたことにより46,244百万円(前年同期比14.1%増)となり過去最高を更新しました。営業利益はマーケティング強化によるコスト増により6,042百万円(同22.1%減)となりました。
「めちゃコミック」ではオリジナルコミックの制作を強化するとともに、作品のドラマ化など事業領域の拡大施策を推進しました。また、国内向けの施策に加えて、米国向けの電子コミック配信サービスを開始した他、ユーザビリティーの更なる向上を図るため、新たに従量課金制を導入しました。
「めちゃコミック」を運営する連結子会社の㈱アムタスは、アニメ制作企業との価値共創による電子コミック事業の成長と、新たな事業領域の検討推進を目的として㈱ツインエンジンと資本業務提携しました。
[ITサービス・セグメント]
コロナ禍の影響により投資マインドの冷え込みやハードウェアの納入遅延が発生し、病院向けは案件の期ずれが発生したものの、企業向けが堅調に推移し、売上高は24,097百万円(前年同期比0.2%増)、営業利益は2,483百万円(同6.6%増)となりました。
ヘルスケア事業では、2024年度から適用される「医師の時間外労働規制」に対応したオプション機能を追加した病院向けの就業管理システムの販売が堅調に推移しました。
また、海外展開において、マレーシアのヘルステック企業、HealthMetrics Sdn Bhd.と戦略的資本・業務提携契約を締結し、同社と共同でマレーシア・インドネシア国内の医療機関等に対し、薬剤情報システムの営業・販売活動を開始しました。
企業向けでは、統合業務ソフトウェアパッケージ「GRANDIT」のクラウドサービス「GRANDIT miraimil」の販売パートナーの増強を行い、幅広い業種に対する販売・サポート体制を構築しました。
当連結会計年度の財政状態の概要は次のとおりです。
当連結会計年度末の資産は、のれんの減少及び投資有価証券の時価評価に伴う減少の一方で、現金及び預金の増加、売上債権の増加等により前連結会計年度末と比較して2,756百万円増加し、60,287百万円となりました。
負債は、支払債務の増加等により前連結会計年度末と比較して2,141百万円増加し、15,093百万円となりました。
また、純資産は、利益剰余金が配当金の支払により減少した一方で、親会社株主に帰属する当期純利益の計上により前連結会計年度末と比較して614百万円増加し、45,194百万円となりました。
当連結会計年度末における現金及び現金同等物(以下「資金」という)は35,575百万円となり、前連結会計年度末より3,874百万円増加しました。各キャッシュ・フローの状況とそれらの主たる増減要因は以下のとおりです。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動によって得られた資金は8,137百万円(前年同期は7,148百万円)となりました。これは主に税金等調整前当期純利益6,342百万円(同10,050百万円)、非資金項目である減価償却費954百万円(同1,333百万円)、減損損失728百万円(同43百万円)及び投資有価証券評価損益1,519百万円(同95百万円)等の調整により増加し、法人税等の支払3,078百万円(同4,661百万円)等により減少したものです。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動に使用した資金は1,231百万円(前年同期は3,225百万円)となりました。これは主に差入保証金の回収による収入771百万円(同2百万円)の一方で、ソフトウェア等無形固定資産の取得による支出1,047百万円(同989百万円)及び投資有価証券の取得による支出655百万円(同430百万円)等によるものです。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動に使用した資金は3,076百万円(前年同期は2,217百万円)となりました。これは主に配当金の支払3,013百万円(同2,190百万円)によるものです。
当連結会計年度の生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりです。
(注) 金額は製造原価によっています。
当連結会計年度の商品仕入実績をセグメントごとに示すと、次のとおりです。
(注) 金額は実際仕入価額によっています。
当連結会計年度の受注実績をセグメントごとに示すと、次のとおりです。
(注) ネットビジネス事業については把握が困難なため、受注高及び受注残高を記載していません。
当連結会計年度の販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりです。
(注) 1.最近2連結会計年度において、総販売実績の10%を超える相手先はありません。
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりです。
「(1) 経営成績等の状況の概要 ① 財政状態及び経営成績の状況」に記載のとおりです。
「第2 事業の状況 3 事業等のリスク」に記載のとおりです。
「(1) 経営成績等の状況の概要 ② キャッシュ・フローの状況」に記載のとおりです。
当社グループは、安定した財務基盤の確保を前提とし、重点事業への投資を優先した上で、適切な株主還元を行うことを財務戦略の基本方針としています。
当社グループの事業活動における運転資金需要の主なものは、各事業の販売拡大やネットビジネス・セグメントにおける電子コミック配信サービスに関する広告宣伝費、ITサービス・セグメントにおけるシステム開発・保守人員確保に伴う運転資本の増加、及び新規サービスの探索やAIやIoT等の新技術の研究開発費等があります。また、設備投資資金需要の主なものとしては、製品開発・既存ソフトウェアへの新機能追加があります。
加えて、M&Aの推進等の成長投資があり、2025年度を最終年度とする中期経営計画においては300億円の戦略投資枠を設定しています。
これらの資金需要に対応すべく、短期資金については、営業活動で獲得した高水準の現預金に加え、各金融機関との間で締結した特殊当座勘定貸越契約に基づいた借入等により資金の流動性を確保しており、長期資金については、金融機関からの借入、転換社債の発行及び公募増資等の多様な選択肢の中から時勢を十分に考慮した上で最適な調達手法を採用することとしています。
なお、当社グループの配当政策は、「第4 提出会社の状況 3 配当政策」に記載のとおりです。
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成しています。この連結財務諸表作成にあたり、見積りが必要となる事項につきましては、合理的な基準に基づき、会計上の見積りを行っていますが、見積り特有の不確実性が存在するため、実際の結果はこれら見積りと異なる場合があります。
連結財務諸表の作成にあたって用いた会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定のうち、重要なものについては、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1) 連結財務諸表 注記事項(重要な会計上の見積り)」に記載のとおりです。
当社は、当連結会計年度の経営方針に則った通期業績予想について、業績動向等を踏まえ、期初に公表した各経営指標の予想値を修正し2022年10月28日に公表しました。また、同修正予想値を2023年1月31日に再度修正し改めて公表しました。
当社が定める経営方針、経営戦略、経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等、及び各々の指標等に関する業績予想の達成状況は下表のとおりです。
該当事項はありません。
当社グループにおける主要な設備は、次のとおりです。
(注) 帳簿価額のうち「その他」に含まれる主なものは、電話加入権、商標権、建設仮勘定です。
該当事項はありません。
該当事項はありません。
ストックオプション制度の内容は、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1) 連結財務諸表 注記事項(ストック・オプション等関係)」に記載しています。
該当事項はありません。
(注) 株式分割(1株を2株に分割)
(注) 1.上記「その他の法人」には、証券保管振替機構名義の株式を8単元含みます。
2.自己株式2,809,562株は、「個人その他」に28,095単元、「単元未満株式の状況」に62株含まれています。
2023年3月31日現在
(注) 1.上記所有株式数のうち、信託業務に係る株式数は次のとおりです。
日本マスタートラスト信託銀行㈱(信託口) 3,369,300株
㈱日本カストディ銀行(信託口) 1,069,400株
2.2021年12月28日付で公衆の縦覧に供されている大量保有報告書において、オアシス マネジメント カンパニー リミテッド(Oasis Management Company Ltd.)が2021年12月27日現在で以下の株式を所有している旨が記載されているものの、当社として2023年3月31日現在における実質所有株式数の確認ができませんので、上記大株主の状況には含めていません。
なお、大量保有報告書の内容は以下のとおりです。
1.報告セグメントの概要
当社グループの報告セグメントは、当社及び子会社の構成単位のうち、分離された財務情報が入手可能であり、取締役会が、経営資源の配分の決定及び業績を評価するために、定期的に検討を行う対象となっているものです。
当社グループは、「ネットビジネス・セグメント」及び「ITサービス・セグメント」の2つを報告セグメントとしています。
「ネットビジネス・セグメント」は、消費者に対して、スマートフォン等向けの電子コミック配信サービス等を展開しています。
「ITサービス・セグメント」は、企業、医薬・医療機関、介護事業者や公共、教育研究機関等に対して、情報システムの企画・開発・運用・管理等のITサービスを提供しています。