日本インシュレーション株式会社
(注) 1.潜在株式調整後1株当たり当期純利益については、潜在株式が存在しないため、記載しておりません。
2.第74期の株価収益率は当社株式が非上場であるため記載しておりません。
3.「収益認識に関する会計基準」(企業会計基準第29号 2020年3月31日)等を第77期の期首から適用しており、第77期以降に係る主要な経営指標等については、当該会計基準等を適用した後の指標等となっております。
(注) 1.潜在株式調整後1株当たり当期純利益については、潜在株式が存在しないため、記載しておりません。
2.第74期の株価収益率は当社株式が非上場であるため記載しておりません。
3.第74期及び第75期の株主総利回り及び比較指標は、2020年3月19日に東京証券取引所第二部に上場したため記載しておりません。第76期以降の株主総利回り及び比較指標は、2020年3月末を基準として算定しております。
4.最高及び最低株価は、2022年4月3日以前は東京証券取引所第二部におけるものであり、2022年4月4日以降は東京証券取引所スタンダード市場におけるものであります。なお、2020年3月19日付で同取引所に株式を上場いたしましたので、それ以前の株価については記載しておりません。
5.「収益認識に関する会計基準」(企業会計基準第29号 2020年3月31日)等を第77期の期首から適用しており、第77期以降に係る主要な経営指標等については、当該会計基準等を適用した後の指標等となっております。
提出会社は、1914年大阪府大阪市北区において、主に機械などのある部分から気体あるいは液体などの流体物質が漏れるのを防ぐ目的で使用されるパッキングの製造販売を目的とする会社として、現在の日本インシュレーション株式会社の前身で個人事業である「大阪パッキング製造所」を創立いたしました。
その後、1989年に名称を「日本インシュレーション株式会社」に改め、2013年には本社を大阪府大阪市中央区に移転いたしました。
日本インシュレーション株式会社設立以後の企業集団に係る経緯は、次のとおりであります。
当社グループ(当社及び当社の関係会社)は、当社、連結子会社(ジェイ アイ シー ベトナム有限会社)の計2社で構成されており、建築関連、プラント関連の工事、国内外での製品等の販売を主な事業として取り組んでおります。
当社グループは、ゾノトライト系けい酸カルシウムを基材とした各種の保温材、防耐火建材等の製造、販売及び設計・施工、関連資材の販売並びにアスベスト関連のコンサルティング、除去工事等を行っております。当社グループの製品は、1,000℃に耐えうる耐火性、断熱性等の性能と、軽量で加工しやすく、経年変化が少ないなどの特性を持ち、高層建築物や石油化学プラント、火力・原子力発電所等において、耐火材、不燃材、保温材等として幅広く使用されております。
当社及び当社の関係会社の事業における当社及び関係会社の位置付け及びセグメントとの関連は、次のとおりであります。なお、以下に示す区分は、セグメントと同一の区分であります。
当社は、ゾノトライト系けい酸カルシウム材を基材として、以下のような建材等を提供しています。
ⅰ)耐火被覆材:熱に弱い鉄骨のはり・柱、免震装置といった建物の構造部材を被覆して、火災時に、構造部材を火炎や熱から護り、建物の倒壊を抑制することで人命や財産を護る役割を担う耐火材として、建築基準法に基づく認定を取得した製品を提供しています。
ⅱ)内装建材:建築基準法では特定条件の建築物やその部位に対し、火災時の延焼抑制のために、燃えない建材(不燃建材)を使用することが義務付けられており、当社では、けい酸カルシウム板を、デザイン加工できる不燃の内装材として供給しています。他にも、非常用発電機等の煙突用断熱材や文化財等を保管する展示ケース・収蔵庫の湿度環境を整える調湿建材としても供給しています。
ⅲ)多機能材:当社のけい酸カルシウム材は、加工性・吸水性等の機能を併せ持っており、建材以外の用途に、加工しやすさを活かしたCFRP用型材、彫刻・刻字向け工芸用ボードや洗剤に使用するための吸油性の高い無機粉体等を販売しています。
当社では、耐火被覆材の販売にとどまらず、施工請負までを一貫して行っています。耐火被覆材は建築物の火災安全性を担保するものであり、自社工事の場合は責任施工となり協力会社に施工を依頼しますが、管理業務は当社の社員が行い、要求事項が充足されているか責任を持ちます。万一、契約不適合責任期間内に生じた不具合は全て当社の責任で修復します。
また、建物に施工された吹付けアスベストやアスベスト含有建材の除去工事も請け負っています。
顧客の要求に応じて、要求に関連する商品を仕入れて提供する事業も行っております。主要なものとして、建物の鉄骨はりにスリーブ管等を設置するための貫通孔用の耐火被覆材があります。高性能熱膨張性耐火ゴムシートを利用した商品となっております。
当社は、ゾノトライト系けい酸カルシウム材を基材として、以下のような保温材等を提供しています。
ⅰ)プラント用保温材:プラントのボイラーや反応器などの熱設備や高圧蒸気用の温熱配管等は、内部が高温になるため、熱を逃がさないようにする保温を行う必要があります。種々の保温材のうちでも、1000℃の高い耐熱性を持つ、けい酸カルシウム保温材は、これらの熱設備等に対して適性が高い保温材として採用されています。
また、東南アジア・東アジアを中心とした海外プラントでの保温材需要に対応して、ベトナム工場(ジェイ アイ シー ベトナム有限会社)で、バイオマスを原燃料とした、けい酸カルシウム保温材を製造し、供給しています。
ⅱ) 工業用断熱材:高い耐熱性が要求される工業炉の断熱材や蓄熱暖房機やスチームオーブンレンジ等の断熱材等に、けい酸カルシウム断熱材を供給しています。
また、顧客からの要求に応じて、他材料との複合材の開発等も行っています。
当社は、建築の耐火被覆材のノウハウを応用して、ゾノトライト系けい酸カルシウム材を基材としたプラントにおける鉄骨部材の耐火被覆材を提供しています。
当社では、けい酸カルシウム保温材の販売にとどまらず、その施工請負までを一貫して行っており、高性能断熱材を製造し、それを用いて断熱工事をすることで、省エネ効果やCO2排出を削減し、より高いレベルの品質管理を実現しています。また、自社製保温材以外の用途範囲の異なる他種の保温材を用いての施工も行い、プラント全体の保温保冷工事を一括して行う体制を整えています。
また、断熱工事や施工されたアスベスト含有建材の除去工事も請け負っています。
顧客の要求に応じて、要求に関連する商品を仕入れて提供する事業も行っております。主要なものとして、上記a)に記載したジェイ アイ シー ベトナム有限会社(連結子会社)の製品であるけい酸カルシウム保温材があります。当社のけい酸カルシウム保温材との違いは、もみ殻を燃料とし、燃え残った灰を保温材の原料として利用したバイオマス商品となっていることであります。
事業系統図は、次のとおりであります。

(注) 1.「主要な事業の内容」欄には、セグメント情報に記載された名称を記載しております。
2.特定子会社であります。
3.有価証券届出書又は有価証券報告書を提出している会社はありません。
(注) 1.従業員数は、当社グループから当社グループ外への出向者を除き、当社グループ外から当社グループへの出向者を含む就業人員数であります。
2.従業員数欄の(外書)は、臨時従業員の最近1年間の平均人員であります。
3.臨時従業員には、季節工、パートタイマー及び嘱託契約の従業員を含み、派遣社員を除いております。
4.全社(共通)は、生産部門(ジェイ アイ シー ベトナム有限会社を除く)、商品研究等部門及び総務、経理等の管理部門の従業員であります。
(注) 1.従業員数は、当社から他社への出向者を除き、他社から当社への出向者を含む就業人員数であります。
2.従業員数欄の(外書)は、臨時従業員の最近1年間の平均人員であります。
3.臨時従業員には、季節工、パートタイマー及び嘱託契約の従業員を含み、派遣社員を除いております。
4.平均年間給与は、賞与及び基準外賃金を含んでおります。
5.全社(共通)は、生産部門、商品研究等部門及び総務、経理等の管理部門の従業員であります。
当社には、労働組合に代わる機関として1967年に発足した「経営審議会」があり、経営全般に関する審議研究及び取締役会の諮問に対する答申機関として経営の合理化並びに従業員の生活向上を図る目的で運営されております。
なお、労使関係については、円滑な関係にあり、特記すべき事項はありません。
(4) 管理職に占める女性労働者の割合及び労働者の男女の賃金の差異
提出会社
(注) 「女性の職業生活における活躍の推進に関する法律」(平成27年法律第64号)の規定に基づき算出したものであります。
管理職は、課長心得(課長職候補者)以上を対象としております。
文中の将来に関する事項は、本書提出日現在において、当社グループが判断したものであります。
当社グループは、1914年の創業以来、保温・断熱分野で事業を展開し、さらに1966年に世界で初めて1000℃の耐熱性を有するゾノトライト系けい酸カルシウム材の製造技術を開発した後は、耐火・耐熱分野へと進出し、製品開発と用途開拓に努めてまいりました。
当社の主たる事業である保温・断熱材、耐火・耐熱材の製造販売・施工は、各々SDGs7(クリーンなエネルギーをみんなに)及びSDGs13(気候変動に具体的な対策を)、SDGs11(住み続けられるまちづくり)に貢献するものであります。すなわち当社のパーパス(存在意義)は、サステナブルな社会の実現に貢献することそのものであります。
このことは1977年に定めた当社の社是(信頼を高め 付加価値を創造し 人間を豊かにする)に表現されており、すべてのステークホルダーに信頼され、独自の技術をもって新たな付加価値を持つ製品を提供することにより、広く社会に貢献する企業となることを目指しております。
2021年6月には、「サステナビリティ経営の推進」を基本テーマに据えた中期経営計画(対象期間:2021~2023年度)を策定して開示しております。主要方策として、①脱炭素社会への実現への貢献、②レジリエントな社会実現への貢献、③ステークホルダーとのエンゲージメント深化、④ガバナンスの高度化によって、企業力の強化、信頼の醸成を図ることとしております。
① 脱炭素社会への実現への貢献
プラントでは保温保冷工事が、今後においてもバイオマス発電やアンモニア混焼発電など、熱を扱うプラントの省エネルギーのために不可欠であります。特に高効率発電で必要となる高温領域での保温は、耐熱温度1000℃を誇る当社製造のけい酸カルシウム保温材の最も得意とするところで、日本はもとより、海外へも日本の優れた、けい酸カルシウム技術・製品を展開してまいります。ベトナム工場(ジェイ アイ シー ベトナム有限会社)で製造する保温材「ダイパライト-E」は、バイオマス由来で二酸化炭素排出量削減にも貢献してまいります。
さらに、エネルギー等の諸問題の解決に貢献するため、環境分野での新事業開発を推進しております。
(2022年度における取組み例)
・岐阜、北勢地区の事業場において使用しているすべての電気に対し、中部電力ミライズ株式会社が提供するCO2フリー電気を導入しました。これにより、CO2排出量を年間で約4800t-CO2削減できる見込みであります。
・もみ殻を燃料・原料に利用したけい酸カルシウム保温材「ダイパライト-E」は従来品と比較して炭酸ガス排出量を大幅に削減した低炭素製品ですが、2022年11月、バイオマスから製造したけい酸カルシウム保温材として初めてJIS A9510(無機多孔質保温材)認証を取得しました。
② レジリエントな社会実現への貢献
建物の耐火は、今後も都市防災に不可欠であり、インターネット通販の拡大などを背景に、大型物流施設やデータセンターなどの新設は、今後も需要が見込まれております。
今後も各地で計画が進む大規模再開発事業における高層オフィスビルでの需要は、堅調に推移すると見込まれます。防災関連商品の開発(煙突材、不燃内装材などの実績あり)をさらに推進し、新商品の開発を推進してまいります。
けい酸カルシウム材を、加工性のよい耐熱素材として、CFRP(炭素繊維強化プラスチック)型材など建材以外への用途開発を推進してまいります。
(2022年度における取組み例)
・これまで採用が少なかった内装工事業者でも扱いやすい鉄骨耐火被覆工法の新認定を取得しました。
・既存の認定がカバーしていなかった免震装置向けの耐火構造認定を取得し、設計しやすさを向上させました。
③ ステークホルダーとのエンゲージメント深化
取引先様、株主様、従業員、地域などすべてのステークホルダーに信頼される経営を実践してまいります。このために、ステークホルダーとのコミュニケーションを事業のあらゆる側面を通じて深めていきます。また、インナーコミュニケーション(社内広報など)を充実し、社員のベクトルをサステナブル(持続可能な)経営に合わせてまいります。
(2022年度における取組み例)
・従業員に対する譲渡制限付株式付与制度を導入しました。
・従業員の健康増進に資するため、健康アプリを活用したウォーキング大会を開催しました。
④ ガバナンスの高度化
コーポレートガバナンス・コード(CGC)への適合性をより一層高め、公正性、透明性、客観性の向上に努めてまいります。
(2022年度における取組み例)
・業務執行と監督を分離するために執行役員制度を導入しました。

(3) 経営環境
当社グループは、建築関連、プラント関連の工事、製品等の販売を主な事業として取り組んでおります。
建築事業の主力は耐火被覆材、プラント事業の主力は保温材であり、それぞれの需要は非住宅建設需要や企業の設備投資動向等に影響を受ける傾向にあります。
また、近年では、ウクライナ紛争や円安の影響により、エネルギーや原材料の価格が高騰しております。
当社のセグメントごとの経営環境の認識は、以下の通りであります。
・建築事業関連
鉄骨造建築物の柱・はりの耐火被覆、免震構造建築物の柱の耐火被覆、不燃性の内装用デザインパネル等の建築向け防火・耐火材料の提供、さらにその施工事業を展開し、オフィスビル、物流施設、商業施設、工場、駐車場等の火災安全性を高め、安全な都市づくりに貢献しています。このような非住宅建設需要は堅調に推移しておりますが、近年では資材価格の高騰等を受け、競合品との競争が激しくなる傾向にあります。
このような環境において、地方の内装工事業者でも扱いやすい工法や新しい耐火材料の開発など顧客のニーズに応える商品開発に加え、CFRP(炭素繊維強化プラスチック)成形用型材の改良など優れた耐熱性能を活用した用途開発に取り組んでおります。
・プラント事業関連
発電所、石油精製プラント、石油化学プラント、製鉄所等のプラント向けに保温材の提供、さらにその施工事業を展開し、プラントの省エネルギーに貢献しています。このような保温工事の需要は堅調に推移しておりますが、ここ3年はIGCC(石炭ガス化複合発電)向けの大型保温工事の受注があり、受注額の増加がありました。今後は、顧客企業でのカーボンニュートラルに向けた新たな設備投資需要が増加するものと見込まれます。一方、製品販売では、近年の資材価格の高騰等を受け、安価な競合品との競争が激しくなる傾向にあります。
このような環境において、環境をテーマにした新規事業の開拓、新たな用途向けの新商品開発等による事業分野の拡大に取り組んでおります。
(4) 優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題
当社グループが優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題としては、主に下記の8点があります。
1.市場の拡大、収益の確保
①国内事業の拡大
国内市場につきましては、建設投資を確実に受注につなげられるよう営業力の強化を図るとともに、更なる工事管理強化による採算性の向上を図り、また、新市場の開拓及び新規商品の開発を推進します。
1)建築事業においては、耐火被覆材のシェアアップ、新製品開発、既存製品の性能・機能の向上等を進めていきます。SDG'sを強く意識し、建物(物流施設、オフィス、商業施設、工場、データセンター等)の特徴に応じた提案を推進します。
2)プラント事業においては、保温材のシェアアップ、建設案件の営業強化等を行っていきます。SDG'sを強く意識し、新しい需要への対応を推進します。
3)生産事業部においては、エネルギー原単位とエネルギー購入コストの低減策に取り組みます。
4)技術本部においては、将来の収益の一翼を担うことを目指し、カーボンニュートラル・カーボンネガティブを意識した新規商品の開発を推進します。
②海外事業の推進
以下の対策等により海外事業の拡大を図ります。
1)ベトナム工場の安定稼働を維持すべく、全力で取り組みます。
2)ベトナム工場生産品の販路拡大のため、海外、とりわけ東南アジアにおける営業を、インドネシア駐在員事務所を核とし、各国の販売店と協調しながら一層強化します。
3)ベトナム工場については、生産性向上のため、海外需要等の事業環境を見極めながら、段階的に増設を進めます。
4)建築事業においては、市場拡大に向けてアジア地区での各国販売店との連携を推進します。
③建築・プラントに次ぐ第三の事業の創出
環境分野に焦点を当て、景気の波に左右されない強固な事業基盤の構築を目指し、第三の事業を創出していきます。
2.サステナビリティ経営の推進
マテリアリティ(重要課題)を特定し、将来あるべき目標とマイルストーン(中間目標)を設定し、サステナビリティ経営を推進します。政府方針である2050年におけるカーボンニュートラルの実現に向けての取り組みを進めます。
3.コンプライアンスの徹底
コンプライアンスは経営の根幹をなすものであり、これまで以上に役職員に対するコンプライアンス教育を徹底する他、コンプライアンスを推進するために必要な体制の整備及びその確実な運用を図ります。2022年度においては、コンプライアンス全般、ハラスメント防止、インサイダー取引規制、情報セキュリティ関連などについて、コンプライアンス委員会事務局より研修ツールを提供し、教育・啓蒙に努めてまいりました。
2023年度においては、こうした取り組みに加え、既に設置し運用している内部通報制度・ハラスメント相談窓口制度の運用改善、人権尊重に関する教育の実施等の取り組みを行います。
反社会的勢力とは関係を一切持たない経営を推進します。
4.ガバナンス体制の強化
コーポレートガバナンス・コードに適切に対応しガバナンス体制の強化に取り組みます。
5.危機管理への対応
・当社を取り巻く様々なリスクを事前に認識し、リスクが顕在化しないよう、適切な対策を実施していきます。リスク管理委員会を年に2回、取締役会メンバー及び執行役員により開催しており、当社を取り巻く潜在的なリスクの確認やその未然防止策等について審議を行っております。また、役職員に対する教育の実施により、リスクへの意識の涵養に努めます。
・地震や台風などの自然災害に伴うリスクに対し、適切に対応します。
・感染症が当社事業並びに当社役職員を含む全てのステークホルダーの安全・健康に及ぼす影響を適切に見極め、対応します。
・海外展開の推進に伴い増加するリスクに対し、適切に対応します。
・取引先を含む人権尊重の徹底に取り組みます。
・また、建設アスベスト損害賠償請求等の訴訟につきましては、今後とも弁護士と協議しつつ適切に対応します。
6.DX(デジタル・トランスフォーメーション)の推進
IoT、AI、RPA等の高度IT技術を活用した生産性の向上に引き続き取り組みます。電子帳簿保存法の施行に対応し、システムの開発・導入を推進します。
7.人材の確保・教育、健康経営・ダイバーシティの推進
・人材を企業の資本とみなす「人的資本経営」の考え方に立ち、人への投資を進めます。
・企業価値の向上及び社員の成長を目指し、社員の生産性向上、少数精鋭体制の確立のため、社員教育の強化、有能な人材の確保に努めます。
・「若者に選ばれる、存在感のある企業」を目指して、人事戦略、人事施策の見直しを行います。
・また、社員にとって働きやすい職場となるよう、働き方改革を推進し、その一環として健康経営の推進に一層努めます。
・次世代経営者及び次世代幹部候補者の育成に努めるとともに、女性社員、外国人、中途採用者を含めた多様な人材の育成(ダイバーシティの推進)を進めます。
・引き続き、海外生産体制並びに海外営業の強化を進め、さらにグローバル人材の確保のため、語学教育の強化、外国人の登用等を通じ、海外業務に対応できる体制を強化します。
・当社の工事分野における総合力の向上のため、協力業者の育成を図ります。
8.品質・安全維持への対応
労働災害、品質クレームゼロを目指し、日頃からの管理の徹底、発生時の原因追究及び対策実施を徹底します。
上記課題に対処し、これからも社会的責任を果たすため、コンプライアンス体制の強化を図り、事業環境の変化に対応したコーポレートガバナンスの一層の充実を推進し、取引先からの信頼の向上を図ります。また、技術力・開発力の強化、収益力の向上を図り、さらに企業価値を高めることにより株主からの支持を得られるよう全社を挙げ努力します。
当社グループは、企業の成長並びに生産性向上を測定するうえで、売上高、営業利益及び配当水準を重視しております。成長性と収益性の観点から、2021年度を初年度とする中期経営計画(2021年度~2023年度)を策定し、目標達成に向けての取り組みを行っております。現時点での達成状況は以下のとおりです。2021年度まで大型保温工事の受注があり、売上高が計画を上回りましたが、2022年度は大型保温工事が一服するとともに、エネルギー価格の高騰を受けて営業利益が計画より減少しました。
(単位:百万円)

有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、経営者が連結会社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に重要な影響を与える可能性があると認識している主要なリスクは、以下の通りであります。
(1)景気変動、経済情勢等のリスク
当社グループの主要製品であるけい酸カルシウム製保温材の主な需要先は石油・石油化学、電力・ガス、鉄鋼等の幅広い業種に渡っており、これらの業種における設備投資動向に依存し、また、けい酸カルシウム製耐火被覆材についてはオフィスビルや物流施設等の建設需要の動向に依存し、いずれも最終的には内外の景気動向や経済情勢の影響を受けます。また、建築物やプラント全体の建設費用の高騰があった場合は、けい酸カルシウム製以外の保温材、耐火被覆材との価格競争を惹起する可能性があります。これらの価格競争リスクは、当社グループの事業及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
当社グループの製品の主な原材料は石灰石、珪石等であり、また、製造工程において熱源として天然ガス等を使用しています。原材料及びエネルギー価格の上昇があった場合や、地政学リスク等により需給のひっ迫により安定的調達が困難となった場合、あるいは、物流業界の労働時間管理強化による製品・商品の運賃の上昇があった場合には、当社グループの製造コストを上昇させ、当社グループの経営成績に影響を及ぼす可能性があります。また、当社グループの調達する多くの原材料において高い純度を求めていること等により仕入先は限定されることが多く、これに伴い調達先の確保が困難となるリスクがあります。
当社グループでは、海外事業展開をしており、今後も注力していく方針です。そのため、輸出入取引において為替の変動によって影響が生じます。為替変動リスクの軽減に努めておりますが、完全に回避できるものではありません。また、当社グループの連結財務諸表作成にあたっては、在外連結子会社の財務諸表を円貨換算しており、為替変動による期間損益の円貨換算額が増減するリスクが存在します。これらの為替変動リスクは、当社グループの事業及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
建設事業においては、優秀な有資格者の確保が、事業を継続していくための基盤となっております。また、現場では主任技術者の配置が必須であり、今後の業容拡大のためには、優秀な人材の採用及び教育研修実施・内容の充実により、当社グループの成長を支える社員、特に専門的な知識を持った人材の確保・育成をすることが重要な経営課題であると認識しております。現在、有資格者の採用及び社員の資格取得の促進に注力しておりますが、急激に業容が拡大し、必要な人材の確保が追いつかない場合や、採用した人材の教育が計画通りに実施できなかった場合もしくは採用に係るコストが上昇した場合には、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
また、有資格者に限らず従業員一般での人材確保ができない場合には、適正な労働環境の確保が困難となるリスクがあります。
過去に建設現場等において石綿に曝露し、これが原因で肺癌等の疾病に罹患した作業員及びその遺族等が、集団で国及び建材メーカー多数を相手に損害賠償請求の裁判を提起しております。当社もその建材メーカー多数の中の1社として現在係争中であります。当社はこれまで当社製品と原告の発病との明確な因果関係が認められなかったこと、及びロックウール等を含めた保温材、防耐火建材全体の市場に占める当社製品のシェアが低いこと等から集団訴訟において敗訴となったことはありません。但し、当社製品と原告の発病との明確な因果関係が認められた場合等は敗訴となる可能性があります。今後の判決において損害賠償支払いが言い渡された場合、損害賠償支払に備えて、合理的な方法で訴訟損失引当金の計上の要否を検討してまいります。また、判決内容によっては今後同様の訴訟を提起され、訴訟損失引当金の計上や損害賠償支払いにより当社グループの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
また、アスベスト健康被害に関し、個別訴訟として損害賠償請求の提訴を受けた場合においても、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
当社グループは、当社起因のアスベスト疾病により死亡または療養されている従業員及び元従業員に対して、社内規定に基づき補償金を支払っており、今後もアスベストによる健康障害者への補償費用等の負担が継続していく可能性があります。なお、補償金支払の対象者が発生した都度、検討し、健康被害補償引当金を計上しています。
当社グループが関与する工事現場においては、労働災害の防止や労働者の安全と健康管理のため、労働安全衛生法等に則り安全衛生体制の整備、強化を行っております。当社では、社内に安全衛生委員会を設置し、日常的な安全衛生教育を実施している他、経営幹部等による安全パトロールを実施する等、事故の未然防止を図るための安全管理を徹底しております。しかしながら、万が一重大な労働災害が発生した場合には、当社に対する社会的信用が毀損し、ひいては受注活動に影響が及ぶ等、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
当社グループの製品の販売については、大きな季節変動はありませんが、工事については、工事完了時期が年度末付近に集中することから、下期に偏重する傾向があります。万一、比較的大きな案件で何らかの事情で工事の完了が遅れることになる場合には、予定の売上が上がらずに翌期にずれるなど、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
当社グループは、連結子会社の立地するベトナムをはじめとした、東南アジア地域において、事業展開を行っております。中には政治的、地政学的に不安定な地域があります。これらの地域におけるテロ、戦争、疫病等社会的混乱の発生、社会インフラの未整備による停電や物流の停滞等予期せぬ事象、商慣習の違いから生じる取引先との予期せぬリスクの顕在化等によって、当社グループの事業、経営成績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。
また、当社グループが拠点を持つ各国において、税法をはじめとした法令改正、経済の減速、貿易障壁の発生、反日デモや不買運動等が発生した場合、あるいは、移転価格税制等に基づく課税等が生じた場合にも当社グループの事業活動に悪影響を及ぼす可能性があります。
さらに、東南アジア地域では、もみ殻を原料・燃料に使用したバイオマス事業として、けい酸カルシウム保温材の市場展開を図っておりますが、計画通りに進まなかった場合は、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
これらの事象については、当社グループの取引先において発生した場合も、当社グループの事業、財政状態及び経営成績に悪影響を及ぼす可能性があります。
当社グループは、工事の施工管理を行っており、優秀な協力会社の確保が必要不可欠であります。現状は、長年取引を行っている協力会社を中心として受注工事に対応できる十分な施工能力を有しておりますが、万が一主要な協力会社との協力関係に不測の事態が発生し、施工能力に問題が生じた場合もしくは外注コストが上昇した場合には、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
(11)固定資産の減損に関わるリスク
当社グループは、固定資産の減損に関わる会計基準を適用しております。経営環境の著しい悪化による収益性の低下等により、保有する固定資産に減損損失が発生し、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
当社グループは、国内外に複数の生産拠点などを有しております。万一、当該拠点のいずれかにおいて大規模な地震、風水害、疫病等の自然災害が発生した場合には、保有設備の復旧活動に関する安全確認、施工中物件の工事の遅延、一時的な生産の停止による出荷の遅延等により多額の費用が発生し、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
(13)不採算工事の発生に対するリスク
当社グループは、工事にあたり適切な積算を行っておりますが、想定外の追加原価等により、万一不採算工事が発生した場合には、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を与える可能性があります。
(14)収益及び費用の計上基準に関わるリスク
工事契約において、一定の期間にわたり充足される履行義務については、履行義務の充足に係る進捗度を見積り、当該進捗に基づく収益を計上しております。なお、進捗度の見積りの方法は、発生した原価の累計額が工事原価総額に占める割合(インプット法)で算定しております。
工事原価総額等の見積りは、工事の完成引渡しまでに必要となるすべての工事内容に関する原価を見積って算定しており、工事着手後に工事内容の変更が生じた場合は、適時・適切に再見積りを行っております。当該見積りは、将来の不確実な経済条件の変動によって影響を受ける可能性があり、実際に発生した工事原価及び工事収益総額が見積りと異なった場合や、異なる結果になると見込まれた場合には、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を与える可能性があります。
(15)瑕疵のリスク
当社グループが関与する工事の施工には、施工ミス等により瑕疵が生じるリスクがあります。建設事業には、高度な技術による施工が求められております。万一、施工ミスによる瑕疵が発覚し、損害賠償責任を問われるなど、当社グループの社会的信用が毀損するリスクが発生した場合には、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
当社グループは、事業活動を通じて、取引先の個人情報及び機密情報を入手することがあり、また、営業上・技術上の機密情報を保有しています。当社グループでは、これらの情報についての厳格な管理体制を構築し、情報の取扱い等に関する諸規定等の整備・充実や従業員等への周知・徹底を図るとともに、サイバー保険に加入するなど、情報セキュリティ対策を強化しておりますが、サイバー攻撃、不正アクセス、コンピュータウイルスの侵入等により、万一これらの情報が流出した場合や重要データの破壊、改ざん、システム停止等が生じた場合には、当社グループの信用低下や財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
(17)債権管理のリスク
当社グループでは、取引先に対して、売掛金、受取手形や差入保証金などの債権を有しております。取引先の与信管理については細心の注意を払っておりますが、取引先の業績悪化や倒産等により、売上債権の回収に支障が出た場合は、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
当社グループは、建設業法に基づき国土交通省より特定建設業・一般建設業の許可を得ているほか、建築基準法、消防法、労働安全衛生法、環境基本法等、幅広い法規による規制を受けており、それらに従って事業を行う必要があります。また、当社グループの工場は、環境関連、労働安全衛生関係で、国内外の政府や自治体の監督を受けております。
当社グループでは、事業継続のため、これらの法令等を含めたコンプライアンスが遵守されるよう、役職員に対して研修等を通じて周知徹底を図ることで、これらの適用法令等に対応できる体制を構築しております。現時点で事業継続に支障を来す事項はありませんが、今後、何らかの理由により適用法令等の違反が発生した場合には、処罰、処分その他の制裁を受け、損害賠償等の責を負い、当社グループの社会的信用やイメージが毀損することにより、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。また、これらの法令等に将来改正が行われた場合、当社グループの事業の継続に影響を及ぼす可能性があります。
なお、適用法令等について、その有効期間やその他の期限等が法令等により定められているものは下表のとおりであります。下表のとおり2025年7月11日に許可の有効期限が到来する予定であります。
当社グループは、2020年6月に施行された改正労働施策総合推進法の趣旨に則り、パワーハラスメント防止に向けた相談窓口の設置等の制度を構築し、運用しております。今後、パワーハラスメントを含むハラスメントに係る事案が発生した場合には、当社グループの社会的信用やイメージが毀損することにより、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
当社グループは、ISO9001の品質保証規格やJISに基づく認証を受けており、厳しい品質管理体制のもとに生産活動を行っておりますが、製品の開発・製造における不具合等の品質上の全てのリスクを完全に排除することは非常に困難であります。今後、当社グループの製品に予期しない重大な欠陥が発生した場合には、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
当社グループは、事業活動に有用な知的財産権の取得に努めると共に、他社の知的財産権の調査を行うことにより、問題発生を回避する様に努めておりますが、万一、他社から訴訟等を提起された場合、その結果によっては当社グループの経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
(21)繰延税金資産の回収可能性に係るリスク
当社グループは、「繰延税金資産の回収可能性に関する適用指針」(企業会計基準適用指針第26号)を適用しております。
課税所得の見積りに影響を与える要因が発生した場合は、回収可能性の見直しを行い繰延税金資産の修正を行うため、当期純利益が変動する等、財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
(22)他社との競合に関わるリスク
当社グループは、けい酸カルシウムを基材とした製品を用いた、非常にニッチな領域で施工、販売を行っておりますが、この先競合他社が現れてくることも考えられます。万一、当社製品の性能を凌駕するような類似製品やけい酸カルシウム製品を製造するようなメーカーが現れる場合には、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
(23)サプライチェーンにおける人権侵害により、信用が毀損されるリスク
当社グループは、海外から原料の一部を輸入するとともに、製品の一部を海外へ輸出しております。原料調達に当たっては、人権侵害の有無に留意して調達先を選定しており、原料の多くは別の供給先に代替可能なものでありますが、万一、原料調達先で人権侵害や紛争が発生した場合、原料調達に影響を及ぼす可能性があります。
当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)の状況の概況は次のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、本書提出日現在において当社グループが判断したものです。
当連結会計年度におけるわが国経済は、新型コロナウイルスの感染症が収束に向かう中で、活動制限が緩和され、景気の持ち直しの動きが見られております。しかし、ウクライナ紛争の長期化等に伴う原材料価格、エネルギー価格などの国内企業物価は、燃料油価格激変緩和補助金等の政策支援もあって、落ち着きを取り戻してきているものの、依然として高い水準で推移しております。
このような状況の中、建築関連においては、販売部門では需要増加、価格転嫁等の影響で売上が増加しましたが、工事部門は耐火被覆工事の大型工事案件の受注が振るわなかったため、対前年比で売上高は微減となりました。プラント関連では、ここ数年続いていた電力プラント等の大型建設工事案件の受注が一服したこと等から、対前年比で売上高は減少しました。
損益面では、原材料、エネルギー価格が高騰し製造原価を押し上げている状況に対応すべく、顧客等への製品価格の値上げを実施しましたが、工事部門では資材価格高騰前の契約における値上げ対応が難しかったことや販売部門での価格転嫁の遅れがあったこと等から減益を余儀なくされました。当社といたしましては、引き続き、業績改善に向けて価格転嫁等の営業努力に努めてまいります。
その結果、当社グループにおける当連結会計年度の売上高は12,320,101千円(前年同期比12.7%減)、営業利益1,145,449千円(前年同期比38.5%減)、経常利益は1,142,525千円(前年同期比39.6%減)、親会社株主に帰属する当期純利益は723,583千円(前年同期比36.8%減)となりました。
セグメント別の経営成績は以下の通りであります。
<建築関連>
工事部門において、オフィス、データセンター、工場等の耐火被覆工事の受注が比較的堅調に推移したものの、物流関係の大型工事案件の受注が減少したことにより、対前年比で売上高は減少となりました。一方、販売部門においては、住宅向け耐火被覆材、CFRP(炭素繊維強化プラスチック)用型材、内装仕上げ材等の需要が回復したこと、価格転嫁が浸透してきたことから売上増につながり、対前年比で売上高は増加しました。
以上の結果、工事及び販売を合わせた建築関連全体の売上高は4,937,936千円(前年同期比1.3%減)となりました。
工事部門において、電力、化学、鉄鋼等向けの定期修繕工事、常駐現場工事の需要が堅調に推移しましたが、想定してはいたものの上述のように電力プラント等の大型建設工事案件が減少し、対前年比で売上高は減少しました。一方、販売部門においては、国内一般顧客のメンテナンス向け製品、海外向け販売が持ち直しの傾向にあったことにより、売上高は前年比で増加となりました。
以上の結果、工事及び販売を合わせたプラント関連全体の売上高は7,382,164千円(前年同期比19.0%減)となりました。
当連結会計年度末の財政状態は、次のとおりであります。
当連結会計年度末の総資産は前連結会計年度末に比べて126,934千円減少し、16,323,796千円となりました。
(流動資産)
流動資産については前連結会計年度末に比べて291,306千円減少し、10,234,079千円となりました。これは主に、現金及び預金が905,155千円、仕掛品が172,796千円増加した一方で、電子記録債権が96,024千円、完成工事未収入金が746,947千円、契約資産が568,147千円減少したことによるものであります。
固定資産については前連結会計年度末に比べて164,372千円増加し、6,089,716千円となりました。これは主に、機械装置及び運搬具が75,558千円、建設仮勘定が31,133千円、繰延税金資産が41,937千円減少した一方で、建物及び構築物が238,090千円、投資有価証券が102,991千円増加したことによるものであります。
流動負債については前連結会計年度末に比べて392,473千円減少し、2,701,214千円となりました。これは主に、1年内返済予定の長期借入金が84,000千円増加した一方で、未払法人税等が236,141千円、賞与引当金が91,619千円、その他が125,888千円減少したことによるものであります。
固定負債については前連結会計年度末に比べて123,620千円減少し、1,152,583千円となりました。これは主に、長期借入金が169,548千円減少したことによるものであります。
(純資産)
純資産については前連結会計年度末に比べて389,159千円増加し、12,469,998千円となりました。これは主に、利益剰余金が402,061千円増加したことによるものであります。
当連結会計年度末における現金及び現金同等物(以下「資金」という)の残高は、前連結会計年度末と比較して949,156千円増加し、3,451,810千円となりました。
各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。
営業活動により得られた資金は、1,933,001千円(前年同期は1,523,664千円の獲得)となりました。これは主に、棚卸資産の増加額214,111千円、その他187,035千円、法人税等の支払額552,143千円により減少した一方で、税金等調整前当期純利益1,078,934千円、減価償却費315,326千円、売上債権及び契約資産の減少額1,479,776千円により増加したことによるものであります。
投資活動により支出した資金は、536,838千円(前年同期は307,914千円の支出)となりました。これは主に、有形固定資産の取得による支出459,108千円により減少したことによるものであります。
財務活動により支出した資金は、457,828千円(前年同期は312,147千円の支出)となりました。これは主に、長期借入金による収入350,000千円により増加した一方で、長期借入金の返済による支出414,306千円、配当金の支払額321,522千円により減少したことによるものであります。
当連結会計年度における生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
(注) 1.セグメント間取引については相殺消去しております。
2.金額は、工事原価、製造原価によっております。
当連結会計年度における受注実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
(注) 1.セグメント間取引については相殺消去しております。
2.総販売実績に占める割合が10%以上である販売先は、該当ありません。
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、本書提出日現在において当社グループが判断したものであります。
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づいて作成されています。連結財務諸表の作成にあたり、期末時点の状況をもとに、種々の見積りと仮定を行っていますが、それらは連結財務諸表に影響を及ぼします。なお、連結財務諸表の作成に当たって用いた会計上の見積り及び仮定のうち、重要なものは以下の通りであります。
当社グループは、繰延税金資産について定期的に回収可能性を検討し、回収可能性の判断においては、将来の課税所得見込額と実行可能なタックス・プランニングを考慮して、将来の税金負担額を軽減する効果を有すると考えられる範囲で繰延税金資産を計上しています。
将来の課税所得見込額はその時の業績等により変動するため、課税所得の見積に影響を与える要因が発生した場合は、回収可能額の見直しを行い繰延税金資産の修正を行うため、当期純損益が変動する可能性があります。
アスベスト(石綿)健康被害を受けた元従業員等に対する支払に備えるため、将来発生すると見込まれる補償額を計上しております。
対象者が増加した場合には、当社の業績に影響を及ぼす可能性があります。
工事契約において、一定の期間にわたり充足される履行義務については、履行義務の充足に係る進捗度を見積り、当該進捗に基づく収益を計上しております。なお、進捗度の見積りの方法は、発生した原価の累計額が工事原価総額に占める割合(インプット法)で算定しております。想定していなかった原価の発生等により工事進捗度が変動した場合は、完成工事高及び完成工事原価が影響を受け、当社グループの業績を変動させる可能性があります。
当社グループは、長期的かつ戦略的な取引関係維持を目的に特定の取引先の株式を所有しております。これら株式には上場株式と非上場株式が存在します。当社グループは投資価値の下落が一時的ではないと判断した場合、減損処理を行っております。上場株式については、時価が取得原価の50%以上下落した場合には全て減損処理を行い、30~50%程度下落した場合には、当該金額の重要性、回復可能性等を考慮して必要と認められた額について減損処理を行っております。非上場株式及び関係会社株式については、実質価額が取得原価の50%以上下落した場合に、当該金額の重要性、回復可能性等を考慮して必要と認められた額について減損処理を行っております。将来、株式市場の悪化または投資先の業績不振により、評価損の計上が必要となる可能性があります。
当社グループは、固定資産の減損に係る回収可能性の評価にあたり、収益性が著しく低下した場合は、固定資産の減損を実施し、当社グループの業績を悪化させる可能性があります。
売上高については、建築事業、プラント事業とも販売が増収、工事が減収となり、全体として当社グループの売上高は前年同期と比較して1,798,742千円減少し、12,320,101千円となりました。
売上原価については、前年同期と比較して1,057,312千円減少し、9,112,332千円となりました。
この結果、当連結会計年度における売上総利益は、前年同期と比較して741,430千円減少し、3,207,768千円となりました。これは主にウクライナ情勢に起因する原材料価格、エネルギー価格等の高騰に伴う利益率低下によるものであります。
販売費及び一般管理費については、物流費、役職員賞与、貸倒引当金繰入額等の減少により、前年同期と比較して25,725千円減少し、2,062,319千円となりました。これにより営業利益については、前年同期と比較して715,704千円減少し、1,145,449千円となりました。
営業外収益については、為替差益が発生したことなどにより、前年同期と比較して3,778千円増加し、76,321千円となりました。営業外費用については、健康被害補償引当金繰入額が増加したことなどにより、前年同期と比較して36,654千円増加し、79,245千円となりました。
これにより経常利益については、前年同期と比較して748,580千円減少し、1,142,525千円となりました。
特別利益については、投資有価証券売却益3,286千円を計上しました。特別損失については、減損損失等を計上し66,877千円となりました。
以上の結果、親会社株主に帰属する当期純利益は、前年同期と比較して422,109千円減少し、723,583千円となりました。
また、セグメントごとの経営成績につきましては、「(1) 経営成績等の状況の概要 ①財政状態及び経営成績の状況」に記載のとおりであります。
当連結会計年度末における総資産は、売上債権及び契約資産の回収が進んだことなどにより前連結会計年度末と比較して126,934千円減少の16,323,796千円となりました。
当連結会計年度末における負債は、未払法人税等及び賞与引当金等が減少したことなどにより、前連結会計年度末と比較して516,093千円減少の3,853,797千円となりました。
当連結会計年度末における純資産は、利益剰余金が増加したことなどにより、前連結会計年度末と比較して389,159千円増加の12,469,998千円となりました。
c. キャッシュ・フローの分析並びに、資本の財源及び資金の流動性に係る情報
キャッシュ・フローの状況の分析につきましては、「(1) 経営成績等の状況の概要 ②キャッシュ・フローの状況」に記載のとおりであります。
2.資金需要について
運転資金のうち主なものは、当社グループの製品製造のための原材料購入のほか、製造費、販売費及び一般管理費等の営業費用及び税金の支払いによるものです。
設備投資資金のうち主なものは、不燃内装材の生産設備増設等のための支払いであります。
3.財務政策について
運転資金として必要な資金は、営業活動により得られるキャッシュ・フローにより賄い、設備投資については、自己資金及び資本市場から得られた資金により実施しております。なお、設備資金及び長期運転資金として金融機関から調達した長期借入金につきましては、約定通りの返済を行い、金融機関との関係維持の為に一定の借入を実施する予定です。
また、金融上のリスクに対応するために取引金融機関との間で当座貸越契約を締結することで、手元流動性を確保しております。当座貸越契約とその借入実行残高(短期借入金)の状況は、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 注記事項 (連結貸借対照表関係)3」に記載のとおりであります。
当社グループの経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標の進捗については、「1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等 (5) 経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等」に記載のとおりであります。
該当事項はありません。
(注) 1.現在休止中の主要な設備はありません。
2.帳簿価額のうち「その他」は、工具、器具及び備品及びソフトウエアの合計であります。
3.土地の一部を賃借しております。年間賃借料は1,566千円であります。
なお、賃借している土地の面積は[]で外書きをしております。
4.従業員数の()は、臨時従業員数を外書きしております。
5.上記の他、連結会社以外から賃借している主要な設備の内容は、下記のとおりであります。
該当事項はありません。
(注) 1.現在休止中の主要な設備はありません。
2.2020年度、2021年度及び2022年度において、将来の回収可能性を検討した結果、帳簿価額を回収可能価額(零)まで減額し減損損失を計上しております。
該当事項はありません。
該当事項はありません。
(注) 有償一般募集(ブックビルディング方式による募集)
発行価格 940円
引受価額 869.50円
資本組入額 434.75円
2023年3月31日現在
(注) 自己株式 65,915株は、「個人その他」に659単元、「単元未満株式の状況」に15株含まれております。
2023年3月31日現在
(注) 信託銀行等の信託業務に係る株式数については、当社として網羅的に把握することができないため、株主名簿上の名義で所有株式数を記載しております。
当社の報告セグメントは、当社及び連結子会社の構成単位のうち分離された財務情報が入手可能であり、取締役会が、経営資源の配分の決定及び業績を評価するために、定期的に検討を行う対象となっているものであります。
当社は、製品・サービス別の事業本部を置き、事業活動を展開しております。
従って、当社は事業本部を基礎とした製品・サービス別セグメントから構成されており、「建築関連」及び「プラント関連」の2つを報告セグメントとしております。
「建築関連」は、不燃建築材料の製造、販売並びに、鉄骨耐火被覆工事等の設計、施工を行っております。
「プラント関連」は、保温保冷断熱材の製造、販売並びに保温、保冷、断熱、耐火工事の設計、施工を行っております。