株式会社JPホールディングス
(注) 1.第27期から第31期までの潜在株式調整後1株当たり当期純利益金額については、潜在株式が存在しないため記載しておりません。
2.第30期より「収益認識に関する会計基準」(企業会計基準第29号 2020年3月31日)等を適用しており、第27期、第28期及び第29期の主要な経営指標等については、当該会計基準等を遡及適用した後の数値を記載しております。
3.第30期において、従来営業外収益に計上していた保育事業に関する「補助金収入」を「売上高」に計上しております。この表示方法の変更を反映させるため、第27期、第28期及び第29期の組替えを行っております。
4.第29期の親会社株主に帰属する当期純利益の大幅な減少は、過去における施設開発による減損損失の計上等によるものであります。
(注) 1.第27期から第31期までの潜在株式調整後1株当たり当期純利益金額については、潜在株式が存在しないため記載しておりません。
2.第30期より「収益認識に関する会計基準」(企業会計基準第29号 2020年3月31日)等を適用しており、第27期、第28期及び第29期の主要な経営指標等については、当該会計基準等を遡及適用した後の数値を記載しております。
3.第31期の1株当たり配当額6.00円には、創業30周年を記念した記念配当1円を含んでおります。
4.最高株価及び最低株価は、2022年4月3日以前は東京証券取引所市場第一部におけるものであり、2022年4月4日以降は東京証券取引所プライム市場におけるものであります。
5.第29期の当期純利益の大幅な減少は、過去における施設開発による減損損失の計上等によるものであります。
当社グループ(当社及び当社の関係会社、以下同じ)は、当社、連結子会社(株式会社日本保育サービス、株式会社ジェイキッチン、株式会社日本保育総合研究所)の計4社(2023年3月31日現在)により構成されており、「子育て支援事業」を行っております。
当社グループは、2023年3月31日現在、自治体の許認可を得た保育園を209園、学童クラブを89施設、児童館を11施設運営しております。
保育園は大きく認可保育所と認可外保育施設の2種類に分類されており、保育の対象となる園児は、保育を必要とする乳児(満1歳未満)と幼児(満1歳から小学校就学の始期に達するまで)となります。児童福祉法に基づいた厚生労働省所管の児童福祉施設である認可保育所は、国が定めた設置基準(施設の広さ、保育士等の職員数、給食設備、防災管理、衛生管理等)を満たして都道府県知事(指定都市の市長・中核市の市長を含む)に認可された施設であり、保育園の施設型給付(委託費)が国及び自治体の負担により支給されております。認可外保育施設は、認可保育所以外の施設のことをいいますが、認可外保育施設の中には、託児所等の施設や、自治体独自の制度により自治体から補助金が支給される施設(以下、当社グループでは「準認可保育所」と呼びます。)があります。準認可保育所は、都市部において、多くの民間企業の参入を促し、事業者間の競争を促進することによる保育園の増設と保育の質の向上を目指した施設であり、東京都の東京都認証保育所等が該当いたします。当社グループでは、認可外保育施設については準認可保育所のみ運営しております。
保育園及び保育園の利用者並びに自治体との契約関係の主なものは次のとおりであります。

認可保育所では、保育園と利用者である保護者との間に直接的な契約関係はありません。保護者は、自治体に対して所得に応じた利用料(保育料)を支払い、保育園は預かる園児の年齢や人数に応じた施設型給付(委託費)を自治体から受領しております。
準認可保育所では、園児の年齢や人数に応じた自治体からの補助金に加えて、保護者から保育料を受領しております。
当社グループを事業系統図に示すと、概ね次のとおりになります。

(注)1.※は連結子会社です。
2.株式会社アメニティライフは、2022年4月1日付で株式会社日本保育サービスに吸収合併されております。
3.株式会社ジェイキャストと株式会社ジェイ・プランニング販売は、2023年1月1日付で株式会社日本保育総合研究所に吸収合併されております。
なお、当社は特定上場会社等に該当し、インサイダー取引規制の重要事実の軽微基準のうち、上場会社の規模との対比で定められる数値基準については連結ベースの計数に基づいて判断することとなります。
(注) 1.「連結子会社」については、「主要な事業の内容」欄には、セグメントの名称を記載しております。
2.特定子会社に該当しております。
3.株式会社日本保育サービスについては、売上高(連結会社相互間の内部売上高を除く)の連結売上高に占める割合が10%を超えておりますが、セグメントにおいて子育て支援事業の売上高に占める当該連結子会社の売上高の割合が90%を超えているため、主要な損益情報等の記載を省略しております。
4.有価証券報告書を提出しております。
5.株式会社アメニティライフは、2022年4月1日付で株式会社日本保育サービスに吸収合併されております。
6.株式会社ジェイキャストと株式会社ジェイ・プランニング販売は、2023年1月1日付で株式会社日本保育総合研究所に吸収合併されております。
2023年3月31日現在
(注) 1.従業員数は、就業人員であります。
2.臨時雇用者数につきましては、年間の平均人員を( )外数で記載しております。なお、臨時雇用者はパートタイマー、アルバイトを含み、派遣社員を除いております。
3.全社(共通)として記載されている従業員数は、特定のセグメントに区分できない管理部門に属しているものであります。
2023年3月31日現在
(注) 1.従業員数は、就業人員であります。
2.臨時雇用者数につきましては、年間の平均人員を( )外数で記載しております。なお、臨時雇用者はパートタイマー、アルバイトを含み、派遣社員を除いております。
3.当社は持株会社であり事業を行っておりませんので、セグメントに関連する従業員はおりません。
4.全社(共通)として記載されている従業員数は、特定のセグメントに区分できない管理部門に属しているものであります。
5.平均年間給与は、賞与及び基準外賃金を含んでおります。
6.平均年間給与には日数限定の契約社員が含まれており、正社員のみの平均年間給与は4,984千円です。
当社グループでは、2010年3月31日付で労働組合(ジェイ・ピー従業員組合)が結成されております。
なお、労使関係は円満な関係にあり、特記すべき事項はありません。
① 提出会社
(注)1.「女性の職業生活における活躍の推進に関する法律」(平成27年法律第64号)の規定に基づき算出したも
のであります。
2.当事業年度中に男性労働者のうち配偶者が出産した者が存在しないため、男性労働者の育児休業取得率に
ついては記載をしておりません。
②連結子会社
(注)1.「女性の職業生活における活躍の推進に関する法律」(平成27年法律第64号)の規定に基づき算出したも
のであります。
2.「育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律」(平成3年法律第76号))
の規定に基づき、「育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律施行規則」
(平成3年労働省令25号)第71条の4第1号における育児休業等の取得割合を算出したものであります。
3.株式会社ジェイキッチンについては、従業員数が100名以下の為記載しておりません。
文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において、当社グループが判断したものであります。
(1)経営方針・経営戦略等
経営理念:「子育て支援を通じて笑顔溢れる社会づくりに貢献します」
コーポレートメッセージ:「すべてはこどもたちの笑顔のために」
保育理念:「未来(あす)を生きる力を培う」
自分らしく、生きる道を歩み、どんな時代にも対応できる資質と能力を培います。
保育方針: 一人ひとりに心をかけ、愛情を注ぎ、成長に合わせたきめ細やかな保育を行うことで、変化の
激しいこれからの社会を生き抜くための、"生涯にわたる生きる力の基礎”を育みます。
・自ら伸びようとする力を支えます
・五感を養って感性を豊かにします
・後伸びする力を育みます
育成理念:「なりたい自分になる力を育む」
自分らしく、未来に希望を持ち、なりたい自分に向かって進める資質と能力を育みます。
育成方針: 一人ひとりと向き合いながら、丁寧に支援し、変化の激しいこれからの社会を生き抜くため、
人と支え合い生きる力・自分らしく生きる力を育みます。
・想い・考えを伝えあい「対話する力」を育みます
・相手に寄り添い相手を知る「想像する力」を養います
・どんな違いも受け止め「認める力」を支援します
・自ら考え行動し「自律する力」を応援します
また、事業性・収益性を評価し、グループ全体の成長性及び収益力を適切に現す指標として、毎期計画する売上高予想及び営業利益率11%以上を目標といたします。
これにより、子育てをしやすい環境整備に向けた対応が促進されるなど、子育て支援事業の社会的な役割は、ますます重要性が増すものと考えられます。
このような状況の中、当社グループは子育て支援事業のリーディングカンパニーとして子育てに関連した社会問題の解決に向けた対応、安全・安心の徹底を図り、保護者の方々が安心してお子様をお預けできるよう対策を講じるとともに、社会環境の変化や保護者ニーズへ対応することで、「選ばれ続ける園・施設づくり」を推進してまいります。
(長期経営ビジョン)
当社グループは、2018年8月8日に公表いたしました「長期経営ビジョン」における2025年3月期 売上高(連結)1,000億円の目標につきまして、当初計画策定時から新型コロナウイルス感染症の拡大により、新しい生活様式により在宅勤務の普及など働き方が大きく変わるとともに、出生率の急激な低下により少子化が加速するなど公表した時点から外部環境が著しく変化していることから、売上高(連結)目標は維持するものの達成期日を設定しない目標といたします。
このような先行き不透明な状況下でありますが、今後の持続的な成長を捉え、子育て関連企業や異業種との資本提携・業務提携を積極的に推進することで、新規事業の開発・業容拡大を図り、「長期経営ビジョン」売上高(連結)1,000億円の達成に向け邁進してまいります。
そのために、以下を重点目標として掲げ、推進してまいります。
<重点目標>
売上高目標(連結):1,000億円を目指す。
イ.子育て支援事業の更なる質的成長と既存事業の拡大
(学習プログラムの拡充、周辺事業の強化)
ロ.事業構造改革による経営基盤の強化
ハ.新しいビジネス価値の創出
(新規ビジネスの開発、子育て支援の周辺事業を絡めた業務提携、資本提携)
(中期経営計画 2024年3月期~2026年3月期)
当社グループの中期経営計画のローリング(2022年3月期~2024年3月期)の目標値に関して、様々な施策の奏功および効率的な経営体制の構築、コスト削減などに努めた結果、2023年3月期においては、増収・増益、過去最高益を達成することができました。
また、子育て支援事業を取り巻く環境は「こども家庭庁」の設立、政府により少子化対策として子育て環境の整備が拡充される一方で、少子化が加速する地域においては、児童数の獲得競争が激化しており、持続的な成長と更なる収益拡大に向けた構造改革および新規事業の開発・早期収益化が必要となっております。
このように中期経営計画(2022年3月期~2024年3月期)の目標値に対する進捗状況および外部環境の変化等を鑑み、2024年3月期連結業績予想の公表に合わせて、ローリング方式にて連結数値目標を策定するとともに中期経営計画の重点目標に「成長・競争優位性の確立」「収益構造改革」「経営基盤改革」を掲げ、取り組んでまいります。
なお、当社は今後も経営環境の変化に柔軟に対応するため、原則として毎期改定を行うローリング方式の3ヵ年の中期経営計画として策定してまいります。
<中期経営計画の重点目標>
構造改革と事業改革による成長に向けた積極的な新規事業の開発、M&A、システム化等によるインフラ整備、盤石な事業基盤の構築により、新たなサービス価値を創出と競争優位性を確立し、事業を通じて社会問題を解決することで、当社グループの経営理念である「子育て支援を通じて笑顔溢れる社会づくりに貢献します」を実現するとともに持続的な成長を目指す。
イ.成長・競争優位性の確立
中長期的な成長に向けた新規事業の開発、既存事業および新たな事業領域の拡大に向けた積極的なM&Aの推進、競争優位性を捉えた学習プログラムの拡充、保護者の困りごとを解決する様々な差別化戦略を推進する。
1)新規事業の開発と早期収益化
・子育て支援プラットフォーム事業「コドメル」のサービス機能、商品を拡充し、CtoC・BtoC・BtoBビジネスを国内に留まることなくグローバルに展開する
・新たな事業領域の拡大に向けた子育て関連及び異業種との提携による新規ビジネスを創出する
2)保護者の困りごとの解決に向けた新たな事業展開
・自宅で簡単に調理できる夕食準備や、各施設において親子で食事ができる「こども食堂」など、フード事業の展開を推進する
・課外の時間を活用した習い事事業の展開(英語・体操・音楽教室など)
3)既存事業の拡大を捉えた新たな学習プログラム及び地域連携による「選ばれ続ける園・施設づくり」の推進
・新たな学習プログラムの拡充(STEAMS保育・学童プログラムの導入)、ネイティブ英語講師を配置したバイリンガル保育園の展開によるこどもの将来の可能性を拡げる取り組み、また、規制緩和を捉えた質の高い学習プログラムの有料化ビジネスを展開する
・子育て環境の整備に向けた地域との連携強化による「マイ保育園制度」(これからこどもを産み、育てようとする方へのサポート)を推進する
4)積極的なM&Aの推進
・業界環境が変化するなか、今後の業界再編を捉えた同業企業及び業容拡大に向けた子育てに関する周辺企業やシナジー効果が得られる企業を対象に積極的なM&Aを推進する
ロ.収益構造改革
事業構造を見直し、ムダな業務の是正、ICT化による運営の効率化、人員配置の更なる適正化による収益性向上を図る。また、業務プロセス改革やシステム導入による更なる業務改善を図る。
1)経営の効率化、コスト削減
・システム化、人員配置の最適化、収支管理強化及び費用コントロールの徹底、データ活用による運営、ムダな業務の是正による業務の効率化などにより間接コストの軽減を図る
2)収益基盤の強化
・規制緩和や補助金制度の変更を捉えた様々な施策を実践する
・ドミナント戦略として、乳児期・幼児期・学童期を一貫してサポートする子育て支援体制の確立に向け、保育園の新規開設、学童クラブ・児童館の新規受託を推進し、人員の最適化、運営の効率化、子育て支援のサポート対応強化を図る
ハ.経営基盤改革
当社の事業の要は「人」であることから人財教育・研修体制を拡充するとともに、優秀な人財確保・育成と従業員のエンゲージメントを向上させることで意識改革に繋げる。また、持続的な成長と優位性を支えるべく、人財戦略、グループガバナンスの強化を図る。
1)人財育成、風土刷新
・人財の基盤づくりとしての研修の拡充、意識改革による風土刷新を図り、従業員のモチベーション向上と離職率の抑制を図る
2)経営管理の高度化
・ガバナンスの強化、現場完結型の業務・運営管理体制の確立、リスク管理の徹底とコンプライアンス意識の向上により、組織全体のマネジメントをより効率的かつ効果的に実行することで、総合的な経営基盤の強化を図る
3)SDGs及び環境改善に向けた取り組み強化
・子育て支援を起点とした社会貢献活動、環境に配慮した事業運営を図る
当社グループでは、子育て支援事業に対する政府や自治体による子育てをしやすい環境整備に向けた対応が促進され、子育て支援事業の社会的な役割の重要性がますます増す中で、常に変化する経営環境に対応するとともに持続的な経営を実践し、さらなる事業拡大に向けた重点課題として以下の点に取り組んでまいります。
当社グループでは、お預かりしているお子様・保護者の皆様・取引先・従業員の安全確保を最優先に考えた対策を徹底するとともに「保育委員会」「安全管理委員会」による現場の様々な課題の対策、業務の見直しを図ることで、更なる安全・安心な運営体制づくりに取り組んでまいります。
② 子育て支援の質的向上
当社グループでは、各施設に対応する従来からの組織運営体制に加え、子育て支援の質的向上、安全管理体制の徹底強化を図るべく委員会制度を導入し、各子育て支援施設に従事する職員のケア、新人事制度の導入による働き方改革の推進、研修による教育体制の拡充などにより子育て支援の質的向上に努めております。
また、当社グループは全国で300施設を超える保育園・学童クラブ・児童館を運営しており、乳児期・幼児期・学童期を通じ12年間にわたってトータルで支援できる当社ならではの強みを活かし、お子さまの成長に合わせた様々な対応を図ってまいります。
③ 受入児童数の拡大
当社グループは、「選ばれ続ける園・施設づくり」を目指し、従来から実施している英語・体操・音楽教室に加え、新たな幼児学習プログラムを導入するなど、保育の質的向上と合わせ、様々な取り組みを進めております。新たに保育園を開設するのではなく、地域社会との共生や様々な取り組みによる特徴のある保育の拡充、質の高い保育士確保により既存施設の受入児童の拡大に努めております。
また、当社グループでは、自治体ごとの待機児童の状況や保育士の採用状況及び投資効率等を総合的に勘案し、新規施設と既存施設双方への保育士配置のバランスをとりながら受入児童の拡大とともに「選ばれ続ける園・施設づくり」を目指しております。
④ 保育士確保に向けた施策
子育て支援サービスには、保育士資格を有する人材の確保が不可欠であります。
当社グループでは、年間を通じて全国各地で採用活動を行うとともに、従業員の給与引き上げや人事評価制度の見直しを実施してきました。また、保育士養成講座による資格取得支援も行っており、より働きやすい制度と仕組みづくりに取り組んでおります。
⑤ 業務の効率化及び情報の管理
業務の効率化と収益性の向上として、保育士の業務負担の軽減を図り、より運営に専念できる体制づくりとしてICT化を推進するとともに、経営管理・収益管理の体制強化と高度化を図るべく組織体制の見直し、人員配置の最適化、業務の見直しなどにより業務効率と収益改善に取り組んでおります。
また、システム導入に際しては、情報漏洩等に対するセキュリティの強化を図るとともに、管理体制の整備も同時に進めております。
⑥ 人財への投資
当社グループは、保育の質的向上と安全確保のため、情熱と適性を有する人財を採用し、その人財が持つポテンシャルを最大限に引き出すための教育を継続的に実施していくことが不可欠であると考えております。そのため、社内で行う研修においては、保育・育成に関する様々な知見を取り込むとともに、有識者による研修、社外の勉強会、階層別研修などを積極的に導入・活用し、人財のレベルアップを図っております。
また、それぞれの従業員には、公正かつ継続的に教育機会を提供し、一人ひとりが強みを認識し持ち味を存分に高め発揮できる育成施策を講じます。
さらには、公正な採用選考・平等な登用制度・ジョブ型処遇制度を掲げ、ジェンダー・国際性・職歴・年齢の面を含む多様な人財の育成・確保に努めてまいります。
⑦ 新規事業の取り組みによる収益基盤拡大
当社グループが運営する施設の多くは公費で運営されており、事業が安定的に推移する一方で、政策や制度変更の影響を受けやすく、政策転換による事業への影響が懸念されます。
このような環境を踏まえ、当社グループでは子育て支援事業に関する周辺事業を中心に、新規事業の開発・推進により、収益基盤の拡大に取り組んでおります。社会環境、生活様式や働き方の変化に対応すべく、デジタルトランスフォーメーション(DX)を改革の柱とした新たな事業展開も重要であると考えております。具体的には、子育て支援事業で培ったノウハウをサービスや商品として外販するビジネス、新たなビジネスの創出として様々なコンテンツのDX化、子育て支援プラットフォーム「コドメル」による子育てに関する様々な商品やサービスをCtoC、BtoC、BtoB及び海外へ提供するなど、子育て支援業界・教育業界・異業種などと連携した様々な事業開発に取り組んでまいります。
また、保護者の困りごとを解決すべく、夕食の販売(フード事業)や園や施設で必要な各種備品類の販売、課外時間を活用した習い事事業を計画、推進してまいります。
さらに、当社グループでは、発達支援事業の対応強化、保育所等訪問支援事業など、発達が気になるお子様の支援を行ってまいりました。これまでの子育て支援のノウハウと高い専門性に基づく発達支援の対応を活かし、発達障害の可能性があるお子様へのサポートを拡充すべく、多機能型の施設や巡回サービスを新たな事業として展開し、より多くのお子様と保護者に寄り添った子育て支援を行ってまいります。
当社グループは、事業規模の拡大として資本提携・業務提携に関しても積極的に推進するとともに、国内での展開に留まることなく、これまで培ってきたノウハウをグローバルに展開してまいります。
⑧ グローバル対応の強化
当社グループは、持続的な成長と更なる事業規模の拡大を捉え、これまで培ってきた子育て支援のノウハウを活用し、海外の事業者との提携・連携による新たな事業の創出、子育て支援プラットフォーム「コドメル」を活用した商品・サービスの提供など、東南アジアを中心にグローバル展開を推進してまいります。
⑨ コンプライアンスへの取り組み
児童福祉法をはじめとする各種関連法令の遵守を厳格に実行するとともに、お客様の個人情報についても法律に則った取り扱いを徹底しております。コンプライアンスへの取り組みとして、内部監査室、財務経理部、人事・採用部等、それぞれの分野において高い専門性と豊富な経験を有する人財の採用を行うとともに、社内規程の整備・拡充、社員教育の徹底によるコンプライアンスへの意識を高め、徹底に努めてまいります。
⑩ 社会貢献
企業の持続的な成長のため、気候変動などの地球環境問題への配慮、人権の尊重、従業員の健康・労働環境への配慮や公正・適切な処遇、取引先との公正・適正な取引、自然災害等への危機管理など、あらゆるステークホルダーとの適切な協働により、サステナビリティの課題に取り組んでまいります。
また、子育て支援プラットフォーム「コドメル」では、当社グループの各施設等に寄付BOXを設置し、お子さまの成長過程の中で必要でなくなった子育て関連商品を寄付いただき、リユースし子育て世代の方に提供することで資源を有効活用し、環境負荷の低減や処理費用の削減をはじめとした地球環境の保全に配慮した取り組みを行っております。
当社グループは、経営理念である「子育て支援を通じて笑顔溢れる社会づくりに貢献します」の考えに基づき、環境に配慮したよりよい社会づくりに貢献してまいります。
⑪ 企業価値向上への取り組み
当社グループは、待機児童問題、児童虐待など社会的な問題解決に向け、各施設での様々な子育て支援活動や地域と連携した対応などにより子育ての環境整備に取り組んでまいります。また、安全・安心を第一優先に質の高い子育て支援を実現することで更なる保育の質的向上に繋げてまいります。
当社グループは、「選ばれ続ける園・施設づくり」を目指して、こうした各施設の子育て支援活動に加え、地域との共生を図り、よりよい社会環境づくりに貢献してまいります。
⑫ 設備資金確保のための資金調達と財務基盤の安定性の確保
継続的に保育園を開園するためには、設備費用等の資金を安定的に確保することが重要となります。
当社グループでは財務の健全性を追求しつつも、必要資金を安定的に調達していくため、金融機関からの借入れに限定せず、社債の発行や株式の発行も含めて財務政策を検討しております。
以下において、当社グループの事業展開その他に関するリスク要因となる可能性があると考えられる主な事項を記載しております。また、必ずしも事業展開上のリスクに該当しない事項についても、投資者の投資判断において重要と考えられる事項については、投資者に対する積極的な情報開示の観点から記載しております。なお、当社はこれらのリスク発生の可能性を認識した上で、その発生の回避及び発生した場合の対応に努める方針でありますが、当社株式に関する投資判断は、本項及び本項以外の記載内容を慎重に検討した上で行われる必要があると考えております。
また、以下の記載は当社株式への投資に関するリスクをすべて網羅するものではありませんので、この点にご留意ください。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
子育て支援事業においては、共働き世帯の増加、待機児童問題、保育士不足など、保育を取り巻く環境が目まぐるしく変化しております。また、政府は待機児童の解消を目指す「新子育て安心プラン」を2020年12月21日に公表し、女性の就業率の向上に対応すべく、2021年度から2024年度末までの4年間で約14万人の保育の受け皿を整備するなど、子育て支援事業の社会的な役割はますます重要性を増しております。
一方で、新型コロナウイルス感染症の拡大により生活様式が変化し、在宅勤務が増加するなど、働き方も大きく変容しております。また、2022年4月1日時点での全国の待機児童数は、前年比で2,690人減と4期連続で減少しており、加えて出生率の急激な低下による少子化の加速など、将来的な園児数の獲得が困難となる可能性もあります。子育て支援事業は、受入児童数により収益が増減するため、想定した園児数が獲得できない場合、当社グループの経営成績および財務状態に影響を与える可能性があります。
当社グループでは、2023年3月期に保育園を2園、学童クラブ・児童館を13施設、新たに開設いたしました。
今後、子育て支援事業に関連する国の方針が変わり、株式会社による保育園といった子育て支援施設の新規開設及び既存の公立保育園の民営化が認められなくなった場合、保育園の設置場所が確保できない場合、あるいはその他何らかの要因により開設ペースが鈍化した場合には、当社グループにおける子育て支援事業の拡大が止まり、当社グループの業績に影響を与える可能性があります。
当社グループとしては、子育て支援施設の利用者の動向や事業環境の変化に対応すべく、新たな子育て支援の在り方を検討してまいります。
当社グループの子育て支援事業において、売上は公定価格など国・地方自治体による補助金が中心となっておりますが、国や地方自治体の方針により補助金制度の見直しが行われる場合において、当社グループの業績が影響を受ける可能性があります。
当社グループは子育て支援事業のみを行っており、同事業の業績の如何により、グループ全体の業績に大きな影響を与えることがあります。
子育て支援事業を取り巻く環境は、女性の社会進出を背景として保育需要が増加し、地域格差はあるものの、首都圏を中心に待機児童問題は引き続き深刻な状況にあります。政府や自治体は、保育の受け皿を確保すべく、保育施設整備と保育士確保のための様々な施策を打ち出しました。こうした動きを受け、引き続き市場規模の拡大が見込まれると同時に、今後も子育て支援事業者の社会的役割は、一段と重要性を増すものと考えられます。
しかしながら、子育て支援事業の業績は児童数の動向に左右されるため、少子化や待機児童の減少及び保育士不足等の経営環境の変化や、当社グループが運営する保育園の近隣に競合する保育園が開園される等の理由により児童数が当初の見込みを下回った場合、当社グループの業績に影響を与える可能性があります。
当社グループが属する業界は同業他社との競争激化に加え、景気低迷・新型コロナウイルス感染拡大など、地方自治体の財政縮減なども想定されることからコスト面を含め厳しい受注合戦が繰り広げられております。このような状況下において、学童クラブ・児童館の受託期間は一定期間であることから、現状受託している施設の継続、新規の受託に影響を及ぼす可能性があります。
⑥ 競争環境の激化について
少子化や待機児童の減少及び保育士不足等の経営環境の変化や、当社グループの運営する保育園の近隣に競合する保育園が開園される等、園児の獲得に関しては競争が激化しておりますが、今後、多様な異業種からの参入や新規開設等により競合他社との競争環境が激化した場合、経営業績に影響を与える可能性があります。
当社グループでは「選ばれ続ける園・施設づくり」を掲げ、幼児教育プログラムの導入や地域と連携した子育て支援活動を推進しております。
⑦ 新規事業の開発・取り組みについて
当社グループでは、社会変化に対応した柔軟な事業構造の転換による持続的な成長を捉え、「長期経営ビジョン」として連結売上高1,000億円規模を目指すことを掲げております。この長期経営ビジョンの目標達成に向け、新規事業開発として市場調査や開発活動を継続的に行っております。しかし、新規事業においては不確実な要素が多く、想定を超える市場環境の変化や市場ニーズの読み違え、開発の遅延、各新規事業におけるパートナー企業等との協業が期待するシナジーを生まないなど、様々な要因によって新規事業の展開が困難となり、投資回収が遅れる、または回収できない可能性があります。対策として新規事業の成長性と採算についてフォローアップと検証を行ってまいります。
⑧ 事業規模の拡大に向けたM&Aの推進について
当社グループでは、持続的な成長を捉え、既存事業および新規事業に関してM&Aによる事業の拡大を図ることを計画しておりますが、投資に見合った収益が得られない場合やシナジー効果が創出できない可能性かあります。
当社グループでは、案件を厳選したM&Aを推進するとともに、投資対効果を十分に検証したうえで実行してまいります。
当社グループは子育て支援施設の運営に関し、万全の体制で臨んでおりますが、事故の可能性は皆無とは言えず、万一重大な事故が発生した場合やその他子育て支援施設の運営上における何らかのトラブルが発生した場合、営業停止や園児の転園などの要因により、当社グループの業績に影響を与える可能性があります。当社グループでは運営本部により、各施設での安全・衛生対策を検討、推進してまいります。
当社グループが現在行っている事業に関する主な法的規制は次のとおりであります。今後、当社グループの事業に関連する法的規制の制定・改廃等が行われた場合、当社グループの事業活動が制約を受ける可能性があります。
子育て支援事業における代表的な許認可は、子育て支援施設における保育所の設置に関する許認可であり、保育園ごとに設置の許認可が与えられます。保育園の種類は、認可保育園や東京都認証保育所など何種類かに分かれますが、どの形態においても保育園ごとに申請し、審査の上、許認可が得られることになります。また、当社の連結子会社である株式会社ジェイキッチンが保育園より給食業務を請負う際には、食品衛生法に基づいた営業許可が必要であり、それについても保育所の設置許認可同様、給食業務を請負った保育所ごとに申請し、許可が得られることになります。
今後、何らかの事由によりこれらの許認可が取り消された場合や営業が停止となった場合には、当社グループの業績に影響を与える可能性があります。
当社グループでは、食品衛生法に基づき、厳正な食材管理並びに衛生管理を実施し、食中毒、賞味期限切れ食材の使用、異物混入等の事故を起こさないよう努力しておりますが、何らかの原因により食の安全に関する重大な問題が発生した場合は、当社グループの業績に影響を与える可能性があります。
対応施策として、マニュアルを作成し研修を実施するなど食の安全を確保するための取り組みを行っています。
⑫ 大規模な自然災害、感染症について
当社グループは、首都圏を中心とした子育て支援施設の運営を行っております。これらの施設が地震、火災等の被害を受けた場合、子育て支援施設利用者や従業員並びに保育園の建物等に甚大な被害が及ぶ可能性があります。
対応施策として、自然災害に対するオリジナルの防災マニュアルを作成・全施設で導入し、定期的に防災訓練を実施するとともに、災害時の損害を最小限にとどめ早期復旧を可能とするための事業継続計画を策定しております。
また、インフルエンザや新型コロナウイルス感染症などの伝染病の蔓延により従業員が多数欠勤する、園が閉鎖されるなど、子育て支援施設の運営が出来なくなった場合、当社グループの業績に影響を与える可能性があります。当社グループでは、看護委員会により、感染症対策を検討し推進してまいります。
当社グループの保育所、学童クラブ、児童館といった子育て支援施設においては、利用者の氏名、住所をはじめ、保護者の氏名及び職業等の情報を保持しております。
また、新規事業として運営しております子育て支援プラットフォーム「コドメル」も同様の情報を保持しております。
対応施策として、これら顧客の個人情報の取扱いについては厳重に管理し、万全を期しておりますが、万一漏洩するようなことがあった場合、顧客からだけでなく、広く社会的な信用を失墜することとなり、子育て支援施設の受託に影響が出る等、当社グループの業績に影響を与える可能性があります。
⑭ レピュテーションリスクについて
従業員による不正・不祥事や、個人情報等の業務上の機密情報の不適切な取扱い・漏洩により当社グループの信頼・企業イメージが著しく低下し、経営成績の悪化や各施設における受入児童の減少など、影響が及ぶ可能性があります。
当社グループではその対策として、コンプライアンス研修など、様々な研修を通じて社員教育の徹底を図っております。また、保育委員会・安全管理委員会においてインシデントを基に予防対策を検討し、当社グループ内への注意喚起と徹底を図っております。
当社グループでは、保育園の新規開設に関する設備資金等は金融機関からの借入等により調達しておりますが、金利動向等の金融情勢に変化があった場合や、計画通りの資金調達が出来ない場合には、新たに保育園を開設することが出来なくなり、当社グループの業績及び財政状態に影響を与える可能性があります。対応施策として引き続き金融機関との安定的・長期的な関係の構築に努めてまいります。
当社グループの保育園の業績動向によっては、固定資産の減損会計の適用に伴う損失処理が発生し、当社グループの業績に影響を与える可能性があります。
また、内装工事等の初期投資が発生する保育園については、閉設時に設備の除却損が発生する可能性があります。当社グループとしては、契約を長期契約とすることなどによりリスクの軽減を図っておりますが、万一、同時期に閉設が集中し、多額の固定資産除却損が発生した場合、当社グループの業績に影響を与える可能性があります。
対応施策としては、各エリア単位で施設の収益改善計画を実践(人員配置の適正化、定員検証、コスト削減)し、施設ごとの対策を明確化することで、収支改善に繋げてまいります。
保育園の新規開園が集中する時期においては新園用の備品等の購入費用が一時的に増加するなどの要因により当該四半期における利益率が低下することがあり、四半期毎の業績に変動がみられる可能性があります。
当連結会計年度における当社グループ(当社、連結子会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)の状況の概要並びに経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次の通りであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。
当連結会計年度末の財政状態につきましては、総資産は35,694百万円(前期末比1,419百万円増)となりました。
流動資産は23,613百万円(同2,681百万円増)となりましたが、これは、主に現金及び預金が2,034百万円、未収入金が554百万円増加したこと等によるものであります。
固定資産は12,081百万円(同1,261百万円減)となっております。これは、主に工具、器具及び備品が184百万円増加した一方で、建物及び構築物が491百万円、土地が306百万円、長期貸付金が184百万円、建設仮勘定が136百万円、繰延税金資産が121百万円減少したこと等によるものであります。
負債合計は22,110百万円(同188百万円減)となりました。
流動負債は8,294百万円(同402百万円増)となりましたが、これは、主に1年内返済予定の長期借入金が541百万円、未払金が119百万円増加した一方で、未払法人税等が208百万円減少したこと等によるものであります。
固定負債は13,816百万円(同591百万円減)となっております。これは、主に長期借入金が590百万円減少したこと等によるものであります。
当連結会計年度末の純資産合計は13,584百万円(同1,608百万円増)となっておりますが、これは、主に利益剰余金が2,304百万円増加した一方で、自己株式が676百万円増加したこと等によるものであります。
これらの結果、当期の財政状態については、主に利益剰余金の増加により自己資本比率が前期の34.9%から38.1%となりました。
①当連結会計年度の経営成績の分析
当連結会計年度における我が国経済は、新型コロナウイルス感染症に対する行動制限の緩和により経済社会活動の正常化が進む中、緩やかな持ち直しが続いています。その一方で、エネルギーなどの物価上昇や供給面での制約、金融資本市場の変動等の下振れリスクが懸念されるなど、経済を取り巻く環境は先行き不透明な状況で推移しています。
子育て支援事業においては、出生数の急激な低下に伴う少子化の加速、継続的な保育士不足、期初における新型コロナウイルス感染症を背景とした利用控えによる児童数の減少など、厳しい状況が継続しております。政府は、子育て環境の整備に向けた様々な施策を推進しており、さらに「こども家庭庁」の設置法案が施行され、「異次元の少子化対策」が検討されております。これにより、子育てをしやすい環境整備に向けた対応が促進されるなど、子育て支援事業の社会的な役割は、ますます重要性が増すものと考えられます。
このような環境の中、当社グループは自治体と連携しながら、新型コロナウイルス感染症への対策として、当社独自の対応基準を設け、徹底した安全対策を講じるとともに、迅速な対応を行ってまいりました。
また、新規開設による量的な拡大を優先させるのではなく、社会環境の変化や保護者ニーズに対応した更なる子育て支援の質的向上による「選ばれ続ける園・施設づくり」に向け、環境変化に即応すべく、より確実性の高い経営目標を設定し、経営を推進しております。
当社グループは、社会・経営環境の変化を捉え、前期に策定した経営方針を継続し「収益性・効率性の向上」「健全性の向上」「成長性の向上」を重点目標に掲げ、経営資源を効果的に配分・投下し、強固な経営基盤の構築、新たな事業の創出による持続的な成長を目指してまいりました。
具体的には、社会環境の変化に対応すべくデジタル対応を改革の柱として、「収益性・効率性の向上」については、既存事業である子育て支援施設の受入児童の拡大に向けた幼児学習の拡充および新たなコンテンツの開発・導入、英語に特化した新たな保育園の開発、人員配置の更なる適正化による収益改善、乳児期・幼児期・学童期を捉えた一貫した子育て支援体制を確立すべく、保育園と学童クラブ・児童館を連携したドミナント戦略を推進しました。これにより、現在の学童クラブ・児童館を2倍の200施設に拡大すべく新規受託を積極的に推進しました。
「健全性の向上」については、子育て支援の要は「人」であることから人財教育・研修体制の拡充を図るとともに、業務効率化による業務の高度化を進めております。また、「グループ経営理念」「コーポレートメッセージ」「運営理念」「保育・育成理念」「保育・育成方針」を社内外に浸透・実践することで、更なる子育て支援の質的向上と「選ばれ続ける園・施設づくり」を推進してまいりました。加えて、各種業務の見直しによるムダな業務の排除とシステム化の推進による業務効率の改善に取り組みました。
「成長性の向上」については、第2の事業の柱として子育て支援事業の運営で培ったノウハウとマーケティングをもとにした新規事業の開発を積極的に推進しました。
お子さまの成長過程における様々なサービス・商品の提供や同業他社への外販に向けた新規事業として、子育て支援プラットフォーム「コドメル」の運用を開始し、その第1弾として、子育て世代を中心にベビー用品・衣料品など、子育て関連用品(リユース品)をWEB上でユーザー同士が個々に出品・購入するマッチングサービスを提供、第2弾サービスとして“家族みんなの笑顔のために”をコンセプトに、様々な企業と連携して子育て世代の「お悩み」を解決する商品やサービスを提供し、第2弾サービスのスタート企画として保護者の方から要望が多かった子育て関連商品・サービスのお得なクーポンサービスを展開することで、登録会員数を拡大しております。今後は、様々な企業と連携したサービス提供、専門人財の紹介・派遣、専門研修のオンデマンド配信など、国内に留まることなくグローバルに様々なサービス・事業を拡大するとともに、「夕食準備」に対応したフードビジネスやお子様の成長に伴い必要となる備品類の提供など、保護者の困りごとを解決する様々なサービスを行ってまいります。
また、当社グループでは、保育所等訪問支援事業など、発達が気になるお子様への支援を強化・推進し、子育て支援で培ったノウハウをもとに、高い専門性に基づく発達障害の可能性があるお子様へのサポートを拡充してまいりました。さらに、社会環境の変化を捉えたネイティブ英語講師が常駐する「バイリンガル保育園」の新設など、より多くのお子様と保護者に寄り添った子育て支援を行ってまいります。
新規施設の開設につきましては、2023年3月期連結累計期間において保育園2園(東京都2園)、学童クラブ・児童館13施設(東京都12施設・埼玉県1施設)の計15施設を開設し、計画どおり推進しました。
(保育園)
アスク武蔵小金井南口保育園 (2022年4月1日)
三鷹市定期利用保育室 ひなた (2022年4月1日)
(学童クラブ)
竹の塚学童保育室 (2022年4月1日)
鷹番小学校内学童保育クラブ (2022年4月1日)
わくわく西浮間ひろば/西浮間クラブ第一 (2022年4月1日)
わくわく西浮間ひろば/西浮間クラブ第二 (2022年4月1日)
わくわく西浮間ひろば/西浮間クラブ第三 (2022年4月1日)
わくわく赤羽ひろば/赤羽こどもクラブ第一 (2022年4月1日)
わくわく赤羽ひろば/赤羽こどもクラブ第二 (2022年4月1日)
わくわく赤羽ひろば/赤羽こどもクラブ第三 (2022年4月1日)
わくわく桐ヶ丘郷ひろば/桐ヶ丘郷っ子クラブ第一 (2022年4月1日)
わくわく桐ヶ丘郷ひろば/桐ヶ丘郷っ子クラブ第二 (2022年4月1日)
わくわく桐ヶ丘郷ひろば/桐ヶ丘郷っ子クラブ第三 (2022年4月1日)
文京区茗台臨時育成室 (2022年6月1日)
(児童館)
草加市立松原児童青少年交流センター「miraton(ミラトン)」 (2023年1月1日)
※1: 「三鷹市定期利用保育室 ひなた」でのお子様のお預かりは2022年5月1日より開始いたしました。
※2: 2022年3月末日をもって、東京都認証保育所の「アスク板橋本町保育園」「アスク汐留保育園」「アスク高田馬場保育園」「アスクやのくち保育園」を閉園いたしました。また、学童クラブの「臨川小放課後クラブ」「広尾小放課後クラブ」「猿楽小放課後クラブ」「長谷戸小放課後クラブ」、児童館の「袋児童館」は、契約期間満了により2022年3月末日をもって撤退いたしました。
その結果、2023年3月末日における保育園の数は209園、学童クラブは89施設、児童館は11施設、となり、子育て支援施設の合計は309施設となりました。
以上より、当社グループの連結売上高は35,507百万円(前年同期比3.3%増)、営業利益は3,667百万円(同9.6%増)、経常利益は3,745百万円(同11.5%増)、親会社株主に帰属する当期純利益は2,698百万円(同18.4%増)となり、前年同期と比較して増収・増益、過去最高益を達成いたしました。
これらの主な要因は、以下の通りです。
売上高におきましては、期初において新型コロナウイルス感染症の感染者は増減を繰り返し、各園・施設においては部分的な休園・休室となりましたが、新規施設の開設、新規受託、他社に先駆けデジタルを活用した園見学や、英語・体操・音楽・ダンスなどのオンラインプログラムの実施、幼児学習プログラムの拡充など、「選ばれ続ける園・施設づくり」の取り組みが奏功し、前年同期比3.3%増収となりました。
営業利益および経常利益におきましては、電気料金の値上げや各種仕入れ商材の価格高騰により原価が増加しましたが、上記の各種施策により売上高が増加したこと、および各施設での人員の再配置による運営の効率化、発注体制の見直しなど、費用抑制ならびにコスト削減を図りました。また、前期は、新人事制度の導入に伴う賞与支給対象期間の変更による賞与引当金の増額ならびにシステム導入に伴う特殊要因による費用増加等もあり、営業利益は前年同期比9.6%増、経常利益は前年同期比11.5%増と増益となりました。
親会社株主に帰属する当期純利益は、上記の営業利益および経常利益の増加に加え、過去に子育て支援事業の足掛かりとして土地・建物を保有して運営する保育園7園に関して、保有するリスクを回避するため将来的な売却等を視野にオフバランス化を検討し、土地・建物を保有する7園のうち4園の固定資産(土地・建物等)を売却したこと等により376百万円の特別利益を計上した結果、前年同期比18.4%増と増益となりました。
②経営成績に重要な影響を与える要因
当社グループの経営成績に重要な影響を与える要因について以下のことが考えられます。
子育て支援事業における国や地方自治体の保育園に対する政策方針の変化が挙げられます。待機児童解消に向け政府は保育の受け皿を整備し、保育園の新規開設の拡大等による保育園定員ならびに保育園利用者数が大幅に伸び、2022年4月1日時点の待機児童数は2,944人(前年比2,690人減)と前年から引き続き大幅に減少しておりますが、新型コロナウイルス感染症の収束にともない、引き続き女性の社会進出の増加や非正規雇用者の正規雇用化が進むことが想定されるなど、保育園等の市場規模は2022年4.7兆円に対して2023年予想では4.8兆円と市場規模は拡大しており、保育園の整備が進むものの潜在的な待機児童数の増加は継続するものと見込んでおります。
また、少子化は深刻さを増しており、前年の出生数は80万人を割り込み、過去最少となる見込みであり、予測よりも8年早いペースで進んでいます。政府により「異次元の少子化対策」が検討されておりますが、子育て支援事業に及ぶ影響は大きく、それら政策の状況によっては、将来的な園児数の確保やエリアによっては競合間での競争が激化・淘汰されることが想定されます。
当社グループはこのような情勢において、受入児童数増加のための学習プログラムの拡充、地域と連携した子育て支援活動の促進、保育の質的向上、エリアドミナント戦略に基づく保育と学童クラブ・児童館の連携による乳児期・幼児期・学童を一貫した保育・育成など「選ばれ続ける園・施設づくり」を行っており、場合によっては、保育園の開設、学童クラブ・児童館の新規受託及び既存施設の受け入れ児童数の増加が一気に進むことも考えられます。そのような場合、設備投資や人件費、保育士確保に要する費用などのコストが急激に増えて短期的には利益が減少する恐れがあります。
さらに、持続的な成長を捉え、新規事業開発ならびにM&Aに関しても積極的に推進しており、状況によっては、一時的な費用の増加や事業規模が大きく拡大することも想定されます。
③戦略的現状と見通し
今後の見通しにつきましては、新型コロナウイルス感染の不安が続く環境下にあり、保育園における待機児童の解消が進みつつあるものの、学童クラブにおいては待機児童が1万5千人超と増加傾向にあり、育成環境の整備が課題となっております。一方、政府においては「異次元の少子化対策」が検討されるなど、子育て環境の整備に向けた様々な施策が推進されており、子育て支援事業者の社会的役割はさらに重要性を増しております。
当社は、このような状況を捉え、新規開設による量的な拡大を優先させるのではなく、社会環境の変化や保護者ニーズに対応した更なる子育て支援の質的向上による「選ばれ続ける園・施設づくり」が求められており、中期経営計画においては、より確実性の高い経営目標を設定し、経営にあたることといたします。
当社グループの中期経営計画のローリング(2022年3月期~2024年3月期)の目標値に関して、様々な施策の奏功および効率的な経営体制の構築、コスト削減などに努めた結果、2023年3月期においては、増収・増益、過去最高益を達成することができました。
また、子育て支援事業を取り巻く環境は「こども家庭庁」の設立、政府により少子化対策として子育て環境の整備が拡充される一方で、少子化が加速する地域においては、児童数の獲得競争が激化しており、持続的な成長と更なる収益拡大に向けた構造改革および新規事業の開発・早期収益化が必要となっております。
このように中期経営計画(2022年3月期~2024年3月期)の目標値に対する進捗状況および外部環境の変化等を鑑み、ローリング方式にて連結数値目標を策定するとともに中期経営計画の重点目標に「成長・競争優位性の確立」「収益構造改革」「経営基盤改革」を掲げ、取り組んでまいります。
(中期経営計画の重点目標)
① 成長・競争優位性の確立
中長期的な成長に向けた新規事業の開発、既存事業および新たな事業領域の拡大に向けた積極的なM&Aの推進、競争優位性を捉えた学習プログラムの拡充、保護者の困りごとを解決する様々な差別化戦略を推進する。
② 収益構造改革
事業構造を見直し、ムダな業務の是正、ICT化による運営の効率化、人員配置の更なる適正化による収益性向上を図る。また、業務プロセス改革やシステム導入による更なる業務改善を図る。
③ 経営基盤改革
当社の事業の要は「人」であることから人財教育・研修体制を拡充するとともに、優秀な人財確保・育成と従業員のエンゲージメントを向上させることで意識改革に繋げる。また、持続的な成長と優位性を支えるべく、人財戦略、グループガバナンスの強化を図る。
その結果、次期の連結業績は、売上高36,390百万円(前年同期比2.5%増)、営業利益3,820百万円(同4.2%増)、経常利益3,842百万円(同2.6%増)、親会社株主に帰属する当期純利益2,497百万円(同7.5%減)となる見通しです。
なお、次期の連結業績において当期と比較して親会社株主に帰属する当期純利益が減少している要因は、土地・建物を保有する7園のうち当期に4園の固定資産(土地・建物等)を売却したこと等により特別利益として376百万円を計上していることによるものです。
当社グループが2023年3月期中に新規開設および受託し、2023年4月1日以降に新たに運営を開始する子育て支援施設の内訳は以下となります。
(保育園)
品川区立八潮西保育園 (2023年4月1日)
(学童クラブ・児童館)
平成小学校放課後子供教室 (2023年4月1日)
竜泉こどもクラブ (2023年4月1日)
調布市立調和小学校第2学童クラブ (2023年4月1日)
みなみっ子広場 (2023年4月1日)
港区放課GO→クラブこうなん (2023年4月1日)
鷹番小ランランひろば (2023年4月1日)
四小あおぞら学童クラブ (2023年4月1日)
アスク浅草橋こどもクラブ (2023年6月1日)
(バイリンガル保育園)
認可保育園および東京都認証保育所を、ネイティブ英語講師を配置した「バイリンガル保育園」に変更。
アスク バイリンガル保育園 永福 (旧名称:アスク永福保育園) (2023年4月1日)
アスク バイリンガル保育園 亀戸 (旧名称:アスク亀戸保育園) (2023年4月1日)
GENKIDSバイリンガル保育園 新子安(旧名称:GENKIDS新子安保育園)(2023年4月1日)
アスク バイリンガル保育園 浅草橋(旧名称:アスク浅草橋保育園)(2023年6月1日)
アスク バイリンガル保育園 明大前(旧名称:アスク明大前保育園)(2023年6月1日)
※1:2023年3月末日をもって、東京都認証保育所の「アスク不動前保育園」を閉園いたしました。また、学童クラブの「わくわく赤羽ひろば/赤羽こどもクラブ第一」、「わくわく赤羽ひろば/赤羽こどもクラブ第二」、「わくわく赤羽ひろば/赤羽こどもクラブ第三」、「わくわく桐ヶ丘郷ひろば/桐ヶ丘郷っ子クラブ第一」、「わくわく桐ヶ丘郷ひろば/桐ヶ丘郷っ子クラブ第二」、「わくわく桐ヶ丘郷ひろば/桐ヶ丘郷っ子クラブ第三」、「わくわく袋ひろば/赤北ひばりクラブ第三」、「わくわく四岩ひろば/四岩小いちょうクラブ第一」、「わくわく四岩ひろば/四岩小いちょうクラブ第二」、「三鷹市南浦学童保育所A分室」、「港区放課GO→クラブほんむら」、「文京区茗台臨時育成室」は、契約期間満了により2023年3月末日をもって撤退いたしました。
当連結会計年度における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は営業活動による資金の獲得2,735百万円、投資活動による資金の獲得411百万円、財務活動による資金の支出1,112百万円により、前連結会計年度末に比べ2,034百万円増加し19,330百万円となりました。
当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次の通りであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動による資金の獲得は2,735百万円(前連結会計年度は3,884百万円の獲得)となっております。
これは、税金等調整前当期純利益が4,063百万円、減価償却費が737百万円、未払金・未払費用の増加が251百万円、その他の固定資産の減少額が116百万円ありましたが、法人税等の支払額が1,445百万円、未収入金の増加が554百万円、固定資産売却益が355百万円あったこと等によるものであります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動による資金の獲得は411百万円(同413百万円の獲得)となっております。
これは、有形固定資産の売却による収入が996百万円、長期貸付金の回収による収入が261百万円、補助金の受取額が138百万円ありましたが、有形固定資産の取得による支出が869百万円あったこと等によるものであります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動による資金の支出は1,112百万円(同1,978百万円の獲得)となっております。
これは、長期借入れによる収入が3,450百万円ありましたが、長期借入金の返済による支出が3,498百万円、自己株式の取得による支出が711百万円、配当金の支払額が390百万円あったこと等によるものであります。
① キャッシュ・フローの状況
キャッシュ・フローの状況につきましては、「第2 事業の状況 4 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (3) キャッシュ・フローの状況」に記載のとおりであります。
今後の資金需要のうち主なものは、子育て支援施設等の設備投資・賃借料・敷金・保証金等及び当社グループ内での人件費と材料費等の支払いによるものであります。
② 財務政策
継続的に保育園を開園するためには、設備費用等の資金を安定的に確保することが重要となります。現在、当社グループにおける運転資金及び設備投資資金等については、主に自己資金又は金融機関からの借入金等により調達しております。
当社グループでは、財務の健全性を図りつつ、必要資金を安定的に調達していくため、金融機関からの借入れに限定せずに社債の発行や株式の発行も含めて財務政策を検討してまいります。
該当事項はありません。
当社グループは、主に一般顧客(最終消費者)を対象とした子育て支援サービスを提供しており、受注生産形態をとっていないため、該当事項はありません。
(注) 主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合
当社グループは、主に一般顧客(最終消費者)を対象とした子育て支援サービスを提供しておりますが、自治体(市区町村)を通じてサービス提供の対価を収受するものもあります。このため、主な相手先別の販売実績として上記を記載しております。
(6) 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。この連結財務諸表の作成にあたって、資産、負債、収益及び費用の報告額に影響を及ぼす見積り及び仮定を用いておりますが、これらの見積り及び仮定に基づく数値は実際の結果と異なる可能性があります。
連結財務諸表の作成に当たって用いた会計上の見積り及び仮定のうち、重要なものは「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項 (重要な会計上の見積り)」に記載しております。
該当事項はありません。
2023年3月31日現在における当社グループの主要な設備は、次のとおりであります。
(注) 1.従業員数の( )は、臨時雇用者を外書しております。なお、臨時雇用者はパートタイマー、アルバイトを含み、派遣社員を除いております。
2.株式会社アメニティライフは、2022年4月1日付で株式会社日本保育サービスに吸収合併されております。
該当事項はありません。
該当事項はありません。
(注) 有償第三者割当増資
発行価格 275円
資本組入額 137.5円
割当先 資産管理サービス信託銀行株式会社(信託E口)
2023年3月31日現在
(注)1.自己株式2,697,857株は、「個人その他」に26,978単元、「単元未満株式の状況(株)」に57株含まれております。
2.上記「その他の法人」には、証券保管振替機構名義の株式が150単元含まれております。
3.所有株式数の割合は、小数点第3位を切り捨てております。
2023年3月31日現在
(注)1.上記の所有株式数のうち、信託業務に係る株式数は、次のとおりであります。
2.上記のほか当社所有の自己株式2,697,857株があります。
3.2019年3月7日付で公衆の縦覧に供されている大量保有報告書に係る変更報告書において、みずほ信託銀行株式会社及びその共同保有者であるアセットマネジメントOne株式会社が2019年2月28日現在で以下の株式を所有している旨が記載されているものの、当社として2023年3月31日現在における実質所有株式数の確認ができませんので、上記大株主の状況には含めておりません。
なお、その大量保有報告書に係る変更報告書の内容は以下のとおりであります。
4.2021年11月19日付で公衆の縦覧に供されている大量保有報告書において、ベイリー・ギフォード・アンド・カンパニー及びその共同保有者であるベイリー・ギフォード・オーバーシーズ・リミテッドが2021年11月15日現在で以下の株式を所有している旨が記載されているものの、当社として2023年3月31日現在における実質所有株式数の確認ができませんので、上記大株主の状況には含めておりません。
なお、その大量保有報告書の内容は以下のとおりであります。