株式会社ユビキタスAI
Ubiquitous AI Corporation
新宿区西新宿一丁目23番7号
証券コード:38580
業界:情報・通信業
有価証券報告書の提出日:2023年6月30日

(1)連結経営指標等

回次

第18期

第19期

第20期

第21期

第22期

決算年月

2019年3月

2020年3月

2021年3月

2022年3月

2023年3月

売上高

(千円)

2,406,713

2,346,683

1,905,093

2,058,165

1,938,288

経常利益又は経常損失(△)

(千円)

101,285

38,997

202,202

90,943

76,179

親会社株主に帰属する当期純利益又は親会社株主に帰属する当期純損失(△)

(千円)

64,039

77,194

426,799

39,696

148,179

包括利益

(千円)

71,681

76,238

383,730

13,466

132,574

純資産額

(千円)

2,735,574

2,812,823

2,429,024

2,442,490

2,309,915

総資産額

(千円)

3,215,336

3,277,498

2,807,875

2,974,948

2,821,012

1株当たり純資産額

(円)

261.55

268.93

232.25

233.53

220.86

1株当たり当期純利益金額又は1株当たり当期純損失金額(△)

(円)

6.12

7.38

40.81

3.80

14.17

潜在株式調整後1株当たり

当期純利益金額

(円)

6.12

7.38

自己資本比率

(%)

85.1

85.8

86.5

82.1

81.9

自己資本利益率

(%)

2.3

2.8

17.6

1.6

6.4

株価収益率

(倍)

153.60

57.70

営業活動によるキャッシュ・フロー

(千円)

118,309

217,650

24,882

221,543

87,283

投資活動によるキャッシュ・フロー

(千円)

70,458

357,232

80,635

149,187

104,306

財務活動によるキャッシュ・フロー

(千円)

15,655

1,010

68

現金及び現金同等物の期末残高

(千円)

1,159,343

1,734,808

1,628,769

1,705,449

1,514,932

従業員数

(人)

105

106

112

115

110

(注)1.第20期、第21期及び第22期の潜在株式調整後1株当たり当期純利益金額については、1株当たり当期純損失金額であり、また潜在株式が存在しないため記載しておりません。

2.第20期、第21期及び第22期の株価収益率については、1株当たり当期純損失金額であるため記載しておりません。

3.「収益認識に関する会計基準」(企業会計基準第29号 2020年3月31日)等を第21期の期首から適用しており、第21期以降に係る主要な経営指標等については、当該会計基準等を適用した後の指標等となっております。

 

(2)提出会社の経営指標等

回次

第18期

第19期

第20期

第21期

第22期

決算年月

2019年3月

2020年3月

2021年3月

2022年3月

2023年3月

売上高

(千円)

1,747,778

1,942,495

1,527,084

1,669,204

1,628,623

経常利益又は経常損失(△)

(千円)

262,557

97,170

141,887

55,868

18,507

当期純利益又は当期純損失(△)

(千円)

214,596

170,658

333,071

43,761

74,316

資本金

(千円)

1,482,724

1,483,482

1,483,482

1,483,482

1,483,482

発行済株式総数

(株)

10,457,000

10,459,000

10,459,000

10,459,000

10,459,000

純資産額

(千円)

2,999,629

3,170,718

2,880,354

2,889,814

2,830,890

総資産額

(千円)

3,434,933

3,604,253

3,226,360

3,389,497

3,301,284

1株当たり純資産額

(円)

286.80

303.15

275.40

276.30

270.67

1株当たり配当額

(円)

(うち1株当たり中間配当額)

-)

-)

-)

-)

-)

1株当たり当期純利益又は当期純損失(△)

(円)

20.53

16.31

31.85

4.18

7.11

潜在株式調整後1株当たり当期純利益金額

(円)

20.53

16.31

自己資本比率

(%)

87.3

88.0

89.3

85.3

85.8

自己資本利益率

(%)

7.2

5.4

11.6

1.5

2.6

株価収益率

(倍)

45.80

26.10

配当性向

(%)

従業員数

(人)

81

80

83

86

83

株主総利回り

(%)

92.1

41.7

66.8

45.6

38.5

(比較指標:配当なしTOPIX)

(%)

(92.7)

(81.7)

(113.8)

(113.4)

(116.7)

最高株価

(円)

1,088

942

1,080

699

573

最低株価

(円)

480

385

401

387

349

 (注)1.第20期、第21期及び第22期の潜在株式調整後1株当たり当期純利益金額については、1株当たり当期純損失金額であり、また潜在株式が存在しないため記載しておりません。

2.最高株価及び最低株価は、2022年4月4日より東京証券取引所スタンダード市場におけるものであり、それ以前については東京証券取引所ジャスダック市場におけるものであります。

3.第21期までは比較指標としてジャスダックインデックスを使用しておりましたが、第18期から第22期までの比較指標を配当なしTOPIXに変更しております。

4.第20期、第21期及び第22期の株価収益率については、1株当たり当期純損失金額であるため記載しておりません。

5.「収益認識に関する会計基準」(企業会計基準第29号 2020年3月31日)等を第21期の期首から適用しており、第21期以降に係る主要な経営指標等については、当該会計基準等を適用した後の指標等となっております。

 

2【沿革】

 当社は、ユビキタス・ネットワーク化の進化により、携帯電話、家電、ゲーム機器、AV機器、自動車など身の周りのあらゆるものがネットワークに接続されたコンピュータで制御されるようになると考え「いつでも、どこでも、誰でも」面倒な操作なしにユビキタス・ネットワークの利便性を享受できる快適な生活を実現させるために設立いたしました。

2018年7月には、株式会社エーアイコーポレーションとの合併により、卓越したエンジニアリング力により高性能のソフトウェアを実現する「テクノロジー・インベンター」であり、かつ、世界中の優れたソフトウェアを発掘し、いち早く国内に展開する「テクノロジー・ブリッジ」として、優れたソリューションを提供することでお客様、社会のより良い未来に貢献できるよう日々事業に取り組んでまいりました。

そして2022年6月には、商号を「株式会社ユビキタスAI」へ変更するとともに、「Exploring Everything」という新スローガンを発表し、同スローガンの下、製造業のお客様が必要とするテクノロジーとサービスを提供する企業として日々事業に取り組んでおります。

年月

重要なイベントに関する事項

2001年5月

東京都渋谷区西原三丁目において株式会社ユビキタスを設立

2001年8月

本社を東京都新宿区新宿三丁目1番13号京王新宿追分ビル6階に移転

2004年12月

第三者割当増資を行い、4億5千万円を調達

2006年3月

本社を東京都新宿区西新宿一丁目25番1号 新宿センタービル10階に移転

2007年11月

ジャスダック証券取引所NEOに株式を上場(NEOの第一号銘柄)

2010年2月

本社を東京都新宿区西新宿一丁目23番7号 新宿ファーストウエスト16階に移転

2010年4月

ジャスダック証券取引所と大阪証券取引所の合併に伴い、大阪証券取引所(NEO市場)に上場

2010年10月

大阪証券取引所内にJASDAQ市場が開設され、市場区分をJASDAQスタンダードへ移行

2010年12月

「JASDAQ-TOP20上場投信」組入銘柄に選定

2012年3月

本社を東京都新宿区西新宿六丁目10番1号 日土地西新宿ビル20階に移転

2012年12月

株式会社村田製作所と資本業務提携

2014年12月

メリルリンチ日本証券株式会社(現 BofA証券株式会社)に行使価額修正条項付き新株予約権を発行することによる資金調達を開始

2015年4月

本社を東京都新宿区西新宿一丁目21番1号 明宝ビル6階に移転

2016年4月

株式会社エイムを連結子会社化

2017年4月

IoTプラットフォーム事業をソーバル株式会社へ譲渡

2017年4月

株式会社エーアイコーポレーションを連結子会社化

2017年5月

国内での取扱い製品数において組込みソフトウェアNo.1ベンダーとなることを目指して「ユビキタス・AIコーポレーション グループ(以下、「UAICグループ」)」ブランドを立ち上げ

2018年7月

株式会社エーアイコーポレーションとの合併及び「株式会社ユビキタスAIコーポレーション」へ商号変更

2022年4月

市場区分変更に伴い、スタンダード市場へ移行

2022年7月

「株式会社ユビキタスAI」へ商号変更

2022年7月

本社を東京都新宿区西新宿一丁目23番7号 新宿ファーストウエスト17階に移転

2023年4月

株式会社ライトストーンを連結子会社化

 

 

 

年月

製品・サービスに関する事項

2001年11月

主力製品となる「Ubiquitous TCP/IP」の開発に成功

2003年5月

株式会社東芝 デジタルメディアネットワーク社との間でソフトウェア使用許諾契約を締結
「Ubiquitous TCP/IP」がセキュリティ用Webカメラに採用

2004年3月

株式会社ルネサステクノロジ(現 ルネサス エレクトロニクス株式会社)との間で「Ubiquitous TCP/IP」、「Ubiquitous Media Connect」、「Ubiquitous Rendezvous」に関する包括使用許諾契約を締結

2005年8月

任天堂株式会社との間でソフトウェア使用許諾契約を締結
「Ubiquitous TCP/IP」と「Ubiquitous SSL」を基に開発された通信プロトコルスタックが、「ニンテンドーDS」用の通信ライブラリに採用

2007年4月

松下電器産業株式会社 半導体社(現 パナソニックホールディングス株式会社)との間で、USB関連ソフトウェアの使用許諾契約を締結

2008年8月

「Ubiquitous TCP/IP」の累計出荷ライセンス数が1億本を突破

2008年9月

エンサーク株式会社より組込みソフトウェア製品DeviceSQLを取得し、組込みデータベース事業を開始

2010年3月

「Ubiquitous QuickBoot」を販売開始

2010年9月

ネットワーク プラットフォームソフトウェア「Ubiquitous Network Framework」累計出荷数2億本を突破

2011年7月

無線LAN用ソリューション「Ubiquitous WPS」を最新規格「WPS2.0」に対応した製品として出荷開始

 

 

年月

製品・サービスに関する事項

2012年5月

著作権保護付きコンテンツなどをホームネットワーク上で視聴する際に必須となるDTCP-IPコンテンツ保護ソリューション「Ubiquitous DTCP-IP」に、業界初となるDTCP-IP バージョン1.4 (DTCP+)対応ソフトウェアライブラリを追加

2012年11月

ECHONET Lite準拠のミドルウェアを開発

2013年5月

「Ubiquitous ECHONET Lite」がダイキン工業株式会社のルームエアコン「うるさら7」に採用

2013年12月

ワイヤレス環境でのリモートディスプレイ技術「Ubiquitous Miracast™ Solution」を販売開始

2014年5月

「Ubiquitous Network Framework」が、ローム株式会社の国際標準規格IEEE 1901対応「HD-PLC」 inside規格準拠ベースバンドLSIに採用

2014年7月

スマートメーターとHEMS機器間の通信プロトコルスタック「Ubiquitous Wi-SMART」の販売開始

2014年11月

「Ubiquitous QuickBoot」が、株式会社デンソーテン(旧:富士通テン株式会社)のカーナビ「ECLIPSE(イクリプス)」2014年秋モデルに採用

2015年11月

セキュアドIoTデバイスソリューション「Ubiquitous Securus」を開発

2016年5月

「Ubiquitous TPM Security」を販売開始

2017年1月

「Ubiquitous QuickBoot」の累計出荷数が1,100万本を突破

2017年5月

「ComboConnect」を販売開始

2017年9月

「Ubiquitous QuickBoot R2.0」を販売開始

2017年12月

「Ubiquitous QuickBoot」の累計出荷数が1,500万本を突破

2018年7月

海外製ソフトウェアの取扱開始

2019年2月

「Ubiquitous QuickBoot」の累計出荷数が2,000万本を突破

2019年4月

セキュアIoTサービス開発ソリューション「Edge Trust」を4月1日より提供開始

2019年4月

Beyond Security Ltd.と共同開発したIoT機器の脆弱性検証に最適化したツール「beSTORM X」を利用した「IoTセキュリティ検証サービス」の提供を開始

2019年7月

国内で初めて自社開発された商用版TLSプロトコルスタックであり、TLS1.3に対応したIoTデバイス向け軽量TLS/SSLプロトコル「Ubiquitous TLS」の販売を開始

2019年9月

組込み機器にクラウドベースの音声サービスAmazon Alexaを搭載するためのソフトウェア開発キット「Ubiquitous Voice Service Connect」の販売を開始

2019年11月

ラブロック株式会社と、ブロックチェーンを活用したIoT機器のデータ改ざん防止ソリューションに関して業務提携

2019年12月

「Edge Trust」の新サービスメニューでありIoT機器の定期検診を行う「Edge Trust Health Check」の提供を開始

2019年12月

「Ubiquitous QuickBoot」の累計出荷数が3,000万本を突破

2020年7月

車載システムソフトウェア開発用シミュレーターの共同開発のため、株式会社エー・アンド・デイ(現 株式会社A&Dホロンホールディングス、以下、本書内にて同じ)と業務提携

2021年2月

PTCジャパン株式会社と共同開発した、IIoTプラットフォームThingWorx®のクライアント機能に対応し、MCU上で動作可能なソフトウェアを、「Ubiquitous Network Framework ThingWorx Edge Package」として提供開始

2021年2月

AI分野での協業のため、株式会社チームAIBOD(現 株式会社AIBOD、以下、本書内において同じ)と資本・業務提携

2021年4月

株式会社エー・アンド・デイと共同開発した車載システムソフトウェア開発用シミュレーター「GSIL」の販売を開始

2021年5月

「Ubiquitous QuickBoot」の累計出荷数が5,000万本を突破

2022年1月

見積もりプロセスの可視化とナレッジシェアツールを提供する株式会社Engineerforceと資本・業務提携

2022年3月

組込みシステム開発での技術力と実績を持つ両社の連携を目的として株式会社グレープシステムと資本・業務提携

2022年5月

「Ubiquitous QuickBoot」の累計出荷数が6,000万本を突破

2022年6月

IoT製品向け組込みソフトウェアのオールインワンパッケージ「Ubiquitous RTOS IoT Enabler」の提供を開始

2022年6月

製造業向けビジネスプラットフォーム「HEXAGON」を発表

2022年9月

ECU制御ソフトウェア開発者向け学習パッケージ「GTrainer」の提供を開始

2023年3月

次世代通信プロトコル「Ubiquitous QUIC」の提供を開始

2023年3月

「Ubiquitous QuickBoot」の累計出荷数が7,000万本を突破

2023年6月

「耐量子暗号」に関する研究開発活動を開始

 

 

3【事業の内容】

当社グループは、当社及び連結子会社1社により構成されております。

製造業のお客様が必要とするテクノロジーとサービスを提供する企業として、IoT機器向けの各種ネットワーク製品、セキュリティ製品、データ管理の効率化に寄与する高速なデータベース製品、OSの高速起動を実現するソフトウェア製品等の自社開発による組込みソフトウェア製品と、海外輸入によるBluetooth、BIOS、通信関連製品、ソフトウェア品質向上支援ツール、セキュリティ製品等の販売及び製品に関連したサポートサービス、エンジニアリングサービス等を提供しております。

 

また、当社グループである株式会社エイムでは、組込みソフトウェア等各種ソフトウェアの設計、開発及びデータコンテンツのライセンス販売等を行っております。

 

(1) 当社グループの主要製品・サービス

当社グループの主要なソフトウェア及びサービスを、セグメント毎に以下に示します。

a.ソフトウェアプロダクト事業

カテゴリ

製品・サービス名

概要

通信基本

Ubiquitous Network Framework

① TCP/IP v4/v6スタック

② Ubiquitous QUIC

①インターネット標準の通信プロトコルであるTCP/IPを、組込み機器向けに最適設計したもので、省メモリでの実装が可能な「小ささ」、非力なCPUでも動作する「軽さ」、また効率よく通信する「速さ」を実現したものです。

②さまざまなインターネット通信で利用が増えている通信プロトコル「QUIC(クイック)」を組込み機器やIoTデバイスなどのクライアント機器で利用できるように開発したソフトウェアライブラリです。

ワイヤレス

① Ubiquitous WPAサプリカント

(注1)

② Ubiquitous WPS

③ Ubiquitous Wi-Fi Direct

④ Ubiquitous MiracastTM Solution

 

①WPAサプリカントは、Wi-Fi通信の秘匿性を高めるために使用されるソフトウェアです。

②WPSは、複雑なWi-Fi設定を容易にするためのものです。

③Wi-Fi Directは、無線LAN機器間を直接、簡単に接続するためのものです。

④Miracastは、ワイヤレス環境でのリモートディスプレイ接続のためのものです。

いずれの製品も、Wi-Fi Allianceが策定した無線LANの接続や暗号化等に関する規格に準拠して開発されたミドルウェアとなります。

スマートホーム

① Ubiquitous ECHONET Lite

② Ubiquitous Wi-SMART

①スマートハウス向けのホームネットワーク用プロトコルとしてエコーネットコンソーシアムが策定した通信規格に準拠して開発されたミドルウェアとなります。この規格に準拠したスマートメーターやエネルギーマネジメント関連機器間でのユニバーサルな制御が可能になります。

②Wi-SMARTは、スマートメーターとエネルギーマネジメント機器との通信に用いられる国際無線通信規格「Wi-SUN」に準拠して開発されたミドルウェアです。

 

 

カテゴリ

製品・サービス名

概要

セキュリティ

① Ubiquitous TLS/SSL(注2/注3)② Ubiquitous DTCP(注4)

③ Ubiquitous HDCP (注5)

④ Ubiquitous Securus

⑤ Ubiquitous TPM(注6) Security

⑥ Edge Trust

①IoT機器の通信をセキュアに行うためのセキュリティプロトコルを組込みデバイスのリソースに最適化して提供するものです。

②車載機器およびデジタル家電等で要求されるデジタルコンテンツ保護を実現するためのDTCP規格に準拠したソフトウェアライブラリです。

③車載機器およびデジタル家電等で要求されるデジタルコンテンツ保護を実現するためのHDCP規格に準拠したソフトウェアライブラリです。

④IoT機器に組込まれるデバイス固有の証明書や電子鍵情報などの秘匿データを保護して、セキュアなIoTを実現するセキュアドIoTデバイスソリューションです。

⑤コンピュータの信頼性と安全性を高める国際業界標準規格を制定する業界団体「Trusted Computing Group (TCG)」が策定したTPMを利用するためのソフトウェアライブラリです。

⑥IoT機器をプロダクトライフサイクル全般に渡ってセキュアに管理する仕組みとサービスを外部パートナーのソリューション含めて包括的に提供します。

OS

TOPPERS-Proシリーズ

TOPPERS-Proシリーズは、NPO法人TOPPERSプロジェクトが開発したオープンソースカーネル「TOPPERS/ASP」をベースに、当社が自社開発、提供するRTOSソリューションパッケージです。

デジタルAV

Ubiquitous DLNA SDK

(DLNA(注7)ソリューション)

デジタルAV機器をネットワークで接続するためのDLNAガイドラインに準拠して開発されたミドルウェアです。
既存製品に比べて、1/10程度と小さく、また使用メモリも少なくてすみ、リソースに制約のあるデバイスもDLNA対応させることが可能になります。セキュリティ製品のUbiquitous DTCP-IPと組み合わせた提供が多用されます。

データベース

Ubiquitous DeviceSQL

DeviceSQLは、世界最小、超高速なデータベースエンジンを兼ね備えた、ローエンドからハイエンドまで全ての製品ラインに最適なデータ管理機能を提供する組込み向けのデータベースです。

高速起動

Ubiquitous QuickBoot

QuickBootは、デジタル家電や車載情報端末など高機能化される機器を電源断から、ユーザの操作性を損なわずに瞬間起動を実現するソリューションです。省エネ時代に待機電源を意識しない高機能機器を実現します。

 

b.ソフトウェアディストリビューション事業

 海外ソフトウェアの輸入販売、テクニカルサポート、及びカスタマイズ開発を行っております。100種類以上の海外ソフトウェア製品を取り扱っており、下表はその中で主要な製品であります。

カテゴリ

製品・サービス名

概要

ワイヤレス

Blue SDK

OpenSynergy社製のBluetoothプロトコルスタックであり、世界標準規格の近距離無線通信技術“Bluetooth”を実現するために開発されたソフトウェアです。

BIOS

InsydeH2O

Insyde Software社製のBIOSであり、従来のBIOS(Basic Input/Output System)を置き換えるために開発された新技術「EFI/UEFI」仕様を実装した、C言語ドライバベースの次世代BIOSです。

キャリアグレード

ConfD

Tail-f Systems社製のオンデバイスネットワーク機器管理用ソフトウェアです。

品質向上支援ツール

① CodeSonar

② beSTORM X

③ GSIL

①GrammaTech社製のソフトウェア解析ツールで、ソースコードの不具合や脆弱性を静的に検出します。

②あらゆるプロトコル、プラットフォームAPI、機器へのファジングとペネトレーションテストを実施するセキュリティ検証フレームワークです。

③車載ECUのソフトウェア開発をハードウェアに依存せずソフトウェアシミュレーションベースで行えるツールです。

AIソリューション

① CoDriver

② BreezoMeter

③ Ekkono SDK

④ GenSynth

⑤ VIA

⑥ AtomBeam

 

①ディープラーニング、機械学習、コンピュータビジョンアルゴリズムで、乗員の状態を監視できるソフトウェアです。

②世界中の空気質に関するビッグデータ(PM2.5、NO2、SO2、オゾン、花粉等)をリアルタイムで分析・予測・追跡するサービスです。

③IoTシステムのエッジサイドの機械学習に特化して開発されたライブラリです。従来型の事前に学習させるモデルだけではなく、設置・稼働環境の変化をデバイス上で学習し続ける増分学習(Incremental Learning)の機能が特長です。

④ディープラーニングモデルを最適化するためのプラットフォームです。顧客企業が持つ DNNモデルとデータセットを GenSynth へセットするだけで、GenSynth 内にある AI が最適化された DNNモデルを自動生成します。

⑤AI 自動外観検査システム開発用のソフトウェアです。VIA を使用することで、お客様はAI 人材を必要とせず、簡単に外観検査プロセスを自動化できます。

⑥IoT データ圧縮・セキュア通信AI ソリューションです。特許取得技術AI データ・コンパクションにより、従来のファイルデータ圧縮技術とは全く異なる方法で、セキュリティを確保しつつ非常に効率的にデータをエンコードし最小化することで、IoT/M2M データ伝送量を70-90% 削減します。

 

 

カテゴリ

製品・サービス名

概要

AIソリューション

⑦ NeutrinoTM

⑧ ZETANE

⑨ brighterAI

⑦ディープラーニングモデル最適化ソフトウェアです。自社内の DNN モデルとデータセットを Neutrino™ に設定し、コマンドを一つ実行するだけで、自動的に最適化した DNN モデルを生成します。

⑧AIのロバスト性を向上させるAI開発支援ツールと効率的なAI開発を実現するニューラルネットワーク可視化ツールです。

⑨静止画や動画から人の顔やナンバープレートを検出し、個人を特定されないように高精度匿名加工または次世代匿名加工をするソフトウェアサービスです。

 

c.ソフトウェアサービス事業

 株式会社エイムにおいて、組込みソフトウェア等各種ソフトウェアのエンジニアリングサービスと、米国Gracenote社と協業し、音楽関連のデータコンテンツのライセンスの提供を行っております。

 

(注)1.WPAサプリカントは、無線LAN上で情報を暗号化して送受信するWPAと呼ばれる暗号方式で使用するソフトウェア・コンポーネントです。従来は、WEPと呼ばれる固定キーによる暗号方式がよく用いられていましたが、これに代わるWPAはキーを自動的に変更するなど、より暗号強度の高いものになっております。

2.TLSは、インターネット上で情報を暗号化して送受信するプロトコルの一つであり、SSL3.0を基に改良が加えられて標準化されたものです。

3.SSLは、インターネット上で情報を暗号化して送受信するプロトコルの一つです。公開鍵暗号、秘密鍵暗号、デジタル証明書、ハッシュ関数などのセキュリティ技術により、秘匿を要する通信を安全なものとします。

4.DTCPは、DTLAにより規格化されたコンテンツ保護規格です。

5.HDCPは、ディスプレイや映像端末に対してHDMIやDVIなどを経由したデジタルコンテンツの送信を行う際のコピーガードに対応したリンクプロテクション技術であり、DCPにより規格化されたコンテンツ保護規格です。

6.TPMは、コンピュータの信頼性と安全性を高める国際業界標準規格を制定する業界団体「Trusted Computing Group (TCG)」が策定した耐タンパ性に優れたセキュリティモジュールの規格です。

7.DLNAは、Digital Living Network Allianceの略であり、パソコンやデジタル家電機器をネットワークでつなぐ際の約束事をいいます。

 

(2) 当社グループの収益モデル

a.ソフトウェア使用許諾

 ソフトウェア使用許諾は、当社グループのソフトウェア製品を顧客に使用許諾して対価を得るもので、契約時一時金とランニングロイヤルティに区分されます。

 ・契約時一時金

 当社グループのソフトウェア製品のソースコード又はオブジェクトコードを顧客に使用許諾する対価として収受するものです。その性質上、各ビジネスの初期に発生する売上高であります。新規にソフトウェアを開発した場合などは、各社にライセンスすることにより、この項目の売上高が伸びる傾向があります。

 ・ランニングロイヤルティ

 顧客が当社グループのソフトウェア製品を複製してデバイスに組み込んで販売する際に、複製本数に応じて収受する対価であります。継続的に発生する売上高であり、基本的に対応する支出(※)がないため、複製本数が伸びれば利益率の向上に寄与します。

 当社グループは、高利益率を達成するために、ランニングロイヤルティを主たる収益源とすることを目標としており、商品開発やビジネス開発にあたっては、そのことを考慮した展開を行っております。

(※ ソフトウェアディストリビューション事業におけるライセンサーに対する支出を除く)

 ・サブスクリプション

 当社グループの取扱ソフトウェア製品について、一定期間ごとに一定の対価(利用料)で顧客に提供するものです。主に、品質向上支援ツールや車載機器開発・テストツールといった開発ツール系の製品群をこの形態で提供しています。

 

b.サポート

 当社グループのソフトウェア製品を使用許諾した顧客に対する技術サポートへの対価として収受するものであります。納品後一定期間に限って提供する初期サポートや年単位で開発工数を提供する年間サポートなどがあります。売上規模を大きくすることは難しいのですが、景気の動向に左右されにくい安定した収益源となります。

c.ソフトウェア受託開発

 顧客の求めに応じて、当社のソフトウェア製品を特定のプラットフォームに移植したり、カスタム対応をしたりする対価として収受するものであります。投入した開発工数にほぼ比例した売上高となるため、高利益率を達成することは難しいですが、その後のソフトウェア使用許諾などの売上高につなげるべく、当社のソフトウェア製品の評価版の提供としての位置付けで行うものであります。

 また、ソフトウェアサービス事業においては、顧客製品に係るソフトウェア受託開発も行っております。

 

 なお、事業の系統図は、下記のとおりであります。

0101010_001.png

 

 

4【関係会社の状況】

名称

住所

資本金

(千円)

主要な事業の内容

議決権の所有割合又は被所有割合(%)

関係内容

(連結子会社)

株式会社エイム

(注)2.3

 

神奈川県川崎市

中原区

 

42,000

 

ソフトウェアサービス

 

 

100

 

当社顧客の一部の開発業務を受託。

役員の兼任あり。

 

(注)1.主要な事業の内容欄にはセグメントの名称を記載しております。

2.特定子会社に該当しております。

3.株式会社エイムの売上高(連結会社相互間の内部売上高を除く。)は連結売上高に占める割合が10%を超えております。

 

 

主要な損益情報等

(1)売上高

321,793

千円

 

(2)経常利益

40,690

千円

 

(3)当期純利益

26,984

千円

 

(4)純資産額

244,946

千円

 

(5)総資産額

300,312

千円

5【従業員の状況】

(1)連結会社の状況

 

2023年3月31日現在

セグメントの名称

従業員数(人)

ソフトウェアプロダクト事業

28

ソフトウェアディストリビューション事業

27

ソフトウェアサービス事業

27

報告セグメント計

82

全社(共通)

28

合計

110

(注)1.従業員数は就業人員であり、臨時従業員は従業員数の10%未満であるため、記載を省略しております。

2.全社(共通)として記載されている従業員数は、営業部、管理部門等に所属しているものであります。

 

(2)提出会社の状況

 

 

 

2023年3月31日現在

従業員数(人)

平均年齢(歳)

平均勤続年数(年)

平均年間給与(千円)

83

49.2

11.0

7,184

(注)従業員数は就業人員であり、臨時従業員は従業員数の10%未満であるため、記載を省略しております。

 

 

2023年3月31日現在

セグメントの名称

従業員数(人)

ソフトウェアプロダクト

28

ソフトウェアディストリビューション

27

報告セグメント計

55

全社(共通)

28

合計

83

(注)1.従業員数は就業人員であり、臨時従業員は従業員数の10%未満であるため、記載を省略しております。

   2.全社(共通)として記載されている従業員数は、営業部、管理部門等に所属しているものであります。

 

(3)労働組合の状況

労働組合は結成されておりませんが、労使関係は円満に推移しております。

 

1【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】

文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末日現在において当社グループが判断したものであります。

(1) 会社の経営の基本方針

当社グループは、「Exploring Everything」というスローガンの下、私たちの収益の源泉となるまだ見ぬ宝物である、革新的なアイデア、未来を照らす技術シーズ、自社および他社による有形無形の製品、そして、これらを見つけ、生み出すタレントなどテクノロジーに関わる全てを探し続けることで、社会の進歩に貢献することを新たな経営基本方針としております。

 

(2) 中長期的な会社の経営戦略、目標とする経営指標

当社最大の強みである大手製造業中心の顧客基盤を活かし、製造業顧客が必要とするテクノロジー・サービスを提供することを中長期的な経営戦略として、これまでの組込みソフトウェア開発・販売会社から、製造業顧客が必要とするテクノロジー・サービスを提供する会社として、取り組んでおります。

今後も成長が見込まれる自動車関連分野、IoT・AI関連分野を中心とした多様な分野において、強みである通信ネットワークやセキュリティ、高速起動などの自社開発の技術・製品のみならず、多数のユニークかつ先進性のある海外ソフトウェア製品との連携による新しい付加価値製品も合わせてタイムリーに市場投入することに加え、新たに取り組みを開始したビジネスプラットフォーム「HEXAGON」を推進するとともに、株式会社エイムのエンジニアリングサービスと連携しながら、製造業顧客が必要とするテクノロジー・サービスを提供できるよう事業規模と収益の拡大を追求いたします。

そして、3カ年中期経営計画(2023年3月期~2025年3月期)の下、

・M&A、資本提携の積極的な推進

・組込みソフトウェア開発・販売会社から、製造業顧客が必要とするテクノロジー・サービスを提供する会社として事業領域の拡大による成長の実現

・HEXAGON(ビジネスプラットフォーム)の実現

・QuickBootの技術課題解決及び海外展開の強化

・成長分野で安定的な収益が見込めるツール製品への注力

などにより、計画2年目にあたる2024年3月期は売上高2,912,000千円、営業利益20,000千円、2025年3月期は売上高3,100,000千円、営業利益40,000千円を目指してまいります。

 

0102010_001.png

 

(3) 対処すべき課題

① 成長市場において競争力を有する技術、製品に関する課題

当社では、多様な分野にさまざまな製品を展開しておりますが、特に「車載機器分野」「IoT・AI関連分野」といった成長市場においては、新たに登場する先進技術や常に変化する顧客ニーズに対応できるよう、取扱製品の継続的な強化と顧客ニーズの把握が課題となります。

これに対しては、ソフトウェアプロダクト事業における自社製品の機能強化、ソフトウェアディストリビューション事業における新規取扱製品の拡充、これらの製品の組み合わせることで付加価値を高める提案を推進しております。また、長年の実績から構築した、大手製造業を中心とした豊富かつ幅広い取引先とのネットワークや保有するマーケティング情報を有効活用した効率的な製品開発、取扱製品の獲得、販売活動を行います。さらに、IT関連も含めた国内のベンチャー・スタートアップ企業や学術系機関が保有する、製造業顧客が必要とする製品や技術・サービス等を幅広く取り扱うことで、更なる成長を実現してまいります。あわせて、M&A、業務提携等による新たな事業機会を積極的に獲得し、当社の技術、製品ラインアップの強化を図ってまいります。

② 事業ポートフォリオに関する課題

当社では、当社製品を採用した顧客製品の出荷量に応じたロイヤルティ売上を利益成長の源泉と位置付けており、成長性のある市場に対して複数の製品を継続して提供しておりますが、当社製品の採用から顧客製品の開発・量産製造までに時間を要するものが多く、その間の先行投資が嵩むことが課題となっておりました。

これに対しては、ソフトウェアサービス事業によるエンジニアリングサービス機能、データコンテンツのライセンス販売に加え、ソフトウェアディストリビューション事業による海外メーカーの組込みソフトウェア製品の輸入販売、技術サポート提供を行うことにより、従来の先行投資が必要ながら収益性の高い事業と、比較的短期的な収益確保が見込める事業のバランスが取れた事業ポートフォリオを形成し、グループとしてこの課題に対処してまいりました。

今後は、それぞれの事業の強化と各事業の密接な連携、海外メーカーとの関係を生かした当社製品の海外市場への販売展開を実現します。さらに、これまでの組込みソフトウェアを中心とした取り組みだけでなく、ベンチャー・スタートアップ企業や学術系機関との連携により当社顧客である製造業顧客が必要とするIT商材等を幅広く取扱うことに加え、2023年4月1日にグループ会社となった株式会社ライトストーンのデータアナリティクス事業では、同社が有する従来と異なる新たな顧客層に対してパッケージ製品を継続販売することで、事業基盤の安定と収益拡大を目指してまいります。

③ 販売体制の強化

新型コロナウイルス感染症による事業活動への制約は緩和されましたが、これによるワークスタイル・事業機会の変化は継続しており、営業活動やマーケティング活動の手法もこの変化に対応したアプローチが必要となっております。

これに対しては、引き続き、Webコンテンツやインターネットメディアを始めとしたデジタルマーケティングによる販促施策の強化、情報システムの整備による効率的な営業活動環境の整備、営業部門の人員増により、案件や顧客の確保を実現してまいります。

④ 品質マネジメントの強化

インターネットやIoTの普及に伴い、さまざまな電気・電子機器がネットワークに繋がることで、サイバー攻撃のリスクが深刻な問題となってきました。

このため、電子・電気機器製造・開発における適切な品質マネジメント及びサイバーセキュリティ対策を講ずることが必要とされています。

当社も、顧客の製品・サービス開発に使用するソフトウェア製品・サービスを提供していることから同様の対策が求められ、取引条件に含まれるようになってきております。

これに対しては、品質保証体制及びサイバーセキュリティ対策体制を整備・強化し、顧客の取引条件に合致するようにつとめてまいります。

⑤ 体制強化と効率化

当社で取り扱う製品の販売活動を効率的かつ集中的に行うとともに、競争力のある自社製品の開発を実現するための優秀な人材の採用、グループ間での連携、人員の最適配置による効率的な事業体制の構築が必要となります。

⑥ ガバナンスの強化

積極的なM&A等により事業規模が拡大しつつある当社グループが、継続的に、健全かつ効率的に成長するためには、ガバナンスの強化が重要な課題であります。

そのために、社外取締役を複数名体制とし、社外の目と知見による取締役会の監督を実施しております。引き続き、この体制を維持するとともに、内部管理体制の面でも、財務報告の信頼性を確保するための内部統制システムの適切な運用、内部監査による定期的なモニタリングの実施等に取り組んでまいります。

 

 

3【事業等のリスク】

以下において、当社グループの事業展開上のリスク要因となる可能性があると考えられる、主な事項を記載しております。

また、必ずしも事業上のリスクに該当しない事項についても、投資家の投資判断上、重要であると考えられる事項については、投資家に対する情報開示の観点から積極的に開示しております。

当社グループは、これらのリスク発生の可能性を認識した上で、発生の回避及び発生した場合の対応に努める方針ですが、当社の株式に関する投資判断は、本項及び本項以外の記載事項を慎重に検討した上で行われる必要があると考えております。

なお、文中における将来に関する事項は、別段の記載がない限り、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。

 

① 技術の陳腐化について

当社グループは、電子・電気機器開発に必要な自社開発のソフトウェア製品と、海外メーカーの開発したソフトウェア製品を多様な分野に展開しておりますが、これらの技術革新のスピードは速く、製品の高機能化も進んでおります。

当社グループといたしましては、技術の進展に鋭意対応していく方針ですが、当社グループが想定していない新技術の開発、普及により事業環境が急変した場合、必ずしも迅速に対応できない可能性があります。

また、競合他社が当社グループを上回る技術を開発した場合には、当社グループの技術が陳腐化する可能性があります。これらの状況に迅速に対応するため、多額の研究開発費用が発生する可能性もあります。

上記のような事象が発生した場合には、当社グループの業績及び今後の事業展開に影響を及ぼす可能性があります。

② 競争の激化について

当社グループは、電子・電気機器開発に必要な自社開発のソフトウェア製品と、海外メーカーの開発したソフトウェア製品を取り扱っております。近年は、LinuxやAndroid、FreeRTOS等の無償で利用できるソフトウェアプラットフォームが拡大し、また半導体メーカーが半導体と一緒に開発に必要なソフトウェアを組み合わせて包括的に提供する傾向にあり、特にミドルウェア製品群は、これらとの競争が激化しております。当社グループは、今後も競争力の維持強化に必要な製品ラインアップの強化、無償のソフトウェアでは得られない品質保証、技術サポートの提供や、脆弱性へのリスク対応等による差別化を図ることで競争力の維持強化に向けたさまざまな取り組みを進めてまいりますが、優位に競争が進められず、当該市場で十分なシェアを獲得できない場合には、当社グループの業績及び今後の事業展開に影響を及ぼす可能性があります。

③ 新規事業について

当社グループでは事業拡大を行う上で、当社グループ独自の技術やノウハウを活かした新規事業や製品を提供することが必要であると認識しております。このため、新規事業や製品への投資については、その市場性等について十分な検証を行った上で投資の意思決定を行っておりますが、市場環境の変化や不測の事態により、当初予定していた投資回収を実現できない可能性があります。

また、新規事業や新規サービス・製品の立ち上げには、一時的に追加の人材採用、研究開発等が発生し、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。

④ 海外事業展開について

当社グループは今後グローバルな事業展開を予定しておりますが、海外市場への事業進出には、各国政府の予期しない法律や規制の変更、社会・政治及び経済情勢の変化、異なる商慣習による取引先の信用リスク、競合企業の存在や知的財産権の取扱方法の違い、為替変動等の要因により、事業展開及びその成果が当初予測と異なる場合には、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。

⑤ 知的財産権について

当社グループは自社開発したソフトウェアについて著作権を有しておりますが、第三者が当社グループの著作権を侵害することなく、当社グループのソフトウェアと同様の機能を実現した場合、当社グループの業績及び今後の事業展開に影響を及ぼす可能性があります。また、当該第三者が特許権を取得した場合、当社グループが損害賠償義務を負担する可能性があります。加えて、当社グループが特定分野でのソフトウェア開発業務遂行のため、他社よりソフトウェアのソースコード開示を受けることがまれにありますが、この場合、当該ソースコードの開示を理由に当該成果物以外の当社グループ著作物に対する著作権侵害の訴訟等を受けるおそれがあります。

⑥ ソフトウェアの不具合による顧客の損失について

当社グループのソフトウェアの不具合による顧客の損失については、契約上、当社グループの損害賠償額の上限を当社グループが収受した契約対価に限定するように努めておりますが、このような事態が発生した場合、直接的に売上高の取消による損失が発生するのみならず、信用失墜により当社グループの業績及び今後の事業展開に影響を及ぼす可能性があります。

 

⑦ DTLAからの高度機密情報の提供について

当社グループは、DTCPのライセンス管理団体であるDTLA(Digital Transmission Licensing Administrator)に加盟し、同団体からDTCP仕様に関する高度機密情報の提供を受けております。当該情報は、DLNAやIPTVのコンテンツ保護における根幹の技術情報であり、当社グループ製品への統合により競争力を高めることができます。しかしながら、DTLAとの約定により、当該情報を当社グループの責任により漏洩した場合、最大8百万米ドルの制裁金を請求される可能性があります。

⑧ DCPからの高度機密情報の提供について

当社グループは、HDCPのライセンス管理団体であるDCP(Digital Content Protection)に加盟し、同団体からHDCP仕様に関する高度機密情報の提供を受けております。当該情報は、Miracast等と合わせて必要とされるコンテンツ保護における根幹の技術情報であり、当社グループ製品への統合により競争力を高めることができます。しかしながら、DCPとの約定により、当該情報を当社グループの責任により漏洩した場合、最大8百万米ドルの制裁金を請求される可能性があります。

⑨ ライセンス契約について

当社グループは、顧客との間で、当社グループソフトウェアを搭載した半導体・製品等の販売本数に応じて製造ロイヤルティを収受する契約を締結しております。従って、当社グループの売上高は、顧客の半導体・製品等の販売本数に影響を受けることとなります。顧客の半導体・製品等の販売が好調であった場合、予想外の収益を計上できる可能性がありますが、一方、顧客の新製品の発売時期が遅延した場合や当初の販売見込みを下回った場合、顧客の販売戦略に変更が生じた場合等においては、当社グループの収益が低下する可能性があります。

⑩ 仕入先との契約更新に係るリスク

ディストリビューション事業及びデータアナリティクス事業では、国外のソフトウェアベンダーの製品の輸入販売を行い、最先端の技術・製品等を有する海外のソフトウェアベンダーを仕入先としております。それらの仕入先とは、販売代理店契約等を締結し、良好な関係を維持しておりますが、仕入先が第三者からの買収や、代理店政策の見直しがあった場合は、商権に変更が生じる等、業績に影響を与える可能性があります。

⑪ 契約更新に係るリスク

株式会社エイムは、米国Gracenote社の音楽データベースに関するライセンス契約を締結し、一定の収益を計上しております。しかしながら、相手先企業の経営方針の変更等、当社がコントロールし得ない何らかの事情によりこの契約が更新されなかった場合、当社グループの業績や財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

⑫ 経済状況・市場動向が影響するリスク

ⅰ)自動車業界の動向が影響するリスク

 当社の事業収益のうち、自動車業界関連が約60%と大部分を占めています。そのため、自動車の販売台数が減少した場合には、車載情報端末を中心とした製造ロイヤルティ収益に影響を及ぼす可能性があります。

また、自動車関連企業が収益減少のために開発投資へリソースを割かない場合、ソフトウェア開発支援ツール、各ソフトウェア開発キット及び関連する開発委託業務に影響を及ぼす可能性があります。

ⅱ)経済全般の停滞が影響するリスク

 景気低迷による顧客の機器生産台数の低迷により、製造ロイヤルティ収益へ影響を及ぼす可能性があります。

また、収益低下懸念による費用圧縮に伴う新規開発投資の抑制により、ソフトウェア開発支援ツール、SDK及び関連する開発委託業務へ影響を及ぼす可能性があります。

4【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

(1) 経営成績等の状況の概要

 当連結会計年度における当社グループ(当社及び連結子会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。

 

①財政状態及び経営成績の状況

当連結会計年度の財政状態及び経営成績は以下のとおりとなりました。

a.財政状態

当連結会計年度末の資産合計は、前連結会計年度末に比べ153,935千円減少し、2,821,012千円となりました。

当連結会計年度末の負債合計は、前連結会計年度末に比べ21,361千円減少し、511,097千円となりました。

当連結会計年度末の純資産合計は、前連結会計年度末に比べ132,574千円減少し、2,309,915千円となりました。

 

b.経営成績

 当連結会計年度の業績は、売上高1,938,288千円(前期比5.8%減)、営業損失84,102千円(前期は77,630千円の利益)、経常損失76,179千円(前期は90,943千円の利益)、親会社株主に帰属する当期純損失148,179千円(前期は39,696千円の損失)となりました。

 

セグメントごとの経営成績は次のとおりであります。

「ソフトウェアプロダクト事業」は、組込みネットワークソフトウェア及びセキュリティ関連ソフトウェア製品並びにリアルタイムOS関連製品、データベース製品、高速起動製品等の主に自社開発によるデバイス組込み用ソフトウェアの開発及び販売等に関するセグメントであります。

「ソフトウェアディストリビューション事業」は、海外ソフトウェアの輸入販売、テクニカルサポート、及びカスタマイズ開発に関するセグメントであります。

「ソフトウェアサービス事業」は、株式会社エイムにおける、組込みソフトウェア等の受託を中心とした各種ソフトウェアの設計、開発、及びデータコンテンツのライセンス販売等に関するセグメントであります。

 

セグメント及び分野別の売上内訳及び事業状況は、以下のとおりです。

セグメント

当連結会計年度

前連結会計年度

増減率

(%)

売上高(注)

(千円)

売上割合

(%)

売上高(注)

(千円)

売上割合

(%)

ソフトウェアプロダクト事業

619,344

32.0

689,900

33.5

△10.2

ソフトウェアディストリビュー

ション事業

1,006,846

51.9

977,438

47.5

3.0

ソフトウェアサービス事業

312,098

16.1

390,827

19.0

△20.1

合計

1,938,288

100.0

2,058,165

100.0

△5.8

(注)売上高は、セグメント間取引を消去しております。

 

■ソフトウェアプロダクト事業

当事業の売上高は619,344千円(前期比10.2%減)、セグメント損失は23,338千円(前期は136,155千円の利益)となり、売上・利益ともに前期を大きく下回る結果となりました。これは、前年第2四半期においてセキュリティ関連製品の大口案件で売上・利益を計上したこと、及びデータベース関連製品の既存顧客がコロナ禍で製品の生産に大きな影響を受けたこと、並びに組織再編により当事業における当期の人件費が増加したことによるものであります。

コネクティビティ、セキュリティ&リアルタイムOS関連製品では、車載機器関連及びホームエナジーマネジメントシステム関連の既存顧客、産業機器及び医療機器関連の新規顧客からの契約時一時金売上を計上いたしました。また、半導体メーカーとの協業取り組みの一環として、受託開発売上を計上いたしました。

高速起動製品では、国内外の車載機器関連、海外民生機器の既存顧客からのロイヤルティ売上を計上いたしました。引き続き、カーナビゲーションシステム等車載向け機器を中心に、複数社との間で大・中規模の開発案件を実施しております。

データベース製品では、産業機器等の既存顧客からのロイヤルティ売上等を計上いたしました。

 

2022年5月、Linux/Android高速起動ソリューション「Ubiquitous QuickBoot」の同年4月末時点での累計出荷ライセンス数が全世界で6,000万本を突破したことを発表いたしました。

同年6月、マルチコア向け商用リアルタイムOS「TOPPERS-Pro/FMP3」が、ルネサスエレクトロニクス株式会社の最新マイクロプロセッサRZ/T2Mグループに対応し、販売開始したことを発表いたしました。

同月、組込みシステムを構成するリアルタイムOS、ネットワークスタック及びアプリケーション等のミドルウェアを動作確認済みのパッケージにした新製品「Ubiquitous RTOS IoT Enabler」の提供を開始したことを発表いたしました。

同年11月、ルネサスエレクトロニクス株式会社のRAファミリMCUに対応した、短期間でセキュアかつスマートなIoT機器を開発するためのオールインワンソフトウェアパッケージの提供を開始したことを発表いたしました。

2023年3月、組込み開発者向けに、次世代通信プロトコル「Ubiquitous QUIC」の提供を開始したことを発表いたしました。

 

■ソフトウェアディストリビューション事業

当事業の売上高は1,006,846千円(前期比3.0%増)、セグメント損失は93,045千円(前期は141,872千円の損失)となり、売上・利益ともに前期を上回る結果となりました。

BIOS製品「InsydeH2OⓇ」(「EFI/UEFI」仕様を実装したC言語ベースBIOS)、ワイヤレス製品「Blue SDK」(Bluetoothプロトコルスタック)のロイヤルティ売上、ソフトウェア品質向上支援ツール製品「CodeSonar」(ソフトウェア静的解析ツール)のライセンス売上、ネットワークマネジメント製品「ConfD」(オンデバイスネットワーク機器管理用ソフトウェア)のロイヤルティ売上、サイバーセキュリティ対策製品「beSTORM X」(IoTセキュリティ検証ツール&サービス)等の多数の取扱い製品において、新規・既存顧客からのライセンスロイヤルティ売上等を計上いたしました。

 

当連結会計年度においては、新たに7社9製品の新規取扱を開始しました。

 

■ソフトウェアサービス事業

当事業の売上高は312,098千円(前期比20.1%減)、セグメント利益は32,282千円(前期比61.3%減)となり、前期を大きく下回る結果となりました。

ソフトウェアサービス事業では、既存顧客との各種受託開発売上、データコンテンツ「YOMI」に関する車載機器向けを中心としたライセンス使用料売上等を計上いたしました。コロナ禍のサプライチェーンへの影響による受託開発案件の期ずれ及び失注に伴い受託開発の売上が減少、また車載機器関連のCD再生機能搭載モデルの出荷減少に伴いライセンス使用料の売上が減少となりました。

 

② キャッシュ・フローの状況

当連結会計年度末における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)の残高は1,514,932千円となりました。

当連結会計年度末における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は、次のとおりであります。

 

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

営業活動の結果、減少した資金は87,283千円(前期は221,543千円の増加)となりました。その主な要因は、税金等調整前当期純利益の減少や未払消費税等の減少であります。

 

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

投資活動の結果、減少した資金は104,306千円(前期は149,187千円の減少)となりました。その主な要因は、資産除去債務の履行による支出や有形固定資産の取得による支出であります。

 

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

財務活動による資金の変動はありませんでした(前期も同様)。

 

 

③生産、受注及び販売の実績

a.生産実績

 当連結会計年度の生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

セグメントの名称

金額(千円)

前年同期比(%)

ソフトウェアプロダクト事業

110,658

81.1

ソフトウェアディストリビューション事業

193,640

63.9

ソフトウェアサービス事業

139,917

△39.0

合計

444,215

8.8

 (注)金額は販売価格によっており、セグメント間取引消去前の数値によっております。

 

b.受注実績

 当連結会計年度の受注状況をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

セグメントの名称

受注高(千円)

前年同期比(%)

受注残高(千円)

前年同期比(%)

ソフトウェアプロダクト事業

110,889

81.4

1,300

0.0

ソフトウェアディストリビュー

ション事業

221,677

89.2

28,390

4631.7

ソフトウェアサービス事業

166,147

△21.1

29,800

6108.3

合計

498,714

28.3

59,490

5408.3

 (注)金額は販売価格によっており、セグメント間取引消去前の数値によっております。

 

c.販売実績

 当連結会計年度の販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

セグメントの名称

金額(千円)

前年同期比(%)

ソフトウェアプロダクト事業

619,344

△10.2

ソフトウェアディストリビューション事業

1,006,846

3.0

ソフトウェアサービス事業

312,098

△20.1

合計

1,938,288

△5.8

 (注)セグメント間取引を消去しております。

 

(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容

  文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。

①当連結会計年度の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容

a.経営成績等

1)財政状態

(流動資産)

 当連結会計年度末における流動資産は、2,239,687千円(前期比189,217千円減)となりました。その主な要因は、有価証券の減少であります。

(固定資産)

 当連結会計年度末における固定資産は、581,325千円(前期比35,282千円増)となりました。その主な要因は、建物や工具、器具及び備品の増加であります。

(流動負債)

 当連結会計年度末における流動負債は、381,736千円(前期比66,405千円減)となりました。その主な要因は、資産除去債務の減少であります。

(固定負債)

 当連結会計年度末における固定負債は、129,361千円(前期比45,044千円増)となりました。その要因は、繰延税金負債の増加であります。

(純資産)

 当連結会計年度末における純資産は、2,309,915千円(前期比132,574千円減)となりました。その主な要因は、利益剰余金の減少であります。

 この結果、自己資本比率は81.9%となりました。

 

2)経営成績

■ソフトウェアプロダクト事業

当連結会計年度は、特に次の項目に重点を置いて取り組んでまいりました。

・高速起動製品の次世代プラットフォーム対応、海外展開への先行投資

・車載AV案件対応への人的リソース拡充

・コネクティビティ及びRTOSの価値を最大化するパッケージの販売

・IoTセキュリティ向け検証ツールとの連携による顧客デマンドの創出

この結果、前年第2四半期においてセキュリティ関連製品の大口案件で売上・利益を計上したこと、及びデータベース関連製品の既存顧客がコロナ禍で製品の生産に大きな影響を受けたこと、並びに組織再編により当事業における当期の人件費が増加したことにより、売上・利益ともに前期を大きく下回る結果となりました。

翌連結会計年度以降は、次のような対策を講じて取り組んでまいります。

・高速起動製品の次世代プラットフォーム対応の継続、海外市場への積極的な展開

・グループ全体での車載AV案件対応へ体制構築

・RTOSをベースにコネクティビティとセキュリティをワンストップで提供するパッケージの製品化による販売強化

・IoT機器市場で動きの活発なスマートエネルギー関連にフォーカスした提案活動

 

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■ソフトウェアディストリビューション事業

当連結会計年度は、特に次の項目に重点を置いて取り組んでまいりました。

・ソフトウェア品質向上支援ツールの販売強化継続、エー・アンド・デイ社と共同開発した新製品「GSIL」、重点分野とするIoTセキュリティ関連製品「beSTORM X」とこれを活用した「IoTセキュリティ検証サービス」販売への注力

・近年獲得した商材、開発製品の販売の加速

・ソフトウェア品質やサイバーセキュリティへの顧客懸念と市場動向を把握し、ツールによる解決策を提案

この結果、売上・利益ともに前期を上回る結果となりました。

翌連結会計年度以降は、次のような対策を講じて取り組んでまいります。

・需要が堅調なソフトウェア検証・開発支援ツールの販売体制・製品ラインアップ強化

・将来の販売の軸となる新商材の獲得と、より収益性の高い商材への注力

 

 

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■ソフトウェアサービス事業

当連結会計年度は、特に次の2つの項目に重点を置いて取り組んでまいりました。

・車載機器メーカーを中心とした受託開発・音楽関連データコンテンツライセンス取引の継続

・Web・スマートデバイス向けから組込みまで幅広い範囲の対応により、安定した顧客との取引と、グループ連携による受託開発案件の獲得

この結果、コロナ禍のサプライチェーンへの影響による受託開発案件の期ずれ及び失注に伴い受託開発の売上が減少、また車載機器関連のCD再生機能搭載モデルの出荷減少に伴いライセンス使用料の売上が減少となり、売上・利益ともに前期を大きく下回る結果となりました。

翌連結会計年度以降は、受託開発案件の収益性強化と車載機器以外の安定顧客確保に注力しつつ、規模拡大に向け、M&A等も含めた開発人員確保の施策を検討してまいります。

 

以上の結果、当連結会計年度の業績は、以下のとおりとなりました。

 

(売上高)

当連結会計年度における連結売上高合計は1,938,288千円(前年同期比5.8%減)となりました。

詳細につきましては、「(1)経営成績等の状況の概要 ①財政状態及び経営成績の状況」に記載のとおりであります。

(売上原価、販売費及び一般管理費)

売上原価1,078,571千円(前年同期比0.9%増)、販売費及び一般管理費943,819千円(同3.6%増)を計上いたしました。販売費及び一般管理費の主な内訳は、給料及び手当462,462千円(同0.8%増)、支払手数料131,617千円(同28.7%増)であります。

(経常利益)

経常損失76,179千円(前年同期は90,943千円の利益)を計上いたしました。

これは、主に営業損失84,102千円(前年同期は77,630千円の利益)、為替差益4,879千円(前年同期比52.8%減)を計上したためであります。

(特別損失)

特別損失32,210千円(前年同期比54.3%減)を計上しました。

 これは、主に投資有価証券評価損30,359千円を計上したためであります。

(親会社株主に帰属する当期純損失)

法人税、住民税及び事業税10,793千円、法人税等調整額(損)28,996千円の計上により、法人税等合計39,789千円となり、親会社株主に帰属する当期純損失は148,179千円(前年同期は39,696千円の損失)となりました。

 

②キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容並びに資本の財源及び資金の流動性に係る情報

・キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容

 当連結会計年度のキャッシュ・フローの状況につきましては、「(1)経営成績等の状況の概要 ②キャッシュ・フローの状況」に記載のとおりであります。

・資本の財源及び資産の流動性

 資金の流動性につきましては、中長期的な株主価値の向上を図る観点から、M&A等の成長戦略及び財務の健全性強化のための内部留保の積上げと、株主の皆様への利益還元の拡充とのバランスを考慮することを基本としております。成長戦略に伴うM&Aや投資のための所要資金につきましては、グループ内での営業活動による自己資金で調達しております。

 

③重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定

 連結財務諸表の作成に当たって用いた会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定のうち、重要なものについては、第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項(重要な会計上の見積り)に記載のとおりであります。

5【経営上の重要な契約等】

(1) 米国Gracenote社とのライセンス契約

 2000年より、株式会社エイムは米国Gracenote社のオフィシャルデベロップメントパートナーとして、Gracenote SDKの共同開発及びGracenote社の日本国内の顧客への開発サポートを内容としたパートナー契約を締結しております。

(2) DTLA加盟契約

 2006年5月9日に、当社はDTLA(Digital Transmission Licensing Administrator)との間で加盟契約を締結し、DTCP仕様に関する高度機密情報の提供を受けております。当該情報は、DLNAやIPTVのコンテンツ保護における根幹の技術情報であります。

 加盟料として年間当たり14千米ドルを支払っております。

 なお、当該情報を当社グループの責任により漏洩した場合、最大8百万米ドルの制裁金を請求される可能性があります。

(3) 株式会社村田製作所との間における資本・業務提携に関する合意書

2012年12月11日に、当社は株式会社村田製作所との間で、デジタル家電、白物家電、ヘルスケア製品、自動車、ネットワーク対応センサー等、今後さらに幅広い機器に採用が期待される、近距離無線関連の両社の製品及びサービスに関して、相互の顧客・潜在顧客に対する共同提案・販売促進活動及び技術・市場動向等に対する共同での検討活動を行うことで合意しております。

(4) DCP加盟契約

 2013年4月15日に、当社はDCP(Digital Content Protection)との間で加盟契約を締結し、HDCP仕様に関する高度機密情報の提供を受けております。当該情報は、Miracast等と合わせて必要とされるコンテンツ保護における根幹の技術情報であります。

 加盟料として年間当たり15千米ドルを支払っております。

 なお、当該情報を当社グループの責任により漏洩した場合、最大8百万米ドルの制裁金を請求される可能性があります。

(5) 株式譲渡契約

 2023年3月1日開催の取締役会において、当社は株式会社ライトストーンの発行済株式の全株式を取得し、連結子会社化することについて決議し、同日に株式譲渡契約を締結、2023年4月1日に株式を取得いたしました。

 詳細は、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項(重要な後発事象)」に記載のとおりであります。

 

2【主要な設備の状況】

(1)提出会社

2023年3月31日現在

 

 

事業所名

(所在地)

セグメントの

名称

設備の内容

帳簿価額

従業員数

(人)

建物

 

(千円)

工具、器具

及び備品

(千円)

合計

 

(千円)

本 社

(東京都新宿区)

ソフトウェアプロダクト事業、ソフトウェアディストリビューション事業

事務所及び
研究開発施設(注)

47,835

29,691

77,525

83

(注)建物は賃借しており、その年間賃借料は103,252千円であります。

 

(2)国内子会社

2023年3月31日現在

 

会社名

事業所名

(所在地)

セグメントの名称

設備の

内容

帳簿価額

従業員数

(人)

建物

 

(千円)

工具、器具

及び備品

(千円)

合計

 

(千円)

株式会社

エイム

本 社

(神奈川県

川崎市中原区)

ソフトウェアサービス事業

事務所(注)

20,426

4,454

24,881

27

(注)建物は賃借しており、その年間賃借料は23,937千円であります。

 

①【株式の総数】

種類

発行可能株式総数(株)

普通株式

31,200,000

31,200,000

 

②【発行済株式】

種類

事業年度末現在発行数(株)

(2023年3月31日)

提出日現在発行数(株)

(2023年6月30日)

上場金融商品取引所名又は登

録認可金融商品取引業協会名

内容

普通株式

10,459,000

10,459,000

東京証券取引所

スタンダード市場

単元株式数

100株

10,459,000

10,459,000

①【ストックオプション制度の内容】

該当事項はありません。

 

②【ライツプランの内容】

該当事項はありません。

(4)【発行済株式総数、資本金等の推移】

年月日

発行済株式

総数増減数

(株)

発行済株式

総数残高

(株)

資本金

増減額

(千円)

資本金

残高

(千円)

資本準備金

増減額

(千円)

資本準備金

残高

(千円)

2018年4月1日~

2019年3月31日

(注)

31,000

10,457,000

11,744

1,482,724

11,744

1,452,724

2019年4月1日~

2020年3月31日

(注)

2,000

10,459,000

758

1,483,482

758

1,453,482

(注)新株予約権の行使による増加であります。

 

(5)【所有者別状況】

 

 

 

 

 

 

 

2023年3月31日現在

区分

株式の状況(1単元の株式数100株)

単元未満株式の状況(株)

政府及び地方公共団体

金融機関

金融商品取引業者

その他の法人

外国法人等

個人

その他

個人以外

個 人

株主数(人)

1

22

49

17

16

7,632

7,737

所有株式数

(単元)

280

10,781

7,593

953

62

84,865

104,534

5,600

所有株式数の割合(%)

0.26

10.31

7.26

0.91

0.05

81.18

100.00

(注)自己株式117株は、「個人その他」に1単元、「単元未満株式の状況」に17株含まれております。

(6)【大株主の状況】

 

 

2023年3月31日現在

氏名又は名称

住 所

所有株式数(株)

発行済株式(自己株式を除く。)の総数に対する所有株式数の割合(%)

株式会社SBI証券

東京都港区六本木1-6-1

351,626

3.36

東京短資株式会社

東京都中央区日本橋室町4-4-10

258,500

2.47

株式会社村田製作所

京都府長岡京市東神足1-10-1

202,000

1.93

鈴木明和

愛知県名古屋市中区

199,900

1.91

auカブコム証券株式会社

東京都千代田区大手町1-3-2

184,800

1.76

鈴木仁志

東京都世田谷区

150,000

1.43

マネックス証券株式会社

東京都港区赤坂1-12-32

144,370

1.38

上田八木短資株式会社

大阪府大阪市中央区高麗橋2-4-2

129,200

1.23

滝田芳彦

栃木県栃木市

118,500

1.13

鈴木ミチ子

愛知県名古屋市中区

114,100

1.09

1,852,996

17.69

①【連結貸借対照表】

 

 

(単位:千円)

 

前連結会計年度

(2022年3月31日)

当連結会計年度

(2023年3月31日)

資産の部

 

 

流動資産

 

 

現金及び預金

705,449

1,114,932

受取手形、売掛金及び契約資産

※1 652,604

※1 636,051

有価証券

1,000,000

400,000

仕掛品

324

2,596

前払費用

43,487

56,296

未収還付法人税等

5,230

12,603

未収消費税等

11,384

その他

21,811

5,826

流動資産合計

2,428,905

2,239,687

固定資産

 

 

有形固定資産

 

 

建物(純額)

22,057

68,261

工具、器具及び備品(純額)

16,214

34,145

有形固定資産合計

※2 38,271

※2 102,406

無形固定資産

 

 

ソフトウエア

40,801

25,819

その他

563

473

無形固定資産合計

41,363

26,291

投資その他の資産

 

 

投資有価証券

※3 317,636

※3 346,891

差入保証金

159,157

105,726

繰延税金資産

1,676

その他

10

10

投資損失引当金

12,070

投資その他の資産合計

466,409

452,628

固定資産合計

546,043

581,325

資産合計

2,974,948

2,821,012

 

 

 

 

(単位:千円)

 

前連結会計年度

(2022年3月31日)

当連結会計年度

(2023年3月31日)

負債の部

 

 

流動負債

 

 

買掛金

153,889

149,263

未払金

32,721

70,631

未払費用

17,769

36,343

未払法人税等

21,760

19,537

未払消費税等

36,417

1,276

契約負債

97,102

95,239

資産除去債務

79,400

その他

9,083

9,448

流動負債合計

448,142

381,736

固定負債

 

 

退職給付に係る負債

37,972

36,552

資産除去債務

11,527

23,762

繰延税金負債

34,818

69,047

固定負債合計

84,316

129,361

負債合計

532,458

511,097

純資産の部

 

 

株主資本

 

 

資本金

1,483,482

1,483,482

資本剰余金

1,453,482

1,453,482

利益剰余金

626,226

774,406

自己株式

121

121

株主資本合計

2,310,618

2,162,439

その他の包括利益累計額

 

 

その他有価証券評価差額金

131,872

147,477

その他の包括利益累計額合計

131,872

147,477

純資産合計

2,442,490

2,309,915

負債純資産合計

2,974,948

2,821,012

【連結損益計算書】

 

 

(単位:千円)

 

 前連結会計年度

(自 2021年4月1日

 至 2022年3月31日)

 当連結会計年度

(自 2022年4月1日

 至 2023年3月31日)

売上高

※1 2,058,165

※1 1,938,288

売上原価

1,069,077

1,078,571

売上総利益

989,089

859,717

販売費及び一般管理費

 

 

役員報酬

93,875

89,000

給料及び手当

458,770

462,462

法定福利費

68,516

67,259

退職給付費用

3,977

3,742

広告宣伝費

8,524

5,692

不動産賃借料

54,140

63,852

支払手数料

102,293

131,617

研究開発費

※2 47,649

※2 37,309

その他

73,714

82,885

販売費及び一般管理費合計

911,458

943,819

営業利益又は営業損失(△)

77,630

84,102

営業外収益

 

 

受取利息

776

855

受取配当金

2,196

2,942

為替差益

10,341

4,879

営業外収益合計

13,313

8,676

営業外費用

 

 

投資事業組合運用損

754

営業外費用合計

754

経常利益又は経常損失(△)

90,943

76,179

特別損失

 

 

固定資産除却損

※3 4,820

投資損失引当金繰入額

12,070

投資有価証券評価損

30,359

本社移転費用

※4 53,566

その他

1,851

特別損失合計

70,455

32,210

税金等調整前当期純利益又は税金等調整前当期純損失(△)

20,488

108,390

法人税、住民税及び事業税

21,662

10,793

法人税等調整額

38,523

28,996

法人税等合計

60,184

39,789

当期純損失(△)

39,696

148,179

親会社株主に帰属する当期純損失(△)

39,696

148,179

1.報告セグメントの概要

 当社グループの報告セグメントは、当社グループの構成単位のうち分離された財務情報が入手可能であり、取締役会が、経営資源の配分の決定及び業績を評価するために、定期的に検討を行う対象となっているものであります。

 当社グループは、取り扱う製品・サービスについて国内及び海外の包括的な戦略を立案し、事業活動を展開しております。

 したがって、当社グループは、製品・サービス別のセグメントから構成されており、「ソフトウェアプロダクト事業」、「ソフトウェアディストリビューション事業」及び「ソフトウェアサービス事業」の3つを報告セグメントとしております。

 「ソフトウェアプロダクト事業」は、組込みネットワークソフトウェア及びセキュリティ関連ソフトウェア製品並びにリアルタイムOS関連製品、データベース製品、高速起動製品等の主に自社開発によるデバイス組込み用ソフトウェアの開発及び販売等に関するセグメントであります。

 「ソフトウェアディストリビューション事業」は、海外ソフトウェアの輸入販売、テクニカルサポート、及びカスタマイズ開発に関するセグメントであります。

 「ソフトウェアサービス事業」は、株式会社エイムにおける、組込みソフトウェア等の受託を中心とした各種ソフトウェアの設計、開発、及びデータコンテンツのライセンス販売等に関するセグメントであります。

 

①【貸借対照表】

 

 

(単位:千円)

 

前事業年度

(2022年3月31日)

当事業年度

(2023年3月31日)

資産の部

 

 

流動資産

 

 

現金及び預金

554,243

982,291

売掛金

545,308

542,630

有価証券

1,000,000

400,000

仕掛品

310

646

前払費用

39,559

49,903

未収還付法人税等

5,230

12,544

未収消費税等

11,384

その他

41,011

15,843

流動資産合計

2,185,661

2,015,240

固定資産

 

 

有形固定資産

 

 

建物

3,600

47,835

工具、器具及び備品

9,937

29,691

有形固定資産合計

13,538

77,525

無形固定資産

 

 

ソフトウエア

40,522

25,697

その他

563

473

無形固定資産合計

41,084

26,170

投資その他の資産

 

 

投資有価証券

296,547

340,481

関係会社株式

735,006

720,006

差入保証金

129,730

82,562

その他

39,300

投資損失引当金

12,070

投資その他の資産合計

1,149,213

1,182,349

固定資産合計

1,203,835

1,286,044

資産合計

3,389,497

3,301,284

 

 

 

 

(単位:千円)

 

前事業年度

(2022年3月31日)

当事業年度

(2023年3月31日)

負債の部

 

 

流動負債

 

 

買掛金

155,979

140,891

未払金

29,824

67,061

未払費用

9,278

27,002

未払法人税等

18,518

15,013

未払消費税等

30,379

契約負債

97,102

95,239

資産除去債務

79,400

その他

5,975

6,356

流動負債合計

426,455

351,562

固定負債

 

 

退職給付引当金

37,972

36,552

資産除去債務

547

13,822

繰延税金負債

34,709

68,459

固定負債合計

73,228

118,833

負債合計

499,682

470,395

純資産の部

 

 

株主資本

 

 

資本金

1,483,482

1,483,482

資本剰余金

 

 

資本準備金

1,453,482

1,453,482

資本剰余金合計

1,453,482

1,453,482

利益剰余金

 

 

その他利益剰余金

 

 

繰越利益剰余金

178,265

252,581

利益剰余金合計

178,265

252,581

自己株式

121

121

株主資本合計

2,758,579

2,684,263

評価・換算差額等

 

 

その他有価証券評価差額金

131,235

146,627

評価・換算差額等合計

131,235

146,627

純資産合計

2,889,814

2,830,890

負債純資産合計

3,389,497

3,301,284

②【損益計算書】

 

 

(単位:千円)

 

前事業年度

(自 2021年4月1日

 至 2022年3月31日)

当事業年度

(自 2022年4月1日

 至 2023年3月31日)

売上高

※1 1,669,204

※1 1,628,623

売上原価

※1 826,331

※1 845,717

売上総利益

842,873

782,906

販売費及び一般管理費

※1,※2 858,117

※1,※2 866,989

営業損失(△)

15,244

84,084

営業外収益

 

 

受取利息

7

7

有価証券利息

767

847

受取配当金

※1 60,996

※1 61,454

為替差益

9,342

4,023

営業外収益合計

71,112

66,330

営業外費用

 

 

投資事業組合運用損

754

営業外費用合計

754

経常利益又は経常損失(△)

55,868

18,507

特別損失

 

 

固定資産除却損

※3 4,820

投資損失引当金繰入額

12,070

本社移転費用

※4 53,566

投資有価証券評価損

30,359

その他

1,851

特別損失合計

70,455

32,210

税引前当期純損失(△)

14,587

50,718

法人税、住民税及び事業税

5,714

3,352

法人税等調整額

34,887

26,951

法人税等合計

29,174

23,599

当期純損失(△)

43,761

74,316