JESCOホールディングス株式会社
(注) 1.潜在株式調整後1株当たり当期純利益については、第50期は、潜在株式は存在するものの、1株当たり当期純損失であるため記載しておりません。
2.株価収益率については、第50期は、親会社株主に帰属する当期純損失を計上しているため記載しておりません。
3.従業員数は、当社グループから当社グループ外への出向者を除き、当社グループ外から当社グループへの出向者を含む就業員数であります。臨時従業員の総数は、従業員数の100分の10未満であるため記載を省略しております。
4.第49期の親会社株主に帰属する当期純利益の大幅な増加は、JESCO新宿御苑ビル売却に伴う固定資産売却益の計上等によるものであります。
5.「収益認識に関する会計基準」(企業会計基準第29号 2020年3月31日)等を第53期の期首から適用しており、第53期に係る主要な経営指標等については、当該会計基準等を適用した後の指標となっております。
(注) 1.従業員数は、当社から社外への出向者を除き、社外から当社への出向者を含む就業員数であります。臨時従業員の総数は、従業員数の100分の10未満であるため記載を省略しております。
2.第49期の当期純利益の大幅な増加は、JESCO新宿御苑ビル売却に伴う固定資産売却益の計上等によるものであります。
3. 最高株価及び最低株価は、2022年4月4日より東京証券取引所スタンダード市場におけるものであり、それ以前は東京証券取引所第二部におけるものであります。
4. 「収益認識に関する会計基準」(企業会計基準第29号 2020年3月31日)等を第53期の期首から適用しており、第53期に係る主要な経営指標等については、当該会計基準等を適用した後の指標となっております。
当社は、1970年8月に東京都保谷市(現西東京市)に電気設備工事業を目的として、ジェスコ株式会社を設立しました。その後、2004年9月に会社分割を行い、持株会社として商号を「JESCOホールディングス株式会社」に変更いたしました。
当連結会計年度末現在、当社グループは、当社、連結子会社8社及び非連結子会社1社により構成され、主に3つの事業セグメント(国内EPC事業、アセアンEPC事業、不動産管理事業)において事業を展開しております。
当社及びそれぞれの事業セグメントに係る沿革は、以下のとおりであります。
(1)当社(JESCOホールディングス株式会社)
(注1)JESCO エキスパートエージェント株式会社は、現時点では重要性が乏しいため当期の連結の対象に含めておりません。
(注2)JESCO SUGAYA株式会社との連携により北関東NO.1の企業を目指し、群馬県高崎市の阿久澤電機株式会社の株式を100%取得し、子会社化(2022年9月)
(2)国内EPC事業(JESCO株式会社、JESCO SUGAYA株式会社)
(3)アセアンEPC事業(JESCO ASIA JOINT STOCK COMPANY、JESCO HOA BINH ENGINEERING JOINT STOCK COMPANY、JESCO CNS VIETNAM COMPANY LIMITED、JESCO PEICO ENGINEERING JOINT STOCK COMPANY)
(4)旧総合メディア事業(JESCO株式会社)
(5)不動産管理事業(JESCO CRE株式会社)
(6)人材紹介・人材派遣事業(JESCO エキスパートエージェント株式会社)
(注)JESCO エキスパートエージェント株式会社は、現時点では重要性が乏しいため当期の連結の対象に含めておりません。
(1)グループの概況
当社グループは、持株会社制を導入しており、当社及び連結子会社8社(JESCO株式会社(以下、JESCO)、 JESCO ASIA JOINT STOCK COMPANY(以下、JESCO ASIA)、JESCO HOA BINH ENGINEERING JOINT STOCK COMPANY(以下、JHE)、JESCO SUGAYA株式会社(以下、SUGAYA)、JESCO CNS VIETNAM COMPANY LIMITED(以下、CNS VIETNAM)、JESCO HOLDING SINGAPORE PTE. LTD.(以下、JESCO SINGAPORE)、JESCO CRE株式会社(以下、JESCO CRE)、JESCO PEICO ENGINEERING JOINT STOCK COMPANY(以下、JESCO PEICO))及び非連結子会社1社(JESCO エキスパートエージェント株式会社(以下、JEA))の計10社で構成され、① 国内EPC(注1)事業、② アセアン(注2)EPC事業及び③ 不動産管理(CRE)(注3)事業の3つの事業セグメントを展開しております。
当社グループは、「FOR SAFETY FOR SOCIETY」、「安心して暮らせる社会づくりに貢献する」との基本理念に基づき、主に再生可能エネルギー、電気無線設備工事、電気通信設備工事、空調衛生設備工事、不動産の所有、売買又は賃貸借の事業分野において、株主、取引先、従業員等、当社グループに関わる全てのステークホルダーの満足度を高めるよう努めております。
(注1)EPC:Engineering(設計)、Procurement(調達)、Construction(建設)の略
(注2)アセアン:インドネシア、カンボジア、シンガポール、タイ、フィリピン、ブルネイ、ベトナム、マレ
ーシア、ミャンマー及びラオスの計10ヶ国
(注3)CRE(Corporate Real Estate):経営戦略の一環として企業価値向上を目的として保有・売買又は賃貸借する不動産
(2)事業の内容
① 国内EPC事業
当事業は、当社連結子会社であるJESCO、SUGAYAの2社が行っております。
日本国内における再生可能エネルギー関連設備工事、電気無線設備工事及び電気通信設備工事等を事業領域として、主に太陽光発電設備、移動体通信基地局、防災行政無線、道路付帯設備及び商業施設等を受注し、設計業務、調達業務、施工管理業務及び保守メンテナンス業務等を展開しております。
なお、上記の各業務の内容は、以下のとおりであります。
設計業務とは、施主又は元請事業者の仕様に基づいて、設計図面を作成する業務であります。
調達業務とは、工事に必要となる資材の選定、資材業者への発注、工事後の元請事業者等への設置引渡しを行うことであります。
施工管理業務とは、施工の外注先である協力会社が行う工事全体の管理を行うことであります。管理には、工程管理、安全管理、品質管理、原価管理等が含まれます。
保守メンテナンス業務とは、機器設置引渡し後のシステム品質の維持管理に係る保守点検のことであります。
また、当社グループでは、上記業務をワンストップで受注できる体制を整えております。
② アセアンEPC事業
当事業は、当社連結子会社であるJESCO ASIA、JHE、CNS VIETNAM及びJESCO PEICOの4社が行っております。
2001年ホーチミンにて開始した設計積算業務の拠点をダナン、ハノイにも設置し、さらに2020年12月にロンアン地域に、新たに2022年10月にカントー市に5拠点目を設置し、拡大してまいりました。BIM技術者の育成など、日本からの設計積算業務のアウトソーシングを展開しております。
また、ベトナムを中心としたアセアン地域における建築工事、電気設備工事、電気無線・通信設備工事及び空調衛生設備工事等を事業領域として、主に空港、太陽光発電設備、防災減災関連設備、工場、商業施設、高層コンドミニアムなどを施主又は建設会社、電気設備会社、通信電機機器メーカー等の元請事業者から受注し、設計業務、調達業務、施工管理業務及び保守メンテナンス業務等を展開しております。
なお、上記の各業務の内容は、国内EPC事業における業務内容と同様であります。
また、当社グループでは、上記業務をワンストップで受注できる体制を整えております。
当事業において、JESCO ASIAは、主に建築工事、電気設備工事及び電気通信設備工事等の設計業務、調達業務、施工管理業務及び保守メンテナンス業務等を展開しております。JHEは、主に電気設備工事、電気通信設備工事及び空調衛生設備工事等の調達業務、施工管理業務及び保守メンテナンス業務等を展開しております。CNS VIETNAMは、主に電気設備工事及び電気通信設備工事の設計・積算、保守・メンテナンス等を展開しております。JESCO PEICOは、主に電気設備工事、機械・配管設備工事、土木工事等の設計・積算、保守・メンテナンス等を展開しております。
③ 不動産管理(CRE)事業
当事業は、当社及びJESCO CREが行っております。
企業価値向上を目的に不動産を保有、売買又は賃貸し、収益の中心としております。駅に近い立地の高付加価値のオフィスビルを所有し、これを適正な価格で売買又は賃貸することで確かな収益を生んでおります。
規模の追求ではなく、高い収益性を維持しながら、高品質のサービスを提供し、顧客満足度の向上に努めております。
(3)事業の特徴
当社グループの事業は、以下の2つの特徴を有しております。
① 独立系
当社グループが属する設備工事業界では、元請事業者を中心とした下請事業者による集団が形成され、当該集団に属する下請事業者及び下請事業者の外注先である協力会社は、特定の元請事業者からのみ工事を受注する傾向にあります。このため、特定のグループに属する設備工事会社の事業は、一部の元請事業者からの発注に依存することになり、下請事業者及び下請事業者の外注先への業務量は安定しないことが問題点として挙げられます。
このような業界構造の中、当社グループでは、創業時より、当社グループの元請事業者となる建設会社、電気設備会社及び通信電機機器メーカー等とバランスよく取引関係を構築し、特定の元請事業者に受注先を限定させないことを基本方針としてまいりました。
この方針のもと事業展開を継続してきたことにより、当社グループが工事案件を受注する元請事業者は偏りがなく多岐に渡り、当社グループ及び当社グループの協力会社の業務量の安定化につながっていると認識しております。
② 継続的な受注及び利益を確保するための施策
A ワンストップでのビジネスの展開による継続的な受注の実現
当社グループが属する設備工事業界、その中でも電気設備工事及び電気通信設備工事に係る業界の課題として、工程や工種ごとに担当する事業者が細分化されている構造となっており、その工程間、工種間で規格や事業者の選定等、様々なコストが発生していることが挙げられます。
このような業界環境の中、当社グループは、設計、調達、施工管理及び保守メンテナンスに至るまで、案件を施工するための多様な機能を有しており、工事案件のプロセスをワンストップで受注できる体制を構築し、同業他社との差別化を図っております。これにより、当社グループでの短納期、低コストでの施工、及び元請事業者にとっても工事の進捗管理に係る負担の軽減にもつながり、採算性の確保や元請事業者からの継続的な受注を実現させております。
B 「低コスト」「ジャパンクオリティ」「DX(デジタルトランスフォーメーション)強化」の実現
アセアンEPC事業に属するJESCO ASIAは、当社グループのベトナムにおける設計積算業務のコスト削減と品質向上を目的として2001年に設立いたしました。設立以降、現地採用のベトナム人に設計業務の実務を担当させつつ、日本語研修を充実させることで、実務能力と語学力を兼ね備えた従業員を養成しております。また、工事に関しても品質確保のため、工事作業員に対して日本で行われている教育(作業員の作業着衣指導、保護具の完全着用、朝礼、危険予知ミーティング等)を実施しているほか、作業現場では、IEC(国際電気標準会議)等の規格に基づいた工事を実施しております。
設計積算業務におきましては、従来から設計業務のデジタル化により進化させてまいりましたが、今般、東京本社とWEBコミュニケーションツールで結合し、仮想空間での一体化を図りました。このようなDX化をベースに、190人から300人への倍増やロンアン地域及びカントー市への拡大、BIM導入など、更なる体制強化に取り組んでいます。このような取り組みにより、低コスト(ベトナムにおける低賃金での人材確保による設計業務の低コスト化)を実現させつつも、日本のクオリティに準じた設計・工事の品質(研修、実務を通じて養成した実務能力の高いベトナム人従業員による役務の提供)をベトナム現地で保持することができ、日本やベトナムの元請事業者からの継続的な受注と利益の確保に貢献しております。
C 安全・品質の確保
当社グループは、創業時に高い安全基準が求められる原子力発電所での格納容器のリークテスト(放射能漏洩率試験)業務を行っていたこと等から、当初より安全・品質への意識が高いことが特徴として挙げられます。
具体的には、1999年1月に品質に関する国際規格であるISO9001認証登録、2004年4月に労働安全衛生の国際規格であるOHSAS18001認証登録等、国際規格を取得して安全・品質の確保に努めてまいりました。また、2020年10月からインターネットを利活用した「JESCOアカデミー」を開講しました。クラウドを活用したオンデマンド配信による技術者教育で、いつでもどこでも受講することが出来、人材の早期育成にも取り組んでおります。将来的には、国内外のパートナー会社にも拡大してまいります。このような新たな取り組みに加え、各種研修の開催、取引先を含めたJESCOグループパートナー会(※)の組織化、安全大会の開催等、安全・品質への意識と知識の向上に努めております。
(※JESCOグループパートナー会は、安全衛生管理、労働災害防止、設備事故防止を推進し、工事の品質向上を図ることを目的として当社グループ及び当社グループの取引先とで組織されております。)
(事業系統図)

(注) 1.「主要な事業の内容」欄には、セグメント情報に記載された名称を記載しております。
2.「議決権の所有割合」欄の(内書)は間接所有であります。
3.特定子会社であります。
4. 有価証券届出書又は有価証券報告書を提出している会社はありません。
5.JESCO CRE株式会社は当連結会計年度に設立し連結の範囲に含めております。
6.JESCO HOLDINGS SINGAPORE PTE.LTD.は当連結会計年度に設立し連結の範囲に含めております。
7.JESCO PEICO ENGINEERING JOINT STOCK COMPANYは当連結会計年度に当社の子会社であるJESCO HOLDINGS SINGAPORE PTE.LTD.を通じて株式の65%を取得し連結子会社としております。
8. JESCO株式会社については、売上高(連結会社相互間の内部売上高を除く)の連結売上高に占める割合が10%を超えております。
9.JESCO SUGAYA株式会社については、売上高(連結会社相互間の内部売上高を除く)の連結売上高に占める割合が10%を超えております。
10.JESCO HOA BINH ENGINEERING JOINT STOCK COMPANYについては、売上高(連結会社相互間の内部売上高を除く)の連結売上高に占める割合が10%を超えております。
2022年8月31日現在
(注)1.従業員数は、当社グループから当社グループ外への出向者を除き、当社グループ外から当社グループへの出向者を含む就業人員数であります。
2.臨時従業員の総数は従業員数の100分の10未満であるため、記載を省略しております。
3.派遣社員は含んでおりません。
4.「その他」として記載されている従業員数は、特定セグメントに区分できない管理部門に所属している人数であります。
5.前連結会計年度末に比べ従業員数が68名増加しておりますが、主として2022年4月16日付で締結した株式譲渡契約に基づきPEICO CONSTRUCTION JOINT STOCK COMPANYの株式の65%を取得したことにより同社を連結子会社としたためであります。
2022年8月31日現在
(注)1.従業員数は、当社から社外への出向者を除き、社外から当社への出向者を含む就業人員数であります。
2.臨時従業員の総数は従業員数の100分の10未満であるため、記載を省略しております。
3.派遣社員は含んでおりません。
4.平均年間給与は、賞与及び基準外賃金を含んでおります。
5.「その他」として記載されている従業員数は、特定セグメントに区分できない管理部門に所属している人数であります。
当社には労働組合はありませんが、連結子会社の一部に労働組合が結成されております。なお、労使関係は円満に推移しており、特記すべき事項はありません。
文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において、当社グループが判断したものであります。
2020年から世界各国に拡大した新型コロナウイルス感染症の影響により、世界経済は大きな影響を受けましたが、ワクチン接種などの感染防止策により、感染者数の減少も見られ、部分的には景気の持ち直しの動きも現れております。しかしながら、半導体不足や原材料費高騰に加え、エネルギー問題や大幅な円安、ウクライナ情勢の長期化などが国内外の経済に大きな影響を与えており、今後ともこれらの動きには注視していく必要があります。
このような中にあって、世界規模でのサステナブルな社会の実現に向けての取り組みが強化されて来ており、再生可能エネルギー設備の積極導入や5G等次世代型通信インフラ設備の需要増加が期待されます。また、情報通信技術ICT(Information and Communication Technology)を活用した様々なシステム化、気候変動に伴う甚大災害に対応した防災減災関連設備工事、さらには老朽化した社会インフラ設備更新や保守メンテナンス等は今後とも安定した成長が期待されます。
また、アセアンにおいてもインフラ投資やインフラメンテナンス需要の高まりにより、大きな成長が見込まれるため、日本の国土交通省主導による国内建設会社の海外市場への進出を後押しする動きが今後の経済政策の一環として期待されます。
こうした事業環境下、当社グループでは、国内では、長年培ってきた技術力と顧客からの信用力を活かし、太陽光発電設備、通信基地局関連設備、防災行政無線設備やETC設備工事等の受注拡大に取り組んでおります。また、海外市場においては、ベトナムにおける設計積算事業に加え、建設投資需要の取り込み、今後成長が期待される太陽光発電設備や防災減災関連設備、アセアンでの国際空港電気設備設計や電気設備工事等の受注拡大に努めてまいります。
(1) 経営基本方針
当社グループは、総合エンジニアリング会社として、社会インフラに関する各種の課題に対し、企画、調査、コンサル、設計、施工、保守メンテナンス等、社会インフラに関する各種の課題に対し、高度なサービスをワンストップで提供する体制を構築し、安心して暮らせる豊かな社会づくりに貢献してまいります。
また、当社グループでは、ニューノーマル時代に適応したDXによるビジネスプロセスの変革や生産性向上に取り組むとともに、2020年に開講したインターネットによる、いつでも、どこでも受講できる教育システム(JESCOアカデミー)により技術者の育成と国家資格保有者数の拡大に努め、経営基盤の強化に取組んでおります。
サステナブル経営のもと、環境保全、多様な人材活用と風通しの良いコミュニケーション、安全確保と品質向上、コーポレートガバナンスの強化、コンプライアンスの徹底、リスク管理の強化及びJESCOグループ行動指針の徹底により、企業価値の向上に努め、ステークホルダーの皆様から信頼・評価される企業を目指してまいります。
(2) 中長期的な目標
当社グループは、①再生可能エネルギー(太陽光発電設備)、②5G等次世代通信・防災減災関連設備、③アセアンEPC事業の拡大に加え、不動産事業(CRE)を大きな柱として、成長を加速してまいります。こうした施策に加え、新規受注の拡大、業務提携、M&A等の施策により、グループ全体の中長期的な売上目標を200億円としております。
(3) 会社の対処すべき課題
当社グループはサステナブル経営を掲げ、社会貢献活動と事業活動の両面から持続的経営を図るべく2023年8月期から始まる新中期経営計画(2023年~2025年)を策定してまいりました。本中期においては、以下の成長戦略の実現に向け、Challenge&Innovationを推進してまいります。
1)サステナブル経営
世界を取り巻く異常気象などから脱炭素への取り組みが喫緊の課題となっており、当社においては、森林の保有・維持管理によるカーボンニュートラルの推進や水資源確保とともに、使用電力の100%再エネ化(再エネ100 RE Actionに参画)など、SDGs実現に向け積極的に取り組んでまいります。
森林につきましては、2022年9月に那智勝浦の保安林(16.7ha)が、都市に立地する企業の緑地管理による地域への社会貢献として評価され、(公財)都市緑化機構の社会・環境貢献緑地評価システム(SEGES) Excellent Stage2の認定を受けました。更なるステージアップを目指すと共に、当社グループ国内の排出CO2(約470トン/年)の100%吸収を図るべく森林の保有(現在約27ha)を拡大してまいります。
また、国内においては出生率低下による人口減とともに、特に建設業においては、高度技術者の不足が大きな課題となっています。当社においても持続的発展を目指すためには、人材確保と教育が不可欠の課題であります。当社では、2022年10月に独立行政法人国際協力機構(JICA)と「ベトナム国BIM(注1)理論を活用した産学連携による電気技術者育成のための案件化調査」を正式締結しました。工学院大学やSOBA Project、ベトナム国ダナン工科大学との産学連携のもと高度技術者の育成を図ると共に、当社グループの人材紹介会社であるJESCOエキスパートエージェント社を通じて当社だけでなく国内外企業の人材不足のニーズに対応してまいります。
2)成長戦略
①再生可能エネルギー関連設備
脱炭素社会実現に向けて、企業自らが再生可能エネルギーを創出する自家消費型の太陽光発電システムを中心に市場の拡大が予測されています。当社グループは引き続きPPAモデルの自家消費型案件に注力するとともに、O&Mやパネルのリサイクル事業など、ライフサイクルに亘りワンストップでサービスを提供する新たなビジネスモデルを展開してまいります。
②無線通信インフラ関連設備
国土強靭化計画に基づき、激甚化する風水害や大規模地震への対策に向けてデジタル化が推し進められる中、当社グループは引き続き河川監視や防災無線、インフラ改修工事などの防災減災分野に注力してまいります。
移動体通信システムにおいては総務省のデジタル田園都市国家インフラ整備計画により2030年度末5G人口カバー率99%実現へ、さらに2030年代の社会におけるBeyond5G(6G)推進等が掲げられており、あらゆる産業・社会活動の基盤となるSociety5.0の未来社会実現に向けて当社グループも積極的に取り組んでまいります。
③アセアンEPC
ベトナムをはじめとするアセアン地域では、新型コロナウイルス感染症の影響も徐々に回復がみられます。ベトナムの設計積算部門では、コロナ禍で取り組んできたDXを進化させるとともに、2020年12月のロンアン支店開設に続き、カントー支店を2022年10月に開設し、現状の190名から早期に300名への増員を実行し、事業の拡大を図ってまいります。建設部門では、公共インフラ整備、民間設備投資ともに大きく拡大する可能性があり、再生可能エネルギー、ベトナム国際空港(ロンタイン、ノイバイ、タンソンニャット)、防災減災関連工事や高層コンドミニアム設備工事などの事業拡大に取り組んでまいります。また、2022年6月にM&AいたしましたJESCO PEICO 社は、ハノイ近郊で日系企業からの工事受注実績を多く有しており、JESCOグループ傘下に入ることにより、北部ハノイでのEPC事業強化を目指してまいります。
④CRE(不動産)
経営戦略の一環として、従来より企業価値向上を目的に不動産の保有又は賃貸により収益を確保してきました。駅近の高付加価値のオフィスビルを所有することにより常に高い収益性を確保してきましたが、更なる収益向上を目指し、2022年1月に不動産仲介会社JESCO CRE株式会社を設立しました。今後とも、高い収益性を維持しながら、高品質のサービスを提供し、顧客満足の向上に努めてまいります。
3)資金面での取り組み
資金につきましては、保有不動産の適切な運用により流動性の確保を図りつつ、アセアンにおける事業拡大、国内外でのM&A資金等に活用する方針であります。また、金融機関や証券市場を通じた資金確保も可能であります。
こうした人材資源開発及び資金資源の最適配分を進め、業績拡大を目指してまいります。
(注1)BIM(Building Information Modeling): ICTを活用し、3次元の建設デジタルモデルに建築物のデータベースを含めた建築の新しいワークフローを提供するモデル(ソフトウェアを含む)
本書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、投資者の判断に重要な影響を及ぼす可能性のある事項には、以下のようなものがあります。また、必ずしもそのようなリスク要因には該当しない事項につきましても、投資者の投資判断上、重要であると考えられる事項につきましては、投資者に対する積極的な情報開示の観点から以下に開示しております。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであり、将来において発生する可能性のあるすべてのリスクを網羅するものではありません。
(1) 保有資産について
営業活動上の必要性から、不動産等の資産を保有しているため、保有資産の時価が著しく下落した場合等、又は、事業用不動産の収益性が著しく低下した場合には、減損損失が発生し、当社グループの業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
(2) 景気変動について
国内EPC事業においては、民間設備投資や公共投資の増減による電気設備工事、電気通信設備工事の市場規模の変化や、受注競争激化による粗利率の低下等が生じた場合には、当社グループの業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
(3) 建設資材価格の変動について
当社グループは、国内EPC事業、アセアンEPC事業を遂行するにあたり、多くの建設資材を調達しておりますが、建設資材価格が急激に高騰した場合、当社グループの業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
(4) アセアンEPC事業における社会的変動と為替相場の変動について
当社グループを構成する関係会社8社の内5社は海外現地法人であり、今後、進出国の政治・経済情勢、法的規制の変更等の著しい変化により、日系企業の投資抑制や、現地設備建設工事需要の減退の可能性があります。
また、人件費が著しく上昇する場合、工事の遂行計画や採算、代金回収等への影響が生じた場合や金利水準の急激な上昇や為替相場の大幅な変動等が生じた場合には、当社グループの業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
(5) 業績の変動について
国内EPC事業においては、電気通信設備工事等の事業を行っていることから、工事の進捗や検収時期の集中によって収益が偏重することがあります。このため、特定の四半期業績のみをもって当社グループの通期業績見通しを判断することは困難であります。
なお、2022年8月期の四半期ごとの国内EPC事業の売上高推移は、以下のとおりであります。
(注)連結調整前の金額を記載しております。
(6) 競合他社による影響について
国内EPC事業及びアセアンEPC事業においては、大手・中小を問わず多くの企業と競合しております。そのため、競合他社との価格競争が更に激化した場合や、競合他社の技術力やサービス力の向上により、当社グループのサービス力が相対的に低下した場合は、当社グループが提案している営業案件の失注や、施工数の減少等により、当社グループの業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
(7) 特定の仕入先への依存について
当社グループは、国内EPC事業において電気工事用・電気通信工事用資材を、資材商社であるヤマト電機株式会社から仕入れております。国内EPC事業の資材仕入金額に占める同社からの仕入金額が、引き続き一定割合を占めております(国内EPC事業の資材仕入金額に占める同社からの仕入割合 2021年8月期:16.4% 2022年8月期:9.3%)。
他の資材仕入と同様に、ヤマト電機株式会社からの資材仕入に際しても、他の資材業者からも見積を取ることにより、当社グループにとって有利な条件で仕入を行えるよう取り組みを行っております。また、ヤマト電機株式会社とは、継続的な関係を維持するため、商品取引基本契約を締結しております。しかしながら、今後何らかの要因により、当該契約が更新されない場合や商品を安定的に仕入れることが困難な状況となった場合、他の資材商社及びメーカーへ仕入先を切替えることにより、当社グループの業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
(8) 業界取引慣行について
当社グループが属する建設業界の一部では、慣習として契約書を締結しないまま取引をするケースがあります。このため、当社グループでは注文書・発注確認書の授受や請求受領書の回収を徹底して行う等、トラブルを未然に回避するための施策を講じておりますが、不測の事態や紛争が発生した場合、当社グループの業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
(9) 国内EPC事業について
当社グループでは、国内EPC事業における再生可能エネルギー分野において、太陽光発電設備工事を受注するべく取り組んでおりますが、再生可能エネルギーの固定価格買取制度を始めとする政府のエネルギー政策の動向や電気事業者による発電事業者に対する系統接続の動向によっては、太陽光発電市場が当社グループの予想に反して十分に拡大せず、その場合には、当社グループの業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
(10) 法的規制等について
当社グループの主力事業である国内EPC事業において、建設業法、電気通信事業法等の関連法規制のほか、事業を営む上で必要とされる多くの許認可を取得しております。当社グループは、コンプライアンスを経営方針の最重要事項と位置付け、関連法規制の教育・指導・管理・監督体制の強化に努めておりますが、これらの関連法規制に違反するような事象が発生した場合、事業の停止命令や許認可の取り消し等の行政処分を受ける場合があり、その場合には、当社グループの業績及び財政状態に甚大な影響を及ぼす可能性があります。
(当社グループの主な許認可状況)
なお、上記の事業の停止や許認可の取り消しとなる事由は、建設業法第29条、並びに電気工事業の業務の適正化に関する法律第28条に定められております。本書提出日現在において、当社グループが認識している限り、当社グループには、これら事業停止及び許認可の取り消しとなる事由に該当する事実はありません。
(11) 偶発事象について
当社グループは、品質管理に万全を期しておりますが、瑕疵担保責任及び製造物責任による損害賠償が発生した場合や工事現場での人的災害等の発生で訴訟を受けた場合、当社グループの業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
(12) システム障害について
当社グループは、業務効率の向上のため、基幹業務である総務・人事・会計の他、工事管理等の社内システムを有しております。そのコンピュータシステムに人的ミス・自然災害・コンピュータウイルス等による障害が発生した場合は、事業運営に支障をきたし、当社グループの業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
(13) 重要な情報の管理について
当社グループは、事業運営上、顧客が保有する技術データ・顧客データ等の重要な情報を取り扱っております。そのため、サイバーセキュリティを含め適切な情報管理を行ってはおりますが、不測の事態により当社グループからこれら重要な情報が流出した場合、顧客からの信頼を低下させるほか、損害賠償義務の発生等により、当社グループの業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
(14) 自然災害等の発生について
当社グループは、自然災害や新型ウイルスパンデミック等の発生に備え、人的被害の回避を最優先としつつ事業継続を図るため、各種設備の導入やデータファイルのバックアップ強化、訓練の実施及び規程・マニュアルの整備等により、リスク回避と被害最小化に努めております。
しかしながら、大規模災害等の発生及びそれに伴うライフラインの停止や燃料・資材・人員の不足による工事の中断・遅延、事業所の建物・資機材への損害等の不測の事態が発生した場合は、当社グループの業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
(15) 安全品質に関するリスクについて
当社グループは、ISO45001 労働安全衛生マネジメントシステムの認証を取得して、お客様に信頼、評価される高品質なエンジニアリングサービスを提供できるよう、工事の「安全・品質の確保」に対する取り組みには万全を期し、事故の発生防止に日々努めております。
しかしながら、万が一重大な事故等不測の事態を発生させた場合には、工事の進捗に重要な影響を与えるだけでなく、社会的に大きな影響を与えるとともに各取引先からの信用を失い、営業活動に制約を受ける等、当社グループの業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
(16) 人材の確保と育成について
当社グループの国内事業拡大にあたっては、電気工事施工管理技士や電気工事士、無線技師、工事担任者等の公的資格及び取引先固有の資格を有することが不可欠であります。当社グループは、2020年10月にインターネットを利活用した「JESCOアカデミー」を開講しました。社員が、クラウドを利用したオンデマンドでいつでもどこでも好きな時に受講できるようになりました。このように社内研修の充実を図り人材育成に努めておりますが、工事施工を担える人材確保、育成ができない場合、当社グループの業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
(1) 経営成績等の状況の概要
当連結会計年度における当社グループ(当社及び連結子会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。
なお、「収益認識に関する会計基準」(企業会計基準第29号 2020年3月31日。)等を当連結会計年度の期首から適用しております。詳細については、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 注記事項(会計方針の変更)(収益認識に関する会計基準等の適用)」をご参照ください
① 財政状態及び経営成績の状況
(経営成績の状況)
当連結会計年度(2021年9月1日~2022年8月31日)のわが国経済は、新型コロナウイルス新規感染者数が減少に転じ、徐々に社会経済活動の制限が緩和され、緩やかではありますが回復に向けた動きが表れております。しかしながら、半導体不足や原材料費高騰に加え、エネルギー問題や大幅な円安、ウクライナ情勢の長期化などが国内外の経済に大きな影響を与えており、不透明かつ不安定な状況が今後も続いていくと想定されます。
1) サステナブル経営
このような経済環境の中、当社グループではサステナブル経営のもと、新型コロナウイルス禍のニューノーマル時代でも成長できる企業を目指すとともに、SDGs実現に向け、森林保有など脱炭素への取り組みも強化してまいりました。このような活動の中、当社で保有し、維持・管理を行っている那智勝浦の保安林(16.7ha)が、2022年9月に(公財)都市緑化機構の社会・環境貢献緑地評価システム(SEGES*1)審査会にてExcellent Stage2に認定されました。当該保安林は、世界遺産「紀伊山地の霊場と参詣道」の一部である「那智の滝」に近く、CO2の固定機能のみならず、水資源の涵養や景観形成の機能を有しております。当社では、当該保安林の他、吉野の山林等を含め約27haを保有しており、今後も拡大することにより、都市に立地する企業が森林を保有・維持管理し、地域への環境保全に貢献するという新しい形での社会貢献を進めてまいります。
また、再生可能エネルギーへの取り組みが評価され、2021年11月30日発行の「Newsweek」Internationalに「グリーン社会構築に尽力する日本企業」として紹介されるとともに、2022年8月25日には太陽光発電とエネルギーの未来を考える専門誌「PVeye」9月号に「オンサイト太陽光 機器選びの極意」を保有するEPC企業として紹介されました。今後ともカーボンニュートラル実現に向けて再生可能エネルギー関連設備の拡大に尽力してまいります。
2) 当期業績について
当期は、現中期経営計画の最終年度に当たり、3年間の集大成として、DXによる働き方改革やクラウドを活用した教育システム「JESCOアカデミー」によるAI・DX人材のリスキリング及び国家資格保有者の拡大、パートナー会社との共創による国内外のネットワーク構築などの体制整備の強化に取り組んでまいりました。
このような体制強化のもと、国内においては、脱炭素社会実現を目指した再生可能エネルギー及び、IoTや自動運転など高度情報化社会実現に向けた5G等の通信インフラ設備、異常気象による激甚災害に備えた防災減災関連設備などの市場が拡大しており、当社グループとしても注力してまいりました。当期におきましては、太陽光発電設備や移動体通信設備工事が、一部では半導体不足などの影響をうけたものの、順調に推移することができました。今後とも、これらを注力分野として取り組んでまいります。また、本年9月に、群馬県の阿久澤電機株式会社とのM&Aを公表いたしましたが、当社グループのJESO SUGAYA社との連携により、群馬県及び近隣県での受注拡大を図ると共に、北関東No.1の電気設備・電気通信設備工事会社を目指してまいります。
海外においては、本年1月に公表いたしましたベトナム首都ハノイ市近郊のPEICO CONSTRUCTION JOINT STOCK COMPANY(以下、PEICO社)とのM&Aについて、4月16日に調印、6月21日に企業登録を完了いたしました。PEICO社は特にハノイを中心とした大手日系企業の工場メンテナンスに強みを持っております。当社は2001年の同国進出以降、南部ホーチミンを中心に電気設備工事で多くの実績を築いてきましたが、今回のM&Aにより、PEICO社の強みと信頼を活かしつつJESCOグループとしての新体制のもと、北部ハノイでのEPC事業を強化し、更なる事業拡大を目指してまいります。当期におきましては、新型コロナウイルス感染症の影響があるものの、設計積算部門では、ホーチミン東部にハブ空港として建設されるロンタイン国際空港の電気設備関連の詳細設計が順調に推移し予定どおり2022年8月末に完了し、新たにハノイ北部のノイバイ国際空港ターミナル拡張工事の電気設備詳細設計に取り組む予定です。また、建設部門では、ホーチミンでの高層コンドミニアム建設工事の再開や大規模リゾート施設の電気設備工事の受注などに改善の兆しが見られます。引き続き、成長分野である国際空港関連設備、太陽光発電設備、防災減災設備などの受注拡大に努め、アセアン地域においても積極的に成長を目指してまいります。
なお、2020年12月よりスリランカ国で建設中のバンダラナイケ国際空港案件に関して、新型コロナウイルスのパンデミック等の影響により生じた同国の経済危機により中断しております。当社といたしましては、今後の情勢を注視しております。
このような状況のもと、当連結会計年度の業績は、新型コロナウイルス感染症の影響を受けたものの、前期業績に対して増収増益となりました。
経営成績は、売上高103億81百万円(前年同期比12.0%増)、営業利益7億75百万円(前年同期比38.5%増)、経常利益7億26百万円(前年同期比20.9%増)、親会社株主に帰属する当期純利益5億12百万円(前年同期比10.7%増)となりました。
セグメント別の経営成績は、以下のとおりであります。
① 国内EPC事業
国内EPC事業では、注力分野である太陽光発電設備において、PPA(Power Purchase Agreement*2)モデルの自家消費型の設計施工案件が増加するとともに、同じく注力分野である5G等移動体通信工事において稼働率向上など順調に推移いたしました。一部では新型コロナウイルス感染症や半導体等の出荷遅れの影響を受けたものの、売上・セグメント利益とも増収増益となりました。
当連結会計年度における当セグメントの経営成績は、売上高84億10百万円(前年同期比12.8%増)、セグメント利益6億48百万円(前年同期比13.0%増)となりました。
② アセアンEPC事業
アセアンEPC事業では、新型コロナウイルス感染症の影響を大きく受けたものの、設計積算部門においては、テレワークやDXを積極的に活用し、国内設計部門との一体化推進により順調に推移しました。建設部門においては、新型コロナウイルス感染症に加え、ホーチミン市での大型集合住宅投資抑制の影響を受けたものの、大規模リゾート施設の電気設備工事が順調に進捗するとともに、当期後半には高層コンドミニアム建設工事が再開するなど復調傾向が見られたほか、JESCO HOABINH ENGINEERING社において工事未収入金の回収が進み、貸倒引当金が減少したことにより増収増益となりました。
当連結会計年度における当セグメントの経営成績は、売上高16億88百万円(前年同期比4.7%増)、セグメント利益1億23百万円(前年同期比328.0%増)となりました。
③ 不動産管理事業
不動産管理事業では、2020年12月に取得したJESCO新宿御苑ビルの賃貸管理収入により、増収増益となりました。
当連結会計年度における当セグメントの経営成績は、売上高2億82百万円(前年同期比40.0%増)、セグメント利益1億円(前年同期はセグメント損失14百万円)となりました。
*1 SEGES (Social and Environmental Green Evaluation System): 公益財団法人都市緑化機構が運営する企業等の敷地、用地における緑地の保全、創出、活用等の取組み及び活動について審査し、環境貢献活動、社会貢献活動の取組み状況を社会貢献性及び環境貢献性の観点から、総合的に評価し、格付け区分するシステム。
*2 PPAモデル:施設所有者が提供する屋根や敷地などにPPA事業者(太陽光発電の所有・管理を行う会社)が太陽光発電システムを設置・運用し、発電された電力を施設所有者へ有償提供するビジネスモデル
(財政状態の状況)
当連結会計年度末における流動資産は、55億77百万円となり、前連結会計年度末に比べ13億49百万円の増加となりました。これは、現金及び預金が1億8百万円、受取手形・完成工事未収入金等が7億49百万円増加し、未成工事支出金が12百万円減少したこと等によるものであります。当連結会計年度末における固定資産は、78億82百万円となり、前連結会計年度末に比べ3億22百万円の増加となりました。これは、のれんが1億87百万円増加したこと等によるものであります。この結果、当連結会計年度末における資産合計は、134億66百万円となり、16億70百万円の増加となりました。
当連結会計年度末における流動負債は、47億88百万円となり、前連結会計年度末に比べ9億79百万円の増加となりました。これは、支払手形・工事未払金等が9億11百万円、未払法人税等が80百万円、短期借入金が43百万円増加したこと等によるものであります。当連結会計年度末における固定負債は、39億12百万円となり、前連結会計年度末に比べ80百万円の減少となりました。これは長期借入金が85百万円減少したこと等によるものであります。この結果、当連結会計年度末における負債合計は、87億円となり、8億98百万円の増加となりました。
当連結会計年度末における純資産合計は、47億65百万円となり、前連結会計年度末に比べ7億71百万円の増加となりました。これは、利益剰余金が4億38百万円、非支配株主持分が1億43百万円増加したこと等によるものであります。
なお、自己資本比率は前連結会計年度末の32.1%から当連結会計年度末は32.8%になりました。
② キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度における現金及び現金同等物は、前連結会計年度末に比べ2億2百万円増加し、15億57百万円となりました。当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は、次のとおりであります。
営業活動によるキャッシュ・フロ-は、税金等調整前当期純利益7億34百万円、減価償却費1億26百万円、仕入債務の増加6億41百万円等の増加要因に対し、未成工事受入金の減少1億78百万円、棚卸資産の減少1億31百万円等の減少要因により、6億96百万円の収入(前連結会計年度は11億58百万円の収入)となりました。
投資活動によるキャッシュ・フロ-は、定期預金の払戻による収入1億50百万円、投資有価証券の売却による収入1億4百万円等の増加要因に対し、連結範囲の変更を伴う子会社株式の取得による支出2億57百万円、投資有価証券の取得による支出99百万円等の減少要因により、1億85百万円の支出(前連結会計年度は23億85百万円の支出)となりました。
財務活動によるキャッシュ・フロ-は、短期借入れによる収入26億円等の増加要因に対し、短期借入金の返済による支出25億57百万円、配当金の支払額93百万円、社債の償還による支出50百万円、長期借入金の返済による支出1億36百万円等の減少要因により、2億40百万円の支出(前連結会計年度は15億52百万円の収入)となりました。
(資本の財源及び資金の流動性に係る情報)
当社グループは、主に営業活動から得られるキャッシュ・フローのほか、外部からの資金調達については、銀行借入れ等により実施しております。
また、営業債務や設備投資資金の支払、借入金の返済等に向けた資金需要に備えて、充分な資金を確保するために、適時にグループ各社からの報告に基づき資金繰計画を作成する等の方法により、資金の流動性確保を図りつつ、余剰資金が生じた場合には、財務体質の改善、更なる事業の拡大を目指した今後のM&A資金、海外事業の拡大に向けた投資、業務改革の推進や事業競争力の強化に向けたIT投資等の目的に充当する方針であります。
a 生産実績
当社グループでは生産実績を定義することが困難であるため、生産実績は記載しておりません。
b 受注実績
当連結会計年度における受注実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
(注) セグメント間取引については、相殺消去しております。
c 販売実績
当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
(注) 1.セグメント間取引については、相殺消去しております。
2. 主な相手先別の販売実績及び総販売実績に対する割合は、次のとおりであります。
3.前連結会計年度のNECフィールディング株式会社及び大和リース株式会社に対する販売実績は、当該販売実績の総販売実績に対する割合が100分の10未満のため注記を省略しております。
d 仕入実績
当連結会計年度における仕入実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
(注) セグメント間取引については、相殺消去しております。
e 外注実績
当連結会計年度における外注実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
(注) セグメント間取引については、相殺消去しております
(2) 経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。
① 重要な会計方針及び見積り
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づいて作成されております。この連結財務諸表の作成においては、経営者による会計方針の選択・適用、資産・負債や収益・費用の報告金額及び開示に影響を与える見積りを行う必要があります。経営者は、これらの見積りについて、過去の実績等を勘案し合理的に判断しておりますが、実際の結果は見積り特有の不確実性があるため、これらの見積りとは異なる場合があります。
連結財務諸表の作成に当たって用いた会計上の見積り及び仮定のうち、重要なものは「第5 経理の状況 1 連結財務諸表 注記事項 (重要な会計上の見積り)」に記載しております。
なお、新型コロナウイルス感染症に関する会計上の見積りに関しては、「第5 経理の状況 1連結財務諸表(1)連結財務諸表 注記事項(追加情報)をご参照ください。
② 当連結会計年度の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容
a 財政状態の分析
「第2 事業の状況 3 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1) 経営成績等の状況の概要 ① 財政状態及び経営成績の状況 (財政状態の状況)」をご参照ください。
b 経営成績の分析
イ 売上高
当連結会計年度における売上高は、103億81百万円(前年同期比12.0%増)となりました。
当社グループのセグメントごとの外部顧客への売上高の内訳は、国内EPC事業が84億10百万円(同12.8%増)、アセアンEPC事業が16億88百万円(同4.7%増)、不動産管理事業が2億82百万円(同40.0%増)となりました。
グループ全体の売上高につきましても、今後、国内を中心に増加が見込まれる社会インフラ設備のメンテナンス需要や、情報通信技術革新による5G対応設備への対応等、引き続きグループ全体での受注拡大を図ってまいります。
ロ 営業利益
当連結会計年度における営業利益は、7億75百万円(前年同期比38.5%増)となりました。
当社グループのセグメント利益の内訳は、国内EPC事業がセグメント利益6億48百万円(前年同期比13.0%増)、アセアンEPC事業がセグメント利益1億23百万円(前年同期比328.0%増)、不動産管理事業がセグメント利益1億円(前年同期はセグメント損失14百万円)となりました。
ハ 経常利益
当連結会計年度における経常利益は、7億26百万円(前年同期比20.9%増)となりました。
これは、営業外収益75百万円を計上した一方、営業外費用1億25百万円を計上したことによるものであります。
ニ 親会社株主に帰属する当期純利益
当連結会計年度における親会社株主に帰属する当期純利益は、5億12百万円(前年同期比10.7%増)となりました。
これは主に、投資有価証券売却益8百万円を特別利益に計上し、法人税、住民税及び事業税2億49百万円、法人税等調整額△65百万円、非支配株主に帰属する当期純利益37百万円を計上したこと等によるものであります。
c キャッシュ・フローの状況の分析
「第2 事業の状況 3 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1) 経営成績等の状況の概要 ② キャッシュ・フローの状況」をご参照ください。
d 経営成績に重要な影響を与える要因について
当社グループは、「第2 事業の状況 2 事業等のリスク」に記載のとおり、事業環境、事業内容、組織体制、法的規制等、様々なリスク要因が当社グループの経営成績に重要な影響を与える可能性があると認識しております。
そのため、当社グループは常に市場動向に留意しつつ、内部管理体制を強化し、優秀な人材を確保し、市場のニーズに合ったサービスを展開していくことにより、経営成績に重要な影響を与えるリスク要因を分散・低減し、適切に対応を行ってまいります。
e 経営戦略の現状と見通し
今後における当社グループの事業を取り巻く経営環境は、原材料の高騰や、同業者間での価格やサービスの競争等により、引き続き厳しい状況で推移していくことが予想されます。
こうした状況のなか、当社グループにおきましては、日本国内において今後も安定した収益基盤を構築するとともに、今後更なるインフラ整備の需要増大が期待されるアセアン地域において、事業の拡大を図るため、積極的な事業展開を図ってまいります。
f 経営者の問題意識と今後の方針について
当社グループが今後の業容を拡大し、より良いサービスを継続的に展開していくためには、経営者は「第2 事業の状況 1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等 (3) 会社の対処すべき課題」に記載の様々な課題に対処していくことが必要であると認識しております。
これらの課題に対応するために、常に外部環境の構造やその変化に関する情報の入手及び分析を行い、アセアン地域でのシェア拡大、優秀な人材の採用と教育、安全への取り組み、営業体制の強化を図ってまいります。
該当事項はありません。
2022年8月31日現在
(注) 1.現在休止中の主要な設備はありません。
2.帳簿価額のうち「その他」は、工具、器具及び備品であります。
3.〈 〉内の数値は内書きで、賃貸中のものになります。
4.上記の他、連結会社以外から賃借している主要な設備はありません。
5.賃貸不動産のうち、JESCO新中野ビルの一部は、連結子会社であるJESCO株式会社に賃貸しており、事務所として使用しております。
2022年8月31日現在
(注) 1.現在休止中の主要な設備はありません。
2.帳簿価額のうち「その他」は、工具、器具及び備品であります。
3.上記の他、連結会社以外から賃借している主要な設備はありません。
(3) 在外子会社
2022年8月31日現在
(注) 1.現在休止中の主要な設備はありません。
2.上記の他、連結会社以外から賃借している主要な設備はありません。
(注) 1.2022年9月1日から2022年10月31日までの間に、新株予約権の行使により、発行済株式総数が2,700株増加しております。
2.提出日現在の発行数には、2022年11月1日からこの有価証券報告書提出日までの新株予約権の行使により発行された株式数は、含まれておりません。
3.発行済株式のうち、65,000株は、2021年12月14日開催の取締役会決議により、2022年1月13日付で譲渡制限付株式報酬として新株式を発行した際における現物出資(金銭報酬債権32,370千円)によるものであります。
当社は、新株予約権方式によるストックオプション制度を採用しております。当該制度は、会社法に基づき新株予約権を発行する方法によるものであります。
当該制度の内容は、次のとおりであります。
第1回新株予約権
(注) 1.新株予約権1個あたりの目的となる株式数は、1株であります。
ただし、新株予約権の割当日後、(注)2のa,b,c,d,e,fに掲げる事由により行使価額の調整を行った場合、本新株予約権1個当たりの目的となる株式数は次の算式により調整されるものとし、調整の結果生じる1株未満の端数は切り捨てる。
2.新株予約権の割当日後、次のa,b,cに掲げる事由により当会社の株式数に変更が生ずる場合または変更を生ずる可能性がある場合は、行使価額を次に定める算式(以下「行使価額調整式」という。)をもって調整する。行使価額調整式の計算については、円単位未満小数第1位まで算出し、小数第1位を四捨五入する。
a 当会社の株式数に新株予約権の割当日後、行使価額調整式に使用する調整前行使価額を下回る払込金額
をもって募集株式を発行する場合
b 株式の分割により株式を発行する場合
c 行使価額調整式に使用する調整前行使価額を下回る価格をもって当会社の株式を発行又は交付を受け
ることができる証券を発行する場合
また、新株予約権の割当日後、次のd,e,fの各号に該当する場合には、当会社は本新株予約権者に対し
て、あらかじめその旨並びにその事由、調整後の行使価額及び適用の日、その他必要な事項を通知した
うえ、行使価額の調整を適切に行うものとする。
d 合併、株式交換、株式移転、当会社分割、資本の減少、もしくは株式の併合のために行使価額の調整を
必要とするとき。
e 前号のほか、当会社の発行済株式数の変更又は変更の可能性を生ずる事由の発生によって行使価額の
調整を必要とするとき。
f cに定める証券につき株式の発行又は交付を受けることができる権利が消滅したとき。ただし、その証
券の全部について、株式の発行又は交付を受けた場合を除く。
3.新株予約権の行使の条件は次のとおりであります。
(1) 各新株予約権の行使にあたっては、一部行使ができるものとする。
(2) 本新株予約権は、当会社の株式が東京証券取引所またはその他株式市場(国内外を問わず。)に上場した
場合に限り行使することができる。
(3) 本新株予約権者は、本新株予約権の権利行使時において、当会社、当会社子会社の取締役、監査役、従業
員の地位にあることを要する。ただし、当会社に対する過去の貢献や将来のその期待に鑑み、当会社取締
役会が相当と認める場合は、別異の取扱をすることができる。
(4) 本新株予約権者が死亡した場合、その者の相続人は本新株予約権を行使することができる。
(5) 本新株予約権について取得事由が発生していない場合に限り、本新株予約権を行使することができる。
4.2015年4月14日開催の取締役会決議により、2015年4月30日付で株式1株を10株に株式分割しております。これにより「新株予約権の目的となる株式の数」、「新株予約権の行使時の払込金額」及び「新株予約権の行使により株式を発行する場合の株式の発行価格及び資本組入額」が調整されております。
該当事項はありません。
(注) 1.新株予約権の行使による増加であります。
2.譲渡制限付株式報酬としての新株式発行による増加であります。
発行価額 449円
資本組入額 224.5円
割当先 当社の取締役(社外取締役を除く)2名、当社の執行役員4名
子会社の取締役5名、子会社の執行役員11名
3.譲渡制限付株式報酬としての新株式発行による増加であります。
発行価額 391円
資本組入額 195.5円
割当先 当社の取締役(社外取締役を除く)2名、当社の執行役員3名
子会社の取締役5名、子会社の執行役員10名
4.譲渡制限付株式報酬としての新株式発行による増加であります。
発行価額 500円
資本組入額 250円
割当先 当社の取締役(社外取締役を除く)2名、当社の執行役員3名
子会社の取締役3名、子会社の執行役員8名
5.譲渡制限付株式報酬としての新株式発行による増加であります。
発行価額 498円
資本組入額 249円
割当先 当社の取締役(社外取締役を除く)2名、当社の執行役員5名
子会社の取締役3名、子会社の執行役員6名
6.2022年9月1日から2022年10月31日までの間に、新株予約権の行使により、発行済株式総数が2,700株、資本金が297千円、資本準備金が297千円、それぞれ増加しております。
2022年8月31日現在
(注)自己株式11,585株は、「個人その他」に115単元、「単元未満株式の状況」に85株含まれております。
2022年8月31日現在
1 報告セグメントの概要
(1) 報告セグメントの決定方法
当社グループの報告セグメントは、当社グループの構成単位のうち分離された財務情報が入手可能であり、当社の取締役会において経営資源の配分の決定及び業績を評価するために、定期的に検討を行う対象となっているものであります。
当社グループは、持株会社である当社と事業会社である連結子会社から構成されております。
(2) 各報告セグメントに属する製品及びサービスの種類
①国内EPC事業
ETC、防災行政無線、消防無線、CCTV、移動体通信工事、アミューズメント、施設(再開発、大修繕)、太陽光、資機材納入(輸出)
LEDビジョン等の運用・サービス・レンタル、システム企画設計・販売
②アセアンEPC事業
設計(電気、通信、電気計装、機械、空調)、工事(電気、通信、電気計装、機械、空調)、ベトナムを中心とした資材輸出入、ベトナムを中心とした人材サービス
③不動産管理事業
不動産の賃貸・運用