株式会社ミズホメディー
(注) 1.当社は連結財務諸表を作成しておりませんので、連結会計年度に係る主要な経営指標等の推移については記載しておりません。
2.持分法を適用した場合の投資利益については、関連会社は存在しますが、損益及び利益剰余金等からみて重要性が乏しいため記載しておりません。
3.潜在株式調整後1株当たり当期純利益については、潜在株式が存在しないため記載しておりません。
4.当社は、2018年6月1日付で普通株式1株につき2株の割合で株式分割を行っております。第42期の期首に当該株式分割が行われたと仮定し、1株当たり純資産額及び1株当たり当期純利益を算定しております。
5.最高・最低株価は、2022年4月4日以降は東京証券取引所スタンダード市場、2022年4月3日以前は東京証券取引所市場第二部、2018年11月15日以前は東京証券取引所JASDAQ(スタンダード)におけるものであります。
6.※印は、株式分割(2018年6月1日、1株→2株)による権利落後の最高・最低株価であります。
7.「収益認識に関する会計基準」(企業会計基準第29号 2020年3月31日)等を第46期の期首から適用しており、第46期に係る主要な経営指標等については、当該会計基準等を適用した後の指標等となっております。
[用語集]
※1 臨床試薬とは、血液や尿など人に由来する試料を検体として、検体中のタンパクや酵素の含有濃度の測定及びウイルスなどの感染性病原体の有無の検出に用いる検査薬をいいます。
※2 Feテストとは、血清中の鉄成分を測定する検査薬であり、鉄欠乏性貧血の有無を検査します。
※3 臨床試薬は、1985年の薬事法改正で規制範囲が明確化され、体外診断用医薬品と呼ばれております。体外診断用医薬品は、製造販売業としての許可を受けた者が製造販売を行うことができ、また、販売する体外診断用医薬品についても品目ごとに承認、認証または届出を必要とします。
※4 免疫とは、外部から侵入してくる細菌やウイルスに対して体内が抵抗する働きのことで、この免疫反応が引き起こされると作られる抵抗物質が抗体です。免疫血清検査薬とは、この抗体、細菌及びウイルスの有無や量を調べる検査薬で、B型肝炎やC型肝炎の感染を診断したり、輸血の際、適合不適合の判定などに使用されます。また、インフルエンザなどのウイルスや細菌による感染を迅速診断するPOCT検査薬も免疫血清検査薬の分類になります。
※5 HBs抗原検出用キットとは、急性肝炎や肝硬変、肝臓がんへと進展する慢性肝炎を引き起こすB型肝炎ウイルス(HBV)への感染の有無を調べる検査薬です。
※6 免疫学的糞便中ヒトヘモグロビン・ヒトトランスフェリン検出用キットとは、便の中にある微量の血液を見つけるための検査薬です。免疫学的な検出法によっているため、食物の肉汁中の血液や鉄剤の影響を受けず、食事制限を要しません。また、ヒトヘモグロビンは腸内で失活しやすい成分ですが、失活の少ないヒトトランスフェリンを同時に検出することで消化管出血を見逃すことなく検出することが可能です。
※7 POCT(Point Of Care Testing)検査薬とは、「患者の身辺での検査」、病院での「ベットサイド検査」という定義がなされており、一般的には、開業医、専門医の診察室、病棟及び外来患者向け診療所などの患者に近い医療現場で使用されます。なお、POCT検査薬には専用の装置を用いるものもあります。
※8 一般消費者向けに一般用医薬品を販売している店舗を大別すると、薬剤師がいて、処方箋により調剤ができる調剤室を設置し、医療用医薬品の販売もできる「薬局」と、薬剤師または登録販売者がいて、一般用医薬品の販売のみ行っている「薬店」(店舗販売業ともいいます)に分けられます。
※9 妊娠検査薬とは、妊娠の有無を判定する目的で尿中内のhCG(ホルモン)を検出する検査薬です。
※10 イムノクロマト法とは、被検体が標識された抗体を溶解しながら「セルロース膜」上をゆっくりと流れる性質(毛細管現象)を応用した免疫測定法です。「検体中の抗原」は、検体滴下部にあらかじめ準備された金属コロイド等で「標識された抗体」(標識抗体)と「免疫複合体」を形成しながら「セルロース膜」上を移動し、「セルロース膜」上にあらかじめ用意された「固相抗体」に免疫複合体がトラップされ呈色し、それを目視により判定します。妊娠の診断やインフルエンザなどの感染症診断等で応用されています。
<原理>

※11 HCV抗体検出用キットとは、肝炎ウイルスの一つであるC型肝炎ウイルス(HCV)の検査薬です。HCVの感染初期は、自覚症状がなく肝機能も正常であることがほとんどですが、血液中にHCV抗体が作られます。このHCV抗体を測定することにより、C型肝炎への感染の有無を調べることができます。
※12 OTCとは、英語の「Over The Counter:オーバー・ザ・カウンター」の略で、カウンター越しに医薬品を販売するかたちに由来しています。病院などで主に医師が処方する医薬品を医療用医薬品というのに対し、薬局・薬店、ドラッグストアなどで販売される医薬品をOTC医薬品といい、法律上では一般用医薬品と表現されています。
※13 インフルエンザ抗原検出用キットとは、鼻やのど等の分泌液中のインフルエンザウイルスを検出する検査薬です。患者の鼻やのどの粘液を綿棒で採取した検体を用いて検査します。診療の場で検査ができ、10分程度で検査結果が分かるため、検査結果が陽性であった場合は、直ちに抗インフルエンザ薬が処方されます。
※14 ISO13485は、医療機器の品質保証のための国際標準規格です。
『Medical devices-Quality management systems-Requirements for regulatory purposes』(医療機器-品質マネジメントシステム-規制目的のための要求事項)と題されています。ISO13485は、ISO9001:2000(品質マネジメントシステムの国際規格)の一部の要求事項を省略し、医療機器に関する固有の要求事項を付加したものです。
※15 ノロウイルス抗原検出用キットとは、主に冬季を中心に発生し、感染性胃腸炎などを引き起こすノロウイルス抗原を検出する検査薬です。患者の糞便や直腸から採取した検体を用いて検査します。診療の場で検査ができ、10分程度で結果が分かります。発症早期にノロウイルス抗原を検出して適切な治療や感染防止対策をとることにより、二次感染や集団感染を引き起こすリスクを軽減することができます。
※16 ロタウイルス及びアデノウイルス抗原検出用キットとは、3歳以下の乳幼児の感染性胃腸炎の原因となるロタウイルス抗原及びアデノウイルス抗原を検出する検査薬です。診療の場で検査ができ、5分程度で結果が分かります。発症早期にロタウイルス抗原及びアデノウイルス抗原を検出して適切な治療や感染防止対策をとることにより、二次感染や集団感染を引き起こすリスクを軽減することができます。
※17 RSウイルス及びアデノウイルス抗原検出用キットとは、主に小児の呼吸器感染症の原因となるRSウイルス抗原及びアデノウイルス抗原を検出する検査薬です。患者の鼻やのどの粘液を綿棒で採取した検体を用いて、RSウイルス抗原及びアデノウイルス抗原を同時に検査することができます。診療の場で検査でき、15分程度で検査結果が分かるため、院内での水平感染の防止や適切な治療を行うことができます。
※18 排卵日(予測)検査薬とは、尿中の黄体化ホルモン(LH)を測定する検査薬です。排卵直前に尿中の黄体化ホルモンを測定することにより、排卵日がある程度予測できます。
※19 肺炎球菌尿中抗原検出用キットとは、肺炎を起こす病原体として最も多い肺炎球菌感染時に、尿中に排泄される肺炎球菌抗原を検出する検査薬です。肺炎の治療においては、有効な治療薬を選択するために、原因菌の鑑別が最も重要となります。市中肺炎診療ガイドラインでは、迅速な抗原検査が推奨されており、肺炎球菌の診断においては、尿中抗原を検出対象としたイムノクロマト法による迅速検査が有用とされています。診療の場で検査ができ、付属のスポイトで尿を滴下するだけの簡便な1ステップ操作により、反応時間10分で結果が分かります。迅速・簡易・高感度で特異性が高い検査薬として、有症者の治療方針の決定及びハイリスク患者の感染管理に用いることができます。
※20 ヒトメタニューモウイルス抗原検出用キットとは、小児を中心とした急性呼吸器感染症の原因となるヒトメタニューモウイルス抗原を検出する検査薬です。小児呼吸器感染症の5~10%はこのウイルスによるものとされており、一度の感染では十分な免疫が獲得できず、再感染を繰り返し、軽症化すると考えられています。免疫力の弱い乳幼児や高齢者、免疫不全状態の白血病や臓器移植患者などでは重症の下気道感染症をきたすことが報告されています。当検査キットは、診療の場で検査でき、10分で検査結果が分かります。迅速・簡易・高感度で特異性が高い検査薬として、有症者の検査及びハイリスク患者の感染管理に用いることができます。
※21 RSウイルス及びヒトメタニューモウイルス抗原同時検出用キットとは、主に小児の呼吸器感染症の原因となるRSウイルス抗原及びヒトメタニューモウイルス抗原を同時に検出する検査薬です。RSウイルスは2歳までの幼児期にほとんどが罹患し、生後数週間から数ヶ月の期間に最も重篤な症状を引き起こします。また、乳幼児だけでなく、高齢者や心臓や肺に疾患のある患者、免疫力が低下している人でも重症化し入院・死亡する例が報告されています。当検査キットは、診療の場で検査でき、10分で検査結果が分かります。迅速・簡易・高感度で特異性が高い検査薬として、有症者の検査及びハイリスク患者の感染管理に用いることができます。
※22 マイコプラズマ抗原検出用キットとは、マイコプラズマ肺炎の原因となるマイコプラズマ・ニューモニエ抗原を検出する検査薬です。患者ののどの粘液を綿棒で採取した検体を用いて検査します。診療の場で検査ができ、10~15分程度で結果が分かります。発症早期にマイコプラズマ・ニューモニエ抗原を検出することで、感染患者への適切な投薬等ができ、感染患者の家族間など濃厚な接触による感染拡大や集団感染を防止することができます。
※23 滲出液(しんしゅつえき)とは、細菌やウイルスの感染によって炎症を起こした際に、毛細血管の拡張により血管外の病巣に出てくる血液成分や組織液のことをいいます。
※24 尿中の肺炎球菌抗原及びレジオネラ抗原同時検出用キットとは、肺炎を起こす病原体として最も多い肺炎球菌感染時に尿中に排泄される肺炎球菌抗原及び、温泉や循環式浴槽などから環境感染菌として感染し劇症型の肺炎をきたすレジオネラ感染時に尿中に排泄されるレジオネラ抗原を、同時に検出する検査薬です。診療の場で検査ができ、付属のスポイトで患者の尿を滴下するだけの簡便な1ステップ操作により、10分程度で肺炎球菌及びレジオネラ抗原を同時に検出することができます。これにより、感染患者に対する迅速な治療方針の決定や適切な投薬を行うことができます。
※25 マイコプラズマ核酸キットとは、マイコプラズマ肺炎の原因となるマイコプラズマ・ニューモニエを形成している遺伝子を検出する検査薬です。マイコプラズマ抗原検出用キットと同様、患者ののどの粘液を綿棒で採取した検体を用いて検査しますが、下部の呼吸器疾患であり感染部位は肺臓器であるため、のどなどにはわずかな量しか存在していません。当検査キットはマイコプラズマ・ニューモニエの遺伝子を数百万倍に増幅して検出しますので、マイコプラズマ・ニューモニエがわずかしか存在していない状態や初期の感染においても捕えることができます。診療の場で検査ができ、検体をカートリッジに滴下するだけの1ステップ操作で、専用の遺伝子POCT検査装置「全自動遺伝子解析装置 Smart Gene」を用いて測定を行い、30~50分程度で結果が分かります。マイコプラズマ抗原検査と比べて、さらに早期また確実にマイコプラズマの感染を診断することにより、患者への適切な投薬による治療が可能となります。
※26 ヘリコバクター・ピロリ抗原検出用キットとは、胃・十二指腸潰瘍のみならず胃がんの原因となるヘリコバクター・ピロリ菌を検出する検査薬です。患者の糞便検体を用いて検査します。ピロリ菌の検査には、胃の内視鏡検査時に採取する胃の粘膜を検体として実施する培養法や染色法などの生検検査がありますが、被検者に負担がかかる検査です。また、非侵襲的な検査として尿中のピロリ菌に対する抗体の有無を調べる抗体検査もありますが、より確実な診断としては、検査薬の薬(尿素13c)を服用しその前後の呼気を集めて診断する尿素呼気検査と糞便中のピロリ菌抗原の有無を調べる抗原検査が実施されています。当検査キットは、便を懸濁した検体を滴下するだけの簡便な操作で、診療の場で検査ができ10分程度で結果が分かります。有症状者の検査及び人間ドックや検診、さらに非侵襲的なピロリ菌の検査として近年普及している学童検診などにおいて用いることができます。
※27 クロストリジウム(クロストリディオイデス)・ディフィシル抗原検出用キットとは、抗菌薬関連下痢症や偽膜性大腸炎発症の原因となるクロストリジウム・ディフィシル抗原及びクロストリジウム・ディフィシル菌が産生する毒素であるトキシンを同時に検出する検査薬です。下痢症を起こした患者の下痢便検体を用いて検査します。クロストリジウム・ディフィシル菌は、健常者の腸内にも常在する細菌ですが、抗菌薬治療により正常腸内細菌叢が乱されると異常な増殖を起こすと共にトキシン毒素を産生し、下痢症や大腸内の炎症を発生させます。また、クロストリジウム・ディフィシル菌は、病院内環境中に残存しやすく、入院患者へ感染することによる院内感染のアウトブレイクを発生させることから、早期検出が重要とされています。当検査キットは、診療の場でクロストリジウム・ディフィシルとトキシンが同時に検査でき、検体を滴下するだけの簡易な1ステップ操作により、15分程度で結果が分かります。迅速・簡易・高感度で特異性の高い検査が可能となり、より適切なクロストリジウム・ディフィシル菌による院内感染対策に用いることができます。
※28 新型コロナウイルス感染症遺伝子POCT検査キットとは、新型コロナウイルスに感染した患者の鼻咽頭の分泌液中や唾液中に存在する新型コロナウイルスを形成している遺伝子を検出する検査薬です。患者の鼻の粘膜を綿棒で採取した検体や唾液を検体として検査します。当検査キットは、遺伝子の抽出・増幅・検出の全ての工程を1つのカートリッジ内で行い、検体をカートリッジに滴下するだけの1ステップ操作で、専用の遺伝子POCT検査装置「全自動遺伝子解析装置 Smart Gene」を用いて測定を行い、1時間程度で新型コロナウイルスを高感度に検出することができます。基幹病院のみならず、開業医・診療所などより患者に近い診療現場において、より早期また確実に新型コロナウイルス感染症の遺伝子検査を、検査当日中に実施することができます。
※29 高感度新型コロナウイルス抗原検出用キットとは、高感度検出技術である銀増幅イムノクロマト法を測定原理とし、新型コロナウイルス抗原を高感度に検出することができる検査薬です。鼻咽頭ぬぐい検体又は鼻腔ぬぐい検体を抽出液にて調整し、テストカートリッジに滴下した後、専用機器にセットするだけで15分後に結果がプリントアウトされるため、簡便な操作性に加え、迅速かつ客観的な判定結果が得られます。
※30 新型コロナウイルス抗原及びインフルエンザウイルス抗原同時検出用キットとは、1つのテストプレートにおいて新型コロナウイルス抗原とインフルエンザウイルス抗原を同時に検出するイムノクロマト法を原理とした迅速検査キットです。鼻咽頭ぬぐい液又は鼻腔ぬぐい液を採取し、抽出液中に懸濁した試料をテストプレートに滴下するだけの簡便な測定操作を行ったのち、10分以内で検体中に含まれる両ウイルス抗原の有無を判定することができます。これらの測定操作を1回行うことで両感染症の検査が行えることから、医療従事者の飛沫感染のリスクや検査作業の負担を軽減することができます。医療現場の状況に応じて、専用の機器(「スマート QC リーダー」)を用いて客観的かつ精度の高い結果が得られるものや、目視判定のみで使用し、インフルエンザウイルスのA型、B型の判別ができるものがあります。
※31 インフルエンザ核酸キットとは、鼻咽頭ぬぐい液又は鼻腔ぬぐい液に含まれるインフルエンザウイルス遺伝子の抽出・増幅・検出の工程を1つのカートリッジ内で行い、専用の遺伝子POCT検査装置「全自動遺伝子解析装置 Smart Gene」により1時間程度でA型インフルエンザウイルス及びB型インフルエンザウイルスを各々同時に検出することができます。インフルエンザウイルス感染の確定診断並びに医療従事者や入院患者などによる院内感染の感染防御として用いることができます。
※32 クロストリジウム・ディフィシル核酸キットは、院内感染においてアウトブレイクを起こす抗菌薬関連下痢症や偽膜性大腸炎発症の原因となる、クロストリディオイデス(クロストリジウム)・ディフィシル菌が産生する毒素トキシンBの遺伝子を検出する遺伝子POCT検査薬であり、遺伝子の抽出・増幅・検出の全ての工程を1つのカートリッジ内で行い、専用の遺伝子POCT検査装置「全自動遺伝子解析装置 Smart Gene」により1時間程度で結果を得ることができます。
※33 新型コロナウイルス抗原検出用キットとは、イムノクロマト法を原理とし、鼻咽頭ぬぐい液又は鼻腔ぬぐい液を採取し、抽出液中に縣濁した試料をテストプレートに滴下するだけの簡便な操作を行ったのち、10分以内で検体中に含まれる新型コロナウイルス抗原の有無を判定することができます。
※34 ヘリコバクター・ピロリ核酸キットとは、胃粘膜に感染したヘリコバクター・ピロリ菌の遺伝子を検出する検査薬です。ヘリコバクター・ピロリ菌は、いったん感染すると生涯にわたり胃の中に感染した状態が続き、慢性胃炎や十二指腸潰瘍の原因となるだけではなく、胃がんの原因の多くもピロリ菌感染といわれています。ヘリコバクター・ピロリ菌感染と診断された場合、抗菌薬による除菌治療を行うことで、胃粘膜の炎症や萎縮の改善とともに、胃がんの発症リスクを低減させることができます。また、本キットは、内視鏡検査時に得られる胃内視鏡廃液(胃液を含む)を検体として、追加的な侵襲なしに感染診断のためのヘリコバクター・ピロリ核酸のみならず、クラリスロマイシン耐性に関与する遺伝子変異も同時に検出できます。遺伝子の抽出,増幅,検出を1つのカートリッジ内で行い、専用の遺伝子POCT検査装置「全自動遺伝子解析装置 Smart Gene」により簡易迅速かつ高感度に検査が実施でき、院内で内視鏡検査の当日にピロリ菌の感染診断に加え適切な抗菌薬の選択が可能となり、検査時間の短縮や患者の負担軽減、さらには抗菌薬の適正使用も可能となります。
※35 高感度新型コロナウイルス抗原及びインフルエンザウイルス抗原同時検出用キットとは、高感度検出技術である銀増幅イムノクロマト法を測定原理としており、1つのテストプレートにおいて新型コロナウイルス抗原とインフルエンザウイルス抗原を同時に検出することができます。鼻咽頭ぬぐい液又は鼻腔ぬぐい液を採取し、抽出液中に懸濁した試料をテストプレートに滴下した後、専用機器(「クイックチェイサー Immuno ReaderⅡ」等)にセットするだけで15分後に結果が自動でプリントアウトされるため、簡易な操作に加え、迅速かつ客観的な判定結果を得ることができます。また、患者の鼻咽頭などからの検体採取・試料の調整・滴下などの測定操作を1回行うことで両感染症の検査ができるため、医療従事者の飛沫感染のリスクや検査作業の負担を軽減することができます。
(1) 事業の特徴
当社は、主に体外診断用医薬品に関して、特許権利取得を視野に独自の研究開発及び産学官共同研究を実施するとともに、ISO13485品質マネジメントを骨格とした企画開発、製造、販売組織による自社一貫体制を構築し、各組織において有能で経験豊富なスタッフを配備のうえ事業活動を行っております。また、これらのプロセスを一連の業務執行会議のもと遂行することで、医療現場のニーズに対して優れた品質の製品を提供するとともに、万全のアフターフォローでお客様への安定供給を行っております。なお、当社は、体外診断用医薬品事業の単一セグメントであるため、セグメント別の記載は省略しておりますが、市場分野の区分は「病院・開業医分野」、「OTC・その他分野」としております。
病院・開業医分野では、国内外の医療機関向けに患者の健康状態、疾患の有無、治療の経過等を診断するための生化学検査薬※1、免疫血清検査薬※2を製造販売しており、2018年10月からは新たに微生物を対象とした遺伝子検査薬及び専用装置の製造販売を開始しております。
OTC・その他分野では、主に一般消費者の自己検査として厚生労働省の承認を得ている一般用医薬品※3を薬局・薬店へ販売しております。その他には、農作物の苗木などのウイルス病を見つけるため、免疫血清検査薬の技術を応用した果樹ウイルス検査薬を農業試験場等へ販売しております。
(2) 主な製品
① 病院・開業医分野
医療機関において使用されている体外診断用医薬品は、初診時、入院時のスクリーニング検査、疾患の確定診断、モニタリング、健康診断、院内感染防御などに用いられており、大学や大病院の検査室、検査センターにおいて大量の検体が検査されております。体外診断用医薬品は、診断分野の面から生化学検査薬、免疫血清検査薬、尿糞便検査薬、微生物検査薬、血液検査薬や病理検査薬などその他の検査薬に分類されます。
当社の主力製品は、設立時は生化学検査薬でしたが、現在は診断分野の中でも最も市場規模が大きい免疫血清検査薬となっております。免疫血清検査薬のなかでも、インフルエンザウイルスやアデノウイルス※4などの感染症の検査薬は、中小病院や開業医を中心として市場が形成すると共にシェアが拡大し、さらに新型コロナウイルスの発生によりさらに増大しており、迅速で簡易な検査技術であるイムノクロマト法を用いた多くの製品を販売しております。これに加え、微生物検査の分野において確定診断となる遺伝子検査を当社独自の検出技術により1ステップで測定可能とした遺伝子POCT検査システム機器・試薬を開発し、2018年10月よりマイコプラズマ・ニューモニエ遺伝子を簡易・迅速に検出するキットの販売を開始し、2020年8月には新たに流行し始めた新型コロナウイルス遺伝子を1時間程度で検出可能なキットの販売を開始いたしました。
イ.免疫血清検査薬POCT
当社は、それまで妊娠検査薬など尿中ホルモンの分野でしか用いられていなかったイムノクロマト法を、国内で初めて感染症の検査薬に応用し、血中ウイルス検査薬としてB型肝炎検出用キット「クイックチェイサー HBsAg」を製品化いたしました。本製品は、免疫検査機器を必要とせず簡易迅速に判定が行えることから、免疫検査機器を所有していない中小医療機関に普及いたしました。
その後も、感染症分野での開発に継続して取り組んでおり、血中ウイルス検査薬として、C型肝炎や梅毒の検査薬の製品化を実現するとともに、呼吸器感染症検査薬として、鼻咽頭分泌液を検査対象としたインフルエンザウイルス抗原検出用キット「クイックチェイサー Flu A,B」、アデノウイルス抗原検出用キット「クイックチェイサー Adeno」、RSウイルス抗原検出用キット「クイックチェイサー RSV」、A群β溶血連鎖球菌検出用キット「クイックチェイサー Strep A※5」、「クイックチェイサー Dip Strep A」、尿中の肺炎球菌莢膜抗原検出用キット「クイックチェイサー 肺炎球菌」、RSウイルス及びhMPV抗原同時検出用キット「クイックチェイサー RSV/hMPV」、マイコプラズマ抗原検出用キット「クイックチェイサー Myco」、肺炎疑い患者の排泄尿を検査対象とした肺炎球菌莢膜抗原及びレジオネラニューモフィラ血清型1LPS抗原検出用キット「クイックチェイサー 肺炎球菌/レジオネラ」、新型コロナウイルス抗原検出用キット「クイックチェイサーSARS-CoV-2」、新型コロナウイルス抗原及びインフルエンザウイルス抗原検出用キット「クイックチェイサー SARS-CoV-2/Flu(Flu A,B)」、また、消化器感染症検査薬として、ヘリコバクター・ピロリ抗原検出用キット「クイックチェイサー H.ピロリ」、クロストリジウム(クロストリディオイデス)ディフィシル抗原検出用キット「クイックチェイサー CD GDH/TOX」の検査薬の製品化を実現いたしました。
2021年4月、これら迅速診断キットについて、小型で持ち運びのできる機器の使用により機能の強化を図った、デンシトメトリー分析装置「スマート QC リーダー」を発売し、本装置の適応キットを順次リニューアルいたしました。検査結果を自動で判定し、その結果をモニター表示及びプリントアウトするため、測定環境や判定者に依存しない客観的かつ安定した精度の高い判定結果を得られ、また、効率的かつ正確な診断結果の提供が可能となります。
このほか、富士フイルム株式会社との共同開発により、競合するPOCT検査薬企業に先駆けて、銀増幅イムノクロマト法を用いた機器試薬システム※6の製品化を実現いたしました。当該機器試薬システムは、感染症診断では最も重要な性能である高感度を実現しているため、感染初期においても判定が可能であり、また、自動検出と判定結果のプリントアウト機能を備えているため、迅速かつ客観的な判定が可能なものとなっております。機器試薬システムのうち、機器は「クイックチェイサー Immuno Reader」及び「クイックチェイサーImmuno ReaderⅡ」を、試薬はインフルエンザウイルス、アデノウイルス、A群β溶血連鎖球菌、RSウイルス及びマイコプラズマ抗原を対象とするクイックチェイサーAutoシリーズを販売しております。そして、高感度新型コロナウイルス抗原検出用キットとしても、2021年3月、新型コロナウイルス抗原検出用キット「クイックチェイサー Auto SARS-CoV-2」、2023年1月、新型コロナウイルス及びインフルエンザウイルス抗原検出用キット「クイックチェイサー Auto SARS-CoV-2/Flu」を販売開始し、さらに品揃えが充実いたしました。
なお、本システムに用いる機器は富士フイルム株式会社から当社へ供給され、試薬は当社から富士フイルム株式会社へ供給されており、機器試薬システムとしてそれぞれのブランドで販売されております。
ロ.生化学検査薬、尿糞便検査薬
生化学検査薬は、入院時のスクリーニングや内臓疾患を特定するために血液中の酵素や脂質を測定する際に用いられています。
当社は、オートLシリーズ製品として、CRE、BUN、UAなどの腎機能検査薬※1、T-CHO、TG、HDL、LDLなどの脂質代謝機能検査薬※1を販売しております。
尿糞便検査薬は、一般検査では尿中のタンパクや糖、大腸がん検診では便中のヘモグロビン(下部消化管出血マーカー)を検出する検査などに用いられています。
当社は、消化器内科向けに、便中のヘモグロビンとトランスフェリン(上部消化管出血マーカー)を同時に検出する当社独自の迅速検査薬「クイックチェイサー 便潜血」を販売しております。また、産婦人科向けに、尿中hCGを迅速に測定する妊娠検査薬「HCGクイックチェッカー・S」や、当社の特許技術により妊娠しやすい排卵時期を予測する排卵日検査薬「LHクイックチェッカー・S」を販売しております。
ハ.微生物遺伝子検査薬
微生物遺伝子検査薬は、感染症における適切な抗菌薬の選択を目的として原因微生物の検出や薬剤耐性の鑑別に用いられています。
これまでの微生物検査では、採取した検体を数日間分離培養し原因微生物を同定する検査、また、薬剤耐性の鑑別には培養後のコロニーを用いて各種薬剤が実際に抗菌作用を示すかを検査する感受性試験が主流でした。しかし、これら増菌培養を要する方法は、菌が増殖するまでに数日の期間を要することや、培養や菌の同定には技術や知識・経験を要することから、微生物検査専門の設備や技師による検査が必要でした。
感染症に対する治療は、早期に適切な抗菌薬を投与する必要があることからも、より迅速かつ確実に診療の場で原因微生物を捕えることができるPOCT遺伝子検査が注目されております。さらに、近年の技術革新により抗菌薬に対する耐性変異を検出することが可能となることから、抗菌薬の選定に貢献することも期待されています。
このようななか、当社は、かねてより研究開発に取り組んでおりました遺伝子POCT検査の国内製造販売承認を2018年2月に取得し、同年10月に遺伝子解析装置「全自動遺伝子解析装置 Smart Gene」及びマイコプラズマ核酸キット「スマートジーン Myco」の発売を開始いたしました。2020年8月には、感染拡大が続いていた新型コロナウイルス感染症の検査体制の拡充に寄与し感染拡大防止に貢献すべく、早期開発に取り組み、公的医療保険適用の研究用試薬として、新型コロナウイルス遺伝子POCT検査用キット「スマートジーン 新型コロナウイルス検出試薬」の発売を開始いたしました。2021年4月、体外診断用医薬品として許認可を取得した「スマートジーン SARS-CoV-2」の販売へ切り替えております。このほか、スマートジーンシリーズの新たな検査項目として、2022年1月、インフルエンザウイルス核酸キット「スマートジーン Flu A,B」、同年2月、クロストリジウム・ディフィシル核酸キット「スマートジーン CD トキシンB」の発売を開始いたしました。また、2021年12月に体外診断用医薬品として製造販売承認を取得したヘリコバクター・ピロリ核酸キット「スマートジーン H.pylori G」を、2022年11月に国内で初めて「ヘリコバクター・ピロリ核酸及びクラリスロマイシン耐性遺伝子検出」として、ヘリコバクター・ピロリ菌の遺伝子検査と共にクラリスロマイシン耐性遺伝子を検出する検査を保険収載のうえ、同年12月に発売開始いたしました。
本装置及びこれらのキットは、当社独自の遺伝子抽出技術とPCR増幅産物をリアルタイムに検出する技術を原理とし、小型の装置を用いて、遺伝子の抽出・増幅・検出の全ての工程を1つのカートリッジ内で1ステップかつ短時間(判定時間:30~60分)で行うことを可能とした、遺伝子POCT検査システムです。基幹病院のみならず開業医・診療所など患者に近い診療現場において、簡易迅速かつ高感度に実施することができるため、早期の確定診断が可能となり、投薬や治療方針の決定、院内感染の予防等に大いに貢献するものと期待しております。これらのキットに加え、本装置を用いる各種感染症検査キットの開発に取り組み、スマートジーンシリーズとして検査項目のさらなる充実を図ってまいります。
② OTC・その他分野
一般用医薬品として薬局・薬店で販売されているOTC検査薬は、ドラッグストアでの販売が始まった2003年頃から市場規模が拡大し、特に妊娠検査薬は妊娠の早期判定の補助として広く普及しております。当社は、OTC検査薬として最も市場が拡大した妊娠検査薬を、厚生労働省の製造販売に関する許認可制度が開始された1992年から販売しております。その後は、妊娠しやすい時期がわかる排卵日検査薬とともに、全国の薬局・薬店、ドラッグストア等に販売しており、昨今の少子化対策に貢献しております。
イ.一般用医薬品
当社は、1992年に一般用医薬品としての販売が解禁されると同時に妊娠検査薬の製造を開始し、製薬メーカーを通じて全国の薬局・薬店への販売を開始しました。その後、1997年に、当社から直接全国の薬局・薬店への販売を開始し、現在では、妊娠検査薬「P-チェック・S」を自社ブランド製品として販売するとともに、チェーン展開を行うドラッグストアのプライベートブランド製品としても「S-チェッカー※7」や「プレセルフ※8」などの製品名で販売しております。
排卵日検査薬については、政府による規制緩和方針に基づき、2016年に一般用検査薬としての承認申請及び審査体制が構築され、当社は、同年に製造販売承認を取得いたしました。現在では、OTC市場において販売提携を行ったアリナミン製薬株式会社(旧社名 武田コンシューマーヘルスケア株式会社)を通じて、排卵日予測検査薬「ハイテスター※9H」及び妊娠検査薬「ハイテスターN」を「ハイテスター」シリーズとして販売しております。また、チェーン展開を行うドラッグストアのプライベートブランド製品としては、排卵日予測検査薬「P-チェック・LH クリアリー※7」を販売しております。
ロ.薬局における排卵日検査薬
薬局でのみ取り扱うことができる排卵日検査薬「P-チェック・LH」につきましても、引き続き販売を継続しております。
当社の病院・開業医分野における主な製品は、以下のとおりであります。
当社のOTC・その他分野における主な製品は、以下のとおりであります。
(3) 当社の販売形態
当社は体外診断用医薬品の原材料を国内外から仕入れ、当社で製造を行い、国内外の医薬品卸、代理店を通じて販売しております。当社の事業を事業系統図として示すと下記のとおりであります。
[事業系統図]

[用語集]
※1 生化学検査薬とは、血液の中でも血清といわれる液体部分を生化学的に分析する検査薬のことです。この検査により、特に内臓の異常をチェックすることができます。
例として、下記に腎機能と脂質代謝機能の検査項目を説明します。
腎機能検査:
・ CRE(クレアチニン)とは、筋肉運動のエネルギー源となるアミノ酸の一種クレアチンが代謝されてできた物質で、老廃物のひとつです。通常、クレアチニンは、腎臓が正常に働いていれば濾過され尿中に排泄されますが、腎機能に障害があると血液中のクレアチニンが増加します。クレアチニンを測定することで腎機能低下の程度を把握できます。
・ BUN(尿素窒素)とは、血清成分からタンパク質を取り除いた残りである残余窒素の30~40%を占める成分です。尿素窒素は、通常、腎臓で濾過されて尿中に排出されますが、急性や慢性の腎不全などで腎臓の働きが低下すると濾過しきれない分が血液中に残ってしまい、尿素窒素の値が高くなります。
・ UA(尿酸)とは、代謝(体内の細胞が死んだり新しく生まれる活動)の結果、燃えかすとして尿に排泄される物質です。腎機能に障害が起こって尿酸が正しく排泄されなかったり、何らかの原因で尿酸が作られすぎたりすると、血液中で増加した尿酸が異常を引き起こします。その代表が痛風であり、主に痛風の診断をするため、血液中の尿酸値を測定します。
脂質代謝機能検査:
・ T-CHO(総コレステロール)とは、細胞膜の材料となり血管の強化や維持に重要な役割を果たしている脂質の一種です。この総コレステロールの血液中の濃度を測定することにより、動脈硬化や心臓病などの循環器障害の診断を行うことができます。コレステロールは体内では、脂肪酸と結合したエステル型と別々に分かれた遊離型があり、これら二つを合わせて総コレステロールといいます。
・ TG(中性脂肪)とは、糖質、炭水化物、動物性脂肪などを主な成分として肝臓で作られます。これらの成分を必要以上に摂取すると、中性脂肪は皮下脂肪に蓄積されます。人間が活動するとき、第一のエネルギー源となるのはブドウ糖ですが、ブドウ糖が不足してくると、貯蔵されていた脂肪が分解され、血液中に放出されることでエネルギーとして使われます。しかし、血液中の中性脂肪が増えすぎると動脈硬化の危険が高まります。
・ HDL(善玉コレステロール)とは、高比重リポタンパクともいい、コレステロールがタンパク質と結びついたもので、血管内壁に結合して動脈硬化を引き起こすコレステロールを引き抜いて肝臓まで運ぶ働きをしています。このことから「善玉コレステロール」と呼ばれています。総コレステロールの値に関係なく善玉コレステロールの値が低いと、動脈硬化が進んで狭心症や心筋梗塞を引き起こしやすいことがわかっています。
・ LDL(悪玉コレステロール)とは、肝臓で作られたコレステロールを各臓器に運ぶ働きをしている低比重リポタンパクをいいます。血液中の悪玉コレステロールの値が高いと、細胞内に取り込まれなかった余剰なコレステロールを血液中に放置し動脈硬化を引き起こす原因となります。
※2 免疫とは、外部から侵入してくる細菌やウイルスに対して体内が抵抗する働きのことで、この免疫反応が引き起こされると作られる抵抗物質が抗体です。免疫血清検査薬は、この抗体及び細菌、ウイルスの有無や量を調べる検査薬で、B型肝炎やC型肝炎の感染の診断や、輸血の際の適合不適合判断などに使用されます。
※3 一般用医薬品とは、「一般の人が、薬剤師などから提供された適切な情報に基づき、自らの判断で購入し、自らの責任で使用する医薬品であって、軽度な疾病に伴う症状の改善、生活習慣病などの疾病に伴う症状発現の予防、生活の質の改善・向上、健康状態の自己検査、健康の維持・増進、その他保健衛生を目的とするもの」と定義されています。十分な説明や情報を示した上で、消費者が自ら簡単な治療を行うというセルフメディケーションが推進されており、厚生労働省が認可を与えた医薬品のみ薬局やドラッグストアにおいて販売されています。
※4 アデノウイルスとは、扁桃腺やリンパ節で増殖するウイルスです。アデノウイルスに感染すると、軽い風邪程度から重症の扁桃腺炎や肺炎を発症します。
※5 Strep A(A群β溶血連鎖球菌)とは、のどや皮膚にみられる細菌です。一般に、咽頭炎や扁桃炎を発症し、気管支炎を起こすことも多い細菌です。
※6 装置を用いて検査を行う試薬は、複数の機器メーカーが販売する汎用の装置に適用する検査薬と、専用の機器でのみ使用可能な検査薬に分類されます。機器試薬システムは後者をいい、1つのメーカーが装置と検査薬をセットで販売し、かつ、同じ装置に適用できる各種測定項目の検査薬を供給する販売形態です。
※7 「S-チェッカー」及び「P-チェック・LH クリアリー」は、ドラッグストアや薬局など営む法人または個人を加盟社として構成したチェーン組織である日本ドラッグチェーン会(株式会社ニッド)のプライベートブランド商品の名称です。
※8 「プレセルフ」は、株式会社マツモトキヨシのプライベートブランド商品の名称です。
※9 「ハイテスター」は、武田薬品工業株式会社の登録商標です。
(注)有価証券届出書又は有価証券報告書を提出している会社はありません。
2022年12月31日現在
(注) 1.従業員数は就業人員(契約社員を含む。)であり、臨時雇用者数(パートタイマー)は、年間の平均人員を( )外数で記載しております。
2.平均年間給与は、賞与及び基準外賃金を含んでおります。
3.当社は、体外診断用医薬品事業の単一セグメントであるため、セグメント別の記載を省略しております。
労働組合は結成されておりませんが、労使関係は円滑に推移しております。
文中の将来に関する事項は、当事業年度末現在において、当社が判断したものであります。
(1) 会社の経営の基本方針
当社は「もっと人のために」を経営理念としております。体外診断用医薬品分野において、この理念を実現すべく、医療検査の要請に応じて技術革新にあくなき探求を続け、お客様に満足いただける品質の高い製品を供給するという運営基本方針を定めております。
この方針に従い、ISO13485品質マネジメントに基づいた、企画開発から製造、販売までを自社一貫体制で行う強みを生かし、独自の研究開発を基本とした品質の高い製品を提供し続けることで、企業価値の向上に努め、ステークホルダーの期待に応えてまいります。
(2) 目標とする経営指標
当社は、中長期的な事業拡大と収益性を重視しており、売上高増加率及び売上高経常利益率を重要な経営指標として経営を行っております。
(3) 中長期的な会社の経営戦略
当社は、企画開発、製造、販売の自社一貫体制のもと、体外診断用医薬品における革新的技術を構築することにより、病院・開業医分野及びOTC・その他分野において、以下の事項を成長戦略として位置づけ、実践してまいります。
① 病院・開業医分野
・遺伝子POCT機器・試薬の製品開発を推進するとともに売上拡大を図り、簡易迅速な確定診断製品として新たな市場創出に取り組みます。
・感染症POCT免疫検査薬の製品群を拡大することにより、ウイルス・細菌分野における市場開拓に取り組みます。
② OTC・その他分野
・スイッチOTC製品の先発品の上市準備に取り組むとともに、OTC医薬品の大手企業であるアリナミン製薬株式会社(旧社名 武田コンシューマーヘルスケア株式会社)との販売提携のもとOTC市場でのシェアの拡大を図ります。
(4) 経営環境及び優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題
体外診断用医薬品業界におきましては、近年の様々な感染症の集団発生を背景に、感染症の早期診断に対する国民の意識が高まり、医療への期待は「治療」から「予防」へとシフトしてきております。診療の現場におきましても、適切な医療をより効果的かつ効率的に提供するための体制構築が迫られ、また、小児・老人医療における感染拡大防止や院内感染の予防対策として、感染症の早期診断及び早期治療の重要性の認識はさらに高まっており、遺伝子検査などの早期診断に有用な診断技術への期待も大きくなっております。
このようななか、2019年末に発生した新型コロナウイルス感染症の世界的な感染拡大は、その後3年以上に渡り、断続的に感染拡大を繰り返し、わが国においても国民の社会経済活動に深刻な影響を及ぼしました。当業界におきましても、遺伝子検査や抗原検査などの新型コロナウイルス感染症の検査需要が急激に高まる一方で、感染防御の効果の波及や受診控えによる外来患者の減少により、既存の感染症全般の検査需要が減少するという影響を受けました。
当社は新型コロナウイルス感染症の検査体制の拡充に寄与し、感染拡大防止に貢献するべく、「全自動遺伝子解析装置 Smart Gene」を用いた新型コロナウイルスの検出試薬の早期開発に取り組み、2020年8月より同試薬の発売を開始いたしました。また、急速に高まる需要に応えるため、設備投資によって増産体制を構築し、安定供給の維持に尽力いたしました。さらに、検査体制のさらなる拡充に貢献するべく、各種抗原キット等の新製品の開発・発売にも注力いたしました。
当事業年度におきまして、新型コロナウイルス感染症は、感染力が高いオミクロン変異株により大きな感染拡大を繰り返したものの、重症化リスクの低減を背景に行動制限が緩和され、社会経済活動は正常化に向かいました。さらに、今春予定されている感染症法上の分類5類への移行により、新型コロナウイルス感染症と共生する社会へと大きくかじが切られることとなり、新たな変異株による感染再拡大の可能性は指摘されているものの、社会経済活動は一層正常化に向かうことが期待されます。この影響に伴い、既存の感染症全般の検査需要も次第に回復していくことが見込まれますが、その過程において、引き続き競合他社との技術及び価格競争など厳しい状況が続くことが予想されます。
当社は、「もっと人のために」という経営理念のもと、企画開発から製造、販売までを自社一貫体制で行う強みを生かし、医療機関や患者のニーズに応える数多くの優れた製品を提供するため、新型コロナウイルス感染症の感染拡大期のみならず共生期や終息後の経営環境も見据えながら、以下の課題に取り組み、事業の継続的な成長と企業価値の向上に努めてまいります。
① 遺伝子POCT検査機器試薬システムの普及及び検査項目の拡充
検査薬市場においては、世界的にもPOCT市場向けの機器試薬システムの技術開発が加速しており、感染症、循環器、糖尿病など各々の疾患を早期に診断、治療を行うための新たなPOCT機器試薬システムが開発されております。当社は、主力とする感染症分野におきまして、これまでのイムノクロマト法に代わる革新的診断技術として、各種シーズ技術のスクリーニングを経たのち、遺伝子診断技術の開発に注力しておりました。この成果として、2018年に業界では先発となる遺伝子解析装置「全自動遺伝子解析装置 Smart Gene」及びマイコプラズマ核酸キット「スマートジーン Myco」を発売し、また、2020年には新型コロナウイルス感染症の検査体制の拡充・感染拡大の防止に貢献するべく、同ウイルス検出試薬の早期開発に取り組み、「スマートジーン新型コロナウイルス検出試薬(現 スマートジーン SARS-CoV-2)」を発売いたしました。
遺伝子POCT検査薬機器試薬システムは、診療の現場において短時間で確定診断が可能なことから、新型コロナウイルス感染症が拡大するなか、感染拡大防止や早期診断に有用であることが広く認知されることとなり、その期待の高まりを背景に将来の遺伝子POCT検査市場の拡大が見込まれています。また、当社の遺伝子解析装置「全自動遺伝子解析装置 Smart Gene」の普及が急速に進み、将来における各専用試薬の需要の基盤が確立しつつあることから、新たな検査項目の拡充や性能の改善が喫緊の課題となっております。
この課題に対応すべく、同装置を用いる新たな遺伝子POCT検査項目の開発・製品化を進め、当事業年度においては、インフルエンザウイルス核酸キット「スマートジーン Flu A,B」、院内感染による下痢症の感染防御に貢献するCDトキシン核酸キット「スマートジーン CD トキシンB」、胃がん発症の原因となるヘリコバクター・ピロリ核酸及びクラリスロマイシン耐性遺伝子検出キット「スマートジーン H.pylori G」の発売を開始しました。今後につきましても、呼吸器感染症、消化器感染症、泌尿器感染症及び婦人科感染症項目並びに薬剤耐性菌項目など、さらなるラインナップの拡充を図るとともに、性能の改善に向けた開発にも注力し、簡便操作、迅速判定、コンパクトかつ低コストという特長を持つ遺伝子POCT機器試薬システムとして、病院や診療所へのさらなる普及に向け尽力してまいります。
② 高感度POCT機器試薬システムの検査項目の拡充
POCT検査は治療に直結する検査であることから、各種検査項目について、より高感度、短時間判定かつ客観性の高い検査を実施できる機器試薬システムの開発が課題となっております。
この課題に対応すべく、当社は、富士フイルム株式会社との共同開発に取り組み、他社に先駆け、発症初期の診断精度や客観性を向上させた高感度感染症迅速診断システム(銀増幅イムノクロマト法)として、デンシトメトリー分析装置「クイックチェイサー Immuno Reader」及び高感度インフルエンザ抗原検出用キット「クイックチェイサー Auto Flu A,B」の開発に成功し、販売を開始いたしました。その後も、検査キットにつきましては、A群β溶血連鎖球菌、アデノウイルス、RSウイルス、マイコプラズマ抗原及び新型コロナウイルス抗原を新たな検査項目として追加し、さらに、3年ぶりにインフルエンザが流行入りした状況のなか、2023年1月に新型コロナウイルス抗原とインフルエンザ抗原を同時に検出する「クイックチェイサー Auto SARS-CoV-2/Flu」の販売を開始するなど、クイックチェイサーAutoシリーズとして品揃えを充実させております。
また、機器につきましても、タッチパネルの採用やオンライン化対応等により実用性をさらに向上させた後継機を発売するなど、機器試薬システムとして、競合他社の製品との差別化を実現しております。今後も、さらなる検査項目の追加、性能の改善のための開発を継続することにより、市場及びシェアの拡大に努めてまいります。
③ POCT迅速診断検査薬の項目開発及び性能向上
小児科など医療現場においては、特に迅速な治療が必要とされる感染症のPOCT検査薬の項目開発及び性能向上が求められており、加えて院内感染防御※1における迅速な検査体制の強化が課題となっております。
この課題に対応すべく、当社は、簡易・迅速に検査が実施できるイムノクロマト製品のさらなる性能向上のため、モノクローナル抗体※2の新規開発や機器の使用による機能強化といった研究開発を継続的に進めており、また、新たなPOCT検査薬項目の開発や薬剤耐性因子※3を検出する検査薬の創出において、専門機関との共同開発に取り組んでおります。
機器の使用による機能強化として、2021年4月、検査結果を自動判定し、その結果をモニター表示及びプリントアウトできるデンシトメトリー分析装置「スマート QC リーダー」を発売いたしました。迅速診断キットと組み合わせて使用することにより、測定環境や判定者に依存しない客観的かつ安定した精度の高い判定結果を得られます。今後につきましては、同装置の普及に尽力するとともに、適応する検査項目の拡充にも努め、簡易・迅速性が特に求められる検査ニーズにも応えてまいります。
④ 遺伝子POCT検査技術を応用した新たな事業展開
企業価値を一層高めていくためには、事業の拡大や多角化は重要な経営施策の一つであると認識しております。イムノクロマト法及び当社の遺伝子POCT検査技術は、医療だけではなく、環境・食品検査分野にも応用できるものであります。今後の事業拡大の施策の一つとして、環境・食品検査分野への進出が課題となっております。
この課題に対応すべく、当社は、独自の遺伝子POCT検査技術を基盤として、環境・食品検査分野への応用開発に取り組んでおります。
⑤ 開発人員の強化・育成
当社の研究開発は、体外診断用医薬品業界における豊富な経験を有する研究開発人員により行われているものの、新技術や新分野での診断項目の開発においては、各開発グループの責任者及び一部の研究開発人員に強く依存しているところがあります。
当社は、継続的な成長を果たすためには、開発部門の人的強化が欠かせないと認識しており、既存開発人員に対する教育や各種学会への参加による育成を行うとともに、優秀な人材の採用に努めております。
⑥ 製造能力の増強及び生産工程の合理化
検査需要の増加に伴う生産量の増大やPOCT検査薬の項目数の拡充に伴い、製造能力の増強とともに生産工程の合理化が課題となっております。
この課題に対応すべく、遺伝子POCT検査キット及びクイックチェイサーAutoシリーズの量産及び安定供給を行うため、2019年に福岡県久留米市に新規製造工場を建設し、新型コロナウイルス核酸キット「スマートジーン SARS-CoV-2」の需要増加を見込んだ設備投資を行い、月あたり約25万テスト以上の増産体制を整備いたしました。
今後もさらなる増産や安定した多項目生産に向け、生産設備の導入及び自動化により生産工程の合理化を図り、高品質の製品供給を維持する生産体制の構築に取り組んでまいります。
[用語集]
※1 院内感染防御とは、病院や医療機関内で新たに細菌やウイルスなどの病原体に感染する院内感染において、免疫力の低い多くの患者が同時に感染するリスクがあることから、院内の環境改善や集団感染時の対策マニュアルなどを講じ、薬剤耐性菌の蔓延を防止するための抗生剤や消毒薬の使用について組織的な防御を整えることをいいます。
※2 ウイルスなど抗原が生体に侵入した場合、そのウイルスの一部(抗原)に対する抗体が産生されます。抗体は、そのウイルスの抗原部位に結合しウイルスを失活させる機能を持っています。これらの抗体には抗原のいろいろな箇所に結合する複数種類の抗体が混在しており、ポリクローナル抗体と呼ばれています。モノクローナル抗体とは、単一の抗体産生細胞に由来するクローンから得られた抗体であり、反応性が多様なポリクローナル抗体に比べて的確にウイルスと結合することができます。また、クローンに由来するため、安定した品質の抗体を生産することができます。
※3 細菌などの微生物が、抗生物質などの薬剤に接触することで抵抗力を獲得し、薬剤の効果が低下することを薬剤耐性といいます。これは、細菌が自ら耐性遺伝子を作り出したり、既に耐性化した他の細菌からそのような遺伝子を獲得したりするものであります。薬剤耐性因子とは、そのような耐性遺伝子のことをいいます。
有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、経営者が提出会社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に重要な影響を与える可能性があると認識している主要なリスクは、以下のとおりであります。
なお、下記におけるリスクの項目は、すべてのリスクを網羅したものではありません。また、文中の将来に関する事項は、当事業年度末現在において当社が判断したものであります。
(1) 新型コロナウイルス感染症の拡大の影響と特定製品への依存
インフルエンザ検査薬は、過去7年(2013年~2019年)ほどにわたり、当社の売上高(通期)の約50%を維持しながら、その他の感染症検査項目とともに売上を伸ばしてきた主力製品であります。インフルエンザの流行時期は冬季であることから、第1四半期会計期間(1~3月)及び第4四半期会計期間(10~12月)に売上高及び営業利益が集中するといった季節変動、また、その年の業績が流行の開始時期や大きさに影響を受けやすいという傾向がありました。当社は、インフルエンザ検査薬への依存度を軽減し、季節変動の平準化や業績の安定化を図るため、非季節性及び夏季流行性の感染症などその他感染症項目の検査薬の拡充に努め、さらに遺伝子POCT事業の拡大を推し進めてまいりました。
2019年末に発生した新型コロナウイルス感染症は、当事業年度においても、オミクロン変異株による再三の感染拡大を繰り返しており、当該ウイルスに対する感染防御の効果の波及や受診控えの影響は継続しているため、インフルエンザをはじめとした既存の感染症全般の検査需要の水準は依然として低いままとなりました。これにより、インフルエンザは当事業年度末に3年ぶりに流行入りしたものの、2020年以降はインフルエンザ検査薬の売上高全体に占める割合も大幅に低下した状況で推移しております。
一方で、新型コロナウイルス検査薬については、感染拡大に伴い遺伝子検査や抗原検査といった新型コロナウイルス感染症の検査需要が高まるなか、遺伝子検査としては、2020年8月に開発成功とともに発売を開始した「スマートジーン SARS-CoV-2」をはじめ、抗原検査としては、クイックチェイサー Immuno ReaderⅡ等を用いる高感度検出キット(銀増幅イムノクロマト法)、スマートQCリーダーを用いる抗原キット、目視判定による抗原キット、さらに新型コロナウイルス抗原・インフルエンザウイルス抗原同時検出キットなど、新型コロナウイルスに係る各種検査キットを開発・量産化することができたため、売上高が急激に増加しております。
これにより、インフルエンザ検査薬及びその他の感染症項目の検査薬の売上高の減少を充分に補うことができ、売上高全体も大幅に増加しておりますが、当該製品への依存度が高まる結果となりました。
新型コロナウイルス検査薬は、今後の感染拡大の動向や感染症法上の分類の移行に伴う医療・検査体制の変化などによって、これらのキットの需要や売上高が大きく左右される可能性があり、当社の業績に影響を及ぼす可能性があります。また、インフルエンザが3年ぶりに流行入りしており、今後につきましては、これらの事業環境の変化に伴い特定製品への依存度がさらに変化する可能性があります。
さらに、新型コロナウイルス感染症のような大規模な感染症が新たに発生し、それに伴い政府・自治体による感染拡大防止策(緊急事態宣言等)が同様に講じられた場合、医療機関への受診控えによる外来患者数の減少や新たな感染症に対する感染防御の効果の波及などにより、既存の感染症項目の検査薬の売上高が大幅に減少する可能性があります。また、新たな感染症とそれに対する当社の対応状況(当該感染症の検査需要と当該検査薬の開発・量産状況等)によって、当社の業績に影響を及ぼす可能性があります。
(注)1.新型コロナウイルス検査薬には、「スマートジーン SARS-CoV-2」、「クイックチェイサー Auto SARS-CoV-2」、富士フイルム株式会社向け機器試薬システムの試薬、「クイックチェイサー SARS-CoV-2/Flu(Flu A,B)」及び「クイックチェイサー SARS-CoV-2」が含まれております。
2.インフルエンザ検査薬には、「クイックチェイサー Flu A,B」、「クイックチェイサー Auto Flu A,B」、富士フイルム株式会社向け機器試薬システムの試薬及び「スマートジーン Flu A,B」が含まれております。
3.返品分を除いた金額を記載しております。
(2) 品質問題
当社は、医薬品医療機器等法及び関連法令並びに品質マネジメントシステムに基づき、万全の品質管理体制を敷いて製品の品質確保に取り組んでおります。しかしながら、万が一製品に重大な品質問題が発生した場合には、速やかに調査、回収、情報提供等の措置を取る必要があり、売上高の減少やコストの増加などにより、当社の業績に影響を及ぼす可能性があります。
(3) 原材料の調達
当社は、様々な原材料を国内外より調達し製造活動を行っておりますが、調達にあたっては、仕入先との協力関係の維持強化、重要性及び調達リスクに応じた安全在庫の確保、一部の重要な原材料の自製化などにより調達リスクの低減に努めております。しかしながら、原材料に関する国内外の規制または原材料メーカーによる品質問題の発生、あるいは国際情勢の変化や政情不安等によって、原材料の入手が長期的に困難になることにより、製品を製造・販売することができなくなった場合、当社の業績に影響を及ぼす可能性があります。
(4) 製品供給の遅延または休止
当社は、製品の安定供給を目指し、複数の製造拠点(佐賀県鳥栖市及び福岡県久留米市)を有しており、風水害、地震、火災等の災害発生時のリスク分散・軽減を図っております。しかしながら、当社の製造拠点や当社の原材料等の調達先の製造施設・倉庫等において、甚大な風水害や地震等の自然災害や火災の発生あるいは技術上や規制上の問題により、操業が停止または混乱が生じた場合、製品の供給が遅延または休止し、当社の業績に影響を及ぼす可能性があります。
(5) 開発人員の強化・育成について
当社は、今後の事業拡大や市場に対し付加価値の高い製品を提供するため、新たな診断技術の創出や新分野での診断項目に対する研究開発といった活動に日々邁進しており、これに不可欠である研究開発人員を継続的に確保し、強化・育成するよう努めております。しかしながら、今後様々な市場ニーズへの対応や他社の開発技術と競合するなか、これに対応できる独創性や高度な開発技術を有する人材の確保及び強化・育成が計画通りに進まない場合、これら新たな診断技術の創出等の研究開発活動に支障が生じ、当社の業績に影響を及ぼす可能性があります。
(6) 知的財産権
当社の製品は、特許及び実用新案等により一定期間保護されています。当社は、知的財産権を厳しく管理し、第三者からの侵害あるいは第三者の知的財産権を侵害するおそれについても、常に監視を行っております。しかしながら、当社の保有する知的財産権が第三者から侵害を受けた場合には、期待される収益が失われる可能性があります。また、当社の製品が意図せず他社の知的財産権を侵害した場合には、損害賠償を請求される可能性があり、当社の業績に影響を及ぼす可能性があります。
(7) 研究開発
体外診断用医薬品は、所轄官庁の定めた企業としての責任体制、製品の有効性、安全性、生産方法・管理体制に関する厳格な審査により許認可を得てはじめて上市可能となります。このため、研究開発が計画通りに進行しない、許認可取得に時間を要する、あるいは治験段階において新製品が期待通りの性能を示さない等の事由により、開発期間の延長や開発の中止を余儀なくされることがあります。これらにより、多額の追加投資が必要となった場合や、それまでに投下した研究開発投資の回収見込みがなくなった場合には、当社の業績に影響を及ぼす可能性があります。
(8) 競合他社との競争
当社は、市場ニーズを先取りした新製品開発及び性能改善を行っておりますが、体外診断用医薬品業界は技術開発及び性能の向上において常に競合他社と競争状態にあります。技術競争の結果、競合他社が当社より先に新製品や性能改善品を上市した場合、当社の業績に影響を及ぼす可能性があります。
(9) 市場環境の変化
病院・開業医分野では、医療制度改革や診療報酬の改定が行われるなか、治療に即した検査への淘汰が進んでおり、価格競争は激化しております。また、OTC・その他分野でも薬局・薬店業界の再編や新規参入など市場環境は日々変化しております。そのため、市場環境の変化への対応が遅れた場合、病院・開業医分野では、主要製品の需要減少、販売価格の低下、OTC・その他分野では、既存シェアの変化などにより、当社の業績に影響を及ぼす可能性があります。
(10)法的規制等
当社は、体外診断用医薬品の製造販売を行うために「体外診断用医薬品製造販売業許可」及び「体外診断用医薬品製造業登録」、また、医療機器の製造販売を行うために「医療機器製造販売業許可」及び「医療機器製造業登録」が必要であり、そのために医薬品医療機器等法及び関連法令をはじめ、様々な法規制の適用を受けております。
当社は、以下の主要な許認可を含めこれらの許認可等を受けるための諸条件及び関係法令の遵守に努めており、現状においては当該許認可が取り消しとなる事由は発生しておりませんが、今後、これらの関係法規が改廃または新たな法的規制が設けられた際に、仮にこれらの法規制を遵守できなかった場合、事業活動を制限されることはもとより、社会的信用の低下を招き、当社の業績に影響を及ぼす可能性があります。また、これらの法規制を遵守するためのコストが発生し、利益率の低下につながる可能性があります。
(11)訴訟の提起
当社は、事業活動を継続していく過程において、製造物責任(PL)関連、労務関連、知的財産関連、商取引関連、その他に関する訴訟が提起される可能性があります。これらの訴訟の結果によっては、損害賠償を請求される等、当社の業績に影響を及ぼす可能性があります。
(12)ITセキュリティ及び情報管理
当社は、各種の情報システム・IT機器を利用して業務を遂行しており、また、業務の遂行を通じて、開発・営業その他経営に関する機密情報や従業員の個人情報等を保有しております。これらの情報システム及び情報の保護等に関しては、情報システム運用管理規程や情報セキュリティポリシー等の制定及びその遵守・周知徹底により、業務の円滑化、適切な運用、セキュリティの強化等に努めております。しかしながら、サイバー攻撃等によるシステム障害、コンピューターウイルスの感染及びその他災害等が発生した場合、業務が阻害され、機会損失の発生等追加的なコストが発生し、当社の業績に影響を及ぼす可能性があります。また、それら外部要因を含めた不測の事態により情報の流出や漏えいが発生した場合には、社会的信用を大きく失うこととなり、当社の業績に影響を及ぼす可能性があります。
(13)創業者への依存について
当社の創業者は、代表取締役会長兼社長である唐川文成であります。同氏は、当社設立以来の最高経営責任者であり、経営方針や経営戦略の決定、営業や研究開発などの事業運営において重要な役割を果たしております。当社では、全ての部署に担当取締役を配置し、さらに各部門長には執行役員もしくは部長を配置しております。各々が参加する定期的な会議体にて、意見等の吸い上げや情報共有などを積極的に進めており、また、適宜権限の委譲も行うことで、同氏に依存しない経営体制の整備を進めております。しかしながら、何らかの理由により同氏が業務執行を継続することが困難になった場合には、当社の業績及び事業展開に影響を及ぼす可能性があります。
当事業年度における当社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。
当事業年度より、「収益認識に関する会計基準」(企業会計基準第29号 2020年3月31日)等を適用しております。このため、当事業年度における経営成績に関する説明におきまして、売上高につきましては、前期比増減率は記載しておりません。営業利益以下の各利益につきましては、影響が軽微であるため、当該会計基準等を適用する前の数値を用いて前期比増減率を記載しております。詳細につきましては、「第5 経理の状況 1 財務諸表等 注記事項 (会計方針の変更)」をご参照ください。
当事業年度(2022年1月1日~2022年12月31日)におけるわが国経済は、新型コロナウイルス感染症のオミクロン変異株による第6波、第7波及び第8波は大きな感染拡大となりましたが、行動制限の段階的な緩和に伴い社会経済活動は正常化に向かいました。一方、世界経済がコロナ禍から回復に向かうなか、供給制約を背景に資源・エネルギー価格が高騰を続けました。さらに、ウクライナ問題の長期化の影響が加わり、各国は急激なインフレを抑えるために金融引き締め政策を進め、金利上昇による世界経済の景気後退が懸念される状況となっております。わが国経済におきましても、金融緩和政策の維持を背景として、日米の金利差拡大による急速な円安進行がインフレに拍車をかけ、急激な物価上昇に伴う景気の下振れが懸念されるなど、先行きは依然として不透明な状況が続いております。
体外診断用医薬品業界におきましては、新型コロナウイルス感染症の感染拡大に伴い、新型コロナウイルスの遺伝子検査や抗原検査等の検査需要は急激に高まりましたが、一方では、インフルエンザウイルスをはじめとした既存の感染症は、新型コロナウイルス感染症に対する感染防御の効果の波及や受診控え等により、検査需要が減少するという影響を受けており、当事業年度におきましても、オミクロン変異株による感染拡大を繰り返すなど、依然としてその影響は続いております。
オミクロン変異株は、それまでの変異株より感染力は高いものの重症化リスクは低下しているといわれており、このような変異株による感染再拡大に対応するため、正常な社会経済活動の維持を優先しながら感染拡大防止との両立を目指す試行錯誤が続きました。今後の感染症全般の検査需要の見通しにつきましては、今春予定されている新型コロナウイルス感染症の感染症法上の分類5類への移行により、新型コロナウイルス感染症と共生する社会へと大きくかじが切られることとなりますが、その共生する状況下において、過去3年程の間に免疫獲得の機会を十分に持てなかった既存の感染症全般(インフルエンザ等)はどのような影響を受けるのかなど、状況の推移を注視していく必要があります。
このようななか、当社は、新型コロナウイルス感染症の繰り返す感染拡大に伴い需要が急増した遺伝子検査キット及び抗原キットの増産に取り組み、安定供給に尽力いたしました。また、他方では、「全自動遺伝子解析装置 Smart Gene」を用いる新たな検査項目として、2022年1月にインフルエンザウイルス核酸キット「スマートジーン Flu A,B」、同年2月にクロストリジウム・ディフィシル核酸キット「スマートジーン CD トキシンB」、さらに、同年12月にヘリコバクター・ピロリ核酸及びクラリスロマイシン耐性遺伝子検出キット「スマートジーン H.pylori G」の発売を開始するなど、スマートジーンシリーズの検査項目の拡充にも注力いたしました。
このような環境下におきまして、当事業年度の売上高は、175億81百万円(前期は131億37百万円)となりました。
当社は、体外診断用医薬品事業の単一セグメントでありますが、市場分野別の売上高は、以下のとおりであります。
病院・開業医分野におきましては、新型コロナウイルス感染症はオミクロン変異株による第6波、第7波、第8波と繰り返す感染拡大により、検査薬の高い需要が継続しました。この影響により、遺伝子検査キット「スマートジーン SARS-CoV-2」は、約215万テスト(第1四半期 55万テスト、第2四半期 45万テスト、第3四半期 69万テスト、第4四半期 46万テスト)を出荷しました。また、新型コロナウイルス抗原キット、新型コロナウイルス抗原・インフルエンザウイルス抗原同時検出キット及び新型コロナウイルス抗原キット(銀増幅イムノクロマト法)の需要も急増し(抗原キット合計 約448万テスト)、新型コロナウイルス検査薬全体の売上高は、151億79百万円(前期は97億94百万円)となりました。
一方、インフルエンザ検査薬につきましては、新型コロナウイルス感染症の発生以来、インフルエンザの流行は極めて低い水準となっておりましたが、2022/2023シーズンにおいて3年ぶりに流行入りした影響により、インフルエンザ検査薬全体の売上高は、4億16百万円(前期は2億39百万円(返品分除く))となりました。
その他感染症項目の検査薬につきましては、新型コロナウイルス感染症が長期化している状況のなか、感染症項目によって増減はあるものの、全体としては前期と同水準の売上高となりました。「全自動遺伝子解析装置 Smart Gene」につきましては、世界的な半導体不足の影響により出荷は断続的となり、当事業年度は約800台(前期は約3,200台)を出荷し、累計販売台数は約5,000台となりました。これらの結果、その他感染症項目の検査薬を含むその他の検査薬及び機器全体の売上高は、主に「全自動遺伝子解析装置 Smart Gene」の減収の影響により、16億40百万円(前期は26億89百万円)となりました。
以上により、病院・開業医分野全体の売上高は、172億36百万円(前期は127億23百万円)となりました。
OTC・その他分野におきましては、妊娠検査薬及び排卵日検査薬は、長引く新型コロナウイルス感染症の影響もあり、OTC・その他分野全体の売上高は、3億45百万円(前期は4億14百万円)となりました。
利益面につきましては、新型コロナウイルス感染症のオミクロン変異株による感染再拡大を背景として、遺伝子検査キット及び抗原キットの需要拡大に伴い大幅な増収となり、営業利益は111億4百万円(前期比65.8%増)、経常利益は110億70百万円(前期比65.2%増)、当期純利益は78億38百万円(前期比62.7%増)となりました。
当事業年度末の財政状態につきましては、以下のとおりであります。
当事業年度末における資産の残高は、前事業年度末に比べ69億9百万円増加し、191億2百万円となりました。これは主に、現金及び預金の増加43億75百万円、売掛金の増加20億42百万円及び電子記録債権の増加3億39百万円があったことによるものであります。
当事業年度末における負債の残高は、前事業年度末に比べ6億55百万円増加し、48億19百万円となりました。これは主に、買掛金の増加1億71百万円、未払消費税等の増加1億32百万円及び電子記録債務の増加62百万円があったことによるものであります。
当事業年度末における純資産の残高は、前事業年度末に比べ62億54百万円増加し、142億82百万円となりました。これは主に、利益剰余金の増加62億54百万円によるものであります。
当事業年度末における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、前事業年度末に比べ30億48百万円増加し、73億75百万円となりました。当事業年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は、次のとおりであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
当事業年度における営業活動により増加した資金は、61億72百万円(前期は55億96百万円の増加)となりました。これは主に、法人税等の支払32億円及び売上債権の増加23億81百万円によるキャッシュ・フローの減少があったものの、税引前当期純利益110億70百万円、仕入債務の増加2億19百万円、減価償却費1億86百万円及び未払消費税等の増加1億32百万円によるキャッシュ・フローの増加があったことによるものであります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
当事業年度における投資活動により減少した資金は、15億53百万円(前期は1億59百万円の減少)となりました。これは主に、定期預金の預入13億73百万円及び有形固定資産の取得1億78百万円によるキャッシュ・フローの減少があったことによるものであります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
当事業年度における財務活動により減少した資金は、15億70百万円(前期は11億64百万円の減少)となりました。これは主に、配当金の支払15億70百万円によるキャッシュ・フローの減少があったことによるものであります。
当社は、体外診断用医薬品事業の単一セグメントであるため、生産、受注及び販売の状況については市場分野別に記載しております。
当事業年度の生産実績を市場分野別に示すと、次のとおりであります。
(注) 1.金額は販売価格によっております。
2.当事業年度において、生産実績に著しい変動がありました。これは、病院・開業医分野におきまして、主に、新型コロナウイルス感染症の感染拡大により、遺伝子検査や抗原検査の検査需要が急激に高まるなか、設備投資などで生産体制を強化しつつ、新型コロナウイルス検査薬の安定供給に注力したため、生産実績が大幅に増加しております。
当社は見込み生産を行っているため、該当事項はありません。
当事業年度の販売実績を市場分野別に示すと、次のとおりであります。
(注) 1. 「収益認識に関する会計基準」(企業会計基準第29号 2020年3月31日)等を当事業年度の期首から適用しているため、前年同期比は記載しておりません。
2.主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合
3.当事業年度において、販売実績に著しい変動がありました。これは、病院・開業医分野におきまして、主に、新型コロナウイルス感染症の感染拡大により、遺伝子検査や抗原検査の検査需要が急激に高まるなか、設備投資などで生産体制を強化しつつ、新型コロナウイルス検査薬の安定供給に注力したため、販売実績が大幅に増加しております。
(2) 経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
経営者の視点による当社の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当事業年度末現在において当社が判断したものであります。
① 当事業年度の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容
イ.経営成績の分析
「収益認識に関する会計基準」(企業会計基準第29号 2020年3月31日)等を当事業年度の期首から適用しております。このため、販売促進費等の顧客に支払われる対価について、前事業年度は販売費及び一般管理費として販売促進費2億24百万円を計上しておりましたが、当事業年度は販売促進費として計上せず、売上高から4億30百万円を控除しております。また、返品されると見込まれる商品及び製品について、前事業年度はインフルエンザ検査薬に係る返品調整引当金繰入額2億51百万円を計上しておりましたが、当事業年度は売上高10百万円及び売上原価2百万円を計上しております。
(売上高)
売上高は、175億81百万円(前期は131億37百万円)となりました。上記の会計基準の適用による影響のほか、市場分野別の売上高の状況の認識及び分析等は以下のとおりであります。
病院・開業医分野におきましては、新型コロナウイルス感染症はオミクロン変異株による第6波、第7波、第8波と繰り返す感染拡大により、検査薬の高い需要が継続しました。この影響により、遺伝子検査キット「スマートジーン SARS-CoV-2」は、約215万テスト(第1四半期 55万テスト、第2四半期 45万テスト、第3四半期 69万テスト、第4四半期 46万テスト)を出荷しました。また、新型コロナウイルス抗原キット、新型コロナウイルス抗原・インフルエンザウイルス抗原同時検出キット及び新型コロナウイルス抗原キット(銀増幅イムノクロマト法)の需要も急増し(抗原キット合計 約448万テスト)、新型コロナウイルス検査薬全体の売上高は、151億79百万円(前期は97億94百万円)となりました。
一方、インフルエンザ検査薬につきましては、新型コロナウイルス感染症の発生以来、インフルエンザの流行は極めて低い水準となっておりましたが、2022/2023シーズンにおいて3年ぶりに流行入りした影響により、インフルエンザ検査薬全体の売上高は、4億16百万円(前期は2億39百万円(返品分除く))となりました。
その他感染症項目の検査薬につきましては、新型コロナウイルス感染症が長期化している状況のなか、感染症項目によって増減はあるものの、全体としては前期と同水準の売上高となりました。「全自動遺伝子解析装置 Smart Gene」につきましては、世界的な半導体不足の影響により出荷は断続的となり、当事業年度は約800台(前期は約3,200台)を出荷し、累計販売台数は約5,000台となりました。これらの結果、その他感染症項目の検査薬を含むその他の検査薬及び機器全体の売上高は、主に「全自動遺伝子解析装置 Smart Gene」の減収の影響により、16億40百万円(前期は26億89百万円)となりました。
以上により、病院・開業医分野全体の売上高は、172億36百万円(前期は127億23百万円)となりました。
OTC・その他分野におきましては、妊娠検査薬及び排卵日検査薬は、長引く新型コロナウイルス感染症の影響もあり、OTC・その他分野全体の売上高は、3億45百万円(前期は4億14百万円)となりました。
(売上原価、販売費及び一般管理費)
売上原価は、34億81百万円(前期は32億34百万円)、売上原価率は19.8%(前期は24.6%)となりました。これは主に、上記の会計基準の適用による影響のほか、前事業年度にインフルエンザ検査薬に係る棚卸資産廃棄損及び評価損の計上があったものの、当事業年度は前事業年度に比べ当該廃棄損及び評価損が低い水準に抑えられたこと、また、売上構成比が変化したことによるものであります。
販売費及び一般管理費は、29億95百万円(前期は29億53百万円)となりました。これは主に、上記の会計基準の適用による影響のほか、人件費の増加、販売に係る支払手数料及び運賃並びに遺伝子POCTをはじめとした新製品に係る研究開発費の増加によるものであります。
(営業利益)
営業利益は、前事業年度に比べ44億5百万円増加して111億4百万円となりました。
(営業外収益、営業外費用)
営業外収益は、前事業年度に比べ11百万円増加して16百万円となりました。これは主に、受取利息及び配当金の増加によるものであります。
営業外費用は、前事業年度に比べ47百万円増加して50百万円となりました。これは主に、外国為替相場の急激な変動のなか、当社が保有する外貨建資産を期末為替レートで評価替えしたことにより発生した為替差損によるものであります。
(経常利益)
経常利益は、前事業年度に比べ43億70百万円増加して110億70円となりました。また、売上高経常利益率は63.0%となり、前事業年度に比べ12.0ポイント改善し、収益性が上昇しております。
(特別利益、特別損失)
特別利益及び特別損失の計上はありませんでした。
(当期純利益)
当期純利益は、前事業年度に比べ30億21百万円増加して78億38百万円となりました。
インフルエンザ検査薬は、過去7年(2013年~2019年)ほどにわたり、当社の売上高の約50%を占める主力製品でありましたが、2019年末に発生した新型コロナウイルス感染症の感染拡大の影響により、インフルエンザの流行は世界的に著しく低い水準に抑えられ、2020年第1四半期よりインフルエンザ検査薬の売上高は大幅に減少しております。
一方、新型コロナウイルス感染症の感染拡大に伴い、遺伝子検査の需要が急激に高まるなか、2020年第3四半期より発売を開始した遺伝子検査キット「スマートジーン SARS-CoV-2」の売上高が急激に増加しております。また、これに続き発売を開始した抗原キットの売上高も加わり、新型コロナウイルス検査薬全体の売上高が大幅に増加しております。結果として、2020年以降はインフルエンザ検査薬への依存度が低下し、新型コロナウイルス検査薬への依存度が高まる状況となっております。
新型コロナウイルス検査薬は、今後の感染拡大の動向や感染症法上の分類変更に伴う医療・検査体制の変化によって、本検査薬の需要や売上高は大きく左右される可能性があります。一方、足元では3年ぶりにインフルエンザが流行入りしており、今後につきましては、これらの事業環境の変化に伴い特定製品への依存度がさらに変化する可能性があります。
当事業年度(第46期)の四半期会計期間ごとの売上高及び営業利益は、以下のとおりであります。
(ご参考) 直近2事業年度の四半期会計期間ごとの売上高及び営業利益又は営業損失
(注)1.新型コロナウイルス検査薬には、「スマートジーン SARS-CoV-2」、「クイックチェイサー Auto SARS-CoV-2」、富士フイルム株式会社向け機器試薬システムの試薬、「クイックチェイサー SARS-CoV-2/Flu(Flu A,B)」及び「クイックチェイサー SARS-CoV-2」が含まれております。
2.インフルエンザ検査薬には、「クイックチェイサー Flu A,B」、「クイックチェイサー Auto Flu A,B」、富士フイルム株式会社向け機器試薬システムの試薬及び「スマートジーン Flu A,B」が含まれております。
3.返品分を除いた金額を記載しております。
ロ.財政状態の分析
当事業年度末における資産の残高は、前事業年度末に比べ69億9百万円増加し、191億2百万円となりました。これは主に、現金及び預金の増加43億75百万円、売掛金の増加20億42百万円及び電子記録債権の増加3億39百万円があったことによるものであります。
当事業年度末における負債の残高は、前事業年度末に比べ6億55百万円増加し、48億19百万円となりました。これは主に、買掛金の増加1億71百万円、未払消費税等の増加1億32百万円及び電子記録債務の増加62百万円があったことによるものであります。
当事業年度末における純資産の残高は、前事業年度末に比べ62億54百万円増加し、142億82百万円となりました。これは主に、利益剰余金の増加62億54百万円によるものであります。
② キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容並びに資本の財源及び資金の流動性に係る情報
キャッシュ・フローの分析につきましては「第2 事業の状況 3 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1) 経営成績等の状況の概要 ② キャッシュ・フローの状況」をご参照ください。
当社の資金需要につきまして、運転資金として主なものは、原材料購入等の製造費用、商品の仕入のほか、研究開発費や人件費を含む販売費及び一般管理費等の営業費用であります。また、設備資金として主なものは、製造または研究開発のための設備の新設または更新であります。
運転資金及び設備資金につきましては、営業活動によるキャッシュ・フローからの充当を基本とし、手元資金、回収期間及びリスク等を勘案したうえで、必要に応じて金融機関からの短期借入または長期借入による調達を行う方針であります。また、機動的かつ安定的に資金の調達が行えるよう、取引銀行と当座貸越契約(総額16億円)を締結しており、緊急の資金需要や不測の事態にも備えております。
株主の皆様への利益還元につきましては、当社は、業績に対応した配当を行うことを基本としつつ、配当性向、企業体質の一層の強化及び今後の事業展開に備えるための内部留保の充実などを総合的に勘案して決定する方針を採っております。この方針に基づき、配当性向30%を目標として配当を実施するよう努めております。
③ 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
当社の財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。この財務諸表の作成にあたっては、過去の実績や会社の状況・経営環境等に応じ、合理的だと想定される様々な仮定に基づき、見積り及び判断を行っておりますが、将来の不確実性により、最善の見積りを行った結果としての見積られた金額と事後的な結果との間に乖離が生じる可能性があります。
会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定のうち、重要なものは「第5 経理の状況 1 財務諸表等 注記事項 (重要な会計上の見積り)」に記載のとおりであります。
また、新型コロナウイルス感染症の感染拡大の影響については「第5 経理の状況 1 財務諸表等 注記事項 (追加情報)」に記載のとおりであります。
当社における主要な設備は、以下のとおりであります。
なお、当社は、体外診断用医薬品事業の単一セグメントであるため、セグメント別の記載は省略しております。
(注) 1.現在休止中の主要な設備はありません。
2.従業員数は就業人員であり、( )内には、臨時雇用者の年間平均雇用人員を外数で記載しております。
該当事項はありません。
該当事項はありません。
(注)1.普通株式1株につき2株の株式分割による増加であります。
2022年12月31日現在
(注)自己株式1,157株は、「個人その他」に11単元、「単元未満株式の状況」に57株含まれております。
2022年12月31日現在