株式会社マクロミル
(注) 1.上記指標は、国際会計基準(以下、「IFRS」という。)により作成しています。
2.売上収益には、消費税等は含まれていません。
3.第7期の株価収益率については、親会社の所有者に帰属する当期損失のため、記載していません。
4.臨時雇用者数は、パートタイマーの従業員のみであり、派遣社員は除いています。
5.2023年6月に当社が保有するSiebold Intermediate B.V.の全株式を売却することを決定したため、2023年6月期において、同社及び同社の子会社の事業を非継続事業に分類しています。これに伴い、前連結会計年度の売上収益、営業利益及び税引前利益について、非継続事業を除いた継続事業の金額に組替えています。非継続事業に分類された売上収益及び税引前利益の金額については「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1) 連結財務諸表 連結財務諸表注記10.非継続事業」をご参照ください。
(注) 1.売上高には、消費税等は含まれていません。
2.第7期及び第10期の潜在株式調整後1株当たり当期純利益については、当期純損失のため記載していません。
3.第7期及び第10期の自己資本利益率については、当期純損失のため記載していません。
4.第7期及び第10期の株価収益率については、当期純損失のため記載していません。
5.臨時雇用者数は、パートタイマーの従業員のみであり、派遣社員は除いています。
6.第7期及び第10期の配当性向については当期純損失のため記載していません。
7.最高株価及び最低株価は、2022年4月3日以前は東京証券取引所の市場第一部におけるものであり、2022年4月4日以降は東京証券取引所のプライム市場におけるものであります。
(はじめに)に記載のとおり、当社(実質的な事業運営主体)は2000年1月31日にインターネットを利用したマーケティング・リサーチ会社として設立された株式会社マクロミル・ドット・コム((旧)マクロミル①)を前身とし、2013年11月に設立された株式会社BCJ-11(形式上の存続会社)が、2016年6月30日に(旧)マクロミル①を前身とする(旧)マクロミル②を吸収合併する形で、その事業を承継しています。そこで、以下では(旧)マクロミル①の設立から、現在に至る当社の沿革を記載しています。
当社グループは、当社、連結子会社18社及び関連会社5社により構成されております。
当社グループは2023年第3四半期まで、企業集団を基礎とした地域別のセグメントから構成された「日本及び韓国事業」セグメントと、「その他の海外事業」セグメントの2つを報告セグメントとしてきましたが、「その他の海外事業」セグメントを構成するMetrixLabグループを売却したことに伴い、2023年6月期第4四半期より当該事業は非継続事業として分類しています。
①「その他の海外事業」セグメントの売却について
当社グループが主な事業を営むマーケティングリサーチの市場は、従来の「リサーチ業界」から、デジタルデータ分析やコンサルティング領域を含む「インサイト産業」へと大きな転換期を迎えています。
こうした状況下、当社グループにおいても事業モデルの変革を推進しており、その変革は日本及びアジア市場を中心に進めてきました。一方、技術変化が早い欧米を中心としたグローバル市場において事業展開し、「その他の海外事業」セグメントを構成していたMetrixLabグループにおいても、同様の変革が必要不可欠だと考えていました。こうした中、グローバルなリサーチパネル及び先進的なリサーチプラットフォーム提供事業者であるToluna Holdings Limited社と、MetrixLabグループとの経営統合を行うことが、インサイト産業へと変革を遂げる市場環境の変化にいち早く対応することができ、より競争優位性及び成長力に繋がると判断しました。
このため、「その他の海外事業」セグメントを構成するMetrixLabグループの株式を保有する当社の子会社Siebold Intermediate B.V.社の全株式を、Toluna Holdings Limited社に譲渡しました。この取引の結果、2023年6月期第4四半期より、当社グループから「その他の海外事業」セグメントが除外されることとなりました。
②「日本及び韓国事業」セグメントについて
日本においては当社並びに広告代理店との合弁事業である株式会社電通マクロミルインサイト及び株式会社H.M.マーケティングリサーチ等の子会社で構成され、当社が独自開発した自動インターネットリサーチシステム(AIRs:Automatic Internet Research system)を利用することによるオンラインリサーチ(提供サービス:QuickMill、OrderMill等)、定性調査、データベース提供、デジタルマーケティング(注1)を主なサービスとして提供しています。
韓国においては、Macromill Embrain Co.,Ltd.とその子会社で構成されており、インターネットによる消費者インサイト(注2)ベースのオンラインマーケティングリサーチ、定性調査、デジタルマーケティングを主なサービスとして提供しています。
マーケティングリサーチとは、企業や公共機関が、消費者が本当に望んでいるもの、本当に魅力を感じるものを作るための情報(消費者インサイト)を科学的に集め、分析し、商品企画や販売戦略等に反映させる手法です。
マーケティングリサーチ市場における一般的な市場調査は、郵送・電話・座談会等で消費者の意見を聴取する手法(オフラインリサーチ)と、インターネットを活用してパネル(注3)と質問・回答のやりとりを行う手法(オンラインリサーチ)に大別されますが、当社は日本において他社に先駆けてオンラインリサーチ事業を開始し、日本のオンラインリサーチ市場においてNo.1の市場シェア(注4)を有しています。
当社グループは、「Build your Data Culture ~ 私たちは、データネイティブな発想でお客様のマーケティング課題を解決し、ビジネスに成功をもたらすData Culture構築の原動力となることを目指します。」というグループビジョンを掲げ、このビジョンの下で特に日本事業においては、顧客企業のリサーチ課題に留まらず、より上流からマーケティング課題全体の解決を支援するため、「総合マーケティング支援企業」へと事業モデルの変革を進めます。今後も、当社が保有する消費者パネルから得られる様々なデータを活用した革新的なサービスを提供し、マーケティングビジネス領域全体にイノベーションを拡げることを目指す方針です。
(注)
1.デジタルマーケティング
デジタルデータやデジタル施策を使ったマーケティング活動の総称であり、広告のプリテスト、様々なメディア媒体における広告効果測定、ソーシャルメディア分析等を通じて国内外における顧客企業のデジタル広告支出の最適化に資するデータを提供することを中心とした事業領域を意味します。
2.インサイト
消費者の行動や思惑、それらの背景にある意識構造を見抜いたことによって得られる「購買意欲の核心」を意味します。
3.パネル
質問票に対する回答者予備群として会員登録されている様々な属性の調査対象者のこと。個々のリサーチの目的に応じ、パネルの中から、年齢、性別、購買履歴、その他から属性別に回答者を抽出し、本調査の対象者として回答を依頼します。当社ではその属性を詳細に把握し、必要に応じてタイムリーに直接コンタクトが可能な3,600万人を超える良質な自社パネルをグローバルに保有しております。
4.No.1の市場シェア
オンライン・マーケティング・リサーチ市場シェア=当社日本事業 注力事業及び株式会社電通マクロミルインサイトにおけるオンライン・マーケティング・リサーチ、株式会社H.M.マーケティングリサーチのオンライン・マーケティング・リサーチに係る売上高(2023年6月期)÷一般社団法人日本マーケティング・リサーチ協会(JMRA)によって推計された日本のMR業界市場規模アドホック調査のうちインターネット調査分(2022年分)(出典:一般社団法人日本マーケティング・リサーチ協会(JMRA)2023年6月27日付 第48回経営業務実態調査)
[オンライン・マーケティング・リサーチの流れ]
オンライン・マーケティング・リサーチは、顧客企業のリサーチニーズを反映した調査票をインターネット上で再現した後に、パネルへアンケートを依頼して回答を収集します。インターネットを活用することで、タイムリーかつ低価格なサービスの提供が可能となっています。また、さらに深いインサイトを把握したい顧客に対しては、別途集計グラフ、調査レポートを作成して納品しています。また、オンライン・マーケティング・リサーチ以外にも多彩な調査サービスを提供しており、顧客の意思決定に貢献する様々なソリューションの提供を実現しています。パネルには、アンケート回答の謝礼としてポイントを付与しています。
これら一連のソリューションを、データ納品のみを行う最も短い案件では24時間、標準的には実査の開始から1週間程度で提供しています。

[リサーチパネル及び取得可能なデータ]
当社グループは、日本において自社パネル約130万人、国内アンケート回答パネル約3,600万人(2023年6月末現在)を有しています。マーケティングリサーチ企業のソリューション力を決定づける要素の一つが、取得可能なデータです。パネルから得られた回答結果に、取得・保有する独自のデータ群を組み合わせ、分析することで、消費者インサイトを把握・抽出し、それを踏まえたソリューションを提供しています。
当社グループが取得可能なデータは、パネルのアンケート回答から得られる購入理由や満足度といった「意識データ」、当社独自のデータとして蓄積・保有しているTV視聴ログ、パソコン、モバイル及びスマートフォンにおけるインターネット上のWEB閲覧ログ、EC購買ログ等の「行動データ」、人口統計データや心理特性データを含む「属性データ」から構成されています。自社パネルから取得可能なデータに加えて、グローバルなパネルネットワークを活用することで、当社グループの主要な顧客に対して、世界中の消費者インサイトを提供することが可能となっています。
[営業及びリサーチ体制]
当社グループでは、現在は90以上の国と地域で1.1億人に対する調査が可能であり、世界で2,000名超のプロフェッショナルな人材が、必要に応じて国境を越えて顧客企業をカバーする体制をとっています。また、各拠点では地域特有の消費者インサイトを把握し、知見・経験・ノウハウを有するリサーチャーが、営業人員をリアルタイムにサポートする体制をとっており、両者が密に連携することで、効率的かつ効果的なセールス&リサーチ活動を実現しています。
[当社グループの提供するサービス]
一般的な事業会社におけるマーケティングプロセスは、下表のように4つに分類され、当社グループでは、それぞれのプロセスにおける目的や課題に応じたリサーチサービスを提供しています。

また、各サービスの特徴、及び具体的なサービスは以下のとおりです。
当社グループが提供しているサービスは以下の4つに区分されます。このうち、主にアドホック(特定のマーケティング上の課題の解決などに用いられ、データの回収・集計・分析等の調査プロセスが1回限りで完結する調査)案件に対するオンラインリサーチが最も大きな比重を占めています。また、デジタルリサーチでは、使用許諾のあるパネルのCookieや広告IDを取得することで、デジタル広告接触履歴やデジタル行動ログ・データを加味した集計・分析が可能になっており、より付加価値の高いサービスの提供が可能になっています。またそれらのデータをベースにデジタル上の広告接触者やサイト訪問者に直接アンケートの送付ができることを強みとしています。

具体的なサービスは以下のとおりです。
[事業系統図]
当社グループの事業の系統図は次のとおりであります。

2023年6月30日現在
(注) 1.有価証券届出書又は有価証券報告書を提出している会社はありません。
2.売上収益(連結会社相互間の内部売上収益を除く)の連結売上収益に占める割合が10%を超えています。2023年6月期に作成されたIFRSに基づく財務諸表における主要な損益情報等は以下の通りです。
3.議決権の所有割合の( )内は間接所有割合を内数で示し、[ ]内は緊密な者又は同意している者の所有割合を外数で示しています。
4.特定子会社に該当しています。
5.議決権の所有割合は100分の50以下ですが、他の株主と株主総会において当社の議決権行使に同意する旨の株主間契約を締結しており、当社がMacromill Embrain Co.,Ltd.への関与により生じる変動リターンに対するエクスポージャー又は権利を有し、かつ投資先に対するパワーにより当該リターンに影響を及ぼす能力を有している状況にあると判断し、子会社としています。
2023年6月30日現在
(注) 1.従業員数は就業人員であり、臨時雇用者数は( )内に年間の平均人員を外数で記載しています。
2.臨時雇用者数は、パートタイマーの従業員のみであり、派遣社員は除いています。
3. 前年期末に比べ連結会社従業員数が815名減少しております。主な要因は、2023年6月1日付で、
当社が当社子会社を通じて保有するMetrixLabグループの全株式をToluna Holdings Limited社に
譲渡したことに伴い、MetrixLabグループを連結子会社から除外したことによるものです。
2023年6月30日現在
(注) 1.従業員数は就業人員であり、臨時雇用者数を( )外数で記載しています。
2.臨時雇用者数は、パートタイマーの従業員のみであり、派遣社員は除いています。
3.平均年間給与は、賞与及び基準外賃金を含んでいます。
① 提出会社
2023年6月30日現在
(注) 1.「女性の職業生活における活躍の推進に関する法律」(平成27年法律第64号)の規定に基づき算出したものであります。
2.「育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律」(平成3年法律第76号)の規定に基づき、「育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律施行規則」(平成3年労働省令第25号)第71条の4第1号における育児休業等の取得割合を算出したものであります。
3.女性管理職比率は、2024年度期初(2023年7月1日)時点では、21.6%となっております。
② 常時雇用する労働者数が101人以上300人未満である連結子会社
2023年6月30日現在
(注) 1.「女性の職業生活における活躍の推進に関する法律」(平成27年法律第64号)の規定に基づき算出したものであります。
2.女性管理職比率は、2024年度期初(2023年7月1日)時点では、株式会社電通マクロミルインサイトでは20.0%となっており、株式会社H.M.マーケティングリサーチでは、30.8%となっております。
(4) 労働組合の状況
当社グループの一部の子会社においては、労働組合が組織されています。なお、労使関係は円満に推移しています。
当社グループは、創業当初より独自に構築してきた自社パネルから得られる多種多様なマーケティングデータの提供を通じて、消費者ニーズに合致した製品やサービスの提供ができるように顧客企業の意思決定を支援しています。また、リサーチ課題に留まらず、より上流からマーケティング課題全体の解決を支援する「総合マーケティング支援企業」へと、その事業モデルの変革を推進しています。
日本においては、当社グループの主力事業であるオンラインリサーチ及びデジタルリサーチの成長を追求するとともに、マーケティング課題全体の解決を支援するデータコンサルティング事業等の新規事業の拡大、加えて、アジア地域での事業展開を加速させていく方針です。また、業界特性に応じた競争優位を確立するため、合弁事業等を通じた事業基盤の強化にも努めます。
さらに、韓国においても、日本の成長プロセスを追求し、リサーチだけでなくデータ提供事業などの新たな取り組みを推進することで、グループ全体での企業価値を向上させていきたいと考えています。
(2) 経営環境及び当社グループの取り組み
当連結会計年度(2022年7月1日~2023年6月30日)における世界経済及び日本経済は、新型コロナウイルス感染症の影響による経済活動の制限が緩和され、企業活動にも持ち直しの動きが見られました。一方で足許では、各国の政策金利の引き上げ及び為替相場の急激な変動、並びにウクライナ情勢の長期化や資源エネルギー価格、各種原材料価格の高騰等により、依然としてその先行きは不透明な状況で推移しました。
また、グローバルなインサイト市場(マーケティングリサーチ及びその周辺市場を合わせた市場)は984億米ドル、そのうち当社グループが主に手掛けるオンライン・マーケティング・リサーチ市場は640億米ドルに達し(注1)、日本のインサイト市場は4,315億円、そのうちオンライン・マーケティング・リサーチ市場は796億円に達する(注2)規模になったと認識しています。グローバル市場と日本市場はともに、一時的に新型コロナウイルス感染症の拡大によるマイナス影響を受けた一方で、コロナ禍を経てマーケティングリサーチ市場のオンライン化が一段と進むなど、市場は中長期的に堅調に拡大するトレンドに回帰しています。
このような経済・市場環境の下で、当社グループは2021年8月に新たに2024年6月期までの中期経営計画(3ヵ年)を公表し、その達成に向けた戦略を立て、事業規模と利益の拡大を追求しています。中期経営計画2年目となる2023年6月期においても、引き続き中期経営計画で掲げるビジョンのもと、顧客企業のリサーチ課題に留まらず、 より上流からマーケティング課題全体の解決を支援するため、「マーケティングリサーチ企業」から、「総合マーケティング支援企業」への事業モデルの変革を推進しています。
こうした状況下、当社グループはその他の海外事業セグメントを構成する企業群であるMetrixLabグループの事業を英Toluna Holdings Limited社へ譲渡する一方、その譲渡対価として当社がTolunaの株式の17.4%等を取得し、統合新会社となるTolunaに対して当社が取締役1名を派遣、Tolunaを当社の持分法適用会社とする取引を実行しました。
(注)
(1) 2022年9月にESOMAR(European Society for Opinion and Marketing Research) が発表した「ESOMAR Global Market Research 2022」による。なお、同2020年版レポートよりグローバルなマーケティングリサーチ市場の定義が拡大されており、当社でも昨年からインサイト市場としてマーケティングリサーチ及びその周辺市場を含む当該新たな定義に基づく市場規模を記載している(2020年版レポートに記載のあった、従来の市場規模に近い数値(シナリオ2)の開示が、2021年版及び2022年版レポートには存在しないため)。
(2) 2023年6月に一般社団法人日本マーケティング・リサーチ協会(JMRA)が発表した「第48回 経営業務実態調査」による。
(3) 中長期的な経営目標
当社グループでは、2021年8月に2024年6月期までの中期経営計画(3ヵ年)を公表しましたが、その他の海外事業の譲渡、及び現在の経営環境を踏まえて、新たに2024年6月期~2026年6月期までの新中期経営計画(3ヵ年)を策定しました。
財務目標としては、2026年6月期の連結売上高530億円、連結営業利益75億円を目標に、過去最高の利益額の更新を目指します。また、財務レバレッジの目標水準は従来目標を引き継ぎ、既存の信用格付を維持しながら、純有利子負債/EBITDA倍率を2.0倍から2.5倍の範囲でコントロールすることを目指します。また、株主還元については、連結配当性向30%を指標にするとともに、必要に応じた機動的な自己株取得の実施を継続します。

日本事業においては、当社グループの主力事業であり収益性の高いオンライン及びデジタルリサーチの成長回帰に注力します。また、将来の売上及び利益を牽引する事業を育成するため、アジア地域での事業拡大及びグローバルリサーチの強化や、データ利活用支援(データコンサルティング)、プラットフォーム型のソリューション開発を推進し、事業モデルの変革をさらに加速することで、総合マーケティング支援企業としてのプレゼンス向上を図ります。日本事業では、こうした事業活動を通じて2026年の売上収益460億円(3年平均成長率10%)を目指します。
韓国事業においては、日本で既に実施している購買データ提供に係るサービスを開始するなど、自社パネルから取得したデータを主軸としたサービスの本格展開を図る方針であり、2026年の売上収益70億円(3年平均成長率7%)を目指します。
また、売上収益の拡大とともに、付加価値とサービス範囲の再定義及び価格の見直しや、リサーチプロセスの改善及びリサーチ基幹システムの全面刷新等による業務効率化・生産性の向上に取り組み、利益の最大化を図る方針です。
② 2024年6月期の見通し
日本においては、受注キャパシティの拡充・整備が整ったことから、2023年6月期上半期まで控えてきた積極的な営業活動をより一層強化し、オンライン及びデジタルリサーチの拡販を目指します。また、グローバルリサーチや、データ利活用支援(データコンサルティング)、ライフサイエンス等の新規事業も引き続き好調に推移する見通しです。さらに、2023年7月よりモニターアライアンス事業を展開する株式会社モニタスを連結子会社化したことで、当社グループの消費者パネルの規模の拡大と質の向上が期待できることに加え、当該子会社による売上貢献も見込んでいます。
費用面では、グローバルリサーチや、データ利活用支援、ライフサイエンス等の新規事業の売上拡大に加え、新たな連結子会社が加わった影響などにより、外注費や人件費の増加が見込まれる一方で、利益率の高いオンラインリサーチの売上を拡大し、その生産性を向上させることで、両費用の増加ペースの抑制に努める方針です。また、データ利活用支援事業を中心に、パネル費の比率が低い事業の売上貢献の拡大を見込んでいるため、パネル費比率が低減する見通しです。
韓国においては、景況感の悪化による影響が継続し、売上の伸長ペースが従来と比べて鈍化する見込みであるものの、購買パネルデータの提供サービス等の本格展開などにより、増収を維持する計画です。費用面では、当該新規事業に係る投資の拡大などにより外注費が増加する見込みではあるものの、当該事業の売上拡大によりその費用増を吸収し、増益を計画しています。
以上の結果、2024年6月期の売上収益は、44,000百万円(前期比8.3%増)、営業利益は5,600百万円(前期比26.7%増)、税引前利益は5,900百万円(前期比58.3%増)を見込んでいます。
また、親会社の所有者に帰属する当期利益については3,200百万円を見込んでいます。なお、2023年6月期の親会社の所有者に帰属する当期利益には、非継続事業の親会社の所有者に帰属する当期利益が5,796百万円計上されています。このため、2023年6月期との比較においては大幅に減少することになりますが、継続事業ベースで比較した場合は前期比79.9%増となる見込みです。
なお、上記業績見通しの前提となる為替レートは1ウォン0.1000円を想定しています。
また、当該業績予想は、本資料の作成日現在において入手可能な情報に基づき作成しており、実際の業績は今後様々な要因によって予想数値と異なる場合があります。
当社グループは、事業展開上のリスクになる可能性があると考えられる主な要因として、以下の記載事項を認識しています。当社グループは、これらのリスク発生の可能性を認識した上で、その発生の回避と予防に取り組んでいます。
なお、文中に記載している将来に関する事項は、本書提出日現在において入手可能な情報に基づき当社グループが判断したものであり、実際の結果と異なる可能性があります。
当社グループは、2023年6月末現在、日本を含む多数の国と地域において、多様な業種の企業・官公庁を顧客として事業を展開しています。そのため、当社グループが行うマーケティングリサーチ及びデジタルマーケティングの需要は、日本国内外の経済状況、各業界の動向、各企業の経営成績やマーケティング予算、広告代理店の広告取扱高の変動等による影響を受ける可能性があります。
特に、当社グループの売上収益の大部分を占める日本では、政府・日本銀行の政策・世界経済の動向等によって、個人消費の減速や企業活動の停滞が発生する可能性があり、当社グループの顧客の商品・サービスの市場規模や活動が縮小し又は停滞する場合には、当社グループのサービスに対する需要が減退する等、当社グループの事業、経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
(2) 他社との競合
当社グループは、オンライン・マーケティング・リサーチを主たる事業として営んでいますが、マーケティングリサーチ業界はインサイト産業への再定義が進む中、従来よりも、より多数の競合他社が国内外に存在し、各市場において当社グループと競合している状況にあります。当社グループの競合他社は、知名度、リサーチの信頼性、営業力、提供するサービスの価格やラインアップ、納期までの期間、ノウハウ、利用可能なパネル数、顧客のニーズへの対応力等の点において当社グループより高い競争力を有する可能性があり、また、当社グループに先駆けてより先進的なサービスや完成度の高いサービスの提供を開始する可能性があります。
さらに、スマートフォンの普及やソーシャルメディアの浸透等に伴うインターネット利用者の拡大等により、例えばシステム開発会社や膨大なビッグデータを保有するソーシャルメディアやインターネット検索サービスを提供する企業によるネット履歴データの分析事業への進出等、新たにオンライン・マーケティング・リサーチ関連事業に参入する企業が増加しており、また、競合他社が他社との提携や経営統合等を行う場合には、競争が更に激化する可能性もあります。
これらの要因により、当社グループの国内外の市場シェア又は主要顧客ごとのシェアが低下する場合や、業界競争の激化に伴う価格下落圧力等が生じる場合は、当社グループの事業、経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
(3) パネルの維持・拡充
当社グループでは、迅速かつ適切なリサーチを行う上で、多様な属性を有する十分な数のパネルを維持・拡充することが重要であると認識しています。当社グループは、パネルに対して適切なポイント付与を行うこと等により、2023年6月末現在で90ヶ国においておよそ1億3,000万人のパネルを利用可能ですが、今後競合他社による付与ポイント等の魅力の向上、外部パネル提供会社との関係の悪化、提携パネルの利用に係る費用の増加、パネルの獲得方法の変化等によって、当社グループが利用可能なパネルの数や当社グループによる調査へのパネルの参加率が減少し、適切なリサーチを行うために必要なパネルの属性の多様性が失われる場合は、当社グループのサービスの品質が低下する可能性や、顧客の求めるニーズに合ったソリューションを提供できなくなる可能性、また、当社グループが利用可能なパネルを維持・拡充するための費用の増加が生じる可能性があり、当社グループの事業、経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
(4) 広告代理店との関係
日本においては、広告代理店がテレビを中心とする広告市場において重要な役割を果たしており、広告代理店は当社グループを含む外部のマーケティングリサーチ会社に対して広告効果測定等の調査を依頼することが多くあります。当社グループにおいても、広告代理店からの調査及び広告代理店を経由した調査に係る売上収益が連結売上収益の相当程度を占めているため、広告代理店との良好な関係を構築し、維持・継続することは重要な経営上の課題であり、当社グループは国内の主要な広告代理店の一部と合弁会社を運営しています。一方、一部広告代理店の中には、当社グループが提供するサービスと類似のサービスを提供するものもあり、当社グループの事業と競業する場合があります。
したがって、当社グループにおける不祥事等によるブランドイメージや社会的信用の低下、当社グループのサービスの品質低下や競争力の低下、広告代理店の経営方針の転換等により、広告代理店との関係が悪化する場合や合弁が解消される場合、広告代理店がマーケティングリサーチ業務を自社内部で行う比率を高める場合又は広告代理店が顧客に対し当社グループが提供するサービスと類似のサービスを直接提供する場合、広告代理店の広告市場における影響力が弱まる場合、広告代理店の不祥事等により企業から当該広告代理店への発注自体が減少する場合等においては、広告代理店からの当社グループへの発注や紹介が減少することにより、当社グループの事業、経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
(5) デジタルマーケティング市場の動向
当社グループは、従来のマーケティングリサーチの枠組みを越え、自ら開発したシステムや自社パネル基盤の活用を通じて顧客の広告効果を分析、その有効性をリアルタイムで把握することで、顧客のマーケティング活動の向上を支援するデジタルマーケティング事業を、今後のグループの成長の一翼を担う戦略的領域として位置づけています。
デジタルマーケティング市場の動向は、オンライン広告市場の動向に大きく左右されるものと考えられますが、経済環境、技術水準、インターネット利用者数又は利用率の変化その他の要因によってオンライン広告市場の拡大が予想通りに進まない可能性があります。また、仮にオンライン広告市場の拡大が進んだ場合であっても、それに連動してデジタルマーケティング事業の拡大も進むとは限らず、顧客のデジタルマーケティングの需要が予期せず変化する場合や、当社グループが顧客の求める品質のサービスを提供できない場合等においては、デジタルマーケティング事業の拡大を実現できず、当社グループの事業、経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
(6) 新規サービス
オンライン・マーケティング・リサーチ領域は、技術革新及び顧客のニーズの変化に応じて急速に進化を続けているため、当社グループは、かかる変化に対応してオンライン・マーケティング・リサーチ事業の新たなサービス基盤を創出すべく、リサーチ領域における新しいマーケティングサービスの開発・展開を進めることが重要であると認識しています。
しかしながら、当社グループがかかる顧客ニーズの変化等に適切に対応できない場合や、競合他社が当社グループよりも早くかかる変化に対応したり、新しい技術によって当社グループよりもより安価にサービスの提供ができるようになること等によって当社グループの競争力が低下する場合のほか、新しい技術やサービスによって当社グループの既存のサービスの優位性や先進性が失われ、又は新技術に対応するための費用や競合他社の新規サービスに対抗するための費用が発生する場合には、当社グループの事業、経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
(7) 当社グループが提供する情報の正確性
当社グループのサービスにおいて、顧客に対して提供する情報又は分析の真実性、合理性及び正確性は非常に重要です。
したがって、当社グループが分析のために収集した情報に誤りが含まれていたこと等に起因して顧客に対して不正確な情報を提供する場合や、不正確な情報を提供していると誤認される場合には、当社グループの受注案件数の減少、ブランドイメージや社会的信用の低下、当社グループに対する損害賠償請求、当社グループのサービスに対する対価の減額等により、当社グループの事業、経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
(8) 情報漏洩
当社グループでは、パネルに係る情報など、大量の個人情報を保有しています。また、顧客が計画している新商品・新サービスの情報など、マーケティングリサーチ業務の過程で必要となる顧客の機密情報等も多く保有しています。
これらの情報に対する外部からの不正アクセスや、社内管理体制の瑕疵、当社グループ従業員の故意又は過失、コンピュータウイルス等による情報漏洩が発生した場合、当社グループのブランドイメージや社会的信用の低下、対応費用の発生、当社に対する損害賠償請求等により、当社グループの事業、経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
また、個人情報や機密情報の保護に関する国内外の法令等が改正される場合には、これに対応するためのシステムの改修や業務方法の変更に係る費用等の発生により、当社グループの事業、経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性もあります。
(9) アドホック調査の継続性
当社グループにおけるマーケティングリサーチは、顧客のブランドや商品・サービス等、特定のマーケティング上の課題の解決などに用いられ、データの回収・集計・分析等の調査プロセスが1回限りで完結する、いわゆる「アドホック調査」が中心となっています。実際には、アドホック調査の依頼の大部分が、調査データの継続性等の観点から複数年にわたる継続的な調査の依頼に至るものの、取引の継続性が契約により保証されているわけではないため、当社グループの顧客の多くは、個別の案件ごとに複数のリサーチ業者から発注先のマーケティングリサーチ会社を選択することや、発注先を当社グループ以外の競合他社に切り換えることも可能です。
したがって、当社グループの将来的な売上収益を正確に予想することが困難である場合があるほか、当社グループにおける不祥事等によってブランドイメージや社会的信用が低下し、又は当社グループのサービスの品質が低下する場合に、当社グループのアドホック調査に係る受注が減少し、又は既存の顧客からの継続的な依頼が打ち切られること等により、当社グループの事業、経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
(10) AIRsを利用したサービスへの依存
当社グループは、提供するサービスの多くにおいて、当社の基幹システムであるAIRsを利用しています。AIRsを利用した自動調査は、オンライン・マーケティング・リサーチ工程の大部分を機械的に処理して高い作業効率を維持できることから、現時点において当社グループの売上収益及び利益に大きく貢献しています。
近時においては、クライアントニーズの多様化を受け、海外調査や定性調査等の自動調査以外のサービスに係る売上収益が増加する傾向にあります。この結果、AIRsを利用して行う自動調査に係る売上収益も増加しているにも関わらず、その売上収益が当社グループ全体の売上収益に占める比率は相対的に減少する傾向にあります。しかしながら、当社グループは自動調査以外のサービスにおいてもAIRsを利用することが多いため、AIRsへの依存は今後も比較的高い水準で推移する見込みです。
したがって、システム障害等の発生によりAIRsへの信頼性が低下する場合、AIRsに関するシステムの適時の標準化、最適化、更新、改修等を行えない場合等には、当社グループの事業、経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。また、今後顧客ニーズやインターネット利用者数又は利用率の変化等により自動調査への需要が減少した場合に、当社グループが自動調査以外のサービスで十分な収益を得られない場合には、当社グループの事業、経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
(11) システム開発
当社グループがサービスの品質を更に高め、マーケティングリサーチ業界における競争力を維持・向上させるためには、技術革新や競争環境の変化に応じ、システムに関する投資を積極的かつ継続的に行っていく必要があると認識しています。システム開発の遅延・失敗やトラブル発生等により開発コストの増大や営業機会の逸失が発生する場合、システム開発に想定以上の費用又は時間が必要となった場合、システム開発に必要な技術者等を確保できない場合、開発したシステムによって想定通りの効果や効率化等が図られなかった場合、開発したシステムを適時に更新できない場合、既存システムを新システムに適合させるための追加費用が発生する場合等には、当社グループの事業、経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
(12) システム障害
当社グループは、マーケティングリサーチ業務の過程で、情報の収集、分析、保管、加工等のために情報システムやインターネット等を利用しています。
そのため、自然災害、火災や停電等の事故、プログラムやハードの不具合、コンピュータウイルスやハッカー攻撃、外部からの不正アクセス等により、システム障害が発生した場合、当社グループの業務やサービス提供の停止、重要なデータの喪失、当社グループのブランドイメージや社会的信用の低下、対応費用の発生、当社グループのサービスに対する対価の減額等により、当社グループの事業、経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
(13) 中期経営計画
当社が策定した中期経営計画では、顧客企業のリサーチ課題に留まらず、より上流からマーケティング課題全体の解決を支援するため、データ利活用支援(コンサルティング)事業やマーケティング施策支援(広告配信等)事業などの新規事業を加速させ、「総合マーケティング支援企業」へと事業モデルの変革を進めることと、主力のオンライン及びデジタルリサーチへの再フォーカスを通じた利益率の着実な改善を、その目指す方向として掲げています。
その上で、日本事業においては、注力事業(オンラインリサーチ及びデジタルリサーチ)の高収益性と安定的な成長の追求、戦略投資事業(コンサルティング、グローバルリサーチ、その他の新規事業)の売上二桁成長と将来の利益貢献の実現、基盤強化事業(オフラインリサーチ、データベース、JV含むその他の子会社群)における競争優位性と参入障壁の確立と安定的な売上・利益貢献の継続、韓国事業においては、日本事業の成長プロセスの再現等の各施策を推し進め、更なる成長と収益性の向上を目指すこととしています。
しかし、これらの施策の実施については、マーケティングリサーチ市場又はデジタルマーケティング市場が拡大しないリスク、データ利活用支援事業やマーケティング施策支援事業などの新規事業が進展しないリスク、他社との競合等により当社グループが国内外のシェアを拡大できないリスク、優秀な従業員を確保できないリスク、販売戦略やコスト削減策、成長戦略等が奏功しないリスク、技術革新等に対応できない、又は対応に多額の費用等を要するリスク等、多数のリスク要因が内在しているため、実施が困難となる可能性や、当社グループにとって当該施策が有効でなくなる可能性があります。
また、かかる中期経営計画を作成するにあたって前提としている多くの前提が想定通りとならない場合等には、当該計画における目標を達成できない可能性もあります。更に、当社グループが正確に認識又は分析していない要因又は効果により、当該計画の施策がかえって当社グループの競争力を阻害する可能性もあります。これらの結果、当社グループの事業、経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
(14) 固定費
当社グループにおいては、その事業の特性上、人件費、賃借料及びシステム運用管理費など、当社グループの売上収益にかかわらず固定的に発生する費用が当社グループの費用の相当程度を占めています。その結果、当社グループの限界利益率は高く、特段の事象が発生しない限り、損益分岐点を超えた以降は売上収益の成長よりも高い利益成長を享受できる収益構造になっているものと認識しています。他方、当社グループの売上収益が何らかの理由により大幅に減少する場合等には、当該減少に比して費用の減少が生じにくく、当社グループの経営成績に相対的に大きな影響を与える可能性があります。
(15) 人材の確保及び育成
当社グループが今後も顧客にとって付加価値、満足度の高いサービスを提供し続け、事業の拡大を図るためには、マーケティングリサーチの高い技能やノウハウ等を有し、顧客の業界にも精通した優秀な人材を継続的に確保し、育成していくことが重要と考えています。
しかしながら、かかる優秀な人材はマーケティングリサーチ業界のみならず多くの業界において需要が高いため、今後人材採用競争の激化等の要因により、期待する資質を有する人材や優秀な人材を確保できない場合や、採用等に係るコストや人件費が増加する場合は、当社グループの事業、経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
(16) 知的財産権
当社グループの事業分野における他社の知的財産権の保有や登録等の状況を完全に把握することは困難であり、当社グループが意図せず第三者の特許権等を侵害する可能性や、今後当社グループの事業分野において第三者の特許権等が新たに成立し、当社グループを当事者とする知的財産権の帰属等に関する紛争が生じたり、当社グループが知的財産権の侵害等に関する損害賠償や使用差止等の請求を受けたりする可能性があります。
また、当社グループが第三者と提携や合弁等を行うことにより、当該第三者が締結している契約に基づく知的財産権に係る制約を受けたり、第三者に対する新たな対価支払いを強いられたりする可能性もあります。
これらの結果、当社グループの事業、経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
(17) 海外事業
当社グループの海外事業の展開にあたっては、各国の経済情勢及び政治情勢の悪化、法律・規則、税制、外資規制等の差異及び変更、商慣習や文化の相違、自然災害や感染症の発生等の可能性があり、これらの要因により特定の国での事業の遂行及び推進が困難になる場合には、当社グループの事業、経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
(18) 為替相場の変動
当社の連結子会社及び持分法適用会社を含む関連会社は、多数の海外拠点を有し、取引先及び取引地域も世界各地にわたっているため、外貨建てで取引されているサービス等のコスト及び価格のほか、企業買収等の対価が外貨建てとなる場合は、直接的又は間接的に為替の影響を受けます。
また、当社グループの海外子会社及び関連会社では、ユーロ、米ドル、ポンド、ウォン等日本円以外の外国通貨で財務諸表を作成しており、当社の連結財務諸表の作成時において日本円に換算され円建てで連結財務諸表に記載されるため、為替相場の変動により当社グループの海外子会社が所在する国の通貨の日本円に対する価値が著しく変動する場合、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
上記に加えて、当社又はその国内子会社の保有又は負担する外貨建ての金銭債権又は金銭債務は連結財務諸表の作成時において日本円に換算されますが、当社グループでは、これらの影響の一部を最小限におさえるべく、適宜為替予約等によるヘッジを行っています。かかるヘッジにより為替相場の変動に係るリスクを全部又は完全に回避できるわけでないため、為替相場の変動状況によっては、当社グループの事業、経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
(19) 企業買収、戦略的提携等
当社グループは、事業拡大の手段の一つとして企業買収や戦略的提携を積極的に推進しています。これらの企業買収や戦略的提携は、システム等の統合上の問題の発生、事業上の問題の発生、買収先企業における人材の流出等により実施又は維持できなくなる可能性や、当初期待した成果をあげられない可能性があるほか、当社グループが実施した買収に伴い発生するのれんについて国際会計基準(IFRS)に従い減損損失を計上する可能性があり、これらによって当社グループの事業、経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
(20) のれんの減損
当社グループは、2023年6月末現在、連結財政状態計算書にのれんを40,033百万円計上しており、のれんは連結総資産の42.5%を占めています。また、当社グループが今後M&A等を実施した場合に、新たなのれんを計上する可能性もあります。
当社グループの連結財務諸表はIFRSを採用していますので、これらののれんは非償却性資産であり毎期の定期的な償却は発生しませんが、今後いずれかの事業収益性が低下した場合等には減損損失が発生し、当社グループの事業、経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
(21) 顧客志向の変化
昨今、国内外を問わず、新たなテクノロジーの登場やサービスの進化等により、顧客を取り巻く事業環境が変化し、これを受けて顧客のニーズが変化するといった状況が続いています。これに対応するため、当社グループもまた、サービス内容の素早い進化や変化が求められています。具体的には、単一のサーベイデータに基づく調査よりも、モバイル、ソーシャルメディア、行動データ、ビッグデータなど、複数のデータソースに基づく調査を求められる傾向が強まっていること、単なるデータ提供に留まらずインサイトの抽出・分析等にも重点を置いたサービス提供を求められる傾向が強まっていること、今まで以上にリアルタイムでの効果測定や有効性の把握が求められるようになってきていること等が挙げられます。また、多国籍企業の顧客を中心として、よりグローバルなサービスを提供するリサーチ会社を好む傾向も強まっています。
今後も顧客のニーズは変化し続けることが予想されますが、かかる変化により当社グループが提供するサービスの需要が低下する場合や、ニーズの変化への対応に必要なサービス内容等の変更や新規サービスの開発等が成功せず、顧客の要求水準や要求内容に見合うサービスを提供できない場合、また、当社グループが顧客のニーズの変化を適切に把握できない場合には、当社グループの事業、経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
(22) 季節変動
当社グループの顧客では、新商品販売のタイミングが各四半期末に、また、広告宣伝予算の消化が各顧客の主な決算期末である3月(海外の顧客については主に12月)に偏る傾向があり、当社グループの売上収益も当該時期に高くなる傾向があります。
このため、かかる時期において当社グループの経営成績が不調となる場合には、当社グループの通期の経営成績に悪影響を及ぼすおそれがあります。
(23) 多額の借入金、金利の変動及び財務制限条項への抵触
当社グループは、公募社債の発行と、金融機関を貸付人とする借入契約を締結し、両者を合わせて多額の借入れを行っており、2023年6月期末時点での総資産額に占める有利子負債額は44.9%となっています。当該借入金は、元本が変動金利も含まれるため、市場金利が上昇する場合、当社グループの経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
また、当社グループは、かかる契約の約定に基づく既存の借入れがあることから、新たな借入れ又は借換えが制約される可能性や、必要な運転資金等を確保できず景気の下降に脆弱となる可能性、財務的信用力が当社グループよりも強い競合他社と比較して競争力が劣る可能性があります。
さらに、当社グループが締結している借入契約の中には、財務制限条項が付されているものがあります。かかる財務制限条項については、純資産維持及び利益維持に関する数値基準が設けられており、これに抵触する場合、貸付人の請求があれば当該契約上の期限の利益を失うため、ただちに債務の弁済をするための資金の確保が必要となります。万が一何らかの事象によって当該財務制限条項への抵触が生じる場合は、当社グループの財政状態及び資金繰りに影響を及ぼす可能性があるとともに、かかる資金の確保ができない場合は、当社グループの他の借入についても期限の利益を喪失することが予測され、当社グループの存続に悪影響を及ぼす可能性があります。なお、財務制限条項は、後記の注記「18.社債及び借入金」に記載しています。
(24) 自然災害、事故、感染症の流行等
大規模な地震・風水害・津波・大雪・感染症の大流行等が発生した場合、当社グループの本社建物や設備等が被災し、又は従業員の出勤や業務遂行に支障が生じ、当社グループの事業、経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。特に、これらの自然災害等により、当社グループの業務に必要なシステムやインターネット等のネットワーク環境が使用できなくなる場合、当社グループの業務遂行等が極めて困難となる結果、当社グループの事業、経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
実際、新型コロナウイルス感染症の拡大時においては、世界的な規模で消費行動の停滞や、営業活動の自粛が生じました。この結果、顧客のマーケティング活動のスケジュールや内容が変化し、予定されていたリサーチ案件の延期、規模の縮小、中止等といった影響が出ました。こうした、新型コロナウイルス感染症の拡大による影響は、2023年6月期末現在においてはかなり限定的なものとなっていますが、こうした感染症の流行の拡大や、自然災害等によって当社グループの顧客に被害等が生じる場合や、経済状況等の低迷が発生する場合にも、当社グループの受注案件数の減少等により、当社グループの事業、経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
(25) 訴訟その他の法的手続
当社グループは、その事業の過程で、各種契約違反や労働問題、知的財産権に関する問題、情報漏洩等に関する問題等に関し、顧客、取引先、従業員、競合他社等により提起される訴訟その他の法的手続の当事者となるリスクを有しています。当社グループが訴訟その他の法的手続の当事者となり、当社グループに対する敗訴判決が言い渡される又は当社グループにとって不利な内容の和解がなされる場合、当社グループの事業、経営成績、財政状態、評判及び信用に悪影響を及ぼす可能性があります。
(26) 財務報告に係る内部統制
当社グループでは、財務報告の信頼性に係る内部統制の構築及び運用を重要な経営課題の一つとして位置付け、グループを挙げて管理体制等の点検・改善等に継続的に取り組んでいますが、内部統制報告制度の運用により、当社グループの財務報告に重大な欠陥が発見される可能性は否定できず、また、将来にわたって常に有効な内部統制を構築及び運用できる保証はありません。更に、内部統制に本質的に内在する固有の限界があるため、今後、当社グループの財務報告に係る内部統制が有効に機能しない場合や、財務報告に係る内部統制に重要な不備が発生する場合には、当社グループの財務報告の信頼性に影響を及ぼす可能性があります。
当社グループの経営成績の概要は以下のとおりです。
なお、2023年6月に当社が保有するSiebold Intermediate B.V.の全株式を売却することを決定したため、2023年6月期において、同社及び同社の子会社の事業を非継続事業に分類しております。これに伴い、前連結会計年度の売上収益、営業利益及び税引前利益について、非継続事業を除いた継続事業の金額に組替えております。
日本のリサーチ事業は、コロナ禍からの回復によるオフラインリサーチの反動増やグローバルリサーチが好調に推移した一方、繁忙期である第3四半期に一部の顧客企業において景況感の悪化によるリサーチ予算の削減等があり、当連結会計年度の売上収益は前年同期比で一桁成長となりました。
デジタル及びその他の新規事業のうち、デジタルリサーチについては、2024年後半に廃止が予定されている3rd Party Cookieに代わる計測手法への移行期間にあることや、広告市況によるブランディング広告減少の影響もあり減収となりました。その一方で、その他の新規事業については、前期より本格的に開始しているデータ利活用支援(コンサルティング)事業等が好調に推移しており、力強い成長を実現することができました。このため、その他の新規事業がデジタルリサーチの減収を上回る形で大幅に伸長したことにより、デジタル及びその他の新規事業の当連結会計年度の売上収益は前年同期比で二桁成長を実現することができました。
オンラインリサーチの受注体制については、社内の人的リソースが逼迫し、需要過多の状況が上半期まで継続していましたが、下半期は社内キャパシティの体制整備が進展し、その機会損失は縮小しました。下半期は、需要逼迫の状況下で控えてきた提案型の営業活動を再開しており、今後はさらなる顧客需要を取り込むとともに、社内リソースの生産性改善や外注費をコントロールすることで、収益の拡大を図る方針です。
韓国においては、新型コロナウイルスの影響で、オンラインリサーチによるオフラインリサーチの代替が進んでいることに加え、為替の好影響もあり、上半期は売上収益の二桁成長を継続しました。第3四半期は景況感の影響を受け成長が鈍化しましたが、第4四半期は政府関連のリサーチ案件の計上があり、大きく増収となりました。その結果、韓国事業の当連結会計年度の売上収益は、二桁成長となりました。
費用面では、売上収益の拡大傾向を受けて、前期から進めてきたリサーチ案件の受注キャパシティ拡大を目的とした人材採用が昨年対比で人件費を押し上げていることに加え、拡大が続く顧客需要を取り込むために、外注を通じた外部キャパシティを最大限に活用する施策を実施したため、人件費及び外注費が増加しました。加えて、新型コロナウイルス感染症の影響からの回復による営業活動の拡大等によりその他の費用も増加しました。
以上の結果、当連結会計年度の営業利益に減価償却費等を加えたEBITDA(利払・税引・償却前利益)(注1)は人件費等の費用の増加により6,898百万円(同3.9%減)、営業利益は4,498百万円(同11.9%減)、税引前利益は3,728百万円(同25.9%減)となりました。親会社の所有者に帰属する当期利益は、非継続事業の親会社の所有者に帰属する当期利益が当第4四半期連結会計期間に5,796百万円計上され、7,575百万円(同140.7%増)となりました。
また、継続事業の親会社所有者帰属持分当期利益率(ROE、直近12ヶ月で算定)は5.1%(前年同期間比4.3ポイント減)となりました。インタレスト・カバレッジ・レシオ(直近12ヶ月で算定、注2)は24.3倍(前年同期間21.5倍)となりました。
日本及び韓国事業内のMacromill Embrain Co.,Ltd.の収益及び業績についてはウォン建てで管理しており、換算レートは以下のとおりです。
(注)
(1) EBITDA:Earnings Before Interest, Tax, Depreciation and Amortizationの略。当社ではEBITDA = 営業利益+減価償却費及び償却費+固定資産除却損+減損損失と定義しており、各事業から生み出されるキャッシュ・フローの規模をより適切に把握することができるため、各事業の収益性を測るための主要な経営指標として用いている。
(2) インタレスト・カバレッジ・レシオ =(営業利益+受取利息+受取配当金)/ 支払利息
当連結会計年度における現金及び現金同等物(以下、「資金」という。)は、前連結会計年度末に比べ3,498百万円増加し、18,255百万円となりました。当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況と要因は次のとおりです。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動の結果得られた資金は、2,909百万円(前年同期比2,605百万円減)となりました。
これは主に、継続事業からの税引前利益3,728百万円、非継続事業からの税引前利益4,903百万円、減価償却費及び償却費3,022百万円等がありましたが、関係会社株式売却益4,724百万円、法人所得税の支払額1,589百万円等があったためです。
なお、営業債権の回転期間は72.9日(前年同期比0.2日長期化)、営業債務及びパネルポイント引当金の回転期間は52.3日(前年同期比3.1日短期化)となりました。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動の結果支出した資金は、5,234百万円(前年同期比3,576百万円減)となりました。
これは主に、子会社株式の売却による支出2,598百万円、無形資産の取得による支出1,158百万円、関係会社株式の取得による支出772百万円等があったためです。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動の結果得られた資金は、5,658百万円(前年同期比14,168百万円増)となりました。
これは主に、自己株式の取得による支出1,204百万円、リース負債の返済による支出1,203百万円、配当金の支払額751百万円、長期借入金の返済による支出673百万円がありましたが、社債発行による収入10,000百万円等があったためです。
当社グループは生産活動を行っておりませんので、該当事項はありません。
当社グループの事業は受注から納品までの期間が短いため、記載を省略します。
当連結会計年度の販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
(注)
1.上記の金額には、消費税等は含まれておりません。
2.主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合は以下のとおりであります。
(注) 上記の金額には、消費税等は含まれておりません。株式会社電通グループ及びその子会社への売上収益は主に当社の子会社である株式会社電通マクロミルインサイトにおいて計上しております。
文中の将来に関する事項は、本書提出日現在において当社グループが判断したものであります。
当社グループの連結財務諸表は、IFRSに基づき作成されております。この連結財務諸表の作成にあたりましては、決算日における財政状態、報告期間における経営成績及びキャッシュ・フローの状況に影響を与える見積り・予測を必要としております。当社グループは、過去の実績や状況を踏まえ、合理的と判断される前提に基づき、継続してこの見積り・予測の評価を実施しております。なお、重要な会計方針及び見積りの詳細は後記の連結財務諸表注記「3.重要な会計方針」及び「4.重要な会計上の見積り及び見積りを伴う判断」に記載のとおりです。
資産は、94,154百万円となり、前連結会計年度末に比べ10,519百万円増加しました。これは主に、その他の無形資産の減少4,511百万円、のれんの減少2,895百万円、契約資産の減少1,489百万円、営業債権及びその他の債権の減少1,307百万円、使用権資産の減少1,099百万円等がありましたが、長期貸付金の増加10,035百万円、持分法で会計処理されている投資の増加6,595百万円、現金及び現金同等物の増加3,498百万円等の増加要因があったためです。
負債は、51,823百万円となり、前連結会計年度末に比べ4,016百万円増加しました。これは主に、営業債務及びその他の債務の減少1,557百万円、その他の流動負債の減少1,226百万円、繰延税金負債の減少1,148百万円等がありましたが、社債及び借入金の増加9,365百万円等の増加要因があったためです。
資本は、42,330百万円となり、前連結会計年度末に比べ6,503百万円増加しました。これは主に、配当金の支払額1,218百万円、自己株式の取得1,203百万円等がありましたが、当期利益8,394百万円等の発生等があったためです。
経営成績の分析につきましては、前記「4 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 1.業績等の概要 (1) 経営成績に関する説明」を参照ください。
当社グループの営業活動からの堅実なキャッシュ・フロー創出力を原資として、経営環境や業績状況に適した戦略的なキャピタル・アロケーションを実行することを基本方針とし、継続的な成長の実現に向け、成長投資、負債の返済、株主還元の3つの資金使途のバランスを追求しています。
これらの3つの資金使途のうち、成長投資を最優先事項としています。ROIやROICなど投資効率を重視し、資本コストを上回る潜在リターンを持つ投資機会を、M&Aも含めて追及します。また、重要な資産である人材の雇用にも充当していきます。負債の返済については、純有利子負債(Net Debt)(注1)/EBITDA倍率を2.5倍から2.0倍とすることを中期経営計画の目標値として掲げ、レバレッジ水準をコントロールしていきます。なお、株主還元の考え方は、「第4 提出会社の状況 3 配当政策」に記載のとおりです。
当社グループの資金の源泉は、手元現預金及び将来の営業活動で得られる資金を充当することを基本としています。資金需要及び金利動向等の調達環境並びに有利子負債の返済及び社債の償還時期等を考慮の上、調達規模及び調達手段を適宜判断して外部資金調達を実施する場合があります。
(注)
1.純有利子負債(Net Debt)=有利子負債(短期借入金+1年以内返済予定の長期借入金+長期借入金+リース負債)-現金及び現金同等物
経営成績に重要な影響を与える要因につきましては、前記「3 事業等のリスク」をご参照ください。
当社は、2022年3月29日に株式会社みずほ銀行と金銭消費貸借契約を締結しております。これは2017年3月29日に締結した契約の期間満了に伴い切り替えたものであります。
主な契約内容は、以下のとおりであります。
契約の相手先は株式会社みずほ銀行となりますが、株式会社みずほ銀行から貸付債権を株式会社三菱UFJ銀行、株式会社新生銀行、株式会社りそな銀行、株式会社三井住友銀行及び農林中央金庫へ譲渡しております。
2.借入金額
11,800百万円
3.金利
5,900百万円:変動金利 3ヶ月TIBOR+年率0.30%
5,900百万円:固定金利年率0.55%
4.返済期限
最終2027年3月末
5.主な借入人の義務
(ア) 借入人の決算書等を定期的に提出すること
(イ) 財務制限条項を遵守すること(なお、財務制限条項の主な内容は、後記の連結財務諸表注記「18.社債及び借入金」に記載しています。)
(ウ) 事前承諾なく会社法上の組織変更等を実施しないこと
(エ) 事前承諾なく事業等の全部もしくは一部を第三者ヘ譲渡すること
(オ) 事前承諾なく担保提供等を実施しないこと
当社グループにおける主要な設備は、次のとおりです。
(1) 提出会社
(注) 1.上記の金額には消費税等は含まれていません。
2.本社建物は賃借しており、年間賃借料は549百万円です。
3.従業員数は就業人員であり、臨時雇用者数を( )外数で記載しております。なお、臨時雇用者数は、パートタイマーの従業員のみであり、派遣社員は除いております。
国内子会社の設備につきましては、帳簿価額の重要性が乏しいため記載を省略しております。
在外子会社の設備につきましては、帳簿価額の重要性が乏しいため記載を省略しております。
(注) 「提出日現在発行数」欄には、2023年9月1日からこの有価証券報告書提出日までの新株予約権の行使により発行された株式数は含まれておりません。
※ 当事業年度の末日(2023年6月30日)における内容を記載しております。提出日の前月末現在(2023年8月31日)において、記載すべき内容が当事業年度の末日における内容から変更がないため、提出日の前月末現在に係る記載を省略しております。
(注) 1.(1) 本新株予約権の目的である株式の種類は、当社普通株式とし、各本新株予約権の目的である当社普通株式の数(以下、本新株予約権において「付与株式数」という。)は1株とする。
(2) 本新株予約権を割り当てる日(以下、本新株予約権において「割当日」という。)後、当社が当社普通株式につき、株式の分割(株式の無償割当てを含む。)又は株式の併合を行う場合には、付与株式数を次の算式により調整するものとする。
(3) 上記の他、割当日後、合併、会社分割、株式交換、株式移転その他付与株式数の調整を必要とするやむを得ない事由が生じたときは、当社は合理的な範囲で付与株式数の調整を行うことができるものとする。
(4) 上記に基づく調整は当該調整が行われる時点において未行使の本新株予約権にかかる付与株式数についてのみ行われ、調整の結果生じる1株未満の端数は切り捨てるものとする。
(5) 付与株式数の調整を行うときは、当社は調整後付与株式数を適用する日の前日までに、必要な事項を新株予約権原簿に記載された各新株予約権者に通知する。但し、適用の日の前日までに当該通知を行うことができないときには、適用の日以降、速やかに通知する。
2.(1) 各本新株予約権の行使に際して出資される財産の価額は、本新株予約権を行使することにより発行又は移転する当社普通株式1株当たりの払込金額(以下、本新株予約権において「行使価額」という。)に付与株式数を乗じた金額とする。
(2) 割当日後、当社が次の①又は②のいずれかを行う場合、行使価額をそれぞれ次に定める方法により調整し、調整の結果生じる1円未満の端数はこれを切り上げる。
① 株式の分割(無償割当てを含む。)又は株式併合を行う場合
② 割当日後に当社が合併、会社分割、株式交換又は株式移転を行う場合その他これらの場合に準じ、行使価額の調整をすることが適切な場合は、当社は必要と認める行使価額の調整を行うことができる。
(3) 行使価額の調整を行うときは、当社は調整後行使価額を適用する日の前日までに必要な事項を新株予約権原簿に記載された各新株予約権者に通知する。但し、適用の日の前日までに当該通知を行うことができないときには、適用の日以降、速やかに通知する。
3.(1) 各本新株予約権の一部を行使することはできない。
(2) 本新株予約権者が本新株予約権を放棄した場合には、かかる本新株予約権を行使することができないものとする。
(3) 新株予約権者は、新株予約権者と当社の間で締結した新株予約権割当契約(以下、本新株予約権において「新株予約権割当契約」という。)に違反した場合、本新株予約権を行使できないものとする。
(4) その他の行使の条件については新株予約権割当契約に定めるところによる(注)。
(注) 新株予約権割当契約に定められる行使の条件に関する事項の概要は、以下のとおりです。
a.新株予約権者に割り当てられた本新株予約権は、割当日から起算して、各1年後の応当日(但し、当該日が当社の営業日ではない場合には、当該日の直後の当社営業日)ごとに、当該新株予約権者に割り当てられた数の25%ずつ累積して権利確定する。
b.上記a.に従い権利確定済みの本新株予約権は、適格上場(新規上場に際して又はそれ以降に、当社の議決権の過半数に係る株式が売却されることをいう。以下本新株予約権において同じ。)をもって行使可能となり、適格上場後に権利確定する本新株予約権は、権利確定時に行使可能となる。
c.上記a.及びb.にかかわらず、支配権移転(※)が生じる場合、全ての本新株予約権が当該支配権移転の直前に権利確定し、行使可能となる。但し、当該支配権移転の発生をもって、それまでに行使されなかった本新株予約権は消滅する。なお、当社又はその子会社等は、本c.に基づく本新株予約権の行使により新株予約権者が取得した当社株式を、公正価額を対価として取得することができる。
(※)本新株予約権において、「支配権移転」とは、以下のいずれかの場合(但し、適格上場に際して又はそれ以降に行われる当社株式の譲渡その他の処分を除く。)をいう。
(a) 当社の全部又は実質的に全部の資産がBain Capital Private Equity, LP及びそのグループ会社(Bain Capital Private Equity, LP又はそのグループ会社が助言を行うファンドを含み、以下「(2) 新株予約権等の状況」において「BCPEグループ」という。)以外の第三者(以下、本新株予約権において「第三者」という。)に譲渡され、BCPEグループが当該第三者の取締役の過半数を選任する権利を有しないこととなる場合
(b) BCPEグループにより当社株式の譲渡その他の処分がなされ、当社の議決権の過半数が第三者により保有されるとともに、BCPEグループが当社の取締役の過半数を選任する権利を有しないこととなる場合
(c) 当社の第三者との合併が行われ、BCPEグループが存続会社の取締役の過半数を選任する権利を有しないこととなる場合
d.上記a.乃至c.にかかわらず、新株予約権者と当社との間の委任契約(以下、本新株予約権において「委任契約」という。)が終了した場合、本新株予約権は、以下のとおり取り扱われる。
(a) 新株予約権者による不正行為その他新株予約権割当契約に定める正当事由に基づき、委任契約が当社により終了された場合、全ての本新株予約権は直ちに消滅する。
(b) 上記(a)以外の理由に基づき委任契約が当社により終了された場合、又は新株予約権者による委任契約の終了若しくは死亡により委任契約が終了した場合、当該終了時点で権利未確定の本新株予約権は消滅するが、当該終了より前に権利確定済みの本新株予約権は、引き続き権利確定済みのまま残存する。
e.新株予約権者が新株予約権割当契約、発行要項又は当社若しくはその子会社等との間の競業避止その他一定の事項に関する合意に違反した場合、当社は、本新株予約権を消滅させ又は当該新株予約権者による本新株予約権の行使を制限することができる。
4.当社が、合併(当社が合併により消滅する場合に限る。)、吸収分割若しくは新設分割(それぞれ当社が分割会社となる場合に限る。)又は株式交換若しくは株式移転(それぞれ当社が完全子会社となる場合に限る。)(以上を総称して、以下、本新株予約権において「組織再編行為」という。)をする場合には、組織再編行為の効力発生日(吸収合併につき吸収合併がその効力を生ずる日、新設合併につき新設合併設立株式会社の成立の日、吸収分割につき吸収分割がその効力を生ずる日、新設分割につき新設分割設立株式会社の成立の日、株式交換につき株式交換がその効力を生ずる日及び株式移転につき株式移転設立完全親会社の成立の日をいう。以下、本新株予約権において同じ。)の直前において残存する新株予約権(以下、本新株予約権において「残存新株予約権」という。)を保有する新株予約権者に対し、それぞれの場合につき、会社法第236条第1項第8号イからホまでに掲げる株式会社(以下、本新株予約権において「再編対象会社」という。)の新株予約権をそれぞれ交付することとする。この場合においては、残存新株予約権は消滅し、再編対象会社は新株予約権を新たに発行するものとする。但し、以下の各号に沿って再編対象会社の新株予約権を交付する旨を、吸収合併契約、新設合併契約、吸収分割契約、新設分割計画、株式交換契約又は株式移転計画において定めることを条件とする。
(1) 交付する再編対象会社の新株予約権の数
新株予約権者が保有する残存新株予約権の数と同一の数をそれぞれ交付する。
(2) 新株予約権の目的である再編対象会社の株式の種類
再編対象会社の普通株式とする。
(3) 新株予約権の目的である再編対象会社の株式の数
組織再編行為の条件等を勘案の上、上記「新株予約権の目的となる株式の種類、内容及び数」及び上記(注)1に準じて決定する。
(4) 新株予約権の行使に際して出資される財産の価額
交付される各新株予約権の行使に際して出資される財産の価額は、組織再編行為の条件等を勘案の上、上記「新株予約権の行使時の払込金額」及び上記(注)2に準じて決定された金額とする。
(5) 新株予約権を行使することができる期間
上記「新株予約権の行使期間」に定める新株予約権を行使することができる期間の開始日と組織再編行為の効力発生日のうちいずれか遅い日から、上記「新株予約権の行使期間」に定める新株予約権を行使することができる期間の満了日までとする。
(6) 新株予約権の行使により株式を発行する場合における増加する資本金及び資本準備金に関する事項
上記「新株予約権の行使により株式を発行する場合の株式の発行価格及び資本組入額」に準じて決定する。
(7) 譲渡による新株予約権の取得の制限
譲渡による新株予約権の取得については、再編対象会社株主総会(取締役会設置会社である場合には取締役会)の決議による承認を要するものとする。
(8) 新株予約権の取得条項
定めない。
(9) 新株予約権の行使の条件
上記(注)3に準じて決定する。
5.2016年9月9日開催の取締役会決議により、2016年9月30日付で普通株式1株を100株に分割しております。これにより「新株予約権の目的となる株式の種類、内容及び数」、「新株予約権の行使時の払込金額」及び「新株予約権の行使により株式を発行する場合の株式の発行価格及び資本組入額」が調整されております。
該当事項はありません。
(注) 新株予約権の行使によるものであります。
(注) 自己株式2,285,835株は、「個人その他」に22,858単元、「単元未満株式の状況」に35株含まれております。
2023年6月30日現在
(注) 1.日本マスタートラスト信託銀行株式会社(信託口)の所有株式のうち、信託業務に係る株式数は6,845,100株であります。なお、それらの内訳は、年金信託設定分1,015,200株、投資信託設定分2,361,700株、管理有価設定分3,468,200株となっております。
2.株式会社日本カストディ銀行(信託口)の所有株式のうち、信託業務に係る株式数は5,189,600株であります。なお、それらの主な内訳は、年金信託設定分101,600株、投資信託設定分4,510,600株、管理有価設定分574,400株となっております。
3.2023年1月16日付で公衆の縦覧に供されている大量保有報告書において、ノルウェー銀行が2023年1月6日現在で以下の株式を保有している旨が記載されているものの、当社として2023年6月30日現在における実質所有株式の数が確認できませんので、上記大株主の状況には含めておりません。
なお、大量保有報告書の内容は以下のとおりです。
4.2023年3月2日付で公衆の縦覧に供されている変更報告書において、スパークス・アセット・マネジメント株式会社が2023年2月28日現在で以下の株式を保有している旨が記載されているものの、当社として2023年6月30日現在における実質所有株式の数が確認できませんので、上記大株主の状況には含めておりません。
なお、変更報告書の内容は以下のとおりです。
5.2023年4月7日付で公衆の縦覧に供されている変更報告書において、インダス・キャピタル・パートナーズ・エル・エル・シーが2023年3月31日現在で以下の株式を保有している旨が記載されているものの、当社として2023年6月30日現在における実質所有株式の数が確認できませんので、上記大株主の状況には含めておりません。
なお、変更報告書の内容は以下のとおりです。
6.2023年5月23日付で公衆の縦覧に供されている変更報告書において、グランサム、マヨ、ヴァン オッテルロー アンド カンパニー エルエルシーが2023年5月16日現在で以下の株式を保有している旨が記載されているものの、当社として2023年6月30日現在における実質所有株式の数が確認できませんので、上記大株主の状況には含めておりません。
なお、変更報告書の内容は以下のとおりです。
7.2023年5月29日付で公衆の縦覧に供されている変更報告書において、トライヴィスタ・キャピタル株式会社が2023年5月22日現在で以下の株式を保有している旨が記載されているものの、当社として2023年6月30日現在における実質所有株式の数が確認できませんので、上記大株主の状況には含めておりません。
なお、変更報告書の内容は以下のとおりです。
8.2023年6月6日付で公衆の縦覧に供されている変更報告書において、三井住友トラスト・アセットマネジメント株式会社及び日興アセットマネジメント株式会社が2023年5月31日現在でそれぞれ以下の株式を保有している旨が記載されているものの、当社として2023年6月30日現在における実質所有株式の数が確認できませんので、上記大株主の状況には含めておりません。
なお、変更報告書の内容は以下のとおりです。