株式会社かんぽ生命保険
(注) 1.当社は、株式給付信託(BBT)を設定しておりますが、株主資本において自己株式として計上されている信託が保有する当社株式は、1株当たり純資産額の算定上、期末発行済株式総数から控除する自己株式に含めており、また、1株当たり当期純利益の算定上、期中平均株式数の計算において控除する自己株式に含めております。
2.潜在株式調整後1株当たり当期純利益については、潜在株式が存在しないため記載しておりません。
3.従業員数は、就業人員数(当社及び当社の子会社(以下「当社グループ」といいます。)外から当社グループへの出向者を含み、当社グループから当社グループ外への出向者を除く。)であり、臨時従業員数(無期転換制度に基づく無期雇用転換者(アソシエイト社員)を含み、派遣社員を除く。)は、年間の平均雇用実績(1日8時間換算)を[ ]内に外書きで記載しております。なお、主に2022年4月からの新しいかんぽ営業体制への移行に伴い、従業員数が第17期より大幅に増加しております。
(注) 1.基礎利益は、保険料等収入、保険金等支払金、事業費等の保険関係の収支と、利息及び配当金等収入を中心とした運用関係の収支からなる、生命保険会社の基礎的な期間損益の状況を表す指標であります。
2.基礎利益上の運用収支等の利回りは、「(基礎利益に含まれる運用収支-契約者配当金積立利息繰入額)/一般勘定責任準備金」として算出しております。
なお、特別勘定については該当ありません。
3.一般勘定責任準備金は、危険準備金を除く一般勘定部分の責任準備金について、次の算式で算出しております。
(期始責任準備金+期末責任準備金-予定利息)×1/2
また、責任準備金及び予定利息は、実際積立額基準で算出しております。
4.第17期より、経済的な実態の反映及び各社間の取扱いに一貫性を持たせる観点から、基礎利益の計算方法について一部改正(為替に係るヘッジコストを基礎利益の算定に含め、投資信託の解約益を基礎利益の算定から除外)がなされており、基礎利益上の運用収支等の利回りを含め、これを適用しております。また、第16期の数値は、第17期における計算方法を適用した数値であります。
5.平均予定利率とは、予定利息の一般勘定責任準備金に対する利回りのことであります。
6.当社は、株式給付信託(BBT)を設定しておりますが、株主資本において自己株式として計上されている信託が保有する当社株式は、1株当たり純資産額の算定上、期末発行済株式総数から控除する自己株式に含めており、また、1株当たり当期純利益の算定上、期中平均株式数の計算において控除する自己株式に含めております。
7.第13期の1株当たり配当額72円には、特別配当4円を含んでおります。
8.潜在株式調整後1株当たり当期純利益については、潜在株式が存在しないため記載しておりません。
9.従業員数は、就業人員数(他社から当社への出向者を含み、当社から他社への出向者を除く。)であり、臨時従業員数(無期転換制度に基づく無期雇用転換者(アソシエイト社員)を含み、派遣社員を除く。)は、年間の平均雇用実績(1日8時間換算)を[ ]内に外書きで記載しております。なお、主に2022年4月からの新しいかんぽ営業体制への移行に伴い、従業員数が第17期より大幅に増加しております。
10.最高・最低株価は、2022年4月3日以前は東京証券取引所市場第一部におけるものであり、2022年4月4日以降は東京証券取引所プライム市場におけるものであります。
当社は、2005年10月に成立した郵政民営化法に基づき、2006年9月1日に「株式会社かんぽ」として設立され、2007年9月30日までの間、生命保険会社として営業を開始するための準備を行ってまいりました。同年10月1日に、生命保険業の開始に伴い、商号を「株式会社かんぽ生命保険」に変更し、同日以降は、生命保険業及び独立行政法人郵便貯金・簡易生命保険管理機構(2019年4月1日より「独立行政法人郵便貯金簡易生命保険管理・郵便局ネットワーク支援機構」に名称変更しております。以下、別段の記載がない限り「郵政管理・支援機構」といいます。)の委託を受けて行う簡易生命保険管理業務を行っております。
(注) 1.米国法人の日本支店が日本法人化され、日本支店の事業については日本法人へ承継されたことにより、本書提出日現在における契約先はアフラック生命保険株式会社となっております。
2.業務提携先グループ内部における業務移管により、本書提出日現在における業務提携先は第一生命ホールディングス株式会社となっております。
(参考)簡易生命保険の沿革
(参考) 当社の設立経緯等
(1) 設立経緯
1885年に設立され、郵便事業、郵便為替事業及び郵便貯金事業を行っていた逓信省において、1916年に簡易生命保険事業、1926年に郵便年金事業が創業されました。その後、1949年に郵政省が設立され、郵政事業は逓信省から郵政省に引き継がれました。
2001年1月、郵政省は自治省及び総務庁との統合により発足した総務省及び郵政事業の実施に関する機能を担う同省の外局として置かれた郵政事業庁に再編された後に、2002年7月に郵政公社化関連4法が公布され、2003年4月に日本郵政公社(以下「公社」といいます。)が発足することとなりました。
2004年9月、公社の4機能(窓口サービス、郵便、郵便貯金及び簡易生命保険)をそれぞれ株式会社として独立させること、これらの株式会社を子会社とする純粋持株会社を設立すること等を主な内容とする「郵政民営化の基本方針」が閣議決定され、2005年10月に郵政民営化関連6法が成立いたしました。
これに伴い、2006年9月に、民営化後の業務を準備する会社「株式会社かんぽ」として、当社が設立されました。
2007年10月、郵政民営化(郵政民営化関連6法の施行)に伴い公社が解散すると、その業務その他の機能並びに権利及び義務は、5つの承継会社(日本郵政株式会社、郵便事業株式会社、郵便局株式会社、株式会社ゆうちょ銀行及び当社)及び郵政管理・支援機構に引き継がれました。これにより、5つの承継会社を中心とした日本郵政グループが発足いたしました。
同時に、当社は「株式会社かんぽ」から「株式会社かんぽ生命保険」に商号を変更し、生命保険業を開始いたしました。
(2) 郵政民営化法及び日本郵便株式会社法の改正
2012年10月1日に施行された郵政民営化法の改正により、郵便事業株式会社と郵便局株式会社は、郵便局株式会社を存続会社として合併し、日本郵便株式会社となり、日本郵政グループは5社体制から4社体制へと再編されました。また、日本郵政株式会社及び日本郵便株式会社においては、それまで郵便のサービスについて定められていたユニバーサルサービス義務の範囲が拡大され、郵便の役務、簡易な貯蓄、送金及び債権債務の決済の役務並びに簡易に利用できる生命保険の役務が、利用者本位の簡易な方法により郵便局で一体的にかつあまねく全国において公平に利用できることが確保されるよう、郵便局ネットワークを維持することが義務づけられました(かかる義務に基づき日本郵便株式会社の郵便局ネットワーク(以下「郵便局ネットワーク」といいます。)を通じて行われる役務提供を、以下「ユニバーサルサービス」といいます。)。同時に、日本郵便株式会社法において、保険窓口業務が健全、適切かつ安定的に運営されるための契約の締結が、日本郵便株式会社の業務の範囲として定められ、改正後の郵政民営化法により、その契約の当初の相手方は当社であることが定められました。これを受けて、当社と日本郵便株式会社との間で、日本郵便株式会社が当社の保険契約に係る保険窓口業務を行うことを内容とした保険窓口業務契約を締結するとともに、郵政民営化法の改正に係る国会審議を踏まえ、日本郵便株式会社による保険のユニバーサルサービスの安定的な提供に資するため、当該契約を締結する旨を当社の定款に規定いたしました。当該契約は、ユニバーサルサービス義務が課せられた保険窓口業務の具体的な内容として、当社の普通終身保険、特別終身保険、普通養老保険及び特別養老保険に係る保険募集並びに保険金支払請求の受理を郵便局において実施することを定めております。
(3) 日本郵政株式会社、株式会社ゆうちょ銀行及び当社の上場並びに金融2社の株式の処分
2011年に施行された復興財源確保法(東日本大震災からの復興のための施策を実施するために必要な財源の確保に関する特別措置法)において、政府が保有する日本郵政株式会社の株式については、その売却収入を東日本大震災に係る復興債の償還費用の財源に充てるため、政府が保有しなければならない3分の1超にあたる部分を除き、早期に処分されることが定められており、かつ、改正後の郵政民営化法においても、同様に、日本郵政株式会社の株式については、政府が保有しなければならない3分の1超にあたる部分を除き、早期に売却することが定められております。
また、改正後の郵政民営化法において、日本郵政株式会社が所有する株式会社ゆうちょ銀行及び当社(以下「金融2社」といいます。)の株式については、金融2社の経営状況、ユニバーサルサービス確保の責務の履行への影響等を勘案しつつ、その全部をできる限り早期に処分することが定められております。
このような法令上の要請に加え、日本郵政株式会社が政府と検討を進めた結果、金融2社の株式についても経営の自由度確保のため早期の処分が必要であること、また、金融2社の株式価値を日本郵政株式会社の価格への透明性を持って反映させることといった観点を総合的に勘案し、3社(日本郵政株式会社、株式会社ゆうちょ銀行及び当社)の上場はいずれも遅らせることなく、同時に行うことが最も望ましいという判断から、政府による日本郵政株式会社の株式の売出し・上場にあわせ、金融2社の株式についても、同時に売出し・上場を目指す方針が決定され、2015年11月、当社は日本郵政株式会社及びゆうちょ銀行とともに、東京証券取引所市場第一部へ上場いたしました。
日本郵政株式会社は、2021年5月に公表した新たな中期経営計画「JPビジョン2025」において、期間中のできる限り早期に日本郵政株式会社が保有する金融2社株式の保有割合を50%以下とすることで、経営の自由度向上を目指すとしております。なお、金融2社株式の保有割合が50%以下となった以降も、郵政民営化法の規定の趣旨、グループ経営の観点等に基づき、株式処分について検討を進めることとしております。
かかる方針の下、2019年4月の日本郵政株式会社による当社株式の2次売出し及び当社による自己株式取得、並びに2021年5月の当社による自己株式取得等により、日本郵政株式会社が有する当社議決権の所有割合は2021年6月に49.9%程度まで低下しました。
この結果、同社による保有割合が50%を下回ったことから、「3 事業の内容 (参考) 郵政民営化法による特例措置」に記載のとおり、新商品の開発・販売等の新たな業務を行う際の郵政民営化法上の認可手続きが不要となり、届出制に移行しました。
当社グループは、保険業法に基づく免許・認可を得て生命保険業を営む当社を中心とした企業グループであり、当社及び連結子会社1社を中心に構成されております。
また、当社グループは、当社の親会社である日本郵政株式会社を中心とした日本郵政グループにおける、生命保険事業セグメントを担っております。
なお、日本郵政グループは、生命保険業のほか、郵便・物流事業、郵便局窓口事業、国際物流事業、銀行業等を行っております。
当社の営む事業の主な内容は次のとおりであります。
(1) 生命保険業
当社は、生命保険業免許に基づき、次の①~③の保険引受業務及び④~⑫の資産運用業務を行っております。ただし、当社には、他の生命保険会社にはない、業務を行うにあたっての郵政民営化法による制約があります。詳細は下記「(参考) 郵政民営化法による特例措置(4)~(6)」に記載のとおりであります。
(注) 当社と郵政管理・支援機構との間で再保険契約を締結し、郵政民営化法により公社から郵政管理・支援機構に承継された、簡易生命保険契約に基づく郵政管理・支援機構の保険責任のすべてを当社が受再しております。
(2) 他の保険会社(外国保険業者を含みます。)その他金融業を行う者の業務の代理又は事務の代行
当社の支店では、当社の保険商品の販売に加え、次の保険会社の商品の受託販売等を行っております。
・アフラック生命保険株式会社
・エヌエヌ生命保険株式会社
・住友生命保険相互会社
・第一生命保険株式会社
・東京海上日動あんしん生命保険株式会社
・日本生命保険相互会社
・ネオファースト生命保険株式会社
・三井住友海上あいおい生命保険株式会社
・明治安田生命保険相互会社
・メットライフ生命保険株式会社
(3) 郵政管理・支援機構から委託された簡易生命保険管理業務
当社は、郵政民営化法により公社から郵政管理・支援機構に承継された、簡易生命保険契約の管理業務を、郵政管理・支援機構から受託しております。
当社の連結子会社であるかんぽシステムソリューションズ株式会社は、情報システムの設計、開発、保守及び運用業務の受託を行っております。なお、当社グループのセグメントについては、単一セグメントであるため記載を省略しております。
事業の系統図は、次のとおりであります。
2023年3月31日現在

(注) 1.簡易生命保険契約の保険責任のすべてを再保険。
2.簡易生命保険契約の管理業務(保険料の収納、保険金の支払、契約の維持・管理、資産運用業務等)を委託。
3.当社の生命保険契約の募集及び維持・管理業務を委託。
4.郵政管理・支援機構から委託を受けた簡易生命保険契約の管理業務の一部を再委託。
5.簡易郵便局に対する当社の生命保険契約に係る教育・指導・管理を委託。
6.当社の生命保険契約の募集業務を委託。
7.当社から委託を受けた当社の生命保険契約の維持・管理業務を再委託。
8.当社から再委託を受けた簡易生命保険契約の管理業務の一部を再々委託。
9.持分法を適用していない非連結子会社3社及び関連会社8社については、記載を省略しております。
(参考) 郵政民営化法による特例措置
当社の事業運営は、生命保険会社として保険業法を遵守することに加え、郵政民営化法及び関係政省令を遵守して遂行する必要があります。郵政民営化法及び関係政省令の主な目的は、郵政事業の改革を通じて、国内における公正かつ自由な競争を促進し、皆さまの利便向上及び経済の活性化を目指すことに加えて、日本郵政グループ各社の業務と同種の業務を営む事業者との対等な競争条件を確保するための措置を講じることにあります。このため、(1)に定める期間においては、新規業務を開始する場合に他の生命保険会社には課されていない追加的な手続きが求められ、また、当社が提供する商品の設計についても、他の生命保険会社には課されていない法令上の制約(以下、これらの制約等を「本特例措置」といいます。)が適用されることとなります。詳細は次のとおりであります。
(1) 本特例措置が継続する期間
本特例措置が継続する期間は、次に掲げる日のいずれか早い日までであります(郵政民営化法第134条)。
・日本郵政株式会社が保有している当社株式を全部処分した日
・郵政民営化法第135条第1項の決定(※)があった日
※ 内閣総理大臣及び総務大臣は、日本郵政株式会社から総務大臣に当社株式の2分の1以上を処分した旨の届出があり、その旨を総務大臣が内閣総理大臣に通知した日以後に、当社と他の生命保険会社との適正な競争関係等を阻害するおそれがないと認められるときには、本特例措置を適用しないことを決定しなければなりません。内閣総理大臣及び総務大臣は、かかる決定を行うにあたっては、郵政民営化委員会の意見を聴取することとされております。
「2 沿革 (参考) 当社の設立経緯等」に記載のとおり、日本郵政株式会社が有する当社議決権の所有割合は49.9%程度まで低下し、日本郵政株式会社から総務大臣に対し、2021年6月9日付けで、当社株式の2分の1以上を処分した旨の届出が行われております。
<郵政民営化委員会とは>
郵政民営化委員会は、内閣に設置されております。主な所掌事務は次のとおりであります(郵政民営化法第18条、第19条)。
・3年ごとに、日本郵政株式会社、日本郵便株式会社、株式会社ゆうちょ銀行及び当社の経営状況並びに国際金融市場の動向その他内外の社会経済情勢の変化を勘案しつつ、郵政民営化の進捗状況について総合的な検証を行い、その結果に基づき、内閣総理大臣に意見を述べること
・郵政民営化法の各条において、内閣総理大臣及び総務大臣が郵政民営化委員会への通知を行うとされている事項について、必要があると認めるときは、内閣総理大臣を通じて関係各大臣に意見を述べること
・上記のほか、郵政民営化に関する事項について調査審議し、その結果に基づき、内閣総理大臣に意見を述べること等
(2) 新規業務等に係る郵政民営化法の手続き
当社は、これまで新規業務、新商品の開発・販売、新たな方法による資産運用を行う場合には、郵政民営化法上、内閣総理大臣及び総務大臣の認可が必要とされておりましたが(郵政民営化法第138条)、上記(1)に記載のとおり、2021年6月9日付けで、日本郵政株式会社が当社株式の2分の1以上を処分した旨を総務大臣に届け出たことから、この日以後は、新規業務等に係る認可手続きは不要となり、届出制(※)へと移行しております。
※ 日本郵政株式会社が当社株式の2分の1以上を処分した旨を総務大臣に届け出た日以後は、本特例措置が終了する日まで、従前の認可手続きに代わり、新たな業務を行おうとするときは、その内容を定めて内閣総理大臣及び総務大臣に届け出るとともに、業務を行うにあたっては、他の生命保険会社との適正な競争関係及び利用者への役務の適切な提供を阻害することのないよう特に配慮しなければならないとされております(郵政民営化法第138条の2)。なお、郵政民営化委員会から2021年10月14日に公表された「株式会社かんぽ生命保険の新規業務に関する届出制の運用に係る郵政民営化委員会の方針(令和3年10月)」において、届出後に必要に応じて郵政民営化委員会による調査審議が実施される場合があり、その場合の調査審議に要する期間はこれまでの認可制に比べて短縮される旨の方針が示されております。
新規業務、新商品、資産運用方法に係る規制の詳細は、それぞれ下記(3)~(5)に記載のとおりであります。
(3) 業務範囲
① 保険業法による定め
生命保険会社が営むことのできる業務の範囲については、保険業法第97条の規定により行う業務(以下「固有業務」といいます。)として定められており、「保険の引受け」と「資産の運用」がその範囲に含まれます。また、生命保険会社は、固有業務のほか、当該業務に付随する業務(以下「付随業務」といいます。)を行うことができるとされていますが、付随業務のうち、他の保険会社等の業務の代理又は事務の代行を行う場合は、内閣総理大臣の認可が必要となります(保険業法第98条)。
② 郵政民営化法による定め
当社が付随業務を行う場合には、郵政民営化法上の届出が必要となります(郵政民営化法第138条の2)。
手続きの詳細については、上記(2)に記載のとおりであります。
(4) 新商品の開発・販売
① 保険業法による定め
新たな商品の開発・販売にあたり、生命保険業免許の申請時に添付書類として提出した事業方法書、普通保険約款、保険料及び責任準備金の算出方法書の内容に変更が必要となる場合には、内閣総理大臣の認可が必要となります(保険業法第4条、第123条)。
② 郵政民営化法による定め
当社が事業を承継した公社が旧簡易生命保険法の定めにより2006年6月30日現在において引受けを行っていた以下の保険種類以外の保険について、当社が引受けを行う場合には、郵政民営化法上の届出が必要となります。
また、以下の保険種類であっても、公社が引受けを行っていた商品と、契約者配当の有無等、一定の差異のある保険について、当社が引受けを行う場合には、郵政民営化法上の届出が必要となります(郵政民営化法第138条の2)。
手続きの詳細については、上記(2)に記載のとおりであります。
<公社が引受けを行っていた保険種類>
・終身保険、定期保険、養老保険、家族保険、財形貯蓄保険
・終身年金保険、定期年金保険、夫婦年金保険
・次の二つの保険を一体として提供する保険
終身保険及び終身年金保険で被保険者を同じくするもの
終身保険及び定期年金保険で被保険者を同じくするもの
養老保険及び定期年金保険で被保険者を同じくするもの
家族保険及び夫婦年金保険で主たる被保険者及び配偶者たる被保険者を同じくするもの
・特約
(5) 新たな資産運用の方法
① 保険業法による定め
生命保険会社の資産運用は、以下の方法によらなければならないとされております(保険業法第97条、保険業法施行規則第47条)。
・有価証券、不動産、金銭債権、短期社債等、金地金の取得
・金銭、有価証券の貸付け
・民法第667条第1項に規定する組合契約又は商法第535条に規定する匿名組合契約に係る出資
・預金又は貯金
・金銭、金銭債権、有価証券又は不動産等の信託
・金融商品取引法第2条第20項、第28条第8項第6号、保険業法第98条第1項第8号に規定するデリバティブ取引
・先物外国為替取引
・上記に掲げる方法に準ずる方法
② 郵政民営化法による定め
当社が以下に掲げる方法以外の方法により資産を運用しようとするときには、郵政民営化法上の届出が必要となります(郵政民営化法第138条の2)。
手続きの詳細については、上記(2)に記載のとおりであります。
<手続きが不要な資産運用>
・保険契約者に対する資金の貸付け
・地方公共団体に対する資金の貸付け
・コール資金の貸付け
・日本郵政株式会社又は日本郵便株式会社に対する資金の貸付け
・郵政管理・支援機構に対する資金の貸付け
・郵便貯金銀行及び郵便保険会社に係る移行期間中の業務の制限等に関する命令第16条に定める次の方法
国債証券、地方債証券、政府保証債、社債券、外国債、不動産の取得(投資の目的をもって取得するものを除く)、金融機関への預金、先物外国為替取引等
(6) 引受け可能な保険金額等の制約
郵政民営化法及び同施行令上、被保険者一人につき当社が引受け可能な保険金額等の限度(加入限度額)が定められております。また、この加入限度額については、簡易生命保険契約の被保険者一人あたりの保険金額等との合算であります(郵政民営化法第137条及び郵政民営化法施行令第6条から第8条)。
① 保険(基本契約)の加入限度額
財形貯蓄保険及び年金保険を除く保険契約(終身保険、定期保険、養老保険、家族保険)については、保険金額に関して、以下の限度額が定められております。
・被保険者が満15歳以下の場合・・・被保険者一人あたり:700万円
・被保険者が満16歳以上の場合・・・被保険者一人あたり:1,000万円
(注) 1.被保険者が満20歳以上満55歳以下の場合で、加入後4年以上経過した契約がある場合には、当該契約の保険金額のうち、1,000万円までは上記限度額には含みません。
2.特定養老保険(保険契約加入後早期に病気で死亡した場合等の保険金額を低く設定した養老保険)については、年齢にかかわらず、被保険者一人あたり500万円が上限となっております。
3.被保険者が満55歳以上の場合は、普通定期保険、普通定期保険(R04)及び特別養老保険(死亡保険金額を満期保険金額の2倍、5倍又は10倍とする養老保険)については、被保険者一人あたり800万円が上限となっております。
<当社が引受け可能な保険金額の限度額の概要>

② 財形貯蓄保険
財形貯蓄保険(勤労者財産形成促進法第6条第1項第2号及び第4項第2号に規定する契約に係る保険業法第3条第4項第1号に掲げる保険)については、払込保険料の総額に関して、以下の限度額が定められております。
被保険者一人あたり:550万円
③ 年金(基本契約)の加入限度額
年金保険については、年金の年額に関して、以下の限度額が定められております。
被保険者一人あたり:初年度の基本年金額 90万円
(注) 1.過去に販売していた年金保険の中には、年金の支払い開始の2年目以降から年金額が逓増する種類がありますが、この逓増額は上記限度額に含まれません。
2.過去に販売していた年金保険の中には、契約者配当金を年金の支払い時に積み増ししてお支払いする種類がありますが、この積み増す額は上記限度額に含まれません。
3.過去に販売していた年金保険の中には、夫婦が被保険者となる種類の年金保険がありますが、この場合、配偶者である被保険者に係る額は、上記限度額に含まれません。
④ 特約の加入限度額
特約については、それぞれの事由において、保険金額に関して、以下の限度額が定められております。
a.疾病にかかったこと、傷害を受けたこと又は疾病にかかったことを原因とする人の状態、傷害を受けたことを直接の原因とする死亡及びこれらに類するものに対する保障・・・被保険者一人あたり:合計1,000万円
b.上記に掲げるものに関し、治療を受けたことに対する保障・・・被保険者一人あたり:1,000万円
(注) 上記の法令で定める加入限度額以外にも、基本契約の保険種類等により付加できる特約の保険金額に一定の制限があります。
(7) 子会社の保有に関する特例
① 保険業法による定め
生命保険会社が子会社として保有できる会社は、保険業法により、生命保険会社、損害保険会社、少額短期保険業者、銀行等、特定の業を営む会社に限定されております。
また、保有が認められている会社を子会社とする場合は、内閣総理大臣の認可又は内閣総理大臣への届出が必要となります(保険業法第106条、第127条)。
② 郵政民営化法による定め
郵政民営化法において、当社は、生命保険会社、損害保険会社、少額短期保険業者、保険業を行う外国の会社を子会社としてはならないと定められております(郵政民営化法第139条)。
また、保有が認められている会社を子会社とする場合、郵政民営化法上の認可又は届出が必要となります(郵政民営化法第139条、第149条)。
なお、当社が、子会社化することが禁じられている業種の会社に対して、子会社化に至らない議決権割合で出資する場合であっても、監督官庁からの監督上の措置(郵政民営化法第147条)により、当該出資が制限される可能性があります。
(8) 事業再編等に関する特例
① 保険業法による定め
生命保険会社が以下の行為を行う場合、内閣総理大臣の認可を受けなければ、その効力を生じないとされております(保険業法第139条、第142条、第167条、第173条の6)。
・保険契約の移転
・事業の譲渡又は譲受け
・合併
・会社分割
② 郵政民営化法による定め
郵政民営化法上、当社が以下の行為を行う場合、郵政民営化法上の認可を受けなければ、その効力を生じないとされております(郵政民営化法第141条)。
・保険業法第135条に規定する保険契約の移転
・当社を当事者とする事業の全部又は一部の譲渡又は譲受け
・当社を当事者とする合併
・当社を当事者とする会社分割
ただし、以下の場合には、認可を受けられないこととされております。
・保険契約の移転について、移転先会社が日本郵政株式会社又は当社の子会社であるとき
・事業の譲渡又は譲受けについて、保険の引受けに係る事業の全部の譲渡であるとき及び保険の引受けに係る事業の譲受けであるとき
・合併について、合併により当社が消滅するとき及び合併の相手方が保険会社であるとき
・会社分割について、吸収分割承継会社又は新設分割設立会社に保険契約を承継させるものであり、かつ、吸収分割承継会社等が日本郵政株式会社又は当社の子会社となるとき
(注) 有価証券報告書の提出会社であります。
2023年3月31日現在
(注) 1.当社グループは、単一セグメントであるため、セグメント別に代えて会社別の記載をしております。
2.従業員数は、就業人員数(当社グループ外から当社グループへの出向者を含み、当社グループから当社グループ外への出向者を除く。)であり、臨時従業員数(無期転換制度に基づく無期雇用転換者(アソシエイト社員)を含み、派遣社員を除く。)は、年間の平均雇用実績(1日8時間換算)を[ ]内に外書きで記載しております。なお、提出会社の従業員数は、主に2022年4月からの新しいかんぽ営業体制への移行に伴い、前連結会計年度末に比べ11,603名増加しております。
2023年3月31日現在
(注) 1.当社は、単一セグメント、単一事業部門であるため、内務職員・営業職員別の記載をしております。
2.従業員数は、就業人員数(他社から当社への出向者を含み、当社から他社への出向者を除く。)であり、臨時従業員数(無期転換制度に基づく無期雇用転換者(アソシエイト社員)を含み、派遣社員を除く。)は、年間の平均雇用実績(1日8時間換算)を[ ]内に外書きで記載しております。なお、主に2022年4月からの新しいかんぽ営業体制への移行に伴い、前連結会計年度末に比べ、内務職員の従業員数は1,703名、営業職員の従業員数は9,900名増加しております。
また、臨時従業員数について内務職員・営業職員の区分は行っておりません。
3.平均勤続年数は、郵政省、総務省郵政事業庁及び公社から通算した勤続年数であります。
4.平均年間給与は、賞与及び基準外賃金を含んでおります。なお、平均年間給与の算出にあたっては、前年度までは当社を本籍とする社員を対象としておりましたが、2022年4月からの新しいかんぽ営業体制への移行に伴い出向者が増加したため、今年度より日本郵政株式会社、日本郵便株式会社及び株式会社ゆうちょ銀行から当社への出向者も対象に追加しております。前年度と同様に当社を本籍とする社員を対象として平均年間給与を算出した場合、内務職員は6,630千円、営業職員は6,755千円となります。
当社には労働組合として、日本郵政グループ労働組合、郵政産業労働者ユニオンが組織されております。
また、当社の連結子会社であるかんぽシステムソリューションズ株式会社においては、JICDユニオンが組織されております。
なお、労使関係については、概ね良好であり、特記すべき事項はありません。
① 提出会社
(注)1.女性の職業生活における活躍の推進に関する法律の規定により公表している指標等に基づき記載しております。
2.管理職に占める女性労働者の割合は2023年4月1日時点の実績を、その他の指標は当連結会計年度における実績を記載しております。
3.管理職に占める女性労働者の割合は、提出会社を本籍とする社員を対象としており、他社からの出向者を含めておらず、他社への出向者を含めております。なお、2022年4月からの新しいかんぽ営業体制への移行に伴う出向者を含める場合の割合は9.3%です。新しいかんぽ営業体制への移行に伴う出向者は、エリア本部、支店、かんぽサービス部へ出向となった社員を指します。
4.男性労働者の育児休業取得率は、他社からの出向者を含み、他社への出向者を含めておりません。加えて、臨時雇用(無期転換制度に基づく無期雇用転換者(アソシエイト社員)を含みます。)を含めておりません。男性労働者の育児休業取得率は、当連結会計年度に配偶者が出産した社員のうち、育児休業等を開始した社員(開始予定の申出者を含む。)の割合を記載しております。
5.労働者の男女の賃金の差異は、提出会社における賃金台帳に記載のある社員を対象としており、出向契約の締結内容に基づき、当社より給与を支払っている他社からの出向者及び他社への出向者を含んでおります。
6.労働者の男女の賃金の差異は、賃金台帳を基に、その雇用する男性労働者の賃金の平均(平均年間賃金=賃金総額÷人員数)に対するその雇用する女性労働者の賃金の平均の割合を記載しております。総賃金から退職手当は除き、人員数から休職中の社員は除いております。また、無期転換制度に基づく無期雇用転換者(アソシエイト社員)は正規(無期)雇用労働者に含めて記載しております。
7.労働者の男女の賃金の差異のうち正規労働者の主な要因は、①給与が高い管理職における女性割合が低いこと、②給与が高くなる主要要素の一つである勤続年数について、男性の方が、2023年4月1日時点で平均勤続年数が約6年以上長いことにあります。非正規労働者の主な要因は、男性のうち約4割を占める専門職採用者の給与が高いことにあります。なお、賃金の基準は、性別に関係なく同一です。
② 連結子会社
(注)1.女性の職業生活における活躍の推進に関する法律の規定により公表している指標等に基づき記載しております。
2.管理職に占める女性労働者の割合は2023年4月1日時点の実績を、その他の指標は当連結会計年度における実績を記載しております。
3.管理職に占める女性労働者の割合は、当該連結子会社を本籍とする社員を対象としており、他社からの出向者を含めておらず、他社への出向者を含めております。
4.男性労働者の育児休業取得率は、他社からの出向者を含み、他社への出向者を含めておりません。加えて、臨時雇用(無期転換制度に基づく無期雇用転換者(アソシエイト社員)を含みます。)を含めておりません。男性労働者の育児休業取得率は、当連結会計年度に配偶者が出産した社員のうち、育児休業等を開始した社員(開始予定の申出者を含む。)の割合を記載しております。
5.労働者の男女の賃金の差異は、当該連結子会社における賃金台帳に記載のある社員を対象としており、出向契約の締結内容に基づき、当該連結子会社より給与を支払っている他社からの出向者及び他社への出向者を含んでおります。
6.労働者の男女の賃金の差異は、賃金台帳を基に、その雇用する男性労働者の賃金の平均(平均年間賃金=賃金総額÷人員数)に対するその雇用する女性労働者の賃金の平均の割合を記載しております。総賃金から退職手当は除き、人員数から休職中の社員は除いております。また、無期転換制度に基づく無期雇用転換者(アソシエイト社員)は正規(無期)雇用労働者に含めて記載しております。
7.労働者の男女の賃金の差異のうち正規労働者の主な要因は、①給与が高い管理職における女性割合が低いこと、②給与が高くなる主要要素の一つである勤続年数について、男性の方が、2023年4月1日時点で平均勤続年数が約6年以上長いことにあります。非正規労働者の主な要因は、男性のうち約4割を占める専門職採用者の給与が高いことにあります。なお、賃金の基準は、性別に関係なく同一です。
文中の将来に関する事項は、別段の記載がない限り、本書提出日現在において当社グループが判断したものであります。
当社が掲げる経営理念には、お客さまによりそい、一人ひとりの人生を守り続けていくために、全社員一丸となって歩んでいくという、当社の決意が込められております。この経営理念を実現するため、当社が目指していく具体的な姿を経営方針として制定しております。
いつでもそばにいる。どこにいても支える。すべての人生を、守り続けたい。
かんぽ生命保険は、お客さまから選ばれる真に日本一の保険会社を目指します。
① お客さま一人ひとりの人生によりそい、分かりやすい商品と質の高いサービスを提供します。
② お客さまにより良いサービスを提供するため、お客さまと接する社員が力を発揮する態勢を整備します。
③ 社員一人ひとりが成長でき、明るく生き生きと活躍できる環境をつくります。
④ コーポレート・ガバナンスの確立による健全な経営を行い、常に新しい価値を創造することで、持続的な成長を生み出します。
⑤ 健康促進、環境保護、地域と社会の発展に積極的に貢献します。
⑥ すべてのステークホルダーと密接なコミュニケーションを図ります。
2022年度の日本経済は、新型コロナウイルス感染症の国内での断続的な感染再拡大や、各国中央銀行の金融引締め政策等による海外経済の減速等の影響を受けたものの、行動制限緩和に伴う個人消費の回復、入国規制緩和によるインバウンド需要の持ち直しや、設備投資の回復等から、緩やかに回復しました。米国経済は、物価上昇を背景とした積極的な金融引締めが続く中で住宅投資が大きく減速したものの、個人消費や設備投資が下支えとなり、底堅く推移しました。欧州経済は、サービス業の回復が一巡したことに加え、エネルギー価格の高止まりや金融引締め等により需給両面の要因から製造業の活動が停滞し、減速基調で推移しました。
こうした経済状況の中、運用環境は以下のようになりました。
国内長期金利は、日本銀行の長短金利操作付き金融緩和政策のもと、11月まで概ね0.17%~0.25%程度で推移しましたが、12月に日本銀行が長期金利の許容変動幅を±0.25%程度から±0.5%程度に拡大したことを受けて、0.5%程度まで上昇して推移しました。その後は、米中堅銀行の経営破綻を契機とした金融不安の高まりや、海外中銀の利上げ打ち止め観測等から海外金利が低下する中、国内長期金利も低下し、3月末は0.35%程度となりました。
日経平均株価は、円安の進展や行動制限緩和による企業業績の改善期待から8月に29,000円台まで上昇しましたが、9月には各国の金融引締め政策等による世界景気の後退懸念から25,000円台まで下落しました。その後は概ねレンジでの推移となり、12月の日本銀行による長短金利操作の修正や、3月の米中堅銀行の破綻を契機として下落する場面もありましたが、海外中銀の利上げ打ち止め観測や、各国金融当局の迅速な対応による金融不安の鎮静化等を受けて持ち直し、3月末は28,000円台となりました。
また、近年、生命保険業界を取り巻く経営環境は大きく変化しております。
少子高齢化の進展や単身世帯の増加に伴い伝統的な死亡保障へのニーズが縮小する一方、社会保障制度に対する不安感や自助努力意識の高まりから、医療・介護等の第三分野商品に対するニーズの拡大が見られ、今後もこの傾向は継続するものと考えられます。さらに、新型コロナウイルス感染症の影響により、お客さまに迅速かつ適切に保険金等をお支払いするという生命保険事業の社会的役割は重要性を増しております。また、各種サービスのデジタル化に向けた取り組み等が進展しており、当社としても、時代とともに加速するお客さまの価値観やライフスタイルの変化・多様化に合わせて最適なサービスを提供できるよう、引き続きお客さま本位の業務運営の推進・定着に取り組んでいます。
販売チャネルにつきましては、新型コロナウイルス感染症の感染拡大に伴う環境変化等により、従来からの営業職員チャネルや銀行を中心とした金融機関の窓口販売チャネル等の対面チャネルに加え、デジタル技術の活用により非対面・非接触での保険サービスを提供する取り組みが進んでおります。
当社におきましては、創業以来、養老保険・終身保険を中心とした簡易で小口な商品を、全国津々浦々の郵便局を通じて、家庭市場を中心に多くのお客さまにご提供するという独自のビジネスモデルを展開してまいりました。商品・チャネル・顧客基盤といったこれらの特徴は、他社にはない当社の大きな強みである一方、時代や環境の変化に適応したビジネスモデルの転換を図る必要性を認識しております。かかる課題認識を踏まえた当社の成長戦略の詳細は、下記「(4) 経営戦略及び対処すべき課題」に記載のとおりであります。
また、当社は、2019年度において、お客さまのご意向に沿わず不利益が生じた契約乗換等に係る事案及び法令違反又は社内ルール違反が認められた事案が判明いたしました。これにより、2019年12月27日に金融庁から、保険業法第132条第1項に基づく業務停止命令(2020年1月1日から3月31日まで)及び業務改善命令を受け、2020年1月31日に業務改善計画を金融庁に提出し、その後定期的に進捗状況を報告しております。
当該業務改善計画の実施状況については、下記「(4) 経営戦略及び対処すべき課題」に記載のとおりであります(以下、かかる事案の経緯及び再発防止に向けた取り組み等を総称し、「募集品質に係る諸問題」といいます。)。
当社は、お客さまから真に信頼される企業へと「再生」し、お客さまに「かんぽ生命に入っていてよかった」と感動いただけるよう、お客さま体験価値(CX)※1を最優先とするビジネスモデルへ転換することで、「持続的成長」を目指す、との経営の方向性を示すものとして、2022年3月期からの中期経営計画を、2021年5月に公表いたしました。本中期経営計画において、当社グループは、お客さまのご評価を主要目標として設定し、「お客さま満足度」※2や「ネットプロモータースコア(NPS®)」※3の向上を目指してまいります。また、ご契約の継続を重視し、経営基盤を維持していくためのストックベースの目標として「保有契約件数(個人保険)」を設定するとともに、財務目標として「連結当期純利益」、「1株当たり配当額」及び「EV成長率」を設定しております。
※1 お客さま体験価値(CX)とは、Customer Experienceの略語で、商品やサービスの価格や性能といった機能的な価値だけではなく、保険加入前から加入後のアフターフォロー、保険金支払までのプロセスすべてを通じてもたらされる満足感などの感情的・心理的な価値も含めた、お客さまが体験されるすべての価値のことです。
※2 お客さま満足度を5段階評価として、「満足」「やや満足」として回答いただいた合計割合です。
※3 ネットプロモータースコア(NPS®)とは、Net Promoter Scoreの略語であり、ベイン・アンド・カンパニー、フレッド・ライクヘルド、サトメトリックス・システムズの登録商標です。
当該主要目標の達成状況については、下記「4 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (3) 目標とする経営指標の達成状況等」に記載のとおりであります。
(当社における募集品質に係る諸問題について)
当社は、2019年度において発生した当社及び当社代理店の募集品質に係る諸問題に関し、2019年12月27日に金融庁から、保険業法第132条第1項に基づく業務停止命令(2020年1月1日から3月31日まで)及び業務改善命令を受け、2020年1月31日に業務改善計画を金融庁に提出し、その後定期的に進捗状況を報告しております。業務改善計画において掲げた再発防止策(健全な組織風土の醸成・適正な営業推進態勢の確立、適正な募集管理態勢の強化及び取締役会等によるガバナンスの強化)については、2023年4月までにすべて実施済みとなっております。
(中期経営計画)
当社は、2021年5月に、2021年度から2025年度までの中期経営計画を公表いたしました。この中期経営計画において、当社は、生命保険会社としての社会的使命を果たしていくため、今一度「いつでもそばにいる。どこにいても支える。すべての人生を、守り続けたい。」との経営理念に立ち返り、お客さまから真に信頼される企業へと再生し、お客さま体験価値(CX)を最優先とするビジネスモデルへ転換することで、持続的な成長を目指しております。
しかしながら、2022年度の新契約は緩やかな回復に留まっており、保有契約も減少傾向が継続していることから、2023年度においては、特に、営業推進体制の改革を通じて、コンサルタント一人ひとりの成長を促していく「営業力の底力をつける取り組み」とお客さま体験価値の向上に加え、業務の効率化による生産性の向上や一層のコスト削減を図る「ビジネスモデルの改革」に両輪として取り組み、社員一人ひとりが主体的に行動することで持続的な成長を実現してまいります。
① 再生に向けた取り組み
ア.信頼回復に向けた取り組みの継続
2022年4月より、当社は専門性と幅広さを兼ね備えた新しいかんぽ営業体制を構築し、日本郵政グループ一体での総合的なコンサルティングサービスを実施しております。2023年度は、新しいかんぽ営業体制構築の意義を踏まえ、2023年度の営業目標の達成と、向こう3年間を見据えて営業の底力を築いていくことを目指し、取り組みを進めてまいります。具体的には、営業社員の育成について、中長期的な視点で一人ひとりの能力を伸ばすため、一人ひとりの能力の伸びを定量的に評価する仕組みを構築します。加えて、経営課題である営業推進に会社を挙げて取り組むため、本社・フロントライン※が一体で営業を推進する体制へと改革します。その上で、目標達成に向けた手段を本社から示すとともに、積極的に意思疎通を図ることで、本社とフロントラインの情報・考え方を常に一致させ、全社を挙げて営業推進に取り組んでまいります。
今後も、上記の取り組みを通じて、新しいかんぽ営業体制を定着させ、お客さまのご意向に沿った提案を更に増やすことにより、新契約の回復を通じて保有契約の確保を目指してまいります。
※ フロントラインとは、お客さま対応を行う営業部門等のことです。
イ.事業基盤の強化
a.保険サービスの充実
人生100年時代における、あらゆる世代のお客さまの保障ニーズにお応えするとともに、世代を繋ぎ顧客基盤の拡大に寄与する保険サービスの開発を進めてまいります。
具体的には、2023年4月より、戻り率※を改善するなど学資保険「はじめのかんぽ」の商品改定を実施しており、より魅力的な商品をお客さまに提供することで、青壮年層のお客さまの利用拡大に繋げるとともに、学資保険を起点に、ご加入いただいたお客さま等から、そのご家族や知人へ当社商品をお勧めいただくことで、お客さま数を広げてまいりたいと考えております。今後も、継続的にお客さまニーズに応える保険サービスの開発に取り組んでまいります。
※ 戻り率とは、払い込みいただく保険料総額に対する、受け取れる学資金の割合のことです。
b.資産運用の深化・高度化
資産運用においては、ERM※1のフレームワークの下、ALM※2運用を基本として、安定的な資産運用収益の確保を目指すとともに、2025年予定の経済価値ベースの新資本規制導入の動きに適切に対処しつつ、オルタナティブ※3等の投資領域ごととポートフォリオ構築の両面から資産運用を深化・高度化してまいります。なお、収益追求資産への投資については、米国金利の上昇等の直近の市場環境の変化に適切に対応するため、ポートフォリオを見直したことにより、中期経営計画期間において、総資産に占める収益追求資産の比率が16%程度となることを見込んでおります。引き続き、リスク許容量と投資機会に応じてオルタナティブ等の収益追求資産への投資を継続してまいります。
ESG※4投資については、温室効果ガス削減目標達成に向けた投資先に対する目的を持った対話(エンゲージメント)の強化、中期経営計画期間中のKPIに設定した、投融資先再生可能エネルギー施設の総発電出力の目標達成に向けた投融資の積極化、「インパクト“K”プロジェクト」※5を通じた社会課題解決に向けたインパクト志向の投資※6の推進を進めてまいります。
※1 ERMとは、Enterprise Risk Managementの略語で、会社が直面するリスクに関して、潜在的に重要なリスクを含めて総体的に捉え、会社全体の自己資本などと比較・対照することによって、事業全体として行うリスク管理のことです。
※2 ALMとは、Asset Liability Managementの略語で、資産負債の総合管理のことです。
※3 オルタナティブとは、債券や上場株式などの相対的に歴史の長い金融商品(伝統的資産)以外の新しい投資対象や投資手法の総称です。
※4 ESGとは、環境(Environment)・社会(Social)・ガバナンス(Governance)の頭文字を合わせた言葉です。
※5 「インパクト“K”プロジェクト」とは、かんぽ生命が独自に定める投資のフレームワークを用いることで、当社の実現したい未来の社会及びそれに繋がる社会課題解決に向け、各アセットの特性に応じてインパクト志向の投資を推進する取り組みです。
※6 インパクト志向の投資とは、財務的リターンと並行して、ポジティブで測定可能な社会的及び環境的インパクトを同時に生み出すことを意図する投資行動を指します。
c.事業運営の効率化・高度化
当社はDX(デジタルトランスフォーメーション)推進により、お客さまサービス向上と業務の効率化及び経費の削減に取り組んでおります。具体的には、デジタルを活用し、保険金請求等の手続きの受付において簡易で分かりやすい操作方法等を導入し、コンサルタント等の業務を効率化するとともに、受付時のペーパーレス化を実現することにより、印刷費や書類保管費用を削減し、その場で処理を完結させることで、書類審査や請求内容のシステム入力等のバックオフィス業務を削減してまいります。併せて、当社のフロントラインにおける内務事務の見直しや効率化の推進に取り組んでまいります。このほか、当社の旅費支払等の業務を、日本郵政コーポレートサービス株式会社に委託することで、業務の更なる効率化を実現してまいります。
今後も中期経営計画に掲げる業務の効率化、経費の削減や強化領域への投資などの取り組みを進め、事業運営の効率化・高度化を進めてまいります。
② 持続的成長に向けた取り組み
ア.お客さま体験価値の向上
当社は、引き続き、お客さま体験価値(CX)の向上の観点から、保険サービスを抜本的に見直し、お客さまの利便性や募集品質を向上させることで、「かんぽ生命に入っていてよかった」と感動いただけるよう取り組みます。また、その体験価値をご評価いただいたお客さまから、そのご家族や知人、更には地域・社会全体へかんぽ生命をお勧めいただくことで、お客さま数を広げてまいります。
具体的には、「お客さま一人ひとりに寄り添う最適なご提案」、「その場で完結する簡便な手続きの提供」、「チーム一体でのきめ細やかなサポート」、「お客さまとのつながりを重視したアフターフォロー」に取り組んでまいります。
なお、これらの取り組みの実現には、高い技術力を持ったデジタル人材を獲得することが必要不可欠であり、その実現に向け、2023年5月に、当社の連結子会社であるかんぽシステムソリューションズ株式会社において子会社「かんぽデジタルシステムズ株式会社」を設立しております。当該子会社を活用し、クラウド運用や開発といった先進技術を導入することで、当社のお客さま体験価値の向上を加速させてまいります。
a.お客さま一人ひとりに寄り添う最適なご提案
お客さまのニーズや必要な保障内容などについてデジタルを活用したツール等により可視化するとともに、遠方にお住いのご家族等にも同席いただける仕組みを導入し、お客さま一人ひとりに最適なご提案を行ってまいります。2023年度においては、営業社員がお客さまのご意向を、正しく・漏れなく・適切なタイミングで把握するためのシステムサポート機能の導入に取り組んでまいります。
b.その場で完結する簡便な手続きの提供
デジタル技術の活用により、お客さまのニーズに応じて、オンライン、対面等様々なお申込み・ご請求形態を選択できるようにしてまいります。2023年度には、契約者さま向けWebサービス(マイページ)において、貸付の一部弁済や、ご契約者さまと被保険者さまが別人の保険契約における、貸付を可能とする機能等を拡充するとともに、ご家族でもマイページの閲覧ができるようにしてまいります。加えて、保険金受取人の指定・変更請求等から請求受付やバックオフィス業務のデジタル化を開始するとともに、対象請求を順次拡大し、その場で完結する簡便な手続を更に可能としてまいります。
また、お客さまの契約状況や問合せチャネルに関わらず、デジタルや非対面チャネルを効果的に組み合わせ、お客さまのお困りごとをスムーズに解決する体制の構築に取り組んでおります。
c.チーム一体でのきめ細やかなサポート
コンサルタント、郵便局窓口に加えてカスタマーセンタースタッフなど、お客さまにご対応するすべての社員がチーム一体で、きめ細やかなあたたかみのあるサポートを提供できる環境を整備してまいります。具体的には、2023年4月に、カスタマーサービス推進部を新設し、サポートの本格開始に向け体制強化を図っております。加えて、2022年度から一部地域で実施している、申込手続時にオンラインでご意向確認を行う取り組みについて、対象地域の拡大を進めております。更に、お客さまと当社のコンタクト情報等を契約単位で集約した、お客さまデータベースの稼働を開始しており、2023年度には、お客さまからの各種請求を、契約単位ではなくお客さま単位で漏れなく受付可能となるよう機能拡大に取り組んでまいります。
d.お客さまとのつながりを重視したアフターフォロー
訪問による対面の対応に加えて、オンラインなど様々な方法による手厚いアフターフォローや、メール等によるお客さまごとに最適なタイミングでの情報提供を行うなど、お客さまのニーズに幅広くお応えすることで、お客さまの周囲の方々も含めた信頼の獲得を目指してまいります。2023年度には、お客さまのライフイベントや関心に応じた有益な情報のメール配信等を順次拡大するとともに、各種手続きや次のステージのライフプランのご相談をサポートする取り組み等を行うことで、手厚いアフターフォロー等を実施してまいります。また、各種請求や手続きを実施したお客さま情報等をコンサルタントへ連携・通知し、アフターフォローを行う施策を一部地域において開始しており、2023年度中の全国展開に向け準備を進めております。
イ.ESG経営の推進(社会課題の解決への貢献)
当社は、自らの社会的使命を果たすことで、サステナビリティ(持続可能性)を巡る社会課題の解決に貢献してまいります。優先的に取り組む社会課題(マテリアリティ)として、「郵便局ネットワーク等を通じた保険サービスの提供」、「地域と社会の発展・環境保護への貢献」、「健康増進等による健康寿命の延伸・Well-being※1向上」、「社員一人ひとりが生き生きと活躍できる環境の確立」、「社会的使命を支えるコーポレートガバナンス」の5つの課題を設定し、解決に向けて取り組んでまいります。
具体的には、カーボンニュートラルの実現に向けた温室効果ガス排出量の削減や女性管理職比率の向上に向けた取り組みに加え、2023年度の重点的な取り組みとして、人権デューデリジェンス※2や生物多様性の保全に向けた対応も進めてまいります。今後も推進態勢の更なる強化を図るとともに、サステナビリティレポート等を通じて、積極的に情報開示をしてまいります。また、当社のマテリアリティの一つである「地域と社会の発展・環境保護への貢献」の実現及び当社の信頼感・認知度の更なる向上のため、社会の中で生きていく力の素地を形成する時期である小学校高学年向けに、「お金の教育」に係る当社独自の教材を活用した授業を実施してまいります。
加えて、当社は、介護や相続といった社会課題の解決に向けて、お客さまにとってなくてはならないサービスの開発に取り組んでおります。2022年11月には、ベンチャー企業やベンチャー投資に関する調査・研究を行うかんぽNEXTパートナーズ株式会社を当社の子会社として設立し、2023年2月には、ベンチャー企業へ投資業務を行う会社とすることについての認可申請を行っております。今後、更なるベンチャー企業の成長への貢献と当社との事業連携による新サービスの開発等によるお客さまへの提供価値の向上を目指してまいります。
※1 Well-beingとは、肉体的にも、精神的にも、そして社会的にも、すべてが満たされた状態にあることです。
※2 人権デューデリジェンスとは、企業が人権に与える影響を特定し、対処するための継続的なプロセスを指します。
③ 再生と成長のための土台作り
ア.企業風土改革・働き方改革
当社は、経営陣と社員が将来のビジョンを共有し、一人ひとりがやりがい(ES)を感じながら会社とともに成長する企業を目指します。
具体的には、経営陣と社員のコミュニケーションの活性化、中長期的な人材ポートフォリオモデルを踏まえた社員一人ひとりの多様なキャリア形成の支援、マネジメント力の強化、人事評価制度の高度化を柱とした企業風土改革を推進してまいります。また、全社員を対象としたES調査(エンゲージメントスコア調査)を通じて、上記取り組みの効果検証及び改善、並びに全社及び各職場の課題解決に全社を挙げて取り組むとともに、テレワークの活用などにより多様で柔軟な働き方を選択できる環境を整備し、働き方改革を推進してまいります。併せて、女性活躍推進、仕事と育児・介護との両立支援、障がい者雇用の推進、性の多様性に対する理解浸透等による、ダイバーシティの実現を推進してまいります。
これらの取り組みにより、社内コミュニケーションが活性化され、相互理解の下、全社が一体感を持ち、お客さま本位の考え方に基づき自律的・主体的に行動する会社を実現してまいります。
イ.ガバナンスの強化
当社は、組織としての透明性・公平性を確実に高め、更には、社員一人ひとりのリスク感度を高めることにより、健全な事業運営を行ってまいります。
健全なコーポレートガバナンスを確保した上で、不祥事件等対策、マネー・ローンダリング等対策及び個人情報保護・情報セキュリティ対策を強化するなど、健全な業務運営を確保するための取り組みを継続して実施してまいります。なお、不適切な取扱いが発覚した場合には、速やかに事実確認を行うとともに、再発防止策を講じ、その徹底を図ってまいります。また、当社の提供する保険サービスなどがマネー・ローンダリング等に悪用されることを防止する観点から、事業の特性及び代理店の状況並びに法令等を踏まえ、マネー・ローンダリング等に係るリスクの低減や顧客管理態勢の高度化に取り組んでおります。このほか、DX戦略の推進に合わせて、サイバー攻撃への検知をはじめ情報セキュリティ管理態勢の強化に取り組んでまいります。
上記の中期経営計画の取り組み等を実施することで、株主、投資家をはじめとする様々なステークホルダーの皆さまのご期待に沿えるよう、持続的な企業価値の向上を目指してまいります。
有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、経営者が当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況並びに企業価値を表すEV(エンベディッド・バリュー)等の指標に重要な影響を与える可能性があると認識している主要なリスクは、以下のとおりであります。
なお、当社グループでは、事業等のリスクを「最も重要なリスク」、「重要なリスク」、「上記以外のリスク」に分類しており、当該リスクの分類及び各リスク情報の記載にあたっては、当社グループの経営陣の各リスクの影響、発生可能性、対応策等に関する認識を適切に反映させるため、2023年3月末現在の経営会議の構成員である常務以上の執行役及び業務を統轄する執行役に対して、事業等のリスクに関するアンケートを実施し、その集計結果を踏まえ、リスク管理委員会及び経営会議で協議を行うとともに、社外取締役からの意見聴取を行っております。
文中の将来に関する事項は、別段の記載がない限り、本書提出日現在において当社グループが判断したものであります。
Ⅰ 最も重要なリスク
(1) 事業戦略・経営計画に関するリスク
当社は、2019年度に発生した、お客さまのご意向に沿わず不利益が生じた契約乗換等に係る事案及び法令違反又は社内ルール違反が認められた事案(以下、本「事業等のリスク」において「募集品質問題」といいます。)等の反省を踏まえ、お客さまから真に信頼される企業へと再生し、持続的な成長を目指すため、「信頼回復に向けた取り組みの継続」、「事業基盤の強化」、「お客さま体験価値の向上」、「ESG経営の推進(社会課題の解決への貢献)」、「企業風土改革・働き方改革」、「ガバナンスの強化・資本政策」に取り組むことを基本方針とした2021年度から2025年度を計画期間とする中期経営計画(以下「中期経営計画」といいます。)をはじめとする事業戦略・経営計画を策定しておりますが、これらに含まれる施策には、本「事業等のリスク」に記載された各種のリスクが内在しております。また、将来において、当社による上記施策の実施を阻害するリスクが高まる又は新たなリスクが生じる可能性もあります。
さらに、これらの事業戦略・経営計画は、市場金利、外国為替、株価、事業環境、法制度、一般的経済状況、新しい営業体制の下での当社及び日本郵便株式会社の社員の活動状況などの多くの前提を置き、作成されておりますが、かかる前提どおりとならない場合や各施策に対する十分な事業評価が行われない場合には、当該計画における目標を達成できない可能性があります。なかでも、新契約の実績は、2022年4月から新しい営業体制を立ち上げ、お客さま担当制や新医療特約の取扱いなどを開始する中、お客さまとの面談件数は堅調に推移したものの、提案数の増加には十分結びついておらず、結果として緩やかな回復に留まっております。収益の源泉となる保有契約が減少する中で純利益への影響も顕在化してきており、このまま、新契約の実績が想定どおりに進捗しないなどの期間がより長期にわたり継続する場合には、保有契約件数の減少等につながり、当社グループの事業、業績、財政状態及びEV等の指標に重大な悪影響を及ぼす可能性があります。
当社は、自己株式取得等により、日本郵政株式会社が有する当社議決権の所有割合が50%を下回ったことから、新商品の販売開始にあたって郵政民営化法に基づく認可手続きは不要となり、届出制へ移行したため、新商品の投入スピードの向上が見込まれるものの、当社が届出を適時適切に行うことができない、郵政民営化委員会から適正な競争関係の確保と役務の適切な提供の配慮義務に関して必要な意見が述べられる、金融庁による保険業法上の認可が得られない等の事由により、新商品を予定どおりに販売できない可能性や、販売した場合であっても予想を超える外部要因等により収益が確保できない等、当該商品が当初想定した成果をもたらさない可能性があります。このような結果、当社グループの業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
さらには、中期経営計画期間において、デジタルトランスフォーメーション(DX)推進等をはじめ、当社全体で約2,500億円規模の投資を行うこととしております。これらの投資は減価償却等を通じて今後数年間にわたり費用化されるとともに、その管理・維持には相当程度のコストが生じる見込みでありますが、投資額やコストに見合った成果が得られない場合には、当社グループの業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
中期経営計画に掲げた各種施策のうち、当該計画における目的の達成にあたり特に重要なリスクの存在が認められる他の事項は以下のとおりであります。
① 当社の企業風土又は組織文化に関するリスク
募集品質問題に係る事案の事実関係及び原因等の究明に関して、日本郵政株式会社、日本郵便株式会社及び当社のいずれとも利害関係を有しない弁護士3名から構成される「かんぽ生命保険契約問題 特別調査委員会」が2019年12月に公表した調査報告書では、当社グループにおいて、「リスク事象を探知した際の原因追究・解決の先送り」、「問題の矮小化」並びに「部門間の横での連携不足及び上意下達の下での情報伝達の目詰まり」といった企業風土又は組織文化が従前から存在してきたことが指摘されました。当社グループでは、業務改善計画に基づき、経営陣主導の下、健全な企業風土の醸成に取り組んでおり、中期経営計画においては、社員一人ひとりがやりがい(ES)を感じながら、会社とともに成長できる企業を目指しておりますが、かかる取り組みが奏功しない又は奏功するまでに想定以上の期間を要する場合には、類似の事案が再発するなど、当社グループの社会的信用、業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
② 人材に関するリスク
当社グループは、生命保険会社としての業務遂行のため、保険営業、保険数理、資産運用、リスク管理等各分野において安定した事務遂行と高い専門性を有する有能で熟練した人材を必要としております。加えて、昨今のデジタル技術の進化・普及に伴い、当社のDX推進を担う人材の確保・育成も喫緊の課題と認識しております。しかし、有能で熟練した人材は限られており、かつ、人材の確保においては同業他社等と競合しているため、有能で熟練した人材の採用又は育成及び定着を図ることができない可能性があります。また、魅力的な労働条件や職場環境を提供できない場合、人事処遇、勤務管理、ハラスメントなどの人事労務上の問題や職場の安全衛生管理上の問題等が発生した場合には、人材の流出、不足等を招く可能性があります。
当社グループでは、中期経営計画において、社員一人ひとりがやりがい(ES)を感じながら会社とともに成長できる企業を目指すとの方針の下、経営陣と社員のコミュニケーションの活性化、多様なキャリア形成の支援及びマネジメント力の強化、人事評価制度の高度化に取り組むとともに、自律的な改善活動の推進やテレワークの定着化などによる多様で柔軟な働き方を実現する働き方改革に取り組んでおります(詳細は「2 サステナビリティに関する考え方及び取組」に記載のとおりであります。)。
また、新しいかんぽ営業体制を構築し、確かな募集品質に基づく質を伴った営業活動により生命保険のご提案及びアフターフォローへ専念するコンサルタントを当社が直接責任をもってマネジメントする体制を整備するとともに、コンサルタント一人ひとりのスキルに応じた研修やサポート体制の整備等に取り組んでおります。
さらに、日本郵政グループ一体での総合的なコンサルティングサービスの実現のため、引き続き、当社社員の育成とともに、日本郵便株式会社における郵便局社員の育成にも取り組んでおります。
以上の施策により、社員のモチベーションや満足度の向上、退職者数の抑制を図ることで、中期経営計画に掲げる再生と持続的成長の実現のための土台作りに取り組んでおりますが、これらの取り組みが奏功しない又は奏功するまでに想定以上の期間を要する場合には、当社グループの競争力の相対的な低下を招き、結果として、当社グループの事業、業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
③ 新しいかんぽ営業体制の構築に関するリスク
当社は、中期経営計画において、お客さまの多様な保障ニーズに対応した保険サービスを提供していくため、コンサルタントの保険専業での活動・お客さま担当制の導入・活動拠点の集約等を通じ、専門性と幅広さを兼ね備えた新しいかんぽ営業体制を構築し、日本郵政グループ一体での総合的なコンサルティングサービスを実現することとしておりますが、かかる新体制における処遇やマネジメント態勢等が十分に浸透しないこと等により、保険募集に対するモチベーションが低下する場合や、従来の営業体制からの移行がうまくいかない場合は、当該計画における目標を達成できず、当社グループの事業、業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。また、新しいかんぽ営業体制の構築により、営業活動の量及び成果にかかわらず、コンサルタント等の人件費等は当社が負担することになりましたが、かかる費用に見合った成果が得られない場合には、当社グループの業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
④ 日本の人口動態、商品、顧客構成に関するリスク
1970年代半ば以降、日本の出生率は総じて徐々に低下する傾向にあり、現在は世界で最低の水準にあります。国立社会保障・人口問題研究所の推計によれば、15歳から64歳までの人口は今後も減少し続けるであろうと予測されており、この傾向が日本国内における生命保険の総保有契約高減少の主要な要因であると考えております。
当社の取り扱う商品は、個人向け生命保険、とりわけ養老保険・終身保険などの貯蓄性商品の割合が高く、前述の長期的な日本の人口動態等の要因のほか、国内の雇用水準及び家計水準、代替商品であるその他の商品に対する相対的魅力、保険会社の財務健全性、社会的信用に対する一般的な認識が、新契約数や保有契約の消滅率に影響を及ぼしているほか、長引く低金利環境等により、貯蓄性商品の貯蓄としての魅力が低下しております。
また、当社の顧客基盤は中高年層及び女性の比重が高く、青壮年層の割合が相対的に低くなっております。
当社では、人口減少や公的医療費の増加等の社会的課題を踏まえ、2022年4月より、お客さまの保障ニーズに対応するため、医療特約「もっとその日からプラス」の取扱い等を開始し、また、2023年4月より、昨今の教育費用の高まりやお客さまからのご要望を受け、学資保険「はじめのかんぽ」の改定を行うとともに、子育てに役立つ情報・サービスを提供する子育て支援サイトを開設するなど、青壮年層を含めたあらゆる世代のお客さまニーズにマッチした保険サービスの開発や、DX推進とともにお客さま体験価値(CX)を最優先とするサービス提供体制の構築を目指しておりますが、これらが想定どおりに進捗しない場合には、当社グループの事業、業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
(2) 事業環境等に関するリスク
① 経済環境の変動に伴うリスク
当社グループが行う事業は、その収益の多くが日本国内において生み出されるものであるため、国内の景気や世帯収入の動向、長期にわたる少子化に伴う国内の総人口及び労働人口の継続的な減少などが、当社グループの行う事業に影響を及ぼす可能性があります。また、足元では、世界的なインフレや金利上昇、景気後退懸念に加え、国家間紛争等の地政学リスクの顕在化や欧米における金融機関の破綻、新型コロナウイルス感染症の影響など、国内及び海外経済の不確実性が高まっており、金融市場及び実体経済への影響が懸念されております。これらの経済情勢等の動向は、事業費や資産運用など、当社グループの事業、業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
② 競合他社との競争に関するリスク
当社は、日本の生命保険市場において、国内生命保険会社、外資系生命保険会社、各種協同組合等との激しい競争に直面しており、近年は、商品内容・ラインアップ、販売チャネル、保険料水準等に関して、当社より優位に立っている会社もあります。また、統合や再編、異業種との提携等、又は新技術等(FinTechやサービスの自動化・AI化やDX推進など)を応用した魅力的な商品・サービスの開発により、競合他社が今後より高い競争力を備える可能性もあります。さらに、当社が業務範囲を拡大した場合や、当社を取り巻く規制緩和、新規参入等に伴い市場構造に変化が生じた場合に、現時点では競合関係にない会社との競合関係が新たに生じる可能性もあります。以上のような競合他社の動向等を踏まえ、当社は、中期経営計画において、事業基盤の強化に向けた日本郵政グループ一体での総合的なコンサルティングサービスの実現に向けた「新しいかんぽ営業体制の構築」、あらゆる世代のお客さまの保障ニーズにあった「保険サービスの充実」、DX推進による「事業運営の効率化」、新資本規制の導入を見据えた「資産運用の深化・高度化」とともに、お客さまに感動いただけるサービスによる「お客さま体験価値(CX)の向上」などに取り組んでおりますが、これらの取り組みが計画どおり進捗しない又は競合他社に劣後した場合には、当社の競争力に影響を及ぼす可能性があります。
(3) 募集品質・コンプライアンスに関するリスク
① 保険募集プロセスにおける品質確保に関するリスク
当社グループは、募集品質問題の発生を受け、お客さまからの信頼の早期回復、並びに保険募集プロセスにおける法令遵守及びお客さま本位の意識の徹底による募集品質の確保・向上を図るため、お客さまの不利益の解消に向けたご契約調査等の対応や2020年1月に金融庁へ提出した業務改善計画に基づく再発防止策(健全な組織風土の醸成、適正な営業推進態勢の確立、適正な募集管理態勢の強化及び取締役会等によるガバナンスの強化)に最優先かつ着実に取り組んでまいりました。
今後、これらの取り組みが期待された効果を発揮しない又は効果の発揮までに想定以上の期間を要する場合には、当社グループに対するステークホルダーからの信頼の回復に影響を及ぼす可能性があります。さらに、お客さまのご意向に沿わず不利益となる事例や法令違反又は社内ルール違反となる事例が新たに判明する場合、保険契約に対する苦情や無効申請等のお申し出が発生する場合には、当社グループの社会的信用、業績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。このように、今後、当社グループにおいて遵守すべき法令等の義務に反する行為が発生・発覚する場合、又は業務改善計画の進捗及び改善状況について監督当局がそれらを不十分と判断した等の場合、当該違反行為の規模や程度又は当社の取り組み状況によっては、監督当局から再度業務停止命令等の行政処分を受けるなど、当社グループの経営や事業の存続に重大な悪影響を及ぼす可能性があります。
② コンプライアンスに関するリスク
当社グループは、保険業法及び郵政民営化法に基づき、金融庁及び総務省の監督下にあります。加えて、保険法、消費者契約法、個人情報の保護に関する法律、犯罪による収益の移転防止に関する法律等、生命保険契約を取り扱う事業者として、各種関係法令の遵守の義務を負っております。
当社グループは、募集品質問題等の反省を踏まえ、法令等の遵守のみならず、利用者視点を欠く行為など社会的な期待に反する行為により、お客さまをはじめとするステークホルダーの信頼を失い、その結果、企業価値を毀損するリスクを「コンプライアンス・リスク」として定義し、リスク管理部門とコンプライアンス部門の連携を強化することにより、リスク管理態勢の強化を図ることとしております。これにより、高いリスク感度をもってリスク情報を検知するとともに、社員一人ひとりに社会の期待に応える行動を定着させることで、保険募集プロセス及びその他業務全般におけるコンプライアンス・リスクの顕在化を抑制してまいります。
さらに、お客さま本位の理念に基づく行動規範等を策定し、郵便局等の営業現場まで浸透させるための研修を実施するなど、全社を挙げて、より一層のコンプライアンスの強化に取り組んでおりますが、これらの指導・教育が十分な効果を発揮しないこと等により、不適正な募集活動などの法令等の違反が発生した場合には、当社グループの社会的信用、事業及び業績に影響を及ぼす可能性があります。
このほか、当社グループにおいては、従来から「コンプライアンス・プログラム」を策定し、役員・社員への定期的なコンプライアンス研修、情報管理の徹底、犯罪防止やマネー・ローンダリング、テロ資金供与及び拡散金融対策の強化等を通じ、法令遵守の徹底を図っておりますが、役員・社員による作為若しくは不作為による法令等の違反が発生した場合、又は法令等の違反を防止するための対策が効果を発揮しなかった場合には、当社グループの社会的信用及び事業に影響を及ぼす可能性があります。また、当社は膨大な保険契約や業務委託・物品購入等の契約を締結しておりますが、契約の相手方による詐欺的行為の被害を受けた場合、反社会的勢力との契約を締結した場合等には、当社グループの社会的信用及び事業に影響を及ぼす可能性があります。さらに、当社グループは、社員、代理店、業務委託先、保険契約者等による詐欺その他の不正による潜在的な損失リスクにさらされております。当社の社員及び代理店は、保険契約者との対話を通じて、保険契約者の個人情報を保有しており、違法な販売手法、詐欺、なりすまし、個人情報の紛失・漏えい又は不適切な利用等が発生してしまう可能性は否定できません。当社はこのような違法行為等を未然に防止し、又は発見するための対策を講じておりますが、当社の取り組みがこれらを排除できない場合には、当社グループの社会的信用及び事業に影響を及ぼす可能性があります。
(4) サイバー攻撃に関するリスク
当社においては、DX推進により、インターネットを活用したお客さまへのサービス提供に係るシステムが増加している一方、システムに対するサイバー攻撃手法は日々高度化・巧妙化しており、サイバーリスクはより一層深刻化しております。加えて、かかるリスクは、社会情勢の変化に伴う地政学的リスクや、委託先等の第三者のシステムを経由したサプライチェーンによるリスク等により、今後さらに増大する可能性があります。
このようなリスクを踏まえ、当社は、防御・検知の仕組みを組み合わせた多層防御の考え方に基づいた未然防止態勢、及びサイバー攻撃発生時にセキュリティ専門組織であるかんぽCSIRT(シーサート:Computer Security Incident Response Team)により、被害拡大防止に向けた適切な対応等を実施する態勢を整備しております。加えて、経済安全保障を考慮したデータガバナンスの強化、法令等に準拠した適正な業務運営態勢の確保、情報資産管理の強化及びサプライチェーンリスク対策の強化により、情報セキュリティ管理態勢をさらに強化するとともに、これらの土台となる全社的な情報リテラシーの向上及び情報管理ルールの徹底を図っております。
このように、当社は、恒常的にサイバーセキュリティ対策の高度化に取り組んでおりますが、かかる対策にもかかわらず、未知の脅威等により、当社の情報システムが機能しなくなり業務に多大な影響が生じることとなった場合には、影響範囲の調査・分析、復旧及び再発防止に要する時間と費用が生じることや当社グループの社会的信用が失墜すること等により、当社グループの事業、業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
(5) 日本郵便株式会社との関係に関するリスク
① ユニバーサルサービスの提供に関するリスク
日本郵便株式会社は、郵政民営化法上のユニバーサルサービスに係る規定を遵守するため、当社と生命保険募集・契約維持管理業務委託契約及び保険窓口業務契約を締結して当社の保険代理業務を受託し、全国の各郵便局において、当社の商品及びサービスを提供しております(詳細は「5 経営上の重要な契約等」に記載のとおりであります。)。特に、保険窓口業務契約は、期間の定めのない契約であり、本契約に定める特段の事情がない限り、当社から一方的に解除することはできないこととされております。また当社の定款上、当社は日本郵便株式会社との間で、保険窓口業務契約を締結する旨の規定が存在し、当該契約を終了させる場合には当社の定款変更が必要となります。したがって、当社が日本郵便株式会社との間の保険窓口業務契約を終了させるには、これらの手続等を充足する必要があります。
このように、当社が、ユニバーサルサービスの提供義務を負う日本郵便株式会社との間で、解除することが困難な保険窓口業務契約を締結していることで、日本郵便株式会社がユニバーサルサービスを提供する上での関連保険会社としての地位を維持する契約上の義務を負うため、当社の柔軟な事業展開が困難となる可能性があります。また、今後のユニバーサルサービスの確保に関する政府の施策、法令や規制等の改正等の内容によっては、当社グループの事業、業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
また、2018年12月の独立行政法人郵便貯金・簡易生命保険管理機構法の一部を改正する法律の施行により、従来は日本郵便株式会社と関連銀行・関連保険会社との間の契約に基づく委託手数料により賄われていた郵便局ネットワーク維持に要する費用のうち、ユニバーサルサービス確保のために不可欠な費用(日本郵便株式会社が負担すべき額を除く)は、同法に基づき、2020年3月期から、当社及び株式会社ゆうちょ銀行からの拠出金を原資として郵政管理・支援機構から日本郵便株式会社に交付される交付金で賄われております。この点、拠出金・交付金の額の算出に必要な当該不可欠な費用は、直近の郵便局ネットワークの維持の状況を基礎とした以下の費用の合計額として算定され、最終的には関係法令に基づき郵政管理・支援機構が算定するため、当社の意向が反映されるものではありません(なお、当該不可欠な費用及び交付金・拠出金の算定等に係る郵政管理・支援機構の事務費用は、郵便窓口業務、銀行窓口業務、保険窓口業務において見込まれる利用者による郵便局ネットワークの利用の度合等に応じて按分され、保険窓口業務に係る按分額を当社が拠出金として拠出することとなり、2023年3月期に当社が支払った拠出額は501億円です。)。
ア 郵便局ネットワークを最小限度の規模の郵便局により構成するものとした場合における人件費、賃借料・工事費その他の郵便局の維持に要する費用、現金の輸送及び管理に要する費用、固定資産税・事業所税
イ 簡易郵便局で郵政事業に係る基本的な役務が利用できるようにすることを確保するための最小限度の委託に要する費用
当社は、日本郵便株式会社がユニバーサルサービスを提供する上での関連保険会社として、当社特有の固定的事業費となる当該拠出金を拠出する必要があり、郵政管理・支援機構により算定された当該不可欠な費用の額が、当社の想定よりも多額である場合又は郵便局ネットワークの使用により当社グループが受ける利益と比較して多額である場合には、当社グループの事業、業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
② 日本郵便株式会社への委託手数料等に関するリスク
当社は、日本郵便株式会社と締結している生命保険募集・契約維持管理業務委託契約、保険窓口業務契約等及び代理店手数料規程等に基づき、日本郵便株式会社に対して委託手数料を支払っております。委託手数料には、日本郵便株式会社が当社に提供する業務に必要な経費単価に郵便局数等を乗じて算定するものや、保有契約の維持管理に必要なものなど、営業活動量に左右されず発生する固定的事業費となるものが含まれており、直ちに削減することができない可能性があるほか、当社からの委託業務に応じて費用が増加する可能性があります。
当社は、募集品質問題の発生を受け、2021年3月期から、契約の継続及び募集品質の向上を一層強化する観点にて一部手数料率等の見直しを行っており、今後も各年度における当社グループの事業戦略と整合させながら、適切なインセンティブの仕組みの導入を検討する場合があります。インセンティブの仕組みを含めた委託手数料体系の設定を適切に行わなかった場合には、募集品質の向上に関する当社の取り組みが不十分と評価され当社への信用が毀損する可能性や、新契約の実績又は保有契約の維持、業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。なお、2024年3月期においては、2023年3月期に引き続き、販売実績に対するボーナス手数料の追加は行わず、募集品質の向上に対するインセンティブの仕組みを実施しております(詳細は「5 経営上の重要な契約等 (参考) 日本郵便株式会社に支払う委託手数料」に記載のとおりであります。)。
③ 郵便局ネットワークに関するリスク
当社の商品及びサービスの提供の多くは、郵便局ネットワークを通じて行われておりますが、近年はコミュニケーション手段の多様化により、生活に必要な様々なサービスがインターネット等によって簡単に利用できるようになっており、さらに、新型コロナウイルス感染症の影響等により、非対面サービスへのニーズが高まっております。これらに伴う、郵便局数及び郵便局の利用者数又は利用頻度の減少により、郵便局ネットワークの販売力や魅力が損なわれる場合には、当社の新契約の実績や保有契約の維持に影響を及ぼす可能性があります。
郵便局における当社の商品及びサービスの提供は、業務委託先である日本郵便株式会社の社員により行われております。そのため、日本郵便株式会社が優秀な人材を確保できない場合や、当社による日本郵便株式会社の社員の保険業務に関する教育、特に新しい商品及びサービスに関する必要な知識の習得のための教育が十分でない場合等においては、当社の商品及びサービスの提供が期待どおりに行われない可能性があります。
上記のとおり、商品・サービスの供給の多くを郵便局ネットワークを通じて行っている当社のビジネスモデルには様々なリスクが内在しております。当社は、これらのリスクの顕在化に備え、専門性と幅広さを兼ね備えた新しいかんぽ営業体制を構築し、日本郵政グループ一体での総合的なコンサルティングサービスを実現する取り組みを実施するとともに、郵便局ネットワークを補完又は一部代替する商品・サービスの提供手段を検討してまいりますが、これらの対応が奏功しない場合には、当社グループの事業に影響を及ぼす可能性があります。
Ⅱ 重要なリスク
(6) 資産運用に関するリスク
① 国内金利に関する市場リスク
当社の資産構成は、円金利資産の割合が高く、当社の保険契約者に対する債務のデュレーションが運用資産より長期であるため、資産と負債のデュレーションのミスマッチによる国内金利の変動リスクを有しております。
2016年2月の日本銀行によるマイナス金利政策導入以降、低金利環境が継続しておりますが、当社が既に保有している保険契約の予定利率は変わらないことから、国内金利が現在の水準より低下した場合は、当初想定していた運用収益が確保できない、あるいは逆ざや(資産運用ポートフォリオの平均運用利回りが既契約の責任準備金の積立てに用いた予定利率を下回る現象)となる可能性があります。
一方、国内金利が現在の水準より上昇した場合には、資産運用利回りが上昇することにより、利息収入などの収益が向上するものの、債券価格の下落により、評価損・減損損失や売却損等が発生する可能性があります。また、保険契約者がより高い収益を得られる別の金融商品へ資金を移動させることにより、保険契約の解約が増加する可能性があります。
② ①以外の市場リスク
当社は外貨建資産を保有しており、その一部については、為替リスクをヘッジするため為替予約をしておりますが、為替リスクがヘッジされていない部分について、為替相場の変動が発生した場合や、為替リスクをヘッジしていたとしても、各国の金融・財政政策の動向等による国内外の金利差拡大によりヘッジコストが高まり、これまでの条件でロールによる為替予約ができない場合には、当社グループの業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。また、各国の金融・財政政策の変更や外国金利の変動により、当社の保有する外国証券の価値が下落した場合には、当社グループの業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
さらに、国内外の経済状況又は市場環境の悪化や地政学リスクの顕在化等によって、当社の保有する株式の価格が下落した場合には、保有株式に評価損・減損損失や売却損等が発生し、当社グループの業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。また、オルタナティブ運用などの資産運用の深化・高度化が、期待した結果を生まない可能性があります。
③ 信用リスク
当社グループの取引先・投資先・当社が保有する有価証券の発行者において、国内外の景気動向や特定の業種を取り巻く経営環境の変化、不祥事の発生、地政学リスクの顕在化等その他不測の事態により、財政状態が悪化した場合には、信用リスク及び与信関係費用が増加し、又は当社が保有する有価証券の価値が下落すること等により、当社グループの業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。また、外国公社債運用などの資産運用の深化・高度化が、期待した結果を生まない可能性があります。
上記①~③のリスクに備えて、当社では、保険契約の引受けによって生じる負債に見合った運用資産を適切に管理し、損益の安定を図る目的で、資産と負債のバランスを考慮してリスクコントロールを行う、ALM(Asset Liability Management:資産・負債の総合的な管理)及び財務健全性の維持を軸にしたERM(Enterprise Risk Management:統合的リスク管理)の高度化に向けた取り組みを継続しております。また、定期的にストレステストを実施し、ストレス事象発生時の対応力を検証するとともに、特に運用資産の深化・高度化にあたっては、審査やモニタリングの体制を強化しております。しかし、そうした対応が奏功しない場合や、国内外の景気変動、各国の金融・財政政策の変更等により市場環境が大きく変動した場合には、当社の業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
(7) 大規模災害等の発生に伴うリスク
当社は、日本全国に営業網を有して生命保険業を営んでおります。このため、地震、噴火、津波、台風、洪水、大雪等の大規模災害、新型インフルエンザや新型コロナウイルス等の感染症の大流行、テロリズム、国家間紛争等の人的災害、水道、電気、ガス、通信・金融サービス等に係る社会的インフラの重大な障害や混乱等が発生した場合には、以下のような事態が発生する可能性があります。
・当初の想定を超える保険金の支払い又は保険契約解約の発生
・保険営業機会の減少や保険ニーズの低下による収入保険料の減少
・大規模感染症の拡大に伴う外出自粛要請の発令等による経済活動の停滞と、金融市場におけるリスク回避志向の高まりによる保有株式等の価値の毀損
・役員・社員・関係者の被災・罹患あるいは災害拡大防止に伴う出勤者の減少による業務の停止又は停滞など正常な業務運営体制の確保の困難、事業継続・復旧のための費用の発生
・当社グループの本社、支店その他の設備や施設の損壊による業務の停止又は停滞と、事業継続・復旧のための費用の発生
・非常時における社会的要請等を踏まえた特別の取扱いやサービスの設定及びその適用事例が当初想定を超えて発生することによる損失の発生
当社では、保険金支払に備えて保険業法上の基準に従って危険準備金を積み立てるほか、十分な資金流動性の確保に努めております。また、万一の際に、保険会社として保険金支払などの重要な業務を確実に実施できる体制を確保するための業務継続計画を策定し、平時から定期的に危機管理役員連絡会の開催や防災訓練等を実施し、役員・社員の危機管理意識向上を図るとともに、災害への対応状況を確認しております。さらに、危機発生時には危機管理委員会を中心に適切かつ迅速な対応をとる体制としております。
しかし、そうした対応が奏功しない、あるいは想定以上の災害が発生し、前述の事象が発生、拡大、長期化する場合には、当社グループの事業、業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
(8) 情報漏えいに関するリスク
当社グループは、事業を行う上で、当社が直接に又は当社の代理店である日本郵便株式会社を通して、大量の情報を取得し保有しております。この情報には、保険契約者等の個人や法人のお客さまの情報のほか、業務上知り得た様々な内部情報が含まれます。その中でも、個人情報(「行政手続における特定の個人を識別するための番号の利用等に関する法律」に定める個人番号を含む。以下同じ。)については、個人情報の保護に関する法律をはじめとする関係法等に基づき、適切な取扱いが求められております。特に、近年、企業・団体が保有する個人情報の漏えい・紛失等が多発しており、より厳格な管理が要求されております。
当社グループでは、プライバシーポリシーを策定するとともに、情報管理に関する規程等を整備し、厳正な情報管理に努めております。また、働き方改革として、在宅勤務を推進することに併せて、情報管理に関する注意喚起等を徹底しております。
しかし、社員(退職者を含む。)、代理店、業務委託先又はその他の者により、当社が保有する個人情報やその他重要な情報が外部に漏えい等し、損害賠償請求や行政調査、指導又は処分を受けることとなった場合には、かかる事案に対応するための時間及び費用が生じること、また、当社グループの社会的信用が失墜すること等により、当社グループの業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
(9) 格付けの低下に関するリスク
当社は、株式会社格付投資情報センター(R&I)、株式会社日本格付研究所(JCR)、S&Pグローバル・レーティング・ジャパン株式会社(S&P)の各格付会社より信用格付けを取得しており、2023年3月末現在における信用格付けは、それぞれ「AA-」(保険金支払能力)、「AA」(保険金支払能力格付)、「A+」(保険財務力格付け)であり、当社の財務の健全性に対して一定の評価を得ているものと認識しております。中期経営計画においては、お客さま本位の業務運営を徹底し、信頼回復に努めておりますが、新契約の実績、保有契約の維持及び事業費の抑制などが計画どおりに進捗せず、当社の将来的な財務内容の見通しが悪化することにより、各社の信用格付けが引き下げられた場合には、当社グループの資本市場における負債性資金の調達が有利な内容で行えない可能性があるとともに、当社に対する不安を想起させ、新契約及び保有契約の減少等につながる可能性があります。
(10) オペレーショナルリスク
当社グループが業務を遂行していく過程には、オペレーショナルリスクが存在し、内部及び外部の不正行為、労務管理及び職場環境面での問題発生、顧客本位の業務運営への対応が不十分であることによる信用失墜、システム障害等に伴う事業中断、不適切な事務処理、保険金等の支払いに係る不備や事務態勢の逼迫、商標出願等の事務不備、外部への情報漏えい等が生じる可能性があります。特に、当社の商品及びサービスの提供の多くは郵便局ネットワークを通じて行われており、そこでは当社の事業のみならず、銀行・物流のサービスも並行して提供されるため、これらのオペレーショナルリスクが顕在化する可能性が相対的に高く、当社グループの事業、社会的信用、業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
・システムリスク
当社グループは、当社グループが保有するシステムだけでなく、日本郵政株式会社、日本郵便株式会社及び株式会社ゆうちょ銀行が所有するシステム等も利用して、生命保険の募集及び管理業務を行い、また、全国の郵便局や当社の各種拠点等と通信を行っており、情報システムは、当社の事業にとって極めて重要な機能を担っております。
かかる情報システムには、地震、噴火、津波、台風、洪水、大雪、火災等の自然災害やテロリズム等の外的要因に加えて、人的過失、事故、停電、ハッキング、コンピュータウイルスの感染、サイバー攻撃、システムの新規開発・更新における瑕疵、通信事業者等の第三者の役務提供の瑕疵等により重大な障害や故障等が発生する可能性があります。こうしたシステム障害・故障等が生じた場合には、業務の停止・混乱及びそれに伴う損害賠償、行政処分、社会的信用の毀損、これらに対する対応や対策のためのコスト等が発生することにより、当社グループの事業、業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
(11) 風評・風説等に関するリスク
当社グループが行っている事業全般に対する風評・風説が、報道機関・市場関係者への情報伝播、インターネット上の掲示板やソーシャル・ネットワーキング・サービスへの書き込み等により拡散し、報道機関により否定的報道が行われる場合には、当社グループが提供するサービスの公益性、事業規模、社会における認知度・注目度等を背景に、当該風評・風説、報道等が事実に基づくか否かにかかわらず、顧客や市場関係者等から否定的理解・認識をされ、又は強い批判がなされる可能性があり、それにより、商品、サービス、事業のイメージ・社会的信用がさらに毀損し、当社グループの事業、業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
(12) 法制度及び各種規制に関するリスク
① 郵政民営化法に基づく法規制に関するリスク
当社は、郵政民営化法及び関係政省令の下、金融庁及び総務省の監督下にあります。また、郵政民営化法により、内閣に設置された郵政民営化推進本部が運営する郵政民営化委員会から意見を述べられる場合があるとともに、他の日本の生命保険会社にはない業務制限規制が課されております。主な規制項目として、被保険者一人あたりの加入可能な保険金額に上限があること、保険会社等の子会社化が禁止されていること、新商品の開発や新たな資産運用手段を実施するにあたっては内閣総理大臣及び総務大臣への届出が必要であり、当該業務を行うにあたっては他の生命保険会社との適正な競争関係及び利用者への役務の適切な提供を阻害することのないよう特に配慮しなければならないこと等があります(以下「上乗せ規制」といいます。詳細は「第1 企業の概況 3 事業の内容 (参考) 郵政民営化法による特例措置」に記載のとおりであります。)。これらの規制により、将来的に当社の競争力や収益機会がさらに制限された場合には、当社グループの事業に影響を及ぼす可能性があります。
② 保険業法、その他関連業規制に関するリスク
当社は日本の生命保険会社であり、保険業法及び関連業規制の下、他の日本の生命保険会社と同様に、金融庁による監督下にあります。保険業法は、内閣総理大臣(金融庁長官に権限委任)に対して、免許取消しや業務停止、報告徴求、会計記録等に関する厳格な立入り検査の実施等、保険業に係る広範な監督権限を与えております。また、保険業法その他の法令等のうち特に重要なものに違反した場合等には、業務の全部若しくは一部の停止又は免許の取消しなどの行政処分を受ける可能性があります。
生命保険業免許は、当社の主要な事業活動の前提であり、当該免許に期限はなく、当連結会計年度末現在、免許取消事由等に該当する事象は発生していないと認識しておりますが、当該事象が発生した場合には当社の事業活動に重大な影響を及ぼす可能性があります。
また、当社は、金融庁が日本の生命保険会社の健全性を判断する指標として定める、ソルベンシー・マージン比率と実質純資産額に基づく監督下にあります。2023年3月31日現在の連結ソルベンシー・マージン比率は1,009.1%であり、法令上の規制比率に比べ相当程度高い水準を確保しておりますが、近時の金融市場の状況に対応した収益追求資産の増加により、低下する傾向にあります。これが200%を下回った場合には、内閣総理大臣による早期是正措置が発動される可能性があり、当社グループの事業、業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
加えて、IAIS(International Association of Insurance Supervisors:保険監督者国際機構)は、2019年11月にコムフレーム(国際的に活動する保険会社グループ(以下「IAIGs」といいます。)に対する共通の監督枠組み)を採択し、その一部であるIAIGsに対する保険資本基準(ICS)について2020年から5年間のモニタリングを行った後、2025年から規制資本要件として適用する実施計画を公表しております。金融庁は、この議論に沿った国内各社に対する新たな規制を2025年に導入することを前提として検討しておりますが、新たな規制は経済価値に基づくものであり、現行の規制とは大きく異なることが予想されます。このように新たな規制や基準等が導入された場合には、これらに含まれる制約が、当社グループの事業、業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
さらに、国際会計基準審議会は、2020年6月に国際財務報告基準(以下「IFRS」といいます。)第17号「保険契約」の修正を公表し、発効日を2023年1月1日以後開始の事業年度としております。当該基準は保険契約を経済価値で評価するため、毎期の変動が純資産に影響を及ぼす可能性があります。今後、日本の法定会計の変更等により、IFRS又は同基準に準じる基準を当社グループの会計基準において適用する場合には、当社グループの事業、業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
そのほか、日本は、WTO(World Trade Organization:世界貿易機関)の加盟国として「政府調達に関する協定を改正する議定書」を定めておりますが、この中で、公社を承継した会社はこの議定書に定められたルールが適用されるため、当社が物品等を調達する場合には、WTOによる政府調達のルールを遵守する必要性があります。当社の作為又は不作為により、これらのルールを遵守できなかった場合には、調達行為が成立しない、あるいは調達行為に遅れが生じる可能性があり、当初想定していた計画が実施できないなど、当社グループの社会的信用、業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
当社グループは、上記の規制以外にも、保険法、犯罪による収益の移転防止に関する法律等、各種の規制の適用を受けており、その改正、その執行に関する政府方針の変更等が行われることにより、新たな対応、費用が発生するなど、当社グループの事業、業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
(13) 気候変動に関するリスク
当社は、気候変動によるリスクと機会を認識し、2019年4月にTCFD(Task Force on Climate-related Financial Disclosures)の提言へ賛同を表明しており、これまでの気候変動に関する取り組みを一層推進するとともに、情報開示の充実を図っております(詳細は「2 サステナビリティに関する考え方及び取組」に記載のとおりであります。)。
気候変動は、当社の業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があり、当社は、その影響を評価するためのシナリオ分析を行っております。
なお、気候変動による生命保険事業への主な影響としては、自然災害などの被害が増加することによる保険金等支払額の増加、平均気温上昇や異常気象の健康への影響により中長期的な死亡率や罹患率が変化することによる保険金等支払額の増加を認識しております。また、資産運用への主な影響としては、自然災害などの増加に伴う投資先企業の損失拡大による投融資資産の価値毀損、低炭素社会への移行に伴う制度変更、規制強化、消費者選好の変化の影響による投融資先企業の価値毀損を認識しております。
加えて、温室効果ガス排出量を踏まえた投資ポートフォリオの管理を行うため、投資ポートフォリオの温室効果ガス排出量を測定・分析し、分析結果を考慮した上で、投資先企業等に対するエンゲージメント(目的を持った対話)を行うとともに、再生可能エネルギー施設等への投融資を積極的に推進しております。
上記のとおり気候変動に関する各種取り組みを推進しておりますが、これらの対応が不十分と評価された場合には、当社グループの資本市場における評価、その他社会的な評価の低下につながる可能性があり、当社グループの事業、業績及び財政状態並びに当社の株価に影響を及ぼす可能性があります。
(14) 保険料設定・責任準備金の積立に関するリスク
当社は、保険の種類及び内容、契約時の被保険者の年齢、性別、保険金額等を考慮して、次に掲げる計算基礎率(予定死亡率、予定利率、予定事業費率)等に基づいて保険料を設定しております。
保険契約においては、実際の死亡率が事前に設定した予定死亡率を超過した場合、実際の運用利回りが事前に設定した予定利率を下回った場合、実際の経費が事前に設定した予定事業費を超過した場合には、保険期間中の保険料等の受取総額を保険金・経費等の支払総額が上回ることにより損失が発生し、当社グループの業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
当社は、保険業法及び関連業規制に基づき、保険料収入の大部分を責任準備金として将来の保険金等の支払いに備えて積み立てております。責任準備金は、当社の負債の最も大きな部分を占めているものであり、各保険契約の保障対象となる事象の起こる頻度や時期、保険金等支払額、資産運用額等につき一定の前提を置き、これらに基づく見積りによって計算されるものであります。これらの前提と実際の結果が乖離した場合や環境の変化により将来乖離が見込まれる場合には、責任準備金の積増しが必要となる可能性があり、当社グループの業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
また、責任準備金の積立に関する規制や標準利率・標準生命表は、金融当局である金融庁等によって定められているものですが、これらに変更があった場合には、保険料見直しや責任準備金の積増しが必要となる可能性があり、当社グループの業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
(15) 訴訟等に関するリスク
当社グループは、事業の遂行に関して、訴訟その他の法的手続が提起又は開始されるリスクを有しております。また、保険契約者等から訴訟を提起される可能性や、人事処遇、勤務管理、ハラスメントなどの人事労務上の問題、職場の安全衛生管理上の問題等に関連する訴訟等を当社グループの社員等から提起される可能性もあります。
当社に対する新たな訴訟が提起された場合、その解決には相当の時間及び費用を要する可能性があります。また、社会的関心・影響の大きな事象についての訴訟等が発生し、当社に対して損害賠償の支払いが命じられる等、不利益となる判断がなされた場合には、当社グループの社会的信用、事業、業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
(16) 日本郵政株式会社との関係に関するリスク
① 日本郵政株式会社が議決権を保有することによる影響力及び他の一般株主との利益相反に関するリスク
日本郵政株式会社が有する当社議決権の所有割合は、当連結会計年度末現在、49.8%となっておりますが、日本郵政株式会社は、依然として、当社の役員の選解任、他社との合併等の組織再編、減資、定款の変更等の当社の株主総会決議の結果に重要な影響を及ぼす可能性があります。さらに、日本国政府は、2023年3月末現在において、日本郵政株式会社の議決権の36.3%程度を保有しております。
日本郵政株式会社は、日本郵政グループの利益やユニバーサルサービスの提供等の観点から、当社及び当社の一般株主の利益と異なる議決権の行使等を行う可能性があります。また、下記「② 日本郵政グループとの人的関係及び取引関係に関するリスク」に記載の当社との業務委託関係その他の取引・契約関係等にあるほか、子会社等を通じて当社と競合し又は競合する可能性のある事業(当社以外の生命保険会社の商品の受託販売等)を行うなど、当社の一般株主と異なる利害関係を有しております。例えば、2018年12月に、日本郵政株式会社は、アフラック・インコーポレーテッド及びアフラック生命保険株式会社との間で、「資本関係に基づく戦略提携」に関する基本合意書を締結いたしました。この合意に基づき、日本郵政株式会社は、アフラック・インコーポレーテッドの普通株式の発行済株式総数の7%を取得したほか、がん保険に関する取り組みの再確認、新たな協業の取り組みの検討を行うこととし、2021年6月には、日本郵政株式会社、日本郵便株式会社及び当社は、アフラック・インコーポレーテッド及びアフラック生命保険株式会社と「資本関係に基づく戦略提携」をさらに発展させることに合意いたしました。また、日本郵政株式会社は、日本郵便株式会社及び楽天グループ株式会社との間で、物流、モバイル、DXなど様々な領域での連携を強化することを目的とした業務提携合意書を2021年3月に締結し、さらに2021年4月に、日本郵政株式会社、日本郵便株式会社、株式会社ゆうちょ銀行及び当社は、楽天グループ株式会社と業務提携合意書を改めて締結いたしました。これらの合意において、日本郵政株式会社は、保険分野での協業に関する協議・検討を行うこととしておりますが、協業の内容が当社グループの業績等に影響を及ぼすなど、当社及び当社の一般株主の利益と相反する可能性があります。
② 日本郵政グループとの人的関係及び取引関係に関するリスク
a.日本郵政グループとの人的関係
当社では、日本郵政グループの役員を兼任する役員が在職しており、そのうち、本書提出日現在において、主な日本郵政グループの役員を兼任する役員は、下表のとおりであります。また、当社の経営会議には、経営会議の構成員である当社の常務以上の執行役及び業務を統轄する執行役を兼任している者を除き、原則、日本郵政株式会社の役員は出席していませんが、議題又は報告事項に応じて、出席が必要と当社が考える日本郵政株式会社の代表執行役に出席を要請することとしております。
(注) 同氏は、日本郵政株式会社の子会社である、日本郵便株式会社及び株式会社ゆうちょ銀行の取締役(非常勤)も兼任しております。
当社の役員の状況については「第4 提出会社の状況 4 コーポレート・ガバナンスの状況等 (2) 役員の状況」に記載のとおりであります。
また、当社は、日本郵政株式会社並びにその子会社である日本郵便株式会社及び株式会社ゆうちょ銀行との間で、出向者を受け入れて人事交流を行っておりますが、このうち、当社において事業運営に重要な影響を及ぼす役職に就いている者はおりません。
b.日本郵政グループとの取引
当社は日本郵政グループに属する他社との取引を行っており、当連結会計年度における主な取引は以下のとおりであります。
(注) 上記のほか、「(5) 日本郵便株式会社との関係に関するリスク ① ユニバーサルサービスの提供に関するリスク」に記載のとおり、郵便局ネットワーク維持に係る郵政管理・支援機構への拠出金の支払いが、2023年3月期において501億円あります。
なお、日本郵政グループに属する他社との取引条件の適切性を確保するため、新たに重要な取引を実施する場合及び既存の重要な取引条件を変更する場合に、社外取締役を含む取締役会で決議する態勢を整備しております。
c.日本郵政株式会社に対するブランド価値使用料
当社は「5 経営上の重要な契約等」に記載のとおり、日本郵政グループ内各社との間で「日本郵政グループ協定」等を締結しており、グループ運営を適切・円滑に行うために必要な事項や法令等に基づき日本郵政株式会社による管理等が必要な事項については、日本郵政株式会社との事前協議又は日本郵政株式会社への報告の対象とされております。また、当社は日本郵政株式会社から「かんぽ生命」等の商標の使用を許諾されるとともに、日本郵政株式会社に対し、日本郵政グループが持つブランド力を当社の事業活動に活用できることによる利益の対価として、ブランド価値使用料を支払っております。
なお、当社が日本郵政グループに属することにより利益を享受するブランド価値は当社の業績に反映されるとの考え方に基づき、当該利益が反映された業績指標である前年度末時点の保有保険契約高に対して、一定の料率(0.0036%)を掛けて算出しており、この料率は、重大な経済情勢の変化等、特段の事情が生じない限り変更しないこととしております。また、ブランド価値使用料は、当社が日本郵政グループに属している限り、継続して支払うこととなり、当社が日本郵便株式会社法に定める関連保険会社としての業務を行っている間は、日本郵政株式会社の当社株式の保有割合にかかわらず、当該使用料の支払義務が継続いたします。
これら協定等の終了又は見直し等により現在の条件での商標の使用ができなくなった場合や、重大な経済情勢の変化等の特段の事情に起因してブランド価値使用料の算定方法が変更された場合には、当社グループの事業、業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
③ 日本郵政株式会社による当社株式の追加処分に関するリスク
日本郵政株式会社が有する当社議決権の所有割合は、当連結会計年度末現在、49.8%となっておりますが、郵政民営化法上、日本郵政株式会社が保有する当社株式は、その全部を処分することを目指し、当社の経営状況及びユニバーサルサービスの提供への影響等を勘案しつつ、できる限り早期に処分するものとされており、日本郵政株式会社は、当社株式について、保有割合が50%以下となった以降も株式処分について検討を進める旨を公表しております。
当社は、郵政民営化法に基づき、同業他社にはない上乗せ規制に服しておりますが(「第1 企業の概況 3 事業の内容 (参考) 郵政民営化法による特例措置」に記載のとおりであります。)、かかる規制は、(ⅰ)日本郵政株式会社が当社株式の全部を処分した場合、又は(ⅱ)日本郵政株式会社が当社株式の2分の1以上を処分し、かつ、内閣総理大臣及び総務大臣が、他の金融機関等との間の適切な競争関係及び利用者への役務の適切な提供を阻害するおそれがないと認め、当該規制を適用しない旨を決定した場合に適用されなくなります。日本郵政株式会社は総務大臣に対し、当社株式の2分の1以上を処分した旨の届出を行っておりますが、上記(ⅱ)の決定には当局の裁量が存在するため、上乗せ規制がいつどのように撤廃されるかは、不透明な状況にあります。なお、上乗せ規制のうち、新商品の開発及び新たな資産運用手段を実施するにあたっての認可等、郵政民営化法第138条に定める業務の制限については、日本郵政株式会社が当社株式の2分の1以上を処分した旨を総務大臣に届け出た日以後は適用されず、既に届出制へ移行しております。この場合において、当社が各業務を行おうとするときは、その内容を定めて、内閣総理大臣及び総務大臣に届け出なければならないとされており、また、業務を行うにあたっては他の生命保険会社との適正な競争関係及び利用者への役務の適切な提供を阻害することのないよう特に配慮しなければならないとされております。
今後の日本郵政株式会社による当社株式の売却の時期、売却の規模等は未確定ですが、将来、当社株式の追加的な売却が行われ、又はかかる売却により市場で流通する当社株式の数が増え需給が悪化するとの認識が市場で広まった場合には、当社株式の流動性及び株価形成等に影響を及ぼす可能性があります。逆に、当社株式の処分に係る郵政民営化法の定めの変更、株式市場の動向等により日本郵政株式会社による当社株式のさらなる売却が予定どおりに進まない場合には、上乗せ規制の撤廃が行われず、日本郵政株式会社及び当社が期待する経営の自由度の拡大等が実現しない可能性もあります。
加えて、日本郵政株式会社による当社株式の売却に伴い、当社が日本郵便株式会社との間で締結している生命保険募集・契約維持管理業務委託契約、保険窓口業務契約、その他の契約の条件が当社に不利な内容に変更された場合や、当該契約が終了した場合は、当社が郵便局ネットワークを利用できなくなるなど、当社の事業を従前どおり維持するために莫大なコストと時間等が必要となり、当社グループの事業、業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。また、当社が日本郵政グループとの間で締結している日本郵政グループ協定及び日本郵政グループ商標管理協定、並びに当社が日本郵政株式会社との間で締結している日本郵政グループ運営に関する契約及びグループ商標管理契約について、当社が関連保険会社に該当しないこととなり協定や契約そのものを適用しないこととなった場合には、当社グループの事業、業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
さらに、当社は、日本国政府その他の公的機関から何らの保証その他の信用補完を受けておりませんが、日本郵政株式会社が当社の親会社ではなくなることに伴い、当社の経済的信用力が低下したという誤認や錯誤が社会に広く伝播した場合等においては、社員採用活動への悪影響や、顧客その他の取引先による取引停止、取引量の減少、保険契約の解約、当社にとって不利な取引条件の変更等を誘発する可能性があります。
Ⅲ 上記以外のリスク
<リスク管理全般に関するもの>
(17) リスク管理の有効性に関するリスク
当社グループは、リスク管理に関する規程を定め、リスク管理態勢を整備し、保険引受リスク、資産運用リスク、市場流動性リスク、資金繰りリスク及びオペレーショナルリスクの全般の管理を実施しております。
当社グループのリスク管理は、過去の経験・データに基づき構築されているため、将来発生するリスクを正確に予測することができず、新しい業務分野への進出や外部環境の変化等によりリスク管理が有効に機能しない可能性があります。また、当社グループがリスク管理の方針及び手続を策定する際、参考又は前提とした情報が真実性、正確性、完全性又は合理性を欠く場合には、リスク管理の有効性に悪影響を与える可能性があります。
さらに、当社グループの事業に内在するリスクを管理するためには、膨大な取引や事象の適切な記録、審査、調査等に係る方針及び手続の有効性や効率性等が重要ですが、かかる方針や手続が万全ではない可能性があります。加えて、リスク管理の実施及びその遵守状況の監督は、当社グループ内だけでなく、当社の商品及びサービスを提供する日本郵便株式会社における郵便局ネットワーク全体に対しても行う必要があります。郵便局ネットワークは、当社の商品及びサービスのほか、株式会社ゆうちょ銀行の商品及び日本郵便株式会社の郵便・物流サービスも提供しているところ、約2万局の郵便局を有する郵便局ネットワークに対する実施・監督に困難又は落ち度が生じた場合には、当社によるリスク管理が機能しない、又は不十分となる可能性があります。
当社は、経営環境、リスクの状況などの変化に応じ、リスク管理態勢全般について随時見直しを行い、万全のリスク管理態勢を構築するよう努めておりますが、当社グループのリスク管理態勢が有効に機能しない場合や、欠陥が発生した場合等には、予期せぬ損失を被る可能性や、行政処分を受ける可能性があり、当社グループの社会的信用、事業、業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。また、当社が今後、必要な許認可等を取得の上、商品及びサービスの内容や範囲を拡充する際は、リスク管理態勢の増強も必要となります。しかし、事業の拡大に比してリスク管理態勢の拡充が十分ではない場合等には、当社グループの事業、業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
(18)市場流動性・資金繰りに関するリスク
① 市場流動性リスク
金融市場の混乱等により、市場において正常に金融商品の取引・資金決済ができなくなった場合や、通常よりも著しく不利な価格での取引を余儀なくされることになった場合には、当社グループの事業、業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。また、国内外の金融市場及び経済状況の悪化等により、市場の流動性が減退した場合には、当社の保有する資産の売却可能性や価値が減少する可能性があります。
② 資金繰りリスク
大量の保険契約の解約に伴う解約返戻金支出の増加や巨大災害に伴う保険金支出の増加等により資金繰りが逼迫し、資金の確保のため通常の評価額よりも低い価格での資産売却を余儀なくされた場合や保険金等の支払いが滞った場合には、当社グループの事業、社会的信用、業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
(19) 繰延税金資産に関するリスク
当社の繰延税金資産は、現行の会計基準に従い、一定の前提に基づいて見積もった課税所得により将来の税金負担額が軽減することが認められる範囲内で計上しております。新契約の実績は緩やかな回復に留まっておりますが、当該課税所得の見積りにおいては、経営計画を基礎としており、今後、当該計画における取組方針の下、一定の新契約水準に到達する前提で作成しております。しかし、新契約の実績が想定どおりに進捗しない期間がより長期にわたり継続する場合や、経済環境の大幅な悪化の継続などによる見積りの前提の変更、あるいは税制改正に伴う税率の引き下げにより繰延税金資産額が減少する場合には、当社グループの業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
(20) 契約者配当準備金に関するリスク
当社が確保すべき契約者配当準備金の繰入額は費用として扱われ、これにより各事業年度における純利益が減少します。当社は契約者配当準備金の繰入額の決定について裁量を有しており、その水準については、当社商品の競争力、業績、ソルベンシー・マージン比率等の様々な要素を考慮して判断しておりますが、その水準によっては、当社グループの株主への配当原資の額、事業、業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
なお、当社が郵政管理・支援機構から受再している簡易生命保険契約については「旧簡易生命保険契約に基づく保険責任に係る再保険契約」において、当社が引き受けた保険契約と区分してその収益及び費用を経理するものとし、簡易生命保険契約の再保険損益の8割を契約者配当準備金に繰り入れることとしております。また、再保険配当の計算方法の変更の必要性について、毎事業年度、郵政管理・支援機構と当社間で協議することとされておりますが、本契約締結以降、当該計算方法が変更されたことはなく、当連結会計年度末時点において変更の予定もありません。
(21) 業務提携に伴うリスク
当社グループは、様々な業務について、他社との提携を行っております。業務提携先において業務遂行上の問題が生じ、商品・サービスの提供に支障をきたす場合、情報漏えい等の重大な違法行為が発生した場合等には、当社グループの事業、社会的信用、業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
(22) 退職給付債務に関するリスク
当社グループの退職給付費用及び債務は、将来の退職給付債務算出に用いる年金数理上の前提条件に基づいて算出しておりますが、金利環境の急変等により、実際の結果が前提条件と異なる場合、前提条件に変更があった場合等には、退職給付費用及び債務が増加する可能性があります。また、当社グループの退職給付制度を改定した場合にも、当社が追加的に負担すべき債務が発生する可能性があります。これらの退職給付費用及び債務の増加又は発生により、当社グループの事業、業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
(23) 生命保険契約者保護機構への負担金及び国内の他の生命保険会社の破綻に関するリスク
当社は、生命保険契約者保護機構(以下「保護機構」といいます。)への負担金支払義務を負っております。保護機構は、破綻した生命保険会社の保険契約者を保護することを目的としており、破綻した生命保険会社から他の生命保険会社へ保険契約を移転する際に、資金援助を実施しております。なお、2021年度末をもって保護機構における保険契約者保護資金残高が上限額に達したため、2022年度及び2023年度において保護資金負担金の支払いはありません。しかし、今後、負担金支払事由が発生した際、保護機構への負担金額は保険料収入及び責任準備金の額などに応じて決められるため、当社の保険料収入及び責任準備金の額が他の生命保険会社に比して増加した場合、負担金が増加する可能性があり、当社グループの事業、業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。また、日本の他の生命保険会社の破綻は、日本の生命保険業界全体の評価にも悪影響を与え、保険契約者の生命保険業界全体に対する信用を損ない、これにより当社グループの事業、業績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。
当連結会計年度における当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の概要並びに経営者の視点による当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況等に関する認識及び分析・検討内容は以下のとおりであります。
また、基礎利益(生命保険会社の基礎的な期間損益の状況を表す指標)については2023年3月期において、経済的な実態の反映及び各社間の取扱いに一貫性を持たせる観点から、計算方法について一部改正(為替に係るヘッジコストを基礎利益の算定に含め、投資信託の解約益を基礎利益の算定から除外)がなされております。当社も、当該改正を適用しており、遡及処理の内容を反映させた数値で前期との比較・分析を行っております。文中の基礎利益上の運用収支等の利回り(利子利回り)、順ざや、基礎利益の前期比の算出においては、上記の改正を反映した数値を用いております。
なお、文中の将来に関する事項は、本書提出日現在において当社グループが判断したものであります。
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められる企業会計の基準に準拠して作成しております。その作成には、経営者による会計方針の選択・適用、資産・負債及び収益・費用の開示に影響を与える見積りを必要とします。
経営者は、これらの見積りについて過去の実績等を勘案し合理的に判断しておりますが、実際の結果は、見積り特有の不確実性があるため、これらの見積りと異なる場合があります。
当社グループの連結財務諸表で採用する重要な会計方針は、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1) 連結財務諸表」の(連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項)に記載しておりますが、特に以下の重要な会計方針及び見積りが連結財務諸表に大きな影響を及ぼす可能性があると考えております。
有価証券の一部及びデリバティブ取引は、時価法に基づいて評価しております。時価は、公表された相場価格に基づいて算定しておりますが、公表された相場価格がない場合には合理的な見積りに基づいて算定された価額によっております。
将来、見積りに影響する新たな事実の発生等により、見積額は変動する可能性があります。
なお、金融商品の時価の算定方法は、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1) 連結財務諸表」の(金融商品関係)に記載のとおりであります。
金銭の信託で運用する有価証券を含め売買目的有価証券以外の有価証券のうち、時価又は実質価額が著しく下落したものについては合理的な基準に基づいて減損処理を行っております。株式市場の悪化等、将来の金融市場の状況によっては、多額の減損損失を計上する可能性があります。
なお、有価証券の減損処理に係る基準は、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1) 連結財務諸表」の(有価証券関係)及び(金銭の信託関係)に記載のとおりであります。
繰延税金資産の回収可能性の判断に際しては、将来の課税所得を合理的に見積っております。
当連結会計年度における新契約実績は緩やかな回復に留まっておりますが、当該課税所得の見積りにおいては、当連結会計年度に作成した経営計画を基礎としており、今後、当該計画における取組方針の下、一定の新契約水準に到達する前提で作成しております。なお、繰延税金資産の回収可能性については、当該経営計画を基礎とした前提の下、複数のストレスシナリオを考慮して判断しております。
以上のとおり、繰延税金資産の回収可能性は、将来の課税所得の見積りに依存するため、将来、当社を取り巻く経営環境に大きな変化があった場合等、その見積額が変動した場合は、繰延税金資産の回収可能性が変動する可能性があります。
債権の貸倒れによる損失に備えるため、資産の自己査定基準及び償却・引当基準に則り、債務者の状況に応じ、回収不能見積額を計上しております。
将来、債務者の財務状況が悪化し支払能力が低下した場合には、引当金の追加計上又は貸倒損失が発生する可能性があります。
なお、貸倒引当金の計上基準は、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1) 連結財務諸表」の(連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項)に記載のとおりであります。
連結会計年度末時点において支払義務が発生したが保険金等の支出をしていないもの、または、まだ支払事由の報告を受けていないが支払事由が既に発生したと認められるもののうち保険金等の支出をしていないものについて支払備金を積み立てております。
将来、見積りに影響する新たな事実の発生等により、支払備金の計上額が当初の見積額から変動する可能性があります。
保険契約に基づく将来における債務の履行に備えるため、責任準備金を積み立てております。
責任準備金の計算に使用される予定死亡率、予定利率及び予定事業費率などの基礎率は合理的であると考えておりますが、実際の結果が著しく乖離した場合や環境の変化により将来乖離が見込まれる場合には、責任準備金の金額に影響を及ぼす可能性があります。
なお、責任準備金の積立方法は、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1) 連結財務諸表」の(連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項)に記載のとおりであります。
⑦ 退職給付債務及び退職給付費用
退職給付債務及び退職給付費用は、割引率など将来の退職給付債務算出に用いる数理計算上の前提条件に基づいて算出しております。
このため、実際の結果が前提条件と異なる場合や前提条件の変更が行われた場合には、将来の退職給付債務及び退職給付費用が変動する可能性があります。
なお、退職給付債務等の計算の基礎に関する事項は、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1) 連結財務諸表」の(退職給付関係)に記載のとおりであります。
営業面においては、当連結会計年度における新契約年換算保険料は、個人保険が197億円増加し658億円(前期比42.7%増)、第三分野が42億円増加し64億円(同196.3%増)となり、緩やかな回復に留まっております。保有契約年換算保険料については、個人保険が3,212億円減少し3兆2,176億円(前期比9.1%減)(受再している簡易生命保険契約(保険)を含む)、第三分野が340億円減少し5,930億円(同5.4%減)(受再している簡易生命保険契約を含む)といずれも減少となりました。
資産運用面においては、円金利資産と円金利負債のマッチングを図るALMの観点から、公社債を中心に運用しております。株式、外国証券等の収益追求資産については、主に、ヘッジコストの上昇を踏まえ、ヘッジ付外債の残高を縮小させた影響により残高は減少し、収益追求資産の占率は15.7%となりました。平均予定利率は前期比で0.02ポイント下落し1.67%、基礎利益上の運用収支等の利回り(利子利回り)は為替に係るヘッジコストの増加等により前期比0.08ポイント下落の1.85%となり、順ざやは前期と比べ393億円減少し940億円となりました。キャピタル損益は、有価証券売却損の増加等により、638億円のキャピタル損となりました。
また、当連結会計年度における新型コロナウイルス感染症に係る保険金支払は、主に入院による入院保険金支払等により、前期と比べ増加しております。
これらの状況の下、当連結会計年度における親会社株主に帰属する当期純利益は、新型コロナウイルス感染症に係る入院保険金支払額について危険準備金の超過繰入額を縮小することに加え、有価証券売却損等については従来どおり価格変動準備金を取り崩したものの、保有契約の減少及び新しいかんぽ営業体制の構築に伴う事業費の増加等により、976億円と前期と比べ604億円の減益(前期比38.2%減)となりました。
当連結会計年度末の総資産額は、保有契約の減少に伴い保険契約準備金が減少したことに対応し、有価証券及び貸付金が減少したこと等から、前連結会計年度末に比べ4兆4,874億円減少し、62兆6,873億円(前期比6.7%減)となりました。
資産の部合計は、前連結会計年度末に比べ4兆4,874億円減少し、62兆6,873億円(前期比6.7%減)となりました。主な資産構成は、有価証券49兆8,414億円(同6.7%減)、金銭の信託4兆7,723億円(同5.5%増)及び貸付金3兆6,058億円(同15.2%減)となっております。
負債の部合計は、前連結会計年度末に比べ4兆4,417億円減少し、60兆3,120億円(前期比6.9%減)となりました。その大部分を占める保険契約準備金は、保有契約の減少により55兆1,037億円(同5.3%減)となりました。
純資産の部合計は、前連結会計年度末に比べ456億円減少し、2兆3,753億円(前期比1.9%減)となりました。純資産の部のうち、その他有価証券評価差額金は、前連結会計年度末に比べ758億円減少し、7,979億円(同8.7%減)となりました。
なお、当連結会計年度末における連結ソルベンシー・マージン比率(大災害や株価の大暴落など、通常の予測を超えて発生するリスクに対応できる「支払余力」を有しているかどうかを判断するための行政監督上の指標の一つ)は、1,009.1%と高い健全性を維持しております。
経常収益は、前連結会計年度と比べ746億円減少し、6兆3,795億円(前期比1.2%減)となりました。経常収益の内訳は、保険料等収入2兆2,009億円(同9.0%減)、資産運用収益1兆1,590億円(同0.9%増)、その他経常収益3兆195億円(同4.6%増)となっております。
保険料等収入は、保有契約の減少等により、前連結会計年度に比べ2,180億円減少し、2兆2,009億円(前期比9.0%減)となりました。
資産運用収益は、総資産残高の減少に伴い利息及び配当金等収入が減少した一方で、金銭の信託運用益及び有価証券売却益の増加等により、前連結会計年度に比べ98億円増加し、1兆1,590億円(前期比0.9%増)となりました。
その他経常収益は、責任準備金戻入額の増加等により、前連結会計年度に比べ1,335億円増加し、3兆195億円(前期比4.6%増)となりました。
経常費用は、前連結会計年度と比べ1,638億円増加し、6兆2,619億円(前期比2.7%増)となりました。経常費用の内訳は、保険金等支払金が5兆4,879億円(同1.1%減)、資産運用費用が2,464億円(同253.2%増)、事業費が4,457億円(同15.5%増)、その他経常費用が740億円(同20.5%減)等となっております。
保険金等支払金は、新型コロナウイルス感染症に対する保険金支払が増加した一方で、保有契約の減少等により、前連結会計年度に比べ613億円減少し、5兆4,879億円(前期比1.1%減)となりました。
資産運用費用は、有価証券売却損及び金融派生商品費用の増加等により、前連結会計年度に比べ1,766億円増加し、2,464億円(前期比253.2%増)となりました。
事業費は、新しいかんぽ営業体制の構築に伴い、業務委託手数料が減少した一方で人件費が増加したこと等から、前連結会計年度に比べ598億円増加し、4,457億円(前期比15.5%増)となりました。
その他経常費用は、減価償却費の減少等により、前連結会計年度に比べ190億円減少し、740億円(前期比20.5%減)となりました。
経常利益は、保有契約の減少等に加え、新しいかんぽ営業体制の構築に伴う事業費等の増加及び有価証券売却損の増加等により、前連結会計年度に比べ2,385億円減少し、1,175億円(前期比67.0%減)となりました。
提出会社の経常利益等の明細については、「(参考4) 健全性の状況 (1) 基礎利益」の(経常利益等の明細(基礎利益))に記載のとおりであります。
特別損益は、前連結会計年度に繰り入れとなっていた価格変動準備金について、当連結会計年度において戻し入れたこと等により、前連結会計年度に比べ1,447億円増加し、823億円の利益となりました。
契約者配当準備金繰入額は、前連結会計年度に比べ110億円減少し、620億円(前期比15.1%減)となりました。
経常利益に特別損益を加減し、契約者配当準備金繰入額及び法人税等合計を差し引いた親会社株主に帰属する当期純利益は、経常利益の減少が大きく、価格変動準備金を戻し入れたものの、前連結会計年度に比べ604億円減少し、976億円(前期比38.2%減)となりました。
なお、当社の当事業年度における基礎利益は、1,923億円(前期比55.2%減)となりました。
営業活動によるキャッシュ・フローは、保有契約の減少等により保険金等支払金が減少した一方、保険料等収入が減少し、また、新型コロナウイルス感染症により入院保険金のお支払い額が増加したこと等から前連結会計年度に比べ2,224億円支出増の2兆9,780億円の支出となりました。
投資活動によるキャッシュ・フローは、有価証券の取得による支出が減少したこと等から、前連結会計年度に比べ1,050億円収入増の3兆2,167億円の収入となりました。
財務活動によるキャッシュ・フローは、自己株式の取得による支出が減少したこと等から、前連結会計年度に比べ3,473億円支出減の729億円の支出となりました。
上記a.~c.の結果、現金及び現金同等物の当連結会計年度末残高は、期首から1,657億円増加し、1兆4,365億円となりました。
「第3 設備の状況 3 設備の新設、除去等の計画 (1) 重要な設備の新設等」に記載の設備投資を含む当面の設備投資及び株主還元などは自己資金又は社債の発行による調達資金で賄う予定であります。
(3) 目標とする経営指標の達成状況等
「1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等 (3) 目標とする経営指標」に記載の主要目標のうち、「保有契約件数(個人保険)」については、新契約が緩やかな回復に留まったことにより、2022年6月末、9月末、12月末及び2023年3月末において、それぞれ2,230万件、2,186万件、2,143万件及び2,098万件と推移しております。このような保有契約の減少等の影響により、「連結当期純利益」は976億円と前年度と比べて減少しております。「EV成長率」については、2022年6月末、9月末、12月末及び2023年3月末において、それぞれ1.5%、2.5%、3.1%及び3.1%と推移しております。上記のとおり、保有契約は減少傾向にありますが、「1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等 (4) 経営戦略及び対処すべき課題」に記載のとおり、コンサルタント一人ひとりの成長を促していく「営業力の底力をつける取り組み」とお客さま体験価値の向上に加え、業務の効率化による生産性の向上や一層のコスト削減を図る「ビジネスモデルの改革」に両輪として取り組むことで「保有契約件数(個人保険)」を始めとするこれら経営指標の目標達成を目指してまいります。なお、「1株当たり配当額」については、期初計画どおり、2022年12月に中間配当46円を実施し、期末配当についても46円といたします。
そのほか、「お客さま満足度」及び「ネットプロモータースコア(NPS®)」については、引き続き、DXを推進し、お客さま体験価値(CX)を最優先とするビジネスモデルへの転換に取り組むことにより、向上を目指してまいります。
(4) 生産、受注及び販売の状況
生命保険事業における業務の特殊性により、該当する情報がないため記載しておりません。
(個人保険及び個人年金保険は、当社が郵政管理・支援機構から受再している簡易生命保険契約を含みません。)
(単位:千件、百万円)
(注) 個人年金保険の金額は、年金支払開始前契約の年金支払開始時における年金原資と年金支払開始後契約の責任準備金額を合計したものであります。
(単位:千件、百万円)
(注) 1.件数は、新契約件数に転換後契約件数を加えた数値であります。なお、転換後契約とは、既契約の転換によって成立した契約であります。
2.個人年金保険の金額は、年金支払開始時における年金原資であります。
(単位:百万円)
(注) 1.年換算保険料とは、1回あたりの保険料について保険料の支払方法に応じた係数を乗じ、1年あたりの保険料に換算した金額であります(一時払契約等は、保険料を保険期間等で除した金額)。
2.医療保障・生前給付保障等には、医療保障給付(入院給付、手術給付等)、生前給付保障給付(特定疾病給付、介護給付等)、保険料払込免除給付(障がいを事由とするものは除きます。特定疾病罹患、介護等を事由とするものを含みます。)等に該当する部分の年換算保険料を計上しております。
(単位:百万円)
(注) 1.年換算保険料とは、1回あたりの保険料について保険料の支払方法に応じた係数を乗じ、1年あたりの保険料に換算した金額であります(一時払契約等は、保険料を保険期間等で除した金額)。
2.医療保障・生前給付保障等には、医療保障給付(入院給付、手術給付等)、生前給付保障給付(特定疾病給付、介護給付等)、保険料払込免除給付(障がいを事由とするものは除きます。特定疾病罹患、介護等を事由とするものを含みます。)等に該当する部分の年換算保険料を計上しております。
3.新契約年換算保険料は、新契約に係る年換算保険料に、既契約の転換による転換前後の年換算保険料の純増加分を加えた数値であります。
(単位:千件、百万円)
(注) 計数は、郵政管理・支援機構における公表基準によるものであります。
(単位:百万円)
(注) 当社が郵政管理・支援機構から受再している簡易生命保険契約について、上記「(参考1) 当社の保険引受の状況 (3) 保有契約年換算保険料明細表」に記載しております個人保険及び個人年金保険の保有契約年換算保険料と同様の計算方法により、当社が算出した金額であります。
(注) 1.機構貸付とは、郵政管理・支援機構(簡易生命保険勘定)への貸付であります。
2.不動産については、土地・建物・建設仮勘定を合計した金額を計上しております。
(単位:%)
(注) 1.利回り計算式の分母は帳簿価額ベースの日々平均残高、分子は経常損益中、資産運用収益-資産運用費用として算出した利回りであります。
2.一般勘定計には、有価証券信託に係る資産を含めております。
3.海外投融資とは、外貨建資産と円建資産の合計であります。
基礎利益は、保険料等収入、保険金等支払金、事業費等の保険関係の収支と、利息及び配当金等収入を中心とした運用関係の収支からなる、生命保険会社の基礎的な期間損益の状況を表す指標であります。
当社の当事業年度における基礎利益は、1,923億円となりました。
(単位:百万円)
(注) 当事業年度より、経済的な実態の反映及び各社間の取扱いに一貫性を持たせる観点から、基礎利益の計算方法について一部改正(為替に係るヘッジコストを基礎利益の算定に含め、投資信託の解約益を基礎利益の算定から除外)がなされており、これを適用しております。また、前事業年度の数値は、当事業年度における計算方法を適用した数値であります。
(参考) その他項目の内訳
(単位:百万円)
生命保険会社は将来の保険金等の支払いに備えて責任準備金を積み立てており、通常予測できる範囲のリスクについては責任準備金の範囲内で対応できます。
ソルベンシー・マージン比率とは、大災害や株価の大暴落など、通常の予測を超えて発生するリスクに対応できる「支払余力」を有しているかどうかを判断するための行政監督上の指標の一つであります。
この比率が200%を下回った場合は、当局によって早期是正措置がとられます。逆にこの比率が200%以上であれば、健全性の一つの基準を満たしていることになります。
当連結会計年度末における連結ソルベンシー・マージン比率は1,009.1%と高い健全性を維持しております。
(単位:百万円)
(注) 保険業法施行規則第86条の2、第88条及び平成23年金融庁告示第23号の規定に基づいて算出しております。
生命保険会社では、大災害の発生、金融資産の価格変動等、生命保険事業の経営環境の変化に伴うリスクに備え、将来にわたる健全で安定的な経営を確保するために、危険準備金と価格変動準備金を積み立てることとしております。
当連結会計年度末における残高は危険準備金1兆7,018億円、価格変動準備金8,899億円となり、合計で2兆5,918億円となりました。
(単位:億円)
実質純資産額とは、資産全体を時価評価して求めた資産の合計から、危険準備金や価格変動準備金等の資本性の高い負債を除いた負債の合計を引いたものであり、決算期末の保険会社の健全性の状況を示す行政監督上の指標の一つであります。この数値がマイナスになると業務停止命令等の対象となることがあります(ただし、満期保有目的の債券及び責任準備金対応債券の含み損を除いた額がプラスとなり、かつ、流動性資産が確保されている場合には、原則として業務停止命令等の措置は取られないこととなっております。)。当連結会計年度末における連結実質純資産額は8兆2,535億円となりました。
(単位:億円)
追加責任準備金とは、加入時の計算基礎で計算した積立額では、逆ざや等により保険金等の支払いに不足する額として追加して積み立てている責任準備金であります。当連結会計年度末における追加責任準備金は5兆3,730億円を積み立てております。なお、責任準備金の積立方法は、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1) 連結財務諸表」の(連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項)に記載のとおりであります。
(単位:億円)
エンベディッド・バリュー(以下「EV」といいます。)は対象事業に割り当てられた、資産及び負債から生じる株主への分配可能な利益の価値の見積りであります。ただし、将来の新契約から生じる価値は含みません。この価値は、修正純資産及び保有契約価値で構成されるものであります。
修正純資産は株主に帰属すると考えられる純資産(時価)であり、必要資本とフリー・サープラスで構成されるものであります。
保有契約価値は、保有契約及び保有契約に係る資産から将来発生すると見込まれる株主への分配可能な利益の評価日時点の現在価値であり、必要資本を維持するための費用等を控除したものであります。
生命保険契約は、一般に販売時に多くのコストが発生するため、一時的には損失が発生するものの、契約が継続することで、将来にわたり生み出される利益によりそのコストを回収することが期待される収支構造となっております。現行の法定会計では、このような収支構造をそのまま各年度の損益として把握しておりますが、EVは、全保険期間を通じた損益を現在価値で評価することとなるため、現行の法定会計による財務情報では不足する情報を補うことができる指標の一つと考えております。
EVの開示に関する一貫性と透明性の改善を図る目的で、2004年5月にヨーロッパの主要保険会社のCFO(最高財務責任者)の集まりである、CFOフォーラムが、ヨーロピアン・エンベディッド・バリュー(以下「EEV」といいます。)原則及び指針(ガイダンス)を制定いたしました。
2016年5月には、CFOフォーラムによってEEV原則の改正が公表され、EVに2016年1月から施行された欧州ソルベンシーⅡ等の計算で用いた計算手法及び前提の使用が許容されるようになりました。
今回のEEVの計算には、市場整合的手法を用いております。この手法は、資産又は負債から発生するキャッシュ・フローを市場で取引されている金融商品と整合的に評価するものであります。
当社は、郵政民営化法に基づき、2007年10月1日に発足しました。また、2007年9月末までに契約された簡易生命保険契約は、郵政管理・支援機構に承継されるとともに、郵政管理・支援機構が負う保険責任のすべてについて、当社が受再しております。
当社は、郵政管理・支援機構との再保険契約において、簡易生命保険契約を他の保険契約と区分して管理すること(簡易生命保険契約に係る危険準備金及び価格変動準備金も区分して管理すること)、簡易生命保険契約から生じた利益(危険準備金及び価格変動準備金の戻入による利益も含んでおります。)も区分して管理すること、及び郵政管理・支援機構が簡易生命保険契約に対して既に約款で約束している確定配当所要額と再保険損益(確定配当所要額及び法人税等を除いたこの区分における利益)の8割の合計額を、郵政管理・支援機構へ再保険配当として支払うことを定めております。EEVの計算においては、この郵政管理・支援機構への再保険配当を差し引いた後の利益を反映しております。
このように郵政管理・支援機構への再保険配当の原資に、簡易生命保険契約に係る危険準備金及び価格変動準備金の戻入による利益が含まれることから、簡易生命保険契約に係る危険準備金及び価格変動準備金は修正純資産には含めておらず、将来において戻入する前提で保有契約価値に含めて計算しております。
当社のEEVは以下のとおりであります。
(単位:億円)
修正純資産は、資産の市場価値のうち、契約者に対する負債及びその他の負債の価値を超過する部分であり、株主に帰属すると考えられる価値であります。株主配当や、2022年8月に開始した自己株式の取得及びキャピタル損を主な理由として、当事業年度末における修正純資産は前事業年度末から減少しております。修正純資産の内訳は以下のとおりであります。
(単位:億円)
(注) 1.計算対象に子会社を含めているため、連結貸借対照表の純資産の部合計を計上しております。ただし、その他の包括利益累計額合計を除いております。また、自己株式に計上している株式給付信託(BBT)が保有する当社株式の帳簿価額を加えております。
2.簡易生命保険契約に係る部分を除いております。
3.保険契約に係らない有価証券、貸付金及び不動産の含み損益、一般貸倒引当金、退職給付の未積立債務(未認識過去勤務費用及び未認識数理計算上の差異)並びに劣後債の含み損益を計上しております。
当事業年度末の修正純資産を計算する際に除いた保険契約に係る部分は以下のとおりであります。
(単位:億円)
(注) 1.連結貸借対照表の純資産の部合計を計上しております。ただし、その他の包括利益累計額合計を除いております。また、自己株式に計上している株式給付信託(BBT)が保有する当社株式の帳簿価額を加えております。
2.保険契約に係る部分(②)は、簡易生命保険契約に係る部分を計上しております。詳細は「(2) 簡易生命保険契約について」に記載のとおりであります。
3.有価証券、貸付金及び不動産の含み損益、一般貸倒引当金、退職給付の未積立債務(未認識過去勤務費用及び未認識数理計算上の差異)並びに劣後債の含み損益を計上しております。
保有契約価値は、保有契約の評価日時点における価値を表したもので、保有契約及び保有契約に係る資産から将来発生すると見込まれる株主への分配可能な利益を現在価値に割り引いております。「(4) 前事業年度末EEVからの変動要因」に記載のとおり、前提条件(経済前提)と実績の差異を主な理由として、当事業年度末における保有契約価値は前事業年度末から減少しております。保有契約価値の内訳は以下のとおりであります。
将来利益の計算において保険契約に係る資産は簿価評価しております。また、簡易生命保険契約に係る危険準備金及び価格変動準備金が将来において戻入する前提で、その戻入による利益を含めて計算しております。詳細は「(2) 簡易生命保険契約について」に記載のとおりであります。
(単位:億円)
新契約価値は、当期間に獲得した新契約(条件付解約による加入契約及び転換契約については正味増加分のみ)の契約獲得時点における価値を表したものであります。
当事業年度の新契約価値は前事業年度から増加しているものの、当事業年度において新契約量の規模が小さい一方、新契約獲得にはその多寡によらない一定の事業費等が必要となるため、当事業年度の新契約価値はマイナスとなります。新契約価値の内訳は以下のとおりであります。
(単位:億円)
なお、新契約マージン(新契約価値の保険料収入現価に対する比率)は以下のとおりであります。
(単位:億円)
(注) 将来の収入保険料を、新契約価値の計算に用いたリスク・フリー・レートで割り引いております。
(単位:億円)
当社は当事業年度において自己株式350億円の取得及び358億円の株主配当金を支払っており、修正純資産がその分減少しております。
新契約価値は、当事業年度に新契約を獲得したことによる契約獲得時点における価値を表したものであり、契約獲得に係る費用を控除した後の金額が反映されております。当事業年度において新契約量の規模が小さい一方、新契約獲得にはその多寡によらない一定の事業費等が必要となるため、新契約価値はマイナスになっております。
保有契約価値の計算にあたっては、将来の期待収益をリスク・フリー・レートで割り引いておりますので、時間の経過とともに割引の影響が解放されます。これには、オプションと保証の時間価値、必要資本を維持するための費用及びヘッジ不能リスクに係る費用のうち当事業年度分の解放を含んでおります。修正純資産からは、対応する資産からリスク・フリー・レート(△0.075%)分に相当する収益が発生しております。
EEVの計算にあたっては、将来の期待収益としてリスク・フリー・レートを用いておりますが、実際の会社はリスク・フリー・レートを超過する利回りを期待しております。この項目は、その期待される超過収益を表しております。当事業年度の超過収益を計算するために使用した期待収益率は、「付録B EEV計算における主な前提条件 (1) 経済前提」に記載のとおりであります。
当事業年度に実現が期待されていた利益が、保有契約価値から修正純資産に移管されます。これには、前事業年度末の保有契約から期待される当事業年度の利益と、当事業年度に獲得した新契約からの、契約獲得に係る費用を含めた当事業年度の損益が含まれております。
これらは保有契約価値から修正純資産への振替えであり、EEVの金額には影響しません。
前事業年度末の保有契約価値の計算に用いた前提条件(非経済前提)と、当事業年度の実績の差額であります。
主に新型コロナウイルス感染症(COVID-19(注))に係る保険金支払の増加により、EEVは548億円減少しました。
前提条件(非経済前提)を更新したことにより、翌事業年度以降の収支が変化することによる影響であります。
主に事業費前提の変更により、EEVは280億円減少しました。
市場金利やインプライド・ボラティリティ等の経済前提が、前事業年度末EEV計算に用いたものと異なることによる影響であります。当該影響は、当事業年度の実績及び翌事業年度以降の見積りの変更を含んでおります。
主にキャピタル損により、修正純資産は541億円減少しました。
主に海外金利上昇に伴う外国債券の含み益の減少により、保有契約価値は1,396億円減少しました。
(注) 2020年2月11日に世界保健機構(WHO)によってCOVID-19と命名された新型コロナウイルス感染症のこと。
前提条件を変更した場合のEEVの感応度は以下のとおりであります。感応度は、一度に一つの前提のみを変化させることとしており、同時に2つの前提を変化させた場合の感応度は、それぞれの感応度の合計とはならないことにご注意ください。
(単位:億円)
感応度1から4について、修正純資産の増減額は以下のとおりであります。また、感応度5から11については、保有契約価値のみの増減額となります。
(単位:億円)
(注) 参考値として、保有契約に係る資産の含み損益も加えた増減額(税引後に換算)を示しております。なお、EEVの計算にあたって、保険契約に係る部分の資産の含み損益については、修正純資産ではなく、保有契約価値の計算に含めて評価しております。
当事業年度において新契約量の規模が小さく、新契約価値の感応度に重要性がないため、算定しておりません。
なお、50bp低下によりリスク・フリー・レートが0%を下回る場合は0%としております。ただし、50bp低下前のリスク・フリー・レートが0%を下回る場合はその値をそのまま使用しております。
株式及び不動産の評価日時点の価格が10%下落した場合の影響を表しております。
事業費率(契約維持に係るもの)が10%減少した場合の影響を表しております。
解約失効率が10%減少(基本となる解約失効率に90%を乗じた水準)した場合の影響を表しております。
死亡保険について、保険事故発生率(死亡率・罹患率)が5%低下(基本となる保険事故発生率に95%を乗じた水準)した場合の影響を表しております。
年金保険について、保険事故発生率が5%低下(基本となる保険事故発生率に95%を乗じた水準)した場合の影響を表しております。
必要資本を法定最低水準(ソルベンシー・マージン比率200%水準)に変更した場合の影響を表しております。
オプションと保証の時間価値の計算に使用する、株式オプションのインプライド・ボラティリティが25%上昇した場合の影響を表しております。
オプションと保証の時間価値の計算に使用する、金利スワップションのインプライド・ボラティリティが25%上昇した場合の影響を表しております。
EEVの計算においては、リスクと不確実性を伴う将来の見通しを含んだ多くの前提条件を使用し、それらの多くは個別会社の管理能力を超えた領域に属するものであります。また、将来の実績がEEVの計算に使用した前提条件と大きく異なる場合もあり得ます。
これらの理由により、本EEV開示は、EEV計算に用いられた将来の税引後利益が達成されることを表明するものではなく、使用にあたっては、十分な注意を払っていただく必要があります。
当社では、保険数理に関する専門知識を有する第三者機関(アクチュアリー・ファーム)に、EEVについて検証を依頼し、意見書を受領しております。
当社が当事業年度末のEEVを計算するために使用した方法及び前提は市場整合的手法であり、EEV原則とその指針(ガイダンス)に準拠しております。
計算の対象範囲は、当社及びその子会社の取り扱う生命保険事業であります。
なお、当社は生命保険事業のみを取り扱っております。
また、当社は日本郵政グループの一員ですが、本計算は当社単独の計算となっております。
修正純資産は、貸借対照表の純資産の部の金額に対して、以下の調整を加えて計算しております。
なお、修正純資産から必要資本を控除したものがフリー・サープラスと呼ばれております。
なお、保険契約に係る資産の含み損益については、修正純資産ではなく、保有契約価値の計算に含めて評価しております。
保有契約価値は、確実性等価将来利益現価から、オプションと保証の時間価値、必要資本を維持するための費用及びヘッジ不能リスクに係る費用を控除することにより算出しております。
確実性等価将来利益現価は、最良推計(ベスト・エスティメイト)による前提に基づき、将来キャッシュ・フローを決定論的手法により計算したもので、将来利益をリスク・フリー・レートで割り引いた現在価値であります。
将来利益の計算において、保険契約に係る資産の運用収益を簿価評価しておりますが、リスク・フリー・レートによる割引現在価値は資産時価と一致しております(この取扱いは「EEV原則の指針(ガイダンス)G10.11」のとおりであります。)。なお、EEV及び新契約価値における確実性等価将来利益現価の計算では、将来の資産運用リスクのプレミアム(例えば、株式や債券等に期待されるリスク・フリー・レートを超過する利回り)は反映されておりません。また、簡易生命保険契約に係る危険準備金及び価格変動準備金が将来において戻入する前提で、その戻入による利益を含めて計算しております。詳細は「(参考5) 当社のEV (2) 簡易生命保険契約について」に記載のとおりであります。
この価値には、契約者配当等のオプションと保証の本源的価値も反映しておりますが、オプションと保証の時間価値は反映されず、別途、計算しております。
オプションと保証の時間価値は、最良推計(ベスト・エスティメイト)による前提に基づいた値(確実性等価将来利益現価)と、市場で取引されているオプション価格と整合的な前提により確率論的に計算された将来の税引後利益現価の平均との差として計算しております。
オプションと保証の時間価値は、以下のような要素を勘案しております。
有配当保険においては、発生した損益に対して、株主への分配可能な利益には、非対称性が存在しております。例えば、利益が発生した場合には、契約者配当を支払うことから、利益のすべてが株主には帰属しておりません。一方、損失が発生した場合には、契約者に追加の負担が生じないため、損失のすべてが株主負担となります。契約者配当は、収益状況に応じた一定割合を還元するように設定しているため、シナリオによって異なった金額となります。
経済の状況等に応じて、契約者はさまざまな行動を取るオプションを有しております。ここでは、金利水準により契約者の解約行動が変化することを反映しております。
保険会社は健全性維持のために負債の額を超えて必要資本を保有する必要があります。この必要資本に係る運用収益に対する税金と資産運用管理のための費用を認識しております。
EEV原則において、この必要資本は、法定最低水準以上であることが求められ、さらに、内部の目的を達成するために必要となる金額とすることが認められております。日本における法定最低水準の資本要件はソルベンシー・マージン比率200%であることを踏まえ、当社では、必要資本を維持するための費用の計算にあたり、ソルベンシー・マージン比率600%に相当する金額を必要資本としております。
なお、日本におけるソルベンシー・マージン基準では、一定の範囲内で、全期チルメル式責任準備金相当額超過額をマージンに反映することが規定されており、本計算においてもこれを反映しております。また、保有契約価値の計算において、簡易生命保険契約に係る危険準備金及び価格変動準備金に加え、保険契約に係るその他有価証券評価差額金、一般貸倒引当金を含めて評価しており、これらの準備金等をマージンに含めております。
当社の前事業年度及び当事業年度における必要資本はゼロとなりました。ただし、これらの準備金等は将来において戻入されることを想定しているため、将来における必要資本は必ずしもゼロではありません。
EEV原則では、「EVは対象事業のリスク全体を考慮した上で、対象事業に割り当てられた資産から発生する分配可能利益の中の株主分の現在価値」と定義されており、すべてのリスクを勘案してEEVを計算することが求められております。
一部のリスクについては、最良推計(ベスト・エスティメイト)による前提だけではEEVに与えるさまざまな影響を十分に反映できない場合があり、EEVの計算において、ヘッジ不能リスクに係る費用として認識するという補正が必要となります。このような例として、オペレーショナル・リスク及び巨大災害リスクの他、以下のリスクが挙げられます。
① 当社は簡易生命保険契約において終身年金等の生存保障系商品の占率が高く、将来に死亡率の改善が進んだ場合、将来の年金支払額等が増加し、価値が悪化します。死亡率前提設定において将来の死亡率の改善を反映しておりますが、最良推計以上に死亡率が改善することにより、価値の不確実性が存在しております。
② 将来、剰余が発生した場合には税金を支払いますが、損失が発生した場合には税金はゼロとなります。この場合でも、税務上の欠損金の多くは翌年度以降に繰り越すことにより回収可能と考えられますが、繰越期間内に回収できないリスクが存在しております。
③ 計算に用いるリスク・フリー・レートのうち、超長期の金利には十分な取引のある市場が存在しないことにより、価値の不確実性が存在しております。
当社では、簡易モデルによってヘッジ不能リスクに係る費用を推定しております。
当事業年度の新契約価値は、当期間に獲得した新契約の獲得時点における価値であります。
計算対象は、新契約及び特約の中途付加であり、既契約の更新は含めておりません。なお、条件付解約による加入契約及び転換契約の新契約価値としては、旧契約の価値からの正味増加分を反映しております。また、経済前提は2022年9月末時点のもの、その他の前提は保有契約価値と同一の期末時点のものを用いております。
新契約価値の評価について、当社では、実際の契約者配当の水準を、保有契約全体の損益に基づいて決定していることを踏まえ、新契約を獲得した場合の保有契約全体の損益に基づいて計算したEVと、新契約を獲得しなかった場合の保有契約全体の損益に基づいて計算したEVの差とするマージナル方式としております。マージナル方式では、新契約獲得に伴う分散効果によるリスクの軽減の影響等も新契約価値として評価されております。
確実性等価将来利益現価の計算においては、当社の保有資産等を考慮し、リスク・フリー・レートとして、評価日時点の国債を使用しております。
参照金利のない超長期の金利は、終局金利を用いて補外しております。
具体的には終局金利として3.8%を仮定し、日本国債の流動性等を踏まえ補外開始年度を30年目と設定しております。31年目以降のフォワード・レートは補外開始年度以降30年間で終局金利の水準に収束するようにSmith-Wilson法により補外しております。
計算に使用したリスク・フリー・レート(スポット・レート換算)の年限別数値は以下のとおりであります。
保有契約価値の計算に用いるリスク・フリー・レート
(データ:財務省 補正後)
新契約価値の計算に用いるリスク・フリー・レート
(データ:財務省 補正後)
金利モデルとして、日本円、米ドル、ユーロ、豪ドルを通貨とする確率論的αβρ-LIBOR マーケットモデルを構築しました。各金利変動の相関を考慮するとともに、日本円を基準通貨とするリスク中立アプローチに基づきモデルを調整しております。金利モデルは、評価日時点の市場にキャリブレートされており、パラメータはイールド・カーブと期間の異なる複数の金利スワップションのインプライド・ボラティリティから推計しております。オプションと保証の時間価値を算出するための確率論的手法では5,000シナリオを使用しております。これらのシナリオは保険数理に関する専門知識を有する第三者機関により生成されたものを使用しております。
シナリオのキャリブレーションに使用した金利スワップションのインプライド・ボラティリティ(抜粋)は以下のとおりであります。
金利スワップション
保有契約価値の計算に用いるインプライド・ボラティリティ
(データ:Bloomberg)
新契約価値の計算に用いるインプライド・ボラティリティ
(データ:Bloomberg)
主要な株式のインデックス及び通貨のボラティリティについては、市場で取引されているオプションのインプライド・ボラティリティのデータに基づいてキャリブレーションを行っております。シナリオのキャリブレーションに使用したインプライド・ボラティリティ(抜粋)は以下のとおりであります。なお、当社が実際に使用する国内株式インデックスは、主にTOPIXをベンチマークとした運用がなされていることを踏まえ、TOPIXの日経225に対するヒストリカル・ボラティリティ比(2022年9月30日:93.0%、2023年3月31日:91.5%)を下記の日経225のインプライド・ボラティリティに乗じて算出しております。
株式オプション
保有契約価値の計算に用いるインプライド・ボラティリティ
(データ:Markit 補正後)
新契約価値の計算に用いるインプライド・ボラティリティ
(データ:Markit 補正後)
通貨オプション
保有契約価値の計算に用いるインプライド・ボラティリティ
(データ:Bloomberg)
新契約価値の計算に用いるインプライド・ボラティリティ
(データ:Bloomberg)
前述のインプライド・ボラティリティに加え、相関係数を元に当社の資産構成を反映させたインプライド・ボラティリティを計算しております。
相関係数については、十分な流動性を有するエキゾチック・オプションに基づく市場整合的なデータが存在しておりません。このため、評価日時点の直近10年間の市場データから計算した値を使用しております。
主要な変数間の相関係数は以下のとおりであります。
保有契約価値の計算で使用
(データ:日本円金利は財務省、その他はBloomberg)
新契約価値の計算で使用
(データ:日本円金利は財務省、その他はBloomberg)
当社の評価日時点の資産構成の実態を考慮するとともに、将来の新規購入資産は、負債特性を踏まえた年限での運用を想定しております。
また、当社の外貨建資産の通貨別構成を踏まえ、すべての外貨建資産は米ドル建、ユーロ建及び豪ドル建から構成されるとみなしております。
「前事業年度末EEVからの変動要因」の期待収益(超過収益分)の計算に用いた主な資産の期待収益率(リスク・フリー・レート分と超過収益分の合計)は以下のとおりであります。
期待収益(超過収益分)の計算に用いる期待収益率は、前事業年度末における資産占率に上記の期待収益率を乗じることにより算出しております。会社全体における資産占率考慮後の期待収益率は、0.576%であります。
保険料、事業費、保険金・給付金、解約返戻金、税金等のキャッシュ・フローは、契約消滅までの期間にわたり、保険種類別に、直近までの経験値及び期待される将来の実績を勘案して(最良推計(ベスト・エスティメイト)による前提)予測しております。
b.消費税については、10%としております。
現行の配当実務に基づき、配当率の前提を設定しております。
なお、郵政管理・支援機構への再保険配当については、郵政管理・支援機構との再保険契約に基づく額を支払うこととしております。
直近の実効税率に基づき、28.00%としております。
当社は、郵政管理・支援機構との間で再保険契約を締結し、郵政民営化法により公社から郵政管理・支援機構に承継された、簡易生命保険契約に基づく郵政管理・支援機構の保険責任のすべてを受再しております。また、当該再保険契約に基づき、簡易生命保険契約及びそこから生じた利益を他の保険契約と区分して管理しており、過年度の実績の推移は下表のとおりであります。
下表における旧区分の数値は、上記に基づき算出した簡易生命保険契約に係るものであり、新区分の数値は、全体から旧区分の数値を差し引いたものであります。よって、下表は当社の内部管理上の数値であり、企業会計原則に則って作成される数値ではありません。
経営上の重要な契約等は、次のとおりであります。
当社は、親会社である日本郵政株式会社を含む、日本郵政グループ内各社と契約を締結しており、また、これらの契約に基づく取引が発生しております。なお、当社には保険業法が適用されることから、日本郵政グループ内各社との取引にあたっては、アームズ・レングス・ルール(保険会社は、親会社及びその子会社等の一定の関係者との間で、通常と著しく異なる条件での取引等を行ってはならないこととされており、この定めを「アームズ・レングス・ルール」といいます。)に基づき、日本郵政グループ内取引の必要性、取引条件の適正性等の観点からのチェックを実施しております。
日本郵政グループ共通の理念及び方針その他のグループ運営に係る基本的事項について定め、円滑な日本郵政グループの運営の実施に資することを目的とした協定であり、グループ商標等に係る商標権の取得・管理等を含む、日本郵政株式会社、日本郵便株式会社、株式会社ゆうちょ銀行及び当社の責務が定められております。
本協定の存続期間は、2015年4月1日から、株式会社ゆうちょ銀行又は当社のいずれかが、それぞれ日本郵便株式会社法第2条第2項に定める銀行窓口業務契約又は同条第3項に定める保険窓口業務契約を解除する日までとされております。また、株式会社ゆうちょ銀行又は当社が日本郵政株式会社の連結子会社でなくなった場合には、本協定について必要な見直しを行うものとされております。
日本郵政グループを統轄する日本郵政株式会社が行うグループ運営に関する基本的事項(当社から日本郵政株式会社に対して事前協議又は報告を行うこと等)について定めた契約であり、上記①a.日本郵政グループ協定に基づき締結されたものであります。本契約に基づいて締結したグループ運営のルールに関する覚書における主な事前協議事項は下記のとおりでありますが、当該事前協議は当社の意思決定を妨げる又は拘束するものではない旨が本契約で定められております。
(主な事前協議事項)
・ 株主総会の決議事項
・ 代表執行役及び役付執行役の選定又は解職
・ 執行役の選任又は解任
・ 経営理念及び経営方針等の策定又は変更
・ 中期経営計画の策定又は変更
・ 年度事業計画(資金調達及び運用計画を含む。)の策定又は変更
・ 子会社の新設
・ 重要な株式の取得及び処分(運用目的の場合を除く。)の決定
・ 重要な業務提携等の決定
・ 重要な資産(不動産、株式、運用目的の債権等の資産を除く。)の取得、処分の決定
・ 重要な投資又は融資の決定
・ 資本戦略の決定
なお、「1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等 (4) 経営戦略及び対処すべき課題」に記載の募集品質に係る諸問題の発生を受け、グループ会社間の連携及びガバナンス態勢の強化等を図る観点から、上記覚書において、営業(業務)に関する目標・指標の制定又は改廃、年度営業(業務)方針・計画の策定又は改廃に関する報告事項(事前報告)を規定するとともに、内部監査、コンプライアンス、オペレーショナルリスクの各領域において、当社と日本郵政株式会社との間で協議・調整を行う会議体を設置すること等を明文化しております。
本契約の存続期間は、2015年4月1日から、株式会社ゆうちょ銀行又は当社のいずれかが、それぞれ日本郵便株式会社法第2条第2項に定める銀行窓口業務契約又は同条第3項に定める保険窓口業務契約を解除する日までとされております。また、株式会社ゆうちょ銀行又は当社が日本郵政株式会社の連結子会社でなくなった場合には、本契約について必要な見直しを行うものとされております。
また、本契約に基づき、当社は日本郵政株式会社に対して、「かんぽ」等を含むグループ商標の使用許諾の対価等として、ブランド価値使用料を支払うものとされております。ブランド価値使用料の算定方法は、重大な経済情勢の変化等、特段の事情が生じない限り、変更しないものとしており、日本郵政株式会社の当社株式の保有割合に直接影響されるものではありません。なお、2023年3月期の当社から日本郵政株式会社に支払ったブランド価値使用料は、22億円であります。
2012年の郵政民営化法の改正に伴い、日本郵便株式会社に保険のユニバーサルサービス義務が課されました。本契約は、日本郵便株式会社が果たすべきユニバーサルサービス義務のうち、「簡易に利用できる生命保険の役務を利用者本位の簡便な方法により、あまねく全国において公平に利用できるようにする」との責務を果たすため締結した契約であります。本契約においては、日本郵便株式会社にユニバーサルサービス義務が課される終身保険及び養老保険について、保険募集、満期保険金及び生存保険金の支払請求の受理について、日本郵便株式会社が保険窓口業務を提供することが定められております。
本契約は、期間の定めのない契約であり、本契約に定める特段の事情がない限り、日本郵便株式会社又は当社から一方的に解除することはできないものとされております。また、当社の定款上、本契約を日本郵便株式会社との間で締結することが定められております(本契約に関し、当社グループに生じうるリスクについては、「3 事業等のリスク」に記載のとおりであります。)。
なお、当社は日本郵便株式会社に対して各種の委託手数料を支払っていますが、ユニバーサルサービス義務が課された業務に対し、同義務が課されていることによる追加的な手数料は支払っておりません。当該手数料の詳細については、下記の「(参考) 日本郵便株式会社に支払う委託手数料」に記載のとおりであります。
上記a.の保険窓口業務契約で定めたユニバーサルサービス義務が課された業務を含め、当社を保険者とする生命保険契約の募集及び維持・管理等に関する業務、具体的には保険契約の締結の媒介、保険料等の受領、保険金等の支払等に関する業務を、日本郵便株式会社に委託する契約であります。
なお、本契約に基づき募集を委託する保険商品は当社の全商品としておりますが、当社は通知により、委託する商品を追加、変更又は削除することが可能であります。本書提出日現在においては、当社はかかる通知を行っておりません。
本契約において当社は、日本郵便株式会社が行う業務の対価として、当社が別途定める代理店手数料規程に基づき手数料を支払う旨が定められております。本契約は期限の定めのない契約であり、6カ月前の書面による通知により解除について協議を申し入れた上で、解除することが可能であります。また、本契約に定める特段の事由が存在する場合、当社は事前協議及び書面による通知なしに本契約を解除することが可能であります。なお、保険窓口業務に該当する業務については、保険窓口業務契約に定めがある場合を除くほか、生命保険募集・契約維持管理業務委託契約の定めるところによるものとしております。
当社が郵政管理・支援機構から受託した簡易生命保険管理業務の一部(簡易生命保険契約に係る保険料等の受領、保険金等の支払等)について、日本郵便株式会社に再委託する契約であります。本契約において当社は、日本郵便株式会社が行う業務の対価として、当社が別途定める代理店手数料規程に基づき手数料を支払う旨が定められております。本契約は期限の定めのない契約であり、日本郵便株式会社又は当社のいずれか一方から、6カ月前までに、事業運営上の合理的な理由により本契約を解約する旨の意思表示が書面によりなされた場合には、解約することが可能であります。また、郵政管理・支援機構と当社との間の簡易生命保険管理業務委託契約が解除された場合等、本契約に定める特段の事由が存在する場合、当社は予告なしに本契約を解除することが可能であります。
当社を保険者とする生命保険契約の募集を行う簡易郵便局に対する指導・教育等について、日本郵便株式会社に委託する契約であります。本契約において当社は、日本郵便株式会社が行う業務の対価として、当社が別に定める総括代理店手数料規程に基づき総括代理店手数料を支払う旨が定められております。
本契約の有効期間は契約締結日から1年間(1年ごとの自動更新条項付)とされており、日本郵便株式会社又は当社のいずれか一方から、6カ月前までに、事業運営上の合理的な理由により本契約を解約する旨の書面での意思表示がなされた場合には、解約することが可能であります。また、生命保険募集・契約維持管理業務委託契約が解除された場合には、当社は文書による予告なしに本契約を解除することが可能であります。
株式会社ゆうちょ銀行が所有し、郵便局の窓口に設置している窓口端末機等を、当社並びに当社の業務を委託している日本郵便株式会社、当社の連結子会社であるかんぽシステムソリューションズ株式会社が当社業務の実施を目的として使用することについて、株式会社ゆうちょ銀行が当社に許諾すること等を定めた契約であります。本契約において当社は、株式会社ゆうちょ銀行に対して、株式会社ゆうちょ銀行が毎年度通知する機器使用料を支払うものとされております。本契約の有効期間は契約締結日から1年間(1年ごとの自動更新条項付)とされております。
なお、本契約は、株式会社ゆうちょ銀行が所有し、郵便局の窓口に設置している紙幣硬貨入出金機を、日本郵便株式会社が郵便及び物販窓口業務の実施を目的として使用することについて、株式会社ゆうちょ銀行が日本郵便株式会社に許諾することについても定めた契約となっているため、3社での契約となっております。
郵政管理・支援機構が公社から承継した簡易生命保険管理業務のうち、簡易生命保険契約の維持・管理、保険料の収納、保険金の支払い、資産運用等の業務を当社が郵政管理・支援機構から受託する契約であります。本契約において郵政管理・支援機構は、下記②の再保険契約が有効である間については、委託業務に関する手数料は支払わないものとされております。本契約は期限の定めのない契約であり、再保険契約の終了に伴い終了する旨が定められております。また、当社が破産の申立てを行った場合等、本契約に定める特段の事由が発生した場合には、郵政管理・支援機構は、予告なく本契約を解除することが可能であります。なお、本契約の変更・解除は、郵政管理・支援機構が総務大臣の認可を受けなければ効力を生じないとされております。
郵政管理・支援機構が公社から承継した簡易生命保険契約について、郵政管理・支援機構が負う保険責任のすべてを当社が受再する契約であります。郵政管理・支援機構は、簡易生命保険契約の保険料のすべてを再保険料として当社に払い込むこととされております。また、本契約において当社は、毎事業年度末において、再保険損益の8割と公社解散時において確定している簡易生命保険契約の契約者配当の分配のために必要な額の合計額を、再保険配当として契約者配当準備金に繰り入れることとしております。再保険配当の計算方法の変更の必要性については、毎事業年度、郵政管理・支援機構と当社間で協議することとされておりますが、本契約締結以降、当該計算方法が変更されたことはなく、本書提出日時点において変更の予定もありません。
本契約は期限の定めのない契約であり、郵政管理・支援機構は、6カ月前の書面による通知により解除について協議を申し入れた上で、解除することが可能であります。また、本契約に定める特段の事由が存在する場合、郵政管理・支援機構は直ちに本契約を解除することが可能であります。なお、本契約の変更・解除は、郵政管理・支援機構が総務大臣の認可を受けなければ効力を生じないとされております。
郵政管理・支援機構が公社から承継した簡易生命保険契約の契約者に対する貸付金及び地方公共団体等に対する貸付金の総額に相当する額について、公社が相手方と約定した貸付条件と同一の条件で、当社が郵政管理・支援機構に対し貸付けをする契約であります。
2023年3月31日現在
(注) 1.現在、休止中の主要な設備はありません。
2.当社は単一セグメントであるため、セグメントの名称については記載を省略しております。
3.従業員数は就業人員数(他社から当社への出向者を含み、当社から他社への出向者を除く。)であり、臨時従業員数(無期転換制度に基づく無期雇用転換者(アソシエイト社員)を含み、派遣社員を除く。)は、年間の平均雇用実績(1日8時間換算)を[ ]内に外書きで記載しております。なお、従業員数は、主に2022年4月からの新しいかんぽ営業体制への移行に伴い、前連結会計年度末に比べ11,603名増加しております。
4.建物及び土地の一部を賃借しており、年間賃借料の合計は、13,435百万円であります。なお、賃借している土地の面積を[ ]内に外書きで記載しております。
5.帳簿価額のうち、「その他」の主なものとしては、ソフトウエア97,335百万円、器具備品9,472百万円、リース資産4,189百万円、建設仮勘定24百万円であります。なお、各事業所で使用するリース資産は少額であるため、一括して本社に計上しております。
6.2022年4月からの新しいかんぽ営業体制への移行に伴い、支店の分室(かんぽサービス部)を全国623箇所に設置しております。
連結財務諸表における子会社の設備の割合が僅少であるため、記載を省略しております。
該当事項はありません。
(注) 2023年4月17日開催の取締役会決議に基づき、2023年5月8日付けで自己株式16,501,400株を消却したことにより、発行済株式総数が本書提出日現在において383,192,300株となっております。
該当事項はありません。
該当事項はありません。
(注) 1.自己株式の消却による減少であります。
2.2023年4月17日開催の取締役会決議に基づき、2023年5月8日付けで自己株式16,501,400株を消却したことにより、発行済株式総数が16,501,400株減少しております。
2023年3月31日現在
(注) 1.自己株式16,512,551株は、「個人その他」に165,125単元、「単元未満株式の状況」に51株含まれております。
2.「金融機関」の欄には、株式給付信託(BBT)が保有する当社株式4,756単元が含まれております。
2023年3月31日現在
(注) 当社は自己株式16,512千株を所有しておりますが、上記の大株主の状況からは除外しております。