サイオス株式会社
(注) 1.第22期、第23期、第24期及び第25期の潜在株式調整後1株当たり当期純利益については、希薄化効果を有している潜在株式が存在しないため記載しておりません。また、第26期の潜在株式調整後1株当たり当期純利益については、1当たり当期純損失であり、また、潜在株式が存在しないため記載しておりません。
2.第26期の自己資本利益率については、親会社株主に帰属する当期純損失であるため記載しておりません。
3.第26期の株価収益率については、1株当たり当期純損失であるため記載しておりません。
4.「収益認識に関する会計基準」(企業会計基準第29号 2020年3月31日)等を第26期の期首から適用しており、第26期に係る主要な経営指標等については、当該会計基準等を適用した後の指標等となっております。
(注) 1.第25期の1株当たり配当額15円には、設立25周年記念配当5円を含んでおります。
2.第22期の潜在株式調整後1株当たり当期純利益については、希薄化効果を有している潜在株式が存在しないため記載しておりません。また、第23期、第24期、第25期及び第26期の潜在株式調整後1株当たり当期純利益については、潜在株式が存在しないため記載しておりません。
3.「収益認識に関する会計基準」(企業会計基準第29号 2020年3月31日)等を第26期の期首から適用しており、第26期に係る主要な経営指標等については、当該会計基準等を適用した後の指標等となっております。
4.最高株価及び最低株価は、2022年4月3日以前は東京証券取引所市場第二部、2022年4月4日以降は東京証券取引所スタンダード市場におけるものであります。
当社グループは、当社、連結子会社3社、関連会社4社の合計8社で構成されており、オープンソースソフトウェア(*1)(以下、OSS)を軸に、アプリケーションやOS(基本ソフトウェア)、クラウドを加えたITシステムの開発/基盤構築/運用サポート等の事業を展開し、新たな領域での研究開発に取り組み、新たな価値創造とその提供に取り組んでいます。
なお、当社は有価証券の取引等の規制に関する内閣府令第49条第2項に規定する特定上場会社等に該当しており、これにより、インサイダー取引規制の重要事実の軽微基準については連結ベースの数値に基づいて判断することとなります。
当社グループの事業は、「オープンシステム基盤事業」と「アプリケーション事業」の2事業で構成されています。各事業の内容は、次のとおりです。
(オープンシステム基盤事業)
当事業においては、ITシステムの障害時のシステムダウンを回避できるソフトウェア「LifeKeeper」(*2)、Red Hat, Inc.関連商品(*3)をはじめとするOSS関連商品の販売、並びにOSSに関するさまざまな問い合わせに対応するサービス「サイオスOSSよろず相談室」、各種情報システム向けコンサルティングサービス等を行っています。
(アプリケーション事業)
当事業においては、MFP向けソフトウェア(*4)製品、金融機関向け製品・サービス、業務効率化等を支援するクラウドサービスの「Gluegentシリーズ」(*5)、企業情報システムの受託開発、各種情報システム向けコンサルティングサービス等を行っています。
事業の系統図は、次ページのとおりです。
(*1)オープンソースソフトウェア
ソフトウェアの設計図にあるソースコードを無償で公開し、使用・改良・再配布可能なソフトウェア。
(*2)LifeKeeper
本番稼働のサーバーとは別に同じ環境の予備サーバーを待機させ、万が一の障害の際には自動的に予備サーバーに業務を引き継がせる役割を担うソフトウェア。
(*3)Red Hat, Inc.関連商品
オープンソースソフトウェア&サービス・プロバイダーRed Hat, Inc.が開発するオープンソースの製品。
(*4)MFP向けソフトウェア
プリンタ、スキャナー、コピー、FAX等複数の機能を搭載した機器をMFP(Multifunction Peripheralの略)という。MFP上で利用できる文書管理ソフトウェア「Quickスキャン」「Speedoc」等。
(*5)Gluegentシリーズ
IDの管理をクラウドで行うサービス「Gluegent Gate」をはじめ、クラウド型ワークフローの「Gluegent Flow」、Google Calendarにチームメンバーの予定管理機能等を付加した「Gluegent Appsグループスケジューラ」等、企業におけるクラウドを利用した業務効率化等を支援するサービス。
[事業系統図]

2022年12月31日現在
(注) 1.当社の特定子会社であります。
2.サイオステクノロジー株式会社については、売上高(連結会社相互間の内部売上高を除く。)の連結売上高に占める割合が10%を超えております。
(1) 連結会社の状況 2022年12月31日現在
(注) 1.サイオステクノロジー株式会社においては、同一の従業員が複数の事業に従事しており、区分ができないため、合計人数を記載しております。
2.従業員数は就業人員(当社グループから当社グループ外への出向者を除き、当社グループ外から当社グループへの出向者を含むほか、常用パートを含んでおります。)であり、役員を含んでおりません。
3.臨時雇用者数(パートタイマー、人材会社からの派遣社員、契約社員を含みます。)は、平均人員を( )外数で記載しております。
(2) 提出会社の状況 2022年12月31日現在
(注)1.従業員数は就業人員(当社から社外への出向者を除き、社外から当社への出向者を含むほか、常用パートを含んでおります。)であり、役員を含んでおりません。
2.臨時雇用者数(パートタイマー、人材会社からの派遣社員、契約社員を含みます。)は、平均人員を( )外数で記載しております。
労働組合は結成されておりませんが、労使関係は円満に推移しております。
文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において、当社グループが判断したものです。
当社グループは、「世界中の人々のために、不可能を可能に。」をミッションと定め、イノベーションによって人々の課題を解決し、より良い社会の実現に貢献することを経営の基本方針としています。
当社グループは、継続的なキャッシュ・フローの創出のため、EBITDA及びROICを経営指標としています。このキャッシュ・フローは、当社グループ成長のための源泉(Driving Force)である「人材」「研究開発」「イノベーションを生み出す企業カルチャー」への投資、及び株主・ステークホルダーへの還元の原資とし、これらの活動を通じて経営の基本方針の実現を目指します。
当社グループは、上述のミッションを実現するための経営戦略として、①人材の採用・育成、②研究開発への継続的な投資、③イノベーションを生み出す企業カルチャーの醸成に注力してまいります。
① 人材の採用・育成
少子化高齢化により国内の労働人口が減少する中、優秀な人材の採用競争が激化しています。このような中、当社グループは、キャリア採用及び新規学卒者採用はもとより、グローバル人材採用を強化する等、幅広い人材の確保に取り組んでいます。また、障がい者雇用の拡大にも取り組み、多様かつ包摂的な職場環境の実現に取り組んでまいります。
さらに当社グループは、従業員がその能力を存分に発揮できる環境を整えるとともに、一人ひとりの考え・個性を尊重し、お互いを高め合いながらチームとしてパフォーマンスを最大化させるための人事制度を導入しております。今後も人材育成への投資を強化し、従業員の成長を支援してまいります。
② 研究開発への継続的な投資
デジタルトランスフォーメーション(DX)(*6)への投資が加速する中、当社グループが属するIT業界においては、各企業におけるクラウド環境への移行、業務プロセスの効率化や自動化への取り組み等、DXを推進する製品・サービスの提供が必要とされています。
当社グループは、このような環境下で、引き続き競争力のある製品・サービスを生み出していくには、研究開発への継続的な投資が課題であると考えております。クラウド関連等を中心に研究開発を継続し、既存及び新規の製品・サービスの強化を行ってまいります。
③ イノベーションを生み出す企業カルチャーの醸成
当社グループは、「人がやらないことをやる」という既成概念への挑戦が創業以来のカルチャーであり、イノベーションを生み出す源泉となると考えております。
このため、当社グループの行動規範である「SIOS Values 2.0」の実践を励行し、リモートワークへの取り組みをはじめ、多様な働き方が選択できる制度の充実、グループ内SNS等によるコミュニケーションの活性化、社外の技術コミュニティーとの積極的な交流等を実施しております。また、「SIOS Sustainability Project」という社会貢献活動を通じて、持続可能な社会の実現の一助となることを目指しております。これらの取り組みを通じて、イノベーションを生み出す企業カルチャーの醸成に努めてまいります。
(*6)デジタルトランスフォーメーション(DX)
企業がビジネス環境の激しい変化に対応し、データとデジタル技術を活用して、顧客や社会のニーズを基に、製品やサービス、ビジネスモデルを変革するとともに、業務そのものや組織、プロセス、企業文化・風土を変革し、競争上の優位性を確立すること。
当社グループの対処すべき課題は、以下の通りと認識しております。
① 収益基盤の改善
当社グループは、オンプレミス向けの製品・サービスの売上高比率が高いため、顧客の投資計画や電子部品の需給状況等の外部要因によって、業績が大きく変動してしまう傾向にあります。このような状況を踏まえ、当社グループは抜本的な事業構造改革を実施するとともに、SaaSや「LifeKeeper」のサブスクリプションモデルといったクラウド関連事業を拡大することにより、収益基盤の改善を図る方針です。
② 研究開発への継続的な投資
前述の通り、DXへの投資が加速する中、引き続き競争力のある製品・サービスを生み出していくには、研究開発への継続的な投資が課題であると考えております。業績に応じて研究開発投資の選択と集中を図り、特にクラウド関連等の研究開発を継続することにより、ユーザーの期待に応える新製品・サービスを提供してまいります。
③ 人材の確保・育成
当社グループが今後成長していくための競争力の維持、強化には、次世代を見据えた新しい技術開発が必要であり、それを実現するための優秀な人材の確保と育成が重要な課題であると考えております。IT技術者をはじめとする多様な「人材」を成長のための源泉と位置付け、積極的な採用活動を行っていくとともに、高いモチベーションを持って働ける環境を整備することで、競争力の維持、強化に努めてまいります。
④ サステナビリティへの取り組み
当社グループでは、自らの事業活動の環境や社会への影響、ステークホルダーの期待や社会要請に鑑み、「サステナビリティ重点課題」を設定し、各課題への取り組みを推進しています。現在設定している課題は、「社会の課題を見据えたサービスの開発」「地球環境に配慮した活動」「ライフスタイルの多様化への配慮」です。これらの課題に対して、当社はグループ会社の製品・サービスの提供等を通じて、各課題の解決に努めてまいります。
以下において、当社グループの事業展開上のリスクについて投資家の判断に重要な影響を及ぼすと考えられる主な事項を記載しています。また、必ずしもそのようなリスク要因に該当しない事項についても、投資判断上あるいは当社グループの事業活動を理解する上で重要であると考えられる事項については、投資家に対する積極的な情報開示の観点から記載しています。
当社グループは、これらのリスク発生の可能性を認識した上で、発生の回避及び発生した場合の対応に努める所存ですが、当社株式に関する投資判断は、本項及び本書中の本項目以外の記載内容も併せて、慎重に検討した上で行われる必要があると考えています。なお、以下の記載は当社株式への投資に関連するリスクを全て網羅するものではありませんので、ご留意下さい。
また、ここで記載する各リスクが顕在化する可能性の程度や時期、各リスクが顕在化した場合に当社グループの財政状態、経営成績等に与える影響については、合理的に算出することができないため、記載しておりません。
① ソフトウェアの知的財産権について
一部の企業では、一般に公開されているフリーソフトウェア及びOSSが、当該企業の保有する著作権や特許等の知的財産権を侵害していることを主張しています。
当社グループは、このような訴訟行為を取っている企業の動向を注視してまいりますが、万が一、そのような主張が認められる事態になった場合は、当社グループのOSS関連ビジネスの見直しを余儀なくされ、当社グループの財政状態及び業績に影響を及ぼす可能性があります。
また、当社グループは、当社にて開発したソフトウェアの販売を行っており、これまで著作権や特許権等の知的財産権に関して損害賠償や使用差止等の請求を受けたことはありませんが、当社グループの事業分野における著作権や特許権等の知的財産権の現況を完全に把握することは困難であり、当社グループが把握できないところで他者が持つ著作権や特許権等の知的財産権を侵害しているリスクがあります。今後、当社グループの事業分野における第三者の知的財産権が新たに成立する可能性もあります。これらにより、損害賠償又は使用差止等の請求を受ける可能性があり、その場合当社グループの財政状態及び業績に影響を及ぼす可能性があります。
② 競合について
IT産業は、厳しい競合状況にあり、大小のシステムインテグレーター、コンピュータメーカー、ソフトウェア・ベンダーが、各々の得意な業務分野、技術領域及び経験や実績のある産業分野を中心に事業活動を展開しています。
当社グループは、開発体制や営業体制等の更なる強化に努める方針ですが、既存の競合企業との競争及び競争力のある新規企業の参入等により、当社グループの優位性が薄れた場合には、当社グループの財政状態及び業績に影響を及ぼす可能性があります。
③ 新規事業について
当社グループは、世界的な情報技術産業を舞台として事業を展開しています。当該市場では、日々新技術が誕生しており、この環境下で当社グループの事業を継続し続けるためには、新たな市場のニーズに対応した事業の創出や子会社、関連会社の設立、並びに新製品・サービスの開発を積極的に展開する必要があります。しかしながら、社内外の事業環境の変化等によって、これらを計画通り進められない場合には、計画の見直し(開発計画の変更や、マーケティング計画の変更等)を行う可能性があります。また、事業計画上の採算が取れないと判断した場合には、これらを中断する可能性もあります。
当社グループが新たな事業の創出や、新製品・サービスを開発するためには、投資が先行する場合があります。万が一、先行投資資金が確保できない場合には、これらを計画通りに遂行できない可能性があり、当社グループの財政状態及び業績に影響を及ぼす可能性があります。
④ 為替相場の変動について
当社グループの一部製品・商品において、外貨建による売上、仕入を行っていること、また、連結財務諸表において海外子会社の収益や資産を円換算していることに伴い、為替相場の変動が当社グループの財政状態及び業績に影響を及ぼす可能性があります。なお、当社は当該リスクを回避するために有効な方策を採っていますが、予想以上の為替変動等により、当該リスクを回避することができなかった場合には、当社グループの財政状態及び業績に影響を及ぼす可能性があります。
⑤ 当社グループの事業体制について
1) 人材の確保について
当社グループが今後成長していくためには、オープンシステム基盤事業、アプリケーション事業において、次世代を見据えた新しい技術開発が必要であり、優秀な人材の確保と育成が重要な課題と認識しています。これまで、当社グループでは、人材の確保を最優先し、常に適正な人員構成を保つことに努めてまいりました。
しかしながら、万が一、人材採用及び育成が計画通り遂行できない場合には、当社の事業体制が脆弱になり、当社グループの事業戦略及び業績に悪影響を及ぼす可能性があります。
2) 特定人物への依存について
当社グループの事業の推進者は、代表取締役社長である喜多伸夫です。当社グループの経営方針及び経営戦略全般の決定等における同氏の役割は大きく、当社グループは同氏に対する依存度が高いと認識しています。
現在、事業規模の拡大に伴い、当社グループは経営組織内の権限委譲や人員を拡充し、経営組織の強化を推進する一方、事業分野の拡大に応じて諸分野の専門家、経験者を入社させ、組織力の向上に努めています。また、日常の業務執行面では執行役員等で構成される「執行役員会」を設置するなど、日常業務における審議機能を持たせることで同氏個人の能力に過度に依存しない体制を構築しています。
今後も、同氏に過度に依存しない経営体制の構築を進めるべく優秀な人材を確保し、役職員の質的レベルの向上に注力していく方針です。しかし、計画どおりの体制構築及び人材強化が達成される前に、同氏が何らかの理由で当社グループの経営に携わることが困難となった場合、当社グループの事業戦略及び業績に悪影響を及ぼす可能性があります。
⑥ 企業買収、戦略的提携について
当社グループは、事業拡大の過程において、企業買収、戦略的提携等により他社への出資を行っていく可能性があります。このような意思決定の際には、対象企業の事業内容や契約関係、財務内容等について、詳細なデューデリジェンスを行ってリスクを回避するよう十分検討を行いますが、企業買収や戦略的提携後に偶発債務・未認識債務等の発生や予想外の業績悪化、施策が予定どおり成果をあげることができなかったなどの場合には、当社グループの財政状態及び業績に影響を及ぼす可能性があります。
⑦ 大規模災害、パンデミック等について
当社グループでは、災害等に備え、定期的に設備等の点検や防災訓練を行っておりますが、当社グループ所在地近辺において、大規模な天災や人災が発生した場合、人的・物的損害等により事業継続に支障をきたす事象が発生し、当社グループの財政状態及び業績に影響を及ぼす可能性があります。
また、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)に関し、当社グループでは感染防止と事業継続の体制維持のため、従業員については原則、在宅勤務としております。しかし、さらなる感染拡大によって事業継続に支障をきたす事象が発生した場合には、当社グループの財政状態及び業績に影響を及ぼす可能性があります。
⑧ システムリスクについて
当社グループの事業はコンピュータシステム、クラウドサービスや通信ネットワークに依存しております。そのため、システム障害の発生やサイバー攻撃によるシステムダウン等を回避すべく、システムの稼働状況の監視、システムの二重化、バックアップ、各種セキュリティ対策等により未然防止策を実施しております。しかし、このような対応にもかかわらず、大規模なシステム障害の発生、サイバー攻撃、不正アクセス、コンピュータウィルスの侵入等により、コンピュータシステムの停止、重要データの流出・破壊・改ざん等が生じた場合には、当社グループの財政状態及び業績に影響を及ぼす可能性があります。
⑨ システム開発・構築支援事業について
当社グループにおけるシステム開発・構築支援事業では、案件を受注する前に徹底的な審査を行っております。しかし、受注後にプロジェクトの進行が遅延した場合は、コストの増加・機会費用の発生・遅延損害金の発生等により、当社グループの財政状態及び業績に影響を及ぼす可能性があります。
⑩ 金融機関向け経営支援システム販売事業について
当社グループにおける金融機関向け経営支援システム販売事業は、大型案件の受注動向により業績が大きく変動します。今後、サブスクリプション(*7)ビジネスの新規導入等により収益構造の改善を図っていく方針ですが 、当面は当該事業の大型案件の受注動向が、当社グループ全体の財政状態及び業績に影響を及ぼす可能性があります。
(*7)サブスクリプション
ソフトウェア等の製品・サービスの提供に対して、定期的に定額課金または従量課金するモデル。
⑪ 株式会社大塚商会との関係
株式会社大塚商会(以下、大塚商会)は、2022年12月31日現在で、当社所有の自己株式を除く発行済株式の18.38%を所有している筆頭株主です。当社グループと大塚商会とは、取引関係においては、緊密な関係にありますが、資金調達面や事業運営面での制約はなく、当社グループの責任のもと意思決定を行っており、経営の独立性は確保されています。今後も同社との取引拡大を図る方針ですが、万が一、何らかの理由により、同社との連携に問題が生じた場合、あるいは同社の経営方針の変更等により、当社グループへの協力体制が変更された場合は、当社グループの財政状態及び業績に影響を与える可能性があります。
⑫ 経営上の重要な契約について
当社グループの事業におきましては、以下の契約を「経営上の重要な契約」と認識しています。この契約が相手方の事業環境の変化等により円滑に更新されなかった場合には、当社グループの財政状態及び業績に大きな影響を与える可能性があります。
契約会社名:サイオステクノロジー株式会社
相手方の名称:レッドハット株式会社(Red Hat, Inc.の子会社)
契約期間:2010年10月1日から1年間(以後、1年ごとの自動更新)
契約の内容:レッドハット株式会社の製品等を販売する契約(「Distribution契約」)
(1) 経営成績等の状況の概要
当連結会計年度における当社グループ(当社、連結子会社及び持分法適用会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。
当連結会計年度においては、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)、ウクライナ情勢の悪化の影響により、物価上昇と円安が同時に進行したほか、半導体をはじめとする電子部品の供給が不足するなど、世界経済は依然として先行き不透明感の強い状況にあります。
このような状況において多くの企業は、変化の激しい社会情勢に適応すべくクラウド環境への移行を始めとしたデジタルトランスフォーメーション(DX)に向けて積極的に投資しております。当社グループは顧客のDXに資する最適なソリューションを提供できるよう、オープンソースソフトウェアの高い技術力や幅広い知見を基に、クラウド関連製品・サービスの提供、SaaS(*8)事業の強化に取り組んでおります。
当連結会計年度の財政状態及び経営成績は以下のとおりとなりました。
(a) 財政状態
当連結会計年度末の資産合計は、前連結会計年度末から627百万円減少し、6,022百万円(前連結会計年度末比9.4%減)となりました。当連結会計年度末の負債合計は、前連結会計年度末から26百万円増加し、4,778百万円(同0.6%増)となりました。当連結会計年度末の純資産合計は、前連結会計年度末から654百万円減少し、1,243百万円(同34.5%減)となりました。
イ 資産
流動資産は、現金及び預金の減少643百万円等の要因により、5,195百万円(前連結会計年度末比10.0%減)となりました。
固定資産は、繰延税金資産の減少57百万円、差入保証金の減少45百万円等の要因により、827百万円(同5.5%減)となりました。
この結果、総資産は、6,022百万円(同9.4%減)となりました。
ロ 負債
流動負債は、契約負債の増加361百万円等の要因により、4,337百万円(前連結会計年度末比1.6%増)となりました。
固定負債は、長期借入金の減少66百万円等の要因により、441百万円(同8.6%減)となりました。
この結果、負債合計は、4,778百万円(同0.6%増)となりました。
ハ 純資産
純資産合計は、利益剰余金の減少761百万円等の要因により、1,243百万円(前連結会計年度末比34.5%減)となりました。
(b) 経営成績
当連結会計年度における売上高は14,420百万円(前年同期比8.3%減)、営業損失は572百万円(前年同期は358百万円の利益)、経常損失は499百万円(前年同期は400百万円の利益)、親会社株主に帰属する当期純損失は639百万円(前年同期は367百万円の利益)となりました。
なお、「収益認識に関する会計基準」(企業会計基準第29号 2020年3月31日。以下「収益認識会計基準」。)等の適用により、当連結会計年度の売上高は489百万円減少、営業利益、経常利益はそれぞれ22百万円増加、親会社株主に帰属する当期純利益は26百万円増加しております。
当社グループの重視する経営指標であるEBITDA(営業利益+減価償却費+のれん償却額)は△469百万円(前年同期は448百万円)、ROIC(営業利益×(1-実効税率)÷(株主資本+有利子負債))は△25.1%(前年同期は10.0%)となりました。
イ 売上高
オープンシステム基盤事業の売上高は8,716百万円(前年同期比9.1%減)、アプリケーション事業の売上高は5,691百万円(前年同期比7.2%減)となりました。全体としては、14,420百万円(前年同期比8.3%減)となりました。
ロ 売上総利益
売上総利益は、減収により4,666百万円(前年同期比4.5%減)となりました。
ハ 営業利益
販売費及び一般管理費は、人件費及び研究開発費の増加等により、前年同期と比べ713百万円増加し、5,239百万円となりました。この結果、営業損失は572百万円(前年同期は358百万円の利益)となりました。
二 経常利益
デリバティブ評価益、持分法による投資利益等の計上により営業外収益は146百万円、為替差損等の計上により営業外費用は72百万円となりました。この結果、経常損失は499百万円(前年同期は400百万円の利益)となりました。
ホ 税金等調整前当期純利益
固定資産除却損、減損損失の計上により特別損失は43百万円となりました。この結果、税金等調整前当期純損失は542百万円(前年同期は396百万円の利益)となりました。
ヘ 親会社株主に帰属する当期純利益
法人税等で97百万円を計上した結果、親会社株主に帰属する当期純損失は639百万円(前年同期は367百万円の利益)となりました。
当社グループは経営指標としてEBITDA、ROICを重視しており、中期経営計画において、それぞれの目標値を掲げています。2022年度は、EBITDAが目標の220百万円に対して△469百万円、ROICが目標の3.0%に対して△25.1%と、いずれも目標に対して未達成となりました。主な要因としては、半導体不足によるハードウェア等の納期遅延により顧客の投資計画に遅延や見直しが生じている影響を受けたこと、利益率の高い自社製品の売上高が想定を下回ったこと等が挙げられます。
また、各セグメントの経営成績は、次のとおりとなりました。
(オープンシステム基盤事業)
主力自社製品である「LifeKeeper」は国内におけるライセンス販売が減少したものの、米州及びアジア・オセアニア地域は増収となりました。一方、Red Hat Enterprise Linux)をはじめとするRed Hat, Inc.関連商品)は、半導体不足によるハードウェア等の納期遅延により顧客の投資計画に遅延や見直しが生じている影響を受けて大型案件の受注が減少したため、大幅な減収となりました。これらにより、売上高は8,716百万円(前年同期比9.1%減)となりました。
利益面では、減収に加えて人件費が増加したため、セグメント損失は13百万円(前年同期は352百万円の利益)となりました。
なお、収益認識会計基準等の適用による影響はありません。
(アプリケーション事業)
「Gluegentシリーズ」、MFP向けソフトウェア製品は堅調な増収となりました。一方、半導体不足によるハードウェア等の納期遅延により顧客の投資計画に遅延や見直しが生じている影響を受けて、金融機関向け経営支援システム販売が減収となりました。また、収益認識会計基準等の適用による影響もあり、売上高は5,691百万円(前年同期比7.2%減)となりました。
利益面では、減収に加えて人件費が増加したこと、Med Tech(*9)事業を中心に新製品・サービスへの投資を強化したことにより、セグメント損失は570百万円(前年同期は4百万円の利益)となりました。
なお、収益認識会計基準等の適用により、当連結会計年度の売上高は489百万円減少、セグメント利益は22百万円増加しております。
(*8)SaaS
Software as a Serviceの略。ソフトウェアをクラウドサービスとして提供すること。
(*9)Med Tech
Medical(医療)とTechnology(技術)を組み合わせた造語。
当連結会計年度における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)の残高は、前連結会計年度末に比べ643百万円減少し2,505百万円となりました。
当連結会計年度に係る区分ごとのキャッシュ・フローの状況は以下のとおりであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
税金等調整前当期純損失542百万円、未払消費税等の減少144百万円等の要因により、営業活動により使用した資金は370百万円(前年同期は587百万円の獲得)となりました。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資有価証券の取得による支出45百万円等の要因により、投資活動により使用した資金は107百万円(前年同期は58百万円の獲得)となりました。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
配当金の支払129百万円、長期借入金の返済109百万円等の要因により、財務活動により使用した資金は245百万円(前年同期は267百万円の使用)となりました。
当連結会計年度の生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
当連結会計年度の仕入実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
当連結会計年度の受注実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
当連結会計年度の販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
(注)1.セグメント間の内部売上高又は振替高を除いた外部顧客に対する売上高を記載しております。
2.最近2連結会計年度の主要な販売先及び当該販売実績の総販売実績に対する割合は次のとおりであります。
(2) 経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。
当社グループは、我が国における一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき連結財務諸表を作成しております。この連結財務諸表の作成に当たりましては、過去の実績や状況に応じ合理的と考えられる要因に基づき、見積り及び判断を行っているものがあります。このため、実際の結果は、見積り特有の不確実性があるため、見積りと異なる場合があります。
当社グループの財務諸表で採用する重要な会計方針は、「第5 経理の状況」に記載しておりますが、次の重要な会計方針が財務諸表作成における重要な判断と見積りに大きな影響を及ぼすと考えております。
なお、新型コロナウイルス感染症の影響については、「第5 経理の状況 1.連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項(追加情報)」に記載の通りであります。
(a) 貸倒引当金
当社グループでは、得意先の業績悪化等による債権の貸倒れによる損失に備えるため、一般債権については貸倒実績率により、また貸倒懸念債権等特定の債権については、個別に回収可能性を検討しております。
(b) 受注損失引当金
受注契約に係る将来の損失に備えるため、当連結会計年度末時点で将来の損失が見込まれ、かつ、当該損失金額が合理的に見積ることが可能なものについて、翌連結会計年度以降に発生が見込まれる損失額を受注損失引当金として計上しております。しかしながら、予定費用を著しく超過した場合、受注損失又は追加の引当金計上が必要となる可能性があります。
(c) 退職給付に係る会計処理の方法
当社及び一部の国内連結子会社は、退職給付に係る負債及び退職給付費用の計算に、退職給付に係る期末自己都合要支給額を退職給付債務とする方法を用いた簡便法を適用しております。
また、一部の国内連結子会社は、企業年金制度については、直近の年金財政計算上の数理債務をもって退職給付債務とする方法を用いた簡便法を適用しております。
(d) 繰延税金資産
当社グループは、繰延税金資産の回収可能性を評価するに際して将来の課税所得を合理的に見積っております。繰延税金資産の回収可能性は将来の課税所得の見積りに依存しますので、その見積りが減少した場合は繰延税金資産が減額され、税金費用が計上される可能性があります。
(e)固定資産の減損処理
当社は、固定資産のうち減損の兆候がある資産又は資産グループについて、当該資産又は資産グループから得られる割引前将来キャッシュフローの総額が帳簿価額を下回る場合には、帳簿価額を回収可能価額まで減額し、当該減少額を減損損失として計上しております。減損の兆候の把握、減損損失の認識及び測定に当たっては慎重に検討しておりますが、事業計画や市場環境の変化により、その見積り額の前提とした条件や仮定に変更が生じ減少した場合、減損処理が必要となる可能性があります。
当社グループの当連結会計年度の経営成績の分析については、「(1) 経営成績等の状況の概要 ① 財政状態及び経営成績の状況」に記載のとおりであります。
当社グループの当連結会計年度の財政状態の分析については、「(1) 経営成績等の状況の概要 ① 財政状態及び経営成績の状況」に記載のとおりであります。
当社グループは、事業に必要な資金を安定的に確保することを基本方針として、継続的なキャッシュ・フローの創出及びバランスシートの健全化を重視し、営業活動によるキャッシュ・フロー及び現金及び現金同等物を内部資金の源泉と考えております。当社グループの資金需要は、運転資金のほか、研究開発及びM&A等の投資資金があります。これらの資金需要に関しては、主に内部資金で賄いますが、必要に応じて金融機関からの借入等による資金調達も実施いたします。
資金の流動性については、当連結会計年度末現在において当社グループの現金及び預金残高は、2,505百万円であり、今後の営業活動によって確保されるキャッシュ・フローに加え、複数の金融機関の当座貸越契約による融資枠を設けており、十分な流動性を確保しているものと考えております。
当社グループは、継続的なキャッシュ・フローの創出のため、EBITDA及びROICを経営指標としています。キャッシュ・フローは、当社グループ成長のための源泉(Driving Force)である「人材」「研究開発」「イノベーションを生み出す企業カルチャー」への投資、及び株主・ステークホルダーへの還元の原資とします。
2022年12月31日現在
(注) 従業員数の( )は外数であり、臨時雇用者数を表示しております。
2022年12月31日現在
(注) 従業員数の( )は外数であり、臨時雇用者数を表示しております。
2022年12月31日現在
(注) 従業員数の( )は外数であり、臨時雇用者数を表示しております。
(注)「提出日現在発行数」欄には、2023年3月1日からこの有価証券報告書提出日までの新株予約権の権利行使により発行された株式数は含まれておりません。
該当事項はありません。
該当事項はありません。
(注)会社法第448条第1項の規定に基づき、資本準備金を減少し、その他資本剰余金へ振り替えたものであります。
2022年12月31日現在
(注) 自己株式205,838株は、「個人その他」に2,058単元、「単元未満株式の状況」に38株含まれております。
2022年12月31日現在
(注) 上記のほか当社所有の自己株式205,838株(2.32%)があります。
1.報告セグメントの概要
当社グループの報告セグメントは、当社の構成単位のうち分離された財務情報が入手可能であり、取締役会が、経営資源の配分の決定及び業績を評価するために、定期的に検討を行う対象となっているものです。
当社は、市場・顧客及び技術領域に応じた部門及び子会社を置き、OSやミドルウェア等のオープンシステム基盤分野と、業務アプリケーション等のアプリケーション分野において各種製品・サービス提供をしております。
したがって、当社グループは、「オープンシステム基盤事業」及び「アプリケーション事業」の2つを報告セグメントとしております。
各セグメントの事業内容は以下のとおりであります。
・オープンシステム基盤事業
当事業においては、ITシステムの障害時のシステムダウンを回避できるソフトウェア「LifeKeeper」、Red Hat, Inc. 関連商品をはじめとするOSS関連商品の販売、並びにOSSに関するさまざまな問い合わせに対応するサービス「サイオスOSSよろず相談室」、各種情報システム向けコンサルティングサービス等を行っています。
・アプリケーション事業
当事業においては、MFP向けソフトウェア製品、金融機関向け経営支援システム、クラウドサービスのSaaS「Gluegentシリーズ」、企業情報システムの受託開発、各種情報システム向けコンサルティングサービス等を行っています。