東和ハイシステム株式会社
(注)1.当社は連結財務諸表を作成しておりませんので、連結会計年度に係る主要な経営指標等の推移については記載しておりません。
2.「収益認識に関する会計基準」(企業会計基準第29号 2020年3月31日)等を第45期の期首から適用してお
り、第45期に係る主要な経営指標等については、当該会計基準等を適用した後の指標等となっております。
3.持分法を適用した場合の投資利益については、関連会社が存在しないため、記載しておりません。
4.当社は、2018年2月16日開催の臨時株主総会の決議により、種類株式を発行する旨の定款の定めを廃止しております。これにより同日付でA種類株式29,350株すべては、1対1の比率で普通株式に移管されております。
5.当社は、2020年7月31日付で普通株式1株につき24株とする株式分割を行っており、発行済株式総数は1,968,000株となっております。
6.2021年9月期の1株当たり配当額65.00円には上場記念配当15.00円を含んでおります。
7.当社は、2020年7月31日付で普通株式1株につき24株とする株式分割を行っておりますが、第41期の期首に当該株式分割が行われたと仮定し、1株当たり純資産額及び1株当たり当期純利益を算定しております。
8.潜在株式調整後1株当たり当期純利益については、潜在株式が存在しないため、記載しておりません。
9.第41期、第42期および第43期の株価収益率については、東京証券取引所JASDAQ(スタンダード)への上場が2020年12月25日であることから記載しておりません。
10.従業員数は、就業人員(当社から社外への出向者を除き、社外から当社への出向者を含む。)であり、臨時雇用者数は従業員数の100分の10未満であるため、記載を省略しております。
11.「『税効果会計に係る会計基準』の一部改正」(企業会計基準第28号 平成30年2月16日)等を第42期の期首から適用しており、第41期に係る主要な経営指標等の推移等については、当該会計基準等を遡って適用した後の指標等となっております。
12.第41期から第44期の株主総利回りおよび比較指標は、2020年12月25日に東京証券取引所JASDAQ(スタンダード)に上場したため、記載しておりません。第45期以降の株主総利回り及び比較指標は、2021年9月期末を基準として算定しております。
13.最高株価および最低株価は、東京証券取引所スタンダード市場におけるものであります。
ただし、当社株価は、2020年12月25日から東京証券取引所JASDAQ(スタンダード)、2022年4月4日より東京証券取引所スタンダード市場に上場されており、それ以前の株価については該当事項がありません。
当社は、レジスターのメーカーであった東和レジスター株式会社が、1978年岡山県岡山市において、その販売地域を各営業所の責任者等へ「のれん分け」を行う際に、岡山地域の責任者であった石井滋久が地域販売会社として現在の東和ハイシステム株式会社の前身である「東和レジスター岡山販売株式会社」を設立いたしました。
当社設立以降の主な沿革は、以下のとおりであります。
当社は、「人生もロマン、経営もロマン、無限の可能性に挑戦」を経営哲学として代表取締役である石井滋久が
設立いたしました。代表取締役石井滋久は、「歯科医院の先生方の夢を叶えるお手伝いをしたい」との思いから、
歯科医院向けシステムの研究開発・営業・サポートに取り組み、現在は「歯科電子カルテ統合システム Hi Dental
Spirit XR-10i(以下、統合システム)」を主力商品としております。
当社の歯科電子カルテ統合システムには、(1)生体認証とデータベースソフトとを活用した電子保存の3基準
(注)1への適合、(2)iPad(注)2を活用した種々のアプリケーションでの運用、(3)マスター化した病名や処置、
薬品など20万件を超える膨大な情報と180万ステップ(注)3超のプログラムを合わせた高性能なシステムです。
そして電子カルテ機能(注)4とレセプト機能(注)5、iPadを活用したインフォームドコンセント機能(注)6、
歯科医院の運営管理の効率化を推進する機能(注)7を一元管理した歯科電子カルテ統合システムにクラウドを活用
したオンライン診療システム(スマホ予約、スマホ問診、スマホ診療、スマホ決済)を結合することで創り出され
た当社独自の世界観「It's Hi Dental World 歯科医療に夢と未来を…」を展開しております。
当社は、このシステムを充分に活用していただくため、「サポートなくして販売なし」「お客さまの笑顔・お客
さまの満足が私たちの喜び」「顔が見え、心が触れ合う」を事業理念に、システム使用にあたり顧客の負担を軽減
する「ソフトウェア三無主義」(注)8を掲げ、地域密着型のサポートを顧客に提供することにより事業を展開して
まいりました。
このように、歯科医院向けシステムの研究開発からシステムサポートまでワンストップ(製販一貫)で提供して
まいりました結果、2022年9月30日現在、営業拠点は西日本を中心に本社を含め23か所に配置し、全国で3,118件の
歯科医院を顧客としております。
なお、当社の事業は「歯科医院向けシステム事業」の単一セグメントであります。
(注)1.「電子保存の3基準」とは、一般的に「電子カルテの3原則」(JAHIS「電子保存ガイドライン/MDSセミナー」2018年11月9日)
とも呼ばれており、内容は下記となります。
(出典:厚生労働省ホームページ「医療情報システムの安全管理に関するガイドライン第5.1版(令和3年1月))
2.iPadはApple.incの商標です。
3.ステップとは、プログラム(ソースコード)を記述した行数のことで、プログラムの規模を測定する指標の一つです。
4.電子カルテ機能とは、患者に対する診療の経過・治療等を記録するカルテを電子的に作成し、又は作成を補助する機能です。
5.レセプト機能とは、カルテに記録された保険診療内容を保険者(市町村や健康保険組合)に請求する診療報酬明細書(レセプ
ト)を作成する機能です。
6.インフォームドコンセント機能とは、医師が患者に診療の目的や内容を十分に説明し患者の同意を得る為に、わかりやすく伝え
る為の説明補助機能であり、例えば、視診・歯周検査の補助ツール、レントゲン・口腔内写真の表示ツール、自費診療の提案や
見積書作成ツール等があげられます。
7.運営管理の効率化を推進する機能とは、受付、問診、会計、予約等の受付業務を省力化・補助する機能、予約患者・売上分析や
各種帳票の作成等の歯科医院の経営管理を補助する機能等のことです。
8.「ソフトウェア三無主義」とは、ソフトウェア保守、システムサポート、バージョンアップの3つを無償で提供するサービスで
す。ソフトウェア保守とは、最新カルテのコメント又は摘要マスタ等を歯科医院の要望に適合させるカスタマイズ対応などで
す。システムサポートとは、操作上の問合せや歯科医院スタッフに対する操作トレーニングなどです。バージョンアップとは、
顧客からの要望事項に対応した操作上の機能向上などのシステム更新です。ただし、健康保険の診療報酬改定、保険の制度自体
の変更、その他制度自体の変更(例えば消費税率の値上げ等)によりプログラム改修が必要となった場合については別途、有償
となります。
(ビジネスモデル)
当社は、仕入先メーカーから機器等を仕入れ、当社が開発したシステムを搭載することで商品とし、これを歯科医院に納品・販売しております。
販売先である歯科医院は、原則としてリース契約を活用して支払いを行います。歯科医院はリース会社とリース契約を締結し毎月のリース料を支払い、当社はリース会社より販売代金を受領しております。例外的にリース契約を活用しない場合、当社は歯科医院から直接、販売代金を受領します。
商品のハードウェアに係る修理・保守については、顧客による実費負担となっております。ただし、顧客である歯科医院は、顧客が独自に結成している任意の互助会組織HMG(注)9に加入することで、ハードウェアの修理・保守に係る費用負担を受けることができます。2022年9月30日現在、HMGへの加入は顧客3,118件中、3,087件となっております。
9.HMG(ハイデンタルハードメンテナンス互助会のことで略称をHMGと呼びます。)とは当社の顧客が独自に結成している任意の
互助会組織です。主な目的は、当社商品に係るハードウェアの修理・保守等に係る費用の負担や会員同士の情報交流です。当社の顧客は月当たり1,500円からの会費(なお、システム規模により変動)を納入することで、入会できます。
当社及び顧客等との関連を系統図で示すと以下のとおりとなります。
(事業系統図)

(*1)上図の[リース活用時]は、顧客が当社商品の購入に当たり、リース会社とリース契約を締結した場合の資金の流れです。
(*2)上図の[現金取引時]は、顧客が当社商品の購入に当たり、販売代金を直接、顧客から当社に支払う場合の資金の流れです。
(事業の特徴)
当社事業及び当社が手掛ける商品・サービスには、以下の特徴があります。
① 商品・サービスについて
当社の顧客である歯科医院の抱える課題として、行政が定める歯科のカルテ記載のルールや形式が複雑なことや保険診療報酬の請求計算(レセプト)が複雑であり定期的な改定が求められています。また患者に対するインフォームドコンセントの必要性が高まっていることやスマホでの予約やスマホで決済などのニーズが挙げられます。
そこでこれらの課題に対応するため、当社は、電子カルテ機能、レセプト機能に加え、インフォームドコンセント機能を一元管理する歯科電子カルテ統合システムにクラウドを活用したオンライン診療システム(スマホ予約、スマホ問診、スマホ診療、スマホ決済)を結合することで創り出された当社独自の世界観「It's Hi Dental World 歯科医療に夢と未来を…」を展開しております。
まず、電子カルテ機能とレセプト機能については、「医療情報システムの安全管理に関するガイドライン 第5版(平成29年5月)」(厚生労働省)で示されている「電子保存の3基準」に適合するため、株式会社日立製作所のデータベース「HiRDB」に指静脈生体認証システムを組み合わせることで、データベースに対するあらゆる操作及び操作者の記録や、不正な書換・消去などの防止を可能とし、患者及び顧客である歯科医院が安心して利用できるシステムを提供しております。
次に、患者に対するインフォームドコンセント機能として、患者に対して治療の内容・経過等をわかりやすく伝える各種のツールを提供しております。例えば、「i-DS検査」という商品では、治療後すぐ、チェア・サイドからiPadに歯周病検査の結果や口腔内写真を表示し、患者にわかりやすい説明を実施することができます。
そして患者様のニーズに即した予約から決済までのスマホの活用促進機能として、スマホ予約やスマホ診療、スマホ診察券などを有したオンライン診療システムがあり、さらに予約分析や診療分析ができる経営分析システムを開発強化しております。
また、歯科医院の運営管理の効率化を推進する機能として、電話の着信時に患者情報を表示して電話応対を円滑にする「CTIシステム」や、1台のコンピューター端末に複数の仮想PCを起動させる技術を応用し複数のiPadから同時に電子カルテ入力を可能とする「バーチャルカルテ」を開発し、販売しております。
(当社商品の体系について)
このように、「It's Hi Dental World 歯科医療に夢と未来を…」を主力商品のコンセプトに、患者及び歯科医院の安心と満足につながる情報システムをパッケージソフトとして提供してまいりました結果、中には20年以上の長期にわたる取引関係となる顧客も多く、当社の顧客による買替更新比率は93.6%(注)10となり、顧客数は以下のとおり推移しております。
10.買替更新比率は、2017年10月1日から2022年9月30日を対象期間として、当社顧客のうち買替更新を行った顧客の合計件数を、
当社顧客のうち買替更新を行った顧客の合計件数と他社切替により当社との取引関係を解除した顧客の合計件数の合計で除して計算しております。
(地域ブロック別の顧客数の推移)
② 収益形態及びソフトウェア三無主義について
当社の収益は、独自に開発しパッケージ化した歯科電子カルテ統合システムの販売によるシステム売上高が大部分を占めており、他に診療報酬改定等の制度上の改定に伴うプログラム改定売上高、マイナンバーカードを健康保険証として使用できる等のオンライン資格確認等システム売上高、その他として機器等の修理売上高等で構成されております。
なお、当社は顧客である歯科医院の安心感・満足感を高めるため、創業以来、「ソフトウェア三無主義」を提唱し、定期的な保守料等は受け取っておりません。例えば、当社システムの使用や操作方法について不明な点が出てきた場合に、何度でも専任の営業サポート社員から説明やトレーニングを受けることができます。そのため、顧客である歯科医院は、当社商品の購入後、毎月定額の保守料等の費用負担なく安心してサポートサービスを受けることができます。
③ 営業サポート体制について
当社は、西日本を中心とした全国23拠点に約100名の営業サポート社員を配置し、地域密着型の直接的な営業サポート体制を構築しております。その担当エリアにおいて当社社員は、新規顧客への営業活動と、既存顧客に対する保守サービス等のサポート活動を行っております。
新規顧客への営業活動としては、顧客となる歯科医院を直接訪問し、医院運営に適ったシステムとアプリケーションを提案する営業を行っております。既存顧客に対するサポート活動としては、顧客ごとに専任の営業サポート社員を配置し、迅速に直接訪問して対応するサポート体制をとっております。具体的には、定期的な顧客訪問、診療報酬改定時の情報提供(例えば、説明用冊子の作成など)、改定内容に係る説明会の開催や訪問時の個別説明、顧客の歯科医院内での業務フローに合わせた細かなシステム設定、機器障害発生時での訪問対応等があります。このようなサポートを専任体制により提供することで、顧客との信頼関係が醸成されると考えております。
またこのように、地域に密着して営業活動とサポート活動を行う専任の営業サポート担当社員が、顧客を直接訪問し保守サービス等の「顔の見える」営業サポートを実践することで顧客の要望を把握し、当社システムの一層の進化・向上につなげることで、顧客満足度の向上に取り組んできた結果、既存顧客が定期的に行う基幹システムの入替時において一定の買替更新比率を確保しております。
さらに、このような営業とサポートの両面を支えるため、2010年から営業サポート社員全員にクラウド型営業支援ツールを導入し、顧客情報の可視化を行うことで、営業部門全体の生産性を高めるよう努めてまいりました。下記に当社の営業拠点の状況を記載いたします。
(2022年9月30日現在)
④ 売上債権の回収について
当社は複数のリース会社と提携することで、歯科医院が円滑にリース契約を締結できる体制としております。リース契約の活用により、顧客は初期導入費用の負担を軽減でき、当社は売上債権回収に係る業務負担を軽減しております。
⑤ 開発業務について
当社は、社内による独自開発を基本方針としております。これは、吸い上げられた顧客ニーズを迅速に開発業務へとつなげるためであります。また、外注委託の活用を限定的とすることで、製販一体の強みをより生かすことができるとの考えによります。さらに、株式会社日立製作所との特約店契約に基づく連携により、日立グループが有する新しいIT技術のノウハウを開発業務に活用できる体制を構築しております。
該当事項はありません。
2022年9月30日現在
(注)1.従業員数は就業人員(当社から社外への出向者を除き、社外から当社への出向者を含む。また休職者も除く。)であり、臨時雇用者数は従業員数の100分の10未満であるため、記載を省略しております。
2.平均年間給与は、賞与及び基準外賃金を含んでおります。
3.当社は、「歯科医院向けシステム事業」の単一セグメントであるため、セグメント別の記載はしておりません。
労働組合は結成されておりませんが、労使関係は円満に推移しております。
文中の将来に関する事項は、本書提出日現在において、当社が判断したものであります。
当社創業者が掲げる経営信条は、「商いの原点に忠実たれ」「商いの王道を歩む」であります。当社の経営理念・事業理念・行動指針等はすべてこの経営信条から生まれたものであり、当社はこの価値基準に従いビジネスを展開する方針であります。
当社の経営理念は「It's Hi Dental World 歯科医療に夢と未来を…」を主力商品のコンセプトに、徹底的な顧客サポート体制と圧倒的な開発力を備えた、ナンバーワン歯科電子カルテメーカーを目指すことであります。
当社が「夢と未来を」提供する対象は、顧客である歯科医院とその患者であり、双方の満足度を高める新しいコンピューターシステムやアプリケーションを開発し、これを手厚い顧客サポートで普及させることで業界シェア首位を目指すとともに、歯科医療全体の社会的地位の向上と歯科医院の繁栄に寄与し、もって日本経済の発展に貢献することを基本方針としております。
また当社の事業理念は「サポートなくして販売なし」「お客さまの笑顔、お客さまの満足が私たちの喜び」「顔が見え、心が触れ合う」であり、創業者の経営信条を反映させております。さらにこれを具体化した「地域密着のサポート」「精緻なサポート」「最先端の技術と知識を駆使したお客様の為の電子カルテシステムの開発」を行動指針として取り組んでおります。
当社が考える「商いの原点」とは「顔が見え、心が触れ合う」ことであり、この信条・理念を忠実に実践するためには、顧客一人一人と向き合い対話を重ね、信頼関係を構築することが重要となります。そのため当社は、短期的な事業規模の拡大や利殖を追求せず、中長期的な視点での営業拠点の拡大及び顧客数の増加を志向し、緩やかでありますが確たる土台を築いた上で成長・発展する方針です。
当社の経営戦略の根基は、末永い顧客との取引関係の構築であります。現在、2022年度(2023年9月期) を最終年度とする「東和ハイシステム株式会社 中期経営計画2021」を立案し、その達成に向けて下記のような戦略で取り組んでまいります。
(高い付加価値を意識した商品開発)
当社は、新しい技術と知識を駆使して、顧客である歯科医院及びその患者の満足度を高める商品開発に注力します。特にAI(人工知能)等を導入した商品開発や、新型コロナウイルス感染症の影響によるオンライン診療や在宅勤務での業務に対する顧客ニーズの高まりを捉えて、クラウド基盤を活用した商品・サービスの開発投資を行ってまいる所存です。
(独自サービスの提供)
当社は、創業以来、「ソフトウェア三無主義」を提唱しております。一般的なコンピューターシステム業界では、保守料による安定収益を確保するビジネスモデルが採用されておりますが、当社は歯科医院向けパッケージとして歯科電子カルテ統合システムを三無主義により今後も提供する所存です。
(営業拠点の拡充)
当社は、西日本を中心に本社を含めた23か所に営業拠点を展開しておりますが、全国的には展開の余地が残されております。そこで、顧客一人一人を個別訪問する直販体制を維持するために必要な人員の採用・育成を強化し、顧客基盤を拡大する方針です。そのためには今後、さらに東京・横浜・大阪・福岡等の大都市圏への展開に注力する所存です。
(人財の育成)
上記の営業拠点展開を実現するには、歯科業務、保険診療、自社商品及びIT機器等の幅広い知識を備えた上で、コミュニケーション能力と提案能力の高い人財が必須となります。「サポートなくして販売なし」を事業理念とする当社において、サポート可能な顧客数には上限があり、また物理的にサポートできない遠方に所在する顧客もあります。この状況を打開するためには優秀な人財を一人でも多く確保することやデジタル化、デジタルトランスフォーメーションによって営業業務の効率化を図り、労働生産性を向上させることが肝要であり、自社内での教育・育成および社内業務のデジタル化に何より注力する所存です。
(知名度の向上)
当社は2020年12月25日をもちまして東京証券取引所JASDAQ(スタンダード)に上場いたしました。上場により知名度は向上したものの、当社がより良い人財を確保し、また顧客に対する認知度を向上させるためには、当社のさらなる知名度の向上が不可欠です。そのため、広告宣伝活動やデンタルショーなどの展示会への出展を積極的に進める所存です。
(財務的安全性の堅持)
当社のビジネスモデル上、途切れのないサポートを維持することは顧客、患者及び歯科医療全体に対する責任であると認識しております。そのためには今般の感染症の蔓延等の不測の事態が勃発しても、顧客が当社の事業運営の継続性に懸念を抱かないような財務的安全性の確保が重要と考えております。現状、一定の自己資本比率を堅持できておりますが、今後も油断なく取り組む所存です。
当社は、企業価値の向上を目指すにあたり、収益力と業界シェアを重視しております。
当社が直面している経営環境は、制度、業界、顧客の3つの側面があります。
なお、新型コロナウイルス感染症が当社の経営環境に与える影響は、現時点において限定的なものではありますが、先行きは引き続き不透明な部分もあり、継続的に注視してまいります。
(制度的側面)
わが国の医療制度は、医療費財源を賄う医療保険などの医療保障制度と、病院や医師等に関する医療提供制度の両面で成立しております。このうち医療保障制度の面では、近年の少子高齢化と医療費の膨張から、保険財政の悪化が課題となっております。そこで、2年に一度、厚生労働省の諮問機関である中央社会保険医療協議会等により診療報酬の改定が行われます。特に歯科については、診療報酬の計算が年々複雑化しており、都道府県単位で解釈が相違するケースも出ております。
(業界的側面)
当社が属する歯科医療業界では、一般的に「歯科材料商」と呼ばれる代理店を通して、歯科医院の運営に必要な器具・備品等を調達することが一般的であります。そのため歯科用レセプト・コンピューターを手掛ける同業他社も、「歯科材料商」に販売業務を委託しておりました。
しかし近年、歯科用コンピューターの役割について、レセプト単独目的の使用から、電子カルテを始めとする種々のアプリケーションとの連携や、一定の条件化ではありますがオンライン診療の容認など、IT技術を歯科医院の運営に活用する素地が整ってきており、当社が提案する歯科電子カルテ統合システムの需要が高まってくると考えております。
また新型コロナウイルス感染症は、歯科治療が濃厚接触に該当するとの認識から、診療時間帯・診療スタッフの員数・診療方法などの見直しの契機となっております。そうした中で2021年10月20日に運用が開始されたオンライン資格確認等システムについての政府主導による議論が大きく進み、2022年8月10日、中央社会保険医療協議会は2023年4月からマイナンバーカードによるオンライン資格確認システムの導入を原則として義務づける療養担当規則の改正案を答申、更に2022年10月13日、政府は2024年秋にも現在使われている健康保険証の廃止を発表されるなど、医療従事者の業務量の削減や業務効率化をはじめとしたデジタル化やDX化が推し進められております。
(顧客的側面)
当社の顧客である歯科医院は全国に67,936件(JAHIS:一般社団法人保健医療福祉情報システム工業会(2022年9月30日現在))が開業されていますが、医院数は年々減少しております。主な要因としては、約2年半に亘る歯科医院の新型コロナウィルス感染リスク対策の結果、予約中心の受付や予約制限による来院患者の調整、感染を懸念する患者の通院マインドの低下などで来院患者数は大きく減少、更に物価高騰による経費の増加やオンライン資格確認等システム導入による一時的な経費負担増が加わり、歯科医院の経営が逼迫されたことや後継者不足で引退医院数が新規開業医院数を上回っていることによります。
一方で、当社は電子化を推進している又は推進する予定の医院を対象顧客と考えており、67,936件のうち6割の約41,000件を想定しております。
当社が「歯科医療に夢と未来を」をモットーに歯科医院への提案型営業を推進し、更なる成長を目指すためには、「新しい技術を取り入れた商品開発」、「人財の確保と育成」、「営業拠点の展開」に対処することが必要と考えております。
現在、政府が主導するデジタル化、デジタルトランスフォーメーションにより、今後の歯科医療業界はさらなる電子化の進展が見込まれております。従来のカルテ、レセプト機能に加え、社会認知度の高いスマホを活用したサービスや歯科医院運営における業務効率化への需要が高まると予想されます。オンライン資格確認等システムをはじめとして、歯科医院を取り巻く環境は大きく変化していると考えております。
このようなニーズに対して当社は長年に亘ってマスター化された病名や処置、薬品など20万件を超える膨大な情報と180万ステップ超のプログラムを合わせた高性能な歯科電子カルテ統合システムと日立製作所のAI音声認識技術(Recwere)を連携させることで、歯科医が個々の患者への診療中に手袋を外さずに音声で電子カルテ入力ができるシステム開発を協創することを2022年2月15日に発表いたしました。
歯科医院向け統合型電子カルテシステムにおける音声入力による画面操作は初の試みとなり、そのAI・音声電子カルテシステムのプロトタイプを「日本デンタルショー」に出展しデモを交えてご紹介しました。
現在、20件弱のモニター医院で稼働及び稼働の予定をしており、稼働している医院では納品日の翌日から音声入力電子カルテを使いこなせたり、従来は2人で行う歯周検査が音声入力電子カルテがあれば1人でできるなど、大変な好評価をいただいております。今後は、さらにより使い勝手の良いシステムへ改良改善を重ね、歯科業界にとって夢であったDX化の実現に向け、来春での販売を予定しております。
営業サポート社員は、歯科医療や保険診療等の専門知識、ソフトウェアやハードウェアに係るITスキル、顧客ニーズを引き出すコミュニケーション能力等が求められます。また、システム事業部社員は、営業サポート社員と同等の専門知識およびシステム開発スキルが求められます。
そこで、新入社員に対して入社時に約3か月の研修をおこない、営業サポート社員については、フォローアップ研修や新商品の勉強会を実施しております。また、システム事業部社員については、外部を活用した教育や新技術習得に向けた育成に注力しております。
引き続き、研修体制の充実と優秀な人財確保に向けたリクルート活動の拡充を図ってまいります。
2020年12月25日の上場を機に既存の営業地域の深耕だけでなく、多数の対象顧客が開業している近畿エリアおよび関東エリアでのシェア拡大が急務です。
そこで、顧客ニーズを捉えたマーケティング、セールスプロモーション活動等を積極的に取り組み、新たな営業拠点を展開してまいります。
本書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、投資者の判断に重要な影響を及ぼす可能性のある事項を以下に記載しております。当社は、これらのリスク発生の可能性を認識した上で、その発生の回避及び発生した場合の対応に努める所存でありますが、当社株式に関する投資判断は、本項及び本書中の本項以外の記載内容もあわせて、慎重に検討した上で行われる必要があると考えております。
なお、文中の将来に関する事項は、本書提出日現在において当社が判断したものであります。
当社は医療情報システムの開発・販売業を営んでおります。当社は、その中でも歯科医療に特化し、長年にわたり構築してきた歯科電子カルテ統合システムと、地域密着型のサポート体制により、同業他社との差別化を図っております。これにより、日本の人口減少などマクロ的な影響を受けながらも、今後も顧客数の拡大を続けていくことができる状況と判断しております。
しかしながら、当社の歯科電子カルテ統合システムの優位性が失われるほど大きな技術革新の進展や、IT環境の著しい変化が生じた場合、あるいは顧客のニーズが著しく変化した場合には、当社の財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
「第一部 企業情報 第2 事業の状況 1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等 (4)経営環境」に記載のとおり、当社が顧客としている歯科医院数は今後、減少する傾向にあります。また、日本の人口減少に伴い歯科医院運営の競争も厳しくなると予想されます。
これらの要因により、今後、引退による歯科医院数の減少や、経営不振による既存顧客による買替需要・投資意欲の減退等が当社の予測を上回った場合、当社の財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
HMGは当社の顧客である歯科医師が発起人となり組成された任意団体であり、加入資格は当社の顧客に限定され、ハードウェアの修理・保守に係る費用など会員の負担軽減を目的に規約に沿って運営されております。またHMG会員は年2回発行されるHMG会報により会員同士の情報交換も図っております。結成以来、HMGと当社は非常に良好な関係を維持しており、相互に敬意を払いながら共通の利益を追求するパートナー関係を構築しております。
しかしながらHMGは当社と独立した組織であることから、会員の総意により結成目的や運営方針に大きな転換が発生し、それが当社のビジネスモデルに大きな影響を与える場合、当社の財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
当社は現在まで、歯科電子カルテ統合システムの開発・販売に取り組むとともに、市場及び顧客のニーズに真摯に対応することでシェアを伸ばしてまいりましたが、特定商品の供給に特化していることから、当該商品に重大な課題が判明した場合や、市場と大きなミスマッチが発生した場合、当社の財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
当社は株式会社日立製作所と特約店契約を締結し、現在のところ、継続的かつ良好な関係を維持しております。また同契約は、IT機器の安定調達、及び新商品開発時の知識面・技術面での助言や支援など、当社の事業活動の円滑化・安定化に貢献しております。
しかしながら、株式会社日立製作所側の特約店戦略や諸条件の変更があった場合、あるいは何らかの事由により当該契約を解除する事態となった場合には、当社の財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
当社は歯科電子カルテ統合システムに特化した事業展開をしており、当社で開発したシステムを搭載するハードウェアについては、株式会社日立製作所等の仕入先から提供を受けることでコスト削減を図ってまいりました。
ただし、仕入先が限定的であることからこれらの取引先の経営環境の著しい悪化や、商品の供給に重大な問題が生じた場合には、当社の財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
当社は歯科電子カルテ統合システムとして、「Hi Dental Spirit」シリーズと附属するアプリケーションは自社で研究・開発を進めており、リリースしている商品について、自社で独自の品質管理を行っております。これまで重大な不具合等は生じておりませんが、何らかの特殊事情により展開している商品について重大な不具合等が生じ、これに対するリカバリーに多くの業務量を要する場合や、新規の供給が停滞するような場合、当社の財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
歯科医療業界においては、概ね2年に一度の頻度で医療保険制度の改正に係る診療報酬の改定が、また、概ね3年に1度の頻度で介護保険の改正に係る診療報酬の改定が行われます。当社では、このような制度上の改定に際して、その規模、業務量その他に応じて有償でプログラム改定作業を行い、これを売上高として見込んでおります。
しかしながら、制度上の改定等の範囲、規模、複雑性や高度性が当社の業務処理能力を上回った場合、あるいは、作成した改定プログラムに重要な欠陥やバグが含まれてしまった場合、当社が見込んでいた制度上の改定が全く発生しなかった場合、当社の財政状態及び経営成績に影響を与える可能性があります。
当社の営業サポート社員は、新規顧客への営業活動と既存顧客に対する保守サービス等のサポート活動の双方を担当しております。そのためプログラム変更に伴う改定作業が必要となった場合、既存顧客に対するサポート活動の増加により、新規顧客に対する営業活動に支障が生じるおそれがあります。また、2年に一度の医療保険制度の改正及び3年に一度の介護保険制度の改正に係る診療報酬改定は4月に、歯科用貴金属の価格改定に伴う医療保険制度の診療報酬改定は3か月ごとに発生する傾向があります。またこれら以外にも、臨時的に診療報酬改定等が発生する場合もあります。そのため、当該プログラム変更の規模・業務量・頻度によっては、当社の財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
当社は同業他社との競争に勝ち抜くため、最新の情報技術を活用した歯科医院向けのコンピューターシステムの開発に注力しております。しかし、開発の全てが順調に進み新商品・サービスを提供できるとは限らず、開発途中における修正や見直し等により新商品・サービスの投入に遅れが生じたり、開発そのものが中止された場合には、当社の財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
また、当社の提供するWindows搭載サーバーやiPadなどの各端末に搭載されるOS(Operating System)の提供者により、それらのガイドラインや機能が変更され、当社が提供するコンピューターシステムのプログラム修正が必要となった場合、その修正の程度によっては、当社の財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
厚生労働省が推進しております「オンライン資格確認等システム」事業は、健康保険証のオンラインによる本人確認・資格確認を行う制度であり、2021年10月20日に運用を開始しております。
2023年4月1日からの本格稼働に向け、オンライン資格確認等システムの導入が義務付けられ駆け込み需要が見込まれております。本格稼働後につきましては一段落することが想定されています。
今後も何らかの不具合や予期せぬトラブル等が発生した場合、当社の財政状態・経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
当社が安定的な成長を確保していくためには、「歯科医療や保険診療等の電子カルテメーカーとして必須の専門知識」と「ソフトウェア及びハードウェアに係るITスキル」「知識とスキルを駆使して行う説明会講師や顧客ニーズを引き出すコミュニケーション能力」を備えた人財の確保が重要となります。当社の経営理念を理解し、賛同しうる人財の確保を重要課題として、新卒の採用だけでなく、他業種を含めた職業キャリアの採用(中途採用)など、優秀な人財の獲得に取り組んでおります。また、人財教育に関しましては、OJTといった現場での実践を通じた教育に加え、専任講師による専門知識を習得する機会を増やし、プロフェッショナルとなり得る人物を育成しております。
しかしながら各都道府県への支社・支店、営業所の進出に対して、人財確保及び育成が追いつかない場合には、当社の財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
上述のように、当社が安定的な成長を確保していくためには優秀な人財の確保及び育成が重要となります。しかしながら、マクロ的な経済環境・雇用環境の変化や、個人の家庭環境・属性により当社を退職する社員が一定数存在しております。当社が提供する地域密着型のサポートサービスを維持するために必要な人員数を割り込む程の人財流出が発生した場合、当社の財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
当社が保有する商標権は、ロゴマーク及び商品名である「Hi Dental Spirit 」(歯科電子カルテ統合システム)の2つであります。これらについて当社は、国内の同業他社及び類似業種における当社商標権の侵害の有無を確認しております。
また、当社が商品開発やプロモーション等を行う場合、必要に応じて第三者の特許権、商標権等の知的財産権の登録・使用状況を外部の弁理士等を通じて調査することで、知的財産権に関わるリスク低減を図っております。
しかしながら、当該調査をしても第三者の特許権、商標権等の知的財産権の登録・使用状況が明確に判明せず、結果として第三者の保有する特許権、商標権等の知的財産権を使用したこと等により第三者の当該知的財産権を当社が侵害した場合には、当該第三者から損害賠償請求等を受ける可能性があり、当社の財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
当社の主たるシステムは、その性質上、歯科医院の患者情報を扱うことになり、顧客におけるシステム切り替え時のデータコンバートや買替時など、当社も個人情報に関わることがあります。「個人情報の保護に関する法律」が定める個人情報取扱事業者としての義務を果たすためにも、個人情報の保護の徹底を図り個人情報の保護の方針を定め、当該方針の遵守を徹底するよう努めるとともに、個人情報の取扱いに関する社内教育を行い、データも暗号化処理を施すなど、管理・運用面についても慎重を期しております。
また、社内における個人情報管理に関しても、運用担当者を厳格に定め、サーバー類の運用ルールも厳格なマニュアルに規定し、運用が適正に行われるように取り組んでおります。
これらを踏まえ、引き続き、第三者認証である個人情報保護マネジメントシステム(PMS)の獲得などを、早急な課題と位置付け取り組んでまいります。
しかしながら、当社で取扱う個人情報等について、漏洩、改ざん、不正使用、外部からの不正アクセス、その他想定外の事態が発生する可能性が完全に排除されているとはいえず、これらの事態が発生した場合、適切な対応を行うための相当なコストの負担や、当社への損害賠償請求、当社の信用力の低下等によって、当社の事業展開、財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。万が一、個人情報が漏洩するような事実が発生した場合は、社会的信用を失墜し、それに伴う不利益は甚大なものとなり、当社の財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
当社は、企業ブランドの持続的な向上を図るためにも、コーポレート・ガバナンスが有効に機能することが不可欠であると認識しております。そのため、業務の適正性及び財務報告の信頼性の確保、さらに健全な倫理観に基づく法令遵守の徹底が必要であると認識しており、役職員等の社内関係者の不正行為等が発生しないようにコンプライアンス規程を制定し、当社の役職員等が遵守すべき法令及びルールを定め、内部監査等により遵守状況の確認を行っております。
しかしながら、法令等に抵触する事態や社内関係者による不正行為が発生する事態が生じた場合、あるいは事業の急速な拡大により内部管理体制の構築が追いつかない場合には、当社の財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
当社におきまして、創業者であり代表取締役でもある石井滋久は、当社の経営信条、経営方針、経営理念、事業理念、事業モデル、経営戦略のあらゆる場面で中心的な役割を果たしており、現在も経営戦略、会社の事業推進、営業施策とその推進等において、重要な役割を果たしております。
当社では取締役会及び執行役員体制を整え、役員及び幹部社員の情報共有や経営組織の強化など権限委譲を図り、同氏に過度に依存しない経営体制の整備を進めておりますが、何らかの理由により同氏が業務執行を継続することが困難となった場合、当社の財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
当社は、開発の拠点を岡山本社、地域密着型のサポートサービスの拠点を岡山本社とそれ以外の西日本を中心とした主要都市に設置し、商品は岡山本社から各拠点に配送する方式としております。当社の顧客は歯科医院という医療機関であるため、有事発生時であっても当社には従来通りの役割が求められます。そのため、本社や各拠点が被災等の有事発生時に備え、営業・物流も含めたサービス提供機能の維持を課題として取り組んでおります。
現状、これら自然災害・緊急事態等が発生した場合に備え、BCP(事業継続計画)策定により有事発生時への対処策を立案し、顧客、事業及び財務状況への影響を最小化するよう努めております。しかしながら、本社又は各拠点が自然災害や非常事態により被害を受け、その物的・人的損害が甚大である場合、感染症その他により地域的又は全国的に緊急事態宣言が発出され、経済活動よりも安全や健康が優先されるべき事態となった場合、当社の業務活動の継続自体が困難又は不可能となり、当社の財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
新型コロナウイルス感染症に対して当社は、取引先、関係者及び従業員の安全を第一に考え、社員へのワクチン接種の徹底、時差出勤の実施、不要不急の外出の自粛、一定の距離を確保した事務所内の配置、可能な社員についての在宅勤務、テレビやWEBを活用した会議や面接の実施、パーティションによるセクション区切り等の施策を全社的に取り組んだ上で、個々人においては日常的なうがい・手洗い消毒・検温等を行い、予防と早期発見を図っております。
当社におきましては、上記の状況から概ね回復しており足許での影響は相当程度に限定的であることを確認できておりますが、今後、新型コロナウイルス感染症の蔓延状況が悪化し、その影響が長期かつ広範囲に拡大した場合、当社の財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
(20) 大株主について
当社の代表取締役石井滋久(資産管理会社である有限会社エス・イーを含む)の所有株式数は、今般の株式上場に当たり所有株式数の一部を売却いたしましたが、本書提出日現在で発行済株式総数の71.5%を保有する大株主であります。
同氏は、安定株主として引き続き一定の議決権を保有し、その議決権行使にあたっては株主共同の利益を追求するとともに、少数株主の利益にも配慮する方針を有しております。
当社といたしましても、同氏は安定株主であると認識しておりますが、将来的に何等かの事情により大株主である同氏の持分比率が低下した場合、当社株式の市場価格及び議決権行使の状況等に影響を及ぼす可能性があります。
当社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。
①経営成績の状況
当事業年度における我が国経済は、新型コロナウイルス感染症のワクチン接種の普及が進み、行動制限が緩和されたこと等による持ち直しの動きが見られました。また新規感染者数についても「全数把握」の見直しなど、徐々にウィズコロナへ移行しつつあります。一方で新型コロナウイルス感染症の収束時期は未だ見通せず、ウクライナ情勢の緊迫化や原材料・エネルギー価格の高騰、急速な円安進行の影響による物価の高騰は続いており、引き続き、個人消費の低迷や企業収益の悪化が懸念される不透明な状況となっております。
歯科医療業界におきましては、医療従事者の業務量の削減や業務効率化をはじめとしたデジタル化やDX化を推し進めていく中、2021年10月20日に運用が開始されたオンライン資格確認等システムについての政府主導による議論が大きく進み、2022年8月10日、中央社会保険医療協議会(中医協)は2023年4月からマイナンバーカードによるオンライン資格確認システムの導入を原則として義務づける療養担当規則の改正案を答申、更に2022年10月13日、政府は2024年秋にも現在使われている健康保険証の廃止を発表するなど、駆け込み需要が大きく見込まれる状況にあります。
そのような中、当社は事業理念に沿った「サポートなくして販売なし」「お客様の笑顔 お客様の満足が私たちの喜び」「顔が見え、心が触れ合う」「親しまれ・愛され・信頼されるサポート」をモットーに対面型の営業サポートを継続してまいりましたが、約2年半に亘る歯科医院の新型コロナウィルス感染リスク対策の結果、予約中心の受付や予約制限による来院患者の調整、感染を懸念する患者の通院マインドの低下などで来院患者数は大きく減少、更に物価高騰による経費の増加やオンライン資格確認等システム導入による一時的な経費負担増が加わり、歯科医院の経営が逼迫されたことや後継者不足でシステムの買替控えや閉院・廃院する歯科医院が散見されるなど、引き続き、システム販売にも影響が出ております。
一方、当社は当事業年度につきましてオンライン資格確認等システムの販売に邁進し、受注率87%(2022年9
月30日現在)を達成しました。
これら一連の活動を、主力商品である歯科電子カルテ統合システム「Hi Dental Spirit XR-10i」販売へと繋げてまいりました結果、当事業年度の売上高は2,215,419千円(前年同期比6.5%減)、営業利益は416,487千円(前年同期比30.8%減)、経常利益は475,052千円(前年同期比16.8%減)、当期純利益は316,275千円(前年同期比15.8%減)となりました。
なお、当社は、「歯科医院向けシステム事業」の単一セグメントであるため、セグメント別の記載はしておりません。
②財政状態の状況
(資産)
当事業年度末における資産合計は4,045,753千円となり、前事業年度末より27,587千円増加いたしました。
流動資産は2,260,720千円と前事業年度末より374,943千円減少いたしました。主な内訳は、有価証券購入に伴う現金及び預金の減少361,277千円、売掛金の減少142,284千円と、商品の増加73,703千円であります。
固定資産は1,785,032千円と前事業年度末より402,531千円増加いたしました。主な内訳は、ソフトウェアが22,984千円、社債等購入に伴う投資有価証券が354,460千円増加しております。
(負債)
当事業年度末における負債合計は455,953千円となり、前事業年度末より59,170千円減少いたしました。
流動負債は408,417千円と前事業年度末より61,111千円減少いたしました。主な内訳は、買掛金の減少44,283千円、未払法人税等の減少13,579千円、未払消費税等の減少15,517千円であります。
固定負債は47,536千円と前事業年度末より1,941千円増加いたしました。退職給付引当金の増加1,941千円によります。
(純資産)
当事業年度末における純資産合計は3,589,799千円となり、前事業年度末より86,758千円増加いたしました。主な内訳は、利益の獲得による増加と配当金の支払による減少の結果として利益剰余金が93,475千円増加したことによります。
③キャッシュ・フローの状況
当事業年度末における現金及び現金同等物(以下、「資金」という。)は1,488,580千円となり、前事業年度
末より361,277千円減少いたしました。各キャッシュ・フローの状況とそれらの増減要因は次のとおりでありま
す。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動によって得られた資金は342,682千円(前年同期は247,995千円の収入)となりました。これは主として法人税等の納付による189,051千円の支出等があったものの、税引前当期純利益の獲得による478,248千円の収入、減価償却費48,746千円の計上、売上債権の減少142,284千円等があったことによるものであります。
投資活動によって支払った資金は481,224千円(前年同期は574,520千円の支出)となりました。これは主として投資有価証券の売却による144,899千円の収入があったものの、有形固定資産の取得による支出24,973千円、無形固定資産の取得による支出73,317千円、投資有価証券の取得による支出487,210千円があったことによります。
財務活動によって支払った資金は222,735千円(前年同期は444,716千円の収入)となりました。これは配当金222,735千円の支出があったことによります。
④生産、受注及び販売の状況
当社で行う事業は、提供する商品の性格上、生産実績の記載になじまないため、当該記載を省略しておりま
す。
b. 受注実績
(注) 地域ブロック間取引はありません。
c. 販売実績
なお、当社は「歯科医院向けシステム事業」の単一セグメントであるため、収益形態別及び地域ブロック別に記載しております。
(注) 1.地域ブロック間取引はありません。
2.主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合については、販売実績の総販売
実績に対する割合が10%以上の販売先がないため、省略しております。
また、ブロックごとの当社のシェアは次のとおりであります。
(2022年9月30日現在 単位:件)
(社会保険診療報酬支払基金 「レセプト請求別の請求状況」令和4年度8月診療分より)
(注) 1.九州ブロックは、福岡県、大分県、佐賀県、長崎県、熊本県、鹿児島県、沖縄県で構成されております。
2.中国ブロックは、岡山県、広島県、山口県、鳥取県、島根県で構成されております。
3.関西ブロックは、大阪府、兵庫県で構成されております。
4.四国ブロックは、香川県、愛媛県、高知県で構成されております。
5.関東ブロックは、東京都、神奈川県で構成されております。
6.上記データは社会保険診療報酬支払基金による「レセプト請求別の請求状況」から、2022年11月11日時点
で公表されている2022年9月30日現在における公表数値と、同じく2022年9月30日現在における当社の顧
客数を対応させて記載しております。
7.上表の「オンライン請求歯科医院数」とは、オンラインによるレセプト請求を行っている歯科医院数
です。「電子媒体請求歯科医院数」とは、電子媒体(例えばCDロム等)を提出することでレセプト請求を
行っている歯科医院数です。各ブロックで記載しているこれらの数値は、(注)1から(注)5までで
記載している当社の営業拠点が所在する都府県の歯科医院数を合計しております。
8.ブロックごとの「オンライン請求歯科医院数」と「電子媒体請求歯科医院数」の合計を分母として、
ブロックごとの当社の顧客数の合計を分子として当社シェアを算定しております。
9.シェアの算定に当たって使用する当社の顧客数は、各営業拠点が管轄する顧客数であります。そのため、
実際の顧客の所在地と異なっている場合があります。
経営者の視点による当社の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当事業年度末現在において当社が判断したものであります。
①経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容
当社が目標とする経営指標は、「1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等 (3)目標とする経営指標」に記載のとおりであります。
当事業年度の売上高営業利益率は18.8%(前事業年度25.4%)と前年より下落となりました。これは主として売上総利益が154,390千円減少し、販売費及び一般管理費が30,723千円増加したことに起因します。今後も継続的に全社的な生産性向上に向けて、事業活動全般に対して必要な施策を行い、より収益性の高い企業を目指して取り組んでまいります。
当事業年度末における顧客数は3,118件(前事業年度末から24件減少)となっております。当期は新型コロナウイルス感染症等による影響で閉院・廃院等による引退が重なったことにより85件が減少し、新規顧客として61件を獲得となりました。
(売上高)
当事業年度の売上高は、2,215,419千円(前年同期比6.5%減)と減収となりました。
厚生労働省が推進する、マイナンバーカードを健康保険証として使用できる等のオンライン資格確認等システムに係る売上が444,112千円(前年同期比1.0%増)となりました。システム売上については、歯科医院内の新型コロナウイルスへの感染リスク対策として来院患者数も調整せざるを得ない状況や、感染を懸念する患者の通院マインドの低下もあり、来院患者数減少、物価高騰による経費の増加の影響も加わり歯科医院経営が逼迫され、システムの買替控えを始め、閉院・廃院する歯科医院も散見され、販売システム数456件(前期は596件)と減少しました。この結果、システム売上高は1,330,541千円(前年同期比23.3%減)となりました。
プログラム改定売上については、臨時的な改定が複数回発生し、2年に一度の医療保険制度の改正の年ということもあり、全体として311,559千円(前年同期比256.5%増)となりました。
(売上総利益)
当事業年度の売上原価は、プログラム改定に伴う人件費が14,407千円、クラウド予約システム構築の資産計上に係る減価償却費が9,789千円増加し、結果として当事業年度の売上総利益は154,390千円減少し、1,629,405千円(前年同期比8.7%減)となりました。
(営業利益)
当事業年度の販売費及び一般管理費は、本社第2建物の取り壊し費用9,000千円、上場に伴うIRコンサルティング料による日興アイアールへの支払い、株主数増加に伴う招集通知の発行部数増加による宝印刷への支払い18,073千円増加により、販売費及び一般管理費は30,723千円の増加となり、営業利益は416,487千円(前年同期比30.8%減)となりました。
(経常利益)
当事業年度の営業外収益に有価証券利息16,902千円、受取配当金17,500千円、投資有価証券売却益21,809千円を計上したこともあり、経常利益は475,052千円(前年同期比16.8%減)となりました。
(当期純利益)
当事業年度の当期純利益は、法人税等の計上158,659千円、法人税等調整額3,313千円の計上により316,275千円(前年同期比15.8%減)となりました。
当事業年度の財政状態の分析につきましては、「第2 事業の状況 3 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1)経営成績等の状況の概要 ②財政状態の状況」に記載のとおりであります。
②キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容並びに資本の財源および資金の流動性に係る情報
当事業年度のキャッシュ・フローの分析につきましては、「第2 事業の状況 3 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1)経営成績等の状況の概要 ③キャッシュ・フローの状況」に記載のとおりであります。
当社の運転資金等については、主に自己資金により充当しております。当事業年度末の現金及び現金同等物は1,488,580千円となり、将来に対して十分な財源及び流動性を確保しております。
今後の資本的支出としては、「第3 設備の状況 3 設備の新設、除却等の計画」に記載のとおりで、その調達源については、原則として、営業活動によるキャッシュフローを財源とします。
③重要な会計上の見積りおよび当該見積りに用いた仮定
当社の財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている企業会計の基準に基づき作成されております。この財務諸表を作成するにあたり、当事業年度における資産・負債及び収益・費用の報告金額並びに開示に影響を与える将来に関する見積りを実施する必要があります。これらの見積りについて、当社は当事業年度末時点において過去の実績やその他の様々な要因を勘案し、合理的な仮定等に基づき算定しておりますが、実際の結果は見積り特有の不確実性の影響から、将来においてこれらの見積りとは異なる場合があります。
当社が財務諸表の作成にあたり採用している重要な会計方針については、「第5 経理の状況 1 財務諸表等 (1)財務諸表 注記事項 重要な会計方針」に記載しております。
(注) 1.特約店契約の解除事由として下記の定めがあります。
手形の不渡り・差押さえ・仮差押さえ・仮処分・競売・破産・民事再生・会社更生・債務不履行等
2.当社と株式会社日立製作所とは、1992年3月21日に特約店契約を締結し、その後円滑な取引関係を維持してまいりましたが、外部経営環境の変化に対応して契約内容の精査を行ったところ、2021年6月15日付で当該契約を更新いたしました。
(注) 1.現在休止中の主要な設備はありません。
2.従業員数は就業人員(当社から社外への出向者を除き、社外から当社への出向者を含む。)であり、臨時雇用者数は従業員数の100分の10未満であるため、記載を省略しております。
3.当社は、歯科医院向けシステム事業の単一セグメントであるため、セグメント別の記載はしておりません。
該当事項はありません。
該当事項はありません。
(注)1.2018年2月16日付で定款の一部が改定され種類株式を廃止いたしました。これにより、A種類株式(優先株式)29,350株は1対1の比率で普通株式となっております。
2.2020年6月29日開催の取締役会決議により、2020年7月31日付で普通株式1株につき24株の株式分割を行っております。これにより発行済株式総数は1,886,000株増加し1,968,000株となりました。
3.2020年12月25日付で当社は東京証券取引所JASDAQ(スタンダード)に上場いたしました。これに伴い2020年12月24日を払込期日とする公募増資により発行済株式総数が200,000株増加しました。
(有償一般募集 発行価格:2,300円 引受価額:2,116円 資本組入額:1,058円)
4.2020年11月20日及び2020年12月7日開催の取締役会において、2021年1月25日付で野村證券株式会社が行うオーバーアロットメントによる当社株式の売出しに関連した第三者割当増資により発行済株式総数が60,000株増加いたしました。
(有償第三者割当 発行価格:2,116円 資本組入額:1,058円 割当先:野村證券株式会社)
2022年9月30日現在
(注)発行済株式の総数に対する所有株式数の割合は、小数点以下第3位を四捨五入しております。