サイバーコム株式会社
(注)1.当社は、連結財務諸表を作成しておりませんので、連結会計年度に係る主要な経営指標等の推移については記載しておりません。
2.持分法を適用した場合の投資利益については、関連会社を有していないため記載しておりません。
3.潜在株式調整後1株当たり当期純利益については、潜在株式がないため記載しておりません。
4.従業員数は就業人員であり、臨時雇用者数(嘱託社員を含んでおります。)は年間の平均人員を()外数で記載しております。
5.第42期より「特別損失」の区分において表示しておりました「固定資産除却損」を「営業外費用」に計上する表示方法の変更をしております。第41期以前の経営指標等につきましても、当該表示方法の変更を反映した遡及修正後の値を記載しております。
6.最高株価及び最低株価は、2022年4月3日以前は東京証券取引所市場第一部におけるものであり、2022年4月4日以降は東京証券取引所スタンダード市場におけるものであります。
7.「収益認識に関する会計基準」(企業会計基準第29号 2020年3月31日)等を第45期の期首から適用しており、第45期に係る主要な経営指標等については、当該会計基準等を適用した後の指標等となっております。
当社は、長年積み重ねた通信技術を活かし制御や業務の分野まで幅広く手掛けるソフトウェア開発事業と、ネットワーク/サーバ構築、保守・運用、評価検証を行うSIサービスや自社プロダクト販売を行うサービス事業を行っております。
各事業の内容は次のとおりであり、セグメントと同一の区分であります。
(1) ソフトウェア開発事業
ソフトウェア開発事業は、通信ソフトウェア、制御ソフトウェア及び業務ソフトウェアにおいて、お客様の幅広いニーズに応じたソフトウェア開発を行っております。
① 通信ソフトウェア
通信ソフトウェアの開発は、高速性、安定性、信頼性が要求される無線通信システムや制御装置等の通信インフラに係わる開発であります。当社は創業期より通信技術を積み重ね、数多くの開発実績とノウハウを保有しております。
具体的には次のようなソフトウェア開発であります。
・無線通信システム装置(5G/LTE)
・コアネットワーク装置
・公衆回線網装置
・ネットワーク監視システム 等
② 制御ソフトウェア
制御ソフトウェアの開発は、半導体製造装置や車載と呼ばれる自動車系システムをはじめとする製品機器に組み込まれるソフトウェアの開発であります。
この技術は、近年ますます高機能化・複雑化しており、通信機能を備える製品も増加する傾向にあることから、当社においても各種要素技術の強化を図り、開発を行っております。
具体的には次のようなソフトウェア開発であります。
・半導体製造装置システム
・車載(自動車搭載)用制御システム(ECU)
・車載(自動車搭載)用制御システム(ADAS)
・複合機用アプリケーション及びドライバソフト 等
③ 業務ソフトウェア
業務ソフトウェアの開発は、企業向けシステム、生命保険会社向けシステム、公共向けシステム、医療向けシステム、流通関連システム、エネルギー関連システム等のソフトウェア開発であります。
具体的には次のようなソフトウェア開発であります。
・企業向けシステム
・生命保険会社向け営業支援システム
・公共向けシステム
・電子カルテシステム
・ECサイト
・電力会社向けシステム 等
(2) サービス事業
サービス事業は、仮想化やクラウド等のネットワーク/サーバの構築、保守運用及び通信プロトコル評価などの高レベルな評価検証を提供するSIサービス、当社がこれまでに培った専門技術力と経験を活かし、自社で開発したオフィス電話システムである「Cyber Smart」シリーズ製品を中心とした自社プロダクトを提供しております。
(SIサービス)
・サーバ構築設計/導入(仮想化)
・ネットワーク設計/構築/導入
・クラウド基盤構築
・次世代通信ネットワーク評価検証 等
(自社プロダクト)
・Cyber Smartシリーズ(オフィス電話ソリューション)
「Cyber CTI」
「Cyber IP-PBX」
「Cyber Phone」
「Cyber Tel」 等
・楽々セキュアコネクト(クラウドVPNサービス)
・Cyber Position Navi(位置情報ソリューション)
・Cyber Position Navi Plus(高精度屋内位置情報ソリューション)
(その他)
・リバースエンジニアリング
・マイグレーション
・ドキュメント生成
・Cyber Solution Plusシリーズ
(3) ファシリティ事業
ファシリティ事業として、横浜本社ビル及び東神奈川ビルにおいて不動産賃貸事業を提供しております。なお、ファシリティ事業は、報告セグメントに含まれない事業セグメント「その他」となっております。
当社の事業系統図は、次のとおりであります。
(事業系統図)

(注) 富士ソフト株式会社は、有価証券報告書提出会社であります。
2022年12月31日現在
(注)1.従業員数は就業人員であり、臨時雇用者数(嘱託社員を含んでおります。)は当期の平均人員を()外数で記載しております。
2.平均年間給与は、賞与及び基準外賃金を含んでおります。
3.当社は、同一の従業員が複数の事業に従事しているため、セグメント別の内訳は記載しておりません。
労働組合はありませんが、労使関係は円満に推移しております。
下記の文中の将来に関する事項は、当会計年度末現在において当社が判断したものです。
(1)会社の経営の基本方針
当社は、「生き生きとした発展成長を通して、ソフトウェア技術で、社会に、そしてお客様・株主様・社員に貢献する」という企業理念のもとに、これまでに培った技術を活かし豊かで夢のある社会の創造に貢献する企業を目指しております。
(2)目標とする経営指標
当社は、継続的な増収増益と安定配当を経営目標としております。また、収益確保による自己資本利益率(ROE)の向上を図ることを目標としております。
(中期計画)
(3)中長期的な会社の経営戦略
当業界においては、技術革新のスピードは速く、特にソフトウェアを支える技術は日々進化しております。こうした事業環境のなか、当社は「サイバーコムテクノロジーで社会に貢献する」を長期方針に掲げ、確かな技術基盤とソフトウェア技術者集団としての力強さを身につけた企業として、お客様への高品質なソリューションの提供に努めております。
当社におきましては、2021年度より3ヵ年中期計画をスタートしており、中期計画最終年度となる2023年度におきましては基本方針として「ビジネス拡大」を掲げ、多様化するお客様のニーズにお応えしてまいります。
ソフトウェア事業においては、長年積み重ねてきた開発実績と高い専門性を活かし、通信分野から制御分野・業務分野まで幅広く手掛けることができる対応力を武器に、更なる技術領域の拡大、好調分野への集中投資、活発化している「デジタル・トランスフォーメーション(DX)」への取り組みに向けた対応力を強化し、プロジェクトの拡大に努めてまいります。
サービス事業においては、AWS(Amazon Web Services)をはじめとした多様化する基盤技術への対応力強化とエンドユーザー対応力の強化に注力するとともに、自社プロダクトと連携させたサービスを拡充し、高付加価値ビジネスの拡大に努めてまいります。
また、自社プロダクトにおいては、ご好評いただいております「Cyber Smart」シリーズ製品、位置情報ソリューション「Cyber Position Navi」(※1)の機能改善・サービス拡充に引き続き取り組み、更なる拡販に努めてまいります。
(※1)Cyber Position Navi(ポジナビ):
ビーコンとスマートフォンを活用して簡単に位置情報を把握できる位置情報ソリューション
(4)経営環境及び対処すべき課題
今後のわが国の経済は、新型コロナウイルス感染症の流行が落ち着き経済活動が回復に向かうことが期待されるものの、物価上昇の継続やロシア・ウクライナ情勢に起因するエネルギー価格の高騰、世界的な金融政策の引き締め等より依然として先行き不透明な状況が見込まれております。
当業界においては、激しい環境変化に対応するためのデジタル化や業務効率化、ビジネスモデルの変革を目的とした「デジタル・トランスフォーメーション(DX)」を推進する動きを背景に、ICT投資の拡大が期待されており市場環境は良好な状態が続くと見込まれております。
特に、クラウドサービスを活用したシステム構築、情報システムやネットワークのセキュリティ対策及び信頼性の確保に対する取り組みに加え、第5世代移動通信(5G)及びローカル5G(※2)、AI(Artificial Intelligence)、IoT(Internet of Things)、車載開発(CASE(※3))、RPA(Robotic Process Automation)等を活用したソフトウェア開発需要は堅調に推移するものと予測されております。
一方で、IT技術者不足が常態化し人材の確保及び日々進化する技術革新に対応する技術者育成が大きな課題となっております。
こうした経営環境に対応するため、今後当社といたしましては、技術力、営業力及び開発力の強化を行い、お客様の更なる価値向上に貢献するため、特に下記の5点を重要課題として取り組んでまいります。
(※2)ローカル5G:超高速かつ大容量の通信を実現する次世代通信技術である5Gを活用し、企業や自治体などの事業者が地域や産業分野の個別ニーズに基づき建物内や特定地域などのエリアで構築し活用する自営の5Gサービスのこと
(※3)CASE:Connected(コネクティッド)、Autonomous/Automated(自動化)、Shared(シェアリング)、Electric(電動化)といった車載開発における技術内容
① 技術力確保と品質向上及び生産性向上
技術革新のスピードが速く、特にソフトウェアを支える技術は日々進化しております。
第5世代移動通信(5G)、AI(Artificial Intelligence)、IoT(Internet of Things)、車載開発(CASE)、RPA(Robotic Process Automation)を活用したソフトウェア開発需要等、当社を取り巻く事業環境は大きく変化しております。
こうした事業環境のなか、AWS(Amazon Web Services)をはじめとしたクラウド対応力強化に向けた専門特化組織の新設を図り、高度最先端技術教育を強化すると共に品質向上に努めてまいります。
また、当社の技術ノウハウを活かした部品やツールの利活用、自動化等による開発コストの低減を図り生産性向上に努めてまいります。
② 安定収益基盤の強化
当社が属するソフトウェア業界においては、国内外の同業各社との競合に直面しております。
このような状況下、当社はオンラインを活用した事業活動を推進しながら受託開発において高品質なソフトウェアの提供とサービス提供型ビジネスへの転換により一定の利益を確保する取り組みのほか、より高い収益性の実現と成長性を維持するために自社プロダクト及びサービスの拡充を図ってまいります。さらには自社技術を活かした新プロダクトの創出と、今後の需要拡大が見込まれる成長分野への積極的な営業活動を継続し、安定収益基盤の強化を図ってまいります。
③ 技術者の確保
当業界において優秀な技術者を確保することは、会社の発展、成長に欠かせない要件となっております。
このような状況下、当社はオンラインを活用した採用活動を推進しながら、即戦力となる技術者の確保を目的とした経験者採用に加え、継続的な会社の発展、成長を支えるための新卒採用活動も強化し、優秀な技術者の確保に努めております。グローバル化が進む高度情報化社会では、高度な知識とスキルを保有する人材が必要であることから、多様な人財の確保と社員教育の充実化に努めてまいります。
また、技術者確保のひとつの方法として、パートナーと位置付ける協力会社からの技術者の受け入れを行っており、新規開拓及び継続的関係強化により社外からの技術者の確保にも努めております。
④ 人材育成
当社は、人材が重要な財産であると認識し、会社を発展成長させるための重要な課題として当社人財マネジメント方針に基づいた人材育成に取り組んでおります。技術面においては、AWS(Amazon Web Services)をはじめとしたクラウド対応力強化等の高度最先端技術教育の強化とプロジェクトマネジメント力及び品質管理能力の向上を図っております。営業面においては、業界動向や顧客情報の早期収集により顧客目線に立った提案力の強化を図っております。管理面においては、現場の成長を支援、牽制する管理力の向上を図っております。
⑤ 業務の適正を確保するための体制の強化
当社は、財務報告の信頼性と業務の有効性・効率性を確保のため、違法行為や不正等が行われることなく、組織が健全かつ有効・効率的に運営されるよう、内部統制システムを整備し適切に運用しております。
また、コンプライアンスに留意のうえ企業統治を一層強化する観点から、継続的改善に努める旨の内部統制システムの構築に関する基本方針を決定しております。
詳細は、「第一部 企業情報 第4 提出会社の状況 4『コーポレート・ガバナンスの状況等』」に記載のとおりであります。
以下において、当社の事業展開その他に関するリスク要因となる可能性があると考えられる主な事項を記載しております。また、必ずしもそのようなリスク要因に該当しない事項についても、投資者の投資判断上、重要であると考えられる事項については、投資者に対する積極的な情報開示の観点から以下に開示しております。当社は、これらのリスク発生の可能性を認識したうえで、発生の回避及び発生した場合の対応に努めてまいります。
なお、以下の事項のうち将来に関する事項は、当事業年度末において当社が判断したものであり、不確実性を内在しているため、実際の結果と異なる可能性があります。
① 事業環境について
ソフトウェア開発事業においては、設備投資及び開発投資動向が当社の想定どおりに推移する保証はなく、顧客の収益動向が悪化した場合は情報サービス投資が縮小し、当社の経営成績及び財政状態は影響を受ける可能性があります。また、当社事業については、ソフトウェア業界以外の各企業等の情報化投資の動向により影響を受ける可能性があります。
また、大規模事業者から小規模事業者まで多数の事業者が存在しており、これら事業者との競合が生じております。現状においては、政府や民間企業のIT化推進等に伴い業界全体における開発需要は堅調であるものの、一部で競合激化等による価格競争は生じております。この影響による開発需要の減少や新規参入増加等によりさらに競争が激化した場合は、当社の経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
当社では、長年積み重ねた通信技術を活かし制御や業務の分野まで幅広く展開しております。今後においても、ニューノーマルな働き方を実現しながら営業活動を強化し、新規顧客の獲得や需要拡大が見込まれる成長分野に向けた積極的な提案活動を進めると共に、技術者による現場営業も強化しながら、既存顧客を中心としたリピートオーダーの確保や新たなニーズの掘り起こしを積極的に進めてまいります。
② 特定取引先への依存について
当社の販売先上位である日本電気グループ(日本電気株式会社及びその連結子会社)の売上高構成比は、当事業年度において28.7%と依存度が高い状況にあります。当社としては今後も、日本電気グループに対して積極的な営業活動を行い受注拡大に努めてまいりますが、日本電気グループの方針や事業戦略等に変化が生じた場合には、当社の経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
当社では、更なる事業拡大に向け日本電気グループ以外にも日立グループ、富士通グループ、リコーグループ、東京エレクトロングループ等との取引拡大に向け注力しており、今後においても継続的に受注拡大を図ってまいります。
③ 当社の事業体制等について
(イ)開発プロジェクトの管理について
ソフトウェア開発事業においては、請負契約による開発案件を受注しており、当該開発業務の性質上、作業見積り等による開発案件の受注を行っております。当初の見積り以上の作業工数が必要となり開発案件の採算性悪化や作業遅延が発生したり、契約後におけるシステム開発案件の仕様変更等により開発費用の追加が発生したりする可能性もあり、受注競争激化や優秀な技術者不足による見積精度の低下等により、当社の経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
当社では、見積検討会の高度化により開発案件の採算性に十分留意した受注活動を行っており、今後においても技術者教育の強化により見積精度の向上を図ると共に、作業遅延等が発生しないようプロジェクト管理力の強化を図ってまいります。
(ロ)当社が開発するソフトウェアの不具合発生について
ソフトウェア開発事業においては、顧客の検収後にシステムの不具合(いわゆるバグ)等が発見される場合があります。当社が顧客へ納品するソフトウェアの不具合等に起因して顧客企業等における重大なシステム障害が発生した場合や、不具合等の発生に対して適切且つ迅速な処理または対応が困難となった場合には、顧客からの損害賠償請求や当社の信頼低下等が生じる恐れがあり、当社の事業展開、経営成績及び財政状態等に影響を及ぼす可能性があります。
当社では、ISO9001に準拠した品質マネジメントシステムを用いた品質管理体制を構築し品質向上対策の強化に努めており、今後においても顧客へ納品するソフトウェアの不具合等の発生防止に留意してまいります。
(ハ)情報セキュリティ管理について
当社は顧客の情報システムを構築する過程において、個々の顧客業務内容等の機密情報を入手し得る立場にあることから、当社の過失や第三者による不法行為によって顧客の個人情報や機密情報、当社が保有する個人情報等が外部へ流出した場合には、当社への損害賠償請求や社会的信用の失墜等により、当社の事業展開、経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
当社では、情報セキュリティ基本方針に基づき、個人情報を含めた情報管理に関する社内教育を徹底し、外部委託先との機密保持契約の締結や入退出管理、アクセス可能者の制限、アクセスログ取得等の情報セキュリティ対策を適切に実施しております。
また、当社ではISO27001に準拠した情報セキュリティマネジメントシステムを用いた情報セキュリティ体制を構築し情報セキュリティ対策の強化に努めており、今後においても個人情報を含めた機密情報の漏えい防止に留意してまいります。
④ 開発技術等について
(イ)技術革新への対応について
ソフトウェア業界においては、技術革新のスピードが速く、ソフトウェアを支える技術は日々進化しております。
最新技術の習得及び開発技術力の向上については、個々の技術者の取り組みに依存する部分もあり、業界における技術革新に対して当社の対応が遅れた場合には、顧客企業に提供する技術品質の低下等により、競争力が損なわれ、当社の事業展開、経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
当社では、毎年見直しを図りながら実践的な技術教育を行うと共に、高度最先端技術やAWS(Amazon Web Services)等のクラウド対応力強化に向けた専門特化組織の新設を図り、技術者育成にも積極的に取り組んでおります。個々の技術者が継続的にスキルアップできるようなフォローアップ体制も強化しながら、今後においても継続的に技術者教育に取り組んでまいります。
(ロ)知的財産権の対応について
ソフトウェア開発事業においては、ソフトウェア開発にかかる技術ノウハウの蓄積は推進しているものの、公知の技術を活用した受託開発が主体であることから、当社の開発成果による特許性を有する独自技術等は生じ難い業態であります。
一方で、当社が属するソフトウェア業界等においては、自社技術保護の観点から知的財産権が注目され、特許等の申請が増加傾向にあります。当社が事業上用いる技術ノウハウ等について、当社が認識しない第三者が既に知的財産権を取得しているもしくは、第三者が今後において知的財産権を取得した時には、当該第三者より使用差止及び損害賠償等の訴えを起こされる場合や知的財産権の使用にかかる対価の支払い等が発生する恐れがあり、当社の経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
当社では、顧問弁護士や弁理士への事前相談を行う等により、第三者が保有する知的財産権を侵害しないように留意しつつ事業を展開しており、今後においても継続的に留意してまいります。
なお、現時点において、第三者より知的財産権の侵害に関する指摘等を受けた事実はありません。
⑤ 富士ソフトグループとの関係について
富士ソフト株式会社は当社の親会社であり、当社は連結子会社として同グループに属しております。
同グループにおいては、「各グループ企業が相互に独立した会社としての尊厳と自主性・主体性を尊重する」旨のグループ会社憲章を定め、各グループ企業が独自の方針等により事業を展開すると共に、グループ企業が各々の特徴を活かしたアライアンスを推進していくことにより、グループ全体としての成長を実現していくことをグループ戦略としております。
当社と同グループとの関係は以下のとおりであります。
(イ)資本関係について
富士ソフト株式会社は、当事業年度末において当社発行済株式総数の51.89%を保有する親会社であり、当社に対する大株主としての一定の権利を保有することとなります。このことから、当社株式の議決権行使等により当社の経営等に影響を及ぼし得る立場にあり、同社の利益は他の株主の利益と一致しない可能性があります。
当社では、社外取締役3名並びに社外監査役3名を選任し、経営の透明性を確保すると共に、取締役会において、当社独自の経営判断に基づき意思決定を行うことで親会社からの独立性確保を図っております。
なお、2023年3月24日に開催の第45回定時株主総会において社外監査役1名が重任し、社外取締役3名並びに社外監査役3名により経営の透明性確保に努めております。
(ロ)役員の兼任について
当事業年度末における当社役員11名(うち監査役3名)のうち、富士ソフトグループの従業員を兼ねるものはおりません。
(ハ)取引関係について
当事業年度における当社と富士ソフトグループとの間に以下の取引関係があります。
1)親会社である富士ソフト株式会社との取引
親会社である富士ソフト株式会社との主な取引は以下のとおりであります。
売上高合計 10億36百万円
(内訳)・ソフトウェア開発業務等の受注 売上高10億18百万円(前事業年度6億48百万円)
・当社所有不動産の賃貸 東神奈川ビル18百万円
当社では富士ソフト株式会社との取引条件につきましては、市場価格を勘案し、当社との関連を有しない会社との取引と同様に交渉のうえ決定しております。また、取締役会において、富士ソフト株式会社との取引状況のモニタリングを実施し、取引の妥当性を確認しております。
2)富士ソフトグループ企業との取引
当社は、富士ソフトグループ企業(兄弟会社)各社との間に、ソフトウェア開発業務の委託または受託取引がありますが、これらはグループ企業各社においてそれぞれ得意とする事業領域に関連する開発業務の委託または受託取引であり、当社及び各社の事業上の必要性に応じ発生しており、その取引額は28百万円(前事業年度68百万円)であります。
当社では富士ソフトグループ各社との取引条件につきましても、市場価格を勘案し、当社との関連を有しない会社との取引と同様に交渉のうえ決定しております。
また、親会社と同様、取締役会において、富士ソフトグループ各社との取引状況についてもモニタリングを実施し、取引の妥当性を確認しております。
⑥ 法的規制について
当社は、「労働者派遣事業の適正な運営の確保及び派遣労働者の保護等に関する法律」(以下、「労働者派遣法」という。)に基づいた「労働者派遣事業」の許可を受けております。
労働者派遣法に定める派遣元事業主としての欠格事由に該当した場合や、法令に違反した場合等には、当該事業の停止を命じられ、事業が営めなくなるリスクがあります。また、新たに法規制の緩和や改正等が行われた場合等により、当該事業に不利な影響を及ぼすものであれば、当社の業績及び財政状態に影響を与える可能性があります。
当社では、管轄部署における法令改正の定期的な確認や派遣元責任者講習等の社外教育受講等により関係法令の遵守に努めており、今後においても適切に対応してまいります。
⑦ 災害等の発生について
地震・暴風雨・洪水等の自然災害、火災・テロ・暴動・戦争等の人災、感染症が発生し、当社の従業員の勤務に大きな支障をきたした場合、当社の業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。また、当社の各拠点及び顧客先において、社会インフラの損壊や機能低下等、予想を超える事態が発生した場合は、当社の業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
当社では、システム障害や災害等の発生に備えデータバックアップ対策を実施しており、事業継続が適切に図れる環境を整備しております。また、災害等の発生に備え自社プロダクトである「楽々セキュアコネクト」を活用した在宅勤務環境を整備しております。
⑧ 保有する固定資産の減損損失について
当社は土地や建物をはじめとした固定資産を保有しており、減損損失を認識する必要が発生した場合には、当社の業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
当社では、固定資産の取得時においてその必要性や収益性等を十分に検証した上で取得すると共に、保有資産の時価や将来の収益予測等について適時確認し、減損損失の兆候を見逃さないよう適正に管理を行っております。
当事業年度における当社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の概要は以下のとおりであります。
なお、「収益認識に関する会計基準」(企業会計基準第29号 2020年3月31日)等を当事業年度の期首より適用しております。これによる損益に与える影響はありません。また、繰越利益剰余金の当期首残高への影響もありません。
① 経営成績の状況
当事業年度におけるわが国の経済は、新型コロナウイルス感染症のワクチン接種率が高まり経済活動が回復に向かうことが期待されたものの、急激な円安の影響、物価の上昇、ロシア・ウクライナ情勢に起因するエネルギー価格の高騰や半導体不足等により依然として先行き不透明な状況が続いております。
当業界においては、激しい環境変化に対応するためのデジタル化や業務効率化、ビジネスモデルの変革を目的とした「デジタル・トランスフォーメーション(DX)」を推進する動きを背景に、ICT投資の拡大が期待されており市場環境は良好な状態が続くと見込まれております。
特に、クラウドサービスを活用したシステム構築、情報システムやネットワークのセキュリティ対策及び信頼性の確保に対する取り組みに加え、第5世代移動通信(5G)、AI(Artificial Intelligence)、IoT(Internet of Things)、車載開発(CASE(※1))、RPA(Robotic Process Automation)等を活用したソフトウェア開発需要は堅調に推移しております。
このような状況下、当社は自社プロダクトである「楽々セキュアコネクト」を活用した独自のリモート環境を軸にニューノーマルな働き方を実現しながら営業活動を強化し、新規顧客の獲得や需要拡大が見込まれる成長分野に向けた積極的な提案活動を進めると共に、技術者による現場営業も強化しながら既存顧客を中心としたリピートオーダーの確保と新たなニーズの掘り起こしも行ってまいりました。
また、AWS(Amazon Web Services)をはじめとしたクラウド対応力強化に向けた専門特化組織の新設や、高度最先端技術の教育強化など、更なる技術領域拡大に向け取り組んでまいりました。
さらに、位置情報ソリューションとして、2022年3月には従来の「Cyber Position Navi」(※2)より高精度で人やモノの位置情報を把握できる「Cyber Position Navi Plus」(※3)、2022年11月には「Oracle Cloud版 Cyber Position Navi」(※4)の販売を開始しご好評いただいております。
以上の結果、当事業年度における経営成績は、売上高166億28百万円(前年同期比7.1%増)となりました。
利益面においては、増収により営業利益10億54百万円(前年同期比10.6%増)、経常利益10億84百万円(前年同期比5.1%増)となりました。さらに、人材確保等促進税制による税額控除等もあり当期純利益8億4百万円(前年同期比14.1%増)となりました。
(※1)CASE:Connected(コネクティッド)、Autonomous/Automated(自動化)、Shared(シェアリング)、Electric(電動化)といった車載開発における技術内容
(※2)Cyber Position Navi(ポジナビ):
ビーコンとスマートフォンを活用して簡単に位置情報を把握できる位置情報ソリューション
(※3)Cyber Position Navi Plus(ポジナビプラス):
誤差10㎝の高精度で人やモノの動線を正確に把握できる屋内位置情報ソリューション
(※4)Oracle Cloud版 Cyber Position Navi:
オラクルが提供するOracle Cloud Infrastructure(OCI)上で動作し、収集した膨大な位置情報データをOCIが持つ様々な機能を利用し活用することができる位置情報ソリューション
当事業年度におけるセグメント別の業績は以下のとおりであります。
[ソフトウェア開発事業]
当社の主力事業でありますソフトウェア開発事業は売上高131億37百万円(前年同期比7.3%増)、営業利益20億7百万円(前年同期比14.4%増)となりました。
ソフトウェア開発事業につきましては、通信ソフトウェア開発の一部作業案件が一巡したことによる反動減があるものの、制御ソフトウェア開発においてはプリンタ用ドライバ開発、車載ソフトウェア開発案件等の作業規模拡大により好調に推移しております。また、業務ソフトウェア開発につきましては、金融系システム、公共系システム、流通系システム等の作業規模拡大により好調に推移いたしました。
[サービス事業]
サービス事業は売上高34億63百万円(前年同期比6.1%増)、営業利益4億74百万円(前年同期比14.5%増)となりました。
SIサービス(構築・保守・運用・評価検証サービス)においては、社会インフラ及び金融系を中心とした仮想化、クラウドへの移行案件やネットワーク構築案件が好調に推移しており、第5世代移動通信(5G)の基地局検証案件については好調に推移いたしました。
自社プロダクトである「Cyber Smart」シリーズ製品(Cyber IP-PBX、Cyber CTI、Cyber Phone)につきましては、クラウド使用料の増加等により堅調に推移いたしました。
[資産の部]
当事業年度における資産は、前事業年度末に比べて3億77百万円減少(3.4%減)し107億60百万円となりました。その内訳は、流動資産が4億19百万円減少(5.6%減)し70億82百万円となり、固定資産が42百万円増加(1.2%増)し36億78百万円となったことによるものであります。
流動資産減少の主な要因は、短期貸付金の減少28億42百万円、有価証券の増加15億円によるものであります。
[負債の部]
当事業年度における負債は、前事業年度末に比べて10億20百万円減少(20.0%減)し40億71百万円となりました。その内訳は、流動負債が1億59百万円減少(5.8%減)し26億6百万円となり、固定負債が8億61百万円減少(37.0%減)し14億65百万円となったことによるものであります。
流動負債減少の主な要因は、未払法人税等の減少2億80百万円、未払費用の減少1億43百万円、賞与引当金の増加2億90百万円によるものであります。
固定負債減少の主な要因は、退職給付信託の設定に伴う退職給付引当金の減少10億円によるものであります。
[純資産の部]
当事業年度における純資産は、前事業年度末に比べて6億43百万円増加(10.6%増)し66億88百万円となりました。
③ キャッシュ・フローの状況
当事業年度における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、前事業年度末に比べて10億93百万円増加(119.8%増)し20億5百万円となりました。
営業活動により支出した資金は、53百万円(前事業年度は10億43百万円の獲得)となりました。これは主に、税引前当期純利益10億84百万円、賞与引当金の増加2億90百万円、退職給付引当金の増加1億31百万円、退職給付信託の設定額10億円、法人税等の支払額6億16百万円によるものであります。
投資活動により獲得した資金は、13億6百万円(前事業年度は9億7百万円の支出)となりました。これは主に、CMS(キャッシュ・マネジメント・システム)等への短期貸付金の回収額28億43百万円、有価証券の取得額15億円によるものであります。
財務活動により支出した資金は、1億60百万円(前事業年度比11.8%増)となりました。これは主に、配当金の支払によるものであります。
④ 生産、受注及び販売の状況
当事業年度における生産実績をセグメント別に示すと、次のとおりであります。
(注)1.金額は、製造原価で表示しております。
2.その他はファシリティ事業であり、生産活動を行っていないため、記載しておりません。
当事業年度における受注実績をセグメント別に示すと、次のとおりであります。
当事業年度における販売実績をセグメント別に示すと、次のとおりであります。
(注)1.主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合
経営者の視点による当社の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当事業年度末現在において当社が判断したものであります。
2022年度12月期の計画達成状況は以下のとおりです。
売上高は、主力のソフトウェア開発事業で制御ソフトウェア開発及び業務ソフトウェア開発が好調に推移し、166億28百万円(計画比2.0%増)となりました。
営業利益においても、増収により10億54百万円(計画比5.5%増)となりました。
さらに、人材確保等促進税制による税額控除等もあり当期純利益は8億4百万円(計画比14.9%増)となり、自己資本利益率(ROE)は12.6%となりました。
キャッシュ・フローの状況については、「第3 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1)経営成績等の状況の概要」に記載のとおりであります。
当社の主な資金需要は、労務費、外注費、経費並びに販売費及び一般管理費等の運転資金となります。これらにつきましては、基本的に営業活動によるキャッシュ・フローや自己資金を充当し、投資が必要な場合には、状況に応じて金融機関からの借入等による資金調達で対応していくこととしております。
なお、現在の現金及び現金同等物の残高、営業活動によるキャッシュ・フローの水準については、当面事業を継続していくうえで十分な流動性を確保しているものと考えております。
当社の財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。この財務諸表の作成にあたって、見積りが必要な事項につきましては、合理的な基準に基づき会計上の見積りを行っておりますが、実際の結果は見積り特有の不確実性があるため、これらの見積りと異なる場合があります。
なお、財務諸表の作成のための重要な会計方針等は「第5 経理の状況 1 財務諸表等(1)財務諸表 注記事項 重要な会計方針」に記載されているとおりでありますが、会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定のうち、以下の項目が重要であると認識しております。
また、新型コロナウイルス感染症については不確実な部分もありますが、財務諸表における会計上の見積りに及ぼす重要な影響は生じておりません。
(履行義務の充足に係る進捗度に基づき一定の期間にわたり認識する収益)
当社は、受注制作ソフトウェア開発に係る収益の計上基準については、契約に基づく開発作業を進めるにつれて顧客に対する履行義務が充足されていくと判断されることから、契約における取引開始日から完全に履行義務を充足すると見込まれる時点までの期間がごく短い場合を除き、履行義務の充足に係る進捗度に基づき一定期間にわたり収益を認識しております。履行義務の進捗度の見積りは原価比例法で算出しております。
受注制作ソフトウェア開発の総製造原価は、各開発案件の個別性を勘案して見積っております。また、開発着手後に新たに判明した事実や状況の変化により、作業内容や工数の見直しを行います。
このように、受注制作ソフトウェア開発に係る収益認識は、総製造原価の見積りに大きく依存しており、契約及び見積りの管理や計画管理の正確性が求められております。総製造原価の見積りについて、実績との乖離が発生した場合は見直しを行い収益計上の精度を確保しておりますが、適切な対応が遅れた場合には当社の経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
(工事損失引当金)
当社は、受注制作ソフトウェア開発に係る将来の損失に備えるため、事業年度末における受注制作ソフトウェア開発のうち、損失の発生が見込まれ、かつ、その金額を合理的に見積もることができる契約について、損失見込額を計上しております。しかしながら、受注制作のソフトウェアに関しては、開発途中での仕様変更や、想定外の事象の発生等により、当初想定していなかった追加的な工数が生じやすい特徴があるため、当初の見積りを超える原価が発生する場合には当社の経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
(繰延税金資産)
当社は、繰延税金資産の回収可能性の評価に際して、将来の課税所得を合理的に見積もっております。繰延税金資産の回収可能性は将来の課税所得の見積りに依存しますので、その見積額が減少した場合、繰延税金資産は減額され税金費用が計上される可能性があります。
該当事項はありません。
2022年12月31日現在
(注)1.現在休止中の設備はありません。
2.帳簿価額のうち「その他」は、ソフトウエア及び電話加入権であります。
3.当社は、同一の設備を複数の事業で使用しているため、セグメントの名称は記載しておりません。
該当事項はありません。
該当事項はありません。
(注)2015年9月1日付けをもって、普通株式1株につき普通株式2株の割合で株式分割しております。
これに伴い発行済株式総数が4,010,800株増加しております。
2022年12月31日現在
(注)自己株式898株は、「個人その他」に8単元、「単元未満株式の状況」に98株含まれております。
2022年12月31日現在
(注)上記所有株式数のうち、信託業務に係る株式数は次のとおりであります。
日本マスタートラスト信託銀行株式会社(信託口) 384,000株
株式会社日本カストディ信託銀行(信託口) 83,100株
1.報告セグメントの概要
当社の報告セグメントは、当社の構成単位のうち分離された財務情報が入手可能であり、取締役会が経営資源の配分の決定及び業績を評価するために、定期的に検討を行う対象となっているものであります。
当社は、サービス別のセグメントから構成されており、ソフトウェア開発事業及びサービス事業の2つの報告セグメントとしております。
各セグメントの主な事業内容は、「第一部 企業情報 第1 企業の概況 3 事業の内容」に記載しております。