CYBERDYNE株式会社
CYBERDYNE Inc.
つくば市学園南二丁目2番地1
証券コード:77790
業界:精密機器
有価証券報告書の提出日:2023年6月30日

(1)連結経営指標等

回次

第15期

第16期

第17期

第18期

第19期

決算年月

2019年3月

2020年3月

2021年3月

2022年3月

2023年3月

売上収益

(百万円)

1,709

1,792

1,875

2,150

3,289

営業利益(△は損失)

(百万円)

830

1,039

700

878

1,145

税引前利益(△は損失)

(百万円)

569

91

408

389

53

親会社の所有者に帰属する

当期利益(△は損失)

(百万円)

632

152

59

498

298

親会社の所有者に帰属する

当期包括利益

(百万円)

1,480

42

479

371

131

親会社の所有者に帰属する持分

(百万円)

44,217

44,268

43,776

43,413

42,101

総資産額

(百万円)

45,746

47,808

48,119

49,467

50,187

1株当たり

親会社所有者帰属持分

(円)

205.50

205.71

203.39

201.71

199.32

基本的1株当たり

当期利益(△は損失)

(円)

2.94

0.71

0.27

2.32

1.39

希薄化後1株当たり

当期利益(△は損失)

(円)

2.94

0.71

0.27

2.32

1.39

親会社所有者帰属持分比率

(%)

96.7

92.6

91.0

87.8

83.9

親会社所有者帰属持分

当期利益率

(%)

株価収益率

(倍)

営業活動による

キャッシュ・フロー

(百万円)

775

215

775

564

143

投資活動による

キャッシュ・フロー

(百万円)

1,917

244

2,794

1,788

2,173

財務活動による

キャッシュ・フロー

(百万円)

670

1,304

617

1,248

14

現金及び現金同等物の

期末残高

(百万円)

8,796

9,636

6,704

5,677

7,801

従業員数

(名)

84

95

96

201

257

〔外、平均臨時雇用者数〕

47

56

44

47

55

(注)1.国際会計基準(以下「IFRS」という。)に基づいて連結財務諸表を作成しています。

2.株価収益率は、親会社の所有者に帰属する当期損失を計上しているため、記載していません。

3.親会社所有者帰属持分当期利益率については、親会社の所有者に帰属する当期損失を計上しているため、記載していません。

4.百万円未満を四捨五入して表示しています(以下も同様であります。)。

5.当連結会計年度において、企業結合に係る暫定的な会計処理の確定を行っており、前連結会計年度の関連する主要な経営指標等については、暫定的な会計処理の確定による取得原価の当初配分額の重要な見直しが反映された後の金額によっております。

 

(2)提出会社の経営指標等

回次

第15期

第16期

第17期

第18期

第19期

決算年月

2019年3月

2020年3月

2021年3月

2022年3月

2023年3月

売上高

(百万円)

1,530

1,595

1,663

1,564

1,715

経常損失(△)

(百万円)

734

615

521

602

545

当期純損失(△)

(百万円)

1,906

849

527

607

595

資本金

(百万円)

26,778

26,778

10

10

10

発行済株式総数

(株)

普通株式

137,445,809

B種類株式

77,700,000

普通株式

137,445,809

B種類株式

77,700,000

普通株式

137,445,809

B種類株式

77,700,000

普通株式

137,445,809

B種類株式

77,700,000

普通株式

137,445,809

B種類株式

77,700,000

純資産額

(百万円)

44,020

43,167

42,708

42,080

40,435

総資産額

(百万円)

44,740

43,899

43,295

42,663

41,531

1株当たり純資産額

(円)

204.52

200.56

198.43

195.51

191.42

1株当たり配当額

(1株当たり中間配当額)

(円)

-)

-)

-)

-)

-)

1株当たり当期純損失

(△)

(円)

8.86

3.95

2.45

2.82

2.77

潜在株式調整後1株当たり

当期純利益

(円)

自己資本比率

(%)

98.4

98.3

98.6

98.6

97.3

自己資本利益率

(%)

株価収益率

(倍)

配当性向

(%)

従業員数

〔外、平均臨時雇用者数〕

(名)

65

78

81

84

82

41

47

39

40

37

株主総利回り

(%)

45.4

40.2

42.4

24.2

18.9

(比較指標:東証マザーズ指数)

(%)

(79.2)

(64.9)

(194.0)

(65.7)

(94.8)

最高株価

(円)

1,538

753

975

695

463

最低株価

(円)

449

320

360

307

276

(注)1.潜在株式調整後1株当たり当期純利益については、潜在株式が存在するものの、1株当たり当期純損失であるため、記載していません。

2.株価収益率は1株当たり当期純損失を計上しているため、記載していません。

3.自己資本利益率については、当期純損失を計上しているため、記載していません。

4.最高株価及び最低株価は、2022年4月4日より東京証券取引所グロース市場におけるものであり、それ以前については東京証券取引所(マザーズ)におけるものであります。

 

2【沿革】

 当社代表取締役社長である山海嘉之は、1980年代後半に人・ロボット・情報系を融合複合させた新しい学術領域である「サイバニクス」(※1)を構想し、1991年頃から医療分野での活用を目指しHAL®の原理に関する基礎研究に着手し、研究開発を一貫して推進してきました。その結果、サイバニクスの研究成果として世界初の装着型サイボーグ「HAL®」(※2)が誕生しました。

 HALをはじめとする新領域「サイバニクス」の研究成果を広く社会に還元することを目的として、2004年6月にCYBERDYNE株式会社(※3)が設立されました。

 

年月

概要

2004年6月

茨城県つくば市において、CYBERDYNE株式会社を設立

2005年11月

The 2005 World Technology Summit & Awards(2005年世界技術大賞), IT Hardware部門において大賞を受賞(※4)

2007年6月

CYBERDYNE株式会社、代表取締役社長山海嘉之及び筑波大学知的財産統括本部の三者が、「身体機能を拡張するロボットスーツHAL®」の開発で経済産業大臣賞を受賞

2009年1月

HAL®福祉用の初期モデルの製造販売を開始

2009年7月

サイボーグ型ロボット技術の発明(特許4178186号)が、全国発明表彰(※5)21世紀発明賞を受賞

2010年6月

HAL®福祉用の現行モデルの製造販売を開始

2012年12月

ISO13485(医療機器の品質マネジメントシステムの国際標準規格)を、世界初のロボット治療機器の設計開発・製造・販売業者として、認証取得(第三者認証機関:UL 認証番号:A18103)

2013年2月

HAL®福祉用が、世界で初めて生活支援ロボットの国際安全規格ISO/DIS13482の認証を取得(第三者認証機関:一般財団法人日本品質保証機構 認証番号:JQA-KC12624)

2013年4月

鈴鹿ロボケアセンター株式会社(現連結子会社)を三重県鈴鹿市に設立

2013年6月

HAL®医療用下肢タイプ(以下、「医療用HAL®」)が、世界初のロボット治療機器として、MDD(欧州医療機器指令)の適合性評価を受け、EU域内において医療機器として認証取得(第三者認証機関:TÜV Rheinland。認証番号DD 60085735 0001)

2013年7月

CEマーキング(※6)が表示された医療用HAL®を医療機器としてEU域内へ出荷開始

2013年8月

湘南ロボケアセンター株式会社(現連結子会社)を神奈川県藤沢市に設立

ドイツにCyberdyne Care Robotics GmbH(現連結子会社)を設立し、医療用HAL®を利用した脳神経筋疾患の患者に対するサイバニクス治療(※7)の事業を開始

DGUV(Deutsche Gesetzliche Unfallversicherung:ドイツ法的損害保険)が、医療用HAL®によるサイバニクス治療に、公的労災保険の適用を認可

2013年9月

大分ロボケアセンター株式会社(現連結子会社)を大分県別府市に設立

2014年3月

東京証券取引所マザーズに上場

2014年9月

HAL®腰タイプ 作業支援用の製造販売を開始

2014年11月

HAL®腰タイプ 作業支援用及びHAL®腰タイプ 介護支援用が、作業者及び介護者向けの装着型ロボットとしては世界で初めて生活支援ロボットの国際安全規格ISO13482:2014の認証を取得(第三者認証機関:一般財団法人日本品質保証機構 認証番号:JQA-KC14001及びJQA-KC14002)

2015年2月

HAL®自立支援用単関節タイプの製造販売を開始

HAL®腰タイプ 作業支援用及びHAL®腰タイプ 介護支援用が、欧州機械指令に適合し、作業者及び介護者向けの装着型ロボットとして世界初のCEマーキングを表示

2015年3月

HAL®腰タイプ 介護支援用の製造販売を開始

AI搭載自動搬送ロボットの製造販売を開始

2015年11月

医療用HAL®について、厚生労働省より医療機器として製造販売承認を取得(対象疾患:神経・筋難病8疾患)

2016年1月

医療用HAL®による神経・筋難病疾患に対するサイバニクス治療について、中央社会保険医療協議会総会において世界で初めて公的医療保険適用が決定

2016年8月

米国にCYBERDYNE USA Inc.(現連結子会社)を設立

2016年9月

医療用HAL®による神経・筋難病疾患に対するサイバニクス治療について、ロボット治療として世界で初めての公的医療保険による診療が開始

2017年2月

第3回日本ベンチャー大賞(※8)において内閣総理大臣賞を受賞

2017年10月

HAL®腰タイプ 自立支援用の製造販売を開始

 

 

年月

概要

2017年12月

医療用HAL®について、米国食品医薬品局(FDA)より医療機器承認を取得(対象疾患:脊髄損傷)

2018年3月

米国へのサイバニクス治療の展開を開始

次世代型清掃ロボットCL02の製造販売を開始

2018年7月

サイバニクス・エクセレンス・ジャパン1号投資事業有限責任組合 (CEJファンド)を設立

2018年9月

Cyin®福祉用の製造販売(一般販売)を開始

2018年11月

APAC(アジア太平洋)地域へのサイバニクス治療の展開を開始

2019年10月

HAL®医療用単関節タイプが、MDD(欧州医療機器指令)の適合性評価を受け、EU域内において医療機器として認証取得(第三者認証機関:TÜV Rheinland。認証番号DD 60141731 0001)

2019年12月

「サイバニクス産業」始動をテーマに、サイバニクスEXPOを東京国際フォーラムにて初めて開催

2020年4月

個人向け在宅サービス「自宅でNeuroHALFIT」の提供開始

2020年4月

次世代型多目的ロボット化生産拠点(福島事業所)が医療機器製造業登録

2020年7月

HAL®医療用単関節タイプが、日本における医療機器認証を取得

2020年10月

医療用HAL®について、米国食品医薬品局(FDA)より脳卒中と進行性神経・筋難病に対して医療機器承認を取得(適応拡大)

2021年12月

米国カリフォルニア州のRISE Healthcare Group, Inc.を連結子会社化

2022年2月

マレーシアにCYBERDYNE MALAYSIA SDN.BHD.(現連結子会社)を設立

2022年4月

東京証券取引所の市場区分の見直しにより、東京証券取引所のマザーズ市場からグロース市場に移行

2022年10月

医療用HAL®について、厚生労働省より適応追加に係る医療機器承認を取得(対象疾患:HTLV-1関連脊髄症(HAM)および遺伝性痙性対麻痺)

2023年3月

ドイツのLeyLine GmbHを連結子会社化

 

事業展開に至る背景

 1970-80年代は、日本が産業用ロボットを国内外に展開し始めた時期ですが、現場の専門家の積極的なロボット導入への挑戦が原動力となり、ロボット技術は産業界を大きく変革する革新技術へと発展することとなりました。改良が続けられた「ロボット技術」と「現場での活用技術の開拓」によって、国産の産業用ロボットは1990年代半ばまで世界シェアの6割以上(一般社団法人日本ロボット工業会「世界の産業用ロボット稼働台数」より)を占めるまでに至りました。

 現在、先進各国は高齢化に直面していますが、そこには新産業創出の機会として、産業用ロボットが成し遂げた製造現場における革命と同様のパラダイムシフトが、医療・福祉・生活・職場・生産の各分野でおこる可能性があります。当社グループは、このような背景のもと、「人」+「サイバー・フィジカル空間」(HCPS: Human-Cyber-Physical Space)を融合する「サイバニクス技術」を駆使して、人とテクノロジーが共生し相互に支援し合う「テクノ・ピアサポート社会」の実現、ロボット産業・IT産業につづく新産業「サイバニクス産業」の創出による社会変革・産業変革を目指しています。

 

 

用語解説

※1.サイバニクス(Cybernics)

 サイバニクスとは、Cybernetics(人と機械の共通の情報処理理論、人工頭脳学), Mechatronics(機械電子工学), Informatics(情報学/IT)を中心に、脳・神経科学、行動科学、ロボット工学、IT、システム統合技術、生理学、心理学、哲学、倫理、法律、経営など、人・ロボット・情報系の融合複合分野を扱うことを目的として構築された新しい学術領域のことです。実問題は様々な課題が混在した複合課題であり、従来の縦割りの科学技術のみからのアプローチでの解決は極めて困難ですが、サイバニクスは人や社会の課題を総合的・複眼的に扱うことができるため、複合課題の解決に威力を発揮します。1987年から1989年にかけて、筑波大学の山海嘉之がサイバニクスの基本構想をまとめ、2007年には文部科学省を中心に最も強化する教育研究領域としても展開されてきました。

0101010_001.png

 

 

※2.HAL®(ハル)

 人の身体機能を改善・補助・拡張・再生するために研究開発された世界初の装着型サイボーグです。HAL®は、Hybrid Assistive Limb の略です。Hybridは「混在」を意味し、人とロボットの混在、随意制御系と自律制御系の混在などの意味が重ねられています。Assistiveは「支援」を意味し、Limbは「腕、脚などの四肢」を意味します。HAL®は、このような語源として構成されましたが、HAL®の原理を活用する関連機器に対してもHAL®という呼び方が使われることもあります。HAL®の研究開発に関しては、1991年から基礎研究が始まり、HAL®の原理づくりの段階から、医療用途を目指して研究開発を推進してまいりました。基礎技術が確立できてきた後、医学的効果効能を有する医療機器化に向けて、基礎研究開発、試作・評価、安全技術開発・安全評価技術開発、臨床研究・臨床評価、国際連携、標準化、治験、保険適用に至る様々な取り組みが行われてきました。下肢タイプの医療用、自立支援用、腰タイプの介護・自立支援用、作業支援用、単関節タイプの医療用、自立支援用など、様々な種類のHAL®が展開されています。

 

※3.CYBERDYNE(サイバーダイン)株式会社

 新領域「Cybernics(サイバニクス)」を駆使した革新技術と力を意味するDyne(ギリシア語に由来)を組み合わせ、サイバニクスにより生み出される力、という意味を込めてCYBERDYNEと命名しました。

 

※4. The World Technology Summit & Awards

 タイム誌、フォーチュン、CNNによって2000年から開催されており、各分野において「長期にわたって最も優れた価値をもたらし得る」革新的な取組みを行った個人や企業を称えるものです。

 

※5.全国発明表彰

 大正8年、日本の科学技術の向上と産業の発展に寄与することを目的に始まり、以来、日本を代表する幾多の研究者、科学者の功績を顕彰するものです。自動車やIT等の分野も含め全ての分野の中から著しく優秀と認められ、最高の特許との評価を受け常陸宮殿下から表彰を賜りました。

 

※6.CEマーキング

 欧州連合(EU)地域に販売される指定の製品に貼付を義務づけられる基準適合マークのことです。CEマーキング表示のある製品は、EU域内の自由な販売・流通が保証されます。医療用HAL®は、MDD(欧州医療機器指令)の適合性評価を受け、EUにおいて医療機器としてCEマーキングを表示しています。

 

※7.サイバニクス治療(Cybernic Treatment)

 サイバニクス治療は、サイバニクス技術を駆使して研究開発されたHAL®等により実現される「機能再生医療」であり、脳・神経・筋系の機能改善・機能再生を促進する革新的治療技術です*。HAL®は人の脳神経系からの運動意思情報で動作し、筋紡錘などの感覚神経を賦活化させることで脳神経系と筋骨格系の間での神経情報伝達ループを構成し、インタラクティブなバイオフィードバックを成立させます。これにより、機能障害を有し運動に必要な筋力の発揮が難しい患者であっても、脳・神経・筋系に過剰な負担をかけることなく脳からの運動意思と同期した実際の運動を何度も繰り返し実現させることができるため、機能改善・機能再生の促進が可能となります。患者の神経情報や運動情報等に関するHAL®の各種パラメータの調整機能によって、医師は患者の脳神経系と筋骨格系の神経情報伝達ループを適切に回すことができるよう治療的に介入することができるようになります。

 HAL®による治療は、日本において薬事承認され診療報酬上の新しい治療技術として保険収載されています。

 *サイバニクス治療は、医療用HAL®に限らずサイバニクス技術を駆使した様々な形態のメディカルサイバニックシステム(サイバニックインタフェース/サイバニックデバイス等)によっても実施可能です。

 

※8.日本ベンチャー大賞

 経済産業省などが主催する、若者などのロールモデルとなるような、インパクトのある新事業を創出した起業家やベンチャー企業を表彰し称える制度です。当社が受賞した「内閣総理大臣賞」は、事業の新規性や革新性、グローバル市場への進出や社会課題の解決といった事業のビジョンなどに関し、最も評価の高いベンチャー企業に対して付与されるものです。

 

 

3【事業の内容】

 当社グループは、『人』+『サイバー・フィジカル空間』を一体的に扱う新領域「サイバニクス(人・ロボット・AI/情報系の融合)」を駆使して、誰ひとり取り残さないイノベーションによって人とテクノロジーが共生し相互に支援し合う「テクノピアサポート社会」の実現、ロボット産業、IT産業につづく新産業「サイバニクス産業」の創出による社会変革・産業変革を目指しています。

 

(1) サイバニクス技術による事業分野

 当社グループは、IoH/IoT(ヒトとモノのインターネット)、ロボット、AIによるサイバニクス技術で医療、福祉、生活、職場、生産を繋ぎ、社会が直面する課題解決を実現する「サイバニクス産業」という人・ロボット・情報系が複合融合した新産業の創出を事業としています。具体的には、現在、下記のような事業を展開しています。

 

① 医療分野向けサイバニックシステム等の研究開発、製造、販売に関する事業

② 福祉分野向けサイバニックシステム等の研究開発、製造、販売に関する事業

③ 生活・職場・生産分野向けサイバニックシステム等の研究開発、製造、販売に関する事業

④ サイバニクス技術を活用したサイバニック治療サービス事業及びトレーニングサービス事業

 

 

(2) 中核技術としてのHAL®の動作原理と制御方法

 HAL®は、人が装着して利用します。HAL®の技術は様々な分野で利用でき、当社グループの事業の中核となるものです。HAL®は、装着者の脳神経系からの動作意思を反映した微弱な生体電位信号(Bio-Electrical Signal:BES)で機能する「サイバニック随意制御系」、姿勢や重心バランス等の装着者の動作情報を人工知能処理し機能する「サイバニック自律制御系」、装着者の人間特性に適応調整される「サイバニックインピーダンス制御系」、及びこれらを組み合わせた「サイバニックハイブリッド制御系」などで構成される革新的サイバニックシステムです。

 人が体を動かそうとする際、その運動意思は微弱なイオン電流の神経系指令信号として、脳、脊髄、運動神経、筋肉へと伝達され、最終的に筋骨格系が動くことになります。その際、微弱な生体電位信号が皮膚表面にも到達してくるので、これを検出できれば運動意思を捉えたことになります。HAL®はこの微弱な生体電位信号を装着者の皮膚表面に貼付けられたセンサーで検出し、これを活用して機能します。これにより、装着者が身体を動かそうとすると、その運動意思に従ってHAL®が駆動します。HAL®は身体に密着しているため、装着者の意思によって駆動すると同時に、脚などの装着部位を動かすことになり、筋紡錘(※1)からの求心性ニューロン(※2)の信号が感覚神経、脊髄を経て脳に戻る(フィードバックされる)ことになります。更に、このような体内の感覚神経系情報に加え視聴覚情報も脳にフィードバックされることになります。このようにして、「脳→脊髄→運動神経→筋肉→HAL®」、そして、「HAL®→筋紡錘→感覚神経→脊髄→脳」という脳と身体とHAL®との間でインタラクティブなバイオフィードバックが構成されることになります。

 これが基本的な「サイバニック随意制御」であり、機能的に人間とロボットとを一体化させることに成功した新しい制御手法の動作原理の一つです。また、重度の運動機能障害を有する場合、特に、生体電位信号がまだ検出できないような状態では、「サイバニック随意制御」が機能しないため、人間の基本運動パターンや動作メカニズムの解析結果を元に予め準備されたプログラムによってロボットのように動作する「サイバニック自律制御」が機能します。また、HAL®の質量・慣性モーメント・粘性摩擦等の機械インピーダンスを補償し、装着感に関する物理パラメータを任意に調整することができるサイバニックインピーダンス制御も組み込まれています。目的に応じて、これらの制御を自在に組み合わせたサイバニックハイブリッド制御を構成できることがHAL®の大きな特徴です。

 

 

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図1 HAL®の動作原理

 

 

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図2 HAL®の制御方法

 

※1.筋紡錘

 筋肉の内部の紡錘型の筋繊維にらせん状に巻き付いている感覚受容器です。筋肉の長さや張力に応じて神経伝達物質が生じるため関節の角度や身体の姿勢や筋肉が発揮している力などの身体の内部の感覚を起こします。

 

※2.求心性ニューロン

 末梢の感覚受容器からの刺激を脊髄や脳など中枢に伝達する知覚神経のニューロンです。

HAL®に関する主な学術論文は、下記のとおりです。

(脊髄損傷)

・“Feasibility, safety, and functional outcomes using the neurological controlled Hybrid Assistive Limb exoskeleton (HAL®) following acute incomplete and complete spinal cord injury – Results of 50 patients”The Journal of Spinal Cord Medicine (2023)

・“Feasibility, safety, and functional outcomes using the neurological controlled Hybrid Assistive Limb exoskeleton (HAL®) following acute incomplete and complete spinal cord injury – Results of 50 patients”The Journal of Spinal Cord Medicine (2023)

・“Gait ability required to achieve therapeutic effect in gait and balance function with the voluntary driven exoskeleton in patients with chronic spinal cord injury: a clinical study The International Spinal Cord Society (2019)

・“Functional Outcome of Neurologic―Controlled HAL―Exoskeletal Neurorehabilitation in Chronic Spinal Cord Injury: A Pilot With One Year Treatment and Variable Treatment Frequency” Global Spine Journal (2017)

・“Against the odds: what to expect in rehabilitation of chronic spinal cord injury with a neurologically controlled Hybrid Assistive Limb exoskeleton. A subgroup analysis of 55 patients according to age and lesion level”Neurosurgical Focus (2017)

・“The Effectiveness and Safety of Exoskeletons as Assistive and Rehabilitation Devices in the Treatment of Neurologic Gait Disorders in Patients with Spinal Cord Injury: A Systematic Review” Global Spine Journal (2016)

・“Voluntary driven exoskeleton as a new tool for rehabilitation in chronic spinal cord injury : A pilot study” The Spine Journal (2014)

・“Locomotion training using voluntary driven exoskeleton (HAL) in acute incomplete SCI” Neurology (2014)

 

(脳卒中)

・“Combined therapy using botulinum toxin A and single-joint hybrid assistive limb for upper-limb disability due to spastic hemiplegia”, Journal of the Neurological Sciences (2017)

・“Gait training with Hybrid Assistive Limb enhances the gait functions in subacute stroke patients: A pilot study”, NeuroRehabilitation (2017)

・“Gait training of subacute stroke patients using a hybrid assistive limb: a pilot study” NeuroRehabilitation (2017)

・“Tailor-made rehabilitation approach using multiple types of hybrid assistive limb robots for acute stroke patients: A pilot study”, Assistive Technology (2016)

・“Feasibility and efficacy of high-speed gait training with a voluntary driven exoskeleton robot for gait and balance dysfunction in patients with chronic stroke: nonrandomized pilot study with concurrent control”, International Jounal of Rehabilitation Research (2015)

・“Gait training early after stroke with a new exoskeleton ― the hybrid assistive limb: a study of safety and feasibility” Journal of Neuro Engineering and Rehabilitation (2014)

・“Pilot study of locomotion improvement using hybrid assistive limb in chronic stroke patients” BMC Neurology (2013)

 

(神経・筋難病)

・“Effects of Long-term Hybrid Assistive Limb Use on Gait in Patients with Amyotrophic Lateral Sclerosis”Internal Medicine (2022)

・“Robot-assisted training using hybrid assistive limb ameliorates gait ability in patients with amyotrophic lateral sclerosis”, Journal of Clinical Neuroscience (2022)

・“Cybernic treatment with wearable cyborg Hybrid Assistive Limb (HAL) improves ambulatory function in patients with slowly progressive rare neuromuscular diseases: a multicentre, randomised, controlled crossover trial for efficacy and safety (NCY-3001)”, Orphanet Journal of Rare Diseases (2021)

 

(その他)

・“Biofeedback Core Exercise Using Hybrid Assistive Limb for Physical Frailty Patients With or Without Parkinson's Disease”, Frontiers in Neurology (2020)

・“Feasibility of rehabilitation using the single-joint hybrid assistive limb to facilitate early recovery following total knee arthroplasty: A pilot study”, Assistive Technology (2017)

・“Feasibility of rehabilitation training with a newly developed wearable robot for patients with limited mobility” Archives of Physical Medicine and Rehabilitation (2013)

 

(3) 当社グループ製品の内容

 当社グループでは、多様な分野において製品開発を推進していますが、現時点での当社グループの事業は

HAL®が中心となっています。HAL®は、その使用目的別に、①医療分野での患者の身体機能改善/機能再生を目的としたロボット治療機器、②介護福祉分野での自立支援を目的とした福祉機器や生活支援機器、③介護施設や建設・工場など重作業現場での作業者に対する作業支援機器などとして、人が装着して活用することで様々な用途展開を可能とするものです。HAL®以外には、AIを搭載した搬送ロボットや除菌・清掃ロボット「CL02」を製品化しています。また、心活動、脳活動、体温、SpO2、活動量など様々なヘルスケアデータを日常的に集積・解析・AI処理する超小型バイタルセンサー「Cyvis(サイビス)」シリーズなどの製品化を行っています。

 

(4) 当社グループの事業系統図

 以上に述べた事項を、以下の事業系統図に示します。なお、当社グループのセグメントはロボット関連事業のみの単一セグメントです。

 

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4【関係会社の状況】

2023年3月31日現在

 

名称

所在

資本金

主要な事業の内容

議決権の

所有

(又は

被所有)

割合

(%)

関係内容

(連結子会社)

 

 

 

 

 

(海外)

 

 

 

 

 

Cyberdyne Care

Robotics GmbH

ドイツNRW州

ボーフム市

25,000

EUR

HAL®を利用した

機能改善治療サービス、HAL®の外販

100.0

HAL®の賃貸借、

資金の貸付、

役員の兼任 有

CYBERDYNE USA Inc.

アメリカ

合衆国

カリフォルニア州

14,100,000

USD

米国における当社事業の統括・推進

100.0

HAL®の賃貸借、

役員の兼任 有

RISE Healthcare Group.Inc

アメリカ

合衆国

カリフォルニア州

990,748

USD

医療機関(外来理学療法クリニック)の統括・管理

80.0

(80.0)

資金の貸付

役員の兼任 有

CYBERDYNE MALAYSIA

SDN.BHD.

マレーシア

クアラルンプール

1,000,000

MYR

アジア太平洋地域における当社事業の推進

100.0

役員の兼任 有

LeyLine GmbH

ドイツNRW州

ボーフム市

56,250

EUR

PETRONAS MIE Racing Honda Teamの運営、開発、製造、人材育成

63.6

資金の貸付

役員の兼任 無

(国内)

 

 

 

 

 

鈴鹿ロボケアセンター

株式会社

三重県

鈴鹿市

3百万円

HAL®を活用した

トレーニング事業

100.0

HAL®の賃貸借、

資金の貸付、

役員の兼任 有

湘南ロボケアセンター

株式会社

神奈川県

藤沢市

3百万円

HAL®を活用した

トレーニング事業

100.0

HAL®の賃貸借、

資金の貸付、

役員の兼任 有

大分ロボケアセンター

株式会社

大分県

別府市

3百万円

HAL®を利用した

トレーニング事業

100.0

HAL®の賃貸借、

資金の貸付、

役員の兼任 有

株式会社C2

東京都

文京区

10百万円

スマートフォン向けヘルスケアアプリ「熟睡アラーム」の開発運営

100.0

役員の兼任 無

資金の貸付

CEJキャピタル株式会社

茨城県

つくば市

45百万円

サイバニクス・エクセレンス・ジャパン1号投資事業有限責任組合の管理・運営

60.0

 

役員の兼任 有

 

サイバニクス・エクセレンス・ジャパン1号投資事業有限責任組合

(注)2.

東京都

渋谷区

7,920百万円

サイバニクス産業の創出を目的とした投資ファンド関連事業

60.0

(60.0)

 

役員の兼任 有

 

 

 

 

 

 

 

その他5社

 

 

 

 

 

 

名称

所在

資本金

主要な事業の内容

議決権の

所有

(又は

被所有)

割合

(%)

関係内容

(持分法適用会社)

 

 

 

 

 

CYBERDYNE Omni Networks

株式会社

茨城県

つくば市

160百万円

サイバニクス分野における IoH/IoT に関する通信事業、通信デバイス提供、及びこれに関連するサービス事業

49.0

役員の兼任 有

株式会社志成データム

東京都

町田市

150百万円

医療用電子血圧計等

の設計・開発・製造

32.0

役員の兼任 無

 

(注)1. 有価証券届出書又は有価証券報告書を提出している会社はありません。

2. 議決権の所有割合の( )内は、間接所有割合で内数です。

5【従業員の状況】

(1)連結会社の状況

 当社グループの事業は単一事業であるため、グループ全体での従業員数を記載しています。

2023年3月31日現在

 

従業員数(名)

25755

(注)1.従業員数は就業人員であり、正社員及び出向社員の人数です。

2.従業員数欄の〔外書〕は、臨時従業員(契約社員及びパート)の年間の平均人員です。

3.従業員数が当連結会計年度において56名増加しておりますが、これは主に連結子会社の増加及び事業の拡大によるものであります。

 

(2)提出会社の状況

 

 

 

 

2023年3月31日現在

従業員数(名)

平均年齢(歳)

平均勤続年数(年)

平均年間給与(千円)

82

37

43.7

7.6

6,119

(注)1.従業員数は就業人員であり、正社員及び出向社員の人数です。

2.従業員数欄の〔外書〕は、臨時従業員(契約社員及びパート)の年間の平均人員です。

3.平均年間給与は、賞与及び基準外賃金を含んでいます。

4.当社は単一事業分野において事業を行っているため、従業員数は全社共通としています。

 

(3)労働組合の状況

 労働組合は結成されていませんが、労使関係は円滑な関係にあり特記すべき事項はありません。

 

1【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】

文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものです。

(1) 会社の経営の基本方針

当社グループは、山海嘉之が創出したサイバニクス技術を駆使して、社会が直面する様々な課題を解決するため、革新技術(イノベーション技術)の創出と基礎的研究開発から社会実装までを一貫した事業スキームとして事業展開します。即ち、革新技術の創生と新産業(サイバニクス産業)創出による市場開拓、これらの挑戦を通じた人材育成の3本柱を上向きにスパイラルを描くように同時展開する未来開拓型企業を目指しています。

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(2) 経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等

当社グループは、研究開発型企業として革新的製品の研究開発や臨床・実証研究及び各種認証取得を推進し、その製品の上市やサービス展開によって収益を確保することにより、持続的な成長を図ってまいります。

 当社グループでは、経営上の重要な非財務指標として、HAL®等の稼働台数を活用しています。

 当社グループの主たる収益源は、HAL®等のレンタル・保守に係る売上であり、レンタル・保守契約に係る売上は、レンタル期間にわたり収益が計上されるため、翌会計年度以降にわたる継続的な収益計上が見込まれます。

 当社グループは、現在の業績や将来の見通しを把握することを目的として、HAL®等の稼働台数を取締役会へ報告しています。

 最近5年間のHAL®等の稼働台数の推移は、本書「第一部 企業情報 第2 事業の状況 4.経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (6) 経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容 ⑤ 経営上の重要な非財務指標」に記載のとおりです。

 

(3) 事業上及び財務上の対処すべき課題

当社グループは、「サイバニクス産業」の創出の加速に向けて、研究・製品開発、事業推進並びに事業連携を同時並行で進めていますが、対処すべき課題は、次のように考えています。

① ポストコロナ時代に対する新たな取り組み

新型コロナウイルス感染症の影響により人々の行動や生活様式かがパラダイムシフト的に変化する中にあって、当社グループのサイバニクス技術は、ポストコロナ時代の社会課題の解決にも有用な技術であり、すでに様々なソリューションを提供しています。当社グループは事業環境に大きな制約が課されたコロナ禍において、感染リスクの高い医療現場でも遠隔からサポートできるサイバニック・デバイス(医療分野)、外出自粛の環境下におけるフレイル・ロコモ予防のための個人向けの在宅プログラム(福祉分野)、空港や駅などの交通インフラにおいて世界最先端の自律走行技術を搭載した除菌消毒作業ロボット(生活・職場分野)など、様々な分野において当該サイバニクス技術を投入してきました。当社グループは、ポストコロナ時代の新たな社会においても人や社会に役立つ革新的サイバニクス技術を駆使することで、『人』+『サイバー・フィジカル空間』が融合した未来社会「Society5.0/5.1」の実現をより一層加速してまいります。

 

② 革新技術・新産業創出のための研究・製品開発

当社グループが目指す「サイバニクス産業」の創出のためには、社会が直面する課題の解決に向けたIoH/IoT(ヒトとモノのインターネット)、AIロボット、AI情報系、HCPS融合等の各種サイバニクス技術の継続的な研究開発・製品開発が必要となります。当社の先端技術の独自性と優位性は、人の内的情報(脳神経情報・生理情報など)に加えて、人の外的情報(行 動情報・生活情報など)や環境情報をスーパーコンピューターで一体的に繋げる点にあります。当社グループは、国内外の大学・研究機関、医療機関、行政機関、企業等と連携し、引き続き、最先端サイバニクス技術を駆使したサイバニックシステム(サイバニックデバイス、サイバニックインタフェースなど)の研究開発・製品開発、さらにサイバニックシステムから得られるIoH/IoTビッグデータの集積・解析・AI処理を実現する統合サイバニックシステムの構築を推進してまいります。

 

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③ サイバニクス治療の臨床試験の推進

世界初の装着型サイボーグHAL®を利用した脳・神経・筋系の機能改善・機能再生を促進するサイバニクス治療のグローバルな標準治療化のために、各種臨床試験を通じてサイバニクス治療の有効性と安全性の確認が必要となります。日本国内においては、2015年11月にHAL®医療用下肢タイプが8つの神経・筋難病疾患に対して「新医療機器」として医療機器承認を取得していますが、2020年11月に5年間に渡る市販後の使用成績調査を終了し、実際の臨床使用において極めて高い有効性と安全性を示す結果が得られました。また、HTLV-1関連脊髄症(HAM)等の痙性対麻痺症を対象に行った医師主導治験結果をもとに、適用疾患の拡大の承認を2022年10月に取得しました。脳卒中に関しては、日本での医療機器承認(適応拡大)・公的医療保険適用に向けて、医療用HAL®下肢タイプ(単脚 モデル)の医師主導治験(HIT2016試験)を計画した2014〜2015年と比べ、脳卒中急性期治療や回復期リハビリテーションを取り巻く診療状況に大きな変化が見られることから、最新の患者像や臨床ニーズを捉えた追加試験(治験)の実施を検討しています。本治験の有効性と安全性の評価結果は、各国での医療保険の適用申請にも有用なデータになると考えています。また、2022年1月に小児脳性麻痺に対する医師主導治験が開始いたしました。当社グループは、国内外での適用疾患の拡大や他のタイプのHAL®(単関節タイプや腰タイプ)の医療機器化に向けて、国内外の主要な医療機関との連携を強化し、各種臨床試験を推進してまいります。

 

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④ グローバルでの医療機器承認の取得

 HAL®のグローバル展開に向けては、世界各国における医療機器の承認取得が必要となります。HAL®医療用下肢タイプは、米国食品医薬品局(FDA)により、2020年10月に従来の脊髄損傷に加えて脳卒中や神経筋難病疾患に対して医療機器承認を取得しました。さらに、APAC(アジア太平洋)の主要国を中心に医療機器化を推進しており、2019年10月以降、マレーシア、タイ、インドネシア、シンガポール、オーストラリアで幅広い疾患に対して医療機器承認を取得しています(台湾では脊髄損傷のみ)。また、HAL®医療用単関節タイプは、2019年10月に、第三者認証機関であるTÜV Rheinlandより医療機器の認証(欧州医療機器指令への適合に対する認証)を取得し、米国、およびAPACの主要国(タイ、インドネシア、オーストラリアなど)でも医療機器化が進みました。サイバニクス治療を必要とする方々へ革新的治療技術を届けられるよう、承認や許認可関連の規制の枠組みを世界的に主導している日米欧の各国において医療機器化を達成した当社の臨床開発実績を活かしつつ、引き続きグローバルでの展開を推進してまいります。

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⑤ 世界各国での保険適用

 HAL®のグローバルな普及拡大を進めるためには、各国における公的及び民間保険の適用が必要となります。日本では、HAL®医療用下肢タイプ(両脚モデル)について、8つの神経・筋難病疾患に対して2016年9月から公的医療保険による治療が開始されており、2022年4月の診療報酬改定においては、関連する医学会(日本神経治療学会) からの医療技術評価提案を受け、DPC対象病院においても出来高評価となるとともに増点が認められました。また、並行して民間保険会社とも連携し、医療保険及び介護保険(大同生命)や損害保険(AIG、損保ジャパン)への適用や付帯が始まっています。米国では、民間保険の適用に向けて、パートナー医療機関との連携を進めています。欧州では、EU最大の医療機器市場であるドイツにおいて、HAL®医療用下肢タイプによる治療費の全額が公的労災保険に収載されていますが、公的医療保険の適用を目指し、欧州の主要な国での申請準備を継続しています。ドイツにおいては公的医療保険適用の審査手続きが一段階進み、公的医療保険が先行適用される臨床試験の実施が決定し、試験の準備が進められています。また、ドイツやポーランドでは、脊髄損傷患者に対して大手民間保険会社による保険適用が開始されていますが、引き続き各国の民間保険会社との協議を進めてまいります。

 

⑥ 自立支援のための個人向けサービス強化

 現在、日本は超高齢社会となり、65歳以上の高齢者が2021年10月1日現在約3,621万人(総人口の28.9%)、介護保険制度における要介護者又は要支援者は2019年度末で約655.8万人(※1)となっており、年々増加傾向にあります。当社グループは、主に高齢者の要介護度の改善や重度化防止及び加齢による身体機能が低下するフレイルの予防や自立維持に向けて、歩行機能向上の促進を目的とする「下肢タイプ」、肘・膝の関節運動に対応した「単関節タイプ」、体幹・下肢機能向上の促進を目的とする「腰タイプ」など様々な種類のHAL®自立支援用モデルを展開しています。HAL®を使用した脳・神経・筋系の機能改善を促す「Neuro HALFIT」プログラムを提供するロボケアセンターの拠点拡大に加えて、自宅でも「Neuro HALFIT」ができる新たな個人向けサービスの更なる充実を2020年4月より開始しています。当社グループは、個人の方に対して、日常的に脳神経・筋系の機能の向上を促し、自立度を高め、要介護予防をサポートする取り組みを引き続き進めてまいります。

 

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⑦ 事業推進体制の強化及び未来開拓型人材の育成

 当社グループの製品は、統合サイバニックシステムとして全体が統合されているため、医療・福祉・生活・職場・生産の各分野、経営・事業開発・研究開発・生産・営業等の各機能において、高度な専門人材を集積するとともに、全体を統合し一体的に事業推進するコア人材を強化することが必要となります。当社グループの事業領域の拡大、製品・サービスの拡充、グローバル展開の進展に伴い、事業推進体制を柔軟に変化させ、強化することが可能な組織及び人事制度を構築し、出口指向の発想力、自分の責任領域にこだわらない適応性・柔軟性、そして目標達成の観点から必要とあれば、たとえ異分野であってもその専門家となって推進する突出した能力を持つ未来開拓型人材の登用・育成を進めてまいります。

※ 出典 内閣府「令和4年版 高齢社会白書」

 

 

3【事業等のリスク】

 当社グループの事業展開その他に関してリスク要因となる可能性があると考えられる主な事項を以下に記載しています。また、必ずしもそのようなリスク要因に該当しない事項につきましても、投資家の投資判断上、重要であると考えられる事項については、投資家に対する積極的な情報開示の観点から以下に開示しています。なお、当社グループは、これらのリスク発生の可能性を認識した上で、発生の回避及び発生した場合の対応に努める方針ではありますが、本株式に関する投資判断は、本項及び本書中の本項以外の記載事項を慎重に検討した上で、行われる必要があると考えています。

 また、以下の記載は本株式への投資に関連するリスク全てを網羅するものではありませんので、この点にご留意ください。なお、当該記載事項は本書提出日現在における当社グループの認識を基礎とした記載であり、将来の環境変化等によって当該認識は変化する可能性があります。

 

1.当社グループの事業遂行上のリスク

(1) 当社グループの事業が新しい事業領域であることについて

 当社グループの主力製品であるHAL®は、当社の代表取締役社長山海嘉之が開発した世界初の装着型サイボーグです(注1)。当社グループは、現状、日本、欧州、米国、APAC(アジア太平洋)、中近東において医療用HAL®を、国内においてHAL®福祉用(下肢タイプ)、HAL®自立支援用(下肢タイプ・単関節タイプ・腰タイプ)、HAL®腰タイプ 介護支援用・作業支援用等を事業展開しています。当社グループの技術は、医療・介護福祉分野、生活・重作業分野、エンターテインメント分野等さまざまな領域に活用できると考えていますが、従来にない新しい事業領域であることによる不確実性が高く、市場が順調に成長する保証はなく、また当社グループ製品の市場への浸透が計画どおりに進まないあるいは収益性を確保することができない場合等には、当社グループの経営成績、財政状態及び今後の事業展開に影響を及ぼす可能性があります。

 

(2) 競争について

 当社グループは、HAL®を中心として、医療、福祉、生活、職場、生産分野での事業展開を行っています。現在、国内外の企業により自律制御を用いた装着型ロボットの開発が行われていますが、人間の脳から発する生体電位信号を活用するサイバニック随意制御技術は当社グループ独自(注2)のものであり、差別化による当社グループ製品の優位な競争力は保たれていると認識しています。サイバニック随意制御技術の基本特許をはじめとするHAL®の知的財産については、当社グループと国立大学法人筑波大学が特許を共同保有しています。当社グループは、国内外の様々な企業が装着型ロボットの研究や実用化を進めており、また、巨大なテクノロジー企業を含む多数の企業が商業用ロボットの分野に新規参入するなど、当社グループを取り巻く競争環境は変化しており、競合他社が当社グループと比べて、資本、人材、コスト構造の効率性、ブランド、製品の多様性等の点において、より競争優位性を有する可能性があります。HAL®のような先進的技術を用いた製品の開発、実証試験、安全規格認証や医療機器認証の取得及び保険適用等を含む商用化には多大な時間と費用を要する一方で、これが成功する保証はありません。上記のような事業環境において、他社が当社グループの製品よりも新しい技術やより有用な製品の開発に成功した場合には、当社グループの製品の優位な競争力が持続できず、当社グループの経営成績、財政状態及び今後の事業展開に影響を及ぼす可能性があります。

(注1、2)人とロボットを機能的に融合・一体化させるサイバニックシステムであるHAL®は、装着する人間の身体機能を改善・補助・拡張・再生させる世界初の技術であり、当該技術が国際的なプラットフォームとなるよう配慮し多数の知財を取得しています。基本特許として下記の登録があります。

出願番号/登録番号

発明の名称

特願 2004-068790/特許第4200492号

(出願日 2004.3.11)

装着式動作補助装置 発明者:山海嘉之

特願 2004-040168/特許第4178185号

(出願日 2004.2.17)

装着式動作補助装置、装着式動作補助装置における駆動源の制御方法、及びプログラム 発明者:山海嘉之

特願 2004-045354/特許第4178186号

(出願日 2004.2.20)

装着式動作補助装置、装着式動作補助装置の制御方法及び制御用プログラム 発明者:山海嘉之

特願 2005-018295/特許第4178187号

(出願日 2005.1.26)

装着式動作補助装置及び制御用プログラム 発明者:山海嘉之

 

(3) 会社組織に関するリスク

 当社は、2004年6月24日に設立されましたが、下記のようなベンチャー企業特有の課題があると認識しています。

① 経営面及び新技術の開発において創業者である代表取締役社長山海嘉之に多くを依存しています。今後何らかの要因により同氏の業務執行が困難となった場合には、当社グループの経営成績及び今後の事業展開に影響を及ぼす可能性があります。

② 優秀な研究開発人材を多数有していますが、当社グループが必要とする優秀な人材が退職した場合には、当社グループ製品開発のスピードに影響を及ぼす可能性があります。

③ 事業の拡大に伴い、営業・生産・管理部門の人員増強及び内部管理体制の一層の充実を図る方針ですが、優秀な人員の確保及び内部管理体制の充実が円滑に進まなかった場合、当社グループの経営成績及び今後の事業展開に影響を及ぼす可能性があります。

 

(4) 特定製品への依存リスク

 当社グループの主力製品はHAL®であり、当連結会計年度において、それに関連する売上収益は当社グループの売上収益の大半を占めています。今後につきましても、当面の間HAL®が収益源になると予測していますが、各国の法規制、医療政策等の変更や、医療保険などの保険制度の整備の遅れ等が生じた場合には、当社グループの事業及び収益性に影響を及ぼす可能性があります。これらの要因に加え、HAL®の使用又はこれに関連した訴訟等の提起、HAL®に代替する新規技術や技術革新、より競争力のある同種製品の発表、関連する法規制等の変更、筑波大学との間のHAL®に関する特許権の独占的に使用する専用実施権の付与に関する関係の変化等、何らかの要因により、HAL®の持続的な市場拡大が見込めなくなった場合には、当社グループの経営成績、財政状態及び今後の事業展開に影響を及ぼす可能性があります。

 

(5) 医療機器承認について

 HAL®を中心とした当社グループの製品について、医療機器として販売するためには、各国又は地域における法規制に基づき、一定の治験・審査等を経た上で当局の承認を得ることが必要になります。当社グループは、EU、日本、米国等において医療用HAL®の医療機器としての承認・認証を得ていますが、それ以外の国又は地域において、HAL®又はその他の当社グループ製品について医療機器としての承認を受けられる予めの保証はなく、また承認を受けられるとしてもその時期は各国・地域毎に異なる可能性があります。また、承認後に当該国又は地域における法規制や制度に変更等が生じた場合には、既に得られた承認が更新できるとは限らず、また取り消される可能性もあります。このような場合において、当社グループの経営成績、財政状態及び今後の事業展開に影響を及ぼす可能性があります。

 

(6) 保険収載について

 当社グループは、HAL®を中心とした当社グループ製品を使用したサイバニクス治療が多くの国又は地域で公的及び民間の医療保険に収載され、HAL®を導入する医療機関が保険金の支払いを受けることができることが、治療が普及・浸透するための重要な要素であり、当社グループの事業展開における大きな課題であると認識しています。しかしながら、保険制度は各国又は地域により異なるほか、保険収載に際して適用疾患の範囲や保険金支払いの程度等は各国又は地域の公的保険機関や民間保険会社等によりそれぞれ決定されるため、その状況如何によって当社グループの経営成績、財政状態及び今後の事業展開に影響を及ぼす可能性があります。

 

(7) スタートアップとの資本業務提携について

 当社グループは、国内外のスタートアップと戦略的な資本出資及び業務提携を行っていくことが、当社グループのサイバニクス産業創出を加速するための大きな課題であると認識しており、積極的に推進しています。しかしながら、出資及び提携等を行うに際して、出資及び提携による効果を事前に完全に予測することは困難であり、かかる出資及び提携等が円滑に行われる保証はありません。戦略的な資本提携及び業務提携が、当初見込みとおりの期間で予想どおりの効果を得られるという保証はなく、出資及び提携等による効果を当社グループが適切に活用できない可能性があります。また出資先の経営状況により、株式評価を変更する必要が生じる可能性があります。これらの事情により、当社グループの経営成績、財政状態及び今後の事業展開に影響を及ぼす可能性があります。

 

(8) 事業活動全般に関するリスク

 当社グループは、国内外で事業活動を展開していますが、全ての国・地域において下記のようなリスクがあると認識しています。なお、新型コロナウィルス感染症の感染リスクへの対応としては、テレワークやWEB会議を推進するとともに、オフィスにおけるソーシャルディスタンスの確保など感染予防活動と従業員への啓蒙を継続的に行っています。

・政治状況、経済状況等の地政学リスク

・感染症等の拡大や災害等のリスク

・法制度、税制等が変更されるリスク

 また、海外での事業活動においては、下記のようなリスクがあると認識しています。

・商習慣等が異なるリスク

・大規模なストライキ等、労働環境が混乱するリスク

・文化的な違い等による、現地採用人材、事業運営等の管理が困難となるリスク

・日本への送金等が困難となるリスク

・為替に関するリスク

 これらのリスクは当社グループの経営成績、財政状態及び今後の事業展開に影響を及ぼす可能性があります。

 

(9) 製品の不具合による顧客の損失について

 当社グループは、ISO13485(医療機器の品質マネジメントの国際標準規格)に基づいて製品品質の更なる向上に継続的に取り組んでいますが、将来にわたって製品に欠陥がなく、製造物賠償責任請求及びリコール等に伴う費用が発生しないという保証はありません。万が一、製品の欠陥により損害が生じた場合は、製造物責任請求についてはその全部又は一部について製造物責任(PL)保険の対象となりますが、当社グループ及び製品の社会的信用が低下することにより、当社グループの経営成績、財政状態及び今後の事業展開に影響を及ぼす可能性があります。

 

(10) 知的財産権について

① 当社グループのHAL®は人間の生体電位信号を活用する独自の技術を利用するものですが、HAL®に利用されるこのような技術について、当社単独保有の特許を除き、原則として全ての国内特許は当社と筑波大学の共同保有となっています。さらに、当社グループは筑波大学と特許権に関する独占的実施許諾契約を締結することで特許技術を当社グループのみで独占的に利用しています。この契約は当社グループが事業活動を行う上で重要な事項であり、許諾を受けた知的財産権の権利期間の満了日まで効力を有するものの、本契約に違反した場合、合併や重要資産の買収がなされた場合や当社事業の重要部分が譲渡された場合など何らかの理由によりこの契約の継続が困難となった場合には、当社グループの経営成績、財政状態及び今後の事業展開に影響を及ぼす可能性があります。

② 当社グループの事業に関連した特許権等の知的財産権について、現時点において、第三者との間で訴訟やクレームといった問題が発生したという事実はなく、当社グループの事業に関し他者が保有する特許権への侵害等の知的財産権侵害に関する問題の発生により、当社グループの事業に重大な支障を及ぼす可能性は低いものと認識しています。また、技術調査等を継続して行っていくことで知的財産権侵害問題の発生を回避するよう努めています。しかしながら、当社グループのような研究開発型の企業にとって、知的財産権侵害問題の発生を完全に回避することは困難です。今後、当社グループが第三者との間の法的紛争等に巻き込まれた場合、弁護士や弁理士と協議の上、その内容によって個別具体的に対応策を検討していく方針ですが、当該第三者の主張の適否にかかわらず、解決に時間及び多額の費用を要する可能性があり、また、当社グループの技術に関しては、細心の注意を払って管理していますが、第三者が当社グループの技術を侵害した場合であっても、解決に時間及び多額の費用を要する可能性があります。その場合には当社グループの事業戦略、経営成績及び財政状態に重大な影響を及ぼす可能性があります。

 

(11) 法的なリスクについて

 当社グループの事業は、以下の事項を含め、各国又は地域における各種法令、規則その他の規制の適用を受けており、これらの法規制等による制約に服しています。例えば、当社グループの様々な事業活動において、国内外を問わず、当社グループが関与する技術・製品・サービス等についての知的財産権や製造物責任、また薬事、商取引、輸出入規制、関税を含む税務、贈賄や腐敗防止に関する法規制、競争法、労働法、消費者関連法、個人情報保護法、環境法、外為法その他事業に関連して様々な法規制等の適用を受けており、またこれらの法規制等や慣行を巡って予期しない課題が提起される場合があります。特に、当社グループが現在取り扱っている製品の一部は、日本では薬機法により定められた医療機器として厚生労働省による製造販売承認を取得しており、日本以外の各国又は地域においても同様の規制当局による承認等が必要であるとともに監督当局による監督に服します。この承認審査は、製品の有効性、安全性等の確認を目的として行われるものであり、審査の結果、製造の承認が取得できなかったり、承認の時期が遅れたりする可能性があります。さらに、承認の取得後、製品を販売している間においても、当該製品の有効性、安全性に問題が生じた場合には、承認が取り消されることもあります。上記のほか、当社グループが、当社グループの事業に適用のある法規制等に違反した場合、民事、行政、刑事上の制裁を課される可能性があり、また当社グループの社会的信用に影響する可能性があります。これらの場合には当社グループの事業、経営成績及び財政状態に重大な影響を及ぼす可能性があります。

 

(12) 個人情報に関するリスク

 当社グループではHAL®の利用者の個人情報を取得しています。当社グループでは、当該情報に接することができる者を制限するとともに、全役職員との間で守秘義務契約書を締結しています。また、当社グループは、個人情報保護規程を制定するとともに、個人情報保護管理者を任命する等、個人情報の管理には十分留意し、現在まで顧客情報の流出等による問題は発生していません。しかしながら、今後、顧客情報の流出等の問題が発生した場合、当社グループへの損害賠償請求や当社グループの社会的信用の低下等により、当社グループの事業、財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

 

(13) 平和倫理委員会について

 当社グループは、当社グループの先進技術が人の殺傷や兵器利用を目的に利用されることを防止するため、平和倫理委員会を設置しています。平和倫理委員会は、代表取締役社長及び全ての社外役員により構成され、審議事項の判定は、出席委員の3分の2以上の賛成をもって行うものとしており、当社グループの企業行動規範で定める「医療、介護福祉、災害復旧」の事業領域に含まれないおそれがある事業領域へ参入する際に、その参入により、当社グループの先進技術が人の殺傷や兵器利用を目的に利用される可能性の有無について審議・検証し、判定の結果を取締役会へ報告します。

 この平和倫理委員会の審議・検証の結果が、短期的には当社グループの業績向上に必ずしも資さない可能性があります。

2.大学教授兼任に関するリスク

(1) 筑波大学教授等の兼任について

 当社代表取締役社長である山海嘉之は筑波大学の教授職を兼業しています。当該兼業に伴う①代表取締役社長及び大学教授を兼ねていることによる当社グループと筑波大学との間における利益相反防止体制、②代表取締役社長兼務への支障の有無については、それぞれ以下のとおりです。

 

① 利益相反防止体制

 大学との取引や共同研究契約の締結など利益相反に係る意思決定は全て取締役会決議を行っており、当該決議に際しては、山海嘉之を含む筑波大学関係者を除いた取締役3名(うち社外取締役3名)によって意思決定を行うことにより、利益相反を防止する体制を構築しています。更に監査役監査にて利益相反に係る事項を日々モニタリングし、取締役会で報告する体制を構築しています。

 

② 代表取締役社長業務への支障の有無

 サイバニクス研究にかかる当社グループと筑波大学での業務は一体的且つ不可分ですが、純粋な筑波大学職員としての職務(授業、大学教授としての学内会議への出席等)が、当社代表取締役社長固有の業務(取締役会出席、稟議決裁、投資家対応等)に与える影響は限定的であり、代表取締役社長としての職務執行が十分に可能な状態にあります。

 しかしながら、山海嘉之が当社代表取締役社長としての立場よりも大学教授の立場を優先した場合、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

 

3.先端機器事業全般に関する事項

(1) 開発事業全般に関するリスク

 先端技術開発の分野では、世界各国の企業が技術革新の質とスピードを競い合っています。また、先端技術の基礎研究、開発から製造及び販売に至る過程では、各国における諸規制に従ってこれを推進していくことから、長期間にわたり多額の資金を投入することになります。このため、研究開発には多くの不確実性が伴い、当社グループの現在及び将来における開発品についてもこのようなリスクが内在しています。また、当社グループは、事業計画に基づき、事業領域を拡大してまいりますが、事業領域が計画通り拡大する保証はなく、また適用された保険等の制度が将来的に見直されたり、変更されたりするリスクが存在しています。このようなリスクが顕在化した場合は、当社グループの事業、財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

 

(2) 新規開発品の創出に関するリスク

 当社グループは、筑波大学を中心に研究機関と共同研究を行うことで、新規開発品の探索及び創出を図っており、既に事業化されているHAL®下肢タイプ(医療用・福祉用・自立支援用)や単関節タイプ及び腰タイプ(作業支援用・介護支援用・自立支援用)、人工知能AI搭載型の搬送ロボットや除菌・清掃ロボットに加えて、複数の新規開発製品をリリースすることを重要な事業戦略としています。

 しかしながら、これらの新規開発品の探索及び創出が確実にできる保証はありません。このため、何らかの理由により、新規開発品の探索及び創出活動に支障が生じた場合には、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

 

(3) 研究開発に内在する進捗遅延に関するリスク

 当社グループは、研究開発型企業グループとして筑波大学との共同研究関係を中心として外部との協力関係を構築することで効率的な研究開発の推進を図っています。しかしながら、研究開発活動が計画通り進む保証はなく、当初計画したとおりの研究開発による結果が得られない場合、各種試験の開始又は完了に遅延が生じた場合あるいは医療機器としての製造販売承認の取得が遅れる又は制限される可能性などは否定できません。当社グループは、このような事態を極力回避すべく、各開発品の進捗管理及び評価を適時に行い、各開発品の優先順位付け、投下する経営資源の強弱の変更あるいは一時中断の決定などの対応を図っています。このように、当社グループは研究開発費が大きく増加するリスクを低減していますが、研究開発が計画どおりに推移しない場合には、当社グループの事業、財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

 

4.B種類株式の導入について

(1) 本スキームの概要

 当社グループは、「テクノロジーは人や社会に役立ってこそ意味がある」という基本理念のもとで、HAL®を中心とした先進技術を平和的な目的の場で活用しており、人の身体能力を改善・補助・拡張・再生するサイバニクス技術を平和目的に利用することは、到来した超高齢社会のニーズと合致し、当社グループの長期的な企業価値の向上に繋がるものです。一方で、当該技術は、人の殺傷や兵器利用を目的とした軍事産業への転用など、平和的な目的以外の目的で利用される可能性があります。そこで、当社は、資本市場から資金調達を行いつつ、先進技術の平和的な目的での利用を確保するため、上場する普通株式とは異なる種類のB種類株式を発行しています(当社のB種類株式を用いたスキームを、以下「本スキーム」といいます。)。

 当社グループの将来ビジョンである、超少子高齢化という社会が直面する課題を解決しつつ、サイバニクス産業という新しい産業分野を開拓するためには、サイバニクス技術の研究開発と事業経営を一貫して推進する必要があります。当社代表取締役社長である山海嘉之は、このサイバニクス技術を創出し、現在もサイバニクス研究の中心的な存在であり、更にその革新的な技術を社会に還元するための事業推進者でもあります。このため、当社グループの企業価値向上(株主共同利益)には、当面の間、山海嘉之が経営に安定して関与し続けることが必要であると考えており、これを実現可能とする本スキームは、株主共同利益の観点で必要性の高いスキームであると認識してします。

 具体的には、当社は、上場する普通株式と比較して、剰余金の配当及び残余財産の分配については同一の権利を有しますが、単元株式数について異なるB種類株式を設けています。普通株式の単元株式数を100株とし、B種類株式の単元株式数を10株とすることにより、B種類株式を有する株主(以下「B種類株主」といいます。)が有する議決権の数は、同数の普通株式を有する株主(以下「普通株主」といいます。)に比べて、10倍となります。B種類株主は、山海嘉之、山海嘉之が代表理事を務める一般財団法人山海健康財団及び一般財団法人山海科学技術振興財団(以下「本財団法人」と総称します。)のみであり、山海嘉之は、当連結会計年度末時点において普通株式及びB種類株式の発行済株式総数の約38%にあたる普通株株式3,042,000株及びB種類株式77,696,000株を有し、その有する議決権の数は、当社の総株主の議決権の数の約85%となります。

 普通株式及びB種類株式並びに本スキームの概要は、以下のとおりです。

(i)株式の概要

 

普通株式

B種類株式

剰余金の配当・残余財産

の分配

同順位・同額

単元株式数

100株

(100株につき1個の議決権)

10株

(10株につき1個の議決権)

譲渡制限

制限なし

取締役会の承認が必要

(B種類株主間の譲渡には不要)

種類株主総会の決議を要しない旨の定款の定め

あり

なし

取得請求権

なし

あり

(B種類株式1株を

普通株式1株に転換)

取得条項

なし

あり

(B種類株式1株につき

普通株式1株を交付)

株式の分割・株式の

併合等

同時・同一の割合

上場

上場

非上場

 

 

(ⅱ)単元株式数の相違

 普通株式とB種類株式は、剰余金の配当及び残余財産の分配は同順位かつ同額で受領する権利を有しますが、単元株式数については、普通株式は100株、B種類株式は10株と異なります。これにより、例えば、B種類株式100株を有するB種類株主は株主総会において10個の議決権を有するのに対し、同数(100株)の普通株式を有する普通株主は株主総会において1個の議決権を有することとなり、B種類株主は、普通株主に比べて同数の株式につき10倍の議決権を有することとなります。なお、当連結会計年度末時点における当社の普通株式の発行済株式の数は137,445,809株、B種類株式の発行済株式の数は77,700,000株であり、山海嘉之は、普通株式及びB種類株式の発行済株式総数の約38%にあたる普通株式3,042,000株及びB種類株式77,696,000株を有し、その有する議決権の数は、当社の総株主の議決権の数の約85%を有するため、取締役の選任及び組織再編を含む株主総会の決議事項を自らの議決権行使により可決させることができます。

 

(ⅲ)B種類株主の変更を抑制するための仕組み

 B種類株式は、当社グループの先進技術の平和的な目的での利用を確保するために発行されたものです。そこで、B種類株式が本書提出日におけるB種類株主又は当社以外の者に譲渡されることを防止するため、定款上、①B種類株主以外の者がB種類株式を譲渡により取得するには、取締役会の承認を要する旨、及び、②B種類株主以外の者によるB種類株式の取得について譲渡承認請求(会社法第136条又は第137条に定める承認の請求をいいます。)がなされた場合及びB種類株主が死亡した日から90日が経過した場合(ただし、他のB種類株主に相続又は遺贈されたB種類株式及び当該90日以内に他のB種類株主に譲渡されたB種類株式を除く。)には、当該請求がなされたB種類株式又は当該死亡したB種類株主が有していたB種類株式の全部を普通株式に転換(当社がB種類株式を取得し、B種類株式1株と引換えに、B種類株主に対して、普通株式1株を交付することをいいます。以下同じです。)する旨が定められています。

 本書提出日における当社のB種類株主は、山海嘉之及び本財団法人であり、それぞれが有するB種類株式は、山海嘉之が77,696,000株、本財団法人が4,000株です。山海嘉之は、本スキームの継続性を確保するため、その時点で有するB種類株式の一部を本財団法人へ無償で譲渡することを予定しています。また、本財団法人は、B種類株式を継続して保有する予定であるとのことです。

 なお、B種類株主である本財団法人は、当社グループの先進技術の平和的な目的での利用を確保し、当社グループの企業価値が毀損されることを防止するため、いずれも以下の内容の議決権行使ガイドラインを定めています。

 財団法人は、その所有する当社が発行するB種類株式について、株主総会及び種類株主総会において議決権を行使するにあたり、次の各号に規定する決議事項について、それぞれ当該各号に規定する場合には、反対の議決権を行使するものとする。なお、財団法人は、議決権行使ガイドラインの内容を変更する場合には、理事会の決議による承認を得るものとし、財団法人が定める方法により変更内容を公表する。

a.取締役の選解任に係る決議については、当該取締役の選解任によって、当社グループにおける先進技術の平和的利用が妨げられ、又は当社グループの企業価値が毀損される形での経営が行われると判断される場合

b.その他の決議については、当該決議が可決されると、当社グループにおける先進技術の平和的利用が妨げられ、又は当社グループの企業価値が毀損されると判断される場合

 

(ⅳ)ブレークスルー条項

 当社は、極めて小さい出資割合で会社を支配するような状況が生じた場合には本スキームの解消が可能となるようにするため、当社の発行する株式につき公開買付けが実施された結果、公開買付者の所有する当社の株式の数が当社の発行済株式(自己株式を除きます。)の総数に対して占める割合が4分の3以上となった場合には、B種類株式の全部を普通株式に転換する旨のブレークスルー条項(注)を定款に定めています。

(注)「ブレークスルー条項」とは、発行済株式総数のうち一定割合の株式を取得した者が現れた場合にスキームを解消させる条項をいいます。

 

(ⅴ)サンセット条項

 B種類株式は、上記(ⅲ)のとおり、山海嘉之は、本スキームの継続性を確保するため、その時点で有するB種類株式の一部を本財団法人へ無償で譲渡し、本財団法人はB種類株式を継続して保有する予定であり、本スキームは、当社グループの先端的なロボット技術の開発を行った山海嘉之が当社の取締役を退任し、又は死亡した後も継続することが予定されています。しかし、山海嘉之が取締役を退任した後も本財団法人がB種類株主として当社議決権を行使することが、普通株主を含む当社株主の意思と合致しない可能性があるため、山海嘉之が取締役を退任(但し、重任その他退任と同時若しくは直後に選任される場合を除く。)した場合は、当該退任の日(当該退任と同日を含む。)から1年以内に終了する事業年度のうち最終のものに関する定時株主総会の終結の時までに、また直前の株主意思確認手続の日の後5年以内に終了する事業年度のうち最終のものの終了後3か月以内に普通株式及びB種類株主全体の意思を確認するための株主意思確認手続を実施することとしています。具体的には、B種類株式の単元株式数を100株とみなして計算される普通株主及びB種類株主の議決権の3分の1以上を有する株主の意思が確認でき、意思を確認した当該株主の議決権の3分の2以上に当たる多数が賛成した場合には、B種類株式の全部を普通株式に転換する旨のサンセット条項(注)を定款に定めています。

(注)「サンセット条項」とは、議決権種類株式導入の目的が終了した場合又はこれらの事由が生じたとみなすことのできる場合に、スキームを解消させる条項をいいます。

 

(ⅵ)普通株主を構成員とする種類株主総会の排除

 当社は、会社法第322条第1項各号に掲げる行為をする場合には、法令又は定款に別段の定めがある場合を除き、普通株主を構成員とする種類株主総会の決議を要しない旨を定款に定めています。

 但し、種類株主総会を排除しても普通株主が不当に害されないようにするため、会社法第322条第1項各号に掲げる行為のうち、①株式の併合、株式の分割、株式無償割当て、新株予約権無償割当て、株式及び新株予約権の株主割当、株式移転(他の株式会社と共同して株式移転をする場合を除きます。)並びに単元株式数の変更については、同時に同一の割合で(株式移転については同一の割合で)行う旨を定款に定めており、また、②当社が消滅会社となる合併、完全子会社となる株式交換又は株式移転(他の株式会社と共同して株式移転をする場合に限ります。)にかかる議案が全ての当事会社の株主総会(株主総会の決議を要しない場合は取締役会)で承認された場合には、B種類株式の全部を普通株式に転換する旨の取得条項を定款に定めています。

(2) 本スキームのリスク

 B種類株式は、当社グループの先進技術の平和的な目的での利用を確保するために発行されたものですが、本スキーム導入により想定されるリスクには、以下のものが含まれます。これらのリスクが顕在化した場合、当社の普通株式を保有する株主の権利や利益に影響を及ぼす可能性があります。

 

① B種類株主の議決権行使による強い影響力に関するリスク

 当連結会計年度末において、山海嘉之は、普通株式及びB種類株式の発行済株式総数の約38%にあたる普通株式3,042,000株及びB種類株式77,696,000株を有し、その有する議決権の数は、当社の総株主の議決権の数の約85%を有することとなり、当社の事業運営に強い影響力を有することとなります。これにより、普通株主による議決権行使による当社に対する影響力は限定的となります。また、B種類株主の議決権行使は、特に当社グループの先進技術の平和的な目的での利用を確保するために行使される場合、普通株主の利益と相反する可能性があります。

 

② 当社株式の買付けを妨げるリスク

 本スキームの導入により、B種類株主は、普通株主に比べて同数の株式につき10倍の議決権を有することとなり、より少ない数のB種類株式でより多くの議決権を有することが可能です。当社定款にはブレークスルー条項及びサンセット条項が定められていますが、ブレークスルー条項及びサンセット条項によりB種類株式の全部が普通株式に転換するのは、それぞれ、公開買付者が普通株式及びB種類株式の発行済株式総数の4分の3以上を所有することとなった場合及び株主意思確認手続(上記(1)(ⅴ)に記載)において3分の2以上の多数の株主が普通株式への転換に賛成した場合に限られます。よって、本スキームは、普通株主にとって利益となるような当社株式の買付けを妨げる可能性があります。

③ 普通株式を構成員とする種類株主総会の排除に関するリスク

 当社は、会社法第322条第1項各号に掲げる行為をする場合(法令又は定款に別段の定めがある場合を除きます。)であっても、普通株主を構成員とする種類株主総会の決議を要せず当該行為を行うことができるため、普通株主の意思が当社の意思決定に反映されない可能性があります。

 

④ B種類株式の転換に関するリスク

 B種類株式には普通株式を対価とする取得請求権及び取得条項が付されているため、今後、B種類株式が普通株式に転換することにより、上場している普通株式の発行済株式の数が増加し、普通株式の市場価格に影響を与える可能性があります。

 

5.その他のリスク

(1) 配当政策について

 当社グループは、早期の営業黒字化を目指し、内部留保による財務体質の強化及び研究開発活動への再投資を優先する方針です。一方で、株主への利益還元についても重要な経営課題として捉え、財政状態及び経営成績を勘案しつつ配当の実施を検討してまいります。しかしながら、利益計画が想定通りに進捗せず、今後も安定的に利益を計上できない状態が続いた場合には、配当による株主還元が困難となる可能性があります。

 

(2) 資金繰り及び資金調達等に関するリスク

 当社グループでは、研究開発活動の進捗に伴い多額の研究開発費が先行して計上され、継続的な営業損失が生じています。今後も事業の進捗に伴って運転資金、研究開発投資、設備投資及びM&A等の資金需要の増加が予想されます。今後も継続的に財務基盤の強化を図ってまいりますが、収益確保又は資金調達の状況によっては、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

 

(3) マイナスの利益剰余金を計上していることについて

 当社グループは、これまで研究開発活動を重点的に推進してきたことから、多額の研究開発費用が先行して計上され、当社個別決算上マイナスの利益剰余金を計上しています。当社グループは、早期の黒字化を目指しており、その後も安定的な利益計上による強固な財務基盤の確立を目指していますが、当社グループの事業が計画通り進展せず、マイナスの利益剰余金が計画通りに解消できない可能性があり、当社グループの事業、財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

 

(4) 税務上の繰越欠損金について

 当社グループは研究開発型企業として先行的に開発投資を行ってきたため、本書提出日現在において、税務上の繰越欠損金を有しています。今後の税制改正により欠損金の繰越控除制度が見直され、欠損金の繰越控除制限が強化された場合、研究開発に投下した資本の一部を回収する機会を喪失する等、当社グループの事業、財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

 

(5) 為替相場の変動について

 当社グループの連結決算においては、海外グループ会社決算を現地通貨から邦貨換算して当社の連結財務諸表に反映するため、為替変動による影響を受けるリスクがあります。従いまして、今後、大幅な為替変動が生じた場合、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

 

4【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

 当連結会計年度における当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、経営成績等)の概要及び経営者の視点による経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は、以下のとおりです。

 なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末において判断したものです。

 

(1)重要な会計方針及び見積り

 当社の連結財務諸表は、「連結財務諸表の用語、様式及び作成方法に関する規則」(昭和51年大蔵省令第28号、以下、「連結財務諸表規則」)第93条の規定により、国際会計基準(以下、「IFRS」)に準拠して作成しています。この連結財務諸表の作成にあたって、採用している重要な会計方針及び見積りについては、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1) 連結財務諸表 連結財務諸表注記 3.重要な会計方針」及び「4.重要な会計上の見積り及び見積りを伴う判断」に記載のとおりです。

 

(2)経営成績の分析

(%表示は対前期増減率)

 

売上収益

営業利益

税引前利益

親会社の所有者に

帰属する当期利益

 

百万円

百万円

百万円

百万円

2023年3月期

3,289

52.9

△1,145

53

△298

2022年3月期

2,150

14.7

△878

△389

△498

 

 当社グループは、社会が直面する様々な課題を解決するため、「人」+「サイバー・フィジカル空間」(HCPS:Human-Cyber-Physical Space)を融合する「サイバニクス(人・AIロボット・情報系の融合複合)技術」を駆使して、人とテクノロジーが共生し相互に支援し合う「テクノ・ピアサポート社会」の実現、ロボット産業・IT産業につづく新産業「サイバニクス産業」の創出による未来開拓を推進しています。

 

 当社が目指す「テクノ・ピアサポート社会」とは、人とテクノロジーが共生し相互に支援し合うことにより、高齢になっても健康が維持・管理され、長く培ってきた能力を思う存分発揮できる社会であり、疾患・事故・加齢により身体状態が低下し、障がいを抱えたとしても、より心身の自立度を高く保ち、より自由度の高い生活を送ることのできる社会です。当社グループは、人間の機能改善・再生・拡張・支援が可能なサイバニクス技術の社会実装を事業として推進することにより、「テクノ・ピアサポート社会」の実現と「サイバニクス産業」の創出を進めています。

 

 

事業推進の状況

《医療:サイバニクス治療》

 当社グループは、世界初の装着型サイボーグHAL®を利用した脳・神経・筋系の機能改善・機能再生を促進するサイバニクス治療を、グローバルな標準治療として普及させる取り組みを進めています。

 

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(日本)

 医療用HAL®「下肢タイプ」(両脚モデル)については、有効な治療法が確立されていない緩徐進行性の神経筋難病疾患に対する使用成績調査で高い有効性と安全性を示す結果が得られたことを踏まえて、医療用HAL®によるサイバニクス治療の普及に取り組んでいます。令和4年度診療報酬改定において診療報酬点数が増点並びにDPC対象病院(難病医療拠点病院等の約8割)の入院患者に対しても医療用HAL®の診療報酬の出来高算定が認められた一方で、新型コロナウィルス感染症の影響により医療機関への医療用HAL®の導入が一時的に遅れましたが、感染症の収束に伴い新年度(2023年4月)に入って受注は好調に推移しています。

 脊髄疾患に関して、ウィルス性のHTLV-1関連脊髄症(HAM)および遺伝性の痙性対麻痺の2疾患について、2022年10月27日に適応追加の承認を取得し、診療報酬保険適用に係る申請準備を進めています。また、外傷性の脊髄疾患である脊髄損傷については、当局と承認申請方法について協議しています。

 脳卒中に関しては、医療用HAL®「下肢タイプ」(単脚モデル)の医師主導治験について、本治験の評価ポイントとして最重要とされている臨床的な意義と主要評価項目の統計学的有意差について当局と協議する一方で、追加試験の実施も含めて検討しています。なお、本治験の有効性と安全性の評価結果は、諸外国での脳卒中患者に対する医療保険の適用申請にも有用なデータになると考えています。

 また、小児脳性麻痺等に伴う運動姿勢障害を呈する患児の粗大運動能力の向上を目的とする医師主導治験が、2022年1月より筑波大学附属病院を中心に現在進行中です。

 

(米国)

 個人向けの医療サービス事業のプラットフォームとして、子会社のRISEヘルスケアグループ(RHG)社はカリフォルニア州南部で順次拠点を拡大するとともに、2023年2月に同州北部にも進出し、2023年3月31日現在で27拠点(買収時から11拠点増加)を展開しています。当社のHAL®による革新的な医療技術との複合サービスは現在4拠点で展開しており、2023年1月より段階的に正式サービスへの移行を開始しています。

 

(EMEA:欧州や中東)

 2021年度に続いて主要各国でのサイバニクス治療の普及が進んでおり、本年度は新たにトルコでのHAL®シリーズの導入に続き、イタリアの医療介護サービスを専門とする大手社会協同組合Coopselios社にHAL®シリーズ25台を出荷いたしました(2024年3月期の第1四半期より売上を計上予定)。

 ドイツにおいては、公的医療保険の当局であるG-BA(ドイツ連邦共同委員会)が、脊髄損傷に対する公的医療保険適用を前提とした臨床試験の実施を決定しており、2023年3月時点においてプロトコルの準備中です。

 

(APAC:アジア太平洋)

 2022年2月にAPACエリアの事業推進拠点として、マレーシアにCYBERDYNE MALAYSIA社を設立し、東南アジアを中心にインド・オーストラリア・台湾においてサイバニクス治療の普及を加速し、本年度は新たにシンガポール最大の医療機関であるシンガポール総合病院にてサイバニクス治療が開始しました。

 マレーシアにおいては、政府系の従業員社会保障機構(SOCSO)との事業連携が更に強化され、SOCSOの被保険者に対してHAL®によるサイバニクス治療が普及すると共に(2023年3月時点で10施設にHAL®104台を有償レンタル)、2022年6月にSOCSOは東南アジア最大の医療複合施設である「国立神経ロボット・サイバニクスセンター」の建設を開始しました(2024年末頃の竣工予定)。

 また、医療用HAL®単関節タイプにつき、マレーシア・タイ・オーストラリアに続いて、台湾でも医療機器承認が得られました。

 

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《介護・自立支援》

 当社グループは、主に高齢者の自立度の改善や重度化防止及び加齢により身体機能が低下するフレイル予防や自立維持に向けて、歩行運動に対応した「下肢タイプ」、肘・膝・足首の関節運動に対応した「単関節タイプ」、体幹運動に対応した「腰タイプ」など様々な種類のHAL®自立支援用を展開しています。神奈川県では、2019年の高齢者を対象としたHAL®腰タイプを活用した介護予防プログラムのパイロット研究における良好な結果を踏まえ、2020年からランダム化比較試験を進めるとともに、2022年10月から、神奈川県、神奈川県立保健福祉大学、慶應義塾大学と共同で、同プログラムを介護現場へ実装するための研究を開始しました。

 

(施設型サービスの展開)

 HAL®を使用した脳・神経・筋系の機能改善を促すプログラム「Neuro HALFIT」を提供するロボケア事業は、個人向けの医療ヘルスケアサービス事業のハブ拠点として、当社グループ並びに各地域の事業パートナーとの協働により全国17箇所で展開しており、今後、更なる拠点拡大を計画しています。

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(個人向け在宅サービス)

 個人向けレンタルとして非接触型の在宅サービス「自宅でNeuro HALFIT」は、訪問型のサービス事業者とも連携して、自宅での機器のセットアップからプログラム実施までの対面サポートも推進しています。

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《予防・早期発見》

 心活動、脳活動、体温、SpO2、活動量など様々なヘルスケアデータを日常的に集積・解析・AI処理することで、不整脈や心房細動などのリスクを管理し、心筋梗塞や脳梗塞などを予防することを目的とした超小型バイタルセンサー「Cyvis(サイビス)」シリーズの製品化を進めています。また、「Cyvis」は、睡眠時の呼吸状態の計測というオプション機能も備えており、SAS(睡眠時無呼吸症候群)のリスクを簡便に高精度スクリーニングすることが可能となります。また、2021年8月に睡眠を見える化するヘルスケア・アプリ「熟睡アラーム」を開発・運営するC2社の連結子会社化とともに、当社グループとしてヘルスケア事業の強化を進めています。なお、Cyvisシリーズの初モデル「Cyvis-1」は2022年4月に医療機器届出を行い、同年5月よりユーザー向けに試験提供を開始しています。また次モデル「Cyvis-2」は2023年4月に医療機器認証の申請を行っています。

 

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《生活・職場分野》

(介護支援用途)

 2021年以降、英国ハンプシャー州で進む介護施設等での「HAL®腰タイプ介護・自立支援用」の運用をモデルケースとして、同州と協力して英国の他のエリアや欧州各国への展開を進めてまいります。

 

(作業支援、除菌・清掃用途)

 世界最高水準のSLAM技術による高速自律走行を実現した次世代型清掃ロボット「CL02」は、エレベーター自動昇降やクラウド連携等によるビルのスマート化と管理コスト削減を実現すべく、ゼネコン等と協力してオフィスビルを中心に導入を進めています。また、モビリティ用途を拡張して、工場内での搬送ロボットとしても稼働しています。

 

 

 

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研究・製品開発の状況

 造影剤不要・非侵襲で末梢の血管や血液の高解像度3Dイメージングをリアルタイムに実現するLED光源方式(当社保有特許)の光音響イメージング装置「Acoustic X」は、次世代の医療用画像診断装置としての医療機器化を進めています。また、海外の著名な医療機関や研究施設においても、様々な適用に向けて研究が進められています。

 また、当社グループは、高齢者や障がい者向けの自立支援ロボットとして、歩行機能を維持向上するための薄型HAL、バイタル・環境情報を取得しつつ会話機能を備えてADL(日常生活動作)を維持向上するための見守り・コミュニケーションロボット、歩行困難な方のためのパーソナルモビリティロボットなどの研究開発を進めています。

 なお、川崎市の殿町国際戦略拠点(キングスカイフロント)において、HAL®等のサイバニクス治療と再生医療・創薬の新たな医療技術の開発を推進するサイバニクス・メディカル・イノベーションベースA棟が竣工し、2023年1月よりパートナー企業の入居が進んでいます。

 

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製品稼働状況について

 医療用HAL®下肢タイプは、主にAPAC向けレンタルの増台により、2023年3月末時点で臨床試験用も含め国内外あわせて442台(内、国内レンタル契約84台)が稼働中です。HAL®単関節タイプは、医療用の増加により、 2023年3月末時点で584台が稼働中です。HAL®福祉用等の下肢タイプは、2023年3月末時点の稼働台数は351台となっています。また、HAL®腰タイプ介護・自立支援用は、2023年3月末時点で1,138台が稼働中です。HAL®腰タイプ作業支援用は、2023年3月末時点の稼働台数は419台となっています。また、清掃ロボット及び搬送ロボットは、2023年3月末時点において164台が稼働中です。

 

 以上の結果、当連結会計年度の経営成績は、売上収益は、海外向けHAL等のレンタル売上及び新型コロナウイルス感染症の影響からの回復と米国拠点の獲得によるサービス売上の増加により、3,289百万円(前年同期比52.9%増加)を計上しました。売上総利益は1,791百万円(同22.5%増加)となりました。

 研究開発費は前年度に引き続き新製品の自社開発及び受託研究事業の実施により735百万円(同3.1%増加)を計上、その他の販売費及び一般管理費はM&Aの影響により2,406百万円(同33.9%増加)を計上しました。

 その他の収益は、受託研究事業収入などにより212百万円(同21.0%増加)を計上、その他の費用8百万円(同38.5%増加)を計上した結果、営業損失は1,145百万円(同30.5%増加)を計上しました。

 また、金融収益は投資有価証券評価益などにより1,312百万円、CEJファンドに係る損益274百万円、法人所得税費用は繰延税金費用などにより446百万円等を計上した結果、親会社の所有者に帰属する当期損失は298百万円(同40.2%減少)を計上しています。

 

 

 なお、当社は独自技術を持ったスタートアップ企業との業務提携や資本提携を行なっており、当該非上場株式についてIFRS第9号「金融商品」に基づき公正価値を算定しています。当連結会計年度において、公正価値を算定した結果、投資有価証券評価益1,871百万円を「金融収益」及び「CEJファンドに係る損益」に、投資有価証券評価損624百万円を「金融費用」及び「CEJファンドに係る損益」に含めて計上しました。また、当該評価に関する繰延税金費用641百万円を「法人所得税費用」として計上、CEJファンドの外部投資家持分への振替額23百万円を計上した結果、「当期利益」に与える影響額は630百万円となります。

 

(3)財政状態の分析

① 資産

当連結会計年度末における総資産は、前連結会計年度末比720百万円増加し、50,187百万円となりました。これは主として、その他の金融資産(流動)が5,644百万円、持分法で会計処理されている投資が195百万円、その他の流動資産が148百万円減少したものの、その他の金融資産(非流動)が4,070百万円、現金及び現金同等物が2,124百万円、のれんが461百万円増加したことによるものです。

 

② 負債

当連結会計年度末における負債は、前連結会計年度末比2,188百万円増加し、8,204百万円となりました。これは主として、CEJファンドにおける外部投資家持分が1,163百万円、繰延税金負債が537百万円、営業債務及びその他の債務が273百万円増加したことによるものです。

 

③ 資本

当連結会計年度末における資本は、前連結会計年度末比1,467百万円減少し、41,983百万円となりました。これは主として、自己株式が1,188百万円増加したことによるものです。

 

(4)キャッシュ・フローの状況

当連結会計年度における現金及び現金同等物は、前連結会計年度末に比べ2,124百万円増加し7,801百万円となりました。当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次の通りです。

 

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

当連結会計年度における営業活動によるキャッシュ・フローは、143百万円の資金流出(前連結会計年度は564百万円の資金流出)となりました。これは主に、減価償却費及び償却費を627百万円計上したものの、金融収益を1,312百万円、営業債権及びその他の債権の増加額による資金流出275百万円、CEJファンドに係る損益274百万円を計上したことによるものです。

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

当連結会計年度における投資活動によるキャッシュ・フローは、2,173百万円の資金流入(前連結会計年度は1,788百万円の資金流出)となりました。これは主に、投資の取得による支出15,000百万円、定期預金の預入による支出2,000百万円、投資有価証券の取得による支出3,309百万円を計上したものの、投資の償還による収入18,000百万円、定期預金の払戻による収入4,500百万円を計上したことによるものです。

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

当連結会計年度における財務活動によるキャッシュ・フローは、14百万円の資金流入(前連結会計年度は1,248百万円の資金流入)となりました。これは主に、自己株式の取得による支出1,188百万円を計上したものの、CEJファンドにおける外部投資家からの払込による収入1,380百万円を計上したことによるものです。

(5)生産、受注及び販売の状況

① 生産実績

 当連結会計年度における生産実績は、次のとおりです。

セグメントの名称

当連結会計年度

(自 2022年4月1日

至 2023年3月31日)

生産高(百万円)

前年同期比(%)

ロボット関連事業

250

97.1

合計

250

97.1

(注)1.単一セグメントであるため、セグメント別の生産実績は記載していません。

2.金額は、製造原価及び自社製作資産により表示しています。

 

② 受注実績

 当連結会計年度における受注実績は、次のとおりです。

セグメントの名称

当連結会計年度

(自 2022年4月1日

至 2023年3月31日)

受注高

(百万円)

前年同期比

(%)

受注残高

(百万円)

前年同期比

(%)

ロボット関連事業

3,943

158.7

92

33.5

合計

3,943

158.7

92

33.5

(注)1.単一セグメントであるため、セグメント別の受注実績は記載していません。

 

③ 販売実績

 当連結会計年度における販売実績は、次のとおりです。

セグメントの名称

当連結会計年度

(自 2022年4月1日

至 2023年3月31日)

販売高(百万円)

前年同期比(%)

ロボット関連事業

3,289

152.9

合計

3,289

152.9

(注)1.単一セグメントであるため、セグメント別の販売実績は記載していません。

2.外部顧客への売上収益のうち、連結損益計算書の売上収益の10%以上を占める相手先がないため、記載を省略しています。

 

(6)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容

① 経営成績に重要な影響を与える要因について

 本書「第一部 企業情報 第2 事業の状況 3.事業等のリスク」に記載のとおりです。

 

② 資本の財源及び資金の流動性

 当社グループは、現在、運転資金及び開発投資等の資金需要に対しましては、自己資金を充当することを基本としています。当連結会計年度末時点において、事業活動の維持に必要な手元資金を保有しており、充分な流動性を確保していると考えています。

 

③ 経営者の問題意識と今後の方針について

 当社の経営陣は、現在の事業環境及び入手可能な情報に基づき最善の経営方針を立案し、社会貢献を前提として企業価値を最大限に高めるべく努めています。具体的には本書「第一部 企業情報 第2 事業の状況 1.経営方針、経営環境及び対処すべき課題等」に記載のとおりです。

 

④ 経営上の重要な非財務指標

 当社グループでは、経営上の重要な非財務指標として、HAL®等の稼働台数を活用しています。

 当社グループの主たる収益源は、HAL®等のレンタル・保守に係る売上であり、レンタル・保守契約に係る売上は、レンタル期間にわたり収益が計上されるため、翌会計年度以降にわたる継続的な収益計上が見込まれます。

 当社グループは、恒常的な業績や将来の見通しを把握することを目的として、HAL®等の稼働台数を取締役会へ報告しています。

 

(単位:台)

稼働台数

2019年3月末

 

2020年3月末

 

2021年3月末

 

2022年3月末

 

2023年3月末

HAL®医療用

(下肢タイプ)

291

 

310

 

351

 

368

 

442

HAL®福祉用等

(下肢タイプ)

357

 

357

 

342

 

341

 

351

HAL®単関節タイプ

252

 

300

 

391

 

492

 

584

HAL®腰タイプ

自立支援用及び

介護支援用

919

 

951

 

1,074

 

1,143

 

1,138

HAL®腰タイプ

作業支援用

572

 

624

 

459

 

417

 

419

清掃ロボット及び

搬送ロボット

44

 

75

 

141

 

147

 

164

合計

2,435

 

2,617

 

2,758

 

2,908

 

3,098

 

 

 

 

5【経営上の重要な契約等】

(1)特許等の独占的実施許諾に関する契約

相手先の名称

相手先の所在地

契約

締結日

契約期間

契約内容

国立大学法人

筑波大学

茨城県つくば市

2012年

3月14日

契約締結日から許諾特許の最終特許期間満了日まで

ロボットスーツの製品に関する許諾特許及び本技術を実施する独占的実施権

(注)1.特許経費として許諾特許維持のために必要な経費を負担することになっています。

2.実施料として正味販売価格の1%に相当する金額又は保証額を支払うことになっています。

 

(2)共同研究契約

相手先の名称

相手先の所在地

契約

締結日

契約期間

契約内容

国立大学法人

筑波大学

茨城県つくば市

2011年

4月1日

2011年4月1日から

2024年3月31日まで

ロボットスーツを始めとするサイバニクス分野に属する技術の実用化、高機能化に関する研究開発

 

 

2【主要な設備の状況】

 当社グループにおける主要な設備は、以下のとおりです。

(1)提出会社

2023年3月31日現在

 

 

設備の内容

帳簿価額(百万円)

従業員数

(名)

オペレーティング・リース資産

有形固定資産

合計

建物

及び

構築物

土地

使用権

資産

その他

本社及び

事業所等

研究開発施設

生産施設

事務所

430

2,788

9,872

163

699

13,523

13,953

82〔37〕

(注)1.IFRSに基づく金額を記載しています。また、百万円未満を四捨五入して記載しています。

2.現在休止中の主要な設備はありません。

3.帳簿価額のうち「その他」は機械装置、車両運搬具、工具、器具及び備品、建設仮勘定の合計です。

4.従業員数欄の〔外書〕は、臨時従業員(契約社員及びパート)の年間の平均人員です。

 

(2)国内子会社

 該当事項はありません。

 

(3)在外子会社

 該当事項はありません。

 

①【株式の総数】

種類

発行可能株式総数(株)

普通株式

618,300,000

B種類株式

77,700,000

696,000,000

②【発行済株式】

種類

事業年度末現在発行数

(株)

(2023年3月31日)

提出日現在発行数(株)

(2023年6月30日)

上場金融商品取引所名

又は

登録認可金融商品取引業

協会名

内容

普通株式

137,445,809

137,445,809

東京証券取引所

グロース市場

単元株式数100株

B種類株式

77,700,000

77,700,000

非上場

単元株式数

10株

215,145,809

215,145,809

(注)1.株式の内容は次のとおり定款に定めています。

(ⅰ)剰余金の配当及び残余財産の分配

普通株式及びB種類株式にかかる剰余金の配当及び残余財産の分配は、同順位かつ同額で行われる。

(ⅱ)議決権

普通株主及びB種類株主は、全ての事項について株主総会において議決権を行使することができる。

(ⅲ)譲渡制限

B種類株式を譲渡により取得するには、取締役会の承認を要する。ただし、譲受人がB種類株主である場合においては、取締役会が会社法第136条又は第137条第1項の承認をしたものとみなす。

(ⅳ)種類株主総会の決議を要しない旨の定め

会社法第322条第1項各号に掲げる行為をする場合には、法令又は定款に別段の定めがある場合を除き、普通株主を構成員とする種類株主総会の決議を要しない。

(ⅴ)取得請求権

B種類株主は、いつでも、当社に対して、その有するB種類株式の全部又は一部を取得することを請求することができるものとし、当社はB種類株主が取得の請求をしたB種類株式を取得するのと引換えに、当該B種類株主に対して、B種類株式1株につき普通株式1株を交付するものとする。

(ⅵ)取得条項

a.当社は、次の各号のいずれかに該当する場合、当該各号に定める日(取締役会がそれ以前の日を定めたときはその日)の到来をもって、その日に当社が発行するB種類株式の全部(当社が有するB種類株式を除く。)を取得し、B種類株式1株を取得するのと引換えに、B種類株主に対して、普通株式1株を交付する。

① 当社が消滅会社となる合併、完全子会社となる株式交換又は株式移転(他の株式会社と共同して株式移転をする場合に限る。)にかかる議案が全ての当事会社の株主総会(株主総会の決議を要しない場合は取締役会)で承認された場合、当該合併、株式交換又は株式移転の効力発生日の前日

② 当社が発行する株式につき公開買付けが実施された結果、公開買付者の所有する当社の株式の数が当社の発行済株式(当社が有する株式を除く。)の総数に対して占める割合が4分の3以上となった場合、当該公開買付けにかかる公開買付報告書が提出された日から90日目の日

なお、本号において「所有」、「公開買付者」又は「公開買付報告書」とは金融商品取引法第2章の2第1節に定める所有、公開買付者又は公開買付報告書を、「公開買付け」とは金融商品取引法第27条の3第1項に定める公開買付けをいう。

③ 株主意思確認手続において、確認手続基準日に議決権を行使することができる株主の議決権(但し、上記内容欄の記載にかかわらず、普通株式及びB種類株式のいずれの単元株式数も100株であるとみなして、議決権の数を計算する。以下、本号において同じ。)の3分の1以上を有する株主の意思が確認でき、意思を確認した当該株主の議決権の3分の2以上に当たる多数が、当社が本号に基づき当社が発行するB種類株式の全部(当会社が有するB種類株式を除く。)を取得し、B種類株式1株を取得するのと引換えに、B種類株主に対して、普通株式1株を交付することに賛成した場合、当該株主意思確認手続の日から90日目の日

なお、本号において「株主意思確認手続」とは、(1)山海嘉之が当社の取締役を退任した場合(但し、重任その他退任と同時若しくは直後に選任される場合を除く。)に、当該退任の日(当該退任と同日を含む。)から1年以内に終了する事業年度のうち最終のものに関する定時株主総会の終結の時までに、並びに、(2)直前の株主意思確認手続の日の後5年以内に終了する事業年度のうち最終のものの終了後3か月以内に、それぞれ取締役会の決議により定める方法により確認手続基準日に議決権を行使することができる全ての株主の意思を確認するために行われる手続をいう。また、本号において「確認手続基準日」とは、株主意思確認手続のための基準日として取締役会の決議により定める日をいう。

b.当社は、B種類株主に関して次の各号のいずれかに該当する事由が発生した場合、会社法第170条第1項に定める日に、当該各号に定めるB種類株式を取得し、当該B種類株式1株を取得するのと引換えに、当該B種類株主に対して、普通株式1株を交付する。

① B種類株主が、その有するB種類株式を第三者(他のB種類株主を除く。)に譲渡し、当該B種類株主又は当該B種類株式の譲受人から、当社に対して、当該B種類株式につき会社法第136条又は第137条に定める承認の請求がなされた場合、当該承認の請求がなされたB種類株式

② B種類株主が死亡した日から90日が経過した場合、当該B種類株主が有していたB種類株式の全部(但し、他のB種類株主に相続又は遺贈されたB種類株式及び当該90日以内に他のB種類株主に譲渡されたB種類株式を除く。)

(ⅶ)株式の分割、株式の併合等

a.当社は、株式の分割又は株式の併合をするときは、普通株式及びB種類株式ごとに、同時に同一の割合でする。

b.当社は、当社の株主に募集株式の割当てを受ける権利を与えるときは、普通株主には普通株式の割当てを受ける権利を、B種類株主にはB種類株式の割当てを受ける権利を、それぞれ同時に同一の割合で与える。

c.当社は、当社の株主に募集新株予約権の割当てを受ける権利を与えるときは、普通株主には普通株式を目的とする新株予約権の割当てを受ける権利を、B種類株主にはB種類株式を目的とする新株予約権の割当てを受ける権利を、それぞれ同時に同一の割合で与える。

d.当社は、株式無償割当てをするときは、普通株主には普通株式の株式無償割当てを、B種類株主にはB種類株式の株式無償割当てを、それぞれ同時に同一の割合でする。

e.当社は、新株予約権無償割当てをするときは、普通株主には普通株式を目的とする新株予約権の新株予約権無償割当てを、B種類株主にはB種類株式を目的とする新株予約権の新株予約権無償割当てを、それぞれ同時に同一の割合でする。

f.当社は、株式移転をするとき(他の株式会社と共同して株式移転をする場合を除く。)は、普通株主には普通株式に代えて株式移転設立完全親会社の発行する普通株式と同種の株式を、B種類株主にはB種類株式に代えて株式移転設立完全親会社の発行するB種類株式と同種の株式を、それぞれ同一の割合で交付する。

g.当社は、単元株式数について定款の変更をするときは、普通株式及びB種類株式のそれぞれの単元株式数について同時に同一の割合でする。

2.普通株式の単元株式数は100株とし、B種類株式の単元株式数は10株としています。普通株式及びB種類株式について異なる単元株式数を定めているのは、当社の議決権を山海嘉之及び本財団法人に集中させることにより、当社グループの先進技術の平和的な目的での利用を確保し、人の殺傷や兵器利用を目的に利用されることを防止することにあります。

また、当社グループの将来ビジョンである、少子高齢化という社会が直面する課題を解決しつつ、人支援産業という新しい産業分野を開拓するためには、サイバニクス技術の研究開発と事業経営を一貫して推進する必要があります。山海嘉之は、このサイバニクス技術を創出し、現在もサイバニクス研究の中心的な存在であり、更にその革新的な技術を社会に還元するための事業推進者でもあります。このため、当社グループの企業価値向上(株主共同利益)には、当面の間、山海嘉之が経営に安定して関与し続けることが必要であると考えており、これを実現可能とするため、本スキームを採用しています。

3.山海嘉之は、本スキームの継続性を確保するため、その時点で有するB種類株式の一部を本財団法人へ無償で譲渡することを予定しているとのことです。また、本財団法人は、B種類株式を継続して保有する予定であるとのことです。

B種類株主である本財団法人は、当社グループの先進技術の平和的な目的での利用を確保し、当社グループの企業価値が毀損されることを防止するため、いずれも以下の内容の議決権行使ガイドラインを定めています。

財団法人は、その所有する当社が発行するB種類株式について、株主総会及び種類株主総会において議決権を行使するにあたり、次の各号に規定する決議事項について、それぞれ当該各号に規定する場合には、反対の議決権を行使するものとする。なお、財団法人は、議決権行使ガイドラインの内容を変更する場合には、理事会の決議による承認を得るものとし、財団法人が定める方法により変更内容を公表する。

a.取締役の選解任に係る決議については、当該取締役の選解任によって、当社グループにおける先進技術の平和的利用が妨げられ、又は当社グループの企業価値が毀損される形での経営が行われると判断される場合

b.その他の決議については、当該決議が可決されると、当社グループにおける先進技術の平和的利用が妨げられ、又は当社グループの企業価値が毀損されると判断される場合

 

①【ストックオプション制度の内容】

 

CYBERDYNE株式会社

2015年第1回

ストックオプション

CYBERDYNE株式会社

2016年第1回

無償ストックオプション

CYBERDYNE株式会社

2017年第1回

無償ストックオプション

決議年月日

2015年7月28日

2016年5月24日

2017年7月25日

付与対象者の

区分及び人数(人)

社外協力者1名

新株予約権の数(個)※

78(注)1

46(注)1

105(注)1

新株予約権の目的となる

株式の種類、

内容及び株数(株)※

普通株式

7,800(注)1

普通株式

4,600(注)1

普通株式

10,500(注)1

新株予約権の行使時の

払込金額(円)※

1株当たり 1,806(注)2

1株当たり 3,060(注)2

1株当たり 1,788(注)2

新株予約権の行使期間※

2017年7月29日~

2025年7月28日

2018年5月25日~

2026年5月24日

2019年7月26日~

2027年7月25日

新株予約権の行使により

株式を発行する場合の

株式の発行価格及び

資本組入額(円)※

発行価格  1,806

資本組入額  903

発行価格  3,060

資本組入額 1,530

発行価格  1,788

資本組入額  894

新株予約権の行使条件※

(注)3

新株予約権の譲渡に関する

事項※

譲渡による新株予約権の取得については、当社取締役会の決議による承認を要するものとする。

組織再編成行為に伴う

新株予約権の交付に関する

事項※

(注)4

※ 当事業年度の末日(2023年3月31日)における内容を記載しています。提出日の前月末現在(2023年5月31日)において、記載すべき内容が当事業年度の末日における内容から変更がないため、提出日の前月末現在に係る記載を省略しています。

 

(注)1.本新株予約権の目的である株式の数(以下、「付与株式数」という)は100株とする。

ただし、新株予約権を割り当てる日(以下、「割当日」という)以降、当社が当社普通株式につき、株式分割(当社普通株式の株式無償割当てを含む。以下、株式分割の記載につき同じ)又は株式併合を行う場合には、次の算式により付与株式数の調整を行い、調整の結果生じる1株未満の端数は、これを切り捨てる。

 

調整後付与株式数

調整前付与株式数

×

株式分割又は株式併合の比率

 

当該調整後付与株式数を適用する日については、(注)2.(2)①の規定を準用する。

また、上記のほか、割当日以降、当社が合併又は会社分割を行う場合その他これらの場合に準じて付与株式数の調整を必要とする場合には、当社は合理的な範囲で付与株式数を適切に調整することができる。

付与株式数の調整を行うときは、当社は調整後付与株式数を適用する日の前日までに、必要な事項を新株予約権原簿に記載された各新株予約権を保有する者(以下、「新株予約権者」という)に通知又は公告する。ただし、当該適用の日の前日までに通知又は公告を行うことができない場合には、以後速やかに通知又は公告する。

2.本新株予約権の行使に際して出資される財産の価額は、1株当たりの払込金額(以下、「行使価額」という)に付与株式数を乗じた金額とする。

 行使価額は次に定める調整に服する。

(1)割当日以降、当社が当社普通株式につき、次の①又は②を行う場合、行使価額をそれぞれ次に定める算式(以下、「行使価額調整式」という)により調整し、調整の結果生じる1円未満の端数は、これを切り上げる。

① 当社が株式分割又は株式併合を行う場合

 

調整後行使価額

調整前行使価額

×

1

株式分割又は株式併合の比率

② 当社が時価を下回る価額で新株式の発行又は自己株式の処分を行う場合(会社法第194条の規定(単元未満株主による単元未満株式売渡請求)に基づく自己株式の売渡し、当社普通株式に転換される証券若しくは転換できる証券の転換、又は当社普通株式の交付を請求できる新株予約権(新株予約権付社債に付されたものを含む)の行使による場合を除く)

 

調整後

行使価額

調整前

行使価額

×

既発行株式数

新規発行株式数×1株当たり払込金額

時価

既発行株式数 + 新規発行株式数

 

(ⅰ)行使価額調整式に使用する「時価」は、下記(2)に定める「調整後行使価額を適用する日」(以下、「適用日」という)に先立つ45取引日目に始まる30取引日における東京証券取引所における当社普通株式の普通取引の終値(気配表示を含む。以下同じ)の平均値(終値のない日を除く)とする。なお、「平均値」は、円位未満小数第2位を四捨五入して小数第1位まで算出する。

(ⅱ)行使価額調整式に使用する「既発行株式数」は、基準日がある場合はその日、その他の場合は適用日の1ヶ月前の日における当社の発行済普通株式総数から当社が保有する当社普通株式にかかる自己株式数を控除した数とする。

(ⅲ)自己株式の処分を行う場合には、行使価額調整式に使用する「新規発行株式数」を「処分する自己株式数」に読み替える。

(2)調整後行使価額を適用する日は、次に定めるところによる。

① 上記(1)①に従い調整を行う場合の調整後行使価額は、株式分割の場合は、当該株式分割の基準日の翌日(基準日を定めないときは、その効力発生日)以降、株式併合の場合は、その効力発生日以降、これを適用する。ただし、剰余金の額を減少して資本金又は準備金を増加する議案が当社株主総会において承認されることを条件として株式分割が行われる場合で、当該株主総会の終結の日以前の日を株式分割のための基準日とする場合は、調整後行使価額は、当該株主総会の終結の日の翌日以降、当該基準日の翌日に遡及してこれを適用する。

なお、上記ただし書に定める場合において、株式分割のための基準日の翌日から当該株主総会の終結の日までに新株予約権を行使した(かかる新株予約権を行使することにより交付を受けることができる株式の数を、以下、「分割前行使株式数」という)新株予約権者に対しては、交付する当社普通株式の数を次の算式により調整し、調整の結果生じる1株未満の端数は、これを切り捨てる。

 

新規発行株式数

(調整前行使価額-調整後行使価額)× 分割前行使株式数

調整後行使価額

 

② 上記(1)②に従い調整を行う場合の調整後行使価額は、当該発行又は処分の払込期日(払込期間が設けられたときは、当該払込期間の最終日)の翌日以降(基準日がある場合は当該基準日の翌日以降)、これを適用する。

(3)上記(1)①及び②に定める場合の他、割当日以降、他の種類株式の普通株主への無償割当て又は他の会社の株式の普通株主への配当を行う場合等、行使価額の調整を必要とする場合には、かかる割当て又は配当等の条件等を勘案の上、当社は合理的な範囲で行使価額を調整することができる。

(4)行使価額の調整を行うときは、当社は適用日の前日までに、必要な事項を新株予約権者に通知又は公告する。ただし、当該適用の日の前日までに通知又は公告を行うことができない場合には、以後速やかに通知又は公告する。

3.その他の新株予約権の行使の条件

新株予約権者が新株予約権を放棄した場合には、当該新株予約権を行使することができない。

4.組織再編における再編対象会社の新株予約権の交付の内容に関する決定方針

 当社が、合併(当社が合併により消滅する場合に限る)、吸収分割若しくは新設分割(それぞれ当社が分割会社となる場合に限る)又は株式交換若しくは株式移転(それぞれ当社が完全子会社となる場合に限る)(以上を総称して以下、「組織再編行為」という)をする場合には、組織再編行為の効力発生日(吸収合併につき吸収合併がその効力を生じる日、新設合併につき新設合併設立株式会社の成立の日、吸収分割につき吸収分割がその効力を生じる日、新設分割につき新設分割設立株式会社の成立の日、株式交換につき株式交換がその効力を生じる日及び株式移転につき株式移転設立完全親会社の成立の日をいう。以下同じ)の直前において残存する新株予約権(以下、「残存新株予約権」という)を保有する新株予約権者に対し、それぞれの場合につき、会社法第236条第1項第8号イからホまでに掲げる株式会社(以下、「再編対象会社」という)の新株予約権をそれぞれ交付することとする。ただし、以下の各号に沿って再編対象会社の新株予約権を交付する旨を、吸収合併契約、新設合併契約、吸収分割契約、新設分割計画、株式交換契約文は株式移転計画において定めることを条件とする。

(1)交付する再編対象会社の新株予約権の数

 新株予約権者が保有する残存新株予約権の数と同一の数をそれぞれ交付する。

(2)新株予約権の目的である再編対象会社の株式の種類

 再編対象会社の普通株式とする。

(3)新株予約権の目的である再編対象会社の株式の数

 組織再編行為の条件等を勘案の上、上記(注)1.に準じて決定する。

(4)新株予約権の行使に際して出資される財産の価額

 交付される各新株予約権の行使に際して出資される財産の価額は、組織再編行為の条件等を勘案の上、上記(注)2.で定められる行使価額を調整して得られる再編後の行使価額に、上記(3)に従って決定される当該新株予約権の目的である再編対象会社の株式の数を乗じて得られる金額とする。

(5)新株予約権を行使することができる期間

 本新株予約権の行使期間の開始日と組織再編行為の効力発生日のうちいずれか遅い日から、本新株予約権の行使期間の満了日までとする。

(6)新株予約権の行使により株式を発行する場合における増加する資本金及び資本準備金に関する事項

① 新株予約権の行使により株式を発行する場合における増加する資本金の額は、会社計算規則第17条第1項に従い算出される資本金等増加限度額の2分の1の金額とし、計算の結果生じる1円未満の端数は、これを切り上げる。

② 新株予約権の行使により株式を発行する場合における増加する資本準備金の額は、上記①記載の資本金等増加限度額から上記①に定める増加する資本金の額を減じた額とする。

(7)譲渡による新株予約権の取得の制限

 譲渡による新株予約権の取得については、再編対象会社の取締役会の決議による承認を要する。

(8)その他の新株予約権の行使の条件

 上記(注)3.に準じて決定する。

 

②【ライツプランの内容】

 該当事項はありません。

 

(4)【発行済株式総数、資本金等の推移】

年月日

発行済株式総数

増減数

(株)

発行済株式総数

残高

(株)

資本金増減額

(百万円)

資本金残高

(百万円)

資本準備金

増減額

(百万円)

資本準備金

残高

(百万円)

2019年3月5日

(注)1.

普通株式

98,200

普通株式

137,445,809

B種類株式

77,700,000

35

26,778

35

26,714

2021年3月4日

(注)2.

普通株式

137,445,809

B種類株式

77,700,000

△26,768

10

26,714

(注)1.2019年3月5日に、特定譲渡制限付株式の当社従業員への割当により、発行済株式数が普通株式98,200株増加し、資本金が35百万円及び資本準備金が35百万円増加しています。

2.2021年3月4日に、会社法第447条第1項の規定に基づき、資本金26,768百万円を減少し、その他資本剰余金に振り替えています。

 

 

(5)【所有者別状況】

普通株式

 

 

 

 

 

 

 

2023年3月31日現在

区分

株式の状況(1単元の株式数100株)

単元未満

株式の

状況

(株)

政府及び地方公共団体

金融機関

金融商品取引業者

その他の法人

外国法人等

個人

その他

個人以外

個人

株主数(人)

7

33

417

178

221

76,589

77,445

所有株式数

(単元)

47,063

30,075

288,636

63,094

3,722

941,420

1,374,010

44,809

所有株式数の割合(%)

3.43

2.19

21.01

4.59

0.27

68.52

100

(注)1.山海嘉之は普通株式及びB種類株式を保有しています。

2.自己株式4,011,673株は、「個人その他」に40,116単元、「単元未満株式の状況」に73株含まれています。

 

B種類株式

 

 

 

 

 

 

 

2023年3月31日現在

区分

株式の状況(1単元の株式数10株)

単元未満

株式の

状況

(株)

政府及び地方公共団体

金融機関

金融商品取引業者

その他の法人

外国法人等

個人

その他

個人以外

個人

株主数(人)

2

1

3

所有株式数

(単元)

400

7,769,600

7,770,000

所有株式数の割合(%)

0.01

99.99

100

(6)【大株主の状況】

所有株式数別

 

 

2023年3月31日現在

氏名又は名称

住所

所有株式数

(株)

発行済株式(自己株式を除く。)の総数に対する所有株式数の割合(%)

山海 嘉之

茨城県つくば市

80,738,000

38.24

大和ハウス工業株式会社

大阪府大阪市北区梅田3丁目3番5号

26,000,000

12.31

THE BANK OF NEW YORK MELLON SA/NV 10

(常任代理人 株式会社三菱UFJ銀行)

BOULEVARD ANSPACH 1, 1000 BRUXELLES,BELGIUM

(東京都千代田区丸の内2丁目7-1)

1,826,400

0.86

野村信託銀行株式会社(投信口)

東京都千代田区大手町2丁目2-2

1,690,000

0.80

日本マスタートラスト信託銀行株式会社(信託口)

東京都港区浜松町2丁目11番3号

1,531,600

0.72

上田八木短資株式会社

大阪府大阪市中央区高麗橋2丁目4-2

913,400

0.43

矢野 幹夫

愛媛県松山市

740,100

0.35

株式会社日本カストディ銀行(信託口)

東京都中央区晴海1丁目8-12

678,500

0.32

大同生命保険株式会社

(常任代理人 株式会社日本カストディ銀行)

大阪府大阪市西区江戸堀1丁目2番1号

(東京都中央区晴海1丁目8-12)

500,000

0.23

石井 偉永

東京都葛飾区

459,300

0.21

115,077,300

54.50

 

所有議決権数別

 

 

2023年3月31日現在

氏名又は名称

住所

所有議決権数

(個)

総株主の議決権に対する所有議決権数の割合(%)

山海 嘉之

茨城県つくば市

7,800,020

85.68

大和ハウス工業株式会社

大阪府大阪市北区梅田3丁目3番5号

260,000

2.86

THE BANK OF NEW YORK MELLON SA/NV 10

(常任代理人 株式会社三菱UFJ銀行)

BOULEVARD ANSPACH 1, 1000 BRUXELLES,BELGIUM

(東京都千代田区丸の内2丁目7-1)

18,264

0.20

野村信託銀行株式会社(投信口)

東京都千代田区大手町2丁目2-2

16,900

0.19

日本マスタートラスト信託銀行株式会社(信託口)

東京都港区浜松町2丁目11番3号

15,316

0.17

上田八木短資株式会社

大阪府大阪市中央区高麗橋2丁目4-2

9,134

0.10

矢野 幹夫

愛媛県松山市

7,401

0.08

株式会社日本カストディ銀行(信託口)

東京都中央区晴海1丁目8-12

6,785

0.07

大同生命保険株式会社

(常任代理人 株式会社日本カストディ銀行)

大阪府大阪市西区江戸堀1丁目2番1号

(東京都中央区晴海1丁目8-12))

5,000

0.05

石井 偉永

東京都葛飾区

4,593

0.05

8,143,413

89.45

①【連結財政状態計算書】

 

注記

前連結会計年度

(2022年3月31日)

 

当連結会計年度

(2023年3月31日)

 

 

百万円

 

百万円

資産

 

 

 

 

流動資産

 

 

 

 

現金及び現金同等物

8,33

5,677

 

7,801

営業債権及びその他の債権

9,33

493

 

540

その他の金融資産

10,33

15,151

 

9,507

棚卸資産

11

1,089

 

991

その他の流動資産

12

455

 

308

流動資産合計

 

22,865

 

19,147

非流動資産

 

 

 

 

オペレーティング・リース資産

13,18

430

 

430

有形固定資産

13

13,416

 

13,406

使用権資産

18

499

 

546

のれん

14

2,070

 

2,531

無形資産

14

76

 

80

持分法で会計処理されている投資

15

435

 

240

その他の金融資産

10,33

9,571

 

13,641

その他の非流動資産

12

105

 

166

非流動資産合計

 

26,602

 

31,040

資産合計

 

49,467

 

50,187

 

 

 

注記

前連結会計年度

(2022年3月31日)

 

当連結会計年度

(2023年3月31日)

 

 

百万円

 

百万円

負債及び資本

 

 

 

 

負債

 

 

 

 

流動負債

 

 

 

 

営業債務及びその他の債務

19,33

418

 

690

社債及び借入金

17,31,33

34

 

89

リース負債

18,31,33

118

 

147

その他の流動負債

22

259

 

365

流動負債合計

 

828

 

1,291

非流動負債

 

 

 

 

社債及び借入金

17,31,33

34

 

21

CEJファンドにおける外部投資家持分

31,33,34

3,629

 

4,792

リース負債

18,31,33

389

 

412

引当金

21

96

 

96

繰延税金負債

16

1,040

 

1,577

その他の非流動負債

 

 

14

非流動負債合計

 

5,189

 

6,913

負債合計

 

6,017

 

8,204

資本

 

 

 

 

資本金

23

10

 

10

資本剰余金

23

42,869

 

42,877

自己株式

23

0

 

1,188

その他の資本の構成要素

32,33

1,145

 

979

利益剰余金

23

1,679

 

1,381

親会社の所有者に帰属する持分合計

 

43,413

 

42,101

非支配持分

 

38

 

118

資本合計

 

43,450

 

41,983

負債及び資本合計

 

49,467

 

50,187

【連結損益計算書】

 

注記

 前連結会計年度

(自 2021年4月1日

 至 2022年3月31日)

 

 当連結会計年度

(自 2022年4月1日

 至 2023年3月31日)

 

 

百万円

 

百万円

売上収益

6,25

2,150

 

3,289

売上原価

11,18,20,26

688

 

1,498

売上総利益

 

1,462

 

1,791

販売費及び一般管理費

 

 

 

 

研究開発費

18,20,26

713

 

735

その他の販売費及び一般管理費

18,20,26

1,797

 

2,406

販売費及び一般管理費合計

 

2,509

 

3,140

その他の収益

27

175

 

212

その他の費用

27

6

 

8

営業損失(△)

 

878

 

1,145

金融収益

28,33

398

 

1,312

金融費用

33

4

 

193

CEJファンドに係る損益

34

115

 

274

持分法による投資損失(△)

15

19

 

195

税引前利益(△は損失)

 

389

 

53

法人所得税費用

16

133

 

446

当期損失(△)

 

522

 

393

 

 

    

 

 

当期損失(△)の帰属

 

 

 

 

親会社の所有者

 

498

 

298

非支配持分

 

24

 

95

当期損失(△)

 

522

 

393

 

 

 

 

 

1株当たり当期損失(△)

 

 

 

 

基本的1株当たり当期損失(△)(円)

30

2.32

 

1.39

希薄化後1株当たり当期損失(△)(円)

30

2.32

 

1.39

①【貸借対照表】

 

 

(単位:百万円)

 

前事業年度

(2022年3月31日)

当事業年度

(2023年3月31日)

資産の部

 

 

流動資産

 

 

現金及び預金

6,596

6,419

売掛金

※2 357

※2 387

有価証券

12,500

9,500

商品及び製品

320

224

仕掛品

26

20

原材料

741

738

未収入金

※2 20

※2 54

その他

※2 703

※2 140

貸倒引当金

3

4

流動資産合計

21,260

17,478

固定資産

 

 

有形固定資産

 

 

建物

※1 1,901

※1 2,624

構築物

34

65

機械及び装置

※1 1

※1 1

車両運搬具

4

4

工具、器具及び備品

※1 180

※1 217

賃貸用資産

423

426

土地

※1 9,872

※1 9,872

建設仮勘定

1,248

460

有形固定資産合計

13,662

13,670

無形固定資産

 

 

特許権

1

0

ソフトウエア

※1 24

※1 16

その他

5

5

無形固定資産合計

29

21

投資その他の資産

 

 

関係会社社債

53

53

投資有価証券

3,077

4,298

関係会社株式

2,989

3,167

関係会社出資金

1,427

1,947

長期前払費用

66

47

その他

※2 190

※2 939

貸倒引当金

91

91

投資その他の資産合計

7,712

10,362

固定資産合計

21,403

24,053

資産合計

42,663

41,531

 

 

 

 

(単位:百万円)

 

前事業年度

(2022年3月31日)

当事業年度

(2023年3月31日)

負債の部

 

 

流動負債

 

 

買掛金

26

26

未払金

※2 185

※2 421

未払費用

11

14

前受収益

122

80

未払法人税等

5

5

その他

※2 117

※2 347

流動負債合計

467

893

固定負債

 

 

繰延税金負債

36

106

資産除去債務

81

83

その他

14

固定負債合計

116

203

負債合計

583

1,096

純資産の部

 

 

株主資本

 

 

資本金

10

10

資本剰余金

 

 

資本準備金

26,714

26,714

その他資本剰余金

16,413

16,413

資本剰余金合計

43,128

43,128

利益剰余金

 

 

利益準備金

0

0

その他利益剰余金

 

 

繰越利益剰余金

1,133

1,728

利益剰余金合計

1,133

1,728

自己株式

0

1,188

株主資本合計

42,004

40,222

評価・換算差額等

 

 

その他有価証券評価差額金

57

195

評価・換算差額等合計

57

195

新株予約権

19

19

純資産合計

42,080

40,435

負債純資産合計

42,663

41,531

②【損益計算書】

 

 

(単位:百万円)

 

 前事業年度

(自 2021年4月1日

 至 2022年3月31日)

 当事業年度

(自 2022年4月1日

 至 2023年3月31日)

売上高

※2 1,564

※2 1,715

売上原価

※2 396

※2 465

売上総利益

1,168

1,250

販売費及び一般管理費

※1,※2 2,023

※1,※2 2,076

営業損失(△)

856

826

営業外収益

 

 

受取利息

※2 19

※2 31

助成金収入

11

9

受託研究事業収入

36

45

業務受託料

※2 180

※2 166

その他

※2 106

※2 108

営業外収益合計

353

359

営業外費用

 

 

出資金運用損

93

72

その他

7

6

営業外費用合計

100

79

経常損失(△)

602

545

特別利益

 

 

投資有価証券売却益

371

特別利益合計

371

特別損失

 

 

投資有価証券評価損

165

関係会社株式評価損

252

特別損失合計

416

税引前当期純損失(△)

602

591

法人税、住民税及び事業税

5

5

法人税等調整額

1

1

法人税等合計

4

4

当期純損失(△)

607

595