UTグループ株式会社
(注) 1.第12期及び第13期の潜在株式調整後1株当たり当期純利益については、潜在株式が存在していないため記載しておりません。また、第14期及び第15期の潜在株式調整後1株当たり当期純利益については、希薄化効果を有している潜在株式が存在していないため記載しておりません。
2.第12期の1株当たり純資産額の算定上の基礎となる普通株式の期末発行済株式総数、1株当たり当期純利益の算定上の基礎となる普通株式の期中平均株式数について、その計算において控除する自己株式に、信託に残存する自社の株式を含めております。
3.「収益認識に関する会計基準」(企業会計基準第29号 2020年3月31日)等を第15期の期首から適用しており、第15期以降に係る主要な経営指標等については、当該会計基準等を適用した後の指標等となっております。
(注) 1.潜在株式調整後1株当たり当期純利益については、第12期及び第13期は潜在株式が存在していないため、第14期及び第15期は希薄化効果を有している潜在株式が存在していないため、第16期は潜在株式は存在するものの、1株当たり当期純損失であるため記載しておりません。
2.第12期の1株当たり純資産額の算定上の基礎となる普通株式の期末発行済株式総数、1株当たり当期純利益の算定上の基礎となる普通株式の期中平均株式数について、その計算において控除する自己株式に、信託に残存する自社の株式を含めております。
3.2019年11月14日付で東京証券取引所JASDAQ市場(スタンダード)から同取引所市場第一部に市場変更しております。最高株価及び最低株価は、2019年11月13日以前は東京証券取引所JASDAQ市場(スタンダード)、2019年11月14日以降は東京証券取引所市場第一部、2022年4月4日以降は東京証券取引所プライム市場におけるものであります。
4.「収益認識に関する会計基準」(企業会計基準第29号 2020年3月31日)等を第15期の期首から適用しており、第15期以降に係る主要な経営指標等については、当該会計基準等を適用した後の指標等となっております。
構内作業業務派遣・請負事業を目的として、前身となるエイムシーアイシー有限会社を1995年に創業いたしました。1996年、日本エイム株式会社に改組、2003年にはアウトソーシング業界初の株式店頭市場(JASDAQ市場)登録を果たしております。その後、2007年、日本エイム株式会社は株式会社エイペックスと共同株式移転を行い、純粋持株会社としてユナイテッド・テクノロジー・ホールディングス株式会社(現、UTグループ株式会社)を設立しました。
当社グループは、主に大手製造業向けに人材派遣・業務請負サービス等を提供する「マニュファクチャリング事業」、地域密着型の人材派遣・業務請負サービス等を提供する「エリア事業」、大手製造業の構造改革に伴う人材の受け入れと人材派遣・業務請負サービス等の提供を行う「ソリューション事業」、建設及びIT領域における技術者派遣・業務請負サービス等を提供する「エンジニアリング事業」、海外における人材サービスの提供を行う「海外事業」の5つの事業を柱とした、モノづくり領域における人材サービスを提供しております。
当社は、グループ全体の戦略及び企画の立案並びに各事業会社の統括管理を主たる業務としております。また、当社は、グループ全体が経営効率の向上と事業分野・機能面における特色・強みを発揮することを実現し、経営理念に基づいた企業価値最大化を実現するために、以下の機能を担っております。なお、当社は、有価証券の取引等の規制に関する内閣府令第49条第2項に規定する特定上場会社等に該当しており、これにより、インサイダー取引規制の重要事実の軽微基準については連結ベースの数値に基づいて判断することとなります。
② グループ全体の資本政策、財務戦略等の企画・立案機能
③ グループ企業の業務執行の管理、統括、監査及びモニタリングに関する機能
④ グループ全体の人材開発及び人事戦略に関する機能
⑤ グループ全体の営業企画及び商品・サービス戦略に関する機能
⑥ グループ全体のコンプライアンス・リスク管理に関する機能
⑦ グループ代表会社としての広報・IR戦略に関する機能
当社グループの事業に係る位置付け及びセグメントの関連は以下のとおりであります。
主に製造業向けに人材派遣・業務請負サービス等の提供を行っており、主要顧客は国内の産業・業務用機械、エレクトロニクス及び輸送機器関連のメーカーであります。当社連結子会社のUTエイム株式会社が業務を行っております。
地域密着型の人材派遣・業務請負サービス等の提供を行っており、主要顧客は国内各地域の製造業、サービス業であります。当社連結子会社のUTコネクト株式会社、UTスリーエム株式会社が業務を行っております。
大手製造業の構造改革に伴う人材の受け入れ、及び人材派遣・業務請負サービス等の提供を行っており、主要顧客は国内の大手電機メーカーであります。当社連結子会社のUT東芝株式会社、FUJITSU UT株式会社、UT MESC株式会社及びUT エフサス・クリエ株式会社が業務を行っております。
建設及びITにおける技術者派遣・業務請負サービス等の提供を行っており、主要顧客はメーカー及びゼネコン等が中心であります。当社連結子会社のUTテクノロジー株式会社がITエンジニアの人材派遣事業等を行っております。建設エンジニアの人材派遣事業につきましては、当社連結子会社のUTコンストラクション株式会社が行っております。
海外おける人材サービスの提供を行っており、主要顧客はベトナム国内のメーカーであります。当社連結子会社のGreen Speed Joint Stock Company及びHoang Nhan Company Limitedが業務を行っております。
当社グループの事業系統図を示すと以下のとおりであります。

(注) 1.2022年9月にGreen Speed Joint Stock Companyが所有するGreen Speed Co.,Ltd.の全株式が売却されたため、同社を連結子会社から除外しております。
2.2023年6月に株式会社アーキ・ジャパンの親会社である株式会社AJホールディングス、株式会社アクト・ジャパン及びJAGフィールド株式会社の全株式を所有するJ-CEP株式会社の全株式を売却いたしました。
(注) 1.「議決権の所有割合(又は被所有割合)(%)」欄の〔内書〕は間接所有であります。
2.特定子会社であります。
3.2022年4月にUTエイム株式会社のエリア戦略事業について、UTコミュニティ株式会社を吸収分割承継会社として吸収分割しております。
4.2022年4月にUTコミュニティ株式会社が、UTHP株式会社、株式会社サポート・システム、株式会社シーケルホールディングス、株式会社シーケル、UTプログレス株式会社を吸収合併し、UTコネクト株式会社に商号変更いたしました。
5.2022年4月にUTエイム株式会社が、UTパベック株式会社を吸収合併いたしました。
6.2022年9月にGreen Speed Joint Stock Companyが所有するGreen Speed Co.,Ltd.の全株式が売却されたため、同社を連結子会社から除外しております。
7.2023年6月に株式会社アーキ・ジャパンの親会社である株式会社AJホールディングス、株式会社アクト・ジャパン及びJAGフィールド株式会社の全株式を所有するJ-CEP株式会社の全株式を売却いたしました。
8.UTエイム株式会社及びUTコネクト株式会社については、売上高(連結相互間の内部売上高を除く。)の連結売上高に占める割合が10%を超えております。
主要な損益情報等
UTエイム株式会社 (1) 売上高 82,171百万円
(2) 経常利益 9,707
(3) 当期純利益 6,711
(4) 純資産額 7,971
(5) 総資産額 18,190
UTコネクト株式会社 (1) 売上高 45,599百万円
(2) 経常利益 2,227
(3) 当期純利益 1,440
(4) 純資産額 5,217
(5) 総資産額 13,780
2023年3月31日現在
(注) 1.従業員数は、就業人数であり、契約社員及びパートタイマーを含んでおります。
2.全社(共通)として記載されている従業員数は、特定のセグメントに区分できない管理部門に所属している従業員であります。
2023年3月31日現在
(注) 1.当社は純粋持株会社であり、「(1) 連結会社の状況」において、当社の従業員数は全社(共通)に含まれております。
2.従業員数は、就業人数であり、契約社員及びパートタイマーを含んでおります。
3.平均年間給与は、賞与及び基準外賃金を含んでおります。
該当事項はありません。
(4) 管理職に占める女性労働者の割合、男性労働者の育児休業取得率及び労働者の男女の賃金の差異
① 提出会社
(注) 1.「女性の職業生活における活躍の推進に関する法律」(平成27年法律第64号)の規定に基づき算出しております。
2.「育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律」(平成3年法律第76号)の規定に基づき、「育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律施行規則」(平成3年労働省令第25号)第71条の4第1号における育児休業等の取得割合を算出しております。
② 連結子会社
(注) 1.「女性の職業生活における活躍の推進に関する法律」(平成27年法律第64号)の規定に基づき算出したものであります。
2.「育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律」(平成3年法律第76号)の規定に基づき、「育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律施行規則」(平成3年労働省令第25号)第71条の4第1号における育児休業等の取得割合を算出したものであります。
文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において、当社グループが判断したものであります。
当社グループは、グループミッションである「はたらく力で、イキイキをつくる。」を実現するため、「はたらく人」と「企業」双方を顧客として捉える「ツインカスタマー戦略」を推進し、事業展開しております。
2030年に向けた長期経営ビジョンとして「これからのはたらき方のプラットフォームになる」を掲げ、2025年3月期をターゲットとする第4次中期経営計画では「より多くのはたらく人に応えられるキャリアプラットフォームへ」を中期経営目標として、持続的な企業価値の向上を目指しております。
当社グループは、成長と安定のバランスをとりながら持続的に企業価値を向上させることを経営の目標としております。経営指標としては、成長性を評価する観点から「EBITDA(営業利益に減価償却費、のれん償却額及び株式報酬費用を加算した額の金額)成長率」、投資と財務安定性を確保するために「グロスDEレシオ」としております。
第4次中期経営計画においては、EBITDA成長率は2021年3月期からの年平均成長率30%以上、グロスDEレシオは2025年3月末で1.0以下を目標として、高い成長率と財務の安定性の両立を目指してまいります。
また、当社グループは、株主へ還元することを重視しており、将来の事業展開や経営環境の変化等を勘案の上、「総還元性向30%以上」を基本方針として継続的な株主還元に努めてまいります。
(第4次中期経営計画(2021年3月期~2025年3月期)の前提)
わが国の生産年齢人口(15歳~64歳)は、少子高齢化の進行によって1995年の8,176万人をピークに減少に転じ、平成27年国勢調査によれば2015年には7,629万人まで減少しております。人口動態のトレンドは大きく変わることはなく、2030年には約7,000万人程度まで減少することが予測されています(国立社会保障・人口問題研究所「日本の将来推計人口(平成29年4月)」(出生中位・死亡中位推計))。このような生産年齢人口の減少に対応するため、政府では、はたらく人の個々の事情に応じた多様な働き方ができる社会に向けた働き方改革が進められています。
このような状況下において、当社グループは、2020年3月期に終了した第3次中期経営計画において、「日本全土に仕事をつくる」をビジョンとして掲げ、主な事業領域として製造業の中でも全国の大規模工場に特化することで、製造オペレータからエンジニアへのキャリアアップを可能とするキャリアプラットフォームを構築し、技術職社員数は計画開始前の10,926名から19,634名へと大幅に増加、売上高も44,050百万円から101,103百万円と事業規模を大幅に拡大することができました。
一方、事業モデルの特性上、対象となるはたらく人は男性の若年層が中心となり、それ以外の働く意欲を持った方々への機会提供は十分とは言えませんでした。
また、新型コロナウイルス感染拡大の影響は、2020年1月頃の発生以降、長期化の様相を呈しています。感染拡大を防ぐ措置としての人の移動制限等から2020年春に「新しい生活様式」が示され、テレワークを含む働くスタイルの多様化は、今後も不可逆的なものとして継続し、より一層強まることも想定されます。従来は全国の職場での転勤を伴うキャリアアップが志向されていたはたらく人の価値観も今後は大きく変化する可能性があります。
(第4次中期経営計画の概要)
これらの状況を踏まえ、当社グループでは2020年5月に「より多くのはたらく人に応えられるキャリアプラットフォームへ」を中期経営目標とする第4次中期経営計画を策定いたしました。
① モノづくり人材の育成と供給
第3次中期経営計画において確立した業界トップの製造業向け人材サービスをさらに強化、拡充し、中核事業としての基盤を盤石にします。具体的には、採用と育成という当社グループの中核機能にHRTech等の技術を取り入れ、機能の強化と効率化を追求することで、企業に対するサービス品質を高め、キャリアを重視する働き方に応え、はたらく人のキャリア形成を効果的に促進することで、「キャリアアップを意識してイキイキ働ける環境づくり」を目指します。
② 地域プラットフォームの拡充
はたらく人のライフステージによっては、キャリア形成よりも安定を重視する時期があります。また、新型コロナウイルスの影響によって地元志向の求職者が増加することも想定されます。これらに対応するため、これまでの「キャリア形成の場」としてのキャリアプラットフォームに「安定した生活基盤」としての機能を拡充し、その役割をさらに拡大していきます。
そのため、地域毎に異なる顧客ニーズに迅速に対応できるよう、地域の有力企業との業務提携やM&Aを推進するとともに、既存地域オフィスが営業から採用までを独自の判断で行えるように再編すると同時に効率性を高めるため、オフィス共通のITインフラを整備します。
また、対象となる企業属性を従来のような製造領域だけに限定せず、地域における職場数の拡大を図り、はたらく人の雇用を安定化させることで、「地元でイキイキ働ける環境づくり」を目指します。
③ 外国人がイキイキ働ける環境整備
わが国では、少子高齢化によって生産年齢人口の減少が続いており、将来的にもこのトレンドが継続するものと予測されております。改正入国管理法により、外国人技能実習生の活用範囲が拡がるとともに、習熟した人材が日本で働くことが可能となりました。同時に、新興国では経済成長に伴い製造業の発展、拡大が見込まれます。日本で身につけた技術を生かして母国で働きたい人のニーズや新興国で製造拠点を作る企業のニーズの拡大を想定し、日本国内と海外新興国における人材の育成と橋渡しとなることで、「日本で外国人がイキイキ働ける環境づくり」と「日本で学んだ外国人が母国でイキイキ働ける環境づくり」の両立を目指します。
④ 高スキルエンジニア領域の開拓
企業が生産性を向上させるには、テクノロジーの活用が欠かせません。また、ソフトウエアやネットワークとモノづくりが一体となった製品開発の増加により、領域横断での知識・経験等高度な技術を持った人材がより多く必要となっていきます。
当社グループは、この領域に対し、実績のある大手企業との提携やM&Aを活用して規模拡大と機能強化を図ります。技術の領域で働き続けたいエンジニアや高度なスキルを身につけたい人材等のニーズに応えることで、「技術を追求しながらイキイキ働ける環境づくり」を目指します。
⑤ 人材流動化支援の推進
働く意欲がある誰もが年齢にかかわりなく、その能力を十分に発揮できるよう改正された高齢者雇用安定法では、企業に対して定年後も就労を希望する高齢者の再雇用を求めています。当社グループでは、特に従業員数が多い大企業向けに、合弁会社の設立等により、継続雇用を支援し、高齢者の豊富な経験を様々な領域で生かすことができる職場の開拓を目指します。
また、事業環境や経営戦略の変化に伴う事業再編によって発生する中核製品以外の製造事業・事務派遣事業等のノンコア事業のオペレーションやそこではたらく人材を当社グループが譲り受ける人材ソリューションの提案を行います。主に人材関連の事業を当社グループ内に取り込むことにより、間接コストを削減する等、経営効率の改善を図ります。
当社グループが提供するキャリアプラットフォームに参加することにより、はたらく人にとってはこれまでのキャリアの一貫性を保つことができると同時に、事業譲渡した企業では中核事業に経営資源を集中することで新たな成長戦略に取り組むことができます。
このような大企業特有の人材活用に関する経営課題に対して最適なソリューションを提供し、人材の流動性を高めることで、「経験豊富な人材がイキイキ働ける環境づくり」を目指します。
⑥ 新たな職域での事業基盤の構築
当社グループは、製造業の生産工程を中心とした人材派遣事業が中心であることから、派遣先企業で働く技術職社員の属性は若年層の男性中心となっております。今後は、女性を含む多様なはたらく人のニーズに応えるため、生産工程以外の新たな職場領域の開拓を計画しております。しかし、これらの職場領域を事業領域とする事業者が多数存在する市場に新規参入して規模を拡大することは困難なことが想定されることから、当社独自の事業モデルであるソリューション事業を活用して規模の拡大を図ってまいります。
これまでに大企業向けの人材流動化支援により譲受けた事務派遣事業やBPO事業を基盤として、新たな事業基盤を構築することで「女性を含む多様な人材がイキイキ働ける環境づくり」を目指します。
(第4次中期経営計画の進捗)
当社グループは、第4次中期経営計画の2年目である2022年3月期において、売上高とシェアの拡大に注力した結果、当該計画の売上高目標を1年前倒しで実現する等、好調な進捗であることから、2022年5月に2023年3月期から最終年度である2025年3月期の売上高・EBITDA目標を修正いたしました。当連結会計年度ではグループ内の大幅な組織再編や新しい業務システムの段階的な導入を行い、生産性の向上と人員配置の最適化を進めるとともに、採用効率の改善のための採用オペレーションの最適化を図ることで、当社グループが中長期的に成長加速を実現していくための筋肉質な事業基盤を整え、収益性の向上に取り組みました。
以上の結果、当連結会計年度は売上高170,631百万円(目標値180,000百万円に対して5.2%未達成)、EBITDA(※)15,714百万円(目標値15,000百万円に対して4.8%超過)となりました。
※ EBITDA=営業利益+減価償却費(有形・無形固定資産)+のれん償却額+株式報酬費用
(4) 気候変動への対応
当社グループでは、2021年4月に策定した「サステナビリティ基本方針」のもと、「はたらく人の可能性を広げる」「事業基盤の継続的な強化」「公正で透明性の高い組織統制」「環境への適切な配慮」を重点課題に据えております。とりわけ気候変動に関連して大規模な自然災害が発生した場合には、顧客企業等の製造設備の被害等により生産活動が停止する可能性があり、サプライチェーンに関わる物理的なリスクが高まります。このように気候変動をはじめとする世界規模で顕在化している環境課題に対しては、2021年4月に策定した「環境方針」のもと、上述の重点課題「環境への適切な配慮」を踏まえた環境マネジメント体制の構築を進めております。さらに、TCFD(気候関連財務情報開示タスクフォース)が提唱するフレームワークに則り、「ガバナンス」「リスク管理」「戦略」「指標と目標」の4つの項目について、推奨される情報を継続的に開示してまいります。
全ての従業員がこれらの重要性を理解し、当社グループの持続的成長の実現に向けて、当社グループの価値の源泉である“はたらく人の成長”を支えるための事業基盤と組織統制体制の一層の強化に努めてまいります。
① ガバナンス
a.取締役会が気候関連課題について報告を受けるプロセス、議題として取り上げる頻度、監視対象
UTグループでは全社でのリスクマネジメント体制において気候変動を含むリスクを管理・分析し、その分析内容を経営会議及び取締役会に年1回以上報告する体制を構築しております。
b.経営者の気候関連課題に対する責任、報告を受けるプロセス(委員会等)、モニタリング方法
気候関連課題に対する最高責任権限を有する代表取締役社長は、経営会議及び取締役会においてサステナビリティ推進を行うサステナビリティ事務局を設置し、気候変動を含むサステナビリティ課題に関する取り組みを管理・推進しています。
② リスク管理
a.気候関連リスクの特定・評価プロセスの詳細、重要性の決定方法
UTグループでは全社でのリスクマネジメントプロセスの一環として、網羅的なリスクアセスメントを定期的に行っており、その中で気候変動に関するリスクを抽出しております。その後、関連部署へインタビューを経て発生頻度、影響度などにより重要性を決定しております。
b.重要な気候関連リスクの管理プロセスの詳細、優先順位付けの方法
気候関連リスクを含む重要なリスクは、リスクモニタリング事務局がその対策状況のモニタリングやリスク情報を経営会議及び取締役会へ報告する体制としております。
c.全社リスク管理の仕組みへの統合状況
UTグループでは気候変動を含む重要なリスクは定期的に行われるリスクアセスメントを経て、経営会議で管理され、その状況は取締役会によってモニタリングされております。
③ 戦略
④ 指標と目標
a.気候関連リスク・機会の管理に用いる指標
UTグループではオフィスで使用する紙の使用量について抑制するため、売上高に対する紙使用率(2020年3月期実績を100とする指数)を指標として設定しております。
b.実績
※ 2020年3月期を100とした指数
(5) 優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題
(1)~(3)に記載の長期経営ビジョン及び第4次中期経営計画を実行し、持続的な企業価値の向上を目指す上で、当社グループが優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題は、以下のとおりであります。
① 景気変動の影響を受けにくい事業基盤の構築
当社グループの事業は、製造工場の生産現場を中心とした職種への人材派遣や製造請負の占める割合が高いため、景気変動、自然災害及び感染症等の事象に影響される派遣先企業の生産調整によって、人材需要低下等の影響を受けやすい構造にあります。従来はマニュファクチャリング事業において、半導体・電子部品関連分野の割合が高かったことから、シリコンサイクルの影響を低減するため、異なる製品分野への分散を図ってまいりました。分散化により、個別の製品分野に対する生産変動への耐性は高まったものの、経済全体の減速に伴い全ての製品分野において生産量の減少が生じた際には、依然として解約リスクをゼロにすることは難しいと認識しています。
そのため、大幅な景気後退が生じた際の解約リスクを低減するための顧客工場内シェアの拡大や製造業の中でも景気変動の影響を受けにくい製造技術領域等の職種開拓を進めております。併せて、地域密着型で多様な職場を開拓するエリア事業、大企業を中心とした構造改革需要を取り込むソリューション事業、建設技術者・IT技術者の派遣事業を行うエンジニアリング事業の強化を進め、景気変動の影響を受けにくい事業基盤を構築してまいります。
② 恒常的な欠員確保
当社グループの事業は、派遣先企業で働く派遣労働者を当社グループで正社員として無期雇用することで、はたらく人の雇用の安定化と企業へのフレキシビリティの提供を両立させております。この事業モデルを機能させるためには、ある職場で人員が余剰となった際に、異なる職場への配置転換を迅速に行わなければなりません。そのため、全国各地の職場において、欠員(受注残)を恒常的に確保しておくための活動が必要となります。
当社グループでは、人材管理とともに顧客への提案活動を行う管理者を顧客毎に配置して欠員の確保を行っております。また、事業部毎に設置した営業組織により、事業会社を横断したサービス提案や新規顧客開拓等の活動を通じた欠員の確保を行っております。
③ 多様な人材の活躍促進と安定的な採用体制の構築
わが国では、少子高齢化によって生産年齢人口の減少が続いており、将来的にもこのトレンドが継続するものと予測されております。当社グループの技術職社員の大多数が若年層であり、中長期的にはこの影響を大きく受けることから、人材採用が困難になる可能性があります。
このような環境の中、女性・シニア・外国人など多様な属性の人材が活躍できる職場を増やしていくことが重要課題であると認識しています。このため当社グループでは、新たな顧客企業の開拓を進めるとともに、従業員から寄せられる職場改善に関する意見や求職者のニーズをもとに、顧客企業側により多様な人材を受け入れることができる職場づくりの提案を積極的に行っております。
当社グループは人材の安定的な採用のため、求人広告をはじめとする様々な採用媒体の活用や当社グループ独自の求人サイトの構築、全国の拠点における面接担当者のスキルの標準化等により採用効率を高め、安定的に人材を採用できるための体制を構築してまいります。
当社グループは、持続的に高い売上高を達成し、利益成長を続けることを目指しております。それに伴い、経営管理や事業運営を行う人員を育成・確保するとともに、事業規模に応じた組織基盤を確立させることが欠かせません。
そのため当社グループでは、これらの経営管理や事業運営を支える人員の確保・育成とともに、柔軟な組織運営やそれを支える業務システムの構築等を重要課題として取り組んでおります。
⑥ コーポレート・ガバナンスと内部統制体制の継続的な強化
当社グループの持続的な成長と企業価値の向上を実現するためにはコーポレート・ガバナンス体制の強化が重要であると認識しております。
当社グループは、的確かつ迅速な意思決定及び業務執行体制とそれを適切に監督・監視する体制の構築を図っております。経営の健全性や透明性を確保する観点から、今後も事業規模に応じたコーポレート・ガバナンス体制の強化を継続的に図ってまいります。また、企業規模の拡大やグループ会社の増加、海外での事業展開等、内部統制の重要度が増してきていることから、グループ全体での内部統制につきましても継続的な強化を図ってまいります。
⑦ M&Aによる事業拡大
当社グループの主力事業である製造業向け人材派遣事業は、業界に先駆けた無期雇用派遣と高い人材供給力や高品質な人材育成・管理体制によって、特に大企業において大きなシェアを獲得しております。一方、地域における職場数や技術者領域や事務領域等の製造工程以外での職種等、当社グループが未だ競争力を発揮できていない領域があります。これらの今後開拓すべき事業領域では、M&Aが有効な手段であると考えております。
当社グループは、採用・育成プラットフォームや既存事業とのシナジーを考慮した上で、ターゲット企業に対して事業の評価を行い、企業価値の向上に資するM&A戦略を推進してまいります。また、買収後には、グループ全社の経営基盤機能を有する経営基盤部門内に設置したPMI担当組織が、ガバナンス強化を行い早期にグループシナジーが実現できる体制を構築してまいります。
⑧ 業務プロセスの効率化とITによるグループ共通業務基盤の構築
当社グループの各拠点における採用・営業・事務等の業務には、帳票類やプロセスの標準化等、システム導入による効率化の余地があると認識しております。
当社グループでは、全社横断のプロジェクトチームを設置し、課題の抽出やITによる効率化の可能性の検討を重ね、段階的にシステム導入を進めております。2022年4月には、共通の事業特性を持つ子会社を統合する等、大幅なグループ内組織再編を実施いたしました。第4次中期経営計画の各戦略をより明確な道筋で推進することにより、中長期的に筋肉質で強固な業務基盤を構築してまいります。
⑨ 外国人材の活用促進
わが国では、生産年齢はもとより総人口の減少が続いており、将来的にもこのトレンドは継続するものと予測されております。2019年4月に施行された改正入国管理法では、新たな在留資格が創設される等、外国人を受入れるための法整備が進んでおります。また、当社グループが持続的に成長していく上では、国内だけでなく海外での事業展開も視野に入れることが必要であると認識しております。
当社グループは、2017年より外国人技能実習生を対象とした労務管理代行事業を開始し、企業が外国人を活用する際に、外国人の権利保護等のコンプライアンスを遵守する体制を構築してまいりました。当社グループは、外国人が活躍できる環境をつくるため、技能実習により技術を身につけた外国人が特定技能ビザに基づいて日本国内で継続的に働くための就労支援や、企業に対する労務管理の代行事業を推進してまいります。また、母国に帰国したあとにその技術を活かして働くことを支援するために、現地の有力企業との資本・業務提携を通じた人材サービス事業の構築を進め、海外における事業基盤の拡大を図ってまいります。
加えて、日系人を海外から招聘する・国内在住の日系人を採用するためのネットワークの強化と安心して働くことのできる職場環境づくりを進めてまいります。
当社グループの事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、経営者が連結会社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に重要な影響を与える可能性があると認識している主要なリスクは、以下のとおりであります。
なお、以下の記載のうち将来に関する事項は、別途明記している場合を除き、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
当社グループは、半導体・電子部品関連メーカーが売上高のおよそ3分の1を占めていることから、半導体業界特有のシリコンサイクルと呼ばれるおよそ4年周期の景気変動の影響を受ける可能性があります。業績への影響はプラス面マイナス面双方ありますが、その程度につきましては想定が困難であります。このような景気変動による業績への影響を軽減するため、半導体・電子部品関連分野で培った専門性を活かし、事業領域を自動車等の製造業全般へ広げ、各地域の職場を開拓するとともに、景気変動の影響を受けにくいエンジニア派遣領域の拡大やソリューション事業における構造改革需要の取り込みの強化を進めております。
当社グループが属する製造派遣・エンジニア派遣の領域では、競合他社において、営業の強化を行うとともに、M&Aにより規模拡大を目指す動きも見られることから、競争の激化により、事業運営が想定どおり進まない可能性があります。当該リスクが顕在化する可能性や業績への影響については、現時点では認識しておりませんが、当社グループにおきましても、既存顧客のシェア拡大、新規顧客の開拓、同業のM&Aにより積極的な事業拡大を目指してまいります。
当社グループは、労働者派遣法に基づく労働者派遣事業及び職業安定法に基づく有料職業紹介事業の許可を厚生労働大臣から取得して事業を行っております。労働者派遣法では、労働者派遣事業の適正な運営を確保するために、派遣事業者として欠格事由(派遣法第6条)に該当する場合や当該許可の取消事由(派遣法第14条)に該当した場合には、許可の取り消しや事業の全部又は一部を停止できる旨が定められています。また、職業安定法では、有料職業紹介事業者としての欠格事由(職業安定法第32条)に該当する場合や当該許可の取消事由(職業安定法第32条の9)に該当した場合には、許可の取り消しや業務の全部又は一部の停止を命じることができる旨が定められています。
本書提出日現在において、当社グループが認識している限り、当該許可等の取り消し又は事業の停止等となる事由は発生しておりませんが、万一、当社グループ各社にて、重大な法令違反が発生し、許可の取り消し又は事業の停止を命じられた場合には、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。なお、当該リスクが顕在化する可能性や業績への影響については、現時点では認識しておりませんが、コンプライアンス教育の徹底、継続的な内部統制の強化を図っております。
当社グループの許可・届出状況
当社グループは、労働基準法、労働安全衛生法、労働者災害補償保険法、厚生労働省告示第518号、健康保険法、個人情報保護法等、多岐にわたる法律に基づいて事業を行っております。
当社グループは、常にコンプライアンスを徹底しておりますが、万が一法令違反等が発生した場合、許認可の取り消しや社会的信用の失墜等により、当社グループの事業に影響を及ぼす可能性があります。また、当社グループは、事業活動の中で顧客企業の機密情報等に触れる可能性があり、万が一これらの情報管理に不足が生じ、外部に漏洩した場合、派遣契約の解除や損害賠償の請求及び社会的信用の失墜等により、当社グループの事業に影響を及ぼす可能性があります。なお、これらのリスクが顕在化する可能性や業績への影響については、現時点では認識しておりませんが、コンプライアンス教育の徹底、継続的な内部統制の強化を図っております。また、顧客企業へ向けてコンプライアンスへの正しい理解を促す啓蒙活動を行う他、派遣業界全体の健全化にも注力しております。
2015年9月30日施行の改正労働者派遣法につきましては、キャリア形成支援や教育訓練が義務付けられるとともに、雇用安定措置が明記されました。雇用の安定と派遣事業の健全な発展へ向けての法改正であると認識しており、無期雇用の派遣社員は期間制限なしでの雇用が可能となったことから、当社グループにとって事業機会が拡大する要因となったものと考えております。しかしながら、競争の激化等により、当社グループの想定どおりに需要が拡大せず、事業が進まない可能性があります。なお、当該リスクが顕在化する可能性や業績への影響については、現時点では認識しておりませんが、派遣先企業に加え、派遣ではたらく人も顧客として捉えるツインカスタマー戦略の推進により、派遣先企業とはたらく人の双方から最も選ばれる企業を目指し、事業の拡大に取り組んでまいります。
当社グループは、事業拡大に必要な資金を金融機関からの借入によって調達しております。現状、金融緩和措置等により借入金利も極めて低い水準で推移しておりますが、一部の金融機関との取引について、借入契約に財務制限条項が付されたものがあります。万が一、これらの条件に抵触した場合には、借入金利の上昇や期限の利益を喪失する可能性等があり、その場合は、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を与える可能性があります。なお、当該リスクが顕在化する可能性や業績への影響については、現時点では認識しておりませんが、経営の重要指標としてグロスDEレシオが1.0以下となることを目安としており、借入と自己資本のバランスをとった経営を行っております。
当社グループは、既存の事業基盤を拡大及び新たな事業への進出をするために、中長期的な友好関係の維持を目的とした資本提携や戦略的な企業買収等を行っております。当社グループが保有している投資有価証券及び関係会社株式の時価又は実質価額が著しく下落した場合、その程度によっては、売却損や評価損の計上を強いられることも想定され、当社グループの経営成績や財政状態に影響を及ぼす可能性があります。なお、当該リスクが顕在化する可能性や業績への影響については、現時点では認識しておりませんが、資本提携先や買収先企業については、取締役会及び経営会議等で定期的にモニタリングし、監督機能を強化することにより、業績向上を目指した経営を行っております。
当社グループ各社が受託した業務を遂行するのは、「技術職社員」 (※) であります。当社グループにおける技術職社員は、無期雇用を基本としております。当社グループ各社では受託した業務において経験ある社員が組織化して指揮命令系統を確立し、チーム単位で業務を遂行する場合が大半を占めます。経験やスキルが不足している場合には、受入研修やOJT等により技術職社員の技能を向上させております。欠員等が発生した場合は、他の部署で雇用している技術職社員の戦略的異動又は新たな採用を行っておりますが、技術職社員の雇用に関しては、以下のようなリスクがあります。
d.当社グループ各社は、採用環境の悪化等により地元採用が困難になった場合、他の地域で採用した技術職社員の配属を行うため、イニシャルコストとして移転費用が発生し、売上総利益率が低下する可能性があります。
なお、当該リスクが顕在化する可能性や業績への影響については、現時点では認識しておりませんが、働く意欲を持った全ての人にスキルアップやキャリア形成の機会が等しく提供される社会の実現を目指し、女性やシニア、外国人等多様な求職者層へのアプローチとともに各地域の職場開拓にも注力することで、はたらき方の多様性を支えるプラットフォームの構築を進めてまいります。
※ 当社グループでは、顧客企業の生産工程に従事する社員を「技術職社員」と呼んでおります。技術職社員の雇用形態には、正社員の他、契約社員も含まれます。
大規模な自然災害や感染症等による公衆衛生上のリスクが発生した場合には、当社グループの業績に影響を与える可能性があります。なお、当該リスクが顕在化する可能性や業績への影響については、現時点では認識しておりませんが、当社グループでは、「有事対応に関する規程」や「事業継続計画(BCP)に関する規程」を整備し、有事に備えております。
加えて、気候変動を含むリスクを管理・分析し、その分析内容を経営会議及び取締役会においてモニタリングする体制を構築しております。
当社グループは、技術職社員を含む従業員及び採用応募者の個人情報を取り扱っております。また、顧客情報につきましても事業部門にて取り扱っております。これらの情報が漏えい又は流出した場合は、当社グループの業績に多大な影響を与える可能性があります。なお、当該リスクが顕在化する可能性や業績への影響については、現時点では認識しておりませんが、各種個人情報、顧客情報につきましては、当社グループが定める「個人情報保護方針」や「特定個人情報等取扱規程」等に従い、一定のセキュリティ基準を持たせた上で、アクセス可能な担当者に制限を設ける等、管理体制と仕組みの構築について継続的な改善を行っております。
当社グループは、大量の個人情報及び機密情報等を含むデータを保有しておりますが、サイバー攻撃や不正アクセス、その他の不測の事態によりこれらのデータが外部へ流出した場合は、当社グループの業績に多大な影響を与える可能性があります。なお、当該リスクが顕在化する可能性や業績への影響については、現時点では認識しておりませんが、当社グループが定める「情報セキュリティ基本方針」のもと「情報セキュリティ管理規程」や各種細則に従い、情報資産の特性に応じた施策を整備し、高い情報セキュリティレベル及びサイバーセキュリティレベルの確保に努めております。また、技術職社員を含む役職員に対し、継続的に倫理観を高め、情報セキュリティリテラシーを向上させるため、定期的に情報セキュリティ教育を実施しております。
当社グループは、戦略的なM&Aや資本提携を進めておりますが、各種デューデリジェンスの実施による重要リスクの特定や、買収後の事業経営の統合プロセス及び事業推進が適切に進捗しない場合には、投下資本の回収が困難になる可能性があり、のれんの減損リスクが発生する等、当社グループの業績に影響を与える可能性があります。なお、当該リスクが顕在化する可能性や業績への影響については、現時点では認識しておりませんが、M&Aや資本提携専任の組織を設け、各領域で十分な経験を積んだ担当者が案件の調査や提携交渉、買収後の事業計画策定を行っており、候補案件は具体的なデューデリジェンスを行ったのち、案件会議、取締役会にて決議しております。また、買収後についても、取締役会及び経営会議等で定期的にモニタリングし、監督機能を強化することにより、業績向上を目指した経営を行っております。
⑬ 有能な人材の確保と維持について
当社グループが顧客企業の人材需要や構造改革需要を取り込み、企業規模を拡大する中で、経営管理や事業運営を行う人員及びバックオフィス業務等の事業基盤を支える人員が想定するよりも多く流出する等、有能な人材の安定的な確保ができない場合は業務遂行に支障をきたし、当社グループの競争上の優位性の確保や持続的成長を妨げる可能性があります。なお、当該リスクが顕在化する可能性や業績への影響については、現時点では認識しておりませんが、事業環境の変化に即した人事制度の設計やリモートワーク等の柔軟な職場環境の整備、さらに、人材の多様性を確保し、仕事へのやりがい及び組織の成長とともに自身の成長が実感できるような良好な職場づくり等、従業員がイキイキと活躍できる土壌の整備を進めております。加えて、バックオフィス業務等の標準化やシステム化等、人に依存しない体制の構築を併せて進めております。
⑭ 経営陣について
当社グループの創業者であり、代表取締役社長兼CEOの若山陽一氏をはじめとする重要な経営陣に不測の事態が発生した場合は、当社グループの事業展開に支障が生じる可能性があります。なお、当該リスクが顕在化する可能性や業績への影響については、現時点では認識しておりませんが、そのような場合に備え、サクセッションプランを定め、他の役員による職務の代行が可能な体制構築を推進しております。
⑮ 人権の尊重について
近年、企業のサプライチェーンにおける強制労働や児童労働、差別・ハラスメント等の人権に関する問題提起がなされています。当社グループでは国内の事業活動に加え、外国人技能実習生管理代行事業や海外での人材派遣事業を展開しております。事業活動を行うそれぞれの国と地域において、人権に関する法令及び規制が遵守されず権利が侵される場合、事業運営への支障や社会的信用の失墜等により、当社グループの事業に影響を及ぼす可能性があります。なお、当該リスクが顕在化する可能性や業績への影響については、現時点では認識しておりませんが、当社グループでは、国際的な人権基準である「国際人権章典」及び「労働における基本的原則及び権利に関するILO宣言」を支持し、2021年4月に制定した「個人の尊重と成長に関する基本方針」に基づいて、2021年12月に「UTグループ 人権方針」を策定しました。また、毎年のリスクアセスメント実施により、人権リスクを含む当社グループ全社におけるリスクを特定し、重要なリスクを優先した対応策及び損失最小化に向けた行動計画の策定を進めております。
顧客である国内メーカーの製造拠点が海外に移転し、国内における生産拠点が減少した場合には、当社グループ各社は業績に大きな影響を受ける可能性があります。なお、当該リスクが顕在化する可能性や業績への影響については、現時点で認識しておりませんが、国内既存顧客の工場内シェア拡大に加え、新規顧客の開拓等を行うことで、持続的な売上の拡大を目指しております。
② 業績の変動要因について
顧客である国内メーカーは、人件費の変動費化をニーズの一つとしております。すなわち、専門性の高い即戦力となる人材の確保に加え、景気の影響で変動する生産量にフレキシブルに対応するための戦略として、当社グループ各社の人材派遣・請負事業者が活用されていると認識しております。したがって、顧客である国内メーカーの減産に伴って、当社グループ各社との契約数が減少することや同業他社との価格競争が激化するといった傾向があります。
その一方で、当社グループ各社が雇用している技術職社員については、無期雇用を原則としておりますので、技術職社員の配置転換等が円滑に進まなかった場合には、待機人員となり、当社グループ各社の収益を圧迫する可能性があります。また、当社グループ各社の契約数が急激に増加する場合には、売上高の増加よりも先行して発生する技術職社員の採用費の負担が大きく影響し、損益に悪影響を与える可能性があります。なお、当該リスクが顕在化する可能性や業績への影響については、現時点では認識しておりませんが、これらの変動要因を回避するため、顧客企業とパートナーシップを構築して、長期的かつ安定的な人材供給を目指しております。
製造派遣事業において、国内メーカーの工場での生産工程における作業を受託する「構内作業業務請負」を一部行っており、顧客企業との業務請負契約の付属契約として設備等の賃貸借契約を締結し、その中で請負業務を遂行する際に発生する設備等の破損について責任を負っております。また、当社グループ各社は、生産性低下のリスクや不良品発生リスクも担っております。また、業務を遂行する技術職社員が労働災害に見舞われた場合において、その損害についての責任を負っております。したがって、これらの損害により当社グループの費用負担が増加した場合は、業績に影響を及ぼす可能性があります。なお、当該リスクが顕在化する可能性や業績への影響については、現時点では認識しておりませんが、請負業務を行う従業員については、製造工程を熟知した人材を配置するとともに、安全衛生教育等を含む継続的な研修や訓練を行っております。
当社グループが技術職社員の多くを派遣する製造業において、技術革新や事業環境の変化のスピードは増しており、顧客企業のニーズを的確に捉えて対応していく必要があります。技術革新の急速な進展に対し、その対応が遅れた場合、特に顧客企業における技術革新の方向性を適時適切に把握し、顧客企業に派遣する技術職社員におけるスキルセットやスキルアップ、職種転換を適切に図ることができない場合、あるいは派遣管理手法や採用手法等、当社グループの強みを発揮したサービスや技術を提供できない場合には、当社グループの競争上の優位性が確保できず、ビジネスモデルそのものが陳腐化する等、当社グループの事業運営や業績に影響を及ぼす可能性があります。なお、当該リスクが顕在化する可能性や業績への影響については、現時点では認識しておりませんが、市場や顧客企業のニーズの変化を見極め、柔軟な対応能力を発揮するべく、顧客企業とのリレーションの維持・強化に努めております。
(1) 経営成績等の状況の概要
当連結会計年度における当社グループ(当社及び連結子会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)の状況の概要は以下のとおりであります。
当連結会計年度におけるわが国経済は、新型コロナウイルス感染症による社会経済活動の制限緩和を背景に、景気は緩やかに持ち直しの動きが見られるものの、ロシアのウクライナ侵攻等の影響による原材料価格やエネルギー価格の上昇と物価の高騰、各国での政策金利の引き上げや円安の進行に加え、世界的なサプライチェーンの混乱による供給制約の問題が継続する等、先行きが不透明な状況が続きました。
当社グループを取り巻く環境としましては、情報通信技術の拡充や世界的な脱炭素化の加速等を背景に半導体需要の中長期的な増加が期待されるものの、足元では在庫調整等の影響を受け半導体製造装置メーカーや半導体メーカーにおける設備投資及び生産活動の減速が見られました。自動車関連メーカーでは断続的な生産調整が継続しました。
このような状況の下、当社グループは第4次中期経営計画(2021年3月期~2025年3月期)で掲げる「より多くのはたらく人に応えられるキャリアプラットフォームへ」の中期経営目標のもと、「大手製造業向けワンストップ戦略」、「地域プラットフォーム戦略」及び「ソリューション戦略」を成長戦略として推し進めております。中核事業領域である大手製造業向け人材派遣において、半導体製造装置エンジニアの育成・強化による顧客工場内の全工程でのシェアの拡大を進めるとともに、地域の有力派遣事業者との業務提携やM&Aによる地域の職場での安定的な雇用環境の整備、併せて大手企業グループ向けの人材流動化支援を進め、事業基盤のさらなる強化・拡大に取り組んでおります。
当連結会計年度は、当計画の3年目であり、前連結会計年度における徹底した採用活動の強化で積み上げた技術職社員数を起点としてトップラインの引き上げを図るとともに、当社グループが中長期的に成長加速を実現していくための筋肉質な事業基盤を整え、収益性の向上に努めました。
当社グループは、2022年4月1日付でグループ内の大幅な組織再編を行いました。上述の中期経営計画における各成長戦略の実行力を高めるための組織再編を実施し、共通の事業特性を持つ事業会社を統合しました。併せて、2022年4月から新しい業務システムの段階的な導入を進め、事業会社間のアドミニストレーション業務等を標準化、共通化することによって、生産性の向上、さらには人員配置の最適化を進めてまいりました。加えて、採用活動において、事業会社毎に保有する求人情報等のデータベースをグループで統合し、採用オペレーションを最適化することにより、採用効率を改善する取り組みを進めました。
a.財政状態
当連結会計年度末の資産合計は、前連結会計年度末に比べ7,523百万円増加し、71,630百万円となりました。
当連結会計年度末の負債合計は、前連結会計年度末に比べ1,173百万円減少し、41,702百万円となりました。
当連結会計年度末の純資産合計は、前連結会計年度末に比べ8,696百万円増加し、29,928百万円となりました。
b.経営成績
当連結会計年度は売上高170,631百万円(前年同期156,769百万円、8.8%の増収)、営業利益8,914百万円(前年同期6,257百万円、42.5%の増益)、EBITDA(※)15,714百万円(前年同期7,502百万円、109.5%の増加)、経常利益8,834百万円(前年同期5,954百万円、48.4%の増益)、親会社株主に帰属する当期純利益3,831百万円(前年同期3,140百万円、22.0%の増益)、技術職社員数は45,530名(前年同期45,386名、144名の増加)となりました。
※ EBITDA=営業利益+減価償却費(有形・無形固定資産)+のれん償却額+株式報酬費用
セグメントごとの経営成績は以下のとおりであります。なお、当連結会計年度の期首より、セグメントを従来の「マニュファクチャリング事業」「ソリューション事業」「エンジニアリング事業」の3セグメントから、「マニュファクチャリング事業」「エリア事業」「ソリューション事業」「エンジニアリング事業」「海外事業」の5セグメントに変更しております。このため、前年同期数値につきましては、変更後のセグメント区分に組み替えて比較分析を行っております。詳細は、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項」の(セグメント情報等)に記載のとおりであります。
(マニュファクチャリング事業)
「輸送機器関連分野」では、依然として部材不足による自動車関連メーカーの生産調整が継続しました。
「産業・業務用機械関連分野」「エレクトロニクス関連分野」では、秋口以降、半導体の在庫調整等の影響を背景とした新たな増員需要の先送りや欠員補充の見送り等の顧客状況を踏まえ、慎重な採用活動を進めました。また、顧客に密着した課題解決型の提案等により顧客企業とのリレーションを強化し、派遣先工場内シェアを高めてきたことで人材需要低下の影響を最小限に留めることができました。
このような状況のもと、前年同期比で技術職社員数は減少しましたが、高水準の人材管理の訴求や自社で育成した高スキル人材の派遣を進めたことにより増収となりました。費用面においては、採用関連費の効率化等の販売費及び一般管理費の削減への取り組みが奏功し、大幅な増益となりました。
以上の結果、売上高82,089百万円(前年同期76,003百万円、8.0%の増収)、セグメント利益10,988百万円(前年同期6,345百万円、73.2%の増益)、技術職社員数14,001名(前年同期14,963名、962名の減少)となりました。
(エリア事業)
求職者の多様なニーズに応えるために、各地域において新たな顧客開拓と既存顧客における求人案件の多様化に注力し、これをもとにした採用活動を進めたことで、技術職社員数が大きく増加し、増収となりました。費用面においては、2022年4月1日付のグループ内の大幅な組織再編に伴い業務基盤の共通化を進めたこと等により、販売費及び一般管理費の削減への取り組みが奏功し、大幅な増益となりました。
以上の結果、売上高51,222百万円(前年同期44,611百万円、14.8%の増収)、セグメント利益1,902百万円(前年同期は941百万円の損失)、技術職社員数13,332名(前年同期12,225名、1,107名の増加)となりました。
(ソリューション事業)
2021年10月に連結子会社化したUTエフサス・クリエ株式会社による増収効果が一巡したことに加え、2022年3月末のUTシステムプロダクツ株式会社の売却による影響が生じたことで減収となりました。一方利益面では、既存子会社の技術職社員数の増加や一部の請負現場における稼働の増加により、増益となりました。
以上の結果、売上高18,645百万円(前年同期21,081百万円、11.6%の減収)、セグメント利益146百万円(前年同期76百万円、91.8%の増益)、技術職社員数3,134名(前年同期3,060名、74名の増加)となりました。
(エンジニアリング事業)
従前より新卒入社社員の育成・配属体制の構築に注力してきたことが奏功し、2022年4月に迎え入れた新卒入社社員約200名の稼働開始・戦力化が前期よりも早期に実現しました。さらに、建設、ITともに受注動向は堅調であり、前年同期比で技術職社員数が増加したことにより、増収増益となりました。
以上の結果、売上高9,040百万円(前年同期7,934百万円、13.9%の増収)、セグメント利益1,131百万円(前年同期787百万円、43.6%の増益)、技術職社員数1,469名(前年同期1,388名、81名の増加)となりました。
(海外事業)
ベトナム経済は、新型コロナウイルス感染症に関する規制が撤廃され、国内総生産(GDP)は高い伸びを続けており、その回復状況は鮮明であります。従前より拠点を有するホーチミン市を中心とする南部地域から、ハノイ市を中心とする北部地域まで営業活動を拡大し、日系企業からの案件獲得に注力いたしました。加えて、2021年10月の新型コロナウイルス感染症に関する規制緩和以降、ベトナム国内の生産活動が回復したことにより増収増益となりました。
以上の結果、売上高9,663百万円(前年同期7,180百万円、34.6%の増収)、セグメント利益326百万円(前年同期13百万円)、技術職社員数13,594名(前年同期13,750名、156名の減少)となりました。
なお、海外事業につきましては、決算日が12月末日であることから2022年1~12月期の実績を3ヶ月遅れで当連結会計年度に計上しております。
当連結会計年度末における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)の残高は、31,969百万円(前連結会計年度末比6,142百万円増)となりました。
当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの増減要因は、以下のとおりであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動の結果獲得した資金は、13,004百万円(前年同期は2,279百万円の獲得)となりました。これは主に、税金等調整前当期純利益8,734百万円(株式報酬費用5,562百万円を除いた場合の税金等調整前当期純利益14,296百万円)が計上されたことによるものであります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動の結果使用した資金は、2,139百万円(前年同期は6,300百万円の使用)となりました。これは主に、無形固定資産の取得による支出2,446百万円が計上されたことによるものであります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動の結果使用した資金は、4,748百万円(前年同期は4,554百万円の獲得)となりました。これは主に、長期借入金の返済による支出3,648百万円及び配当金の支払額975百万円が計上されたことによるものであります。
当社グループは生産活動を行っていないため、記載を省略しております。
当社グループが行う事業は全て受注時の業務量をその後の顧客の要望に合わせて変更することが多いため、記載を省略しております。
c.販売実績
当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、以下のとおりであります。
(注) 1.セグメント間取引については、相殺消去しております。
2.主な相手先別の販売実績及び総販売実績に対する割合は、10%未満のため記載を省略しております。
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は、以下のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
a.財政状態の分析
(資産)
当連結会計年度末における流動資産は55,784百万円となり、前連結会計年度末に比べ6,036百万円増加いたしました。これは主に現金及び預金が6,142百万円増加したことによるものであります。固定資産は15,846百万円となり、前連結会計年度末に比べ1,486百万円増加いたしました。これは主に当社グループのシステム構築への投資進捗に伴い、ソフトウエアが1,473百万円増加したことによるものであります。
この結果、総資産は71,630百万円となり、前連結会計年度末に比べ7,523百万円増加いたしました。
(負債)
当連結会計年度末における流動負債は27,903百万円となり、前連結会計年度末に比べ2,436百万円増加いたしました。これは主に預り金が984百万円減少したものの、未払法人税等が3,699百万円増加したことによるものであります。固定負債は13,798百万円となり、前連結会計年度末に比べ3,609百万円減少いたしました。これは主に長期借入金が3,589百万円減少したことによるものであります。
この結果、負債合計は41,702百万円となり、前連結会計年度末に比べ1,173百万円減少いたしました。
(純資産)
当連結会計年度末における純資産は29,928百万円となり、前連結会計年度末に比べ8,696百万円増加いたしました。これは主に利益剰余金による配当を968百万円行ったものの、親会社株主に帰属する当期純利益が3,831百万円計上されたこと及び新株予約権が5,561百万円増加したことによるものであります。
この結果、自己資本比率は31.8%(前連結会計年度末は30.8%)となりました。
b.経営成績の分析
当連結会計年度は、第4次中期経営計画の3年目であり、前連結会計年度における徹底した採用活動の強化で積み上げた技術職社員数を起点としてトップラインの引き上げを図るとともに、当社グループが中長期的に成長加速を実現していくための筋肉質な事業基盤を整え、収益性の向上に努めました。
その具体的な取組みとして、2022年4月1日付でグループ内の大幅な組織再編を行いました。上述の中期経営計画における各成長戦略の実行力を高めるための組織再編を実施し、共通の事業特性を持つ事業会社を統合したことで、特にエリア事業における人件費や採用関連費の効率化を実現しました。併せて、2022年4月から新しい業務システムの段階的な導入を進め、事業会社間のアドミニストレーション業務等を標準化、共通化することによって、生産性の向上、さらには人員配置の最適化を進めてまいりました。加えて、採用活動において、事業会社毎に保有する求人情報等のデータベースをグループで統合し、採用オペレーションを最適化することにより、採用効率を改善する取り組みを進めました。これらの取組みにより、売上高は過去最高を更新するとともに、販売管理費効率(株式報酬費用を除く)が改善し、持続的な事業成長のための基盤構築を進めました。
これらの結果、当連結会計年度における経営成績は、売上高170,631百万円(前年同期比8.8%増)、営業利益8,914百万円(前年同期比42.5%増)、EBITDA(※)15,714百万円(前年同期比109.5%増)、経常利益8,834百万円(前年同期比48.4%増)、親会社株主に帰属する当期純利益3,831百万円(前年同期比22.0%増)となりました。
※ EBITDA=営業利益+減価償却費(有形・無形固定資産)+のれん償却額+株式報酬費用
c.経営成績に重要な影響を与える要因について
当社グループの主幹事業が属する製造業界におきましては、為替変動や国内外の景気変動の影響等により、当社グループの業績に影響を与える可能性があります。
そのほか、経営成績に重要な影響を与える可能性のある要因については、「第2 事業の状況 3 事業等のリスク」に記載のものがあります。
② キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容並びに資本の財源及び資金の流動性に係る情報
a.キャッシュ・フローの状況
キャッシュ・フローの状況は、「第2 事業の状況 4 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1) 経営成績等の状況の概要 ② キャッシュ・フローの状況」に記載のとおりであります。
b.資本の財源及び資金の流動性
当社グループの運転資金需要のうち主なものは、売上債権の回収サイクルと仕入債務の支払いサイクルのギャップ及び営業活動上において必要な人件費や手数料等の販売費及び一般管理費であります。設備投資資金としては、主に自社利用のソフトウエア等への投資であります。
所要資金は、運転資金需要が中心であるため、自己資金をベースとしつつも、M&Aを含む成長局面の需要に対しては金融機関からの借入を適時組み合わせ、必要資金を賄っております。
③ 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められる企業会計の基準に準拠して作成しております。この連結財務諸表の作成にあたって、資産、負債、収益及び費用の報告金額に影響を及ぼす見積り及び仮定を用いておりますが、これらの見積り及び仮定に基づく数値は実際の結果と異なる可能性があります。
連結財務諸表の作成に当たって用いた会計上の見積り及び仮定のうち、重要なものは以下のとおりであります。
(のれんの回収可能性)
当社グループは、のれんについて、20年以内の合理的な年数で定額法により償却を行っております。
のれんに係る減損要否の検討は、のれんの発生原因である超過収益力やシナジー効果が将来にわたって発現するかに着目して行っており、のれんが帰属する事業の事業計画に沿って営業利益等が計上されているかを毎期モニタリングしております。
事業計画の達成が危ぶまれる状況など減損の兆候が認められる場合には、事業計画の合理性について見直しを行い、これに基づく割引前将来キャッシュ・フローによって、減損損失の認識の要否を判定いたします。減損損失を認識する場合においては割引後将来キャッシュ・フローで算定する回収可能性に基づき減損損失を測定することとしております。
検討に用いる将来の事業計画には、在籍人数及び派遣単価等の項目が重要な仮定として用いられております。これらについては、その性質上、一定の仮定を設定した上での判断を伴うものであり、当該仮定に変化が生じた場合は、減損の兆候の有無の判断、認識するか否かの判定、又は測定する減損損失の金額に重要な影響を及ぼす可能性があります。
2022年8月30日開催の取締役会において、Green Speed Joint Stock Companyが所有するGreen Speed Co.,Ltd.の全株式を売却することを決議いたしました。また、同日付で持分譲渡契約を締結いたしました。
2023年5月26日開催の取締役会において、株式会社アーキ・ジャパンの親会社である株式会社AJホールディングス、株式会社アクト・ジャパン及びJAGフィールド株式会社の全株式を所有するJ-CEP株式会社の全株式を売却することを決議いたしました。また、同日付で株式譲渡契約を締結いたしました。詳細は、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項」の(重要な後発事象)をご参照ください。
当連結会計年度末現在の状況は以下のとおりであります。
(1) 提出会社 2023年3月31日現在
(注) 1.有形固定資産「その他」は、工具、器具及び備品の合計であります。
2.無形固定資産「その他」は、商標権及びソフトウエア仮勘定の合計であります。
3.建物の一部を賃借しており、年間の賃借料は191百万円であります。
(2) 国内子会社 2023年3月31日現在
(注) 1.有形固定資産「その他」は、車両運搬具及び工具、器具及び備品の合計であります。
2.無形固定資産「その他」は、電話加入権であります。
3.建物の一部を賃借しており、年間の賃借料は177百万円であります。
※ 当事業年度の末日(2023年3月31日)における内容を記載しております。なお、提出日の前月末日(2023年5月31日)現在において、これらの事項に変更はありません。
(注) 1.当社取締役の若山陽一氏は、同氏が保有する本新株予約権63,023個(目的となる普通株式の数6,302,300株)について、株式会社若山陽一事務所に対し2021年8月にこれを譲渡しております。株式会社若山陽一事務所は同氏が議決権割合の100%を所有する資産管理会社であるところ、本件は譲渡人である同氏が資産管理会社に本新株予約権を譲渡するものであり、本新株予約権行使による実質的な利益の帰属は本新株予約権の譲渡前後で変更ありません。
(注) 2.新株予約権1個当たりにつき目的となる株式の数は、当社普通株式100株とする。
なお、新株予約権の割当日後、当社が株式分割(当社普通株式の無償割当てを含む。以下同じ)または株式併合を行う場合、次の算式により調整されるものとする。ただし、かかる調整は、新株予約権のうち、当該時点で行使されていない新株予約権の目的である株式の数についてのみ行われ、調整の結果生じる1株未満の端数については、これを切り捨てるものとする。
調整後付与株式数=調整前付与株式数×分割(または併合)の比率
また、本新株予約権の割当日後、当社が合併、会社分割または資本金の額の減少を行う場合その他これらの場合に準じ付与株式数の調整を必要とする場合には、当社は、付与株式数を適切に調整するものとする。
(注) 3.新株予約権の割当日後、当社が株式分割または株式併合を行う場合、次の算式により行使価額を調整し、調整による1円未満の端数は切り上げる。
また、新株予約権の割当日後、当社が当社普通株式につき時価を下回る価額で新株の発行または自己株式の処分を行う場合(新株予約権の行使に基づく新株の発行及び自己株式の処分並びに株式交換による自己株式の移転の場合を除く。)、次の算式により行使価額を調整し、調整による1円未満の端数は切り上げる。
なお、上記算式において「既発行株式数」とは、当社普通株式に係る発行済株式総数から当社普通株式に係る自己株式数を控除した数とし、また、当社普通株式に係る自己株式の処分を行う場合には、「新規発行株式数」を「処分する自己株式数」に読み替えるものとする。
さらに、上記のほか、新株予約権の割当日後、当社が他社と合併する場合、会社分割を行う場合、その他これらの場合に準じて行使価額の調整を必要とする場合には、当社は、合理的な範囲で適切に行使価額の調整を行うことができるものとする。
(注) 4.新株予約権の行使により株式を発行する場合の当該株式の発行価格のうちの資本組入額
(1) 本新株予約権の行使により株式を発行する場合における増加する資本金の額は、会社計算規則第17条第1項に従い算出される資本金等増加限度額の2分の1の金額とする。計算の結果1円未満の端数が生じたときは、その端数を切り上げるものとする。
(2) 本新株予約権の行使により株式を発行する場合における増加する資本準備金の額は、上記(1)記載の資本金等増加限度額から、上記(1)に定める増加する資本金の額を減じた額とする。
(注) 5.当社が、合併(当社が合併により消滅する場合に限る。)、吸収分割、新設分割、株式交換又は株式移転(以上を総称して以下、「組織再編行為」という)を行う場合において、組織再編行為の効力発生日の直前において残存する新株予約権(以下、「残存新株予約権」という。)を保有する新株予約権者に対し、それぞれの場合につき、会社法第236条第1項第8号イからホまでに掲げる株式会社(以下、「再編対象会社」という。)の新株予約権を以下の条件に基づきそれぞれ交付することとする。この場合においては、残存新株予約権は消滅するものとする。ただし、以下の条件に沿って再編対象会社の新株予約権を交付する旨を、吸収合併契約、新設合併契約、吸収分割契約、新設分割計画、株式交換契約又は株式移転計画において定めた場合に限るものとする。
(1) 交付する再編対象会社の新株予約権の数
新株予約権者が保有する残存新株予約権の数と同一の数をそれぞれ交付する。
(2) 新株予約権の目的となる再編対象会社の株式の種類
再編対象会社の普通株式とする。
(3) 新株予約権の目的となる再編対象会社の株式の数
組織再編行為の条件を勘案の上、上記(注) 2に準じて決定する。
(4) 新株予約権の行使に際して出資される財産の価額
交付される各新株予約権の行使に際して出資される財産の価額は、組織再編行為の条件等を勘案の上、上記(注)3で定められる行使価額を調整して得られる再編後行使価額に、上記(注) 5 (3)に従って決定される当該新株予約権の目的となる再編対象会社の株式の数を乗じた額とする。
(5) 新株予約権を行使することができる期間
新株予約権の行使期間の初日と組織再編行為の効力発生日のうち、いずれか遅い日から新株予約権の行使期間の末日までとする。
(6) 新株予約権の行使により株式を発行する場合における増加する資本金及び資本準備金に関する事項
上記(注)4に準じて決定する。
(7) 譲渡による新株予約権の取得の制限
譲渡による取得の制限については、再編対象会社の取締役会の決議による承認を要するものとする。
(8) その他新株予約権の行使の条件
新株予約権の行使の条件に準じて決定する。
(9) 新株予約権の取得事由及び条件
① 当社が消滅会社となる合併契約、当社が分割会社となる会社分割についての分割契約若しくは分割計画、又は当社が完全子会社となる株式交換契約若しくは株式移転計画について株主総会の承認(株主総会の承認を要しない場合には取締役会決議)がなされた場合は、当社は、当社の取締役会が別途定める日の到来をもって、本新株予約権の全部を無償で取得することができる。
② 新株予約権者が権利行使をする前に、新株予約権の行使の条件に定める規定により本新株予約権の行使ができなくなった場合は、当社は本新株予約権を無償で取得することができる。
(10) その他の条件については、再編対象会社の条件に準じて決定する。
該当事項はありません。
(注) 2018年7月31日付で自己株式の消却を行い、これにより発行済株式総数が293,333株減少しております。
(注) 1.「その他の法人」の欄には、株式会社証券保管振替機構名義の株式が2単元含まれております。
2.自己株式307株は、「個人その他」に3単元、「単元未満株式の状況」に7株含まれております。
2023年3月31日現在
(注) 1.所有株式数の割合は、自己株式307株を控除して算出しております。
2.前事業年度末において主要株主であったティー・ロウ・プライス・ジャパン株式会社は、当事業年度末現在は主要株主ではなくなりました。
3.フィデリティ投信株式会社から、2022年7月7日付で大量保有報告書に係る変更報告書が提出されておりますが、当社として2023年3月31日現在における実質所有株式数の確認ができませんので、上記大株主の状況には含めておりません。なお、当該大量保有報告書に係る変更報告書による2022年6月30日現在の株式保有状況は以下のとおりであります。
ティ-・ロウ・プライス・ジャパン株式会社から、2022年7月7日付で大量保有報告書に係る変更報告書が提出されておりますが、当社として2023年3月31日現在における実質所有株式数の確認ができませんので、上記大株主の状況には含めておりません。なお、当該大量保有報告書に係る変更報告書による2022年6月30日現在の株式保有状況は以下のとおりであります。
SOMPOアセットマネジメント株式会社から、2022年7月21日付で大量保有報告書が提出されておりますが、当社として2023年3月31日現在における実質所有株式数の確認ができませんので、上記大株主の状況には含めておりません。なお、当該大量保有報告書による2022年7月15日現在の株式保有状況は以下のとおりであります。
フィデリティ投信株式会社から、2022年10月7日付で大量保有報告書に係る変更報告書が提出されておりますが、当社として2023年3月31日現在における実質所有株式数の確認ができませんので、上記大株主の状況には含めておりません。なお、当該大量保有報告書に係る変更報告書による2022年9月30日現在の株式保有状況は以下のとおりであります。
アライアンス・バーンスタイン・エル・ピー(AllianceBernstein L.P.)から、2022年10月19日付で大量保有報告書に係る変更報告書が提出されておりますが、当社として2023年3月31日現在における実質所有株式数の確認ができませんので、上記大株主の状況には含めておりません。なお、当該大量保有報告書に係る変更報告書による2022年10月14日現在の株式保有状況は以下のとおりであります。
アライアンス・バーンスタイン・エル・ピー(AllianceBernstein L.P.)から、2022年11月21日付で大量保有報告書が提出されておりますが、当社として2023年3月31日現在における実質所有株式数の確認ができませんので、上記大株主の状況には含めておりません。なお、当該大量保有報告書による2022年11月15日現在の株式保有状況は以下のとおりであります。
SOMPOアセットマネジメント株式会社から、2022年12月5日付で大量保有報告書に係る変更報告書が提出されておりますが、当社として2023年3月31日現在における実質所有株式数の確認ができませんので、上記大株主の状況には含めておりません。なお、当該大量保有報告書に係る変更報告書による2022年11月30日現在の株式保有状況は以下のとおりであります。
三井住友トラスト・アセットマネジメント株式会社及びその共同保有者である日興アセットマネジメント株式会社から、2023年4月6日付で大量保有報告書に係る変更報告書が提出されておりますが、当社として2023年3月31日現在における実質所有株式数の確認ができませんので、上記大株主の状況には含めておりません。なお、当該大量保有報告書に係る変更報告書による2023年3月31日現在の株式保有状況は以下のとおりであります。
1.報告セグメントの概要
当社グループの報告セグメントは、当社グループの構成単位のうち分離された財務情報が入手可能であり、取締役会が経営資源の配分の決定及び業績を評価するために、定期的に検討を行う対象となっているものであります。
当社グループは、事業の内容別に区分されたセグメントから構成されており、「マニュファクチャリング事業」「エリア事業」「ソリューション事業」「エンジニアリング事業」「海外事業」の5つを報告セグメントとしております。
各セグメントの主な事業は以下のとおりであります。
(1) マニュファクチャリング事業・・・大手製造業向けの人材派遣・業務請負サービス等の提供
(2) エリア事業・・・・・・・・・・・地域密着型の人材派遣・業務請負サービス等の提供
(3) ソリューション事業・・・・・・・大手製造業の構造改革に伴う人材の受け入れ、人材派遣・業務請負サービス等の提供
(4) エンジニアリング事業・・・・・・建設及びIT領域における技術者派遣・業務請負サービス等の提供
(5) 海外事業・・・・・・・・・・・・海外における人材サービスの提供
当社グループは、組織再編に伴い、当連結会計年度より従来「マニュファクチャリング事業」「ソリューション事業」「エンジニアリング事業」としていた報告セグメントの区分を、「マニュファクチャリング事業」「エリア事業」「ソリューション事業」「エンジニアリング事業」「海外事業」に変更しております。
なお、前連結会計年度のセグメント情報については、変更後の区分方法及び算定方法により作成しており、「3.報告セグメントごとの売上高、利益又は損失、資産、負債その他の項目の金額に関する情報及び収益の分解情報」の前連結会計年度に記載しております。