ソフトマックス株式会社
(注) 1.当社は連結財務諸表を作成しておりませんので、連結会計年度に係る主要な経営指標等の推移については記載しておりません。
2.「収益認識に関する会計基準」(企業会計基準第29号 2020年3月31日)等を第50期の期首から適用しており、第50期に係る主要な経営指標等については、当該会計基準等を適用した後の指標等となっております。
3.持分法を適用した場合の投資損失(△)については、第47期、第48期、第49期及び第50期は重要性が乏しいため記載しておりません。
4.第50期の1株当たり配当額30.00円には、上場10周年記念配当10.00円を含んでおります。
5.2019年7月1日付で普通株式1株につき3株の割合で株式分割を行っております。第46期の期首に当該株式分割が行われたと仮定して、1株当たり純資産額及び1株当たり当期純利益を算定しております。
6.潜在株式調整後1株当たり当期純利益については、潜在株式が存在していないため記載しておりません。
7.従業員数は就業人員数であり、当社から他社への出向者を除き、他社から当社への出向者を含んでおります。また、臨時雇用者数は、年間の平均人員を( )外数で記載しております。
8.最高株価及び最低株価は、2022年4月3日以前は東京証券取引所マザーズにおけるものであり、2022年4月4日以降は東京証券取引所グロース市場におけるものであります。なお、第47期の株価については、2019年7月1日を効力発生日とする株式分割後の最高株価及び最低株価を記載しており、( )内に株式分割前の最高株価及び最低株価を記載しております。
(1)事業の特徴
当社グループ(当社及び当社の関係会社)は、当社とその他の関係会社1社により構成され、電子カルテシステム・オーダリングシステム・医事会計システム等の総合医療情報システムの開発・販売及び保守サポートを中心とするシステム事業を行っております。なお、当社の事業は単一セグメントであるため、セグメント別の記載は省略しておりますが、販売区分は「システムソフトウェア」、「ハードウェア」、「保守サービス等」としております。
システムソフトウェアでは、医療機関向けに、患者の診療情報の記録、検査及び投薬等の指示、医事会計など一連の院内業務効率化のための各種医療情報システムの提供を行っております。自社開発システムとしては電子カルテシステム、オーダリングシステム、医事会計システム、その他として健診システム、リハビリシステム等の部門支援システムがあります。また、複数のシステムを組み合わせることで、総合病院からクリニックに至る医療機関向けに総合医療情報システム「PlusUs」を提供しています。
このほか、システムの稼動に必要なサーバやPC等のハードウェアの販売、導入後のユーザーサポート、メンテナンスサービスの提供及び消耗品の販売にかかる保守サービス等を行っております。
さらに最近では、医療機関内にサーバを設置するオンプレミスに加え、データセンターを利用したクラウド型医療情報システムをサブスクリプションモデルで提供しており、サーバ投資の初期コストや運用管理コストを低減するとともに、高レベルのセキュリティと耐災害性を備えたサービスを提供しています。
当社の製品開発については、システム開発部署に資源を集約することにより、ノウハウの集積度を高め、開発対象を中小規模の病院をターゲットとした製品群に集中することで生産性を向上させ、製造原価の低減に努めております。また、製品導入については、作業工程の標準化、効率化等により、導入期間の短縮に努めております。
当社の総合医療情報システムの中核をなすWeb型電子カルテシステムは、従来のクライアントサーバ型電子カルテシステムと異なり、端末への専用プログラムのインストールや管理にあたるシステム管理者の常駐を必要とせず、納期の短縮、初期導入コスト・ランニングコストの低減につながります。こうしたWeb型の特徴を生かし、複数の医療施設を持つグループ医療機関に対して、システムの共有を行うプライベートクラウド型の導入を推奨したアプローチを行っています。また、当社は、サポートセンターからリモート技術を活用して、24時間のサポート体制でサービスを提供しています。
(2)主な製品
A.Web型電子カルテシステム「PlusUs-カルテ」
Web型電子カルテシステムは、医療現場の声を第一に、医師の大切なカルテ情報の取り扱いにあたり、多忙な日々の診察の中でも、迅速かつ容易にカルテ作成を可能にするユーザーインターフェースを備えたシステムとして開発を重ねてきました。
医療機関における情報化の経過は看護支援システム、オーダリングシステムそして電子カルテシステムへと変化してきました。当社はいち早くWebベースによるこれらの主要システムを一つのシステムに統合しました。システムを統合したことでデータベースの一元化が可能になり、複雑なデータ連携の仕組みが不要になると同時に、データ反映がリアルタイムになりました。またWebベースで運用することで、端末(パソコン)の管理が不要になり、高いセキュリティと低い運用コストを実現することができます。さらに、データバックアップの容易性と保存場所の拡張性を確保するとともに、データウェアハウスを容易に構築することができるようになりました。
また、多様な診療形態に適応した専門機能群を有しており、精神科、産科向け等の診療科ごとの機能、透析診療のスケジュール、基本情報、透析条件記録等の透析機能、さらに、患者の栄養管理のための、職種の壁を越えた栄養サポートチーム等のチーム医療に適したオプション機能もあります。
医療現場で発生する医師や看護師などが入力した診察内容や看護・検査記録、さらには検査データや予診データなど、あらゆる診療の場で発生するデータが他の医療情報システムとも柔軟に対応できるタグ形式の(*)XML文書の形で同時保存できるように対応しております。
(*)XMLとは、インターネット上で扱うデータを記述するためのデータフォーマットです。
B.Web型オーダリングシステム「PlusUs-オーダ」
Web型オーダリングシステムは、院内のコンピュータネットワーク上において医師から薬や注射、検査、処置、リハビリ等の指示(オーダ)が出されるとリアルタイムに施行部門へ伝達されますので、複数の診療科での重複投与の防止や施行時の患者取違いの防止に役立ちます。また、手書きで起こりがちな、転記ミス等が減少し、帳票の印刷と同時に算定情報が医事会計システム「PlusUs-医事」へ送信されますので、請求漏れの軽減ができます。患者にとっては受付や会計での待ち時間の短縮にメリットがあります。
Webベースで運用する事で、端末(パソコン)の運用管理が不要になり高いセキュリティと低い運用コストを実現することができます。
C.医事会計システム「PlusUs-医事」
当社が長年培ってきた医事会計に関する技術ノウハウを集積した医事会計システムです。世界標準のデータベースを採用したシステム構成で、高品質な運用の安定を図っており、様々な病院の運用体系を考慮し、歯科も同じシステムで対応しています。また、国の政策に対応した、オンライン資格確認や電子レセプト、DPC(診断群分類)等のシステムを開発し、複数社の電子カルテ・オーダリングシステムとの接続に対応した、標準マスタの利用やXML技術を用いて、柔軟な対応と品質の安定を図っております。
D.部門支援システム
当社では部門支援システムとして健診システム「PlusUs-健診」、リハビリ部門システム「PlusUs-リハ」、手術部門システム「PlusUs-手術」を開発、販売しています。
健診システム「PlusUs-健診」は、健康診断、人間ドック、生活習慣病予防健診などの健診業務をサポートするシステムです。健康診断および人間ドックに関する業務の『はじめから終わりまで』、また受診後のデータ管理において、健診・ドック施設はもとより受診者へのサービスを大幅に向上いたします。「PlusUs-健診」は、施設側での運用設定が容易で施設ごとにシステムをセットアップする事ができる機能を提供いたします。
リハビリ部門システム「PlusUs-リハ」は、リハビリ療法士の理学・言語・作業の各療法に対応した運用画面と訪問リハビリ機能では訪問先での患者情報、リハカルテの参照・登録・退院後フォローを支援します。また電子カルテ、オーダリング、医事会計システムとの連携により療法士の管理業務、患者の受付から計画・実施・評価・リハカルテ・計画書・帳票作成までの大幅な省力化を実現します。
手術部門システム「PlusUs-手術」は、電子カルテからオーダされた手術申込情報を取り込み、手術室ごとに予定一覧の確認と予約確定をスピーディに行います。入退室時間・術式等の管理等、実施入力では「手術実施記録」や手術材料に貼付されている保険請求ラベルのバーコードを読込むことにより、使用した材料や薬剤を簡単に入力することができます。記録された手術管理情報は、そのまま医事会計システムで取り込むことができます。その他手術管理台帳等の管理等手術室の医師・看護師を全面的に支援します。
(3)当社の販売形態
当社の販売・サポート体制につきましては、当事業年度末現在営業拠点16か所(本店・支店・営業所・出張所)を設置し、九州・中国・四国・近畿・中部・関東・東北・北海道各エリアにおいて直販を主体に展開しておりますが、一部、協業等により販売を展開しています。地域別では、これまで、本店のある九州エリアでの販売が中心となっておりましたが、その他エリア、特に関東・東北・北海道エリアでの営業体制強化を図っております。
なお、当社の販売形態の事業系統図は、次のとおりであります。
[事業系統図]

(1)親会社
該当事項はありません。
(2)連結子会社
該当事項はありません。
(3)持分法適用関連会社
該当事項はありません。
(4)その他の関係会社
(1)提出会社の状況
(注) 1.従業員数は就業人員数であり、臨時雇用者数は、パートタイマーの最近1年間の平均人員を( )外数で記載しております。
2.当社から社外への出向者、社外から当社への受入出向者はおりません。
3.平均年間給与は、賞与及び基準外賃金を含んでおります。
4. 当社は、システム事業の単一セグメントであるため、セグメント別の記載を省略しております。
(2)労働組合の状況
当社の労働組合は結成されておりませんが、労使関係は円満に推移し、安定しております。
文中の将来に関する事項は、当事業年度末現在において、当社が判断したものであります。
(1) 経営方針
<経営理念>顧客の成功と利益
情報技術を駆使し、高品質かつ柔軟性・拡張性のあるシステム構築を通して、お客様に最適なソリューション を提供するトータルなシステムインテグレーションサービスを実現します。
<基本方針>
①品質及びサービスの向上
当社は、提供するシステムを安心してご利用いただくため、国際品質保証規格「ISO9001」、情報セキュリティの認証規格「ISO27001」を取得しております。また、「プライバシーマーク」を取得し、個人情報保護方針を定め適切かつ的確な個人情報保護の管理を実施し、お客様の信用と信頼にお応えしております。当社は、これからも、より高品質なシステム開発とサービス提供の維持向上に取り組んでまいります。
②お客様と共にさらなる成長
当社は1974年1月の設立以来、「顧客第一主義」をモットーに事業の運営を行ってまいりました。2001年1月に現社名へ商号変更、2013年3月には東京証券取引所マザーズに上場(2022年4月グロース市場へ移行)いたしました。お客様と共にさらなる成長を続ける為に、お客様のニーズに適応できる体制づくりを行い、これからも迅速な意思決定・業務執行を図ってまいります。
③社会変革への対応及び貢献
社会は常に変化し、その変化の中でIT技術は極めて重要な役割を担っています。社会に貢献し、企業価値を高め、存在意義のある企業をあるべき姿として捉え、これからも、積極的に社会変革に対応した新分野にチャレンジしてまいります。
(2) 経営環境
わが国の医療分野のICT化が進展していく中、当社は、医療情報システムに特化し、市場の成長をとらえた事業の推進を図ってまいりました。近年、医療機関の経営は、より一層の効率化と質の高い医療サービスの提供が求められており、医療情報システムの役割も、診療データの記録という一次利用から、医療情報の共有化によるデータの統計・分析など、二次利用(データの利活用)への要求が高まっております。また、昨今では、新型コロナウイルス感染症拡大に対応した備えとしてデジタル化が喫緊の課題となっており、当社の非接触型の医療情報システムは、オンライン資格確認・電子処方箋等医療DX推進施策の基盤となるシステムとして注目が集まっております。さらには、医療情報の共有化は地域医療連携による質の高い医療の提供につながることから、Web型電子カルテシステムの特徴を活かし、クラウドをベースとした、広域、グループでの医療情報の連携を推進してまいります。加えて、次期バージョンの開発、システムの標準化・多機能化、ビッグデータの利活用などにも今後取り組んでいき、医療情報システムを通してわが国の医療に貢献してまいります。
(3) 優先的に対処すべき事業上の課題
①品質、顧客満足度の向上
当社は、長年蓄積されたノウハウを活かし、医療機関のニーズに応え、また、国の医療政策に適応すべく、システムの開発、機能強化を進めてまいりました。今後も、顧客ニーズに合致したさらなる品質の向上を図り、安全性と信頼性のある製品の提供に努めてまいります。また、システム稼働後の保守サービス体制を強化し、変化する顧客ニーズと医療機関を取り巻く環境に十分応えられる専門性の高いカスタマーサービスを行い、顧客満足度を高めてまいります。さらには、オンライン資格確認や電子処方箋機能を始めとした医療DX関連の開発・販売に加え、次期バージョンの開発、システムの多機能化・標準化を進めることにより、最善の医療提供体制構築へ貢献してまいります。
②営業基盤、導入体制の強化
当社は、全国的な営業展開、特に東日本地域での営業基盤拡大を目指しておりますが、オンラインでの提案など、従来の営業手法を刷新し、病床規模に対応した営業体制の強化、フォーカスエリア・対象とする病院の明確化等、戦略的な営業展開を強化してまいります。また、当社システムの受注から稼働までの導入期間におきましても、顧客への迅速的確な対応を推進するとともに、導入作業の標準化・効率化を図ってまいります。さらには、他社との提携によるアライアンスビジネスを推進することにより、営業、導入両面での体制充実・強化を図ってまいります。
③人材の採用、育成
医療情報システムに対するニーズの拡大に伴う導入案件の増加に対応するためには、開発、技術、営業各部門の人材の確保が必要不可欠になります。そのためには、積極的な採用活動による人員の増強とともに、レベルアップのための教育体制の確立が優先して取り組むべき課題となります。また、働き方改革による労働環境の改善を進めつつ、人材の適正配置により、企業体質の強化に努めてまいります。さらに、サービスの多様化やシステムの機能充実へ対応すべく、社員のキャリアマップを作成し、個々に必要な知識の習得、一層のレベルアップを推進し、顧客ニーズに応えられる有用な人材を育成してまいります。
有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、経営者が会社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に重要な影響を与える可能性があると認識している主要なリスクは、以下のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当事業年度末現在において当社が判断したものであります。
(1) 医療分野の変化と動向について
当社のシステム事業の対象である医療分野、特に医療機関につきましては、少子高齢化等に起因する社会保障制度の変化、医療制度の改革により経営環境は厳しさを増しております。
医療機関の対策として、診療業務の効率化により医療の質を高め、患者サービスを向上させることが重要視されております。電子カルテシステムやオーダリングシステムは、医療機関のこのようなニーズに合致したものであり、医療情報システムの市場は今後順調に成長が進むと考えております。しかし、法規制、医療制度改革等の動向によって、市場の成長が進まない場合は、当社の業績に影響を与える可能性があります。このようなリスクを踏まえ、市場に関する情報収集を行い、市場に即した営業活動を行う等により、医療分野の変化と動向に迅速な対応ができるよう運営しております。
(2) 競合状況及び競争政策について
現在、当社が販売する医療情報システムの市場は、大手コンピュータメーカー、医療情報システム会社などがしのぎを削り、厳しい競合状況にあります。病床規模別のセグメントでは、400床以上の病院のみならず399床以下の病院での導入が促進されており、従来の競合状態が変化しつつあります。将来的に、競争環境の変化による製品価格の低下等があった場合は、収益性が低下し、当社の業績に影響を与える可能性があります。このようなリスクを踏まえ、当社は、長年にわたり蓄積された技術とノウハウ、営業基盤を背景とした顧客満足度向上への取り組み並びに開発から納入サポートまでを自社で一貫してできる強みを生かし、競合他社との差別化を図っております。また、外部仕入れや導入サービス等の製造原価の見直しによる原価低減により価格競争力の向上を行っております。
(3) 診療報酬の改定について
高齢化社会の到来とともに、医療費は増大傾向にあります。このような状況のもと、財源の確保、財政の健全化を踏まえ、厚生労働省は医療制度運営の適正化と医療供給面の取り組みに重点を置いた、医療費適正化の方針を打ち出しております。今後、診療報酬のマイナス改定等が行われた場合、当社の主要顧客である医療機関の経営を圧迫することとなり、医療機関の投資意欲が萎縮するような影響を及ぼす可能性があります。その結果として、当社が提供する医療情報システムの導入を中止、延期する医療機関が発生し、当社の事業活動及び業績に影響を与える可能性があります。このようなリスクを踏まえ、医療情報システム関連団体や医療機関から情報を収集し、診療報酬改定への迅速な対応を図っております。
(4) 法的規制について
現時点では、当社の事業を制限する法的規制は存在しないと考えておりますが、2022年3月に厚生労働省が「医療情報システムの安全管理に関するガイドライン」を第5.2版に更新しております。
当社の総合医療情報システム「PlusUs」は、製品自身の適合性に加え、システムのインフラストラクチャ(ハードウェア、ミドルウェア、データベース)及び関連システム群との連携により、機能面あるいは運用面での性能保証を求められております。今後も様々な仕様・規格の標準化等の法規制が行われる可能性があり、それに伴いシステムの新規開発あるいは改変作業が発生します。法規制の対応に遅れる、或いは適切に対応できなかった場合、当社の業績に影響を与える可能性があります。このようなリスクを踏まえ、「医療情報システムの安全管理に関するガイドライン」の社内教育を行うとともに、医療情報システム関連団体や医療機関から情報を収集し、法規制への迅速な対応を図ります。
(5) 知的財産権について
当社は第三者より知的財産権に関する侵害訴訟等を提起されたことはありませんが、ソフトウェアに関する技術革新の顕著な進展により、当社のソフトウェアが第三者の知的財産権に抵触する可能性を的確に想定、判断できない可能性があります。また、当社の業務分野において認識していない特許などが成立している場合、当該第三者より損害賠償及び使用差し止めなどの訴えを起こされる可能性、並びに当該訴えに対する法的手続諸費用が発生する可能性があります。このようなリスクを踏まえ、知的財産に関する社内教育を行うとともに、当社の知的財産権の出願・取得を推進いたします。
(6) 人員の確保、育成について
当社では、今後の事業拡大及び技術革新に対応できる優秀な人材を継続的に確保し育成していくことが重要な課題であると認識しております。今後様々な市場ニーズへの対応や、付加価値の高い製品・ITサービスを提供していく上で、急速なIT技術の進歩への対応や、高度な開発技術を有する人材の確保が必要となり、これらの新しいIT技術への対応に遅れが生じる場合や、高度技術を有する人材が計画通りに確保できない場合は、当社の業績に影響を与える可能性があります。このようなリスクを踏まえ、当社では、定期的な新卒採用や積極的な中途採用の受け入れ、必要に応じて専門知識を有する人材の適宜採用に取り組んでおります。また、市場に対し、より付加価値の高い製品やITサービスの提供を行っていくことを目的として、新技術取得に向けた技術者教育を行うとともに、新技術・新分野に対する研究開発活動を推進する等、積極的な技術投資を行っております。
(7) 情報システムの障害について
電子カルテシステムをはじめとする医療情報システムは、医療機関の業務を支えるインフラとして重要な役割を果たしております。しかしながら、お客様に提供した情報システムに予期し難い欠陥や不具合が発生した場合、当社の社会的信用は低下し、お客様に対する賠償責任が発生する可能性があります。このようなリスクを踏まえ、当社では、情報システム構築にあたっては、品質管理部門を設け、ISO9001に準拠した開発プロセスの運用により、品質向上等に努めております。
(8) コンピュータウィルス等について
ソフトウェアは、常にコンピュータウィルス等の脅威にさらされております。コンピュータウィルス等は、日々、新種が増殖しており、その時点で考え得る万全の対策を行っていたとしても、当社が感染源となり、ユーザーが感染する可能性があります。この場合、ユーザーより損害賠償請求を受け、損害賠償金及び訴訟費用を必要とする可能性があります。このようなリスクを踏まえ、当社では、サーバ及び各端末に最新のアンチウィルスソフトウェアを適用させるとともに、外部とのメールのやりとりによる当社への感染防止、また、当社が感染源にならないためのセキュリティシステムを構築するなど、各種対策を講じております。また、昨今医療機関での被害が増加しているランサムウェア等へのセキュリティ対策につきましても、積極的に推進いたします。
(9) 情報漏洩について
当社の業務遂行上、当社従業員が、個人情報をはじめ顧客医療機関の保有する診療情報や一般企業の保有するさまざまな機密情報を取り扱う機会があり、これらの情報にアクセス可能な環境下にあります。万が一、当社からの情報漏洩が発生した場合には、当社の社会的信用は低下し、お客様に対する賠償責任が発生する可能性があります。このようなリスクを踏まえ、当社では、「プライバシーマーク」の認証および、「ISMS(情報セキュリティマネジメントシステム)」の認証を取得し、従業員の情報管理教育を強化し、当社内部からの情報漏洩を未然に防ぐ措置を講じております。
(10) 自然災害及び感染症蔓延等について
大規模な震災や津波、台風、洪水等の自然災害や感染症が発生した際は、当該事象が発生した地域の医療機関が対策を実施することにより、システムの導入中止や延期が発生することが想定され、また、当社の事業所が存在する場合、閉鎖等事業活動が制限されることにより、当社の業績に影響を与える可能性があります。このようなリスクを踏まえ、お客様医療機関からの情報の収集体制及び防災に対する適切な管理体制の構築を行うとともに、リスク発生時には対策本部を設置し、迅速な対応ができる体制を整備しております。
当事業年度におけるわが国経済は、新型コロナウイルス感染症の影響から社会・経済活動が正常化に向けて動き出したものの、米欧を中心としたインフレ抑制策としての金融引き締めの影響で世界経済の減速の懸念が高まっています。
当社が事業展開している医療機関におきましても、新型コロナウイルス感染症第8波の影響により医療従事者の負荷が高まる状況は継続し、経営環境は依然として流動的です。
そのような環境で、2022年10月に内閣総理大臣を本部長とする「医療DX推進本部」が設置され、医療DXに関する施策をスピード感をもって推進するために、2023年春を目途に工程表が策定されることとなりました。施策としては、1月からの電子処方箋の運用開始や、4月からの医療機関や薬局におけるオンライン資格確認の原則義務化等が実施され、医療分野におけるIT活用のニーズが益々高まっています。
加えて、電子カルテシステム等のソリューションやクラウド技術、AIなどのテクノロジーは、社会的課題である社会保障費の抑制や医療サービスの地域格差解消、医師を始めとした医療従事者の働き方改革の支援等においても、一層重要性が増しています。
このような状況の下、複数の医療機関を展開する医療法人へのプライベートクラウド(※1)型システムの導入、既存顧客のリプレイス需要と新規顧客のパブリッククラウド(※2)需要の取り込みに注力し、医療DX関連のシステムの開発、販売、導入を継続してまいりました。また、開発・技術部門では、顧客のニーズに沿ったシステム機能の充実と信頼性の向上という方針を継続し、システムの機能強化とバージョンアップを促進するとともに、先進的なテクノロジーの研究、顧客医療機関に対するサポート体制の強化、顧客満足度の向上に努めてまいりました。
以上の結果、当事業年度の業績は、売上高5,050,266千円(前期比12.5%増)、営業利益547,571千円(前期比7.1%減)、経常利益592,852千円(前期比6.0%減)、当期純利益419,387千円(前期比0.7%減)となり、売上高は上場以来過去最高となりましたが、ハードウェア等仕入の材料費、開発エンジニア等の人材確保による労務費の増加により、増収減益となりました。また、受注高は過去最高の3,541,549千円(前期比9.3%増)となり、引き続き堅調に推移しました。
(※1)プライベートクラウドとは、医療機関内に構築したクラウド環境で、同一医療法人内の複数施設から専用回線を通じてサーバにアクセスし、アプリケーションを使用すること
(※2)パブリッククラウドとは、データセンターを利用したクラウドで、医療機関内にサーバを設置せずにアプリケーションを使用すること
なお、財政状態につきましては、後記の「第2 事業の状況 3 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容 ① 財政状態及び経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容 a.財政状態の分析」をご参照ください。
当事業年度における現金及び現金同等物(以下、「資金」という。)は、前事業年度末より30,049千円増加し、1,854,155千円となりました。
なお、当事業年度における各キャッシュ・フローの状況は次のとおりであります
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
当事業年度における営業活動により得られた資金は、179,730千円(前事業年度は284,297千円の収入)となりました。主な要因は、受取賃貸料79,892千円、売上債権の増加644,107千円、法人税等の支払額244,771千円などの資金減少があったものの、税引前当期純利益の計上595,119千円、仕入債務の増加560,968千円などの資金増加によるものであります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
当事業年度における投資活動により使用した資金は、4,747千円(前事業年度は1,006千円の支出)となりました。主な要因は、定期預金の払戻による収入937,062千円などの資金増加があったものの、定期預金の預入による支出997,078千円などの資金減少によるものであります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
当事業年度における財務活動により使用した資金は、144,933千円(前事業年度は401,854千円の支出)となりました。主な要因は、長期借入金の返済による支出23,165千円、配当金の支払118,852千円などの資金減少によるものであります。
当事業年度の生産実績を示すと、次のとおりであります。
(注) 金額は当期総製造費用によっております。
b.受注実績
当事業年度の受注実績を種類別に示すと、次のとおりであります。
当事業年度の販売実績を種類別に示すと、次のとおりであります。
(注) 1.当事業年度の保守サービス等には、損益計算書上の売上高区分の「商品売上高」38,752千円が含まれております。
2.主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合
※ 前事業年度の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合は、当該割合が10%未満であるため記載を省略しております。
経営者の視点による当社の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。
なお、本文中の将来に関する事項は、当事業年度末現在において判断したものであります。
① 財政状態及び経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容
a.財政状態の分析
(資産)
当事業年度末の総資産は、前事業年度末に比べ、流動資産が813,316千円増加し、固定資産が27,302千円減少した結果、786,014千円増加し、6,549,505千円となりました。流動資産の増加は、主に受取手形が29,699千円減少したものの、現金及び預金が90,065千円、売掛金が673,807千円、仕掛品が64,864千円それぞれ増加したことによるものです。一方、固定資産の減少は、主に有形固定資産が11,241千円、投資その他の資産が15,265千円それぞれ減少したことによるものです。
(負債)
当事業年度末の負債は、前事業年度末に比べ、流動負債が478,521千円増加し、固定負債が7,724千円減少した結果、470,796千円増加し、3,613,380千円となりました。流動負債の増加は、主に未払法人税等が64,107千円、未払消費税等が75,510千円それぞれ減少したものの、支払手形が399,505千円、買掛金が161,462千円それぞれ増加したことによるものです。また、固定負債の減少は、主に長期借入金が17,520千円減少したことによるものです。
(純資産)
当事業年度末の純資産は、前事業年度末に比べ、315,217千円増加し2,936,124千円となりました。その主な要因は、譲渡制限付株式報酬としての新株発行により資本金が7,594千円、資本剰余金が7,594千円それぞれ増加したことに加え、当期純利益の計上419,387千円、配当による利益剰余金の減少119,358千円によるものです。なお、自己資本比率は44.8%となりました。
b. 経営成績の分析
(売上高)
売上高は、医療DX関連のシステム需要の高まりや大型案件の受注売上に加え、導入件数の増加に伴う保守を含めた売上の伸長の結果、前事業年度に比べ561,020千円増加し5,050,266千円(前期比12.5%増)となりました。種類別の内訳では、システムソフトウェアが9.7%増加の2,380,982千円となり、ハードウェアが22.6%増加の1,276,002千円、保守サービス等が9.1%増加の1,393,281千円となりました。
(売上総利益)
売上総利益は、売上高の増加561,020千円から売上原価の増加570,652千円を差し引き、前事業年度に比べ9,631千円減少し1,442,285千円(前期比0.7%減)となりました。システム売上原価の内訳では、当期製造費用において外注費が低下したものの、材料費や将来への継続的な安定成長に向けた開発人財への投資により労務費が上昇しました。
(営業利益、経常利益)
営業利益は、売上総利益が9,631千円減少し、販売費及び一般管理費が32,326千円増加したことにより、前事業年度に比べ41,958千円減少し547,571千円(前期比7.1%減)となりました。さらに営業外損益の45,280千円(益)が加わり、経常利益は、前期比6.0%減少の592,852千円となりました。
(当期純利益)
税引前当期純利益は、特別利益として関係会社株式売却益10,000千円、特別損失として投資有価証券売却損7,733千円を計上したものの、経常利益の減少により、前事業年度に比べ26,863千円減少し595,119千円(前期比4.3%減)となりました。当期純利益は、法人税額の特別控除等により法人税、住民税及び事業税が32,214千円減少したものの、法人税等調整額が8,510千円増加したことにより、0.7%減少の419,387千円となりました。
c. 経営成績に重要な影響を与える要因について
当社は、事業展開上のリスク要因となる可能性があると考えられる事項及び投資家の投資判断、あるいは当社の事業活動を理解する上で重要と考えられる事項について、リスク発生の可能性を認識した上で、その発生の回避及び発生した場合の対応に努める方針であります。
なお、詳細につきましては、本書「第2 事業の状況 2 事業等のリスク」に記載のとおりであります。
d. 経営方針・経営戦略、経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等について
当社は、経営資源を総合医療情報システムの開発、販売、導入指導に集中させ、その基幹システムであるWeb型電子カルテシステムの市場拡大に取り組んでまいりました。近年、医療機関をとりまく環境は大きく変わろうとしており、より質の高い医療サービス、システムが求められております。中でも、医療分野のICT化は国の掲げる政策であり、ICTの普及による医療の効率化、医療費の削減が喫緊の課題となっております。このような環境下、当社では、ICT化の代表的な指標である医療機関における電子カルテシステムの稼働施設数のアップを推進してまいります。このような導入推進とともに、システムの機能強化、次世代システムの開発に取り組むことが、当社の更なる成長の基盤となる見通しです。
なお、詳細につきましては、本書「第2 事業の状況 1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等」に記載のとおりであります。
② キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容並びに資本の財源及び資金の流動性に係る情報
当社の当事業年度のキャッシュ・フローの状況は、本書「第2 事業の状況 3 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析(1)経営成績等の状況の概要 ② キャッシュ・フローの状況」に記載のとおりであります。
当社の資本の財源及び資金の流動性については、次のとおりであります。
当社の資金需要は、主に運転資金、設備資金需要ですが、今後の事業展開を考慮しますと、研究開発資金需要が増えることが想定されます。運転資金、設備資金については、自己資金で賄うことを原則としておりますが、場合により銀行借入による資金調達も選択肢の一つとしております。また研究開発資金については、有価証券発行による資金調達も視野に入れ、総合的にその調達先を判断する方針であります。
なお、当事業年度につきましては、運転資金の支出はすべて営業キャッシュ・フローにより賄っております。
③ 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
当社の財務諸表は、我が国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。この財務諸表の作成に当たっては、会計方針の選択・適用、資産・負債、収益・費用の金額など開示に影響を与える見積りを必要としております。これらの見積りについては、過去の実績を勘案し合理的に判断しておりますが、見積り特有の不確実性があるため、実際の結果と異なる場合があります。
なお、当社の採用する重要な会計方針及び新型コロナウイルス感染症の影響に伴う会計上の見積りの仮定については、「第5 経理の状況 1 財務諸表等 (1) 財務諸表 注記事項(重要な会計方針)及び(追加情報)」に記載のとおりであります。
該当事項はありません。
当社における事業所別設備及び従業員配置の状況は、次のとおりであります。なお、当社の事業セグメントは、システム事業の単一セグメントであるため、セグメント別の記載はしておりません。
(注) 1.帳簿価額のうち、「その他」は、車両運搬具、リース資産、ソフトウェア、ソフトウェア仮勘定であります
2.その他支店営業所の所在地は、熊本、久留米、大分、大阪、名古屋、仙台、秋田、札幌であります。
3.従業員数は他社から当社への出向者を含む就業人員数であり、臨時雇用者数は、パートタイマーの最近1年間の平均人員を( )外数で記載しております。
該当事項はありません。
該当事項はありません。
(注)1.2019年7月1日付で1株を3株に株式分割し、これに伴い発行済株式総数は、3,973,000株増加し、5,959,500株となっております。
2.譲渡制限付株式報酬としての新株式発行による増加であります。
発行価格 1,190円
資本組入額 595円
割当先 取締役(社外取締役を除く)7名、執行役員5名
3.譲渡制限付株式報酬としての新株式発行による増加であります。
発行価格 863円
資本組入額 431.5円
割当先 取締役(社外取締役を除く)9名、執行役員6名
(注) 自己株式357株は、「個人その他」に3単元、「単元未満株式の状況」に57株含まれております。
2022年12月31日現在