株式会社キャンディル
(注)1.売上高には、消費税等は含まれておりません。
2.潜在株式調整後1株当たり当期純利益については、第5期については、当社株式が、2018年7月5日に東京証券取引所マザーズ市場へ上場したため、新規上場日から第5期連結会計年度末までの平均株価を期中平均株価とみなして算定しております。また第8期については、潜在株式は存在するものの、1株当たり当期純損失であるため記載しておりません。
3.株価収益率については、第8期については、1株当たり当期純損失であるため記載しておりません。
4.当社は2018年3月14日付で普通株式1株につき100株の株式分割を、2019年9月1日付で普通株式1株につき2株の株式分割を行っております。第5期の期首に当該株式分割が行われたと仮定し、1株当たり純資産額、1株当たり当期純利益又は当期純損失及び潜在株式調整後1株当たり当期純利益を算定しております。
(注)1.営業収益には、消費税等は含まれておりません。
2.第5期の潜在株式調整後1株当たり当期純利益については、当社株式が、2018年7月5日に東京証券取引所マザーズ市場へ上場したため、新規上場日から第5期事業年度末までの平均株価を期中平均株価とみなして算定しております。
3.第6期の1株あたり配当額8円は、2019年9月1日付で行われた株式分割前の1株当たり中間配当額5円と当該株式分割後の1株当たり期末配当額3円を合算した金額となっております。第6期の期首に当該株式分割が行われたと仮定した場合の1株当たり中間配当額は2.5円、年間の配当額は5.5円であります。
4.当社は2018年3月14日付で普通株式1株につき100株の株式分割を、2019年9月1日付で普通株式1株につき2株の株式分割を行っております。第5期の期首に当該株式分割が行われたと仮定し、1株当たり純資産額、1株当たり当期純利益及び潜在株式調整後1株当たり当期純利益を算定しております。
5.当社は2018年7月5日付をもって東京証券取引所マザーズに株式を上場いたしましたので、第5期以前の株主総利回り、比較指標については記載しておりません。
6.第6期の株主総利回り算定における株価並びに1株当たり配当額は、2019年9月1日付で行われた株式分割を考慮し、分割後の金額で算定しております。
7.最高株価及び最低株価は、2019年12月18日以前は東京証券取引所マザーズ、2019年12月19日以降は東京証券取引所市場第一部、2022年4月4日以降は東京証券取引所スタンダード市場におけるものであります。また、当社は2019年9月1日付で普通株式1株につき2株の株式分割を行っております。第6期の株価については株式分割による権利落後の最高株価及び最低株価を記載しており、( )内に株式分割前の最高株価及び最低株価を記載しております。
当社グループは、建築業界内の人手不足を解消し、現場の生産性向上に寄与するサービスを手掛ける企業同士が集まり発展してきた企業集団であります。その中で、当社は各連結子会社が有する事業基盤を活かしつつ、グループ全体としての連携及び成長を促すための企業統治、管理を行う持株会社であります。
由来は、1995年、代表取締役社長である林晃生が、住宅建材に発生したキズを補修(リペア)するサービスを提供するために株式会社バーンリペア(以下「旧株式会社バーンリペア」といいます。)を設立したことに始まります。その後、リペアサービスに関連する複数の企業が旧株式会社バーンリペアの子会社となり、持株会社制度を導入して形態を変えながらグループを形成してまいりました。
(株式会社キャンディルについて)
グループ経営を強化するために、2011年4月に持株会社として株式会社バーングループ(注1)を設立し、同年10月に株式会社バーンホールディングス(以下「旧株式会社バーンホールディングス」といいます。)に商号変更いたしました。2014年8月に新たに株式会社BH(注2)を設立し、同社が同年9月に旧株式会社バーンホールディングスの全株式を取得いたしました。
その後、2015年4月に旧株式会社バーンホールディングスを吸収合併したことで事業活動を全面的に継承し、商号を株式会社バーンホールディングスに変更いたしました。2016年10月に、再び商号を株式会社キャンディルに変更し、現在に至ります。
(当社の子会社について)
2011年4月に株式会社バーングループ(後の旧株式会社バーンホールディングス)の子会社として設立された株式会社BRが、同年5月に林晃生から旧株式会社バーンリペアの株式を取得いたしました。その後、2011年10月に株式会社BRが旧株式会社バーンリペアを吸収合併して営業活動を全面的に継承し、株式会社バーンリペアに商号を変更いたしました。また、同年10月に旧株式会社バーンリペアの子会社であった株式会社ケーエスエム(現株式会社キャンディルテクト)及び株式会社ハウスボックス(現株式会社キャンディルデザイン)を旧株式会社バーンホールディングスの子会社にいたしました。
旧株式会社バーンホールディングスは2015年3月に株式会社ア・フィックの全株式を取得して子会社とし、旧株式会社バーンホールディングスを吸収合併した株式会社バーンホールディングスは2015年11月にはレイオンコンサルティング株式会社の全株式を取得して子会社といたしました。株式会社ア・フィックは、2017年4月に現株式会社キャンディルデザインと合併し、レイオンコンサルティング株式会社は、2016年10月に現株式会社キャンディルテクトと合併いたしました。
また、2020年11月に当社の子会社として株式会社キャンディルパートナーズを設立いたしました。
以上のような経過を経て、当社グループはグループ形成をしてまいりました。
(注)1.J-STAR株式会社がサービスを提供するファンドが出資する会社
2.新生クレアシオンパートナーズ株式会社がサービスを提供するファンドが出資する会社
沿革図

株式会社キャンディル沿革
株式会社バーンリペア沿革
株式会社キャンディルテクト沿革
株式会社キャンディルデザイン沿革
株式会社キャンディルパートナーズ沿革
当社グループは、純粋持株会社である当社及び連結子会社4社(株式会社バーンリペア、株式会社キャンディルテクト、株式会社キャンディルデザイン、株式会社キャンディルパートナーズ)の計5社で構成されており、建築サービス関連事業を主たる事業として取り組んでおります。
なお、当社は特定上場会社等に該当し、インサイダー取引規制の重要事実の軽微基準のうち、上場会社の規模との対比で定められる数値基準については連結ベースの計数に基づいて判断することとなります。
当社グループは、「革新創造」を社是とし、「世界に誇れる独創的建物サービスで社会と感動を分かち合う」というグループ理念にもとづき、「全ての建物に“キャンディル”」というグループビジョンを実現すべく、持続的な事業の成長とさらなる企業価値の向上を目指して、お客様のニーズや時代の変化に寄り添いながら、事業を推進しております。「建築サービス関連事業」とは、建物を建てることそのものではなく、建物の修繕・改修・維持・管理に資するサービスで、建築関連業者と、住宅・商業施設・オフィス等のオーナーの双方に向けて建築の周辺サービスを提供するものです。全国49拠点(2022年9月30日現在)にサービス網を展開しており、全国で均一なサービス品質を提供するための技術教育研修プログラム(マニュアルなどの各種資料・e-learning教材・研修カリキュラム等)を構築しております。
「建築サービス関連事業」の単一セグメントであるため、セグメント別の記載をしておりませんが、ここでは、リペアサービス、住環境向け建築サービス、商環境向け建築サービス、商材販売、抗ウイルス抗菌サービスの5つのサービスに分類して記載しております。
(1)リペアサービス
リペアサービスは、建物における内装建材、家具等に発生したキズや不具合を、部材交換することなく、元の部材を活かす形で部分的に手を加えて美観回復をする(リペアする)サービスであります。住宅や施設はもちろんのこと、新築物件であっても、施工中に絶えず人が出入りすることにより、日常的に小さなキズや不具合が発生しております。これらを全て部材交換で対応しようとすると、新しい部材と職人確保のための費用、廃材の処理費用、工事手配の手間など、コスト増加につながることがあります。そこで、当社グループでは部材交換ではなくリペアで対応をすることにより、コストの圧縮と部材交換に関連する諸問題を解決するサービスを提供しております。また、サービス対象とする建物は、住宅のみならず、商業施設、寺社仏閣や文化遺産など多岐にわたります。
ビジネスモデルとしては、ハウスメーカー・ハウスビルダー・ゼネコン・デベロッパー・建築関連業者などから依頼を受け、現場に赴いてサービスを提供して収益を得るという仕組みであります。サービスを提供する主な技術者は、当社独自の技術教育研修プログラムによって教育を受けた直接雇用による従業員や当社から独立して協力業者となった元従業員が中心でありますが、状況によっては協力業者の場合もあります。
収益性の側面では、技術者一人一人が現場に赴いてサービスを提供するビジネスであることから、全国49拠点に展開している技術者が、機動性高く効率的に稼働することが非常に重要であります。そのため、技術者の稼働状況を常時システム上で管理して生産性を高めております。

(2)住環境向け建築サービス
住環境向け建築サービスは、引渡し後の住宅の定期点検(クリニックサービス(注1))や各種メンテナンス、住宅オーナーからの問合せに対応するコールセンター、大規模な改修を伴わない小規模なリフォーム、住宅設備等に発生した不具合や施工時に発生した不具合の対象となる物件に対して一斉に対応するリコール対応(リフィットサービス(注2))など、主に既存住宅向けのサービスを提供しており、住宅循環システムを支えるための住宅ライフサイクル全体をワンストップでカバーできる体制を構築しております。
戦後の日本の住宅政策は、住宅難を解消するために「1世帯1住宅」の目標を掲げ、「早く・安く・新築住宅を供給する」ことを第1目標としてきたため、住宅産業もその政策に沿って発展してきました。しかしながら、少子高齢化による人口減少などを背景に、それらの住宅政策を大きく転換する必要に迫られてきました。そこで、2006年に「住生活基本法」が制定され、2016年に閣議決定された「住生活基本計画」に引き続き、2021年に新たな「住生活基本計画」が閣議決定されました。国土交通省主導のもと、この計画に沿って具体的な目標設定、施策決定、法整備などが進められております。そのなかで、住宅分野での「DXの推進」や、住宅ストック・産業での「住宅循環システムの構築」などを目標に、「住宅の設計から建築、維持・管理に至る全段階におけるDXの推進」や「住宅の計画的な点検・修繕及び履歴情報の保存の推進」といった施策が策定されております。これらの施策は、当社グループの住環境向け建築サービスにとっては大きな追い風となっております。
住宅事業者は、従来「新築住宅を作って売るまで」を中心としたビジネスモデルとなっておりましたが、今後は自らが手がけた物件のリフォームを他のリフォーム業者等に奪われないための施策が重要であり、引渡した後のアフターフォロー体制の充実や顧客とのコミュニケーションを継続する仕組みの強化が求められます。当社グループでは、住宅事業者を支援するための「定期点検」「維持・管理のためのメンテナンス」「検査」「コールセンター(お客様問合せ窓口)」以外にも、住宅事業者と住宅オーナーとのつながりを強固にし、生涯顧客化を促す「オーナーズクラブ型コミュニケ―ション支援ツール(「ツナゲルクラウド」(注3))」などを提供しております。
ビジネスモデルといたしましては、リペアサービスの取引先顧客に対してアフターメンテナンス強化のご提案を行い、取引先顧客のニーズに合わせて「定期点検」や「メンテナンス」「コールセンター」また「ツナゲルクラウド」などのメニューをパッケージ化して契約を獲得しております。新築住宅市場の縮小を懸念する住宅事業者が、既存住宅に向けたアフターフォロー体制を強化する流れは年々強くなっており、住環境向け建築サービスは順調に推移しております。また、これらのサービスは契約に基づく積上型・継続型のビジネスモデルであり、今後も安定的な成長を見込んでおります。
(注)1.クリニックサービスとは、新築住宅引渡し後、定期的に住宅の状態を点検する「定期点検」の呼称であります。
2.リフィットサービスとは、住宅設備等に発生した不具合(例えば、金具の製品不良が発生したため交換が必要になった)や施工時に発生した不具合(例えば、メーカーが指定した取付方法に瑕疵があり、取付直しが必要になった)などの住宅や施設関連で発生したリコールに対応するサービスの呼称です。このような不具合は、同時多発的に発生することが多く、全国各地で一斉に作業が必要になるため、当社グループの強みが活かされるサービスであります。
3.ツナゲルクラウドとは、住宅事業者が独自ツールとして展開しながら住宅オーナーとの関係性強化を図ることができるコミュニケーション支援ツールの呼称です。この当社グループが提供しているツールにより住宅事業者は住宅オーナーとの密接なコミュニケーションが開始でき、「生涯顧客」としての囲い込みを促しております。住宅オーナーは「住宅メンテナンス履歴」や「定期点検の予約」「リフォーム相談」などをそのツールを通して気軽に確認、行うことが可能となります。また、住宅事業者の負担となるであろう販促活動の実務や、日常の問合せ対応などをサポートする「運営支援サービス」も合わせて当社グループで行うことができるため、住宅事業者にとって利便性の高いサービスとなっております。

(3)商環境向け建築サービス
商環境向け建築サービスでは、商業施設の内装工事、オフィス移転時の家具や什器の搬入・設置や内装工事、家具の組立てや取付け、建材揚重など多岐にわたるサービスを提供しており、百貨店やショッピングセンター、チェーン店などで見られる多店舗一斉工事、複数業者一斉入場等の同時多発的な現場対応に精通し、機動性に富んだサービスを提供できる体制となっております。
商業施設は、住宅に比べて建物の規模が大きいため、短期間に多数の人材が必要とされる場合が多くあります。これに対して当社グループは、正社員に加え、多数の登録スタッフを柔軟に組み合わせることで顧客の要求に速やかに応えることができる体制を実現しており、機動性を生み出す源泉となっております。家具の組立てにおいては、北欧系で世界中に店舗展開している大手家具メーカーの日本国内における組立サービスを全店舗引き受けるなど、国内を幅広くカバーしており、顧客の多様なニーズに対して、常に適切なサービス提供が可能な体制を構築しております。また、建材揚重は、建築途中の建物内に、建材を必要な分量・数に振り分けて運び入れる作業であり、あらゆる建築現場で発生する作業でありますが、地域により別の工種の人材がその役割を兼ねている場合があります。一方で、建築業界は就労する人材の高齢化が進んでおり、今後こうした作業の分業化が進むことが予想され、さらなる需要拡大を見込んでおります。

(4)商材販売
商材販売は、主にリペアサービスで使用するプロ向けから一般向けまで幅広いレベルのリペア材料やメンテナンス材料を取り扱っております。商材については国内メーカーはもちろんのこと、代理店契約を締結した海外メーカー(注)からも仕入れております。さらに、国内塗料メーカーと協力してオリジナル商品の開発も手がけております。それらの商材を全国のホームセンターや量販店の店頭、ECサイトなどで販売しております。
(注)海外メーカーとは、ドイツのHeinrich König GmbH & Co.KG社と、アメリカのMohawk Finishing Products Division of RPM Wood Finishes Group,Inc.社であります。いずれも、世界各国に製品を出荷しております。

(5)抗ウイルス抗菌サービス
抗ウイルス抗菌サービスは、住宅・商業施設・店舗・教育施設などあらゆる空間での感染症対策として、光触媒コーティング「レコナ エアリフレッシュ」などの抗ウイルス抗菌関連のサービスを提供しております。新型コロナウイルス感染拡大の影響により、衛生面を意識した環境づくりを行うことが常態化してきております。そのような情勢のなか、当社グループは抗ウイルス抗菌サービスを通してそのニーズに貢献しております。

以上で述べた事項を、住宅向け建築サービス(リペアサービス、住環境向け建築サービス、商材販売、抗ウイルス抗菌サービス)に絞って系統図で示すと次のとおりであります。

当社グループ全体の事業系統図は次のとおりであります。

(注)1.特定子会社であります。
2.有価証券報告書を提出しております。
3.株式会社バーンリペアについては、売上高(連結会社相互間の内部取引売上高を除きます。)の連結売上高に占める割合が10%を超えております。
主要な損益情報等 ①売上高 5,690,955千円
②経常利益 199,789千円
③当期純利益 121,774千円
④純資産額 564,292千円
⑤総資産額 1,329,717千円
4.株式会社キャンディルテクトについては、売上高(連結会社相互間の内部取引売上高を除きます。)の連結売上に占める割合が10%を超えております。
主要な損益情報等 ①売上高 4,876,812千円
②経常利益 172,599千円
③当期純利益 114,727千円
④純資産額 608,750千円
⑤総資産額 1,264,466千円
(注)1.従業員数は、当社グループから当社グループ外への出向者を除き、当社グループ外から当社グループへの出向者を含む就業人員数であり、臨時雇用者数(契約社員、パートタイマーを含みます。)は年間の平均稼動人数を( )内に外数で記載しております。
2.当社グループは、建築サービス関連事業の単一セグメントであるため、セグメント別の記載は省略しております。
(注)1.当社は、純粋持株会社であり、建築サービス関連事業の単一セグメントであるためセグメント別の記載を省略しております。
2.従業員数は、当社から社外への出向者を除き、社外から当社への出向者を含む就業人員数であり、臨時雇用者数(契約社員、パートタイマーを含みます。)は年間の平均稼動人員数を( )内に外数で記載しております。
3.平均年間給与は、基準外賃金及び賞与を含んでおります。
文中における将来に関する事項は、本書提出日現在において、当社グループが判断したものであります。
当社グループは、「革新創造」を社是とし、「世界に誇れる独創的建物サービスで社会と感動を分かち合う」というグループ理念にもとづき、「全ての建物に“キャンディル”」というグループビジョンを実現すべく、健全かつ適切な業務運営を通じて、持続的な事業の成長とさらなる企業価値の向上を目指しており、お客様や地域社会からの長期にわたる揺るぎない信頼の確立を図らなければならないものと考えております。
当社グループは、持続的な事業の成長とさらなる企業価値の向上を実現するため、収益力の拡大が最重要課題と認識しており、特に安定的な企業価値の向上につながる営業利益とその成長率、及び営業活動によるキャッシュ・フローの増加を最重要指標として、収益性の向上・財務体質の充実に取り組んでまいります。
当社グループの主力事業を取り巻く外部環境としては、新型コロナウイルス感染症のワクチン接種や各種政策などにより経済活動の正常化に向けた動きが見受けられました。しかし新型コロナウイルス変異株の感染拡大や、ロシアのウクライナ侵攻によるさらなる原油価格の高騰、また日米の金利差拡大による円安の加速に起因する物価上昇など景気を下押しするリスクも多く、先行き不透明な状況が続いておりました。
建築業界における市場環境としては、人口減少や労働市場との需給バランスの崩れなどの影響による人手不足の深刻化、ウィズコロナ時代におけるオフィスや商業施設、住宅に対するニーズの変化、他業界よりDXが遅れている状況などが顕在化しております。また住宅市場においては、人口減少に伴う新設住宅着工戸数の減少が見込まれており、新しく建てるのではなく、既存の住宅を手直しするといったアフター・ストック市場が拡大傾向にあります。そのため、リフォームや修繕といったアフターメンテナンスの需要に対応していくための仕組みづくりを推進することが住宅事業者に求められております。特に既存の戸建住宅は、管理組合等がなく、住宅オーナー個人の責任でメンテナンスや管理を長期にわたって継続していかなければならないため、住宅オーナーの負担軽減フォローが重要であります。
建物を取り巻く環境は加速度的に変化しておりますが、当社グループとしましては、引き続き事業環境の変化に対応するサービスの強化、収益力の向上と財務基盤の強化に積極的に取り組んでまいります。具体的には、①「人材の確保と早期戦力化」、②「アライアンスの推進」、③「外部とのデータ連携強化のスピードアップ」、④「住環境向け建築サービスの強化」の4点を重要課題として取り組んでまいります。
①「人材の確保と早期戦力化」については、当社グループは労働集約型のビジネスモデルであり、人材は当社グループの事業にとってなくてはならない重要なファクターであると考えております。従来は直接雇用の技術者によるサービス提供が大部分を占めておりましたが、近年はサービスメニューの拡大や対応範囲の多様化に伴って協力業者やフランチャイズ加盟店の拡大に力をいれてまいりました。しかしながら、コロナ禍以降の労働市場の変化によって採用環境が厳しくなり直接雇用の技術者層を維持するためにも採用活動の強化が求められる環境となったことを受け、今後は、協力業者やフランチャイズ加盟店などの外部の労働力拡大だけでなく自社技術者の採用にも今まで以上に注力し、高い技術力をもったコア技術者の拡大も図り、全方向から労働力拡大を進めてまいります。併せて早期の戦力化を実現する教育体制も強化し、サービス提供網の拡充を図ってまいります。
②「アライアンスの推進」については、これまでも様々な企業とアライアンスを進め、受注機会の創出、相互送客の推進、提供サービスの多様化などを追求してまいりました。今後も広い視野で様々な業界とのシナジー効果を検討し、異業種とのアライアンスにチャレンジしてまいります。
③「外部とのデータ連携強化のスピードアップ」については、単なる当社グループ内のICT化から一歩踏み出し、当社グループと顧客とのデータ連携、当社グループと協力会社とのデータ連携などを進めることで、より一層の業務効率化や提供サービスの質向上を図ってまいります。データはつながることで様々な威力を発揮することが周知の事実となってきております。日本政府も先進国の中で日本がこのICT化やデータ連携の分野において遅れをとっていることを懸念に感じてきており、今後は国策として日本のICT化をスピードアップさせていくものと考えられます。当社グループもこの動きに後れを取ることがないように、ますます外部とのデータ連携強化をスピードアップさせてまいります。
また、過去当社グループにおいて情報セキュリティインシデントを発生させたことを反省し、情報セキュリティの管理体制が当社グループ・取引先企業の成長の足かせにならないよう、引き続きグループ各社一丸となり管理体制の強化も推進してまいります。
④「住環境向け建築サービスの強化」については、当社グループは住宅ライフサイクルをワンストップでカバーできる体制の充実を目指して取り組んでまいりました。特に住宅の資産価値を維持し、長く快適に暮らしていくために、住宅におけるアフターメンテナンスの仕組みづくりや、住宅事業者と住宅オーナーをつなぐコミュニケーション基盤となる支援ツール「ツナゲルクラウド」の拡販を推進しております。今後は、それらに加えて、住宅オーナーに住宅の劣化状態を安価で効率よく可視化して報告できる「ドローン点検」のサービス提供体制を全国に広げ、当社グループの住環境向け建築サービスが、より付加価値が高く競争力のあるサービスとしてレベルアップするよう強化してまいります。
当社グループの事業内容その他に関するリスクについて、投資家の判断に重要な影響を及ぼす可能性がある事項を以下に記載しております。ただし、全てのリスクを網羅したものではなく、業績に影響を与え得るリスク要因はこれらに限定されるものではありません。
なお、文中の将来に関する事項については、本書提出日現在において入手可能な情報に基づいて、当社グループが判断したものであります。
(1)業績の季節的変動について
当社グループが行うリペアサービス、住環境向け建築サービス、商環境向け建築サービスにおいては、戸建住宅、集合住宅、商業施設等の引渡しが集中する3月、9月及び12月に売上が拡大する傾向があります。当該時期に、何らかの事由により売上が減少した場合は、当社グループの事業、経営成績及び財政状態に影響が及ぶ可能性があります。
(2)建築関連の市場環境の変化について
当社グループは、戸建住宅及び集合住宅向けのリペア(補修)業務や点検業務、商業施設向けの施工業務等、建築関連向けのサービスを主たる事業領域としております。当該事業は、景気動向、金利、地価、税制及び政策等に大きく影響を受けます。
今後の景況感の悪化、所得の低下、金利の上昇、地価の上昇、政策の変更及び税制の変更があった場合は、市場環境が変化し、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
(3)自然災害や感染症等の発生について
地震、台風等の大規模な自然災害やウイルス等による感染拡大により、工事の中断や大幅な遅延が発生し、あるいは当社グループの事業所等が大規模な被害を受けた場合は、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
(4)競合について
当社グループの提供する建築サービス関連業界は、個人事業主でも技術を身に付ければ容易に事業を開始できる等、参入障壁が低くなっております。当社グループは、人材の採用、教育及び協力業者の組織化といった点で新規参入者に対して優位にあると考えておりますが、今後、新規参入者の増加により競争が激化した場合には、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
(5)のれんについて
当社グループは、過去のM&A及びグループ再編の結果、多額ののれんを計上しております。当該のれんについては、将来の収益力を適切に反映しているものと判断しておりますが、当社グループの対象となる事業において将来の収益力が低下した場合には、当該のれんについて減損損失を計上するため、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
(6)多額の借入金について
当社は本書提出日現在、複数の金融機関から多額の資金を借入れており、当該金融機関と締結している金銭消費貸借契約等のなかには、連結経常損失を計上しないこと、連結純資産額の水準を一定以上に維持すること、純有利子負債が0を上回らないことなど、財務制限条項が定められているものがあります。
今後、当社では借入金を減少させるべく取り組んでまいりますが、金利が上昇した場合、事業計画の未達成等により借入金の返済計画に変更が生じた場合、財務制限条項に抵触したことにより借入金を一括返済する必要が生じた場合には、当社グループの財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
(7)人材について
当社グループにおいては、人材の安定的な確保及び育成が事業継続のために不可欠でありますが、人材の確保及び育成が計画通りに進まない場合や退職者が増加した場合、不祥事により損害が発生した場合や士気が低下した場合には、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
(8)外注先の確保について
当社グループでは、受注したサービスの一部を協力会社に発注しております。協力会社については、同行調査等により安全・品質管理の徹底等に最善を期しておりますが、個別の作業現場においてトラブルが発生した場合、また今後、受注件数の増加により協力会社を適時に確保できなかった場合は、当社グループの業務の停滞につながり、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
(9)労働環境の変化について
当社グループには、正社員のほか有期契約社員、登録スタッフ等、様々な雇用形態の社員が業務に従事しております。当社グループでは、長時間労働の抑制や2016年10月からの短時間労働者に対する社会保険の適用拡大等、労働環境の変化や法改正に対応しておりますが、今後、労働関連法規制への違反等が発生した場合には、当社グループの社会的信用、事業運営、経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
また、人手不足等による人件費の高騰や外注費の増加が発生した場合には、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
(10)法令違反、法的規制に関するリスク
当社グループは、労働基準法等労働法のほか、建設業法、労働者派遣法など関連法令による規制を受けております。当社グループでは、関連法令を遵守して事業を展開しており、本書提出日現在において、法令違反による許認可の取消しなど事業運営に支障を来すような事象は発生しておりませんが、それらの法令が改正された場合や当社グループ又は当社グループ従業員が関連法令違反を犯した場合には、当社グループの社会的信用、事業運営、経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
なお、当社グループ各社が取得している許認可等の状況は以下のとおりであります。
(11)訴訟等に関するリスク
当社グループは広範な事業活動を行っており、知的財産権、環境、労務等に関連した訴訟等の対象となるリスクがあります。重大な訴訟等が提起された場合には、当社グループの社会的信用、事業運営、経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
(12)重大な事故の発生について
当社グループが手掛けるサービスの中には、建設現場における重量物の搬出入や高所での作業等、危険を伴うサービスがあります。当社グループでは、従業員への教育や指導を通じ、従業員の安全確保に努めておりますが、それらへの対応が不十分であった場合には、重大な事故につながり、当社グループの社会的信用、経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
(13)個人情報保護について
当社グループでは、取引先及び住宅オーナー等に係る個人情報を有しております。2007年6月に子会社の株式会社バーンリペアでプライバシーマークを取得する等、個人情報保護に対する適切な対応を行うための体制を整備しておりますが、今後、個人情報の漏洩事故等が発生した場合には、当社グループの社会的信用、経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
(14)情報システムへの依存について
当社グループは、受発注、作業日程管理、請求等に関する業務を情報システムを利用して行っております。プログラムの不具合やコンピュータ・ウイルス、外部からのサイバー攻撃等により、当社グループの情報システムに重大な障害が発生した場合には、当社グループの事業運営、経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
(15)内部管理体制について
当社グループは、建築サービスを手掛ける企業同士がM&Aにより経営統合し、形成されてきたため、独自の企業文化や経営管理手法を有する企業によりグループが構成されておりました。当社は、グループ各社の内部管理体制を整備しており、今後も強化していく予定でありますが、事業の急速な拡大等により内部管理体制の構築が追いつかないという事態が生じる場合には、当社グループの事業展開、経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
(16)その他の関係会社との関係について
当社は2022年8月に株式会社サカイ引越センターと資本業務提携契約を締結し、同社は当社の主要株主である筆頭株主及びその他の関係会社に該当しております。株式会社サカイ引越センターによる当社株式の保有方針が変更された場合は、当社株式の流動性及び株価形成等に影響を及ぼす可能性があります。また、同社との業務提携内容に変更が生じた場合には、当社の今後の事業計画に影響を及ぼす可能性があります。
当連結会計年度における当社グループ(当社及び連結子会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」といいます。)の状況の概要は次のとおりであります。
① 財政状態及び経営成績の状況
当連結会計年度(2021年10月1日~2022年9月30日)におけるわが国経済は、新型コロナウイルス感染症のワクチン接種や各種政策などにより経済活動の正常化に向けた動きが見受けられました。しかし新型コロナウイルス変異株の感染拡大や、ロシアのウクライナ侵攻によるさらなる原油価格の高騰、また日米の金利差拡大による円安の加速に起因する物価上昇など景気を下押しするリスクも多く、先行き不透明な状況が続いておりました。
当社グループ事業に関係の深い住宅業界におきましては、国土交通省発表による2021年10月~2022年9月累計の新設住宅着工戸数は、戸建てが前年同期比98.6%と減少し、分譲マンションが前年同期比104.7%と増加し、住宅市場全体としては前年同期比102.3%と堅調に推移いたしました。
このような状況のもとで、当社グループは「世界に誇れる独創的建物サービスで社会と感動を分かち合う」というグループ理念にもとづき、「全ての建物に“キャンディル”」というグループビジョンを実現すべく、持続的な事業の成長とさらなる企業価値の向上を目指して、激しく移り変わるお客様のニーズや時代の変化に寄り添いながら、2021年に新しく閣議決定されました「住生活基本計画」に沿ったサービスの拡充に取り組み、住環境向け建築サービス及び商環境向け建築サービスの売上拡大に努めてまいりました。新型コロナウイルス感染症による様々な制限のもとでの社会活動の在り方を模索していた時期が過ぎ去り、徐々に社会活動が回復し、当社グループのサービス提供機会も回復をみせ、商環境向け建築サービスの売上高は復調傾向を示しました。しかしながらウィズコロナ時代における労働市場の需給バランスの崩れなどによる人手不足、及び最低賃金上昇などに起因する近年の労働賃金単価上昇の影響などがあり、当社グループの採用活動も難航し、その影響を強く受けたリペアサービスや住環境向け建築サービス分野での売上高が伸び悩みました。一方で、ICT化の推進による業務効率向上や、業務フローの見直し等でコスト圧縮につなげるなど、当社グループの経営体制強化を推し進めてまいりました。
この結果、当連結会計年度末における資産合計は6,480,398千円となり、前連結会計年度末に比べ886,193千円の減少となりました。負債合計は3,963,548千円となり、前連結会計年度末に比べ142,147千円の減少となりました。純資産合計は2,516,850千円となり、前連結会計年度末に比べ744,045千円の減少となりました。
当連結会計年度における売上高は11,268,815千円(前年同期比100.4%)、営業利益は337,292千円(前年同期比532.6%)、経常利益は303,700千円(前年同期比828.6%)、親会社株主に帰属する当期純利益は105,540千円(前年同期は72,823千円の親会社株主に帰属する当期純損失)となりました。なお、当社グループでは組織再編及びM&Aの実施に伴い発生したのれん償却費を販売費及び一般管理費に192,223千円計上しており、これを加えたのれん償却前経常利益は495,923千円(前年同期比216.7%)、のれん償却前親会社株主に帰属する当期純利益は297,763千円(前年同期比249.4%)となりました。
当社グループは、建築サービス関連事業の単一セグメントとしておりますが、サービス分野別の状況は以下のとおりであります。
(リペアサービス)
当連結会計年度におけるリペアサービスの連結売上高は4,185,734千円(前年同期比101.0%)となりました。
株式会社バーンリペアは主に戸建てを中心としたリペアサービスを提供しておりますが、需要を取り込んだ結果、同社のリペアサービスの売上高は3,393,753千円(前年同期比104.4%)となりました。株式会社キャンディルテクトは主に集合住宅を中心としたリペアサービスを提供しておりますが、採用活動の遅れにより需要を取り込み切れず、同社のリペアサービスの売上高は791,981千円(前年同期比88.6%)となりました。
(住環境向け建築サービス)
当連結会計年度における住環境向け建築サービスの連結売上高は2,832,195千円(前年同期比94.7%)となりました。
株式会社バーンリペアは主に戸建てを中心とした定期点検や小型修繕・各種施工・検査、リコール対応を提供しておりますが、定期点検は順調に推移したものの、継続案件として対応しておりました大型のリコール対応が終了したことなどにより、同社の住環境向け建築サービスの売上高は2,217,779千円(前年同期比93.5%)となりました。株式会社キャンディルテクトは主に集合住宅を中心とした検査を提供しておりますが、同社の住環境向け建築サービスの売上高は614,416千円(前年同期比99.3%)となりました。
(商環境向け建築サービス)
当連結会計年度における商環境向け建築サービスの連結売上高は3,452,945千円(前年同期比108.6%)となりました。
商環境向け建築サービスは主に商業施設等の内装施工、家具組立て、揚重を提供しておりますが、商環境の市場回復に伴うオフィスや商業施設、店舗の改修案件などを取り込んだ結果、増収となりました。
(商材販売)
当連結会計年度における商材販売の売上高は601,646千円(前年同期比90.9%)となりました。
商材販売は主にリペア材料やメンテナンス材料を販売しておりますが、ECサイトの情報セキュリティインシデントの影響を受け減収となりました。
(抗ウイルス抗菌サービス)
当連結会計年度における抗ウイルス抗菌サービスの売上高は196,293千円(前年同期比81.6%)となりました。
抗ウイルス抗菌サービスは主に抗ウイルス抗菌コーティング「レコナ エアリフレッシュ」を提供しております。
当連結会計年度末における現金及び現金同等物(以下「資金」といいます。)の残高は1,892,412千円と(前連結会計年度は2,600,363千円)、前連結会計年度末に比べ707,951千円の減少となりました。
当連結会計年度における各活動によるキャッシュ・フローの状況は以下のとおりであります。
営業活動の結果得られた資金は、467,772千円(前連結会計年度は35,518千円の支出)となりました。これは主に、税金等調整前当期純利益303,700千円を計上したこと、減価償却費58,446千円、のれん償却額192,223千円、売上債権が99,841千円増加したこと、未払消費税等が56,187千円増加したこと、法人税等の還付額49,618千円、法人税等の支払額90,862千円などによるものであります。
投資活動の結果使用した資金は、33,741千円(前連結会計年度は93,732千円の支出)となりました。これは主に、有形固定資産の取得による支出3,893千円、無形固定資産の取得による支出38,428千円などによるものであります。
財務活動の結果使用した資金は、1,141,982千円(前連結会計年度は725,820千円の支出)となりました。これは主に、短期借入金の純増加額458,335千円、長期借入金の返済による支出749,996千円、新株予約権の行使による株式の発行による収入4,500千円、自己株式の取得による支出794,420千円、配当金の支払による支出59,665千円などによるものであります。
当社グループは、生産活動を行っていないため、生産実績は記載しておりません。
当社グループは、建築サービス関連事業の単一セグメントであり、提供するサービスの性質上、受注実績の記載に馴染まないため、記載を省略しております。
当連結会計年度の販売実績をサービスごとに示すと、次のとおりであります。
(注)1.当社グループの報告セグメントは単一であるため、サービス毎に記載しております。
2.上記の金額には、消費税等は含まれておりません。
3.総販売実績に対する販売実績の割合が100分の10以上の相手先が存在しないため、主な相手先別の販売実績等の記載を省略しております。
(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。なお、文中における将来に関する事項は、当連結会計年度末において判断したものであります。
ⅰ.財政状態の分析
当連結会計年度末における資産合計は6,480,398千円となり、前連結会計年度末に比べ886,193千円の減少となりました。流動資産は3,749,580千円となり、前連結会計年度末に比べ684,535千円の減少となりました。これは、主に、新型コロナウイルス感染拡大による景気の悪化に備えて調達した銀行借入の返済や自己株式の取得により現金及び預金が707,951千円減少したこと、受取手形及び売掛金が99,841千円増加したことなどによります。固定資産は2,730,817千円となり、前連結会計年度末に比べ201,657千円の減少となりました。これは、主にのれんが192,223千円減少したこと、ソフトウェアが3,365千円減少したことなどによります。
負債合計は3,963,548千円となり、前連結会計年度末に比べ142,147千円の減少となりました。流動負債は2,795,568千円となり、前連結会計年度末に比べ557,493千円の増加となりました。これは、主に買掛金が8,453千円減少したこと、短期借入金が458,335千円増加したこと、1年内返済予定の長期借入金が50,000千円減少したこと、未払法人税等が103,323千円増加したこと、未払消費税等が56,187千円増加したこと、賞与引当金が11,890千円増加したこと、未払費用が29,943千円減少したことなどによります。固定負債は1,167,979千円となり、前連結会計年度末に比べ699,641千円の減少となりました。これは、主に長期借入金が699,996千円減少したことなどによります。
純資産合計は2,516,850千円となり、前連結会計年度末に比べ744,045千円の減少となりました。これは、主に自己株式を794,420千円取得したこと、利益剰余金が45,874千円増加したこと、資本金が2,250千円増加したこと、資本剰余金が2,250千円増加したことなどによります。この結果、自己資本比率は38.8%(前連結会計年度末比5.5ポイント減少)となりました。
ⅱ.経営成績の分析
当社グループのサービス別売上高は前連結会計年度に比べ、リペアサービスは前年同期比101.0%の4,185,734千円、住環境向け建築サービスは前年同期比94.7%の2,832,195千円、商環境向け建築サービスは前年同期比108.6%の3,452,945千円、商材販売は前年同期比90.9%の601,646千円、抗ウイルス抗菌サービスは前年同期比81.6%の196,293千円となり、連結売上高は前年同期比100.4%の11,268,815千円となりました。連結売上高の微増要因としては、商環境向け建築サービスの好調が大きく影響しております。商環境向け建築サービスは商環境市場の回復需要を取り込み、前年に比べて売上高が伸長いたしました。しかし、リペアサービスや住環境向け建築サービスは、採用活動が難航していたことに加え、住環境向け建築サービスにおいては大型のリコール案件の終了や新型コロナウイルス感染症の罹患による訪問延期やキャンセルの影響もあり、連結売上高は伸び悩みました。売上高の伸長に伴い売上総利益は増加いたしました。さらに前期の事務センター閉鎖に伴うコスト削減と業務効率向上や、オペレーション部門や間接部門の業務再分担や業務フローの見直しなどにより販売費及び一般管理費は減少いたしました。その結果、営業利益は前連結会計年度に比べ前年同期比532.6%の337,292千円、経常利益は前年同期比828.6%の303,700千円、親会社株主に帰属する当期純利益は105,540千円(前年同期は72,823千円の親会社株主に帰属する当期純損失)となりました。
当社グループのキャッシュ・フローの状況については、「(1)経営成績等の状況の概要 ② キャッシュ・フローの状況」に記載のとおりであります。
当社グループの資金需要は、主に人件費及び外注費の支払い、リペア材料・メンテナンス材料の仕入資金であります。当社グループは、事業活動に必要な資金を確保するため、内部資金を活用するほか、金融機関からの借入を行っております。また、資金使途に応じて最適な資金調達手法を検討し、適切なコストで安定的に資金を確保することを基本方針としております。
③ 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められる企業会計の基準に準拠して作成しております。この連結財務諸表の作成にあたっては、資産・負債および収益・費用に影響を与える見積りを必要とする箇所がございます。これらの見積りにつきましては、経営者が過去の実績や取引状況を勘案し、会計基準の範囲内でかつ合理的に判断しておりますが、見積りには不確実性が伴うため、実際の結果と異なる可能性があることにご留意下さい。連結財務諸表の作成にあたって用いた会計上の見積り及び仮定のうち、重要なものは「第5 経理の状況 1連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項 (重要な会計上の見積り)」に記載のとおりであります。
(3)経営者の問題意識と今後の方針について
現在のわが国経済は、新型コロナウイルス感染症による厳しい状況から一服し、ワクチン接種や政府の政策などにより一部に経済持直しの動きが見受けられる一方で、エネルギー価格や資材価格の高騰、円安の進行、外国人労働者の日本離れなどの景気の下押しリスクも多く、時代の情勢に合わせて、常に方針をアジャストさせていく必要があります。特に当社グループは「労働集約型」のサービスを提供しており「人材」は欠かせない経営資源だと考えているため、新しい人材の確保や既存従業員が長く働き続けられる環境を整備することは非常に重要な課題だと捉えております。人材に対する投資を進め、協力業者やフランチャイズ加盟店とも協力し、全方向から労働力を確保することで、まずは着実に成長回帰し、その上で事業の拡大・安定化を目指してまいります。また、将来の成長に向け、人材への投資だけでなくDXなどへの投資も行いながら、加速度的に変わる社会情勢や世の中のニーズに沿ったサービスの拡充を図ることで、より一層お客様から選ばれ、社会に貢献していける会社となれるよう努めてまいります。
当社は、株式会社サカイ引越センターとの間で、資本業務提携契約を締結しております。
(1)業務提携の目的・理由
建物のメンテナンス(修繕・改修・維持・管理)事業における強みを有する当社グループと、引越運送事業における強みを有する株式会社サカイ引越センターが、それぞれの経営資源を相互に活用し、次世代サービスの構築につながる中長期的な取り組みを進めることによる両社の事業拡大と発展を図ることを目的としております。
(2)業務提携の内容
両グループが保有する経営資源やノウハウを相互に活用し、両グループが展開する事業の拡大及び発展を図ることを主たる目的として、主に以下の事項について業務提携を行ってまいります。
① 当社グループによる株式会社サカイ引越センターの引越運送事業に対する成長に向けた取り組み
② 株式会社サカイ引越センターによる当社グループのリペア事業及びリフォーム事業に対する成長に向けた取り組み
③ その他、株式会社サカイ引越センター及び株式会社サカイ引越センターの関連会社と当社グループの企業価値向上に向けた取り組み
(3)株式会社サカイ引越センターによる当社普通株式の取得
株式会社サカイ引越センターは、2022年8月に新生クレアシオンパートナーズ2号投資事業有限責任組合が保有する当社普通株式2,521,200株を市場外の相対取引により取得し、当社の主要株主である筆頭株主及びその他の関係会社に該当しております。
(4)提携推進委員会の設置
業務提携の具体化、深化その他更なる発展の可能性等について継続的に検討及び協議を行うことを目的として、提携推進委員会を設置しております。
(5)役員の派遣
株式会社サカイ引越センターは当社に対し取締役候補者1名を推薦することができ、当社は当社株主総会において、当該取締役候補者を含む取締役選任議案を付議することについて合意しております。
(注)1.当社は「建築サービス関連事業」の単一セグメントであるため、セグメント別の記載を省略しております。
2.上記以外にソフトウエアがあり、帳簿価額は15,118千円であります。
3.従業員数は、当社から社外への出向者を除き、社外から当社への出向者を含む就業人員数であり、臨時雇用者数(契約社員、パートタイマーを含みます。)は年間の平均稼動人員数を( )内に外数で記載しております。
4.本社等は連結会社以外から賃借しております。年間の賃借料(共益費を含みます。)は36,112千円であります。
(注)1.当社グループは「建築サービス関連事業」の単一セグメントであるため、セグメント別の記載を省略しております。
2.上記以外にソフトウエアがあり、帳簿価額は128,143千円であります。
3.従業員数は、当社グループから当社グループ外への出向者を除き、当社グループ外から当社グループへの出向者を含む就業人員数であり、臨時雇用者数(契約社員、パートタイマーを含みます。)は年間の平均稼動人員数を( )内に外数で記載しております。
4.上記事業所の建物及び構築物は連結会社以外から賃借しております。年間の賃借料(共益費を含みます。)は169,896千円であります。
該当事項はありません。
(注) 提出日現在発行数には、2022年12月1日からこの有価証券報告書提出日までの新株予約権の行使により発行された株式数は、含まれておりません。
会社法に基づく新株予約権は、次のとおりであります。
(注)1.新株予約権の行使の条件は以下の通りです。なお、2018年5月15日開催の臨時株主総会の決議により、以下の行使の条件のうち、(2)②の条件が変更されております。
(1)新株予約権者は、保有する新株予約権の行使の時点において当社又は当社関係会社の取締役若しくは従業員の地位になければならない。但し、当社又は当社関係会社の取締役を任期満了により退任した場合又は定年退職その他正当な理由のある場合はこの限りではない。
(2)新株予約権の行使は以下のいずれかに規定する事由が発生した場合において、①については当該事由が発生した日以降で取締役会が定める日以降、②乃至④については当該事由が発生した日から1か月以内において取締役会が定める日においてのみ、行使できるものとする。
①当社の普通株式が東京証券取引所その他国内外の金融商品取引市場において取引銘柄として上場されることが決定した場合
②当社の発行済普通株式の過半数に相当する株式を譲渡により取得した者により、当社に対し、当該株式に係る株主名簿記載事項を株主名簿に記載し、又は記録することの請求が行われた場合
③当社を当事会社とする以下の組織再編に関する議案が株主総会(株主総会の承認を要しない場合は取締役会)において承認された場合
ⅰ. 合併契約
ⅱ. 新設分割計画又は吸収分割契約
ⅲ. 株式移転計画又は株式交換契約
④その他上記①乃至③に類する事由として取締役会の決議により認められた場合
(3)新株予約権者の相続人は、新株予約権を行使することはできない。
(4)新株予約権の一部を行使することはできない。
2.新株予約権の割当日後、当社が株式分割、株式併合を行う場合は、次の算式により付与株式数を調整、調整の結果生じる1株未満の端数は、これを切り捨てる。
3.新株予約権の割当日後、当社が株式分割、株式併合を行う場合は、次の算式により払込金額を調整し、調整により生ずる1円未満の端数は切り上げる。
また、新株予約権の割当日後に時価を下回る価額で新株式の発行または自己株式の処分を行う場合は、次の算式により払込金額を調整し、調整により生ずる1円未満の端数は切り上げる。
4.当社が、合併(当社が合併により消滅する場合に限ります。)、吸収分割、新設分割、株式交換又は株式移転(これらを総称して、以下「組織再編行為」といいます。)を行う場合においては、組織再編行為の効力発生日の直前の時点において新株予約権を保有する新株予約権者に対し、会社法第236条第1項第8号イ乃至ホに掲げる株式会社(以下「再編対象会社」といいます。)の新株予約権を以下の条件に基づきそれぞれ交付する。この場合においては、残存する新株予約権は消滅し、再編対象会社は新たに新株予約権を発行するものとする。但し、以下の条件に沿って再編対象会社の新株予約権を交付する旨を、吸収合併契約、新設合併契約、吸収分割契約、新設分割計画、株式交換契約又は株式移転計画において定めた場合に限るものとする。
(1)交付する再編対象会社の新株予約権の数
組織再編行為の効力発生日の直前の時点において新株予約権者が保有する新株予約権の数と同一の数とする。
(2)新株予約権の目的である株式の種類
再編対象会社の普通株式とする。
(3)新株予約権の目的である株式の数
組織再編行為の条件等を勘案の上、上記2に準じて決定する。
(4)新株予約権の行使に際して出資される財産の価額
交付される新株予約権の行使に際して出資される財産の価額は、組織再編行為の条件等を勘案の上調整した再編後の行使価額に上記(3)に従って決定される当該新株予約権の目的である再編対象会社の株式の数を乗じて得られる金額とする。
(5)新株予約権を行使することができる期間
交付される新株予約権を行使することができる期間は、本文に定める期間の開始日と組織再編行為の効力発生日のいずれか遅い日から、本文に定める新株予約権を行使することができる期間の満了日までとする。
(6)新株予約権の行使により株式を発行する場合における増加する資本金及び資本準備金に関する事項
上記の表内の「新株予約権の行使により株式を発行する場合の株式の発行価格及び資本組入額」に準じて決定する。
(7)新株予約権の行使の条件及び取得事由
新株予約権の行使の条件及び取得事由は、組織再編行為の際に当社取締役会で定める。
(8)譲渡による新株予約権の取得の制限
譲渡による新株予約権の取得については、再編対象会社取締役会の承認を要する。
5.2018年2月14日開催の取締役会決議により、2018年3月14日付で普通株式1株につき100株の株式分割を、2019年8月14日開催の取締役会決議により、2019年9月1日付で普通株式1株につき2株の株式分割を行っております。これにより「新株予約権の目的となる株式の数」、「新株予約権の行使時の払込金額」及び「新株予約権の行使により株式を発行する場合の株式の発行価格及び資本組入額」が調整されております。
該当事項はありません。
(注)1.有償一般募集(ブックビルディング方式による募集)によるものであります。
発行価格 1,180円
引受価額 1,085.60円
資本組入額 542.80円
2.新株予約権の権利行使による増加であります。
3.株式分割(1:2)によるものであります。
4.会社法第448条第1項の規定に基づき、資本準備金を減少し、その他資本剰余金へ振り替えたものであります。
(注)自己株式1,570,000株は、「個人その他」に15,700単元含まれております。
2022年9月30日現在
(注)1.前事業年度末現在主要株主であった新生クレアシオンパートナーズ2号投資事業有限責任組合は、当事業年度末では主要株主ではなくなり、株式会社サカイ引越センターが新たに主要株主となりました。
2.上記のほか当社所有の自己株式1,570,000株があります。