株式会社コマースOneホールディングス
(注) 1.第14期及び第15期の株価収益率は当社株式が非上場であるため記載しておりません。
2. 従業員は、就業人員であり、臨時従業員(パート社員、派遣社員を含む)は、( )内に外数で記載しております。
3.第15期、第16期、第17期及び18期の潜在株式調整後1株当たり当期純利益については、潜在株式が存在しないため記載しておりません。
4.当社は2020年1月10日付で普通株式1株につき300株の株式分割を、2021年4月1日付で普通株式1株につき2株の株式分割を行っております。そのため、第14期の期首に当該株式分割が行われたと仮定し、1株当たり純資産額、1株当たり当期純利益及び潜在株式調整後1株当たり当期純利益を算出しております。
5.「収益認識に関する会計基準」(企業会計基準第29号 2020年3月31日)等を第17期の期首から適用しており、第17期以降に係る主要な経営指標等については、当該会計基準等を適用した後の指標等となっております。
(注) 1.第14期及び第15期の株価収益率は当社株式が非上場であるため記載しておりません
2.第15期、第16期、第17期及び18期の潜在株式調整後1株当たり当期純利益については、潜在株式が存在しないため記載しておりません。
3.当社は2020年1月10日付で普通株式1株につき300株の株式分割を、2021年4月1日付で普通株式1株につき2株の株式分割を行っております。そのため、第14期の期首に当該株式分割が行われたと仮定し、1株当たり純資産額、1株当たり当期純利益及び潜在株式調整後1株当たり当期純利益を算出しております。
4.第14期、第15期及び第16期の株主総利回り及び比較指標については、2020年6月26日に東京証券取引所マザーズに上場したため、記載しておりません。第17期以降の株主総利回り及び比較指標は、2021年3月期末を基準として算定しております。
5.最高株価及び最低株価は、2022年4月3日以前は東京証券取引所マザーズにおけるものであり、2022年4月4日以降は東京証券取引所グロースにおけるものであります。
ただし、当社株式は、2020年6月26日から東京証券取引所マザーズに上場されており、それ以前の株価については該当事項がありません。
6. 当社は2021年4月1日付で普通株式1株につき2株の割合で株式分割を行っております。第16期の株価については株式分割後の最高株価及び最低株価を記載しており、( )内に株式分割前の最高株価及び最低株価を記載しております。
2006年8月に通販サイトへの信頼性認証サービス提供を目的として株式会社TradeSafeが設立されました。2017年9月に新設分割を実施し、新設会社である株式会社TradeSafeに旧株式会社TradeSafeの事業を継承するとともに、社名を株式会社TSホールディングスに変更し、株式会社フューチャーショップ、株式会社ソフテル及び株式会社TradeSafeを完全子会社とした純粋持株会社となりました。2019年12月に社名を株式会社コマースOneホールディングスに改め、当連結会計年度にSAMURAI TECHNOLOGY株式会社及び株式会社空色を子会社化し、現在に至っております。株式会社TradeSafe設立以降の企業集団に係る経緯は、次のとおりであります。
(注) 1.ASPとは、Application Service Providerの略称であり、インターネットを通じてアプリケーションなどのサービスを提供する事業者のことをいいます。
2.CMSとは、Content Management System(コンテンツ管理システム)のことで、本来webページはHTMLやCSSといった記法を用い編集を行うため、専門的な知識を要しますが、CMSはそうした知識を必要とせず、管理画面から直接テキストを入力したり、画像をアップロードすることによりwebページの編集が可能となるシステムのことをいいます。
当社グループ(当社及び当社の関係会社)は、当社が持株会社として連結事業子会社である株式会社フューチャーショップ、株式会社ソフテル、株式会社TradeSafe、SAMURAI TECHNOLOGY株式会社、株式会社空色の5社を統括しております。各連結事業子会社は、ECサイト運営を支援するサービスを主にSaaS(注1)型で提供するECプラットフォーム事業を国内中堅・中小規模のECサイト運営企業向けに展開しております。
なお、当社は特定上場会社等に該当し、インサイダー取引規制の重要事実の軽微基準のうち、上場会社の規模との対比で定められる数値基準については連結ベースの計数に基づいて判断することとなります。
当社の連結事業子会社の各事業概要は、以下のとおりであります。なお、当社グループの事業は上述のとおりECプラットフォーム事業の単一セグメントとなっております。
当社グループにおけるECプラットフォーム事業の定義及び各連結事業子会社の事業の内容の詳細は以下のとおりです。
当社グループの変遷と「ECプラットフォーム事業」について
当社は、2006年8月にECサイトの信頼性を一定のガイドラインに則って審査・確認・認証する「トラストマーク」の付与を行う会社として設立されました。その後、EC事業運営者にとってワンストップであらゆるサービス提供が可能なインフラ提供会社となるべく、2010年3月にカートASP・ECサイト構築支援ソフト提供会社である株式会社フューチャーショップを子会社として設立し、2011年9月にはECサイト運営事業者の複数店舗管理や受注処理、在庫管理システムを開発・提供する株式会社ソフテルを子会社化しました。これにより、ECサイトのフロント機能であるサイトインターフェースの構築、バックヤードである受注処理・在庫管理システムと複数店舗管理、及び運営サイトの信頼性第三者認証のそれぞれをワンストップでの提供が可能となりました。なお、2017年9月に株式会社Tradesafeを新設分割で子会社化し、当社は各連結事業子会社の管理を行う純粋持株会社に移行しております。当連結会計年度にはSAMURAI TECHNOLOGY株式会社及び株式会社空色を子会社化しております。
各連結事業子会社の運営する事業は、ECサイト運営支援という観点で密接に繋がっており、また、一部各社で類似したサービスも提供しているという背景から、当社グループの運営する事業はECサイト運営事業者に必要なサービスをワンストップで提供する「ECプラットフォーム事業」の単一セグメントとしております。
①株式会社フューチャーショップ
株式会社フューチャーショップでは、中小・中堅企業を中心としたECサイト運営事業者向けにSaaS型でECサイト構築プラットフォーム「futureshop」の提供を行っており、2023年3月末現在、2,900以上の店舗での利用実績があります。当サービスは、多様化する消費者嗜好をとらえたECサイト構築を可能とした最低月額22,000円から固定料金で利用できるSaaS型プラットフォームであります。ノンカスタマイズ型のサービスでありながらECサイトの要素一つ一つを「パーツ」単位に分割し各パーツを組み合わせた表現を可能にし、デザインの独自性、更新性を高めました。加えて導入後に、コンバージョン率(注3)やリピート率を高めるためカスタマーサポートを通じたサイト改善提案を実施することで、ECサイトの流通額拡大に寄与しております。なお、カスタマーサポートについては、自社運営のEC店舗をサポートしてきたノウハウが長年蓄積されており、経験豊富なECアドバイザーがEC運営事業者の抱えるデザインリニューアル、プロモーション、サイト運営などの悩み、問題の解決に向けてサポートしております。加えて、サポートからのフィードバックをもとにした年複数回のバージョンアップやサービス導入後の契約店舗向けの無料の勉強会、セミナーを実施し、導入店舗様の売上拡大に寄与しております。
2018年9月にリリースした新CMS機能である「commerce creator」はECサイトを構成する要素をより細かい「パーツ」に分割し、パーツをドラッグ&ドロップすることでサイト構築に繋がる等のレイアウト機能により自由に配置変更を行うことができます。そのため一般的なSaaS型のECサイトとは異なり、定型的なサイト構築ではなく、導入企業の独自デザインでのサイトカスタマイズが可能な面で他社サービスとの差別化を図っており、より自由度の高いサイト構築の実現に寄与しております。なお、同社は「futureshop」及び「commerce creator」に加えて、導入企業の持つリアル店舗での在庫表示機能及び店舗間ポイント連携機能を持つ「futureshop omni-channel」などの豊富なオプション機能をそれぞれ提供しております。
②株式会社ソフテル
EC用の多店舗の受注在庫などを一元管理できるパッケージソフトウェア「通販する蔵」を中心に、「出店する蔵」「レジする蔵」「ロジする蔵」といったECサイト・POS・物流管理の各システム連携を備えたカスタマイズを、サーバー内に契約顧客専用のアクセス先を設定するプライベートクラウド型での提供を行っております。通常のバックヤードシステムでは事業運営者の既存システムとの連携が必要となるため、オープンクラウド(注4)型のSaaS型では必要に応じて自社システムの入替や改修を要することがあります。一方で顧客の自社サーバー内にシステムを組み入れるオンプレミス(注5)型での開発の場合は、ソフトウェアから開発するため一般的に相当なコストが必要となります。その点、当サービスではプライベートクラウド型での提供とすることで、既存システムとの連動性の観点から初期的なカスタマイズは必要であるものの、SaaS型での提供であるためシステム利用時の負荷低減を実現しております。そのため同社の主な収益計上は、初期導入に係るカスタマイズ料と導入後の保守・運用並びに改修に伴う収入となります。
③株式会社TradeSafe
トラストマークの認証業務の他、ECサイト構築における助言を行っております。なお株式会社TradeSafeは国際提携であるWorld Trustmark Allianceに加盟し、1999年のOECDのガイドラインに沿った「トラストマーク運営事業者のためのガイドライン」をもとに加盟企業共通審査を行っております。ECサイトの法令順守状況、運営事業者の実在性、サイト運営のクオリティ等を総合的に検証の上認証を付与しております。
また、2013年12月より自社開発のEC受注状況分析ツール「ECnote」をリリースして販売を開始いたしました。当社グループの株式会社ソフテルをはじめ複数のECバックヤード管理システム供給業者により取り扱われております。
④SAMURAI TECHNOLOGY株式会社
2022年11月に前経営陣より株式を取得し完全子会社となりましたSAMURAI TECHNOLOGY株式会社は、20年以上にわたるシステム開発実績をほこり、ビジネスアプリケーションの開発、多種多様なプロセス経験をもとに最適なソリューションを提案し、お客様の要望をしっかりとくみ上げ、プラスアルファのバリューを提供してきました。主にグループ会社である株式会社ソフテルのカスタマイズ案件の外注先として開発を受託しております。これにより多様化し大型化する開発案件に必要な開発人員の確保と品質の担保が可能となり、お客様の課題を解決し、効率性向上をサポート、更なる良質なサービスを提供することが可能となります。
⑤株式会社空色
2023年3月に既存株主からの取得及び新株引受により子会社となりました。株式会社空色はWEB接客ソリューションの開発・運営を通じて、AI技術と人の持つ感性を掛け合わせることでコミュニケーションの可能性を最大化し、今までにない新しい購買体験の実現を支援しております。当社グループにおいてAIによるWEB接客ソリューションの運営で培った自然言語処理技術を活かし、変化する消費者の購買行動を捉えたEC事業者様へのマーケティングコミュニケーション支援をより進化・加速いたします。
主なサービスの料金体系について
(株式会社フューチャーショップ)
futureshopの料金体系は、導入時の初期費用と利用期間に継続して支払われる基本料金(月契約)から構成されており、登録可能商品数に応じて初期費用及び基本料金が異なっております。なお、登録可能商品数とは、futureshopのサイト内で登録できる商品数であります。
(株式会社ソフテル)
2023年3月31日現在
パッケージソフトウェア(主に通販する蔵)の料金体系は、初期導入に係るカスタマイズ料と導入後の保守・運用並びに改修に伴う収入から構成されており、平均受注数、出店モール・カートに応じて初期費用及び月額保守金額が異なっております。
(株式会社TradeSafe)
(ⅰ)トラストマーク
トラストマークの料金体系は、登録料と月額使用料から構成されており、本店サイトについては、月間店舗売り上げに応じて月額利用料が異なっております。
なお、本店サイトにおいての月間店舗売り上げと月額利用料の関係は以下の通りとなっております。
(ⅱ)ECnote
ECnoteの料金体系は、初期費用と月額利用料から構成されており、月額利用料については、店舗数に応じて月額利用料が異なっております。
なお、店舗数と月額利用料の関係は以下の通りとなっております。
事業の系統図は、次のとおりであります。

(注) 1.SaaSとは、Software as a Service(サービスとしてのソフトウェア)の略称であり、利用者がソフトウェアを自身の利用端末等に直接インストールして利用するのではなく、提供元にて稼働されているソフトウェアをインターネット経由で利用するものをいいます。
2.インターフェースとは、界面や接触面、中間面などといった意味を持ち、転じてコンピューターと周辺機器を接続するための規格や仕様、またはユーザーがコンピューターなどを利用するための操作方法や概念のことをいいます。
3.コンバージョン率とは、ECサイトや企業ウェブサイトなどで、総閲覧者数に対する、商品購入・会員登録・資料請求などの収益に結びついた人数の割合をいいます。ウェブ広告やサイト運営の費用対効果を見積もる上での指標となるものです。
4.オープンクラウドとは、オープンソースのクラウド基盤ソフトウェアを活用することにより、当該サービスの提供元といった特定のベンダーに限らず、協業でクラウドサービスを提供・利用する形態のことをいいます。
5.オンプレミスとは、ハードウェアやソフトウェアなどの情報システムを、利用者自身が用意して利用・運用する形態のことをいいます。
(注) 1.特定子会社であります。
2.有価証券届出書又は有価証券報告書を提出している会社はありません。
3.株式会社フューチャーショップ及び株式会社ソフテルは、売上高(連結会社間の内部売上高を除く。)の連結売上高に占める割合が10%を超えております。
各社の主要な損益情報等(2023年3月期)
株式会社フューチャーショップ
①売上高 2,435,375千円
②経常利益 700,597千円
③当期純利益 470,652千円
④純資産額 924,817千円
⑤総資産額 1,576,486千円
株式会社ソフテル
①売上高 720,903千円
②経常利益 92,907千円
③当期純利益 63,533千円
④純資産額 96,559千円
⑤総資産額 248,303千円
4.SAMURAI TECHNOLOGY株式会社は当連結会計年度において株式取得により連結子会社となりました。
5. 株式会社空色は2023年3月31日をみなし取得日としており、当連結会計年度は貸借対照表のみを連結しております。
6.債務超過会社であり、2023年3月末時点で債務超過額は45,303千円であります。
(注) 1.従業員は、就業人員であり、臨時従業員(パート社員、派遣社員を含む)は、( )内に外数で記載しております。
2.全社(共通)として記載されている従業員数は、特定のセグメントに区分できない管理部門に所属しているものであります。
3.前連結会計年度末に比べ従業員数が40名増加しておりますが、主として2022年11月30日付で、SAMURAI TECHNOLOGY株式会社を、2023年3月3日付で、株式会社空色を連結子会社化したことによるものであります。
(注) 1.従業員は、就業人員であり、臨時従業員(パート社員、派遣社員を含む)は、( )内に外数で記載しております。
2.平均年間給与は、基準外賃金を含んでおります。
3.当社は純粋持株会社としてグループの経営管理を行っております。そのため当社の従業員の所属部門を特定のセグメントに区分できないため、全社(共通)としております。
(3) 労働組合の状況
当社グループにおいて労働組合は結成されておりませんが、労使関係は円満であり、特記すべき事項はありません。
(4) 管理職に占める女性労働者の割合、男性労働者の育児休業取得率及び労働者の男女の賃金の差異
提出会社及び連結子会社は、「女性の職業生活における活躍の推進に関する法律」(平成27年法律第64号)及び「育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律」(平成3年法律第76号)の規定による公表義務の対象ではないため、記載を省略しております。
1)経営方針
当社グループはテクノロジーを活用する人の力を最大化させるコマースプラットフォームであることをミッションに掲げ、「成長志向の国内中堅・中小ECサイト運営企業様の成長を支援すること」と「信頼に基づく安心の環境づくり」を事業内容とし、社会の持続的発展を支えるECインフラの創出を実現させることを経営目標としてまいります。
今後もより幅広い顧客ニーズにこたえられるように、提供サービスの機能向上に努めてまいります。
2)経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等
当社グループにおいては、主要な事業子会社である株式会社フューチャーショップ及び株式会社ソフテルの2社について、株式会社フューチャーショップにおいては提供サービスにおける流通取引総額(GMV:Gross Merchandise Value)及び1契約店舗あたりGMV、一方、株式会社ソフテルにおいては開発売上総額及び1社あたり開発売上高を経営上の重要な指標として考えております。足許の推移は以下の通りであります。
(注) 1.1契約店舗あたりGMVは、月次のGMVを契約店舗数で割ったものの年間合計になります。
2.開発売上総額とは「通販する蔵」の初期導入売上高及びカスタマイズ売上高の年間合計となります。1社あたり開発売上高は、開発売上総額を期間内で初期導入・カスタマイズを実施した顧客単位で割ったものになります。
3)経営環境
国内の電子商取引(BtoC-EC)市場は、新型コロナ感染症のまん延による外出制限等による消費行動の変化によるEC利用の増大やネット上での販売商品の多様化、市場参加者の増加、物流事業者による配達時間の大幅な短縮化、スマートフォンの普及、SNSによる情報流通量の増加等を背景に引き続き順調な市場拡大が見込まれております。経済産業省発表の「令和3年度産業経済研究委託事業(電子商取引に関する市場調査)報告書」によると、BtoC-ECの市場規模は2021年時点で約20.6兆円(物販系約13.2兆円、サービス系約4.6兆円、デジタル系約2.7兆円)となっております。今後も消費者の消費活動の変化や企業のDX(デジタルトランスフォーメーション)化への対応により企業のEC化へのニーズは継続的な拡大が期待できるものと考えております。
4)対処すべき課題
① 導入企業数の拡大
当社グループの目指すEC業界のビジネスインフラとしての地位確立のためには、業種・業態を問わず幅広いEC事業運営者に当社グループのサービスを導入してもらうことが必要であると考えております。そのためにも、中小事業者向けにシンプルかつ汎用性の高いサービス提供を行うことを基軸とし、顧客ニーズに応じた付加機能や新サービスを継続的に開発することで、新規導入数の増加及び継続率の向上に努めてまいる所存です。
② 顧客単価の向上
当社グループでは、幅広い企業でのサービス導入を図るべく、SaaS型とした上で中小事業者でも継続利用しやすい料金設計を心がけております。上述の通り契約店舗数、開発売上顧客数の拡大により収益の拡大を図ってまいる所存ですが、当社グループとしては既存顧客からの収益拡大を図ることも、継続的な事業成長を達成する上で必要な施策であると考えております。そのために、今後は「commerce creator」に代表される新商品の開発・改良のみならず、各ソリューション間でのクロスセルの実現や、開発自由度の高い自社開発オプションの提供並びにAPI(注)連携による有効な他社サービスの紹介による紹介料の獲得等により顧客単価の向上に努めてまいる所存です。
(注) APIとは、Application Programming Interfaceの略称であり、自己のソフトウェアやアプリケーションの一部を公開し、外部のソフトウェア、アプリケーションが連携できるようにするための規格や仕様のことをいいます。
③ 人材確保
当社グループの提供するサービスの差別化及び顧客数の増加のためには、エンジニアや営業人員等の優秀な人材の確保が必要であると考えております。しかしながら、足許では景気の向上や事業構造の変化に伴うインターネットセクターにおける開発人材へのニーズやマーケティング人材への需要の高まりもあり、優秀な人材の採用は激しい競争が生じております。当社グループは今後の収益拡大等による知名度及び財務基盤の向上を図ることで、新規採用における候補者への安心材料を提供し、人材採用の強化に努めたいと考えております。また、グループ内での研修も強化することで、必要な人材の育成も図ってまいる所存です。
④ グループ内のガバナンス・経営管理体制の強化
当社グループは、当社(現株式会社TradeSafeの分割前の当社)が株式会社フューチャーショップ及び株式会社ソフテルを子会社化し、現株式会社TradeSafeを新設分割により子会社化、加えて当連結会計年度にSAMURAI TECHNOLOGY株式会社及び株式会社空色を子会社化し現在の企業集団となっております。また、各社の本店所在地も東京、大阪、岐阜と離れております。こうした状況から当社グループといたしましては、各事業会社の事業運営における独立性は維持しつつも、経営管理を統括する当社を主体として、グループ内のガバナンス強化や各事業会社への経営監視を十分に行うことで、株主価値向上を目的としたグループ一丸となった経営戦略の遂行に努める方針です。
⑤ グループ間シナジーの追求
当社グループは前述の経緯より、各事業子会社が独立した事業運営を行っておりましたので、顧客ターゲットは中小企業のEC事業運営者と同一であるものの、グループ内での顧客紹介等当社グループの収益向上に向けたグループとしての取組が不十分であったと認識しております。足許では、グループ戦略の共有化を図るため定期的な経営会議の開催やグループ内での開発リソースの提供、各社顧客へのグループとしてのソリューション提案の実施を開始しており、今後もグループ商材のクロスセルを中心としたシナジーの追求に努めてまいる所存です。
⑥ コンプライアンス体制の強化
当社グループでは、当社を中心として当社グループにおけるコンプライアンス上の課題や懸念事項の洗い出しを実施し、対策を検討するコンプライアンス委員会を随時開催しております。当該委員会には、各事業子会社の代表取締役も出席し、必要に応じて外部専門家や各社の事業担当者も参加することで、実効性のある会議体とすることを心がけております。今後も当該委員会の開催を継続し、当社グループとしてのコンプライアンス事案について十分な検討を行うことで、当社株主価値向上へ貢献したいと考えております。
本書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、投資者の判断に重要な影響を及ぼす可能性のある事項には、以下のようなものがあります。
なお、文中の将来に関する事項は、提出日現在において当社グループが判断したものであります。
①国内EC市場の動向について
当社グループの事業は、国内のECサイト事業運営のための各種ソリューションの提供となっております。国内EC市場は前述のとおり拡大が見込まれておりますが、国内経済環境、特に消費者の消費動向というマクロ経済環境によって業況が左右される市場であると認識しております。従いまして、今後国内経済環境の悪化等に伴い国内EC市場の成長率が鈍化した場合、又は成長が停滞した場合には、当社グループの顧客であるEC事業運営者の業況悪化を通じて当社グループの経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
②EC市場特有のマーケットリスクについて
EC市場はインターネット環境の進化、スマートフォンやタブレット端末等のデジタルデバイスの発達により今後も更なる拡大が期待されるマーケットであると想定しております。しかしながら、今後新たな法規制の導入によるEC事業運営者の撤退又は拡大スピードの鈍化や、通信・ロジスティクスコストの増大によるEC事業運営者やEC利用者にとってのコスト増加等が発生する場合は、当社グループの経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
③インターネットインフラへの依存
当社グループの各事業はSaaS形式での提供となっているため、インターネットを経由したシステムの利用が前提となっております。サービスの継続稼働のためセキュリティ対策、バックアップ対策、自然災害等を想定したデータセンターでのシステム運用を行っておりますが、不正手段による当社システムへの侵入、想定を上回るサービスへのアクセスに伴うシステム障害、自然災害及び火災、事故、停電等の予期せぬ事象の発生に起因するサーバーダウンによるサービス停止の場合には当社の社会的信用やブランドイメージの低下、損害賠償金の支払等により当社グループの経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
④競合について
当社グループの提供するECサイト運営のための各種ソリューションについては、機能や価格に差はあるものの、同種のサービスが複数のシステムインテグレーターやSaaS運営会社により提供されております。他社の提供サービスの中には、よりシンプルなサービス提供とする一方で導入費用や定額利用料のかからないサービスも存在しており、サービス間での競争は高まっているといえます。当社としては利用企業及びユーザーである一般消費者双方にとっての使いやすさを追求した機能向上を図ると共に、グループ各社提供サービスのクロスセルも活かすことで競合他社との差別化を図ってまいる所存です。
しかしながら、今後競合他社が当社グループのサービスを模倣・追随し、これまでの当社グループの特徴が標準的なものとなり差別化が難しくなるような場合には、当社グループの競争優位性が低下すると共に、当社グループの経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
⑤技術革新について
当社グループの事業の前提となるインターネット及びECについては、利用媒体の変容や取扱いデータ量の拡大等日々技術革新が進んでいる業界であると考えております。足許では、スマートフォンの採用規格の5Gへの移行も進み、EC分野においてもインターフェースでの画像データ量の拡大等が期待されております。当社グループといたしましては、こうした顧客ニーズを踏まえてこうした技術革新に対応するため様々なバージョンアップや新サービスの開発を進めてまいる所存ですが、今後新たな技術やサービスへの対応が遅れた場合は、当社グループの提供するサービスの陳腐化により経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
⑥コンプライアンスについて
当社グループの各事業においては、当社グループが直接的に規制を受けるものは無いと認識しておりますが、利用顧客側で「個人情報の保護に関する法律」「不当景品類及び不当表示防止法」「特定商取引に関する法律」等による法的規制を受けております。加えて、当業界は比較的新しい産業分野ともいえるため、今後の法規制の強化により当社グループ自体が何らかの規制対象となる可能性も否定できません。また、当社グループの提供サービスについては顧客ニーズの変化やインターネット業界の技術革新により日々内容が進歩しており、適宜適切な機能拡張・改修が必要となっており、当該変更に伴って他社の知的財産を侵害する恐れや反対に他社が当社の知的財産を侵害する可能性も否定できません。
当社グループでは、グループ全体としてコンプライアンスに厳格に対処すべく、必要に応じて社外専門家も交えてグループ横断でのコンプライアンス委員会の開催を行い各社の留意事項の洗い出しや対応策の検討等を行っております。しかしながら、今後の法規制等の動向全てを正確に把握できず適時適切に対応できない場合や、契約条件の解釈の齟齬、当社グループが認識し得ない知的財産権の成立等により、当社グループが第三者から知的財産権侵害の訴訟、使用差止請求等を受ける等、解決まで多額の費用と時間がかかることとなった場合には、当社グループの業績及び今後の事業展開に影響を与える可能性があります。
⑦サービスの健全性維持について
当社グループの提供サービスはあくまでEC事業運営者のECサイト構築・運営をサポートするツールの提供となっております。従いまして、EC事業運営者独自の判断によって、違法性のある商品の取引や詐欺等の違法行為が発生する危険性を有しております。
当社グループといたしましては、契約締結時点及び毎期の取引先調査による確認を実施すると共に、各種サービス利用規約にて違法性のある商材・取引の禁止を明記し、違法性が発覚した場合はサービス利用を停止する等の措置を取ることで、サービスの健全性の維持に努めております。しかしながらこうした対応が適時適切に取られない場合や、当社グループによるEC事業運営者の調査が十分機能しない場合には、EC事業運営者の違法性が露見し、当社グループ提供サービスへのレピュテーションが悪化すると共に、当社グループの経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
⑧自然災害等について
地震、台風、津波、長時間の停電、火災、疫病の蔓延、その他の予期せぬ災害又はテロ、戦争等の紛争が発生した場合、当社グループの事業の運営又は継続に重大な影響を及ぼす可能性があります。当社グループでは、複数サーバーやバックアップ体制等、事業継続のために必要な対策を取っておりますが、リスクの発現による人的、物的損害が甚大な場合は当社グループの事業継続そのものが困難となる可能性があります。このような場合には、当社グループの経営成績に影響を及ぼす可能性があります。また、新型コロナウイルスに代表される感染症・伝染病の流行等によって、拡散脅威や外出禁止令による経済活動の停滞や、国内消費量が減退する可能性があります。そのような環境の中でも、当社グループが属するEC業界では、在宅での消費活動や在宅勤務によるいわゆる「巣ごもり消費」が活況となることで継続的な需要が期待できるものと考えております。当社グループといたしましては、特に営業活動についてはオンラインでの顧客面談やセミナー開催等により、新規顧客獲得に向けた取り組みを進めてまいる所存です。しかしながら、感染症の流行が長期化することで、当社グループの顧客であるEC事業運営者が保有する実店舗での業績悪化が拡大することで解約やEC事業運営者の流通額の減少が進んだり、直接顧客訪問ができないことで新規営業活動が想定通りに進まなくなったりするリスクがあると考えております。これらのリスクが顕在化することで既存取引先の減少や新規取引先の獲得ができない場合は、当社グループの業績及び今後の事業展開に影響を与える可能性があります。
⑨ソフトウェアの資産計上について
当社グループでは、以下の2つの観点からソフトウェア開発等に係る金額を資産計上しております。それぞれにかかるリスク認識は以下のとおりです。
(ⅰ)株式会社フューチャーショップにおけるソフトウェア資産の計上について
当社子会社である株式会社フューチャーショップは2018年9月に新商品である「commerce creator」をリリースいたしました。それ以前の開発では、開発に要した費用の金額的重要性並びに開発ソフトウェアでの収益性が見込めない等の理由から、資産計上は行っておりませんでしたが、本開発及びその後の新機能の改良・強化につきましては、ソフトウェア資産を計上しております。今後につきましても、新たな機能の改良・強化が生じた場合にはソフトウェア資産を計上する可能性があります。ソフトウェア資産を計上した場合、毎期定額償却されますが、技術の陳腐化やサービスの販売鈍化が生じた場合は資産計上額について減損を認識する可能性があります。現時点ではそのような兆候は確認しておりませんが、今後減損が生じる場合は、当社グループの経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
(ⅱ)株式会社ソフテルにおける棚卸資産の計上について
当社子会社である株式会社ソフテルの主力サービスである「通販する蔵」及び周辺サービスは、パッケージ化されたアプリケーションを、顧客の既存システムやニーズに合わせてカスタマイズすることで導入時にカスタマイズフィーを得ております。そのためカスタマイズにかかる経費については個別原価計算を実施し、一部、仕掛品として棚卸資産に計上しております。当該金額については個別管理の中で採算性を適時確認すると共に、原則として前受金受領後の作業開始とすることで資金回収の確実性を高めております。しかしながら最近では顧客ニーズの多様化により受注後に工数が増加するケースもあり、受注後に当初要件定義以上の工数が発生し、尚且つ当該コストを販売価格に転嫁できないような場合には、個別案件についての赤字化が発生し、当社グループの経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
⑩当社グループにおける売上高の計上方法について
当社グループの提供サービスに対する直接的な売上高は、個別契約あたりに取扱商材数等のプランに応じた定額収入を得るビジネスモデルとなっております。しかしながら、株式会社フューチャーショップにおいて提携パートナーから一部取引高に応じた手数料(紹介料)を売上高として計上しております(2023年3月期において439,963千円)。当該売上高の一部は当社が仲介する提携パートナーの料率によって変動するため、今後利用する提携パートナーが増加又は変更する場合や、当該提携パートナーでの料率変更が生じることにより、当社グループの経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
また、株式会社ソフテルの「通販する蔵」関連売上の主たるものについては、サービス導入時及び導入後の機能拡張に伴うカスタマイズフィーと、導入後の保守料で構成されており、2023年3月期の「通販する蔵」関連売上実績で前者48.0%(310,262千円)、後者52.0%(336,065千円)の比率となっております。カスタマイズフィーについては導入後にも発生するものもありますが、新規導入時のものもあり、今後新規顧客が継続的に獲得できない場合は、当社グループの経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
加えて株式会社ソフテルは、ソフトウェアのカスタマイズ(期間が短いものを除く)について、履行義務を充足するにつれて、一定の期間にわたり収益を認識する方法を適用しており、見積総開発時間に対する、当連結会計年度末までに発生した実際発生時間の割合により算出した進捗度を用いて、収益を認識しております。総開発時間の見積りは、プロジェクトが長期にわたることがあり、当初予見できなかった事象の発生等による作業工程の遅れなどにより、変動が生じる場合があり、進捗度が変動することにより、翌連結会計年度の当社グループの経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
⑪訴訟等について
当社グループの事業運営において、システム障害、インターネットにおけるトラブル、個人情報を含む何らかの情報漏洩、知的財産権の侵害等を理由に他者からの訴訟や請求を受ける可能性は否定できないと考えております。
⑫代表取締役 岡本の役員兼務について
当社代表取締役である岡本は、当社株主である株式会社オプト(現株式会社デジタルホールディングス)に所属していたこともあり、2008年以降同社代表取締役鉢嶺氏より依頼を受けて、同氏の資産管理会社であるHMBC株式会社及びHIBC株式会社の代表取締役及び取締役に就任しており、また、岡本自身の資産管理会社の代表取締役の兼務がありますが、これらの役員兼務については、資産管理を目的とした会社における兼務であり、当社グループにおける岡本の職務執行に影響を及ぼすことはないと考えております。なお、HMBC株式会社及びHIBC株式会社の役員兼務につきましては、できうる限り早期に解消する予定です。その他、過年度において、岡本の知人からの依頼により、ジャパンサイクル株式会社(以下、同社)の再建手続きに関与しております。岡本は、自身が出資及び代表者を務めるエコシステムホールディングス株式会社を通じた出資を行うとともに、2010年8月より更生管財人として、更生計画の策定及び更生計画の遂行に携わり、更生計画遂行後も、経営を安定させ事業を継続させるために、同社及び同社関係会社(以下、同社グループ)の代表取締役を含む取締役として経営を行ってまいりました。現在、同社グループの経営は安定しており、後任となる経営者も育ってきたことから、岡本の関与は、資金収支の確認、経営方針への助言等に限定されており、2019年12月には、エコシステムホールディングス株式会社を除く各社の代表取締役を退任し、非常勤の取締役となっております。岡本は、今後も当社代表取締役としての職務執行に支障のない範囲において同社グループにおける役員兼務を当分の間継続する予定でありますが、同社グループの経営に重大な問題が生じた場合には、岡本の意向に関わらず同社グループの対応に追われ、当社グループの業務執行に一時的に影響を及ぼす可能性があります。なお、更生計画を進めるに当たり、同社グループは当社株主であるAsian Asset Acquisition Pte. Ltd.及びHIBC株式会社からの投融資を受けております。
⑬人材の確保・育成について
当社グループは、今後も事業拡大を進めていくにあたり、営業も含めた優秀な人材を確保するとともに人材の育成が重要な課題であると認識しております。このため、当社グループは採用活動及び研修体制の充実等により人材流出の防止に努めております。しかしながら、必要とする人材の安定的な確保が出来なかった場合は、当社グループの経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
⑭保有株式の時価の変動について
当社グループでは事業運営上のシナジーを考慮し、Wistron Information Technology & Services Corp(以下、Wistron社)、株式会社エレクトラム及び株式会社ジグザグの株式をそれぞれ2023年3月末現在の帳簿価額で526,572千円(取得原価は149,707千円)、0千円(取得原価は10,000千円)、9,996千円(取得原価は9,996千円)保有しております。特にWistron社については台湾証券取引所に上場しており、当該株価の変動に伴い資産計上額及び純資産額が増減します。また、2023年3月末現在ではWistron社株式を1,027,538株保有し、25,715千円の受取配当金がありましたが、今後当該企業の収益悪化等により無配当となった場合、当社の収益に影響を及ぼす可能性があります。台湾証券取引所の株式市況や投資先の業績動向又は地政学的リスク等により株価又は実質価額が著しく下落する場合は当社グループの経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
⑮当社の大株主について
当社株主のうち、第二位の大株主Asian Asset Acquisition Pte. Ltd.(以下、「同社」という)については、シンガポール所在の資産管理会社であり、当社への投資目的は純投資となっております。当社は同社の承認を必要とする取引や業務は存在せず、事業における制約もなく、当社の経営方針及び事業戦略等の重要事項の意思決定において、当社は同社からの独立性・自立性は保たれているものと考えております。
しかしながら同社は投資会社ですので、将来において当社株式の売却可能性は否定できず、保有比率の高さから、当該売却が生ずる場合は、当社株式の市場価格に影響を及ぼす可能性があります。
⑯中小事業者向けサービスであること
当社グループの販売チャネルは、潜在顧客も含めて自社でECサイトシステムを構築できる大手企業ではなく、カートASPで手軽にECサイトを開設したいというニーズ又は自社の実店舗のPOSシステムと連動する様にECアプリケーションをカスタマイズしたいというニーズを持った中小事業者が主体となります。当社グループの顧客基盤はすそ野が広く、中には規模が小さく信用力の乏しい顧客も存在いたします。当社グループのビジネスモデルは利用サービスが基本であり実体のある製品の受渡が行われません。しかしながら、基本利用料や保守メンテナンス料金は1社当たりは少額であるため、1社に大きな与信枠を付与することはほとんどありません。また、カスタマイズ等に関しても代金の一部を前受しており与信の担保としております。ただし、新たな法規制や経済環境の激変等によって大量の企業が破綻した場合には当社グループの事業及び業績に影響を及ぼす可能性があります。
⑰情報セキュリティについて
当社グループは、第三者による当社グループのサーバー等への侵入に対して、ネットワーク監視システムなどファイヤーウォール等の情報システム対策を施すほか、なりすましによる不正アクセスなどを防止するため情報セキュリティ強化を推進しております。しかしながら、悪意をもった第三者の攻撃等により顧客及び購入者等の個人情報、その他の重要な情報を不正に入手される可能性は否定できません。このような事態が生じた場合には、当社グループへの法的責任の追及や企業イメージの悪化等により、当社グループの事業及び業績に影響を及ぼす可能性があります。
⑱M&Aに関するリスク
当社グループでは、M&A(企業買収等)を重要な成長戦略のひとつとして位置づけ、積極的に推進しております。M&Aに関する基本方針を定め、それに基づき収益性や成長性に加え資本コストの観点も考慮した上で対象企業を審査しております。加えて、特に広告領域における垂直統合戦略に合致する等、既存事業とのシナジーが期待できる案件についてはM&Aを積極的に検討し、当社グループと対象企業の事業運営ノウハウ等を融合することによって、より大きなシナジーを生み出すことに取り組んでおります。しかしながら、当初見込んだ効果が発揮されない場合には、当社グループの事業及び業績に影響を与える可能性があります。
また、M&Aの対象企業の財務内容、契約関係等について詳細な事前審査を行い十分にリスクの検討をした上で決定しておりますが、買収後に偶発債務の発生や未認識債務の判明等、事前の調査で把握できなかった問題が生じた場合、事業の展開等が計画どおりに進まない場合、のれんの減損処理を行う必要が生じた場合等には、当社グループの事業及び業績に影響を与える可能性があります。
さらに、M&Aにより、当社グループが行っていなかった新たな事業が加わる際には、その事業固有のリスク要因が加わることとなります。
文中の将来に関する事項は、提出日現在において当社グループが判断したものであります。
当社グループ(当社及び連結子会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりです。
当連結会計年度におけるわが国の経済は、新型コロナウイルス感染症による厳しい状況が緩和されつつあるものの、ロシア・ウクライナ情勢、世界的な金融引締め等を背景とした物価上昇や為替相場の変動等から先行きが不透明な状況が継続しております。
当社グループが事業を展開するEコマース市場は、新型コロナウイルス感染症蔓延による消費活動の変化により大きく拡大いたしましたが、当連結会計年度期初からの行動制限の緩和の影響により消費者の実店舗への回帰が進んだ結果、実店舗の伸び率が数年ぶりにECを上回る状況となり、EC市場の拡大スピードは鈍化いたしました。しかしながら急激な市場規模の拡大に一服感はあるものの、諸外国に比較して相対的に低いEC化率の上昇が期待できるため今後とも安定して高い成長を維持できるものと考えております。
このような事業環境において当社グループのECプラットフォーム事業は、EC事業拡大を目指す事業者にとって、事業開始時からワンストップで必要なサービスを提供できるインフラとして、インターフェースからバックヤードまで、様々なニーズに対してソリューションを提供することにより、顧客数、GMVの拡大及びカスタマイズ案件獲得の拡大を図ってまいりました。
結果、当社グループの当連結会計年度の売上高は3,196,433千円(前期比8.7%増)、経常利益608,006千円(前期比15.2%減)、親会社株主に帰属する当期純利益441,358千円(前期比11.0%減)となりました。また主要な事業子会社である株式会社フューチャーショップ及び株式会社ソフテルの2社において重要な経営指標である、GMV及び1店舗あたりGMVは順調に推移したものの、昨年度の新型コロナウイルス感染症蔓延によるEC消費の急拡大の反動により開発売上総額、契約店舗数及び開発契約顧客数、1社あたり開発売上高は想定を下回りました。今後もグループ各社の独自性のある経営を重視し、より迅速な経営判断のできる体制を確立して業界の急速な変化に対応できるように努め、さらなる企業価値向上を目指してまいります。
なお、株式会社フューチャーショップ及び株式会社ソフテルの2社におけるGMV、開発売上総額、契約店舗数及び開発契約顧客数、1契約店舗数あたりGMV、1社あたり開発売上高の実績推移につきましては、「第2 事業の状況 1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等 2)経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等」をご参照ください。
財政状態は次のとおりであります。
<資産>
当連結会計年度末における流動資産は2,306,778千円となり、前連結会計年度末に比べ300,653千円増加いたしました。これは主に自己株式の取得のための預け金が111,289千円増加したことなどによるものであります。固定資産は1,199,215千円となり、前連結会計年度末に比べ96,555千円増加いたしました。これは主に株式会社空色を新たに連結したことによりのれんが61,031千円発生したことや、株式会社フューチャーショップにおける新機能等の追加開発によりソフトウェア仮勘定が52,045千円増加したことなどによるものであります。この結果、総資産は前連結会計年度末に比べて397,208千円増加し3,505,993千円となりました。
<負債>
当連結会計年度末における流動負債は808,247千円となり前連結会計年度末に比べ55,682千円増加いたしました。これは主にグループ通算制度への移行に伴い未払法人税等が28,264千円増加したことによるものです。固定負債は81,345千円となり前連結会計年度末に比べて11,735千円増加いたしました。これは主に当社のオフィス移転に伴い資産除去債務が13,796千円増加したことによるものです。この結果、負債合計は889,593千円となり前連結会計年度末に比べて67,418千円増加いたしました。
<純資産>
当連結会計年度末における純資産合計は2,616,399千円となり前連結会計年度末に比べて329,790千円増加いたしました。これは主に自己株式が139,154千円増加したものの、親会社株主に帰属する当期純利益441,358千円の計上やその他有価証券評価差額金が27,586千円増加したことによるものです。この結果、自己資本比率は74.6%(前連結会計年度末は73.6%)となりました。
なお、当社は、ECプラットフォーム事業の単一セグメントであるため、セグメント情報に関連付けた記載を行っておりません。
②キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、前連結会計年度末に比べて34,744千円減少し、1,608,724千円となりました。
当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次の通りです。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動の結果得られた資金は163,971千円(前連結会計年度は515,511千円の収入)となりました。
これは主に、税金等調整前当期純利益679,533千円、減価償却費117,756千円、投資有価証券売却益71,526千円、預け金の増加額111,289千円等によるものです。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動の結果使用した資金は56,403千円(前連結会計年度は111,186千円の支出)となりました。
これは主に株式会社フューチャーショップにおける新機能等のソフトウェア開発により無形固定資産取得による支出101,633千円、投資有価証券の売却による収入106,160千円及び連結の範囲の変更を伴う子会社株式の取得による支出43,283千円等によるものであります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動の結果使用した資金は142,767千円(前連結会計年度は3,683千円の支出)となりました。
これは主に自己株式の取得による支出139,154千円によるものであります。
a.生産実績
当社グループは生産を行っておりませんので、該当事項はありません。
当社グループは受注生産を行っておりませんので、該当事項はありません。
第17期連結会計年度及び第18期連結会計年度における販売実績は次のとおりであります。なお、当社グループはECプラットフォーム事業の単一セグメントであります。
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。なお、文中の将来に関する事項は、提出日現在において判断したものであります。
1) 財政状態の分析
当連結会計年度における財政状態の分析については、「(1) 経営成績等の状況の概要 ① 財政状態及び経営成績の状況」をご参照ください。
2) 経営成績の分析
当社グループのECプラットフォーム事業セグメントの当連結会計年度の売上高は3,196,433千円(前期比8.7%増)となりました。
売上原価は主に開発人件費の増加や株式会社フューチャーショップにおけるソフトウェアの開発に伴う償却負担等の増加により1,392,326千円(前期比12.7%増)となりました。
販売費及び一般管理費は、主に人員の増加に伴う人件費の増加により、1,223,756千円(前期比19.1%増)となりました。
営業外収益は、保有する外貨預金に係る為替差益が減少したことにより、27,818千円(前期比31.2%減)となりました。営業外費用は主に有限責任事業組合運用損の計上により、162千円(前期比2,346.3%増)となりました。
特別利益は、投資有価証券売却益の計上により、71,526千円(前期比354.5%増)となりました。
以上の結果、当連結会計年度における当社グループの連結業績は、営業利益580,350千円(前期比14.2%減)、経常利益608,006千円(前期比15.2%減)、親会社株主に帰属する当期純利益441,358千円(前期比11.0%減)となり、堅調な結果となりました。今後もグループ各社の独自性のある経営を重視し、より迅速な経営判断のできる体制を確立して業界の急速な変化に対応できるように努め、さらなる企業価値向上を目指してまいります。
ECプラットフォーム事業セグメントを構成するグループ各社の概況は以下の通りとなります。
(注) 1.グループ内取引の相殺消去前の数値を記載しております。
2.SAMURAI TECHNOLOGY株式会社はみなし取得日を2022年12月31日としているため、
前期比増減率は記載しておりません。
3.株式会社空色は2023年3月31日をみなし取得日としており、当連結会計年度は貸借対照表
のみを連結しているため、売上高及び前期比増減率は記載しておりません。
a.株式会社フューチャーショップ
当連結会計年度の売上高は2,435,375千円(前期比9.3%増)、経常利益700,597千円(前期比0.4%増)となり増収増益となりました。昨年度の新型コロナウイルス感染症蔓延によるEC消費の急拡大の反動により契約店舗数の減少は見られましたが、ECに対する消費者への浸透により流通総額は着実に増加し、「commerce creator」及び「omni-channel」等の販売増加及び流通総額に比例する手数料売上が増加した結果、当期の売上高は堅調に推移いたしました。新規事業を含む将来に向けた人員の確保やセキュリティ強化対策費など経費の増加により営業収益は昨年対比微増となりました。2022年9月にライブコマースオプションである「Live cottage」をリリースするなどサービスメニューの充実を図りました。今後も引き続きAPIの公開による外部との連携強化、課題分析充実機能及び新機能開発などを強化しサービスメニューの充実を図ってまいります。
b.株式会社ソフテル
当連結会計年度の売上高は720,903千円(前期比2.8%増)、経常利益92,907千円(前期比29.2%減)となりました。昨年度の新型コロナウイルス感染症蔓延によるEC消費の急拡大の反動によりEC事業者の需要動向には一服感はあるものの「通販する蔵」カスタマイズの受注は好調に推移いたしましたが、開発人員の不足などによる大型案件の遅延等が発生したことにより売上高の減少につながりました。一方、保守サポートの月額利用料の売上高は、カスタマイズ受注案件の大型化に伴い顧客単価が上昇し好調に推移し増収に寄与いたしました。大型案件の遅延による売上原価の上昇に伴い営業利益は当初予想を下回って推移いたしました。2022年11月に開発人員の確保を主な目的にSAMURAI TECHNOLOGY株式会社を買収しグループ化いたしました。今後とも新規の開発案件や既存顧客のカスタマイズ案件の獲得に向け注力してまいります。加えて次世代「通販する蔵」「Commerce Connect」の開発や「futureshop」向けバックヤードオプションの提供などを通じてグループ間シナジーを追求してまいります。
c.株式会社TradeSafe
当連結会計年度の売上高は46,865千円(前期比3.4%増)、経常利益272千円(前期比51.8%減)となりました。当社はEC店舗認証事業であるトラストマーク事業において引き続き審査・モニタリングの質の維持向上を図り、優良店舗の差別化を行うことで、安心安全なEC社会を実現するための社会的なインフラ機能を目指してまいります。また、ECnote(EC店舗の販売分析ツール)については、株式会社ソフテルと連携して「通販する蔵の開発オプション機能」としてサービスの提供を行い、株式会社ソフテルとの連携を通じてグループシナジー追求によるサービスの普及に努めてまいります。
d.SAMURAI TECHNOLOGY株式会社
当連結会計年度の売上高は47,456千円、経常利益3,613千円となりました。当社はグループ会社である株式会社ソフテルのカスタマイズ案件の外注先として開発を受託し、多様化し大型化する開発案件に必要な開発人員に提供し、品質を担保することで、お客様の課題を解決し、効率性向上をサポートすることで更なる良質なサービスの提供を目指してまいります。
なお、SAMURAI TECHNOLOGY株式会社は2022年12月31日をみなし取得日としているため、前期比増減率の記載しておりません。
e.株式会社空色
株式会社空色は2023年3月31日をみなし取得日としており、当連結会計年度は貸借対照表のみを連結しております。
当連結会計年度におけるキャッシュ・フローの状況の分析については、「(1) 経営成績等の状況の概要 ② キャッシュ・フローの状況」をご参照ください。
当社グループの連結財務諸表はわが国において一般に公正妥当と認められる企業会計の基準に基づき作成しております。その作成には経営者による会計方針の選択・適用、資産・負債及び収益・費用の報告金額並びに開示に影響を与える見積り・仮定設定を必要としております。経営者は、これらの見積りについて、過去の実績や状況に応じて合理的に判断しておりますが、実際の結果は、見積り特有の不確実性が存在するため、これらの見積りと異なる場合があります。連結財務諸表の作成にあたって用いた会計上の見積り及び仮定のうち、重要なものは「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項 (重要な会計上の見積り)」に記載しております。
「第2 事業の状況 3 事業等のリスク」をご参照ください。
当社グループの運転資金需要のうち主なものは、人件費及び業務委託費等であります。これらの資金需要に対しては現状では自己資金の範囲内で対応できております。今後は業容拡大に伴い自己資金、銀行借入、及びエクイティファイナンス等での多様な調達方法を資金需要の額や使途に合わせて柔軟に検討していく方針です。当連結会計年度末の現金及び現金同等物は1,608,724千円であり流動性を確保しております。
該当はありません。
(注) 1.現在休止中の主要な設備はありません。
2.帳簿価額のうち「その他」は、工具、器具及び備品の合計です。
3.従業員数欄の〔外書〕は、臨時従業員の年間平均雇用人員です。
4.本社は賃借物件であり、年間賃借料は17,008千円であります。
(注) 1.現在休止中の主要な設備はありません。
2.帳簿価額のうち「その他」は、工具、器具及び備品及びリース資産の合計です。
3.従業員数欄の〔外書〕は、臨時従業員の年間平均雇用人員です。
4.本社はいずれも賃借物件であり、年間賃借料は株式会社フューチャーショップにおいて74,446千円、 株式会社ソフテルにおいて12,656千円であります。
該当事項はありません。
該当事項はありません。
(注) 1.2019年3月31日 C種優先株式1,000株を買入消却
2.2019年10月25日 A種優先株式400株を買入消却
3.2020年1月10日 株式分割(1:300)によるものです。
4.2020年6月25日を払込期日とする有償一般募集(ブックビルディング方式による募集)を実施しております。
発行価格 1,600円
引受価額 1,472円
資本組入額 736円
5.2021年4月1日 株式分割(1:2)によるものです。
(注) 自己株式179,249株は、「個人その他」に1,792単元、「単元未満株式の状況」に49株含まれております。
2023年3月31日現在
(注)1.2022年10月21日付で公衆の縦覧に供されている大量保有報告書の変更報告書において、株式会社みずほ銀行及び共同保有者が2022年10月14日現在で以下の株式を所有している旨が記載されているものの、株式会社みずほ銀行を除き、当社として2023年3月31日現在における実質所有株式数の確認ができませんので、上記大株主の状況には含めておりません。
2.2022年7月25日付で公衆の縦覧に供されている大量保有報告書において、2022年7月15日現在で以下の株式を所有している旨が記載されているものの、当社として2023年3月31日現在における実質所有株式数の確認ができませんので、上記大株主の状況には含めておりません。