アンジェス株式会社
(注) 1 潜在株式調整後1株当たり当期純利益については、新株予約権残高がありますが、1株当たり当期純損失が計上されているため記載しておりません。
2 自己資本利益率及び株価収益率については、親会社株主に帰属する当期純損失及び1株当たり当期純損失が計上されているため記載しておりません。
3 「収益認識に関する会計基準」(企業会計基準第29号 2020年3月31日)等を第24期の期首から適用しており、第24期に係る主要な経営指標等については、当該会計基準等を適用した後の指標等となっております。
4 第23期の経常損失、親会社株主に帰属する当期純損失の大幅な増加及び包括利益の大幅な減少は、研究開発費の増加、のれん償却額の計上等によるものであります。
5 第22期の従業員数の大幅な増加は、新たに2社を連結子会社としたことによるものであります。第23期の従業員数の大幅な増加は、連結子会社のゲノム編集技術開発の強化に伴う研究開発要員増加によるものであります。
(注) 1 潜在株式調整後1株当たり当期純利益については、新株予約権残高がありますが、1株当たり当期純損失が計上されているため記載しておりません。
2 自己資本利益率及び株価収益率については、当期純損失及び1株当たり当期純損失が計上されているため記載しておりません。
3 「収益認識に関する会計基準」(企業会計基準第29号 2020年3月31日)等を第24期の期首から適用しており、第24期に係る主要な経営指標等については、当該会計基準等を適用した後の指標等となっております。
4 最高株価及び最低株価は、2022年4月3日以前は東京証券取引所マザーズ市場におけるものであり、2022年4月4日以降は東京証券取引所グロース市場におけるものであります。
当社グループは、当社及び連結子会社3社より構成され、遺伝子医薬品を中心とする医薬品の開発及び販売を進めております。また、希少遺伝性疾患のスクリーニング検査を中心として、検査受託サービスを実施しております。
さらに当社子会社であるEmendoBio Inc.(以下「Emendo社」といいます。)では、究極の遺伝子治療であるゲノム編集について先進技術を保有しており、今まで治療法のなかった疾患の治療を可能にするゲノム編集製品を患者の方々にお届けできるよう研究開発を進めております。
当社グループと各事業における位置付け及び事業系統図は、以下のとおりです。
<当社グループと各事業における位置付け>
当社グループの事業の系統図は、次のとおりであります。

当社グループのような医薬品開発事業では、新薬開発において候補となる化合物から新薬として上市できる確率は、およそ3万分の1といわれ、その開発期間も10年を超えることも多く、新薬の製品化は大変難しいものであります。そのため、当社グループのような創薬ベンチャーでは、新薬の開発にかかる研究開発費が先行する事業構造となっております。
医薬品の開発では、開発初期から販売までを一貫して行う以外に、他社が開発中の製品を導入して自社品として開発する場合や、その逆で、開発の途中で開発中の製品を他社に導出するなど様々な手法がとられます。これら、他社からの導入や他社への導出にあたっては、契約により、「契約一時金」「開発協力金」「マイルストーン」「ロイヤリティ」などの費用の支払いや、収入が発生します。
このような医薬品開発において、当社は2019年に世界で初めてプラスミドDNAを用いた遺伝子治療用製品であるHGF遺伝子治療用製品「コラテジェン®」の「条件及び期限付き製造販売承認」を取得いたしました。「コラテジェン®」は、田辺三菱製薬株式会社(以下「田辺三菱製薬」といいます)に対し日本国内における独占的販売権を付与する契約を締結しており、2019年より田辺三菱製薬への販売を開始し、製品売上高に計上しております。
当社の研究開発に関する詳細は、「第2 事業の状況 5.研究開発活動」をご覧ください。
さらに当社は、2021年4月にアンジェスクリニカルリサーチラボラトリーを開設し、希少遺伝性疾患検査のスクリーニング検査を一般社団法人希少疾患の医療と研究を推進する会(CReARID)から受託しており、手数料収入に計上しております。
<医薬品開発における想定される主な収益>
(注) 1 特定子会社であります。
2 債務超過会社であり、2022年12月末時点で債務超過額は57,255千米ドルであります。
3 有価証券届出書又は有価証券報告書を提出している会社はありません。
4 「所有割合」欄の( )内は、連結子会社による間接所有割合であり、内数表示しています。
5 資本金は、資本金及び資本準備金の額を合計しています。
2022年12月31日現在
(注) 従業員数は就業人員数であり休職者は含んでおりません。また、派遣社員は年間の平均人員を( )に外数で記載しております。
2022年12月31日現在
(注) 1 従業員数は就業人員数であり休職者は含んでおりません。また、派遣社員は年間の平均人員を( )に外数で記載しております。
2 平均年間給与は、基準外賃金を含めております。
労働組合は結成されておりませんが、労使関係については良好であります。
文中の将来に関する事項は、有価証券報告書提出日現在において当社が判断したものであります。
(1) 会社の経営の基本方針
① 経営方針
当社グループは、「生命が長い時間をかけて獲得した遺伝子の力を借りて画期的な遺伝子医薬を開発・実用化し、人々の健康と希望にあふれた暮らしの実現に貢献する」ことを企業理念としています。
「遺伝子医薬のグローバルリーダー」となることがその柱です。これを実現するために、治療法のない病気に対する新薬を開発することで新市場を創出するという目標を掲げております。
② 利益配分に関する基本方針
当社グループの事業のステージは、現時点では創薬における先行投資の段階にあることから、利益配当は実施しておりません。
当社グループは研究開発活動を継続的に実施していく必要があることから、当面は、利益配当は実施せず、研究開発資金の確保を優先する方針です。しかしながら株主への利益還元についても重要な経営課題と認識しており、将来、収益が改善した折には、経営成績及び財政状態を勘案しながら、利益配当も検討する所存です。
③ 投資単位の引き下げに関する方針
投資単位の引き下げは、個人株主増加や株式流動性向上のために望ましい施策であると考えております。このため、投資単位の引き下げについては、株価の動向を見極めつつ、引き下げによる費用増加、当社株式の出来高、株主数、株主分布状況を考慮しながら、慎重に検討していきたいと考えております。
(2) 経営環境
従来は低分子化合物が中心であった医薬品市場は、創薬ターゲットの枯渇を背景に、抗体などのバイオ医薬品や核酸医薬品などの市場が拡大してモダリティ(※1)の多様化を迎えていますが、研究開発の成功確率は決して高くなく、研究開発費は年々増大する傾向にあります。また、治療技術の向上により再生医療や遺伝子治療など新たな治療法の開発も進み、さらにはゲノム解析技術の進歩による個別化医療の普及、デジタル・IT技術を用いたデジタル医療の登場など、治療選択肢は広がりを見せています。一方で、難病、希少疾患をはじめ、未だに治療法のない疾患も多数存在し、高いアンメット・メディカル・ニーズ(※2)があります。それら疾患の治療の実現に向けて、世界中のバイオベンチャーや製薬会社が研究開発を加速しています。
※1 低分子薬、抗体医薬、核酸医薬、細胞治療、遺伝子細胞治療、遺伝子治療などの治療手段のこと
※2 未だ満たされていない医療ニーズ、つまり有効な治療方法がない疾患に対する医療ニーズのこと
(3) 目標とする経営指標
当社グループは研究開発型の創薬系バイオベンチャーであり、利益が本格的に拡大するのは、現在開発している複数の新薬が上市され、提携先からロイヤリティの支払いを受ける時期になる予定です。従って、現段階においては、提携先から契約一時金や開発協力金を受け取り財務リスクの低減を図りながら、研究開発を進め、営業利益をはじめとした各種利益項目の黒字化を目指しております。
具体的には以下の方針に沿って事業を進めてまいります。
・主要製品「コラテジェン®」の製品価値最大化
当社の主要製品である遺伝子治療用製品「コラテジェン®」は、2019年3月に国内初の遺伝子治療用製品として条件及び期限付製造販売承認を厚生労働省から取得し、同年9月から販売しております。現在、製造販売後承認条件評価を進めており、日本国内における本承認に向けた準備を進めております。また、米国開発に経営資源を集中的に投入し、下肢潰瘍を有する慢性動脈閉塞症を適応症として米国での承認取得を目指しております。2022年12月には、後期第Ⅱ相臨床試験において予定した症例数の投与を完了いたしました。今後は、米国臨床試験で得られたデータを活用して欧州展開も目指します。さらにイスラエルでは、同国における独占販売権を許諾したKamada社が2022年にイスラエル保健省に対して承認申請を行い、現在販売開始に向けた準備を進めております。適応症についても、慢性動脈閉塞症の他に、「コラテジェン®」の生物活性を生かせる強皮症などの種々疾患への適応拡大の可能性を追求していきます。これらの諸施策により、「コラテジェン®」の製品価値の最大化をはかります。
・グローバル展開の推進
遺伝子医薬のグローバルリーダーとして、革新的な医薬品を世界中の患者さんにお届けする当社のミッションに従い、世界最大市場である米国及びこれに続く欧州主要国を中心に医薬品の開発並びに事業化のグローバル展開を推進します。既にグローバル展開に取り組んでいる「コラテジェン®」以外の品目についても、米国を中心にグローバル展開を視野に臨床開発を進め、グローバル・パートナーとの提携を活用した展開を進めていきます。
・創薬プラットフォームの深化と拡大
基本プラットフォームであるプラスミドDNA(※3)及び核酸(※4)について、プラットフォームの深化をはかりながら創薬を推進します。プラスミドDNAは、構造の改変や最適化、標的の臓器・組織に効率よく届ける薬物送達システム(Drug Delivery System:DDS)を組み合わせて、より効率の高い遺伝子発現を目指します。2022年9月よりスタンフォード大学と共同研究を開始した改良型DNAワクチンの経鼻投与製剤はこの一例です。核酸医薬については、現在椎間板性腰痛の治療薬として開発中のNF-κBデコイオリゴDNAにDDS等を組み合わせた他疾患領域への展開、miRNAをターゲットとした核酸医薬にも挑戦していきます。また、プラスミドDNAやウイルスベクター(※5)を用いて遺伝子を補充・付加する従来の遺伝子治療に加え、異常な遺伝子や不要な遺伝子の修復や破壊が可能な、究極の遺伝子治療とも言われるゲノム編集を用いた治療法の開発が世界的に進められ、激しい競争が繰り広げられています。2020年に子会社化したEmendo社は、新規CRISPRヌクレアーゼ(※6)を探索・最適化する独自のプラットフォーム技術(OMNI Platform)により疾患に応じて構築するゲノム編集戦略を用いて、これまでゲノム編集では対象とできなかった疾患を含め、様々な疾患に対する安全で有効な治療の開発を進めております。これらの取り組みにより、当社グループとしてパイプラインの拡大に繋げていきます。
・パイプラインの継続的拡大
当社グループの創薬プラットフォームを利用した研究開発によりパイプラインの継続的な拡大をはかりますが、遺伝子治療、核酸医薬、遺伝子編集を含む遺伝子医薬の領域は極めて進歩が速く、多様なモダリティーの開発が進められている技術分野です。そのため、当社グループは、国内外の大学などで生まれた研究成果や、国内外の企業の開発品を積極的に導入し、開発パイプラインの継続的な拡大を図っていきます。またこれまでに資本参加したMyBiotics Pharma Ltd.(ビジネス対象:マイクロバイオーム(※7)-常在菌の培養、製剤化)なども活用し、各種疾患の治療や予防、健康維持の製品開発及び診断事業など具体的なビジネスに向けた取り組みを行っていきます。
・希少遺伝性疾患への取り組み強化及び検査事業の活用
2022年に希少遺伝性疾患のスクリーニング検査事業を開始したアンジェスクリニカルリサーチラボラトリー(以下「ACRL」といいます)では、スクリーニング検査の事業地域を広げ、検査の種類・項目を増やして事業の拡大をはかっていくのと並行して、当社グループの研究開発や事業への活用を推進していきます。当社グループは、希少遺伝性疾患であるムコ多糖症VI型の治療薬「ナグラザイム®」について、バイオマリンファーマシューティカルインク(米国)との提携に基づき、国内で承認を取得して販売した実績があり、小児科KOL(※8)とのネットワーク構築など希少遺伝性疾患治療薬を展開するためのノウハウを有しています。これらの実績とノウハウを活用して、希少遺伝的疾患ハッチンソン・ギルフォード・プロジェリア症候群及びプロジェロイド・ラミノパチーの治療薬であるゾキンヴィについて、2022年5月に米国のバイオ医薬品企業 Eiger BioPharmaceuticals Inc.(以下「Eiger社」といいます)と締結した日本での独占販売契約に基づいて現在承認申請に向けた準備を進めていますが、ACRLにおいて、同疾患の検査を実施する準備を進めています。さらに、ゾキンヴィに続く希少遺伝性疾患治療薬やゲノム編集における遺伝子検査にもACRLの検査事業を活用していきます。これらの取り組みにより、当社グループの医薬品の研究開発・事業と検査事業を有機的に結び付けてシナジー効果を追求していきます。
※3 染色体とは別個に存在し、独立して複製する小さなDNA分子 遺伝子工学研究においてプラスミドDNAは必須のツール
※4 細胞核の中に存在している物質でDNAとRNA2つがあり、DNAは「親から子へ、細胞から細胞へ」性質を伝える遺伝子の本体として働いており、RNAはDNAの情報に基づいてタンパク質を合成する働きを担っています
※5 分子生物学研究において遺伝物質を細胞に送達するために使用される遺伝子の運び屋(ベクター)のうち、ウイルスをベースとしたもの
※6 ゲノム編集に使用されるDNAを切断する酵素
※7 ヒトの体に共生する微生物(細菌・真菌・ウイルスなど)の総体のこと
※8 Key Opinion Leader 知識が豊富で権威性があり影響力を兼ね備えた医師などの専門家のこと
<当社グループの経営戦略>
医薬品開発には一般に多額の資金と長い期間が必要であり、加えて開発の成功確率の点で大きなリスクを伴います。最先端の技術を使い革新的な医薬品開発に挑戦している当社グループの場合には、特にこれが当てはまります。さらに販売面においても、販売・マーケティング機能を自社で構築するには多額の資金を必要とします。このため、経営資源の限られたベンチャー企業である当社グループは、当社グループが開発中の医薬品の後期臨床開発や販売・マーケティングについては他の製薬企業と積極的に提携することで、提携先が持つ医薬品開発力・販売力を活用し、さらに提携先から契約一時金・マイルストーン及びロイヤリティを受け取ることで、開発・財務面でのリスクを低減することを目指しています。
なお、当社グループは、未だ先行投資の段階にあるため現時点では親会社株主に帰属する当期純損失を計上しておりますが、事業計画に沿って研究開発を着実に進め、将来、医薬品の販売から得られる収益によって損益を改善し、さらには利益を拡大する計画です。
<開発段階と収益構成>

<一般的な新薬開発のプロセスと期間>
(5) 会社の対処すべき課題
当社グループは、創薬系バイオベンチャーとして、次世代のバイオ医薬品である遺伝子医薬(DNAプラスミド製剤、核酸医薬)や治療ワクチンなどの医薬品開発と製造販売の事業を推進しております。さらに2020年度より、先進のゲノム編集技術を有するEmendo社を買収し、事業基盤の拡大を推進してまいりました。
一方で医薬品事業は、製品化までに多額の資金と長い時間を要する等の特性があり、当社グループは継続的な営業損失の発生及び営業キャッシュ・フローのマイナスを計上している状況にあり、全ての開発投資を補うに足る収益は生じておりません。そのため、継続企業の前提に重要な疑義を生じさせるような状況が存在しております。
このような環境のもと、当社グループは、当該状況の解消と継続的な発展を目指し、下記を重要な課題として取組んでおります。
① 自社既存プロジェクトの推進
当社グループは、現在開発している医薬品等のプロジェクトを確実に進捗させることが当社の重要な課題と認識しております。
当社グループは、2019年3月に国内初の遺伝子治療用製品「コラテジェン®」の条件及び期限付承認を厚生労働省から取得し、同年9月から販売を開始いたしました。現在、製造販売後承認条件評価を行うとともに米国での閉塞性動脈硬化症を対象とした後期第Ⅱ相臨床試験を進めております。また、米国において第Ⅰ相臨床試験を実施した椎間板性腰痛症向け核酸医薬NF-κBデコイオリゴDNAは、2023年1月30日に日本国内における第Ⅱ相臨床試験を行うことを決定いたしました。また、2020年3月より開発を進めていた新型コロナウイルス感染症の武漢型予防DNAワクチンの開発は中止に至りましたが、広範な免疫応答を刺激し、ウイルスの増殖防止、拡散の阻止が期待される改良型DNAワクチンの経鼻投与製剤に関する共同研究をスタンフォード大学と開始いたしました。Vasomune Therapeutics, Inc.(以下「Vasomune社」といいます。)と共同開発しているTie2受容体アゴニストは2022年1月より重度の新型コロナウイルス感染症(COVID-19)による肺炎を対象に前期第Ⅱ相臨床試験を進めておりましたが、重症化しにくいオミクロン株への置き換わりが急速に進んだことにより、対象をインフルエンザ等のウイルス性及び細菌性肺炎を含む急性呼吸窮迫症候群(ARDS)に広げ、臨床試験を米国及び南米で継続的に進めております。
これら開発中の医薬品について、今後も優先順位を意識しながら開発を進めてまいります。
② 開発パイプラインの拡充と事業基盤の拡大
当社グループの主力事業である医薬品開発では、開発品の製品化は非常に難易度が高いため、常に開発パイプラインを充実させることが重要な課題と認識しております。
当社グループはゲノム編集における先進技術を持つ子会社のEmendo社において、究極の遺伝子治療ともいわれるゲノム編集で具体的なプロジェクト化に向けて準備を進めています。同社は、ゲノム編集の安全な医療応用を目指し、新規CRISPRヌクレアーゼを探索・最適化するプラットフォーム技術(OMNI Platform)を確立しており、血液、眼科、肝代謝などの疾患領域についてパイプラインを構築しており、最も進んだELANE関連重症先天性好中球減少症を対象としたプロジェクトは米国での臨床試験実施に向けFDAと協議を開始しております。Emendo社ではゲノム編集技術の開発をとおして、遺伝性希少疾患に加え様々な疾患へのゲノム編集技術による治療を検討しております。
当社グループは、大変希少な致死性の遺伝的早老症であるハッチンソン・ギルフォード・プロジェリア症候群及びプロジェロイド・ラミノパチーの治療薬Zokinvyの日本での独占販売契約を2022年5月に米国のバイオ医薬品企業Eiger社と締結し、現在承認取得に向け準備を進めております。また、新型コロナウイルス感染症を含むウイルス性肺疾患に対する改良型DNAワクチンの経鼻投与製剤についてスタンフォード大学と開始した共同研究を進め、早期に臨床開発に移行し開発パイプライン拡大に繋げられるように取組んでまいります。
また、2021年に開設いたしましたACRLの「希少遺伝性疾患のオプショナルスクリーニング検査」はこれまで首都圏を対象として受託をしておりましたが、今後は対象地域の拡大並びに民間の検査会社などからの受託を目指し受託活動を進めてまいります。さらに、これまでのスクリーニング検査に加え、希少遺伝性疾患の確定検査や治療の効果をモニタリングするバイオマーカーの検査など、希少遺伝性疾患の診断から治療に至るまでの包括的な検査を実施できる体制の構築を進めてまいります。
これらの開発パイプラインの拡充や事業基盤の拡大により、当社グループは遺伝子治療の世界でグローバルリーダーを目指します。
今後も、ライセンス導入や共同開発、創薬プラットフォーム技術の獲得を目指した事業提携に加え、他社に対する資本参加や他社の買収等により開発品パイプラインの拡充による事業基盤の拡大を図り、将来の成長を実現してまいります。
③ 開発プロジェクトにおける提携先の確保
当社グループでは、製薬会社との提携により、開発リスクを低減するとともに、契約一時金・マイルストーンや開発協力金を受け取ることにより財務リスクを低減しながら開発を進め、上市後にロイヤリティを受領するという提携モデルを基本方針としております。
HGF遺伝子治療用製品「コラテジェン®」に関しましては、日本と米国を対象とした独占的販売契約を田辺三菱製薬と締結しており、マイルストーン収入やロイヤリティ収入が見込めます。また、イスラエルにおきましては、独占的販売権の許諾について2019年2月に基本合意書を締結したKamada社が、2022年にイスラエル保健省に承認申請を行い受理されました。さらにトルコにおいては、2020年10月にスペシャルティ薬(特定疾患専門薬)を扱うEr-Kim社と独占的販売権許諾に関する基本合意書を締結しました。
今後も、更なる製薬会社等との提携を検討するとともに、開発プロジェクトに協力いただける企業を開拓し、事業基盤の強化に努めてまいります。
④ 資金調達の実施
当社グループにとって、研究開発活動及び事業基盤の拡大を推進することは継続的な発展のために重要であり、そのためには状況に応じ機動的に資金調達を行うことが必要となります。2022年10月12日に発行したCantor Fitzgerald & Co.を割当先とする第42回新株予約権(第三者割当て)について2022年12月末日までにその一部が行使され、35億89百万円(新株予約権発行による入金を含む)を調達いたしました。今後も、研究開発活動推進及び企業活動維持のために必要となる資金調達の可能性を適宜検討してまいります。
しかしながら、現時点において上記に記載したプロジェクトを継続的に進めるための資金調達の方法、調達金額、調達時期については確定しておらず、継続企業の前提に関する重要な不確実性が存在していると判断しております。
有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、投資者の判断に重要な影響を及ぼす可能性のある事項には、以下のようなものがあります。将来に関する事項については有価証券報告書提出日現在において判断したものであります。なお、当社グループは、これらのリスク発生の可能性を認識した上で、発生の回避及び発生した場合の対応に努める方針ですが、当社株式に関する投資判断は、以下の記載事項及び本項以外の記載事項を慎重に検討した上で行われる必要があると考えております。
(1) 遺伝子治療の現状について
遺伝子治療とは、遺伝子を用いて病気を治療することです。世界初の遺伝子治療は1990年に米国で、アデノシン・デアミナーゼ(ADA)欠損症という先天的に免疫が正常に働かない遺伝子疾患を対象に実施されました。その後、遺伝子疾患に加え、有効な治療法がない癌や後天性免疫不全症候群などに対しても、遺伝子治療が実施されてきました。国内でも1995年に北海道大学においてADA欠損症を対象とした初めての遺伝子治療が行われ以来、過去20年以上に亘り数多くの臨床試験が行われてきました。
遺伝子治療が有効と考えられる対象疾患としてはまず、遺伝子の変異が原因の遺伝子疾患があります。遺伝子疾患では、遺伝子治療により正常な遺伝子を補充することで治療効果が期待しやすいと考えられます。
最近では「ゲノム編集」技術の医療への応用が急速に進歩しています。「ゲノム編集」とは、ヒトゲノムの特定の部位で外因性の遺伝子を追加・挿入、あるいは遺伝子変異を修正・削除できる最新の遺伝子工学技術であり、従来の遺伝子組み換え技術と比べて著しく精度と効率が高いため、今後医療や科学にとって不可欠な技術になるとみられております。
「ゲノム編集」の前段階として、1990年代に本格的に始まった遺伝子治療(Gene Therapy)の研究は患者の骨髄から幹細胞を取り出し、正常な遺伝子をその幹細胞の核に組み込み、再度その細胞を患者の体内へ戻すことにより、正常な遺伝子が体内で機能するようにするものでした。 2010年代になり遺伝子を自在に書き換える「ゲノム編集」(Genome Editing)技術が開発され、その技術は今日ますます発展を遂げております。特に遺伝子異常による難病を持つ患者の治療方法として開発が進んでおり、医療・ヘルスケア業界だけでなく、農業・食品分野に革命的な影響を及ぼしており事業性の面からも注目されております。
ただし最新の「ゲノム編集」技術を利用した遺伝子(細胞)治療は新規性が高く有効性が期待されるものの、現段階では未知のリスクを否定できず、幅広い実用化には至らないリスクがあります。
(2) 今後の事業展開について
慢性動脈閉塞症を適応症としたHGF遺伝子治療用製品に関しては、田辺三菱製薬に対し末梢性血管疾患を対象とした米国と日本における独占的販売権を付与しており、開発の進捗に伴ったマイルストーンを、さらに上市後には売上高の一定料率を対価として受け取る予定です。HGF遺伝子治療用製品「コラテジェン®」は2019年度に厚生労働省から条件及び期限付きの製造販売承認を受けておりますが、今後の本承認を目指して実施される製造販売後承認調査評価における条件(投薬量、投薬回数、投薬期間)やその他の理由により、製造販売承認を取得できない可能性があります。
また、イスラエルにおけるHGF遺伝子治療用製品「コラテジェン®」の独占的販売権の許諾について同国Kamada社と基本合意書を締結しております。更にスペシャルティ薬(特定疾患専門薬)を扱うトルコのEr-Kim社と「コラテジェン®」のトルコでの導出(独占的販売権許諾)に関する基本合意書を締結しました。今後これらの導出先がそれぞれの国での使用の承認を受けた場合、海外での売り上げを見込むことができます。しかしながら導出先のイスラエルやトルコの薬事承認制度は異なるため、それらの国の当局による判断次第で販売承認を取得できないこともあり、事業計画が実現しない可能性があります。
NF-κBデコイオリゴDNAについては、塩野義製薬株式会社との間で外用剤全般の全世界における独占的な販売権を付与する契約を締結しており、その契約に基づいて当社グループは、開発の進捗に伴いマイルストーンを受け取ります。
椎間板性腰痛症を対象に臨床開発を進めているNF-κBデコイオリゴDNA、Vasomune社と共同開発を進めている急性呼吸窮迫症候群の治療薬などのプロジェクトについても、大手製薬企業に開発・販売権を導出する計画で、実現すれば契約締結に伴う一時金、開発の進捗に伴ったマイルストーンを、さらに上市後には売上高の一定料率を対価として受け取る予定です。しかしながら、導出条件やその他の理由により、こうした事業計画が実現しない可能性があります。
ハッチンソン・ギルフォード・プロジェリア症候群及びプロジェロイド・ラミノパチーの治療薬として米国Eiger BioPharmaceuticals Inc.より導入したZokinvyは、国内承認後は自社販売により安定的な売り上げを計上していく計画です。しかしながら、予定通りに承認を取得できない、対象患者数が想定より少ないなどの理由により、売上が立たない、または計画を下回る可能性があります。
また、ACRLの検査事業は、事業地域を広げ、検査の種類・項目を増やすことにより、事業の拡大をはかる計画ですが、他の検査会社の進出による競合やその他の理由により、こうした事業計画が実現しない可能性があります。
また、長期的観点から、Fresh Tracks Therapeutics Inc.(旧バイカル社)及びMyBiotics Pharma Ltd.に資本参加しています。しかしながら、これらの事業が計画通りに進展しなかった場合やその他の理由により、投資資金を回収できない可能性があります。
(3) 研究開発について
一般に新薬の開発には、長期に亘る期間と多額の費用が必要です。それにもかかわらず、医薬品の開発は計画通りに進行するとは限らず、臨床試験のために必要とされる症例数を適時に確保できないこと、臨床試験の実施に係る各種業務を支援・代行するCRO(医薬品開発業務受託機関)における業務が計画通り進行しないこと等の様々な要因によって遅延する可能性があります。さらに、様々な試験の結果、期待した有効性を確認できなかったり、安全性に関する許容できない問題が生じたりした場合には、研究開発を中止するリスクがあります。このような場合には、当社グループの事業戦略や業績が影響を受ける可能性があります。
(4) 製造について
当社グループは、製品及び治験薬等を自社で製造しておらず、他社からの供給に依存しております。従って、製品や治験薬等について、何らかの要因により、品質上の問題が生じたり、もしくは予定通りに必要な数量を確保できない場合には、開発に遅れが生じたり、製品供給の不足により当社グループの業績が影響を受けたりする可能性があります。
(5) 販売について
当社グループが開発中の医薬品については、国内、米国及び欧州等の各地域において、将来競合する可能性のある製品及び開発品が存在するものもあります。当社グループは、競争力の高い製品を早期に開発、上市することで、一定の市場シェアの獲得を目指しております。しかしながら、競合他社が当社の想定より早く承認を取得したり、想定以上のシェアを獲得した場合には、当社グループが開発した製品が上市された場合においても期待通りの収益をあげられない可能性があります。
また、日本や欧州においては新薬の価格は原則として政府あるいはそれに準じた公的機関により決定され、また、米国においては保険会社・マネージドケア(健康保険運営団体)及び政府のメディケア・プログラムとの交渉により決定されます。そのため、当社グループが開発した製品について当社グループが想定した薬価とならない場合があり期待通りの収益をあげられない可能性があります。
加えて、当社が販売する医薬品について、予期しない副作用が発生した場合には売上高の減少要因となり、当社グループの業績が影響を受ける可能性があります。
(6) 薬事法制による規制について
薬事法制は、医薬品・医療機器等の品質、有効性、安全性確保の観点から、企業が行う開発・製造・販売等に関して必要な規制を行う法律であり、当社グループが実施している医薬品の研究開発は日本をはじめ各国の薬事法制の規制を受けております。
各国において、様々な要因による承認要件の変更、さらに薬事法制度の変更により、承認を計画通りに取得できない可能性があります。このような場合には、当社グループの事業戦略や業績が影響を受ける可能性があります。
(7) 知的財産権について
① 特許戦略
当社グループが現在展開しているHGF遺伝子治療用製品、NF-κBデコイオリゴDNAの研究開発活動は、主に当社グループが保有する又は当社グループが実施権を有する特許権あるいは特許出願中の権利に基づき実施しております。以下において、それらのうち特に重要なものを記載しております。
しかしながら、当社グループが現在出願中の特許が全て登録されるとは限りません。また、当社グループの研究開発を超える優れた研究開発により当社グループの特許が淘汰される可能性は、常に存在しております。仮に当社グループの研究開発を超える優れた研究開発がなされた場合、当社グループの事業戦略や経営成績に重大な影響を及ぼす可能性があります。
さらに、当社グループの今後の事業展開の中でライセンスを受けることが必要な特許が生じ、そのライセンスが受けられなかった場合には、当社グループの事業戦略や経営成績に重大な影響を及ぼす可能性があります。
② 知的財産権に関する訴訟、クレーム
連結会計年度末現在において、当社グループの開発に関連した特許権等の知的財産権について、第三者との間で訴訟やクレームが発生したという事実はありません。
ただし、他社が当社グループと同様の研究開発を行っていないという保証はなく、今後とも知的財産について問題が発生しないという保証はありません。
当社グループとしても、このような問題を未然に防止するため、事業展開にあたっては特許調査を実施しており、当社グループ特許が他社の特許に抵触しているという事実は認識しておりません。しかしながら、当社グループのような研究開発型企業にとって、このような知的財産権侵害問題の発生を完全に回避することは困難であります。
(8) 業績の推移について
当社グループの主要な経営指標等の推移は以下のとおりであります。
当社グループは、事業のステージが先行投資の段階にあるため、現時点では、上記記載のように、第20期から第24期において親会社株主に帰属する当期純損失を計上しておりますが、現在の研究開発を着実に進め、パイプラインの拡充を図り、将来医薬品の販売から得られる収益によって損益を改善し、さらには利益の拡大を目指してまいります。
ただし、現在の事業計画に沿った医薬品の研究開発や販売が実現しない場合には、当社グループが将来においても親会社株主に帰属する当期純利益を計上できない可能性もあります。
また、上記記載のように、第20期から第24期においては、営業活動によるキャッシュ・フローもマイナスであり、現状の事業計画に沿った医薬品の研究開発や販売が実現しない場合には、将来においても営業活動によるキャッシュ・フローがプラスにならない可能性もあります。
(9) 経営上の重要な契約等について
当社グループのビジネス展開上重要と思われる契約の内容を本報告書「第2 事業の状況 4 経営上の重要な契約等」に記載しております。なお、当社グループは、これらの契約に関して、いずれも当社グループの根幹に関わる重要な契約であると認識しております。したがって、当該契約の破棄が行われた場合、当社グループにとって不利な契約改定が行われた場合及び契約期間満了後に契約が継続されない場合は、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。
(10)組織体制について
① 人材の確保
当社グループの競争力は研究開発力にあり、専門性の高い研究及び開発担当者の確保が不可欠です。また、事業の成長拡大を支えるためには事業開発、営業、製造、内部管理等の人材も充実させる必要があります。当社グループは、優秀な人材の確保及び社内人材の教育に努めますが、人材の確保及び社内人材の教育が計画どおりに進まない場合には、当社グループの業務に支障をきたす可能性があります。
一方、当社グループは、業務遂行体制の充実に努めますが、小規模組織であり、限りある人的資源に依存しているために、社員に業務遂行上の支障が生じた場合、あるいは社員が社外流出した場合には、当社グループの業務に支障をきたす可能性があります。
② 特定人物への依存
当社グループの事業の推進者は、代表取締役である山田英です。代表取締役山田英は、当社グループの最高責任者として、当社グループの経営戦略の決定、研究開発、事業開発及び管理業務の遂行に大きな影響力を有しております。また、当社メディカルアドバイザーである森下竜一には、研究開発の面でアドバイスを受けております。
当社グループではこれらの特定人物に過度に依存しない体制を構築すべく、経営組織の強化を図っていますが、当面の間はこれらの特定人物への依存度が高い状態で推移すると見込まれます。このような状況のなかで、これらの特定人物が何らかの理由により当社グループの業務を継続することが困難になった場合には、当社グループの事業戦略や経営成績に重大な影響を及ぼす可能性があります。
(11)訴訟について
当社グループは、医薬品の副作用、製造物責任、知的財産権及び労務問題等に関して、訴訟を提起される可能性があります。将来、当社グループが提訴された場合には、その内容次第で当社グループの業績が影響を受ける可能性があります。
(12)配当政策について
当社グループは、創薬系バイオベンチャーであり、2019年9月よりHGF遺伝子治療用製品「コラテジェン®」を販売しているものの、「コラテジェン®」は条件及び期限付の承認であります。また他の主要なプロジェクトにおいても医薬品の開発段階であり、事業のステージは、先行投資の段階にあります。このため、現時点においては、親会社株主に帰属する当期純損失を計上しており、剰余金の配当は実施しておりません。
ただし、株主への利益還元については重要な経営課題と認識しており、将来、現在開発中の新薬が上市され、その販売によって利益が計上され分配可能額が生じる時期においては、経営成績及び財政状態を勘案しながら、剰余金の配当を検討したいと考えております。
(13)外国為替変動について
当社グループは、事業活動をグローバルに展開しており、海外での研究開発活動、海外企業とのライセンス、海外からの製品及び治験薬の仕入等において外貨建取引が存在します。また、当社グループが現在開発を行っている製品は、日本のみならず、米国を含む海外市場での販売が見込まれます。そのため、急激な為替変動によって為替リスクが顕在化した場合には、当社グループの事業戦略や業績が影響を受ける可能性があります。
(14)新型コロナウイルス感染症(COVID-19)向け予防ワクチン開発プロジェクトのリスク
当社は、2020年3月に当社の保有するDNAプラスミドの技術を用いた新型コロナウイルス(武漢型)に対するワクチン(以下、「初期のワクチン」という。)の開発を決定し、同月より初期のワクチンの非臨床試験を開始し、第Ⅰ/Ⅱ相臨床試験、第Ⅱ/Ⅲ相臨床試験と開発を進めてまいりました。しかしながら、2021年11月に初期のワクチンでは期待どおりの効果を上げることが難しいとの判断に至りました。
また、当社は、2021年8月より、初期のワクチンの薬剤濃度を上げた高用量製剤(以下、「高用量製剤」という。)を用いた第Ⅰ/Ⅱ相臨床試験も併せて進め、投与を完了し、データの整理、分析を行っております。
この高用量製剤の最終的な臨床試験結果の確定には今後数か月が必要ですが、高用量製剤の臨床試験の速報データにより、当初開発した初期のワクチンよりも免疫原性は増強したものの、期待する水準には至らないことが判明いたしました。これに伴い、新型コロナウイルス(武漢型)に対する高用量製剤を含む初期のワクチンの開発を中止することを決定いたしました。
しかしながら、初期のワクチン開発において、DNAワクチンの安全性が確認できたことから、2022年9月、新型コロナウイルスの変異株(オミクロンBA.5等)にも有効な改良型DNAワクチン及びその経鼻投与製剤(以下、「経鼻投与型ワクチン」という。)の研究開始を決定いたしました。
経鼻投与型ワクチンの開発計画には、次のようなリスクが想定されます。すなわち、初期のワクチン開発は上記のとおり、既に第Ⅱ/Ⅲ相臨床試験まで完了しておりました。一方、経鼻投与型ワクチンは、現時点では非臨床の研究段階にあります。このため、製品化までの研究開発期間が初期のワクチンよりも長くなることが見込まれ、その結果、研究開発が完了した時点で、新型コロナウイルス感染症の感染が収束しているなど、ワクチンへの需要が予想と異なるリスクがあります。
また、現時点ではオミクロン株の最新変異株が感染の主流となっておりますが、今後、より感染力が強く、致死率が高い変異株が出現した場合は、それに対応したワクチン開発へと方針の見直しを迫られ、研究開発期間のより一層の長期化を来す可能性があります。
さらに、研究の結果によっては、期待した有効性を確認出来ない、あるいは、安全性に関して許容出来ない等の問題が生じた場合、臨床試験に進まず研究開発を中止するリスクがあります。
これらのリスクが今後の事業戦略、財政状態、経営成績及び当社の株価に影響を及ぼす可能性があります。
(15)継続企業の前提に関する重要事象等について
医薬品事業は、製品化までに多額の資金と長い時間を要する等の特性があり、創薬ベンチャーである当社グループにおいては、継続的に営業損失及び営業キャッシュ・フローのマイナスを計上している状況にあります。そのため、継続企業の前提に重要な疑義を生じさせるような状況が存在しております。
当社グループは当該状況を解消すべく、下記を重要な課題として取組んでおります。
① 自社既存プロジェクトの推進
当社グループは、現在開発している医薬品等のプロジェクトを確実に進捗させることが当社グループの重要な課題と認識しております。
当社グループでは、2019年3月に国内初の遺伝子治療用製品「コラテジェン®」の条件及び期限付承認を厚生労働省から取得し、同年9月から販売を開始いたしました。現在、製造販売後承認条件評価を行うとともに米国での閉塞性動脈硬化症を対象とした後期第Ⅱ相臨床試験を進めております。また、米国において第Ⅰ相臨床試験を実施した椎間板性腰痛症向けの核酸医薬NF-κBデコイオリゴDNAは、2023年1月30日に日本国内における第Ⅱ相臨床試験を行うことを決定いたしました。また、2020年3月より開発を進めていた新型コロナウイルス感染症の武漢型予防DNAワクチンの開発は中止に至りましたが、広範な免疫応答を刺激し、ウイルスの増殖防止、拡散の阻止が期待される改良型DNAワクチンの経鼻投与製剤に関する共同研究をスタンフォード大学と開始いたしました。Vasomune社と共同開発しているTie2受容体アゴニストは2022年1月より重度の新型コロナウイルス感染症(COVID-19)による肺炎を対象に前期第Ⅱ相臨床試験を米国及び南米で進めておりましたが、対象疾患をインフルエンザ等のウイルス性及び細菌性肺炎を含むARDSに広げて継続的に進めております。
これら開発中の医薬品について、今後も優先順位を意識しながら開発を進めてまいります。
② 開発パイプラインの拡充と事業基盤の拡大
当社グループの主力事業である医薬品開発では、開発品の製品化は非常に難易度が高いため、常に開発パイプラインを充実させることが重要な課題と認識しております。
当社グループはゲノム編集における先進技術を持つ子会社のEmendo社において、究極の遺伝子治療ともいわれるゲノム編集で具体的なプロジェクト化に向けて準備を進めています。同社は、ゲノム編集の安全な医療応用を目指し、新規CRISPRヌクレアーゼを探索・最適化するプラットフォーム技術(OMNI Platform)を確立しており、血液、眼科、肝代謝などの疾患領域についてパイプラインを構築しており、最も進んだELANE関連重症先天性好中球減少症を対象としたプロジェクトは米国での臨床試験実施に向けFDAと協議を開始しております。Emendo社ではゲノム編集技術の開発をとおして、遺伝性希少疾患に加え様々な疾患へのゲノム編集技術による治療を検討しております。
当社グループは、大変希少な致死性の遺伝的早老症であるハッチンソン・ギルフォード・プロジェリア症候群及びプロジェロイド・ラミノパチーの治療薬Zokinvyの日本での独占販売契約を2022年5月に米国のバイオ医薬品企業Eiger社と締結し、現在承認申請に向けた準備を進めております。また、新型コロナウイルス感染症を含むウイルス性肺疾患に対する改良型DNAワクチンの経鼻投与製剤についてスタンフォード大学と開始した共同研究を進め、早期に臨床開発に移行し開発パイプライン拡大に繋げられるように取組んでまいります。
また、2021年に開設いたしましたACRLの「希少遺伝性疾患のオプショナルスクリーニング検査」はこれまで首都圏を対象として受託をしておりましたが、今後は対象地域の拡大並びに民間の検査会社などからの受託を目指し受託活動を進めてまいります。さらに、これまでのスクリーニング検査に加え、希少遺伝性疾患の確定検査や治療の効果をモニタリングするバイオマーカーの検査など、希少遺伝性疾患の診断から治療に至るまでの包括的な検査を実施できる体制の構築を進めてまいります。
これらの開発パイプラインの拡充や事業基盤の拡大により、当社グループは遺伝子治療の世界でグローバルリーダーを目指します。
今後も、ライセンス導入や共同開発、創薬プラットフォーム技術の獲得を目指した事業提携に加え、他社に対する資本参加や他社の買収等により開発品パイプラインの拡充による事業基盤の拡大を図り、将来の成長を実現してまいります。
③ 開発プロジェクトにおける提携先の確保
当社グループでは、製薬会社との提携により、開発リスクを低減するとともに、契約一時金・マイルストーンや開発協力金を受け取ることにより財務リスクを低減しながら開発を進め、上市後にロイヤリティを受領するという提携モデルを基本方針としております。
HGF遺伝子治療用製品「コラテジェン®」に関しましては、日本と米国を対象とした独占的販売契約を田辺三菱製薬と締結しており、マイルストーン収入やロイヤリティ収入が見込めます。また、イスラエルにおきましては、独占的販売権の許諾について2019年2月に基本合意書を締結したKamada社が、2022年にイスラエル保健省に承認申請を行い受理されました。さらにトルコにおいては、2020年10月にスペシャルティ薬(特定疾患専門薬)を扱うEr-Kim社と独占的販売権許諾に関する基本合意書を締結しました。
今後も、更なる製薬会社等との提携を検討するとともに、開発プロジェクトに協力いただける企業を開拓し、事業基盤の強化に努めてまいります。
④ 資金調達の実施
当社グループにとって、研究開発活動及び事業基盤の拡大を推進することは継続的な発展のために重要であり、そのためには状況に応じ機動的に資金調達を行うことが必要となります。2022年10月12日に発行したCantor Fitzgerald & Co.を割当先とする第42回新株予約権(第三者割当て)について2022年12月末日までにその一部が行使され、35億89百万円(新株予約権発行による入金を含む)を調達いたしました。今後も、研究開発活動推進及び企業活動維持のために必要となる資金調達の可能性を適宜検討してまいります。
しかしながら、現時点において上記に記載したプロジェクトを継続的に進めるための資金調達の方法、調達金額、調達時期については確定しておらず、継続企業の前提に関する重要な不確実性が存在していると判断しております。
(1) 経営成績等の状況の概要
当連結会計年度における当社グループ(当社及び連結子会社3社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」といいます。)の状況の概要並びに経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。
① 経営成績及び財政状態の概要
当社グループでは、提携企業からの契約一時金、マイルストーンを研究開発事業収益に計上しております。HGF遺伝子治療用製品「コラテジェン®」の販売収入につきまして製品売上高に計上しております。アンジェスクリニカルリサーチラボラトリー(以下ACRLといいます。)において希少遺伝性疾患のオプショナルスクリーニング検査を実施しており、手数料収入に計上しております。
この結果、当連結会計年度における事業収益は67百万円(前期比2百万円(+4.5%)の増収)、経常損失は146億10百万円(前年同期の経常損失は135億88百万円)、親会社株主に帰属する当期純損失は147億14百万円(前連結会計年度の親会社株主に帰属する当期純損失は136億75百万円)となっております。
財政状態につきましては、当連結会計年度末の総資産は388億20百万円(前連結会計年度末比66億35百万円の減少)となりました。現金及び預金は事業費用への充当等により110億35百万円(前連結会計年度末比68億64百万円の減少)となりました。負債は83億95百万円(前連結会計年度末比15億74百万円の増加)となりました。純資産は304億25百万円(前連結会計年度末比82億9百万円の減少)となりました。
② キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度末における現金及び現金同等物(以下、「資金」といいます。)は、前連結会計年度末に比べ68億66百万円減少し、109億69百万円となりました。当連結会計年度のキャッシュ・フローの状況は次のとおりです。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度における営業活動による資金の減少は、112億14百万円(前年同期は113億80百万円の減少)となりました。のれん償却費を28億83百万円、減損損失を1億4百万円計上し、前渡金が14億13百万円減少、棚卸資産が2億15百万円減少、前受金が6億44百万円増加しましたが、税金等調整前当期純損失147億16百万円に加え、為替差益を13億31百万円計上し、仕入債務が1億85百万円減少、未払金が1億30百万円減少しております。その結果、前年同期と比べ、1億66百万円の支出減少となっております。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度における投資活動による資金の減少は、97百万円(前年同期は1億54百万円の減少)となりました。ACRLの改修工事等により、有形固定資産の取得による支出が19百万円発生しております。MyBiotics社の転換社債への支出により、投資有価証券の取得による支出が74百万円発生しております。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
当連結累計会計年度における財務活動による資金の増加は、35億72百万円(前年同期は173億78百万円の増加)となりました。2022年10月12日にCantor Fitzgerald & Co.を割当先とする第42回新株予約権(第三者割当て)を発行し、新株予約権の発行による収入が50百万円、新株予約権の行使による株式の発行による収入が35億21百万円発生しております。
③ 生産、受注及び販売の実績
a. 生産実績
当連結会計年度の生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
b. 受注実績
当連結会計年度の受注実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
c. 販売実績
当連結会計年度の販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
(注)主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合は、以下のとおりであります。
(2) 経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。
① 重要な会計方針及び見積り
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。重要な会計方針については、本報告書「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等(1)連結財務諸表 注記事項 (連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項)」に記載のとおりであります。連結財務諸表及び注記事項等の作成上、必要な会計上の見積りを行っておりますが、実際の結果はこれらの見積りと異なる場合があります。
連結財務諸表の作成にあたって用いた会計上の見積り及び仮定のうち、重要なものは、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等(1)連結財務諸表 注記事項 (重要な会計上の見積り)」に記載のとおりであります。
② 当連結会計年度の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容
当社グループは、2019年度に国内の慢性動脈閉塞症における潰瘍に対する条件及び期限付き製造販売承認を取得し、HGF遺伝子治療用製品「コラテジェン®」として販売を行っております。また、ACRLにおいて開始した希少遺伝性疾患のオプショナルスクリーニング検査は順調に受注を得ております。「コラテジェン®」につきましては、国内において本承認取得を目指し製造販売後承認条件評価を進めるとともに、米国においては下肢潰瘍を有する閉塞性動脈硬化症を対象とした後期第Ⅱ相臨床試験を実施し目標60例の投与を完了しております。
2022年5月にEiger BioPharmaceuticals Inc. (以下「Eiger社」といいます)と、ハッチンソン・ギルフォード・プロジェリア症候群(以下「HGPS」といいます)とプロジェロイド・ラミノパチー(以下「PL」といいます)を適応症とする治療薬であるZokinvy(一般名:ロナファルニブ)について締結した日本における独占販売契約に基づき、承認取得の準備を進めております。
新型コロナウイルス感染症(武漢型)予防DNAワクチン(以下「新型コロナワクチン」といいます)は、第Ⅰ/Ⅱ相試験において、安全性は確認されたものの、有効性は期待する水準に至らなかったことから、開発を中止することといたしました。一方、変異株に対する経鼻投与製剤のワクチンについて、スタンフォード大学との共同開発を開始いたしました。
Vasomune Therapeutics, Inc.(以下「Vasomune社」といいます)と共同開発を進めているTie2受容体アゴニストは、新型コロナウイルス感染症による肺炎を対象として前期第Ⅱ相臨床試験を行っておりましたが、重症化しにくいオミクロン株への置き換わりが急速に進んだことにより、対象をインフルエンザ等のウイルス性及び細菌性肺炎を含む急性呼吸窮迫症候群(ARDS)に広げ、臨床試験を米国及び南米で継続的に進めております。
これらの既存プロジェクトに加え、当社グループはゲノム編集における先進技術を持つ子会社のEmendoBio Inc.(以下「Emendo社」といいます)において、究極の遺伝子治療ともいわれるゲノム編集で米国における臨床試験に向けて準備を進めております。
今後も、自社プロジェクトに加え、外部からの導入、戦略的提携先との共同開発や他社への資本参加等により開発品パイプライン拡充を積極的に進め、遺伝子医薬のグローバルリーダーを目指してまいります。
当社グループは、創薬系ベンチャーとして、次世代のバイオ医薬品である遺伝子医薬(DNAプラスミド製剤、核酸医薬)や治療ワクチンなどの医薬品開発と製造販売の事業を推進しております。
当連結会計年度の事業収益は前年同期に比べ2百万円増加し67百万円(前年同期比4.5%増)となりました。当社グループでは、HGF遺伝子治療用製品「コラテジェン®」の条件及び期限付製造販売の承認を取得し、2019年9月から田辺三菱製薬より販売しておりますが、当面の治療に必要な数量を前年度中に概ね出荷完了しているため、当連結会計年度においての製品売上高は11百万円(前年同期比23百万円の減少)となりました。一方、ACRLにおいて前2021年度第3四半期連結会計期間より実施している希少遺伝性疾患のオプショナルスクリーニング検査は安定的に推移し、手数料収入として55百万円(同25百万円の増加)を計上いたしました。
当連結会計年度における事業費用は、前年同期に比べ6億87百万円増加し、163億83百万円(同4.4%増)となりました。
売上原価は、前年同期に比べ37百万円増加し、93百万円(同65.5%増)となりました。当連結会計年度における「コラテジェン®」の出荷本数は前年同期より減少しましたが、使用期限切れによる廃棄が見込まれる製品の評価損を計上したことにより製品売上原価が前年同期に比べ4百万円増加し、25百万円(同23.9%増)となりました。ACRLにおける希少遺伝性疾患のオプショナルスクリーニング検査にかかる原価は、受託数の増加により前年同期に比べ32百万円増加し、68百万円(同89.5%増)となっております。
研究開発費は、前年同期に比べ2億15百万円増加し、109億99百万円(同2.0%増)となりました。Emendo社における円安基調に伴う為替換算による費用増加に加え、ゲノム編集治療の開発費用の増加及びVasomune社との共同開発品であるTie2受容体アゴニストについて共同開発費当社負担分を計上したこと等により、外注費が3億54百万円増加しております。また、主にEmendo社の人員の増加により、給料手当が2億86百万円増加しております。一方、新型コロナウイルス感染症予防DNAワクチンの目標症例の投与が完了したことにより、研究用材料費が2億67百万円減少しております。また、新型コロナウイルス感染症予防DNAワクチンの研究にかかる研究用消耗品等の減少により、消耗品費が3億14百万円減少しております。
当社グループのような研究開発型バイオベンチャー企業は先行投資が続きますが、提携戦略などにより財務リスクの低減を図りながら、今後も研究開発投資を行っていく予定です。研究開発の詳細については、本報告書「5 研究開発活動」をご参照ください。
販売費及び一般管理費は前年同期に比べ4億34百万円増加し、52億90百万円(同9.0%増)となりました。為替の円安に伴い、Emendo社買収に伴うのれん償却額が前年同期より4億76百万円増加しております。また、Emendo社における事務所家賃の増加により、地代家賃が1億1百万円増加しております。一方、Emendo社に関連する弁護士等専門家及びコンサルタントへの報酬が減少したため、支払手数料が前年同期より1億3百万円減少しております。
この結果、当連結会計年度の営業損失は前年同期に比べ6億84百万円拡大し、163億16百万円(前年同期の営業損失は156億32百万円)となりました。
当連結会計年度の経常損失は前年同期に比べ10億21百万円拡大し、146億10百万円(前年同期の経常損失は135億88百万円)となりました。国立研究開発法人日本医療研究開発機構(AMED)より採択された「新型コロナウイルス感染症(COVID-19)に対するワクチン開発」の助成金に関して、すでに入金が行われ前受金に計上しておりましたが、当連結会計年度において2021年度分の確定検査結果通知を受領したことから、1億18百万円を前受金から補助金収入に振替えております。また、Vasomune社が米国及びカナダにおいて獲得した助成金について、当社開発費負担分に応じて2億75百万円を受領し、補助金収入に計上しております。この結果、補助金収入は3億93百万円となりました。さらに、為替の円安に伴い、外貨預金及びEmendo社への貸付金の評価替を行った結果、為替差益が13億22百万円発生しております(前年同期は5億99百万円の為替差益)。
当連結会計年度の親会社株主に帰属する当期純損失は、10億39百万円拡大し、147億14百万円(前年同期の親会社株主に帰属する当期純損失は136億75百万円)となりました。前年同期においては、ストックオプションの権利行使期間終了による権利失効に伴い新株予約権戻入益を32百万円計上しておりましたが、当期においては3百万円の発生となりました。当社が保有する固定資産につきまして、「固定資産の減損に係る会計基準」に基づき、投資額と投資期間全体を通じた回収可能額について比較検討した結果、「医薬品開発ビジネス事業」の固定資産につき1億4百万円を減損損失として計上しております。当社が保有する投資有価証券について、簿価に比べて時価が著しく下落したため、減損処理による投資有価証券評価損6百万円を計上しております(前年同期は1億79百万円の計上)。
当連結会計年度末の総資産は前連結会計年度末に比べ66億35百万円減少し、388億20百万円となりました。
流動資産は85億29百万円減少し、128億96百万円となっております。2022年10月12日に発行したCantor Fitzgerald & Co.を割当先とする第42回新株予約権(第三者割当て)について2022年12月末日までにその一部が行使され、35億89百万円を調達いたしました。また、国立研究開発法人日本医療研究開発機構(AMED)より助成金7億74百万円の入金がありましたが、当期事業費用への充当により、現金及び預金は68億64百万円減少し、110億35百万円となりました。余剰在庫の評価損を計上したことに伴い、原材料及び貯蔵品が1億89百万円減少して10億4百万円となりました。新型コロナウイルス感染症予防DNAワクチンの製造が終了したことに伴い、前渡金が14億10百万円減少して3億3百万円となりました。
当連結会計年度末の固定資産は18億94百万円増加し、259億24百万円となっております。Emendo社において米国会計基準ASU第2016-02号「リース」を適用したことにより、使用権資産を13億18百万円計上しております。のれんが前連結会計年度末に比べ5億78百万円増加して232億54百万円となりました。のれんの償却による28億83百万円の減少はありましたが、円安による為替変動の影響により米ドル建のれんの換算額が34億62百万円増加したことによります。
当連結会計年度末の負債は前連結会計年度末に比べ15億74百万円増加し、83億95百万円となりました。Emendo社において米国会計基準ASU第2016-02号「リース」を適用したことにより、リース債務を流動負債に1億60百万円、固定負債に9億94百万円計上しております。国立研究開発法人日本医療研究開発機構(AMED)より採択された「新型コロナウイルス感染症(COVID-19)に対するワクチン開発」に関する助成金が入金され、前受金が6億44百万円増加しております。前年度の費用の支払により、買掛金が1億67百万円減少しております。
当連結会計年度末の純資産は前連結会計年度末に比べ82億9百万円減少し、304億25百万円となりました。Cantor Fitzgerald & Co.を割当先とする第42回新株予約権(第三者割当て)の行使により、資本金及び資本剰余金がそれぞれ17億86百万円増加しております。親会社株主に帰属する当期純損失147億14百万円の計上により、利益剰余金が減少しております。主にのれんに係る為替変動の影響により、為替換算調整勘定が29億37百万円増加しております。
③ 資本の財源及び資金の流動性
当社グループの事業活動における資金需要は、プロジェクト推進のための研究開発費需要と会社運営のための運転資金需要があります。これらの資金需要に対して、主に新株予約権によるエクイティファイナンスによって資金調達を行っております。
当社の経営上の重要な契約は以下のとおりであります。
(1) 導入
(2) 導出
(1) 提出会社
(2022年12月31日現在)
(注) 1 当事業年度において全額減損損失を計上しているため、期末帳簿価額はありません。
2 東京支社及び研究施設は賃借物件で、その概要は次のとおりです。
(2) 在外子会社
(2022年12月31日現在)
(注) 1 全額費用計上しているため、期末帳簿価額はありません。
(注) 2023年3月30日開催の定時株主総会において定款の一部変更が行われ、発行可能株式総数は同日より450,000,000株増加し、700,000,000株となっております。
(注) 提出日現在発行数には、2023年3月1日からこの有価証券報告書提出日までの新株予約権の行使により発行された株式数は、含まれておりません。
(1)第32回新株予約権(取締役向け株式報酬型ストックオプション)
会社法第236条、第238条及び第240条の規定に基づく取締役会決議による新株予約権
(注)1.本新株予約権の目的となる株式の数
本新株予約権1個当たりの目的である株式の数(以下「付与株式数」といいます。)は100株とします。
なお、本新株予約権の割当日後、当社が株式分割(当社普通株式の株式無償割当を含みます。以下同じです。)又は株式併合を行う場合には、付与株式数は、次の算式により調整されるものとします。但し、かかる調整は、本新株予約権のうち、当該時点で行使されていない本新株予約権の目的となる株式の数についてのみ行われ、調整の結果生じる1株未満の端数は、これを切り捨てます。
調整後付与株式数 = 調整前付与株式数 × 分割(又は併合)の比率
調整後付与株式数は、株式分割の場合は、当該株式分割の基準日の翌日(基準日を定めないときは、その効力発生日)以降、株式併合の場合は、その効力発生日以降、これを適用します。
また、本新株予約権の割当日後、当社が合併、会社分割又は資本金の額の減少を行う場合その他これらの場合に準じ付与株式数の調整を必要とする場合には、当社は、付与株式数を適切に調整するものとします。
付与株式数の調整を行うときは、当社は調整後付与株式数を適用する日の前日までに、必要な事項を新株予約権原簿に記載された各本新株予約権を保有する者(以下「本新株予約権者」といいます。)に通知又は公告します。但し、当該適用の日の前日までに通知又は公告を行うことができない場合には、以後速やかに通知又は公告するものとします。
2.本新株予約権の行使により株式を発行する場合における増加する資本金及び資本準備金に関する事項
① 本新株予約権の行使により株式を発行する場合における増加する資本金の額は、会社計算規則第17条第1項に従い算出される資本金等増加限度額の2分の1の金額とし、計算の結果生じる1円未満の端数は、これを切り上げるものとします。
② 本新株予約権の行使により株式を発行する場合における増加する資本準備金の額は、上記①記載の資本金等増加限度額から上記①に定める増加する資本金の額を減じた額とします。
3.本新株予約権の行使の条件
本新株予約権の行使の条件は次のとおりであります。
① 本新株予約権者は、当社の取締役の地位を喪失した日の翌日から10日間(但し、最終の日が休日に当たる場合には直後の営業日まで)に限り、本新株予約権を行使することができます。但し、本新株予約権者が割当日以降最初に到来する取締役の任期の満了日よりも前に当社の取締役の地位を喪失した場合、本新株予約権者が当社の取締役を解任された場合、又は自己都合により退任した場合(疾病、障害により退任した場合を除く。)は、本新株予約権を行使することはできません。
② 本新株予約権者が禁固以上の刑に処せられた場合には、本新株予約権を行使することができません。
③ 本新株予約権者が不正若しくは違法な職務執行を行った場合、又は本新株予約権者が当社の社会的信用を害する行為その他当社に対する背信的行為と認められる行為を行った場合には、本新株予約権を行使することができません。
④ 本新株予約権の行使によって、当社の発行済株式総数が当該時点における発行可能株式総数を超過することとなるときは、当該本新株予約権の行使を行うことはできません。
⑤ 本新株予約権者が本新株予約権の全部又は一部の放棄を申し出た場合には、かかる放棄の申し出のあった本新株予約権の全部又は一部を行使することができません。
⑥ 各本新株予約権の1個未満の行使を行うことはできません。
⑦ 上記①にかかわらず、本新株予約権者が死亡した場合、本新株予約権者の法定相続人に限り本新株予約権の相続を認め、かつ、本新株予約権者の死亡の日から10か月以内に本新株予約権を相続する法定相続人を確定の上、同期間内に権利保有者変更手続を行った場合にのみ、本新株予約権者の死亡の日から1年を経過する日までに限り、当該法定相続人は本新株予約権を行使することができます。但し、本新株予約権者が割当日以降最初に到来する取締役の任期の満了日よりも前に死亡した場合には、本新株予約権の相続による承継は認められません。また、本新株予約権を相続により承継した法定相続人からの本新株予約権の相続は認められません。
4.本新株予約権の譲渡に関する事項上記に加え、当社と本新株予約権者との間で締結される新株予約権割当契約は、以下の規定を含んでいます。
すなわち、本新株予約権者は、本新株予約権を譲渡し、又は、質入れ、担保権の設定その他の一切の処分をすることができないとされています。
5.組織再編成行為に伴う新株予約権の交付に関する事項
当社が、合併(当社が合併により消滅する場合に限ります。)、吸収分割(当社が分割会社となる場合に限ります。)若しくは新設分割又は株式交換若しくは株式移転(それぞれ当社が完全子会社となる場合に限ります。)(以下「組織再編行為」と総称します。)を行う場合には、組織再編行為の効力発生日(吸収合併につき吸収合併がその効力を生ずる日、新設合併につき新設合併設立株式会社の成立の日、吸収分割につき吸収分割がその効力を生ずる日、新設分割につき新設分割設立株式会社の成立の日、株式交換につき株式交換がその効力を生ずる日及び株式移転につき株式移転設立完全親会社の成立の日をいいます。以下同じです。)の直前において残存する本新株予約権(以下「残存本新株予約権」といいます。)を保有する本新株予約権者に対し、それぞれの場合につき、会社法第236条第1項第8号イからホまでに掲げる株式会社(以下「再編対象会社」といいます。)の新株予約権をそれぞれ交付することとします。この場合においては、残存本新株予約権は消滅し、再編対象会社は再編対象会社の新株予約権を新たに発行するものとします。但し、以下の条件に沿って再編対象会社の新株予約権を交付する旨を、吸収合併契約、新設合併契約、吸収分割契約、新設分割計画、株式交換契約又は株式移転計画において定めた場合に限るものとします。
(1) 交付する再編対象会社の新株予約権の数
本新株予約権者が保有する残存本新株予約権の数と同一の数をそれぞれ交付します。
(2) 新株予約権の目的である再編対象会社の株式の種類
再編対象会社の普通株式とします。
(3) 新株予約権の目的である再編対象会社の株式の数
組織再編行為の条件等を勘案の上、上記1.に準じて決定します。
(4) 新株予約権の行使に際して出資される財産の価額
交付される各新株予約権の行使に際して出資される財産の価額は、以下に定める再編後行使価額に上記(3)に従って決定される当該新株予約権の目的である再編対象会社の株式の数を乗じて得られる金額とします。再編後行使価額は、交付される各新株予約権を行使することにより交付を受けることができる再編対象会社の株式1株当たり1円とします。
(5) 新株予約権を行使することができる期間
本新株予約権の行使期間の初日と組織再編行為の効力発生日のうちいずれか遅い日から、本新株予約権の行使期間の満了日までとします。
(6) 新株予約権の行使により株式を発行する場合における増加する資本金及び資本準備金に関する事項
上記2.に準じて決定します。
(7) 譲渡による新株予約権の取得の制限
譲渡による新株予約権の取得については、再編対象会社の取締役会の決議による承認を要するものとします。
(8) その他の新株予約権の行使の条件
上記3.に準じて決定します。
(9) 新株予約権の取得事由及び条件
下記6.に準じて決定します。
6.本新株予約権の取得に関する事項
(1) 以下の①ないし⑦のいずれかの議案につき株主総会で承認された場合(株主総会決議が不要の場合は、取締役会決議がなされた場合)は、取締役会が別途定める日の到来をもって、当社は無償で本新株予約権を取得することができます。
① 当社が消滅会社となる合併契約承認の議案
② 当社が分割会社となる分割契約又は分割計画承認の議案
③ 当社が完全子会社となる株式交換契約又は株式移転計画承認の議案
④ 当社の発行する全部の株式の内容として譲渡による当該株式の取得について当社の承認を要することについての定めを設ける定款の変更承認の議案
⑤ 本新株予約権の目的である種類の株式の内容として譲渡による当該種類の株式の取得について当社の承認を要すること又は当該種類の株式について当社が株主総会の決議によってその全部を取得することについての 定めを設ける定款の変更承認の議案
⑥ 本新株予約権の目的である種類の株式についての株式併合(当該種類の株式に係る単元株式数に株式併合の割合を乗じて得た数に1に満たない端数が生ずるものに限ります。)承認の議案
⑦ 特別支配株主による株式売渡請求承認の議案
(2) 本新株予約権者が、上記3.に定める規定により、本新株予約権の全部又は一部を行使できなくなったときは、当社は、当社取締役会が別途定める日の到来をもって、当該本新株予約権を無償で取得することができます。
(2)第34回新株予約権(取締役向け株式報酬型ストックオプション)
会社法第236条、第238条及び第240条の規定に基づく取締役会決議による新株予約権
(注)1.本新株予約権の目的となる株式の数
本新株予約権1個当たりの目的である株式の数(以下「付与株式数」といいます。)は100株とします。
なお、本新株予約権の割当日後、当社が株式分割(当社普通株式の株式無償割当を含みます。以下同じです。)又は株式併合を行う場合には、付与株式数は、次の算式により調整されるものとします。但し、かかる調整は、本新株予約権のうち、当該時点で行使されていない本新株予約権の目的となる株式の数についてのみ行われ、調整の結果生じる1株未満の端数は、これを切り捨てます。
調整後付与株式数 = 調整前付与株式数 × 分割(又は併合)の比率
調整後付与株式数は、株式分割の場合は、当該株式分割の基準日の翌日(基準日を定めないときは、その効力発生日)以降、株式併合の場合は、その効力発生日以降、これを適用します。
また、本新株予約権の割当日後、当社が合併、会社分割又は資本金の額の減少を行う場合その他これらの場合に準じ付与株式数の調整を必要とする場合には、当社は、付与株式数を適切に調整するものとします。
付与株式数の調整を行うときは、当社は調整後付与株式数を適用する日の前日までに、必要な事項を新株予約権原簿に記載された各本新株予約権を保有する者(以下「本新株予約権者」といいます。)に通知又は公告します。但し、当該適用の日の前日までに通知又は公告を行うことができない場合には、以後速やかに通知又は公告するものとします。
2.本新株予約権の行使により株式を発行する場合における増加する資本金及び資本準備金に関する事項
① 本新株予約権の行使により株式を発行する場合における増加する資本金の額は、会社計算規則第17条第1項に従い算出される資本金等増加限度額の2分の1の金額とし、計算の結果生じる1円未満の端数は、これを切り上げるものとします。
② 本新株予約権の行使により株式を発行する場合における増加する資本準備金の額は、上記①記載の資本金等増加限度額から上記①に定める増加する資本金の額を減じた額とします。
3.本新株予約権の行使の条件
本新株予約権の行使の条件は次のとおりであります。
① 本新株予約権者は、当社の取締役の地位を喪失した日の翌日から10日間(但し、最終の日が休日に当たる場合には直後の営業日まで)に限り、本新株予約権を一括してのみ行使することができます。但し、本新株予約権者が割当日以降最初に到来する取締役の任期の満了日よりも前に当社の取締役の地位を喪失した場合(取締役会において認めた場合を除きます。)、本新株予約権者が当社の取締役を解任された場合、又は自己都合により退任した場合(疾病、障害により退任した場合を除きます。)は、本新株予約権を行使することはできません。
② 本新株予約権者が禁固以上の刑に処せられた場合には、本新株予約権を行使することができません。
③ 本新株予約権者が不正若しくは違法な職務執行を行った場合、又は本新株予約権者が当社の社会的信用を害する行為その他当社に対する背信的行為と認められる行為を行った場合には、本新株予約権を行使することができません。
④ 本新株予約権の行使によって、当社の発行済株式総数が当該時点における発行可能株式総数を超過することとなるときは、当該本新株予約権の行使を行うことはできません。
⑤ 本新株予約権者が本新株予約権の全部又は一部の放棄を申し出た場合には、かかる放棄の申し出のあった本新株予約権の全部又は一部を行使することができません。
⑥ 各本新株予約権の1個未満の行使を行うことはできません。
⑦ 第①号にかかわらず、本新株予約権者が死亡した場合、本新株予約権者の法定相続人に限り本新株予約権の相続を認め、かつ、本新株予約権者の死亡の日から10か月以内に本新株予約権を相続する法定相続人を確定の上、同期間内に権利保有者変更手続を行った場合にのみ、本新株予約権者の死亡の日から1年を経過する日までに限り、当該法定相続人は本新株予約権を行使することができます。但し、本新株予約権者が割当日以降最初に到来する取締役の任期の満了日よりも前に死亡した場合(取締役会において認めた場合を除きます。)には、本新株予約権の相続による承継は認められません。また、本新株予約権を相続により承継した法定相続人からの本新株予約権の相続は認められません。
4.本新株予約権の譲渡に関する事項上記に加え、当社と本新株予約権者との間で締結される新株予約権割当契約は、以下の規定を含んでいます。
すなわち、本新株予約権者は、本新株予約権を譲渡し、又は、質入れ、担保権の設定その他の一切の処分をすることができないとされています。
5.組織再編成行為に伴う新株予約権の交付に関する事項
当社が、合併(当社が合併により消滅する場合に限ります。)、吸収分割(当社が分割会社となる場合に限ります。)若しくは新設分割又は株式交換若しくは株式移転(それぞれ当社が完全子会社となる場合に限ります。)(以下「組織再編行為」と総称します。)を行う場合には、組織再編行為の効力発生日(吸収合併につき吸収合併がその効力を生ずる日、新設合併につき新設合併設立株式会社の成立の日、吸収分割につき吸収分割がその効力を生ずる日、新設分割につき新設分割設立株式会社の成立の日、株式交換につき株式交換がその効力を生ずる日及び株式移転につき株式移転設立完全親会社の成立の日をいいます。以下同じです。)の直前において残存する本新株予約権(以下「残存本新株予約権」といいます。)を保有する本新株予約権者に対し、それぞれの場合につき、会社法第236条第1項第8号イからホまでに掲げる株式会社(以下「再編対象会社」といいます。)の新株予約権をそれぞれ交付することとします。この場合においては、残存本新株予約権は消滅し、再編対象会社は再編対象会社の新株予約権を新たに発行するものとします。但し、以下の条件に沿って再編対象会社の新株予約権を交付する旨を、吸収合併契約、新設合併契約、吸収分割契約、新設分割計画、株式交換契約又は株式移転計画において定めた場合に限るものとします。
(1) 交付する再編対象会社の新株予約権の数
本新株予約権者が保有する残存本新株予約権の数と同一の数をそれぞれ交付します。
(2) 新株予約権の目的である再編対象会社の株式の種類
再編対象会社の普通株式とします。
(3) 新株予約権の目的である再編対象会社の株式の数
組織再編行為の条件等を勘案の上、上記1.に準じて決定します。
(4) 新株予約権の行使に際して出資される財産の価額
交付される各新株予約権の行使に際して出資される財産の価額は、以下に定める再編後行使価額に上記(3)に従って決定される当該新株予約権の目的である再編対象会社の株式の数を乗じて得られる金額とします。再編後行使価額は、交付される各新株予約権を行使することにより交付を受けることができる再編対象会社の株式1株当たり1円とします。
(5) 新株予約権を行使することができる期間
本新株予約権の行使期間の初日と組織再編行為の効力発生日のうちいずれか遅い日から、本新株予約権の行使期間の満了日までとします。
(6) 新株予約権の行使により株式を発行する場合における増加する資本金及び資本準備金に関する事項
上記2.に準じて決定します。
(7) 譲渡による新株予約権の取得の制限
譲渡による新株予約権の取得については、再編対象会社の取締役会の決議による承認を要します。
(8) その他の新株予約権の行使の条件
上記3.に準じて決定します。
(9) 新株予約権の取得事由及び条件
下記6.に準じて決定します。
6.本新株予約権の取得に関する事項
(1) 以下の①ないし⑦のいずれかの議案につき株主総会で承認された場合(株主総会決議が不要の場合は、取締役会決議がなされた場合)は、取締役会が別途定める日の到来をもって、当社は無償で本新株予約権を取得することができます。
① 当社が消滅会社となる合併契約承認の議案
② 当社が分割会社となる分割契約又は分割計画承認の議案
③ 当社が完全子会社となる株式交換契約又は株式移転計画承認の議案
④ 当社の発行する全部の株式の内容として譲渡による当該株式の取得について当社の承認を要することについての定めを設ける定款の変更承認の議案
⑤ 本新株予約権の目的である種類の株式の内容として譲渡による当該種類の株式の取得について当社の承認を要すること又は当該種類の株式について当社が株主総会の決議によってその全部を取得することについての定めを設ける定款の変更承認の議案
⑥ 本新株予約権の目的である種類の株式についての株式併合(当該種類の株式に係る単元株式数に株式併合の割合を乗じて得た数に1に満たない端数が生ずるものに限ります。)承認の議案
⑦ 特別支配株主による株式売渡請求承認の議案
(2) 本新株予約権者が、上記3.に定める規定により、本新株予約権の全部又は一部を行使できなくなったときは、当社は、当社取締役会が別途定める日の到来をもって、当該本新株予約権を無償で取得することができます。
(3)第36回新株予約権(従業員向け株式報酬型ストックオプション)
会社法第236条、第238条及び第240条の規定に基づく取締役会決議による新株予約権
(注)1.本新株予約権の目的となる株式の数
本新株予約権1個当たりの目的である株式の数(以下「付与株式数」といいます。)は100株とします。
なお、本新株予約権の割当日後、当社が株式分割(当社普通株式の株式無償割当を含みます。以下同じです。)又は株式併合を行う場合には、付与株式数は、次の算式により調整されるものとします。但し、かかる調整は、本新株予約権のうち、当該時点で行使されていない本新株予約権の目的となる株式の数についてのみ行われ、調整の結果生じる1株未満の端数は、これを切り捨てます。
調整後付与株式数 = 調整前付与株式数 × 分割(又は併合)の比率
調整後付与株式数は、株式分割の場合は、当該株式分割の基準日の翌日(基準日を定めないときは、その効力発生日)以降、株式併合の場合は、その効力発生日以降、これを適用します。
また、本新株予約権の割当日後、当社が合併、会社分割又は資本金の額の減少を行う場合その他これらの場合に準じ付与株式数の調整を必要とする場合には、当社は、付与株式数を適切に調整するものとします。
付与株式数の調整を行うときは、当社は調整後付与株式数を適用する日の前日までに、必要な事項を新株予約権原簿に記載された各本新株予約権を保有する者(以下「本新株予約権者」といいます。)に通知又は公告します。但し、当該適用の日の前日までに通知又は公告を行うことができない場合には、以後速やかに通知又は公告するものとします。
2.本新株予約権の行使により株式を発行する場合における増加する資本金及び資本準備金に関する事項
① 本新株予約権の行使により株式を発行する場合における増加する資本金の額は、会社計算規則第17条第1項に従い算出される資本金等増加限度額の2分の1の金額とし、計算の結果生じる1円未満の端数は、これを切り上げるものとします。
② 本新株予約権の行使により株式を発行する場合における増加する資本準備金の額は、上記①記載の資本金等増加限度額から上記①に定める増加する資本金の額を減じた額とします。
3.本新株予約権の行使の条件
本新株予約権の行使の条件は次のとおりであります。
① 本新株予約権者は、当社の従業員並びに当社子会社の役員及び使用人のいずれの地位をも喪失した日の翌日から10日間(但し、最終の日が休日に当たる場合には直後の営業日まで)に限り、本新株予約権を一括してのみ行使することができます。但し、本新株予約権者が割当日後最初に到来する3月末日よりも前に当社の従業員並びに当社子会社の役員及び使用人のいずれの地位をも喪失した場合(当社の役員に就任することにより当社の従業員並びに当社子会社の役員及び使用人のいずれの地位をも喪失した場合、及び取締役会において認めた場合を除きます。)は、本新株予約権を行使することはできません。
② 本新株予約権者が禁固以上の刑に処せられた場合には、本新株予約権を行使することができません。
③ 本新株予約権者が懲戒解雇若しくは諭旨免職の制裁を受けた場合、又は本新株予約権者がこれに相当する行為を行ったと当社が判断した場合には、本新株予約権を行使することができません。
④ 本新株予約権の行使によって、当社の発行済株式総数が当該時点における発行可能株式総数を超過することとなるときは、当該本新株予約権の行使を行うことはできません。
⑤ 本新株予約権者が本新株予約権の全部又は一部の放棄を申し出た場合には、かかる放棄の申し出のあった本新株予約権の全部又は一部を行使することができません。
⑥ 各本新株予約権の1個未満の行使を行うことはできません。
⑦ 第①号にかかわらず、本新株予約権者が死亡した場合、本新株予約権者の法定相続人に限り本新株予約権の相続を認め、かつ、本新株予約権者の死亡の日から10か月以内に本新株予約権を相続する法定相続人を確定の上、同期間内に権利保有者変更手続を行った場合にのみ、本新株予約権者の死亡の日から1年を経過する日までに限り、当該法定相続人は本新株予約権を行使することができます。但し、本新株予約権者が本新株予約権の割当日後最初に到来する3月末日よりも前に死亡した場合(取締役会において認めた場合を除きます。)には、本新株予約権の相続による承継は認められません。また、本新株予約権を相続により承継した法定相続人からの本新株予約権の相続は認められません。
4.本新株予約権の譲渡に関する事項上記に加え、当社と本新株予約権者との間で締結される新株予約権割当契約は、以下の規定を含んでいます。
すなわち、本新株予約権者は、本新株予約権を譲渡し、又は、質入れ、担保権の設定その他の一切の処分をすることができないとされています。
5.組織再編成行為に伴う新株予約権の交付に関する事項
当社が、合併(当社が合併により消滅する場合に限ります。)、吸収分割(当社が分割会社となる場合に限ります。)若しくは新設分割又は株式交換若しくは株式移転(それぞれ当社が完全子会社となる場合に限ります。)(以下「組織再編行為」と総称します。)を行う場合には、組織再編行為の効力発生日(吸収合併につき吸収合併がその効力を生ずる日、新設合併につき新設合併設立株式会社の成立の日、吸収分割につき吸収分割がその効力を生ずる日、新設分割につき新設分割設立株式会社の成立の日、株式交換につき株式交換がその効力を生ずる日及び株式移転につき株式移転設立完全親会社の成立の日をいいます。以下同じです。)の直前において残存する本新株予約権(以下「残存本新株予約権」といいます。)を保有する本新株予約権者に対し、それぞれの場合につき、会社法第236条第1項第8号イからホまでに掲げる株式会社(以下「再編対象会社」といいます。)の新株予約権をそれぞれ交付することとします。この場合においては、残存本新株予約権は消滅し、再編対象会社は再編対象会社の新株予約権を新たに発行するものとします。但し、以下の条件に沿って再編対象会社の新株予約権を交付する旨を、吸収合併契約、新設合併契約、吸収分割契約、新設分割計画、株式交換契約又は株式移転計画において定めた場合に限るものとします。
(1) 交付する再編対象会社の新株予約権の数
本新株予約権者が保有する残存本新株予約権の数と同一の数をそれぞれ交付します。
(2) 新株予約権の目的である再編対象会社の株式の種類
再編対象会社の普通株式とします。
(3) 新株予約権の目的である再編対象会社の株式の数
組織再編行為の条件等を勘案の上、上記1.に準じて決定します。
(4)新株予約権の行使に際して出資される財産の価額
交付される各新株予約権の行使に際して出資される財産の価額は、以下に定める再編後行使価額に上記(3)に従って決定される当該新株予約権の目的である再編対象会社の株式の数を乗じて得られる金額とします。再編後行使価額は、交付される各新株予約権を行使することにより交付を受けることができる再編対象会社の株式1株当たり1円とします。
(5) 新株予約権を行使することができる期間
本新株予約権の行使期間の初日と組織再編行為の効力発生日のうちいずれか遅い日から、本新株予約権の行使期間の満了日までとします。
(6) 新株予約権の行使により株式を発行する場合における増加する資本金及び資本準備金に関する事項
上記2.に準じて決定します。
(7) 譲渡による新株予約権の取得の制限
譲渡による新株予約権の取得については、再編対象会社の取締役会の決議による承認を要します。
(8) その他の新株予約権の行使の条件
上記3.に準じて決定します。
(9) 新株予約権の取得事由及び条件
下記6.に準じて決定します
6.本新株予約権の取得に関する事項
(1) 以下の①ないし⑦のいずれかの議案につき株主総会で承認された場合(株主総会決議が不要の場合は、取締役会決議がなされた場合)は、取締役会が別途定める日の到来をもって、当社は無償で本新株予約権を取得することができます。
① 当社が消滅会社となる合併契約承認の議案
② 当社が分割会社となる分割契約又は分割計画承認の議案
③ 当社が完全子会社となる株式交換契約又は株式移転計画承認の議案
④ 当社の発行する全部の株式の内容として譲渡による当該株式の取得について当社の承認を要することについての定めを設ける定款の変更承認の議案
⑤ 本新株予約権の目的である種類の株式の内容として譲渡による当該種類の株式の取得について当社の承認を要すること又は当該種類の株式について当社が株主総会の決議によってその全部を取得することについての定めを設ける定款の変更承認の議案
⑥ 本新株予約権の目的である種類の株式についての株式併合(当該種類の株式に係る単元株式数に株式併合の割合を乗じて得た数に1に満たない端数が生ずるものに限ります。)承認の議案
⑦ 特別支配株主による株式売渡請求承認の議案
(2) 本新株予約権者が、上記3.に定める規定により、本新株予約権の全部又は一部を行使できなくなったときは、当社は、当社取締役会が別途定める日の到来をもって、当該本新株予約権を無償で取得することができます。
該当事項はありません。
(注)1 新株予約権の権利行使による増加であります。
2 有償第三者割当 発行価格1,108円 資本組入額554円
割当先 Grey Fox Merger Sub Inc.
3 会社法第448条第1項の規定に基づき、資本準備金を15,884,121千円減少し、その他資本剰余金へ振り替えたものであります。
4 2023年1月1日から2023年2月28日までの間に、新株予約権の行使により、発行済株式総数が7,800,000株、資本金が488,826千円及び資本準備金が488,826千円増加しております。
5 2021年3月8日提出の有価証券届出書(第41回新株予約権(第三者割当て))に記載いたしました、「手取金の使途」につきまして、その使途の区分ごとの内容及び金額を下記のとおり変更いたしました。変更部分には下線を付して表示しております。
①変更の理由
第41回新株予約権の発行及びその行使により調達する資金については、2021年3月8日提出の有価証券届出書に開示いたしましたとおり、(ⅰ)Emendo社の運営資金(発行時における調達予定資金の額9,000百万円)、(ⅱ)さらなる事業基盤拡大のための資金(発行時における調達予定資金の総額約7,832百万円)(内訳:(a)海外企業の買収や資本参加による事業基盤拡大(発行時における調達予定資金の額6,832百万円)、及び(b)その他の手段による事業基盤拡大(発行時における調達予定資金の額1,000百万円))を調達することにありました。なお、第41回新株予約権の発行及びその行使により現に調達した資金の金額は、発行時における調達予定資金の総額約16,832百万円を約544百万円上回るものでした(かかる余剰を、以下「余剰調達資金」といいます。)。
Emendo社の運営資金については、最先端のプラットフォーム技術加速のための研究開発費用の増加、設備投資実施により支出予定時期を約1年間前倒しいたしました。具体的には、Emendo社は新たなゲノム編集ツールを作出する技術(OMNI Platform)を活用し、ELANE関連重症先天性好中球減少症(SCN)を対象に、米国FDAへ治験届を提出するための有効性・安全性を担保するデータの収集及び治験用のゲノム編集ツールの製造等の準備を進めるために、設備投資で約400百万円、残りはマンパワーの増強等による研究開発費が増加しております。一方、海外企業の買収や資本参加による事業基盤拡大については、前回資金調達以降に実施した案件はなく、引き続き検討を重ねております。しかし、現時点で具体的な案件発掘に至っておりません。他方、当社は、依然として開発への先行投資の段階にあるため赤字の計上が継続している状況にあり、また、今後もかかる状態が継続することが見込まれますし、事業基盤の拡大も引き続き図っていく必要があります。当初、当社の運転資金はこれまでの資金調達による手取金を原資とした資金より充当する形を考えていましたが、Emendo社の運営資金への支出等の事情に鑑み、新たに確保する必要が生じて参りました。そこで、既存開発品の開発等その他の手段による事業基盤拡大及び当社の2022年10月以降の運転資金(人件費、研究消耗品、支払手数料、地代家賃等)について、当該資金使途に係る未充当額の一部及び余剰調達資金の一部を充当することにいたしました。なお、2024年1月以降の運転資金については、これまでの資金調達による手取金を原資とした資金を充てるほか、当該時点における最適な方法による資金調達により賄う想定です。以上の具体的な使途及び支出予定時期の変更並びに未充当の額を表にしたものは以下のとおりです。変更部分には下線を付して表示しています。
②変更の内容
2022年12月31日現在
(注) 自己株式92株は、「単元未満株式の状況」に92株含まれております。
2022年12月31日現在
(注) 持株比率は表示単位未満を切り捨てて表示しております。