オンコリスバイオファーマ株式会社
提出会社の経営指標等
(注) 1.持分法を適用した場合の投資利益については、利益基準及び利益剰余金基準からみて重要性の乏しい関連会社であるため、記載しておりません。
2.潜在株式調整後1株当たり当期純利益金額については、潜在株式は存在するものの、1株当たり当期純損失金額であるため記載しておりません。
3.自己資本利益率については、当期純損失を計上しているため記載しておりません。
4.株価収益率については、1株当たり当期純損失を計上しているため記載しておりません。
5.最高株価及び最低株価は、2022年4月4日より東京証券取引所(グロース市場)におけるものであり、それ以前は東京証券取引所マザーズにおけるものであります。これに伴い、株主総利回りの算定に使用した比較指標につきましても、東証マザーズ指数から配当込みTOPIX(東証株価指数)に変更しております。
6.「収益認識に関する会計基準」(企業会計基準第29号 2020年3月31日)等を第19期の期首から適用しており、当事業年度に係る主要な経営指標等については、当該会計基準等を適用した後の指標等となっております。
当社は創薬バイオベンチャー企業として研究開発先行型の事業を展開しており、独自性の高いウイルス遺伝子改変がん治療薬、重症感染症治療薬及びがん検査薬などの開発と事業化を推進しています。
特に、がんのウイルス療法テロメライシン、次世代テロメライシンOBP-702、がんの早期発見・再発予測を行うテロメスキャンを揃え、がんの発見から治療までを網羅する「がん領域」と、コロナウイルス感染症治療薬OBP-2011を中心とした「重症感染症領域」でパイプラインを構築し、さらにこれまでHIV感染症治療薬として開発してきたOBP-601を神経難病治療薬として開発しており、「ウイルス創薬企業」として成長を目指しています。今後は、各パイプラインの製薬企業へのライセンス活動を推進して商業化を早め、さらに新規パイプラインの創製にも取り組んでゆく方針です。
これまで当社は、パイプラインの開発を一定段階まで進め、その後の開発や販売は製薬企業へライセンスを許諾し、その対価として契約一時金やマイルストーン、ロイヤリティ収入などを得るというライセンス型事業モデルを展開していました。しかし、今後は上記のライセンス型事業モデルに加えて、一部のパイプラインに関しては、自社で製造販売承認を得る製薬会社型事業モデルの展開も検討し、「ライセンス型事業モデルと製薬会社型事業モデルのハイブリッド」で事業を展開してゆく方針です。
「オンコリスなしでは医療現場が、ひいては患者様が困る」そういう存在感ある創薬を展開することを基本方針とし、いち早く医療現場の課題解決に貢献してゆきたいと考えています。
なお、当社は、創薬開発プランを創出し、その製造、前臨床試験及び臨床試験をアウトソーシングするファブレス経営による医薬品開発を行い、開発期間の効率化・開発経費の最適化を図っています。当社の事業系統図は以下のとおりです。
[事業系統図]

注:上記のライセンス型事業モデルに加えて、一部のパイプラインに関しては、自社で製造販売承認を得る製薬会社型事業モデルの展開も行っていきます。
(1) 主要なパイプライン
当社は、ウイルス遺伝子改変技術を活用した新規がん治療薬、新規がん検査薬、さらに感染症領域の新たな治療薬の開発を行い、がんや重症感染症領域の医療ニーズ充足に貢献することを目指しています。
特にがん領域では、がんのウイルス療法テロメライシンの開発を進めるとともに、がんの超早期発見又は予後検査を行う新しい検査薬のテロメスキャンを揃えることで、がんの早期発見・初期のがん局所治療・予後検査・転移がん治療を網羅するパイプラインを構築しています。
テロメライシンは、5型のアデノウイルス[*1]を遺伝子改変した腫瘍溶解ウイルスです。5型のアデノウイルスは風邪の症状を引き起こすもので、自然界にも存在します。テロメライシンは、細胞の寿命を決定づけるテロメラーゼの活性が高いがん細胞で特異的に増殖することによって、がん細胞を破壊します。一方、がん細胞と比較してテロメラーゼ活性が低い正常な細胞の中では、増殖能力が極めて低いため、臨床的な安全性を保つことが期待されています。
また、用法としては局所療法が中心となるため、体の負担も少なく、放射線治療や免疫チェックポイント阻害剤などとの併用により、さらに強力な抗腫瘍活性が導き出せることも明らかになっています。さらに局所注射した部位以外でのがんの縮小効果が示唆されており、がん免疫療法等との併用効果が期待されています。これまで嘔吐・脱毛・造血器障害などの重篤な副作用は報告されていないことから患者様のQOL(Quality of Life)の向上が期待されます。

食道がんなどの固形がんを対象にします。
テロメライシンは、2006年10月に日本国内の特許(特許第3867968号)を、2012年4月に米国での特許(米国特許第8163892号)を取得したのをはじめ、欧州14か国を含む世界24か国での特許取得が完了しています。日本の特許は、当社と関西ティー・エル・オー株式会社の共有、海外指定国における特許及び特許出願は当社単独で保有しています。
(特許取得済みの国)
日本・米国・欧州(14か国)・南アフリカ・シンガポール・ニュージーランド・オーストラリア・中国・香港・韓国・カナダ
2008年3月にMedigen Biotechnology Corp.(台湾)と戦略的アライアンス契約を締結しました。また、2019年4月に中外製薬と日本・台湾における開発・製造・販売に関する再許諾権付き独占的ライセンス及び日本・台湾・中国・香港・マカオを除く全世界における開発・製造・販売に関する独占的オプション契約を締結しましたが、2021年12月に同ライセンスの解消契約を締結しました。
なお、2016年11月に江蘇恒瑞医薬股份有限公司(中国 以下「ハンルイ社」)と中国・香港・マカオでの研究・開発・製造・販売権に関するライセンス契約を締結しましたが、2020年6月に契約を合意解消しました。
活動の詳細に関しては、「第2 事業の状況 5.研究開発活動」をご確認ください。
なお、食道がんへの開発に対して、2019年4月に日本国内において厚生労働省より先駆け審査指定制度の対象品目に指定されております。また、2020年6月に米国においてオーファンドラッグ(希少疾患治療薬)の指定を食品医薬品局(FDA:Food and Drug Administration)から受けております。
当社は本剤を自社製造しておらず、他の製造会社に委託して製造しております。
大手製薬企業等とライセンス契約又は販売提携契約を締結し、契約先が販売する予定です。
<テロメライシンの構造>
テロメライシンは、ヒトテロメラーゼ逆転写酵素(hTERT)遺伝子プロモーターをアデノウイルス5型遺伝子のE1領域[*2]に組み込み、さらに同領域にIRES配列[*3]を導入することによってがん細胞内での複製効率を高めたがん細胞で特異的に増殖する腫瘍溶解ウイルスです。
テロメライシンのDNA構造は以下のとおりです。

② 核酸系逆転写酵素阻害剤OBP-601(censavudine)
OBP-601(censavudine)は、神経変性疾患への応用が新たに期待される核酸系逆転写酵素阻害剤(NRTI)です。レトロトランスポゾン[*4]というヒトの遺伝子がRNAからDNAに逆転写されて、DNAの様々な場所に入り込んでしまうことで神経組織の炎症反応が起こり、その結果、筋萎縮性側索硬化症(以下「ALS」)などの神経変性疾患を引き起こされることが近年明らかになりました。OBP-601は、このRNAからDNAへの逆転写を司る酵素を抑制する作用を有しており、これまでにない新しい作用機序をもった神経変性疾患の治療薬になることが期待されています。
a) 対象疾患
PSP(進行性核上性麻痺)、C9-ALS(筋萎縮性側索硬化症)、FTD(前頭側頭型認知症)などの神経変性疾患を対象にします。
b) 技術導入の概況
当社は、OBP-601(censavudine)の特許を出願・保有するYale大学(米国)と独占的ライセンス導入契約を2006年6月に締結しています。また、神経変性疾患治療薬の開発を目的に設立されたTransposon社と、2020年6月に全世界における再許諾権付き独占的ライセンス導出契約を締結しました。今後の開発は、Transposon社が全額費用負担し、欧米を中心に実施します。
c) 研究開発の概況
活動の詳細に関しては、「第2 事業の状況 5.研究開発活動」をご確認ください。
d) 製造体制
当社は本剤を自社製造しておらず、製造はライセンス導出先のTransposon社が行います。
e) 販売体制
Transposon社が第三者である大手製薬企業等へOBP-601のライセンスを再許諾した場合、ライセンス再許諾先が販売を行います。
<OBP-601(censavudine)の作用メカニズム>

③ 新型コロナウイルス感染症治療薬OBP-2011
OBP-2011は、新型コロナウイルス感染症の原因ウイルスであるSARS-CoV-2を強く阻害する新規メカニズムを持った治療薬として開発を行っています。これまでに行われた前臨床試験の結果から、経口投与が可能であることが確認され、探索的毒性試験や探索的遺伝毒性試験においても問題となるような検査の異常は認められていません。また、アルファ株・ベータ株・ガンマ株・デルタ株・オミクロン株などの変異型コロナウイルス株に対しても、野生型と同等の活性を示すことが細胞培養系の実験で確認されています。今後は、開発優先順位を引き下げ、メカニズム解明を進めます。
a) 対象疾患
新型コロナウイルス感染症(COVID-19)及び他のウイルスを対象に効果を探っています。
b) 技術導入の概況
当社は、2020年6月に鹿児島大学と抗SARS-CoV-2薬の特許譲受に関する契約を締結しました。
c) 研究開発の概況
活動の詳細に関しては、「第2 事業の状況 5.研究開発活動」をご確認ください。
d) 製造体制
当社は、本剤を自社製造しておらず、他の製造会社に委託して製造する予定です。
e) 販売体制
大手製薬企業等へライセンスを導出し、導出先が販売を行う予定です。
④ 次世代テロメライシンOBP-702
OBP-702は、テロメライシンに強力ながん抑制遺伝子p53を搭載した次世代テロメライシンです。p53遺伝子[*5]の欠失又は変異によって細胞ががん化する割合は、がん全体の30~40%になると報告されています。OBP-702はがん細胞に投与されると、ウイルス自体ががん細胞のテロメラーゼ活性を介して増殖し、がん細胞を破壊するのに加え、同時にp53蛋白をがん細胞の中で生成させることにより、さらに強力にがん細胞をアポトーシスさせる機能を有しています。これまでの非臨床試験の結果では、テロメライシンと比較し、抗がん活性が約10倍~30倍高いことが示唆され、免疫チェックポイント阻害剤との併用効果が示されています。今後、既存の治療法に抵抗を示すがんや、テロメライシンで効果が得られにくかったがん種等、アンメット・メディカル・ニーズを充足させる治療薬を目指して開発してゆきます。
a) 対象疾患
膵臓がんなどの各種固形がんを対象にします。
b) 技術導入の概況
当社は、2015年に次世代テロメライシンOBP-702をパイプラインに加えています。
c) 研究開発の概況
活動の詳細に関しては、「第2 事業の状況 5.研究開発活動」をご確認ください。
d) 製造体制
当社は、本剤を自社製造しておらず、他の製造会社に委託して製造する予定です。
e) 販売体制
大手製薬企業等へライセンスを導出し、導出先が販売する予定です。
<次世代テロメライシンOBP-702の構造>

テロメスキャンは、がん細胞内で特異的に増殖し、緑の蛍光色を発するタンパク質(GFP)を産生させてがん細胞を特異的に発光させる機能を持った遺伝子改変アデノウイルスです。5型のアデノウイルスの基本構造を持ったテロメライシンにクラゲの発光遺伝子を組み入れ、がん細胞や炎症性細胞などのテロメラーゼ陽性細胞で特異的に蛍光発光させる検査用ウイルスです。

テロメスキャンを用いた検査プラットフォームは、これまでの技術では検出が困難であった血液中の微量な生きたままのがん細胞(CTC:Circulating Tumor Cell)の検出を可能とし、幅広いがん種での体外検査による予後予測・がん遺伝子検査・超早期発見などへの応用を目指して開発を進めています。特に、肺がん等でがんの組織生検を行うことなく、血液採取でがん患者様に適したがん治療の選択肢を増やすことを目指しており、医療現場での高品質な検査への応用が期待されています。
テロメスキャン(OBP-401)は、テロメライシンと同様に発明者及び関西ティー・エル・オー株式会社から「特許を受ける権利」や「特許権」を正当に譲り受け、事業化が推進できる体制を築いています。今後、AIを用いた検査系の立ち上げを行い、検査感度・精度及びスループットの向上を目指してゆきます。
テロメスキャンF35(OBP-1101)は医薬基盤研究所より2011年4月28日付で世界における独占実施権を獲得しています。
活動の詳細に関しては、「第2 事業の状況 5.研究開発活動」をご確認ください。
2015年11月にペンシルベニア大学の研究成果商業化を目的に設立されたLiquid Biotech USA Inc.(米国、以下「Liquid Biotech社」)との間で、北米エリアでの独占使用権を付与するライセンス契約を締結しましたが、2021年12月に同契約を解消しました。
当社は、兵庫県神戸市の神戸リサーチラボにおいて、自社製造体制を構築しています。また、必要に応じて他社に委託して製造する予定です。
国内外の検査会社等への遺伝子改変ウイルスを用いたがん検査薬の実施権の許諾と、研究機関や製薬企業へのがん検査及び検査薬販売が主体となります。将来は、検査キットを検査会社や医療機関に提供してゆきます。
OBP-801はヒストン脱アセチル化酵素(Histone Deacetylase:HDAC)阻害剤[*6]です。OBP-801は、正常細胞のがん化に強く関係しているHDACという酵素の活性を阻害することで、がん細胞の増殖抑制や細胞死などを誘導する効果を示すことを期待して開発されていました。しかし、米国での各種固形がんを対象にしたPhase1臨床試験で用量制限毒性が生じたため新規患者様の組込みを中断しています。現在、眼科領域への応用が試みられています。
a) 対象疾患
眼科疾患領域への応用
b) 技術導入の概況
当社は、2009年10月にアステラス製薬株式会社よりOBP-801に関する独占実施権を獲得しています。
c) 研究開発の概況
活動の詳細に関しては、「第2 事業の状況 5.研究開発活動」をご確認ください。
d) 製造体制
当社は本剤を自社製造しておらず、他社に委託して製造しております。
e) 販売体制
将来的に大手製薬企業等へライセンスを導出し、導出先が販売を行います。
[*1] アデノウイルス
アデノウイルスは、正二十面体構造の二本鎖DNAウイルスで、ヒトの場合は気道に感染し、のどの腫れなどのいわゆる風邪の症状を起こします。アデノウイルスには、1型から51型まで51の血清型があり、ヒトアデノウイルス5型は小児の上気道感染症の原因となるウイルスで、36kbの2本鎖直線状のDNAゲノムを有しています。組換えDNA実験ではアデノウイルス5型がよく使われます。この属のウイルスは深刻な疾患の原因とはならず、サイズの大きな遺伝子を組み込むことができることから、遺伝子治療に応用されてきました。
[*2] E1領域
ヒトアデノウイルスゲノムは、5'逆方向末端反復配列(ITR)、パッケージングシグナル(ψ)、初期遺伝子領域E1A及びE1BからなるE1、E2、E3、E4、後期遺伝子領域L1~L5、及び3’ITRを含みます。E1及びE4は調節タンパク質を含み、E2は複製に必要なタンパク質をコードし、L領域はウイルスの構造タンパク質をコードします。E1A及びE1B遺伝子は、ウイルスの増殖に必須な初期遺伝子です。
[*3] IRES配列
IRES(Internal Ribosome Entry Site)と呼ばれる遺伝子配列は、一本のメッセンジャーRNAの途中から翻訳を開始させることができる配列です。このため複数の遺伝子を含むベクターに組み込んで使われています。
[*4] レトロトランスポゾン
ヒトゲノムの約40%を占めており、逆転写酵素などの作用によってレトロトランスポゾンの複製が行われ、遺伝子内にランダムに転移が起きます。その結果、遺伝子の突然変異が起こりやすくなり、様々な病気が発生すると考えられています。このレトロトランスポゾンがランダムに複数コピーされてくると、様々な反応によりインターフェロンが産生され、神経細胞を傷つけることによりALSなどの神経変性疾患が発生すると考えられています。
[*5] p53遺伝子
がん抑制遺伝子の中でも代表的な遺伝子の1つであり、「細胞分裂の停止により、破損した遺伝子が修復するための時間稼ぎ」と「変異した遺伝子を持つ細胞の分裂を、強制的に阻止させる細胞死の発動」の役割を担っています。そのため、p53遺伝子は、ゲノム(遺伝子)の守護神という別名を持っています。
[*6] ヒストン脱アセチル化酵素(Histone Deacetylase; HDAC)阻害剤
染色体を構成するタンパク質を脱アセチル化することで染色体構造を緊密にし、遺伝子の発現を抑制する酵素を阻害する薬の総称です。
該当事項はありません。
2022年12月31日現在
(注) 1.従業員数は就業人員であり、臨時雇用者数(人材会社からの派遣社員等)は、年間の平均人員を( )外数で記載しております。
2.平均年間給与は、賞与及び基準外賃金を含んでおります。
3.当社は創薬事業の単一セグメントであるため、セグメントごとの記載を省略しております。
労働組合は、結成されておりませんが、労使関係は円滑に推移しております。
(1) 経営方針
当社は創薬バイオベンチャー企業として研究開発先行型の事業を展開しており、独自性の高いウイルス遺伝子改変がん治療薬、重症感染症治療薬及びがん検査薬などの開発と事業化を推進しています。
特に、がんのウイルス療法テロメライシン、次世代テロメライシンOBP-702、がんの早期発見・再発予測を行うテロメスキャンを揃え、がんの発見から治療までを網羅する「がん領域」と、コロナウイルス感染症治療薬OBP-2011を中心とした「重症感染症領域」でパイプラインを構築し、さらにこれまでHIV感染症治療薬として開発してきたOBP-601を神経難病治療薬として開発しており、「ウイルス創薬企業」として成長を目指しています。今後は、各パイプラインの製薬企業へのライセンス活動を推進して商業化を早め、さらに新規パイプラインの創製にも取り組んでゆく方針です。
「オンコリスなしでは医療現場が、ひいては患者様が困る」そういう存在感ある創薬を展開することを基本方針とし、いち早く医療現場の課題解決に貢献してゆきたいと考えています。
(2) 当社を取り巻く経営環境
がんのウイルス療法は1990年代から欧米を中心に研究開発が進み、2010年代以降に大きな進展を遂げました。2015年に米国アムジェン社が遺伝子改変ヘルペスウイルスを使ったがんのウイルス療法を上市させ、日本国内では2021年に第一三共(株)が同様なヘルペスウイルス製剤「デリタクト注」(一般名:テセルパツレブ)を日本国内で上市させました。現在も、世界で数十社が様々なウイルス療法の開発に着手し、開発競争が激しくなっています。一方で、遺伝子改変型アデノウイルスによるウイルス療法は未だ薬事承認されたものはなく、当社が開発しているテロメライシンは、食道がんへの適応に対して開発の最終段階にあり、2019年には厚生労働省から『先駆け審査制度への指定』を受け、米国では2020年にFDA(米国医薬品食品局)から食道がん治療に対する『オーファンドラッグ指定』を受けています。これらの指定により、薬事承認にかかわる相談・審査において優先的な取り扱いを受けることができるようになりました。
また、医薬品業界では、大手製薬企業の命運を左右させるようなパテントクリフを補う新薬の創出が大きな課題となってきており、大手製薬会社も独自の新薬の創出に頼るのではなく、ベンチャー企業が創出した従来にない遺伝子治療や細胞治療などの新しいモダリティを求めるようになってきました。このような環境下、当社のような小規模組織は、経営資源であるヒト・モノ・カネを戦略的かつ効率的に活用し、事業のスピードと質を最大化できるというメリットがあります。効率的な経営を実現させるためにCRO(臨床試験・前臨床試験受託企業)やCMO(医薬品製造受託企業)に業務委託を行い、当社米国子会社のOUS社と連携してパイプラインのPOC(Proof of Concept)を明確化させ、ニューモダリティを求める大手製薬会社との提携に繋げて新薬承認へのスピードアップを実現させたいと考えています。
(3) 優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題
当社は、組織戦略において下記の課題を重要な課題として取り組んでおります。なお、文中の将来に関する事項は、本書提出日時点において判断したものであります。
a.経営理念の浸透
当社のビジョンは、「未来のがん治療にパワーを与え、その実績ががん治療の歴史に私たちの足跡を残してゆくこと」です。
私たちが求めて止まないのは、医療の“イノベーション”です。そのために、普段からの医学研鑽を惜しみません。少人数で大きな仕事を成し遂げてこそ、アドベンチャーと言えるでしょう。大企業にできないことこそ、私たちが成し遂げるべき目標です。いくら儲かるからではなく、どれだけの人を救えるかに価値観をもち、その結果としての利益を追求してゆきたいと考えます。経営者と社員だけではなく、株主様ともこの意識を共有してゆきます。常に透明な経営を心がけ、定期的な情報公開を行ってゆきます。社会貢献を目指す社会人として、常にコンプライアンスの遵守を心がけます。
この経営理念を役職員に浸透させ、経営理念に基づいた経営戦略の遂行を柔軟且つ活気を持って執り行う組織を構築することが、重要な経営課題です。そのために、経営理念を具現化するための行動規範を策定し、役職員に行動規範の遵守を指導するとともに、経営トップが役職員に経営理念を語る機会を積極的に設定しています。その上で、研究開発部門と事業開発部門が一元的に情報を共有することを第一義に組織を構築しています。また、社内リソースを管理する管理部門は、常にステークホルダーを意識し、コンプライアンス遵守を徹底します。さらに、内部監査部門は、経営理念及び行動規範の浸透状況をはじめとするモニタリング機能を充実させていきます。
b.人財の確保と成長
役職員個々の自発的な成長こそが当社の成長を支える必須要素です。その実現のために人財の採用・育成を積極的に推進します。特に、当社の研究開発やビジネスは国内外に渡るため、英語能力をはじめ国際的視野を持つ人財を育てることが重要です。社内外ネットワークを活用し、確かな技術・能力・成長意欲のある人財の採用を行い、併せてOJTや各種研修プログラムによる人財育成を行うことで、陣容の充実を図ります。また、業績評価や株式報酬制度を充実させ、業務のスピード及び質を最大化することに努めます。
c.研究開発体制の強化
当社の研究開発は、医薬品及び検査薬候補の探索・創製から前臨床試験及び初期臨床試験(POC: Proof of Concept)までを中心とし、前臨床から臨床段階への橋渡し(TR:Translational Research)が主業務です。従って、研究開発計画の企画立案並びにその進捗管理を主たる業務とするプロジェクトリーダーを担える人財の確保並びに育成が重要な課題です。当社の研究開発体制は、国内のみならず海外にも展開しております。当社100%子会社OUS社の臨床開発部門との連携を充実させ、世界の医療や研究機関との共同研究開発を通じて先進技術を取り込み、技術レベルの向上を図るとともに、アウトソーシング先を積極的に活用し、ローコスト且つハイレベルな研究開発体制の構築を行います。
d.事業開発部門の強化
当社は、遺伝子改変ウイルス製剤を用いたがんのウイルス療法と重症感染領域を事業領域に定めており、この業界においては非常に特殊なウイルス創薬の事業化を目指しています。従って、ビジネス能力だけではなく科学的知識の豊富な人財を確保・育成し、世界の製薬企業とのネットワークをより強固なものにしていきます。さらに、当社の米国子会社であるOUS社との連携を強化することで海外製薬企業とのライセンスや共同開発の機会を数多く創出し、当社のキャッシュ・フロー獲得に貢献できる事業開発体制を構築します。
e.アウトソーシング戦略
アウトソーシングを主体とする当社のビジネスにおいて、その効率化は重要な課題であります。必要且つ十分な研究開発及び製造力の確保に向け、外部委託会社であるCRO(Contract Research Organization)及びCMO(Contract Manufacturing Organization)との関係を強化するために、定期訪問等による綿密なコンタクト体制をとるべく全組織に啓蒙しています。また、常に最良のアウトソーシング体制を確保するべく、各々の業務領域において特定の1社依存にならぬよう、セカンドコントラクターの探索及び関係構築も行います。
主要製品・サービス内容、顧客基盤、販売網等については、「第1 企業の概況 3 事業の内容 (1)主要なパイプライン」及び「第2 事業の状況 3 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容」をご参照ください。
当社の事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、投資者の判断に重要な影響を与える可能性のあるリスク要因には、以下のようなものがあります。
当社は、これらのリスク発生の可能性を認識した上で発生の回避及び発生した場合の対応に努める方針でありますが、本株式に関する投資判断は本項及び本項以外の記載事項を慎重に検討した上で行われる必要があると考えられます。
なお、文中の将来に関する事項は、別段の表示がない限り、本書提出日時点において、当社が判断したものであります。
創薬事業における研究開発について
当社が行う医薬品及び検査薬の研究開発は、その期間が長期にわたり、コストも多額であります。
当社は、保有するパイプラインにおいて初期の臨床試験までの開発を効率的に進めることに注力し、そこで得られた有効性と安全性のデータを以って製薬企業へのライセンス契約締結を実現することを基本的な事業活動と位置付けています。また、各種政府補助金を利用して経費を下げるとともに、ライセンス契約締結後の後期臨床試験以降の開発費用はライセンス先の拠出となることで、当社が負担する開発コストを最小限に抑えるとともに、契約一時金収入及びマイルストーン収入を確保することで、新規パイプラインへの再投資が実現することを事業サイクルとしております。
しかしながら、万一、ライセンス契約締結及び維持に支障が発生した場合は、当社の事業収入が減少し、新規パイプライン開発への再投資が困難になる可能性があります。また、ライセンス対象となるパイプラインの開発費用をライセンス先が負担しないため、当社に発生する多大な研究開発費負担が当社業績を圧迫し、結果として開発の大幅な遅れや開発中止といった事態に及んだ場合、当社の事業、財務状況及び業績に影響を与える可能性があります。
当社が開発する医薬品及び検査薬のパイプラインにおいて、安全性や有効性の評価に問題が発見された場合は、開発が大幅に遅れる可能性もしくは開発そのものを中止する可能性があります。
当社は、保有するパイプラインの安全性及び有効性の評価を確実なものとするために、
ⅰ) 科学評価顧問等のネットワークを最大限活用したパイプライン価値の適正な評価
ⅱ) 非臨床・前臨床段階における徹底的な安全性及び有効性の検証
ⅲ) PMDA(独立行政法人医薬品医療機器総合機構)やFDA(米国食品医薬品局)等の監督官庁との治験申請の事前ミーティング
等を実施し、パイプラインの安全性及び有効性評価のための情報をより効率的に収集できるように努めております。また、臨床試験の実施に当たっては、臨床試験のモニタリングを委託するCRO(受託臨床試験機関)と綿密なコンタクトを取り、常に最新の臨床現場情報を収集するとともに、医学専門家を交えたSRB(安全性評価委員会)を設置する等、臨床試験の安全な実行に対して最大の努力を図っております。さらに、治験保険への加入による損害賠償リスクの移転を図っております。
上記のような対策を行ってはおりますが、予期せぬ副作用による開発の遅滞・中止のリスクを完全に排除することは困難であり、開発の大幅な遅れや開発中止もしくは国内外の監督官庁の承認が得られないといった事態に及んだ場合、当社の事業、財務状況及び業績に影響を与える可能性があります。
医薬品の研究開発における薬機法に基づき、医薬品の前臨床試験においてはGLP(Good Laboratory Practice)、原薬等の製造においてはGMP(Good Manufacturing Practice)並びに、臨床試験においてはGCP(Good Clinical Practice)がそれぞれ定められており、その操作手順やQA/QCが確実に実施されていることが必須条件になっております。また、検査薬の研究開発においても、臨床現場でがんの診断に用いられるようにするためには、臨床性能試験を実施し、体外診断用医薬品として承認を受ける必要があります。当社はこれらの試験を全てアウトソーシングしております。
当社は遺伝子組換えウイルス製剤を開発しておりますが、日本においては、2000年に生物多様性条約特別締約国会議で採択された「生物の多様性に関する条約のバイオセーフティに関するカルタヘナ議定書(カルタヘナ議定書)」に準拠した国内法「遺伝子組換え生物等の使用等の規制による生物の多様性の確保に関する法律」(カルタヘナ法)の定めるところに従って開発・製造・販売を行っていく必要があります。当社は、国内のウイルス取扱施設において、文部科学大臣より「遺伝子組換え生物等の第二種使用等をする間に執る拡散防止措置の確認」について確認を得るとともに、日本国内でテロメライシンの臨床試験を実施するために、カルタヘナに関する厚生労働大臣の承認を得ております。また、臨床施設では厚生労働省等の監督官庁への届出及び承認を確認しています。
しかしながら、将来医薬品・ウイルス製造等に関する新たな法律や条例などが制定・施行される可能性があり、それにより当社の事業が何らかの制約を受ける可能性があります。その結果、開発の大幅な遅れや開発中止といった事態に及んだ場合、当社の事業、財務状況及び業績に影響を与える可能性があります。
当社が推進する創薬事業にかかる技術分野においては、いずれも技術革新及び進歩の度合いが著しく速いと考えられます。当社は、常に最新の技術情報の収集・集積に注力しておりますが、万一、医薬品及び検査薬の競合技術等が、当社の対応の及ばない状況下で格段の進歩を遂げた場合、当社の事業に影響を与える可能性があります。また、当該技術の導入等に多大な費用や時間を要する場合、当社の事業、財務状況及び業績に影響を与える可能性があります。
当社の業務領域と完全に一致する企業は国内に見当たりませんが、国内創薬系バイオ企業の研究開発の動向を適宜確認するとともに、海外も含めたウイルス製剤の研究・開発・販売の動向は注視しています。
創薬事業の医薬品開発において本書提出日時点で当社にて把握できている競合品としては、世界の多数企業が腫瘍溶解ウイルスの開発を行っている中、中国が最も先行しており、Shanghai Sunway Biotech Co.,Ltd.(中国)が有する当社と同じ増殖型アデノウイルス製剤Oncorineが、頭頸部がん治療薬として既に上市されております。また、遺伝子改変ヘルペスウイルス製剤Talimogene laherpareovec:T-VEC(Amgen社:米国)が、進行性黒色腫治療薬として2015年10月に米国食品医薬品局(FDA)の承認を受けるとともに欧州医薬品庁(EMA)の諮問委員会の承認推奨を受けました。これにより、欧米で初めて、ウイルス製剤が医療現場で使用されることとなりました。日本国内では2021年に第一三共株式会社により、遺伝子改変ヘルペスウイルス「デリタクト注」(一般名:テセルパツレブ)が承認されました。
上記以外に、現在、レオウイルスReolysin(oncolytic Biotechnology社:カナダ)、遺伝子改変ワクシニアウイルスJX-594(Sillajen社:韓国)などが開発されています。当社では開発スピードを早め、食道がんなど他社の腫瘍溶解ウイルスとは異なる適応を目標とすることで、差別化を図って参ります。
しかしながら、これらは未だ研究開発途中であり、将来、医薬品として上市される保証はなく、臨床試験において、重篤な副作用の発生等で競合品と比して差別化が図れないと判断しうるデータを取得した場合、開発中止の可能性や開発遅延の可能性があります。また、将来、他社とのライセンス契約を締結した場合、ライセンス先の開発戦略の変更や契約解消による開発活動の遅延が生じることで、当社の開発計画及び業績に重大な影響を及ぼす可能性があります。
また、がん検査薬への開発において、当社が対象としている血中循環がん細胞(CTC)の検出分野では、現在Veridex社(J&Jグループ)のCTC検出機器CellSearchシステムが唯一米国にて薬事承認されており、その後多数の企業によるCTC検査系の開発競争が激化しております。しかしながら、CellSearchをはじめとする競合の多くは、EpCAMと呼ばれる細胞表面マーカーを検出する方法を用いており、その細胞表面マーカーの発現が低いと言われている肺がん細胞等の検出が困難であるという欠点を持っております。
一方、当社のウイルス改変検査薬においては、肺がん細胞をはじめとするほとんどの種類のがんにおいて、まだ血中で生きたままのがん細胞を蛍光発光させることが可能であることが判明しており、競合品との差別化ができており、その臨床有用性を確認していく予定です。
いずれの開発領域におきましても、本書提出日時点、当社が把握する競合の存在及びその研究開発進捗が必ずしも当社にとって直接マイナスの影響をもたらすものではありませんが、競合品が飛躍的に市場を寡占化した場合等、当社のパイプライン導出や将来のロイヤリティ収入に影響を与える可能性があります。
⑥ アライアンスにかかる事項
当社の収益構造は、当社が研究開発する医薬品並びに臨床検査薬について、その研究開発の進捗に伴って評価された製品的価値の初期評価であるProof of Concept(POC)に基づいて製薬企業等とのライセンス契約を締結し、その対価として契約一時金・研究協力金・開発協力金・マイルストーン収入及び製品の上市以降その販売に伴って発生するロイヤリティ収入等を段階的に見込むものであります。
現時点において、Transposon社と核酸系逆転写酵素阻害剤OBP-601(censavudine)の全世界における開発・製造・販売に関する再許諾権付き独占的ライセンス契約を締結しています。
導出前の各パイプラインについては、導出先候補となる製薬企業や検査薬企業等のニーズを考慮し、研究開発の進捗状況を効果的に情報提供する等の活動を続けており、既にアライアンス交渉下にあるものも存在しております。しかしながら、当社のパイプラインが導出先候補企業のニーズを満たす保証はなく、導出に至らない、又は導出契約の時期や条件が当社の想定するものと大幅に乖離した場合等において、当社の事業、財務状況及び業績に影響を与える可能性があります。
また、パイプラインを導出した場合、導出後の研究開発・承認申請・製造及び販売活動を導出先企業が行うことになるため、当社の収益は導出先企業の戦略及び開発進捗等に依存することとなります。導出先企業が実施する臨床試験において予期せぬ副作用が発生した場合、及び導出先企業における戦略変更によるポートフォリオの見直し等により、導出済みパイプラインの開発中止等の決定がなされた場合、当社の事業、財務状況及び業績に影響を与える可能性があります。
なお、予期せぬ副作用により開発中止された場合を除き、当社は速やかに引継導出先を見つける活動を行いますが、引継導出先が早期に決定しない場合は、当社の事業、財務状況及び業績に影響を与える可能性があります。
現在、当社の業務委託先及び提携先については、欧米の企業・機関がその大半を占めております。外貨建取引は、財務諸表上全て円換算しております。これらの項目は、現地通貨における価値が変化しなかった場合も、換算時のレートによって円換算後の価値が影響を受ける可能性があります。
為替相場の変動に起因する影響を軽減するために、必要に応じて為替予約などのリスクヘッジを行って参りますが、これによって全てのリスクを回避することは困難であり、当社の事業、財務状況及び業績に影響を与える可能性があります。
当社は、本書提出日時点において、当社の事業に対する特許権等の知的財産権に関する第三者との間での苦情及び訴訟等といった問題は認識しておりません。さらに、社内に知的財産権の専任担当者を設置するとともに、顧問弁護士及び弁理士との連携を以って可能な限り特許侵害・被侵害のリスクを軽減すべく活動しております。また、発明者、TLO法に基づく大学等の知的財産管理機関、企業及び研究機関から、「特許権又は特許を受ける権利」を正当に譲り受け、又は「実施権の許諾」を受け、事業化が推進できる体制を築いております。
しかし、当社の展開する医薬品・検査薬の一般的なリスクとして、自社で出願した特許以外にも第三者特許が関連する可能性があります。なお、今後、当社が第三者との間で係争に巻き込まれた場合、当社は弁護士や弁理士との協議の上、その内容に応じて対応策を検討していく方針でありますが、係争の解決に労力、時間及び費用を要する可能性があり、その場合、当社の財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。また、将来的な事業展開においては、他社が保有する特許権等への抵触により、事業上の制約を受けるなど、当社の事業、財務状況及び業績に影響を与える可能性があります。
主力パイプラインにかかる主要な特許の状況は以下のとおりです。
注:日本特許は当社と関西ティー・エル・オー株式会社との共有、日本以外の指定国における特許は当社単独保有であります。
当社における職務発明の取扱に関しては、取締役・従業員が協議の上、取締役会決議により「職務発明規程」を作成し、運用しております。しかしながら、将来、発明者の認定及び職務発明の対価の相当性についての係争が発生した場合、当社の事業、財務状況及び業績に影響を与える可能性があります。
当社の経営上重要と思われる契約の概要は、「第2 事業の状況 4 経営上の重要な契約等」に記載のとおりであります。当該契約が期間満了、解除、その他の理由に基づき終了した場合、もしくは当社にとって不利な改定が行われた場合、又は契約の相手方の経営状態が悪化したり、経営方針が変更されたりした場合には、当社の事業戦略及び業績に影響を与える可能性があります。
当社の事業活動においては、当社代表取締役社長である浦田泰生の製薬企業での経験・知識に基づく研究開発及び事業開発戦略に依るところが多く存在しております。浦田泰生の経営ビジョンを、企業理念・経営戦略として明確化して組織に浸透させること、及び後継者育成に専心し、浦田泰生に一元依存しない体制を構築することに努めております。
しかしながら、組織強化や後継者育成が遅れをきたし、事業承継が円滑に実施できない場合には、それにより当社の事業、財務状況及び業績に影響を与える可能性があります。
当社は、小規模な組織であり、社内における管理体制についてもこの規模に応じたものとなっております。当社においては、業務上必要な人員の増員及び育成等を図っていく方針でありますが、各部門において従業員に業務遂行上の支障が生じた場合、人財流出が生じかつ代替要員の不在等の問題が生じた場合には、当社の事業、財務状況及び業績に影響を与える可能性があります。
当社が成長を続けていくために不可欠な要素の1つが、優秀な人財の確保であります。
当社はアウトソーシングを活用したファブレス経営モデルを構築することで、必要人員の絶対数を削減し、統括的なプロジェクトマネジメント能力を有する人財を重点的に確保しつつ、将来当社を担う人財の育成に注力しております。
また、経営理念を社内に浸透させ、その崇高な目的に共感できる従業員を育成すること、トップが率先して基幹人財間のコミュニケーションの充実に関与すること、及び社内の評価制度や人事制度を充実させること等により、社内人財の定着率向上に努めております。
しかしながら、人財育成が円滑に進まない場合、又は各部門において中心的役割を担う特定の従業員が万一社外に流出した場合、当社の事業、財務状況及び業績に影響を与える可能性があります。
① 研究施設における事故等の発生にかかる事項
当社は、神戸リサーチラボを保有しております。同施設で遺伝子組み換えウイルスを検査薬として取り扱うにあたっては、いわゆるカルタヘナ法の定めに基づき、必要な設備を監督官庁に届け出てその確認を受けております。また、遺伝子組み換えウイルスの取扱に関して、その管理方法を教育指導し徹底した予防管理に努めております。しかしながら、何らかの要因により火災や環境汚染事故等が発生した場合には、重大な損失を招くリスクがあり、当社の事業、財務状況及び業績に影響を与える可能性があります。
② 自然災害等にかかる事項
当社は、東京都港区に本社を設置しており、事業活動に関わる資料・データ及び人員の半数以上が本社に集中しております。万一、首都圏直下型の大型地震の発生・台風・津波等の自然災害や大規模な事故・火災・テロ行為等により本社社屋の倒壊、資料・データの散逸、人員の死傷等不測の事態が発生した場合や、有効な治療薬がない感染症等のパンデミックが発生した場合には、当社の事業活動及び国内外において進めている臨床試験の停滞や継続が困難となる状況が生じ、当社の事業、財務状況及び業績に影響を与える可能性があります。
③ 訴訟にかかる事項
当社は知的財産権及びその実施権をビジネスの基盤としておりますため、事業を展開する上で、当社の責任の有無に関わらず、第三者から権利又は利益を侵害したとの主張による損害賠償請求訴訟を提起される可能性があります。また、臨床試験において被験者の健康被害が発生した場合、取引関係や労使関係において不測のトラブルが発生した場合等においても、損害賠償請求等の訴訟を提起される可能性があります。当社では、十分な知的財産権の管理や治験保険への加入等リスクの回避・低減に努めております。しかしながら、訴訟が提起された結果、金銭的負担の発生や当社に対する信頼・風評の低下により、当社の事業、財務状況及び業績に影響を与える可能性があります。
(6) その他
① 新株予約権及び株式にかかる事項
当社は役員、従業員及び社外協力者等に対して、当社事業及び研究開発へのモチベーションの向上を目的として、新株予約権(ストック・オプション)の発行や譲渡制限付株式を交付する株式報酬制度を導入し、事業会社や金融機関等に対して、事業推進のための資金調達を目的として株式や新株予約権を発行しています。また、役員及び従業員に対して、譲渡制限付株式を発行しています。今後も優秀な人財・社外協力者の確保や事業推進のための資金調達を目的として、同様の施策を実施する可能性があります。これらの新株予約権の行使や株式発行が行われた場合には、当社の1株当たりの株式価値は希薄化し、当社株価形成に影響を与える可能性があります。また、今後も優秀な人財の確保のためにストック・オプションをはじめとするインセンティブプランや必要に応じた資金調達を実施するために、新たな新株予約権や株式が発行される可能性があります。なお、新株予約権の状況及び内容につきましては、「第4 提出会社の状況1.株式等の状況(2) 新株予約権等
の状況」をご覧ください。
② 資金使途及び資金調達にかかる事項
当社が保有する資金は、主に既存パイプラインの研究開発費用、新規パイプラインの導入及びその研究開発費用、戦略的な投資に充当する考えです。当社が本書提出日時点で計画している資金使途は上記のとおりですが、急激な事業環境の変化等により、計画通りに使用した場合においても、当初の想定どおりの成果が得られない場合があります。
また、当社株価が下落した場合には、必要資金を計画どおりに調達できない可能性があります。計画どおりに必要資金を調達できない場合には、資金使途を変更する可能性があるとともに、当初の想定どおりの成果を得られない可能性があります。
当事業年度における当社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。
① 財政状態及び経営成績の状況
当事業年度におけるわが国経済は、新型コロナウイルス感染者の重症化率の低下に伴い、以前のような経済活動へ復活の兆しが見えてきました。一方で、ロシアのウクライナ侵攻によるエネルギー逼迫や米国や欧州の政策金利引き上げによる急速な円安進行など、国内外の不安定な状況は今後も継続する見通しです。
このような状況下、当社は「未来のがん治療にパワーを与え、その実績でがん治療の歴史に私たちの足跡を残してゆくこと」をビジョンとし、経営の効率化及び積極的な研究・開発・ライセンス活動を展開いたしました。
特に、がんのウイルス療法テロメライシン(OBP-301)を中心に研究・開発・ライセンス活動を推進させています。また、核酸系逆転写酵素阻害剤OBP-601(censavudine)は、Transposon社とのライセンス契約の下、同社の全額費用負担により臨床試験が進められています。
当社活動の詳細に関しては、「第2 事業の状況 5.研究開発活動」をご確認ください。
以上の結果、当事業年度の財政状態及び経営成績は以下のとおりとなりました。
a.財政状態
当事業年度末の資産合計は、現金及び預金の減少1,743,434千円、売掛金の減少352,148千円、前払費用の減少73,006千円、長期前払費用の減少17,090千円等により、前事業年度末に比べ1,640,917千円減少し、2,650,959千円となりました。
当事業年度末の負債合計は、短期借入金の減少11,104千円、未払金の減少45,388千円、未払法人税等の減少56,311千円、長期借入金の減少100,000千円等により、前事業年度末に比べ206,194千円減少し、491,690千円となりました。
当事業年度末の純資産合計は、資本金の減少6,039,516千円、資本剰余金の減少8,477,219千円、利益剰余金の増加13,082,041千円等により、前事業年度末に比べ1,434,722千円減少し、2,159,269千円となりました。
b.経営成績
当事業年度は、売上高976,182千円(前期は売上高642,494千円)、営業損失1,204,506千円(前期は営業損失1,454,554千円)を計上しました。また、営業外収益として受取利息587千円、為替差益62,639千円等を計上し、営業外費用として支払利息3,945千円、譲渡制限付株式報酬償却17,793千円等を計上し、経常損失1,163,008千円(前期は経常損失1,500,888千円)になりました。さらに、Unleash ImmunoOncolytics, Inc.(米国ミズーリ州、以下 「アンリーシュ社」)の転換社債をアンリーシュ社へ売却したことにより、21,406千円の特別利益を計上し、当社が保有するテロメスキャンに関する分析装置等及びPC機器の減損損失4,403千円を特別損失として計上した結果、当期純損失1,148,938千円(前期は当期純損失1,615,439千円)を計上しました。
当事業年度末における現金及び現金同等物は、1,466,201千円(前期比54.3%減)となりました。当事業年度における各キャッシュ・フローは次のとおりです。
営業活動によるキャッシュ・フローは1,717,135千円の支出(前期は1,741,827千円の支出)と前期に比べ24,692千円(1.4%)の支出の減少となりました。これは主として、税引前当期純損失1,146,005千円の計上、契約負債の減少、前払金の増加等のキャッシュ・フローの減少要因があった一方で、売上債権の減少、株式報酬費用の計上等の増加要因があったことによるものです。
投資活動によるキャッシュ・フローは20,117千円の収入(前期は942千円の支出)となりました。これは、主に債権の売却による収入21,406千円、有形固定資産の取得による支出1,358千円等によるものです。
財務活動によるキャッシュ・フローは113,830千円の支出(前期は3,091,384千円の収入)となりました。これは主に長期借入金の返済による支出111,104千円、リース債務の返済による支出2,667千円等によるものです。
該当事項はありません。
該当事項はありません。
当事業年度の販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。なお、当社は、創薬事業の単一セグメントであるため、セグメント別の販売実績の記載は省略しております。
(注) 1.最近2事業年度の主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合は次のとおりであります。
2.当社顧客との各種契約においては秘密保持条項が存在するため、社名の公表は控えさせて頂きます。
経営者の視点による当社の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、本書提出日時点において判断したものであります。
当社の財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められる企業会計の基準に準拠して作成されております。この財務諸表の作成にあたり、見積りが必要な事項につきましては、一定の会計基準の範囲内にて合理的な基準に基づき、会計上の見積りを行っておりますが、実際の結果は特有の不確実性があるため、見積りと異なる場合があります。
当社が財務諸表の作成にあたって用いた会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定のうち、重要なものは以下のとおりであります。
a.偶発債務
当社は米国の委託製造開発先より、950千ドルの製造委託契約に関連し、製造過程の初期において生じた製造逸脱に関して発生した費用の一部負担に対する交渉を受けており、現在その内容について協議中であります。
当社は外部の専門家に相談した結果、当該費用負担請求に応じる理由はないと判断しておりますが、今後の推移によっては当社の経営成績に影響を及ぼす可能性があります。なお、当事業年度末においてはその影響等は合理的に見積もることが極めて困難であることから費用計上しておりません。
なお、当社の財務諸表の作成に際して採用している重要な会計方針は、「第5 経理の状況 1 財務諸表等(1)財務諸表 注記事項(重要な会計方針)」に記載しております。
② 当事業年度の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容
当事業年度の経営成績等の状況については、上記「(1)経営成績等の状況の概況」をご参照ください。
当社は、「第2 事業の状況 1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等」に記載のとおり、創薬バイオ企業として研究開発先行型の事業を展開しており、独自性の高い遺伝子改変ウイルスによるがん治療薬、重症ウイルス感染症治療薬及びがん検査薬などの開発と事業化を推進しています。特に、ウイルスの増殖能力を利用してがん細胞を殺す「がんのウイルス療法」と、ウイルスの増殖を止めて治療を行う「重症ウイルス感染症治療薬」を事業領域とし、ウイルスを軸にした業界でも類を見ない『ウイルス創薬』を展開して参りました。また、これまでHIV感染症治療薬として開発してきたOBP-601は、そのメカニズムを基に応用を拡大して神経難病治療薬としての開発が進められています。今後も、各パイプラインの製薬企業へのライセンス活動を推進して商業化を早め、さらに新規パイプラインの創製にも取り組んでゆく方針です。
当事業年度では、テロメライシンの日本国内での承認申請を目的とした臨床試験の組入れを完了させ、商用製造の基礎となるGMP製造を推進させました。さらに、2024年テロメライシンの承認申請に向けて、日本国内での販売提携パートナーの獲得に向けたビジネス活動を進めるとともに、製造販売体制の確立に向けた活動を進めました。また、OBP-601のライセンス先であるTransposon社による神経難病患者を対象とした臨床試験が進み、一部の臨床試験では組入れを完了しました。
当社の経営に影響を与える大きな要因としては、1)研究開発の進捗度合い、2)ウイルス製剤の製造、3)ライセンスや販売提携に伴う資金獲得、4)医薬品市場動向及び5)為替動向等が挙げられます。
1) 研究開発については、特に臨床試験では適格な症例を組み入れることがその試験の成功を左右させる大きな要因となります。当社の開発方針はUnmet Medical Needs(治療法が確立されていない医療領域)を対象に臨床開発を展開しており、対象症例が非常に希少であるために臨床試験の症例組み入れが予想よりも遅延する可能性があります。そのために臨床試験受託会社(CRO)を的確にオペレーションし、臨床試験担当医師との情報交換を頻度高く行うなどの努力を最大限行って臨床試験の質とスピードを向上させることを重要視しています。
2) ウイルス製剤の製造においては、テロメライシンの商用製造に向けて原薬及び製剤をHenogen社(ベルギー)に委託しています。これまでに商用に向けての製造開発が実施され、スケールアップが行われてきました。今後、商用製造をGMP化して最終製造を行っていきますが、ウイルス製造は未だ確立された方法論がなく、試行錯誤の連続になります。ウイルス製造には大きな費用が掛かり、さらに品質試験や安定性試験にも時間と費用を要します。これらの遅延又は失敗により、テロメライシンの承認申請時期を大幅に遅らせる可能性があります。このような状況を防ぐために、当社ではウイルス製造時に当社製造担当者を派遣し、製造受託企業スタッフと綿密な情報交換を行い、当社神戸リサーチラボにおいても補足的検討を即時的に行い、効率的かつ高品質なウイルス製剤が製造できるよう努めています。
3) ライセンス契約や販売提携契約に関しては、研究開発の大幅遅滞や失敗、医療行政の変動、競合薬の進展などのリスクに加え、契約締結先の経営戦略変更により契約が解消されるリスクなどが挙げられます。これらのリスクを回避・低減するため、契約条件をより当社に有利にできるよう、過去の契約事例を参照して不足事項を補い、コンサルタントや弁護士の助言を最大限に活用し、より良い契約が完遂できるよう努力していきます。
4) 市場動向については、国内外の大手製薬会社やバイオ企業との熾烈な研究開発競争が今後も展開され、がん治療の標準的治療法が年々変更される時代となったために、マーケット調査を強化して将来を見据えた開発方針を立てる必要があります。常に競合情報やマーケット情報をキャッチアップできるよう、国内外の情報収集に努めてゆきます。
5) 為替動向に関しては、当社の海外における臨床試験や製造などが主に外貨建てで行われているという理由により、経営成績が大きく影響を受けるため、為替変動リスクを最小限に抑える必要があります。今後は外貨建て収入を増加させることで、外貨建て債務に係る為替リスクの低減を図っていきます。
このような中で、当社はグローバル市場におけるリスク対応力の高い人財を育成し、「ウイルス創薬」という新しい業態において名実ともに存在感のある企業として成長していくために、収入増大による経営基盤の強化を図り、企業統治を高度化していきます。
③ 資本の財源及び資金の流動性
a.資金需要
当社の事業活動における運転資金需要の主なものは、医薬品及び検査薬の研究開発に伴う研究開発費、各種ライセンス契約や戦略的アライアンス契約に伴う特許関連費、各事業についての一般管理費があります。また、設備・投資資金需要としては、各種機器や戦略的投資に伴う固定資産投資等があります。
b.財務政策
当社は事業活動の維持拡大に必要な資金を、ライセンス契約や販売提携による一時金やマイルストーン収入のみならず、商業化によるロイヤリティー収入や製品販売収入を軸とした事業収入によって確保することを第一に考え、内部資金を活用し、必要に応じて資本市場からの資金調達を行っています。また、運転資金及び設備・投資資金は、当社において一元管理しています。
「ウイルス創薬」による医薬品や検査薬の研究開発という成果を実現させるまでには、相対的に時間を要する事業を行っているために、資本性の高い長期資金を得ることで、資金特性のバランスを考慮しています。
(1) 当社が開発許諾を受けたライセンス契約
(注) 2006年12月22日付け特許持分譲渡契約及び本契約により、日本の特許は当社と関西ティー・エル・オー株式会社の共有、海外指定国における特許及び特許出願は当社単独保有となりました。
当社における主要な設備は、次のとおりであります。
なお、当社は創薬事業の単一セグメントであるため、セグメント別記載を省略しております。
2022年12月31日現在
(注) 1.上記金額には消費税等は含まれておりません。
2.帳簿価額のうち「その他」は、工具・器具及び備品とソフトウェアであります。
3.従業員数は、就業人員数であり、臨時雇用者数は、年間の平均人員を( )外書で記載しております。
4.当社の事業所は全て賃借中のものであります。賃借している主要な設備として以下のものがあります。
2022年12月31日現在
(注) 1.発行済普通株式のうち8,000株は、現物出資(普通自動車1台 800千円)によるものであります。
2.発行済普通株式のうち189,200株は譲渡制限付株式報酬として、金銭報酬債権(427,970千円)を出資の目的とする現物出資により発行したものです。
3.発行済普通株式のうち112,000株は譲渡制限付株式報酬として、金銭報酬債権(384,720千円)を出資の目的とする現物出資により発行したものです。
4.発行済普通株式のうち64,100株は譲渡制限付株式報酬として、金銭報酬債権(77,561千円)を出資の目的とする現物出資により発行したものです。
5.「提出日現在発行数」欄には、2023年3月1日からこの有価証券報告書提出日までの新株予約権の行使により発行された株式数は含まれておりません。
当社は、ストックオプション制度を採用しております。当該制度は、旧商法及び会社法に基づき新株予約権を
発行する方法によるものであります。当該制度の内容は、以下のとおりであります。
1.「第13回新株予約権」
※ 当事業年度の末日(2022年12月31日)における内容を記載しております。なお、提出日の前月末(2023年2月28日)現在において、これらの事項に変更はありません。
(注) 1. 「新株予約権の数」及び「新株予約権の目的となる株式の数」は、権利行使により減少した個数及び株式の
数並びに退職等により権利を喪失した者の個数及び株式の数は除外しており、新株予約権1個につき目的となる株式の数は100株であります。なお、当社が当社普通株式の株式分割(株式無償割当てを含む。)又は株式併合を行う場合には、その時点で新株予約権者が権利行使又は消滅していない新株予約権の目的たる株式の数についてのみ、次の算式により調整されます。但し、調整の結果1株未満の端数が生じた場合は、これを切り捨てるものとします。
上記のほか、資本金の額の減少を行う場合など、割当株式数の調整を必要とする場合には、当社取締役会は、必要かつ合理的な範囲で、目的たる株式の数の調整を行うことができることとします。
2. (1) 株式分割(株式無償割当てを含む。)又は株式併合を行う場合には、次の算式により払込金額を調整し、
調整により生ずる1円未満の端数は切り上げます。
(2) 一般的に公正妥当とされる時価を下回る払込金額で、当社普通株式につき、新株式の発行又は自己株式
を処分した場合(会社法第194条の規定(単元未満株主による単元未満株式売渡請求)に基づく自己株式の売渡し、当社普通株式に転換される証券もしくは転換できる証券又は当社普通株式の交付を請求できる新株予約権(新株予約権付社債に付されたものを含む。)の転換又は行使の場合を除く。)は、次の算式により払込金額を調整し、調整により生ずる1円未満の端数は切り上げます。
上記の算式において「既発行株式」とは、当社の発行済普通株式総数から当社の保有する普通株式に係る自己株式の総数を控除した数とし、自己株式の処分を行う場合には「新規発行株式数」を「処分する株式数」に、「1株当たり払込金額」を「1株当たり処分金額」に、「新規発行前の株価」を「処分前の株価」に、それぞれ読み替えるものとします。
(3) 上記のほか、資本金の額の減少を行う場合など、払込金額の調整を必要とする場合には、当社取締役会
は、必要かつ合理的な範囲で、払込金額の調整を行うことができることとします。
3. 新株予約権の行使の条件
① 新株予約権者は、本新株予約権の割当日から2016年9月4日までの期間においては、金融商品取引所
における当社普通株式の普通取引価格が取引時間中に一度でも本新株予約権の行使価額(但し、上記2.に準じて当社取締役会により適切に調整されるものとする。)の200%以上となった場合にのみ、翌営業日以降本新株予約権を行使することができる。
② 割当日から本新株予約権の行使期間の終期に至るまでの間に金融商品取引所における当社普通株式の普
通取引終値の当日を含む21取引日の平均値が一度でも権利行使価額(但し、上記2.に準じて当社取締役会により適切に調整されるものとする。)に20%を乗じた価格(但し、1円未満の端数が生じたときは、その端数切り上げるものとする。)を下回った場合、新株予約権者は残存するすべての本新株予約権を行使期間の満期日までに行使しなければならないものとする。但し、次に掲げる場合に該当するときはこの限りではない。
(a) 当社の開示情報に重大な虚偽が含まれることが判明した場合
(b) 当社が法令や金融商品取引所の規則に従って開示すべき重要な事実を適正に開示していなかったこと
が判明した場合
(c) 当社が上場廃止となったり、倒産したり、その他本新株予約権発行日において前提とされていた事情
に大きな変更が生じた場合
(d) その他、当社が新株予約権者の信頼を著しく害すると客観的に認められる行為をなした場合
③ 本新株予約権の行使によって、当社の発行済株式総数が当該時点における授権株式数を超過することと
なるときは、当該本新株予約権の行使を行うことはできない。
④ 各本新株予約権1個未満の行使を行うことはできない。
4. 当社が、合併(当社が合併により消滅する場合に限る。)、吸収分割、新設分割、株式交換又は株式移転
(以上を総称して以下、「組織再編行為」という。)を行う場合において、組織再編行為の効力発生日に新株予約権者に対し、それぞれの場合につき、会社法第236条第1項第8号イからホまでに掲げる株式会社(以下、「再編対象会社」という。)の新株予約権を以下の条件に基づきそれぞれ交付することとする。ただし、以下の条件に沿って再編対象会社の新株予約権を交付する旨を、吸収合併契約、新設合併契約、吸収分割契約、新設分割計画、株式交換契約又は株式移転計画において定めた場合に限るものとする。
① 交付する再編対象会社の新株予約権の数
新株予約権者が保有する新株予約権の数と同一の数をそれぞれ交付する。
② 新株予約権の目的である再編対象会社の株式の種類
再編対象会社の普通株式とする。
③ 新株予約権の目的である再編対象会社の株式の数
組織再編行為の条件を勘案の上、上記1.に準じて決定する。
④ 新株予約権の行使に際して出資される財産の価額
交付される各新株予約権の行使に際して出資される財産の価額は、組織再編行為の条件等を勘案の上、上記2.で定められる行使価額を調整して得られる再編後行使価額に、上記5.③に従って決定さ
れる当該新株予約権の目的である再編対象会社の株式の数を乗じた額とする。
⑤ 新株予約権を行使することができる期間
新株予約権の行使期間の初日と組織再編行為の効力発生日のうち、いずれか遅い日から新株予約権の行
使期間の末日までとする。
⑥ 譲渡による新株予約権の取得の制限
譲渡による取得の制限については、再編対象会社の取締役会の決議による承認を要するものとする。
⑦ その他新株予約権の行使の条件
上記新株予約権の内容に準じて決定する。
⑧ 新株予約権の取得事由及び条件
上記新株予約権の内容に準じて決定する。
⑨ その他の条件については、再編対象会社の条件に準じて決定する。
5. 当社が消滅会社となる合併契約、当社が分割会社となる会社分割についての分割契約もしくは分割計画、ま
たは当社が完全子会社となる株式交換契約もしくは株式移転計画について株主総会の承認(株主総会の承認を要しない場合には取締役会決議)がなされた場合は、当社は、当社取締役会が別途定める日の到来をもって、本新株予約権の全部を無償で取得することができる。
2.「第14回新株予約権」
※ 当事業年度の末日(2022年12月31日)における内容を記載しております。なお、提出日の前月末(2023年2月28日)現在において、これらの事項に変更はありません。
(注) 1. 「新株予約権の数」及び「新株予約権の目的となる株式の数」は、権利行使により減少した個数及び株式の
数並びに退職等により権利を喪失した者の個数及び株式の数は除外しており、新株予約権1個につき目的となる株式の数は100株であります。なお、当社が当社普通株式の株式分割(株式無償割当てを含む。)又は株式併合を行う場合には、その時点で新株予約権者が権利行使又は消滅していない新株予約権の目的たる株式の数についてのみ、次の算式により調整されます。但し、調整の結果1株未満の端数が生じた場合は、これを切り捨てるものとします。
上記のほか、資本金の額の減少を行う場合など、割当株式数の調整を必要とする場合には、当社取締役会は、必要かつ合理的な範囲で、目的たる株式の数の調整を行うことができることとします。
2. (1) 株式分割(株式無償割当てを含む。)又は株式併合を行う場合には、次の算式により払込金額を調整し、
調整により生ずる1円未満の端数は切り上げます。
(2) 一般的に公正妥当とされる時価を下回る払込金額で、当社普通株式につき、新株式の発行又は自己株式を処分した場合(会社法第194条の規定(単元未満株主による単元未満株式売渡請求)に基づく自己株式の売渡し、当社普通株式に転換される証券もしくは転換できる証券又は当社普通株式の交付を請求できる新株予約権(新株予約権付社債に付されたものを含む。)の転換又は行使の場合を除く。)は、次の算式により払込金額を調整し、調整により生ずる1円未満の端数は切り上げます。
上記の算式において「既発行株式」とは、当社の発行済普通株式総数から当社の保有する普通株式に係る自己株式の総数を控除した数とし、自己株式の処分を行う場合には「新規発行株式数」を「処分する株式数」に、「1株当たり払込金額」を「1株当たり処分金額」に、「新規発行前の株価」を「処分前の株価」に、それぞれ読み替えるものとします。
(3) 上記のほか、資本金の額の減少を行う場合など、払込金額の調整を必要とする場合には、当社取締役会は、必要かつ合理的な範囲で、払込金額の調整を行うことができることとします。
3. 新株予約権の行使の条件
① 新株予約権者は、本新株予約権の割当日から2017年10月5日までの期間においては、金融商品取引所に
おける当社普通株式の普通取引価格が取引時間中に一度でも本新株予約権の行使価額(但し、上記2.に準じて当社取締役会により適切に調整されるものとする。)の200%以上となった場合にのみ、翌営業日以降本新株予約権を行使することができることとします。
② 割当日から本新株予約権の行使期間の終期に至るまでの間に金融商品取引所における当社普通株式の普通
取引終値の当日を含む21取引日の平均値が一度でも権利行使価額(但し、上記2.に準じて当社取締役会により適切に調整されるものとする。)に20%を乗じた価格(但し、1円未満の端数が生じたときは、その端数切り上げるものとする。)を下回った場合、新株予約権者は残存するすべての本新株予約権を行使期間の満期日までに行使しなければならないものとします。但し、次に掲げる場合に該当するときはこの限りではありません。
(a) 当社の開示情報に重大な虚偽が含まれることが判明した場合
(b) 当社が法令や金融商品取引所の規則に従って開示すべき重要な事実を適正に開示していなかったことが
判明した場合
(c) 当社が上場廃止となったり、倒産したり、その他本新株予約権発行日において前提とされていた事情に
大きな変更が生じた場合
(d) その他、当社が新株予約権者の信頼を著しく害すると客観的に認められる行為をなした場合
③ 本新株予約権の行使によって、当社の発行済株式総数が当該時点における授権株式数を超過することとな
るときは、当該本新株予約権の行使を行うことはできないこととします。
④ 各本新株予約権1個未満の行使を行うことはできないこととします。
4. 組織再編行為の際の新株予約権の取扱い
当社が、合併(当社が合併により消滅する場合に限る。)、吸収分割、新設分割、株式交換又は株式移転
(以上を総称して以下、「組織再編行為」という。)を行う場合において、組織再編行為の効力発生日に新株予約権者に対し、それぞれの場合につき、会社法第236条第1項第8号イからホまでに掲げる株式会社(以下、「再編対象会社」という。)の新株予約権を以下の条件に基づきそれぞれ交付することとします。ただし、以下の条件に沿って再編対象会社の新株予約権を交付する旨を、吸収合併契約、新設合併契約、吸収分割契約、新設分割計画、株式交換契約又は株式移転計画において定めた場合に限るものとします。
① 交付する再編対象会社の新株予約権の数
新株予約権者が保有する新株予約権の数と同一の数をそれぞれ交付することとします。
② 新株予約権の目的である再編対象会社の株式の種類
再編対象会社の普通株式とすることとします。
③ 新株予約権の目的である再編対象会社の株式の数
組織再編行為の条件を勘案の上、上記1.に準じて決定することとします。
④ 新株予約権の行使に際して出資される財産の価額
交付される各新株予約権の行使に際して出資される財産の価額は、組織再編行為の条件等を勘案の上、
上記2.で定められる行使価額を調整して得られる再編後行使価額に、上記4.③に従って決定される当該新株予約権の目的である再編対象会社の株式の数を乗じた額とします。
⑤ 新株予約権を行使することができる期間
新株予約権の行使期間の初日と組織再編行為の効力発生日のうち、いずれか遅い日から新株予約権の行使
期間の末日までとする。
⑥ 譲渡による新株予約権の取得の制限
譲渡による取得の制限については、再編対象会社の取締役会の決議による承認を要するものとする。
⑦ その他新株予約権の行使の条件
上記新株予約権の内容に準じて決定する。
⑧ 新株予約権の取得事由及び条件
上記新株予約権の内容及び次項に準じて決定する。
⑨ その他の条件については、再編対象会社の条件に準じて決定する。
5. 当社が消滅会社となる合併契約、当社が分割会社となる会社分割についての分割契約もしくは分割計画、ま
たは当社が完全子会社となる株式交換契約もしくは株式移転計画について株主総会の承認(株主総会の承認を要しない場合には取締役会決議)がなされた場合は、当社は、当社取締役会が別途定める日の到来をもって、本新株予約権の全部を無償で取得することができる。
3.「第16回新株予約権」
※ 当事業年度の末日(2022年12月31日)における内容を記載しております。なお、提出日の前月末(2023年2月28日)現在において、これらの事項に変更はありません。
(注) 1. 「新株予約権の数」及び「新株予約権の目的となる株式の数」は、権利行使により減少した個数及び株式の
数並びに退職等により権利を喪失した者の個数及び株式の数は除外しており、新株予約権1個につき目的となる株式の数は100株であります。なお、当社が当社普通株式の株式分割(株式無償割当てを含む。)又は株式併合を行う場合には、その時点で新株予約権者が権利行使又は消滅していない新株予約権の目的たる株式の数についてのみ、次の算式により調整されます。但し、調整の結果1株未満の端数が生じた場合は、これを切り捨てるものとします。
上記のほか、資本金の額の減少を行う場合など、割当株式数の調整を必要とする場合には、当社取締役会は、必要かつ合理的な範囲で、目的たる株式の数の調整を行うことができることとします。
2. (1) 株式分割(株式無償割当てを含む。)又は株式併合を行う場合には、次の算式により払込金額を調整し、
調整により生ずる1円未満の端数は切り上げます。
(2) 一般的に公正妥当とされる時価を下回る払込金額で、当社普通株式につき、新株式の発行又は自己株式を処分した場合(会社法第194条の規定(単元未満株主による単元未満株式売渡請求)に基づく自己株式の売渡し、当社普通株式に転換される証券もしくは転換できる証券又は当社普通株式の交付を請求できる新株予約権(新株予約権付社債に付されたものを含む。)の転換又は行使の場合を除く。)は、次の算式により払込金額を調整し、調整により生ずる1円未満の端数は切り上げます。
上記の算式において「既発行株式」とは、当社の発行済普通株式総数から当社の保有する普通株式に係る自己株式の総数を控除した数とし、自己株式の処分を行う場合には「新規発行株式数」を「処分する株式数」に、「1株当たり払込金額」を「1株当たり処分金額」に、「新規発行前の株価」を「処分前の株価」に、それぞれ読み替えるものとします。
(3) 上記のほか、資本金の額の減少を行う場合など、払込金額の調整を必要とする場合には、当社取締役会は、必要かつ合理的な範囲で、払込金額の調整を行うことができることとします。
3. 新株予約権の行使の条件
① 新株予約権者は、本新株予約権の割当日から2019年6月18日までの期間においては、金融商品取引所に
おける当社普通株式の普通取引価格が取引時間中に一度でも本新株予約権の行使価額(但し、上記2.に準じて当社取締役会により適切に調整されるものとする。)の200%以上となった場合にのみ、翌営業日以降本新株予約権を行使することができることとします。
② 割当日から本新株予約権の行使期間の終期に至るまでの間に金融商品取引所における当社普通株式の普通
取引終値の当日を含む21取引日の平均値が一度でも権利行使価額(但し、上記2.に準じて当社取締役会により適切に調整されるものとする。)に20%を乗じた価格(但し、1円未満の端数が生じたときは、その端数切り上げるものとする。)を下回った場合、新株予約権者は残存するすべての本新株予約権を行使期間の満期日までに行使しなければならないものとします。但し、次に掲げる場合に該当するときはこの限りではありません。
(a) 当社の開示情報に重大な虚偽が含まれることが判明した場合
(b) 当社が法令や金融商品取引所の規則に従って開示すべき重要な事実を適正に開示していなかったことが
判明した場合
(c) 当社が上場廃止となったり、倒産したり、その他本新株予約権発行日において前提とされていた事情に
大きな変更が生じた場合
(d) その他、当社が新株予約権者の信頼を著しく害すると客観的に認められる行為をなした場合
③ 本新株予約権の行使によって、当社の発行済株式総数が当該時点における授権株式数を超過することとな
るときは、当該本新株予約権の行使を行うことはできないこととします。
④ 各本新株予約権1個未満の行使を行うことはできないこととします。
4. 組織再編行為の際の新株予約権の取扱い
当社が、合併(当社が合併により消滅する場合に限る。)、吸収分割、新設分割、株式交換又は株式移転(以上を総称して以下、「組織再編行為」という。)を行う場合において、組織再編行為の効力発生日に新株予約権者に対し、それぞれの場合につき、会社法第236条第1項第8号イからホまでに掲げる株式会社(以下、「再編対象会社」という。)の新株予約権を以下の条件に基づきそれぞれ交付することとします。ただし、以下の条件に沿って再編対象会社の新株予約権を交付する旨を、吸収合併契約、新設合併契約、吸収分割契約、新設分割計画、株式交換契約又は株式移転計画において定めた場合に限るものとします。
① 交付する再編対象会社の新株予約権の数
新株予約権者が保有する新株予約権の数と同一の数をそれぞれ交付することとします。
② 新株予約権の目的である再編対象会社の株式の種類
再編対象会社の普通株式とすることとします。
③ 新株予約権の目的である再編対象会社の株式の数
組織再編行為の条件を勘案のうえ、上記1.に準じて決定することとします。
④ 新株予約権の行使に際して出資される財産の価額
交付される各新株予約権の行使に際して出資される財産の価額は、組織再編行為の条件等を勘案のうえ、
上記2.で定められる行使価額を調整して得られる再編後行使価額に、上記4.③に従って決定される当該新株予約権の目的である再編対象会社の株式の数を乗じた額とします。
⑤ 新株予約権を行使することができる期間
新株予約権の行使期間の初日と組織再編行為の効力発生日のうち、いずれか遅い日から新株予約権の行使
期間の末日までとする。
⑥ 譲渡による新株予約権の取得の制限
譲渡による取得の制限については、再編対象会社の取締役会の決議による承認を要するものとする。
⑦ その他新株予約権の行使の条件
上記新株予約権の内容に準じて決定する。
⑧ 新株予約権の取得事由及び条件
上記新株予約権の内容及び次項に準じて決定する。
⑨ その他の条件については、再編対象会社の条件に準じて決定する。
5. 当社が消滅会社となる合併契約、当社が分割会社となる会社分割についての分割契約もしくは分割計画、ま
たは当社が完全子会社となる株式交換契約もしくは株式移転計画について株主総会の承認(株主総会の承認を要しない場合には取締役会決議)がなされた場合は、当社は、当社取締役会が別途定める日の到来をもって、本新株予約権の全部を無償で取得することができる。
該当事項はありません。
(注) 1.新株予約権の行使による増加であります。
2.有償第三者割当 発行価格 1,752円 資本組入額 876円 割当先 中外製薬株式会社。
3.譲渡制限付株式報酬としての新株式の発行による増加であります。発行価格 2,262円 資本組入額 1,131円
4.譲渡制限付株式報酬としての新株式の発行による増加であります。発行価格 3,435円 資本組入額 1,718円
5.有償第三者割当 発行価格 1,685円 資本組入額 842.50円 割当先 朝日インテック株式会社。
6.譲渡制限付株式報酬としての新株式の発行による増加であります。発行価格 1,210円 資本組入額 605円
7.2022年3月30日開催の定時株主総会の決議に基づき、2022年5月31日付で減資の効力が発生し、資本金の額及び資本準備金の額を減少し、その他資本剰余金に振替えております。この結果、資本金が6,039,516千円(減資割合66.8%)減少し、資本準備金が8,445,478千円(減資割合93.5%)減少しております。
8.2022年8月5日付け「資金使途の変更に関するお知らせ」において開示しましたとおり、2020年12月15日付け「第三者割当による第18 回新株予約権(行使価額修正条項付)の発行条件等の決定に関するお知らせ」において開示しました資金の具体的な使途及び支出予定時期について、以下のとおり重要な変更が生じております。
(1) 変更の理由
ファイナンス開始後の株価下落により、実際の調達額は想定調達額を1,007百万円下回り、3,311百万円に留まりました。次に、2021年10月には中外製薬とテロメライシンのライセンス契約の解消に合意し、ファイナンス開始時に想定していた将来収入の喪失など資金計画に変更が生じました。2024年の承認申請を目指すテロメライシンの製法開発はベルギーのHenogen社に委託していますが、昨今の円安ユーロ高の影響を受け円ベースでの支払額が増加しています。また、新型コロナ治療薬として開発しているOBP-2011は、経口コロナ治療薬の緊急承認が継続審議になるなど新型コロナ治療薬の承認ハードルは上がっている状況であり、開発方針の見直しの必要性が出てきました。
このような状況を勘案し、当社は資金使途の変更等に関して、下記の決定を行いました。
① 2024年のテロメライシンの国内承認申請のために、テロメライシンの製法開発及び商用製造に関する投資を最優先に行うこととし、Henogen社へのユーロ高による円建て支払いの増加に対応し、テロメライシン(OBP-301)の製法開発及び商用製造への充当額を増加させます。
② テロメライシンの国内承認を最優先とした上で、OBP-2011の開発は継続し、標的タンパクの特定を進め、製薬会社との共同開発体制を探ってゆきます。但し、OBP-2011の治験薬GMP製造及び初期臨床試験への当面の支出を見送ることで充当額を減少させ、当該資金をテロメライシン(OBP-301)の製法開発及び商用製造の増額に充当します。
③ OBP-702の開発は、優先順位を引き下げ、岡山大学のAMED助成金の範囲内で開発を継続します。なお、調達資金の当初想定額との差額の発生に伴い、OBP-702の治験薬GMP製造や初期臨床試験への支出を見送り、当該資金をテロメライシン(OBP-301)の製法開発及び商用製造の増額に充当します。
(2) 変更の内容
資金使途の変更内容は以下のとおりです。(変更箇所は下線を付しています。)
(変更前)
(変更後)
2022年12月31日現在
(注)1.自己株式82,238株は、「個人その他」に822単元、「単元未満株式の状況」38 株含まれております。
2022年12月31日現在