株式会社大冷
(注) 1.当社は連結財務諸表を作成しておりませんので、連結会計年度に係る主要な経営指標等の推移については記載しておりません。
2.持分法を適用した場合の投資利益については、関連会社がないため記載しておりません。
3.第51期の1株当たり配当額には、記念配当10円を含んでおります。
4.潜在株式調整後1株当たり当期純利益金額については、潜在株式が存在しないため記載しておりません。
5.従業員数は当社から社外への出向者を含む就業人員数であります。
6.最高・最低株価は、2022年4月3日以前は東京証券取引所市場第一部におけるものであり、2022年4月4日以降は東京証券取引所スタンダード市場におけるものであります。
7.「収益認識に関する会計基準」(企業会計基準第29号 2020年3月31日)等を第51期の期首から適用しており、第51期以降に係る主要な経営指標等については、当該会計基準等を適用した後の指標等となっております。
当社は、1971年8月に東京都板橋区において業務用冷凍食品の製造及び販売を目的とする会社として、現在の株式会社大冷の前身である個人事業会社を創業者安楽修が創業いたしました。
その後、事業の順調な発展により経営規模が拡大したことから、1972年6月に東京都中央区勝どきにおいて「株式会社大冷」を設立いたしました。その後の経緯は、次のとおりであります。
当社は、「安全と安心を優先に顧客に満足と感動を提供する。」という経営理念に基づき、国内の医療食、弁当仕出し、外食等のエンドユーザー向けに業務用冷凍食品の企画及び販売を主な事業として取り組んでおります。
当社は、食品業界の景気の変動による当社業績への影響を最小限にするため、商品については当社の検査基準を満たした製造先に委託するというビジネスモデル(いわゆるファブレス形態)をとっており、国内外(日本、中国、ベトナム、タイ)の協力工場において製造した自社ブランド商品を広く全国のユーザー及び問屋向けに販売しております。加えて特定のユーザー仕様に対応したPB商品も取扱っております。当社は外部業者に保管・物流の委託を行っており、1ケースからの翌日配送が可能なデリバリーシステムを構築し顧客の利便性向上を図っております。
当社の商品開発の特徴としては新商品の企画立案及び商品化の決定に特化していることが挙げられます。当社では新商品の導入、改良・新規開発に際して、社長、営業統括本部長、商品統括本部長、開発統括本部及び商品統括本部の各部門の開発担当者及び営業担当者から構成される特命商品開発プロジェクトにおいて、主に市場調査や商品開発に当たっております。営業担当者はエンドユーザーからの要望を社内で共有化し、開発担当者はそれらの要望を充足すべく商品の改良・新規開発を行い、毎月1回の会議において、委託製造先が作成した試作品をもとに新商品候補の選定・絞込みを行います。一方、PB商品においては、営業担当者と開発担当者を専任として任命し、特定ユーザーとの密接なコミュニケーションにより培われた特定ユーザーに特化した商品開発と、社外の検査機関や製造委託先工場と連携を図ることにより、特定ユーザーの要望に沿った商品のスピーディーな開発・商品化を行います。自社ブランド商品・PB商品を問わず、選定された新商品候補については、原則として年に2回開催される新商品選定最終会議に諮り、商品性、採算性等を踏まえ最終決定されます。
また、新商品製造におきましては、当社はファブレス形態をとっておりますが、当社の商品開発部にて試作品を作成し、原材料の検討を行った後、委託製造先と協力しながら製造を進めます。当社では委託製造先ごとに専属の開発担当者を任命して、これらを円滑に行っております。
なお、当社は業務用冷凍食品卸売事業の単一セグメントであるためセグメント情報の記載を省略しております。
当社の事業内容を事業部門別に記載すると次のとおりであります。
(1)骨なし魚事業
当社は、「医療食・介護食用に魚の骨をすべて取り除いた商品を開発してほしい」というエンドユーザーからのご要望に応えるため「骨なし魚」の開発に着手し、エンドユーザーのところに開発担当者が自ら訪問し、真の要望を的確にとらえて試作を繰り返すなど当社の強みである商品開発力を生かして1998年には「骨なし魚」の開発に成功しました。その後、その加工技術について更なる改良開発を重ねた結果、「加熱処理した魚の製造方法」「凍ったまま調理できる冷凍魚の製造方法および冷凍魚」「湯せん・蒸し調理用魚介類包装冷凍食品及びその製造方法」「施設調理用冷凍揚物の製造方法及び施設調理用冷凍揚物」の4つの製造特許を取得しております。
当社の取り扱っている「骨なし魚」は、エックス線の残骨検査によりチェックしております。当社の「骨なし魚情報トレースシステム」は、協力工場の品質管理が向上するだけでなく、重大クレームが発生した場合に迅速な対応が可能となり、お客様に対する安全安心のために採用しております。海外の協力工場においては、日本人の常駐員または循環員の配置を義務付けているという特徴があります。また、取扱い魚種は、日本人になじみの深いさんまをはじめ、さけ、さば、さわら等、2023年3月時点で33種類を数えております。
当社の「骨なし魚」は、その加工技術力や豊富な魚種の取りそろえにより他社商品との差別化を図り、凍ったまま調理できて冷めても柔らかさが持続し、魚の生臭さが抑えられた「楽らくクックシリーズ」や、厳選した調味料の使用と手作り感のある仕上がりの「楽らく調味シリーズ」、楽らく処理を施していない「骨なし魚シリーズ」、骨を取り除いてエックス線検査と楽らく処理を施していない「骨取り魚シリーズ」などが、当社の主力商品となっております。今後は「調味シリーズ」や「ダイスカットシリーズ」など当社独自商品の販売強化と、原料価格値上げに伴う販売価格の改定を推進してまいります。
当社の骨なし魚の代表的な商品は以下のとおりであります。
(2)ミート事業
当社は、「骨なし魚」の開発で培った加工技術をミート事業分野にも応用し畜肉商品の開発に取り組んだ結果、凍ったまま調理ができて冷めても柔らかい「楽らくクックシリーズ」の特性に加えて、肉の臭みが抑えられるという特徴も兼ね備えた画期的な畜肉商品「楽らく匠味シリーズ」の開発に成功しました。
「楽らく匠味シリーズ」は、当社オリジナルの特殊加工(下処理)を行うことにより肉の臭みを軽減し、肉の食感を残しつつ柔らかく、冷めても柔らかさが持続するというものであります。現在では「楽らく匠味鶏もも皮なし切身」「楽らく匠味牛もも切り落とし」「楽らく匠味豚肩切り落とし」といった商品のほか、「楽らく匠味パック入り豚角煮」「楽らく匠味鶏そぼろ」「楽らく匠味ふわふわ鶏だんご」など調理品も取り揃え、商品群の充実を進めております。
ミート事業では匠味シリーズのほか「弁当ミニドック」や「やわらか鶏つくね」「スチーム皮なし鶏もも角切」などの商品も取り扱っており、今後は主力商品である「楽らく匠味シリーズ」で、大手取引先のPB商品を開発するなど販売強化を図ってまいります。
(3)その他事業
その他事業では、従来より、製造委託先からの提案を受けて商品開発をして販売してきた惣菜等の調理冷食と冷凍野菜、魚フライ、練り製品、水産品などを主に取り扱っております。惣菜等の調理冷食は、製造委託先とタイアップして取引先・ユーザーのニーズを満たす商品の開発を進めております。大手ユーザーとの直接商談によるPB商品開発販売が順調に推移しており、今後も積極的に取り組んでまいります。また、前期より本格的に取り組んでまいりました、直接貿易によるえび商品の販売につきまして、大手ユーザーとの取引拡大など更なる拡販を図ってまいります。
当社のその他事業の代表的な商品は以下のとおりであります。
事業の系統図は、次のとおりであります。

該当事項はありません。
2023年3月31日現在
(注) 1.従業員数は就業人員数であります(当社から社外への出向者を含む)。
2.平均年間給与は、賞与及び基準外賃金を含んでおります。
3.当社は業務用冷凍食品卸売事業の単一セグメントであるため、セグメントごとの従業員数は記載しておりません。
当社は、労働組合を有しておりませんが、労使関係は安定しております。
(注)「女性の職業生活における活躍の推進に関する法律」(平成27年法律第64号)の規定に基づき算出したものであります。
(1) 経営方針・経営戦略等
我が国経済は、新型コロナウイルス感染拡大の影響が続いておりましたが、生活習慣の変化やワクチンの普及、段階的に行動制限が緩和されたことなどにより、経済活動は以前の状態に戻りつつありました。後半に入り、行動制限だけでなく入国制限も緩和され、外国人消費が持ち直すとともに外食需要なども回復傾向となり、経済は正常化に向かいました。しかしながら、ロシア・ウクライナ情勢の長期化による原料・エネルギー価格の高騰を背景に、世界的金融引き締め下における為替市場の急激な円安進行など、インフレ拡大や景気後退に対する懸念が広がっており、先行き不透明な状態が続いております。国内食品業界におきましては、資源価格高騰に端を発した、原料価格やエネルギー価格が異次元の上昇をしたことにより、価格改定が繰り返し実施される状況で、物価上昇による消費マインドの冷え込みが懸念されるなど、依然として先行き不透明な状況が続いております。また、エネルギー価格上昇に伴う物流コストの上昇や、人手不足による製造コストの上昇など、引き続き、業界全体で厳しい経営環境が続くことが予想されます。このような環境の中で当社におきましては、エンドユーザーの「安全安心でおいしく、安価で簡単調理な商品を」というニーズに対して満足して頂ける商品の提供が、当社の使命であると認識しております。また、高付加価値商品を開発して価格競争からの回避を図ることも当社の重要な基本戦略であります。2023年3月期の売上高は、直接貿易で調達したえび商品の大手ユーザーへの拡販が順調に推移したことなどにより、27,239,662千円(前年同期比18.6%増)となりました。ロシア・ウクライナ情勢の影響により景気の先行きが不透明な中で、2024年3月期の業績につきましては、コロナ禍での社会経済活動の更なる回復と、度重なる原料価格値上げに対応するための販売価格改定が順調に推移することを前提として増収を見込んでおり、当社独自商品の販売強化や直接貿易によるえび商品の大手ユーザーとの取り組み拡大を図ってまいります。
(2) 優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題
① 商品の競合に関する課題
当社は、当社独自技術の下、凍ったまま調理できる「楽らくクックシリーズ」や「楽らく匠味シリーズ」など、エンドユーザー様にご満足頂ける高付加価値商品の提供に注力しております。また、当社商品は、トレーサビリティなど徹底した品質管理により安全安心を追求し、競合商品との差別化を図っております。
しかし、競合他社も当社商品よりもさらに優れた骨なし魚やミート商品を開発し、あるいは当社と同様の技術で当社より安価な骨なし魚やミート商品を販売し、当社商品の競争力が低下する可能性も想定されます。これに対処するため、当社としては、海外の協力工場の拡充により仕入価格のコストダウンを図るとともに、新商品の販売強化やエンドユーザー様への直接営業の強化を図ることにより、当社商品の優位性の維持・拡充に努めてまいります。
② 単一事業に関する課題
当社は国内における業務用冷凍食品卸売事業の専業であり、将来的な国内需要の減少、景気の動向等により業務用冷凍食品事業の市場規模が縮小する可能性も想定されます。これに対処するため、エンドユーザー様の満足度をより高めることでユーザー様からの支持向上に努めることに加え、今後拡大が予想されるシルバー市場の需要取り込みや、販売チャネル・方法の多様化等を行うことで収益構造の多角化に努めてまいります。
③ 生産拠点に関する課題
当社が取り扱う商品の約60%が海外の協力工場に依存しており、そのうち約40%が中国の生産拠点に依存していることから、生産拠点の分散が不可欠であると考えております。今後は、タイ、ベトナムなどに生産拠点を新設・拡充するとともに、国内シフトも一部推し進めていくことにより生産拠点におけるリスクの分散を図り、生産管理体制の強化に取り組んでまいります。
(3) 経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等
当社は2023年度において、売上高30,300,000千円、経常利益1,600,000千円、経常利益率5.3%、ROE11.4%,ROA11.9%、配当性向32.3%を経営数値目標として掲げ、その達成に全力を注いでまいります。当該経営数値目標を採用した理由は、投資家が当社の経営方針・経営戦略等を理解する上で重要な指標であり、経営方針・経営戦略等の進捗状況や、実現可能性の評価等を行うことが可能となるためであります。なお、2022年度の経営指標計画対比は下記のとおりです。
本有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、経営者が財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に重要な影響を与える可能性があると認識している主要なリスクは、以下のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、提出日現在において当社が判断したものであります。
(1) 商品の仕入れについて
① 食品の安全性の問題
当社は、消費者に安全・安心な食品の提供を常に心がけ、仕入先である国内外の協力工場に対する衛生・品質管理を徹底しております。しかしながら、当社の管理体制でカバーしきれない不測の商品クレームなどが大量に発生した場合、商品の回収または被害者への賠償など想定外の費用の発生により当社の財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
また原材料の調達、当社商品の加工・製造を行っている国や地域において発生した食品の安全性に係わる問題の発生により、出荷制限や輸入禁止措置が発令された場合など、原材料の調達及び商品の供給に支障をきたし当社の財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
② 原材料の市況変動について
当社の協力工場では国内外から水産物・畜肉をはじめとする原材料を買付しており、分散調達や協力工場に対し計画的に発注することにより特定の仕入先への集中の回避と安定した数量の確保を図っております。しかし、漁獲規制の強化、水揚げ数量や相場の変動、感染性疾病等による生産量の低下などによって予想以上に原料市況に影響を与える事象が生じた場合には、当社の商品に欠品が発生するなどにより当社の経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
③ 為替レートの変動について
当社は、骨なし魚など海外からの仕入の比率が約60%あるため、為替変動の影響を受ける事業を行っております。急激な為替レートの変動により仕入価格が高騰した場合に販売価格への転嫁が遅れる可能性があり、当社の財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
④ 一括物流センターについて
当社は大半の仕入商品を株式会社ヒューテックノオリンの冷凍食品物流機能を利用して一括納品しております。物流コスト等の条件面については都度他社とも比較検討しております。一方、天災等の大規模な災害や何らかの事由により、同社の物流システムが影響を受けた場合、また商品の保管や配送において正常な事業活動を行うことができなくなった場合、当社の経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
⑤ 特定の仕入先への依存について
重要な仕入先である株式会社三翔とセイショウフーズ株式会社からの仕入高が当社仕入高に占める割合は、それぞれ前者が14.0%(2022年3月期)、13.3%(2023年3月期)、後者が12.7%(2022年3月期)、12.8%(2023年3月期)となっております。当社は、協力工場に対して分散調達することにより特定の仕入先からの依存度の低下を図っておりますが、当該企業との契約期間の満了、解除等による取引の終了や、天災等により当該企業の生産体制に重大な支障が発生した場合、当社の経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
(2) 商品の販売について
① 得意先の経営破綻について
当社は、得意先に対する債権の回収不能という事態を未然に防ぐべく、情報収集・与信管理等、債権保全に注力していますが、今後予期せぬ得意先の経営破綻が発生した場合には、当社の財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
② 食の安全性に関する風評被害について
過去における食品偽装問題等、食の安全性をおびやかす事態が発生し、当社が取扱う商品に問題がない場合でも、報道等により消費者の不安心理が高まり、受注が減少する等により当社の経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
③ 新型コロナウイルス感染症の影響について
業務用冷凍食品のみを取り扱う当社としましては、新型コロナウイルス感染症対策の外出自粛による外食産業の落ち込みが継続した場合には、当社の経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
(3) 知的財産権について
① 当社保有の知的財産権について
当社では「加熱処理した魚の製造方法」「凍ったまま調理できる冷凍魚の製造方法および冷凍魚」「湯せん・蒸し調理用魚介類包装冷凍食品及びその製造方法」「施設調理用冷凍揚物の製造方法及び施設調理用冷凍揚物」の4つの製造特許を取得しております。今後も知的財産権の保全に積極的に取り組む予定ですが、当社の知的財産権が第三者に侵害された場合には、解決までに多くの時間及び費用がかかるなど、当社の財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
② 当社による第三者の知的財産権侵害について
当社による第三者の知的財産権の侵害については、可能な範囲で調査を行い対応しております。しかしながら、当社の事業領域における第三者の知的財産権を完全に把握することは困難であり、当社が認識せずに他社の特許を侵害してしまう可能性は否定できません。この場合には当社に対する損害賠償請求や、ロイヤリティの支払要求等が行われることにより、当社の財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
(4) 情報システムの運用について
当社は、販売、購買、管理等の情報をコンピュータにより管理しています。これらの情報システムの運用については、コンピュータウイルス感染によるシステム障害やハッキングによる被害及び外部への社内情報の漏洩が生じないよう万全の対策を講じています。しかしながら、当社の想定を超えた技術による情報システムへの不正アクセスやコンピュータウイルスの感染などにより、当社の情報システムに障害が発生したり、外部へ社内情報が流出する事態が発生した場合、当社の財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
(5) 人材の確保・育成について
当社が今後の成長を実現していくためには、営業、開発、経営管理等の各方面において優秀な人材を確保・育成していくことが重要な課題と認識しており、必要な施策を実施しています。しかしながら人材の確保・育成ができなかった場合には、当社の事業目的の達成が困難となる可能性があります。
(6) 繰延税金資産等について
当社では、将来の課税所得等に関する予測に基づき回収可能性を慎重に検討した上で繰延税金資産等を計上しています。しかし、今後の業績動向により、一部ないし全部について回収可能性が低いと判断された場合、繰延税金資産等の計上額が修正され、当社の財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
(7) 法的規制等について
当社の事業を展開するうえで様々な法的規制を受けており、食品関係では食品衛生法・製造物責任法・食品リサイクル法・JAS法等の各種法規制に服しております。本書提出日現在これら法的規制の違反はなく、法的規制の順守に努めておりますが、将来、当社の事業に関連する新たな法的規制の成立、または既存の法的規制の改正・強化等が行われた場合には、当社の財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
(8) 自然災害への対応について
当社は、大規模な地震をはじめとする自然災害が発生した場合に備え、危機管理総括マニュアルを整備し、定期的な訓練により社内への浸透を図っておりますが、被害が発生した場合には、当社の財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
(9) 関連当事者取引について
当社の筆頭株主は株式会社フルタであり、本書提出日現在で当社発行済株式総数の45.82%を所有しております。同社は古田耕司氏及びその近親者が全株式を所有する資産管理会社であります。一方、古田耕司氏及びその近親者が議決権の過半数を所有する株式会社昔亭・フルタフーズ株式会社は、当社商品の製造委託会社の一部であります。
① 株式会社昔亭について
株式会社昔亭とは商品の仕入取引を行なっており、当社の主力商品である「楽らく匠味シリーズ」等の製造を委託しております。取引価格につきましては、第三者間取引と同様、市場での販売価格を勘案して決定しております。なお、同社との取引は今後も継続する方針であります。
② フルタフーズ株式会社について
フルタフーズ株式会社とは商品の仕入取引を行なっており、主に「アメリカンドック」等の製造を委託しております。取引価格につきましては、株式会社昔亭同様、市場での販売価格を勘案して決定しております。なお、「アメリカンドック」につきましては同社の市場占有率が高く、他社からの入手が困難な商品のため、今後も同社との取引は継続する方針であります。
当社と関連当事者との2023年3月期における取引金額は以下のとおりであります。
(単位:千円)
経営成績等の状況の概要及び経営者の視点による分析・検討内容
当事業年度における当社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」といいます。)の状況の概要及び経営者の視点による分析・検討内容は次のとおりであります。なお、文中の将来に関する事項は、提出日現在において当社が判断したものであります。
(1) 経営成績
(事業別売上)
(単位:千円)
(経営成績)
(単位:千円)
当事業年度における我が国経済は、新型コロナウイルス感染症に伴う行動制限や入国制限の緩和により持ち直しの動きがみられるものの、ロシア・ウクライナ情勢の長期化による原料・エネルギー価格の高騰を背景に、世界的金融引き締め下における為替市場の急激な円安進行など、インフレ拡大や景気後退に対する懸念が広がっており、先行き不透明な状況が続いております。
国内食品業界におきましては、資源価格高騰に端を発した、原料価格やエネルギー価格が異次元の上昇をしたことにより、価格改定が繰り返し実施される状況で、物価上昇による消費マインドの冷え込みが懸念されるなど、依然として先行き不透明な状況が続いております。
このような状況のもと当社は、度重なる原料価格値上げに対応するため販売価格改定を推進し、仕入コスト削減のための直接貿易で調達したえび商品を販売するなど、積極的に営業活動を進めてまいりました。以上の結果、骨なし魚事業におきましては、「ダイスカットシリーズ」など当社独自商品の販売強化により売上高10,234,634千円(前年同期比7.7%増)、ミート事業におきましては、「楽らく匠味シリーズ」の販売強化により売上高2,414,650千円(前年同期比12.4%増)、その他事業におきましては、直接貿易により調達したえび商品の拡販などにより売上高14,590,377千円(前年同期比29.0%増)となりました。これにより当期の売上高は27,239,662千円(前年同期比18.6%増)となりました。
損益面につきましては、商品量増加により保管料が増加しましたが、売上の増収と直接貿易など仕入コスト削減により粗利金額が増加したことにより、営業利益は1,525,232千円(前年同期比45.9%増)、経常利益は1,537,291千円(前年同期比44.0%増)、当期純利益は1,023,938千円(前年同期比40.4%増)となりました。
販売実績
当事業年度における販売実績は、次のとおりであります。
仕入実績
当事業年度における仕入実績は、次のとおりであります。
(注) 1.金額は、仕入価格によっております。
(2) 経営指標
(単位:%)
当社は、1経営方針、経営環境及び対処すべき課題等に記載のとおり、「売上高」「経常利益」「経常利益率」「ROE」「ROA」「配当性向」でそれぞれの経営数値目標を掲げ、収益の安定と財務体質の強化、資本効率の向上を目指してまいります。当事業年度は、前期より取り組んでまいりました直接貿易による安価なえび商品の拡販に本格的に取り組んだことなどにより、前年同期比で経常利益率+0.9%、ROE+2.8%,ROA+3.1%、配当性向△18.1%となりました。2023年度は、コロナ禍での社会経済活動の更なる回復と度重なる原料価格値上げに対応するための販売価格改定が順調に推移すると見込んで増収増益の目標を掲げておりますが、利益確保を最大の課題とし、大手ユーザーとの取り組み拡大と新たな取引先の獲得などにより、目標達成に向けて取り組んでまいります。
(3) 財政状態
(単位:千円)
総資産は12,826,813千円となり、1,303,571千円増加となりました。これは主に現金及び預金が86,137千円減少した一方で、売掛金が796,363千円、商品が307,726千円増加したことによるものです。
負債合計は3,516,569千円となり、663,515千円増加となりました。これは主に短期借入金が300,000千円、未払法人税等が194,922千円増加したことによるものです。
純資産合計は9,310,244千円となり、640,055千円増加となりました。これは主に配当金の支払を384,128千円、当期純利益を1,023,938千円計上したことにより利益剰余金が639,809千円増加したことによるものです。これにより自己資本比率は72.6%となりました。
(4) キャッシュ・フロー
(単位:千円)
当事業年度における現金及び現金同等物は2,657,108千円と前事業年度末と比べ86,137千円の減少となりました。当事業年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりとなります。
営業活動によるキャッシュ・フローは、322,668千円の収入(前期は1,235,674千円の支出)となりました。売上債権の増加が801,421千円、棚卸資産の増加が305,568千円あった一方で、税引前当期純利益が1,537,291千円ありました。
投資活動によるキャッシュ・フローは、316,749千円の支出(前期は6,349千円の支出)となりました。貸付金の支出が270,938千円、有形固定資産の取得による支出が44,759千円ありました。
財務活動によるキャッシュ・フローは、93,058千円の支出(前期は332,883千円の支出)となりました。短期借入金の純増額300,000千円あった一方で、配当金の支払が384,128千円ありました。
当社の資本の財源及び資金の流動性についてですが、事業活動にかかる運転資金は営業キャッシュ・フローで獲得した資金を主な財源としております。なお、当面の予定はありませんが、多額の設備資金については、第三者割当増資、社債の発行、長期借入金等の検討を行うこととしております。
また、当社は取引銀行5銀行で短期借入金枠41億円を設定しており、資金の流動性は十分に確保されております。
(5) 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
当社の財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成しております。この財務諸表を作成するにあたって、資産、負債、収益及び費用の報告額に影響を及ぼす見積り及び仮定を用いておりますが、これらの見積り及び仮定に基づく数値は実際の結果と異なる可能性があります。
財務諸表の作成にあたって用いた会計上の見積り及び仮定のうち、重要なものは「第5 経理の状況 1 財務諸表等 (1)財務諸表 注記事項 (重要な会計上の見積り)」に記載しております。
当社の経営上の重要な契約は、次のとおりであります。
2023年3月31日現在
(注) 1.現在休止中の主要な設備はありません。
2.帳簿価額のうち「その他」はソフトウェア及び無形リース資産等であります。
3.貸与中の土地107,574千円(112㎡)、建物13,044千円を含んでおり、株式会社昔亭に貸与しております。
4.セグメント情報について、当社は業務用冷凍食品卸売を主な事業とする単一セグメントであるため、セグメント別の記載を省略しております。
該当事項はありません。
該当事項はありません。
(注) 1.有償一般募集(ブックビルディング方式)
発行価格 1,800円
引受価額 1,665円
資本組入額 832.5円
2023年3月31日現在
(注)自己株式98,627株は「個人その他」に986単元、「単元未満株式の状況」に27株含まれております。
2023年3月31日現在
(注)上記信託銀行の所有株式数は、信託業務に係るものであります。
① 【貸借対照表】
② 【損益計算書】