株式会社ゆうちょ銀行
千代田区丸の内二丁目7番2号
証券コード:71820
業界:銀行業
有価証券報告書の提出日:2023年6月22日

(1) 当連結会計年度の前4連結会計年度及び当連結会計年度に係る次に掲げる主要な経営指標等の推移

 

2018年度

2019年度

2020年度

2021年度

2022年度

(自 2018年

  4月1日

至 2019年

  3月31日)

(自 2019年

  4月1日

至 2020年

  3月31日)

(自 2020年

  4月1日

至 2021年

  3月31日)

(自 2021年

  4月1日

至 2022年

  3月31日)

(自 2022年

  4月1日

至 2023年

  3月31日)

連結経常収益

百万円

1,845,413

1,799,544

1,946,728

1,977,640

2,064,251

連結経常利益

百万円

373,978

379,137

394,221

490,891

455,566

親会社株主に帰属する
当期純利益

百万円

266,189

273,435

280,130

355,070

325,070

連結包括利益

百万円

23,376

2,177,244

2,470,383

910,994

364,552

連結純資産額

百万円

11,362,365

9,003,256

11,394,827

10,302,261

9,651,874

連結総資産額

百万円

208,974,134

210,910,882

223,870,673

232,954,480

229,582,232

1株当たり純資産額

3,029.61

2,398.98

3,033.03

2,739.60

2,621.17

1株当たり当期純利益

71.00

72.94

74.72

94.71

86.84

潜在株式調整後
1株当たり当期純利益

自己資本比率

5.43

4.26

5.07

4.40

4.18

連結自己資本利益率

2.32

2.68

2.75

3.28

3.26

連結株価収益率

17.02

13.66

14.23

10.39

12.47

営業活動による
キャッシュ・フロー

百万円

1,120,727

2,935,966

9,431,212

7,665,328

4,495,827

投資活動による
キャッシュ・フロー

百万円

2,713,730

1,787,359

247,977

1,585,517

6,337,474

財務活動による
キャッシュ・フロー

百万円

182,940

182,265

79,141

181,657

286,036

現金及び現金同等物の
期末残高

百万円

50,633,686

51,600,251

60,704,486

66,602,709

68,158,319

従業員数
[外、平均臨時従業員数]

12,821

[4,185]

12,517

[3,866]

12,451

[3,603]

12,219

3,246]

11,807

[2,900]

 

(注) 1.当行は、株式給付信託を設定しており、当該信託が保有する当行株式を連結財務諸表において自己株式として計上しております。これに伴い、株式給付信託が保有する当行株式は、1株当たり純資産額の算定上、普通株式の期末発行済株式数から控除する自己株式数に含めており、また、1株当たり当期純利益の算定上、普通株式の期中平均株式数の計算において控除する自己株式数に含めております。

2.潜在株式調整後1株当たり当期純利益は、潜在株式が存在しないため記載しておりません。

3.自己資本比率は、株式引受権及び新株予約権が存在しないため「期末純資産の部合計-期末非支配株主持分」を「期末資産の部合計」で除して算出しております。

4.連結自己資本利益率は、親会社株主に帰属する当期純利益を、非支配株主持分控除後の期中平均連結純資産額で除して算出しております。

5.従業員数は、当行及び連結子会社(以下「当行グループ」)から当行グループ外への出向者を含んでおらず、当行グループ外から当行グループへの出向者を含んでおります。また、平均臨時従業員数(無期転換制度に基づく無期雇用転換者(アソシエイト社員)を含む。)は、[ ]内に年間の平均人員(1日8時間換算)を外書きで記載しております。

 

(2) 当行の当事業年度の前4事業年度及び当事業年度に係る主要な経営指標等の推移

回次

第13期

第14期

第15期

第16期

第17期

決算年月

2019年3月

2020年3月

2021年3月

2022年3月

2023年3月

経常収益

百万円

1,845,316

1,799,283

1,946,224

1,977,080

2,053,137

経常利益

百万円

374,299

379,077

394,325

491,459

448,242

当期純利益

百万円

266,178

273,044

279,837

354,945

324,607

資本金

百万円

3,500,000

3,500,000

3,500,000

3,500,000

3,500,000

発行済株式総数

千株

4,500,000

4,500,000

4,500,000

3,749,545

3,690,021

純資産額

百万円

11,350,806

8,987,651

11,362,133

10,263,563

9,608,979

総資産額

百万円

208,970,478

210,905,152

223,847,547

232,922,083

229,545,202

貯金残高

百万円

180,999,134

183,004,733

189,593,469

193,441,929

194,951,503

貸出金残高

百万円

5,297,424

4,961,733

4,691,723

4,441,967

5,604,366

有価証券残高

百万円

137,135,264

135,198,460

138,183,264

139,549,103

132,769,420

1株当たり純資産額

3,027.85

2,397.47

3,030.90

2,737.83

2,619.50

1株当たり配当額

50.00

50.00

50.00

50.00

50.00

(内1株当たり中間配当額)

(円)

(25.00)

(25.00)

(0.00)

(0.00)

(0.00)

1株当たり当期純利益

71.00

72.83

74.64

94.68

86.72

潜在株式調整後
1株当たり当期純利益

自己資本比率

5.43

4.26

5.07

4.40

4.18

自己資本利益率

2.32

2.68

2.75

3.28

3.26

株価収益率

17.02

13.68

14.25

10.40

12.48

配当性向

70.41

68.64

66.98

52.80

57.65

従業員数
[外、平均臨時従業員数]

12,800

[4,184]

12,477

[3,865]

12,408

[3,601]

12,169

3,243]

11,742

[2,898]

株主総利回り

88.16

76.82

85.01

82.98

93.34

(比較指標:配当込みTOPIX
(銀行業))

(84.92)

(65.67)

(93.10)

(103.73)

(128.43)

最高株価

1,529

1,240

1,149

1,197

1,246

最低株価

1,157

826

785

851

944

 

 

(注) 1.貯金は、銀行法施行規則の負債科目「預金」に相当するものであります。

2.当行は、株式給付信託を設定しており、当該信託が保有する当行株式を財務諸表において自己株式として計上しております。これに伴い、株式給付信託が保有する当行株式は、1株当たり純資産額の算定上、普通株式の期末発行済株式数から控除する自己株式数に含めており、また、1株当たり当期純利益の算定上、普通株式の期中平均株式数の計算において控除する自己株式数に含めております。

3.潜在株式調整後1株当たり当期純利益は、潜在株式が存在しないため記載しておりません。

4.自己資本比率は、株式引受権及び新株予約権が存在しないため「期末純資産の部合計」を「期末資産の部合計」で除して算出しております。

5.自己資本利益率は、当期純利益を期中平均純資産額で除して算出しております。

6.配当性向は、普通株式に係る1株当たり配当額を1株当たり当期純利益で除して算出しております。

7.従業員数は、当行から社外への出向者を含んでおらず、社外から当行への出向者を含んでおります。また、平均臨時従業員数(無期転換制度に基づく無期雇用転換者(アソシエイト社員)を含む。)は、[ ]内に年間の平均人員(1日8時間換算)を外書きで記載しております。

8. 最高株価及び最低株価は、2022年4月3日以前は東京証券取引所市場第一部におけるものであり、2022年4月4日以降は東京証券取引所プライム市場におけるものであります。

 

2 【沿革】
(1) 設立経緯

1871年に郵便制度が創設され、更に、1875年に郵便為替・郵便貯金事業、1906年には郵便振替事業が創業され、郵政事業は国の直営事業として運営されてきましたが、1996年11月に発足した行政改革会議において、国の行政の役割を「官から民へ」等の基本的な視点から見直し、行政機能の減量・効率化の一環として、郵政事業も国の直営を改め、「三事業一体として新たな公社」により運営することとされました。これを受け、2001年1月、郵政省は、自治省・総務庁との統合により発足した総務省と、郵政事業の実施機能を担う同省の外局として置かれた郵政事業庁に再編された後、2002年7月31日に郵政公社化関連4法が公布され、2003年4月1日に日本郵政公社が発足しました。

2001年4月に小泉内閣が発足すると、財政・税制・規制・特殊法人・司法制度の改革、地方分権の推進等とともに、郵政事業の民営化が、「聖域なき構造改革」の重要課題の一つとして位置づけられました。2004年9月、日本郵政公社の4機能(窓口サービス、郵便、郵便貯金、簡易生命保険)をそれぞれ株式会社として独立させ、これらの株式会社を子会社とする純粋持株会社を設立すること等を主な内容とする「郵政民営化の基本方針」が閣議決定されました。そして、経営の自主性、創造性及び効率性の向上、公正かつ自由な競争の促進等を基本理念とする郵政民営化法案等の関連6法案が、通常国会への提出、衆議院における一部修正、参議院本会議における否決、衆議院解散・総選挙、再提出等を経て、2005年10月、特別国会で可決・成立しました。

2007年10月1日、郵政民営化(郵政民営化関連6法の施行)に伴い日本郵政公社が解散すると、その業務・機能や権利・義務は、5つの承継会社(日本郵政株式会社、郵便事業株式会社、郵便局株式会社、当行、株式会社かんぽ生命保険)と、郵便貯金・簡易生命保険の管理等を行う独立行政法人郵便貯金・簡易生命保険管理機構(2019年4月、独立行政法人郵便貯金簡易生命保険管理・郵便局ネットワーク支援機構に名称変更。以下「郵政管理・支援機構」)に引き継がれました。ここに、日本郵政株式会社を持株会社とし、郵便事業株式会社、郵便局株式会社、当行、株式会社かんぽ生命保険を中心とした日本郵政グループが発足いたしました。なお、当行は、郵政管理・支援機構の業務である郵便貯金管理業務(日本郵政公社から承継した郵便貯金の管理業務等)の一部を、郵便貯金管理業務委託契約を締結し受託しております。

 

(2) 郵政民営化法等の一部を改正する等の法律の公布

郵政民営化(2007年10月1日)後、約4年半が経過した2012年4月27日、通常国会で郵政民営化法等の一部を改正する等の法律案が可決・成立し、同年5月8日に公布されました。

これにより、郵便事業株式会社と郵便局株式会社が統合され、日本郵政グループは5社体制から4社体制へと再編されました。また、ユニバーサルサービス(注)の範囲が拡充され、郵便のみならず、貯金・保険の基本的なサービスも郵便局で一体的に利用できる仕組みが確保されました。

更に、同改正法は、当行と株式会社かんぽ生命保険(以下あわせて「金融2社」)の株式について、その全部を処分することを目指し、金融2社の経営状況、ユニバーサルサービス確保の責務の履行への影響等を勘案しつつ、できる限り早期に処分することとしました。

なお、2011年11月30日、臨時国会で可決・成立した東日本大震災からの復興のための施策を実施するために必要な財源の確保に関する特別措置法は、日本郵政株式会社の株式について、政府は復興債の償還費用の財源を確保するため、同社の経営状況、収益の見通しその他の事情を勘案しつつ処分の在り方を検討し、その結果に基づいて、できる限り早期に処分することとしました。

 

(注) 日本郵便株式会社は、日本郵便株式会社法により、郵便の役務、簡易な貯蓄、送金・債権債務の決済の役務、簡易に利用できる生命保険の役務を、利用者本位の簡便な方法により郵便局で一体的にかつあまねく全国で公平に利用できるようにするユニバーサルサービス義務を、日本郵政株式会社とともに負っております。

 

(3) 日本郵政株式会社、当行及び株式会社かんぽ生命保険の上場

 上記(2)に記載している法律上の要請に加え、金融2社株式についても、金融2社の経営の自由度確保のため早期処分が必要であること、また、金融2社の株式価値を日本郵政株式会社の株式価格に透明性を持って反映させることといった観点を総合的に勘案し、日本郵政株式会社は、3社の上場は同時に行うことが最も望ましいと判断し、政府による同社株式の売出し・上場にあわせ、金融2社の株式も、同時に売出し・上場することを目指す方針を決定し、2014年12月26日に発表しました。その方針に従い、日本郵政株式会社、当行及び株式会社かんぽ生命保険は、2015年11月4日に東京証券取引所市場第一部に上場しました。なお、東京証券取引所の市場区分見直しに伴い、2022年4月4日、東京証券取引所プライム市場へ移行しております。

また、日本郵政株式会社は、同社の金融2社株式保有割合を、中期経営計画期間中(2021年度~2025年度)のできる限り早期に50%以下とすることを目指す方針を打ち出しております。2023年3月に日本郵政株式会社による当行普通株式の第2次売出し及び当行による自己株式取得・消却を実施しており、同年3月末日現在、日本郵政株式会社の当行議決権の所有割合は60.63%となりました。なお、同年3月から4月において、当行による自己株式取得を実施し、取得した自己株式について、同年5月末に消却しております。

引き続き当行としても当該方針に沿って民営化プロセスを着実に推進いたします。

 

(4) 日本郵政グループにおける現在の当行の位置づけ

当行は、親会社である日本郵政株式会社を中心として、郵便・物流事業、郵便局窓口事業国際物流事業、銀行業、生命保険業を主に営む日本郵政グループの一員として、銀行業を全国規模で行う企業であります。

当行は、現在、日本郵便株式会社が金融のユニバーサルサービス提供に係る責務を果たすための「銀行窓口業務契約」を同社と締結しており、日本郵便株式会社法第2条第2項に定める関連銀行になっております。

 

(5) 株式会社ゆうちょ銀行の沿革

年月

事項

2006年9月
 

株式会社ゆうちょ銀行の準備会社として、日本郵政株式会社の全額出資子会社である株式会社ゆうちょを設立

2007年10月

民営化し日本郵政グループ発足、株式会社ゆうちょ銀行に商号を変更し開業

2007年12月
 

新規業務(シンジケートローン(参加型)、貸出債権の取得又は譲渡等、金利スワップ取引等)の認可取得

2008年4月

SDPセンター株式会社(現:ゆうちょローンセンター株式会社)に出資

 

新規業務(クレジットカード業務、変額個人年金保険の募集業務、住宅ローン等の媒介業務)の認可取得

2008年5月
 

「JP BANKカード」の発行開始、住宅ローン等の媒介業務開始、変額個人年金保険の募集業務開始

2009年1月

全国銀行データ通信システムによる他の金融機関との内国為替取扱開始

2013年3月

日本ATMビジネスサービス株式会社に出資

2015年11月

当行普通株式を東京証券取引所市場第一部に上場

 

JP投信株式会社に出資

2017年6月

新規業務(口座貸越サービス、地域金融機関との連携に係る業務等、市場運用関係業務)の認可取得

2018年2月

JPインベストメント株式会社を設立

2019年12月

SDPセンター株式会社(現:ゆうちょローンセンター株式会社)を子会社化

2021年4月
 

新規業務(口座貸越サービスに係る信用保証業務を行う子会社の保有、フラット35の直接取扱等、損害保険募集業務)の認可取得

2021年5月

口座貸越サービスの取扱開始、フラット35の直接取扱開始、損害保険募集業務開始

2022年3月

新規業務(投資一任契約の締結の媒介業務)の認可取得

2022年4月

東京証券取引所プライム市場に移行

2022年5月

投資一任契約の締結の媒介業務開始

2023年3月

当行普通株式の第2次売出し

 

 

(6) 株式会社ゆうちょ銀行設立前の沿革

年月

事項

1871年4月

郵便事業創業

1875年1月

郵便為替事業創業

1875年5月

郵便貯金事業創業

1885年12月

逓信省発足

1906年3月

郵便振替事業創業

1949年6月

郵政省発足

2001年1月

省庁再編に伴い、郵政省と自治省、総務庁が統合した総務省と郵政事業庁に再編

2003年4月

日本郵政公社発足

2005年10月

投資信託の募集業務開始

2006年1月

日本郵政株式会社(郵政民営化の準備を行う準備企画会社)発足

 

 

3 【事業の内容】

当行は、銀行法に基づき、預入限度額内での預金(貯金)業務、シンジケートローン等の貸出業務、有価証券投資業務、為替業務、国債、投資信託及び保険商品の販売、住宅ローン媒介業務、クレジットカード業務などを営んでおります。また、日本郵便株式会社の郵便局ネットワークをメインチャネルに、1.2億人規模のお客さまに生活・資産形成に貢献する金融サービスを提供し、お預かりした貯金を有価証券で運用することを主な事業としております。

当行及び当行の関係会社は、当行、連結子会社9社及び持分法適用関連会社2社で構成されており、銀行業の単一セグメントとして、銀行業務のほか、金融商品取引業務などを行っております。

なお、日本郵政グループは、郵便・物流事業、郵便局窓口事業、国際物流事業、銀行業、生命保険業等を行っております。

 

(事業系統図)当行及び当行の関係会社

 


 

(注) 上記のほか、持分法非適用の非連結子会社が2社あります。

 

(1) 資金運用

当行は、2023年3月末日現在、個人貯金が90%超を占める194.9兆円の貯金を、主として有価証券132.7兆円(内、国債38.1兆円、その他の証券(外国債券や主な投資対象が外国債券である投資信託等で構成)78.3兆円)で運用し、資金運用収益を中心に収益を確保しております。

具体的には、想定した市場環境の下、負債の状況等を踏まえて国債等の運用資産・運用期間を適切に管理するとともに、収益源泉の多様化・リスク分散の観点から、国際分散投資の推進、オルタナティブ資産への投資など運用の高度化・多様化を図っているほか、地域経済活性化にも貢献すべく、従来からの地方公共団体向け資金供給の強化に加え、地域金融機関と連携し、地域活性化ファンドへの出資等に取り組んでおります。

こうした金融資産及び金融負債は、市場リスク(金利、為替、株式など様々な市場のリスク・ファクターの変動により、資産・負債(オフ・バランスを含む。)の価値が変動し損失を被るリスク、資産・負債から生み出される収益が変動し損失を被るリスク)や信用リスク(信用供与先の財務状況の悪化等により、資産(オフ・バランス資産を含む。)の価値が減少ないし消失し、損失を被るリスク)を伴うものであるため、デリバティブ取引等で一定のリスクをヘッジしつつ、収益確保に努めております。

 

 

(2) 資金調達、資産・負債総合管理

当行は、本支店その他の営業所・日本郵便株式会社が展開している郵便局ネットワークを通じて、お客さまから通常貯金、定額・定期貯金などの各種の貯金を預入限度額内でお預かりしております。

また、独立行政法人郵便貯金簡易生命保険管理・郵便局ネットワーク支援機構(以下「郵政管理・支援機構」)が、日本郵政公社から承継した郵便貯金に相当する預り金を、特別貯金として受け入れております。

更に、上記(1)の資金運用(資産)と市場取引も含めた資金調達(負債)について、信用・市場リスクや流動性リスク(運用・調達期間の差異や資金流出により、必要な資金調達や通常の金利での資金調達が困難となるリスク)をマネージするため、各商品のリスク特性に合わせた7つのポートフォリオに細分化して管理する枠組みの下で、資産・負債を総合的に内部管理するALM(Asset Liability Management)を適切に展開し、中期的な収益の確保に努めております。(当該枠組みの内容は、「第2 事業の状況 4 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (参考) ポートフォリオの状況」をご参照ください。)。

 

(3) 手数料ビジネス

当行は、本支店その他の営業所(直営店)・日本郵便株式会社の郵便局ネットワーク・各種デジタルチャネルを通じて、為替業務、国債・投資信託等の資産運用商品の販売、クレジットカード業務、住宅ローン媒介業務及び各金融機関と連携したATM提携サービスなどを提供し、手数料(役務取引等)収益を確保しております。

 

(事業系統図) 日本郵政株式会社を中心としたグループ各社等との関係

 


 

(注) 1.当行は、2023年3月31日現在、全国に本支店その他の営業所235箇所を展開しておりますが、日本郵便株式会社との間で銀行代理業務等に係る委託契約を締結し、日本郵便株式会社の郵便局(19,828局)、簡易郵便局(3,579局)に代理店を設けております。

2.郵便局ネットワークの維持に要する費用のうち、ユニバーサルサービス確保のために不可欠な費用(日本郵便株式会社が負担すべき額を除く。)は、独立行政法人郵便貯金簡易生命保険管理・郵便局ネットワーク支援機構法に基づき、当行及び株式会社かんぽ生命保険からの拠出金を原資として、郵政管理・支援機構から日本郵便株式会社に交付される交付金で賄われております(「第2 事業の状況 5 経営上の重要な契約等」をご参照ください。)。

3.当行は、2023年3月から4月において、市場買付による自己株式取得を実施し、取得した自己株式について、同年5月末に消却しております。日本郵政株式会社の当行に対する資本関係(議決権比率)は、2023年3月31日現在のものであります。

 

 

(参考)

当行は、事業を行うにあたり、「郵政民営化法」に基づき、主に次の(1)~(4)の規制を受けております。

 

(1) 業務の制限

当行は、郵政民営化法により、郵政民営化時に認められていなかった業務(いわゆる新規業務)を行うときは、内閣総理大臣及び総務大臣の認可を要するものとされております(同法第110条)。認可を要する業務の概要は、以下のとおりです。

また、内閣総理大臣及び総務大臣は、新規業務の認可や下記(3)(4)の規制に係る認可の申請があった場合、下記(2)の規制に係る政令の制定又は改廃の立案をしようとする場合は、郵政民営化委員会の意見を聴かなければならないこととされております。

(なお、日本郵政株式会社が当行の株式の2分の1以上を処分した旨を総務大臣に届け出た日以後は、郵政民営化法第110条に係る認可は要しないものの、当行が各業務を行おうとするときは、その内容を定めて、内閣総理大臣及び総務大臣への届出を要するとともに、業務を行うにあたっては、他の金融機関等との間の適正な競争関係及び利用者への役務の適切な提供を阻害することのないよう特に配慮しなければならないものとされております。(同法第110条の2))

① 外貨預金の受入れ、譲渡性預金の受入れ

② 資金の貸付け又は手形の割引(次の(a)から(f)に掲げる業務を除く。)

(a) 預金者等に対する当該預金者等の預金等を担保とする資金の貸付け

(b) 国債証券等を担保とする資金の貸付け

(c) 地方公共団体に対する資金の貸付け

(d) コール資金の貸付け

(e) 日本郵政株式会社、日本郵便株式会社又は株式会社かんぽ生命保険に対する資金の貸付け

(f) 郵政管理・支援機構に対する資金の貸付け

③ 銀行業に付随する業務等のうち、次の(a)から(l)に掲げる業務

(a) 債務の保証又は手形の引受け

(b) 特定目的会社発行社債の引受け等

(c) 有価証券の私募の取扱い

(d) 地方債又は社債その他の債券の募集又は管理の受託

(e) 外国銀行の業務の代理又は媒介

(f) デリバティブ取引の媒介、取次ぎ又は代理

(g) 金融等デリバティブ取引の媒介、取次ぎ又は代理

(h) 有価証券関連店頭デリバティブ取引

(i) 有価証券関連店頭デリバティブ取引の媒介、取次ぎ又は代理

(j) 投資助言業務

(k) 信託に係る事務に関する業務

(l) 地球温暖化防止の観点での算定割当量関連業務

④  登録金融機関の業務(金融商品取引法第33条第2項の業務)(次の(a)から(c)に掲げる業務を除く。)

(a) 投資の目的又は信託契約に基づく有価証券の売買・有価証券関連デリバティブ取引及び書面取次ぎ行為

(b) 国債等の募集の取扱い等

(c) 証券投資信託の募集の取扱い等

⑤ その他の法律の規定により銀行が営むことができる業務(次の(a)から(e)に掲げる業務を除く。)

(a) 当せん金付証票の売りさばき等

(b) 国民年金基金の加入申出受理業務

(c) 株式会社かんぽ生命保険の一部の生命保険の募集

(d) 確定拠出年金(個人型)の加入申込受理業務

(e) 拠出年金運営管理業(個人型)

⑥ その他内閣府令・総務省令で定める業務

 

 

(2) 預入限度額

当行は、郵政民営化法により、当座預金に相当する振替貯金を除き、原則として一の預金者から、受入れをすることができる預金等の額が制限されております。(郵政民営化法第107条、郵政民営化法施行令第2条)

2019年3月13日に公布された郵政民営化法施行令の一部を改正する政令に基づき、同政令の施行日である2019年4月1日からの預入限度額は下記のとおりです。また、預金保険制度による貯金の保護の範囲については変更ありません。

① 通常貯金・・・1,300万円

② 定期性貯金(定額貯金及び定期貯金等。郵政民営化前に預入した郵便貯金(郵政管理・支援機構に引き継がれたもの)を含み、③を除く。)・・・1,300万円

③ 財形定額貯金、財形年金定額貯金、財形住宅定額貯金・・・あわせて550万円

 

(3) 子会社保有の制限

当行は、子会社対象金融機関等を子会社(銀行法第2条第8項に規定する子会社)としようとするときは、内閣総理大臣及び総務大臣の認可を受けなければならないものとされております。(郵政民営化法第111条第1項)

また、銀行(銀行法第16条の2第1項第1号、第2号又は第7号に掲げる会社)を子会社としてはならないものとされております。(郵政民営化法第111条第7項)

 

(4) 合併、会社分割、事業の譲渡、譲受けの認可

当行を当事者とする合併、会社分割、事業の譲渡、譲受けは、内閣総理大臣及び総務大臣の認可を受けなければ、その効力を生じないとされております。(郵政民営化法第113条第1項、第3項及び第5項)

ただし、内閣総理大臣及び総務大臣は、金融機関(預金保険法第2条第1項各号に掲げる者)との合併その他一定の合併、会社分割、事業の譲渡、譲受けについては、上記認可をしてはならないものとされております。(郵政民営化法第113条第2項、第4項及び第6項)

 

これらの規制は、日本郵政株式会社が当行の株式の全部を処分した日、又は日本郵政株式会社が当行の株式の2分の1以上を処分した旨を総務大臣が内閣総理大臣に通知した日以後に、内閣総理大臣及び総務大臣が、当行について、内外の金融情勢を踏まえ、次に掲げる事情を考慮し、規制を適用しなくても当行と他の金融機関等との間の適正な競争関係及び利用者への役務の適切な提供を阻害するおそれがないと認める旨の決定をした日以後は、適用されないこととなっております。(郵政民営化法第104条)

・日本郵政株式会社が保有する当行の議決権が、その総株主の議決権に占める割合その他他の金融機関等との間の競争関係に影響を及ぼす事情

・当行、日本郵便株式会社、株式会社かんぽ生命保険、その他日本郵政株式会社が設立した株式会社の経営状況及びこれらの株式会社と当行との関係

 

 

4 【関係会社の状況】

2023年3月31日現在

名称

住所

資本金又
は出資金
(百万円)

主要な事業
の内容

議決権の
所有(又は
被所有)
割合(%)

当行との関係内容

役員の
兼任等
(人)

資金
援助

営業上
の取引

設備の
賃貸借

業務
提携

(親会社)

 

日本郵政株式会社

東京都
千代田区

3,500,000

持株会社

被所有

60.63

2(2)

ブランド価値使用料の支払、預金取引、業務委託等

建物の一部を賃貸借

(連結子会社)

 

ゆうちょローンセンター株式会社

 

東京都
中央区

2,000

当行の口座貸越サービスの信用保証業務及び事務代行業務

100.00

8(3)

保証取引、
業務委託

JPインベストメント株式会社

東京都
千代田区

750

有価証券等に関する投資運用業務及び投資助言業務

50.00

[25.00]

7(-)

その他7社

(持分法適用関連会社)

 

日本ATMビジネスサービス株式会社

 

東京都
港区

100

現金自動入出金機等の現金装填及び回収並びに管理業務

35.00

2(-)

業務委託

JP投信株式会社

東京都
中央区

500

投資運用業、

第二種金融商品取引業

45.00

2(-)

業務委託

 

(注) 1.上記関係会社のうち、有価証券報告書を提出している会社は、日本郵政株式会社であります。

2.「議決権の所有(又は被所有)割合」欄の[ ]内は、「自己と出資、人事、資金、技術、取引等において緊密な関係があることにより自己の意思と同一の内容の議決権を行使すると認められる者」又は「自己の意思と同一の内容の議決権を行使することに同意している者」による所有割合(外書き)であります。

3.「当行との関係内容」の「役員の兼任等」欄は、当行の役員及び従業員が関係会社の役員を兼任している人数のほか、当行から関係会社の役員として出向している人数等を含んでおります。( )内は、当行の役員が関係会社の役員を兼任している人数であります。

4.当行は、2023年3月から4月において、市場買付による自己株式取得を実施し、取得した自己株式について、同年5月末に消却しております。「(親会社)日本郵政株式会社」の「議決権の被所有割合」は、2023年3月31日現在のものであります。

5.ゆうちょローンセンター株式会社は、2023年5月8日付で東京都墨田区に移転しております。

 

5 【従業員の状況】
(1) 連結会社における従業員数

 2023年3月31日現在

 

合計

従業員数(人)

11,807

2,900

 

(注) 1.従業員数は当行グループから当行グループ外への出向者を含んでおらず、当行グループ外から当行グループへの出向者を含んでおります。また、臨時従業員(無期転換制度に基づく無期雇用転換者(アソシエイト社員)を含む。)2,726人(1日8時間換算)は含んでおりません。

2.当行グループは銀行業の単一セグメントであるため、セグメント別の記載を省略しております。

3.臨時従業員数は、[ ]内に年間の平均人員(1日8時間換算)を外書きで記載しております。

 

(2) 当行の従業員数

2023年3月31日現在

従業員数(人)

平均年齢(歳)

平均勤続年数(年)

平均年間給与(千円)

11,742

44.8

20.5

6,845

2,898

 

(注) 1.従業員数は当行から社外への出向者を含んでおらず、社外から当行への出向者を含んでおります。また、臨時従業員(無期転換制度に基づく無期雇用転換者(アソシエイト社員)を含む。)2,724人(1日8時間換算)は含んでおりません。

2.当行の従業員はすべて銀行業のセグメントに属しております。

3.臨時従業員数は、[ ]内に年間の平均人員(1日8時間換算)を外書きで記載しております。

4.平均勤続年数については、当行設立以前(民営化前)における勤続年数を含んでおります。

5.平均年間給与は、賞与及び基準外賃金を含んでおります。

6.当行は従業員持株制度を導入し、従業員拠出額に応じて奨励金(拠出額の5%)を支給しております。なお、従業員拠出額と奨励金は、従業員持株会が当行普通株式を取得するために使用しております。

7.当行には、日本郵政グループ労働組合等の労働組合が組織されております。また、労使関係については、概ね良好であり、特記すべき事項はありません。

 

(3) 管理職に占める女性の割合、男性の育児休業取得率及び男女の賃金の差異

① 当行

当事業年度

管理職に占める

女性の割合(%)

男性の

育児休業取得率(%)

男女の賃金の差異(%)

全従業員

 

 

うち正規雇用従業員

うち非正規雇用従業員

17.5

100.0

64.1

63.1

67.1

 

(注) 1.「女性の職業生活における活躍の推進に関する法律」(平成27年法律第64号)の規定に基づき算出したものであります。

   2.管理職に占める女性の割合は、2023年4月1日時点の数値であります。当行を本籍とする社員を対象としており、社外から当行への出向者を含んでおらず、当行から社外への出向者を含んでおります。

3.男性の育児休業取得率は、当事業年度中に配偶者が出産した者のうち、育児休業を開始した従業員(開始予定の申出者を含む。)の割合を記載しております。当行を本籍とする社員を対象としており、社外から当行への出向者を含んでおらず、当行から社外への出向者を含んでおります(出向契約の締結内容に基づく個別取扱いを除く。)。

4.男女の賃金の差異は、賃金台帳を基に、当事業年度中の男性従業員の賃金の平均(平均年間賃金=賃金総額÷人員数)に対する女性従業員の賃金の平均の割合を記載しております。なお、賃金台帳に記載がある社員を対象としており、出向契約の締結内容に基づき、他社から出向もしくは他社へ出向している社員のうち、当行において給与を支払っている社員を含んでおります。総賃金から退職手当を除き、人員数から休業・休職者を除いております。

また、無期転換制度に基づく無期雇用転換者(アソシエイト社員)は、正規雇用従業員に含んでおります。当該社員を除いた正規雇用従業員の賃金差異は75.7%であります。

5.男女の賃金の差異の補足(差異の要因等)は以下のとおりであります。

・当行では、男女間で賃金体系、昇進・昇給等の運用、採用基準に差を設けておりません。

・現状においては、年齢構成の男女比率に偏りがあり、相対的に賃金水準の高い高齢層・管理職層の女性比率が低いこと等を原因として賃金差が生じております。そのため、若年層・女性従業員がより積極的に参画できる組織文化醸成に取り組み、管理職を含む上位役職への登用を進めることにより、エンゲージメント向上と賃金差異の改善に取り組んでまいります。

 

② 連結子会社

連結子会社においては、指標を公表していないため、記載しておりません。

1 【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】

以下の記載における将来に関する事項は、明示がある場合又は文脈上明らかな場合を除き、当連結会計年度末現在において当行グループが判断したものであります。

 

(1) 経営方針

当行グループは、お客さまの声を明日への羅針盤とする「最も身近で信頼される銀行」を目指してまいります。

「信 頼」:法令等を遵守し、お客さまを始め、市場、株主、社員との信頼、社会への貢献を大切にします。

「変 革」:お客さまの声・環境の変化に応じ、経営・業務の変革に真摯に取り組んでいきます。

「効 率」:お客さま志向の商品・サービスを追求し、スピードと効率性の向上に努めます。

「専門性」:お客さまの期待に応えるサービスを目指し、不断に専門性の向上を図ります。

 

(2) 経営環境

当連結会計年度の経済情勢を顧みますと、世界経済は、高インフレ抑制に向けた米欧中央銀行による本格的な金融引き締め等により、減速基調で推移しました。米国経済は、FRB(連邦準備制度理事会)の大幅利上げにより減速しましたが、良好な雇用環境を背景にプラス成長を維持しました。一方、ユーロ圏経済は、景気停滞と物価上昇が同時進行するスタグフレーション環境が強まりました。日本経済は、海外経済減速の影響を受けつつも、内需中心に持ち直し基調で推移しました。中国経済は、ゼロコロナ政策と不動産不況により減速基調が続きましたが、12月のゼロコロナ政策大幅緩和後は、回復基調に転じました。

金融資本市場では、米国10年債利回りは、高インフレ抑制に向けたFRBによる利上げ加速と利上げ終着点(ターミナルレート)引き上げの思惑から、上昇基調で推移しました。しかし、3月の米銀破綻により、市場の利上げ観測がやや後退し、3%台半ばまで低下しました。0.25%近傍で推移していた日本の10年債利回りは、12月下旬に、日本銀行が長期金利の変動幅を±0.25%から±0.5%へと拡大するイールドカーブ・コントロールの運用の見直し(以下「YCCの運用見直し」)を行ったことから、0.4%台まで急騰しましたが、米銀破綻を受け3月に一時0.2%台半ばまで急低下しました。

また、海外クレジットスプレッドは、金利の先高感や景気減速懸念を受けて拡大傾向で推移し、3月には一時急拡大する局面もみられました。

外国為替市場では、日米欧の金融政策の方向性の違いや日本の貿易赤字の拡大を反映し、対ドルでは10月下旬に150円台まで急落し、当局による為替介入も実施されました。その後は、日本銀行によるYCCの運用見直しもあり、概ね130円台と円高基調で推移しました。対ユーロでも、円安基調が続き、4月初めの135円程度から3月末には144円程度まで下落しました。

S&P500種指数は、FRBの金融政策への思惑で上下を行き来する上値の重い展開に終始しました。日経平均株価は、海外株価と比べて底堅く、概ね26,000円から28,000円のレンジ圏内で推移しました。

当行グループを取り巻く経営環境については、インフレ高進を受けた米欧中央銀行による大幅な金融引き締め及びこれに伴う景気減速懸念や米欧の金融システム不安の高まり等を背景に、外貨調達コストや海外クレジットスプレッドが高止まることが想定されます。更に、日本銀行によるYCCの運用見直し後は、低金利環境は継続しつつも、国内金利のボラティリティや先行き不透明感は高まりを見せており、今後の金融経済環境についても、不確実性が高い状況が継続することが想定されます。

このように、国内外の有価証券による運用を主たる収益源とする当行グループにとって、厳しい経営環境が継続しております。

 

 

(3) 経営戦略、対処すべき課題等

当行グループを取り巻く経営環境は、人口減少・超高齢化社会、地域経済の縮小、デジタル革命の進展、足許ではインフレ高進を受けた米欧中央銀行の急速な金融引き締め等、大きく変化しております。

こうした環境変化に機動的に対応しながら、「社会と地域の発展に貢献する」というパーパス、「最も身近で信頼される銀行を目指す」という経営理念及び、中期経営計画で定めた3つのミッションの下で、企業価値の向上と社会課題解決の両立を目指してまいります。

中期経営計画(2021年度~2025年度)の3年目にあたる2023年度は、不確実性の高い市場環境の中、収益の最大の源泉である「マーケットビジネス」で着実に利益の確保に努めるとともに、安定性の高い強固な事業基盤の構築に向けて、「リテールビジネス」の更なる強化と、新たな成長エンジンと考えている「投資を通じたゆうちょ銀行らしい新しい法人ビジネス(Σ(シグマ)ビジネス)」の基盤構築に注力してまいります。

 

当行グループのパーパス・経営理念・ミッション・5つの重点戦略


 

(事業戦略)

第1のエンジン「リテールビジネス」については、「リアルとデジタルの相互補完」という基本方針の下、店舗ネットワークは維持しつつ、セルフ型営業店端末「Madotab」やATMの高機能化、通帳アプリ・家計簿アプリの機能拡充等、セルフ取引チャネルやデジタルチャネルの充実を図るとともに、お客さまがより「かんたん・べんり」に取引を行えるよう、お客さまのニーズに応じて丁寧なご案内を行います。また、新しいリテールビジネス戦略として、多様な事業者と連携し、通帳アプリや家計簿アプリ経由で、お客さまのニーズに合った最適な商品・サービスのご案内を行う「共創プラットフォーム戦略」に段階的に着手します。更に、資産形成サポートビジネスについては、2024年からのNISA制度(少額投資非課税制度)の拡充も踏まえ、つみたてNISAを始め、お客さまへの提案力強化を図ります。

第2のエンジン「マーケットビジネス」については、長らく低位で推移してきた国内金利が上昇に転じる可能性も見据え、円金利ポートフォリオを機動的に再構築してまいります。また、リスク耐性強化の観点から、クレジット資産については引き続き投資適格領域を中心に投資するほか、戦略投資領域(注1)については市場変動への耐性が相対的に高いデット(債券)系商品を中心に、優良ファンドへの選別的な投資を実行し、安定的な収益確保に努めます。

第3のエンジン「Σビジネス」については、2026年度以降の本格展開に向けて、2022年10月から2024年9月末までの2年間をパイロット期間と位置づけ、推進基盤整備に取り組むとともに、GP(注2)業務の本格化に向けた国内GP関連投資の強化やマーケティング支援先の着実な拡充に努めます。

当行グループは「リテールビジネス」「マーケットビジネス」「Σビジネス」という3つのビジネス・エンジンを通じて、お客さまとの信頼を深めるとともに金融革新に挑戦し、中長期的にサステナブルな収益基盤の構築を目指してまいります。

 

 

(注) 1.プライベートエクイティファンド(成長が見込まれる未上場企業等へ投資するファンド)、不動産ファンド等からなる戦略的な投資領域

2.General Partnerの略。投資ファンドにおいて投資先企業の選定、投資判断等を担うファンドの運営主体

 

(財務目標・資本政策等)

中期経営計画期間(2021年度~2025年度)の財務目標について、収益性指標として連結当期純利益(当行帰属分)・ROE(株主資本ベース)、効率性指標としてOHR(金銭の信託運用損益等を含むベース)(注3)・営業経費(2020年度対比)、健全性指標として自己資本比率(国内基準)・CET1(普通株式等Tier1)比率(国際統一基準)(注4)を設定しました。金融ユニバーサルサービスを提供する責務を果たしながら、収益性向上や、効率性改善に向けた取組みを推進し、資本コストや資本収益性を意識した経営に努めます。

資本政策は、株主還元・財務健全性・成長投資のバランスを取った運営を行います。特に株主還元については、経営における最重要課題の一つと認識しており、中期経営計画期間中は、基本的な考え方として、配当性向は50%程度とする方針です。ただし、配当の安定性・継続性等を踏まえ、配当性向50~60%程度の範囲を目安とすることとしております。また、今後の利益の拡大や内部留保の充実、規制動向等の状況によって追加的な株主還元政策を実施することも検討していく方針です。本方針を踏まえ、2023年2月27日に、総額1,500億円を上限とする自己株式の取得及び消却を決定しております。

そのほか、株主のみなさまの日ごろからのご支援に感謝するとともに、当行株式への投資の魅力を高め、より多くの方々に当行の株式を保有していただくことを目的として、株主優待制度を実施しております。

 

(注) 3.Over Head Ratioの略。銀行業務の効率性を示す指標の一つで、一般的には、経費の業務粗利益に対する比率のこと。当行は相応の規模で金銭の信託を活用した有価証券等運用を行っていることを踏まえ、金銭の信託に係る運用損益も分母に含めたOHRを指標として設定。経費÷(資金収支等+役務取引等利益)で算出。資金収支等とは、資金運用に係る収益から資金調達に係る費用を除いたもの(売却損益等を含む。)

4.その他有価証券評価益除くベース。2025年度目標はバーゼルⅢ完全実施ベース

 

 

 

 

3 【事業等のリスク】

当行グループの業績及び財政状態等に影響を及ぼす可能性があると、当行グループが認識している重要な事項について、記載しております。

 

当行グループの事業、業績及び財政状態等に特に重要な影響を及ぼす可能性があると認識しているリスクについては、リスクアペタイト・フレームワークの枠組みの中で取締役会及び経営会議において議論した上、影響度・蓋然性を踏まえて、トップリスクとして選定しております。選定したトップリスクへの対応は、当行の経営計画に反映し、定期的にコントロール状況等を確認した上、必要に応じて追加的な対応を行っております。

トップリスクは、以下のとおりであります。

 

リスク事象

主な対応策

国内の低金利継続、海外のクレジットスプレッド急拡大・突発的な外貨資金調達の不安定化等の市場環境の急激な変化

当行に適用される金融規制の厳格化

・ポートフォリオのリスク耐性強化の継続

・ストレス・テストの高度化

・運用・リスク管理の専門人財強化

・国際統一基準行目線での経営管理態勢の強化

サイバー攻撃

サイバーセキュリティに係るアクションプランの実施・定着、フィッシング詐欺対策等の継続

システム障害の発生

システムの安定運行に向けた適切な経営資源の配分

大規模災害・パンデミック等の発生

施設・設備の堅牢化

・リモート環境の整備

デジタルトランスフォーメーション(以下「DX」)・業務効率化等の推進や競争環境・顧客ニーズの変化への対応が不十分

中期経営計画で定めたDX推進施策の着実な推進

不祥事件の発生、個人情報の漏洩・紛失、役職員の不適切な行為等のコンプライアンス違反事案の発生

過去の事案や他社事例を踏まえた不祥事件の再発防止策や個人情報漏洩・紛失防止策の徹底

お客さま本位の業務運営が徹底されないことにより、お客さまが不利益を被るリスク

・お客さま本位の業務運営を行うための品質管理

・2線の機能強化、専門委員会の議論の深化、情報伝達の複線化 等

※リスク管理・コンプライアンス部門等の管理部門

マネー・ローンダリング、テロ資金供与、拡散金融に対する態勢不備

・マネー・ローンダリング、テロ資金供与、拡散金融に対する対応態勢の整備

・AML/CFT共同機関への参画

人材不足等による戦略遂行の阻害

経営戦略と連動した人財戦略、人的資本投資の推進

気候変動対応、人権尊重等、サステナビリティに係る取組み・開示が不十分

サステナビリティ基本方針に基づき、環境変化に応じた施策推進、モニタリング、適切な開示の実施

 

 

当行グループの事業その他に関するリスクについて、上記トップリスクを踏まえ、投資家の判断に重要な影響を及ぼす可能性があると考えられる主な事項を以下に記載しております。もっとも、当行グループの事業等のリスクはこれらトップリスクに限定されるものではなく、それ以外においても、投資家の投資判断上、特に重要であると考えられる事項は、投資家に対する情報開示の観点から、以下に記載しております。なお、当行グループは、これらリスクの発生の可能性を認識した上で、発生の回避及び発生した場合の対応に努めます。しかしながら、これらの対応が十分に成果を上げない場合には、当行グループの事業、業績及び財政状態等に重大な悪影響を及ぼす可能性があります。

また、本項において、将来に関する事項が含まれておりますが、当該事項は、明示がある場合又は文脈上明らかな場合を除き、当連結会計年度末現在において当行グループが判断したものであります。また、当行グループが認識していない、又は重要性が乏しいと考えている追加的なリスク等が、当行グループの事業、業績及び財政状態等に影響を及ぼす可能性もあります。

 

 

(1) リスク管理方針及び手続の有効性に係るリスク

当行グループは、リスク管理に関する規程を定め、管理態勢を整備し、リスク管理を実施しております。また、当行グループは、経営環境、リスクの状況、今後の事業規模・範囲拡大などの想定に応じ、リスク管理態勢全般について随時見直しを行っておりますが、有効にリスク管理態勢が機能しない場合には、当行グループの業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。例えば、新たな投資領域を開拓するなど当行グループが有価証券等の運用業務・対象を多様化し、また、貸付け業務の範囲・規模を拡大した場合、信用・市場リスク管理態勢や不公正取引発生防止態勢等を拡充する必要がありますが、かかる業務の拡大に比してリスク管理態勢の拡充が十分になされない可能性があります。

加えて、当行グループによるリスク管理方針の実施、その遵守状況の監督は、当行グループ内部だけでなく、当行の商品・サービス(貯金・資産運用商品・為替等)を販売する日本郵便株式会社の郵便局ネットワーク全体についても行う必要がありますが、約24,000もの郵便局を有する広範な郵便局ネットワークでの実施・監督に困難又は不備が生じた場合には、当行グループによるリスク管理方針が機能せず、又は不十分となる可能性があります。これらの結果、当行グループの業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

 

(2) 市場リスク

当行グループが保有する金融資産・負債の多くは、市場の変動による価値変化等を伴うものであります。当行では、中長期的に収益の確保を図ることを目的に、資産・負債を総合管理するALM(Asset Liability Management)の枠組みの下、市場環境の変化、リスク・リターン等を踏まえた機動的なポートフォリオ運営を行っているほか、ストレス・テストや損益シミュレーション等を実施することにより、市場リスク等を適切に管理するよう努めておりますが、かかる管理にかかわらず、大幅な市場変動等により、当行グループの業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があり、中長期的な収益の確保を目的とした外国証券やオルタナティブ資産への投資等、運用の高度化・多様化が目的に即した結果を生まない可能性もあります。

特に、足許では、世界的な高インフレを背景とした米欧中央銀行の金融引き締め、及びそれを受けた景気減速懸念も重なり、金利上昇、クレジットスプレッド拡大、外貨調達コストの上昇等の影響が顕在化しておりますが、これに加えて、今後の各国中央銀行の金融政策の動向、ウクライナ情勢の悪化、米欧の金融システム不安の高まり等に伴い、市場の大幅な変動や金融市場の混乱等が生じた場合には、当行グループの業績及び財政状態に大きく影響を及ぼす可能性があります。

① 金利リスク

当行が保有する日本国債(2023年3月末日現在、38.1兆円・総資産額の16%)や外国証券(2023年3月末日現在、その他の証券(外国債券や主な投資対象が外国債券である投資信託等で構成)は78.3兆円・総資産額の34%)などの金融資産と、定額貯金を始めとする貯金や外貨を含む市場性調達の負債の期間や金利更改サイクル等には、差異が存在します。このため、金利(長期や短期の金利)の変動は、当行グループの業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。また、今後の金融政策の動向により、低金利環境が長期に亘り継続し又は低下する場合、運用収益の減少に比して、相対的に貯金の調達コストが減少しないことにより、資金粗利鞘が減少し、当行グループの業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

特に、足許では、世界的な高インフレを背景とした米欧中央銀行の金融引き締めにより、海外短期金利が上昇し、国内外の金利差が拡大していることから、外貨調達コストの上昇や外国債券ヘッジコストの増加が顕在化しておりますが、今後も更に国内外の金利差が拡大した場合、当行グループの業績及び財政状態に大きく影響を及ぼす可能性があります。

また、市場金利及びクレジットスプレッドの変動は、当行の債券ポートフォリオ等の価値に影響を及ぼします。足許においては、米欧中央銀行の金融引き締め政策や、日本銀行によるイールドカーブ・コントロールの運用の見直しに伴う国内外の金利上昇により、当行グループの保有する債券等の価値が下落しております。加えて、今後の各国中央銀行の金融政策動向、国内外の景気変動、日本国政府の財政運営やその信認の変化等、様々な要因により市場金利が上昇(クレジットスプレッドが拡大)した場合、保有する債券等の価値下落によって評価損・減損損失、売却損や当行が保有する有価証券中の投資信託において収益認識できない特別分配金の発生等が生じる可能性があります。その結果、当行グループの業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

 

この他、貯金について、急激な市場金利上昇等により、定額貯金(預入から6か月経過後は払戻し自由、3年までは6か月ごとの段階金利、それ以降は固定金利の10年満期・複利貯金)への預け替え等が発生した場合にも、調達コスト等の上昇等を通じて、当行グループの業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

② 為替リスク

当行は、収益源泉・リスクの分散を目的に、運用の高度化・多様化の一環として国際分散投資を進め、外国債券や主な投資対象が外国債券である投資信託等の外国証券の保有が増加しております。これらのうち、外貨建て資産については、為替リスクを軽減する目的から通貨スワップや為替予約等によりヘッジ取引を行っておりますが、その一部については為替リスクを軽減するヘッジを当初から行わない、若しくはヘッジを行った後に外国証券の価格変動等によりヘッジ比率に変動が生じる、又は短期のヘッジを行うことがあります。外国為替市場は、2021年末には1ドル115.02円のレートでしたが、2022年10月には一時期150.26円まで円安が進行し、2023年3月末には1ドル133.53円になるなど、大きな変動を経て円安の傾向が継続しました。当連結会計年度においてはこれに海外短期金利の上昇も受けて当行では外貨調達コストや外国債券ヘッジコストが増加しました。このように、外国証券の取得後に大幅な為替相場の変動が発生した場合、非ヘッジ部分に係る差損が発生し、又は通貨ベーシスの拡大が発生した場合、ヘッジコストが上昇すること等により、当行グループの業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

③ 株式価格変動リスク

当行グループは、直接又は金銭の信託や投資信託を通じて間接的に、株式を保有しており、このうち、プライベートエクイティファンドについて、「時価の算定に関する会計基準の適用指針」(2021年改正)を当連結会計年度の期首から適用し時価評価したこと等に伴い、2022年3月末残高3.2兆円から2023年3月末残高5.6兆円(うち評価益1.0兆円)へ増加しております。国内外の経済状況又は市場環境の変化や地政学的な緊張・対立の影響によって株価が変動する場合には、これら保有株式に評価損・減損損失や売却損等が生じ、当行グループの業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

なお、当行グループは、プライベートエクイティファンドに関する数値について、プライベートエクイティファンドのGPから提出されるレポートの情報に依拠しており、情報受領のタイミングにより概ね3か月前の時価に基づき算出されるため、実際の時価とは乖離が生じる可能性があります。

 

(3) 市場流動性リスク

当行では、市場流動性を確保する観点から、流動性が低い資産への投資が過大にならないよう、また、市場規模に比して過大なポジションを保有することがないよう、基準を設定することにより、市場流動性リスクを適切に管理するよう努めておりますが、かかる管理にかかわらず、経済状況の著しい悪化や金融市場の混乱、銀行・金融業界全体の社会的信用や信認が低下する場合等には、当行グループが国内外の市場で取引・決済ができなくなることや、通常よりも著しく不利な価格での取引を余儀なくされること等により、損失を被る可能性があります。その結果、当行グループの業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

 

(4) 資金流動性リスク

当行では、安定的な資金繰りを達成するため、資金の受払いの差額について基準を設定しているほか、予期しない資金流出等に備え、流動性の高い資産の保有額に基準を設定することにより、資金流動性リスクを適切に管理するよう努めておりますが、かかる管理にかかわらず、当行グループの業績や財政状態の悪化、風評等の発生や、予期せぬ資金流出、運用と調達の期間のミスマッチ(差異)等、また、当行グループの収益力・信用力の低下、日本国債の格下げ等の影響を受けた当行格付の引き下げにより、円貨・外貨の必要資金確保が困難になる、又は、通常よりも著しく高い金利での資金調達を余儀なくされることにより、損失を被る可能性があります。その結果、当行グループの業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

 

 

(5) 信用リスク

当行では、有価証券発行体や貸出先などの債務者に対し、内部格付を付与の上、定期的にモニタリングを行うほか、個社・企業グループ及び国・地域に対するエクスポージャーの上限管理等を実施することにより、信用リスクを適切に管理するよう努めておりますが、かかる管理にかかわらず、債務者において、国内外の経済情勢(景気・信用状況等)や特定の業種を取り巻く経営環境の変化、誤った経営判断、不祥事等の発生、その他不測の事態により財政状態が悪化した結果、当行グループの与信関係費用が増加又は当行グループが保有する有価証券等の価値が下落することによって評価損・減損損失や売却損等が生じ、当行グループの業績、財政状態及び自己資本の状況に影響を及ぼす可能性があり、中長期的な収益の確保を目的とした外国証券やオルタナティブ資産への投資等、運用の高度化・多様化が目的に即した結果を生まない可能性もあります。

 

(6) オペレーショナル・リスク等
① 事務リスク

当行グループや当行の商品・サービスを販売・提供する日本郵便株式会社の役員・従業員が、事務に関する社内規程・手続等に定められた事務処理を怠る、あるいは事故・不正等を起こすリスクが存在します。当行グループでは、各種研修等を通じて手続等の浸透、不正の防止に努めておりますが、かかる事務リスクが顕在化した場合には、当行グループへの行政処分、訴訟提起等により、当行グループの事業、社会的信用、業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

また、当行グループの業務に関連して、顧客その他の第三者が、偽名による口座開設、当行口座の不正目的による使用、又は盗難カードを使用した犯罪行為その他の不正行為を行った場合や、当行グループの取引先が反社会的勢力と何らかの関係を有する者であった場合には、これに対応する費用の支出が発生する等、当行グループの事業、社会的信用、業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

② システムリスク

当行グループは、当行が保有する銀行業に係るシステムのほか、日本郵政株式会社、日本郵便株式会社、株式会社かんぽ生命保険と共用しているシステムも利用して、銀行口座、資産運用等の取引・管理を行い、また、全国の郵便局ネットワークや全国銀行データ通信システム等と通信しているなど、情報通信システムは、当行グループの事業にとって極めて重要な機能を担っております。当行では、重要なシステムについては、システム監視や不測の事態に備えたコンティンジェンシープランを策定する等して、システムの安定稼働の維持に努めておりますが、自然災害・サイバー攻撃等の外的要因に加えて、人的過失、事故、コンピュータウイルスの感染、システムの新規開発・更新における瑕疵等により、システム障害が発生する可能性があります。こうしたシステムの不具合、故障等が生じた場合に、これに対応する費用の支出の発生、業務の停止・混乱、それに伴う損害賠償、行政処分、社会的信用の毀損等が発生することにより、当行グループの事業、業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

③ 情報資産リスク

当行グループは、多数の個人・法人のお客さま等の情報を保有しております。顧客情報は銀行法、金融商品取引法等により適切な取扱いが求められ、特に個人情報については個人情報保護法等の下で、より厳格な管理が求められております。

当行グループでは、プライバシーポリシー等情報管理に関する規程等を整備し、厳正な情報管理に努めておりますが、機密情報や顧客情報等の重要な情報について、内部からの漏えいや、コンピュータへのサイバー攻撃等外部からの不正なアクセス等が発生する可能性があり、業務委託先を含め、仮にこのような事象が生じた場合には、これに対応する費用の支出の発生、当行グループに対する損害賠償請求、行政処分、社会的信用の毀損等により、当行グループの事業、業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

④ 訴訟等に係るリスク

当行グループは、事業の遂行に関して、人事労務、業務上の事故、外部委託、知的財産権等の利用に関する事項を始めとする、訴訟等が提起されるリスクを有しております。

業績に影響を及ぼす訴訟や社会的影響の大きな訴訟等が発生し、当行グループに不利な判断がなされた場合には、当行グループの業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

 

⑤ 人事リスク

当行グループでは、各種研修等を通じて、ハラスメントを含む人権問題、人事処遇、勤務管理などの人事労務上の問題、職場の安全衛生管理上の問題等の発生の防止に努めておりますが、かかる問題が発生した場合や、これらに関連する重大な訴訟等が発生し、当行グループに不利な判断がなされた場合、当行グループの業績、社会的信用及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

⑥ レピュテーショナル・リスク

当行グループでは、風説・風評が伝達される媒体を定期的に確認し、風説・風評の把握に努めるとともに、その影響度等に応じた対応によるレピュテーショナル・リスクの管理に努めておりますが、当行グループや当行グループの事業の風説・風評が、報道機関・市場関係者への情報伝播、インターネット上の掲示板への書込み、ソーシャル・ネットワーキングサービス等により拡散した場合、また、報道機関により憶測に基づいた報道が行われた場合には、お客さまや市場関係者等が、当行グループについて事実と異なる理解・認識をし、当行グループの社会的信用、事業、業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

また、当行グループと競合する他の金融機関等に関する問題や不祥事の発生、批判、風評等であっても、それにより銀行・金融業界全体の社会的信用や信認が下落する場合には、当行グループの事業、業績及び財政状態にも影響を及ぼす可能性があります。

⑦ 災害・パンデミックに係るリスク

当行グループは、大規模災害等に備えた事業継続計画等を整備し、危機管理態勢の強化に努めておりますが、大規模災害、パンデミックの発生(感染症の大流行)、テロリズム・武力衝突等の人的災害、電気・通信その他の社会インフラの障害や混乱等が発生した場合、当行の店舗・事務センター等といった施設・有形資産やシステム等が毀損し、又は正常な業務遂行が困難になること等により、当行グループが損失を被る可能性があります。また、かかる状況の下で当行グループの業務が円滑に機能していたとしても、かかる状況の発生による経済・社会活動の沈滞や、インフラの機能不全等の影響を受けて、当行グループが保有する金融商品に評価損・減損損失や売却損等が生じたり、当行グループの不良債権・与信関係費用が増加したりする可能性もあり、その結果、当行グループの事業、業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

(新型コロナウイルス感染症に係るリスク)

新型コロナウイルス感染症については、世界的な感染者数の減少や、日本国内における感染症法上の位置づけが変わる等、大きく環境が改善しておりますが、今後再び重症化リスクの高い新たな変異ウイルスが出現する等により、再度感染拡大防止のための経済社会活動の制限や、新規感染者数が大幅に拡大する局面も考えられます。当行グループでは、お客さまや社員への感染拡大防止や業務継続態勢の確保に努めておりますが、かかる対応にかかわらず、当行グループの商品・サービスの利用者が著しく減少した場合、また、当行グループ社員に感染が拡大することにより業務の継続が困難となった場合等は、当行グループの事業、業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

⑧ サイバー攻撃等に係るリスク

当行が保有する銀行業に係るシステムのほか、業務の遂行にあたって利用する情報通信システムは、当行グループの事業にとって極めて重要な機能を担っております。特に、コロナ禍を受けたリモートワークの増加や、近年のデジタル技術の著しい発展によるインターネットやスマートフォンを利用した取引の増加等により、当行のデジタルチャネルの拡充も進んでいる一方、サイバー攻撃手法の高度化・巧妙化も進んでおり、金融機関を取り巻くサイバーリスクは高まっております。更に、経済安全保障の観点からも、国外からの各種サービスの安定的な提供に対する妨害行為等への対策の重要性が高まっている状況です。当行ではこれらのサイバーリスクの低減を図るため、サイバーセキュリティに関する専門部署の設置やサイバーセキュリティ担当役員(CISO:Chief Information Security Officer)を配置し、多層的な防御・検知対策の整備をしております。また、専門知識を有する人材を配置するとともに、外部専門機関との連携等を通じて新たな攻撃手口の分析や対策を行うなど、必要な対策を講じております。当行のサイバーセキュリティ態勢が十分に機能しなかった場合には、国内外からのサイバー攻撃や不正アクセス、コンピュータウイルス感染等の要因により、機密事項・顧客情報の漏えい・紛失、各種サービスの不正利用・不正送金や情報通信システムの障害等が発生した場合には、お客さまへの経済的・精神的損害や業務の停止及びそれに伴う損失や損害賠償の発生、行政処分や罰則、お客さま及びマーケット等からの信頼失墜等により、当行グループの事業、業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

⑨ 法令違反等に係るリスク

当行グループは、お客さま本位の業務運営(フィデューシャリー・デューティー)に取り組み、法令・諸規則等を遵守すべく、コンプライアンスやその意識の水準向上、内部牽制・内部監査・顧客保護等管理など内部管理の強化を経営上の重要課題として位置づけ、適切な指示・指導・モニタリングを行う態勢を整備するとともに、法令違反・不正行為等の防止策を講じております。しかしながら、これらが十分な効果を発揮せず、横領その他の犯罪行為、インサイダー取引規制等違反、お客さまの属性に照らし不適合な顧客説明や資産運用商品の販売等、法令・諸規則等を遵守できない等のミスコンダクトリスクが発生する可能性があります。また、これらの法令等の不遵守を、組織として迅速・適切に認識できない可能性もあります。業務委託先である日本郵便株式会社等を含め、法令違反・不正行為等に関するリスクが顕在化した場合には、当行グループへの訴訟提起、行政処分等により、当行グループの事業、社会的信用、業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

⑩ マネー・ローンダリング等に係るリスク

昨今、我が国において、各種マネー・ローンダリング、テロ資金供与及び拡散金融に係る事案、振り込め詐欺、口座の不正利用・売買、インターネットバンキングを標的とした預金等の不正な払戻し等金融機関のサービスを悪用した金融犯罪は減少の兆しを見せず、手口も年々高度化・巧妙化が進んでおります。また、流動的な国際情勢を反映し、国連及び各国・地域では経済制裁等が実施されており、制裁対象者等に商品・サービスを提供した金融機関に対しては、厳しい処分が科されております。

当行ではこれらの防止のため、国内外の法令諸規制を遵守する態勢を整備し、顧客管理措置、疑わしい取引の検知・届出、商品・サービスの見直し、経済制裁措置への対応等の対策を講じることで、マネー・ローンダリング、テロ資金供与及び拡散金融対策の強化に取り組んでおります。

しかしながら、これら施策の実施にもかかわらず、マネー・ローンダリング等の法令諸規制に違反する不正な取引が発生した場合や経済制裁対象者等に対し当行の商品・サービスが提供された場合には、当行グループへの行政処分、多額の制裁金の支払、社会的信用の毀損等により、当行グループの事業、業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

 

(7) 気候変動を始めとするサステナビリティ課題に係るリスク

2015年に採択された気候変動問題に関する国際的枠組みである「パリ協定」を受け、脱炭素社会への移行が社会全体で進んでおり、当行グループでもその対応の重要性は高まっております。

気候変動リスクとしては、GHG排出に係る規制の強化等、低炭素経済への移行に関するリスクや、気候変動に伴う洪水等の異常気象の深刻化・増加等による、物理的変化に関するリスクが挙げられます。当行グループでは、気候変動リスクの顕在化による投融資先の業績悪化等に伴う保有有価証券の価値の低下や、自然災害等による当行の店舗・事務センター等といった施設・有形資産やシステムの毀損等を、主な気候変動リスクとして想定しております。

当行グループでは、気候変動への対応は、環境・社会及び企業活動にも大きな影響を及ぼす重要な課題であると認識しており、2019年4月に気候関連財務情報開示タスクフォース(Task Force on Climate-related Financial Disclosures)の提言に賛同するとともに、同提言を踏まえた気候変動シナリオ分析の高度化等、気候変動に係るリスクの適切な管理や情報開示に取り組んでおります。

また、2030年度までに自社のGHG排出量を2019年度比60%削減する目標KPI、及び2025年度末のESGテーマ型投資残高を4兆円とする目標KPIを設定するとともに、2050年までに当行及び投融資ポートフォリオのGHG排出量のネットゼロ達成を目指す「ゆうちょ銀行 GHG排出量ネットゼロ宣言」を2022年3月に発表し、気候変動対応の取組みを推進しております(自社GHG排出量の2030年度中間目標は、2023年3月に46%削減(2019年度対比)から60%削減(2019年度対比)に引き上げました。)。

この他、生物多様性保全や人権尊重等、サステナビリティ課題への関心や重要性が高まっていることを踏まえ、当行グループは、様々な環境保全活動や国連「ビジネスと人権に関する指導原則」に基づく人権デューデリジェンス等を実施しております。

しかしながら、これらの取組みが十分な効果を発揮しない場合や、これらの取組みや開示が不十分とみなされた場合は、当行グループの事業、社会的信用、業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

 

 

(8) 事業戦略・経営計画に係るリスク

当行グループは、“信頼を深め、金融革新に挑戦”のスローガンの下、5つの重点戦略である「リアルとデジタルの相互補完による新しいリテールビジネスへの変革」、「デジタル技術を活用した業務改革・生産性向上」、「多様な枠組みによる地域への資金循環と地域リレーション機能の強化」、「ストレス耐性を意識した市場運用・リスク管理の深化」、「一層信頼される銀行となるための経営基盤の強化」を通じて、2021年度から2025年度までを計画期間とする中期経営計画を推進しております。

しかしながら、これらに向けた当行グループの事業戦略・経営計画は、各種のリスクにより実施が困難となり、又は有効でなくなる可能性があります。また、本項に記載したリスク要因等に伴い、事業戦略・経営計画の策定時に前提とした各種の想定が想定通りとならないこと等により、当初計画した成果が得られない可能性もあります。特に、市場(金利・為替等)・経済情勢(景気・信用状況等)等が計画策定時の想定通り安定推移しなかった場合、例えば、市場金利の低下による運用利回りの減少や米ドルを始めとする海外短期金利上昇に伴う外貨調達コストの増加によって計画が達成できない可能性や、海外のクレジットスプレッド拡大による当行が保有する有価証券中の投資信託の特別分配金発生によって計画が達成できない可能性、プライベートエクイティファンドの投資先の企業価値向上や資金回収のペースが想定対比で乖離することによって計画が達成できない可能性、国際分散投資等の高度化・加速を継続していく中で、適切なポートフォリオ分散を達成できない可能性、より高いリスクを有する運用資産の増加によって価格変動リスクを受けやすくなり、当行グループの事業、業績及び財政状態に及ぼす影響が大きくなる可能性があります。また、当行は、運用ポートフォリオの高度化・多様化を進めており、2007年10月1日時点(民営化時点)においては国債(預託金を含む)が運用資産の88.0%を、2016年3月末(新規上場期)においては国債が運用資産の40.1%を占めておりましたが、2023年3月末においては、国債、外国証券等、預け金等、その他がそれぞれ運用資産の16.8%、34.6%、30.1%、18.3%を占めております。特に、当行は、プライベートエクイティファンド、不動産ファンド、ダイレクトレンディングファンド等を戦略投資領域と位置づけ、優良な案件への選別的な投資に努め、残高を積み上げておりますが、これらの投資は一般的に投資期間が長期に及び、株式市場の変動を受けやすいなどリスクが高く、当行の投資ノウハウや経験の不足、専門的な知識を備えた人材の確保が困難であること、経済情勢や株式市場の急激な変動等により、投資先の企業価値向上や資金回収が想定通りに進捗しない可能性があり、当行の業績及び財政状態に重大な影響を及ぼす可能性があります。加えて、当行グループは、現在、主にLP(有限責任組合員)として出資をしておりますが、今後はGP業務の本格化を計画しており、この場合当行グループが負う上記の投資リスクはより高くなることが見込まれます。更に、DXの推進等による、各種決済サービス及び資産形成サポートサービスの利用促進等並びに店舗改革等の業務効率化、運用・リスク管理・営業等の人材確保・育成が、想定通り進捗しなかった場合、役務取引等利益の拡大や営業経費の削減等の計画が達成できなくなる可能性や、当行の既存の対面型のサービスとの両立が困難となる可能性があります。更に、当行グループが推進するΣビジネス(後記「4 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1) 事業の概況」をご参照ください。)については、地域経済の低迷、地域金融機関又は地方自治体の利益相反若しくは協力不足、適切な収益機会の逸失等により期待された成果を上げない可能性があります。また、減損損失、売却損の計上等により十分な利益水準が確保できない場合や、法令によりその他有価証券の評価損が発生した際は分配可能額から控除する必要があることから、相場変動によりその他有価証券の評価損が拡大し、分配可能額を確保できない場合等には、株主還元の目標が達成できない可能性があります。更に、日本郵政株式会社は、将来的なグループ連結ベースでのIFRS適用を検討しており、将来的に当行グループもIFRSを適用する可能性があるほか、事業の内容又は経営環境の変化に対応して会計方針等の変更を行う可能性もあります。これらの結果、当行グループの事業、業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

 

(9) 業務範囲の拡大等に係るリスク

当行グループは、新たな収益機会を得るために新規業務を行おうとする場合、郵政民営化法、銀行法の規制により必要となる当局の認可等を適時に取得できない可能性があります。例えば、当行は、2012年9月3日に行った相対による法人向け貸付などを内容とする認可申請を、2017年3月31日に取り下げました。

また、認可を得て業務範囲を拡大した場合でも、当行グループが限定的な経験しか有していない業務分野に進出した場合、競争の激しい分野に進出した場合等において、業務範囲の拡大が功を奏しない、又は、当初想定した成果をもたらさない可能性があります。その結果、当行グループの事業、業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

 

(10) 事業環境等に係るリスク
① 主要な事業の前提に係るリスク

当行は、郵政民営化法第98条第1項により、次に掲げる条件付きで銀行法第4条に定める銀行業の免許を受けたものとみなされております。

・郵政民営化法第110条第1項各号に掲げる業務(いわゆる新規業務。「第1 企業の概況 3 事業の内容(参考) (1) 業務の制限」をご参照ください。)を行おうとするときは、内閣総理大臣の承認を受けなければならないこと。

・郵政民営化法第8章第3節の規定の適用を受ける間、業務の健全、適切かつ安定的な運営を維持するための基盤となる銀行代理業者への継続的な業務の委託がされていること。

この免許につきましては、有効期間は定められておりませんが、銀行法第26条、第27条、第28条及び第41条に規定された要件に該当した場合、業務の停止又は免許の取消し等を命じられることがあります。2023年3月末日現在において、当行は、これらの要件に該当する事実はないものと認識しておりますが、将来、何らかの事由により当行がこれらの要件に該当した場合には、当行の主要な事業活動に支障をきたし、当行グループの事業、業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

② 銀行法を始めとする各種法令等に係るリスク

当行グループは事業を行うにあたり、銀行法を始め税制・会計基準を含む各種法令等が適用され、銀行免許・当局の監督を受けております。また、我が国はWTO(World Trade Organization:世界貿易機関)の加盟国であり、当行グループが物品等を調達する場合にも、WTOによる政府調達ルールの遵守が求められます。各種法令等の改正や新たな法的規制等により、当行グループの競争条件が悪化したり、営業・運用等の一部が制限又は変更を余儀なくされた場合は、新たな対応費用の増加、収益機会の制限等により、当行グループの業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。例えば、米国の外国資産管理法による指定国等に対する経済制裁の発動・強化は、当行の国際分散投資を制約し、直接又は投資信託を通じ保有する外国証券のリスクを高める可能性があります。

また、当行は、郵政民営化法によって、他の銀行には課せられていない規制が課されております(当行に係る郵政民営化法に基づく規制は、「第1 企業の概況 3 事業の内容(参考)」をご参照ください。)。例えば、当行は、他の銀行と比較して業務拡大等に係る経営の自由度が限定されており、また、銀行を当行の子会社とすることや、預入限度額を超える一顧客からの貯金受入れも、原則としてできません。郵政民営化法の規制により、当行グループの事業、成長戦略を含む事業戦略・経営計画の策定・遂行、業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。更に将来、現行の民営化の枠組みを変更する法律が制定された場合、その内容によっては、当行グループに影響をもたらす可能性もあります。

③ 経済・社会情勢、市場に係るリスク

当行グループが行う事業による収益の多くは日本国内での貯金調達や国内外での有価証券運用によって得られており、国内外の景気・信用状況や人口動態等の経済・社会情勢、金利・為替等の市場の変動・悪化が、当行グループの業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。例えば、消費税率の引き上げによる家計の可処分所得の低下や、インフレ高進に伴う実質所得の低下、子高齢化等に伴い、日本の貯蓄率・預金水準が低下し、当行の貯金残高が減少する可能性があります。また、国内外の金融市場に混乱等が生じた場合、当行グループの事業の低迷や資産内容の悪化、資金調達力・資産流動性の低下等が生じる可能性があります。このような場合、中長期的な収益の確保を目的とした運用の高度化・多様化が、目的に即した結果を生まない可能性もあります。

 

④ 競争に係るリスク

当行グループが行う事業は、いずれも激しい競争状況に置かれております。当行の主力事業は郵便局ネットワークをメインチャネルとするリテール・バンキング事業であるため、当行は、都市銀行のほか、地方銀行その他の金融機関と競合しております。また、当行グループが業務範囲を拡大した場合には、現時点では当行グループと競合関係にない会社との競合が新たに生じる可能性もあります。この他、近年では、国内外の各業界において統合や再編、業務提携が積極的に行われており、参入規制の緩和や業務範囲の拡大等の規制緩和も行われております。更に、テクノロジーの進化により、他業界からの新たな金融サービスの提供者の参入や顧客ニーズの多様化が進展しております。

当行グループでは、新たなテクノロジーの活用や、デジタル化の推進等によるサービスの改善・充実に努めておりますが、当行グループが競合する他の金融機関に対して優位に立てない場合や、市場構造の変化に対応できなかった場合、規制緩和や新規参入が想定以上に進んだ場合、テクノロジーの進化や顧客ニーズの多様化に対応できなかった場合は、顧客基盤の流出・弱体化、収益力の低下、既存サービス・ネットワークの陳腐化等により、当行グループの事業、業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

 

(11) 日本郵政株式会社との関係に係るリスク
① 日本郵政株式会社の当行の事業運営に対する影響

日本郵政株式会社は、以下の諸点を通じ、当行の事業運営に影響を及ぼす可能性があります。

(a) 議決権の行使等を通じた影響

日本郵政株式会社は、2023年3月末日現在において、当行の発行済株式総数(自己株式を除く。)のうち約61%を保有しており、当行の役員の選解任、他社との合併等の組織再編、減資、定款の変更等、当行の株主総会決議の結果に重要な影響を及ぼす可能性があります。

また、日本郵政株式会社は、後記「5 経営上の重要な契約等」に記載の日本郵政グループ協定その他の契約や、日本国政府による日本郵政株式会社株式の保有等により、当行について他の一般株主と異なる利害関係を有しており、一般株主の期待と異なる議決権の行使を行う可能性があります。更に、当行以外の日本郵政グループ各社が、直接又は子会社等を通じて当行と競合し又は競合する可能性のある事業を行うなど、当行の一般株主の利益とは異なる観点で行動する可能性があります。

(b) 日本郵政グループとの人的関係を通じた影響

下表のとおり、日本郵政グループの役員等が当行の役員を兼任しております。

また、当行経営会議(「第4 提出会社の状況 4 コーポレート・ガバナンスの状況等 (1) コーポレート・ガバナンスの概要 ② 企業統治の体制の概要及び当該体制を採用する理由」をご参照ください。)には、原則、日本郵政株式会社の役員は出席しないものの、会議の議題に応じて、出席が必要と当行が考える日本郵政株式会社の代表執行役に限り出席を要請することとしております。

更に、従業員についても、2023年3月末日現在、当行に、日本郵政株式会社の子会社である日本郵便株式会社からの受入出向者が12名、当行・日本郵便株式会社に、両社職務の兼務者が552名(当行所属従業員300名、日本郵便株式会社所属従業員252名)おります。この他、日本郵政株式会社等からの受入出向者は5名であります。当行は日本郵便株式会社に銀行代理業務等を委託しており、代理店の現状に精通した人材を代理店の業務指導・支援に活用し、また、代理店の要員に当行直営店業務を経験させることは、代理店の事務品質・業務知識の向上を狙いとしております。更に、当行エリア本部、日本郵便株式会社の支社の所属者を相互に兼務させ、営業施策の立案・推進管理、営業人材の育成を協働推進させることは、直営店・郵便局一体の営業力強化を企図しております。なお、これらの受入出向者・兼務者はいずれも、当行の重要な意思決定に影響を与える職位・職務には就いておりません。

日本郵政株式会社は、上記の役員兼任等を通じ、当行の事業運営に影響を及ぼす可能性があります。

 

 

(日本郵政グループの役員等と当行役員を兼任している者)

本有価証券報告書提出日現在

役職・氏名

兼任している会社・役職

兼任の理由

会社

役職

取締役兼代表
執行役社長

池田 憲人

日本郵政
株式会社

取締役
(非常勤)

当行代表として、親会社である日本郵政株式会社の意思決定過程に参画するため

取締役兼代表
執行役副社長

田中  進

日本郵政
株式会社

常務執行役

国が資本金の3分の1以上を出資している法人である日本郵政株式会社として国会で当行に関する専門的な質問への答弁対応の必要があるため

取締役

(非常勤)

増田 

日本郵政

株式会社

 

日本郵便

株式会社

 

株式会社

かんぽ生命

保険

取締役兼

代表執行役社長

 

取締役

(非常勤)

 

取締役

(非常勤)

グループ経営の観点からの総合的な助言を得るため

執行役副社長

萩野 善教

日本郵政
インフォメ
ーションテ
クノロジー
株式会社

取締役
(非常勤)

当行が日本郵政インフォメーションテクノロジー株式会社に委託している業務について、当行の意向をより適切に反映させるため

常務執行役

田中 隆幸

日本郵政
コーポレー

トサービス
株式会社

取締役
(非常勤)

当行が日本郵政コーポレートサービス株式会社に委託している業務について、当行の意向をより適切に反映させるため

 

(注) 萩野 善教氏は、2023年6月20日付で当行執行役副社長を退任しており、2023年6月23日付で日本郵政インフォメーションテクノロジー株式会社取締役を退任する予定であります。また、後任として当行専務執行役の松永 恒氏が、2023年6月23日開催予定の日本郵政インフォメーションテクノロジー株式会社定時株主総会において取締役として選任され、就任する予定であります。

 

(c) 契約関係・取引関係を通じた影響

当行は、後記「5 経営上の重要な契約等」や「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1) 連結財務諸表 注記事項(関連当事者情報)」に記載のとおり、日本郵政グループ各社と契約を締結し取引しておりますが、当該取引にあたっては、契約の締結・改定の際に、取引の目的・必要性、取引条件の適正性(銀行法に定めるアームズ・レングス・ルール)等を確認しており、日本郵政グループ内の取引を適正に管理する態勢を整備しております。加えて、当行と日本郵政グループ各社との重要な取引や、当行と当行の主要株主との非定型的な取引については、取締役会において審議の上、承認することにより、当行又は株主共同の利益を害することのないよう監視しております。

当行は、後記「5 経営上の重要な契約等」に記載のとおり、グループ共通の理念・方針等のグループ運営に係る基本的事項を定め、円滑なグループ運営に資することを目的とした日本郵政グループ協定等を締結しております。これらの協定等に基づき、当行は一定の重要事項につき日本郵政株式会社と事前協議等を行うこととされ、また日本郵政株式会社から「ゆうちょ」等の商標の使用を許諾されるとともに、日本郵政株式会社に対し、日本郵政グループに属することによる利益の対価として、別途合意した算定方法に従いブランド価値使用料を支払っております。これらの協定等は後記「5 経営上の重要な契約等」に記載の要件が満たされ解除されない限り、原則として存続するため、当行は当該解除までの間、日本郵政株式会社の当行株式の保有割合にかかわらず、一定の重要事項につき日本郵政株式会社と事前協議等を行う義務や、日本郵政株式会社に対してブランド価値使用料を支払う義務等を負います。

また、後記「5 経営上の重要な契約等」に記載の要件が満たされ、これらの協定等の終了又は見直しにより現在の条件での商標の使用が継続できなくなった場合や、重大な経済情勢の変化等が生じたと判断してブランド価値使用料の算定方法が変更された場合等には、当行グループの事業、業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

 

② 日本郵政株式会社による当行株式の追加処分の可能性

日本郵政株式会社は、2023年3月の当行株式売出し実施前時点において、当行の発行済株式総数(自己株式を除く。)のうち約89%を保有しておりましたが、本売出し後においては、上記①のとおり、その割合は約61%まで低下しました。なお、郵政民営化法は、日本郵政株式会社が保有する当行株式は、その全部を処分することを目指し、当行の経営状況及びユニバーサルサービスの提供への影響等を勘案しつつ、できる限り早期に処分するものとしております。また、日本郵政株式会社は、「第1 企業の概況 2 沿革」に記載のとおり、同社の金融2社株式保有割合を、中期経営計画期間中(2021年度~2025年度)のできる限り早期に50%以下とすることを目指す方針を発表しております。今後の株式売却の時期・規模等は未確定ですが、将来、当行株式の追加的な売却が行われ、又はかかる売却により市場で流通する当行の株式数が増え需給が悪化するとの認識が市場で広まった場合には、当行株式の流動性・株価形成等に影響を及ぼす可能性があります。

また、日本郵政グループ協定等は、日本郵政株式会社の当行株式の保有割合にかかわらず、後記「5 経営上の重要な契約等」に記載の要件が満たされ解除されない限り、原則として存続しますが、日本郵政株式会社が当行の株式を更に売却し、当行又は株式会社かんぽ生命保険が日本郵政株式会社の連結子会社でなくなった場合、これらの協定等の多くは見直すこととされているため、当行にとって不利な条件に変更される等の場合には、当行グループの事業、業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

一方、日本郵政株式会社の当行株式の保有割合は、郵政民営化法による他の銀行には課せられていない規制(「第1 企業の概況 3 事業の内容(参考)」をご参照ください。)が緩和される要件の一つであるため、日本郵政株式会社による当行株式の追加処分が行われない場合、当該緩和が、期待通りに進まず、当行の経営の自由度の拡大が実現しない可能性があります。

③ 日本国政府との関係希薄化により顧客等に誤認が伝播するリスク

当行は、日本国政府から何らの明示又は黙示の保証その他の信用補完を受けておりません。しかし、日本郵政株式会社による当行株式の処分や、日本国政府による日本郵政株式会社株式の処分の進捗に伴い、当行と日本国政府との関係の希薄化により、当行に付与された信用格付が格付機関によって引き下げられた場合や、当行の経済的信用力が低下したとの誤認や錯誤が伝播した場合等には、貯金等の減少、取引条件や人材の採用・定着への影響等を通じ、当行グループの事業、業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

 

(12) 日本郵便株式会社との関係に係るリスク
① 郵便局ネットワークをメインチャネルとする営業に係るリスク

当行は、後記「5 経営上の重要な契約等」に記載のとおり、銀行代理業務の委託契約等に基づき日本郵便株式会社に銀行代理業務等を委託しております。2023年3月末日現在、当行の店舗23,642のうち23,407が代理店(郵便局)となっており、貯金残高の約9割が代理店で開設された口座への預入による等、当行の事業は代理店である日本郵便株式会社の郵便局ネットワークによる営業に大きく依拠しております。

従って、コミュニケーション手段の多様化、競合するネットワークやサービスの利便性向上、デジタルサービスの拡充等により、当行の代理店である郵便局の利用者数や利用頻度が減少したり、代理店で取り扱う当行の商品・サービスの種類や代理店数が減少した場合、当行代理店業務に従事する従業員の確保やその教育が十分でない場合、郵便局で取り扱う競合商品との競争が激化する場合、日本郵便株式会社が人材等のリソースを当行の商品・サービス以外に優先的に配分する場合等においては、当行の貯金等や新商品等の販売が伸びず、その結果、当行グループの事業、業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

株式会社かんぽ生命保険及び日本郵便株式会社におけるお客さまのご意向に沿わず不利益が生じた保険契約乗換等に係る事案や、日本郵便株式会社において行われた一部のお客さまのご意向に沿っていない取引のうち、法令違反が認められた株式会社かんぽ生命保険の保険商品と当行グループの投資信託の横断的な販売については、適切なお客さま対応を実施するとともに、改善に向けた取組みやお客さまからの信頼回復に努めてまいりました。

しかしながら、かかる取組みが功を奏しない場合や、今後も法令違反等の不適切な事案が発生する等の場合には、日本郵政グループへの信頼の喪失等により、日本郵便株式会社が取り扱う当行グループの金融商品の販売が回復しない可能性があります。結果的に、当行が委託している投資信託の販売等に影響し、当行グループの事業、業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

 

また、郵便局において資金横領等事案の部内犯罪が発生している事態を受け、日本郵便株式会社及び日本郵政株式会社と連携し、発生原因の分析、再発防止策の検討等を行い、不祥事件の撲滅に向けてコンプライアンスの徹底・強化に取り組んでおります。加えて、過年度においてお客さま情報の紛失等が発生した投資信託取引及び国債取引に関する金融商品仲介補助簿に係る取扱いについては、当該補助簿の電子化による再発防止策を実施したほか、当該補助簿以外の書類についても、紛失防止に向け、保存書類の削減、電子化(ペーパーレス化)を進めております。しかしながら、かかる取組みが功を奏しない場合や、今後も法令違反等の不適正な事案が発覚する等の場合には、日本郵政グループの社会的信用に影響を与える可能性があり、今後、当行の金融商品の販売が低迷し、当行グループの事業、業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

また、当行は、上記の銀行代理業務の委託契約等に基づき、日本郵便株式会社の郵便局を商品・サービスの販売・提供のメインチャネルとし、相当額の委託手数料を日本郵便株式会社に対して支払っております(後記「5 経営上の重要な契約等」をご参照ください。)が、当該委託手数料の算定方法その他の条件が当行と日本郵便株式会社との間の合意により見直されたり、当該契約等が解除され代替委託先等を適時に確保できない場合、当行グループの事業、業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。なお、上記(10)①のとおり、日本郵便株式会社が当行との間で締結している銀行代理業務の委託契約等は、当行の主要な事業活動の前提となっております。当該契約は期限の定めのない契約ですが、解除に係る協議の申入れより6か月経過後の通知により解除できるものと定めております。2023年3月末日現在において、日本郵便株式会社から当該契約等の見直しや解除の申入れ等、契約の存続に支障をきたす要因は発生しておりませんが、当該要因が発生した場合には、当行の事業活動に重大な影響を及ぼす可能性があります。

② ユニバーサルサービスの提供に係るリスク

当行は、後記「5 経営上の重要な契約等 (1) 銀行窓口業務契約」に記載のとおり、日本郵便株式会社との間で銀行窓口業務契約を締結しており、同社は全国の郵便局で、当行の基本的な商品・サービスを、日本郵便株式会社法に基づくいわゆるユニバーサルサービス提供に係る法的責務の履行として提供しております。当行は、法令上この責務を直接負わないものの、郵便局で使用するATM・窓口端末機など銀行委託業務に係るITシステムの導入・運行コストとともに(なお、当該ITシステムは当行が所有)、同業務に従事する日本郵便株式会社の従業員の指導・教育等を通じ、ユニバーサルサービス提供に係る一定のコストを負担しております。

その結果、より収益性の高い業務や地域への経営資源配分が制約されること等により、当行グループの事業、業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

なお、銀行窓口業務契約は、期限の定めがなく、また、本契約に定める特段の事由が生じた場合等を除き、当事者の合意がない限り、解除できないものと定めております。また、当行の定款には、日本郵便株式会社と銀行窓口業務契約を締結する旨規定しているため、当該契約を終了させる場合には、定款の変更を要します。従って、当行が銀行窓口業務契約を終了させるためには、これらの手続等を充足させる必要があります。

一方、本契約が終了した場合にも、当行グループの事業、業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

また、2018年12月1日、独立行政法人郵便貯金・簡易生命保険管理機構法の一部を改正する法律が施行されました(下記「(参考) 独立行政法人郵便貯金・簡易生命保険管理機構法の一部を改正する法律の概要」をご参照ください。)。これによって、2019年度から当行と日本郵便株式会社との間の委託手数料の一部が交付金・拠出金となりました。下記のとおり、独立行政法人郵便貯金簡易生命保険管理・郵便局ネットワーク支援機構(以下「郵政管理・支援機構」)から日本郵便株式会社に交付される交付金の原資となる拠出金は、独立行政法人郵便貯金簡易生命保険管理・郵便局ネットワーク支援機構に関する省令に基づき、人件費、賃借料、工事費等の郵便局ネットワークの維持に要する費用のうち、ユニバーサルサービス確保のために不可欠な費用(日本郵便株式会社が負担すべき額を除く。)から算出されており、郵政管理・支援機構が年度毎に算定しております。そのため、当行直営店での業務コストの増減にかかわらず、拠出金と委託手数料の合計額が将来的に増加する可能性があります。また、今後、このようなユニバーサルサービスの確保に関する政府の施策、法令や規制等の改正等があった場合、その内容によっては、当行グループの事業、業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

 

 

(参考) 独立行政法人郵便貯金・簡易生命保険管理機構法の一部を改正する法律の概要

2018年12月1日、独立行政法人郵便貯金・簡易生命保険管理機構法の一部を改正する法律が施行されました。これにより、2019年4月1日に独立行政法人郵便貯金・簡易生命保険管理機構の名称が「独立行政法人郵便貯金簡易生命保険管理・郵便局ネットワーク支援機構」に変更され、また、郵政管理・支援機構の目的として、「郵便局ネットワークの維持の支援のための交付金を交付することにより、郵政事業に係る基本的な役務の提供の確保を図り、もって利用者の利便の確保及び国民生活の安定に寄与すること」が追加されました。

郵便局ネットワーク維持に要する費用は、従来、日本郵便株式会社と関連銀行・関連保険会社との間の契約に基づく委託手数料により賄われておりましたが、当該費用のうち、ユニバーサルサービス確保のために不可欠な費用(日本郵便株式会社が負担すべき額を除く。)は、本法に基づき、2019年度から、当行及び株式会社かんぽ生命保険からの拠出金を原資として郵政管理・支援機構から日本郵便株式会社に交付される交付金で賄われております。

当該ユニバーサルサービス確保のために不可欠な費用の算定方法は、直近の郵便局ネットワークの維持の状況を基礎とした次の費用の合計額です。

ア あまねく全国において郵便局でユニバーサルサービスが利用できるようにすることを確保するものとなるように郵便局ネットワークを最小限度の規模の郵便局により構成するものとした場合における人件費、賃借料、工事費その他の郵便局の維持に要する費用、現金の輸送及び管理に要する費用、並びに固定資産税及び事業所税

イ 簡易郵便局で郵政事業に係る基本的な役務が利用できるようにすることを確保するための最小限度の委託に要する費用

当該ユニバーサルサービス確保のために不可欠な費用及び交付金・拠出金の算定等に係る郵政管理・支援機構の事務経費は、郵便窓口業務、銀行窓口業務又は保険窓口業務において見込まれる利用者による郵便局ネットワークの利用の度合等に応じて按分され、銀行窓口業務に係る按分額を当行が拠出金として拠出しており、拠出金の額は郵政管理・支援機構が年度毎に算定し、総務大臣の認可を受けております。なお、2023年度に当行が支払う拠出金の額は2,436億円です。

また、2019年度から、郵便局ネットワークの維持に要する費用のうち、ユニバーサルサービス確保のために不可欠な費用(日本郵便株式会社が負担すべき額を除く。)は、当行及び株式会社かんぽ生命保険からの拠出金を原資として郵政管理・支援機構から日本郵便株式会社に交付される交付金で賄われているため、当行が業務委託契約等に基づいて日本郵便株式会社に支払っている委託手数料についても見直しを行っております(後記「5 経営上の重要な契約等」をご参照ください。)。

 
(13) その他のリスク
① 自己資本比率等に係るリスク

当行は、「銀行法第14条の2の規定に基づき、銀行がその保有する資産等に照らし自己資本の充実の状況が適当であるかどうかを判断するための基準」(平成18年金融庁告示第19号)に基づき、自己資本比率の規制比率(4%以上)を維持する必要があります。2023年3月末日現在、当行の連結自己資本比率は15.53%となっており、規制比率に比べ高い水準を確保しておりますが、運用の高度化・多様化により、自己資本比率が低下傾向にあることに加え、業績・財政状態や運用ポートフォリオの変動、比率の算出方法変更等により、当行の自己資本比率が低下したり、新たな規制等への対応が必要となる可能性があります。当行の自己資本比率等が規制比率を満たさない場合には、当局から業務の縮小・停止等の行政上の措置が課されること等により、当行グループの事業、社会的信用、業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

また、当行は、金利リスク状況のモニタリングの一環として、当局による「主要行等向けの総合的な監督指針(以下「監督指針」)」において定められた重要性テストの過程で用いられる手法に基づき、金利変動による資産・負債の経済価値の減少額(以下「ΔEVE」)を計測しております。今後、当行のΔEVEの最大値が重要性テストにおける評価基準である自己資本の額の20%を超え、当局から深度ある対話を行う必要が認められる銀行と判断される場合には、対話を通じて共有された課題認識に基づき、原因への対応も含めて必要な改善対応を求められる可能性があります。なお、仮に当該改善計画を確実に実行させる必要があると当局から判断された場合、当局から行政上の措置が課される可能性があります。

 

重要性テストの適用については、監督指針において、「ゆうちょ銀行は、法令上、一部の資産について国債等の安全資産の保有が義務付けられているため、(重要性テストに該当する場合の)監督上の対応をするにあたっては、当該特殊事情を適切に勘案することとする。」とされております。

また、当行は、国内基準行でありますが、海外向け与信の大きさ等から、国内の大規模金融機関と同水準の資本管理を目指す考え方に基づき、自己資本比率(国内基準)に加え、CET1比率(国際統一基準)でのリスク管理を行っており、2023年3月末日現在、CET1比率(国際統一基準、その他有価証券評価益除くベース)は14.01%となっております。今後リスク・アセットが増加等した場合は、中期経営計画において平時に最低限確保すべき水準として設定している10%程度を下回る可能性があります。

2017年12月には、バーゼル委員会によってバーゼルⅢの最終化が公表され、かかる最終化には信用リスクの標準的手法の見直しが含まれております。日本の当局も最終化されたバーゼルⅢに関する最終規則を公表しており、当該規則は海外に営業拠点を持つ銀行には2024年3月までに施行される一方で、国内基準行には原則として2025年3月までに施行される予定であります。

② LIBOR等の指標金利に関するリスク

当行は、ロンドン銀行間取引金利(LIBOR)等の指標金利を参照する金融商品を保有しており、更に当該指標金利は、当行内における金融商品の評価等においても利用されております。

2014年7月に、金融安定理事会が、金利指標の改革及び代替金利指標としてリスク・フリー・レートの構築を提言し、また、2017年7月には、LIBORを規制する英国の金融行動監視機構(FCA)長官が、2021年末以降はLIBOR公表継続のためにパネル銀行にレート呈示を強制する権限を行使しない旨表明しており、2021年末以降のLIBORの公表には不確実性があるとされていましたが、2021年3月5日、LIBOR運営機関(IBA)が、米ドルの一部テナーを除き、2021年12月末をもってLIBORの公表を停止する旨を公表し、同公表のとおり、LIBORは公表停止となりました(米ドルの一部テナーは、2023年6月末まで公表継続予定)。

当行では、代替金利指標への移行に対する対応を進め、2021年12月末のLIBOR公表停止に向けた対応を実施しました。ただし、2023年6月末に予定されている米ドルLIBORの一部テナーの公表停止に関して、後継指標に関する市場慣行等、未確定事項が残存しており、参照金利や評価方法の変更等により、指標金利を参照する当行の金融資産につき損失が発生し、また、システム開発が必要になること等に伴う費用の増加等の要因により、当行グループの業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

③ 財務報告に係る内部統制に関するリスク

当行グループは、金融商品取引法に基づき、財務報告に係る内部統制の有効性を評価し、その結果を記載した内部統制報告書の提出及び監査人による監査を受けることが義務付けられております。

当行グループは、財務報告の信頼性を確保するため、財務報告に係る内部統制の評価及び報告に関する規程等を制定し、財務報告に係る内部統制について必要な体制を整備しております。また、評価の過程で発見された問題点等は速やかに改善するべく努力しております。しかしながら、財務報告に係る内部統制が有効でない場合には、当行グループの財務報告の信頼性に影響を及ぼす可能性があります。

④ 管理会計等に係る内部管理に関するリスク

本有価証券報告書には、日本の会計基準によらず外部監査を受けていない管理会計等に基づく数値・分析等が、含まれております。当行は、これらについても内部管理の体制を整備しておりますが、有効でない場合には、数値等の信頼性に影響を及ぼす可能性があります。

⑤ 退職給付債務に係るリスク

当行グループの退職給付費用及び債務は、将来の退職給付債務算出に用いる年金数理上の前提条件に基づいて算出しておりますが、金利環境の急変等により、実際の結果が前提条件と異なる等の場合、退職給付費用及び債務が増加又は追加的負担が発生する可能性があります。その結果、当行グループの事業、業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

⑥ 人材確保に係るリスク

当行グループは、安定した事務遂行と高い専門性を必要とする業務を行っており、営業・市場運用・戦略投資領域・ALM・リスク管理・システム開発・DX・サイバーセキュリティ・財務・コンプライアンス等の分野において有能で熟練した人材が必要とされます。そのため、専門人材の採用や、各種研修等を通じて人材育成を行っておりますが、当行グループは、他の金融機関等と競争状況に置かれているため、有能な人材を採用し定着・育成することができず、当該専門分野を中心に人材確保に支障をきたした場合には、事業の競争力、業務運営の効率性等が損なわれ、当行グループの事業、業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。例えば、上記分野等の要員に係る採用、報酬等の処遇、育成に注力しても、十分なスキルを持った従業員を育成・定着させることができない可能性や、経営幹部を採用・定着させられない可能性があり、これらの場合には、当行グループの事業、業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

⑦ 業務提携・外部委託等に伴うリスク

当行グループは、業務の提携、運用・事務・システム開発等の外部委託等を行っております。当行グループが期待していたとおりの成果や利益を達成できない場合や、業務提携先や当行グループの関係会社・日本郵政グループ各社を含む委託先等で、業務遂行の問題が生じ商品・サービスの提供等に支障をきたしたり、お客さまの情報等の重要な情報漏えい等の違法行為が発生した場合、また、提携・委託等が解消され適切な代替委託先等を適時に確保できない場合等において、当行グループの事業、社会的信用、業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

⑧ 他の金融機関等の信用力の悪化等に係るリスク

当行グループは、国内の銀行、証券会社、保険会社等の金融機関と取引を行っておりますが、取引先や他の金融機関の業績や財政状態の悪化により信用力等に問題が生じた場合、当行グループが当該金融機関との取引で損失を被ったり、政府が当該金融機関の資本増強や収益回復等のために規制・資金調達・税務等に係る救済措置を講じ、預金保険料等が増加したり、競争上の不利益を被ること等により、当行グループの事業、業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

⑨ 東京証券取引所におけるプライム市場上場維持に係るリスク

2022年4月に実施された東京証券取引所の市場区分見直しに際し、当行はプライム市場の上場維持基準のうち、「流通株式比率35%以上」に適合しておりませんが、2021年11月12日に「新市場区分の上場維持基準の適合に向けた計画書」等を提出・開示し、経過措置の適用を受けることで、2022年4月4日、プライム市場へ移行しました。

2023年3月に実施した当行株式の売出し及び自己株式立会外買付取引(ToSTNeT-3)による買い付けによる自己株式の取得及び消却の実施により、当行の流通株式比率は株式売出し実施前時点における約10.6%から大幅に改善したものの、2023年3月末日現在で34.5%となり、35%に僅かに届かない結果となりました。

当行は引き続き、経過措置に従いプライム市場に上場することとなりますが、当該経過措置期間中においては、当該計画書に記載の事項を遵守し、適切に進捗させる必要があります。

なお、当該計画の適切な実行については、各種のリスクによりその実施が困難となり、又は有効でなくなる可能性がある等、不確実性を伴い、また仮に当該計画の遵守ができない場合には、上場維持が認められなくなる可能性があります。

また、JPビジョン2025(日本郵政グループ中期経営計画)において、日本郵政株式会社は当該経営計画期間中のできる限り早期に、当行株式の保有割合を50%以下とする方針を発表しており、当行としても当該方針に沿って民営化プロセスを着実に推進してまいります。日本郵政株式会社の当行株式保有割合が低下した場合、当行の流通株式比率向上に寄与することが期待されますが、その過程において、当行株式の追加的な売却が行われ、又はかかる売却により市場で流通する当行の株式数が増え需給が悪化するとの認識が市場で広まった場合には、当行株式の流動性・株価形成等に影響を及ぼす可能性があります。

 

※2022年4月26日、東京証券取引所は、上場会社の企業価値向上に向けた取組みや経過措置の取扱い等について、同社に対して助言を行うことを目的とした有識者会議の設置を公表しました。また、2023年1月30日、東京証券取引所は、上場維持基準に関する経過措置の取扱い等について見直しを行い、経過措置の終了時期について、2025年3月1日以後に到来する基準日から本来の上場維持基準を適用するものの、上場維持基準に適合していない場合は原則として1年間(売買高基準の場合は6か月間)の改善期間に入る旨を明確にするとともに、プライム市場の上場会社には、2023年4月1日から9月29日までの間、市場区分の再選択の申請ができる旨を公表しました。

 

4 【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

当連結会計年度における当行グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」)の状況の概要並びに経営者の視点による当行グループの経営成績等の状況に関する分析・検討内容は次のとおりであります。当行の連結財務諸表と個別財務諸表の差は僅少であるため、経営成績及び財政状態の状況に関する分析・検討内容の一部については、当行単体のものを記載しております。

なお、以下の記載における将来に関する事項は、明示がある場合又は文脈上明らかな場合を除き、当連結会計年度末現在において当行グループが判断したものであります。

また、当行グループは、銀行業の単一セグメントであるため、セグメント別の記載を省略しております。

 

(1) 事業の概況

当行グループは、「社会と地域の発展に貢献する」というパーパス(社会的存在意義)と、「最も身近で信頼される銀行を目指す」という経営理念の実現に向け、果たすべき3つのミッション(社会的使命)を定めております。

当行グループは、約24,000の店舗ネットワーク等を通じて、日本全国の幅広いお客さまに、各種金融サービスをあまねく提供しており、3つのミッションには、SDGs(国際連合が掲げる「持続可能な開発目標」)の基本理念でもある「誰一人取り残さない」という考えが貫かれております。

当連結会計年度は、3つのミッション達成に向け、中期経営計画(2021年度~2025年度)で策定した5つの重点戦略に基づき、着実にビジネスの拡大・強化に取り組んでまいりました。

 

当行グループのパーパス・経営理念・ミッション・5つの重点戦略


 

具体的には、当行グループの持続的な企業価値向上を支える成長エンジンと位置づけている「リテールビジネス」、「マーケットビジネス」及び「新しい法人ビジネス(Σビジネス)」という3つのビジネス・エンジン各々において、5つの重点戦略につき、以下のとおり取り組みました。

 

(リテールビジネス)

第1のエンジン「リテールビジネス」では、主に個人のお客さまを対象に、全国約24,000の店舗ネットワーク、約31,000台のATMネットワーク、すべてのお客さまが利用しやすいデジタルチャネル等を通じて、日本全国あまねく「安心・安全」で「親切・丁寧」な金融サービスの提供に取り組みました。

店舗ネットワークについては、ご自身でスムーズに口座開設等の取引を行えるセルフ型営業店端末「Madotab」を全直営店(233店舗)に配備したほか、ATMネットワークについては、通帳繰越機能付きATMの配備を進める等、お客さまニーズに応えるとともに、業務効率化を推進しました。

 

デジタルサービスについては、スマートフォンを利用し、いつでも現在高や入出金明細の確認、送金、定額・定期貯金の預入・払戻し、投資信託の購入、住所・電話番号の変更等の基本的な銀行取引ができる「ゆうちょ通帳アプリ」の利用口座が700万口座を突破するとともに、スマートフォンを利用して金融資産や毎月の収支の管理ができる家計簿アプリ「ゆうちょレコ」のサービスを開始しました。更に、キャッシュカード一体型のVisaデビットカード「ゆうちょデビット」の発行を開始する等、キャッシュレス化の取組みを推進しました。

資産形成サポートビジネスについては、お客さまのライフプランや家計の状況の変化等に合わせた最適な運用ポートフォリオを提供する「ゆうちょファンドラップ」の提供を開始しました。

 

(マーケットビジネス)

第2のエンジン「マーケットビジネス」については、適切なリスク管理の下、市場環境の変化を踏まえつつ、国際分散投資の拡大等に取り組みました。

具体的には、インフレ高進を受けた米欧中央銀行の急速な金融引き締め及びそれを受けた景気減速懸念や、米欧の金融システム不安の高まり等を受け、市場環境が大きく変動する中、機動的なポートフォリオ運営により、利益を確保してまいりました。

また、リスク対比リターンやリスク耐性強化を意識しつつ、投資適格領域の外国社債等を中心にリスク性資産残高を99.4兆円まで拡大するとともに、リスク性資産のうち、プライベートエクイティファンド等の戦略投資領域(注1)については、優良案件への選別的な投資に努め、残高を10.1兆円まで積み上げました。2023年3月末の自己資本比率(連結・国内基準)は15.53%と十分な財務健全性を維持しております。

更に、市場環境が大きく変動する中、ストレステストの高度化やモニタリングの強化を推進し、リスク管理の一層の深化を図りました。

 

(注) 1.プライベートエクイティファンド(成長が見込まれる未上場企業等へ投資するファンド)、不動産ファンド等からなる戦略的な投資領域

 

(新しい法人ビジネス(Σビジネス))

当行グループはビジネスの中長期的なサステナビリティ(持続性)を強化するため、「リテールビジネス」と「マーケットビジネス」に次ぐ第3の新しい成長エンジンとして、「投資を通じたゆうちょ銀行らしい新しい法人ビジネス(Σビジネス)」を2022年11月に公表しました。

Σビジネスは、「社会と地域の発展に貢献する」という当行グループのパーパスに合致するとともに、全国津々浦々に展開する店舗ネットワーク等、当行グループの強みを活かした、新しい法人ビジネスです。具体的には3つの業務の柱があり、まず、第一に、連結子会社のJPインベストメント株式会社を中核としたGP(注2)業務の本格化により、全国の成長性のある中堅・中小企業に投資(資本性資金の供給)を行い、国内への資金循環を強化してまいります。第二に、投資先のベンチャー企業等の便利な商品・サービスを、当行グループの店舗ネットワークを通じて全国各地で紹介・媒介(マーケティング)し、投資先企業等の成長を支援してまいります。第三に、当行グループの店舗ネットワークを活用して、全国各地の投資先候補の発掘(ソーシング)を行ってまいります。

当連結会計年度においては、GP業務本格化の一環として、JPインベストメント株式会社が設立した「JPインベストメント地域・インパクトファンド1号」に出資したほか、Σビジネスの考え方が投資ガイドライン等に反映されているフロンティア・キャピタル株式会社に出資しました。

また、投資先企業の紹介・媒介(マーケティング)業務として、スマートフォンを活用して訪日外国人向けに簡便な「免税還付手続きの電子化サービス」を提供する株式会社Pie Systems Japanと協業契約を締結し、加盟店開拓業務をスタートしました。

 

(注) 2.General Partnerの略。投資ファンドにおいて投資先企業の選定、投資判断等を担うファンドの運営主体

 

 

(株式売出しによる民営化プロセスの進展)

当行の親会社である日本郵政株式会社は、当行株式の保有割合を、中期経営計画期間中(2021年度~2025年度)のできる限り早期に50%以下とすることを目指す方針を打ち出しております。本方針に基づき、2023年3月、日本郵政株式会社による当行株式の売出しが実施されました。

日本郵政株式会社の当行株式保有割合(議決権ベース)は本売出し実施前時点において約89%でしたが、本売出し後(2023年3月末時点)において約61%となり、完全民営化に向けた当行の民営化プロセスは着実に進展いたしました。

なお、本売出しの結果、当行の2023年3月末の流通株式比率は約10.6%(本売出し実施前時点)から大幅に改善したものの、2023年3月末時点で34.5%となり、株式会社東京証券取引所のプライム市場上場維持基準である35%に僅かに届かない結果となりました。

当行は引き続き、経過措置に従いプライム市場に上場することとなりますが、2021年11月12日に公表した「新市場区分の上場維持基準の適合に向けた計画書」に基づき、上場維持基準の適合を目指してまいります。

 

(中期経営計画の財務目標における当連結会計年度の実績)

中期経営計画において、財務目標として掲げている項目の当連結会計年度の実績は、下表のとおりとなりました。

 

当連結会計年度

(参考)前連結会計年度

収益性

連結当期純利益(当行帰属分)

3,250億円

3,550億円

ROE(株主資本ベース)(注3)

3.44%

3.80%

効率性

OHR(金銭の信託運用損益等を含むベース)(注4)

67.15%

67.52%

営業経費(2020年度対比)

△845億円

△279億円

健全性

自己資本比率(国内基準)(注5)

15.53%

15.56%

CET1(普通株式等Tier1)比率

(国際統一基準)(注6)

14.01%

14.23%

 

(注) 3.ROE(株主資本ベース)は、連結当期純利益(当行帰属分)÷((当期首株主資本+当期末株主資本)÷2)で算出しております。

4.OHRは、経費÷(資金収支等+役務取引等利益)で算出しております。資金収支等とは、資金運用に係る収益から資金調達に係る費用を除いたもの(売却損益等を含む。)です。なお、当行は相応の規模で金銭の信託を活用した有価証券等運用を行っていることを踏まえ、金銭の信託に係る運用損益も分母に含めたOHRを指標として設定しております。

5.自己資本比率(国内基準)は、自己資本の額÷リスク・アセット等で算出しております(なお、「第1 企業の概況 1 主要な経営指標等の推移」に記載の自己資本比率とは、算出方法が異なります。)。

6.CET1(普通株式等Tier1)比率(国際統一基準)は、CET1資本÷リスク・アセット等で算出しております(なお、CET1資本は、その他有価証券評価益除くベースです。また、一部計算項目を簡便的に算出しております。)。当行は国内基準行であるものの、国際分散投資拡大に伴う、国際金融システム上の重要性の増加等を踏まえ、国際統一基準であるCET1比率も目標項目として設定しております。

 

(2) 経営成績の分析

当連結会計年度の連結粗利益は、前連結会計年度比2,356億円減少1兆563億円となりました。このうち、資金利益は、外債投資信託の収益減少を主因に、前連結会計年度比3,511億円の減少となりました。外債投資信託の収益減少は、海外の金利上昇やクレジットスプレッドの拡大等による、為替ヘッジコストの増加、収益認識できない特別分配金の増加、投資信託内債券の早期償還に伴う償還益の減少、投資信託の解約益の減少等によるものです。役務取引等利益は、2022年1月の料金改定の影響によりATM関連手数料や為替・決済関連手数料等が増加したことを主因に、前連結会計年度比193億円の増加となりました。その他業務利益は、外国債券の売却に伴う外国為替売買損益の増加を主因に、前連結会計年度比960億円の増加となりました。

経費は、預金保険料の減少や日本郵便株式会社への委託手数料の減少等により、前連結会計年度比569億円減少9,263億円となりました。

連結業務純益は、前連結会計年度比1,787億円減少1,300億円となりました。

臨時損益は、プライベートエクイティファンドや不動産ファンドに係る収益の拡大等により、前連結会計年度比1,434億円増加3,255億円となりました。

経常利益は、前連結会計年度比353億円減少4,555億円となりました。通期業績予想の経常利益4,450億円に対し、達成率は102.3%となりました。

親会社株主に帰属する当期純利益は、3,250億円と前連結会計年度比300億円の減益となりましたが、通期業績予想の親会社株主に帰属する当期純利益3,200億円に対する達成率は101.5%となりました。

なお、「生産、受注及び販売の実績」は、銀行業における業務の特殊性のため、該当する情報がないので記載しておりません。

 

前連結会計年度
(百万円)(A)

当連結会計年度
(百万円)(B)

増減(百万円)
(B)-(A)

連結粗利益

1,292,028

1,056,329

△235,699

 資金利益

1,147,487

796,383

△351,104

 役務取引等利益

128,471

147,809

19,338

 その他業務利益

16,069

112,136

96,066

  うち外国為替売買損益

79,059

200,041

120,982

  うち国債等債券損益

△63,245

△88,083

△24,837

経費(除く臨時処理分)

△983,240

△926,309

56,930

人件費

△118,166

△116,657

1,509

物件費

△819,979

△774,035

45,944

税金

△45,094

△35,617

9,476

連結業務純益(一般貸倒引当金繰入前)

308,787

130,019

△178,768

一般貸倒引当金繰入額

△10

10

連結業務純益

308,777

130,019

△178,758

臨時損益

182,113

325,547

143,433

うち株式等関係損益

△126,340

73,785

200,126

うち金銭の信託運用損益

286,671

246,820

△39,851

経常利益

490,891

455,566

△35,324

特別損益

5,682

△1,193

△6,875

固定資産処分損益

5,698

△317

△6,016

減損損失

△15

△875

△859

税金等調整前当期純利益

496,574

454,373

△42,200

法人税、住民税及び事業税

△104,430

△146,058

△41,627

法人税等調整額

△37,917

23,359

61,277

法人税等合計

△142,348

△122,698

19,649

当期純利益

354,225

331,675

△22,550

非支配株主に帰属する当期純利益又は

非支配株主に帰属する当期純損失

844

△6,605

△7,450

親会社株主に帰属する当期純利益

355,070

325,070

△30,000

 

 

(注) 1.連結業務純益=連結粗利益-経費(除く臨時処理分)-一般貸倒引当金繰入額

2.臨時損益とは、連結損益計算書中「その他経常収益・費用」から一般貸倒引当金繰入額を除き、金銭の信託運用見合費用及び退職給付費用のうち臨時費用処理分等を加えたものであります。

3.「金銭の信託運用見合費用」とは、金銭の信託取得に係る資金調達費用であり、金銭の信託運用損益が臨時損益に計上されているため、業務費用から控除しているものであります。

4.国債等債券損益=国債等債券売却益+国債等債券償還益-国債等債券売却損-国債等債券償還損-国債等債券償却

5.株式等関係損益=株式等売却益-株式等売却損-株式等償却

6.金額が損失又は費用には△を付しております(非支配株主に帰属する当期純損失を除く。)。

 

① 損益の概要(単体)

当事業年度の業務粗利益は、前事業年度比2,482億円減少1兆426億円となりました。このうち、資金利益は、外債投資信託の収益減少を主因に、前事業年度比3,623億円の減少となりました。外債投資信託の収益減少は、海外の金利上昇やクレジットスプレッドの拡大等による、為替ヘッジコストの増加、収益認識できない特別分配金の増加、投資信託内債券の早期償還に伴う償還益の減少、投資信託の解約益の減少等によるものです。役務取引等利益は、2022年1月の料金改定の影響によりATM関連手数料や為替・決済関連手数料等が増加したことを主因に、前事業年度比189億円の増加となりました。その他業務利益は、外国債券の売却に伴う外国為替売買損益の増加を主因に、前事業年度比951億円の増加となりました。

経費は、預金保険料の減少や日本郵便株式会社への委託手数料の減少等により、前事業年度比572億円減少9,236億円となりました。

業務純益は、前事業年度比1,910億円減少1,189億円となりました。

臨時損益は、プライベートエクイティファンドや不動産ファンドに係る収益の拡大等により、前事業年度比1,477億円増加3,292億円となりました。

経常利益は、前事業年度比432億円減少4,482億円となりました。

この結果、当期純利益は3,246億円、前事業年度比303億円の減益となりました。

 

前事業年度
(百万円)(A)

当事業年度
(百万円)(B)

増減(百万円)
(B)-(A)

業務粗利益

1,290,865

1,042,610

△248,255

 資金利益

1,147,500

785,114

△362,385

 役務取引等利益

127,400

146,354

18,954

 その他業務利益

15,964

111,140

95,176

  うち外国為替売買損益

78,954

199,045

120,091

  うち国債等債券損益

△63,245

△88,083

△24,837

経費(除く臨時処理分)

△980,906

△923,664

57,241

人件費

△116,943

△115,285

1,657

物件費

△819,027

△772,942

46,085

税金

△44,935

△35,436

9,498

業務純益(一般貸倒引当金繰入前)

309,959

118,945

△191,013

一般貸倒引当金繰入額

△9

9

業務純益

309,949

118,945

△191,004

臨時損益

181,509

329,297

147,787

うち株式等関係損益

△125,583

74,993

200,577

うち金銭の信託運用損益

286,671

246,820

△39,851

経常利益

491,459

448,242

△43,216

特別損益

5,682

△1,188

△6,870

固定資産処分損益

5,698

△312

△6,011

減損損失

△15

△875

△859

税引前当期純利益

497,141

447,054

△50,087

法人税、住民税及び事業税

△104,295

△145,782

△41,486

法人税等調整額

△37,901

23,334

61,236

法人税等合計

△142,196

△122,447

19,749

当期純利益

354,945

324,607

△30,338

 

 

(注) 1.業務純益=業務粗利益-経費(除く臨時処理分)-一般貸倒引当金繰入額

2.臨時損益とは、損益計算書中「その他経常収益・費用」から一般貸倒引当金繰入額を除き、金銭の信託運用見合費用及び退職給付費用のうち臨時費用処理分等を加えたものであります。

3.「金銭の信託運用見合費用」とは、金銭の信託取得に係る資金調達費用であり、金銭の信託運用損益が臨時損益に計上されているため、業務費用から控除しているものであります。

4.国債等債券損益=国債等債券売却益+国債等債券償還益-国債等債券売却損-国債等債券償還損-国債等債券償却

5.株式等関係損益=株式等売却益-株式等売却損-株式等償却

6.金額が損失又は費用には△を付しております。

 

(参考) 与信関係費用

 

前事業年度
(百万円)(A)

当事業年度
(百万円)(B)

増減(百万円)
(B)-(A)

与信関係費用

△9

12

21

一般貸倒引当金繰入額

△9

12

21

貸出金償却

個別貸倒引当金繰入額

償却債権取立益

 

(注) 1.金融再生法開示債権に係る費用を計上しております。

2.金額が損失又は費用には△を付しております。

 

② 国内・国際別の資金利益等(単体)

当行は、銀行業の単一セグメントであり、海外店や海外に本店を有する子会社(以下「海外子会社」)を有しておりませんが、円建の取引を「国内業務部門」、外貨建取引を「国際業務部門」に帰属させ(ただし、円建の対非居住者取引は「国際業務部門」に含む。)、各々の収益・費用を計上した結果、国内業務部門・国際業務部門別の資金利益等は次のとおりとなりました。

当事業年度は、国内業務部門においては、資金利益は2,761億円、役務取引等利益は1,469億円、その他業務利益は△181億円となりました。

国際業務部門においては、資金利益は、海外の金利上昇やクレジットスプレッドの拡大等による、為替ヘッジコストの増加、収益認識できない特別分配金の増加、投資信託内債券の早期償還に伴う償還益の減少、投資信託の解約益の減少等に伴う外債投資信託の収益減少等による外国証券利息の減少や、資金調達費用の増加等により5,089億円に減少、役務取引等利益は△5億円その他業務利益は1,292億円となりました。

この結果、国内業務部門、国際業務部門の相殺消去後の合計は、資金利益は7,851億円、役務取引等利益は1,463億円、その他業務利益は1,111億円となりました。

 

イ.国内業務部門

 

前事業年度
(百万円)(A)

当事業年度
(百万円)(B)

増減(百万円)
(B)-(A)

資金利益

402,257

276,171

△126,085

資金運用収益

446,743

307,787

△138,956

うち国債利息

304,191

235,493

△68,698

資金調達費用

44,486

31,615

△12,871

役務取引等利益

127,631

146,904

19,273

役務取引等収益

157,355

174,503

17,147

役務取引等費用

29,724

27,598

△2,125

その他業務利益

△17,525

△18,109

△584

その他業務収益

433

54,455

54,022

その他業務費用

17,958

72,564

54,606

 

 

 

ロ.国際業務部門

 

前事業年度
(百万円)(A)

当事業年度
(百万円)(B)

増減(百万円)
(B)-(A)

資金利益

745,243

508,942

△236,300

資金運用収益

991,619

925,669

△65,949

うち外国証券利息

991,228

917,648

△73,580

資金調達費用

246,376

416,726

170,350

役務取引等利益

△231

△550

△318

役務取引等収益

354

331

△23

役務取引等費用

586

881

295

その他業務利益

33,490

129,250

95,760

その他業務収益

87,044

236,472

149,427

その他業務費用

53,554

107,221

53,667

 

 

ハ.合計

 

前事業年度
(百万円)(A)

当事業年度
(百万円)(B)

増減(百万円)
(B)-(A)

資金利益

1,147,500

785,114

△362,385

資金運用収益

1,369,747

1,232,408

△137,338

資金調達費用

222,246

447,294

225,047

役務取引等利益

127,400

146,354

18,954

役務取引等収益

157,710

174,834

17,124

役務取引等費用

30,310

28,480

△1,830

その他業務利益

15,964

111,140

95,176

その他業務収益

87,477

290,927

203,449

その他業務費用

71,513

179,786

108,273

 

(注) 1.資金調達費用は、金銭の信託運用見合費用(前事業年度4,404百万円、当事業年度10,863百万円)を控除しております。

2.「国内業務部門」「国際業務部門」間の内部取引による相殺消去額(資金貸借に係る利息)は下表のとおりであります。なお、当事業年度末より、当該資金貸借に係る利息の算出方法を見直しております。

 

前事業年度
(百万円)

当事業年度
(百万円)

国内業務部門・資金運用収益

68,616

1,047

国際業務部門・資金調達費用

68,616

1,047

 

 

③ 国内・国際別資金運用/調達の状況(単体)

当事業年度の資金運用勘定の平均残高は219兆6,067億円、利回りは0.56%となりました。また、資金調達勘定の平均残高は210兆3,378億円、利回りは0.21%となりました。

国内・国際別に見ますと、国内業務部門の資金運用勘定の平均残高は210兆2,108億円、利回りは0.14%となりました。また、資金調達勘定の平均残高は204兆2,173億円、利回りは0.01%となりました。

国際業務部門の資金運用勘定の平均残高は76兆6,089億円、利回りは1.20%となりました。また、資金調達勘定の平均残高は73兆3,333億円、利回りは0.56%となりました。

 

イ.国内業務部門

種類

前事業年度

当事業年度

増減

平均残高

利息

利回り

平均残高

利息

利回り

利回り

(百万円)
 

(百万円)
 

(%)
(A)

(百万円)
 

(百万円)
 

(%)
(B)

(%)
(B)-(A)

資金運用勘定

211,342,025

446,743

0.21

210,210,806

307,787

0.14

△0.06

うち貸出金

4,620,369

10,120

0.21

5,179,919

9,589

0.18

△0.03

うち有価証券

69,451,545

341,824

0.49

63,733,361

272,085

0.42

△0.06

うち預け金等

60,361,005

29,872

0.04

63,294,696

27,549

0.04

△0.00

資金調達勘定

204,529,496

44,486

0.02

204,217,396

31,615

0.01

△0.00

うち貯金

192,386,838

20,984

0.01

194,561,694

12,963

0.00

△0.00

うち債券貸借取引受入担保金

17,507

17

0.09

5,142

5

0.09

0.00

 

(注) 1.「国内業務部門」は円建取引であります。

2.金銭の信託に係る収益及び費用を「その他経常収益」「その他経常費用」に計上しておりますので、資金運用勘定は金銭の信託の平均残高(前事業年度2,629,573百万円、当事業年度2,751,073百万円)を控除し、資金調達勘定は金銭の信託運用見合額の平均残高(前事業年度2,629,573百万円、当事業年度2,751,073百万円)及び利息(前事業年度△967百万円、当事業年度△2,532百万円)を控除しております。

3.預け金等は、譲渡性預け金、日銀預け金、コールローン、買入金銭債権であります。「ロ.国際業務部門」「ハ.合計」においても同様であります。

4.貯金は銀行法施行規則の負債科目「預金」に相当するものであります。「ロ.国際業務部門」「ハ.合計」においても同様であります。

 

ロ.国際業務部門

種類

前事業年度

当事業年度

増減

平均残高

利息

利回り

平均残高

利息

利回り

利回り

(百万円)
 

(百万円)
 

(%)
(A)

(百万円)
 

(百万円)
 

(%)
(B)

(%)
(B)-(A)

資金運用勘定

70,834,616

991,619

1.39

76,608,908

925,669

1.20

△0.19

うち貸出金

26,122

137

0.52

30,250

161

0.53

0.00

うち有価証券

70,670,623

991,228

1.40

76,363,251

917,648

1.20

△0.20

うち預け金等

資金調達勘定

70,222,165

246,376

0.35

73,333,363

416,726

0.56

0.21

うち債券貸借取引受入担保金

1,458,983

2,579

0.17

1,786,878

52,173

2.91

2.74

 

(注) 1.「国際業務部門」は外貨建取引であります。ただし、円建対非居住者取引については、「国際業務部門」に含めております。

2.当行は、海外店及び海外子会社を有しておりません。

3.金銭の信託に係る収益及び費用を「その他経常収益」「その他経常費用」に計上しておりますので、資金運用勘定は金銭の信託の平均残高(前事業年度1,531,380百万円、当事業年度2,357,381百万円)を控除し、資金調達勘定は金銭の信託運用見合額の平均残高(前事業年度1,531,380百万円、当事業年度2,357,381百万円)及び利息(前事業年度5,372百万円、当事業年度13,396百万円)を控除しております。 

 

ハ.合計

種類

前事業年度

当事業年度

増減

平均残高

利息

利回り

平均残高

利息

利回り

利回り

(百万円)
 

(百万円)
 

(%)
(A)

(百万円)
 

(百万円)
 

(%)
(B)

(%)

(B)-(A)

資金運用勘定

217,361,148

1,369,747

0.63

219,606,759

1,232,408

0.56

△0.06

うち貸出金

4,646,492

10,257

0.22

5,210,170

9,750

0.18

△0.03

うち有価証券

140,122,168

1,333,053

0.95

140,096,612

1,189,734

0.84

△0.10

うち預け金等

60,361,005

29,872

0.04

63,294,696

27,549

0.04

△0.00

資金調達勘定

209,936,168

222,246

0.10

210,337,804

447,294

0.21

0.10

うち貯金

192,386,838

20,984

0.01

194,561,694

12,963

0.00

△0.00

うち債券貸借取引受入担保金

1,476,490

2,597

0.17

1,792,020

52,179

2.91

2.73

 

(注) 1.金銭の信託に係る収益及び費用を「その他経常収益」「その他経常費用」に計上しておりますので、資金運用勘定は金銭の信託の平均残高(前事業年度4,160,954百万円、当事業年度5,108,455百万円)を控除し、資金調達勘定は金銭の信託運用見合額の平均残高(前事業年度4,160,954百万円、当事業年度5,108,455百万円)及び利息(前事業年度4,404百万円、当事業年度10,863百万円)を控除しております。

2.「国内業務部門」「国際業務部門」間の内部取引による相殺消去額(資金貸借の平均残高及び資金貸借に係る利息)は下表のとおりであります。なお、当事業年度末より、当該資金貸借に係る利息の算出方法を見直しております。

 

前事業年度

当事業年度

平均残高

(百万円)

利息

(百万円)

平均残高

(百万円)

利息

(百万円)

国内業務部門・資金運用勘定

64,815,494

68,616

67,212,955

1,047

国際業務部門・資金調達勘定

64,815,494

68,616

67,212,955

1,047

 

 

 

④ 役務取引等利益の状況(単体)

当事業年度の役務取引等利益は、2022年1月の料金改定の影響によりATM関連手数料や為替・決済関連手数料等が増加したことを主因に、前事業年度比189億円増加1,463億円となりました。

 

前事業年度
(百万円)(A)

当事業年度
(百万円)(B)

増減(百万円)
(B)-(A)

役務取引等利益

127,400

146,354

18,954

為替・決済関連手数料

83,722

91,121

7,399

ATM関連手数料

22,776

32,890

10,114

投資信託関連手数料

13,666

11,892

△1,774

その他

7,234

10,449

3,215

 

 

(参考) 投資信託の取扱状況(約定ベース)

 

前事業年度
(百万円)(A)

当事業年度
(百万円)(B)

増減(百万円)
(B)-(A)

販売金額

200,433

229,468

29,034

純資産残高

2,595,536

2,387,139

△208,396

 

 

 

(3) 財政状態の分析

当連結会計年度末における総資産は前連結会計年度末比3兆3,722億円減少229兆5,822億円となりました。主要勘定については、有価証券は前連結会計年度末比6兆7,759億円減少132兆8,014億円、貸出金は前連結会計年度末比1兆1,623億円増加5兆6,043億円となりました。貯金残高は、通常貯金等の残高増加を主因に、前連結会計年度末比1兆5,099億円増加194兆9,486億円となりました。

株主資本は、親会社株主に帰属する当期純利益の計上、配当金の支払い及び自己株式の取得により、前連結会計年度末比439億円増加しました。その他の包括利益累計額は、「時価の算定に関する会計基準の適用指針」(企業会計基準適用指針第31号 2021年6月17日)の適用により、プライベートエクイティファンド等の評価損益が新たに反映されることとなった一方、内外金利の上昇及び海外のクレジットスプレッドの拡大等に伴い、前連結会計年度末比6,990億円減少し、純資産は9兆6,518億円となりました。株主資本のうち、利益剰余金は2兆4,819億円となりました。

 

① 預金残高の状況(単体)

当事業年度末の貯金残高は前事業年度末比1兆5,095億円増加194兆9,515億円となりました。

○ 預金の種類別残高(末残・構成比)

種類

前事業年度

当事業年度

増減

金額(百万円)

(A)

構成比(%)

金額(百万円)

(B)

構成比(%)

金額(百万円)

(B)-(A)

預金合計

193,441,929

100.00

194,951,503

100.00

1,509,574

流動性預金

112,254,409

58.03

119,611,343

61.35

7,356,934

振替貯金

10,749,849

5.55

12,710,600

6.51

1,960,751

通常貯金等

100,805,356

52.11

106,132,120

54.44

5,326,764

貯蓄貯金

699,203

0.36

768,622

0.39

69,418

定期性預金

81,022,589

41.88

75,217,326

38.58

△5,805,262

定期貯金

4,352,435

2.24

3,307,143

1.69

△1,045,292

定額貯金

76,670,153

39.63

71,910,183

36.88

△4,759,970

その他の預金

164,930

0.08

122,833

0.06

△42,097

譲渡性預金

総合計

193,441,929

100.00

194,951,503

100.00

1,509,574

 

 

○ 預金の種類別残高(平残・構成比)

種類

前事業年度

当事業年度

増減

金額(百万円)

(A)

構成比(%)

金額(百万円)

(B)

構成比(%)

金額(百万円)

(B)-(A)

預金合計

192,386,838

100.00

194,561,694

100.00

2,174,856

流動性預金

107,384,771

55.81

116,105,780

59.67

8,721,008

振替貯金

10,025,532

5.21

11,263,216

5.78

1,237,684

通常貯金等

96,703,365

50.26

104,110,687

53.51

7,407,321

貯蓄貯金

655,873

0.34

731,876

0.37

76,002

定期性預金

84,779,519

44.06

78,238,475

40.21

△6,541,043

定期貯金

4,533,450

2.35

3,869,594

1.98

△663,856

定額貯金

80,246,068

41.71

74,368,881

38.22

△5,877,187

その他の預金

222,547

0.11

217,438

0.11

△5,108

譲渡性預金

総合計

192,386,838

100.00

194,561,694

100.00

2,174,856

 

 

(注) 1.通常貯金等=通常貯金+特別貯金(通常郵便貯金相当)

2.貯金は銀行法施行規則の負債科目「預金」に相当するものであります。「振替貯金」は「当座預金」、「通常貯金」は「普通預金」、「貯蓄貯金」は「貯蓄預金」、「定期貯金」は「定期預金」に相当するものであります。「定額貯金」は「その他の預金」に相当するものでありますが、「定期性預金」に含めております。

3.特別貯金(通常郵便貯金相当)は独立行政法人郵便貯金簡易生命保険管理・郵便局ネットワーク支援機構(以下「郵政管理・支援機構」)からの預り金のうち、郵政管理・支援機構が日本郵政公社から承継した定期郵便貯金、定額郵便貯金、積立郵便貯金、住宅積立郵便貯金、教育積立郵便貯金に相当する郵便貯金で満期となったものなどであります。

4. 上記の通常貯金、定期性預金は、「第1 企業の概況 3 事業の内容(参考) (2) 預入限度額」に記載の郵政民営化法における預入限度額規制上の区分とは異なります。

 

② 資産運用の状況(末残・構成比) (単体)

当事業年度末の運用資産のうち、国債は38.1兆円、その他の証券は78.3兆円となりました。

種類

前事業年度

当事業年度

増減

金額(百万円)

(A)

構成比(%)

金額(百万円)

(B)

構成比(%)

金額(百万円)

(B)-(A)

預け金等

66,622,875

29.00

68,283,567

30.16

1,660,691

コールローン

2,470,000

1.07

2,460,000

1.08

△10,000

買現先勘定

9,861,753

4.29

9,788,452

4.32

△73,300

債券貸借取引支払保証金

250,241

0.11

250,241

金銭の信託

5,828,283

2.53

6,564,738

2.89

736,454

うち国内株式

2,024,619

0.88

1,857,660

0.82

△166,959

うち国内債券

1,406,103

0.61

1,270,609

0.56

△135,494

有価証券

139,549,103

60.75

132,769,420

58.64

△6,779,683

国債

49,259,766

21.44

38,114,711

16.83

△11,145,054

地方債

5,580,874

2.42

5,640,868

2.49

59,993

短期社債

1,434,510

0.62

1,400,895

0.61

△33,615

社債

9,118,414

3.96

9,233,579

4.07

115,164

株式

20,533

0.00

22,078

0.00

1,544

その他の証券

74,135,001

32.27

78,357,286

34.61

4,222,284

うち外国債券

24,509,689

10.67

26,139,010

11.54

1,629,320

うち投資信託

49,534,425

21.56

52,110,200

23.01

2,575,775

貸出金

4,441,967

1.93

5,604,366

2.47

1,162,399

その他

920,646

0.40

659,674

0.29

△260,971

合計

229,694,629

100.00

226,380,460

100.00

△3,314,168

 

(注) 「預け金等」は譲渡性預け金、日銀預け金、買入金銭債権であります。

 

③ 評価損益の状況(末残)(単体)

当事業年度末の評価損益(その他目的)は、内外金利の上昇及び海外のクレジットスプレッドの拡大等に伴い、ヘッジ考慮後で、前事業年度末から1兆90億円減少し、2,140億円(税効果前)となりました。

 

前事業年度(A)

当事業年度(B)

増減(B)-(A)

貸借対照表

計上額

評価損益

貸借対照表

計上額

評価損益

貸借対照表

計上額

評価損益

(百万円)

(百万円)

(百万円)

(百万円)

(百万円)

(百万円)

満期保有目的の債券

23,069,257

△55,784

27,053,673

△305,320

3,984,415

△249,535

 

 

 

前事業年度(A)

当事業年度(B)

増減(B)-(A)

貸借対照表

計上額
/想定元本

評価損益
/ネット繰延

損益

貸借対照表

計上額
/想定元本

評価損益
/ネット繰延

損益

貸借対照表

計上額
/想定元本

評価損益
/ネット繰延

損益

(百万円)

(百万円)

(百万円)

(百万円)

(百万円)

(百万円)

その他目的

122,720,450

2,002,106

112,766,018

1,117,315

△9,954,432

△884,790

有価証券       ①

116,892,166

1,673,052

106,201,280

1,216,159

△10,690,886

△456,893

国債

34,285,554

85,743

23,072,127

△423,816

△11,213,426

△509,560

外国債券

22,701,193

1,484,225

22,365,282

1,476,129

△335,911

△8,096

投資信託

49,534,425

82,347

52,110,200

184,011

2,575,775

101,664

その他

10,370,993

20,735

8,653,668

△20,165

△1,717,324

△40,900

時価ヘッジ効果額  ②

△852,922

△1,306,052

△453,130

金銭の信託     ③

5,828,283

1,181,977

6,564,738

1,207,209

736,454

25,232

国内株式

2,024,619

1,202,212

1,857,660

1,104,910

△166,959

△97,301

その他

3,803,663

△20,234

4,707,077

102,299

903,413

122,534

デリバティブ取引   ④

(繰延ヘッジ適用分)

16,081,660

△779,085

18,078,012

△903,304

1,996,351

△124,219

評価損益合計

     ①+②+③+④

1,223,021

214,011

△1,009,010

 

(注)  「有価証券」には、有価証券のほか、現金預け金中の譲渡性預け金、買入金銭債権を含んでおります。

 

 

④ 業種別貸出金残高の状況(末残・構成比)(単体)

業種別

前事業年度

当事業年度

増減

金額(百万円)

(A)

構成比(%)

金額(百万円)

(B)

構成比(%)

金額(百万円)

(B)-(A)

国内(除く特別国際金融取引勘定分)

4,415,145

100.00

5,571,866

100.00

1,156,720

農業、林業、漁業、鉱業

製造業

92,847

2.10

114,676

2.05

21,828

電気・ガス等、情報通信業、運輸業

130,030

2.94

98,563

1.76

△31,466

卸売業、小売業

18,836

0.42

38,585

0.69

19,748

金融・保険業

606,744

13.74

477,763

8.57

△128,980

建設業、不動産業

96,815

2.19

113,654

2.03

16,839

各種サービス業、物品賃貸業

81,943

1.85

74,825

1.34

△7,118

国、地方公共団体

3,304,344

74.84

4,573,378

82.07

1,269,033

その他

83,582

1.89

80,419

1.44

△3,162

国際及び特別国際金融取引勘定分

26,821

100.00

32,500

100.00

5,678

政府等

その他

26,821

100.00

32,500

100.00

5,678

合計

4,441,967

5,604,366

1,162,399

 

(注) 1.「国内」とは本邦居住者に対する貸出、「国際」とは非居住者に対する貸出であります。

2.当行は、海外店及び海外子会社を有しておりません。

3.「金融・保険業」のうち郵政管理・支援機構向け貸出金は、前事業年度末246,483百万円、当事業年度末157,418百万円であります。

 

(4) キャッシュ・フロー

キャッシュ・フローの状況については、営業活動によるキャッシュ・フローは前連結会計年度比12兆1,611億円減少△4兆4,958億円、投資活動によるキャッシュ・フローは前連結会計年度比7兆9,229億円増加6兆3,374億円、財務活動によるキャッシュ・フローは前連結会計年度比1,043億円減少△2,860億円となりました。その結果、現金及び現金同等物の当連結会計年度末残高は、前連結会計年度末比1兆5,556億円増加68兆1,583億円となりました。

 

(5) 資本の財源及び資金の流動性

当面の設備投資及び株主還元などは自己資金で賄う予定であります。

また、当行グループは、正確な資金繰りの把握及び資金繰りの安定に努めるとともに、適切なリスク管理態勢の構築を図っております。有価証券等の運用については、大部分をお客さまからお預かりした貯金にて調達するとともに、必要に応じて外貨建てを中心に、売現先取引や債券貸借取引等による資金調達を行っております。

 

 (参考) ポートフォリオの状況

 

1.ポートフォリオの概要

 


 

 

当行は、ALM(資産・負債の総合管理)の枠組みとして7つのポートフォリオを設け、当行の内部規程に基づく管理会計により管理しております。上図は、その概要をイメージ図として重要性の観点から簡略化して記載しております。(なお、ALMとは、有価証券等の資産や貯金等の負債の金利・期間を把握し、将来の金利変動等を予測した上で、市場・信用・流動性等のリスクを管理しつつ、収益の確保を図る管理手法です。)

 

① 円金利ポートフォリオ(日本国債ポートフォリオを含む。)

主に円金利リスクを取得・管理するポートフォリオです。日本国債、政府保証債、短期運用資産等の運用サイドに加え、調達サイド(貯金等)も含めて、円金利リスクを管理します。

② 日本国債ポートフォリオ

円金利ポートフォリオの内、運用サイド(短期運用資産等を除く。)を特に日本国債ポートフォリオと呼びます。

③ クレジット・ポートフォリオ

主に信用リスクを取得・管理するポートフォリオで、対象資産には国内外の地方債、社債等が含まれます。

④ 外国国債ポートフォリオ

主に外貨金利リスク、為替変動リスクを取得・管理するポートフォリオで、対象資産には外国国債等が含まれます。

⑤ 株式ポートフォリオ

主に株価変動リスクを取得・管理するポートフォリオで、対象資産には株式及び株式関連デリバティブ等が含まれます。

⑥ オルタナティブ・ポートフォリオ

主にオルタナティブ資産に係るリスクを取得・管理するポートフォリオで、対象資産にはプライベートエクイティファンド、不動産ファンド等が含まれます。

⑦ ファイナンス・ポートフォリオ

主に貸付に係る信用リスクを取得・管理するポートフォリオで、地方公共団体向け貸付(郵政管理・支援機構向け貸出金を含む。)、法人向け貸付、地域活性化ファンド等への投資を実施します。

 

ポートフォリオ間の内部資金取引には、市場金利等をベースにした仕切りレートを、トランスファー・プライス(以下「TP」)として設定しております。

 

 

≪ポートフォリオ別資産の概要、期末残高≫                          (単位:億円)

 

2022年3月31日

2023年3月31日

円金利リスク資産(注1)

1,256,574

1,177,005

 

短期資産

732,233

759,474

国債・政府保証債

524,340

417,531

リスク性資産(注2)

949,607

994,542

 

地方債

55,808

56,408

社債等

74,965

73,234

外国証券等

698,651

713,073

貸出金

26,924

26,788

株式(金銭の信託)等

28,497

23,775

戦略投資領域(注3)

64,759

101,262

 

(注) 1.円金利ポートフォリオから調達サイド(貯金等)を除いたものとなります。

2.クレジット・ポートフォリオ、外国国債ポートフォリオ、株式ポートフォリオ、オルタナティブ・ポートフォリオ、ファイナンス・ポートフォリオの合計となります。

3.戦略投資領域は、オルタナティブ資産(プライベートエクイティファンド、不動産ファンド(エクイティ)等)、不動産ファンド(デット)、ダイレクトレンディングファンド、インフラデットファンド等であります。

 

2.ポートフォリオ別平残・損益の概要

  (単位:平残/兆円、損益/億円)

 

前事業年度

当事業年度

平残

損益

平残

損益

全体

215.0

4,759

217.6

4,473

 

円金利ポートフォリオ

121.9

△5,803

120.4

△5,510

 

 

顧客性調達・営業

△8,784

△8,340

 

 

運用等

2,981

2,830

 

リスク性資産

93.0

10,562

97.2

9,983

 

(注) ポートフォリオ別平残は、期首残高と期末残高の平均であります。

 

 

ポートフォリオ別損益は、以下により算出しており、各ポートフォリオの損益の合計は当行の経常利益に概ね一致します。

損益=資金収支等(資金運用に係る収益から資金調達に係る費用を除いたもの(売却損益等を含む))+役務取引等収支(役務取引等収益-役務取引等費用)-経費(損益計算書上の営業経費に相当)

 

資金収支等は、社外との実際の取引、社内の内部取引(TPを設定)を、各ポートフォリオに帰属させ、その収益・費用を計上しております。例えば、円金利ポートフォリオ(顧客性調達・営業)には、貯金で調達した資金を同期間の国債で運用した利鞘等を、リスク性資産には、国債レート(TP)の社内取引で調達した資金を同期間の社債等で運用した利鞘(信用スプレッド)等を、計上しております。

 

役務取引等に係る収益・費用は、大部分が為替・決済業務や投資信託販売手数料などサービス・商品販売に係る手数料とその費用であり、主に円金利ポートフォリオ(顧客性調達・営業)に計上しております。

 

経費は、以下により各ポートフォリオに帰属させていますが、そのほとんどは円金利ポートフォリオ(顧客性調達・営業)に計上しております。

① 各ポートフォリオに直接帰属させることが可能な経費

ア 特定のポートフォリオと関係の深い部署の経費は、当該ポートフォリオに賦課

イ 複数のポートフォリオと関係の深い部署の経費は、業務に従事する社員数等に応じて各ポートフォリオに配賦

② 各ポートフォリオに直接帰属させることができない経費

各ポートフォリオの業務に従事する社員数に応じて配賦

 

以上により算出したポートフォリオ別損益を概観しますと、国債等の低金利の継続を反映して、円金利ポートフォリオ(顧客性調達・営業)がALM部署から受け取るTP収益が低下する一方、貯金調達レートの低下余地は限定的で、当行全体の経費のほとんどが賦課されることから、円金利ポートフォリオの損益は赤字となっております。しかし、国内金利が平常化していく局面では、基本的には収益の回復が期待されます(詳細は、前記「3 事業等のリスク (2) 市場リスク ① 金利リスク」をご参照ください。)。一方、外国証券等に運用を拡大・多様化してきたリスク性資産の収益は、外貨調達コストの上昇などにより前事業年度比減少しているものの、ポートフォリオ全体の収益確保に貢献しております。

 

 

(自己資本比率の状況)

 

(参考)

自己資本比率は、銀行法第14条の2の規定に基づき、銀行がその保有する資産等に照らし自己資本の充実の状況が適当であるかどうかを判断するための基準(平成18年金融庁告示第19号)に定められた算式に基づき、連結ベースと単体ベースの双方について算出しております。

なお、当行は、国内基準を適用のうえ、信用リスク・アセットの算出においては標準的手法を採用しております。

 

 連結自己資本比率(国内基準)

(単位:億円、%)

 

2023年3月31日

1.連結自己資本比率(2/3)

15.53

2.連結における自己資本の額

92,244

3.リスク・アセット等の額

593,951

4.連結総所要自己資本額

23,758

 

(注) 連結総所要自己資本額は、上記3.に記載しているリスク・アセット等の額に4%を乗じた額であります。

 

 単体自己資本比率(国内基準)

(単位:億円、%)

 

2023年3月31日

1.単体自己資本比率(2/3)

15.52

2.単体における自己資本の額

92,169

3.リスク・アセット等の額

593,836

4.単体総所要自己資本額

23,753

 

(注) 単体総所要自己資本額は、上記3.に記載しているリスク・アセット等の額に4%を乗じた額であります。

 

(資産の査定)

 

(参考)

資産の査定は、「金融機能の再生のための緊急措置に関する法律」(平成10年法律第132号)第6条に基づき、当行の貸借対照表の社債(当該社債を有する金融機関がその元本の償還及び利息の支払の全部又は一部について保証しているものであって、当該社債の発行が金融商品取引法(昭和23年法律第25号)第2条第3項に規定する有価証券の私募によるものに限る。)、貸出金、外国為替、その他資産中の未収利息及び仮払金、支払承諾見返の各勘定に計上されるもの並びに貸借対照表に注記することとされている有価証券の貸付けを行っている場合のその有価証券(使用貸借又は賃貸借契約によるものに限る。)について債務者の財政状態及び経営成績等を基礎として次のとおり区分するものであります。

 

(1) 破産更生債権及びこれらに準ずる債権

破産更生債権及びこれらに準ずる債権とは、破産手続開始、更生手続開始、再生手続開始の申立て等の事由により経営破綻に陥っている債務者に対する債権及びこれらに準ずる債権をいう。

 

(2) 危険債権

危険債権とは、債務者が経営破綻の状態には至っていないが、財政状態及び経営成績が悪化し、契約に従った債権の元本の回収及び利息の受取りができない可能性の高い債権をいう。

 

(3) 要管理債権

要管理債権とは、三月以上延滞債権及び貸出条件緩和債権をいう。

 

(4) 正常債権

正常債権とは、債務者の財政状態及び経営成績に特に問題がないものとして、上記(1)から(3)までに掲げる債権以外のものに区分される債権をいう。

 

 資産の査定の額

債権の区分

2022年3月31日

2023年3月31日

金額(億円)

金額(億円)

破産更生債権及びこれらに準ずる債権

危険債権

0

0

要管理債権

正常債権

46,580

57,318

 

 

 

(6) 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定

連結財務諸表の作成にあたって用いた会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定のうち、重要なものは「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1) 連結財務諸表 注記事項(重要な会計上の見積り)」に記載しております。

 

 

5 【経営上の重要な契約等】

 

経営上の重要な契約等は、次のとおりであります。

 

(1) 銀行窓口業務契約(2012年10月1日締結)(期間の定めのない契約)

日本郵便株式会社は、日本郵便株式会社法により、郵便の役務、簡易な貯蓄、送金・債権債務の決済の役務、簡易に利用できる生命保険の役務を、利用者本位の簡便な方法により郵便局で一体的にかつあまねく全国で公平に利用できるようにするユニバーサルサービス義務を、日本郵政株式会社とともに負っています。このうち簡易な貯蓄、送金・債権債務の決済の役務の業務を、銀行代理業として提供するために、日本郵便株式会社は、当行との間で銀行窓口業務契約を締結しており(日本郵便株式会社法第2条第2項、同法第4条第1項、同法第5条)、当行定款にもこの旨規定しております。

銀行窓口業務契約では、日本郵便株式会社が、当行を関連銀行として、ユニバーサルサービス(通常貯金、定額貯金、定期貯金、普通為替、定額小為替、通常払込み、電信振替)の銀行窓口業務を営むこととしております。

なお、本契約は、銀行窓口業務の健全・適切な運営確保の観点から特段の事由が生じた場合等を除き、当事者の合意がない限り解除できないものと定めております。

 

(2) 銀行代理業に係る業務の委託契約、金融商品仲介業に係る業務の委託契約(2007年9月12日締結)(期間の定めのない契約)

当行は、上記(1)の銀行窓口業務契約で定めたユニバーサルサービスに関する業務を含め、貯金の受払いや国債・投資信託の募集の取扱等の業務を委託するため、日本郵便株式会社との間で銀行代理業に係る業務の委託契約、金融商品仲介業に係る業務の委託契約を締結しております。

なお、本契約は、解除協議の申入れより6か月経過後の通知により解除できるものと定めております。また、銀行窓口業務に該当する業務については、銀行窓口業務契約に定めがある場合を除くほか、銀行代理業に係る業務の委託契約の定めるところによるものとしております。

 

(3) 郵便貯金管理業務の再委託契約(2007年9月12日締結)(期間の定めのない契約)

当行は、日本郵便株式会社との間で、独立行政法人郵便貯金簡易生命保険管理・郵便局ネットワーク支援機構(以下「郵政管理・支援機構」)より受託した郵便貯金管理業務の一部について、日本郵便株式会社が郵便貯金管理業務を営むこととする再委託契約を締結しております。本契約は、以下(5)の契約と同様、解除協議の申入れより6か月経過後の通知により解除できるものと定めております。

 

(4) 委託手数料支払要領(2019年3月29日締結)(期間の定めのない契約)

当行は、日本郵便株式会社との間で、上記(1)~(3)に係る業務の対価としての委託手数料の算定方法等を定めた支払要領を締結し、日本郵便株式会社に対して委託手数料を支払っております。

2018年12月1日、独立行政法人郵便貯金・簡易生命保険管理機構法の一部を改正する法律が施行されました。郵便局ネットワークの維持に要する費用は、従来、日本郵便株式会社と関連銀行・関連保険会社との間の契約に基づく委託手数料により賄われておりましたが、当該費用のうち、ユニバーサルサービス確保のために不可欠な費用(日本郵便株式会社が負担すべき額を除く。)は、本法に基づき、2019年度から、当行及び株式会社かんぽ生命保険からの拠出金を原資として、郵政管理・支援機構から日本郵便株式会社に交付される交付金で賄われております。

これに伴い、日本郵便株式会社への委託業務に係る費用は、これまでの委託手数料から、交付金・拠出金と新たな委託手数料で賄うように見直しております。

具体的には、2019年度以降の委託手数料については、従来の算定方法を変更し、以下の算定方法により支払っております。

 

 (基本委託手数料)

委託手数料は、「基本委託手数料(貯金、投資信託、送金決済等の事務に対する手数料)」と「営業・事務報奨」から構成されております。

基本委託手数料は、当行の管理会計により毎年算出した単位業務コストをベースに、日本郵便株式会社での取扱実績等に基づき、委託業務コストに見合う額を算出し、その前年度からの増減率を、前年度の基本委託手数料に乗じて算出しております。

 

なお、基本委託手数料は、「貯金や投資信託等の預かり資産に係る事務等」、「送金決済その他役務の提供事務等」毎に毎年、料率・単価を設定し、下表の式により支払っております。

委託手数料の項目

支払額の算出式

① 貯金や投資信託等の預かり資産に係る事務等

平均総預かり資産残高 × 料率

② 送金決済その他役務の提供事務等

取扱件数 × 単価

 

(注) 「平均総預かり資産残高」とは、貯金平均残高と投資信託平均残高の合計値です。また、「平均総預かり資産残高」及び「取扱件数」は、日本郵便株式会社の月次の取扱実績によるものであります。なお、本要領は、上記(1)~(3)の契約すべてを解除するまで、効力を有するものと定めております。

 

2019年度の基本委託手数料は、前年度の基本委託手数料が算定方法を変更する前であり、乗じる対象がないため、委託業務コストに見合う額から交付金で賄われる部分を除いて算出しております。

 

 (営業・事務報奨)

営業目標達成や事務品質向上を確保するため、成果に見合った「営業・事務報奨」を支払っております。

 

 (参考:2018年度までの算定方法)

当行の管理会計により毎年算出した単位業務コストに日本郵便株式会社での取扱実績を乗じて委託業務コストに見合う額を算出し、その中から、郵便局ネットワークの確保のために、郵便局維持に係るコスト(日本郵便株式会社の管理会計による当行委託業務配賦分)を「窓口基本手数料」としておりました。また、残額について、「貯金の預払事務等」、「送金決済その他役務の提供事務等」、「資産運用商品の販売事務等」毎に毎年、料率・単価を算出し、下表の式により支払うこととしておりました。

併せて、営業目標達成や事務品質向上を確保するため、成果に見合った「営業・事務報奨」を支払うこととしておりました。

委託手数料の項目

支払額の算出式

① 貯金の預払事務等

平均貯金残高 × 料率

② 送金決済その他役務の提供事務等

取扱件数 × 単価

③ 資産運用商品の販売事務等

販売額 × 料率

平均投信残高 × 料率

 

(注) 「平均貯金残高」「取扱件数」「販売額」「平均投信残高」は、日本郵便株式会社の月次の取扱実績によるものであります。

 

(参考:委託手数料・拠出金推移)                           (単位:百万円)

 

2018年度

2019年度

2020年度

2021年度

2022年度

委託手数料

600,661

369,716

366,358

353,214

340,055

拠出金

237,820

237,439

237,040

230,710

合計

600,661

607,536

603,797

590,255

570,766

 

(注) 1.独立行政法人郵便貯金簡易生命保険管理・郵便局ネットワーク支援機構法に基づき、2019年度から、日本郵便株式会社への交付金の原資となる拠出金を、郵政管理・支援機構に拠出しております。

2.2022年度の委託手数料(3,400億円)の内訳は、総預かり資産1,554億円、送金等1,500億円、営業・事務報奨345億円であります。

 

(5) 郵便貯金管理業務委託契約、独立行政法人郵便貯金簡易生命保険管理・郵便局ネットワーク支援機構法及び郵政民営化法の規定に基づく貯金に関する契約(2007年9月12日締結)(期間の定めのない契約)

当行は、郵政管理・支援機構との間で郵政管理・支援機構の業務である郵便貯金管理業務(日本郵政公社から承継した郵便貯金の管理に関する業務等)の一部(払戻し、利息支払い等)について、業務委託契約を締結し委託を受けております。

また、当行は、郵政管理・支援機構との間で郵便貯金資産(郵便貯金管理業務の経理を区分する郵便貯金勘定に属する資産)の運用のための貯金(特別貯金)に関する契約を締結しております。本契約は、当行の国債等の安全資産保有額が特別貯金の合計額を下回ってはならないこと、また、特別貯金残高を基準として定める額以上の国債・地方債等を担保として郵政管理・支援機構に提供することを定めております。

なお、独立行政法人郵便貯金簡易生命保険管理・郵便局ネットワーク支援機構法上、郵便貯金管理業務委託契約の変更又は解除には、総務大臣の認可が必要とされております。

 

 

(6) 郵政管理・支援機構の借入金に関する契約(2007年9月12日締結)(期間の定めのない契約)

郵便貯金の預金者・地方公共団体に対し郵政管理・支援機構が保有する貸付債権のバックファイナンスとして、当行は、郵政管理・支援機構との間でその総額に相当する額について、当行からの借入金として郵政管理・支援機構が債務を負うものとする契約を締結しております。

 

(7) 日本郵政グループ協定、日本郵政グループ運営に関する契約(2015年3月31日締結)(期間の定めのない契約)

当行は、日本郵政株式会社、日本郵便株式会社、株式会社かんぽ生命保険との間で、日本郵政グループ各社の相互の連携・協力、シナジー効果の発揮が、グループ各社、ひいては日本郵政グループ全体の価値を向上させることに鑑み、グループ共通の理念・方針等のグループ運営に係る基本的事項を定め、円滑なグループ運営に資することを目的とした日本郵政グループ協定を締結しております。

この協定を受け、当行は、日本郵政株式会社との間で、日本郵政グループ運営に関する契約等を締結し、グループ運営の重要事項を、同社との事前協議事項(経営理念・経営方針、中期経営計画・年度事業計画の策定・変更等)、同社への報告事項(月次の貸借対照表・損益計算書等)としておりますが、同社は当行の意思決定を妨げ又は拘束しない旨、明定しております。更に、上記協定では、当行を含む同社の事業子会社は、日本郵政グループに属する利益を活用し、自主的・自律的な経営を行う旨、また、この旨を踏まえた上で、同社と日本郵便株式会社が、郵政民営化法第7条の2が規定する基本的な役務(いわゆるユニバーサルサービス)を確保するに当たり、グループとしての総合力を発揮できるよう相互に連携する旨、定めております。

これらの協定・契約等は、当行又は株式会社かんぽ生命保険のいずれかが、それぞれ上記(1)の銀行窓口業務契約又は日本郵便株式会社法第2条第3項に定める保険窓口業務契約を解除するまで存続する旨、また、両社のいずれかが日本郵政株式会社の連結子会社でなくなった場合には、必要な見直しを行う旨、定めております。

 

(8) 日本郵政グループ商標管理協定、グループ商標管理契約(2015年3月31日締結)(期間の定めのない契約)

当行は、日本郵政株式会社、日本郵便株式会社、株式会社かんぽ生命保険との間で、日本郵政グループのブランド価値の維持・向上を目的とした商標管理協定、日本郵政株式会社との間で商標管理契約を締結しております。

これらの協定・契約に基づき、当行は日本郵政株式会社が一元的に管理(商標権の取得等)する「ゆうちょ」等の商標の使用を許諾されており、本協定・契約は、上記(7)の日本郵政グループ協定が存続する間存続し、同協定を見直した場合は必要な見直しをする旨、定めております。

 

(9) ブランド価値使用料の算定及び支払に関する覚書(2015年3月31日締結)(期間の定めのない契約)

上記(7)の契約に基づき、当行は、日本郵政株式会社に対し2015年度から、日本郵政グループに属することによる利益の対価として、ブランド価値使用料を支払っており、本覚書は当該使用料の算定方法等を定めております。

ブランド価値使用料は、「ゆうちょ」等の商標使用料を含んでおり、他の企業グループでの例も参考に、当行が日本郵政グループのブランド力から利益を受ける代表的な業績指標に、当行と日本郵政株式会社が協議し合意した料率を乗じて、各事業年度の支払い総額を算出しております。具体的には、前事業年度の平均貯金残高に0.0023%を乗じた額としております。

上記の算定方法は、重大な経済情勢の変化等、特段の事情が生じない限り、変更しないものとしております。

 

(参考:ブランド価値使用料の推移)                                                   (単位:百万円)

2018年度

2019年度

2020年度

2021年度

2022年度

4,148

4,169

4,210

4,326

4,425

 

 

2 【主要な設備の状況】
(1) 提出会社

2023年3月31日現在

店舗名
その他

所在地

設備の
内容

土地

建物

その他の
有形固定資産

合計

従業員数
(人)

面積(㎡)

帳簿価額(百万円)

本社
ほか44箇所

東京地区

店舗等

1,740.47

(140.00)

33,430

11,805

2,776

48,012

3,149

[185]

札幌支店

ほか9箇所

北海道地区

店舗等

133

1,002

1,135

258

[39]

仙台支店

ほか16箇所

東北地区

店舗等

10,091.69

1,216

799

1,573

3,589

349

[28]

さいたま支店

ほか78箇所

関東地区
(東京地区を
除く。)

店舗等

14,703.35

1,000

2,182

3,720

6,903

1,603

[146]

長野支店

ほか8箇所

信越地区

店舗等

84

671

755

237

[15]

金沢支店

ほか7箇所

北陸地区

店舗等

79

481

560

181

[18]

名古屋支店

ほか27箇所

東海地区

店舗等

437

1,563

2,001

625

[65]

大阪支店

ほか50箇所

近畿地区

店舗等

926

12,731

13,657

1,143

[126]

広島支店

ほか16箇所

中国地区

店舗等

211

1,521

1,733

386

[41]

松山支店

ほか10箇所

四国地区

店舗等

161

730

892

245

[19]

熊本支店

ほか20箇所

九州地区

店舗等

321

2,153

2,474

548

[48]

那覇支店

ほか2箇所

沖縄地区

店舗等

98

203

301

100

[21]

東京貯金事務
センター

ほか16センター

関東地区
ほか

事務センタ
ーほか

176,284.46

28,270

57,602

22,325

108,197

2,918

[2,147]

 

(注) 1.「店舗名その他」の箇所数には、当行の無人出張所(6,755箇所)及び国内代理店(23,407箇所)の数を含めておりません。

2.土地の面積欄の( )内は、借地の面積(うち書き)であり、賃借している建物等も含めた当行の設備の年間賃借料の合計は10,778百万円であります。

3.他の者に貸与している当行の設備の年間賃貸料の合計は1,678百万円であります。

4.建物には建物付属設備を含んでおります。

5.その他の有形固定資産の主なものは、事業用動産(ATM等)50,343百万円であります。

6.上記のほか、無形固定資産(ソフトウエア等)77,118百万円があります。

7.従業員数は、当行から社外への出向者を含んでおらず、社外から当行への出向者を含んでおります。また、臨時従業員数(無期転換制度に基づく無期雇用転換者(アソシエイト社員)を含む。)は、[ ]内に年間の平均人員(1日8時間換算)を外書きで記載しております。

 

 

(2) 国内子会社

連結財務諸表における子会社の設備の割合が僅少であるため、記載を省略しております。

 

(3) 在外子会社

該当事項はありません。

 

① 【株式の総数】

種類

発行可能株式総数(株)

普通株式

18,000,000,000

18,000,000,000

 

 

② 【発行済株式】

種類

事業年度末現在
発行数(株)
(2023年3月31日)

提出日現在
発行数(株)
(2023年6月22日)

上場金融商品取引所名又は登録認可金融商品取引業協会名

内容

普通株式

3,690,021,220

3,617,602,420

東京証券取引所
プライム市場

完全議決権株式であり、株主としての権利内容に制限のない、標準となる株式で、単元株式数は100株であります。

3,690,021,220

3,617,602,420

 

 

① 【ストックオプション制度の内容】

該当事項はありません。

 

② 【ライツプランの内容】

該当事項はありません。

 

(4) 【発行済株式総数、資本金等の推移】

年月日

発行済株式
総数増減数
(株)

発行済株式
総数残高
(株)

資本金増減額
(百万円)

資本金残高
(百万円)

資本準備金
増減額
(百万円)

資本準備金
残高
(百万円)

2018年7月31日(注1)

4,500,000,000

3,500,000

△796,285

3,500,000

2021年9月15日(注2)

△750,454,980

3,749,545,020

3,500,000

3,500,000

2023年3月17日(注3)

△59,523,800

3,690,021,220

3,500,000

3,500,000

 

(注) 1.2018年6月19日開催の定時株主総会決議により、会社法第448条第1項の規定に基づき、資本準備金の額を減少し、同額をその他資本剰余金に振り替えたものであります。

2.2021年8月30日開催の取締役会決議に基づき、保有する自己株式を消却したものであります。

3.2023年2月27日開催の取締役会決議に基づき、保有する自己株式を消却したものであります。また、同取締役会決議に基づき、同年5月31日付で自己株式を消却したことにより、発行済株式総数が72,418,800株減少し、本有価証券報告書提出日現在において3,617,602,420株となっております。

 

 

(5) 【所有者別状況】

2023年3月31日現在

区分

株式の状況(1単元の株式数100株)

単元未満
株式の状況(株)

政府及び
地方公共
団体

金融機関

金融商品
取引業者

その他の
法人

外国法人等

個人
その他

個人以外

個人

株主数(人)

113

30

8,798

588

940

640,461

650,930

所有株式数(単元)

1,096,733

138,561

23,941,050

2,531,373

30,093

9,160,602

36,898,412

180,020

所有株式数の割合(%)

2.972

0.375

64.883

6.860

0.081

24.826

100.000

 

(注) 1.自己株式20,347,703株は、「個人その他」に203,477単元、「単元未満株式の状況」に3株含まれております。

2.「金融機関」欄には、株式給付信託が所有する株式が14,369単元含まれております。

 

(6) 【大株主の状況】

2023年3月31日現在

氏名又は名称

住所

所有株式数
(株)

発行済株式
(自己株式を
除く。)の
総数に対する
所有株式数
の割合(%)

日本郵政株式会社

東京都千代田区大手町二丁目3-1

2,224,866,500

60.62

日本マスタートラスト信託銀行株式会社(信託口)

東京都港区浜松町二丁目11-3

76,659,500

2.08

JP JPMSE LUX RE UBS AG LONDON BRANCH EQ CO
(常任代理人 株式会社三菱UFJ銀行)

BAHNHOFSTRASSE 45 ZURICH SWITZERLAND
8098
(東京都千代田区丸の内二丁目7-1決済事業部)

30,418,700

0.82

STATE STREET BANK WEST CLIENT - TREATY 505234
(常任代理人 株式会社みずほ銀行決済営業部)

1776 HERITAGE DRIVE, NORTH QUINCY, MA
02171, U.S.A.
(東京都港区港南二丁目15-1品川インターシティA棟)

29,273,600

0.79

株式会社日本カストディ銀行(信託口)

東京都中央区晴海一丁目8-12

18,239,200

0.49

SSBTC CLIENT OMNIBUS ACCOUNT
(常任代理人 香港上海銀行東京支店カストディ業務部)

ONE LINCOLN STREET, BOSTON MA USA
02111
(東京都中央区日本橋三丁目11-1)

12,279,075

0.33

ゆうちょ銀行社員持株会

東京都千代田区大手町二丁目3-1

11,874,000

0.32

JP MORGAN CHASE BANK 385770
(常任代理人 株式会社みずほ銀行決済営業部)

25 BANK STREET, CANARY WHARF, LONDON,
E14 5JP, UNITED KINGDOM
(東京都港区港南二丁目15-1品川インターシティA棟)

11,719,614

0.31

STATE STREET BANK AND TRUST
COMPANY 505103
(常任代理人 株式会社みずほ銀行決済営業部)

P.O. BOX 351 BOSTON MASSACHUSETTS
02101 U.S.A.
(東京都港区港南二丁目15-1品川インターシティA棟)

10,595,079

0.28

JP MORGAN CHASE BANK 385765
(常任代理人 株式会社みずほ銀行決済営業部)

25 BANK STREET, CANARY WHARF, LONDON,
E14 5JP, UNITED KINGDOM
(東京都港区港南二丁目15-1品川インターシティA棟)

9,018,224

0.24

2,434,943,492

66.35

 

(注) 当行は、2023年2月27日開催の取締役会決議に基づき、同年5月31日付で自己株式72,418,800株を消却し、発行済株式総数は3,617,602,420株となっておりますが、「発行済株式(自己株式を除く。)の総数に対する所有株式数の割合」は、当該消却前の割合で記載しております。

 

① 【連結貸借対照表】

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

(単位:百万円)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

前連結会計年度

(2022年3月31日)

当連結会計年度

(2023年3月31日)

資産の部

 

 

 

現金預け金

66,667,709

68,223,319

 

コールローン

2,470,000

2,460,000

 

買現先勘定

9,861,753

9,788,452

 

債券貸借取引支払保証金

250,241

 

買入金銭債権

397,301

478,286

 

商品有価証券

11

19

 

金銭の信託

5,828,283

6,564,738

 

有価証券

※1,2,3,4 139,577,368

※1,2,3,4 132,801,422

 

貸出金

※3,5 4,441,967

※3,5 5,604,366

 

外国為替

※3 213,924

※3 124,943

 

その他資産

※3,4 3,250,444

※3,4 2,994,833

 

有形固定資産

※6 192,992

※6 190,543

 

 

建物

79,214

75,043

 

 

土地

64,023

63,917

 

 

建設仮勘定

4

 

 

その他の有形固定資産

49,749

51,581

 

無形固定資産

53,702

77,727

 

 

ソフトウエア

34,426

26,379

 

 

その他の無形固定資産

19,275

51,348

 

繰延税金資産

77

24,374

 

貸倒引当金

1,055

1,036

 

資産の部合計

232,954,480

229,582,232

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

(単位:百万円)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

前連結会計年度

(2022年3月31日)

当連結会計年度

(2023年3月31日)

負債の部

 

 

 

貯金

※4,7 193,438,613

※4,7 194,948,611

 

売現先勘定

※4 19,461,646

※4 18,316,621

 

債券貸借取引受入担保金

※4 1,514,438

※4 1,941,872

 

借用金

※4 5,603,600

※4 1,632,600

 

外国為替

697

1,411

 

その他負債

2,124,978

2,891,597

 

賞与引当金

7,397

7,335

 

退職給付に係る負債

134,749

134,716

 

従業員株式給付引当金

515

511

 

役員株式給付引当金

365

424

 

睡眠貯金払戻損失引当金

58,813

54,655

 

繰延税金負債

306,402

 

負債の部合計

222,652,218

219,930,358

純資産の部

 

 

 

資本金

3,500,000

3,500,000

 

資本剰余金

3,500,000

3,500,000

 

利益剰余金

2,414,349

2,481,908

 

自己株式

902

24,510

 

株主資本合計

9,413,447

9,457,398

 

その他有価証券評価差額金

1,391,873

781,196

 

繰延ヘッジ損益

538,991

626,041

 

退職給付に係る調整累計額

3,890

2,540

 

その他の包括利益累計額合計

856,772

157,695

 

非支配株主持分

32,041

36,780

 

純資産の部合計

10,302,261

9,651,874

負債及び純資産の部合計

232,954,480

229,582,232

 

【連結損益計算書】

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

(単位:百万円)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

前連結会計年度

(自 2021年4月1日

 至 2022年3月31日)

当連結会計年度

(自 2022年4月1日

 至 2023年3月31日)

経常収益

1,977,640

2,064,251

 

資金運用収益

1,369,735

1,243,685

 

 

貸出金利息

10,257

9,750

 

 

有価証券利息配当金

1,333,041

1,201,010

 

 

コールローン利息

139

256

 

 

買現先利息

4,608

2,543

 

 

債券貸借取引受入利息

886

391

 

 

預け金利息

28,640

25,906

 

 

その他の受入利息

1,378

8,914

 

役務取引等収益

157,814

175,325

 

その他業務収益

87,583

291,922

 

その他経常収益

362,507

353,317

 

 

貸倒引当金戻入益

10

 

 

償却債権取立益

21

14

 

 

その他の経常収益

※1 362,486

※1 353,292

経常費用

1,486,748

1,608,684

 

資金調達費用

226,652

458,165

 

 

貯金利息

※4 20,984

※4 12,963

 

 

売現先利息

1,657

166,687

 

 

債券貸借取引支払利息

2,597

52,179

 

 

借用金利息

1

280

 

 

その他の支払利息

201,412

226,054

 

役務取引等費用

29,343

27,516

 

その他業務費用

71,513

179,786

 

営業経費

※2 981,401

※2 924,791

 

その他経常費用

177,837

18,424

 

 

貸倒引当金繰入額

126

 

 

その他の経常費用

※3 177,710

※3 18,424

経常利益

490,891

455,566

特別利益

6,379

257

 

固定資産処分益

6,379

257

特別損失

697

1,451

 

固定資産処分損

681

575

 

減損損失

15

875

税金等調整前当期純利益

496,574

454,373

法人税、住民税及び事業税

104,430

146,058

法人税等調整額

37,917

23,359

法人税等合計

142,348

122,698

当期純利益

354,225

331,675

非支配株主に帰属する当期純利益又は非支配株主に帰属する当期純損失(△)

844

6,605

親会社株主に帰属する当期純利益

355,070

325,070

 

① 【貸借対照表】

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

(単位:百万円)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

前事業年度

(2022年3月31日)

当事業年度

(2023年3月31日)

資産の部

 

 

 

現金預け金

66,664,253

68,217,495

 

 

現金

316,506

292,405

 

 

預け金

66,347,746

67,925,090

 

コールローン

2,470,000

2,460,000

 

買現先勘定

9,861,753

9,788,452

 

債券貸借取引支払保証金

250,241

 

買入金銭債権

397,301

478,286

 

商品有価証券

11

19

 

 

商品国債

11

19

 

金銭の信託

5,828,283

6,564,738

 

有価証券

※2,4 139,549,103

※2,4 132,769,420

 

 

国債

49,259,766

38,114,711

 

 

地方債

5,580,874

5,640,868

 

 

短期社債

1,434,510

1,400,895

 

 

社債

※3 9,118,414

※3 9,233,579

 

 

株式

※1 20,533

※1 22,078

 

 

その他の証券

※1 74,135,001

※1 78,357,286

 

貸出金

※3,5 4,441,967

※3,5 5,604,366

 

 

証書貸付

4,355,357

5,520,156

 

 

当座貸越

86,609

84,210

 

外国為替

※3 213,924

※3 124,943

 

 

外国他店預け

213,924

124,943

 

その他資産

3,250,352

2,994,691

 

 

未決済為替貸

23,922

27,337

 

 

前払費用

5,013

4,297

 

 

未収収益

※3 175,194

※3 212,129

 

 

先物取引差入証拠金

155,295

171,779

 

 

金融派生商品

77,504

200,224

 

 

金融商品等差入担保金

706,710

534,711

 

 

その他の資産

※3,4 2,106,711

※3,4 1,844,213

 

有形固定資産

192,819

190,216

 

 

建物

79,117

74,843

 

 

土地

64,023

63,917

 

 

建設仮勘定

4

 

 

その他の有形固定資産

49,673

51,454

 

無形固定資産

53,367

77,118

 

 

ソフトウエア

34,171

26,185

 

 

その他の無形固定資産

19,196

50,933

 

繰延税金資産

26,245

 

貸倒引当金

1,054

1,033

 

資産の部合計

232,922,083

229,545,202

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

(単位:百万円)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

前事業年度

(2022年3月31日)

当事業年度

(2023年3月31日)

負債の部

 

 

 

貯金

※4,6 193,441,929

※4,6 194,951,503

 

 

振替貯金

10,749,849

12,710,600

 

 

通常貯金

100,213,694

105,654,084

 

 

貯蓄貯金

699,203

768,622

 

 

定期貯金

4,352,435

3,307,143

 

 

特別貯金

591,662

478,036

 

 

定額貯金

76,670,153

71,910,183

 

 

その他の貯金

164,930

122,833

 

売現先勘定

※4 19,461,646

※4 18,316,621

 

債券貸借取引受入担保金

※4 1,514,438

※4 1,941,872

 

借用金

※4 5,603,600

※4 1,632,600

 

 

借入金

5,603,600

1,632,600

 

外国為替

697

1,411

 

 

未払外国為替

697

1,411

 

その他負債

2,124,933

2,891,096

 

 

未決済為替借

39,916

44,813

 

 

未払法人税等

16,596

111,928

 

 

未払費用

122,358

177,065

 

 

前受収益

758

6,374

 

 

金融派生商品

1,163,483

1,355,888

 

 

金融商品等受入担保金

9,504

22,657

 

 

資産除去債務

39

102

 

 

その他の負債

772,276

1,172,265

 

賞与引当金

7,238

7,150

 

退職給付引当金

140,355

138,375

 

従業員株式給付引当金

515

511

 

役員株式給付引当金

365

424

 

睡眠貯金払戻損失引当金

58,813

54,655

 

繰延税金負債

303,985

 

負債の部合計

222,658,520

219,936,223

純資産の部

 

 

 

資本金

3,500,000

3,500,000

 

資本剰余金

3,500,000

3,500,000

 

 

資本準備金

3,500,000

3,500,000

 

利益剰余金

2,413,168

2,480,262

 

 

その他利益剰余金

2,413,168

2,480,262

 

 

 

繰越利益剰余金

2,413,168

2,480,262

 

自己株式

902

24,510

 

株主資本合計

9,412,266

9,455,752

 

その他有価証券評価差額金

1,390,288

779,268

 

繰延ヘッジ損益

538,991

626,041

 

評価・換算差額等合計

851,297

153,227

 

純資産の部合計

10,263,563

9,608,979

負債及び純資産の部合計

232,922,083

229,545,202

 

② 【損益計算書】

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

(単位:百万円)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

前事業年度

(自 2021年4月1日

 至 2022年3月31日)

当事業年度

(自 2022年4月1日

 至 2023年3月31日)

経常収益

1,977,080

2,053,137

 

資金運用収益

1,369,747

1,232,408

 

 

貸出金利息

10,257

9,750

 

 

有価証券利息配当金

1,333,053

1,189,734

 

 

コールローン利息

139

256

 

 

買現先利息

4,608

2,543

 

 

債券貸借取引受入利息

886

391

 

 

預け金利息

28,640

25,906

 

 

その他の受入利息

1,378

8,914

 

役務取引等収益

157,710

174,834

 

 

受入為替手数料

85,458

91,048

 

 

その他の役務収益

72,251

83,786

 

その他業務収益

87,477

290,927

 

 

外国為替売買益

78,954

199,045

 

 

国債等債券売却益

8,267

82,616

 

 

国債等債券償還益

9,087

 

 

金融派生商品収益

256

178

 

その他経常収益

362,144

354,966

 

 

貸倒引当金戻入益

13

 

 

償却債権取立益

21

14

 

 

株式等売却益

46,605

85,671

 

 

金銭の信託運用益

287,550

246,912

 

 

その他の経常収益

27,967

22,354

経常費用

1,485,620

1,604,894

 

資金調達費用

226,651

458,157

 

 

貯金利息

※2 20,984

※2 12,963

 

 

売現先利息

1,657

166,687

 

 

債券貸借取引支払利息

2,597

52,179

 

 

借用金利息

272

 

 

金利スワップ支払利息

199,557

224,231

 

 

その他の支払利息

1,855

1,823

 

役務取引等費用

30,310

28,480

 

 

支払為替手数料

3,926

2,839

 

 

その他の役務費用

26,383

25,640

 

その他業務費用

71,513

179,786

 

 

国債等債券売却損

71,513

179,786

 

営業経費

※1 979,067

※1 922,146

 

その他経常費用

178,078

16,323

 

 

貸倒引当金繰入額

125

 

 

株式等売却損

171,444

10,678

 

 

株式等償却

744

 

 

金銭の信託運用損

878

92

 

 

その他の経常費用

4,884

5,552

経常利益

491,459

448,242

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

(単位:百万円)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

前事業年度

(自 2021年4月1日

 至 2022年3月31日)

当事業年度

(自 2022年4月1日

 至 2023年3月31日)

特別利益

6,379

257

 

固定資産処分益

6,379

257

特別損失

696

1,446

 

固定資産処分損

681

570

 

減損損失

15

875

税引前当期純利益

497,141

447,054

法人税、住民税及び事業税

104,295

145,782

法人税等調整額

37,901

23,334

法人税等合計

142,196

122,447

当期純利益

354,945

324,607