オンコセラピー・サイエンス株式会社
|
回次 |
第18期 |
第19期 |
第20期 |
第21期 |
第22期 |
|
|
決算年月 |
2019年3月 |
2020年3月 |
2021年3月 |
2022年3月 |
2023年3月 |
|
|
事業収益 |
(千円) |
|
|
|
|
|
|
経常損失 |
(千円) |
△ |
△ |
△ |
△ |
△ |
|
親会社株主に帰属する 当期純損失 |
(千円) |
△ |
△ |
△ |
△ |
△ |
|
包括利益 |
(千円) |
△ |
△ |
△ |
△ |
△ |
|
純資産額 |
(千円) |
|
|
|
|
|
|
総資産額 |
(千円) |
|
|
|
|
|
|
1株当たり純資産額 |
(円) |
|
|
|
|
|
|
1株当たり当期純損失 |
(円) |
△ |
△ |
△ |
△ |
△ |
|
潜在株式調整後 1株当たり当期純利益 |
(円) |
|
|
|
|
|
|
自己資本比率 |
(%) |
|
|
|
|
|
|
自己資本利益率 |
(%) |
|
|
|
|
|
|
株価収益率 |
(倍) |
|
|
|
|
|
|
営業活動による キャッシュ・フロー |
(千円) |
△ |
△ |
△ |
△ |
△ |
|
投資活動による キャッシュ・フロー |
(千円) |
△ |
△ |
△ |
△ |
△ |
|
財務活動による キャッシュ・フロー |
(千円) |
|
|
|
|
|
|
現金及び現金同等物の 期末残高 |
(千円) |
|
|
|
|
|
|
従業員数 |
(名) |
|
|
|
|
|
|
(外、平均臨時雇用者数) |
( |
( |
( |
( |
( |
|
(注)1 第18期から第22期の自己資本利益率は、親会社株主に帰属する当期純損失を計上しているため記載しておりません。
2 第18期から第22期の株価収益率は、1株当たり当期純損失を計上しているため記載しておりません。
3 第18期から第22期の潜在株式調整後1株当たり当期純利益については、潜在株式は存在するものの、1株当たり当期純損失を計上しているため記載しておりません。
|
回次 |
第18期 |
第19期 |
第20期 |
第21期 |
第22期 |
|
|
決算年月 |
2019年3月 |
2020年3月 |
2021年3月 |
2022年3月 |
2023年3月 |
|
|
事業収益 |
(千円) |
|
|
|
|
|
|
経常損失 |
(千円) |
△ |
△ |
△ |
△ |
△ |
|
当期純損失 |
(千円) |
△ |
△ |
△ |
△ |
△ |
|
資本金 |
(千円) |
|
|
|
|
|
|
発行済株式総数 |
(株) |
|
|
|
|
|
|
純資産額 |
(千円) |
|
|
|
|
|
|
総資産額 |
(千円) |
|
|
|
|
|
|
1株当たり純資産額 |
(円) |
|
|
|
|
|
|
1株当たり配当額 |
(円) |
|
|
|
|
|
|
(1株当たり中間配当額) |
( |
( |
( |
( |
( |
|
|
1株当たり当期純損失 |
(円) |
△ |
△ |
△ |
△ |
△ |
|
潜在株式調整後 1株当たり当期純利益 |
(円) |
|
|
|
|
|
|
自己資本比率 |
(%) |
|
|
|
|
|
|
自己資本利益率 |
(%) |
|
|
|
|
|
|
株価収益率 |
(倍) |
|
|
|
|
|
|
配当性向 |
(%) |
|
|
|
|
|
|
従業員数 |
(名) |
|
|
|
|
|
|
(外、平均臨時雇用者数) |
( |
( |
( |
( |
( |
|
|
株主総利回り |
(%) |
|
|
|
|
|
|
(比較指標:TOPIX) |
(%) |
( |
( |
( |
( |
( |
|
最高株価 |
(円) |
217 |
136 |
200 |
137 |
73 |
|
最低株価 |
(円) |
108 |
50 |
60 |
62 |
47 |
(注)1 第18期から第22期の自己資本利益率は、当期純損失を計上しているため記載しておりません。
2 第18期から第22期の株価収益率は、1株当たり当期純損失を計上しているため記載しておりません。
3 第18期から第22期の潜在株式調整後1株当たり当期純利益については、潜在株式は存在するものの、1株当たり当期純損失を計上しているため記載しておりません。
4 最高・最低株価は、2022年4月4日より東京証券取引所(グロース)における株価であり、それ以前については東京証券取引所(マザーズ)における株価を記載しております。
|
年月 |
沿革 |
|
2001年4月 |
がん関連遺伝子及び遺伝子産物を利用したがん治療薬、がん治療法及びがん診断薬の研究開発を目的として、東京都港区芝に設立。 |
|
2001年5月 |
東京大学医科学研究所と共同研究を開始。 |
|
2001年11月 |
東京都港区白金台に本店移転。 |
|
2002年10月 |
東京都港区の本店所在地に自社の研究所を開設。 |
|
2003年12月 |
東京証券取引所マザーズ市場に上場。 |
|
2004年8月 |
抗体医薬の商業化(開発・販売)を目的として株式会社医学生物学研究所と合弁にてイムナス・ファーマ株式会社を設立。 |
|
2005年3月 |
本社及び本社ラボ施設を神奈川県川崎市高津区に移転し、同所に創薬研究所を開設。 |
|
2006年6月 |
ペプチド・ワクチンの開発を目的として、連結子会社となるワクチン・サイエンス株式会社を設立。 |
|
2007年9月 |
関連会社イムナス・ファーマ株式会社の株式取得により連結子会社化。 |
|
2007年9月 |
連結子会社のワクチン・サイエンス株式会社を吸収合併。 |
|
2010年5月 |
フランスに、抗体医薬をはじめとしたがん治療薬の研究開発を目的に、連結子会社Laboratoires OncoTherapy Science France S.A.R.L.を設立。 |
|
2017年7月 |
がん遺伝子の大規模解析検査ならびにがん免疫療法の研究開発を目的として、連結子会社となる株式会社Cancer Precision Medicineを設立。 |
|
2017年8月 |
Theragen Bio Co., Ltd.(本社:韓国。旧Theragen Etex Co., Ltd.)の資本参加・業務提携により、株式会社Cancer Precision Medicineを合弁会社化。 |
|
2017年11月 |
当社を吸収分割会社、株式会社Cancer Precision Medicineを吸収分割承継会社とし、腫瘍免疫解析部を会社分割(簡易分割)。 |
|
2019年9月 |
フランスでの治験終了に伴い、連結子会社Laboratoires OncoTherapy Science France S.A.R.L.を清算結了。 |
|
2022年4月 |
東京証券取引所の市場区分の見直しにより、東京証券取引所のマザーズ市場からグロース市場に移行。 |
|
2023年1月 |
神奈川県川崎市川崎区に本店及び研究開発拠点(ラボ)を移転。 |
当社の企業集団は、当社、連結子会社2社により構成されており、医薬品の研究及び開発、がん遺伝子の大規模解析検査及びがん免疫療法の研究開発を主たる事業としております。
(1)当社の設立経緯について
当社は、元東京大学医科学研究所ヒトゲノム解析センター長(現 国立研究開発法人医薬基盤・健康・栄養研究所理事長、東京大学名誉教授、シカゴ大学名誉教授)中村祐輔教授の研究成果(シーズ)を事業化することを目的として2001年4月に設立した研究開発型ベンチャー企業です。
(2)当社事業の背景について
① ゲノム研究の進展について
1990年代より欧米を中心としてゲノム(※1)研究が活発に進められており、2000年6月には、いわゆる「ヒトゲノム・プロジェクト(※2)」等によってヒトゲノム解読完了が宣言されております。現在では、30億塩基対からなるヒトゲノム遺伝暗号の読み取りがほぼ終了し、現在ヒトの遺伝子総数は約23,000種類程度であると予測されております。これと前後した様々なバイオテクノロジーの進歩等により、「ゲノム創薬」への応用が現実のものとなりつつあります。
「ゲノム創薬」とは、遺伝子及び遺伝子が作り出すタンパク質等の情報に基づき、疾患の原因である新規創薬ターゲットの発見とそれらを標的とする治療薬の有効性や安全性の検討等を行い、医薬品を論理的・効率的に作り出すものであります。近年において、がん、糖尿病、高血圧や、慢性関節リウマチなど、多くの疾患に遺伝子が関係することが明らかになっており、疾患に関係する遺伝子を同定し、それを標的とすることで、疾患の症状を軽減させる対症療法ではなく、疾患の原因を除去する効果的な医薬品開発が可能となるものと考えられております。
また、バイオテクノロジーの進歩に伴い、疾患関連遺伝子探索、遺伝子機能解析に加えて、SNPs(※3)、プロテオミクス(※4)、バイオインフォマティクス(※5)等の各研究分野も急速に進展しており、多くのベンチャー企業が創設される等、ゲノム研究分野はその市場規模の拡大が見込まれております。
なお、こうした技術及び研究の進歩への対応として、欧米の大手製薬企業等は、多大な研究開発費を確保するためのM&A戦略を実施する一方で、自社での研究開発活動に加えて、特に、基礎研究分野や、より専門性の高い分野等においては、ベンチャー企業、大学や社外の研究機関等との提携による外部リソースの活用を積極的に行う事が近年一般的になっております。
② 抗がん剤分野について
従来のがん治療法は、一般に、がん細胞を除去し、又は死滅させることに重点が置かれ、その主流は、外科的切除、放射線療法及び抗がん剤投与による化学療法並びにこれらの組み合わせによるものであります。しかし、これらの治療法は、いずれも患者に対する強い侵襲作用があり、特に化学療法は、抗がん剤を生体内に投与して分裂をつづける細胞に対して無差別な攻撃を行うものであり、がん細胞だけでなく正常細胞にも強い毒性を発揮する欠点があります。その結果、患者により個人差はあるものの、骨髄抑制、脱毛、吐き気、嘔吐又は下痢等の副作用によりがん患者に相応の負担を強いることとなり、抗がん剤の使用範囲は限られたものとなり、また、抗腫瘍活性も期待された程得られない状況で、従来のがん治療法に代わる、より有効で患者に対して負担の少ない治療法の開発が望まれておりました。
近年、分子生物学(※6)及びヒトゲノム研究の進展等に伴い、特定の分子のみを標的としたいわゆる分子標的治療薬(※7)と呼ばれる医薬品開発が進められており、乳がん、白血病、肺がん、大腸がん等に対する新たな抗がん剤が登場しております。これらの抗がん剤は、従来の化学療法と比較して効果が高くかつ副作用が抑えられ、より長期間の投薬が可能となるものであります。現在、このような新たな抗がん剤の開発が世界各国で進められており、今後のがん治療に高い効果を発揮するものと期待されております。
また、ヒトにおける腫瘍に対する免疫システムの関与の機序が明らかになりつつあり、がん治療において、従来の手術療法、放射線療法、薬物療法に加え、免疫療法があらたな機序を有する第4のがん治療法として期待が高まりつつあります。2009年9月、米国医薬食品局(FDA)は、世界の免疫療法の開発の状況を踏まえ、「治療用がんワクチンについての臨床的考察」を公表し、2010年4月、前立腺がんに対する免疫細胞療法を承認し、2011年3月には、悪性黒色腫に対してリンパ球の活性化を維持する抗体医薬を承認しました。さらに免疫チェックポイント阻害剤という新たな免疫治療薬が承認されるなど、がんに対する免疫療法は、今や次世代の新たながん治療法として確立し、がん治療薬の概念は大きく変わりつつあります。
このように、分子標的治療薬の登場に加え、既存の抗がん剤より効果が高くかつ副作用の少ない薬剤の登場により患者の生存期間が長くなることによる治療の長期化、製薬会社による更なる分子標的治療薬の研究開発推進、高齢化の進行、がん診断による早期発見の増加、及びがんプレシジョン医療の進展等の動向から、当社は、抗がん剤の市場は今後も拡大していくものと予測しております。
(3)事業内容について
当社グループは、元東京大学医科学研究所ヒトゲノム解析センター長(現 国立研究開発法人医薬基盤・健康・栄養研究所理事長、東京大学名誉教授、シカゴ大学名誉教授)中村祐輔教授と共同で、ほぼすべてのがんを対象とした網羅的な遺伝子発現解析等を実施し、既にがん治療薬開発に適した多くの標的分子を同定しております。また、それらの標的に対し、低分子医薬、がんペプチドワクチン、抗体医薬等の、各領域における創薬研究を積極的に展開し、これら創薬研究の成果を基にした複数の臨床試験を実施しており、臨床試験準備中の医薬品候補物質も複数有しております。
このような、「医薬品の研究及び開発」並びにこれらに関連する事業に加えて、がんプレシジョン医療関連事業を実施しております。
がんは遺伝子の異常により引き起こされる病気です。がん細胞での遺伝子の網羅的な解析は、がんの診断及びがん治療薬・治療法を選択するために非常に重要です。この解析を利用して、がんの早期診断や、がん患者さん一人ひとりの遺伝子情報に基づいた治療薬・治療法の選択をすることや新規の免疫療法につなげていくことをがんプレシジョン医療といい、近年、より効果的ながん治療をがん患者さんに提供できる手段として注目されています。
当社は、グローバルなゲノム・トランスクリプトム・エピゲノム等の次世代シーケンス解析サービスを行っているTheragen Bio Co., Ltd.(本社:韓国、以下「TB社」という。旧Theragen Etex Co., Ltd.)との資本・業務提携により、がん遺伝子の大規模解析検査及びがん免疫療法の研究開発を行う子会社として、株式会社Cancer Precision Medicine(以下「CPM社」という)を設立し、がんプレシジョン医療関連事業を実施しております。
① 医薬品開発における事業領域について
当社グループの研究開発は、2001年4月からの当社と東京大学医科学研究所との共同研究により出発いたしました。当該研究は抗がん剤開発のためのがん特異的タンパク質の同定とその機能解析を目的としており、主に基礎研究領域に重点を置いたものとなっています。
その後、基礎研究の継続的な実施による進展とともに、当社グループの事業領域は、より医薬品の開発に近い創薬研究へと拡大し、低分子医薬、がんペプチドワクチン、抗体医薬等の各領域において、臨床応用を目指した創薬研究を実施しております。
さらに、国内外において、各提携先製薬企業と共同で、又は当社グループ独自で複数の臨床試験を実施しております。
② 医薬品の研究開発について
当社グループでは、主に下記の医薬品の研究開発を実施しております。
低分子医薬
低分子医薬は、がん関連遺伝子由来のタンパク質(がん関連遺伝子産物)に結合し、その機能を阻害する低分子化合物(※8)を利用した医薬品です。当社グループは網羅的遺伝子解析によって同定したがん関連遺伝子産物に対し、独自に医薬品となり得る低分子化合物を設計し、医薬品開発を行っております。
ペプチドワクチン
がん特異的ペプチドワクチンは、がん細胞にのみ反応する細胞傷害性T細胞(※9)を活性化させるなど、人間の体が持つ免疫機構を利用して、がん細胞を攻撃させるがん治療用医薬品です。当社グループは、がん特異的ペプチドワクチンの医薬品候補物質となるペプチドを多数同定し、医薬品開発を行っております。また、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の感染制御及び重症化の抑制を目指したペプチドワクチンの研究開発に着手し、特許出願を完了しております。
抗体医薬
抗体医薬は、抗体が細胞膜(がん細胞の表面)に存在する特定のタンパク質(抗原)に対して特異的に反応し、それらを異物として排除する特性を利用した医薬品です。当社グループは、がん関連遺伝子産物を標的とした抗体を作成することで、医薬品開発を行っております。
なお、各事業領域の詳細につきましては、「第2 事業の状況 6研究開発活動 (2)研究開発活動(a)「医薬品の研究及び開発」及びこれらに関連する事業」をご覧ください。
③ がんプレシジョン医療への取組み
2017年7月、CPM社を設立し、その後当社の事業部門であり、オンコアンチゲンをはじめとしたがん免疫療法の研究開発、及び次世代シーケンサーを用いてT細胞/B細胞受容体の解析サービスを行う腫瘍免疫解析部については、会社分割(簡易分割)を行い、当社の連結子会社であるCPM社が事業を承継いたしました。これにより、CPM社においてはがん遺伝子の大規模解析検査及びがん免疫療法の研究開発を実施することとなりました。
なお、がんプレシジョン医療への取組みにつきましては、「第2 事業の状況 6研究開発活動 (2)研究開発活動(b)がんプレシジョン医療関連事業」をご覧ください。
④ 医薬品の研究開発に係る提携による収益について
医薬品の研究開発を行うバイオベンチャー企業と製薬企業等との契約については、一般に、契約一時金、研究・開発の進捗に応じたマイルストーン及び医薬品上市後の売上等に応じたロイヤリティ等といった段階的に対価を収受する契約形態が採用されております。これは、製薬企業等において医薬品開発には多大な研究開発費が必要であり、かつリスクも高いものであることに起因するものであります。当社グループが現在締結する契約も同様であり、また、今後締結する契約においても同様の形態が想定されます。
契約一時金は、契約時に医薬品の開発・製造・販売権などを付与することで受け取ることができる収益であり、マイルストーンは、契約に基づき、あらかじめ設定された研究開発に関する進捗等イベントの達成に応じて受け取ることができる収益であります。契約一時金及びマイルストーンに係る収入については、履行義務が一時点で充足される場合には、開発権・販売権等を付与した時点、又は契約上定められたマイルストーンが達成された時点で契約上の履行義務が充足されたと判断し、当該時点で事業収益として認識しております。
ロイヤリティは、医薬品の上市後に販売額の一定料率を受け取ることができる収益であり、その発生時点を考慮して事業収益として認識しております。
一般的に医薬品の開発期間は基礎研究開始から上市までに通常10年以上の長期間に及ぶものでもあります。事業収益の発生については、その多くが契約締結先の製薬企業等の研究開発の進捗及び医薬品発売・販売の状況等に依存するもので、これらが事業収益として計上されるにはかなりの長期間を要する可能性があり、またこれらの事業収益が計上されない可能性もあります。
さらに、製薬企業等との契約締結の可否、契約締結時期及び収益の発生時期によって当社グループの業績は大きく変動する傾向にあり、これによる業績の上期若しくは下期への偏重が生じる可能性、又は場合によっては決算期ごとの業績変動要因となる可能性があります。
[用語解説]
(※1)ゲノム
生物の体を構成する一つ一つの細胞の中に、遺伝情報を乗せた染色体があります。染色体は、4種類の塩基と呼ばれる分子から成るDNAで構成され、DNAの塩基の並び方によって遺伝子の情報が決められています。ゲノムとは、1つの生物がもつ染色体に含まれるすべての遺伝情報を指します。
(※2)ヒトゲノム・プロジェクト
ヒトの遺伝情報の総体であるヒトゲノム(染色体23本に分配されている30億塩基対DNA)をすべて解読しようという国際的なプロジェクトの総称。1988年に、有力な科学者主導でヒトゲノムの解析を実施すべく、ヒトゲノム機構(HUGO)が設立され、こののち1990年10月に、同機構の指揮のもとで正式に国際的なプロジェクトが開始されました。日本でも、1991年から解読が本格化されました。計画開始当初、2005年をメドに全長配列決定をする予定でしたが、シーケンス技術の急速な進歩、及びゲノムの大量解読を行うベンチャー企業の追いあげにともない、当初の計画は大幅に前倒しされることになり、2000年6月には、解読結果の概略が発表されております。
(※3)SNPs
Single Nucleotide Polymorphism(=1塩基多型)の略語。DNAの塩基配列は、同じヒトであっても個人によって僅かずつ異なっていることがわかっており、これが全ゲノム中の約1%、数百万箇所あるとされております。こういった遺伝子の相違の中で最も頻繁に見られるのが、塩基配列のある箇所でA-TとG-Cの塩基ペアが1箇所だけ置き換わっているSNPであり、疾患の罹りやすさ、薬の効きやすさ、副作用の出やすさなどが個人で異なることもSNPに関連すると思われることから、ゲノム創薬においても重要視されている研究テーマの一つとなっております。
(※4)プロテオミクス
ゲノム情報とそれによって作られるタンパク質との関連を生命活動に照らし合わせて包括的に行う研究のこと。具体的には、発見された遺伝子の機能解析、作られるタンパク質の調節機構の解析、タンパク質同士の相互作用の研究、疾患・病態とタンパク質の働きとの関連性などが課題とされております。
(※5)バイオインフォマティクス
バイオ研究において、情報科学と生命科学の融合領域で生命情報科学をさします。ゲノムの塩基配列情報やタンパク質の構造情報などをコンピューター処理して活用する技術。コンピューターを用いた遺伝子及びタンパク質の構造・機能解析に始まり、それらの分子の生体内での作用や発現レベル、相互作用、病態との関わりなどの情報を含んだ生体情報解析又はデータベース化するようなシステムの総称であります。
(※6)分子生物学
もともと生物学は、生物の形態・分類・進化・行動や遺伝に法則性を見いだし、そこから生命の本質を探ろうとする学問でした。1950年代にワトソンとクリックにより遺伝物質DNAの分子構造が提唱されたとき、初めて生物学者が、生物を分子のレベルで解明する可能性を認識し、ここに分子生物学が生まれました。現在、分子生物学は医学・薬学・農学・バイオテクノロジーの領域の最も重要な基礎分野として、その成果は、様々な応用技術の基盤となっております。
(※7)分子標的治療薬
ある分子に作用することがわかっている低分子化合物や抗体などを選択することによって作られ、疾患に関係がある細胞だけに働きかける機能を持った新しいタイプの治療薬のこと。従来の治療薬に比べて効果が高くかつ副作用が少ないとされ、近年、がん治療などで注目されております。
(※8)低分子化合物
抗がん剤をふくめ、医薬品には分子量の大きい高分子物質、たとえば抗体のようなタンパク質などの高分子物質と、相対的に分子量の小さい低分子物質があります。概ね分子量が1,000前後のものまでが、一般に低分子とされており、低分子物質は低分子化合物ともよばれております。医薬品となる低分子化合物の大半は、有機合成化学の手法で人工的に作られております。製薬企業では一般に、化合物ライブラリ(あらかじめ合成されて集積されている多数の化合物の集合)の中から一定の効果をもつ化合物を選び出すスクリーニングが行われ、それに続いて、化合物の効果を個々の目的に応じて最適化させるための新規化合物の設計と合成が行われております。
(※9)細胞傷害性T細胞
細胞傷害性T細胞は、抗体とともに私たちの体の免疫反応を担う細胞であります。抗体は、血液や分泌液などの中に通常存在することから体液性免疫ともよばれるのに対し、細胞傷害性T細胞は、細胞が作用の中心なので、細胞性免疫ともよばれております。細胞傷害性T細胞のがん細胞に対する機能は、がん抗原を認識し、そのがん抗原が提示されている細胞を殺傷するものであります。
|
名称 |
住所 |
資本金 (百万円) |
主要な事業の内容 |
議決権の所有割合(%) |
関係内容 |
|
(連結子会社) |
|
|
|
|
|
|
イムナス・ファーマ株式会社 (注)1、2 |
神奈川県川崎市川崎区 |
100 |
「医薬品の研究及び開発」並びにこれらに関連する事業 |
100.0 |
役員の兼任 当社役員 3名 |
|
(連結子会社) |
|
|
|
|
|
|
株式会社 Cancer Precision Medicine(注)1、2、3、4 |
神奈川県川崎市川崎区 |
50 |
がんプレシジョン医療関連事業 |
63.64 |
役員の兼任 当社役員 4名 資金の貸付 |
(注)1.特定子会社に該当しております。
2.2023年1月1日付で、本店を移転しております。
3.債務超過会社で債務超過の額は、2023年3月末時点で1,832百万円となっております。
4.売上高(連結会社相互間の内部売上高を除く)の連結売上高に占める割合が10%を超えておりますが、セグメント情報において、当連結会計年度の売上高(セグメント間の内部売上高を含む)に占める割合が、90%を超えているため、主要な損益情報等の記載を省略しております。
(1)連結会社の状況
|
|
2023年3月31日現在 |
|
|
セグメントの名称 |
従業員数(名) |
|
|
「医薬品の研究及び開発」並びにこれらに関連する事業 |
|
( |
|
がんプレシジョン医療関連事業 |
|
( |
|
合計 |
|
( |
(注)1 従業員数は就業人員であります。
2 従業員数の(外書)は、臨時従業員の当連結会計年度の平均雇用人員(1日8時間換算)であります。
(2)提出会社の状況
|
|
|
|
|
2023年3月31日現在 |
|
従業員数(名) |
平均年齢(歳) |
平均勤続年数(年) |
平均年間給与(千円) |
|
|
|
( |
|
|
|
|
セグメントの名称 |
従業員数(名) |
|
|
「医薬品の研究及び開発」並びにこれらに関連する事業 |
|
( |
|
がんプレシジョン医療関連事業 |
|
( |
|
合計 |
|
( |
(注)1 従業員は就業人員であり、臨時雇用者数は、年間の平均人員を( )に外数で記載しております。
2 平均年間給与は、賞与および基準外賃金を含んでおります。
(3)労働組合の状況
労働組合は結成されておりませんが、労使関係については良好であります。
当社グループの経営方針、経営環境及び対処すべき課題等は、以下のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
(1)経営方針
当社グループは、「有効性が高く、より副作用の少ないがん治療薬・治療法を一日も早くがんに苦しむ患者さんに届けること、がんとの闘いに勝つこと」を企業使命として、その実現のため、基礎研究、創薬研究、及び医薬開発、ならびにがんプレシジョン医療への取組みを推進しております。
当社グループは、安定経営に留意しながら、がん治療薬・治療法の研究及び開発を着実に推進し、がん治療の分野で社会に貢献したいと考えております。
(2)経営戦略及び経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等
当社グループは、研究開発型企業として、基礎研究、創薬研究、及び医薬開発、ならびにがんプレシジョン医療への取組みを推進しており、収益につきましては、これまで、主として提携先製薬企業等からの契約一時金、研究協力金、開発協力金、マイルストーン収入、及び受託検査による収入等を計上しております。将来において、当社が自らがん治療薬を上市した場合には、医薬品の販売収入が計上され、提携先企業ががん治療薬を上市した場合には、ロイヤリティ収入が計上されることとなります。また、がんプレシジョン医療への取組みの進展により、がん細胞の詳細な遺伝子解析サービス(全エクソームシーケンス解析、RNAシーケンス解析、ネオアンチゲン解析等)、血中のがん細胞を早期検出するためのリキッドバイオプシーといったがん遺伝子の大規模解析検査及びTCR/BCRレパトア解析、免疫反応解析等の解析サービスの受託検査による収入が計上されることとなります。このような収入の拡大により収益及び利益が飛躍的に拡大するとともに収益基盤が安定することが想定されます。これらの収入等は、当社グループの研究開発の進展に伴い計上するものであり、経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標と考えております。
しかしながら、がん治療薬が上市されるまでの間は、事業領域の拡大や自社による研究開発の進展に伴い研究開発費が増加することが想定され、収益源となる製薬企業との新たな提携契約の締結、ベンチャー企業・アカデミアと共同研究や共同開発の実施、公的機関による補助・助成制度の積極的な活用等により自社の経費負担を軽減し、経営の安定を図りながら事業を推進して参ります。
(3)経営環境、事業上及び財務上の優先的に対処すべき課題
当社グループは、対処すべき課題を以下のように考えています。
① 基礎研究の継続的な実施
当社グループは2001年から2013年にかけて元東京大学医科学研究所ヒトゲノム解析センター長(現 国立研究開発法人医薬基盤・健康・栄養研究所理事長、東京大学名誉教授、シカゴ大学名誉教授)中村祐輔教授との共同研究により、ほぼ全てのがんを対象とした網羅的な遺伝子発現解析等を実施し、多くのがん治療薬開発に適した標的分子を同定いたしました。現在、それらの標的に対する創薬研究を積極的に展開し、これら創薬研究の成果を基にした複数の臨床試験を実施中または準備中の医薬品候補物質を多数有しております。
基礎研究の継続的な実施は当社グループ事業の将来にかかる重要課題の一つとして認識しており、今後も当社独自及び共同研究等による研究体制の充実と円滑な推進のための対応を図ってゆく方針であります。
② 創薬研究の確実な推進
当社グループは基礎研究の成果をもとに、臨床応用を目指して低分子医薬、がんペプチドワクチン、抗体医薬等の創薬研究を実施し、ファースト・イン・クラスの創薬を目指します。
③ 臨床開発の確実かつ迅速な推進
当社グループは、「有効性が高く、より副作用の少ないがん治療薬・治療法を一日も早くがんに苦しむ患者さんに届けること、がんとの闘いに勝つこと」を企業使命とし、国内外において、当社グループ独自で複数の臨床試験を行っており、提携先製薬企業とも共同で臨床試験を行っております。当社グループは、非臨床試験データに基づいた適応症の選択を行い、臨床開発を確実かつ迅速に推進させてゆく方針です。
④ 新規提携先の開拓および既存提携先との提携事業の確実な推進
当社グループは、一日も早くがん治療薬を上市することを企業使命とし、今後とも新規提携先を積極的に開拓するとともに、提携先製薬企業との戦略的対話を促進し、提携先が実施する臨床開発の側面支援、後方支援を強化することにより提携事業を確実かつ迅速に進め、一日も早く当社グループの医薬品候補化合物の上市を目指します。
⑤ がんプレシジョン医療関連事業への取組み
がんプレシジョン医療関連事業につきましては、がん細胞の詳細な遺伝子解析サービス(全エクソームシーケンス解析、RNAシーケンス解析、ネオアンチゲン解析等)、血中のがん細胞を早期検出するためのリキッドバイオプシーといったがん遺伝子の大規模解析検査及びTCR/BCRレパトア解析、免疫反応解析等の解析サービスの共同研究や事業化に加えて、新規がん遺伝子パネル検査の開発やネオアンチゲン樹状細胞療法及びTCR遺伝子導入T細胞療法等の新しい個別化がん免疫療法の研究も進めて参ります。
⑥ 経営環境及び経営者の問題意識と今後の方針について
当社グループの事業に深い関連を有する抗がん剤市場を取り巻く状況は、高齢化の進行、がん診断による早期発見の増加、分子標的治療薬の登場、及びがんプレシジョン医療の進展等により、市場は拡大しており、当社グループは今後においても同様に市場は拡大するものと想定しております。
この様な市場の拡大は、参入企業の増加、潜在的な競合企業の増加の要因とも考えられ、また、異業種間の連携により技術革新等が飛躍的に進展する可能性もあり、当社グループを取り巻く事業環境は、急激な変化を生じる要素を数多く内包しているものと考えられます。このような経営環境のもと、当社グループの事業展開における重要な要素としては、「事業推進のスピード」「事業領域の拡大」「リスクとリターンのバランス」といった3点が挙げられます。
事業推進のスピードにつきましては、医薬品業界、特にバイオテクノロジー業界においては、世界的な新薬開発競争とその新薬開発のための様々な研究開発や技術開発が世界的規模で行われており、当社グループの研究活動もこのスピード競争を勝ち抜き、質の高い研究成果を一日も早く臨床開発へ進展させることが当社の優位性を確保する上で非常に重要であると認識しております。また、今後市場が拡大すると予想するがんプレシジョン医療につきましても、質の高いがん遺伝子の大規模解析検査ならびにがん免疫療法の研究開発をより早く進展させることが非常に重要であると認識しております。
事業領域の拡大につきましては、現在当社グループは、低分子医薬、がんペプチドワクチン、抗体医薬等で創薬研究を展開しており、さらにがんプレシジョン医療への積極的な取組み等により、今後とも、より積極的に事業を拡大していく方針であります。また、臓器線維症治療標的として有望な可能性があるとされるキナーゼを強力かつ選択的に阻害する活性を持つ化合物を当社化合物ライブラリ内で確認したため、ライセンスアウトを目標に研究着手しております。このような事業領域の拡大により、当社グループの研究成果を、より多くの医薬品開発用途へ応用することにより、事業価値を高めたいと考えています。
最後にリスクとリターンのバランスですが、当社グループの最大の強みは、自社で設計した新規の化学構造を有する独自の化合物ライブラリを持つことであり、またがんのみならず数多くのゲノム創薬にもとづく創薬ターゲットを所有していることであります。ただし、それら多数の創薬ターゲットの全てについて、多岐の用途にわたる創薬研究と臨床開発を、当社グループのみの資源と費用で、かつ世界的な競争に打ち勝つスピードで遂行することは、膨大な設備投資と研究開発費を必要とし、資金的なリスクを生じせしめます。当社グループとしては、製薬企業等との積極的な提携契約の締結や研究開発の提携等により、製品化の可能性を極大化しつつ、リスクは経営上合理的なレベルにとどめる方針を現時点では採用しています。本方針により、事業展開からの成果や利益といったリターンをパートナーと共有することにはなりますが、可能性のある製品を商業化できないリスクやスピード競争に負けるリスクを低減することができます。なお、本社ならびに研究開発拠点の移転や、人員配置の見直しによる業務効率化等にも積極的に取り組んでおり、あらゆるコストの見直し及び削減を継続して強化してまいります。
今後ともリスクとリターンのバランスに十分配慮し、最善と考えられる経営判断を行っていきたいと考えております。
有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況に関する事項のうち、経営者が連結会社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に重要な影響を与える可能性があると認識している主要なリスクについて、以下において記載しております。また、必ずしもそのようなリスク要因に該当しない事項についても、投資者の投資判断上、重要であると考えられる事項については、投資者に対する積極的な情報開示の観点から以下に開示しております。なお、当社グループは、これらのリスク発生の可能性を認識した上で、発生の回避及び発生した場合の対応に努める方針でありますが、本株式に関する投資判断は、本「事業等のリスク」以外の記載内容も併せて、慎重に検討した上で行われる必要があると考えております。また、以下の記載は本株式への投資に関連するリスク全てを網羅するものではありませんので、その点にご留意ください。また、対応策については、「第2 事業の状況 1経営方針、経営環境及び対処すべき課題等 (3)経営環境、事業上及び財務上の優先的に対処すべき課題」も併せてご参照ください。
なお、以下の記載のうち将来に関する事項は、本書提出日現在において当社が判断したものであり、不確実性を内包しているため、実際の結果と異なる可能性があります。
(1)研究開発活動について
① 当社の設立経緯
当社は、元東京大学医科学研究所ヒトゲノム解析センター長(現 国立研究開発法人医薬基盤・健康・栄養研究所理事長、東京大学名誉教授、シカゴ大学名誉教授)中村祐輔氏の研究成果(シーズ)を事業化することを目的として設立した研究開発型企業であり、現在においても、同氏の成果が当社グループの研究開発活動の基盤となっております。今後も同氏から引き続き科学面に関しては協力を得ることとなっておりますが、何らかの理由により同氏の協力が得られなくなった場合、当社グループの研究開発活動に影響を与える可能性があります。
② 大学や研究機関等との共同研究について
(a)共同研究契約について
当社グループの研究活動においては、自社での研究活動に加えて、大学や研究機関等との共同研究を実施しております。
当社グループは、今後も研究体制の充実と円滑な推進のため、共同研究先の大学や研究機関等との間で良好な関係を維持し、当社の事業基盤となる共同研究を継続していく方針であります。しかしながら、当該契約の更新が困難となった場合又は解除その他の理由により契約が終了した場合においては、当社グループ事業に悪影響を与える可能性があります。
(b)がん関連遺伝子の網羅的解析について
当社が国立大学法人東京大学と実施した基礎研究の、「抗がん剤開発のためのがん特異的蛋白の同定とその機能解析、及び分子標的治療薬(治療法)開発の共同研究」は、臨床症例に基づいた研究成果であること、LMM法によるがん細胞の分離により精度の高い解析が可能であること、遺伝子解析においてcDNAマイクロアレイを利用していること、特定された候補遺伝子とそれらのがんとの関連を複数の実験により検証していること等の特徴があり、当社は、これらの各要素を組み合わせた解析スキームに研究の優位性があり、各種のがんにおいて得られた遺伝子情報等は、治療効果が高く、かつ副作用が少ない抗がん剤等の開発や、特異性の高いがん診断薬の開発に有用であると認識しております。なお、現時点においては、第三者が同様の遺伝子解析を高精度で大規模に実施することは極めて困難であるものと考えておりますが、新たな研究手法等が確立された場合においては、今後における当該優位性が継続する保証はありません。
(c)その他の共同研究開発について
当社グループは、医薬品の研究開発やがんプレシジョン医療関連事業をより加速させ、またその分野を拡大する目的で、大学、公的研究機関をはじめ企業や医療機関等との共同研究の実施や新たな連携を、必要に応じて積極的に模索しております。
今後も共同研究等の戦略的連携を積極的に推進していく予定ですが、これらの契約締結及び研究開発が当社グループの想定どおりに進捗しない可能性があるほか、契約内容によっては、当社グループにおいて相応の費用負担が生じる可能性があります。
③ 研究および開発の進展を目的とした子会社・関連会社の設立について
当社は、当社の事業機会である創薬シーズ(がん関連遺伝子等)を最大限有効活用するため、2004年8月に株式会社医学生物学研究所と、抗体医薬の開発・製造・販売を行うイムナス・ファーマ株式会社を設立致しました。なお、イムナス・ファーマ株式会社は、2007年9月に当社が、株式会社医学生物研究所所有の株式を取得したことにより、当社の子会社となっております。
また、がんプレシジョン医療関連事業として、2017年7月にがん遺伝子の大規模解析検査ならびにがん免疫療法の研究開発を行う子会社として、株式会社Cancer Precision Medicine(以下「CPM社」という)を設立いたしました。CPM社に対しては、次世代シーケンス解析サービスを世界的に行っているTheragen Bio Co., Ltd.(本社:韓国、以下「TB社」という。)が資本参加・業務提携していることからCPM社は、当社とTB社との合弁会社となっております。また、2017年11月に、当社の事業部門であり、オンコアンチゲンをはじめとしたがん免疫療法の研究開発、及び最先端の取組みとして次世代シーケンサーを用いてT細胞/B細胞受容体の解析サービスを行う腫瘍免疫解析部については、会社分割(簡易分割)をし、CPM社に事業を承継しております。
今後も、研究及び開発の進展を目的として子会社や関連会社の設立等を行う可能性がありますが、これら子会社、関連会社の研究及び開発活動が計画通りに実施できる保証はなく、また事業展開に伴う研究開発費用の増加等が当社グループの業績に悪影響を及ぼす可能性があります。
④ 臨床開発について
当社グループは、提携先製薬企業と共同で、または当社グループ独自に複数の臨床開発を行っております。
しかしながら、当社グループの臨床開発活動が計画通りに実施できる保証はなく、進捗に遅れが生じたり、臨床開発の成果が期待通り得られない可能性があります。
その結果、共同開発につきましては、提携先と想定していたイベントの達成が遅れたり、達成できなかった場合、将来に期待していた収益の受領が遅れたり、収益を得られない可能性があります。一方、今後当社グループ独自に臨床開発を実施したにもかかわらず成果が期待通り得られなかった場合、当社グループはそれまでの多額の研究開発コストを回収できず、当社グループの業績に悪影響を及ぼす可能性があります。
⑤ 製造物責任のリスクについて
当社グループが行う医薬品の開発、製造、及び販売、ならびに、がんプレシジョン医療関連事業は、製造物責任を負う可能性があります。今後当社グループが開発、製造、及び販売したいずれかの医薬品、試薬、原材料、外注加工品等が健康に悪影響を及ぼし、不適当な点が発見された場合には、製造物責任を負うことにより、当社グループの事業及び業績に重大な悪影響を及ぼす可能性があります。
⑥ 副作用に関するリスクについて
当社グループが開発、製造、及び販売を行った医薬品で、臨床試験段階から製品上市後までにおいて、予期せぬ副作用が発現する可能性があります。また、当社グループが関与する免疫療法等がんプレシジョン医療関連事業につきましても、予期せぬ副作用が発現する可能性があります。副作用が発現した場合、当社グループの業績に直接的な悪影響を及ぼすばかりか、副作用によるネガティブなイメージにより、当社グループが開発、製造、及び販売を行う医薬品および関与する免疫療法等に対する信頼に悪影響が生じる可能性があります。
(2)製薬企業等との提携について
① 提携先の研究開発の進捗状況等に影響を受けることについて
当社グループは、研究活動により得られる医薬品候補物質を製薬企業等に対して提供することを主な収益源としており、製薬企業等と締結する技術導出契約に基づき、契約一時金、研究協力金、開発協力金、マイルストーン及びロイヤリティ等を段階的に受領することになっております。これらの対価のうち、多くのマイルストーン及びロイヤリティの発生については、製薬企業等の研究開発の進捗及び医薬品発売・販売の状況等に依存するものであり、事業収益として計上されるには長期間を要する可能性があり、またこれらの事業収益が計上されない可能性もあります。
② 今後の製薬企業等の事業提携について
当社グループは、製薬企業等との提携については、創薬研究の成果である低分子医薬、がんペプチドワクチン、抗体医薬等のように個別の医薬品候補物質ごとに提携を拡大させてゆく方針です。しかしながら、当社グループが提供する医薬品候補物質等が、製薬企業等の研究開発ニーズと合致する保証はなく、また当社グループの想定通りに医薬品候補物質ごとの提携が推移する保証はありません。
(3)社内体制について
① 情報管理に関するリスクについて
当社グループは、当社が関与する臨床試験に関する情報、がん遺伝子の大規模解析検査に関する情報、その他の個人情報、個人遺伝情報を含む機密情報について、コンピュータ管理を行っております。このため、規程等を整備し、従業員に対し情報管理の重要性を周知徹底するとともに、システムのセキュリティを高く設定し常時監視しておりますが、通信インフラの破壊や故障等により当社が利用しているシステム全般が正常に稼働しない状態に陥ってしまった場合、あるいは情報漏えい・不具合が発生した場合等には、当社グループの社会的信用、業績及び財務状況に影響を与える可能性があります。
(4)経営成績の推移等について
① 特定の販売先への依存について
当社グループの販売先は、製薬企業、医療機関、研究機関等を対象とする限定されたものであることから、取引先あたりの事業収益に占める依存度は高いものとなっております。
当社グループにおいては、今後においても新たな取引先を開拓することで取引先ごとの依存度低下を図る方針でありますが、当社グループの想定通り新たな提携先と契約が締結できる保証はありません。また、契約を締結している取引先の契約解消や取引先の経営方針・状況に著しい変更等が生じた場合については、当社グループの業績は大きく影響を受ける可能性があります。なお、当社グループの受領する対価のうち、医薬品の研究開発に関する対価は下記②のとおり、製薬企業との契約による契約一時金、マイルストーン及びロイヤリティ等となりますが、これらの対価は段階的に発生するため、その発生状況により、各連結会計年度における取引先あたりの事業収益に占める依存度は大きく変動する可能性があります。
② 収益計上について
当社グループの医薬品の研究開発に関する事業は、製薬企業との契約により、その対価については、契約一時金、マイルストーン及びロイヤリティ等を段階的に受領することとしております。
契約一時金は、契約時に医薬品の開発・製造・販売権などを付与することで受け取ることができる収益であり、マイルストーンは、契約に基づき、予め設定された研究開発に関する進捗等イベントの達成に応じて受け取ることができる収益であります。契約一時金及びマイルストーンに係る収入については、履行義務が一時点で充足される場合には、開発権・販売権等を付与した時点、又は契約上定められたマイルストーンが達成された時点で契約上の履行義務が充足されたと判断し、当該時点で事業収益として認識しております。
ロイヤリティは、医薬品の上市後に販売額の一定料率を受け取ることができる収益であり、その発生時点を考慮して事業収益として認識しております。
また、一般的に医薬品の開発期間は基礎研究開始から上市までに通常10年以上の長期間に及ぶものでもあります。なお、発生については、その多くが契約締結先の製薬企業等の研究開発の進捗及び医薬品発売・販売の状況等に依存するものであり、これらが事業収益として計上されるにはかなりの長期間を要する可能性があり、またこれらの事業収益が計上されない可能性もあります。
さらに、製薬企業等との契約締結の可否、契約締結時期及び収益の発生時期によって当社グループの業績は大きく変動する傾向にあり、これによる業績の上期又は下期への偏重が生じる可能性、または場合によっては決算期ごとの業績変動要因となる可能性があります。
③ 研究開発費が多額の見通しであることについて
当社グループは研究開発型企業として、2023年3月期連結会計年度においては716百万円を計上しており今後とも、積極的に臨床開発に取り組んでいく方針であります。そのため、今後は、臨床試験を実施する開発パイプラインの進展や拡大、積極的な自社の創薬研究、がんプレシジョン医療への積極的な取組み等により、多額の研究開発費が必要となると想定されます。しかしながら、他の製薬企業との契約締結が進まない場合や既存の提携先との契約解消等が生じた場合は、当社グループの業績の圧迫要因として業績に悪影響が生じる可能性があります。また、急速な成長、技術変化、市場の発展等環境の変化に伴い、当社グループは新たな戦略を実行し、その事業を展開するための必要資金は、現時点における想定以上に拡大する可能性があります。
(5)大学、研究機関との関係について
① 共同研究実施に係る費用負担について
当社グループは、大学、研究機関(以下、「大学等」という)との間で共同研究契約に基づく共同研究を実施しております。
当該共同研究にかかる当社グループの費用負担については、大学等との協議により、当該共同研究において必要と見込まれる直接経費等について大学等との相互協議により決定した金額を共同研究費として大学等に支払っております。当該費用については、契約期間分を一括して支払うこととなっているものもあり、契約期間に対応して費用計上しております。なお、共同研究における活動状況に応じて生じる追加費用等については、相互協議による契約変更の手続きにより追加支払いを行う場合もあります。
当社グループは、今後においても当社の事業基盤である共同研究を継続していく方針であり、相応の共同研究費を負担することとなります。
② 各大学・研究機関教職員の兼業に係る利益相反の回避ついて
当社グループにおいては、本書提出日現在、各大学・研究機関の複数の研究者(教授等)が当社顧問等として兼業しております。当社グループとしてはこれらの兼業を行っている者との関係においては、利益相反等の行為が発生しないように法規制等を遵守するとともに、当社グループの企業運営上取締役会の監視等を通じて十分留意しております。しかしながら、このような留意にかかわらず、利益相反等の行為が発生した場合には、グループの利益を損ねる恐れがあるほか、社会的に指弾を受ける等の不利益を被り、その結果として当社グループの業績等に悪影響を及ぼす可能性があります。
(6)知的財産権について
① 当社グループの特許に係る方針等について
バイオ・テクノロジー関連業界、特に遺伝子関連事業においては、競合会社等に対抗していくために特許権その他の知的財産権の確保が非常に重要であると考えられます。
当社は、東京大学との共同研究の成果として生じたがん関連遺伝子及び遺伝子産物情報等ならびに一部のがんワクチンについて、国立大学法人化以前は東京大学と共同で特許を出願して参りましたが、これらの出願に関しては包括的な譲渡契約の締結により、既に当社への譲渡が完了しております。独立法人化以降の共同発明についても、同様に包括的な譲渡契約の締結により、既に当社への譲渡が完了しております。東京大学以外の大学との共同研究の成果として生じた医薬品候補物質等の共同発明については、大学と共同で特許を出願する場合と、譲渡契約に基づいて当社が単独で特許を出願する場合とがあります。また、製薬企業等との提携にかかる医薬品関連の特許については、発明の実体と提携契約に基づき提携先企業が出願する場合もあります。
なお、研究の過程において特許性を有する成果が生じた場合においても、特許出願については、有用性及び費用対効果等を考慮して行うものであり、全てについて特許を出願するものではなく、また、特許を出願及び取得した場合においても、特許の取得及び維持に係る費用等について、当社グループの事業の収益により全て回収できる保証はありません。
② 出願特許について
当社は東京大学をはじめとした各大学との共同研究において発見したがん関連遺伝子及び遺伝子産物情報等ならびに医薬品候補物質等または当社が単独で見出した医薬品候補物質等について、2023年3月末現在においては、848件(同一遺伝子等に係る複数の出願を含む)の特許を出願しております。しかしながら、当該特許が全て成立する保証はなく、特許出願によって当社の権利を確実に保全できる保証はありません。
遺伝子関連の特許については、個別の遺伝子特許が及ぶ権利範囲について日米欧の3極の特許庁が合意したガイドライン等は出ているものの、遺伝子を含む天然物関連の特許について新たなガイドライン等を採択する国がある等、複雑な法律上及び審査実務上の問題等が存在しております。また、日本及びその他の国の特許関連法規、あるいは、その解釈により、競合他社、大学あるいはその他の組織が、当社に対して補償等を行うことなく技術を使用し、医薬品等の開発及び販売を行うことができる可能性があります。
③ 知的財産権に関する訴訟およびクレーム等について
本書提出日現在において、当社グループの事業に関連した特許権等の知的財産権について、第三者との間で訴訟やクレームといった問題が発生したという事実はありません。
当社グループは、現時点においては、当社グループの事業に関し他者が保有する特許等への抵触により、事業に重大な支障を及ぼす可能性は低いものと認識しております。
ただし、潜在的なリスクとして、当社グループのような遺伝子関連企業にとって、このような知的財産権侵害問題の発生を完全に回避することは困難であります。今後において、当社グループが第三者との間の法的紛争に巻き込まれた場合、当社グループは弁護士や弁理士との協議の上、その内容によって個別具体的に対応策を検討していく方針でありますが、当該第三者の主張に理由があるなしにかかわらず、解決に時間及び多大の費用を要する可能性があり、場合によっては当社の事業戦略や経営成績に重大な影響を及ぼす可能性があります。
④ 職務発明について
当社グループが職務発明の発明者から特許を受ける権利を譲り受けた場合、当社グループは当該発明者に対して特許法第35条第4項に定める相当の利益を支払わなければなりません。これまでに対価の支払いについて発明者との間で問題が生じたことはありませんが、潜在的なリスクとして、将来的に権利の対価の相当性について紛争が生じる可能性を否定することはできません。これらの紛争により、発明者に追加の対価を支払う事態になった場合は、当社グループの財政状態及び経営成績に重大な影響を及ぼす可能性があります。
(7)バイオ・テクノロジー業界等にかかるリスクについて
① 業界動向について
近年、いわゆる「ヒトゲノム・プロジェクト」以降、バイオ・テクノロジー業界は急速に変化しており、遺伝子構造解析の段階から、遺伝子機能解析を進めることによりゲノム情報を用いた創薬、遺伝子治療、再生医療、がんプレシジョン医療といった分野の段階に進んでおり、ゲノム研究分野は急激な市場規模の拡大が見込まれております。同時に、業界への参入も従来の製薬関連メーカーのみならず、先進医療の材料を狙う繊維メーカー、発酵技術を持つ酒造メーカー、バイオ・インフォマティクス分野での取組みが目立つIT関連企業等、幅広い広がりを見せており、今後においても当該傾向は継続するものと当社は想定しております。
また、当社グループの事業に深い関連を有する抗がん剤市場を取り巻く状況は、高齢化の進行、がん診断による早期発見の増加、分子標的治療薬の登場、及びがんプレシジョン医療の進展等により、市場は拡大しており、当社グループは今後においても同様に市場は拡大するものと想定しております。
この様な市場の拡大は、参入企業の増加、潜在的な競合企業の増加の要因とも考えられ、また、異業種間の連携により技術革新等が飛躍的に進展する可能性もあり、当社グループを取り巻く事業環境は、急激な変化を生じる要素を数多く内包しているものと考えられます。
これらのことから、当該変化に柔軟に対応できなかった場合には、当社グループの事業戦略が予想どおり進まない可能性や事業戦略の変更を余儀なくされる可能性があり、当社グループの業績等に影響を及ぼす可能性があります。また、当社グループの想定通りに市場拡大が図られなかった場合においても、当社グループの事業戦略等は変更を余儀なくされる可能性があります。
② 競合について
当社グループが事業を展開するゲノム研究分野は急激な市場規模の拡大が見込まれており、国内外のベンチャー企業を含む多くの企業が参入しており、競争は激化する可能性があります。遺伝子の機能解析分野においては、競合企業として、製薬企業のみならず他の分野における資金力等を有する企業等もあります。また、がんプレシジョン医療関連事業につきましても、今後の市場拡大を見込み、新規参入企業が増加すると見込まれます。
がん関連遺伝子の単離・同定や機能解析、がん遺伝子の大規模解析検査をはじめとした臨床検査事業については、スピード競争的な要素も強く、競合他社が当該領域において先行した場合、当社グループの事業の優位性は低下する可能性があります。
また、これらの競争に巻き込まれ、当社グループの事業の優位性が低下する可能性、及び当社グループの事業展開において当社グループが想定する以上の資金が必要となる可能性もあります。
当社グループは、現時点において、東京大学医科学研究所との共同研究の成果であるがん遺伝子の高精度で網羅的な解析方法をはじめ、当社グループの研究開発等に優位性があるものと認識しておりますが、今後の競争激化による影響等により、当社グループの事業戦略や経営成績等に重大な影響を及ぼす可能性があります。
③ 技術革新について
当社グループが行う研究分野は、いずれも技術の革新及び進歩の度合いが著しく速いバイオ・テクノロジー分野に属しております。そのため、当社グループは、大学等公的研究機関、医療機関等との共同研究において、最先端の研究成果を速やかに導入できる体制を構築しております。
しかしながら、急激な研究の進歩等により医薬品の研究開発や、がんプレシジョン医療関連事業において有効と思われる研究成果等への対応が困難となった場合には、当社グループの事業展開に重大な悪影響を及ぼす可能性があります。また、必要な研究成果を常に追求するためには多額の費用と時間を要することから、これにより当社グループの業績等に影響を及ぼす可能性があります。
(8)臨床検査事業に係るリスクについて
① 臨床検査事業の法的規制について
当社グループが実施するがん遺伝子の大規模解析検査をはじめとした臨床検査事業は、「臨床検査技師法に関する法律」により衛生検査所が所在する都道府県知事(その所在地が保健所を設置する市又は特別区の区域にある場合においては、市長又は区長)の許可を必要とし、衛生検査所の設備、管理組織等の面において、同法に基づく規制が実施されております。万一、法令違反により、営業停止または取消を受けることとなった場合や法改正等への対応のための事業運営費用の増加により、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
② 検査過誤について
当社グループが実施するがん遺伝子の大規模解析検査をはじめとした臨床検査事業に係る検査過誤を防止するため、事業展開に応じた適切な標準作業書の整備や検査体制の構築に努めており、細心の注意を払い検査業務を行っておりますが、万一、検査過誤等による訴訟等が生じた場合、信用失墜や賠償責任等により当社グループの経営成績や財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
③ 精度管理について
当社グループにおける精度管理は、検査結果の正確性を維持するために最も重要な事項であり、事業展開に応じた適切な精度管理体制の構築に努めるとともに、細心の注意を払い検査業務を行っておりますが、人為的ミスや適正な検査ができない場合は検査精度が低下し、信頼性が損なわれることや検査のやり直し等による納期遅延が発生することにより、当社グループの経営成績や財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。
(9)継続企業の前提に関する重要事象等
当社グループは、研究開発型企業として、医薬品の臨床試験を実施する開発パイプラインの拡充や拡大、積極的な創薬研究、がんプレシジョン医療への積極的な取組み等により、多額の研究開発費が必要となっております。一方で、特に、医薬品の開発期間は基礎研究から上市まで通常10年以上の長期間に及ぶものでもあり、収益に先行して研究開発費が発生している等により、継続的に営業損失及びマイナスの営業キャッシュ・フローが発生しております。
このようなことから、当連結会計年度末において、今後の資金計画を含め、より保守的に検討したところ、当社グループは、当連結会計年度末において、継続企業の前提に重要な疑義を生じさせるような状況が存在しているものの、当連結会計年度末現在で、現金及び預金を1,117百万円有しております。また、2023年3月24日付の当社取締役会において決議いたしました、Long Corridor Alpha Opportunities Master Fund(以下「LCAO」といいます。)及びMAP246 Segregated Portfolio(以下「MAP246」といいます。)を割当先とする第三者割当による新株式並びに第34回新株予約権及び第35回新株予約権の発行に関し、2023年4月10日に発行金額の総額(LCAO 76,760千円)(MAP246 19,190千円)の払込手続が完了しております。当該資金は、当連結会計年度末現在、割当先より受領済みであります。本件に関する概要は、「第5 経理の状況 1連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項(重要な後発事象)」のとおりでございます。当面は事業活動の継続性に懸念はなく、継続企業の前提に関する重要な不確実性は認められないものと判断しております。
(10)重要事象等についての分析・検討内容及び当該重要事象等を解消し、又は改善するための対応策
① 基礎研究の継続的な実施
当社グループは2001年から2013年にかけて元東京大学医科学研究所ヒトゲノム解析センター長(現 国立研究開発法人医薬基盤・健康・栄養研究所理事長、東京大学名誉教授、シカゴ大学名誉教授)中村祐輔教授との共同研究により、ほぼ全てのがんを対象とした網羅的な遺伝子発現解析等を実施し、多くのがん治療薬開発に適した標的分子を同定いたしました。現在、それらの標的に対する創薬研究を積極的に展開し、これら創薬研究の成果を基にした複数の臨床試験を実施中または準備中の医薬品候補物質を多数有しております。
基礎研究の継続的な実施は当社グループ事業の将来にかかる重要課題の一つとして認識しており、今後も当社独自及び共同研究等による研究体制の充実と円滑な推進のための対応を図ってゆく方針であります。
② 創薬研究の確実な推進
当社グループは基礎研究の成果をもとに、臨床応用を目指して低分子医薬、がんペプチドワクチン、抗体医薬等の創薬研究を実施し、ファースト・イン・クラスの創薬を目指します。
③ 臨床開発の確実かつ迅速な推進
当社グループは、「有効性が高く、より副作用の少ないがん治療薬・治療法を一日も早くがんに苦しむ患者さんに届けること、がんとの闘いに勝つこと」を企業使命とし、国内外において、当社グループ独自で複数の臨床試験を行っており、提携先製薬企業とも共同で臨床試験を行っております。当社グループは、非臨床試験データに基づいた適応症の選択を行い、臨床開発を確実かつ迅速に推進させてゆく方針です。
④ 新規提携先の開拓および既存提携先との提携事業の確実な推進
当社グループは、一日も早くがん治療薬を上市することを企業使命とし、今後とも新規提携先を積極的に開拓するとともに、提携先製薬企業との戦略的対話を促進し、提携先が実施する臨床開発の側面支援、後方支援を強化することにより提携事業を確実かつ迅速に進め、一日も早く当社グループの医薬品候補化合物の上市を目指します。
⑤ がんプレシジョン医療関連事業への取組み
がんプレシジョン医療関連事業につきましては、がん細胞の詳細な遺伝子解析サービス(全エクソームシーケンス解析、RNAシーケンス解析、ネオアンチゲン解析等)、血中のがん細胞を早期検出するためのリキッドバイオプシーといったがん遺伝子の大規模解析検査及びTCR/BCRレパトア解析、免疫反応解析等の解析サービスの共同研究及び事業化に加えて、新規がん遺伝子パネル検査の開発やネオアンチゲン樹状細胞療法及びTCR遺伝子導入T細胞療法等の新しい個別化がん免疫療法の研究を進めて参ります。
⑥ 経営環境及び経営者の問題意識と今後の方針について
当社グループの事業に深い関連を有する抗がん剤市場を取り巻く状況は、高齢化の進行、がん診断による早期発見の増加、分子標的治療薬の登場、及びがんプレシジョン医療の進展等により、市場は拡大しており、当社グループは今後においても同様に市場は拡大するものと想定しております。
この様な市場の拡大は、参入企業の増加、潜在的な競合企業の増加の要因とも考えられ、また、異業種間の連携により技術革新等が飛躍的に進展する可能性もあり、当社グループを取り巻く事業環境は、急激な変化を生じる要素を数多く内包しているものと考えられます。このような経営環境のもと、当社グループの事業展開における重要な要素としては、「事業推進のスピード」「事業領域の拡大」「リスクとリターンのバランス」といった3点が挙げられます。
事業推進のスピードにつきましては、医薬品業界、特にバイオテクノロジー業界においては、世界的な新薬開発競争とその新薬開発のための様々な研究開発や技術開発が世界的規模で行われており、当社グループの研究活動もこのスピード競争を勝ち抜き、質の高い研究成果を一日も早く臨床開発へ進展させることが当社の優位性を確保する上で非常に重要であると認識しております。また、今後市場が拡大すると予想するがんプレシジョン医療につきましても、質の高いがん遺伝子の大規模解析検査ならびにがん免疫療法の研究開発をより早く進展させることが非常に重要であると認識しております。
事業領域の拡大につきましては、現在当社グループは、低分子医薬、がんペプチドワクチン、抗体医薬等で創薬研究を展開しており、さらにがんプレシジョン医療への積極的な取組み等により、今後とも、より積極的に事業を拡大していく方針であります。また、臓器線維症治療標的として有望な可能性があるとされるキナーゼを強力かつ選択的に阻害する活性を持つ化合物を当社化合物ライブラリ内で確認したため、ライセンスアウトを目標に研究着手しております。このような事業領域の拡大により、当社グループの研究成果を、より多くの医薬品開発用途へ応用することにより、事業価値を高めたいと考えています。
最後にリスクとリターンのバランスですが、当社グループの最大の強みは、自社で設計した新規の化学構造を有する独自の化合物ライブラリを持つことであり、またがんのみならず数多くのゲノム創薬にもとづく創薬ターゲットを所有していることであります。ただし、それら多数の創薬ターゲットの全てについて、多岐の用途にわたる創薬研究と臨床開発を、当社グループのみの資源と費用で、かつ世界的な競争に打ち勝つスピードで遂行することは、膨大な設備投資と研究開発費を必要とし、資金的なリスクを生じせしめます。当社グループとしては、製薬企業等との積極的な提携契約の締結や研究開発の提携等により、製品化の可能性を極大化しつつ、リスクは経営上合理的なレベルにとどめる方針を現時点では採用しています。本方針により、事業展開からの成果や利益といったリターンをパートナーと共有することにはなりますが、可能性のある製品を商業化できないリスクやスピード競争に負けるリスクを低減することができます。なお、2023年1月1日付で本店ならびに研究開発拠点を移転しており、人員配置を見直しての業務効率化等、あらゆるコストの見直し及び削減を継続して強化してまいります。今後ともリスクとリターンのバランスに十分配慮し、最善と考えられる経営判断を行っていきたいと考えております。
(11)その他のリスク
① 研究活動にかかる補助金等について
当社グループは、自社の研究領域において、公的機関が実施する補助、助成制度を積極的に活用すべく、これら事業等への申請を積極的に実施していく方針でありますが、当社グループが申請する補助事業等について必ずしも採択される保証はありません。
② 為替変動について
当社グループは、日本国内のほか、米国での臨床試験の実施をはじめとした在外企業、大学、研究機関等との共同研究や業務委託取引を積極的に行っております。当社グループは為替変動について、常にその動向を注視し、必要に応じて為替予約等リスク低減手段を一部講じることもありますが、かかる手段は為替変動リスクの全てを回避するものではなく、当社グループの経営成績や財政状態に悪影響を受ける可能性があります。
③ 設備投資について
当社グループの事業領域である、「医薬品の研究及び開発」並びにこれらに関連する事業、およびがんプレシジョン医療関連事業については、技術革新のスピードが速く、当社グループ事業の優位性を確保する目的等で新しい解析装置をはじめとした研究開発及び検査についての設備投資を実施していく方針です。これらの設備投資は多額になる可能性もあり、また、その価値が下落した場合や期待通りの将来キャッシュ・フローが見込めない状況となった場合、減損処理が必要となり、当社グループの経営成績や財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。
④ 法的規制の影響について
当社グループの事業活動は、国内では、「医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律」、「再生医療等の安全性の確保等に関する法律」、「臨床研究法」等、海外ではFDA(米国食品医薬品局)による規制等、治療薬及び治療法の研究開発及びその提供に関係する国内外の法令等の改正や規制強化の影響を受け、当社グループの事業戦略や経営成績等に悪影響を及ぼす可能性があります。また、当社グループは事業活動にあたって、関連法令を十分調査の上法令等を遵守して遂行しておりますが、当社グループが予期せずこれらの関連法令に抵触するなどした場合、当社グループの経営成績や財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。
⑤ インセンティブの付与について
当社は、会社の利益が取締役及び従業員個々の利益と一体となり職務に精励する動機付けを行うため、また、社外のリソースを有効に活用し当社事業の円滑な遂行を図る目的で、当社の役員、従業員及び社外協力者等に対するインセンティブ制度を導入しております。
2023年3月末日現在における、当社の発行済株式総数は192,643,700株でありますが、これに対して、当社の役員、従業員及び社外協力者等に対する新株予約権に係る新株発行予定株数の合計は1,435,000株であります。
当該新株予約権が行使された場合は当社の株式価値は希薄化することとなり、また、株式市場での需給バランスに変動が発生し株価へ影響を及ぼす可能性もあります。
⑥ 自然災害等の発生について
当社グループの各事業所ならびに当社グループが関与する研究ならびに臨床試験を実施または準備している地域において、地震等の大規模な自然災害や新型コロナウイルス感染症(COVID-19)のような感染症が発生し、設備等の損壊やインフラの機能停止等により当社グループの事業活動や臨床試験が停止した場合、当社グループの事業戦略や経営成績等が影響を受ける可能性があります。
⑦ 配当政策について
当社は株主の皆様への利益還元を重要な経営課題の一つとして認識しており、経営成績および財政状態を勘案しつつ利益配当を検討して参りたいと考えております。しかしながら、現時点では将来のがんの治療薬の上市にむけ、基礎研究、創薬研究、ならびに医薬品の開発を継続的に実施する段階にあるため、当面は内部保留に努め、研究開発資金の確保を優先しております。
⑧ 新株予約権(第三者割当)について
当社は、2023年3月24日取締役会決議に基づき、2023年4月10日にLong Corridor Alpha Opportunities Master Fund及びMAP246 Segregated Portfolioを割当先として第三者割当による第34回新株予約権及び第35回新株予約権(行使価額修正条項付)計380,000個(38,000,000株)を発行しました。本新株予約権の行使価額には修正条項が付いており、また行使期間が2023年4月11日から2025年4月10日までの2年間となっていることから、一部については本書提出日現在ですでに行使が実行されておりますが、株式市場の動向によっては計画どおりに資金調達ができない可能性があります。また、当該新株予約権が行使された場合は当社の株式価値が希薄化し、株価に影響を及ぼす可能性があります。
当該新株予約権の詳細につきましては、「第4 提出会社の状況 1株式等の状況 (2)新株予約権等の状況 ③その他の新株予約権等の状況」をご参照ください。
(1)経営成績等の状況の概要
当連結会計年度における当社グループ(当社および連結子会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。
①財政状態及び経営成績の状況
当社グループは、低分子医薬、がんペプチドワクチン、抗体医薬等の創薬研究を進展させるとともに、後期臨床開発を目指したがん幹細胞維持に重要なリン酸化酵素(キナーゼ)であるMELKを標的としたOTS167の臨床試験を米国並びに日本国内で、がん治療用抗体医薬OTSA101の臨床試験を日本国内で実施する等、当社グループ独自で実施している臨床開発の推進に加え、提携先製薬企業との戦略的対話をより促進し、提携先が実施する臨床開発の側面支援、後方支援を強力に推し進めて参りました。さらにはがんプレシジョン医療関連事業として、がん細胞の詳細な遺伝子解析サービス(全エクソームシーケンス解析、RNAシーケンス解析、ネオアンチゲン解析等)、血中のがん細胞を早期検出するためのリキッドバイオプシーといったがん遺伝子の大規模解析検査及びTCR/BCRレパトア解析、免疫反応解析等の解析サービスの共同研究及び事業化を進めて参りました。また、新規がん遺伝子パネル検査の開発やネオアンチゲン樹状細胞療法及びTCR遺伝子導入T細胞療法等の新しい個別化がん免疫療法の研究も行っております。
これらの結果、当連結会計年度の総資産は、1,511百万円(前連結会計年度末比1,173百万円減少)となりました。内訳としては、流動資産は1,422百万円(同 1,178百万円減少)、これは現金及び預金が719百万円減少、売掛金が276百万円減少したことが主な要因となっております。投資その他の資産は89百万円(同 4百万円増加)となりました。
負債の合計は656百万円(前連結会計年度末比48百万円減少)となりました。内訳としては、流動負債は609百万円(同 4百万円増加)となりました。これは、未払金が173百万円減少、契約負債が123百万円増加、預り金が95百万円増加、未払法人税等が67百万円減少したことが主な要因となっております。固定負債は47百万円(同 52百万円減少)となりました。これは、資産除去債務が52百万円減少したことが主な要因となっております。
純資産は、855百万円(前連結会計年度末比1,125百万円減少)となりました。これは、利益剰余金が1,118百万円減少したことが主な要因となっております。
当連結会計年度における連結事業収益につきましては、受託検査サービスによる収入等の受領により、1,134百万円(前期比18百万円の減少)となりました。
また、医薬品候補物質の基礎研究、創薬研究の継続的な実施による研究開発費用の計上に加え、低分子医薬、がんペプチドワクチン、抗体医薬の3つの領域についての臨床開発進展による費用計上、がんプレシジョン医療関連事業に関する研究開発費用の計上を主な要因として、連結営業損失は1,106百万円(前期は2,052百万円の損失)、連結経常損失は1,133百万円(前期は2,071百万円の損失)、親会社株主に帰属する当期純損失は1,118百万円(前期は2,571百万円の損失)となりました。
セグメント別経営成績は、次のとおりであります。
a. 「医薬品の研究及び開発」並びにこれらに関連する事業
提携先製薬企業から契約一時金等の受領により、事業収益は9百万円(前期比2百万円の増加)となりました。また、医薬品候補物質の基礎研究、創薬研究の継続的な実施による研究開発費用の計上に加え、低分子医薬、がんペプチドワクチン、抗体医薬の3つの領域についての臨床開発進展による研究開発費用の計上を主な要因として、営業損失は690百万円(前期は1,635百万円の損失)となりました。
なお、研究開発の状況の詳細につきましては、「第2 事業の状況 6研究開発活動 (2)研究開発活動 (a)「医薬品の研究及び開発」並びにこれらに関連する事業」をご覧ください。
b. がんプレシジョン医療関連事業
受託検査サービスによる収入等の受領により、事業収益は1,125百万円(前期比29百万円の減少)となりました。また、遺伝子解析サービス(全エクソームシーケンス解析、RNAシーケンス解析、ネオアンチゲン解析等)、リキッドバイオプシー、TCR/BCRレパトア解析、免疫反応解析等の解析サービスに関する研究開発費用及び売上原価の計上を主な要因として、営業損失は34百万円(前期は48百万円の損失)となりました。
なお、研究開発の状況の詳細につきましては、「第2 事業の状況 6研究開発活動 (2)研究開発活動 (b)がんプレシジョン医療関連事業」をご覧ください。
②キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、1,117百万円(前連結会計年度比719百万円減少)となりました。
当連結会計年度のキャッシュ・フローの概況は以下のとおりです。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度における営業活動によるキャッシュ・フローは、794百万円の資金の減少(前連結会計年度は2,073百万円の減少)となりました。これは、税金等調整前当期純損失1,116百万円を計上したことが主な要因となっております。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度における投資活動によるキャッシュ・フローは、20百万円の資金の減少(同 467百万円の減少)となりました。これは、主に有形固定資産の取得による支出5百万円、敷金及び保証金の差入による支出5百万円によるものです。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度における財務活動によるキャッシュ・フローは、95百万円の資金の増加(同 1,478百万円の増加)となりました。これは全て預り金の受入による収入によるものです。
③生産、受注及び販売の実績
a.生産実績
当社の業務は、業務の性格上、生産として把握することが困難であるため、記載を省略しております。
b.受注実績
当社の「医薬品の研究及び開発」並びにこれらに関連する事業については、事業の性質上、受注実績の記載になじまないため、当該記載を省略しております。また、がんプレシジョン医療関連事業については、受注から納品までの期間が短いため、受注実績に関する記載を省略しております。
c.販売実績
当連結会計年度の販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
|
セグメントの名称 |
当連結会計年度 (自 2022年4月1日 至 2023年3月31日) |
前年同期比(%) |
|
「医薬品の研究及び開発」並びにこれらに関連する事業(千円) |
9,134 |
27.5 |
|
がんプレシジョン医療関連事業(千円) |
1,125,769 |
△1.8 |
|
合計 |
1,134,903 |
△1.6 |
(注)1 セグメント間の取引については相殺消去しております。
2 主な相手先別の販売実績および当該販売実績の総販売実績に対する割合は、以下のとおりであります。
|
相手先 |
前連結会計年度 (自 2021年4月1日 至 2022年3月31日) |
当連結会計年度 (自 2022年4月1日 至 2023年3月31日) |
||
|
金額(千円) |
割合(%) |
金額(千円) |
割合(%) |
|
|
公益財団法人 がん研究会 |
751,146 |
65.1 |
572,707 |
50.5 |
|
アンジェス株式会社 |
- |
- |
196,868 |
17.3 |
(注)当該割合が100分の10未満については記載を省略しております。
(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。
なお、本項に記載した将来に関する事項は本書提出日現在において判断したものであり、不確実性を内包しており、あるいはリスクを含んでいるため、将来生じる実際の結果と大きく異なる可能性があります。
①重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められる会計基準に基づき作成されております。また、連結財務諸表作成にあたっては、「第5 経理の状況 1連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項 (連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項)」に基づき作成しておりますが、採用する会計基準には、当社グループの判断及び見積りを伴うものが含まれています。連結財務諸表の作成に当たって用いた会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定のうち、重要なものについては、見積りが必要な場合には合理的な方法で算出しております。
②当連結会計年度の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討等
A. 収益面の特徴
a.「医薬品の研究及び開発」並びにこれらに関連する事業
製薬企業との契約により、その対価については、契約一時金、マイルストーンおよびロイヤリティ等を段階的に受領することとしております。契約一時金は、契約時に医薬品の開発・製造・販売権などを付与することで受け取ることができる収益であり、マイルストーンは、契約に基づき、予め設定された研究開発に関する進捗等イベントの達成に応じて受け取ることができる収益であります。契約一時金及びマイルストーンに係る収入については、履行義務が一時点で充足される場合には、開発権・販売権等を付与した時点、又は契約上定められたマイルストーンが達成された時点で契約上の履行義務が充足されたと判断し、当該時点で事業収益として認識しております。ロイヤリティは、医薬品の上市後に販売額の一定料率を受け取ることができる収益であり、その発生時点を考慮して事業収益として認識しております。一般的に医薬品の開発期間は基礎研究開始から上市までに通常10年以上の長期間に及ぶものでもあります。事業収益の発生については、その多くが契約締結先の製薬企業等の研究開発の進捗および医薬品発売・販売の状況等に依存するもので、これらが事業収益として計上されるにはかなりの長期間を要する可能性があり、またこれらの事業収益が計上されない可能性もあります。さらに、製薬企業等との契約締結の可否、契約締結時期および収益の発生時期によって当社グループの業績は大きく変動する傾向にあり、これによる業績の上期または下期への偏重が生じる可能性、または場合によっては決算期ごとの業績変動要因となる可能性があります。
b.がんプレシジョン医療関連事業
がんプレシジョン医療関連事業の収益は、がん細胞の詳細な遺伝子解析サービス(全エクソームシーケンス解析、RNAシーケンス解析、ネオアンチゲン解析等)、血中のがん細胞を早期検出するためのリキッドバイオプシーといったがん遺伝子の大規模解析検査及びTCR/BCRレパトア解析、免疫反応解析等の解析サービスを、医療機関、研究機関および製薬企業等から受託した収益であり、当該財又はサービスの支配が顧客に移転したことにより履行義務が充足される時に認識することとなりますが、当社グループにおける解析サービス等の国内の販売において、出荷時から当該財又はサービスの支配が顧客に移転される時までの期間が通常の期間である場合には、収益認識に関する会計基準の適用指針第98項を適用して出荷時に収益を認識しております。
B. 費用面の特徴
当社グループは研究開発型企業として、当連結会計年度においては研究開発費716百万円を計上しております。
a.「医薬品の研究及び開発」並びにこれらに関連する事業
当社グループは提携先との共同開発に加えて、当社グループ独自での臨床開発に積極的に取り組んでいく方針であります。そのため、今後は、臨床試験を実施する開発パイプラインの進展や拡大、積極的な自社の創薬研究等により、多額の研究開発費が必要となると想定されます。しかしながら、他の製薬企業との契約締結が進まない場合や既存の提携先との契約解消等が生じた場合は、当社グループの業績の圧迫要因として業績に悪影響が生じる可能性があります。
b.がんプレシジョン医療関連事業
がんプレシジョン医療関連事業においては、医療機関、研究機関および製薬企業等から受託または受託する予定の、がん細胞の詳細な遺伝子解析サービス(全エクソームシーケンス解析、RNAシーケンス解析、ネオアンチゲン解析等)、血中のがん細胞を早期検出するためのリキッドバイオプシーといったがん遺伝子の大規模解析検査及びTCR/BCRレパトア解析、免疫反応解析等の解析サービスについて受託件数増加に伴う費用の増加のほか、これらサービスに関連する共同研究及び事業化や、新規がん遺伝子パネル検査の開発、ネオアンチゲン樹状細胞療法及びTCR導入T細胞療法等の新しい個別化免疫療法の研究も行っており今後も継続的に研究開発費が必要となると想定されます。
(当社グループの当連結会計年度の経営成績等)
「第2 事業の状況 4経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1)経営成績等の状況の概要」に記載のとおりとなっております。
(当社グループの経営成績に重要な影響を与える要因)
「第2 事業の状況 3事業等のリスク」に記載のとおりとなっております。
(当社グループの資本の財源及び資金の流動性)
当連結会計年度におけるキャッシュ・フローの状況は、「第2 事業の状況 4経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1) 経営成績等の状況の概要 ②キャッシュ・フローの状況」に記載のとおりとなっております。また、キャッシュ・フロー関連指標の推移は、次のとおりとなっております。
(参考)キャッシュ・フロー関連指標の推移
|
|
2019年3月期 |
2020年3月期 |
2021年3月期 |
2022年3月期 |
2023年3月期 |
|
自己資本比率(%) |
85.6 |
89.5 |
88.8 |
70.6 |
51.5 |
|
時価ベースの自己資本比率 (%) |
381.2 |
214.9 |
643.9 |
495.0 |
599.0 |
|
キャッシュ・フロー対有利子負債比率(%) |
- |
- |
- |
- |
- |
|
インタレスト・カバレッジ・レシオ(倍) |
- |
- |
- |
- |
- |
自己資本比率:自己資本/総資産
時価ベースの自己資本比率:株式時価総額/総資産
キャッシュ・フロー対有利子負債比率:有利子負債/キャッシュ・フロー
インタレスト・カバレッジ・レシオ:キャッシュ・フロー/利払い
(注1)いずれも連結ベースの財務数値により計算しています。
(注2)株式時価総額は自己株式を除く発行済株式数をベースに計算しています。
(注3)キャッシュ・フローは、営業キャッシュ・フローを利用しています。
(注4)有利子負債は連結貸借対照表に計上されている負債のうち利子を支払っている全ての負債を対象としています。
(注5)「キャッシュ・フロー対有利子負債比率」、「インタレスト・カバレッジ・レシオ」については有利子負債がないため記載しておりません。
当社グループが現在計画している資金計画については、主として、資金を創薬研究領域ならびに医薬開発領域における研究開発費とがんプレシジョン医療関連事業における経費及び研究開発費、具体的には外注費及び人件費をはじめとした研究開発資金と経費、その他研究・検査に係るラボや解析検査設備等の設備資金に充当する方針であり、具体的な資金需要の発生までは、安全性の高い金融商品で運用していく計画であります。バイオ・テクノロジー業界等の当社グループを取り巻く外部環境については変化が速いことや、新規参入等により当社グループの事業環境に劇的な変動が生じる可能性があること等から、当社の経営判断として資金について、上記の対象以外に振り向けられる可能性も否定できません。また、当社グループ事業の性質上、研究開発資金等の多額な資金を必要とするものでありますが、急速な成長、技術変化、市場の発展等環境の変化に伴い、当社は新たな戦略を実行し、その事業を展開するための必要資金は、現時点における想定以上に拡大する可能性があります。
(経営方針・経営戦略、経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等)
「第2 事業の状況 1経営方針、経営環境及び対処すべき課題等 (2)経営戦略及び経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等」に記載のとおりとなっております。当連結会計年度の達成状況につきまして、連結事業収益につきましては、受託検査サービスによる収入等の受領により、1,134百万円(前期比18百万円の減少)となりました。また、研究開発費については、716百万円となりました。当期の経営成績ならびに研究開発活動の詳細につきましては「第2 事業の状況 4経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1)経営成績等の状況の概要」ならびに「第2 事業の状況 6研究開発活動 (2)研究開発活動」をご覧ください。
当連結会計年度における、当社グループの経営上の重要な契約は以下のとおりであります。
(1)技術導入
① 特許を受ける権利譲渡契約
当社は、当社の低分子医薬分野、抗体医薬分野、がんワクチン分野および診断薬および研究用試薬分野の事業化に必要な特許に関し、東京大学医科学研究所に所属する複数の研究者より特許を受ける権利を譲り受けております。なお、契約の概要は、以下のとおりであります。
|
契約会社名 |
主な契約内容 |
|
東京大学医科学研究所に所属する複数の研究者 |
当社は譲渡の対価として、上記特許を受ける権利に係る発明を第三者に実施させ、当該第三者から収受したロイヤルティーの一定割合を譲渡人に支払う。 |
② 特許を受ける権利譲渡契約
当社は、当社の低分子医薬分野、抗体医薬分野、がんワクチン分野および診断薬および研究用試薬分野の事業化に必要な特許に関し、国立大学法人東京大学より特許を受ける権利を譲り受けております。なお、契約の概要は、以下のとおりであります。
|
契約会社名 |
主な契約内容 |
|
国立大学法人東京大学 |
当社は譲渡の対価として、一定額の契約一時金を支払う。 上記特許を受ける権利に係る発明を当社が使用して得た収入の一定額を支払う。 当社が上記特許を受ける権利を第三者に実施させ、当該第三者から収受した実施料の一定割合を譲渡人に支払う。 |
(2)技術導出
① 契約
当社は、塩野義製薬株式会社との間で、治療用ペプチドワクチンによる治療薬に関して、独占的な開発・製造・販売権を提供する旨の契約ならびに、より有効なペプチドワクチンの探索研究を共同で行う契約を締結しております。なお、契約の概要は、以下のとおりであります。
|
契約会社名 |
主な契約内容 |
|
塩野義製薬株式会社 |
① ペプチドワクチン研究開発の継続的な発展を目的とし、当社は、全疾患を対象とした適応拡大と、オンコアンチゲン由来の当社が権利を保有するペプチドワクチンを複数個含有したペプチドカクテルワクチンを有効成分とする医薬品開発・製造・販売権を塩野義製薬株式会社に独占的に許諾する。 ② 塩野義製薬株式会社は、当社に対し、一定額の一時金を支払い、また一定の条件を満たす場合、それぞれ一定額のマイルストーンを支払う。 ③ 当社は塩野義製薬株式会社の開発の協力要請に合意した場合には、科学的見地からの専門的助言や説明、その他の協力や支援をする。 ④ 塩野義製薬株式会社は、当社に対し、治療薬の正味販売高に応じて、当該治療薬の上市後特定の条件を満たす期間、一定率のロイヤルティを支払う。 ⑤ より有効なペプチドワクチンの探索研究を共同で行う。 ⑥ 当社はS-588410の食道がんに対する第Ⅲ相臨床試験費用の一部を負担する。 |
|
塩野義製薬株式会社 |
① 当社と塩野義製薬株式会社は、ペプチドワクチンの迅速かつ確実な創薬化をめざし、より有効なペプチドワクチンの探索研究を共同で行う。 ② 塩野義製薬株式会社は、当社に対し、研究経費を支払う。 |
② 契約
|
契約会社名 |
主な契約内容 |
|
イムナス・ファーマ株式会社 |
① 当社は、当社が保有するあるがん特異的膜蛋白に結合するがん治療用ヒト抗体の全世界における開発・製造・販売に関する独占的な権利をイムナス・ファーマ株式会社に許諾する。 ② イムナス・ファーマ株式会社は、一定額の契約一時金を当社に支払う。 ③ イムナス・ファーマ株式会社は、当該がん治療用抗体に基づいて得られた収益については、その一定率を当社へ支払う。 ④ イムナス・ファーマ株式会社が、当該がん治療用抗体の販売を行った場合、正味販売高に応じて、上市後特定の条件を満たす期間、一定率のロイヤルティを当社へ支払う。 |
|
イムナス・ファーマ株式会社 |
① 当社は、当社が保有するがん治療用抗体の内、当社が第三者に許諾した権利以外のがん治療用抗体について優先選択権を付与する。 ② 当社は、イムナス・ファーマ株式会社が選択したがん治療用抗体について抗体医薬としての全世界における開発、製造、販売の権利を同社に許諾する。 ③ イムナス・ファーマ株式会社は、一定額の契約一時金を当社に支払う。 ④ イムナス・ファーマ株式会社は、候補抗体選択時に一定の金額を支払う。 ⑤ イムナス・ファーマ株式会社は、当該がん治療用抗体に基づいて得られた収益については、その一定率を当社へ支払う。 ⑥ イムナス・ファーマ株式会社が、当該がん治療用抗体の販売を行った場合、正味販売高に応じて、上市後特定の条件を満たす期間、一定率のロイヤルティを当社へ支払う。 |
(3)委受託契約
当社連結子会社である株式会社Cancer Precision Medicineはコスモ・バイオ株式会社とペプチド合成委受託契約締結を締結しております。
なお、契約の概要は以下のとおりであります。
|
契約会社名 |
主な契約内容 |
|
コスモ・バイオ株式会社 |
がん免疫療法のためのペプチド合成に関する委受託基本契約。 CPM社のネオアンチゲン解析により得られた結果に基づき、ペプチド合成をコスモ・バイオ株式会社に委託し、CPM社に納品する。 CPM社は医療機関ならびに研究機関に提供するサービスを付加したものを、パッケージ化して提供する。 |
(4)第三者割当による新株式並びに第34回新株予約権及び第35回新株予約権(行使価額修正条項付)の発行
当社は、2023年3月24日付の当社取締役会において、第三者割当による新株式並びに第34回新株予約権及び第35回新株予約権(行使価額修正条項付)の発行を決議し、2023年4月10日に当該新株式並びに新株予約権の引き受けにかかる契約を締結しております。詳細につきましては、「第5 経理の状況 1連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項(重要な後発事象)」をご参照ください。
(1)提出会社
該当事項はありません。
なお、提出会社の事業所である本社は賃借物件であり、その概要は次のとおりであります。
|
(事業所名) |
(所在地) |
年間賃借料 (千円) |
(床面積) |
(賃借先) |
|
本社 |
神奈川県川崎市川崎区 |
7,986 |
176.03㎡ |
いちごオフィスリート投資法人 |
(2)国内子会社
|
事業所名 (所在地) |
セグメントの名称 |
設備の内容 |
帳簿価額(千円) |
従業員数 (名) |
|||
|
建物 |
機械及び装置 |
工具、器具及び備品 |
合計 |
||||
|
イムナス・ファーマ株式会社 本社 (神奈川県川崎市川崎区) |
「医薬品の研究及び開発」並びにこれらに関連する事業 |
研究施設 |
- |
- |
- |
- |
0 |
|
株式会社Cancer Precision Medicine クリニカルラボ (神奈川県川崎市川崎区) |
がんプレシジョン医療関連事業 |
研究施設 |
- |
- |
- |
- |
29 |
|
株式会社Cancer Precision Medicine 有明サテライトラボ (東京都江東区有明) |
がんプレシジョン医療関連事業 |
研究施設 |
- |
- |
- |
- |
3 |
|
合計 |
- |
- |
- |
- |
32 |
||
(注)本社等の建物を賃借しており、年間賃借料は44,447千円であります。
(3)在外子会社
該当事項はありません。
|
種類 |
発行可能株式総数(株) |
|
普通株式 |
385,000,000 |
|
計 |
385,000,000 |
|
種類 |
事業年度末現在発行数 (株) (2023年3月31日) |
提出日現在発行数 (株) (2023年6月27日) |
上場金融商品取引所名又は登録認可金融商品取引業協会名 |
内容 |
|
|
|
|
東京証券取引所 グロース |
|
|
計 |
|
|
- |
- |
(注) 提出日現在の発行数には、2023年6月1日からこの有価証券報告書提出日までの新株予約権の行使により発行された株式数は、含まれておりません。
|
決議年月日 |
2020年6月24日 |
|
付与対象者の区分及び人数(名) |
①取締役 6 監査役 3 従業員 66 ②社外協力者 1 |
|
新株予約権の数(個)※ |
① 13,350 [13,250] ② 1,000 (注)1、5 |
|
新株予約権の目的となる株式の種類、内容及び数(株)※ |
①普通株式 1,335,000 [1,325,000] ②普通株式 100,000 (注)1、5 |
|
新株予約権の行使時の払込金額(円)※ |
119 |
|
新株予約権の行使期間※ |
①2023年6月16日 ~2031年6月10日 ②2023年6月16日 ~2031年6月10日 |
|
新株予約権の行使により株式を発行する場合の株式の発行価格及び資本組入額(円)※ |
発行価格 119 資本組入額 60 (注)3、4 |
|
新株予約権の行使の条件※ |
本新株予約権者は、権利行使時において、当社または当社の関係会社の取締役、監査役もしくは従業員(顧問、相談役含む。)の地位を有している、また社外協力者については当社への協力関係を維持していることを要す。ただし、当該地位の喪失又は当該協力関係の解消の前に、取締役会により特例として権利行使を認める旨の承認のなされた場合はこの限りでない。(注)2 |
|
新株予約権の譲渡に関する事項※ |
権利の譲渡または担保権の設定はできない。(注)2 |
|
組織再編成行為に伴う新株予約権の交付に関する事項※ |
(注)5 |
※ 当事業年度の末日(2023年3月31日)における内容を記載しております。当事業年度の末日から提出日の前月末現在(2023年5月31日)にかけて変更された事項については、提出日の前月末現在における内容を[ ]内に記載しており、その他の事項については当事業年度の末日における内容から変更はありません。
(注)1 新株予約権1個につき目的となる株式数は、100株であります。
2 上記のほか、細目については定時株主総会決議および取締役会決議に基づき当社と付与対象者との間で締結する「新株予約権割当契約書」に定めております。
3 新株予約権の行使に際してする出資の目的は金銭とし、その価額は、新株予約権の行使に関して払込をすべき1株当りの金額(以下「行使価額」という。)に各新株予約権の目的である株式の数を乗じた価額とする。なお、当社が、当社普通株式につき、株式分割または株式併合を行う場合、上記の行使価額は、株式分割または株式併合の比率に応じ、次の算式により調整されるものとし、調整により生じる1円未満の端数は切り上げる。
|
調整後行使価額 |
= |
調整前行使価額 |
× |
1 |
|
分割・併合の比率 |
また、当社が時価を下回る価額で当社普通株式につき、新株式の発行または自己株式の処分を行う場合(会社法第194条の規定(単元未満株式による単元未満株式売渡請求。)に基づく自己株式の売渡し、当社普通株式に転換される証券もしくは転換できる証券または当社普通株式の交付を請求できる新株予約権(新株予約権付社債に付されたものを含む。)の転換または行使の場合を除く。)、上記の行使価額は、次の算式により調整されるものとし、調整により生じる1円未満の端数は切り上げる。
|
|
|
|
|
既発行株式数 |
+ |
新株発行株式数 × 1株当たり払込金額 |
|
調整後行使価額 |
= |
調整前行使価額 |
× |
新規発行前の株価 |
||
|
既発行株式数+新規発行による増加株式数 |
||||||
上記算式において「既発行株式数」とは当社の発行済普通株式総数から当社が保有する普通株式に係る自己株式数を控除した数とし、また、自己株式の処分を行う場合には「新規発行株式数」を「処分する自己株式数」に読み替える。さらに、当社が合併等を行う場合、株式の無償割当を行う場合、その他上記の行使価額の調整を必要とする場合には、合併等の条件、株式の無償割当の条件等を勘案のうえ、合理的な範囲内で行使価額を調整することができる。
4 新株予約権の行使により株式を発行する場合における増加する資本金の額は、会社計算規則第17条第1項の規定に従い算出される資本金等増加限度額に2分の1を乗じて得た額とし、計算の結果生じる1円未満の端数は、これを切り上げるものとする。
5 組織再編行為時の取扱い
当社が、合併(当社が合併により消滅する場合に限る。)、吸収分割、新設分割、株式交換または株式移転(以上を総称して以下、「組織再編行為」という。)をする場合において、組織再編行為の効力発生日において残存する新株予約権(以下、「残存新株予約権」という。)の新株予約権者に対し、それぞれの場合につき、会社法第236条第1項第8号イからホまでに掲げる株式会社(以下、「再編対象会社」という。)の新株予約権を以下の条件に基づきそれぞれ交付することとする。この場合においては、残存新株予約権は消滅し、再編対象会社は新株予約権を新たに発行するものとする。ただし、以下の条件に沿って再編対象会社の新株予約権を交付する旨を合併契約、吸収分割契約、新設分割計画、株式交換契約又は株式移転計画において定めた場合に限るものとする。
(1)交付する再編対象会社の新株予約権の数
残存する新株予約権の新株予約権者が保有する新株予約権の数と同一の数をそれぞれ交付するものとする。
(2)新株予約権の目的である再編対象会社の株式の種類
再編対象会社の普通株式とする。
(3)新株予約権の目的である再編対象会社の株式の数
組織再編行為の条件等を勘案の上、決定する。
(4)新株予約権の行使に際して出資される財産の価額
交付される各新株予約権の行使に際して出資される財産の価額は、組織再編行為の条件等を勘案の上、上記3で定められる行使価額を調整して得られる調整後行使金額に上記(3)に従って決定される当該新株予約権の目的である再編対象会社の株式の数を乗じて得られる額とする。
(5)新株予約権を行使することができる期間
新株予約権を行使することができる期間の初日と組織再編行為の効力発生日のうちいずれか遅い日から新株予約権を行使することができる期間の末日までとする。
(6)新株予約権の行使により株式を発行する場合における増加する資本金及び資本準備金に関する事項
組織再編行為の条件等を勘案の上、決定する。
(7)譲渡による新株予約権の取得の制限
譲渡による新株予約権の取得については、再編対象会社の取締役会の決議による承認を要するものとする。
(8)新株予約権の取得事由及び条件
(注)6の新株予約権の取得条項に準じて決定する。
6 新株予約権の取得条項
(1)当社は、新株予約権者が上記新株予約権の行使の条件に該当しなくなった場合は、当該新株予約権を無償で取得することができる。
(2)当社は、当社が消滅会社となる合併契約書承認の議案が当社株主総会で承認された場合、又は、当社が完全子会社となる株式交換契約書承認の議案若しくは株式移転計画承認の議案が当社株主総会で承認された場合は、当社は新株予約権を無償で取得することができる。
該当事項はありません。
|
年月日 |
発行済株式総数増減数 (株) |
発行済株式総数残高(株) |
資本金増減額 (千円) |
資本金残高 (千円) |
資本準備金増減額(千円) |
資本準備金残高(千円) |
|
2018年4月1日~ 2019年3月31日 (注)1 |
4,525,400 |
151,557,400 |
277,906 |
328,362 |
277,906 |
12,378,702 |
|
2019年4月1日~ 2020年3月31日 (注)1 |
24,774,600 |
176,332,000 |
1,092,124 |
1,420,486 |
1,092,124 |
13,470,827 |
|
2020年4月1日~ 2021年3月31日 (注)2 |
― |
176,332,000 |
△1,370,486 |
50,000 |
― |
13,470,827 |
|
2021年4月1日~ 2022年3月31日 (注)1 |
16,311,700 |
192,643,700 |
739,114 |
789,114 |
739,114 |
14,209,941 |
(注)1.行使価額修正条項付新株予約権の権利行使による増加であります。
2.資本金の額の減少は、2020年6月24日開催の定時株主総会決議に基づき2020年8月31日付で1,370,486,860円をその他資本剰余金に振り替えたことによる減少であります。
3.2023年4月1日から2023年5月31日までの間に、新株式の発行及び新株予約権の行使により、発行済株式総数が14,000,000株、資本金及び資本準備金がそれぞれ235,200千円増加しております。
|
|
|
|
|
|
|
|
2023年3月31日現在 |
||
|
区分 |
株式の状況(1単元の株式数 |
単元未満株式の状況(株) |
|||||||
|
政府及び地方公共団体 |
金融機関 |
金融商品取引業者 |
その他の法人 |
外国法人等 |
個人その他 |
計 |
|||
|
個人以外 |
個人 |
||||||||
|
株主数(人) |
|
|
|
|
|
|
|
|
- |
|
所有株式数 (単元) |
|
|
|
|
|
|
|
|
|
|
所有株式数の割合(%) |
|
|
|
|
|
|
|
100.0 |
- |
|
|
|
2023年3月31日現在 |
|
|
氏名又は名称 |
住所 |
所有株式数 (株) |
発行済株式(自己株式を除く。)の総数に対する所有株式数の割合(%) |
|
|
|
|
|
|
特定有価証券信託受託者 株式会社SMBC信託銀行 |
|
|
|
|
|
|
|
|
|
|
|
|
|
|
|
|
|
|
|
|
|
|
|
|
|
|
|
|
|
|
|
|
|
|
|
|
|
|
|
|
|
|
|
|
計 |
- |
|
|
|
|
|
(単位:千円) |
|
|
前連結会計年度 (2022年3月31日) |
当連結会計年度 (2023年3月31日) |
|
資産の部 |
|
|
|
流動資産 |
|
|
|
現金及び預金 |
|
|
|
売掛金 |
|
|
|
仕掛品 |
|
|
|
原材料及び貯蔵品 |
|
|
|
前渡金 |
|
|
|
その他 |
|
|
|
流動資産合計 |
|
|
|
固定資産 |
|
|
|
有形固定資産 |
|
|
|
建物 |
|
|
|
減価償却累計額及び減損損失累計額 |
△ |
△ |
|
建物(純額) |
|
|
|
機械及び装置 |
|
|
|
減価償却累計額及び減損損失累計額 |
△ |
△ |
|
機械及び装置(純額) |
|
|
|
工具、器具及び備品 |
|
|
|
減価償却累計額及び減損損失累計額 |
△ |
△ |
|
工具、器具及び備品(純額) |
|
|
|
有形固定資産合計 |
|
|
|
投資その他の資産 |
|
|
|
差入保証金 |
|
|
|
投資その他の資産合計 |
|
|
|
固定資産合計 |
|
|
|
資産合計 |
|
|
|
|
|
(単位:千円) |
|
|
前連結会計年度 (2022年3月31日) |
当連結会計年度 (2023年3月31日) |
|
負債の部 |
|
|
|
流動負債 |
|
|
|
未払金 |
|
|
|
契約負債 |
|
|
|
未払法人税等 |
|
|
|
預り金 |
|
|
|
その他 |
|
|
|
流動負債合計 |
|
|
|
固定負債 |
|
|
|
繰延税金負債 |
|
|
|
資産除去債務 |
|
|
|
固定負債合計 |
|
|
|
負債合計 |
|
|
|
純資産の部 |
|
|
|
株主資本 |
|
|
|
資本金 |
|
|
|
資本剰余金 |
|
|
|
利益剰余金 |
△ |
△ |
|
株主資本合計 |
|
|
|
新株予約権 |
|
|
|
純資産合計 |
|
|
|
負債純資産合計 |
|
|
|
|
|
(単位:千円) |
|
|
前連結会計年度 (自 2021年4月1日 至 2022年3月31日) |
当連結会計年度 (自 2022年4月1日 至 2023年3月31日) |
|
事業収益 |
|
|
|
事業費用 |
|
|
|
売上原価 |
|
|
|
研究開発費 |
|
|
|
販売費及び一般管理費 |
|
|
|
事業費用合計 |
|
|
|
営業損失(△) |
△ |
△ |
|
営業外収益 |
|
|
|
受取利息 |
|
|
|
助成金収入 |
|
|
|
還付加算金 |
|
|
|
その他 |
|
|
|
営業外収益合計 |
|
|
|
営業外費用 |
|
|
|
移転費用 |
|
|
|
株式交付費 |
|
|
|
為替差損 |
|
|
|
営業外費用合計 |
|
|
|
経常損失(△) |
△ |
△ |
|
特別利益 |
|
|
|
固定資産売却益 |
|
|
|
新株予約権戻入益 |
|
|
|
特別利益合計 |
|
|
|
特別損失 |
|
|
|
減損損失 |
|
|
|
特別損失合計 |
|
|
|
税金等調整前当期純損失(△) |
△ |
△ |
|
法人税、住民税及び事業税 |
|
|
|
法人税等調整額 |
△ |
△ |
|
法人税等合計 |
|
|
|
当期純損失(△) |
△ |
△ |
|
親会社株主に帰属する当期純損失(△) |
△ |
△ |
1.報告セグメントの概要
当社グループの報告セグメントは、当社グループの構成単位のうち分離された財務諸表が入手可能であり、取締役会が経営資源の配分の決定及び業績を評価するために定期的に検討を行う対象となっているものであります。
当社グループの報告セグメントは、「「医薬品の研究及び開発」並びにこれらに関連する事業」と「がんプレシジョン医療関連事業」の2つを報告セグメントとしております。
「「医薬品の研究及び開発」並びにこれらに関連する事業」は、低分子医薬、がんペプチドワクチン、抗体医薬等の、各領域における創薬研究及び創薬研究の成果を基にした臨床試験を、当社独自にまた、提携先製薬企業において実施しております。
「がんプレシジョン医療関連事業」は、がん細胞の詳細な遺伝子解析サービス(全エクソームシーケンス解析、RNAシーケンス解析、ネオアンチゲン解析等)、血中のがん細胞を早期検出するためのリキッドバイオプシーといったがん遺伝子の大規模解析検査及びTCR/BCRレパトア解析、免疫反応解析サービス等の解析サービスに加えて、ネオアンチゲンワクチン療法やTCR導入細胞療法等の個別化がん免疫療法の研究開発を行っております。
|
|
|
(単位:千円) |
|
|
前事業年度 (2022年3月31日) |
当事業年度 (2023年3月31日) |
|
資産の部 |
|
|
|
流動資産 |
|
|
|
現金及び預金 |
|
|
|
売掛金 |
|
|
|
原材料及び貯蔵品 |
|
|
|
前渡金 |
|
|
|
前払費用 |
|
|
|
関係会社短期貸付金 |
|
|
|
未収還付法人税等 |
|
|
|
未収消費税等 |
|
|
|
その他 |
|
|
|
流動資産合計 |
|
|
|
固定資産 |
|
|
|
投資その他の資産 |
|
|
|
関係会社株式 |
|
|
|
関係会社長期貸付金 |
|
|
|
差入保証金 |
|
|
|
貸倒引当金 |
△ |
△ |
|
投資その他の資産合計 |
|
|
|
固定資産合計 |
|
|
|
資産合計 |
|
|
|
|
|
(単位:千円) |
|
|
前事業年度 (2022年3月31日) |
当事業年度 (2023年3月31日) |
|
負債の部 |
|
|
|
流動負債 |
|
|
|
未払金 |
|
|
|
未払費用 |
|
|
|
未払法人税等 |
|
|
|
預り金 |
|
|
|
その他 |
|
|
|
流動負債合計 |
|
|
|
固定負債 |
|
|
|
繰延税金負債 |
|
|
|
資産除去債務 |
|
|
|
長期預り金 |
|
|
|
固定負債合計 |
|
|
|
負債合計 |
|
|
|
純資産の部 |
|
|
|
株主資本 |
|
|
|
資本金 |
|
|
|
資本剰余金 |
|
|
|
資本準備金 |
|
|
|
その他資本剰余金 |
|
|
|
資本剰余金合計 |
|
|
|
利益剰余金 |
|
|
|
その他利益剰余金 |
|
|
|
圧縮記帳積立金 |
|
|
|
繰越利益剰余金 |
△ |
△ |
|
利益剰余金合計 |
△ |
△ |
|
株主資本合計 |
|
|
|
新株予約権 |
|
|
|
純資産合計 |
|
|
|
負債純資産合計 |
|
|
|
|
|
(単位:千円) |
|
|
前事業年度 (自 2021年4月1日 至 2022年3月31日) |
当事業年度 (自 2022年4月1日 至 2023年3月31日) |
|
事業収益 |
|
|
|
事業費用 |
|
|
|
研究開発費 |
|
|
|
販売費及び一般管理費 |
|
|
|
事業費用合計 |
|
|
|
営業損失(△) |
△ |
△ |
|
営業外収益 |
|
|
|
受取利息 |
|
|
|
助成金収入 |
|
|
|
業務受託料 |
|
|
|
還付加算金 |
|
|
|
その他 |
|
|
|
営業外収益合計 |
|
|
|
営業外費用 |
|
|
|
移転費用 |
|
|
|
株式交付費 |
|
|
|
為替差損 |
|
|
|
営業外費用合計 |
|
|
|
経常損失(△) |
△ |
△ |
|
特別利益 |
|
|
|
固定資産売却益 |
|
|
|
新株予約権戻入益 |
|
|
|
特別利益合計 |
|
|
|
特別損失 |
|
|
|
減損損失 |
|
|
|
貸倒引当金繰入額 |
|
|
|
特別損失合計 |
|
|
|
税引前当期純損失(△) |
△ |
△ |
|
法人税、住民税及び事業税 |
|
|
|
法人税等調整額 |
△ |
△ |
|
法人税等合計 |
△ |
|
|
当期純損失(△) |
△ |
△ |