株式会社ドーン
(注)1.当社は連結財務諸表を作成していないため、連結会計年度に係る主要な経営指標等の推移については記載しておりません。
2.持分法を適用した場合の投資利益については、関連会社が存在しないため記載しておりません。
3.潜在株式調整後1株当たり当期純利益については、潜在株式が存在しないため記載しておりません。
4.第30期の1株当たり配当額には、創立30周年記念配当1円を含んでおります。
5.第31期の1株当たり配当額には、株式上場20周年記念配当1円を含んでおります。
6.最高・最低株価は、2022年4月4日より東京証券取引所(スタンダード市場)におけるものであり、2022年4月3日以前は東京証券取引所JASDAQ(スタンダード)におけるものであります。
当社は、地理情報システム構築用ソフトウエアのライセンス販売、地理情報システムに係るアプリケーションソフトウエア(以下、「アプリケーション」という。)の受託開発といった創業期からの事業品目を継続するとともに、中核となる領域を、地理情報に関連づけた各種クラウドサービス(SaaS)の開発・提供にシフトし、警察・消防・自治体防災・社会インフラ保全等に関する業務の高度化を実現する独自のクラウドソリューションを展開しております。
なお、当社は情報サービス事業の単一セグメントであります。
主に、警察・消防・自治体防災・社会インフラ保全等の官公庁等の業務に係る各種情報を地理情報に関連づけて配信するクラウドサービス(インターネット回線を通じてソフトウエアを配信し、ユーザーの利用に供するサービス)を行っております。
表に掲示したもの以外にも、感染症サーベイランス情報を収集・共有する「感染症危機管理システム」、警察・消防や自治体が防災・防犯情報を配信するスマートフォンアプリ等、官公庁等の業務を支援する各種のクラウドサービスを提供しております。なお、行政が扱う情報の多くは地理的な位置に関係したものであるため、各種クラウドサービスの機能には、創業期からの地理情報システム事業における技術やノウハウが生かされています。
クラウドサービスは、主なユーザーである官公庁から直接受注する形態が多く、その場合は、一般競争入札を経ることが一般的であります。
当社と官公庁との契約は、官公庁の予算に合わせ1年契約を毎年更新する場合が一般的ですが、複数年にわたる長期契約を締結する場合もあります。
クラウドサービスの売上は、サービス開始前に環境を構築する請負の対価(初期構築費)とサービス提供期間中に継続的に受領する月額利用料により構成されます。なお、クラウドサービスの初期構築については、次に掲げる「受託開発」の品目として扱っており、「第2 事業の状況 4 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1)経営成績等の状況の概要 ①経営成績の状況」において、受託開発の売上に含めております。
地理情報に関連する各種システムの受託開発に係る事業品目であり、以下の内容で構成されております。
受託開発としては、主にクラウドサービスの初期構築・導入支援及びカスタマイズ並びにオーダーメイド開発を行っており、自社サービスについては、「NET119緊急通報システム」や「Live119(映像通報システム)」のように初期構築・導入支援(環境設定や操作説明会等)が主になるものと、「DMaCS(災害情報共有サービス)」のように機能等のカスタマイズを行うものがあり、そのほか、警察・消防や自治体が防災・防犯情報を配信するスマートフォンアプリのオーダーメイド開発を行うケースもあります。
他方で、オンプレミス環境(情報システムの利用に必要となるサーバー等の機器をユーザーの管理下に設置する従来型の運用形態)でのシステム開発・保守も行っており、取り扱う情報や業務の性質上クラウド環境で運用する形態に適さないもの(例えば警察業務に関するシステム等)について、ユーザーが定める仕様に基づいて開発する案件があります。
また、従来の地理情報システムのアプリケーション開発(当社の「GeoBase(ジオベース)」「GeoBase.NET」を用いた地理情報システムの構築)についても、電力事業者の設備管理用のシステムを中心に継続的に受注しております。
なお、受託開発案件の納品においては、顧客の要望により、デジタル地図やハードウエア等の仕入れ販売を併せて行うケースがあります。
クラウドサービスと同様、ユーザーである官公庁や電力事業者から直接受注する形態が多く、官公庁から受注する場合は、一般競争入札を経ることが一般的であります。
なお、これら受託開発の品目については、顧客(大手企業や官公庁等)の決算期が集中する3月末にかけて売上計上される案件が多いため、第3又は第4四半期会計期間に売上計上が偏重する傾向があります。
GIS(Geographic Information System)の訳語である地理情報システムは、電子地図を背景として地理的な位置の情報に属性データ(空間データともいう。)を重ね合わせ、統合的に処理・分析を行い、表示するシステムであり、主に、地方公共団体等の官公庁における防災・都市計画、医療・福祉・教育等の分野で利用されているほか、民間の施設管理や出店計画等にも利用されております。
当社は、自社製の地理情報システム構築用ソフトウエア(「GeoBase」「GeoBase.NET」)を、エンドユーザーの仕様にあわせたアプリケーションとして開発する企業に対し、ライセンス販売を行っております。
販売先であるソフトウエア開発事業者・総合電機メーカー・測量又は建設土木に関するコンサルタント及び電力等のインフラ関連事業者(以下、「SI事業者等」という。)が当社製品をもとに地理情報システムを開発し、地方自治体等の官公庁及び電力・通信事業者等のインフラ系事業者といったユーザーに提供することに対し、当社がロイヤリティを受け取る契約形態をとっております。
当社の「GeoBase」及び「GeoBase.NET」は、地理情報システムを構築するためのソフトウエアであり、単体のソフトウエアとして地理情報システムの機能を有するものではなく、当該製品を組み込み、エンドユーザーの用途に必要な機能や仕様に応じたアプリケーションを開発するための部品を組み合わせたもの(アプリケーションを構成する関数の集合体)であり、一般にエンジンとも呼ばれる基幹部分の機能が含まれております。

④ 品目別の売上構成の推移について
「第一部 企業情報 第1 企業の概況 2 沿革」に記載のとおり、1994年から開始している地理情報システム構築用ソフトウエアのライセンス販売及び当該ソフトウエアを用いた受託開発については、長年にわたり当社の主力となる事業でしたが、近年、従来の構築型やパッケージ型のシステムからクラウドサービスへと利用形態が変化しております。当社も2005年からクラウドサービスの提供を開始し、主に地方自治体の防犯や防災分野で利用するクラウドサービスの提供に注力しており、クラウド利用料の売上が年々増加し、品目別の売上構成が変化しております。

該当事項はありません。
2023年5月31日現在
(注)1.従業員数は、兼務役員を除く就業人員であります。
2.平均年間給与は、賞与及び基準外賃金を含め、株式報酬費用は除いております。
3.当社は、単一セグメントであるため、事業部門別の従業員数を記載しております。
4.全社(共通)は、総務及び経理等の管理部門の従業員であります。
労働組合は結成されていませんが、労使関係は円満に推移しております。
文中における将来に関する事項は、当事業年度末現在において当社が判断したものであります。
当社は、「社会課題に挑戦し新しい価値を創造する」を使命に定めるとともに、この使命を果たす原動力となる大切な価値観として「“なぜ誰も思いつかなかったのか”をカタチに」を掲げ、ユーザーや社会の新しい課題と真剣に向き合う社員の情熱を表現しております。
上記の理念に基づき、次に掲げる経営方針をもとに事業展開を行います。
一、位置情報その他各種機器から収集・分析されるデータと関連づけた各種情報システムの分野において最先端の技術と信頼性のある製品、サービスを提供します。
一、技術力・販売力を有する企業との提携、共同展開により新事業の開拓を積極的に進めます。
一、規模の拡大よりも経営資本を有効に活用した効率の高い経営を追求します。
一、法令を遵守し、公正かつ透明性の高い企業経営に努めます。
当社は、上記の使命の遂行を通じて目指す姿(ビジョン)として“エッセンシャル カンパニー”を宣言しております。未来の人々が安心して暮らせる社会の実現に向け、新世代のクラウドアプリケーションを多角的に提供することで、時代を変える新しい価値を創造し、“社会に必要不可欠な存在”となる決意を込めております。
新たな成長軌道に繋げる創造的進化のスタートの3年間と位置づけた、2023年5月期を初年度とする中期経営計画に基づき、以下の数値目標を掲げるとともに、新サービスまたはM&A等による更なる成長を目指します。
なお、2022 年度(2023 年5月期)において主にクラウドサービスに関する初期構築及び利用料が当初の想定を上回り、売上高・営業利益ともに初年度の目標を達成したことを受け、2023 年度(2024 年5月期)の売上高の目標値を更新(1,430百万円から1,460百万円へ更新)しました。一方で、足元の物価高及び賃金上昇の影響を勘案し、営業利益については当初の目標値を据え置いております。また、2024 年度(2025 年5月期)の売上高・営業利益につきましては、主に受託開発の受注について一定の不確実性があること及び物価高の先行きを明確に見通すことが困難であること等の理由により、目標値を据え置いております。
当社の属する情報サービス産業界においては、デジタルトランスフォーメーション(DX)関連の需要が拡大するとともに、テレワークといった働き方の変化に伴うオンラインのコミュニケーションツールの活用が浸透しております。また、当社の主な事業分野である官公庁向けシステムは、従来のオンプレミス環境からクラウド環境への移行が加速するなか、特に防災・防犯に係る行政の高度化の要請は高く、重点施策として予算が確保されております。
当社は、このようなシステムの利用構造や市場環境の変化を捉え、これまでの地理情報システム(GIS事業)で培った独自技術・ノウハウや知見を最大限に活用しつつ、中核となる領域を、地理情報に関連づけた各種クラウドサービス(SaaS)にシフトし、警察・消防・自治体防災・社会インフラ保全の分野を中心に、サービス利用料や保守料等のストック型収入を増やすという事業構造改革に取り組んでまいりました。
その結果、収益の増大・季節変動の軽減や収益基盤の安定化が一定程度進んだことから、更なる企業価値の向上と持続的な成長の実現を目指し、2022年7月、新たに中期経営計画をスタートしました。新中期経営計画では、既存事業の安定的な拡大を図りつつ新たな成長軌道に繋げることを基本方針とし、事業を通じて持続的な社会の実現に貢献することを意識した施策を示しており、最重点施策である「Gov-tech市場の深耕」を推進する一方で、ストレッチ目標の達成に向けて「社会課題解決サービスの創出」や「M&A・事業提携によるシナジー創出」に取り組むとともに、これらの達成を支える人材基盤の強化に注力しております。
中期経営計画の実現に向けた主な重点施策は以下のとおりであります。
主力の「NET119緊急通報システム」は、全国普及に向けた残りの地域への導入を引き続き推進し、今後数年間の成長を牽引するサービスと位置付ける「Live119(映像通報システム)」は、2025年5月期に200か所の消防本部を目標として導入を進めるとともに、映像通報の技術を応用した「Live-X(映像通話システム)」や災害対策本部での情報収集を支援する「DMaCS(災害情報共有サービス)」、自治体や警察が防災・防犯情報を配信するスマートフォンアプリ等は、防災やライフラインの安定供給といった分野の課題の解決に有用なサービスとして案件開拓に引き続き注力いたします。
当社が、既存事業の安定的成長を継続しつつ、公共システム分野における市場創出の流れを受けて新たな成長軌道の第一歩を踏み出すため、当社のクラウドソリューションに次世代のテクノロジーを融合させる試み(たとえば、産官学連携により映像機器やセンサーの情報測定技術を防災等の危機管理に活用する研究や実証実験)を通じて新規事業を開拓することや、AI領域の知見を有する企業等を対象としたM&Aや事業提携を通じて社会課題解決に向けたグループシナジーを実現していくことに注力いたします。
あわせて、これらの施策を実現していくための共通の課題が人材基盤の強化であります。IT人材の獲得競争は激化する一方であり、採用数は足踏み傾向となっておりますが、社員が性別を問わず働き甲斐や仕事の創造性を実感し会社とともに成長し合うことができる職場環境や社内制度(教育・処遇等)を充実させることで、高度専門職の人員確保を進めて参ります。
有価証券報告書に記載した事業の状況及び経理の状況等に関する事項のうち、経営者が財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に重要な影響を与える可能性があると認識している主要なリスクは、以下のとおりであります。また、必ずしもそのようなリスク要因に該当しない事項につきましても投資家の投資判断上、重要なものであると考えられる事項につきましては、投資家に対する情報開示の観点から積極的に開示しております。
なお、以下の記載のうち将来に関する事項は、当事業年度末現在において当社が判断したものであり、不確実性を内在しているため、実際の結果と異なる可能性があります。また、以下の記載は、将来において発生の可能性がある全てのリスクを網羅するものではありません。
当社のクラウドサービス及びシステム開発の主要顧客は、地方自治体等の官公庁であり、民間は電力会社等のインフラ系事業者等に限られていることから、公共市場への依存度が高い状況となっております。
民間市場の開拓にも努めておりますが、当面は官公庁市場への高い依存度が継続するものと想定されます。そのため、地方自治体の財政状態が新型コロナウイルス感染症対策等により急激に悪化し予算が減額されたり、政府の重点施策の変更により予算配分が変更された場合等は、当社の業績に影響を及ぼす可能性があります。
地理情報システム構築用ソフトウエア(「GeoBase」及び「GeoBase.NET」)のライセンス販売が当事業年度の売上高に占める割合は5%程度まで低下しておりますが、利益面におけるライセンス販売への依存度は未だ高い状態にあります。したがって、当社ライセンスの主要顧客が競合製品に切り換えたり、設備投資の大幅な減額等により受注が急激に減少した場合には、当社の業績に影響を及ぼす可能性があります。
また、当事業年度において売上高の52.2%を占めるクラウド利用料のうち、当社の主力サービスである「NET119緊急通報システム」の利用料の割合が大きい状態にあります。当社は、警察・消防・自治体防災・社会インフラ保全等の業務に係る各種クラウドサービスの開発を進めておりますが、当面は特定のサービスへの依存度が高い状態が続くものと思われます。したがって、他社の同様のシステムに切り換えられたり、緊急時における聴覚障害者支援において他の方式のシステムが採用されることとなった場合には、契約数が減少し当社の業績に影響を及ぼす可能性があります。
当社は、ISO9001に基づく品質管理基準に従って製品開発や受託開発を行っており、不具合等の発生防止に最大限の注意を払っております。
しかしながら、当社製品の不具合により顧客が損害を被った場合、損害賠償請求を受けたり、当社に対する信頼の低下により、当社の業績に影響を及ぼす可能性があります。
当社のクラウドサービスは、通信ネットワークを通じてサービスを提供しておりますが、災害や事故により通信ネットワークが切断された場合、サーバー機能が停止した場合、コンピュータウイルスによる被害にあった場合、ソフトウエアに不具合が生じた場合等によりサービスが提供できなくなる可能性があります。
当社は、サーバーを冗長化したり、地理的に複数箇所に分散して配置する等の対策を行っておりますが、これらの障害が発生した場合には、回復のためのコスト負担や当社に対する信頼の低下により、当社の業績に影響を及ぼす可能性があります。
当社の受託開発については、業務仕様に関し、事後的に発注元との認識の違い等が発生する可能性があります。当社は、受注までに発注元と入念に仕様等について打ち合わせを行い、認識の齟齬が発生しないように努めておりますが、万一、齟齬が発生した場合は、発注元との協議の結果、納入後に当社の責任において再開発や補修するための費用が発生し、当社の業績に影響を及ぼす可能性があります。
当社のクラウドサービスは、防災・防犯関連にターゲットを絞り、先行者メリットを活かしつつ顧客ニーズに合ったサービスを開発することにより優位性を高めております。
また、特許の取得にも積極的に取り組んでいるものの、新規参入の障壁は必ずしも高いものとはいえず、類似したサービスが開発され、価格競争が激化した場合には、当社の業績に影響を及ぼす可能性があります。
当社は、当事業年度末現在、取締役(監査等委員を含む。)6名及び従業員61名と組織としての規模は小さく、内部管理体制もこのような組織の規模に応じたものとなっております。
また、小規模な組織であることから、業務遂行を特定の個人に依存している場合があります。今後、さらなる権限委譲や業務の定型化、代替人員の確保・育成等を進める予定でありますが、特定の役職員の社外流出等により、当社の財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
デジタル化推進の流れを受け、現在、情報サービス業界においてはIT人材の確保が厳しい状況であります。当社は、採用市場や求職者の動向の変化に対応し、オンラインでのインターンシップや会社説明会、直接求職者にアプローチするダイレクトリクルーティング等の多様な募集方法を活用することにより、新卒及び中途採用の応募者の裾野を広げ、優秀な人材の獲得に努めております。
しかしながら、当社が必要な人材の獲得ができなかった場合や優秀な従業員の退職が発生した場合には、製品・サービスの開発や受託開発に遅れが生じることによる売上の未達、人員の採用や教育等に伴う経費の増加等により、当社の業績に影響を及ぼす可能性があります。
当社は、当社製品の名称について商標登録を行っているほか、独自に開発したシステムについても特許の登録を行っております。
また、当社は、第三者の知的財産権を侵害しないよう留意し、調査を行っておりますが、万一、当社が第三者の知的財産権を侵害した場合には、当該第三者より使用差止及び損害賠償請求等を提起される可能性並びに当該特許使用にかかる対価等の支払い等が発生する可能性があります。このような場合には、当社の経営成績及び今後の事業展開に影響を及ぼす可能性があります。
当社が保有する利用者等の個人情報、特定個人情報及び顧客企業に関する情報の取り扱いについては、2006年12月にプライバシーマーク(Pマーク)を取得、2013年10月に情報セキュリティマネジメントシステム(ISO/IEC27001)を取得し、厳重に社内管理並びに委託先管理を行っております。
しかしながら、不正アクセス者等からの侵入や委託先管理不備により、個人情報等が外部に漏洩し、不正使用される可能性が完全に排除されているとはいえません。また、不正使用等に備え、当社は個人情報漏洩に対応する保険に加入しておりますが、全ての損失が完全に補てんされるとは限りません。
したがって、このような事態が起こった場合には、当社への損害賠償請求や信用の失墜により、当社の経営成績及び今後の事業展開に影響を及ぼす可能性があります。
当事業年度におけるわが国経済は、新型コロナウイルス感染症に対する行動制限の緩和や外国人観光客の受入れ再開等により、景気は緩やかに持ち直しの動きがみられたものの、ロシアのウクライナへの侵攻の長期化や、円安の進行に伴う物価上昇等により、景気の先行きは不透明な状況で推移いたしました。
情報サービス産業界においては、デジタルトランスフォーメーション(DX)(注1)の進展とともに、人工知能(AI)やチャットボット(注2)等の技術革新によってコミュニケーションの未来像が描かれ、当社の事業領域である公共システムの分野、とりわけ防災や市民の安全にかかわる社会課題を解決するテクノロジーに対して官民の共創の取り組みが推進され、新たな市場形成の動きが広がっております。
このような環境において、当社は、2022年度中期経営計画の最重点施策である「Gov-tech(注3)市場の深耕」を推進する一方で、ストレッチ目標の達成に向けて「社会課題解決サービスの創出」や「M&A・事業提携によるシナジー創出」に取り組むとともに、これらの達成を支える人材基盤の強化に注力しております。
当事業年度においては、警察・消防・自治体防災・社会インフラ保全の課題解決を実現するシステムの導入拡大が進みました。なかでも、主力の「NET119緊急通報システム」は株式会社両備システムズからの顧客の引き継ぎが進み、導入消防の管轄人口カバー率(導入消防の管轄人口の合計が日本の総人口に占める割合)が7割を超え、「Live119(映像通報システム)」は東京消防庁や福岡市等の主要都市で本運用が始まるなど、今後の導入拡大に弾みがついております。そのほか、映像通報の技術を応用した「Live-X(映像通話システム)」や災害対策本部での情報収集を支援する「DMaCS(災害情報共有サービス)」、自治体や警察が防災・防犯情報を配信するスマートフォンアプリ等は、防災やライフラインの安定供給といった分野の課題の解決に有用なサービスとして紹介され、新規案件の受託に繋がりました。
以上の結果、当事業年度の売上高につきましては、各種クラウドサービス・アプリの契約数が積み上がり、ストック型の利用料収入が順調に増加するとともに、クラウドサービスの初期構築やオンプレミス(注4)環境でのシステム開発等に係る受託開発も順調に推移したことにより、1,368,390千円(前事業年度比12.0%増)となりました。
利益面では、売上高の増加が人件費等の売上原価・販売費及び一般管理費の増加を上回ったことにより、営業利益443,258千円(前事業年度比10.7%増)、経常利益451,049千円(前事業年度比11.6%増)、当期純利益321,058千円(前事業年度比13.2%増)となりました。
(注1)デジタルトランスフォーメーション(DX):データとデジタル技術を活用し、ユーザーや社会のニーズをもとに、製品・サービス、ビジネスモデルや業務プロセス等を変革すること
(注2)チャットボット(chatbot):チャット(インターネット上での双方向での文字のやり取りによりリアルタイムなコミュニケーションを行う仕組み)とボット(ロボット)を組み合わせた言葉で、人工知能を活用した自動会話プログラムのこと
(注3)Gov-tech(ガブテック):既存の産業とテクノロジーを組み合わせることでイノベーションを起こす動きをさすxTech(クロステック)のひとつであり、政府(Government)が積極的に新しい技術(Technology)をとりいれ、公的サービスをテクノロジーの力でより良いものにする取り組み
(注4)オンプレミス:情報システムの利用に必要となるサーバー等の機器をユーザーの管理下に設置する運用形態
なお、当社は情報サービス事業の単一セグメントであるため、セグメント別の記載を省略しておりますが、品目別の売上構成比は、クラウド利用料が52.2%(前事業年度は50.3%)、受託開発が41.3%(前事業年度は42.4%)、ライセンス販売が5.0%(前事業年度は6.1%)、商品売上が1.5%(前事業年度は1.2%)となっており、品目別の実績は次のとおりであります。
「NET119緊急通報システム」・「Live119(映像通報システム)」・「DMaCS(災害情報共有サービス)」のほか、行政・警察向けスマートフォンアプリ等の顧客獲得が順調に進み、既存契約の継続に加えて、新規顧客の獲得により契約数が積み上がったため、713,721千円(前事業年度比16.1%増)となりました。
地理情報関連システムの受託開発の売上及びクラウドサービスの初期構築や機能追加に係る売上がともに増加したため、売上高は565,358千円(前事業年度比9.1%増)となりました。
既存顧客から継続して防災関連等のシステム用のライセンスの受注がありましたが、新規受注が減少傾向にあり、売上高は68,436千円(前事業年度比8.9%減)となりました。
受託開発に伴うデジタル地図等の納品を行うとともに、新規自治体案件の販売があったため、20,873千円(前事業年度比48.6%増)となりました。
当事業年度末の総資産は2,495,562千円となり、前事業年度末と比較して127,551千円増加いたしました。これは主に、売掛金が9,718千円、投資有価証券が401,690千円それぞれ増加した一方で、現金及び預金が212,634千円、有価証券が72,602千円それぞれ減少したことによるものであります。
当事業年度末の負債は269,316千円となり、前事業年度末と比較して40,050千円増加いたしました。これは主に、前受収益が18,807千円、長期前受収益が34,304千円それぞれ増加した一方で、買掛金が9,308千円減少したことによるものであります。
当事業年度末の純資産は2,226,246千円となり、前事業年度末と比較して87,501千円増加いたしました。これは主に、譲渡制限付株式の付与等により資本剰余金が8,749千円、当期純利益の計上により利益剰余金が321,058千円それぞれ増加した一方で、配当金の支払いにより利益剰余金が44,856千円減少し、自己株式の取得等により自己株式が199,358千円増加したことによるものであります。
当事業年度における現金及び現金同等物(以下、「資金」という。)は、投資活動によるキャッシュ・フローが58,831千円の支出、財務活動によるキャッシュ・フローが244,497千円の支出となったものの、営業活動によるキャッシュ・フローが365,694千円の獲得となったため、前事業年度に比べ62,365千円増加し、当事業年度末には793,011千円となりました。
当事業年度において営業活動の結果獲得した資金は、365,694千円(前事業年度比108,623千円増)となりました。これは主に、税引前当期純利益が451,049千円、前受収益の増加額が53,111千円あった一方で、法人税等の支払額が130,645千円あったことによるものであります。
当事業年度において投資活動の結果支出した資金は、58,831千円(前事業年度比43,836千円減)となりました。これは主に、定期預金の払戻による収入が1,110,000千円、有価証券の償還による収入が72,500千円あった一方で、定期預金の預入による支出が835,000千円、投資有価証券の取得による支出が399,381千円、無形固定資産の取得による支出が4,704千円あったことによるものであります。
当事業年度において財務活動の結果支出した資金は、244,497千円(前事業年度比206,126千円増)となりました。これは、自己株式の取得による支出が199,913千円、配当金の支払による支出が44,583千円あったことによるものであります。
当社は、情報サービス事業の単一セグメントであるため、セグメント別の記載を行っておりません。
当事業年度の生産実績は次のとおりであります。
(注) 金額は、販売価格によっております。
当事業年度の受注状況は次のとおりであります。
(注) 金額は、販売価格によっております。
当事業年度の販売実績を品目別に示すと次のとおりであります。
(注) 前事業年度及び当事業年度の主な相手先別の販売実績は、総販売実績に対する割合が100分の10未満であるため記載を省略しております。
経営者の視点による経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。
なお、文中における将来に関する事項は、当事業年度末現在において当社が判断したものであります。
当社の財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められる企業会計の基準に準拠して作成しております。当社経営陣は、財務諸表の作成に際して、会計方針の選択・適用、資産・負債及び収益・費用の報告金額及び開示に影響を与える見積り及び仮定設定を行う必要があります。経営陣は、過去の実績や状況に応じて合理的と考えられる様々な要因に基づき、見積り及び判断を行っておりますが、実際の結果は、見積り特有の不確実性があるため、これらの見積りと異なる場合があります。
当社の財務諸表で採用する重要な会計方針は、「第5 経理の状況 1 財務諸表等 (1) 財務諸表 注記事項 (重要な会計方針)」に記載しております。
当事業年度の売上高につきましては、各種クラウドサービス・アプリの契約数が積み上がり、ストック型の利用料収入が順調に増加するとともに、クラウドサービスの初期構築やオンプレミス環境でのシステム開発等に係る受託開発も順調に推移したことにより、1,368,390千円(前事業年度比12.0%増)となりました。
各品目の実績は次のとおりであります。
「NET119緊急通報システム」・「Live119(映像通報システム)」・「DMaCS(災害情報共有サービス)」のほか、行政・警察向けスマートフォンアプリ等の顧客獲得が順調に進み、既存契約の継続に加えて、新規顧客の獲得により契約数が積み上がったため、713,721千円(前事業年度比16.1%増)となりました。
地理情報関連システムの受託開発の売上及びクラウドサービスの初期構築や機能追加に係る売上がともに増加したため、売上高は565,358千円(前事業年度比9.1%増)となりました。
既存顧客から継続して防災関連等のシステム用のライセンスの受注がありましたが、新規受注が減少傾向にあり、売上高は68,436千円(前事業年度比8.9%減)となりました。
受託開発に伴うデジタル地図等の納品を行うとともに、新規自治体案件の販売があったため、20,873千円(前事業年度比48.6%増)となりました。
売上原価は、地図等の仕入や外注費等の増加の他、人件費の増加及び新型コロナウイルス感染症に伴う一時的な支払手数料の増加により、479,754千円(前事業年度比76,479千円増)となりました。
売上総利益は、売上高が増加したものの、売上原価が増加したことに伴い、売上高総利益率が2.1ポイント減少し、888,636千円(前事業年度比69,833千円増)となりました。
販売費及び一般管理費は、主に人件費の増加及びNET119の移行に伴う支払手数料の増加により、445,377千円(前事業年度比27,169千円増)となりました。
営業利益は、売上高が増加したものの、売上原価及び販売費及び一般管理費が増加したことに伴い、営業利益率が0.4ポイント減少し、443,258千円(前事業年度比42,663千円増)となりました。
営業外収益は、有価証券利息、補助金収入及び助成金収入等により7,790千円(前事業年度比4,311千円増)となりました。
経常利益は451,049千円(前事業年度比46,975千円増)となりました。
当期純利益は、321,058千円(前事業年度比37,557千円増)となりました。
当社は、「第2 事業の状況 3 事業等のリスク」に記載のとおり、市場動向による影響等、様々なリスク要因が当社の経営成績に重要な影響を与える可能性があると認識しており、これらのリスクの発生を抑え、影響を最小限に抑えるよう適切に対応する所存であります。
当社の所要資金は、主にソフトウエアの製造・販売を行うための投資及び経常の運転資金であり、これらについてはすべて自己資金により対応しております。
当社の当事業年度末の自己資本比率は89.2%であり、充分な流動性を確保しております。翌事業年度においては、特記すべき設備投資計画は無く、経常の運転資金については自己資金で賄う予定であります。
当事業年度における財政状態の状況につきましては、上記「(1)経営成績等の状況の概要 ②財政状態の状況」をご参照ください。
資金需要を満たすための資金は、原則として、営業活動によるキャッシュ・フローを財源としております。
なお、当事業年度におけるキャッシュ・フローの状況につきましては、上記「(1)経営成績等の状況の概要 ③キャッシュ・フローの状況」をご参照ください。
当社の経営陣は、現在の事業環境及び入手可能な情報に基づき最善の経営方針を立案するように努めております。
当社が属する情報サービス産業においては、デジタル庁創設が後押しとなり、デジタルトランスフォーメーション(DX)に取り組む自治体や企業が増加し、需要が拡大するものと思われます。また、技術面では、AI、5G等の技術革新により既存の事業環境が激変する可能性があり、ビジネスチャンスが生じる一方で、収益構造の変化や顧客要望の多様化・高度化への対応が求められております。また、デジタル化推進の高まりを受け、IT技術者は慢性的に不足しており、人材の確保と育成が課題となっております。
このような環境下において、当社は、「第2 事業の状況 1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等 (4)優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題」に記載した各課題への対応を実施することにより、さらなる売上の増大と収益力の向上を目指します。
該当事項はありません。
2023年5月31日現在における主要な設備は次のとおりであります。
(注)1.当社は、情報サービス事業の単一セグメントであるため、セグメントの名称については記載を省略しております。
2.上記の他、主要な賃借している設備として、以下のものがあります。
該当事項はありません。
該当事項はありません。
(注) 自己株式の消却による減少であります。
2023年5月31日現在
(注) 自己株式188,768株は、「個人その他」に1,887単元、「単元未満株式の状況」に68株含めて記載しております。
2023年5月31日現在
(注) 上記のほか当社所有の自己株式188,768株があります。