株式会社ホットリンク
(注)1.国際会計基準(以下、IFRS)に基づいて連結財務諸表を作成しております。
2.第21期の希薄化後1株当たり当期利益については、潜在株式は存在するものの1株当たり当期純損失金額であるため記載しておりません。
3.第21期の親会社所有者帰属持分当期利益率及び株価収益率については、当期純損失が計上されているため記載しておりません。
(注)1.第21期の潜在株式調整後1株当たり当期純利益金額については、潜在株式は存在するものの1株当たり当期純損失金額であるため記載しておりません。
2.第21期の自己資本利益率及び株価収益率については、当期純損失を計上しているため記載しておりません。
3.最高株価及び最低株価は、2022年4月3日以前は東京証券取引所マザーズ市場におけるものであり、2022年4月4日以降は東京証券取引所グロース市場におけるものであります。
4.「収益認識に関する会計基準」(企業会計基準第29号 2020年3月31日)等を第24期の期首から適用しており、第24期に係る主要な経営指標等については、当該会計基準等を適用した後の指標等となっています。
(注)インターネット、モバイル、ソフトウエアなどIT業界の国内外の経営者・経営幹部を対象としたオフサイト・カンファレンス
当社グループ(当社及び当社の関係会社)は、当社(株式会社ホットリンク)、子会社4社により構成されております。
当社及び当社の連結子会社である株式会社トレンドExpress(現:株式会社NOVARCA)及びEffyis, Inc.の主な事業内容は、ソーシャルメディアマーケティング支援事業であります。なお、当連結会計年度において、株式会社トレンドExpress(現:株式会社NOVARCA)の一部売却を行いました。これに伴いクロスバウンド事業は、当連結会計年度までの記載となります。
また、当連結会計年度において、Web3に関連する事業を行う連結子会社の合同会社Nonagon Capitalを設立し、事業の内容にWeb3関連事業を追加しております。
当社グループの事業内容及び当社の子会社の当該サービスに係る位置付けは次のとおりであります。
(ソーシャルメディアマーケティング支援事業)
(Web3関連事業)
主要なサービスは、Web3分野への投資運用業であります。なお、当連結会計年度では事業の立上げと投資先の調査、選定が主な活動であったため、当事業の売上高は発生しておりません。
[事業系統図]
以上で述べた事項を事業系統図によって示すと以下のとおりであります。

(注)Effyis,Inc.については、売上高(連結会社相互間の内部売上高を除く。)の連結売上高に占める割合が10%を超えております。
セグメント別の従業員数を示すと次のとおりであります。
2022年12月31日現在
(注)1.従業員数は就業人員であります。
2.従業員数は就業人員(当社グループからグループ外への出向者を除き、グループ外から当社グループへの出向者を含む。)であり、臨時雇用者数(パートタイマー、人材派遣会社からの派遣社員を含む。)は( )内に年間の平均人員を外数で記載しております。
3.前連結会計年度末に比べ従業員数が減少しております。主な理由は、当連結会計年度において、株式会社トレンドExpress(現:株式会社NOVARCA)の連結除外を行ったことによるものであります。
2022年12月31日現在
(注)1.従業員数は就業人員(当社から社外への出向者を除き、社外から当社への出向者を含む。)であり、臨時雇用者数(パートタイマー、人材派遣会社からの派遣社員を含む。)は( )内に年間の平均人員を外数で記載しております。
2.平均年間給与は、賞与及び基準外賃金を含んでおります。
3.前事業年度末に比べ従業員数が10名増加しておりますが、主な理由は、業容の拡大によるものであります。
当社グループの労働組合は、結成されておりませんが、労使関係は安定しております。
文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものです。
(1) 経営方針
当社グループは、存在意義「Make the World “HOTTO” わたしたちは、人と社会のつながりを再設計し、世界中の人々が“HOTTO(ほっと)”できる社会の実現に貢献します」の実現に向けて、『両利きの経営』を実践しております。具体的には、『既存事業の深化』として、主にソーシャルメディアマーケティング支援を行っている他、『新規事業の探索』として、主にWeb3分野へのファンド事業を通じたリサーチに加え、事業シナジーの創出に向けた取り組みを行っております。また、当社グループでは、既存事業に加えM&A及び事業インキュベーションを行うことで外部環境の変化に対応する事業ポートフォリオの創出を通じた企業価値の向上を図ってまいります。
(2) 経営環境及び中長期的な会社の経営戦略
ソーシャルメディアマーケティング支援事業の経営環境について、ソーシャルメディアが社会に広く普及したことにより、インターネットに接続する環境さえあれば、誰もが双方向のリアルタイムコミュニケーションを行える世の中となりました。現代は、企業側から人々への一方的な情報発信である従来のマスメディアだけではなく、ソーシャルメディアに投稿される様々な「生の声」が人々の購買行動に大きな影響を与えております。
当社グループは、ソーシャル・ビッグデータ市場における事業者の役割を、次の3つに分類して捉えております。ソーシャル・ビッグデータの収集・加工・流通を担う「収集領域」、ソーシャル・ビッグデータの分析ツールやレポートを企業へ提供する「分析領域」、ソーシャル・ビッグデータによって企業のマーケティングやブランディング等に活用する「活用領域」です。
当社グループの強みは、これらのインターネットやソーシャルメディアに投稿される様々なテキスト情報、画像や動画、位置情報などのソーシャル・ビッグデータをリアルタイムに収集し、創業来蓄積してきた分析力を活用することで、お客様の課題に対して、データ収集・分析・活用を一気通貫で提供することです。また、前述の強みをベースとして、『両利きの経営』における『既存事業の深化』、SNSマーケティング支援事業においては、SNSにとどまらず、インターネット上への広告提供を行う等、事業領域を拡大することでより大きな成長を志向してまいります。また、Web3関連事業を『新規事業の探索』と位置付け、Web3関連市場のボラティリティの高まりをチャンスと捉え、ファンドを通じた企業への出資や既存事業とのシナジー創出を強化することで、インターネット業界の変化を成長機会と捉え、事業を進めております。
(3) 目標とする経営指標
主な成長性・収益性の指標として、売上高、売上成長率及び営業利益率を重視しております。なお、当社グループはインターネット業界における環境変化にスピードをもって対応することが結果的に中長期的な成長の実現につながるという考えのもと、新規事業の開発やM&A等を活用した事業シナジーの創出に向けた投資を積極的に行う方針であります。よって、短期的には業績にボラティリティが生じる場合があります。
(4) 優先的に対処すべき課題
当社グループは、短期的な業績の向上、中長期的な企業価値の向上を遂げるため、以下の主要課題に取り組んでまいります。
(ソーシャルメディアマーケティング支援事業)
1)SNSマーケティング支援事業
日本市場向けSNSマーケティング支援サービスの事業拡大は、人材の質と量に一定程度依存する傾向にあります。当社では、事業の成功事例やSNSマーケティングに関する最先端の情報発信を通じ、優秀な人材の確保に努めるとともに、社内業務の自動化も推進することで、職場環境の改善とコストコントロールの実現に努めてまいります。また、お客様へのサービスラインナップの拡充を目指し、2023年3月より株式会社wevnalより譲り受けたSNS広告事業や一部メディア事業と既存事業とのシナジー効果を図ることにより、顧客満足度と成長の両立を図ります。
2)DaaS事業
SNSデータアクセス権の販売において、サービス内容及び価格体系の変更による顧客単価の向上やSNS企業とのリレーションを活かし、金融業界等の新たな業界開拓に努めてまいります。同事業は米国で展開していることから、売上はドル建てとなっており、ドル円の為替レートの影響が生じる場合があります。
(Web3関連事業)
「Web3関連事業」は、Web3に関連する事業を行うものです。Web3分野への投資運用業を通じた業界リサーチに留まらず、Web3関連市場のボラティリティの高まりをチャンスと捉え、優良企業への出資強化や自社での事業や既存事業とのシナジー創出の模索に努めてまいります。
(注)クロスバウンド事業については、クロスバウンド事業を担う連結子会社の売却に伴い、事業終了しておりますので記載しておりません。
以下において、経営者が当社及び当社の連結子会社で構成される当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に重要な影響を与える可能性があると認識している主要なリスクを記載しております。また、投資者の判断に重要な影響をおよぼす可能性のある事項については、投資者に対する積極的な情報開示の観点から開示しております。なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであり、潜在的リスクや不確定要因はこれらに限られるものではありません。
<特に重要なリスク>
① 新型コロナの拡大に関するリスク
新型コロナの感染拡大により、今後も国内外の経済状況や市場環境に影響を及ぼすことが見込まれます。また、当社グループの従業員等の健康、安全が脅かされ、損なわれる可能性があります。こうした影響を通じて、当社グループの経営成績等に悪影響を及ぼし、当社の株価下落につながる可能性があります。
このような状況に対し、当社グループでは、取締役会やグループ経営会議などを通じて役員及びグループ会社間での密接な連携を実現し情報共有に努めるとともに、就業形態を原則リモートワークに変更するなどの感染拡大防止対策をとることで、これらのリスクの低減に努めております。
今般、ソーシャルメディアが益々浸透し、生活者がインターネット上に発信するデータが日々大量に生成されるようになりました。このような状況において、ソーシャルメディアデータに関する法整備においては、インターネット上の検索サービスを提供する事業者がその検索サービスに必要な情報を収集する行為が一定の条件下で認められるようになったほか、柔軟性のある権利制限規定が設けられ、著作物の利用について従来より一定程度の緩和がされるようになりました。しかしながら、今後の新たな法律の制定や既存の法律の変更により、自主規制が求められるようになる可能性があります。一方、海外においても、EU一般データ保護規則をはじめとする諸外国・地域における法令等の制定や変更により、当社グループのビジネスに影響を与え得る事態が生じることも想定されます。このように当社グループのサービスを提供する上での情報収集やサービスの提供の仕方自体に何らかの制約を受けた場合には、当社グループの事業及び業績に影響を及ぼす可能性があります。ソーシャルメディアから日々大量に生成されるソーシャルメディアデータを有償又は無償にて情報取得しておりますが、ソーシャルメディアの運営側の方針転換により、情報提供の方針に変更が加えられた場合、サービスの品質が低下し、また、情報の取得に対して追加コストが発生し、当社グループの事業及び業績に影響を及ぼす可能性があります。
このような状況に対し、当社グループでは、ヒアリング調査等を通じて、情報収集を継続的に行い、必要な対策をとること、及び代替的なデータソース獲得に向けた研究開発を継続することで、これらのリスクの低減に努めてまいります。
当社グループは、ソーシャルメディアから生成されるデータを使用しております。しかしながら、ソーシャルメディアの運営側の方針等により収集に制限が加えられる場合や禁止される場合には、サービス提供の環境自体に制約が生じる可能性があるとともに、サービス品質の低下、情報収集のための追加コストの発生等が生じ、事業及び業績に影響を及ぼす可能性があります。
このような状況に対し、当社グループでは、国内外でのヒアリング調査や情報収集等を行い、最新の動向を把握することに努めるとともに、ステークホルダーとの関係性の柔軟な見直し、開発その他社内資産の適正化及び提供サービスの再編成等を行い、これらのリスクの低減に努めてまいります。
当社グループの事業は、サービスの基盤を大規模なコンピュータサーバー群やインターネット通信網に依存しており、大規模なシステム障害が発生した場合には、サービスの提供に支障をきたし、当社グループの事業及び業績に影響を及ぼす可能性があります。
このような状況に対し、顧客へのサービス提供が妨げられるようなシステム障害の発生やサイバー攻撃によるシステムダウン等を回避すべく、稼働状況の監視及びシステムの冗長化、セキュリティー対策等の未然防止策を実施しております。
⑤ 人材確保・維持について
当社グループの成長を支えている最大の資産は人材であり、優秀な人材の採用と維持は当社にとって重要な課題であると認識しております。優秀な人材を確保・育成できない場合、また事業変革に伴うニーズにマッチした人材の補充ができない場合、当社グループの経営成績や成長に大きな影響を及ぼす可能性があります。
このような状況に対し、当社グループでは、積極的なリファラル採用の実施、また採用イベントの開催等による採用広報の強化等に取り組むことで、リスクの低減を図ってまいります。
<重要なリスク>
当社グループは、さらなる成長領域の拡大のために、Web3関連を含む新たな事業への進出あるいは他企業等への出資その他投資を行うことがあります。しかしながら、投資が所期する効果を得られない可能性、これら投資先企業の経営の悪化あるいは運用成績の悪化により投資額の価値が著しく下落し、当社グループの事業及び業績に影響を及ぼす可能性があります。
このような状況に対し、当社グループでは、投資に関する意思決定を担う投資委員会を設置するとともに、国内外での情報収集、最新の動向の把握、専門家を交えた入念な検討を実施し、また、管理体制の整備を行うことで、これらのリスクの低減に努めてまいります。
・当社グループ保有の知的財産権について
当社グループでは「ホットリンク/HOTTO LINK」「BUZZ SPREADER」「ULSSAS」「UDSSAS」等の社名及びサービス名について商標登録を行っております。今後も知的財産権の保全に積極的に取り組む予定ですが、当社グループの知的財産権が第三者に侵害された場合には、解決までに多くの時間及び費用がかかるなど、当社グループの事業及び業績に影響を与える可能性があります。
・当社による第三者の知的財産権侵害について
当社グループによる第三者の知的財産権の侵害については、可能な範囲で調査を行い対応しております。しかしながら、当社グループの事業領域における第三者の知的財産権を完全に把握することは困難であり、当社グループが認識せずに他社の特許を侵害してしまう可能性は否定できません。この場合には当社グループに対する損害賠償請求や、ロイヤリティの支払要求等が行われることにより、当社グループの事業及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
このような状況に対し、当社グループでは、これらのリスクについては、権利を積極的に保護する姿勢のもと、従業員の教育にも努め、リスク低減を図ってまいります。
当社グループは今後の業容拡大を踏まえ、内部管理体制の強化を進めており、具体的には規程・マニュアルの制定、監査役監査及び内部監査の実施により、法令やルールを順守する体制の充実を図っております。しかしながら、このような対応にもかかわらず法令等に抵触する事態や不正行為等が発生した場合には、当社グループの事業及び業績に影響を及ぼす可能性があります。
このような状況に対し、当社グループでは、グループ経営会議の設置によりガバナンスの強化を行い、また専門家とも連携し、かかるリスクの防止に努めてまいります。
当社グループは、成長戦略のひとつとして、既存事業の関連分野におけるM&Aを国内外において検討・実施しており、これにより企業価値の向上と成長の加速を目指しております。買収後における事業環境の急変や想定外の事態の発生等により、買収事業が当初の目標どおりに推移せず、場合によっては当社グループの事業及び業績に影響を及ぼす可能性があります。
このような状況に対し、当社グループでは、M&Aの実施に当たっては、事前に収益性や投資回収可能性に関する十分な調査及び検討を行うことで、リスクの低減に努めてまいります。
当社グループでは、グローバル展開を積極化しており、海外事業の存在感は徐々に高まってきております。日本国内のみならず海外事業においても、グローバル経済や為替などの動向、投資や競争などに関する法的規制、商習慣の相違、労使関係、国際政治、テロ攻撃、地域紛争、戦争、疫病の発生・蔓延など、さまざまなリスク要因があり、これらのリスクが顕在化した場合、当社グループの経営成績に大きな影響を与える可能性があります。
このような状況に対し、当社グループでは、各国政府の規制等を遵守しつつ、適切に事業活動が行えるよう、従業員への教育と、ガバナンスの強化による適切な体制・仕組みの整備に努めてまいります。
当社グループは現在、成長過程にあると認識しており、獲得した資金については優先的にシステム等の設備投資、又は人材の採用、育成に充てるため、過去においては配当を行っておりませんでした。今後につきましては、株主に対する利益還元を経営上の重要な課題の一つとして認識し、将来的には中間配当又は期末配当による株主への利益還元を予定しております。しかしながら、重要な事業投資を優先する場合やキャッシュ・フローの状況によっては、配当を実施しない、あるいは予定していた配当を減ずる可能性もあります。
当社グループは、米国子会社Effyis,Inc.と共同で、元取締役のDarren Kelly氏に対し、和解合意の有効性の確認等で、ミシガン州東部地区連邦地方裁判所において、係争中でありましたが、2022年10月28日にDarren Kelly氏と和解契約を締結し、本件は和解金を支払うことで、同氏と和解が成立しました。
(1) 経営成績等の状況の概要
当連結会計年度における当社グループ(当社、連結子会社及び持分法適用会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。
当連結会計年度の業績は、売上高7,906百万円(前年度比20.3%増)、営業利益2,110百万円(前年度比492.7%増)、当期利益1,852百万円(前年度比129.1%増)となりました。なお、EBITDAは2,538百万円(前年度比235.9%増)となりました。
※EBITDA=営業利益+減価償却費
財政状態については、次のとおりであります。
当連結会計年度末の資産合計は、前連結会計年度末に比べ1,156百万円増加し、8,471百万円となりました。
当連結会計年度末の負債合計は、前連結会計年度末に比べ659百万円減少し、2,523百万円となりました。
当連結会計年度末の資本合計は、前連結会計年度末に比べ1,816百万円増加し、5,947百万円となりました。
当連結会計年度末における現金及び現金同等物(以下「資金」という)は、前連結会計年度末に比べて998百万円増加し3,596百万円となりました。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動の結果得られた資金は、793百万円(前年度は678百万円の増加)となりました。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動の結果使用した資金は、291百万円(前年度は536百万円の使用)となりました。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動の結果得られた資金は、375百万円(前年度は307百万円の増加)となりました。
(2) 経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。
当社グループは、ソーシャルメディアマーケティング支援事業のSNSマーケティング支援事業及びDaaS事業、Web3関連事業により構成されております。
第23期有価証券報告書(事業年度2021年1月1日から2021年12月31日、2022年3月28日提出)記載のサービスの内容から、クロスバウンド事業を担う連結子会社の売却に伴う「クロスバウンド事業」の終了及び「Web3関連事業」を新設しております。経営方針、経営戦略については、「1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等 (1)経営方針、(2)経営環境及び中長期的な会社の経営戦略」をご参照ください。
(グループ全体の振り返り)
当連結会計期間において、新型コロナウイルス感染症拡大の影響が徐々に緩和され、国内外で景気持ち直しの傾向がみられたものの、ロシア・ウクライナを発端とする地政学リスクの顕在化や欧米の金利引き上げ、国内のインフレは継続しており、景気の先行きは依然として不透明な状況が続いております。
そのような環境において、当社は機動的な事業ポートフォリオの組み換えに取り組み、第4四半期においてクロスバウンド事業を担う連結子会社(株式会社トレンドExpress 現:株式会社NOVARCA)の売却を行い、既存のソーシャルメディアマーケティング支援事業や新規事業であるWeb3関連事業のさらなる事業成長に取り組んでおります。
ソーシャルメディアマーケティング支援事業は、底堅い企業ニーズを背景に拡大する事業と位置付け、当社の強みであるSNS上のビッグデータの収集・分析・活用のワンストップ提供で顧客企業の支援に注力しております。
一方で、インターネットはWeb2.0からWeb3へパラダイムシフトする変化のタイミングであると考えており、当社は既存のソーシャルメディアマーケティング支援事業の拡大に取り組むと同時に、新規事業として、先んじて2018年からWeb3の基盤となるブロックチェーン技術の調査・研究に取り組んでまいりました。このインターネットのパラダイムシフトを次のチャンスとするために、Web3関連への投資事業を立ち上げ、当事業を行う子会社として合同会社Nonagon Capital(以下、「Nonagon Capital」)を5月24日に設立しております。当社グループは、Nonagon Capitalの設立に伴い、当連結会計年度より、報告セグメントに、「Web3関連事業」を設けております。
なお、クロスバウンド事業を担う連結子会社の売却に伴い、報告セグメントのソーシャルメディアマーケティング支援事業における「クロスバウンド事業」の記載は、当連結会計期間までとなります。
(事業別の振り返り)
(ソーシャルメディアマーケティング支援事業)
1)SNSマーケティング支援事業
当事業は、主に日本国内向けのSNSマーケティング支援から成り立っており、その主なサービスは、SNS広告・SNS運用コンサルティングと、SNSの分析ツールである「クチコミ@係長」などであります。これらのサービスは、当社が保有する膨大なデータと、長年に亘り蓄積してきたSNS分析・運用ノウハウで、分析から施策立案、効果測定までを一気通貫でサポートするものです。
当事業の売上高は2,066百万円(前年度比9.4%増)となりました。これは主に、拡大する事業と位置づけているビジネスである、SNS広告・SNS運用コンサルティングが引き続き好調だったことによるものであります。ウィズコロナにおける新しい生活様式の中で、SNSマーケティングの重要性が高まっていると同時に、順調に実績を積み上げている当社サービスへの顧客からの評価が高まっていることによるものと考えております。一方で、円安や原材料高の影響による顧客企業の販管費抑制が顕在化しており、不透明な事業環境に左右されない成長のために、顧客ポートフォリオの拡充や当社のSNSマーケティング支援事業とシナジーのあるマーケティング・広告サービスを提供する企業との業務提携といったサービスラインナップの拡充にも、引き続き、取り組んでおります。なお、SNS分析ツールについては、営業人員をSNS広告・SNS運用コンサルティングに集中しているため、前年同期と比較し減少となりました。
2)クロスバウンド事業
当事業は、主にソーシャル・ビッグデータを活用した日本と中国をつなぐクロスバウンドの消費行動の分析と、これを強みとするプロモーション支援、越境ECサービスから成り立っております。
当連結会計期間においては、中国国内の新型コロナウイルス感染症拡大による一部都市のロックダウンによる影響がみられたものの、徐々に影響が緩和され、売り上げが回復しております。また、独身の日(11月11日)にむけた売上増加もあり、当事業の売上高は3,673百万円(前年度比23.5%増)となりました。
なお、クロスバウンド事業を担う連結子会社の売却に伴い、「クロスバウンド事業」の報告は、当連結会計期間までの記載となります。
3)DaaS事業
当事業は、当社の米国子会社であるEffyis,Inc.の主にSNSデータアクセス権の販売から成り立っております。
当事業の売上高は2,167百万円(前年度比26.9%増)となりました。これは、今期より取り組んでいるSNSデータアクセス権の価格改定による既存顧客の単価上昇と、DaaS事業は米国の子会社が行っており、円安による売上高増の効果によるものです。当社の米国子会社であるEffyis,Inc.は引き続き、世界中のソーシャル・ビッグデータを保有するメディアとの間で良好な関係を維持し、安定したデータ提供や新規メディアからのデータアクセス権の契約を獲得してまいります。
(Web3関連事業)
当事業は、Web3に関連する事業を行うものです。5月24日に設立したNonagon CapitalによるWeb3分野への投資運用業がその主なものですが、当連結会計期間では事業の立上げと投資先の調査、選定が主な活動であったため、当事業の売上高は発生しておりません。Nonagon Capitalは、Web3分野での新事業創出のための知見を深めること及び投資収益・投資事業収益の獲得を主な目的とし、米国を中心に世界各国のWeb3に関連するスタートアップを対象に投資を行うことを予定しております。
なお、Web3関連市場のボラティリティが高まる中で、短期的な利益を追求するのではなく、長期的な視点を持ってP/LとB/Sへの影響を加味しながら投資を行うこととしており、投資回収期間についても5年程度を見込んでいることから、当連結会計期間の業績に与える影響は軽微となります。
セグメント別売上高
以上の結果、当連結会計年度においては、売上高7,906百万円(前年度比20.3%増)、売上総利益2,160百万円(前年度比0.0%増)となりました。売上総利益が前年度と同様なのは、主に売上構成の変化による影響と売上高の増加に伴う広告媒体等に支払う原価の増加によるものです。売上構成の変化について、売上総利益率が他サービスと比べ低い越境ECプラットフォームサービス(クロスバウンド事業)の売上が増加し、連結売上高に占める比率が高まったためです。
販売費及び一般管理費は1,968百万円(前年度比8.6%増)となりました。主な増減要因は、広告宣伝費などが減少した一方、支払手数料や旅費交通費、売上増に伴う業務委託費の増加などによるものです。
その他の収益において、子会社株式売却に関して生じた利益を主として1,918百万円(前年度11百万円)を計上しております。これらのことから、営業利益は2,110百万円(前年度比492.7%増)となりました。
金融収益は、為替差益の影響を主な要因として201百万円(前年度721百万円)となりました。金融費用は、有価証券の評価損を計上したことを主な要因に440百万円(前年度22百万円)となり、当期利益1,852百万円(前年度比129.1%増)となりました。この有価証券の評価損は、中長期的な事業の種まきのために、ブロックチェーン分野における世界規模の動向調査と人脈構築を目的としてブロックチェーンスタートアップに投資するファンドに出資しておりますが、こちらについて前連結会計年度末に比べ資産価値評価が下がったことによるものです。資産価値の評価に関しては、変動リスクを考慮し、適切な安全率をかけて評価しております。なおEBITDAは、2,538百万円(前年度比235.9%増)となりました。
(財政状態に関する分析)
・資産の部
流動資産は、前連結会計年度末に比べて864百万円増加し、4,309百万円となりました。これは主に、長期借入の実行や関係会社株式の売却などにより現金及び現金同等物が998百万円増加したことや未収法人所得税が283百万円増加した一方、売掛金の減少などにより営業債権及びその他の債権が242百万円減少したこと、連結子会社が除外されたことにより棚卸資産が139百万円減少したことなどによるものであります。
非流動資産は、前連結会計年度末に比べて292百万円増加し、4,162百万円となりました。これは主に、ブロックチェーンファンドへの出資などによりその他の金融資産が676百万円増加した一方、連結子会社が除外されたことによりのれんが232百万円減少したこと、関係会社株式の売却により持分法で会計処理されている投資がなくなり164百万円減少したことなどによるものであります。
以上により、当連結会計年度末における総資産は、前連結会計年度末に比べて1,156百万円増加し、8,471百万円となりました。
・負債の部
流動負債は、前連結会計年度末に比べて230百万円減少し、893百万円となりました。これは主に、借入の実行により借入金が72百万円増加した一方、賞与引当金や未払消費税の減少によりその他の流動負債が144百万円減少したこと、買掛金の減少により営業債務及びその他の債務が96百万円減少したこと、未払法人所得税が44百万円減少したこと、リース負債が16百万円減少したことによるものであります。
非流動負債は、前連結会計年度末に比べて429百万円減少し、1,630百万円となりました。これは主に、借入金が290百万円減少したこと、事業譲受対価の支払によりその他の非流動負債が100百万円減少したこと、繰延税金負債が19百万円減少したこと、リース負債が19百万円減少したことによるものであります。
以上により、当連結会計年度末における負債の合計は、前連結会計年度末に比べて659百万円減少し、2,523百万円となりました。
・資本の部
資本合計は、前連結会計年度末に比べて1,816百万円増加し、5,947百万円となりました。これは主に、当期利益1,852百万円により、利益剰余金が1,818百万円増加したこと、有価証券の評価差額金や海外子会社の財務諸表の為替換算調整等によるその他の資本構成要素が262百万円増加した一方、非支配持分が264百万円減少したことによるものであります。
② キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容並びに資本の財源及び資金の流動性に係る情報
a.キャッシュ・フローの状況の分析
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動の結果得られた資金は、793百万円(前期は678百万円の増加)となりました。この主な要因は、税引前利益1,875百万円と、非資金項目である、減価償却費及び償却費428百万円、金融費用440百万円、営業債務及びその他の債務の増加722百万円を調整したことにより資金が増加した一方、非資金項目である、関係会社株式売却益1,903百万円、棚卸資産の増加476百万円、その他の流動資産の増加330百万円を調整したことにより、資金が減少したことによるものであります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動の結果使用した資金は、291百万円(前期は536百万円の使用)となりました。この主な要因は、連結範囲の変更を伴う子会社株式の売却による収入347百万円、投資有価証券の売却による収入77百万円により資金が増加した一方、無形資産の取得による支出314百万円、事業譲受による支出158百万円、ブロックチェーンファンドへの出資金の払込による支出127百万円を行ったこと、投資有価証券の取得による支出62百万円によるものであります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動の結果得られた資金は、375百万円(前期は307百万円の増加)となりました。この主な要因は、長期借入による収入700百万円、長期借入金の返済281百万円及びリース負債の返済43百万円を行ったことによるものであります。
b.資本の財源及び資金の流動性
当社グループの事業活動における資金需要の主なものは、運転資金及び設備投資資金(主にソフトウェア等)であり、運転資金需要の主なものは、人件費及び外注費であります。資金需要は手元資金で賄うことを基本としつつ、短期の運転資金の調達のために、必要に応じて変動金利の有利子負債による資金調達を実施しております。
当連結会計年度末における借入金及びリース負債を含む有利子負債の残高は、1,353百万円となっております。また、当連結会計年度末における現金及び現金同等物の残高は3,596百万円となっております。
当社グループの連結財務諸表は、国際会計基準(IFRS)に基づいて作成されております。なお、個々の「重要な会計方針並びに重要な会計上の見積り」と「新型コロナウイルス感染症に伴う会計上の見積り」については、「第5 経理の状況1 連結財務諸表等 連結財務諸表注記 3.重要な会計方針 4.重要な会計上の見積り及び見積りを伴う判断 5.追加情報」に記載のとおりであります。
④ 経営方針、経営戦略、経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等
当社グループは、売上高、売上成長率及び営業利益率を重視しております。当連結会計年度における売上高は7,906百万円、売上成長率は20.3%(前連結会計年度は49.8%)であります。営業利益率については、26.7%(前連結会計年度は5.4%)となりました。詳細につきましては、「(2) 経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容 ①財政状態及び経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容(事業別の振り返り)」をご参照ください。
当社は、東京本社に主要な設備があり、その内容は以下のとおりであります。
(注)1.現在休止中の主要な設備はありません。
2.従業員数の( )は、臨時雇用者数を外書しております。
3.上記の本社事務所は、他の者から賃借しており、その内容は次のとおりであります。
国内子会社は有するものの、主要な設備がないため該当事項はありません。
(注)1.現在休止中の主要な設備はありません。
2.従業員数の( )は、臨時雇用者数を外書しております。
① 【株式の総数】
(注)「提出日現在発行数」欄には、2023年3月1日から本報告書提出日までの新株予約権行使により発行された株式数は含まれておりません。
(注)1.新株予約権発行後、当社が株式分割又は株式併合を行う場合は、次の算式により付与株数を調整し、調整により生ずる1円未満の端数は切り捨てるものとします。
調整後目的株式数 = 調整前目的株式数 × 分割又は併合の比率
2.新株予約権発行後、当社が株式分割又は株式併合を行う場合、それぞれの効力発生の時をもって次の算式により払込金額を調整し、調整により生ずる1円未満の端数は切り上げるものとします。
また、行使価格を下回る価額で新株の発行を行う場合は、次の算式により払込金額を調整し、調整により生ずる1円未満の端数は切り上げるものとします。
上記の算式において、「既発行株式数」とは、当社の発行済株式総数から当社が保有する自己株式数を控除した数とし、自己株式の処分を行う場合には、「新規発行株式数」を「自己株式の処分」に、「1株当たり払込金額」を「1株当たり処分金額」と読み替えるものとします。
3.新株予約権の行使の条件
①新株予約権の割当を受けた者(以下「対象者」という。)が死亡した場合、新株予約権の相続は認められないものとします。
②対象者は、権利行使時においても、当社又は当社子会社の取締役もしくは従業員の地位であることを要します。ただし、取締役会が行使を認めた場合は、この限りではないこととします。
③その他権利行使の条件については、本新株予約権発行の取締役会決議及び株主総会決議に基づき当社と対象者との間で締結する「新株予約権割当契約」で定めるところによります。
4.新株予約権を譲渡するには、取締役会の承認を要することとします。
5.2013年8月13日付で1株を200株、2014年3月1日付で1株を5株とする株式分割を行っております。これにより「新株予約権の目的となる株式の数」、「新株予約権の行使時の払込金額」及び「新株予約権の行使により株式を発行する場合の株式の発行価格及び資本組入額」が調整されております。
該当事項はありません。
(注)1.新株予約権の行使(取締役1名、従業員5名、Oakキャピタル株式会社、モルガン・スタンレーMUFG証券)による増加であります。
2.新株予約権の行使(従業員1名)による増加であります。
3.新株予約権の行使(従業員1名)による増加であります。
4.新株予約権の行使(取締役3名、従業員12名)により、発行済株式総数が186,600株、資本金及び資本準備金がそれぞれ67,931千円増加しております。
5.2023年1月1日から2月28日までの間に、新株予約権の行使(従業員1名、個人その他)により、発行株式が18,000株、資本金及び資本準備金がそれぞれ1,800千円増加しております。
(注)自己株式280,215株は、「個人その他」に2,802単元、「単元未満株式の状況」に15株を含めて記載しております。
2022年12月31日現在
(注)上記のほか、自己株式が280,215株あります。