株式会社リボミック
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回次 |
第16期 |
第17期 |
第18期 |
第19期 |
第20期 |
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決算年月 |
2019年3月 |
2020年3月 |
2021年3月 |
2022年3月 |
2023年3月 |
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事業収益 |
(千円) |
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経常損失(△) |
(千円) |
△ |
△ |
△ |
△ |
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当期純損失(△) |
(千円) |
△ |
△ |
△ |
△ |
△ |
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持分法を適用した場合の投資利益 |
(千円) |
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資本金 |
(千円) |
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発行済株式総数 |
(株) |
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純資産額 |
(千円) |
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総資産額 |
(千円) |
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1株当たり純資産額 |
(円) |
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1株当たり配当額 |
(円) |
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(うち1株当たり中間配当額) |
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1株当たり当期純損失(△) |
(円) |
△ |
△ |
△ |
△ |
△ |
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潜在株式調整後1株当たり当期純利益 |
(円) |
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自己資本比率 |
(%) |
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自己資本利益率 |
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株価収益率 |
(倍) |
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配当性向 |
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営業活動によるキャッシュ・フロー |
(千円) |
△ |
△ |
△ |
△ |
△ |
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投資活動によるキャッシュ・フロー |
(千円) |
△ |
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△ |
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財務活動によるキャッシュ・フロー |
(千円) |
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現金及び現金同等物の期末残高 |
(千円) |
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従業員数 |
(人) |
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(外、平均臨時雇用者数) |
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( |
( |
( |
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株主総利回り |
(%) |
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(比較指標:東証マザーズ指数) |
(%) |
( |
( |
( |
( |
( |
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最高株価 |
(円) |
891 |
1,109 |
829 |
944 |
283 |
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最低株価 |
(円) |
284 |
248 |
297 |
143 |
155 |
(注)1.当社は連結財務諸表を作成しておりませんので、連結会計年度に係る主要な経営指標等の推移については記載しておりません。
2.持分法を適用した場合の投資利益については、非連結子会社は存在しますが、利益基準及び利益剰余金基準からみて重要性が乏しいため記載しておりません。
3.潜在株式調整後1株当たり当期純利益については、潜在株式が存在するものの、1株当たり当期純損失であるため記載しておりません。
4.自己資本利益率については、当期純損失を計上しているため、記載しておりません。
5.株価収益率については、1株当たり当期純損失を計上しているため、記載しておりません。
6.最高株価及び最低株価は2022年4月4日より東京証券取引所グロース市場におけるものであり、それ以前については東京証券取引所マザーズにおけるものであります。
7.「収益認識に関する会計基準」(企業会計基準第29号 2020年3月31日)等を第19期の期首から適用しており、第19期以降に係る主要な経営指標等については、当該会計基準等を適用した後の指標等となっております。
当社は、東京大学医科学研究所の教授であった中村義一(現 当社代表取締役社長)の研究成果を利用して、RNAを成分とする医薬品(「アプタマー医薬」)の開発を目的に、2003年8月に設立された創薬プラットフォーム系バイオベンチャーであります。その設立理念は、「Unmet Medical Needs(未だに満足すべき治療法のない疾患領域の医療ニーズ)に応える」、「日本の創薬力を復活させる」、「産学連携を推進しアカデミアの研究成果を社会へ還元する」、ことであります。創薬プラットフォーム系バイオベンチャーとは、特定の標的や疾患に限定されることなく、様々な疾患分野に応用される創薬技術をベースとして、多様な新薬シーズを開発できるバイオベンチャーであると当社では考えております。
当社のコアとなる創薬技術「RiboARTシステム」は、アプタマー創薬に関する総合的な技術や知識、経験、ノウハウ等から成り、多様なプラットフォーム(本技術を応用して様々な新薬のシーズを創出する場、即ち創薬基盤)を構築しております。当社は「RiboARTシステム」を活用して疾患や標的タンパク質に限定されない様々な新薬を創製する事業を展開してまいりました。
このような創薬活動の成果として、製薬企業との事業提携契約(共同研究契約、ライセンス契約)を締結するとともに、これに連動して、複数の提携先と資本提携も実施し、統合的な事業推進を図ってまいりました。
当社は今後もアプタマー医薬を中心とした研究開発を推進し、創薬分野での日本の技術立国の進展及び人々の健康の増進に貢献していきたいと考えております。
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年月 |
事項 |
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2003年8月 |
医薬品開発のコンサルティング等を目的として、東京都板橋区に株式会社リボミックを設立(資本金1,000万円) |
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2005年3月 |
本社を東京都港区白金台に移転し、RNAアプタマーを利用した新規医薬品の開発を本格的に開始 |
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2005年6月 |
国立大学法人東京大学とRNAアプタマー創薬に関する研究を目的とした共同研究契約を締結 |
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2006年10月 |
米国Archemix Corp.(以下「アルケミックス社」という。)とIgGアプタマーの創製に関するSELEX法特許の非独占的ライセンス契約を締結 |
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2007年12月 |
アルケミックス社と抗Midkineアプタマーの創製に関するSELEX法特許の独占的ライセンス契約を締結 |
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2008年1月 |
大塚製薬株式会社と医薬品用途の開発候補アプタマーの創出とそれを用いた医薬品の開発・販売に関して長期共同研究契約を締結 |
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2008年6月 |
アルケミックス社とリサーチライセンス・オプションに関する契約を締結 |
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2011年2月 |
全薬工業株式会社とRNAアプタマー創薬の技術アドバイスに関する契約を締結 |
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2012年4月 |
東京大学医科学研究所に社会連携講座(「RNA医科学」社会連携研究部門)を設置 |
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2014年3月 |
大正製薬株式会社とアプタマー新薬に関する共同研究契約を締結 |
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2014年4月 |
藤本製薬株式会社と抗NGFアプタマーの独占的実施権の供与に関するライセンス契約を締結 |
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2014年9月 |
東京証券取引所マザーズに株式を上場 |
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2017年3月 |
アステラス製薬株式会社とアプタマー医薬品開発に関する共同研究契約を締結 |
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2017年5月 |
大塚製薬株式会社と抗Midkineアプタマーの独占的実施権の供与に関するライセンス契約を締結 |
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2017年8月 |
米国カリフォルニア州にRIBOMIC USA Inc.を設立 |
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2018年10月 |
滲出型加齢黄斑変性を対象疾患とするRBM-007の米国における第1/2a相臨床試験を開始 |
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2019年1月 |
ビタミンC60バイオリサーチ株式会社とアプタマー技術を活用した化粧品原料開発に関する共同研究開発契約を締結 |
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2019年12月 |
滲出型加齢黄斑変性を対象疾患とするRBM-007の米国における第2相臨床試験を開始 |
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2020年3月 |
韓国AJU薬品株式会社との間で、RBM-007の韓国・東南アジア地域における滲出型加齢黄斑変性を適応疾患とする独占的開発権並びに販売権の供与に関するライセンス契約を締結 |
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2020年7月 |
軟骨無形成症を対象疾患とするRBM-007の日本における第1相臨床試験を開始 |
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2020年10月 |
滲出型加齢黄斑変性を対象疾患とするRBM-007の米国での第2相臨床試験の延長試験を開始 |
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2021年2月 |
あすか製薬株式会社との共同研究に関する共同研究開発契約を締結 |
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2021年7月 |
滲出型加齢黄斑変性を対象疾患とするRBM-007の米国での医師主導治験を開始 |
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2022年7月 |
軟骨無形成症を対象疾患とした前期第2相試験実施のための観察試験開始 |
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2023年1月 |
軟骨無形成症を対象疾患とした前期第2相臨床試験開始 |
当社は、抗体に継ぐ次世代新薬として期待されているアプタマー(核酸医薬の一種)に特化して医薬品の研究開発を行うバイオベンチャーです。当社は、アプタマー創製に関する総合的な技術や知識、経験、ノウハウ等からなる創薬プラットフォームである当社独自の「RiboARTシステム」を活用して、革新的なアプタマー医薬の研究開発(「アプタマー創薬」)を行っております。
当社の企業理念は「Unmet Medical Needs(未だに満足すべき治療法のない疾患領域の医療ニーズ)に応える」ことであり、その実現のための最重点経営目標を、「自社での臨床Proof of Concept※1の獲得に向けた開発」として、当事業年度においても様々な取り組みを進めてまいりました。
※1:臨床Proof of Concept(臨床POC):新薬の開発段階において、投与薬剤がヒトでの臨床試験において意図した薬効と安全性を有することが示されること。
(1)当事業年度の主要なトピックス
①RBM-007(抗FGF2アプタマー)の臨床開発について
自社で創製したRBM-007(抗FGF2アプタマー)の臨床試験の推進に積極的に取り組みました。RBM-007は高齢者の失明の原因ともなりうる滲出型加齢黄斑変性(wet AMD)と難治性の希少疾患として知られる軟骨無形成症(四肢短縮による低身長を伴う)を対象疾患としております。さらに、RBM-007の適応症拡大を目指し、日本大学医学部のグループと、増殖性硝子体網膜症(PVR)に関する共同研究を開始しました。
(i)滲出型加齢黄斑変性(wet AMD)
wet AMDを対象にした臨床試験として、RBM-007の複数回投与による臨床POC確認を目的とした第2相臨床試験(試験略称名:TOFU試験)を米国で実施いたしました(被験者86名)。TOFU試験は、標準治療の抗VEGF治療歴のあるwet AMD患者を対象に、①RBM-007硝子体内注射の単剤投与群、②既存の抗VEGF薬であるアイリーアⓇとRBM-007の硝子体内注射による併用投与群、及び③アイリーアⓇ硝子体内注射の単剤投与群の3群間で、RBM-007の有効性及び安全性をアイリーアⓇと比較評価する、無作為化二重盲検試験でした。
また、TOFU試験の進捗に基づき、長期投与に伴う本薬剤の有効性と安全性、及び瘢痕形成を含む網膜の構造異常に対する効果を評価する目的で、RBM-007を単剤で投与するオープン試験としてのTOFU試験の延長試験(試験略称名:RAMEN試験)を行いました。RAMEN試験では、TOFU試験を完了した22名の被験者に対して、追加のRBM-007の硝子体内投与を1ヶ月間隔で計4回行いました。
さらに、治療歴のないwet AMD患者でのRBM-007単独治療の有効性及び安全性を評価することを目的に、米国で医師主導治験(試験略称名:TEMPURA試験)が実施されました(被験者5名)。
その結果、事後解析の結果も含めて、以下の知見が明らかになりました(これらの詳細な解析結果は論文として公開する予定です)。
・治療歴のない半数以上のwet AMD患者において臨床薬効(視力の改善 and/or 網膜厚の減少)が確認された(TEMPURA試験)
・抗VEGF治療歴のあるwet AMD患者に対しては、RBM-007単剤投与、及びRBM-007とアイリーアⓇの併用投与において、アイリーアⓇ単剤投与を上回る臨床有効性は観察されなかったものの、主要評価項目である視力及び網膜構造の変化は、3つの治療グループともわずかであり、RBM-007による病気の進行抑制効果が確認された(TOFU試験とRAMEN試験)
・これら3試験により、当初目的であるRBM-007の臨床POCに準ずる有効性が確認された
以上の結果から、RBM-007は、今後、抗VEGF薬にはない瘢痕化抑制作用を明らかにすることができれば、治療歴のないwet AMD患者に対する新規治療剤となり得ると考えています。
・現状について:
TOFU/RAMEN/TEMPURA の3本の第2相臨床試験の結果から、治療歴のないwet AMD患者を対象とする臨床試験の実施が望まれます。当社としては、そのためのライセンス・アウト、もしくはパートナリングの実現に注力してまいりました。この結果、2022年12月に、Rico International (Beijing) Medicine Technology Co., Ltd.及びShanghai Huirui Medical Co., Ltd.との間で、中国地域における wet AMD等を適応疾患とする臨床開発を担う合弁会社設立に関して基本合意に至りました。今後、合弁会社設立契約の締結後に、当社は、合弁会社での資金調達や臨床開発の進展により、マイルストーンと上市後のロイヤルティーを合わせて、最大で1億US$を受け取る見込みです。
注:今回の基本合意書は法的拘束力があるものではないことが明記されており、本契約締結の過程で変更等がなされる可能性があります。
(ii)軟骨無形成症(ACH)
・臨床試験
軟骨無形成症に関するプロジェクトは、国立研究開発法人日本医療研究開発機構(AMED)の助成(2015年度から合計6年間)を受け、当該助成の下、2020年7月~2021年5月にかけて、国内の1治験施設において第1相臨床試験を実施いたしました。この結果を受け、ACHの小児患者における、身長の伸びを含む臨床的基礎データの取得と前期第2相臨床試験の被験者選定を目的とした前期第2相観察試験、及びACHの小児患者でのRBM-007の有効性と安全性を調べる前期第2相臨床試験と、これに引き続き実施する前期第2相長期投与試験の3つの治験計画届書を、独立行政法人医薬品医療機器総合機構(PMDA: Pharmaceuticals and Medical Devices Agency)に提出しました。現在、東京及び関西地区の5施設において前期第2相観察試験が開始され、さらにそれに続く前期第2相臨床試験での最初の小児患者にRBM-007の皮下投与が行われました。今後も治験実施施設を増やしつつ臨床試験を進めてまいります。
なお、本プロジェクトは2021年度から3年間は、AMEDの希少疾患用医薬品指定前実用化支援事業として実施しております。
・ACHの既存治療法と課題
ACHは四肢短縮による低身長を主な症状とする希少疾患で、厚生労働省から難病指定を受けています。RBM-007は疾患モデルマウスを利用した実験で、体長の短縮を約50%回復する効果を示しました。さらに、軟骨細胞への分化誘導が欠損していることが知られているACH患者由来のiPS細胞(人工多能性幹細胞)について、RBM-007存在下で、その分化誘導が回復することも確認しました(非臨床POC獲得)。本邦ではこれまで治療薬として成長ホルモンが使用されてきましたが、その効果は十分とは言えず、骨延長術(足の骨を切断して引き離した状態で固定し、骨の形成を促す)といった非常に厳しい治療が幼い子供に施されることもあり、効果の高い新薬が待ち望まれていました。また、2022年6月にACH治療薬としてBIOMARIN社のボックスゾゴⓇが本邦でも製造販売が承認されましたが、ボックスゾゴⓇは毎日の投与(皮下注射)が必要となっております。そのため、患者への投与間隔を1,2週間と長くとれる、当社のRBM-007への期待は引き続き高いものと考えております。
なお、RBM-007を用いた上記モデル動物実験や、iPS細胞を用いた試験の結果については、2021年5月に、米国科学誌Science Translational Medicine電子版に論文として掲載されました※2。
※2:Kimura T, Bosakova M, Nonaka Y, Hruba E, Yasuda K, Futakawa S, Kubota T, Fafilek B, Gregor T, Abraham SP, Gomoklova R, Belaskova S, Pesl M, Csukasi F, Duran I, Fujiwara M, Kavkova M, Zikmund T, Kaiser J, Buchtova M, Krakow D, Nakamura Y, Ozono K, Krejci P. RNA aptamer restores defective bone growth in FGFR3-related skeletal dysplasia. Sci. Transl. Med., 13, eaba4226 (2021)
自社での第2相試験の実施により臨床POCが獲得されれば、ACHに対する新規治療剤の提供に至る第一歩になるとともに、新薬候補品としてのRBM-007の価値が高まり、ライセンス収益の拡大及び将来に向けた発展に寄与するものと考えております。同時に、wet AMDのような硝子体という局所投与のみならず、アプタマー医薬品として、全身投与による疾患治療の世界初の事例となることで、今後のアプタマー医薬品の開発に大きく弾みがつくことが期待されます。
(iii)増殖性硝子体網膜症(PVR)
PVRは網膜剥離や糖尿病網膜症の放置、網膜剥離の手術によって起こる網膜疾患です。多種の細胞が網膜表面、網膜内、硝子体腔内で増殖膜を形成し、当該増殖膜が収縮することによって網膜に皺襞(すうへき)形成や牽引性網膜剥離が生じ、失明に至ります。硝子体手術などの治療によっても重篤な視力障害や失明に至る事が多く、また現在のところ有効な予防法は存在しません。
・非臨床試験
RBM-007の適応症拡大を目指して、当社は日本大学医学部視覚科学系眼科学分野の長岡泰司教授らのグループとRBM-007を用いたPVRの予防に関する共同研究を開始しました。長岡泰司教授らのグループは網膜疾患治療に高い実績があると同時に、PVRの動物(豚眼)モデルを保有しており、すでに当社開発のアプタマーのひとつについて、顕著なPVR予防効果が示唆されています(特許出願済み)。本共同研究によってRBM-007にPVR予防効果が確認された場合は、速やかに第2相臨床試験を開始することが可能となるため、当社にとって重要な適応拡大になることが期待されます。
②RBM-007以外の臨床開発優先度の高い自社パイプライン
当社は、既存パイプラインを継続的、重層的に拡大し、中長期的に成長するために、特に優れた薬効が確認されているRBM-011、RBM-003、RBM-010及びRBM-009を、RBM-007に次ぐ重点開発プログラムと位置づけております。
(i)RBM-011(抗IL-21(インターロイキン21)アプタマー、肺動脈性肺高血圧症)
RBM-011が対象とする肺動脈性肺高血圧症は、難病に指定されている病気であり、肺動脈壁が肥厚して血管の狭窄が進行した結果、高血圧をきたして全身への血液や酸素の供給に障害が生じ、最終的には心不全から死に至ることのある重篤な疾患です。プロスタグランジンI2誘導体製剤などの既存治療薬が十分な効果を発揮しない患者の予後は依然として極めて悪い状態です。これらの既存治療薬は、いずれも血管を拡張させる作用を持つものであり、血管壁の肥厚を改善する作用を持つ上市薬はなく、その開発が強く望まれています。
2017年度から3年間は、AMEDの難治性疾患実用化研究事業の一環として、また2020年度からの3年間は、AMEDの前記事業の治験準備(ステップ1)研究として助成を受け、肺動脈性肺高血圧症の国内での専門医療機関である国立研究開発法人国立循環器病研究センター(国循)との共同研究を進めてきました。当該共同研究において、抗IL-21アプタマーが肺動脈性肺高血圧症モデル動物において、肺動脈壁の肥厚を顕著に抑制することが明らかにされました。
また、国循との共同研究と並行して、原薬の合成を完了し、PMDAと協議の上、当事業年度において第1相試験のための毒性試験を開始して、2023年6月に終了いたしました。
(ii)RBM-003(抗キマーゼアプタマー、心不全)
心筋梗塞直後に、Chymase(キマーゼ)は肥満細胞と心筋細胞等の組織損傷部位から分泌され、アンジオテンシンⅡ等の活性化をとおして、心筋に悪影響を及ぼすことが知られています。ハムスターを用いた冠動脈結紮による心筋梗塞急性期モデル(ハムスターモデル)において、抗キマーゼアプタマーであるRBM-003の投与は、梗塞後のキマーゼ陽性肥満細胞の集積及びキマーゼ活性を抑制し、顕著な心機能改善効果を示しました※3。さらに、RBM-003は、冠動脈結紮の前投与のみならず、後投与においても顕著な心機能改善効果を示し、前記ハムスターモデルにおける生存率を著しく改善いたしました。現在、急性心不全に対する医薬品は存在せず、Unmet Medical Needsのある疾患となっています。RBM-003は他のキマーゼ阻害剤と比べて非常に強い酵素阻害活性を持つことが確認されており、急性心不全に対する即効性の注射薬の開発に取り組んでおります。
※3:Jin D, Takai S, Nonaka Y, Yamazaki S, Fujiwara M, Nakamura Y. A chymase inhibitory RNA aptamer improves cardiac function and survival after myocardial infarction. Mol. Ther. Nucl. Acids, 14, 41-51 (2019)
(iii)RBM-010(抗ADAMTS5アプタマー、変形性関節症)
RBM-010は、当社と大正製薬株式会社との共同研究で創薬された製品で、変形性関節症の増悪因子の一つであるADAMTS5(a disintegrin and metalloproteinase with thrombospondin motifs 5)の働きを抑制する作用があります。変形性関節症は、種々の原因により、膝や足の付け根、肘、肩等の関節に痛みや腫れ等の症状が生じ、その後関節の変形をきたす病気です。現在、治療法としては、痛みや腫れを和らげる薬の服用や関節置換術などの手術しかなく、寛解させる薬はありません。本邦には、変形性関節症を有している人が、2,500万人以上、また、世界では、変形性関節症の患者が約2億4,000万人以上と推定されており、今後高齢化に伴いさらに増加が予測されています。
RBM-010は、関節での軟骨成分の分解を促進しているADAMTS5を抑制することにより、変形性関節症の症状進行を遅らせることが期待でき、現在、局所投与による徐放性製剤の開発に取り組んでおります。
(iv)RBM-009(抗ST2 (IL-33 receptor) アプタマー、重症喘息)
RBM-009が対象とする重症喘息は、頻繁な息切れや呼吸困難によって日常生活や睡眠が妨害され、生活の質の低下を余儀なくされる疾患です。喘息の治療には、吸入ステロイドや気管支拡張薬に加え、抗体医薬品(抗IgE抗体、抗IL-5/5R抗体、抗IL-4/13R抗体)や経口ステロイド薬が使用されますが、重症喘息患者の中にはこれらの薬剤でもコントロールできない患者が一定数存在しています。
ST2の刺激分子であるIL-33は炎症カスケードの上流因子であり,様々な免疫細胞に発現するST2を刺激して炎症を惹起します。最近では免疫細胞の一つであるILC2が、コントロール不良の一つの要因であるステロイド抵抗性に寄与しており、その抵抗性メカニズムにST2が関与することが示唆されております。当社ではST2をブロックすることにより複数の機序で惹起される炎症を抑え、既存薬が良好な反応を示さない喘息も治療できる可能性があると考えており、開発に取り組んでおります。
③その他のプロジェクト
(i)新型コロナウイルス感染症(COVID-19)治療薬アプタマーの開発
COVID-19の原因ウイルスであるSARS-CoV-2のスパイクタンパク質(Sタンパク質)と、ヒトの細胞表面にある受容体(ACE2タンパク質)との結合を阻害し、細胞への侵入を阻止するアプタマーの創製を試みております。
現在までに、多数の候補配列情報を取得、表面プラズモン共鳴法を用いたスクリーニングによって、抗Sタンパク質アプタマーの候補(Sタンパク質に対する結合活性、及び宿主受容体ACE2への結合阻害活性を持つアプタマー)を複数特定することに成功しておりますが(ヒット化合物の取得)、動物モデルを用いた感染阻害試験において、SARS-CoV-2ウイルスの感染を阻害するのに十分な効果をもったアプタマーは未だ確認されていません。近年世界的に進展したSARS-CoV-2研究によれば、ヒト細胞表面へのウイルスの結合には複数の作用機序があることが明らかになっているため、取得したアプタマーを用いた新たな抗ウイルス戦略を検討しております。
(ii)共同研究契約
ビタミンC60バイオリサーチ株式会社との共同研究開発契約に基づき、化粧品原料候補の創製・開発に関する共同研究を実施し、現在までに有望なアプタマーの創製に成功しており、実用化へ一歩進んでおります。
2021年2月、あすか製薬株式会社と、産婦人科領域で重要な役割を担う特定のホルモン受容体を標的とした創薬研究開発に関する複数年間の共同研究開発契約を締結し、共同研究を進めてまいりましたが、2023年9月、共同研究開発契約に定めた研究ステップの期間が満了したことに伴い、両社協議の上、本共同研究開発を終了することを決定いたしました。
(iii)継続中の自社創薬プロジェクト
・AIアプタマープロジェクト:
アプタマー医薬品の汎用性をさらに活かすため、国立研究開発法人科学技術振興機構から委託されているコンピューター科学を応用した技術開発(以下、「JST委託事業」)等を継続して進めております。2018年度から開始されたJST委託事業において、当社は早稲田大学と共同し、バイオインフォマティクスを駆使したアプタマー探索技術(RaptRanker)を開発いたしました※4。RaptRankerを用いることにより、当社のアプタマー創薬プロセスを効率化し、創薬期間の短縮及び成功率の向上が期待されます。さらに、2021年4月から3年間の事業として、「AIアプタマー創薬プロジェクト」がJSTに採択され、当社は早稲田大学と共同で、RNAアプタマーの創薬のプロセスを、深層学習などの人工知能技術を活用することで自動化し、創薬期間の短縮及び創薬成功確率の向上を実現させることを目指し、研究を進めております。この研究におきまして、変分オートエンコーダを応用した革新的な配列生成技術であるRaptGenを開発いたしました。SELEXで得られた特定の標的に対する多数の標的結合アプタマーの配列を、RaptGenを用いて解析することにより、もともとのSELEXデータに含まれていない、前記標的に強く結合する新規のアプタマー配列の生成も可能となりました。RaptGenについては、2022年6月3日にNature Computational Scienceのオンライン版に掲載されております※5。
※4:Ishida R, Adachi T, Yokota A, Yoshihara H, Aoki K, Nakamura Y, Hamada M. RaptRanker: in silico RNA aptamer selection from HT-SELEX experiment based on local sequence and structure information. Nucl. Acids. Res., 48, e82 (2020)
※5:Iwano N, Adachi T, Aoki K, Nakamura Y, Hamada M. : Generative aptamer discovery using RaptGen. Nat. Comput. Sci., 2, 378–386 (2022)
・DDSアプタマープロジェクト:
当社では、RaptRanker及びRaptGenを含むRiboARTシステムをさらに発展させると共に、現在、RiboARTシステムを用いて、ドラッグデリバリーシステム(DDS)用のアプタマー開発に取り組んでいます。DDSとは、体内で薬物の分布を制御することで、薬物の効果を最大に高める一方で、薬の投与回数及び副作用を軽減するための、理想的な体内動態を制御する技術です。近年の医薬品開発を取り巻く環境は著しい変化を遂げており、ブロックバスター創出のための疾患発症の標的分子の枯渇や、Unmet Medical Needsの高まりなどを理由に、多数のモダリティ(治療手段)が生まれてきています。特に核酸医薬を中心として、さまざまな生体内バリアを突破させ、標的部位(臓器、組織、細胞等)へと効率的に送り込むにはDDSが必要不可欠となります。
アプタマーは化学合成品であり、抗体、低分子化合物、及びASO、siRNA、mRNAなどの核酸等に化学的に結合させることが可能です。DDSとして利用可能なアプタマーを取得するための期間は1年から2年単位と短いため、アプタマーを取得後は、迅速に特許出願を行うと共に、大手製薬企業を含む様々な企業に提供することで、基礎段階より早期に収益をあげていきたいと考えております。
(2)当社のビジネスモデルと収益計上の時期
①当社のビジネスモデル
当社の事業は、以下の自社創薬と共同研究の2事業より構成されております。創薬探索から臨床開発までをビジネスとして進めております。
(i)自社創薬(自社創薬事業)
一定の開発段階まで自社独自、又は、大学等研究機関と共同で医薬候補となるアプタマーを開発し、その後、その成果を製薬企業にライセンス・アウトし、ライセンス対価(基本的に、契約締結時に受け取る契約一時金、開発進行に伴うマイルストーン収入、及び製品上市後の売上に応じたロイヤルティー)を得る事業です。
(ii)製薬企業との共同研究(共同研究事業)
アプタマー医薬の研究を提携製薬企業と共同で行い、当社が分担する業務に応じて提携先から支払われる研究費を収入として得る事業です。さらに、共同研究では、一定の開発段階に達した時点で提携先の製薬企業に当社分の権利をライセンス・アウトし、相応の契約一時金やマイルストーン収入等を得てまいります。
上記二つの事業をバランスよく実施することで、以下の成果あるいは効果が期待できます。
1) 共同研究を実施することにより、自社創薬のビジネスモデルに伴うライセンス・アウトの不確実性による
収益の不安定化というリスクを低減できる
2) 共同研究先の新薬開発のノウハウ、経験を知得できる
3) 共同研究が順調に進む場合、ライセンス・アウトの実現可能性が高い
4) POCを取得した自社開発品のライセンス・アウトにより大きな収益を期待できる
5) 事業を全体として拡大できる
当社の事業の系統図は以下のとおりです。
<事業の系統図>

※:対価収入のうちライセンス・アウトの対価には、当社が製薬企業より受け取る①契約締結時の一時金、②開発の進捗に応じたマイルストーン収入、③製品発売後の売上に対するロイヤルティーがあります。
当社は、上記の自社創薬事業に付随する事業として、医薬品以外への応用可能性を秘めたアプタマーの実用化検討も行っております。その一環として、抗体であるIgGに特異的に結合する性質を有したアプタマーを、工業用資材(抗体医薬の精製剤等)として開発する事業や、アプタマーを利用した化粧品原料の開発を進めています。
②事業活動に伴う収益計上の時期
当社のビジネスモデルにおいて、自社創薬及び共同研究とも収益を計上できるのは、ライセンス契約や共同研究契約の締結後です。以下の図は、その場合の収益計上のタイミングを示しています。
<自社創薬及び共同研究における一般的な収益計上のタイミング>
注:上記の図は、一般的なケースとして当社が想定している事業収益計上のタイミングを表すものです。
個別の契約により受取回数等が異なる場合があります。
(3)事業戦略
当社は、アプタマー創薬に関する当社の競争優位性や強みを梃子として、以下の基本ポリシーのもとで、研究開発を推進しております。
① 自社創薬におけるパイプラインの一層の拡充と進展を図り、研究成果をいち早く知財化して競争優位性を維持、強化しライセンス・アウトを目指す。
② 共同研究を積極的に展開し、早期の収益確保及びライセンス・アウトを目指す。
③ アプタマー医薬品としての特性を最大限に生かしうる開発品や疾患については、過大な経済的負担を避けつつ、付加価値を高める観点から臨床POC取得のための臨床試験を実施し、収益の最大化を図る。
④ アプタマー創薬における当社の「RiboARTシステム」の更なる向上、発展を図るべく、次のアプタマーの創製
にチャレンジする。
1) アゴニスト・アプタマー(受容体作動薬)
2) 細胞内への取り込み可能な(DDS作用を有する)アプタマー
3) 細胞膜複数回貫通型のタンパク質(GPCR受容体等)と結合するアプタマー
4) 次世代シークエンサーとコンピューター科学を利用したアプタマー探索の人工知能技術の開発
5) 脳関門通過技術の開発と神経疾患治療への応用
⑤ 大学や研究機関との緊密な連携を図り、大学や研究機関での基礎研究成果を医薬品開発に応用するトランスレーショナル・リサーチを推進することにより、アカデミアにおける研究成果をいち早くアプタマー創薬に活かす。
(4)医薬品市場におけるアプタマー医薬
①アプタマー医薬を含む核酸医薬の市場
医薬品は、その素材から、1)低分子、2)ワクチン、3)生物製剤、4)核酸、5)細胞、6)遺伝子に分類されますが、この中で最も新しく、技術革新が進展しているのが、生物製剤の中の抗体医薬と、核酸を成分とする核酸医薬、並びに細胞を利用する再生医療や遺伝子治療です。
そのような中、アプタマーを含む核酸医薬は、作用メカニズム及び投与方法が類似していることから、現在巨大な市場を形成している抗体医薬に続く次世代の医薬品として注目されており、核酸医薬の世界の売上高は、2019年が約3,000億円であり、抗体医薬の2019年の売上高約16兆円に比べてまだまだ小さな額ですが、抗体医薬との比較優位性から2030年には、約2兆円に拡大する(SARS-CoV-2に対するmRNAワクチンを除く)と想定されています。
②世界におけるアプタマー医薬品の臨床開発動向
MacugenⓇは世界初のwet AMD治療薬として承認されましたが、その後VEGFを標的とする抗体や可溶性のデコイ(おとり)受容体を利用した、さらに有効な医薬(LucentisⓇ、EyleaⓇ、AvastinⓇ等)が開発されて、現在、MacugenⓇはほとんど使用されなくなりました。2004年のMacugenⓇの成功は、アプタマー医薬の開発を鼓舞する意味も大きく、その後、複数のアプタマー医薬候補品が臨床試験に進みました。その中でも注目された二つのアプタマー(REG1、FovistaⓇ)の治験が最終の第3相試験で成功せず、アプタマー創薬に関してネガティブな印象を残し、その後、アプタマー医薬品の開発は世界的に停滞しているようにもみえました。しかし、ようやく最近、補体C5に対するアプタマー(ARC1905: ZimuraⓇ)が萎縮型加齢黄斑変性(dry AMD)に有効であることが、第3相試験で証明され、米国FDAに対して製造承認申請が提出されました(下表参照)。さらに、最近、アステラス製薬がZimuraⓇを開発したIveric Bio社を総額8,000億円で買収する契約を締結しました。
現在、当社のRBM-007を含めて9種類のアプタマーが臨床試験の過程にあり、アプタマー医薬品開発の機運が再び盛り上がっております。これらの動向の中において、MacugenⓇやZimuraⓇ、そしてRBM-007がいずれも網膜疾患に対して奏功したことから、アプタマーは網膜疾患にフィットするモダリティ(治療手段)であることが示唆されました※6(下表参照)。
※6:中村義一.アプタマー:加齢黄斑変性への適応. Clinical Neuroscience Vol. 41 (No.5) 630-634 (2023)
アプタマー臨床開発パイプライン
:網膜疾患を対象とするアプタマー
核酸医薬には、アプタマーの他に、アンチセンス、デコイ、siRNA、microRNA、mRNAなどの種類があり、現在の開発の主流はアンチセンスですが、依然として幾つかの課題(化学修飾、DDS及び製造と品質管理)が指摘されています。
今後、核酸医薬の中軸を担うのは、化学修飾が容易で、通常、抗体と同様に細胞外で機能するため、DDS技術が不要なアプタマー医薬であり、そのアプタマー医薬の中でも、当社のRBM-007プログラムが世界の最先端に位置していると当社は考えております。アプタマーは、標的となるタンパク質分子への結合という点で似たような作用を持つ抗体医薬と比較して、その結合活性が非常に高いことや、様々な化学修飾によって活性や体内動態等を改善するという優位点があります。なお、抗体医薬との比較は、次の項を参照下さい。
③アプタマー医薬と抗体医薬の比較
アプタマー医薬は分子標的薬として、抗体を成分とする抗体医薬と、作用メカニズム及び投与方法が類似しています。従って、アプタマー医薬の最大の競合品は抗体医薬になります。アプタマー医薬市場の成否は、抗体医薬との比較のなかで、その違いを明確にし、どう差別化するかにかかっています。抗体医薬は、マウス等で作製した抗体をヒトで異物として排除されにくいように加工した後、これを産生する特殊な細胞を大量に培養し、精製して医薬品原料にします。その起源が生物試料であることから生物製剤に分類されます。これに対し、アプタマー医薬はその成分であるRNAを化学合成して製造することから合成医薬品に分類されます。
以下は抗体医薬と比較したアプタマー医薬の特徴ですが、アプタマー医薬は、科学技術の進歩とともにその長所が認識され、抗体に続く次世代の新薬の核として開発が進むものと当社は期待しております。
<アプタマー医薬と抗体医薬の比較> (当社作成)
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項目 |
アプタマー医薬 |
抗体医薬 |
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標的タンパク質に対する結合力 |
抗体の1,000倍は可能 |
強い |
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創薬ターゲットの種類 |
極めて多様 |
抗原タンパクに限定 |
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製造方法 |
化学合成法 |
細胞培養法 |
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コスト(製造コスト低減の容易さ) |
比較的高価 (製造コスト低減の可能性あり) |
比較的高価 (製造コストの低減は難しい) |
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抗原性/免疫排除 |
起きにくい |
起きる |
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製剤の可逆性・安定性 |
高い |
低い |
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体内動態(長時間作用) |
苦手、限界あり |
良い |
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中和 |
可能(アンチセンスの利用) |
不可能 |
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短期作用性 |
得意 |
困難 |
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加工・化学修飾 |
容易 |
困難 |
(5)知財戦略
創薬プラットフォーム系バイオベンチャーである当社にとって、開発する製品が特許により保護されていることが、自社開発のみならず他社とのライセンスや共同研究を実現する上で不可欠です。
当社の知財戦略は、開発する製品に関するものと、開発技術に関するものとに峻別し、以下のような異なる対応をしております。
①自社創薬品目及び共同研究品目に対する知財戦略
RNAを成分とするアプタマーは配列の違いによって、同一標的分子(疾患関連タンパク質)についても、既存特許に対して抵触しない複数の物質特許が成立する可能性があります。よってプロジェクトごとの開発品を含む物質特許の取得を前提としています。
当社は標的分子との結合力が強くかつ当該標的分子の生理作用に対する阻害活性の高いアプタマーだけでなく、その周辺の化合物もカバーする特許権の成立を目指します。具体的には、無数にある核酸配列の中から結合力及び阻害活性の高いアプタマーに共通する構造や配列を探索し、その共通構造・共通配列を特許化することで、広い権利を押さえることを基本戦略としています。さらに非臨床試験・臨床試験の経過により得られるデータに基づき、製剤特許や用途特許の出願を実施し、実質的な特許期間を延ばす戦略を採っています。
一方共同研究品目については、まずは提携先との共同出願となるのが通例ですが、ライセンス・アウトに伴い、開発や事業化についての独占的実施権を提携先に付与しても、当該特許に対する自社権利は維持する(共有とする)方針を基本といたします。
なお特許出願国については、日米欧を中心として、中国、韓国、インド、ブラジル等の医薬品市場の規模が大きく、又は将来の市場拡大が見込まれる国や地域をカバーすることを方針としております。
②「RiboARTシステム」に対する知財戦略
「RiboARTシステム」のコアとなる技術(アプタマーの取得、短鎖化や化学修飾等の最適化)の中には、特許化が可能な技術も含まれていると当社は考えておりますが、特許化は技術公開という代償を伴い、当社の特許化された技術を使用して他社がアプタマーを取得したとしても、それが当社の特許技術を使用したことを立証することは困難です。
従って、当社では、原則としてアプタマー医薬品候補物については、物質特許を取得する方針でありますが、「RiboARTシステム」を構築する技術自体は、特許化による競争優位性が確保されるものを除きノウハウあるいは営業秘密として秘匿し、優位性の確保に努めます。なお、当社はノウハウあるいは営業秘密が社外に流出しないよう、役職員や取引先との間で秘密保持義務等を定めた契約を締結し、厳重な情報管理に努めております。
③主要な特許の状況
当社が保有者となる、当社の研究開発に関する主要な特許の状況は以下のとおりであります。
<自社創薬品目に関する特許>
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対象パイプライン |
発明の名称 |
国際出願番号 (国内特許番号) |
保有者 |
登録状況 |
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RBM-003 |
キマーゼに対するアプタマー及びその使用 |
PCT/JP2018/044132 (特許第7264487号) |
当社 |
日米欧中韓等に移行済、日米で特許成立 |
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RBM-004 |
NGFに対するアプタマー及びその使用 |
PCT/JP2011/057105
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当社・藤本製薬株式会社 |
台湾にて特許・維持 |
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RBM-007 |
FGF2に対するアプタマー及びその使用 |
PCT/JP2015/058992 (特許第6634554号) |
当社 |
日本・米国・欧州各国・中国・オーストラリア・香港・イスラエル・メキシコ・シンガポールにて特許・維持、カナダで特許成立・維持、インド、韓国は係属中 |
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アプタマー製剤 |
PCT/JP2019/025766 |
当社 |
日米欧中韓等に移行済 |
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網膜下高反射病巣または網膜下高反射病巣を伴う網膜疾患の治療剤 |
PCT/JP2021/004215 |
当社 |
日米欧中韓に移行済 |
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RBM-006 |
オートタキシンに結合しオートタキシンの生理活性を阻害するアプタマー及びその利用 |
PCT/JP2015/062561 (特許第6586669号) |
当社 |
日本のみ特許を維持 |
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RBM-010 |
ADAMTS5に対するアプタマー及びその使用 |
PCT/JP2018/041746
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当社 |
日米欧中韓等に移行済み、米国にて特許成立 |
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RBM-011 |
IL-21に対するアプタマー及びその使用 |
PCT/JP2021/023023 |
当社 |
日米欧中韓等に移行済 |
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TGFβ1に対するアプタマー及びその使用 |
PCT/JP2020/026755 |
当社 |
日米に移行済み |
<ライセンス・アウト品目に関する主要な特許>
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対象パイプライン |
発明の名称 |
国際出願番号 (国内特許番号) |
保有者 |
登録状況 |
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RBM-004 |
NGFに対するアプタマー及びその使用 |
PCT/JP2011/057105 |
当社・藤本製薬株式会社 |
台湾にて特許・維持 |
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RBM-007 |
FGF2に対するアプタマー及びその使用 |
PCT/JP2015/058992 (特許第6634554号) |
当社 |
日本・米国・欧州各国・中国・オーストラリア・香港・イスラエル・メキシコ・シンガポールにて特許・維持、カナダで特許成立、インド、韓国は係属中 |
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アプタマー製剤 |
PCT/JP2019/025766 |
当社 |
日米欧中韓等に移行済 |
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|
網膜下高反射病巣または網膜下高反射病巣を伴う網膜疾患の治療剤 |
PCT/JP2021/004215 |
当社 |
日米欧中韓に移行済 |
<その他プロジェクトに関する主要な特許>
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対象パイプライン |
発明の名称 |
国際出願番号 (国内特許番号) |
保有者 |
登録状況 |
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RBM-101 |
免疫グロブリンGに結合する核酸とその利用法 |
PCT/JP2006/313811 (特許第4910195号) |
当社 |
日本、米国にて特許成立・維持 |
(6)創薬体制
①アカデミアでの研究成果の取り込みと連携及び共同研究
当社は、発足の経緯から、東京大学医科学研究所で培ってきたRNA科学やアプタマーに関する成果を実用化するため、トランスレーショナル・リサーチを継続的に実施してきました。
東京大学との共同研究は現在も継続し、同医科学研究所内に「RNA医科学」社会連携研究部門を設置して、同研究所内の動物試験施設や、その他の高度試験装置を使用できる恵まれた環境を維持してきました。これにより技術、信頼性の観点から、高レベルの研究体制を整備しております。
当社は、東京大学以外にも、順天堂大学、大阪医科大学、国立循環器病研究センター、チェコ共和国のMasaryk大学、日本大学医学部、早稲田大学などのアカデミアとも共同研究を実施し、疾患に関連するタンパク質の学術的な裏付けを得ると同時に、各種動物試験の実施、新規アプタマー技術の開発や分析等における連携を図っております。
②的確な研究開発マネジメント
当社では、新薬開発ステージに応じた試験研究の内容、当該試験結果のクライテリアの設定、知的財産戦略等について、新薬開発のノウハウを熟知したスタッフによる定期的なレビューなどの研究開発マネジメントを実施しております。
③人的ネットワーク
アプタマーを含む核酸医薬の研究開発は日進月歩の状況にあり、世界的に競争が加速しています。当社は核酸科学やアプタマーに関する研究者・研究機関との世界的規模の人的ネットワークを通じて、最新の研究動向の把握や国内外の臨床医とのネットワーク構築にも努めております。
④アプタマー創製のスペシャリスト
当社では、社員の約7割が、化学、分子生物学、細胞生物学、工学、薬学、医学等の分野での専門家(研究員)であり、研究員の約半数は博士号の保持者です。これらの研究員は、アプタマー医薬に特化した研究開発に従事しており、この分野では強力な布陣を敷いております。
さらに、大手製薬企業で研究開発、臨床開発や知財・ライセンス事業の経験を長く積んだ社員も擁しており、臨床開発やライセンスに連なる基礎・探索研究の方向づけや知財戦略を展開しております。
(7)ESG(環境/社会/企業統治)に関する取り組み
昨今の資本市場では、長期持続的な企業の成長を評価する上で不可欠な観点として、ESG(Environment/環境、Social/社会、Governance/企業統治)といった非財務情報への関心が高まっています。当社は、ESGに関して次のような方針で取り組んでまいります。
①E(環境)
当社は、医薬品事業に携わる企業として研究資源の管理、並びに分別廃棄を徹底した厳格な廃棄物管理に注力いたします。また、IT整備によるペーパーレス等の省資源や社外で実施されているリサイクル活動にも積極的に参加するなどの取り組みも合わせて推進してまいります。
②S(社会)
当社は、難病や未だに薬のない病気(Unmet Medical Needs)に対する新薬を開発して、世界の医療と人々の健康に貢献するというミッション実現に向けた事業活動を展開しているため、「Social」は事業活動そのものと考えています。希少疾患である軟骨無形成症治療薬の開発はその一例です。
また、企業として働きやすい環境づくりやダイバーシティを尊重するとともに、学会参加や論文発表を通してイノベーション創出にも貢献したいと考えております。
③G(企業統治)
・コーポレート・ガバナンスの強化
当社は、アプタマー創薬企業としてアプタマーを素材とする新薬を次々と創製し、継続的な成長と企業価値の最大化を図り、医薬品開発を通して社会に貢献できる企業を目指しており、コーポレート・ガバナンス体制の強化により経営の健全性や透明性の向上を継続的に図っていくことは、最も重要な課題の一つであると認識し、取り組んでまいります。
また、研修やe-learningを積極的に受講する事を通して法令や社内規程を遵守するコンプライアンスを重視するとともに、個別面談や説明会を通して様々なステークホルダーとのコミュニケーションも図ってまいります。
(8)参考資料(技術紹介)
①アプタマー医薬について
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核酸であるRNAは、生物の体内では、DNA上の遺伝情報の配列のコピーとして、タンパク質の合成の鋳型として使用されます。しかしRNAは、そうした遺伝情報のコピーとしての役割だけではなく、「様々な立体構造を形成する」という重要な特性を有しています(RNAの造形力)。この造形力を利用して、病気の要因となるタンパク質に結合してその働きを阻害あるいは調節できるRNA分子(アプタマー)を創製し、医薬品として開発したものが「アプタマー医薬」です。標的にフィットするという意味のラテン語の「aptus」が由来となり「アプタマー」と呼ばれております。 アプタマー医薬は核酸を成分とすることから核酸医薬の一種になります。しかし、細胞内に入らなければ効果を発揮しない他の核酸医薬とは異なり、細胞内に導入する必要がないので非常に効率的です。アプタマー医薬としてこれまでに上市された製品は、2004年12 |
<形状捕捉図> |
月に米国食品医薬品局(米国FDA)が承認した「マクジェンⓇ」(加齢黄斑変性に対する治療薬)のみで、アプタマー医薬の市場は未開拓の領域といえます。
②「RiboARTシステム」
当社の「RiboARTシステム」は、RNAの生化学的性質の把握、特に潜在的なRNAの造形力の掘り起こし、アプタマーの構想・デザイン、アプタマーの創製から医薬候補アプタマーの仕上げまでをカバーする当社独自のアプタマー創薬の技術プラットフォームです。「RiboARTシステム」は広汎な分野に応用可能な技術であるため、特定の疾患や領域に特化されないアプタマーの創製を行っております。
「RiboARTシステム」においてコアとなる技術は、1)目標とする創薬ターゲット(タンパク質)に結合するポテンシーの高いアプタマーを取得する技術(SELEX法運用技術)と、2)取得したアプタマーを臨床開発品として最適化する技術です。このコア技術が、意図した薬効を示すポテンシーのアプタマーを取得・創製するうえで大きな効果を発揮します。
本システムでは、取得したアプタマーを新薬候補品となり得るように、加工プロセスによって、標的への結合力を103~104倍に増強するとともに、この技術を標準化しており、これが当社の技術的な強みと認識しております。
当社は、他の会社に先んじてSELEX法を利用した研究を開始したことによる現在の技術的優位性に安住することなく、5年先、10年先の技術動向を見据え、新たなSELEX法や、抗体で難しいとされる受容体に直接作用するアゴニスト・アプタマー(受容体作動薬)、さらに細胞内に他の医薬を運搬するためのDDSに利用可能なアプタマー等の実現を目指しております。
<RiboARTシステムの概念図>
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選抜: |
目標とする標的タンパク質に結合するアプタマーをSELEX法により選抜 |
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分析: |
選抜したアプタマーの標的タンパク質への結合特性を分析 |
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加工: |
アプタマーを工業的、経済的に利用できるよう短鎖化したり、品質や薬効向上のために化学修飾を実施 |
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試験: |
細胞試験や動物試験によりアプタマーの薬理効果を評価 |
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評価: |
動物を用いてアプタマーの毒性を評価 |
<SELEX法のイメージ>
③当社の新薬開発プロセス
新薬の研究開発は、下記の図に示すように、製品の上市までに、10数年の長い年月と数百億円もの多額の資金を要します。
この新薬の研究開発は、通常、臨床試験前の段階と臨床試験に二分され、さらに臨床試験前の段階は、大きく以下に分けられます。
1)新薬候補と考えられる化合物を考案、創製し、その中から様々な手法を用いて適切な化合物をスクリーニングする基礎・探索研究の段階
2)選定された化合物について、臨床試験に進むために必須の試験を行う非臨床試験の段階
当社では、新薬開発プロセスの中の(1)基礎・探索研究、及び(2)非臨床試験の段階において、「RiboARTシステム」を運用しアプタマー医薬の開発を行っています。標的タンパク質の種類や特性、適応疾患などによって差は生じるものの、「RiboARTシステム」の活用により、従来なら5~8年かかる基礎・探索研究及び非臨床試験の期間(1年前後のGLP試験の期間を含む)の内、標的タンパク質の決定からGLP試験を開始するための予備毒性試験ステージまでを、約3~4年で実施可能(当社実績)であると考えております。
<新薬開発プロセス>
(9)参考資料(用語解説) アルファベット、50音順
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DDS |
薬剤の副作用の原因のひとつに、薬剤が標的臓器以外に作用することがあげられます。DDS(Drug Delivery System)とは、この問題を解決するために、薬剤が標的臓器に、適切な濃度で到達、作用できるように、剤形を工夫したシステムをいいます。
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GLP試験 |
GLP(Good Laboratory Practice)とは、医薬品の安全性に関する非臨床試験(急性毒性、亜急性毒性、慢性毒性、催奇形性、その他の毒性試験)の実施に関する試験の質を担保する基準のことをいいます。この基準は「医薬品の安全性に関する非臨床試験の実施の基準に関する省令」で定められています。なお、日本のGLPと同様な規制は欧米等でも実施されています。このGLPに準拠して行う試験をGLP試験といいます。
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POC
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POC(Proof of Concept)とは、新薬の開発段階において、ある化合物がヒトでの臨床試験(通常は少数の患者を対象としたPhase 2a試験)において意図した薬効と安全性の基準をクリアすることをいいます。
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RNA |
遺伝情報は生命の設計図ですが、アデニン(A)チミン(T)グアニン(G)シトシン(C)という4種類の塩基の配列として、DNA(デオキシリボ核酸)という(2重螺旋構造の)核酸の中にコードされています。 ヒトならば30億塩基の配列がヒトを作り上げる全情報です。この塩基の並びはタンパク質のアミノ酸の配列を指定して、生命活動を司る様々なタンパク質を産生します。その時、DNAの配列情報は、一旦、アデニン(A)チミン(T)の代わりのウラシル(U)グアニン(G)シトシン(C)の塩基配列に置き換えて、RNA(リボ核酸)という核酸にコピーされ(この過程を「転写」といいます)、その遺伝情報のコピーを使ってタンパク質を合成します(この過程を「翻訳」といいます)。 そのため、分子生物学の黎明期から、RNAは単なる遺伝情報のコピーに過ぎないという思い込みが、世界的にも支配的でした。しかし、10数年前から、この考えは誤りであることが様々な研究によって明らかになってきました。特に立体構造を作って働く機能性RNAの生体内での役割が注目を集めています。
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RNAの造形力 |
当社は、アプタマーとIgGとの結合体の結晶構造をX線解析法によって明らかにしてNucleic Acids Res誌に発表いたしました(2010年、図参照)。 その結果、既存のアプタマーではRNAのリン酸の負電荷と、標的タンパク質の正電荷のアミノ酸領域とが電気的な相互作用によって結合するものしか知られていませんでしたが(図の右の事例)、IgGアプタマーはこれまでの常識を覆して、アプタマーが標的にフィットするしなやかな形状を作って、電気的な相互作用を使わずに、水素結合やファンデルワールス力のような多様な結合を利用して強く標的に結合することが明らかにされました。 つまり、RNAには、これまで予想もされなかった「しなやかな造形力」が備わっていることの証しです。このような基礎的な研究は、応用という点からも重要です。特に、医薬品の標的となるタンパク質は、必ずしもRNAと結合しやすい正電荷のアミノ酸が表面に多いとは限らないため、これらの基礎研究の成果は、非常に多くのタンパク質がRNAアプタマーの創薬ターゲットとなりうるということを示唆するものです。 また標的タンパクの捕捉方法について抗体医薬と比較した場合、アプタマーの特徴は、標的とするタンパク質の形状にフィットする立体構造を形成してその活性を調節する「形状捕捉」にあります。抗体医薬がタンパク質を構成する多数のアミノ酸の中から6~10個のアミノ酸の配列(エピトープと呼ばれる)を認識して標的タンパク質に結合するのに対して、アプタマーの標的タンパク質を捉える方法は大きく異なるといえます。
<アプタマーとIgG結合体の結晶構造>
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化学修飾 |
品質や薬効向上のために、化合物の一部の分子や原子を他の分子や原子に置換したり、新たな分子や原子を結合させることをいいます。
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核酸医薬 |
1970年代以降、ヒトの遺伝子の研究が進展し、核酸が医薬品になるかもしれないという期待は1980年代に生まれました。しかし、当時は核酸、特にRNAを医薬に応用するための基礎的な技術が整備されておらず、しかもRNAという核酸の特性や立体構造等の学術的な理解も浅かったために、長期にわたる膨大な資金や人材の投入とは裏腹に核酸医薬の開発は実を結びませんでした。 しかし、その苦い教訓の中でも、RNAの加工技術の開発という地味な仕事がアカデミアや少数のベンチャー企業で継続されました。その結果、1998年に世界初となるアンチセンス医薬(VitraveneⓇ[一般名 ホミビルセン],エイズ患者のサイトメガロウイルス性網膜炎用の局所投与剤)が承認され、その後、2004年にアプタマー医薬であるマクジェンⓇ、2013年に2番目となるアンチセンス医薬(KynamroⓇ[一般名 ミポメルセン])が家族性高脂血症薬として承認されました。2016年にはデュシェンヌ型筋ジストロフィーを対象としたEXONDYS51TM[一般名 エテプリルセン]、脊椎性筋萎縮症を対象としたスピンラザⓇ[一般名 ヌシネルセン]が相次いで承認され、さらに、2018年には家族性トランスサイレチン (TTR) アミロイドーシスを対象とした世界初となるsiRNA医薬(オンパットロⓇ [一般名 パチシラン])が承認され、アンチセンスやsiRNAを用いた核酸医薬品の開発が活発に進められています。 現在、研究開発中の核酸医薬には下記の表に示すものがあり、その中で主要な核酸医薬品の作用機序について下記の図に示しています。
<主要な核酸医薬品の作用機序>
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抗体、抗体医薬 |
抗体とは、体内で特定の異物(抗原)に結合してその物質を体内から排除するように働くタンパク質をいいます。この排除システムを抗原抗体反応といい、我々の体内に自然に備わっている防御システムです。 抗体医薬とはこの仕組を医薬品として応用するもので、具体的には、疾患の原因となっているサイトカインなどのタンパク質を抗原として認識する抗体を産生する細胞(主に動物の)を造り出し、その後、この細胞を培養して該当する抗体を取り出し、精製加工します。但し、ヒト以外の動物、例えばマウスの細胞が産生する抗体(マウス抗体)をそのままヒトに使用できない場合があるため、動物からとれた抗体をヒト型に組み替える技術が発達しています。 現在、臨床開発されている抗体医薬の多くは、このヒト化抗体、若しくはヒト抗体です。さらに、複数の抗原を狙ったものや持続時間の長期化のためにPEGと結合させたコンジュゲート抗体なども開発の俎上にのっています。 なお、抗体類似の構造を持ち作用・機能面においても抗体と類似するFc融合タンパク質は、広い意味で抗体医薬の一種に含むこともあります。 この抗体医薬は、難治疾患に対する確かな効果と安全性、高薬価、さらに技術開発があいまって市場が急伸しており、近年、世界的な開発競争が激化しています。
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最適化 |
医薬品の開発過程において、in vitro# 試験等によって薬効のある化合物が得られたとしても、より効果が優れ、安全性の高い化合物を得るための様々な工夫がなされます。このプロセスは最適化と呼ばれます。アプタマー医薬に関しては、長大な核酸配列の中から効果や安全性に関係のない部分をカットする短鎖化、核酸分解酵素の作用を阻止するための化学修飾、腎臓からの早期の排出を抑えるための化合物(ポリエチレングルコールなど)との結合などがその例です。 #「in vitro」は「試験管内で」を意味する技術用語
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スクリーニング |
新薬の開発過程において、多数の化合物の中から目的とする化合物(薬効を示し安全性が高いもの)を選び出す作業のことです。
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トランスレーショナ ル・リサーチ |
大学や研究機関による基礎的な医学・薬学研究の成果を疾患の治療や新薬の開発に応用するための研究をいいます。 生命科学やバイオテクノロジーの飛躍的な発展に伴い、世界的に大学での研究成果を早期に実現化に向ける動きが加速しています。薬の場合、例えば新薬の候補となる物質が大学の研究室で発見されたとしても、それをヒトでの臨床試験に繋げるには化合物の最適化(より効果があり、安全性の高いモノに改良すること)、様々な動物実験、各種試験用のサンプルの製造等、多くの課題、ハードルがあります。この基礎から臨床試験に至る一連の橋渡しのための研究がトランスレーショナル・リサーチです。 |
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ノウハウ、営業秘密 |
ノウハウ(Know-How)とは「単独で又は結合して、工業目的に役立つある種の技術を完成し、又はそれを実際に応用するために必要な秘密の技術的知識と経験、又はそれらの集積」(国際商業会議所の定義)をいい、営業秘密とは①秘密に管理されていること、②有用な情報であること、③公然と知られていないこと、の3要件を満たす技術上、営業上の情報(不正競争防止法第2条第6項の定義に基づく)のことです。
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非臨床試験 |
臨床試験開始前に行われる試験を非臨床試験と言い、例えば予備毒性試験やGLP試験が含まれます。
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分子標的薬 |
生体内で疾患に関連する遺伝子やそれが係わるタンパク質等(サイトカイン、成長因子等)を標的としてその活動を阻害したり活性化することを狙った医薬品をいいます。抗体医薬もアプタマー医薬も分子標的薬の一種といえます。
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マイルストーン収入 |
医薬品の開発は、非臨床試験→第1相臨床試験(Phase 1)→第2相臨床試験a(Phase 2a)→第2相臨床試験b(Phase 2b)→第3相臨床試験(Phase 3)→申請→承認→発売というステップを踏んで進行します。 開発途上の医薬品のライセンスにおいては、この開発の節目を「マイルストーン」といい、それに到達したとき、あるいはその段階に入るときにライセンスの対価の一部がライセンサーに対し支払われる取引が普及しています。これによる収入を、「マイルストーン収入」といい、開発ステージが進むにつれて、商品化への確率が高まるため、マイルストーンの収入が増加するのが一般的です。
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予備毒性試験
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GLP試験に入る前に、的確なGLP試験を実施するためのデータ入手を目的として行う試験です。本試験で薬剤の毒性の概略を把握し、GLP試験での投与用量の設定根拠の情報を得ることができます。
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ライセンス・アウト |
特許や開発中の製品に関する権利を他の会社に供与したり、譲渡したりすることを意味し、「導出」ともいいます。供与する権利の内容としては特許の実施権や使用権、さらにかかる特許によって保護されている製品の開発、及び製造・販売する権利などがあります。
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臨床試験 |
新薬についての製造販売承認を取得するには、ヒトでの有効性及び安全性を確認する臨床試験が不可欠です。この場合、通常、以下の3段階があります。第一段階は、少数の健常人を対象として、動物実験等により安全性の確認を終えた化合物について、その安全性や体内での動態等を確認する試験であり、第1相臨床試験(Phase 1試験)と呼ばれています。 第一段階をクリアすると、次の段階は少数の患者(被験者)を対象として、薬効と安全性を確認する第2相臨床試験(Phase 2試験)に入ります。この試験のステージは、通常、2ステップがとられ、最初のステップは、少数の被験者について主に薬効を確認する段階です。この試験はPhase 2a試験と呼ばれます。さらに被験者数を増やし、有効性と安全性のバランスを取るために最適な用量を確認するための複数の用量を設定して行うPhase 2b試験があります。 最後の段階は、多くの被験者を対象として行う第3相臨床試験(Phase 3試験)です。 なお、臨床試験は、承認取得の前だけでなく、承認の取得後も当局から承認の条件として実施が求められる場合があります。この時の試験は市販後臨床試験と呼ばれています。
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該当事項はありません。
当社は、創薬事業及びこれに付随する事業を行う単一セグメントであるため、セグメント別の記載を行っておりません。
(1)提出会社の状況
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2023年3月31日現在 |
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従業員数(名) |
平均年齢(歳) |
平均勤続年数(年) |
平均年間給与(千円) |
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(注)1.従業員数は就業人員であり、兼務役員は含まれておりません。また、臨時従業員(パートタイマー及び派遣社員)の総数が従業員数の100分の10未満であるため、平均臨時雇用者数の記載を省略しております。
2.平均年間給与は、基準外賃金を含んでおります。
(2)労働組合の状況
当社には労働組合は組織されておりませんが、労使関係は良好であります。
(3) 「管理職に占める女性労働者の割合」、「男性労働者の育児休業取得率」及び「労働者の男女の賃金の差異」は当社は公表の義務はありませんが、任意で「第2 事業の状況 2 サステナビリティに関する考え方及び取組 サステナビリティ(人的資本・多様性)に関する事項」に記載しております。
当社の経営方針、経営環境及び対処すべき課題等は、以下のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当事業年度末現在において当社が判断したものであります。
(1)経営方針
当社は、RNA(リボ核酸)を成分とする医薬品(「アプタマー医薬」)の開発を通じて、「Unmet Medical Needsに応える」を企業理念に掲げ、それを実現するために、
・人の生命、健康に関連する医薬品の研究開発に関わる企業として、高い倫理性を持ち、最新の科学・技術に基づく研究活動を推進する
・コーポレート・ガバナンス体制の強化と充実を図り、業務執行の適法性や妥当性の維持に努めることにより企業価値の最大化を図り、社会に貢献できる企業としての責任を果たす
・会社経営の透明性を確保するために、会社情報の開示を一層充実させるとともに、説明責任を果たし、株主、取引先、地域社会等のステークホルダーとの良好な関係の維持、発展に努める
ことを基本ポリシーに掲げ、当社のプラットフォーム技術である「RiboARTシステム」を活用した研究開発を推進しております。
(2)経営戦略等
一般に、医薬品事業は一つの製品を創出し上市するまで莫大な費用と年数を要します。このような中、当社はアプタマーの医薬品としての研究開発を行い、ライセンス・アウトした時に受け取る契約一時金、開発進行に伴ってその節目に受領するマイルストーン収入、製品上市後に受け取るロイヤルティー及び共同研究に伴って得られる共同研究収入などにより収益を獲得する創薬事業を展開しております。
当社の事業の特徴は、比較的早期の研究開発段階においてライセンス・アウトを実施し、早期に一定の収入を獲得すること、並びに、ライセンス・アウトで得られる収益の拡大も経営においては重要であるため、適切な自社創薬品については自社で臨床開発に取り組むことを重要な戦略としております。
当社は、共同研究並びに自社パイプラインの研究開発や臨床開発を推進するとともに、製薬企業との協力関係構築の一層の強化を図りながら、今後継続的なライセンス・アウトを実現することで収益規模の拡大とその安定化に努めてまいります。
中長期的な成長のための事業目標として、①探索から臨床ステージへの脱皮、②次世代アプタマー・テクノロジーの開発、③社会に対する企業価値の創出を念頭に、研究開発・臨床開発・事業開発活動に取り組んでおります。これの具体的進捗状況については、「第1企業の概況 3事業の内容 (1)当事業年度の主要なトピックス」、並びに「第1企業の概況 3事業の内容 (3)事業戦略」に記載しております。
(3)経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等
当社は、研究開発型の創薬ベンチャーであり、研究開発への投資から、その収益化まで長期間を要すること、また、収益はライセンス・アウトなどの成果に委ねられるという事業特性からROEやROAなどを目標とする経営指標は設けておりません。
ライセンス・アウト時の契約一時金、その後のマイルストーン、ロイヤルティー、共同研究による共同研究収入を計上するための前提となる研究成果(新規技術開発、非臨床POCや臨床POCの取得)や、各種開発イベント(当局への治験開始申請許可など)などが、当社における重要な経営イベントとなり、2025年までに自社創薬品の中から優先度の高いパイプラインを臨床ステージへ移行させる臨床試験プログラム目標(VISION 2025)を設けております。
(4)経営環境
医薬品業界では、未だに満足すべき治療法のない疾患領域の医薬品開発が求められており、この分野での新薬開発競争が激化しております。製薬企業においては、従来の低分子医薬品だけでは、この分野の新薬を開発することが困難となっており、核酸医薬品をはじめとした新規医薬品の開発が進められております。このような取り組みにおいて、製薬企業は単独で開発を進めるのではなく、新規医薬品を手掛けるバイオベンチャー等と提携し、新規技術の導入や、バイオベンチャーが開発したパイプラインを導入するなどにより開発を進めております。近年、核酸医薬品の上市が顕在化しつつありますが、このような環境のもと、当社はアプタマー創薬のプラットフォーム技術である「RiboARTシステム」により、特定の疾患や標的タンパク質に限定されない新薬シーズを創製し、製薬企業に提供していくとともに、当社ビジネスモデルの発展に注力してまいります。
(5)優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題
当社は、アプタマーの医薬品としての研究開発を行い、製薬企業にライセンス・アウトした際に受け取る契約一時金、開発進行に伴ってその節目に受領するマイルストーン収入、製品上市後に受け取るロイヤリティー及び共同研究に伴って得られる共同研究収入などにより収益を獲得する創薬事業を展開しております。このようなビジネスモデルにおいて、継続的かつ安定的な収益の確保の実現と、今後の飛躍に向けた中長期の経営課題として、Clinical(臨床)ステージ挑戦、次世代アプタマー・テクノロジーの開発、社会に対する企業価値の創出を掲げ、これにより「世界のアプタマー医薬品開発における主要な地位確立」を目標としております。
世界におけるアプタマー医薬品の臨床開発動向(「第1 企業の概況 3 事業の内容(4)医薬品市場におけるアプタマー医薬②世界におけるアプタマー医薬品の臨床開発動向」の項の記載を参照)等も踏まえ、当社の経営課題の実現に向けて、以下の項目について、特に重点的に取り組んでまいります。
①自社での治験の実施
当社は、今後当社が大きく飛躍するためにも、自社で臨床試験を実施することが必要であると考えております。具体的には、RBM-007による滲出型加齢黄斑変性を対象とした第2相臨床試験を米国で実施し、2022年3月までに試験を完了いたしました。また、軟骨無形成症(ACH)を対象とした第1相臨床試験を国内で実施いたしました(2020年7月~2021年5月)。さらに、ACHに関する、国内での前期第2相試験の被験者選定を目的とした観察試験、ACHの小児患者でのRBM-007の安全性と有効性を調べる前期第2相臨床試験、及びこれに引き続き実施する前期第2相長期投与試験の治験計画書を、独立行政法人医薬品医療機器総合機構(PMDA: Pharmaceuticals and Medical Devices Agency)に提出し、2023年4月末には、軟骨無形成症の小児患者に対して、安全性と有効性を調べる前期第2相臨床試験において、第1例目の投与が行われました。
当社の臨床開発については、新薬開発の経験が豊富な責任者が臨床開発を陣頭指揮し、臨床医や製品開発のエキスパートを含む外部の協力も得て進めております。今後もRBM-007の開発推進に向け、一層の体制整備を図ってまいります。
②自社パイプラインの充実と質の高いデータの構築
持続的な企業成長を実現するためには、良質な自社パイプラインを選定、拡充し、各々について製薬企業の評価に耐え得る試験データを取得していくことが重要と考えております。新規テーマの選定にあたっては、大手製薬企業における重点領域、既存薬剤による医療ニーズの充足度等を調査し、最適な創薬ターゲットと適応疾患を選定するよう努めてまいります。しかし同時に、経営資源の集中のため、一度着手したテーマについても、一定期間の後に適切な評価を実施し、必要に応じて、開発ラインから除外する判断も必要であると認識しております。
③新規技術の開発
今後、アプタマー医薬への参入企業が増えてきた場合でも常に技術の優位性を保てるように、新規のアプタマー創薬技術の開発に努めてまいります。具体的には、アプタマー創製の新技術の開発、次世代シークエンサーとコンピューター科学を利用したアプタマー探索の人工知能(AI)技術の開発、細胞内への取り込み可能なアプタマーや、細胞膜貫通型のタンパク質と結合するアプタマー、脳内標的化アプタマー等のドラッグデリバリーシステム(drug delivery system:DDS)用アプタマーなどの創製に繋がる技術を目標に、これまでに培った技術のさらなる発展、向上を図ってまいります。
④ライセンス活動及びパートナリング活動の推進
RBM-007につきましては、未治療のwet AMD患者を対象とする臨床試験の実施が望まれており、当社は、そのためのライセンス・アウト、もしくはパートナリングの実現に注力しております。その結果、当社は2022年12月に、Rico International (Beijing) Medicine Technology Co., Ltd.及び Shanghai Huirui Medical Co., Ltd.との間で、中国地域におけるRBM-007の加齢黄斑変性(AMD)等を適応疾患とする臨床開発を担う合弁会社設立に関して基本合意に至っています。今後は、合弁会社設立契約の締結に向けて、努力してまいります。
また、ライセンス・アウトを目標とした共同研究の実現や、自社パイプラインのライセンス・アウトを図るべく、国内外の製薬企業への営業活動、学会での発表や学術雑誌への論文掲載等を通じて、当社の技術と製品を国内外にアピールする活動を継続してまいります。
⑤共同研究の推進
大手製薬企業との共同研究は、安定的な収益源となるだけでなく、当社のアプタマー創製に関するスキルアップにつながり、同時に、大手製薬企業の技術を活用して開発を迅速に進められることから、既存の契約での成果創出と同時に、新規提携契約の獲得に努めてまいります。また、他の創薬ベンチャーやアカデミアと共同研究を通じて、新たなアプタマー関連技術や、新規核酸創薬モダリティー(核酸を用いる創薬基盤技術)の獲得に努めてまいります。
⑥資金調達
当社はUnmet Medical Needsに応える医薬品開発のための先行投資段階にあり、研究開発活動に必要な資金の調達が課題であると認識しております。
当社では、大手企業との共同研究やライセンス・アウト実現のための事業開発活動や公的助成金の獲得に努めており、これと同時に費用の節約に努めておりますが、継続的かつ安定的な収益の確保に至るまでの先行投資段階においては、新株発行等による資金調達を行い財務体質の維持・強化を図りUnmet Medical Needsに応える医薬品をお届けできるよう研究開発活動を進めてまいります。
⑦人材の獲得と育成の支援
新たな技術を速やかに世に送り出すためには、優秀な人材を獲得し、社員の成長を支援する環境を提供することによって、小規模ながら機能的な研究開発、事業開発、管理の各部門を構築していくことが重要であると認識しております。今後もビジネスや組織のニーズに合った人材獲得を行うとともに、社員一人ひとりの成長が、会社の成長に繋がっていくよう社員の育成、活躍の場を整えて参ります。
当社の事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、投資家の判断に重要な影響を及ぼす可能性のある事項を以下に記載しております。あわせて、必ずしもそのようなリスクに該当しない事項についても、投資家の判断にとって重要であると当社が考える事項については、積極的な情報開示の観点から記載しております。なお、本項の記載内容は当社株式の投資に関する全てのリスクを網羅しているものではありません。
当社は、これらのリスクの発生可能性を認識した上で、発生の回避及び発生した場合の迅速な対応に努める方針でありますが、当社株式に関する投資判断は、本項及び本項以外の記載内容もあわせて慎重に検討した上で行われる必要があると考えております。
本項記載の将来に関する事項は、当事業年度末現在において当社が判断したものであります。
①創薬・医薬品開発事業全般に関する事項
当社は、医薬品開発における初期段階(探索研究~初期臨床試験)での研究開発を中心とした創薬・開発事業を主たる事業としております。本分野は、国際的な巨大企業を含む国内外の多数の企業や研究機関等が競い合っています。また、研究開発から製造販売のための承認・許可の取得、上市に至る過程において様々な薬事規制に従い、しかも長期間にわたって多額の資金を投入する必要があります。この創薬・開発事業は下記のとおり不確実性及びリスクを伴うものであります。
(イ)医薬品研究開発の不確実性について
1)新規パイプライン創出について
当社は、新規医薬品の候補アプタマーを自社あるいはアカデミアとの連携を通じて創出し、自社創薬品目あるいは共同研究品目の候補としていくことを基本戦略としております。
この戦略を確実に推進するため、製薬企業との情報交換による需要の発掘やアカデミアとの産学連携等により、Unmet Medical Needsを満たす新規パイプラインの選定・獲得・創出の可能性を高める努力を続けております。
しかしながら、新規標的タンパク質に対して開発候補品となりうるアプタマーを創出できる保証が100%あるとはいえず、開発候補品が得られない場合には、当社の事業計画の変更を余儀なくされる等により、当社の事業等に影響を及ぼす可能性があります。
2)臨床開発について
一つの開発候補化合物が医薬品として承認され上市に至るまでには、ヒトでの臨床試験を含む様々な試験によって有効性・安全性の確認のみならず、製造・販売に至るまでに様々な関門があり、その全てをクリアする必要があり、その成功確率は低いことが現実です。
開発過程の各段階において、開発続行の可否を判断する際、中止の決定を行うことは稀なことではありません。このような成功の不確実性は、自社で開発した場合も、あるいは製薬企業にライセンス・アウトした場合においても、避けては通れないものです。このリスクを低減・分散するため、当社は以下の基本的な対応をとっております。
・アプタマーというモダリティーの特性を生かした疾患領域や治療方法を検討する
・一つのターゲット(ターゲットタンパク質)に結合するアプタマーについて、有力なものが得られても、必要に応じ、バック・アップ品を準備する
・互いに独立した複数の開発パイプラインを保有する
これらによって事業遂行上のリスクやロスを最小限に留めるよう努めております。
しかしながら、当社のような規模の創薬企業にとって、自社創薬、共同研究又はライセンス・アウトかを問わず、開発パイプラインから品目が脱落する影響は大きく、その場合には当社の事業等に影響を及ぼす可能性があります。例えば、第1相臨床試験における重篤な副作用の発現で開発中止を余儀なくされた場合、新たな創薬標的タンパク質に対するアプタマー探索から開始して、非臨床試験を経て第1相臨床試験の実施に到達するまでには、通常4~6年の期間と、数億円規模の追加費用を要することになります。
(ロ)収益の不確実性について
当社が想定している開発品(開発途上の製品を含む)のライセンス収入としては、契約一時金、マイルストーン収入(複数回に分かれることもあり)及び製品上市後のロイヤルティー収入があります。
ライセンス契約を成立させ、契約一時金を受け取るためには、導出候補品がライセンシーの評価をクリアする一定の条件(安全性・有効性等に関する信頼できる試験データ、一定の期間独占的な販売を可能とする特許の存在、競合品との優位性の根拠資料等)を有した導出候補品を創製・開発する必要があります。マイルストーン収入を獲得するためには、ライセンシーによって導出品の開発が順調に進み、マイルストーンをクリアすることが必要です。さらにロイヤルティーを得るには、導出品に対して、許認可当局からの販売承認の取得が必要です。
ライセンシーにおける開発期間中には、ライセンシーの経営環境の悪化や経営方針の変更など、当社がコントロールし得ない事情により、途中で開発が終了する可能性もあります。
また、製品化(製品の承認取得、製造販売)に成功した場合も、薬価や市場性の問題等から、当該製品に関する事業活動を継続するために必要な採算性を確保するのに十分な収益を得ることができず、販売中止になる場合もあります。
当社は、開発の当初から標的の妥当性や適応疾患の選定を厳密に検討するとともに、開発候補品の市場性や採算性、ライセンスの際には提携先の開発力・事業化力等に関して、種々の情報リソースを使って検討します。しかしながら、前記検討結果が誤りである可能性、あるいは検討の基礎となる状況に変化が生じる可能性を完全に排除することはできません。
(ハ)遵守すべき法的規制等及び医療保険制度等の不確実性について
新規医薬品を製造発売するに当たっては、対象となる全ての国で当該国が定める薬事関連法規に従って一定の基準の下で承認や許可を受ける必要があり、また臨床試験の開始などについても、多くの国で厳しい薬事規制が設けられています。
当社の事業計画は現行の医薬品に関する日本など先進国での承認基準や薬事規制を前提として策定されておりますが、これらの基準及び規制は科学技術の発展や課題解決の必要性等に伴って、適時、改定されます。
そのため、当社は、特に、臨床試験を実施中(又は予定)の日本及び米国の最新の承認基準や薬事規制を適時調査し、当社の研究開発計画に反映し、また、必要に応じて、その他地域についても調査を進めております。
しかしながら、長期間を要する新薬開発においては、開発期間にこれらの基準や規制、制度、価格設定動向等が大きく変動する可能性がないとはいえず、特に、薬事に関する法的規制等及び医療保険制度等に変更等が生じた場合があります。
(ニ)アプタマー医薬に関する潜在的な競合について
当社の潜在的な競合相手は、国内外の大手製薬企業、バイオ関連企業、大学、その他の研究機関等多岐にわたります。
1)アプタマー創薬企業との競合:アプタマー創薬を行っている企業は、現時点では当社やドイツのBerlin Cures社、米国のIVERIC社(2023年5月にアステラス製薬が買収を発表)が代表的な会社であり、この分野で公開されている各社の開発ターゲット(開発品目)を見る限り、競合はほとんどありません。
しかし、アプタマー創薬の基盤技術であるSELEX法に関する特許は、日本及びヨーロッパにおいて2011年6月、米国において2014年9月に失効しておりますので、その点で、アプタマー創薬への新規参入は容易であり、リスク要因といえます。
当社は、当社独自のアプタマー創薬のプラットフォームである「RiboARTシステム」だけでなく、AIを用いる新たなプラットフォーム技術として「RaptRanker」及び「RapGen」を早稲田大学と共同開発しております。また、アプタマー原薬の製造会社との良好な取引関係を推進するとともに、核酸科学分野の研究者・研究機関とのネットワークの維持等の対応を行っていきます。
2)抗体医薬等との競合
アプタマー医薬は抗体医薬と類似した作用メカニズムや投与方法などから、ターゲット疾患によっては抗体医薬との開発競争や市場での競合が起こりえます。
上記に述べた競合相手の中には、マーケティング力、財務状況等について当社やその提携先より優位にある大手製薬企業が多数あり、当社開発品と競合する製品(特に抗体医薬)を開発する可能性があります。
当社としては、当社開発品と競合する製品・開発品のプロファイル並びに開発状況等も考慮に入れながら、アプタマーの特徴を生かせるように開発を推進する所存です。
しかしながら、これら競合相手との競争が生じた場合、当社の事業等に影響を及ぼす可能性はあります。
(ホ)賠償問題発生リスクについて
当社の創薬対象であるアプタマー医薬は、これまで医薬品として用いられてきた低分子医薬品、ワクチン、抗体医薬品に次ぐ新しいカテゴリーである核酸医薬品に属するものです。
核酸医薬品は開発の歴史が浅く、現在までに10数品目が上市されただけで、多くは開発途上にあります。このため、製品の効果や安全性、製造方法及び製造コストなどにつき十分な経験、実績が確立されているとはいえず、予期せぬ副作用や製造上の問題または課題が発生する可能性があり、当社の事業等に影響を及ぼす可能性があります。
当社は、臨床試験の実施に伴う健康被害に対する賠償問題が発生した場合に備えて、治験賠償責任保険険への加入によって、こうした事態が発生した場合の財政的負担を最小限にする対応を図っておりますが、当該保険で、十分な賠償責任金額を填補できない場合があり得ます。
(ヘ)海外での事業展開について
当社は、当社の開発するパイプラインが、国内のみならず、世界各国の罹患者の方々にとって需要のあるものであると考えております。このため、海外子会社や中国合弁会社の設立を含む形で海外展開に向けた取組みを進めております。
しかしながら、海外における特有の法的規制や取引慣行、あるいは海外でのファイナンスの未達により、必要な業務提携や組織体制の構築に困難が伴うなど、当社の事業展開が何らかの制約を受ける可能性もあり、その場合、当社の事業等に影響を及ぼす可能性があります。
(ト)研究開発に関する外部委託について
当社は、広く社外にも専門的な意見を求め、さらに機動的な事業運営を図るため、主に以下に掲げる研究開発項目の一部について、外部機関に業務委託を行っております。
・原薬(非臨床試験用及び臨床試験用の各種アプタマー)並びに治験薬の製造業務
・非臨床試験の実施
・臨床試験の実施
特に、原薬・治験薬製造委託取引については、自然災害や所在国における不測の事態、予期せぬ事情により契約終了した場合等により、当該製造元から安定的な原薬供給が受けられなくなる可能性があります。
そのため、当該製造元との良好な関係を維持・継続、また代替先の確保に努めております。
しかしながら、近年の核酸医薬開発の状況を踏まえると、今後、速やかに適切な業務委託先が確保出来ず、結果的に、当社の事業等に影響が及ぶ可能性があります。
(チ)投資に関するリスク
当社では、常に最先端の技術開発に取り組み、周辺領域を含めアプタマー創薬に参入している企業や潜在的な競争相手に先んじるため、関連する技術や特許を保有する企業に対して投資やM&A等(買収、合併、事業譲渡・譲受)という形で提携を進める可能性があります。
しかしながら、提携先の選定やその投資価額の妥当性等においては、各事業・財務等の社外専門家の評価を得たうえで慎重に進める方針でありますが、提携先において、予期せぬ問題が生じた場合や、予想通りに研究開発が進まない場合には、当社の事業等に影響が及ぶ可能性があります。
②会社組織に関する事項
(イ)小規模組織であることについて
当社の人員は、当事業年度末現在で役員7名(取締役4名、監査役3名)(ただし、本書提出日現在で役員8名(取締役5名、監査役3名))、従業員25名と小規模であります。当社の研究開発活動については、比較的少人数による体制をしいており、CRO等の積極活用により、既存パイプラインの開発並びに新規薬剤候補化合物の探索を推進しております。今後は、既存パイプラインの開発推進及び新規薬剤候補化合物のパイプライン化に伴い、必要に応じて研究開発人員の増加を計画します。
管理部門(内部監査室を含む)の人員は当事業年度末現在で8名(兼務取締役1名、従業員7名)であり、内部管理体制も規模に応じたものとなっております。今後の事業拡大に伴い、管理部門につきましても増員を図る可能性があります。
しかし、計画通りの人員の確保ができない場合、あるいは既存人員の流出が生じた場合等には、当社の事業等に影響が及ぶ可能性があります。
(ロ)個人への依存について
当社は少数精鋭の組織であり、サステナブルな会社経営や発展を目指して、人材の採用、後継者育成に努め、役員構成にも配慮しておりますが、事業全般の推進を担う中村義一代表取締役社長の経営執行が困難になった場合や優秀な研究開発人材が退職した場合には、経営成績及び今後の事業発展に影響を及ぼす可能性があります。
(ハ)自然災害について
当社は、事業活動の中心となる研究設備や人員が本社周辺に集中しており、地理的なリスク分散ができておりません。今後、地理的なリスク分散も検討して参りますが、この地域において地震等の大規模な災害が発生した場合には、設備等の損壊、事業活動の停滞等により、当社の事業等に影響が及ぶ可能性があります。
(ニ)大学等との共同研究について
当社は東京大学を含め、複数の大学等公的機関と共同研究を実施してまいりました。今後もこれらの共同研究を継続していく考えでおります。
東京大学医科学研究所には社会連携講座(「RNA医科学」社会連携研究部門)を設置し共同研究を実施しており、その下で同研究所の施設(実験区画、動物試験施設等)や各種のインフラの利用が可能となっており、当社の研究推進に大きく寄与しております。
今後、東京大学の社会連携講座が無くなる等に伴い、東京大学のインフラが利用できなくなる際には、代替策等が必要となります。
③敵対的買収リスクについて
株価水準によっては、第三者の株式取得を通した敵対的買収が行われ、現経営陣が意図する経営が遂行できなくなるリスクが存在しますが、当社は、既存株主に対しての適時的確な情報発信を通じて友好関係を構築、維持するとともに機関投資家や戦略的提携企業等新規投資家の確保にも注力し、株主層の安定化を図ってまいります。
④知的財産権に関する事項
(イ)特許について
当社の出願中の各特許については、特許出願時に特許事務所や専門家による特許性等に関する検討・調査を行った上で、最適な特許出願を実施しております。前事業年度より新たに管理本部に知財学術部を創設し、特許庁、弁護士事務所及び創薬会社で長く知財経験のある者が部長として主体的に知財業務を担っております。なお、本項に記載した事項については、現在、当社が開発中のプロジェクトに関して、その実施に支障若しくは支障の発生を懸念される事項は、調査した限りにおいて、存在しておりません。
(ロ)訴訟及びクレームについて
当社においては、その事業が第三者の特許権等に抵触することを未然に防止するため、事業の着手及びその過程において、特許事務所や専門家による特許調査を適宜実施しており、現時点において第三者特許への抵触の可能性は低いものと認識しております。
また、当事業年度末現在において、当社の事業に関する特許権等の知的財産権について、第三者との間で訴訟及びクレームが発生している事実はありません。
(ハ)特許の確保について
当社は、事業に必要となる職務発明につき、その発明者である役員・従業員等から特許を受ける権利を譲り受けた場合、当社は発明者に対して特許法第35条第3項に定める「金銭その他の経済上の利益(相当の利益)」を与えなければなりません。なお、当社は社内に周知された規程に則り、発明者の認定及び金銭の支払を実施しているため、これまでに金銭の額等について発明者との間で問題が生じたことはありません。
(ニ)情報管理について
当社の事業において、研究若しくは開発途上の知見、技術、ノウハウ等は非常に重要な機密情報であります。その流出リスクを低減するため、当社は、役職員、取引先等との間で、守秘義務等を定めた契約を締結するなど、厳重な情報管理に努めております。
⑤経営成績に関する事項
当社は、医薬品の研究開発を事業とするベンチャー企業であり、製薬企業との共同研究や製薬企業への開発品のライセンス・アウトにより収益を得ることを事業の中核としておりますが、医薬品の研究開発では当初から多額の資金が必要になる一方で、安定的な収益の計上にいたるまでには相当な期間を要するため、当初は期間損益がマイナスになるのが一般的な傾向です。2015年3月期を除き、創業以来、2023年3月期まで当期純損失を計上してまいりました。当社は、既にライセンス・アウトしたパイプラインに続く、後続のパイプラインのライセンス・アウトや新規共同研究契約の獲得を推し進めてまいりますが、将来においてこれらの施策が計画通りに進展しない場合、予定した当期純利益を計上できず、マイナスの繰越利益剰余金がプラスとなる時期が遅れる可能性があります。
なお、過去5年間の当社の主要な経営指標等の推移は以下のとおりであります。
|
回次 |
|
第16期 |
第17期 |
第18期 |
第19期 |
第20期 |
|
決算年月 |
|
2019年3月 |
2020年3月 |
2021年3月 |
2022年3月 |
2023年3月 |
|
事業収益 |
(千円) |
7,949 |
121,385 |
91,963 |
80,909 |
65,969 |
|
営業損失(△) |
(千円) |
△928,626 |
△914,580 |
△1,239,643 |
△1,748,112 |
△1,786,041 |
|
経常損失(△) |
(千円) |
△835,200 |
△853,832 |
△1,184,998 |
△1,635,532 |
△1,649,305 |
|
営業活動によるキャッシュ・フロー |
(千円) |
△830,464 |
△902,288 |
△1,149,038 |
△1,499,224 |
△1,708,626 |
上記に記載しましたように、安定的な収益の計上に至るまで、さらには、事業計画が計画通りに進展しない等の理由から資金不足が生じた場合には、提携内容の変更、更なる助成金の獲得、新株発行等の方法により資金需要に対応してまいります。
⑥資金繰り
前項に記載しましたように、当社は医薬品の研究開発を事業とするベンチャー企業であり安定的な収益の計上に至るまでは先行投資の期間が続きます。この先行投資期間においては、継続的に営業損失を計上し、営業活動によるキャッシュ・フローはマイナスとなる傾向があります。このため、安定的な収益源を確保するまでの期間においては、必要に応じて適切な時期に資金調達等を実施し、財務基盤の強化を図る方針ですが、必要なタイミングで資金を確保できなかった場合は、当社グループの事業の継続に重大な懸念が生じる可能性があります。
⑦新株発行による資金調達
当社は医薬品の研究開発企業であり、将来の研究開発活動の拡大に伴い、増資を中心とした資金調達を機動的に実施していく可能性があります。その場合には、当社の発行済株式数が増加することにより、1株当たりの株式価値が希薄化する可能性があります。
(1)経営成績等の状況の概要
当事業年度における当社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の概要は次のとおりであります。
なお、新型コロナウイルス感染症の拡大による当事業年度における経営成績等への大きな影響はありませんでした。
①財政状態の状況
(イ)資産の部
当事業年度末における総資産は、前事業年度末に比べて370百万円減少し、4,583百万円となりました。これは、有価証券が300百万円、現金及び預金が76百万円減少したこと等によるものです。なお、当事業年度末において保有している有価証券は、第16回新株予約権等により調達した資金の一部において、研究開発への充当時期まで、一定以上の格付けが付された金融商品で元本が毀損するリスクを抑えて運用することを目的としたものです。
(ロ)負債の部
当事業年度末における負債は、前事業年度末に比べて61百万円減少し、199百万円となりました。これは、未払金が55百万円減少したこと等によるものです。
(ハ)純資産の部
当事業年度末における純資産は、前事業年度末に比べて309百万円減少し、4,384百万円となりました。これは、第16回新株予約権の行使に伴い、資本金及び資本準備金につきそれぞれ672百万円の増加要因があった一方で、当期純損失1,653百万円を計上したことにより、利益剰余金につき同額の減少要因があったことによるものです。
なお、2022年6月28日開催の第19回定時株主総会の決議に基づき、2022年8月2日付で資本金188百万円、資本準備金1,496百万円をそれぞれその他資本剰余金へ振り替え、当該その他資本剰余金1,684百万円を繰越利益剰余金に振り替え欠損補填を行いましたが、これによる純資産合計に変動はありません。
以上の結果、自己資本比率は、前事業年度末から1.0ポイント増加し、95.7%となっております。
②経営成績
当事業年度において国循からの薬剤開発委託による収入62百万円等を計上したこと等により事業収益を65百万円(前事業年度比18.5%減)、事業費用として研究開発費1,491百万円、販売費及び一般管理費360百万円計上し、営業損失は1,786百万円(前事業年度営業損失1,748百万円)となりました。
また、営業外収益として、AMEDの支援事業による助成金収入100百万円、JST委託事業による助成金収入23百万円、保有する外貨の評価替えによる為替差益20百万円等を計上した一方で、営業外費用として、第16回新株予約権の行使に伴う株式交付費10百万円を計上したこと等により、経常損失は1,649百万円(前事業年度経常損失1,635百万円)となりました。
また、新株予約権戻入益0百万円を計上した一方で、固定資産の減損損失3百万円を計上したことにより、税引前当期純損失は1,651百万円(前事業年度税引前当期純損失1,683百万円)となり、法人税、住民税及び事業税1百万円の計上により、当期純損失は1,653百万円(前事業年度当期純損失1,684百万円)となりました。
なお、当社は創薬事業及びこれに付随する事業を行う単一セグメントであるため、セグメント別の記載を省略しております。
③キャッシュ・フローの状況
当事業年度末における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、前事業年度末に比較し76百万円減少し、2,825百万円となりました。
なお、上記資金以外に有価証券(満期保有目的の債券)を1,500百万円保有しており、これを合わせて当事業年度末において4,325百万円を保有しております。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動の結果使用した資金は1,708百万円(前事業年度は1,499百万円の支出)となりました。主な資金減少要因は、RBM-007の開発を中心とした研究開発への投資を行ったこと等に伴う税引前当期純損失1,651百万円、未払金の減少額35百万円によるものです。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動の結果得られた資金は276百万円(前事業年度は689百万円の収入)となりました。資金増加要因は、有価証券の満期到来による払い戻し300百万円によるものです。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動の結果得られた資金は1,333百万円(前事業年度は354百万円の収入)となりました。資金増加要因は、第16回新株予約権が行使されたことに伴う株式の発行による収入1,332百万円によるものです。
④生産・受注及び販売の実績
当社の事業は、創薬事業及びこれに付随する事業を行う単一セグメントであります。
(イ)生産実績
該当事項はありません。
(ロ)受注実績
該当事項はありません。
(ハ)販売実績
当事業年度における販売実績は、次のとおりであります。
|
事業の名称 |
当事業年度 (自 2022年4月1日 至 2023年3月31日) |
|
|
販売高(千円) |
前年同期比(%) |
|
|
創薬事業 |
65,969 |
△18.5 |
|
合計 |
65,969 |
△18.5 |
(注)1.主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合は、次のとおりであります。
|
相手先 |
前事業年度 (自 2021年4月1日 至 2022年3月31日) |
当事業年度 (自 2022年4月1日 至 2023年3月31日) |
||
|
販売高 (千円) |
割合 (%) |
販売高 (千円) |
割合 (%) |
|
|
国立研究開発法人国立循環器病 研究センター |
70,909 |
87.6 |
62,636 |
94.9 |
|
あすか製薬株式会社 |
10,000 |
12.4 |
- |
- |
2.当事業年度におけるあすか製薬株式会社に対する販売実績は、当該割合が100分の10未満のため記載を省略しております。
⑤重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
当社の財務諸表で採用する重要な会計方針は、「第5 経理の状況 1 財務諸表等 (1)財務諸表 注記事項 重要な会計方針」に記載しておりますが、特に以下の重要な会計方針が財務諸表における重要な見積りの判断に大きな影響を及ぼすと考えております。
当社の財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。
この財務諸表の作成に当たりましては、会計方針の決定とその継続的な適用、並びに資産及び負債、収益及び費用の会計上の見積りを必要としております。この見積りに関しましては、過去の実績や適切と判断する仮定に基づき合理的に算出しておりますが、実際の結果はこれらの見積りと相違する可能性があります。
財務諸表の作成にあたって用いた会計上の見積り及び仮定のうち、重要なものは固定資産の減損損失であり、「第5 経理の状況 1 財務諸表等 (1)財務諸表 注記事項 (損益計算書関係)※5固定資産の減損損失」に記載しております。
(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
当事業年度の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容
当社の当事業年度における最重点経営目標は、「自社での臨床Proof of Conceptの獲得に向けた開発」であり、その実現に向けた取り組みを進めてまいりました。
その具体的な進捗は、「第1企業の概況 3 事業の内容 (1)当事業年度の主要なトピックス」に記載の通りであります。
(3)資本の財源及び資金の流動性
(イ)運転資金
当社は、医薬品の研究開発を事業としており、製薬企業との共同研究や開発品の製薬企業へのライセンス・アウトにより収益を得ることを事業の中核としております。
当社の事業を遂行するための、運転資金需要のうち主なものは、当社が創製するアプタマー医薬の研究開発を推進するための研究開発費であります。なお、過年度における研究開発費の推移については下記に示すとおりであり、自社での臨床試験を実施するために、2017年3月期よりRBM-007による臨床試験のための原薬製造を開始して以降、臨床開発を行うための資金需要が高まっております。
当社では、臨床試験プログラム目標「VISION 2025」に掲げるパイプラインの臨床開発、新規技術開発、核酸医薬を特定の標的部位へと効率的に送り込むドラッグデリバリーシステムの開発等を遂行するための資金需要が生じております。
研究開発費の推移
|
回次 |
|
第16期 |
第17期 |
第18期 |
第19期 |
第20期 |
|
決算年月 |
|
2019年3月 |
2020年3月 |
2021年3月 |
2022年3月 |
2023年3月 |
|
研究開発費 |
(千円) |
612,979 |
673,605 |
957,605 |
1,482,132 |
1,491,239 |
(ロ)財務政策
当社は中期事業目標として、①探索から臨床ステージへの脱皮、②次世代アプタマー・テクノロジーの開発、③社会に対する企業価値の創出を掲げております。そのため、①RBM-007のwet AMD及びACHを対象とした臨床開発費用(臨床開発のための薬剤合成費用を含む)、②RBM-003の心不全を対象とした非臨床試験費用、③RBM-010の変形性関節症を対象とした非臨床試験費用、④新規技術開発費用(製剤化技術開発・導入他)、⑤RBM-011(肺動脈性肺高血圧症に対するアプタマー医薬)の研究開発費用、⑥ドラッグデリバリーシステム用アプタマーを中心とした探索研究費用等に充当する計画で過年度及び当事業年度において新株予約権を発行し資金調達を実施しており、当事業年度末の現金及び預金は2,825,182千円、有価証券1,500,000千円となっております。
(ハ)株主還元
当社の株主還元に関する方針は、「第4 提出会社の状況 3 配当政策」に記載のとおりであります。
当社の経営上の重要な契約は次のとおりであります。
①ライセンス・アウトに関する契約
|
契約書名 |
提携及びライセンス契約書 |
|
契約相手方名 |
藤本製薬株式会社 |
|
契約締結日 |
2014年4月30日 |
|
契約期間 |
締結日から、製品の販売後7年が経過する日の属する月の末日、或いは本製品の関連特許が全て消滅する日の属する月の末日のいずれか遅い日まで |
|
主な契約内容 |
① 当社は、NGFに対するRNAアプタマーを含有する医薬品の開発、製造、販売に関する、全世界でのサブライセンス権付きの独占的実施権を藤本製薬株式会社に許諾する。 ② 藤本製薬株式会社は、当社に対して、対価として、契約一時金、開発の進展等に応じたマイルストーン・ペイメント(第1相臨床試験開始時、前期第2相臨床試験開始時、後期第2相臨床試験開始時、第3相臨床試験開始時、製造販売承認申請時、製造販売承認取得時、純売上高が一定額超過時)、及び市販後の一定率のロイヤルティー及び藤本製薬株式会社の得たサブライセンス収入の一定割合を支払う。さらに、当社が第三者割当の方法で発行する普通株式について、3億円分の引き受けを行う。(なお、本引き受けについては、2014年5月12日に払込を完了しております。) ③ 当社は関連特許の50%を藤本製薬株式会社に譲渡する。 |
(注)本契約書の対象となる関連特許については、「②特許譲受に関する契約」に記載の、国立大学法人東京大学との2008年9月16日付譲渡契約書及び2010年3月23日付譲渡契約書、並びに塩野義製薬株式会社との2012年9月10日付特許実施対価等に関する覚書に基づき、関連特許の譲渡を受けております。
|
契約書名 |
ライセンス契約書 |
|
契約相手方名 |
韓国AJU薬品株式会社(以下「AJU薬品」韓国) |
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契約締結日 |
2020年3月17日 |
|
契約期間 |
守秘義務により非開示 |
|
主な契約内容 |
① 当社は、AJU薬品に対し、韓国並びに東南アジア諸国(シンガポール、フィリピン、タイ、ベトナム、インドネシア、マレーシア、ラオス、カンボジア、ミャンマー)におけるRBM-007を含有する医薬品(以下「RBM-007製品」)の滲出型加齢黄斑変性を適応症とする開発、販売に関する(当社事前書面承諾による)サブライセンス権付きの独占的実施権を許諾する。 ② AJU薬品は、当社に対して、当該ライセンス許諾の対価として、契約一時金:100万USドル、開発の進展等に応じたマイルストーン・ペイメントを最大500万USドル、合計最大600万USドルを支払う。また、AJU薬品による販売に際しては、当社が、AJU薬品に対し、ロイヤルティーを含めた製品供給価格でRBM-007製品を供給する。 |
②特許譲受に関する契約
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契約相手方名 |
国立大学法人 東京大学 |
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契約締結日 |
特許を受ける権利ごとに、個別に契約を締結しており、各締結日は下記のとおりです。 2008年9月16日、2009年5月8日、2010年3月23日、2012年3月22日、2019年7月4日 |
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契約期間 |
契約締結日から契約上の権利が全て失効する日まで |
|
主な契約内容 |
当社は、アプタマー創薬に関する事業化に必要な特許に関し、国立大学法人東京大学より特許を受ける権利を譲り受けております。その概要は下記のとおりです。 当社は、特許を受ける権利の対価として契約一時金、開発の進展に応じたマイルストーン及び市販後は一定率のロイヤルティーを支払う。 |
|
備考 |
各契約とパイプラインとの関係は下記のとおりです。 RBM-003:2009年5月8日付契約 RBM-004:2008年9月16日付契約、2010年3月23日付契約 RBM-007:2012年3月22日付契約 TGFβに対するアプタマー:2019年7月4日付契約 |
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契約書名 |
特許実施対価等に関する覚書 |
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契約相手方名 |
塩野義製薬株式会社 |
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契約締結日 |
2012年9月10日 |
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契約期間 |
締結日から、特許の有効に存続する期間の満了又は失効が最も遅く到来する日まで |
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主な契約内容 |
当社は、抗NGFアプタマーを含有する製品の販売に伴う特許実施の対価を受け取った場合、塩野義製薬株式会社に対し一定率のロイヤルティーを支払う。 |
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契約書名 |
共同研究終了に伴う成果取扱い覚書 |
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契約相手方名 |
大塚製薬株式会社 |
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契約締結日 |
2017年5月8日 |
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契約期間 |
守秘義務により非開示 |
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主な契約内容 |
① 当社は、大塚製薬株式会社と、2008年1月1日から2015年12月末日までに実施した、RBM-002及びRBM-003に関する共同研究の成果に関連して、当社側で研究開発を推進することを目的に、関連特許の譲渡を受ける。 ② 当社は、RBM-002及びRBM-003について開発やライセンス・アウトに成功した場合には、製品の売上に応じたロイヤルティー、当社が第三者にライセンスを行った場合のライセンス対価の分配金、及び当社が第三者に事業譲渡を行った場合の事業譲渡対価の分配金を、大塚製薬株式会社に支払う。 |
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契約書名 |
覚書 |
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契約相手方名 |
大正製薬株式会社 |
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契約締結日 |
2019年4月4日 |
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契約期間 |
守秘義務により非開示 |
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主な契約内容 |
当社は、自己によるRBM-010の研究・開発・製造・販売等をする場合、その売り上げに応じたロイヤルティーを、または、第三者に対して、RBM-010のライセンス・アウトに成功した場合には、当該ライセンス対価(ロイヤルティを含む)の分配金を、大正製薬株式会社に支払う。 |
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契約書名 |
覚書 |
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契約相手方名 |
大塚製薬株式会社 |
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契約締結日 |
2019年5月24日 |
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契約期間 |
守秘義務により非開示 |
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主な契約内容 |
当社は、第三者に対して、RBM-001のライセンス・アウトに成功した場合には、当該ライセンス対 価(ロイヤルティーを含む)の分配金を、また事業譲渡を行った場合には、当該事業譲渡対価の分配金を、大塚薬製株式会社に支払う。 |
③共同研究開発に関する契約
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契約書名 |
社会連携講座等設置契約書 |
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契約相手方名 |
国立大学法人 東京大学 |
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契約締結日 |
2012年1月5日 |
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契約期間 |
2012年4月1日から2025年3月31日 |
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主な契約内容 |
① 当社は東京大学に対し、本契約において予め定められた活動経費を支払う。 ② 東京大学は「「RNA医科学」社会連携研究部門」を設置する。 ③ 東京大学と当社は共同研究を実施する。 |
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契約書名 |
共同研究契約書 |
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契約相手方名 |
国立大学法人 東京大学 |
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契約締結日 |
2012年3月30日 |
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契約期間 |
2012年4月1日から2025年3月31日 |
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主な契約内容 |
① 当社は東京大学に対し、本契約において予め定められた研究経費を支払う。 ② 当社と東京大学は、社会連携講座等設置契約に基づき共同でRNAアプタマーの研究を実施す る。 ③ 当社の研究担当者は東京大学の施設を利用し、研究を実施することができる。 |
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契約書名 |
共同研究契約書 |
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契約相手方名 |
日本大学産官学連携知財センター(以下「NUBIC」) |
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契約締結日 |
2023年2月9日 |
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契約期間 |
2022年12月1日から2023年11月30日まで |
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主な契約内容 |
① 当社はNUBICに対し、本契約において予め定められた研究費を支払う。 ② RBM-007を含む複数のアプタマーについて、増殖性硝子体網膜症(PVR)に対する薬理作用を検証するための共同研究を行う。 |
あすか製薬株式会社との共同研究開発契約は、両者協議の上、本共同研究開発を終了したことにより解約いたしました。
当社における主要な設備は、以下のとおりであります。
|
2023年3月31日現在 |
|
事業所名 (所在地) |
設備の内容 |
帳簿価額 |
従業員数 (人) |
||
|
建物 (千円) |
工具、器具 及び備品 (千円) |
合計 (千円) |
|||
|
本社 (東京都港区) |
本社業務及び研究用施設 |
0 |
0 |
0 |
25 |
(注)1.本社は賃借しており、当事業年度の賃借料は43百万円であります。
2.従業員数は、就業人員であります。
3. 当社は、創薬事業及びこれに付随する事業を行う単一セグメントであるため、セグメント情報に関連付けた記載は行っておりません。
|
種類 |
発行可能株式総数(株) |
|
普通株式 |
114,000,000 |
|
計 |
114,000,000 |
|
種類 |
事業年度末現在発行数(株) (2023年3月31日) |
提出日現在発行数(株) (2023年6月28日) |
上場金融商品取引所名又は登録認可金融商品取引業協会名 |
内容 |
|
|
|
|
東京証券取引所 グロース |
完全議決権株式であり権利内容に何ら限定のない当社における標準となる株式であります。 なお、単元株式数は100株であります。 |
|
計 |
|
|
- |
- |
(注)「提出日現在発行数」欄には、2023年6月1日からこの有価証券報告書提出日まで新株予約権の行使により発行された株式数は含まれておりません。
会社法第236条、第238条及び第239条の規定に基づき発行した新株予約権は、次のとおりであります。
[第10回新株予約権]
|
決議年月日 |
2012年6月28日 |
|
付与対象者の区分及び人数(名) |
①当社取締役 2 ②当社従業員 17 |
|
新株予約権の数(個)※ |
- (注)1 |
|
新株予約権の目的となる株式の種類、内容及び数 (株)※ |
普通株式 -(注)2、6 |
|
新株予約権の行使時の払込金額(円)※ |
390(注)3、6 |
|
新株予約権の行使期間※ |
自 2012年6月29日 至 2022年6月28日 但し、行使期間の最終日が当社の休業日にあたる場合には、その前営業日を最終日とする。 |
|
新株予約権の行使により株式を発行する場合の株式の発行価格及び資本組入額(円)※ |
発行価格 390 資本組入額 195 (注)6、7 |
|
新株予約権の行使の条件※ |
(注)4 |
|
新株予約権の譲渡に関する事項※ |
本新株予約権を譲渡するには、取締役会の承認を得なければならない。 |
|
組織再編成行為に伴う新株予約権の交付に関する事項※ |
(注)5 |
[第11回新株予約権]
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決議年月日 |
2013年6月27日 |
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付与対象者の区分及び人数(名) |
①当社取締役 2 ②当社従業員 15 |
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新株予約権の数(個)※ |
310(注)1 |
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新株予約権の目的となる株式の種類、内容及び数 (株)※ |
普通株式 31,000(注)2、6 |
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新株予約権の行使時の払込金額(円)※ |
349(注)3、6 |
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新株予約権の行使期間※ |
自 2013年6月28日 至 2023年6月27日 但し、行使期間の最終日が当社の休業日にあたる場合には、その前営業日を最終日とする。 |
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新株予約権の行使により株式を発行する場合の株式の発行価格及び資本組入額(円)※ |
発行価格 390 資本組入額 195 (注)6、7 |
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新株予約権の行使の条件※ |
(注)4 |
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新株予約権の譲渡に関する事項※ |
本新株予約権を譲渡するには、取締役会の承認を得なければならない。 |
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組織再編成行為に伴う新株予約権の交付に関する事項※ |
(注)5 |
※ 当事業年度の末日(2023年3月31日)における内容を記載しております。当事業年度の末日から提出日の前月末現在(2023年5月31日)にかけて変更された事項については、記載すべき内容が当事業年度の末日における内容から変更がないため、提出日の前月末現在に係る記載を省略しております。
(注)1. [第10回新株予約権]
株主総会決議により承認を受けた新株予約権の数は、1,340個であり、2012年6月28日開催の取締役会において上記条件の新株予約権1,340個の付与を決議しております。以後、権利放棄により権利を喪失した個数を減じております。
[第11回新株予約権]
株主総会決議により承認を受けた新株予約権の数は、1,390個であり、2013年6月27日開催の取締役会において上記条件の新株予約権1,390個の付与を決議しております。以後、権利放棄により権利を喪失した個数を減じております。
2.新株予約権1個あたりの目的となる株式数の調整に関する事項は以下のとおりであります。
本新株予約権1個あたりの目的となる株式数は、以下の定めにより調整されることがあることとしております。
(1)当社が普通株式について株式の分割又は併合を行う場合には、未行使の本新株予約権についてその1個あたりの目的たる株式数を次の算式に従い調整するものとし、調整により生じる1株の100分の1未満の端数は切り捨て、金銭による調整は行わない。
調整後株式数=調整前株式数×分割・併合の比率
なお、分割の比率とは、株式分割後の発行済普通株式総数を株式分割前の発行済普通株式総数で除した数を、併合の比率とは、株式併合後の発行済普通株式総数を株式併合前の発行済普通株式総数で除した数を、それぞれ意味するものとし、以下同じとする。
また、調整後の株式数は、株式分割の場合は会社法第183条第2項第1号に基づく株式分割の割当基準日の翌日以降、株式併合の場合は株式併合の効力発生日の翌日以降、それぞれ適用されるものとする。
(2)当社が株主割当の方法により募集株式の発行又は処分を行う場合、株式無償割当てを行う場合、合併する場合、株式交換を行う場合、会社分割を行う場合その他必要と認められる場合には、当社は取締役会の決議をもって適当と認める本新株予約権1個あたりの目的たる株式数の調整を行う。
3.本新株予約権の行使に際して出資される財産の価額又はその算定方法は以下のとおりであります。
本新株予約権1個あたりの行使に際して出資される財産の価額は、行使価額に本新株予約権1個あたりの目的となる株式数を乗じた金額とすることとしております。但し、行使価額は以下に定めるところに従い調整されることがあることとしております。
(1)当社が普通株式について株式の分割又は併合を行う場合には、未行使の本新株予約権について、行使価額を次の算式に従い調整するものとし、調整により生じる1円未満の端数は切り上げる。
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調整後行使価額=調整前行使価額× |
1 |
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分割・併合の比率 |
なお、調整後の行使価額の適用時期は、上記2(1)の調整後の株式数の適用時期に準じるものとする。
(2)当社が、(ⅰ)行使価額(但し、本3に定める調整が既に行われている場合は調整後の金額を意味する。以下本(2)において同じ。)を下回る1株あたりの払込金額での普通株式の発行又は処分(株式無償割当てを含む。潜在株式等(取得請求権付株式、取得条項付株式、新株予約権、新株予約権付社債、その他その保有者若しくは当社の請求に基づき又は一定の事由の発生を条件として普通株式を取得し得る地位を伴う証券又は権利を意味する。以下同じ。)の取得原因(潜在株式等に基づき当社が普通株式を交付する原因となる保有者若しくは当社の請求又は一定の事由)の発生によるもの、並びに合併、株式交換、及び会社分割に伴うものを除く。)、又は(ⅱ)行使価額を下回る1株あたりの取得価額(普通株式1株を取得するために当該潜在株式等の取得及び取得原因の発生を通じて負担すべき金額として当社が決定する金額を意味する。)をもって普通株式を取得し得る潜在株式等の発行又は処分(無償割当てによる場合を含む。)を行うときは、未行使の本新株予約権について行使価額を次の算式に従い調整するものとし、調整により生ずる1円未満の端数は切り上げる。
上記調整による調整後の行使価額は、募集又は割当てのための基準日がある場合はその日の翌日、それ以外の場合は普通株式又は潜在株式等の発行又は処分の効力発生日(会社法第209条第2号が適用される場合は、同号に定める期間の末日)の翌日以降に適用されるものとする。
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調整後行使価額= |
既発行株式数×調整前行使価額+新発行株式数×1株あたり払込金額 |
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既発行株式数+新発行株式数 |
なお、上記算式については下記の定めに従うものとする。
① 「既発行株式数」とは、調整後の行使価額が適用される日の前日における、当社の発行済普通株式総数及び発行済の潜在株式等の目的たる普通株式数を合計した数から、同日における会社の保有する自己株式(普通株式のみ)の数を控除した数を意味するものとする。(但し当該調整事由によって当社の発行済普通株式数若しくは発行済の潜在株式等の目的たる普通株式数又は自己株式(普通株式のみ)の数が変動する場合、当該変動前の数を基準とする。)
② 当社が自己株式を処分することにより調整が行われる場合においては、「新発行株式数」は「処分する自己株式の数」と読み替えるものとする。
③ 当社が潜在株式等を発行又は処分することにより調整が行われる場合における「新発行株式数」とは、発行又は処分される潜在株式等の目的たる普通株式の数を、「1株あたり払込金額」とは、目的となる普通株式1株あたりの取得価額を、それぞれ意味するものとする。
(3)上記(2)の(ⅱ)に定める潜在株式等の取得原因が発生する可能性のある期間が終了した場合には、当社は取締役会の決議をもって適当と認める行使価額の調整を行う。但し、その潜在株式等の全部について取得原因が発生した場合を除く。
(4)当社が合併する場合、株式交換を行う場合、会社分割を行う場合その他必要と認められる場合には、当社は取締役会の決議をもって適当と認める行使価額の調整を行う。
(5)株主割当て又は株式無償割当て以外の方法で普通株式又は潜在株式等を発行又は処分する場合において、当社が調整を行わない旨を決定した場合には、上記(2)に基づく調整は行わないものとする。
4.新株予約権の行使の条件は以下のとおりであります。
(1)本新株予約権の行使は、行使しようとする本新株予約権又は本新株予約権を保有する者(以下「権利者」という。)について下記(ⅰ)~(ⅴ)に定める取得事由が発生していないことを条件とし、取得事由が生じた本新株予約権の行使は認められないものとする。但し、会社が特に行使を認めた場合はこの限りでない。当社は、下記(ⅰ)~(ⅴ)に定める取得の事由が生じた本新株予約権を取得する場合、取締役会の決議により別途定める日においてこれを取得するものとする。また、当社は下記(ⅰ)~(ⅴ)に定める取得の事由が生じた本新株予約権の全部又は一部を取得することができ、一部を取得する場合は、取締役会の決議により取得する本新株予約権を決定するものとする。
(ⅰ) 当社が消滅会社となる吸収合併若しくは新設合併、当社が分割会社となる吸収分割若しくは新設分割、又は当社が完全子会社となる株式交換若しくは株式移転(以下これらを総称して「組織再編行為」という。)について、法令上又は当社の定款上必要な当社の株主総会の承認決議(株主総会決議に替えて総株主の同意が必要である場合には総株主の同意の取得、そのいずれも不要である場合には、取締役会の決議)が行われたときは、当社は本新株予約権を無償で取得することができる。
(ⅱ) 当社は相続の対象とならなかった本新株予約権を無償で取得することができるものとする。
(ⅲ)権利者が①当社又は子会社(会社法第2条第3号に定める子会社を意味する。以下同じ。)の取締役又は監査役、②当社又は子会社の使用人、③顧問、アドバイザー、コンサルタントその他名目の如何を問わず当社又は子会社との間で委任、請負等の継続的な契約関係にある者のいずれの身分とも喪失した場合、当社は、未行使の本新株予約権を無償で取得することができる。
(ⅳ) 次のいずれかに該当する事由が発生した場合、当社は未行使の本新株予約権を無償で取得することができる。
① 権利者が禁錮以上の刑に処せられた場合
② 権利者が当社又は子会社と競合する業務を営む法人を直接若しくは間接に設立し、又はその役員若しくは使用人に就任するなど、名目を問わず当社又は子会社と競業した場合。但し、当社の書面による事前の承認を得た場合を除く。
③ 権利者が法令違反その他不正行為により当社又は子会社の信用を損ねた場合
④ 権利者が差押、仮差押、仮処分、強制執行若しくは競売の申立を受け、又は公租公課の滞納処分を受けた場合
⑤ 権利者が支払停止若しくは支払不能となり、又は振り出し若しくは引き受けた手形若しくは小切手が不渡りとなった場合
⑥ 権利者につき破産手続開始、民事再生手続開始、会社更生手続開始、特別清算手続開始その他これらに類する手続開始の申立があった場合
⑦ 権利者につき解散の決議が行われた場合
⑧ 権利者が反社会的勢力等(暴力団、暴力団員、右翼団体、反社会的勢力、その他これに準ずる者を意味する。以下同じ。)であること、又は資金提供等を通じて反社会的勢力等と何らかの交流若しくは関与を行っていることが判明した場合
⑨ 権利者が本要項又は本新株予約権に関して当社と締結した契約に違反した場合
(ⅴ) 権利者が当社又は子会社の取締役若しくは監査役又は使用人の身分を有する場合(本新株予約権発行後にかかる身分を有するに至った場合を含む。)において、次のいずれかに該当する事由が発生した場合、当社は、未行使の本新株予約権を無償で取得することができる。
①権利者が自己に適用される当社又は子会社の就業規則に規定する懲戒事由に該当した場合
②権利者が取締役としての忠実義務等当社又は子会社に対する義務に違反した場合
(2)本新株予約権の行使は1新株予約権単位で行うものとし、各新株予約権の一部の行使は認められないものとする。
(3)権利者が1個又は複数の本新株予約権を行使した場合に、当該行使により当該権利者に対して交付される株式数は整数(会社が単元株制度を導入した場合は一単元の株式数の整数倍)でなければならず、1株(会社が単元株制度を導入した場合は一単元の株式数)未満の部分についてはこれを切り捨て、株式は割り当てられないものとする。かかる端数等の切り捨てについて金銭による調整は行わない。
(4)権利者が死亡した場合には、権利者の相続人による本新株予約権の相続は認めないものとする。但し、取締役会の決議により認められた場合は、権利者の相続人は、未行使の本新株予約権を相続するものとする。この場合において、権利承継者は、承継代表者を通じ、全員が共同して本新株予約権を行使するものとする。本(4)を除く本新株予約権の発行要項の適用に関しては、権利承継者を権利者とみなす。但し、権利承継者には(1)(ⅲ)の規定は適用されないものとする。
(5)本新株予約権の行使期間にかかわらず、権利者は、当社の株式のいずれかの金融商品取引所への上場がなされるまでの期間、及び金融商品取引所への上場から6ヶ月が経過する日までの期間は、割当新株予約権を行使できないものとする。なお、上場後の行使可能割合は次のとおり定めております。上場の日以後1年経過時点までは割当新株予約権数の40%まで、1年経過時点から2年経過時点までは割当新株予約権数の70%まで、2年経過時点以降は100%。また、行使可能割合は、直前期間までの既行使分と合わせた割合を意味する。
(6)その他の条件は、当社と新株予約権の割り当てを受けたものとの間で締結した「新株予約権割当契約書」による。
5.組織再編成行為に伴う新株予約権の交付に関する事項は以下のとおりであります。
当社が組織再編行為を行う場合は、組織再編行為の効力発生日の直前において残存する本新株予約権の権利者に対して、手続に応じそれぞれ合併における存続会社若しくは新設会社、会社分割における承継会社若しくは新設会社、又は株式交換若しくは株式移転における完全親会社(いずれの場合も株式会社に限る。以下総称して「再編対象会社」という。)の新株予約権を、下記の方針に従って本権利者に交付することができる。この場合において、残存新株予約権は消滅し、再編対象会社は新株予約権を新たに発行する。
但し、以下の条件に沿って再編対象会社の新株予約権を交付する旨を、当該組織再編行為にかかる契約又は計画において定めた場合に限る。
(1)交付する再編対象会社の新株予約権の数
権利者が保有する本新株予約権の数と同一の数をそれぞれ交付するものとする。
(2)新株予約権の目的である再編対象会社の株式の種類
再編対象会社の普通株式とする。
(3)新株予約権の目的である再編対象会社の株式の数
組織再編行為の条件等を勘案の上、上記2に準じて決定する。
(4)新株予約権の行使に際して出資される財産の価額又はその算定方法
組織再編行為の条件等を勘案の上、上記3で定められる行使価額を調整して得られる再編後行使価額に、上記(3)に従って決定される当該新株予約権の目的である再編対象会社の株式の数を乗じた額とする。
(5)新株予約権を行使することができる期間
新株予約権を行使することができる期間の初日と組織再編行為の効力発生日のうちいずれか遅い日から、新株予約権を行使することができる期間の末日までとする。
(6)権利行使の条件、取得事由、その他の新株予約権の内容
本新株予約権の内容に準じて、組織再編行為にかかる契約書又は計画において定めるものとする。
(7)取締役会による譲渡承認について
新株予約権の譲渡について、再編対象会社の取締役会の承認を要するものとする。
(8)組織再編行為の際の取扱い
本5に準じて決定する。
6.2014年6月28日付で普通株式1株を100株に株式分割したことに伴い、新株予約権の目的となる株式の数、新株予約権の行使時の払込金額、新株予約権の行使により株式を発行する場合の株式の発行価格及び資本組入額の調整が行われております。
7.本新株予約権の行使により株式を発行する場合における増加する資本金及び資本準備金に関する事項は以下のとおりであります。
本新株予約権の行使により株式を発行する場合の増加する資本金の額は、会社計算規則第17条に従い算出される資本金等増加限度額に0.5を乗じた額とし、計算の結果1円未満の端数を生じる場合は、その端数を切り上げるものとする。増加する資本準備金の額は、資本金等増加限度額より増加する資本金の額を減じた額とする。
8.2022年10月11日開催の取締役会決議に基づき第三者割当により第16回新株予約権を発行したことに伴い、上記(注)3(2)に基づき第11回新株予約権の行使価額が390円から349円へと調整されました。
該当事項はありません。
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年月日 |
発行済株式総数増減数(株) |
発行済株式総数残高(株) |
資本金増減額(千円) |
資本金残高(千円) |
資本準備金増減額(千円) |
資本準備金残高(千円) |
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2018年4月1日~ 2019年3月31日 (注)1 |
176,800 |
14,389,900 |
46,558 |
3,261,040 |
46,558 |
3,234,040 |
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2019年4月1日~ 2020年3月31日 (注)1 |
3,165,884 |
17,555,784 |
768,915 |
4,029,956 |
768,915 |
4,002,956 |
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2020年4月1日~ 2021年3月31日 (注)1 |
10,353,000 |
27,908,784 |
2,512,228 |
6,542,185 |
2,512,228 |
6,515,185 |
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2021年8月3日 (注)2 |
- |
27,908,784 |
△6,492,185 |
50,000 |
△563,747 |
5,951,438 |
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2021年10月15日 (注)3 |
51,000 |
27,959,784 |
9,333 |
59,333 |
9,333 |
5,960,771 |
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2021年4月1日~ 2022年3月31日 (注)1 |
599,556 |
28,559,340 |
178,961 |
238,294 |
178,961 |
6,139,732 |
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2022年8月2日 (注)2 |
- |
28,559,340 |
△188,294 |
50,000 |
△1,496,459 |
4,643,273 |
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2022年4月1日 2023年3月31日 (注)1 |
7,135,000 |
35,694,340 |
672,040 |
722,040 |
672,040 |
5,315,313 |
(注)1.新株予約権の行使による増加であります。
2.会社法第447条第1項及び会社法第448条第1項の規定に基づき、資本金及び資本準備金の額を減少し、その他資本剰余金へ振り替えたものであります。
3.従業員に対する譲渡制限付株式の発行による増加であります。発行価格 366円 資本組入額 183円
4.2018年5月28日付提出の有価証券届出書、及び2020年1月10日付提出の有価証券届出書に記載した「手取金の使途」について、以下のとおり重要な変更が生じております。
①変更の理由
2022年6月13日に「新株予約権の行使期間満了、特別利益の発生、資金使途、金額、及び支出予定時期変更に関するお知らせ」にて公表のとおり、2022年6月13日開催の取締役会において、第1回無担保転換社債型新株予約権付社債及び第14回新株予約権、第15回新株予約権(行使価額修正条項付)(以下、「第15回新株予約権」という。)の発行により調達した資金使途の変更を決議いたしました。
第1回無担保転換社債型新株予約権付社債及び第14回新株予約権
2020年1月10日公表の「第1回無担保転換社債型新株予約権付社債の繰上償還に関するお知らせ」において、第1回無担保転換社債型新株予約権付社債につき202百万円を繰上償還するとともに、第14回新株予約権につき409百万円が未行使となりました。この結果、事務手数料等を控除した純額では1,368百万円の調達となりました。
実際に調達した金額、資金の支出状況、当社パイプラインの開発状況等を考慮し、第1回無担保転換社債型新株予約権付社債及び第14回新株予約権で予定していた具体的な資金使途項目に充当する金額等を以下の背景により変更いたしました。
(イ)「RBM-007の加齢黄斑変性症を対象とした臨床開発費(第I/IIa相試験実施費用の一部)」については、臨床開発を効率的に実施したことにより過去に調達した第12回新株予約権で賄うことができたため未発生となりました。また、「RBM-007の加齢黄斑変性症を対象とした臨床開発費(第IIb相試験実施費用)」については、上述のとおり第1回無担保転換社債型新株予約権付社債及び第14回新株予約権での調達が当初想定額を下回ったため、第15回新株予約権により調達した資金を充当することとしたことによるものです。
(ロ)「RBM-007の軟骨無形成症を対象とした治験計画届出準備費用及び臨床開発費(第I相試験実施費用の一部及び第IIa相試験実施のための原薬製造費用の一部)」については、原薬の合成時期が時期ずれとなるとともに、原薬等の合成費用が当初予定より増加したことによるものです。
(ハ)「次世代型「RiboART システム」の開発と新規事業展開」については、上述のとおり第1回無担保転換社債型新株予約権付社債及び第14回新株予約権での調達が当初想定額を下回ったため、第15回新株予約権により調達した資金を充当することとしたことによるものです。
第15回新株予約権
第15回新株予約権は2020年7月に行使が完了しており、事務手数料等を控除した純額では5,485百万円の調達となりました。
実際の調達額が当初の想定を下回ったこと、資金の支出状況、当社パイプラインの開発状況等を考慮し、また、当社事業を促進することの施策等を踏まえ、第15回新株予約権で予定していた具体的な資金使途項目に充当する金額等を以下の背景により変更したことによるものです。
(イ)「①RBM-007の加齢黄斑変性症及び軟骨無形成症を対象とした臨床開発費用(臨床開発のための薬剤合成費用を含む)」については、当初想定より多くの臨床試験データを得ることとしたため、加齢黄斑変性症及び軟骨無形成症の臨床試験に要する臨床開発費が当初想定を上回ることとなるとともに、支出予定時期を延長したことによるものです。
(ロ)「②RBM-003の心不全を対象とした非臨床試験費用」「③RBM-010の変形性関節症を対象とした非臨床試験費用」「④新規技術開発費用(製剤化技術開発・導入他)」についての研究開発活動を進めておりますが、RBM-007の臨床開発を優先的に進めているため、支出予定時期が後倒しになっております。
(ハ)運転資金については、2020年1月10日公表の「第三者割当による第15回新株予約権の発行及びファシリティ契約(行使停止指定条項付)の締結に関するお知らせ」において、未行使の第14回新株予約権がその残存期間中に行使された場合には、第15回新株予約権に係る資金使途のうち、第14回新株予約権の行使により充当された第15回新株予約権に係る使途部分に関しては、運転資金に充当する予定としておりました。このため、今後の運転資金の必要額に鑑みて、⑤運転資金の支出予定金額、及び支出予定時期の見直しを行ったことによるものです。
② 変更の内容
変更箇所は下線で示しております。
第1回無担保転換社債型新株予約権付社債及び第14回新株予約権
(変更前)
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具体的な使途 |
金額 (百万円) |
支出予定時期 |
|
① |
RBM-007 の加齢黄斑変性症を対象とした臨床開発費(第Ⅰ/Ⅱa 相試験実施費用の一部) |
99.8 |
2018年6月~2019年12月 |
|
RBM-007 の加齢黄斑変性症を対象とした臨床開発費(第Ⅱb 相試験実施費用) |
1,270 |
2019年6月~2021年12月 |
|
|
② |
RBM-007 の軟骨無形成症を対象とした治験計画届出準備費用及び臨床開発費(第Ⅰ相試験実施費用の一部及び第Ⅱa 相試験実施のための原薬製造費用の一部) |
431.8 |
2018年7月~2021年3月 |
|
③ |
次世代型「RiboARTシステム」の開発と新規事業展開 |
180 |
2018年6月~2021年12月 |
|
合計 |
1,981.6 |
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|
(変更後)
|
|
具体的な使途 |
金額 (百万円) |
支出予定時期 |
|
① |
RBM-007 の加齢黄斑変性症を対象とした臨床開発費(第Ⅰ/Ⅱa 相試験実施費用の一部) |
- |
- |
|
RBM-007 の加齢黄斑変性症を対象とした臨床開発費(第Ⅱb 相試験実施費用) |
753 |
2019年10月~2021年7月 |
|
|
② |
RBM-007 の軟骨無形成症を対象とした治験計画届出準備費用及び臨床開発費(第Ⅰ相試験実施費用の一部及び第Ⅱa 相試験実施のための原薬製造費用の一部) |
548 |
2019年4月~2024年3月 |
|
③ |
次世代型「RiboARTシステム」の開発と新規事業展開 |
67 |
2018年6月~2019年11月 |
|
合計 |
1,368 |
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(注)変更後における金額は、既に行使期間が満了しているため実際に行使された総額を使途別に記載しております。
第15回新株予約権
(変更前)
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具体的な使途 |
金額 (百万円) |
支出予定時期 |
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① |
RBM-007 の加齢黄斑変性症及び軟骨無形成症を対象とした臨床開発費用(臨床開発のための薬剤合成費用を含む) |
1,875 |
2020年1月~2023年3月 |
|
② |
RBM-003 の心不全を対象とした非臨床試験費用 |
1,148 |
2020年1月~2023年3月 |
|
③ |
RBM-010 の変形性関節症を対象とした非臨床試験費用 |
1,138 |
2020年1月~2023年3月 |
|
④ |
新規技術開発費用(製剤化技術開発・導入他) |
1,080 |
2020年1月~2023年3月 |
|
⑤ |
運転資金 |
418 |
2020年1月~2023年3月 |
|
合計 |
5,659 |
- |
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(変更後)
|
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具体的な使途 |
金額 (百万円) |
支出予定時期 |
|
① |
RBM-007 の加齢黄斑変性症及び軟骨無形成症を対象とした臨床開発費用(臨床開発のための薬剤合成費用を含む) |
3,239 |
2020年1月~2025年3月 |
|
② |
RBM-003 の心不全を対象とした非臨床試験費用 |
601 |
2020年1月~2025年3月 |
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③ |
RBM-010 の変形性関節症を対象とした非臨床試験費用 |
297 |
2020年1月~2025年3月 |
|
④ |
新規技術開発費用(製剤化技術開発・導入他) |
284 |
2020年8月~2025年3月 |
|
⑤ |
運転資金 |
1,065 |
2020年1月~2024年3月 |
|
合計 |
5,485 |
- |
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(注)変更後における金額は、既に行使期間が満了しているため実際に行使された総額を使途別に記載しております。
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2023年3月31日現在 |
||
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区分 |
株式の状況(1単元の株式数 |
単元未満株式の状況 (株) |
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政府及び地方公共団体 |
金融機関 |
金融商品取引業者 |
その他の法人 |
外国法人等 |
個人その他 |
計 |
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個人以外 |
個人 |
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株主数(人) |
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- |
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所有株式数 (単元) |
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所有株式数の割合(%) |
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100.00 |
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(注)自己株式6,101株は「個人その他」に61単元、「単元未満株式の状況」に1株含まれております。
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2023年3月31日現在 |
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氏名又は名称 |
住所 |
所有株式数 (株) |
発行済株式(自己株式を除く。)の総数に対する所有株式数の割合(%) |
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計 |
- |
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(単位:千円) |
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前事業年度 (2022年3月31日) |
当事業年度 (2023年3月31日) |
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資産の部 |
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流動資産 |
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現金及び預金 |
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有価証券 |
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貯蔵品 |
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前渡金 |
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前払費用 |
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未収入金 |
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未収消費税等 |
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その他 |
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流動資産合計 |
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固定資産 |
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有形固定資産 |
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建物 |
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減価償却累計額 |
△ |
△ |
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減損損失累計額 |
△ |
△ |
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建物(純額) |
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工具、器具及び備品 |
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減価償却累計額 |
△ |
△ |
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減損損失累計額 |
△ |
△ |
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工具、器具及び備品(純額) |
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有形固定資産合計 |
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投資その他の資産 |
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関係会社株式 |
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敷金 |
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長期前払費用 |
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投資その他の資産合計 |
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固定資産合計 |
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資産合計 |
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負債の部 |
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流動負債 |
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未払金 |
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未払費用 |
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未払法人税等 |
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前受金 |
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預り金 |
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その他 |
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流動負債合計 |
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負債合計 |
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(単位:千円) |
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前事業年度 (2022年3月31日) |
当事業年度 (2023年3月31日) |
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純資産の部 |
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株主資本 |
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資本金 |
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資本剰余金 |
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資本準備金 |
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資本剰余金合計 |
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利益剰余金 |
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その他利益剰余金 |
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繰越利益剰余金 |
△ |
△ |
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利益剰余金合計 |
△ |
△ |
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自己株式 |
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△ |
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株主資本合計 |
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新株予約権 |
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純資産合計 |
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負債純資産合計 |
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(単位:千円) |
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前事業年度 (自 2021年4月1日 至 2022年3月31日) |
当事業年度 (自 2022年4月1日 至 2023年3月31日) |
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事業収益 |
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事業費用 |
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研究開発費 |
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販売費及び一般管理費 |
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事業費用合計 |
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営業損失(△) |
△ |
△ |
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営業外収益 |
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受取利息 |
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金銭の信託運用益 |
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助成金収入 |
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為替差益 |
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その他 |
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営業外収益合計 |
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営業外費用 |
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株式交付費 |
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営業外費用合計 |
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経常損失(△) |
△ |
△ |
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特別利益 |
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新株予約権戻入益 |
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特別利益合計 |
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特別損失 |
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減損損失 |
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特別損失合計 |
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税引前当期純損失(△) |
△ |
△ |
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法人税、住民税及び事業税 |
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法人税等合計 |
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当期純損失(△) |
△ |
△ |


