株式会社ベネフィット・ワン
(注) 1.潜在株式調整後1株当たり当期純利益については、潜在株式が存在しないため記載しておりません。
2.当社は「株式給付信託(J-ESOP)」及び「株式給付信託(BBT)」を導入しており、株主資本において自己株式として計上されている「株式給付信託(J-ESOP)」及び「株式給付信託(BBT)」に残存する自社の株式は、1株当たり純資産の算定上、期末発行済株式総数より控除する自己株式に含めており、また、1株当たり当期純利益の算定上、期中平均株式数の計算において控除する自己株式に含めております。
3.当社は、2019年3月1日を効力発生日として、普通株式1株を2株に分割しております。これに伴い、第24期の期首に当該株式分割が行われたと仮定し、1株当たり純資産及び1株当たり当期純利益を算定しております。
4.「収益認識に関する会計基準」(企業会計基準第29号 2020年3月31日)等を第27期の期首から適用しており、第27期以降に係る主要な経営指標等については、当該会計基準等を適用した後の指標等となっております。
(注) 1.第24期の1株当たり配当額25円には、記念配当6円を含んでおります。
2.潜在株式調整後1株当たり当期純利益については、潜在株式が存在しないため記載しておりません。
3.当社は「株式給付信託(J-ESOP)」及び「株式給付信託(BBT)」を導入しており、株主資本において自己株式として計上されている「株式給付信託(J-ESOP)」及び「株式給付信託(BBT)」に残存する自社の株式は、1株当たり純資産の算定上、期末発行済株式総数より控除する自己株式に含めており、また、1株当たり当期純利益の算定上、期中平均株式数の計算において控除する自己株式に含めております。
4.当社は、2019年3月1日を効力発生日として、普通株式1株を2株に分割しております。これに伴い、第24期の期首に当該株式分割が行われたと仮定し、1株当たり純資産及び1株当たり当期純利益を算定しております。
5.最高株価及び最低株価は、2022年4月4日以降は東京証券取引所プライム市場、2022年4月3日以前は東京証券取引所市場第一部、2018年11月27日以前は東京証券取引所市場第二部におけるものであります。なお、第24期については株式分割後の最高株価及び最低株価を記載しており、株式分割前の最高株価及び最低株価を括弧内に記載しております。
6.「収益認識に関する会計基準」(企業会計基準第29号 2020年3月31日)等を第27期の期首から適用しており、第27期以降に係る主要な経営指標等については、当該会計基準等を適用した後の指標等となっております。
当社グループは当社と連結子会社10社、持分法適用関連会社1社、非連結子会社1社(2023年3月末現在)で構成されております。
当社グループは、企業の福利厚生代行サービスを中心とした会員制サービス事業を主な事業として展開しておりますが、事業セグメントを集約した結果、報告すべきセグメントは会員制サービス事業のみであるため、セグメント情報の記載を省略しております。
また、当社は、親会社である株式会社パソナグループを中心とした企業グループ(以下「パソナグループ」)に属しております。
パソナグループは、人材関連事業を中心に事業展開しておりますが、当社グループは、アウトソーシング事業分野の中核の位置づけにあります。
なお、当社は親会社及び親会社の子会社である株式会社パソナを含む傘下事業会社より福利厚生のアウトソーシング等を受託する一方、傘下事業会社から人材派遣を受けております。
事業の系統図は次のとおりであります。

当社グループは、経営の効率化と従業員の満足度向上を推進する福利厚生事業を主軸に、パーソナル事業、インセンティブ事業、ヘルスケア事業、購買・精算代行事業、ペイメント事業などを行っております。
中核事業である福利厚生事業は、顧客企業が、当社の運営する「ベネフィット・ステーション」に入会することで、顧客企業の従業員(会員)が当社と提携関係にあるサービス提供企業の運営する宿泊施設やスポーツクラブ、各種学校等の福利厚生メニューを割引価格で利用できるものであります。当社グループは顧客企業から従業員数に応じた月会費を収受します。また、会員が宿泊施設等を利用した際には、加入コースに応じて補助金を支給しております。
また、予め顧客企業の従業員(会員)にポイントを付与し、会員は与えられたポイントの範囲内で、自分のニーズに合った福利厚生メニューを選べる、選択型福利厚生制度(カフェテリアプラン)の精算事務の代行も行っております。
顧客企業は、当社のサービスを利用することによって、福利厚生に関する費用負担の軽減を図るとともに、企業規模に関係なく、充実した福利厚生制度を備えることができます。
当該サービスの系統図は、次のとおりであります。
(福利厚生事業)

パーソナル事業は、主に協業先企業の顧客に向けて「ベネフィット・ステーション」のプログラムを提供するものです。プログラムのアレンジも可能であり、企業の独自商品と組み合わせること等により、企業側に新たな収益機会を提供します。会員個人から会費を収受し、協業先企業と収益をシェアしております。
インセンティブ事業は、企業のロイヤリティ・モチベーション向上施策支援として、報奨ポイントの発行・管理運営・ポイント交換アイテムを提供するものです。顧客企業は、当社の運営するプログラム(インセンティブ・ポイント)を導入し、従業員や代理店スタッフ等に対してポイントを付与します。従業員や代理店スタッフ等はポイント管理システムを通してポイントを当社が提供するアイテムと交換します。企業からは付与ポイントに相当する金銭を収受し、そのうち対象者がポイントでアイテムを購入する際のポイント代金が売上計上され、アイテム仕入代金が原価に計上されます。
ヘルスケア事業は、健康保険組合や事業主から業務委託料を収受し、健診サービスや特定保健指導、健康ポイントやストレスチェック、ワクチン接種支援等、体と心の疾病予防のための健康支援をワンストップで提供するものです。被保険者や従業員の健康増進を通じて、医療費適正化や生産性向上を支援します。
購買・精算代行事業は、近距離交通費・出張旅費・接待交際費に関する精算サービスを提供するものです。従業員の立替払いから企業一括精算に移行することで、企業のガバナンス強化・経費削減・業務効率化を支援しており、取扱高に応じた手数料収入及び決済手数料を収益源とします。また、公共料金等の支払代行や経費とりまとめを行う支店小口精算代行サービスも提供しており、取扱高に応じた手数料を収受します。
なお、人事データや健康データを管理・活用する基盤「ベネワン・プラットフォーム」上にサービスを再編成することで、福利厚生事業やヘルスケア事業等の単独ソリューション販売からプラットフォームビジネスに軸足を移しており、企業のHRDX(人事領域におけるデジタルトランスフォーメーション)を推進しております。
ペイメント事業では、当社提携先の割引サービスに関し、会員企業ごとに従業員の購買情報を取りまとめ、給与天引きの仕組みを活用して決済を行うことにより、中間マージンや広告宣伝をなくした、低コストのサービス流通に取り組んでおります。ペイメント事業において、当社は提携先のサービス提供会社から取扱高に応じた決済手数料を収受しております。
2023年3月31日現在
(注) 1.有価証券報告書の提出会社であります。
2.特定子会社であります。
3.持分は、100分の50以下でありますが、実質的に支配しているため子会社としております。
4.「議決権の所有又は被所有割合」欄の(内書)は、間接所有割合であります。
5.連結子会社であった株式会社JTBベネフィットは、2022年4月1日付で当社を存続会社とする吸収合併により消滅したため、連結の範囲から除外しております。
2023年3月31日現在
(注) 1.従業員数は、当社グループから当社グループ外への出向者を除き、当社グループ外から当社グループへの出向者及び執行役員を含む就業人員数であります。
2.従業員数欄の( )は、契約社員及びパートタイマーの期中平均雇用人員数を外数で記載しております。
3.従業員の状況については、事業の種類別セグメント及び事業の部門別は記載していないため、全社共通として記載しております。
2023年3月31日現在
(注) 1.従業員数は、当社から他社への出向者を除き、他社から当社への出向者及び執行役員を含む就業人員数であります。
2.従業員数欄の( )は、契約社員及びパートタイマーの期中平均雇用人員数を外数で記載しております。
3.平均勤続年数は総合職及び執行役員における数値であります。
4.平均年間給与は総合職及び執行役員における給与であり、賞与及び基準外賃金を含んでおります。
5.当社の報告すべきセグメントは会員制サービス事業のみであるため、セグメント区分別の記載を省略しております。
6.前事業年度末に比べ、従業員数が168名増加しております。主な要因は、株式会社JTBベネフィットとの合併によるものであります。
当社グループには労働組合はありません。なお、労使関係は円滑な関係にあり、特記すべき事項はありません。
(4) 管理職に占める女性労働者の割合、男性労働者の育児休業取得率及び労働者の男女の賃金の差異
当社グループの人事制度において、職務内容や転勤有無等の就労条件が同一である場合において、評価や賃金改定、昇格等の処遇判断において性別による差異はなく、能力及び勤務の状況等を基準に公平に処遇しております。
他方、当社グループでは人材採用の機会を広げるため、松山、淡路、長野等の地方拠点にコールセンター等のオペレーション業務を移管し、転勤のない地域限定の働き方(専任職正社員)や短時間勤務、シフト制の導入など柔軟な働き方を取り入れ、地方人材の積極的な登用を戦略的に進めてまいりました。
当社グループにおける、総合職正社員と専任職正社員(転勤のない地域限定の働き方)それぞれの就労実態は以下のとおりであります。
表①:当連結会計年度の国内における総合職正社員及び専任職正社員の就労実態
(注)算定対象に執行役員は含んでおりません。
表①のとおり、総合職正社員間の男性労働者の賃金の平均に対する女性労働者の賃金の平均の割合は81.1%、専任職正社員間における同割合は86.2%であります。男女間の賃金差異の主な要因は、男性の方が女性と比較して勤続年数が長く年齢が高くなる傾向にあり、管理職比率が高いことによるものです。
当社グループでは引き続き公平な処遇に努めるとともに、管理職層も含め、一層多様な人材の活躍推進を目指してまいります。なお、人材確保やダイバーシティ推進等、人的資本経営に関する詳細は、「第2 事業の状況 2 サステナビリティに関する考え方及び取組 (サステナビリティに関する個別テーマと取組み状況) (2)人的資本に関する取組み」をご参照ください。
また、当連結会計年度の国内において、「女性の職業生活における活躍の推進に関する法律」(平成27年法律第64号)の規定に基づき算出した「管理職に占める女性労働者の割合」「労働者の男女の賃金の差異」、及び「育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律」(平成3年法律第76号)の規定に基づき算出した「育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律施行規則」(平成3年労働省令第25号)第71条の4第1号における「男性労働者の育児休業取得率」は以下のとおりであります。
表②:当連結会計年度の国内における管理職に占める女性労働者の割合、男性労働者の育児休業取得率及び労働者の男女の賃金の差異
(注)算定対象に執行役員は含んでおりません。
主として、当社グループの地方オペレーション拠点において地域限定の働き方を選択するのは女性の方が多く、就労条件や職種・職務内容、都市部と地方の性別分布に偏りがあることが、表②における各数値の算定過程では考慮されていないため、表①及び表②における男女間の賃金の差異の数値に差異が生じております。
文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において、当社グループが判断したものであります。
(1)会社の経営の基本方針
当社グループは、「人と企業を繋ぐ 新たな価値の創造を目指し サービスの流通創造を通して 人々の心豊かな生活と 社会の発展に貢献しよう」を企業理念に、職域を中心とする会員基盤と、サービスサプライヤ(注1)のネットワーク化を進めることで、企業の経営課題解決や消費者の利用満足度向上に資する事業を展開しております。
(注1)サプライヤ:レジャー・エンタメ等福利厚生サービス提供事業者
<当社が目指す中間工程を省いた新しいサービス流通インフラの姿>

(2)中長期的な経営戦略、経営指標及び目標
足もとの経済状況は、長く続いた新型コロナウイルス感染症の影響は緩和され、企業活動や個人消費の回復が進んでおります。また、人手不足感を背景とした賃金上昇や物価高等の動きが近年にない水準で進行しております。当社グループにおきましてもコロナ禍による事業影響は概ね収束し、福利厚生事業はじめ主力各事業は追い風環境にあると認識しております。
当社グループではこうした社会経済動向をとらえ、2024年3月期から2026年3月期までの3ヵ年の中期経営計画を策定し、以下の取組みを行ってまいる考えです。
<中期経営計画の注力テーマ>
<中期経営計画の連結業績目標>
① 会員基盤拡大への取組み
企業の人事部門では、人材獲得・定着課題への対処策として、あるいは公平・公正な待遇改善施策として、今後ますます福利厚生アウトソーシングサービスの活用機会が広がっていくとみております。
当社グループでは、積極的なマーケティング投資を継続的に実施することで認知拡大に努めるとともに、短時間労働の方を対象とした「パート・アルバイト割」の提供を開始するなど、企業規模や雇用形態を問わず、幅広い層の方々に福利厚生サービスをご利用いただけるよう取組みを行ってまいる考えです。
また、当社グループでは、福利厚生やヘルスケアなど人事労務関連の多様なアウトソーシングサービスと連携して人事・健康データの管理・活用を可能とする基盤「ベネワン・プラットフォーム」を開発しており、中長期で同基盤の機能拡充や連携を進めることで顧客企業の利便性改善を図り、人と組織のパフォーマンス向上にも貢献してまいる考えです。
<会員基盤拡大への取組みに関連する経営指標及び目標>
(注2)ベネフィット・ステーションを利用した会員数を全体会員数で除して算出した割合
② 決済事業収益化への取組み
当社グループでは、福利厚生事業で培ってきた顧客企業従業員とサプライヤのネットワークを活かし、サービスマッチングで生じる決済を給与天引きの仕組みを使って代行する事業に取組んでおります。顧客企業ごとに購買情報をとりまとめて決済代行し、流通コストの低減を図ることで、顧客企業従業員、サプライヤ双方の満足向上を目指しており、この取組みによって生じる決済手数料を、中長期で当社グループの新たな収益の柱としていく考えです。
さらに将来的には、決済手数料で得られる収益を原資に、福利厚生サービスの会費単価引き下げも視野に入れており、一層の会員獲得とサービス流通拡大に取り組んでまいります。
<決済事業収益化への取組みに関連する経営指標及び目標>
③ ヘルスケアサービス拡大への取組み
健康経営や人的資本経営など、企業の人事部門では、従業員の心身健康管理への関心が高まっております。一方で、企業内においては人手不足の事情があることから、今後は、健診・保健指導等のアウトソーシングサービス活用が一層進むと見込んでおります。また、コロナ禍を経て、今後は感染症対策も健康経営のテーマになると考えております。
当社グループでは今後想定される顧客需要の高まりに機動的に応えていけるよう、福利厚生の既存顧客基盤へのサービス横展開など営業効率化に取り組んでまいります。
また、福利厚生事業に比べ遅れている健診・保健指導事業のデジタル化・標準化を進めることで、中長期で収益力改善にも取り組んでまいります。
<ヘルスケアサービス拡大への取組みに関連する経営指標及び目標>
④ 経営効率化への取組み
当社グループでは、主力の福利厚生事業で培った経営資源を多重的に有効活用しながら事業を横展開するとともに、業務の標準化やIT化等にも取り組むことで、経営効率を高めてまいりました。
中期経営計画においては、会員拡大による事業規模拡大を目指すと同時に、継続的なBPR、働き方改革等による収益構造の改善、及びソフトウエア資産等先行投資の収益寄与等による収益力向上を目指しております。
これらの取り組みを通じ、成長と経営効率化の両立を図り、売上高経常利益率及び自己資本当期純利益率(ROE)の継続的な維持・向上に努めてまいる考えです。なお、当連結会計年度において、売上高経常利益率は24.9%、ROEは30.8%でした。
⑤ サステナビリティ・ESG経営への取組み
当社グループは中期経営計画において、顧客企業の規模や雇用形態、性別等によらず、あらゆる人々に公平に福利厚生やヘルスケア等のサービスをご利用いただくことを目標に据えると同時に、新たに決済事業を立ち上げ、低コストで環境にもやさしいサービス流通の構築を目指しております。
当社グループでは、持続的な成長と企業価値向上のためには、ESG等の社会的要請の視点を事業戦略にも取り入れ、企業価値創造の取り組みを常に深化させていくことが重要であると考えております。
なお、サステナビリティ・ESG経営に関する詳細は「第2 事業の状況 2 サステナビリティに関する考え方及び取組」をご参照ください。
(当社グループのリスク管理体制)
当社では、リスクマネジメント基本規程に従ってリスク管理の責任部門を明確化し、担当役員を委員長とするリスクマネジメント委員会を設置しており、提出日現在の委員長は代表取締役副社長が務めております。リスクマネジメント委員会は、予め具体的なリスクを想定・分類するほか、危機管理に必要な体制の整備と運用にあたることで、経営に重大な影響を及ぼす危機を未然に防止するとともに万一発生した場合の被害の極小化を図っております。子会社のリスク管理については、関係会社管理規程に従って当社との間に経営管理契約を締結し、事前協議を必要とする重要事項を規定するとともに、重要な事実が発生若しくは発生することが予想される場合には速やかに当社に報告することとし、当社にてグループのリスク管理を一元的に行っております。
また、常勤取締役及び役付執行役員が出席する経営会議を原則として毎週開催し、業務執行状況やリスク情報の早期把握と迅速な対応に努めるとともに、重要なものについては取締役会に報告しております。監査部は業務の実効性や法令等の遵守状況に関する監査に加え、内部統制の有効性に関する監査を行っており、結果を取締役会に報告しております。また、日常的な内部監査・内部統制に関する情報については、デュアル・レポーティングライン体制により、経営者に対する報告とあわせ、取締役会並びに監査等委員会にも報告する仕組みとしております。これら取組みにより、取締役会が当社グループの状況や対応を適切にモニタリングできる体制を整えております。
(当社グループの経営成績等に影響を与える可能性のあるリスク)
有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、経営者が連結会社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に重要な影響を与える可能性があると認識している主要なリスクは以下のとおりであります。また、必ずしも事業上のリスクに該当しない事項につきましても、投資家の投資判断上、重要であると考えられる事項は、投資家に対する積極的な情報開示の観点から記述しております。
なお、文中における将来に関する事項は、別段の記載のない限り当連結会計年度末現在において判断したものであり、当社株式への投資に関連する全てのリスクを網羅するものではありません。
(1)当社グループ事業のオペレーションについて
①人材の確保について
当社グループには、当連結会計年度末現在において1,111名(契約社員及びパートタイマー除く)の社員が在籍しております。事業拡大に伴う業務量拡大に対応するため、今後も引き続き営業職や専門職などの採用拡充を進めてまいりますが、必要な人材を適時十分に確保できない場合には中期経営計画の進捗に影響を及ぼす可能性があります。
とりわけ、当社グループが競争上の優位性を確保し、環境変化に対応して事業を進化させ、持続的な成長を実現するためには、優秀なITエンジニアの確保及びシステム運用の内製化推進が重要と認識しており、積極的な採用活動や職場環境整備により人材の確保・定着に努めております。なお、当連結会計年度末現在における国内のITエンジニアの内製化率は26.7%であります。
また、激しい事業環境の変化に迅速かつ柔軟に対応し、持続的な成長を実現するために、人材の多様性確保に取り組んでおります。性別や国籍、採用時期の違い等によらず社員一人ひとりが最大限に能力を発揮し活躍できる環境や風土の整備を重要な経営課題ととらえ、なかでも女性の活躍推進をダイバーシティの主テーマとして短時間勤務・在宅勤務の制度化や職場復帰プログラムの提供など、仕組みや環境の整備・活用を推進しております。なお、当連結会計年度末現在における国内の女性管理職比率は39.3%であります。
人材確保や人材育成等、人的資本経営に関する詳細は、「第2 事業の状況 2 サステナビリティに関する考え方及び取組 (サステナビリティに関する個別テーマと取組み状況)(2)人的資本に関する取組み」をご参照ください。
②システムリスクについて
当社グループでは、ベネワン・プラットフォームを中核としたHRDX推進戦略のもと積極的なソフトウエア投資を実行しており、当連結会計年度末において7,358百万円のソフトウエア資産(仮勘定を含む)を計上し、引き続き機能追加やサービス連携等の追加投資を見込んでおります。これらのソフトウエア投資を行うことで、顧客企業従業員の人事・健康関連データを効率よく管理・活用するプラットフォームとしての利便性向上を図るとともに、将来の会員拡大による収益獲得や業務効率化等を実現することを目指しております。しかしながら、当該ソフトウエア資産から見込まれる将来キャッシュ・フローが当初想定を下回るなど期待した効果が得られないと判断される場合には、固定資産の減損処理等を通じ当社グループの経営成績等に影響を与える可能性があります。
当社グループでは、ソフトウエア投資の実施判断にあたっては、開発の方向性や投資方針について経営会議や取締役会などで議論を行い、職務権限及び業務分掌規程に従った機関決定手続きを行っており、着手後の開発状況についても経営会議や取締役会を通じて適宜モニタリングを実施するなど、慎重に投資実行することでリスク管理に努めております。
また、当社グループの各事業ではサービス提供にあたり固有のシステムを保有し、多くはインターネット等を活用してサービスを提供し、収益を獲得しております。アクセスの急激な増加やインターネット回線のトラブル、未知のコンピュータウイルスによるサイバーアタックの発生、停電、自然災害等の予測困難な様々な要因によって当社グループのシステムに被害又は途絶が生じた場合、顧客へのサービス提供に支障をきたすなど、当社グループの経営成績等に影響を与える可能性があります。
当社グループでは、十分な安全対策が施されたクラウド基盤の活用を進め、機動的な拡張や運用管理の効率化に取り組むとともに、重要な情報システムやネットワーク設備については、これらの機器設備を二重化するなど障害対策を施しております。また、ファイヤーウォールによる外部からの不正アクセスの防止等によるセキュリティ対策にも取り組むことで、安定的なシステム基盤の運用管理に努めております。
③個人情報の取り扱いについて
当社グループはサービス提供を通じ、1,000万人を超える会員の人事・健康情報等の個人情報を取り扱っております。万が一、従業員等の過失や不測の事態等により、これらの個人情報が外部に漏洩した場合には、損害賠償請求やブランドイメージ悪化等により、当社グループの経営成績等に影響を与える可能性があります。
当社グループでは、個人情報の取り扱いに関する重要性、危険性を十分に認識し、コンプライアンスマニュアル及び個人情報保護に関する諸規程を制定し、役職員に対する個人情報保護管理に関する研修・教育を徹底しており、従業員の採用時及び退職時には機密情報の漏洩をしないことを記載した誓約書を徴収するなど、情報管理に努めております。
また、これらの取り組みに加え、外部からシステムへの不正アクセスや内部不正による情報漏洩等の脅威に対処するため、サイバーセキュリティフレームワークに基づく目標・アクションプランを策定し、外部SOC(注)の設置、多層防御システムや暗号化技術の採用等の情報漏洩対策に継続的に取り組んでおります。
(注) SOC:Security Operation Center/セキュリティオペレーションセンターの略称。企業がもつネットワークやシステムを24時間365日監視して情報資産を守る組織
④立替金について
当連結会計年度末における立替金残高は3,273百万円であります。これは主に、購買・精算代行事業やヘルスケア事業などの取引の一部において、顧客との取り決めにより、当社提携先事業者のサービスを顧客が利用した際に当社が一時的に顧客に代わってサービス利用料を提携先事業者に支払い、事後的に顧客に同サービス利用料相当額を請求する取引を行っていることなどにより発生しております。購買・精算代行事業及びヘルスケア事業の業容拡大に伴い、立替金が生じる取引の増加が見込まれる一方、予期せぬシステムトラブルや従業員等の過失、顧客の経済状況の急速な悪化等が生じた場合には、立替金の回収に支障が生じるなど、当社グループの経営成績等に影響を与える可能性があります。
当社グループでは、システムによる債権管理及び債権回収状況の定点チェックを行い、与信管理体制を整備することで、適切な債権保全に努めております。
⑤業績の季節的な変動について
福利厚生事業における補助金支出は、夏季休暇などの季節的要因により上期は下期に比べて利用が集中し、原価率が高くなる傾向にあります。また、ヘルスケア事業においては、健康診断サービスや保健指導等の受託業務の実施、納品は下期に偏る傾向があり、収益の計上も下期偏重となる傾向があります。これら季節的な変動要因により、当社グループの業績は季節によって変動する傾向があります。
(2)事業投資について
①企業買収、資本提携等について
当社グループでは、事業規模拡大による経済的効果や、周辺事業領域への進出によるシナジー効果などを期待し、M&Aによる企業買収や資本提携等にも積極的に取り組む考えでおり、これまで実施したM&Aにより当連結会計年度末において無形固定資産(顧客関係資産)7,961百万円、のれん5,529百万円を計上しております。企業買収や資本提携等は、実施後の社会経済環境の変動や市場状況の変化等により、事業統合効果等が必ずしも当初の計画通りに推移するとは限らず、想定した収益規模が確保できない可能性もあり、そのような場合には、のれんや無形固定資産の評価見直しなどにより、当社グループの経営成績等に影響を与える可能性があります。
当社グループでは、企業買収や資本提携等を実施する場合には、対象となる企業の財務内容や法令・規則等の遵守状況、事業運用状況等についてデューデリジェンスを行うなど事前のリスク把握に努め、収益性や投資回収の可能性について慎重に検討するとともに、M&A後の事業統合等の成果管理を定期的に実施することで、期待した効果の発揮に努めております。
②新規事業について
当社グループはこれまで、福利厚生事業で培ったサービスインフラを多重的に活用しながら新規事業を立ち上げ、収益の多角化を推進してまいりました。直近では、2022年3月期より新たに給与天引きの仕組みを活用した決済事業に取組んでおり、当連結会計年度末において同事業に係るソフトウエア資産186百万円を計上、また当連結会計年度における同事業損益は57百万円の営業損失(前連結会計年度は61百万円の営業損失)を計上しております。
新規事業の展開にあたっては、当社の既存事業基盤とのシナジー効果、会員や顧客、取引先企業の利便性改善等を目的に事業計画を立てて実行しておりますが、顧客ニーズや競争環境の変化等により、対象の事業が期待した収益を生まない場合には、当社グループの経営成績等に影響を及ぼす可能性があります。
当社グループでは、新規事業の検討段階において、市場環境や顧客動向に関する認識前提、事業の収益構造、リスク管理の体制など、事業計画の妥当性や新規事業に固有のリスクを十分に検討したうえで投資を行っており、また、新規事業開始後においても、事業計画の進捗状況の継続的な把握に努め、必要に応じて事業スキームの見直しや事業計画の修正を行うことで、期待した効果が発揮されるよう取り組んでおります。
③海外事業について
当社グループは、シンガポール、中国、タイ、米国、インドネシア等に連結子会社を有しております。当事業年度末における個別財務諸表において海外投融資残高1,004百万円を計上しております。海外の各市場は、人事制度や慣習に違いがありますが、人材獲得や社員の成果管理に関する企業ニーズは共通してあると考えており、日系・非日系を問わず顧客企業に対しインセンティブ事業を中心とした営業提案活動を展開しております。当連結会計年度における海外事業部門業績は342百万円の営業損失(前連結会計年度は170百万円の営業損失)を計上しており、いまだ先行投資の状況にあることから、引き続き投融資等の資金支援が必要であると認識しております。総じて各国取引は拡大傾向にありますが、今後の事業展開が想定通りにいかなかった場合には、想定外の損失を被る可能性があります。
当社グループでは、進出先国において各国の人事制度や業界動向などの事情に精通した人材の幹部登用を進め、各国の成功事例やシステム基盤の共用化を進めることで、海外事業部門の早期収益化に取り組むとともに、各国の資金管理を一元的に行うことで、投融資後の適切な資金の管理活用に努めております。
また、当社連結財務諸表において海外子会社の外貨建ての財務諸表金額は日本円に換算されるため、当社連結財務諸表は日本円と各国通貨間の為替相場変動の影響を受けており、当連結会計年度においては、為替差益として31百万円(前連結会計年度は58百万円の為替差益)を計上しております。今後、為替相場が異常な変動をした場合には、為替差損益の計上などにより、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
(3)自然災害や感染症の流行等によるリスクについて
自然災害や感染症流行等、社会経済全般に大きな影響を及ぼすような想定外の事態が発生した場合には、当社グループの事業においても取引の縮小や延期等の影響が考えられます。
当社グループでは、環境変化の早期情報収集に努めるとともに、事業の多角化やオペレーションの分散化、デジタル化を進めることでリスク分散に努めております。
なお、2020年度以降猛威をふるった新型コロナウイルス感染症による事業影響については、福利厚生事業における会員のサービス利用減少やこれに伴う補助金支出の減少、ヘルスケア事業における保健指導の実施時期遅れ、購買・精算代行事業における出張精算サービスの利用減少等、業績への影響が見られました。また、海外子会社においては、各国の規制やロックダウンなどにより、取引先の営業停止などの影響が見られました。提出日現在において事業影響は概ね収束しつつあり、経済活動は正常化に向けた動きにあると認識しておりますが、今後も、新たな未知のウイルスが流行する場合などには、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があり、その影響を提出日現在において合理的に予測することは困難であります。
(4)気候変動リスクへの対応について
当社グループでは、気候関連リスクへの対応を含むサステナビリティに係る課題への全社的な取組みを推進するため、サステナビリティ委員会を設置しております。委員長は、代表取締役副社長が務めております。
同委員会では、取締役会に対しサステナビリティに係る基本方針、指標や目標、施策等の企画・立案・提言を行うとともに、施策の実施状況や目標の達成状況のモニタリング、社内外への周知活動等を行っています。また、検討事項や活動内容等については定期的に取締役会への提案、報告を行い、適宜指示を受けて活動を行っています。取締役会は、気候変動に関する重要な事項についてサステナビリティ委員会から定期的に報告を受け、必要に応じて指示や助言を行うことで、ガバナンス体制を整備しております。
当社グループでは、気候変動が事業活動や収益等に与える影響を把握し、適切に対処するため、サステナビリティ委員会においてTCFDの枠組みを参考にして必要なデータの収集と分析を行い、これに基づき取締役会で気候関連リスクの事業への影響度合い評価を行っています。特定したリスク・機会に対しては、関係部門と連携しながら具体的な対応策や目標を事業戦略に反映し、サステナビリティ委員会にて進捗状況の管理やリスク・機会の再評価等を行っています。また、その内容を定期的に取締役会に報告することで、継続的な情報収集とリスク管理に努めております。
提出日現在における、気候変動が当社グループの事業活動や収益等に与える影響の評価方法及び結果については、「第2 事業の状況 2 サステナビリティに関する考え方及び取組 (サステナビリティに関する個別テーマと取組み状況)(1)気候変動に関する取組み」をご参照ください。
(5)親会社との関係について
当社の親会社は株式会社パソナグループであり、2023年3月末現在同社は当社の議決権の51.16%を保有しております。また、提出日現在、当社の役員8名のうち、親会社の取締役を兼ねるものが1名おりますが、当社は上場会社として独立性を確保し、経営及び事業活動にあたっております。
また、親会社及び親会社関係会社との取引に際しては、関連当事者取引管理規程及び職務権限に係る規定に従い当社の利益を害することのないよう取締役会で承認手続きを経て適切に対応しております。さらに、当該取引のうち重要な取引については、取締役会の諮問機関として独立社外取締役のみで構成する指名報酬等委員会において、取引の必要性及び相当性について審議し、その答申・助言を得て取締役会の承認手続きを経ることとしております。
当連結会計年度における親会社及び親会社関係会社との主な取引については「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (セグメント情報等) 関連当事者情報 1 関連当事者との取引」をご参照ください。
(6)経営指標について
当社グループが中期経営計画及び各年度計画において目標としている経営指標については、その見積りにあたり、社会経済動向の変化や顧客企業の動向、個人ユーザーのニーズ、業務のシステム化・標準化の時期や期待効果、法規制の動向、マーケティング効果等、事業環境や施策に係る多くの前提に基づいて作成されております。
当社グループ事業においては多くの成長機会が見込まれておりますが、将来の事業環境の変化の程度やスピード等について正確に予測することは困難であるため、経営指標については、その達成時期や達成度合いが見込みどおりとならない可能性があります。必要に応じ適宜前提条件の見直しを行い、目標としている経営指標に修正が必要と判断する場合には速やかに情報開示を行うこととしております。
なお、文中における将来に関する事項は当連結会計年度末現在において、当社グループが判断したものであります。
(経営成績の状況)
当期におけるわが国経済は、長く続いた新型コロナウイルス感染症の影響による厳しい状況が次第に緩和され、景気は緩やかに持ち直しの動きが見られるようになりました。
① HRDX支援を軸とした会員基盤拡大
当連結会計年度においては、新たに294万人(累計で660万人)の会員データを「ベネワン・プラットフォーム(注1)」に移行しており、旧JTBベネフィット会員についても計画どおり同プラットフォームへ移行いたしました。また、2023年4月には「ベネフィット・ステーション(注2)」を全面リニューアルしてベネワン・プラットフォームとの機能連携を進めており、新システムの安定運用・機能拡充に継続的に取り組んでおります。引き続き、周辺システムのリニューアル・機能拡充を実施するとともに、アフターコロナの事業環境改善を見越したテレビCM等の積極マーケティング展開を継続し、一層の会員獲得に努めてまいる考えです。
② 決済事業への挑戦
当社グループでは、中長期で決済事業を新たな収益の柱とすることを目指し、ベネワン・プラットフォーム上の会員情報と連携した給与天引きによる決済の仕組み「給トク払い」サービスを展開しております。当面は魅力的なコンテンツ拡充を優先課題とし、生活インフラ分野や定額課金メニューを中心に当連結会計年度において新たに161メニュー(累計で348メニュー)を「給トク払い」の対象といたしました。さらに、給与デジタル払い対応を視野に2023年3月には「au PAY ギフトカード」を開始、また2023年度からは動画配信サービス「Netflix」との提携が決まっており、「給トク払い」の利用拡大につながる有力コンテンツのメニュー化に継続して取り組んでおります。
当連結会計年度における当社グループ業績の要点は、以下のとおりです。
福利厚生事業においては、2021年度に実施したM&Aによる外部成長効果に加え、期中における公務員共済組合の非常勤職員加入拡大等により、売上高は前期比27.3%増となりました。また、会員のサービス利用は想定より緩やかながら回復基調となり、これに係る補助金支出が前期比で増加しました。
ヘルスケア事業においてはアフターコロナの健康経営ニーズ拡大を見越した事業計画を立て、CM等マーケティングも実施いたしました。実際には新型コロナ感染症の影響期間が想定よりも長期に渡り、ワクチン接種支援事業の受託が想定を上回った一方、保健指導事業では新規受注及び指導実施の進捗が想定を下回る結果となりました。
費用面では、CM等マーケティング投資として約1,230百万円(うち、福利厚生約870百万円、ヘルスケア約360百万円)、本店移転(2022年7月実施)に伴う一時費用約200百万円、旧JTBベネフィットのサービス統合過程における重複コスト約1,480百万円等を計上しているほか、システムリプレイス等によりIT費用が前期比で820百万円増加しております。また、投資有価証券の一部売却(2022年8月実施)等に伴い特別利益724百万円を計上しております。
以上の結果、当連結会計年度の連結売上高は42,376百万円(前期比10.5%増)、連結営業利益は10,484百万円(前期比17.9%減)、連結経常利益は10,565百万円(前期比17.6%減)、親会社株主に帰属する当期純利益は7,655百万円(前期比14.5%減)となりました。
(注1)ベネワン・プラットフォーム:企業の人事データや健康データ等を管理・活用する基盤。様々なHRサービスを共通IDで利用することが可能な会員専用ID「ベネアカウント」を活用し、人事部門のマネジメント効率化を図りながら、あらゆる従業員データの一元管理・見える化・分析を通じて、従業員のパフォーマンス向上や組織の活性化を目指す。
(注2)ベネフィット・ステーション:当社が運営する総合型福利厚生サービス。従業員満足度向上や健康経営、スキルアップ等を支援。
<連結業績に関する経営指標の進捗>
<会員基盤拡大に関する経営指標の進捗>
<決済事業収益化に関する経営指標の進捗>
<ヘルスケアサービス拡大に関する経営指標の進捗>
なお、営業利益の主な増減要因は、次のとおりです。
福利厚生・パーソナル・CRM事業の減益 △281百万円
ヘルスケア事業の減益 △1,327百万円
インセンティブ事業の減益 △236百万円
購買・精算代行事業の増益 +98百万円
ペイメント事業の赤字幅縮小 +5百万円
海外事業の減益 △171百万円
その他 △371百万円
事業別の業績は、次のとおりです。
① 福利厚生・パーソナル・CRM事業
売上高は27,616百万円(前期比5,440百万円の増収)となり、営業利益は9,202百万円(同281百万円の減益)となりました。売上高の増加は、2022年4月1日に合併した旧JTBベネフィットの通期での業績寄与(前連結会計年度は第4四半期より連結開始)及び期中における会員数増加によります。営業利益の減少は、マーケティング投資による費用の増加、及びサービス利用回復に伴う補助金支出の増加などによります。
② ヘルスケア事業
売上高は8,191百万円(前期比1,418百万円の減収)となり、営業利益は3,229百万円(同1,327百万円の減益)となりました。売上高及び営業利益の減少は、感染症対策関連事業の減少及び保健指導事業の受注・実施進捗遅れに加え、マーケティング投資による費用増加などによります。
③ インセンティブ事業
売上高は3,097百万円(前期比375百万円の減収)となり、営業利益は544百万円(同236百万円の減益)となりました。売上高及び営業利益の減少は、既存取引先の販促予算が縮小したことなどによります。
④ 購買・精算代行事業
売上高は677百万円(前期比35百万円の増収)となり、営業利益は194百万円(同98百万円の増益)となりました。売上高及び営業利益の増加は、出張利用が一部回復したことなどによります。
⑤ ペイメント事業
売上高は21百万円(前期比3百万円の増収)となり、営業損益は△56百万円(前連結会計年度は△61百万円)となりました。
⑥ 海外事業
売上高は1,897百万円(前期比423百万円の増収)となり、営業損益は△342百万円(同171百万円の減益)となりました。売上高の増加は、主にシンガポールでの取引先の拡大によります。また、営業損益の減少は、主に米国における人員拡充やシステム開発などの費用が先行したことなどによります。
⑦ その他
営業損益は△2,287百万円(同371百万円の減益)となりました。営業損益の減少は、本店移転に伴い一時費用が発生したことなどによります。
(生産、受注及び販売の状況)
当社グループは、企業の福利厚生代行サービスを中心に行っているため、生産実績及び受注実績について、該当事項はありません。
(財政状態の状況)
①資産
当連結会計年度末の総資産は、前連結会計年度末に比して4,065百万円減少し、53,981百万円となりました。
流動資産は、4,741百万円減少し、27,407百万円となりました。これは主に現金及び預金の減少7,976百万円、売掛金の増加1,369百万円、未収入金の増加1,222百万円等によるものであります。
また、固定資産は、676百万円増加し、26,574百万円となりました。これは主にシステム設備投資等によるソフトウエアの増加2,043百万円、保有株式の一部売却等による投資有価証券の減少750百万円等によるものであります。
②負債
当連結会計年度末の負債合計は、前連結会計年度末に比して3,985百万円減少し、29,148百万円となりました。
流動負債は、2,765百万円減少し、18,592百万円となりました。これは主に支払手形及び買掛金の減少1,427百万円、法人税等の支払等による未払法人税等の減少964百万円等によるものであります。
また、固定負債は、1,219百万円減少し、10,556百万円となりました。これは主に返済による長期借入金の減少1,000百万円等によるものであります。
③純資産
当連結会計年度末の純資産は、前連結会計年度末に比して79百万円減少し、24,832百万円となりました。これは主に当連結会計年度における親会社株主に帰属する当期純利益7,655百万円、配当金の支払5,742百万円、取締役会決議に基づく自己株式の取得1,499百万円等によるものであります。
この結果、当連結会計年度末の自己資本比率は46.0%(前連結会計年度末は42.9%)となりました。
(キャッシュ・フローの状況)
当連結会計年度末における現金及び現金同等物(以下「資金」という)の残高は、前連結会計年度末に比して7,974百万円減少し、10,008百万円となりました。
当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因を以下に記載します。
①営業活動によるキャッシュ・フロー
営業活動によるキャッシュ・フローは、3,168百万円の増加(前連結会計年度は10,080百万円の増加)となりました。
資金増加の主な内訳は、税金等調整前当期純利益11,290百万円(同12,848百万円)、減価償却費1,291百万円(同964百万円)、のれん・顧客関係資産償却678百万円(同173百万円)等によるものであります。
資金減少の主な内訳は、売上債権及び契約資産の増加1,349百万円(同1,021百万円の減少)、仕入債務の減少1,428百万円(同1,698百万円の増加)、未収入金の増加1,206百万円(同1,772百万円の増加)、法人税等の支払4,661百万円(同3,726百万円)等によるものであります。
②投資活動によるキャッシュ・フロー
投資活動によるキャッシュ・フローは、2,844百万円の減少(同14,247百万円の減少)となりました。
資金増加の主な内訳は、投資有価証券の売却による収入997百万円(同95百万円)等によるものであります。
資金減少の主な内訳は、有形・無形固定資産の取得による支出3,667百万円(同3,671百万円)等によるものであります。
③財務活動によるキャッシュ・フロー
財務活動によるキャッシュ・フローは、8,338百万円の減少(同4,544百万円の増加)となりました。
資金減少の主な内訳は、配当金の支払5,741百万円(同4,784百万円)、自己株式の取得1,506百万円(同69百万円)、長期借入金の返済1,000百万円(同500百万円)等によるものであります。
当社は、2021年5月12日付で3ヵ年の中期経営計画(2022年3月期~2024年3月期)(以下「前中期経営計画」という)を公表し、最終年度(2024年3月期)の業績目標を連結売上高60,640百万円、連結営業利益20,950百万円として、「HRDX支援を軸とした会員拡大戦略」と「決済事業への挑戦」を柱とした成長戦略に取り組んでまいりました。前中期経営計画公表後の2年間、新型コロナウイルス感染症による事業影響は想定より長期に渡る一方、JTBベネフィットとの統合やワクチン事業の発足など臨機応変な対応に努め、事業を推進してまいりました。
今般、長期に渡ったコロナ禍の影響が緩和され、社会全般で企業活動や個人消費の回復が進むなかで新年度を開始するにあたり、前中期経営計画開始時に想定した前提条件や事業環境の状況、施策の進捗状況等を見直し、2024年3月期を初年度とする3ヵ年の中期経営計画(以下において、特に注意書きがない限り「中期経営計画」とは2024年3月期を初年度とする中期経営計画を指す)を策定し、2023年5月11日に公表いたしております。
以下に当連結会計年度の経営成績及びこれを踏まえた中期経営計画における取組みについて記載いたします。
1)福利厚生事業の取組み状況
社会経済全般におけるコロナ禍の影響は、前中期経営計画を策定した2021年5月時点の想定に比べ長期間に渡り、福利厚生事業においては新規導入検討の先送り等の影響がありました。このように、想定した時間軸との違いはありましたが、当連結会計年度においては、2021年度実施のM&Aにより獲得した会員向けサービスを一本化し、会員基盤の統合を計画どおり進めることができました。また、下期以降はコロナ禍の影響が徐々に緩和され、取引先の公務員共済組合で非常勤職員が会員適用拡大となるなど福利厚生サービスの活用は進み、期末会員数は932万人(前連結会計年度末比39万人増)となりました。
社会経済活動の正常化に伴い、足もとでは人手不足感を背景とした賃金上昇や物価高等の動きが近年にない水準で進行しており、人的資本経営の観点ともあわせて、人材獲得・定着施策として、あるいは公平な待遇改善施策として、今後は福利厚生サービスの新規導入企業の増加を見込んでおります。
このような背景から、2023年5月に公表しました中期経営計画では、これまで公務団体や大手企業を中心顧客としてきた福利厚生市場について、今後はさらに、企業規模や雇用形態を問わず幅広い層にまで裾野が広がっていくことを想定しております。そこで当社では、従来の営業体制に加え、代理店網の活用強化や積極的なマーケティング投資によるブランドやサービスの認知拡大施策等、中小企業で働く方々や非正規労働者にも福利厚生サービスを広くご利用いただけるよう取り組むことで、3年後(2026年4月)の福利厚生会員数1,800万人(2023年4月比852万人増)を目指してまいります。
2)ペイメント事業の取組み状況
当社グループでは、中長期で決済事業を新たな収益の柱とすることを目指し、給与天引きによる決済の仕組み「給トク払い」サービスを展開しております。同サービスはベネワン・プラットフォーム上に登録された会員による利用を前提に、顧客企業ごとに購買情報をまとめて決済代行することで、サービス流通過程における中間コストを低減し、会員のサービス利用価格や特典に還元する仕組みとしております。
給トク払い利用の前提となる、ベネワン・プラットフォーム上の会員登録については、当連結会計年度末において当初想定に比べ遅れが生じております。これは主に、プラットフォームと連携する福利厚生サービス提供システム等の開発・リプレイスの難易度が高く、システム開発が当初想定より長期間に渡った影響によります。遅れていたシステム開発・リプレイスは順次リリース進展しており、今後はベネワン・プラットフォーム上の会員登録増加が見込まれることから、当社では給トク払いの利用を促すメニュー拡充を、ペイメント事業における当面の優先課題としております。
当連結会計年度においては、新たに161メニュー(累計で348メニュー)を給トク払いの対象といたしました。今後も日常生活で毎月支出が見込まれるメニューや定額課金メニューを中心に、魅力的なメニュー開発に努めることで会員の利用を促し、中期経営計画期間における事業収益化を目指してまいります。
3)ヘルスケア事業の取組み状況
当連結会計年度においては、コロナ禍が想定より長期に渡ったことで、ワクチン接種支援事業で当初見込んでいた以上の成果となった一方、健診事業や保健指導事業においては受注獲得状況や受注後の実施状況が低調となるなど、事業への影響がありました。
今後は、コロナワクチンの接種支援事業で段階的縮小を見込んでおりますが、同取り組みを通じて得た医療機関等とのネットワークを活かし、職域での感染症予防サービスに新たに取り組んでまいる考えです。一方、健診事業や保健指導事業等ではコロナ禍の影響は概ね解消を見込み、健康経営や人的資本経営等の関心の高まりに加え、企業内における人手不足の事情から、今後は健診・保健指導のアウトソーシングサービス活用が一層加速すると見込んでおります。
当社では、拡大する市場でより効率よく成長の機会を活かしていくため、福利厚生事業等の既存顧客基盤とシナジーを発揮しやすい大企業単一健保や公務員共済組合との取引拡大に特に注力してまいる考えです。あわせて、福利厚生事業に比べて遅れている健診・保健指導事業の取引標準化やサービス流通のデジタル化、システム化を進め、中長期で収益力改善にも取り組んでまいる考えです。
4)経営効率化の取組み状況
2021年10月に金融機関からの借入及び自己資金により旧JTBベネフィットの株式を取得しており、譲り受けた事業に係るのれん及び顧客関係資産として、当連結会計年度末において13,491百万円を計上しております。譲り受けた事業についてはサービス統合が計画どおり進んでいることから、2024年3月期は重複運用コストの削減効果として前連結会計年度比で約12億円減を見込んでおります。
また、当社グループではベネワン・プラットフォームを中心とした各サービス提供システムの連携活用に取り組んでいることなどから、主に自己資金を用いてシステム開発を進めており、当連結会計年度末において仮勘定を含むソフトウエア資産7,358百万円(前連結会計年度末比2,043百万円増)を計上しております。主だったソフトウエア資産については、中期経営計画の収益獲得基盤として2024年3月期以降運用が本格化する一方、今後は新規のソフトウエア投資の減少を計画しております。
事業収益の拡大、効率化の取組みとあわせ、こうした投資案件の収益化を進めることで、経営効率の継続的な維持・向上に努めてまいる考えです。
なお、当連結会計年度における売上高経常利益率は24.9%、自己資本当期純利益率(ROE)は30.8%でありました。
5)サステナビリティ・ESG経営に関する取組み状況
詳細は「第2 事業の状況 2 サステナビリティに関する考え方及び取組」をご参照ください。
(資本の財源及び資金の流動性についての分析)
① 流動性と資金の源泉
当社グループの所要資金は、大きく分けてシステム開発等の設備投資や、子会社・関連会社等への事業投資資金及び経常の運転資金となっております。これら所要資金のうち、設備投資、取得・出資等の事業投資関連については、適宜、自己資金、銀行借入及びファイナンス・リースにより調達しております。また、経常運転資金については、自己資金により対応しております。
当連結会計年度の設備投資は総額3,588百万円であり、HRDX推進のためのシステム開発投資、システムハードウエア投資及び本店移転関連投資等を実施しております。
現状、当社グループでは必要な事業資金は充分に確保されていると認識しており、さらに金融機関との間にコミットメントラインを設定すること等により、急な資金需要や不測の事態にも備えております。
② 資金配分についての考え方
当社では、事業年度ごとの利益状況、将来の事業展開及び投資予定等を勘案したうえで、年間の純資産配当率10%以上、連結配当性向70%以上を目標に、継続的かつ安定的な配当成長に努めてまいりたいと考えております。
自己株式の取得につきましては、株主還元策の一つとして財務状況や株式需給バランスへの影響等を考慮したうえで、総合的に判断することとしております。
内部留保金につきましては、事業拡大時の運転資金への充当に加え、利便性改善・サービス品質向上・業務省力化等へのIT投資や新規事業への投資、M&A投資等に充当することで、収益基盤の強化に努めてまいります。
(重要な会計方針及び見積り)
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。その作成には経営者による会計方針の選択・適用、資産・負債や収益・費用の報告金額及び開示に影響を与える見積りを必要とします。経営者は、これらの見積りについて、過去の実績等を勘案し合理的に判断しておりますが、見積り特有の不確実性があるため、実際の結果はこれらの見積りと異なる場合があります。
この連結財務諸表の作成にあたっての会計基準は、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1) 連結財務諸表 (連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項) 4.会計方針に関する事項」に記載のとおりです。
連結財務諸表の作成にあたって用いた会計上の見積り及び仮定のうち、重要なものは、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1) 連結財務諸表 (重要な会計上の見積り)」に記載のとおりです。
該当事項はありません。
2023年3月31日現在における当社の主要な設備及び従業員の配置状況は次のとおりであります。
(注) 1.上記金額には、消費税等は含まれておりません。
2.現在休止中の設備はありません。
3.帳簿価額のうち「その他」は、機械及び装置、船舶、工具器具備品であります。
4.帳簿価額には、建設仮勘定及びソフトウエア仮勘定の金額は含まれておりません。
5.従業員数欄の( )は、契約社員及びパートタイマーの期中平均雇用人員数を外数で記載しております。
主要な設備はありません。
(注) 1.現在休止中の設備はありません。
2.帳簿価額のうち「その他」は、工具器具備品であります。
3.帳簿価額には、建設仮勘定及びソフトウエア仮勘定の金額は含まれておりません。
4.従業員数欄の( )は、契約社員及びパートタイマーの期中平均雇用人員数を外数で記載しております。
該当事項はありません。
該当事項はありません。
(注) 1.2018年5月7日開催の取締役会において、会社法第178条の規定に基づき自己株式の一部を消却することを決議し、2018年5月18日に自己株式9,088,000株を消却いたしました。これにより、発行済株式総数は、9,088,000株減少し、81,200,000株となっております。
2.2019年2月28日の株主名簿に記録された株主に対し、1株につき2株の割合をもって分割いたしました。
3.2019年7月29日開催の取締役会において、会社法第459条第1項の規定による定款の定めに基づき、自己株式取得に係る事項について決議するとともに、会社法第178条の規定に基づき、保有する自己株式の一部を消却することを決議いたしました。取締役会決議に基づき、2019年7月30日に自己株式1,800,000株を取得し、2019年8月16日に自己株式1,800,000株を消却いたしました。これにより、発行済株式総数は、1,800,000株減少し、160,600,000株となっております。
4.2019年10月31日開催の取締役会において、会社法第459条第1項の規定による定款の定めに基づき、自己株式取得に係る事項について決議するとともに、会社法第178条の規定に基づき、保有する自己株式の一部を消却することを決議いたしました。取締役会決議に基づき、2019年11月1日に自己株式630,000株を取得し、2019年11月15日に自己株式630,000株を消却いたしました。これにより、発行済株式総数は630,000株減少し、159,970,000株となっております。
5.2022年5月10日開催の取締役会において、会社法第459条第1項の規定による定款の定めに基づき、自己株式取得に係る事項について決議するとともに、会社法第178条の規定に基づき、保有する自己株式の一部を消却することを決議いたしました。取締役会決議に基づき、2022年5月12日から2022年6月8日(約定日基準)にかけて、自己株式779,100株を取得し、2022年6月30日に自己株式779,100株を消却いたしました。これにより、発行済株式総数は779,100株減少し、159,190,900株となっております。
2023年3月31日現在
(注) 1.自己株式450,357株は、「個人その他」に4,503単元、「単元未満株式の状況」に57株含まれております。
2.「金融機関」には、株式給付信託(J-ESOP)及び株式給付信託(BBT)に係る株式会社日本カストディ銀行(信託E口)が保有する当社株式3,475単元が含まれており、「単元未満株式の状況」には、71株含まれております。
2023年3月31日現在
(注) 1.上記のほか、当社保有の自己株式 450,357株(発行済株式総数に対する所有株式数の割合0.28%)があります。
2.当社は「株式給付信託(J-ESOP)」及び「株式給付信託(BBT)」を導入しており、株式会社日本カストディ銀行(信託E口)(以下、「信託E口」という。)が当社株式347,571株を所有しております。信託E口が所有する当社株式については、自己株式に含めておりません。
3.上記記載の信託銀行株式会社の所有株式数のうち、信託業務に係る株式数は以下のとおりであります。
日本マスタートラスト信託銀行株式会社(信託口)の所有株式数のうち、信託業務に係る株式数は13,997,700株であります。
株式会社日本カストディ銀行(信託口)の所有株式数のうち、信託業務に係る株式数は7,043,700株であります。