マークラインズ株式会社
(注)1.「収益認識に関する会計基準」(企業会計基準第29号 2020年3月31日)等を第22期の期首から適用しており、第22期に係る主要な経営指標等については、当該会計基準等を適用した後の指標等となっております。
(注) 1.「収益認識に関する会計基準」(企業会計基準第29号 2020年3月31日)等を第22期の期首から適用しており、第22期に係る主要な経営指標等については、当該会計基準等を適用した後の指標等となっております。
2.最高・最低株価は2022年4月4日より東京証券取引所プライム市場におけるものであり、2018年6月8日より2022年4月3日までは東京証券取引所市場第一部、2018年3月12日より2018年6月7日までは東京証券取引所市場第二部、それ以前は東京証券取引所JASDAQ(スタンダード)におけるものであります。なお、第18期の最高・最低株価のうち、※1は、東京証券取引所JASDAQ(スタンダード)におけるものであり、※2は、東京証券取引所市場第二部におけるものであります。
当社グループは、当社、子会社7社(MarkLines North America, Inc.、麦柯莱依斯信息咨詢(上海)有限公司、MarkLines (Thailand) Co., Ltd. 、MarkLines Europe GmbH、MarkLines Mexicana S.A. de C.V.、MarkLines India Pvt. Ltd.及び株式会社自動車ファンド)及び関連会社1社(自動車産業支援ファンド2021投資事業有限責任組合)で構成されており、自動車産業に特化したトータルソリューションを「情報プラットフォーム」事業を中心に、コンサルティング、人材紹介、LMC Automotive Ltd.製品(市場予測情報)販売、プロモーション広告、ベンチマーキング関連及び自動車ファンドの7つの事業を通じて提供する「自動車産業ポータル」を運営しております。
一台の自動車を開発、生産、販売するには、完成車メーカーのほか、それを支える部品メーカー、材料メーカー、設備・機械メーカー、ソフトウェアベンダー、商社・運輸など多くの関連企業が製品やサービスを提供して自動車産業のサプライチェインを形成しています。
当社のサービスは、これらのサプライチェインを形成する国内外の完成車メーカーから中小の部品メーカーなど、当連結会計年度末現在、4,600社以上の企業に利用されています。

以下に示す区分は、セグメントと同一の区分であります。
(1) 「情報プラットフォーム」事業
「自動車産業ポータル」の中核を成すのが、「情報プラットフォーム」です。自動車において、プラットフォームとは車台を意味します。この車台=プラットフォームを、複数の車種で共有し、車両開発の短縮化や製造コストの低減を図ることは、価格競争の厳しい昨今の自動車業界において主流の開発概念となりつつあります。
当社は、このコンセプトに着眼し、多くの自動車産業関連企業が当社のデータベースへアクセスすることで、上記と同様の効果を生み出し、情報戦略の効率化が図れるツールとして、「情報プラットフォーム」を構築いたしました。この「情報プラットフォーム」は、自動車関連企業が共通に必要としながら、入手するには手間やコストがかかる世界各国の自動車産業の情報を、手軽に入手できるインターネットを通じた情報提供サービスであり、利用者に対して、企業の調達活動とマーケティング活動をサポートするものです。

契約企業の登録会員(ユーザー)は、「情報プラットフォーム」にアクセスし、「情報データベース」を利用することで、新規部品メーカーの開拓、市場分析、顧客動向調査、技術戦略立案、販売促進など、多方面に活用できます。一方、1週間以内であれば無料で全てのコンテンツを閲覧できる無料登録会員サービスがあります。登録後1週間経過した無料登録会員は、引き続き一部コンテンツの利用が可能です。
情報は日本語のほか、英語、中国語でも提供しておりますので、米国、欧州、中国、韓国、タイなどの外国企業も利用しており契約企業数の約54%を占めております。当連結会計年度末現在、4,600社以上の自動車関連企業が採用し、国内外の無料登録会員を含む40万人以上(2023年2月現在)のユーザーが利用することで、ページビュー数を伸ばしております。
また、日本の会社が中国、米国などの現地子会社でも採用することにより、本社や現地スタッフとの情報共有が図れます。
◎ 地域別法人契約社数の推移
(単位:社)
[法人会員の職種別構成]

一般的にネットでの情報は無料との考え方が根強くありますが、ニュースのような「フロー情報」ではなく、当社の情報部が、プレスリリース収集・取材・アンケート・外部機関からの買い入れなどの手法で一元的に収集、整理、分析し、業界の実務家向けに使い易いようデータベース化した「ストック情報」として提供することで、情報を有料化しています。
また、英国の調査・コンサルティング会社 LMC Automotive Ltd.との業務提携により、生産・販売台数の予測情報の一部を情報メニューに加えております。
主なメニューを以下に記載いたします。
① 部品別シェア・供給情報
・部品別マーケットシェア情報
約300品目にわたる部品のサプライチェイン情報(部品別・車種別納入情報)を提供しております。
・分析レポート(リチウムイオン電池、駆動モーター、排気システム、CVT等)
リチウムイオン電池、駆動モーター等の部品分類ごとにおける主要サプライヤーの事業動向をレポートに取りまとめて提供しております。
② 部品メーカー情報
・60,000社部品メーカー検索
新興国を含めた世界の自動車部品メーカーの所在情報を60,000社以上の規模でカバーするデータベースです。また、部品名や部品分類(約1,000種類)から世界の部品メーカーを検索し、拠点位置を地図上にプロットすることができ、加工法検索では、加工法を検索キーとして、当該工法で製造する部品の逆引きが可能です。
・主要400社レポート
世界の主要自動車生産国における部品メーカー約400社の動向を詳細かつタイムリーにレポートします。事業動向や、ニュースだけでなく、展示会出展の写真やパネル情報もカバーしております。
・世界の展示会取材
主要400社レポートに関連して、世界各地で開催される展示会の取材情報や取材動画を掲載しております。
③ 自動車販売台数/生産台数
販売台数は62カ国、生産台数は43カ国の年次・月次データを提供しており、国別・メーカー別・モデル別にデータベース検索を行うことができます。また、グラフ・エクセルによる出力ができます。
また、世界31カ国の国別・メーカー別・機種別エンジン基数データ(年次)も提供しております。
④ 完成車メーカーの拠点
世界各国にある完成車メーカーの工場別生産モデル、生産能力、生産実績、等を収載。メーカー、国で絞り込み、地図上にプロットができます。
⑤ モデルチェンジ予測
主要自動車メーカーの販売モデルについて、モデルチェンジの変遷と2027年頃までの予測情報を提供しており、そのカバー率は、世界自動車生産台数の85%(商用車除く)に相当します。
⑥ EV・自動運転
EV (電気自動車)、PHV (プラグインハイブリッド車)、FHV (フルハイブリッド車)、MHV (マイルドハイブリッド車)、FCV (燃料電池車)の主要モデルを掲載対象としており、フルモデルチェンジ・マイナーチェンジ毎にデータを更新しています。
⑦ 外注先・調達先情報
自動車部品、加工、金型、材料、CAD、CAMなどのシステムソリューション、その他サービスなど外注・調達先選定のためのデータベースを提供しております。
(2) ベンチマーキング関連事業
EV, PHVなど電動車両の本格的普及、電子制御やCFRP(炭素繊維強化プラスチック)の採用拡大など技術変化とともに、分解調査への需要は益々高まっております。この需要に応えるため、さまざまな分野で分解調査事業を行っている国内外の企業との提携により開始した事業です。
① 分解調査レポート/データ販売
注目車種の車両分解調査レポート、関心の高い車載製品の解析データやレポートを取り扱っております。
② 車両・部品調達代行サービス
ベンチマーキング活動に必要な部品調達や車両の調達を代行するサービスです。
(3) LMC Automotive Ltd. 製品(市場予測情報)販売事業
英国の調査会社LMC Auto motive社による自動車市場予測情報を提供する事業です。将来7~12年間に及ぶ全世界のパワートレイン別(EV/FCV/PHEV/HV)・モデル別の販売予測など多彩なメニューを提供するサービスです。
(4) コンサルティング事業
コンサルティング事業は、注目度の高いEV関連のコンサルティングや市場調査、販路開拓支援、また、コスト比較分析、実験評価等を、顧客の依頼に個別対応して行う事業です。当社の蓄積情報や独自の知見、社内外専門家のネットワーク等を駆使して提供する付加価値の高いサービスです。
(5) プロモーション広告事業
情報プラットフォームの会員に対し、自社の製品・サービスを販促することができる下記サービスを提供する事業です。
① PRメール
潜在顧客(購買・設計担当者等)に向けて、契約企業が新製品・新技術や企業ニュースなどをE-mailで配信することができるサービスです。配信先は、会員登録時にエンジンやHV/EVなど興味のある分野を任意に選択し、情報を必要としている会員のみですので、効率的な販促活動が可能になるサービスです。
② 製品情報
加工機械、装置・測定機器などの生産システムやプラスチック成形などの部品加工技術、自動車の設計、製造に関する製品・技術情報が「情報プラットフォーム」の「外注先・調達先情報」や各情報コンテンツに画像とともに掲載されることにより、会員に向け視覚的に、かつ効果的なPRが出来るサービスです。
③ バナー広告
不特定多数ではなく、自動車関連産業に従事する会員が有料で閲覧するサイトであるため、効率的なPRが可能となります。製品・サービスの販売促進・企業の知名度向上のほか、展示会・イベント等の告知等にも効果的なPRが可能となるサービスです。
(6) 人材紹介事業
自動車業界に特化した人材紹介事業です。自動車関連企業からの求人要望に対し、求職者を求人企業に紹介し、マッチングに成功した場合、当該求人企業から紹介手数料を得る仕組みです。
(7) 自動車ファンド事業
カーボンニュートラルに向けた動きが世界規模で広がる中、自動車産業では電動化、自動運転などの研究開発活動が加速し事業再編やベンチャー企業の誕生など新たな資金需要が生まれています。この流れを受け立ち上げた自動車産業に特化したベンチャーキャピタル事業です。新たな技術を生み出し将来の産業界に大きく貢献する可能性のあるベンチャー企業及び社歴のある中堅企業でも、自らがイノベーションを起こして再成長を期す企業を投資対象とし、産業界を資金面から支援するサービスです。
[事業系統図]
上述の事項を事業系統図によって示すと下記の通りとなります。

(注) 1.「主要な事業の内容欄」には、セグメント情報に記載された名称を記載しております。
2.有価証券届出書又は有価証券報告書を提出している会社はありません。
3.特定子会社に該当しております。
2022年12月31日現在
(注) 1.従業員数は就業人員であり、臨時雇用者数(パートタイマー、人材会社からの派遣社員等)は、最近1年間の平均人員を( )外数で記載しております。
2.全社(共通)として、記載されている従業員数は、特定のセグメントに区分できない管理及びDX部門に所属しているものであります。
2022年12月31日現在
(注) 1.従業員数は就業人員であり、臨時雇用者数(パートタイマー、人材会社からの派遣社員等)は、最近1年間の平均人員を( )外数で記載しております。
2.従業員数は、当社から他社への出向者を除いております。
3.平均年間給与は、賞与及び基準外賃金を含んでおります。
4.全社(共通)として、記載されている従業員数は、特定のセグメントに区分できない管理及びDX部門に所属しているものであります。
当社グループでは労働組合は結成されておりませんが、労使関係は良好であります。
文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において、当社グループが判断したものであります。
(1) 会社の経営の基本方針
当社グループの基本方針は次のとおりです。
① 使命
○ 情報・サービスを通じて自動車産業の発展と豊かな社会づくりに貢献する。
快適、安全で環境性能の高いクルマがより低コストで消費者に供給できれば、世界でより多くの人がクルマの楽しさや便利さを感じてもらえます。マークラインズは『自動車産業ポータル』の運営を通じて自動車産業に関わる企業のお客様に、情報や各種サービスをグローバルに提供していくことにより、その実現に貢献します。
② 共有する価値観
○ オープン
当社の出発点はグローバル化の進展とともに自動車業界の系列構造が、よりオープンな関係に変化していくなかで、地域・グループを超えて情報サービスを提供することでした。マークラインズは開かれたB2B取引支援の運営体として数多くの多彩なお客様が集まっていただける場を提供します。社内においても、年令、性別、学歴、国籍を問わず人材を登用するオープンポリシーを貫いています。
○ 相互繁栄
当社はお客様、株主、従業員、パートナーなど多くのステークホルダーとの関係があります。当社が将来に亘って質の高いサービスを生み出し成長するには、それぞれとのバランスの取れた関係が大切と考えます。長期的な視点からWin Winの関係を構築して参ります。
○ 諸行無常(=すべて変化する)
この世のすべての行いは常無きもの、自動車業界を取り巻く環境も刻々と変化し、事業機会を生み出します。当社が存在するのも世界が変化するからに他なりません。私たちは世界の動きを、分かり易く迅速にお伝えするとともに、お客様のご要望に沿った個別のプロジェクト調査も行い、変化を綿密に調べます。また、今日できなかったことも明日できる、との信念のもと、わたしたち自身も変化し続けます。当社グループが、持続的かつ収益力のある成長企業であり続けるために、世界で存在感のある企業を目指し、ビジネスモデルの変革を実行して参ります。
(2) 目標とする経営指標
当社グループが重視している経営指標は、次のとおりです。
① 利益成長率
連結営業利益及び連結経常利益の利益成長率を重視する理由は、真に強い企業となるためには、継続して安定した利益成長を遂げていくことが重要と考えているためであり、前期比20%以上の利益成長率の達成を目標としております。2022年12月期の連結営業利益及び連結経常利益の利益成長率は、それぞれ26.7%、27.7%となりました。
② 株主資本利益率(ROE)
株主資本利益率(ROE)を重視する理由は、株主資本を使用してどのくらい利益を上げたのか、株主・投資家へのリターンの尺度とされているためであります。
2022年12月期連結会計年度の株主資本利益率(ROE)は28.4%となりました。当社は、収益力の向上と業績に応じた株主還元策等を踏まえて、中期的にROE30%の維持と資本効率の向上に努めてまいります。
③ 配当性向
株主の利益配分を重要な経営方針と位置付け、中長期に株式を保有していただくため、安定的な配当を実施することを目標としております。経営基盤の強化と今後の事業領域の充実のための内部留保を確保しつつ、業績に応じた配当を実施することが重要と考え、配当性向は個別業績をベースに35%を目安と考えております。
第22期事業年度の配当性向は、34.4%となります。
(3) 中長期的な会社の経営戦略と対処すべき課題
当社グループが、持続的に収益力のある成長企業であり続けるために、世界で存在感のある企業を目指し、ビジネスモデルの変革を実行して参ります。
① 顧客基盤の拡大 (情報プラットフォーム事業)
各事業が展開しているサービスの買い手となる「情報プラットフォーム」事業の顧客層の拡大を図ってまいります。営業面では、新規の無制限契約企業や登録会員者数を増やすための営業一貫フォロー体制を進めて安定顧客の拡大を目指します。コンテンツ面では、EV化や自動運転の流れを受けて、ソフトウェア関連情報の充実を図り、またカーボンニュートラルを背景に原材料の調達から製造、リサイクルまでを考慮したLCA(ライフサイクルアセスメント)情報の強化を図ってまいります。
② 顧客別(ヨコ)売上管理の導入
セグメント別(タテ)の売上管理に加えて、顧客別(ヨコ)の視点で売上管理を進めてまいります。当社の情報プラットフォーム以外のサービスを通して、顧客のニーズに応じ7つのセグメントで総合的な顧客対応を行い、1社当たりの売上の拡大を図ってまいります。
③ ベンチマーク関連事業の推進
ベンチマークセンターを新しく建設し、車両実験、車両・部品の計測、CADデータの収集、サプライヤー情報の収集、コスト分析、レポート作成、部品販売等の一貫サービス体制を構築してまいります。分解調査データ販売については、アウディ e-Tronやフォード F150 Lightning、リビアン R1T等のEV関連データの売上拡大や新規提携先の発掘を進めてまいります。また自社の内製レポート販売をさらに進め、レポートラインアップを拡充してまいります。
④ コンサルティング事業の成長拡大
EV化や自動運転技術の革新が進む中、OEMからの実験受託や技術動向調査、及び電子回路分析へのニーズが高まっておりますので、それらに関連するコンサルティングの受注増を目指してまいります。また、コスト比較分析サービスは、カーボンニュートラルに向けた取り組みが加速する中で、製造工程におけるCO2排出量分析を開始し、より付加価値の高いサービス提供を図ってまいります。
⑤ LINESサービスの利用拡大
大手部品メーカーやソリューションベンダーを顧客としている代理店からの受注の拡大を図ってまいります。サイトのリニューアル等を通して、海外への拡販(中国)に注力し、利用拡大に努めてまいります。
⑥ LMC Automotive Ltd.製品(市場予測情報)販売事業の新規顧客層開拓
2022年の受注の約8割はEV関連予測サービスでした。今後も、EV化に関するニーズをとらえ、自動車市場の将来シナリオを予見するためのツールとして競合他社からの乗換顧客の拡大を図ってまいります。また予測情報を通して、世界のEV化の趨勢をいち早く日系企業に認知してもらい、日本の自動車業界を啓蒙してまいります。
⑦ 独自の人材登録システムの構築
大手企業の経験豊富で優秀なシニアエンジニア層の人材を中堅企業・海外企業に紹介することで、セカンドキャリアを目指すシニア層、そのシニア層を多く抱える大手企業、及び紹介を受ける中堅企業・海外企業の3者がWIN-WIN-WINの関係となるように独自の人材登録システムを立ち上げます。
⑧ 自動車ファンド事業
2022年2月に第一号投資案件(2億円)を実行しました。自動車産業に関わる成長企業に対し、継続的にその後の投資案件を発掘してまいります。日本を含む世界のベンチャー・スタートアップの情報収集活動を実行し、ファンド出資者と共有することでオープンイノベーションを支援します。また、投資先との連携・協業サポート活動も推進してまいります。
当社グループの業績は、今後起こりうる様々な要因により大きな影響を受ける可能性があります。以下において、当社グループの事業展開上のリスク要因となる可能性があると考えられる主な事項を記載しています。また、必ずしも事業等のリスクに該当しない事項についても、投資判断上、重要と考えられる事項については、投資家に対する情報開示の観点から積極的に開示しています。当社グループはこれらのリスク発生の可能性を認識した上で、発生の防止及び発生した場合の対応に努める方針であります。
なお、以下の記載のうち将来に関する事項は、別段の記載のない限り、当連結会計年度末現在における当社の判断に基づいています。
当社株式に関する投資判断は、以下の事業等のリスク及び本項以外の記載事項を慎重に検討した上で行なわれる必要があると考えています。また、以下の記載は当社株式への投資に関連するリスクをすべて網羅するものではありませんので、この点にご留意ください。
(1) 事業内容について
① 特定事業への依存について
当社グループの売上高のうち、「情報プラットフォーム」事業売上高が占める割合は2021年12月期連結会計年度で63.6%、2022年12月期連結会計年度で63.5%となっております。現在、コンサルティング事業、人材紹介事業、LMC Automotive Ltd.製品(市場予測情報)販売事業、プロモーション広告事業、ベンチマーキング事業及び自動車ファンド事業を展開する等、事業領域の拡大並びに係る各事業の売上高の増加を図りながら、収益構成を変化させてきており、「情報プラットフォーム」事業売上高への依存度は近年低下傾向にあります。ストックビジネスである「情報プラットフォーム」事業は、当社の中核事業であり、安定した収益成長を続けております。一方で連結売上高に占める割合が高い当該事業売上高が計画どおり進捗しない場合には、当初の収益計画から下方に乖離する可能性があります。その場合、当社グループの財政状態、業績及びキャッシュ・フローに影響を与える可能性があります。
② 自動車業界に特化した情報提供サービス事業について
当社グループの主要な事業である「情報プラットフォーム」事業は、自動車業界に特化した情報提供サービス事業です。自動車は、一般に2万~3万点の部品で組み立てられていると言われております。そのため、自動車業界には完成車メーカー、部品メーカー以外に原材料・素材産業から電気・電子機器産業、機械産業等の多種多様な産業が幅広く携わっており、当社の契約企業も直接的・間接的に自動車業界に携わる多様な産業・業界に及んでおります。そのため、収益自体は特定の顧客・業界に依存はしておりませんが、自動車需要が大幅に落ち込む等、総合産業である自動車産業の業況に著しく大きな影響を与える景気後退があった場合には、新規契約の停滞、契約企業の解約が増加する可能性があります。その場合、当社グループの財政状態、業績及びキャッシュ・フローに影響を与える可能性があります。
③ 「情報プラットフォーム」以外の事業について
・コンサルティング事業、人材紹介事業、LMC Automotive Ltd.製品(市場予測情報)販売事業、プロモーション広告事業並びにベンチマーキング関連事業
各事業ごとの成長戦略に基づき売上高増加を図っております。しかしながら、事業展開が計画どおりに進捗しない場合には、当社グループの業績及びキャッシュ・フローに影響を与える可能性があります。
・自動車ファンド事業
新たな技術を生み出し将来の自動車産業に大きく寄与する可能性のあるベンチャー企業、及び社歴のある中堅企業でも、自らが再イノベーションを起こして再成長を期す企業を対象に投資を行っております。投資にあたっては、対象企業の財務内容等の詳細な事前審査を行い、十分にリスク検討しておりますが、投資先企業の事業が計画通りに進捗せず、業績が悪化した場合には投資が回収できず、当社グループの事業及び業績に影響を及ぼす可能性があります。
④ 海外事業について
当社グループは、当連結会計年度末現在、アメリカ合衆国、中華人民共和国、タイ国、ドイツ、メキシコ合衆国及びインドに海外子会社を有し、「情報プラットフォーム」事業及びプロモーション広告事業を海外展開しております。これら子会社を通じた事業の海外展開が、計画どおりに進まず、当社グループの業容が拡大しない場合には、財政状態、業績及びキャッシュ・フローに影響を与える可能性があります。
(2) 為替の変動について
当社グループの主要事業である「情報プラットフォーム」事業は、利用するパソコンの契約台数に応じて、基本年間48万円から120万円の定額料金制を採用しております。一方、海外向け価格は、現在、円貨建て料金をベースに米ドル、ユーロ、英ポンド及び中国元の4通貨で換算した料金体系にしており、為替変動により円貨建て料金価格と外貨建て料金価格との間に大きな乖離が生じた場合に対応して適時に外貨建て料金を改定しております。
しかしながら、急激で極端な円高が料金価格改定直後に発生した場合には対応出来ない可能性がある他、料金価格改定を行った場合においても、海外企業にとっては実質利用料金の値上げとなるため、海外新規契約の停滞や海外企業の退会等につながる可能性もあります。そのため、急激で極端な円高が起こった場合、当社グループの財政状態、業績及びキャッシュ・フローに影響を与える可能性があります。なお、外貨で受領する海外契約企業からの利用料金については、為替変動が当社グループの財政状態、業績及びキャッシュ・フローに与える影響を極力回避する目的で入金都度、円に換金することで多額の外貨を長期間保有しない方針を採っております。
(3) 特定の人物への依存について
当社代表取締役酒井誠は、当社グループの経営方針、経営戦略の策定をはじめ、事業推進に重要な役割を担っております。当社グループは、同氏に依存しない体制作りに努めておりますが、グループ全体を取り纏めていくという点で、現時点ではなお同氏の影響がかなり大きい状況にあります。現在のところ、同氏が退任する予定はありませんが、何らかの理由により業務を継続することが困難になった場合、当社グループの事業及び業績に影響を与える可能性があります。
(4) 情報コンテンツについて
① 情報の入手先について
当社グループは、台数統計情報のコンテンツにおいて外部から購入もしくは提携により取得した情報を提供しております。
当社グループでは情報の入手先の開拓・多様化に努めておりますが、取得価格の上昇、提携解消等その他、自然災害等の予期せぬ理由で係る情報の継続的な取得が困難になり、かつ、当該情報の代替購入先の開拓が間に合わなかった場合には継続的な情報提供サービスが行えなくなる可能性があります。その場合、当社グループのサービスに対する評価を損なうことで、新規契約、既存契約に影響を及ぼし、財政状態、業績及びキャッシュ・フローに影響を与える可能性があります。
② 著作権権利侵害・提供情報の誤謬について
当社グループが「情報プラットフォーム」上で提供する情報コンテンツは、著作権等権利侵害が発生しないよう、チェックリストに基づく確認と査読者による確認の複数チェック体制により運用しております。また、著作権等権利侵害が発生しないよう入社時研修の実施等対策を講じております。2001年のサービス開始以来、著作権利侵害に該当する事実はないと判断しております。
一方、提供する情報については、コンテンツ作成者以外の査読・確認等による複数体制で誤謬防止に努めております。
しかしながら、コンテンツ内容の誤謬により、当社グループの評価に影響を与える可能性や、第三者の著作物を過失により無断転用する等の権利侵害などにつき、損害賠償を求められる可能性を否定できず、そのような場合、当社グループの財政状態、業績及びキャッシュ・フローに影響を与える可能性があります。
③ 他社からの知的財産侵害を防御するための社内体制について
当社グループは、特許・実用新案権・意匠権は有しておりませんが、同名の類似サービスを排除できるよう、社名について、商標権(日本・中国・アメリカ合衆国)を取得しております。当社グループのコンテンツが他社により無断転用或いは無断転載されることによる当社著作権への侵害を防止するため、情報プラットフォーム会員規約を制定し、著作権等、当社への権利が侵害された場合には、会員資格の停止などの対抗措置を取ることを可能としております。また常に利用者による異常なアクセスを監視し、万が一、会員規約に違反する行為が発覚した場合には、コンプライアンス・リスク統制委員会で措置の検討を行うか、早急な対応が要求される場合は代表取締役社長と取締役管理部長との間で対応措置を検討することとしております。
(5) システムに関するリスク
① システム障害について
当社グループが「情報プラットフォーム」にて提供する自動車情報は、インターネットのネットワークを利用して情報提供サービスを行っており、24時間365日年中無休で安定したサービスを提供する必要があります。そのため、信頼の置けるデータセンターの活用や日進月歩する情報セキュリティー関連技術の導入、サーバーの冗長化等継続的な設備投資や保守管理を行い、最適な環境下でサービス提供ができるよう努めております。
しかしながら、予期しない自然災害・停電やコンピュータ・ウイルス並びに不正アクセス等による予想しないシステム障害の発生により、サービス提供が停止する可能性があります。当社グループでは、サービスの保証については利用規約に免責条項の規定を設けておりますが、損害賠償請求が提起され、係る規定の適用が認められない場合は、当社グループの財政状態、業績及びキャッシュ・フローに影響を与える可能性があります。
② システム開発・保守の外部委託について
当社が運営する「自動車産業ポータル」に係るシステムの開発及び保守の一部を、現在、グループ外のシステム会社に委託しております。当該システム会社とは安定的に取引を行っておりますが、契約更新ができなかったり、委託条件が悪化する可能性があります。その場合、開発スケジュールに支障をきたしたり、他の外部委託先との契約がシームレスに締結できなかったことにより、当社グループの財政状態、業績及びキャッシュ・フローに影響を与える可能性があります。
(6) 技術革新について
① 技術革新に対応する投資について
当社グループが提供するサービスは、インターネット技術に密接に関連しています。インターネット関連技術は技術革新が早く、新技術、新サービスが次々と生み出されております。当社グループでは、適宜新しいシステム技術やセキュリティー関連技術等を取り入れながらシステムの構築、運営、また、適時にシステム・リノベーションを行い、サービス水準を維持、向上させております。
しかしながら、システム・リノベーションが計画どおりにシームレスで移行出来ない場合は、一時的に新規契約が停滞する可能性を否定できず、収益に影響を与える可能性があります。また、インターネット分野での技術革新のスピードは著しいものがあり、当社グループが想定しない新技術、新サービスが生み出された場合には、それらに対応するために、設備投資及び費用の支出が必要になり、当社グループの財政状態、業績及びキャッシュ・フローに影響を与える可能性があります。
② 情報検索の機能向上について
当社グループが「情報プラットフォーム」上で提供している情報コンテンツは、当社グループが調査・収集を行った独自情報や調査・編集した高付加価値の情報で構成されております。また、当社グループでは、契約企業のご要望を反映しながら、より詳細な調査情報の提供、情報のカバー範囲を新興国に広げる等、日々継続してコンテンツの強化に努めております。一方で、AI等による情報検索技術が発達してきております。今後、コンテンツの内容によっては、検索技術の向上が新規契約見込会員等の当該コンテンツに関連した情報入手を容易にさせる可能性があり、無料登録会員の登録数減少等契約数に影響を及ぼす可能性があります。
その場合、新規契約数に影響を及ぼす可能性があり、当社グループの事業及び業績に影響を与える可能性があります。
(7) 競合について
当社グループが行なう「情報プラットフォーム」(自動車業界のポータルサイト)事業と全く類似の事業は国内外を通じて存在していないものと認識していますが、当社グループの顧客層を対象とした情報サービスを部分的に提供している競合企業は存在しております。
当社グループの最大の強みは、5万人以上の完成車メーカーの社員を含む、自動車関連事業従事者40万人以上(2023年2月現在、無料登録会員含む)とインターネットを通じて双方向コミュニケーションで繋がっていることにあります。これに、日本の完成車メーカー全社、海外の有力メーカーが組織的に活用しているという自動車業界における「情報プラットフォーム」の利用実績も併せ、新規参入障壁は高いと認識しております。また、インターネットの特性を生かしたサービスを展開し、提供する情報の質、量及び領域の拡充、また、利便性の維持向上により差別化を図り、法人契約社数の増加に結び付けております。
以上のことから、現在、部分的に情報サービスを提供する他社と激しく競合する環境にはないと判断しておりますが、今後、部分的に競合する他社における事業領域の拡大や、当社グループの事業モデルを模倣したサービスを行なう同業他社が出現した場合、一時的に収益性が低下すること等により、当社グループの事業及び業績に影響を与える可能性があります。
(8) 法的規制について
① 個人情報保護について
当社グループは、個人情報を含む顧客情報を保有及び管理しています。これらの情報資産を適切に保護することは業務運営上最重要事項として認識しており、個人情報保護法に則した社内規程の整備、入社時の社員教育の他、個人情報を取扱う役職員を限定し、個人情報へのアクセスにあたってはシステムの採用やパスワードにより制限を行う等、個人情報の漏えい防止策を講じております。
しかしながら、外部からの不正な手段によるサーバー内への侵入などの犯罪や従業員の過誤等により個人情報等重要なデータが消去または不正に入手される可能性は否定できません。このような事態が発生した場合には社会的な信用を失うこととなる他、損害賠償負担等、当社グループの事業及び業績に影響を与える可能性があります。
② 有料職業紹介事業について
当社グループでは、日本国内で有料人材紹介事業を展開・運営しております。当社は当該事業を展開するにあたり、厚生労働大臣の許可を受けております。当社が有している有料職業紹介事業許可証の取消しについては、職業安定法第32条に欠格事由が定められております。現時点では、当社に許可取消しとなる事由に該当する事実はありません。
当該事業の全体売上高に占める割合は、2022年12月期連結会計年度において3.7%でありますが、当該許可の取消しにより、当社グループ全体の評価を損なう可能性があります。その場合、当社グループの事業及び業績に影響を与える可能性があります。
(9) 人材の確保及び育成について
当社グループでは、業容の拡大及びサービス内容の多様化に対応して、優秀な人材を適時に確保し、当社グループの企業ビジョンを共有化できる人材を育成していくことが重要であると考えています。しかしながら、雇用環境の変化等により当社グループの事業に必要な知識、技術、経験等を有する人材に対する需要が労働市場で高まり、必要な人員拡充が計画どおり進まない場合や、何らかの事由により人材の社外流出があった場合には、業容拡大の制約要因となり、当社グループの事業及び業績に影響を与える可能性があります。
当社グループは、当連結会計年度において加速するカーボンニュートラルの潮流をチャンスととらえ、変化する
環境に順応しながら、成長戦略に挙げたテーマに取り組んでまいりました。
「情報プラットフォーム」事業については、2月のロシアのウクライナ侵攻、4月の上海ロックダウンによるサ
プライチェーンの混乱や、半導体不足による生産台数の減少などを背景とする自動車産業の停滞が上期の営業活動
に影響を及ぼしました(上期契約純増社数216社、前年同期337社)。下期に入り、半導体不足の解消に向けた機運
も高まりつつある中で、営業組織を変更して一貫フォロー体制による安定顧客拡大への対応や、海外の展示会に出
展したこと等から顧客増加数も前年並みに回復してきました(下期契約純増社数236社、前年同期234社)。コンテ
ンツ面においては、AIを活用したOEMおよび部品メーカーの決算データ即時更新配信、ユーザーごとに関心の高いコ
ンテンツを紹介するレコメンド機能の追加、EV・自動運転データベースや部品供給情報の絞り込み検索機能追加な
ど、DX部門と連携してシナジー効果を上げてまいりました。これらの結果、契約純増社数は前期を下回ったものの、前連結会計年度末から452社(前期571社増加、前々期371社増加)増加し、4,660社となりました。
ベンチマーキング関連事業については、車両・部品調達代行サービスにおいて、昨年と比べて高額案件が少なか
ったものの、EV車両本体や電動車関連部品の売上が伸長し、売上、営業利益ともに前期を上回る結果となりまし
た。データ販売においては、商品ラインアップの充実や、当社内製レポート販売等が売上に寄与し、前期の業績を
大きく上回る結果となりました。プロモーション広告事業(LINES)については、サービスの紹介サイトをリニュー
アルして集客アップを図り、リピーターも安定的に増加した結果、売上、営業利益ともに前期を大きく上回りまし
た。コンサルティング事業については、EV関連の技術動向調査やコスト分析調査が売上増加に貢献しましたが、人
員の増加に伴い営業利益は前期を若干下回る結果となりました。LMC Automotive Ltd. 製品(市場予測情報)販売
事業については、電動化の流れからパワートレイン関連の予測情報が受注の多くを占め、売上、営業利益ともに伸
長しました。人材紹介事業についてはOEMの採用が活発化し、管理職クラスの案件も増え、前期を上回る結果となり
ました。自動車ファンド事業においては、第1号の投資案件として2月にブルースカイテクノロジーへ2億円の出資
を行いました。
この結果、当社グループの当連結会計年度における業績は売上高4,125百万円(前期比17.9%増加)、営業利益は1,623百万円(前期比26.7%増加)、経常利益は1,622百万円(前期比27.7%増加)、親会社株主に帰属する当期純利益は、法人税等を482百万円計上したこと等から、1,139百万円(前期比28.7%増加)となりました。
各セグメントの経営成績は以下の通りであります。
〇 事業セグメント別損益(連結ベース)
〇 「情報プラットフォーム」事業:売上高2,619百万円(前期比17.7%増加)、セグメント利益(営業利益)1,595百万円(前期比23.9%増加)
当連結会計年度における「情報プラットフォーム」契約純増社数は、前期連結会計年度末から452社増加の4,660社となりました。為替の円安傾向が継続したことから、外貨建て契約の売上高が増加しました。アカウント無制限
企業へのユーザー拡大も進め、有料会員登録者数は2022年12月末時点で157,580名、(前期末138,803名)となり
ました。売上高を地域別に見ると、日本以外の地域が前期比20%以上の増加となりました。
○ 「情報プラットフォーム」事業地域別売上高
〇 ベンチマーキング関連事業:売上高616百万円(前期比23.7%増加)、セグメント利益(営業利益)158百万円(前期比38.3%増加)
当連結会計年度のベンチマーキング関連事業は、車両・部品調達代行サービスにおいて、EV車両用のe-Axleへ
の関心が強く、車両本体の受注も10数台あり、売上高、営業利益ともに前期を上回る結果となりました(部品調
達代行売上高406百万円、前期354百万円)。分解調査データ販売においては、宏光MINI EVやAudi e-Tron等の
データ販売に加え、自社の内製レポート(HMI技術、Aion S用e-Axle)の販売比率が3割を超え、売上高が大きく
伸長しました(分解調査データ販売売上高210百万円、前期144百万円)。
〇 プロモーション広告事業:売上高87百万円(前期比27.8%増加)、セグメント利益(営業利益)77百万円(前期比42.8%増加)
当連結会計年度のプロモーション広告事業は、リピーターとして利用されるお客様が売上全体の9割近くとなり、オンライン展示会やセミナー集客のための自動車業界特化型のPR媒体として定着してきました。LINESサービス紹介ページのリニューアルやダウンロード資料の刷新等により、顧客満足度を向上させました。
〇 コンサルティング事業:売上高383百万円(前期比10.4%増加)、セグメント利益(営業利益)74百万円(前期比1.4%減少)
当連結会計年度のコンサルティング事業は、EV化や電動化の流れを受けて、コスト分析や技術動向調査等が売
上の過半を占めました。中国やドイツなど海外でのコンサルティング業務を始めました。売上高は前期を上回り
ましたが、人件費や外注費の増加により、営業利益は前期比微減となりました。
〇 LMC Automotive Ltd.製品(市場予測情報)販売事業:売上高225百万円(前期比21.9%増加)、セグメント利益(営業利益)69百万円(前期比37.3%増加)
当連結会計年度のLMC Automotive Ltd. 製品(市場予測情報)販売事業は、電動化を背景にパワートレイン関
連予測情報の受注が全体の8割近くを占め、また契約の更新率も前期を上回る高水準であったことから、大幅な
増収増益となりました。
〇 人材紹介事業:売上高153百万円(前期比14.4%増加)、セグメント利益(営業利益)57百万円(前期比19.4%増加)
当連結会計年度の人材紹介事業は、自動車メーカーの採用が活発化する中で、管理職クラスの案件が増加し、
成約件数が74件と前期65件を上回りました。10月に人材派遣業の免許を取得しました。
〇 自動車ファンド事業:売上高39百万円、(前期比1.0%減少)、セグメント利益(営業利益)3百万円
2月に第1号投資案件(投資額2億円)を実行し、その後の第2号投資案件の発掘に100社以上の新興企業にコン
タクトしました。
(2) 財政状態
(資 産)
当連結会計年度における資産合計は、前連結会計年度末と比較し、1,104百万円増加の6,096百万円となりました。この増加の主な内訳は、現金及び預金の801百万円増加、売掛金の85百万円増加、繰延税金資産の12百万円増加及び2022年12月にベンチマークセンターを建設する目的で取得した土地の348百万円増加であり、一方、減少の内訳は、長期預金の54百万円減少、投資有価証券の50百万円減少及び前渡金の31百万円減少等であります。
(負 債)
当連結会計年度における負債合計は、前連結会計年度末と比較し、261百万円増加の1,659百万円となりました。
この増加の主な内訳は、買掛金の22百万円増加、未払法人税等の38百万円増加及び前受金の205百万円増加等であり、一方、減少の内訳は、主に未払消費税等の17百万円減少であります。
(純資産)
当連結会計年度における純資産合計は、前連結会計年度末と比較し、843百万円増加の4,437百万円となりました。この増加の主な内訳は、親会社株主に帰属する当期純利益1,139百万円の計上及び配当金303百万円の支払いによる利益剰余金の835百万円増加等であります。
(3) キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度における現金及び現金同等物は、前連結会計年度と比較して743百万円増加の4,695百万円となりました。
当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況と主たる増減要因は、次のとおりであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度の営業活動により獲得した資金は、1,387百万円(前連結会計年度に営業活動により獲得した資金は1,080百万円)となりました。主な増加要因は、税金等調整前当期純利益の1,622百万円、減価償却費の28百万円、前受金の増加額195百万円及び持分法による投資損失21百万円であり、一方、主な減少要因は、未払消費税等の減少額17百万円であり、受取利息及び受取配当金10百万円、売上債権の増加額85百万円及び法人税等の支払額444百万円等であります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度の投資活動により使用した資金は、368百万円(前連結会計年度に投資活動により獲得した資金は26百万円)となりました。この主な要因は、有形固定資産の取得による支出351百万円、無形固定資産の取得による支出15百万円等があったことによります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度の財務活動により使用した資金は、302百万円(前連結会計年度に財務活動により使用した資金は248百万円)となりました。この主な要因は、新株予約権の行使に伴う新株発行による収入額1百万円があった一方で、配当金の支払額303百万円等があったことによります。
当社グループは生産活動を行っていないため該当事項はありません。
当連結会計年度(自 2022年1月1日 至 2022年12月31日)の受注実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
(注) セグメント間取引については相殺消去しております。
当連結会計年度(自 2022年1月1日 至 2022年12月31日)の販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
(注) 1.セグメント間取引については相殺消去しております。
2.主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合については、総販売実績の10%以上の相手先がないため記載を省略しております。
文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
① 重要な会計方針及び見積り
当社グループの連結財務諸表は、我が国において一般に公正妥当と認められる会計基準に基づき作成されております。この連結財務諸表を作成するに当たり重要となる会計方針については、「第5 経理の状況 1連結財務諸表等 (1) 連結財務諸表 連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項」に記載のとおりであります。
この連結財務諸表の作成にあたっては、経営者が過去の実績や取引状況を勘案し、会計基準の範囲内かつ合理的と考えられる見積り及び判断を行っている部分があり、この結果は資産・負債、収益・費用の数値に反映されております。これらの見積りについては、一部過去の実績に基づく概算数値を用いるために、不確実性が伴っており実際の結果と異なる場合があります。
② 経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
(売上高)
当連結会計年度における連結売上高は、セグメント別では全体の63.5%を占める「情報プラットフォーム」事業が前期比17.7%増加となりました。「情報プラットフォーム」以外の事業については、ベンチマーキング関連事業、プロモーション広告事業及びLMC Automotive Ltd.製品(市場予測情報)販売事業を中心に各事業とも好調に推移し前期比18.3%増加となりました。この結果、全体では前期比で17.9%増加の4,125百万円となりました。
(売上総利益)
当連結会計年度において、売上総利益は前期比19.2%増加の2,672百万円となり、売上総利益率は64.1%から64.8%となりました。これは、主に「情報プラットフォーム」事業及びプロモーション広告事業など限界利益率の高い事業が好調に推移し、人員体制強化に伴う人件費など売上原価増の影響を吸収し、売上原価比率が前期の35.9%から35.2%へと減少したことによります。
(営業利益)
当連結会計年度において、営業利益は前期比26.7%増加の1,623百万円となり、売上高営業利益率は前期36.6%から39.4%へと増加しました。これは、売上高の増加が人員増強による人件費等の販売費及び一般管理費の増加を吸収したことによります。
(経常利益)
当連結会計年度において、経常利益は前期比27.7%増加の1,622百万円となりました。これは、営業外収益として受取利息5百万円及び為替差益5百万円を計上した一方で、持分法による投資損失21百万円を計上したこと等によります。
(親会社株主に帰属する当期純利益)
当連結会計年度における親会社株主に帰属する当期純利益は、法人税等を合計で482百万円計上したことに伴い前期比28.7%増加の1,139百万円となりました。
この結果、当連結会計年度における株主資本利益率(ROE)は、前連結会計年度の27.2%から1.2ポイント増加し、28.4%となりました。
③ 資本の財源及び資金の流動性についての分析
当社グループの資金需要は、経営活動に必要な運転資金(人件費、ソフトウエア・データベースの保守維持、業務委託費、データ購入費用、取材費用等)の他、国内外の事務所移転や増床に係る支出、PC、サーバー等の有形固定資産等の取得に係る投資資金であり、その資金の主な財源は、営業活動によるキャッシュ・フローにより獲得した資金を源泉として、全て自己資金で充当しております。預入期間が3か月を超える定期預金を除いた現金及び現金同等物の期末残高は、4,695百万円であります。
④ 経営戦略の現状と見通し
2022年度は、半導体不足や新型コロナウイルス感染症拡大の余波の影響を受け生産調整を余儀なくされるなど、自動車産業にとっては厳しい1年となりました。その一方で、自動車の販売台数が2022年4-6月期を底に年後半にかけゆるやかな回復基調にあること、また2023年上期には半導体不足が解消されるとの見通しも出てくるなど、明るい兆しもみえつつあります。 こうした状況から2023年度においては、完成車メーカー、部品メーカーなどを中心に研究開発や設備投資など企業活動の活発化が期待されます。当社が展開する事業においては、情報プラットフォーム事業は引き続き安定的に成長するものと見込んでおります。また、電動化など新技術への研究開発投資は引き続き高水準で推移することが予想され、コンサルティング、部品調達代行、 分解調査データ販売、プロモーション広告及びLMC Automotive Ltd.製品(市場予測情報)販売など情報プラットフォーム事業以外の事業が提供するサービスへの需要はさらに高まるものと見込んでおります。以上を勘案し人員増などの体制強化を進めながら業績向上に努めてまいります。
該当事項はありません。
2022年12月31日現在
(注) 1.現在休止中の主要な設備はありません。
2.帳簿価額のうち「その他」は、車両運搬具及び工具、器具及び備品であります。
3.上記の他、本社事務所並びに名古屋支社事務所、ベンチマークセンター事務所を賃借しております。
年間賃借料は100,718千円であります。
4. ソフトウェアにはソフトウェア仮勘定を含んでおります。
5.従業員数の( )は、平均臨時従業員数を外書きしております。
2022年12月31日現在
(注) 1.現在休止中の主要な設備はありません。
2.帳簿価額のうち「その他」は、工具、器具及び備品であります。
3.麦柯莱依斯信息咨詢(上海)有限公司、MarkLines North America, Inc.、MarkLines (Thailand) Co., Ltd. 及び MarkLines Europe GmbH は、事務所を賃借しております。年間賃借料はそれぞれ14,383千円、 3,359千円、5,046千円、4,795千円であります。
4.従業員数の( )は、平均臨時従業員数を外書きしております。
5.MarkLines India Pvt. Ltd.については、非連結子会社のため記載しておりません。
(注)1 提出日現在の発行数には、2023年3月1日からこの有価証券報告書提出日までの新株予約権の行使により発行された株式数は、含まれておりません。
※ 当事業年度の末日(2022年12月31日)における内容を記載しております。なお、当事業年度の末日から提出日の前月末現在(2023年2月28日)にかけて変更された事項については、提出日の前月末現在における内容を[ ]内に記載しており、その他の事項については当事業年度の末日における内容から変更はありません。
(注) 1.新株予約権1個につき目的となる株式数は、100株であります。
ただし、新株予約権の割当日後、当社が株式分割、株式併合を行う場合は、次の算式により付与株式数を調整し、調整の結果生じる1株未満の端数は、これを切り捨てる。
2.新株予約権の割当日後、当社が株式分割、株式併合を行う場合は、次の算式により払込金額を調整し、調整により生ずる1円未満の端数は切り上げる。
また、新株予約権の割当日後に時価を下回る価額で新株式の発行または自己株式の処分を行う場合は、次の算式により払込金額を調整し、調整により生ずる1円未満の端数は切り上げる。
3.新株予約権の行使の条件は次のとおりであります。
(1) 新株予約権の割当を受けた者(以下「新株予約権者」という。)は、権利行使時において、会社または会社子会社の取締役、監査役、従業員、その他これに準ずる地位を有していなければならない。ただし、取締役、監査役が任期満了により退任した場合、従業員が定年により退職した場合にはこの限りではない。また、当社取締役会が正当な理由があると認めた場合はこの限りではない。
(2) 新株予約権者が死亡した場合、その相続人による新株予約権の権利行使は認めないものとする。
(3) 各新株予約権1個当たりの一部行使はできないものとする。また、権利行使は、新株予約権1個単位(100株単位)で行うものとする。
4.2017年6月9日付で普通株式1株につき4株にする株式分割を実施いたしました。これにより、「新株予約権の目的となる株式の数」、「新株予約権の行使時の払込金額」及び「新株予約権の行使により株式を発行する場合の株式の発行価格及び資本組入額」が調整されております。
該当事項はありません。
(注) 1.新株予約権(ストックオプション)の権利行使による増加であります。
2022年12月31日現在
(注) 自己株式442株は、「個人その他」に4単元、「単元未満株式の状況」に42株含まれております。
2022年12月31日現在
(注) 1. 上記の所有株式数のうち、信託業務に係る株式数は次のとおりです。
日本マスタートラスト信託銀行株式会社(信託口) 1,887,200株
株式会社日本カストディ銀行(信託口) 1,164,900株
2. 2023年1月11日付で公衆の縦覧に供されている大量保有報告書の変更報告書において、レオス・キャピタルワークス株式会社及びその共同保有者である株式会社SBI証券が、2022年12月30日現在で以下の株式を所有している旨が記載されているものの、当社として2022年12月31日における実質所有株式数の確認ができないため、上記大株主の状況には含めておりません。なお、その大量保有報告書の変更報告書の内容は以下のとおりであります。
3.2022年9月22日付で公衆の縦覧に供されている大量保有報告書の変更報告書において、野村證券株式会社及びその共同保有者であるNOMURA INTERNATIONAL PLC及び野村アセットマネジメント株式会社が、2022年9月15日現在で以下の株式を所有している旨が記載されているものの、当社として2022年12月31日現在における実質所有株式数の確認ができないことから、株主名簿上の所有株式数を上記大株主の状況に記載しております。なお、その大量保有報告書の内容は以下のとおりであります。
4.2022年9月12日付で公衆の縦覧に供されている大量保有報告書の変更報告書において、Kayne Anderson Rudnick Investment Management, LLC及びその共同保有者であるVirtus Investment Advisers, Inc.が、2022年9月5日現在で以下の株式を所有している旨が記載されているものの、当社として2022年12月31日における実質所有株式数の確認ができないため、上記大株主の状況には含めておりません。なお、その大量保有報告書の変更報告書の内容は以下のとおりであります。
5.2022年3月25日付で公衆の縦覧に供されている大量保有報告書において、Grandeur Peak Global Advisors, LLCが、2022年3月24日現在で以下の株式を所有している旨が記載されているものの、当社として2022年12月31日における実質所有株式数の確認ができないため、上記大株主の状況には含めておりません。なお、その大量保有報告書の内容は以下のとおりであります。
【連結損益計算書】
1. 報告セグメントの概要
(1) 報告セグメントの決定方法
当社グループの報告セグメントは、当社グループの構成単位のうち分離された財務情報が入手可能であり、取締役会が、経営資源の配分に関する意思決定を行い、かつ、業績評価をするために、定期的に検討を行う対象となっているものです。
(2) 各報告セグメントに属する製品及びサービスの種類
「情報プラットフォーム」事業・・・インターネットのネットワークを利用した自動車及び自動車部品に係 わる会員制有料情報提供サービス
コンサルティング事業 ・・・自動車業界に係わる技術・市場の動向調査、サプライチェーンなどの調達状況調査、技術コンサルティング、専門性の高い提携先企業との共同プロジェクト等を、顧客の依頼に個別対応して行う事業
人材紹介事業 ・・・自動車業界に特化した人材紹介事業
LMC Automotive Ltd.製品(市場予測情報)販売事業
・・・LMC Automotive Ltd.との業務提携により、同社の市場予測情報を日本 国内で独占販売する事業
ベンチマーキング関連事業 ・・・ベンチマーキング活動に利用可能な車両・部品調達代行及び分解調査データ販売の2つのサービスを提供する事業
プロモーション広告事業 ・・・情報プラットフォームの会員に対し、自社の製品・サービスをPRできるPRメール、製品情報掲載、バナー広告の3サービスを提供する事業
自動車ファンド事業 ・・・ベンチャー・スタートアップ及び再イノベーションを期す中堅企業を投資対象とする自動車産業に特化したベンチャーキャピタル事業
① 【貸借対照表】
② 【損益計算書】