クリングルファーマ株式会社
Kringle Pharma,Inc.
茨木市彩都あさぎ七丁目7番15号彩都バイオインキュベータ207号
証券コード:48840
業界:医薬品
有価証券報告書の提出日:2022年12月26日

 

 

第17期

第18期

第19期

第20期

第21期

決算年月

2018年9月

2019年9月

2020年9月

2021年9月

2022年9月

売上高

(千円)

467,616

289,756

391,829

経常損失(△)

(千円)

64,134

301,630

116,341

299,676

330,339

当期純損失(△)

(千円)

64,554

302,050

117,831

301,166

331,829

持分法を適用した
場合の投資利益

(千円)

資本金

(千円)

100,000

100,000

300,000

51,820

59,877

発行済株式総数

(株)

 

 

 

 

 

 普通株式

52,053

52,053

182,385

4,334,700

5,380,700

 A種優先株式

61,000

61,000

 B種優先株式

8,000

8,000

純資産額

(千円)

518,443

216,393

2,188,521

2,506,149

2,789,187

総資産額

(千円)

566,928

251,868

2,350,242

2,635,625

3,208,691

1株当たり純資産額

(円)

280.06

570.19

599.97

578.17

517.75

1株当たり配当額
(1株当たり中間配当額)

(円)

(―)

(―)

(―)

(―)

(―)

1株当たり当期純損失(△)

(円)

62.01

290.14

106.70

72.51

68.33

潜在株式調整後
1株当たり当期純利益

(円)

自己資本比率

(%)

91.4

85.9

93.1

95.1

86.8

自己資本利益率

(%)

株価収益率

(倍)

配当性向

(%)

営業活動による
キャッシュ・フロー

(千円)

202,416

338,801

146,461

560,922

15,796

投資活動による
キャッシュ・フロー

(千円)

1

254,383

財務活動による
キャッシュ・フロー

(千円)

199,274

2,082,523

595,904

603,112

現金及び現金同等物
の期末残高

(千円)

505,278

166,476

2,102,538

2,137,520

2,502,046

従業員数

(名)

5

6

9

11

12

株主総利回り

(%)

(比較指標:―)

(%)

(―)

(―)

(―)

(―)

(―)

最高株価

(円)

1,780

937

最低株価

(円)

805

419

 

 

(注) 1.当社は連結財務諸表を作成しておりませんので、連結会計年度に係る主要な経営指標等の推移については記載しておりません。

2.持分法を適用した場合の投資利益については、関連会社がないため記載しておりません。

3.当社は、2020年2月28日付で第三者割当増資(C種優先株式31,664株の発行)を行い、資本金は574,960千円となり、2020年4月3日付で第三者割当増資(C種優先株式24,668株の発行)を行い、資本金は944,980千円となりましたが、2020年7月30日付で無償減資を行い、資本金は100,000千円となりました。さらに、2020年8月31日付で第三者割当増資(普通株式5,000株の発行)を行い、資本金は300,000千円となり、発行済株式総数は、普通株式57,053株、A種優先株式61,000株、B種優先株式8,000株、C種優先株式56,332株となりましたが、2020年9月23日付で普通株式を対価とする取得条項に基づき、発行済優先株式の全てを当社が取得し、引き換えに優先株主に対して当社普通株式の交付を行い、同日付で当社が取得した優先株式の全てを消却しております。なお、当社は、2020年9月16日開催の臨時株主総会決議に基づき、2020年9月23日付で、種類株式を発行する旨の定款の規定を廃止しております。加えて、2020年11月12日付で普通株式1株につき20株の株式分割を行っております。

4.1株当たり配当額及び配当性向については、配当を実施していないため記載しておりません。

5.潜在株式調整後1株当たり当期純利益については、第17期、第18期及び第19期におきましては、潜在株式は存在するものの、当社株式は非上場であり、期中平均株価が把握できないため、また、1株当たり当期純損失であるため、第20期及び第21期におきましては、潜在株式は存在するものの、1株当たり当期純損失であるため、記載しておりません。

6.自己資本利益率については、当期純損失であるため、記載しておりません。

7.第17期から第19期の株価収益率については、当社株式は非上場であるため記載しておりません。また、第20期及び第21期の株価収益率については、当期純損失であるため記載しておりません。

8.従業員数は就業人員(当社から社外への出向者を除き、社外から当社への出向者を含む。)であり、臨時雇用者数は従業員数の100分の10未満であるため、記載しておりません。

9.2020年11月12日付で普通株式1株につき20株の株式分割を行っており、第17期の期首に当該株式分割が行われたと仮定し、1株当たり純資産額及び1株当たり当期純損失を算定しております。

10.第17期、第18期、第19期及び第20期の株主総利回り及び比較指標については、当社株式が2020年12月28日に東京証券取引所マザーズ市場に上場したため、記載しておりません。

11.最高・最低株価は、東京証券取引所グロースにおける株価を記載しております。なお、2020年12月28日をもって同取引所に株式を上場したため、それ以前の株価については記載しておりません。

12.「収益認識に関する会計基準」(企業会計基準第29号 2020年3月31日)等を第21期の期首から適用しており、当事業年度に係る主要な経営指標等については、当該会計基準等を適用した後の指標等となっております。

 

 

2 【沿革】

 

年月

概要

2001年12月

医薬品、遺伝子治療に関する研究開発を事業目的として、大阪市北区にクリングルファーマ株式会社(資本金10,000千円)を設立

2002年8月

本社を大阪市北区から大阪市中央区に移転

2004年7月

本社を大阪市中央区から大阪府豊中市に移転

2004年10月

大阪府茨木市に研究所を開設

2005年5月

中村敏一氏(大阪大学名誉教授)より、HGFタンパク質の開発実施権の許諾を得て、新規パイプラインとして開発を開始。(開発コード:KP-100)

2007年6月

GMP準拠によるKP-100原薬を量産する製造方法を確立

2007年7月

HGFに関する基礎研究を目的として大阪大学にクリングルファーマ再生創薬研究部門を開設(2012年3月に閉鎖)

2007年11月

HGFからなる動物用医薬品の早期実用化を目的として、日本全薬工業株式会社と共同研究契約及びライセンス契約を締結

2008年10月

ノルウェーにおいて、KP-100を主成分とする製剤(ChronSeal®)について、皮膚潰瘍患者を対象とした第Ⅰ/Ⅱ相試験を開始

2008年10月

米国において、腎不全患者を対象とするKP-100の第Ⅰa相試験を開始

2008年12月

皮膚領域の臨床開発の円滑な推進を目的として、スウェーデンにKringle Pharma Europe AB(連結子会社)を設立(2011年3月に閉鎖)

2009年1月

スウェーデンにおいて、皮膚潰瘍患者を対象とした第Ⅰ/Ⅱ相試験を開始

2009年7月

米国における、腎不全患者を対象とするKP-100の第Ⅰa相試験を終了

2010年8月

ノルウェー及びスウェーデンにおける、皮膚潰瘍患者を対象とした第Ⅰ/Ⅱ相試験を終了

2010年9月

米国において、慢性腎不全患者を対象とするKP-100の第Ⅰb相試験を開始

2011年12月

日本において、筋萎縮性側索硬化症(以下、ALSという)患者を対象とした第Ⅰ相試験を開始

2012年4月

米国における、腎不全患者を対象とするKP-100の第Ⅰb相試験を終了

2012年6月

本社を大阪府豊中市から大阪府茨木市に移転

2014年6月

日本において、脊髄損傷急性期患者を対象としたKP-100ITの第Ⅰ/Ⅱ相試験を開始

2014年11月

日本において、声帯瘢痕患者を対象としたKP-100LIの第Ⅰ/Ⅱ相試験(医師主導)を開始

2015年3月

日本における、ALS患者を対象としたKP-100ITの第Ⅰ相試験を終了

2016年5月

日本において、ALS患者を対象としたKP-100ITの第Ⅱ相試験(医師主導)を開始

2016年11月

日本における、声帯瘢痕患者を対象としたKP-100LIの第Ⅰ/Ⅱ相試験(医師主導)を終了

2018年6月

当社が製造した組換えヒトHGFタンパク質を株式会社リプロセルより研究用試薬として販売開始

2018年10月

日本における、脊髄損傷急性期患者を対象としたKP-100ITの第Ⅰ/Ⅱ相試験を終了

2019年9月

厚生労働省が脊髄損傷急性期を対象とするKP-100ITを希少疾病用医薬品として指定

2020年3月

東邦ホールディングス株式会社との資本業務提携を通じて、脊髄損傷急性期を対象とするKP-100IT医薬品の卸売流通体制を構築

2020年4月

米国クラリス・バイオセラピューティクス社とライセンス及び供給契約を締結

2020年7月

日本において、脊髄損傷急性期患者を対象としたKP-100ITの第Ⅲ相試験を開始

2020年8月

丸石製薬株式会社との資本業務提携を通じて、脊髄損傷急性期を対象とするKP-100IT医薬品の販売体制を構築

2020年12月

東京証券取引所マザーズ市場に株式を上場

2021年2月

慶應義塾大学医学部との脊髄損傷に対するHGF(肝細胞増殖因子)治療を応用した複合的研究に関する共同研究契約締結

2021年8月

米国クラリス・バイオセラピューティクス社による神経栄養性角膜炎を対象とする第Ⅰ/Ⅱ相試験の開始

2021年9月

組換えヒトHGFタンパク質(KP-100)の国際一般名称が「Oremepermin Alfa」(オレメペルミン アルファ)に決定

2021年12月

ALSを対象とする第II相試験(医師主導治験)の最終観察日の終了

2022年3月

慶應義塾大学医学部岡野栄之教授が科学アドバイザーに就任

2022年3月

慶應義塾大学医学部と慢性期脊髄損傷に対する治療に関する共同特許を出願

2022年4月

東京証券取引所グロースに市場区分を変更

2022年9月

慶應義塾大学医学部と脊髄損傷に対するHGFとiPS細胞併用治療に関する共同特許を出願

 

KP-100ITはKP-100を主成分とする、脊髄腔内投与用製剤です。

KP-100LIはKP-100を主成分とする、局所投与用製剤です。

 

 

3 【事業の内容】
(1) 概要(背景)

当社は、難治性疾患、すなわち「症例数が少なく、原因不明で、治療法が確立しておらず、生活面への長期にわたる支障がある疾患」に対する治療薬の研究開発を目指す大学発バイオベンチャーとして設立されました。

設立後、中村敏一氏(当時:大阪大学大学院医学系研究科教授)の発見したHGF(Hepatocyte Growth Factor:肝細胞増殖因子)タンパク質を開発パイプラインとして導入し、組換えDNA技術を応用したタンパク質(以下、「組換えタンパク質」という。)の製造法の確立、非臨床試験の実施を経て、欧米及び日本における臨床試験を複数実施いたしました。

その結果、組換えヒトHGFタンパク質の医薬品としての安全性を確認し、脊髄損傷急性期を対象とする臨床試験においては有効性を示唆する結果、すなわちPOC(Proof Of Concept)を得ることができました。

 従来の創薬バイオベンチャーの戦略としては、ここまでの研究成果を導出して製薬企業に開発・製造販売を委ねるのが常ですが、当社は組換えヒトHGFタンパク質を医薬品として確実に社会に提供することを第一の使命と考え、自社で開発を続け、医薬品の製造販売承認を得る方針で事業を進めております。

 


 

<図1 当社の企業理念>

 

 

(2) 事業モデル

当社が想定している事業モデルを図2に示します。当社は対象疾患や提携先に応じてA、B、Cを組み合わせたハイブリッド型の事業モデルを志向しております。その中でも、臨床試験の成果をより確実に医薬品として社会実装するため、自社での医薬品製造販売承認申請を行うことを基本方針とします。当社の臨床段階のパイプラインについては、脊髄損傷急性期と声帯瘢痕はAとBのハイブリッド(自社開発と販売提携)、ALSと急性腎障害はBによる事業化を目指しております。また、クラリス・バイオセラピューティクス社への原薬供給はCに該当します。

 


 

<図2:当社の事業モデル>

 

また、開発については一般的な新薬開発プロセスに従って実施する必要がありますが、難治性疾患に対する治療薬の開発を実現するために以下に示すようなプロセスを実施しております。

 

① 基礎研究

医薬品の候補となるシーズ探索は長期の研究期間が必要である上に、この段階で候補が見つかっても医薬品として成功する確率は非常に低いことがわかっております。当社では、基礎研究として、組換えヒトHGFタンパク質の新規適応症の探索及び新規候補品の探索を行っておりますが、大学との共同研究において専門的な知識を活用することにより、成功確率を高めるよう基礎研究を進めております。

 

② 非臨床試験・製造

非臨床試験や製造については、開発業務受託機関、製造受託機関等の専門技術を活用することにより、迅速に進めております。また、この開発段階では膨大な支出に対する収入が得られないため、公的資金(助成金、補助金)を活用することにより、自社負担を減らし、経済的なリスクを低減させております。

 

③ 臨床試験(第Ⅰ相試験、第Ⅱ相試験、第Ⅲ相試験

患者数の少ない難治性疾患では、疾患の原因も病態も明らかでないことがあり、臨床試験の評価項目の設定や症例の選定等が難しいとされております。当社では、大学との連携により、難治性疾患に対する専門的な知見を集積し、小規模で成功確度が高い評価項目を策定し臨床試験を実施しております。臨床試験の一部の業務については、開発業務受託機関に委託して品質・開発速度を確保するとともに、臨床評価や解析については、専門病院及び大学病院の医師と連携して科学的な質を高めております。また、大学病院等が公的資金を確保し、臨床試験(医師主導治験)の実施を希望する場合には、治験薬及び科学的な情報・知識を提供して治験推進に協力し、成果の独占的な利用許諾を得ます。

 

④ 承認申請・許可

臨床試験の成果をより確実に医薬品として社会実装するため、自社での医薬品製造販売承認申請を行うことを基本方針とします。難治性疾患を対象として開発しているため、POCが得られた後には厚生労働省の「希少疾病用医薬品指定」を受け、開発費用の助成、優先審査の活用などにより申請までの業務を加速することが可能です。また、「条件付き早期承認制度」「先駆的医薬品指定制度(旧 先駆け審査指定制度)」等の制度を活用することにより申請・審査に係る時間を短縮し、早期承認を目指します。

 

⑤ 販売

難治性疾患は高度医療機関において治療が行われるため、開発した医薬品の取り扱い施設の数が限定されます。したがいまして、通常の医薬品のような大規模な流通販売網の構築が不要となります。また、競合する医薬品が少ないことから営業活動に大きな費用をかける必要がありません。当社が医薬品製造販売業の許可を取得し、医薬品卸売販売業者と提携することで、必要な場所に必要な医薬品を届けるサプライチェーンの構築が可能です。その結果、販売に係るコストが削減され、売上総利益を高い割合で継続的に得られるメリットを享受することができます。

なお、脊髄損傷急性期を対象とした製品のサプライチェーンについては、現時点で当社内に営業販売体制がないことから、下図に示すように丸石製薬株式会社と東邦ホールディングス株式会社との提携により構築されております。丸石製薬株式会社は救急領域のスペシャリティファーマとして国内の救急病院をカバーする営業体制を有しているため、当該製品の販売及びプロモーションの提携をすることで、サプライチェーンを構築することが可能であると考えております。

 

 

<図3:脊髄損傷急性期を対象とした製品のサプライチェーン>

 

⑥ 適応拡大

個々の難治性疾患は患者数が限られますが、複数パイプラインの開発を進めること、海外へ販売を拡大すること、他領域の疾患についても開発を進めることにより、市場の拡大が可能であると考えております(図4)。例えば、脊髄損傷急性期及びALSにおいてHGFの神経保護作用が示された場合には、脳神経領域の疾患に対しても神経保護作用を示し、治療薬として開発される可能性が考えられます。また、声帯瘢痕においてHGFの抗線維化作用が示されると、声帯以外の線維化が原因となる疾患への応用が考えられます。さらに、急性腎障害において静脈内投与でのHGFの効果が確認された場合には、腎臓以外の臓器における難治性疾患への応用の可能性が考えられます。HGFは様々な作用を持っていることから、一つの作用についての効果が確認されると、他領域への応用の可能性があると考えております。将来的には、当社において適応拡大による市場の拡大を行いながら他の製薬企業から他領域での開発を希望する提案を受けた場合には、原薬を供給することにより、継続的な収益を得ることも可能であると想定しております。

 


<図4:適応拡大の可能性>

 

 

なお、当社の事業セグメントは、医薬品開発事業の単一セグメントであり、事業系統図(図5)及び収益の種類(表1)は以下のとおりであります。

 

(事業系統図)

 


 

<図5:事業系統図>

 

<表1:収益の種類>

 

収益の種類

内容

契約一時金

製品販売に関する卸業者との契約時に得られる一時金

販売促進活動協力を目的として契約時に得られる一時金

原薬供給に関する契約時に得られる一時金

マイルストーン

研究開発の進捗により受取る収益

ロイヤリティ

製品販売後に販売額の一定比率を受取る収益

製品販売

医薬品製造販売(製品販売)に対する売上

原薬供給による売上

試薬販売による売上

 

 

 

(3) 創薬シーズ

現在、当社の保有する創薬シーズは組換えヒトHGFタンパク質であり、組換えヒトHGFタンパク質を有効成分とした複数の製剤を用いて、各種臨床試験を実施しております。HGFは当初、肝細胞の増殖を促進する増殖因子として日本で発見されました。増殖因子は細胞の表面に存在する受容体と結合することにより、細胞の核(遺伝子)にシグナルを伝達し、細胞の増殖開始のスイッチをオンにする物質です(図6)。もともと体の中で働く物質であることから組換えタンパク質として製造が可能になれば、高い安全性と効果を併せ持つ医薬品になる可能性があります。

 


<図6:増殖因子の作用機序

 

HGFはその後の研究によって、細胞増殖以外にも細胞保護、形態形成等の生物活性を併せ持つことが明らかになり、対象となる細胞も肝細胞だけでなく、腎臓、肺、皮膚等の細胞に対して効果があることが示されました(図7)。特に、線維成分の蓄積により細胞の機能が低下する「線維化」や「硬化」を解除する作用(以下、「抗線維化」という。)及び神経細胞・グリア細胞等の神経系細胞に対する生物活性が明らかになると、複数の難治性疾患に対する治療薬の候補として様々な研究成果が報告されました。

 


 

<図7:HGFの生物活性>

 

 

実験動物を用いて疾患モデルを作製すると、体内のHGFタンパク質量が上昇し、疾患が治癒することが示され、HGFと組織修復の関係が明らかになってきました。そこで、組換えヒトHGFタンパク質を疾患モデルに補充的に投与すると症状の軽減や治療効果が示されました。組換えヒトHGFタンパク質を用いた研究は現在でも多くの疾患領域について行われておりますが、臨床応用の可能性がある代表的な疾患は下表のようになります。

 

<表2:組換えヒトHGFタンパク質の臨床応用の可能性がある疾患>

疾患臓器

疾患名

生物活性

腎臓

急性腎障害・慢性腎不全・腎移植・糖尿病性腎症

腎上皮細胞の保護・増殖、

尿細管細胞の保護・増殖、形態形成誘導

筋線維芽細胞の増殖抑制、線維化成分の抑制

肝臓

急性肝炎・劇症肝炎・肝硬変・胆道閉鎖症・脂肪肝・肝移植

肝細胞、肝芽細胞の保護・増殖

心臓・血管

血管障害(閉塞性動脈硬化症・血管再狭窄防止等)・心筋梗塞・拡張型心筋症

心筋細胞の増殖

血管内皮細胞の保護・増殖、形態形成誘導

神経系

ALS脊髄損傷急性期・脳梗塞・パーキンソン病・ハンチントン病・認知症

神経細胞の保護、軸索形成誘導

グリア細胞の保護

肺・気管支

慢性閉塞性肺疾患(COPD)・肺線維症・気管支喘息

肺上皮細胞の保護・増殖

気管支上皮細胞の保護・増殖

その他

皮膚潰瘍・声帯瘢痕・炎症性腸疾患・角膜損傷

各種細胞の保護・増殖、形態形成誘導

筋線維芽細胞の増殖抑制、線維化成分の抑制

 

太字は当社が現在医薬品の開発をしている疾患

 

当社は、HGFの発見者である中村敏一氏(当時:大阪大学大学院医学系研究科教授)より2005年に組換えヒトHGFタンパク質の開発実施権の許諾を受け、難治性疾患を対象としたパイプラインとして開発を開始いたしました。

 

(4) 製造体制

組換えヒトHGFタンパク質を医薬品として製造するためには、①原薬製造及び②製剤製造の大きく2種類に分けられる製造を行うことが必要です。この2種類の製造についてはいずれも当社が実施権を保有しており、製造受託機関に委託して原薬及び製剤の製造を行っております。医薬品の製造については、「医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律」(以下、「薬機法」という。)及び「医薬品及び医薬部外品の製造管理及び品質管理の基準に関する省令」(GMP省令)に基づき、厳格な品質管理の下で製造を行う必要があります。

また、組換えタンパク質を医薬品として製造する場合には細胞を用いた製造法になるため、複雑で特別な技術が多数必要となります(図8)。当社は、組換えヒトHGFタンパク質の製造方法(原薬製造及び製剤製造)のノウハウを有しており、2社の製造受託機関に原薬製造及び製剤製造を各々委託することにより、原薬及び製剤の供給を行っております。

 

 


 

<図8 製造工程の概略>

 

開発段階では、製品販売による収入が得られず、定期的な製造計画も決められないため、自社で製造設備を有して人材を確保・管理するよりも外部の受託機関を活用する方が経済的なリスクが低く、効率的と考えております。また、難治性疾患を対象としているため、必要となる製品量も少ないことが想定されます。したがいまして、開発から販売初期までは現在の製造体制を持続いたしますが、適応症の追加や拡大等、開発状況に応じてスケールアップ検討を進める予定です。さらに、現在米国においてドラッグマスターファイルの登録を完了しており、提携会社が米国において組換えヒトHGFタンパク質の開発を行う場合には、当社の製造法を提携会社に開示することなく当社が提携会社に原薬販売することが可能となる体制を構築しております。

 

(5) 製剤開発

HGFは発見から長い年月が経過しているため、物質特許はすでに失効しておりますが、当社は医薬品の製剤として設計・開発する過程で2種類の製剤組成について特許を取得しております。1つは長期的な安定性を目的とした凍結乾燥製剤(特許1)、もう1つは長期的な安定性に加え、神経疾患の治療に適用できるよう組成を改良した凍結乾燥製剤(特許2)です。

 

<表3:製剤組成に関する特許>

(2022年9月30日現在)

 

特許の名称

出願人

最新状況

特許1

HGF製剤

当社

日本、米国、欧州、カナダ、韓国にて特許取得済

特許2

神経疾患の治療に適したHGF製剤

当社

日本、米国、カナダ、韓国にて特許取得済、欧州にて特許査定

 

 

 

(6) 開発の状況

開発の状況を図9に示します。臨床試験までステージが進んでいるパイプラインは4件(脊髄損傷急性期、ALS、声帯瘢痕、急性腎障害)、動物疾患モデルにおいて有効性が認められ、臨床試験準備のステージに進んでいるパイプラインが1件(眼科疾患)、基礎研究のステージにあるパイプラインが複数あります。現在は最も開発ステージの進んでいる脊髄損傷急性期を対象とした医薬品開発に注力し、製造販売承認を得ることにリソースを集約しております。一方、基礎研究については大学等との共同研究を継続し、新規適応症の開拓、新規シーズの探索を行っております。

 

<図9:パイプラインの開発状況>

(2022年9月30日現在)


 

① 脊髄損傷急性期を対象とした開発

脊髄とは脳と体をつなぐ神経が集積している組織であり、脊椎と呼ばれる骨の中に保護されております。脊髄損傷とは、事故や転倒により脊髄に強い外力が加わり、組織が損傷を受けた結果、運動神経や感覚神経の機能が失われ、運動障害や感覚障害を発症する疾患です。国内では年間約5千人の新規患者が発生すると報告されております(坂井宏旭ら、Journal of Spine Research、2010年)。しかしながらこれまでのところ、損傷した脊髄に対する有効な治療法はなく、脊髄を囲む脊椎の骨折や脱臼を治療するための手術や、リハビリテーションによる残存神経機能の有効利用と日常生活動作の獲得など、対症療法のみとなっております。

 

 


 

<図10:脊髄損傷の発症メカニズムとHGFによる治療効果>

 

HGFは神経細胞に対し保護作用を示すこと、軸索伸展の促進作用があることから、脊髄損傷の治療薬として開発される可能性があると考えられます。脊髄損傷は外力によって引き起こされる組織の損傷(一次損傷という。)に続いて周辺組織に損傷が広がる二次損傷が起こります(図10)。脊髄損傷の急性期においては、この二次損傷を抑えることが治療につながると考えられております。当社では慶應義塾大学医学部整形外科との共同研究により、脊髄損傷モデル動物を用いて組換えヒトHGFタンパク質の薬理効果を確認する試験を実施したところ、運動機能評価において有効性が確認されました。そこで、医薬品の開発に必要な非臨床試験(安全性試験、薬物動態試験など)を実施して、臨床試験に開発ステージを進めました。脊髄損傷急性期患者を対象とした第Ⅰ/Ⅱ相試験結果の概要を表4に示します。

 

<表4:脊髄損傷急性期患者を対象とした第Ⅰ/Ⅱ相試験結果の概要>

デザイン

多施設、無作為化、二重盲検、並行群間、プラセボ対照比較試験

患者母集団

18歳以上、75歳以下の頚髄損傷患者

受傷後66-78時間の時点で改良Frankel分類A/B1/B2に該当する患者

用法用量

0.6㎎/回、1回/週、計5回、脊髄腔内投与

(HGF群:28例、プラセボ群:17例)

主要評価項目

評価基準

安全性、抗体産生の確認

ASIA motor scoreの24週時におけるベースラインからの変化量

結果

安全性及び忍容性はいずれも良好であった。

ASIA motor scoreの24週時におけるベースラインからの変化量について有意な差がみられなかった。

副次評価項目

評価基準

神経学的評価項目の推移

結果

ASIA motor scoreの20週時におけるベースラインからの変化量について有意差を認めた。

 

 

 

主要評価項目のうち、安全性に関する項目については問題ないことが確認できましたが、有効性の指標としたASIA motor scoreの24週時(168日目)におけるベースラインからの変化量では有意な差が得られませんでした(図11)。しかしながら、経時的な推移ではプラセボ群に比較してHGF投与群において機能回復の傾向が一貫しており、副次評価項目であるASIA motor scoreの20週時(140日目)におけるベースラインからの変化量について有意差が認められたことから、HGFが神経細胞を保護して、運動機能を回復させる効果についてPOCが得られたと考えております。

 

 


<図11:ベースラインからの変化量
(公表論文より)>

 

本試験の結果を踏まえて、HGF(脊髄腔内投与用製剤:KP-100IT)は2019年9月に厚生労働省により脊髄損傷急性期を対象とした希少疾病用医薬品指定を受けました。また、本試験の結果は、国際医学雑誌Journal of Neurotraumaにも論文発表されております(オンライン公開:2020年5月22日、DOI: 10.1089/neu.2019.6854)。この試験で得られたPOCを検証する目的で次の第Ⅲ相試験の計画を策定し、下表に示す概要で2020年7月より第Ⅲ相試験を開始しました。

 

<表5:脊髄損傷急性期患者を対象とした第Ⅲ相試験計画の概要(実施中)>

デザイン

非ランダム化、単群、多施設共同試験

患者母集団

18歳以上、89歳以下の頚髄損傷患者

受傷後66-78時間の時点でAIS Aに該当する患者

目標症例数:25症例

用法用量

0.6㎎/回、1回/週、計5回、脊髄腔内投与

主要評価項目

評価基準

投与後6ヶ月のAISがC以上に改善した症例割合

副次評価項目

評価基準

神経学的評価項目の推移

有害事象の発生

 

 

第Ⅲ相試験は2022年後半に終了予定であり、有効性を示すデータが得られましたら製造販売承認申請を進める予定としております。

 

② ALS

ALSは「難病の患者に対する医療等に関する法律」において難病指定を受けている難治性神経疾患の1つで、運動神経細胞が選択的に障害を受けるため、筋力の低下、筋肉の萎縮が引き起こされる疾患です。その結果、歩行困難、言語障害、嚥下障害及び呼吸障害等の症状が進行的に現れ、発症後3~5年で約80%の患者が死亡すると言われております。国内患者数は約1万人(平成30年度特定医療費(指定難病)受給者証所持者数、難病情報センター)と報告されております。すでに承認された医薬品が2剤ありますが、いずれも効果は限定的であり、より効果の高い新規治療薬の開発が強く望まれています。実際の医療現場では、リハビリテーションによる生活動作の維持・獲得、鎮痛剤を用いた痛みの抑制などの対症療法が既存治療法となっております。

 

 


 

<図12:ALSの発症メカニズムとHGFの治療効果>

 

ALSの発症要因は遺伝によるもの、グルタミン酸毒性によるもの、原因不明のものと様々ですが、運動神経細胞が障害を受け脱落することにより筋肉の萎縮が起こることが共通する現象であるため、運動神経細胞を保護することが治療効果につながると考えられます。したがって、前項の脊髄損傷同様に、HGFの神経細胞に対する保護作用、軸索伸展の促進作用はALSの治療につながる可能性があると考えられます(図12)。当社では、東北大学医学部脳神経内科との共同研究により、ALSモデル動物を用いて組換えヒトHGFタンパク質の薬理効果を確認する試験を実施したところ、運動機能の回復、発症の遅延、生存期間の延長といった効果が確認されました。そこで、医薬品の開発に必要な非臨床試験(安全性試験及び薬物動態試験など)を実施して、臨床試験に開発ステージを進めました。ALS患者を対象とした第Ⅰ相試験結果の概要を下表に示します。

 

<表6:ALS患者を対象とした第Ⅰ相試験結果の概要>

デザイン

オープンラベル、用量漸増試験、単回投与3群、反復投与2群(各群3例)

患者母集団

20歳以上、65歳未満のALS患者

発症後3年以内のALS患者であってALS重症度分類が1もしくは2の患者

用法用量

脊髄腔内に治験機器を埋込、皮下ポートを通じて治験薬を脊髄腔内に投与した。

単回投与は0.2mg、0.6mg、2.0mgで実施した。

反復投与(1週ごとに5回投与)は、0.6mg、2.0㎎の2用量で実施した。

主要評価項目

評価基準

安全性及び忍容性

結果

安全性及び忍容性はいずれも良好であった。

副次評価項目

評価基準

・薬物動態の解析

・抗体の産生の有無

結果

・薬物動態学的特性を検討した結果、半減期は1.2-1.4日であり、反復投与による蓄積性はないものと考えられた。単回投与、反復投与時ともに血中への移行はほとんどなかった。

・抗体の産生は認められなかった。

 

 

 

 

当該試験の主要評価項目である安全性及び忍容性の確認について、重篤な副作用は認められず、良好であることが示されました。また、副次評価項目として、適切な投与量を策定するために薬物動態を検討した結果、有効性を検討するために必要な投与量についての知見が得られました。この試験で得られた結果を基に、POCの確認を目的とした第Ⅱ相試験を実施しております。ALS患者を対象とした第Ⅱ相試験の概要は下表のとおりです。

 

<表7:ALS第Ⅱ相試験計画の概要>

デザイン

プラセボ対照二重盲検並行群間比較試験(非盲検非対照継続投与期を含む)(医師主導)

患者母集団

20歳以上、70歳以下のALS患者

12週間の前観察期のALSFRS-Rスコアの変化量が-1~-3の範囲にある患者

目標症例数48例(HGF群32例、プラセボ群16例)

用法用量

脊髄腔内にカテーテルを挿入し、皮下ポートを通じて治験薬を脊髄腔内に投与する。

2.0㎎/回、1回/2週、24週(二重盲検期)希望者へのHGF投与24週(継続投与期)

主要評価項目

評価基準

二重盲検期24週のALSFRS-Rスコア変化量の群間差

副次評価項目

評価基準

長期投与における有効性及び安全性を確認する。

 

 

当該試験は、東北大学による医師主導治験として行われ、投与観察期24週時点でのALSFRS-Rスコアの変化量を主要評価項目として評価しましたが、HGF投与群とプラセボ群の間で統計的な有意差は認められませんでした。また、事前に定めた副次評価項目においても両群間で統計的な有意差は認められませんでした。一方、HGF投与群において進行抑制が認められた症例もあり、本試験結果の解釈には、さらに詳細な解析が必要となります。なお、安全性に関しては、HGF投与群とプラセボ群で有害事象の発現率は同程度であり、忍容性が確認されました。今後の開発の方向性については、東北大学によるさらなる詳細な解析結果を踏まえ、東北大学と協議の上、決定してまいります。

 

③ 声帯瘢痕

声帯瘢痕とは、声帯の物性が固く変化(線維化、瘢痕化)して動きが悪くなるため、声が出しにくくなる音声障害を生じる疾患です。発症原因は明らかになっていませんが、声帯の外傷や炎症、声帯の手術後などに起こりやすいことが知られております。患者数については、小規模の疫学調査結果(平成21年度厚生労働科学研究費補助金(難治性疾患克服研究事業)「声帯溝症の診断治療の確立と、標準化に向けたガイドラインの作成に関する研究」)から、国内に3,000~12,000人の患者がいると推定されております。これまでのところ、声帯瘢痕に対する有効な治療法はなく、音声訓練等のリハビリテーション及び声帯の位置を移動する手術といった対症療法が中心となっております。

HGFの生物活性として線維化を抑制する抗線維化作用があるため、声帯瘢痕の治療にも活用できる可能性があると考えられます。当社では、京都大学医学部耳鼻咽喉科・頭頸部外科及び公益財団法人先端医療振興財団(現 公益財団法人神戸医療産業都市推進機構)との共同研究により、声帯瘢痕モデル動物の声帯内に組換えヒトHGFタンパク質を投与したところ、声帯機能の改善を認めました。そこで、医薬品の開発に必要な非臨床試験(声帯内投与における試験)を追加で実施し、臨床試験に開発ステージを進めました。声帯瘢痕患者を対象とした第Ⅰ/Ⅱ相試験結果の概要を下表に示します。

 

<表8:声帯瘢痕患者を対象とした第Ⅰ/Ⅱ相試験結果の概要>

デザイン

オープンラベル、用量漸増試験(医師主導)

患者母集団

20歳以上65歳以下の声帯瘢痕患者

用法用量

1、3、10µg/片側声帯/回(各群6例)

1回/週、計4回、両側声帯粘膜内局所投与

主要評価項目

評価基準

安全性の確認

結果

声帯の充血が認められたが、軽度で回復しており、安全性上大きな問題は生じないと考えられた。

副次評価項目

評価基準

有効性評価指標及び評価時期の探索

結果

有効性評価指標として測定した5種類の評価項目のうち、3種類の評価項目について改善の傾向がみられた。

 

 

 

当該試験の主要評価項目である安全性の確認について、重篤な副作用は認められず、忍容性も良好であることが示されました。また、副次評価項目において、改善傾向の見られる評価項目、評価時期についての知見が得られました。

この試験で得られたPOCを検証する目的で次の第Ⅲ相試験の計画を策定し、下表に示す概要で2022年12月より第Ⅲ三相試験を開始しました。

声帯瘢痕においてHGFのPOCが確認された場合には、HGFの抗線維化作用に基づく創薬コンセプトそのものが示されることになり、声帯瘢痕のみならず他の線維化が原因となる慢性疾患(慢性腎不全、肝硬変、肺線維症等)への適応拡大の可能性が示されると考えております。

 

<表9:声帯瘢痕患者を対象とした第Ⅲ相試験の概要>

デザイン

多施設共同ランダム化試験

患者母集団

18歳以上75歳以下の声帯瘢痕または声帯溝症患者

用法用量

二重盲検期:20㎍のHGFまたはプラセボの声帯粘膜内投与

(週1回×4回)、観察24週間

継続期:希望者にHGF20㎍を投与(週1回×4回)、継続観察24週間

主要評価項目

評価基準

二重盲検期の観察期間24週目におけるVHI-10スコア改善

副次評価項目

評価基準

期間経過におけるVHI-10スコアの改善率や変化量等

 

 

なお、本試験は、国立研究開発法人日本医療研究開発機構(AMED)による医療研究開発革新基盤創成事業(CiCLE、研究開発課題:組換えHGFタンパク質を用いた難治性線維症治療薬の開発)の支援を受け実施いたします。

 

④ 急性腎障害

急性腎障害とは、腎臓の損傷、腎臓への血液供給不足、尿路の閉塞等により、数時間~数日という短い期間に急激に腎機能が低下する状態で、その結果、尿を介した老廃物の排泄ができなくなり、体内の水分や塩分量などを調節することができなくなる疾患です。重篤な場合には救急医療が必要になり、死亡に至る場合もあります。発症要因が多数あるため、原因を特定できない場合が多く、有効な治療法は確立されていません。HGFは腎臓の細胞に対して保護効果や増殖作用を示すことから、急性腎障害の治療薬となる可能性があると考えられます。当社は、米国の腎臓専門クリニック(Rogosin Institute)の協力を得て米国において臨床試験を行いました。ただし、第Ⅰ相試験においては、組換えヒトHGFタンパク質の安全性を確認することが目的であるため、容態の不安定な急性腎障害患者を対象とすることは不適切であると判断し、比較的容態が安定している慢性腎不全患者を対象として試験を実施いたしました。当該試験は、米国食品医薬品局(Food and Drug Administration:以下「FDA」という。)により、必要性の高い新薬の審査を優先的に行う制度であるFast Trackの認定を受けて実施しております。試験結果の概要を下表に示します。

 

<表10:慢性腎不全患者を対象とした第Ⅰ相試験結果の概要>

デザイン

第Ⅰa相:オープンラベル、用量漸増試験(全9例)

第Ⅰb相:プラセボ対照二重盲検試験(全15例)

患者母集団

18歳以上85歳以下の慢性腎不全患者

用法用量

第Ia相:3用量、静脈内単回投与

第Ib相:2用量、1回/日、5回、静脈内反復投与

主要評価項目

評価基準

安全性及び忍容性

結果

重篤な副作用及び死亡例はなかった。

副次評価項目

評価基準

薬物動態の解析

結果

単回投与で投与後速やかに消失し、反復投与で蓄積性はみられなかった。

 

 

当該試験において得られた情報を基に、次相試験として急性腎障害患者を対象とした臨床試験の計画を策定しております。また、国内での臨床試験実施を想定した第I相試験の追加試験(日本人での最大耐用量を確認する小規模試験)についても同時に策定しております。具体的には、急性腎障害を対象とした治験実施計画書の作成のため、医学専門家へのヒアリング、他社治験例の検討、バイオマーカー調査等の検討を継続しております。しかしながら、次相試験は比較的大規模なプラセボ対照二重盲検比較試験になることが想定されており、現状では当社単独で神経系の治験と並行しての開発継続は難しいと判断し、製薬企業等と提携し、開発資金を確保した上で開発を進める方針としております。また現在、欧米において急性腎障害を対象とする競合品が第Ⅲ相試験の開発段階にあることから、その動向を注視しつつ、HGFの優位性を示すための開発を進めてまいります。

なお、静脈内投与は最も全身性に被験薬が到達するため、安全性の問題も発生しやすい投与経路になります。当該試験において安全性が確認されたことで、他の投与経路の開発を進める上で重要な知見が得られたと考えております。静脈内投与は様々な疾患に適応拡大しやすい投与経路であることから、急性腎障害に限らず、安全性及び有効性が効果的に確認できる疾患を策定しながら開発を進める方針です。

 

⑤ その他のパイプライン

当社は、国内外の大学や企業との共同研究において基礎研究を行い、新規パイプラインの強化を進めております。当社からは原薬あるいは治験薬の提供を行い、共同研究先にて有望なデータが得られた場合には成果を共有し、開発ステージを進める予定です。

 

<用語解説>

用語

意味・内容

開発パイプライン

医薬品になる可能性のある候補物質。

組換えDNA技術

複数種のDNAを結合する技術。

POC

(Proof Of Concept)

新薬候補物質の有用性・効果が、患者を対象とする臨床試験によって確認され、治療薬になり得るという仮説(コンセプト)が実証されること。

シーズ

開発パイプラインの基となる物質。

スペシャリティファーマ

得意分野において一定の評価を得る開発力を有する製薬企業。

上市

新しい製品として市場に出すこと。

ライセンスイン

他社が持つ開発権や販売権などの権利を自社に導入すること。

ライセンスアウト

自社の開発権や販売権などの権利を他社に使用許諾すること。

生物活性

生体の特定の機能に作用する性質。

遊走

細胞などが別の場所に移動する作用。

受容体

特定の生物活性を有する物質と結合し、情報を伝える分子。

作用機序

薬がその効果を発揮するための生化学的な反応の流れ。

軸索

神経細胞から伸びた突起状の構造。

グリア細胞

神経細胞を取り囲む神経細胞ではない細胞。

基礎研究

新規物質の創製と候補物質の絞り込みをするための研究。

非臨床試験

被験薬の有効性や安全性を確認するため臨床試験以外の動物などを用いた試験。ヒトを対象としない生物学的試験研究。

臨床試験

ヒト(患者又は健常者)を対象として行う試験で、被験薬の効果・安全性・動態を確認することを目的とする。

第Ⅰ相試験

少数の健常者を対象に、安全性(人体に副作用は無いか)・薬物動態(被験薬が体にどのように吸収・分布・代謝・排泄されていくか)を確認する試験。希少疾病においては、患者を対象に第Ⅰ相試験と第Ⅱ相試験をあわせて第Ⅰ/Ⅱ相試験として行うこともある。

第Ⅱ相試験

比較的少数の患者に対して第Ⅰ相試験で安全性が確認された用量の範囲で被験薬が投与され、安全性、有効性、用法、用量を探索する試験。

第Ⅲ相試験

多数の患者に対して被験薬を投与し、第Ⅱ相試験の結果で得られた有効性、用法、用量を確認する試験。

GMP

Good Manufacturing Practiceの略で、適正製造規範と訳される。原料の入庫から製造、出荷にいたる全ての過程において、製品が「安全」に作られ、「一定の品質」が保たれるように定められた規則とシステムであり、医薬品の製造に関しては、義務として課せられている。

 

 

用語

意味・内容

巻締

容器であるガラスバイアルをゴム栓及びアルミキャップで閉塞する工程。

ドラッグマスターファイル

医薬品の原料、材料、あるいは原薬の製造関連情報をあらかじめ審査当局に登録しておく制度。最終製品を製造するメーカーに原料・材料の詳細情報を開示することなく治験申請や新薬承認申請を行うことができる。

プラセボ

色、重さ、味及び匂いなど物理的特性を可能な限り被験薬(治験実施の目的となる、開発中の未承認有効成分を含む製剤)に似せ、かつ薬効成分を含まない「偽薬」のこと。

プラセボ群とは、それらを投与される試験群のこと。

軸索伸展

神経細胞の軸索が伸びる作用。

二重盲検(比較試験)

医師及び患者の両者がプラセボか被験薬かがわからない状態で行う試験。試験終了後に開鍵(盲検化されていた情報を開示)し、被験薬投与群とプラセボ群の間で有効性や安全性を比較する。

並行群間(比較試験)

複数の試験群が設定され、試験参加者がいずれかひとつの群に参加する試験。

プラセボ対照比較試験

効果を調べたい被験薬の対照としてプラセボを使用し、薬効成分の有無により効果の違いを比較する試験。

改良Frankel分類

四肢麻痺の機能障害を5段階に分類したFrankel分類を、さらに予後の違いから細分化したもの。完全麻痺のAから正常のEまで11段階に分類される。

ASIA motor score

米国脊髄障害学会による運動機能を評価する指標で、上肢(50点)と下肢(50点)の運動機能スコアの合計(100点)で構成される。脊髄の各部位に関連した主要筋肉が動くかどうかを点数化したもの。実施が容易で再現性が高いこと等を理由に広く普及している脊髄損傷急性期の評価項目。

ベースライン

評価の際、基準となるもの。脊髄損傷急性期を対象とした治験では、治験薬投与前のスコアがベースライン。

忍容性

薬を被験者に投与した際に現れる副作用の程度。副作用が発生したとしても被験者が十分に耐えられる程度であれば「忍容性が高い薬」とされる。

単群(試験)

単一の試験群を設定して実施する試験。

AIS

ASIA impairment scale、米国脊髄障害学会が定めた脊髄損傷の機能障害尺度。最も重度のA(完全麻痺)から正常のEまで5段階に分類される。

オープンラベル

医師及び患者の両方がどのような治療を受けているかがわかっている状態で行う試験。

用量漸増試験

被験薬の用量を段階的に増やして投与する試験。

ALS重症度分類

厚生労働省「特定疾患調査研究」において定められたALSの重症度。軽度の1から重度の5まで5段階に分類される。

薬物動態

薬物が体内に投与されてから排泄されるまでの過程。

非盲検

投与された被験薬が盲検化されない試験。

ALSFRS-Rスコア

ALS患者の日常生活活動を見るもので、12項目の動作について各々0~4の5段階で点数化するもの。

VHI-10スコア

10項目の質問から、自分の声をハンディキャップと感じている程度を患者本人がスコア化する。各質問は、0(障害なし)から4(最大障害)までの回答が設定されており、症状が悪化するほど高値となる。

FDA

米国食品医薬品局。食品や医薬品などについて、その許可や違反品の取締りなどの行政機関。

Fast Track

重篤な疾患あるいは生命にかかわる疾患における治療開発の必要性がある疾患に対して、高い治療効果が期待できそうな新薬をFDAが優先的に審査する制度。

PMDA

独立行政法人医薬品医療機器総合機構のこと。健康被害救済、医薬品や医療機器などの承認審査、市販後における安全対策を業務としている。

バイオマーカー

病気の進行や薬の効果などを体内の分子によって定量的に評価するための指標。

 

 

 

4 【関係会社の状況】

該当事項はありません。

 

5 【従業員の状況】
(1) 提出会社の状況

2022年9月30日現在

従業員数(人)

平均年齢(歳)

平均勤続年数(年)

平均年間給与(千円)

12

45.4

3.8

5,962

 

(注) 1.従業員数は就業人員(当社から社外への出向者を除き、社外から当社への出向者を含む。)であり、臨時雇用者数は従業員数の100分の10未満であるため、記載しておりません。

2.平均年間給与は、賞与及び基準外賃金を含んでおります。

3.当社は単一セグメントであるため、セグメント別の従業員数の記載はしておりません。

 

(2) 労働組合の状況

労働組合は結成されておりませんが、労使関係は円満に推移しております。

 

1 【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】

文中の将来に関する事項は、提出日現在において当社が判断したものであります。

 

(1) 会社の経営の基本方針

当社は、「難治性疾患治療薬の研究開発を行い、難病に苦しむ患者さんに対して画期的な治療手段を提供し社会に貢献すること」を企業理念とし、組換えヒトHGFタンパク質の研究開発によって創薬イノベーションを起こすことが事業機会の創出・獲得につながると考え、組換えヒトHGFタンパク質プロジェクトに経営資源を集中し、事業展開をしております。希少疾患を主な対象疾患とし、臨床試験の成果をより確実に医薬品として社会実装するため、自社開発により自社で医薬品製造販売承認を取得することを基本方針としております。

 

(2) 会社を取り巻く経営環境

製薬業界におきましては、高齢化に伴う医療費の増大に対応してジェネリック医薬品による代替が進むとともに、薬価改定期間が短縮され、高額医薬品の薬価が著しく低下しております。また、臨床試験の大規模化等に起因する新薬開発のためのコスト増大により、国内外での製薬企業の合従連衡が進みM&Aによる企業規模が拡大するとともに、自社創薬開発において重点領域の絞込みが行われており、社外から開発品目を導入する動きも活発化しております。

一方、新薬開発については、対象患者が多く、将来安定した多額の収益が得られるいわゆるブロックバスター医薬品から、特定の患者群に効果的な治療が行える医薬品の開発に移行しており、経営資源が特定分野に集中し、短期に意思決定が行われる創薬ベンチャーがその中心的役割を担うと言われております。これに対応すべく、政府は、厚生労働省や経済産業省の中央省庁を中心に、日本発の創薬を積極的に支援するため、特に、創薬ベンチャー支援の取り組みとして、医療系ベンチャー・トータルサポート事業(MEDISO)の開始や「伊藤レポート2.0 バイオメディカル産業版」の作成がなされております。また、日本国内での創薬を促進するため、医薬品の条件付き早期承認制度や先駆的医薬品指定制度が法制化されました。

 

(3) 経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等

当社は創薬バイオベンチャーとして当社開発品の実用化に向けて、研究開発を促進しておりますが、継続的な売上を計上する段階には至っておりません。したがって経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等の設定はしておりません。

しかしながら、開発の進捗を経営目標とし、その達成状況を今後の利益計上に至るまでの会社経営の指標と考えております。

 

(4) 優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題

当社は、創薬バイオベンチャーとして、難治性疾患を対象とした組換えヒトHGFタンパク質の研究開発を行い、医薬品として実用化すべく事業を推進しております。

一方で医薬品としての事業化は、製品化までに多額の資金と長い時間を要する等の特性があり、当社は継続的な営業損失を計上している状況にあり、すべての開発投資を補うに足る収益は生じておりません。

このような事業環境下、当社は、以下の点を対処すべき課題として取り組んでおります。

① 進行パイプラインの開発の促進

当社は、国内臨床パイプラインとして難治性神経疾患である脊髄損傷急性期、ALS及び声帯瘢痕の治療薬の開発を行っております。脊髄損傷急性期については第Ⅲ相試験の患者組入れは2022年内で完了し、最終症例の経過観察終了は2023年前半を想定しており、試験完了後は早期に医薬品としての実用化を目指して取り組んでまいります。

ALSについては患者組入れを終了し、2021年12月に最終症例の最終観察日が終了しております。その後、データ解析が進められた結果、主要及び副次評価項目に関して実薬群とプラセボ群の間で統計的な有意差は認められませんでした。一方、実薬群において進行抑制が認められた症例もあり、本試験結果の解釈には、さらに詳細な解析が必要と考えております。

 

声帯瘢痕については、第Ⅲ相試験(プラセボ対照二重盲検比較試験)の治験計画届書をPMDAに提出し受理され、2022年内の治験開始を計画しています。

なお、治験の実施費用並びに治験薬の製造及び市販製剤の開発費用の調達を目的として、新株予約権の発行を行い、2022年に全ての行使が完了しました。さらに、本プロジェクトは国立研究開発法人日本医療研究開発機構(AMED)による「医療研究開発革新基盤創成事業(CiCLE)」課題として採択され、公的資金の活用も進めております。

 

② 新たなパイプラインの開発

当社は前述の3件のパイプラインのほか、米国において急性腎障害の第Ⅰa、Ⅰb相の臨床試験を実施しております。現在、資金的観点から当該疾患に対する開発を一旦中止しておりますが、資金的余裕が出た段階で再開する計画であります。また、多様な生物活性を持つHGFではその他多くの治療の論文が公表されており、今後の企業価値最大化の観点から、これらに対する医薬品を開発するパイプラインを新たに立ち上げる必要があります。

また、組換えヒトHGFタンパク質の臨床試験を複数実施した当社の知見から、新たなバイオ医薬品の開発等、難治性疾患のQOL(Quality of Life:生活の質)の向上のためのパイプライン開発を行ってまいります。

 

③ 原薬の量産・供給体制の確立

当社は現在、前述の4件の臨床パイプラインを開発中でありますが、これらのすべてが治療薬として実用化された場合、HGF原薬の量産体制を強化する必要があります。また、当社以外でも組換えヒトHGFタンパク質を用いた治療薬の開発が行われており、当該他社にHGF原薬を供給する契約を締結しております。このため、引き続き、1ロットの生産量を増加する等のさらなる製法改良を継続し、量産・供給体制を確立してまいります。

 

④ 財務体質の強化

当社は創薬バイオベンチャーであるため、研究開発費を補うための十分な収益を得るまでに長期の時間を要します。そのため、資金的余裕を生じさせることが困難であります。

しかしながら、研究開発の促進を図るためには十分な資金を研究開発に投入する必要があることから、今後も引き続き、増資はもとより、HGF原薬供給や共同開発による収益計上により、財務体質の強化を図ってまいります。

 

 

2 【事業等のリスク】

当社の事業運営及び展開等について、リスク要因として考えられる主な事項を以下に記載しております。中には当社として必ずしも重要なリスクとは考えていない事項も含まれておりますが、投資判断上、もしくは当社の事業活動を十分に理解する上で重要と考えられる事項については、投資家や株主に対する積極的な情報開示の観点からリスク要因として挙げております。

当社はこれらのリスクの発生の可能性を十分に認識した上で、発生の回避及び発生した場合の適切な対応に努める方針ですが、当社株式に関する投資判断は、以下の事項及び本項以外の記載もあわせて、慎重に検討した上で行われる必要があると考えます。また、これらは投資判断のためのリスクを全て網羅したものではなく、さらにこれら以外にも様々なリスクを伴っていることにご留意いただく必要があると考えます。

また、当社は、医薬品等の開発を行っていますが、医薬品等の開発には長い年月と多額の研究費用を要し、各パイプラインの開発が必ずしも成功するとは限りません。特に研究開発段階のパイプラインを有する製品開発型バイオベンチャー企業は、事業のステージや状況によっては、一般投資家の投資対象として供するには相対的にリスクが高いと考えられており、当社への投資はこれに該当します。

本書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に重要な影響を及ぼす可能性があると認識している主要なリスクは、以下のとおりであります。

なお、文中の将来に関する事項は、本書提出日現在において当社が判断したものであります。

 

(1) 医薬品開発に係るリスク
① 開発中パイプラインの不確実性について

当社は主要なパイプラインとして難治性神経疾患である脊髄損傷急性期、ALS及び声帯瘢痕の治療薬の開発を行っております。脊髄損傷急性期については第Ⅲ相試験の患者組入れは2022年内で完了し、最終症例の経過観察終了は2023年前半を想定しております。ALSについては患者組入れを終了し、2021年12月に最終症例の最終観察日が終了しております。声帯瘢痕については、第Ⅲ相試験(プラセボ対照二重盲検比較試験)の治験計画届書をPMDAに提出し受理され、2022年12月に治験を開始いたしました。

しかしながら、臨床試験で期待どおりの結果を得ることは不確実であり、PMDAとの協議において当該開発品が有効性を示していないと判断される可能性があります。また、臨床試験中に重篤な副作用が発生した場合、安全性に疑義が生じ臨床試験を中断する可能性があります。

このような場合は、パイプランの開発が遅延又は中止となり、その結果収益自体が計上できる状況に至らない可能性があります。

 

② 開発の遅延について

(1)に示したように、当社は複数パイプラインで研究開発を行っておりますが、それぞれの開発段階で予想できない結果等(有効性や安全性の評価項目の未達、重篤な副作用発生、新型コロナウイルス感染症等の流行による症例組入れ停止等)が発生し、その後の開発について遅延が生じる可能性があります。当該開発の遅延により、当初の予算を上回る資金需要やスケジュールの遅延が生じる可能性があります。

 

③ 将来収益の不確実性について

当社は、多く有用な情報から最も確度の高い価格、市場規模、市場占有率等を考慮して将来の収益の計画を策定しております。しかしながら、当社は、難治性疾患の治療薬を開発しており、類似製品の選定が困難な場合、及び類似製品からの価格の推定が困難な場合があり、将来の収益の計画が大きく変更する可能性があります。また、製品の販売を開始するまでの時期については、収益が発生する場合の主な内容が契約一時金収入やマイルストーン収入であることから、収益の発生時期及び金額は開発の進捗により大きく変動する可能性があります。

 

④ 潜在競合品について

当社が開発しているパイプラインについては、競合品の開発状況を注視しております。当社開発製品の将来収益予想に影響を及ぼす可能性のある競合品は少ないと判断しておりますが、今後の競合品の開発状況の変化により、将来の収益性に大きな影響を及ぼす可能性があります。

 

 

⑤ 知的財産侵害について

当社は事業展開において種々の知的財産権を使用しており、これらは当社所有もしくは適正に使用許諾を受けた権利であると認識しており、今後も第三者の知的財産権を使用することもあります。当社では、第三者の知的財産権に抵触することを回避するため、調査、検討及び評価等を随時実施しておりますが、第三者の知的財産権に関連して係争が生じる可能性もあります。

今後、事業の進捗により、このようなリスクは増大するものと思われます。

また、当社は他社による特許権等知的財産権の侵害を未然に防止するため、当社として必要と考える調査を実施しております。これまでに、当社の知的財産権について第三者との間で訴訟が発生した事実はありませんが、研究開発型企業である当社は、知的財産権侵害の問題を完全に回避することは困難であり、第三者との間で知的財産権に関する紛争が生じた場合は、当社の業績及び財政状態に重大な影響を及ぼす可能性があります。

当社は株式会社ニューロゲン(代表取締役:米田喜子氏)より、組換えヒトHGFタンパク質を製造するためのマスターセルバンクの使用許諾を受けております(「第2 事業の状況 4 経営上の重要な契約等 (1) 技術受入契約」をご参照ください)。株式会社ニューロゲンは、HGFのインデューサー(中国の生薬等に含まれ、摂取することにより体内のHGF産生を上昇させる活性を持つ物質)の研究開発を行うとともに、HGF関連資産を保有しております。マスターセルバンクは組換えヒトHGFタンパク質の製造における起点となる細胞株であるため、当該使用許諾は主要な事業活動の前提となる事項でありますが、株式会社ニューロゲンとは長年にわたり良好な関係を維持しており、現時点でマスターセルバンクの継続的な使用に支障をきたす要因は発生しておりません。マスターセルバンクは、当該使用許諾契約に基づき、当社がGMP準拠により適切に保管しております。今後、当社がマスターセルバンクを使用できなくなる可能性は極めて低いと考えておりますが、何らかの理由により当該使用許諾契約が解除された場合には、当社の医薬品開発事業に重大な影響を及ぼす可能性があります。

なお、以下に主要なパイプラインに関する当社所有の特許を記載しております。

 

対象

表題

出願国(地域)

登録(出願)の状況

脊髄損傷急性期

脊髄損傷治療薬剤

日本

権利化

欧州

14カ国(英国、フランス、ドイツ、スイスほか)で権利化

米国

権利化

カナダ

権利化

中国

権利化

韓国

権利化

香港

権利化

脊髄損傷急性期

ALS

神経疾患の治療に適した

HGF製剤

日本

権利化

欧州

権利化

米国

権利化

カナダ

権利化

韓国

権利化

 

 

 

⑥ 医薬品に関する規制等について

当社は、医薬品を販売するにあたり「医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律」(以下、「薬機法」という)に基づき第1種医薬品製造販売業の許可を得た後に、組換えヒトHGFタンパク質による製品の製造販売承認を取得できるよう、薬機法に準拠した体制整備と医薬品開発の推進に努めております。また、製造販売承認を得るため、申請書類に必要なデータ(品質、有効性、安全性)の取得、及び信頼性保証体制の整備に努めております。

しかしながら、製造販売業の許可については、薬機法に違反した事実が認められたり、薬機法の改正に対応することができない場合は、取り消される可能性があります。また、組換えヒトHGFタンパク質による製品の品質、有効性及び安全性が認められない場合は、当該製品の製造販売承認が得られない可能性があります。

医薬品については前述の薬機法以外にもいくつかの法令によって規制されており、これらの規制に抵触することにより、販売の規制などの行政処分が執行される可能性があります。

 

⑦ 医療制度改革について

我が国の医療制度は国民皆保険制度を基盤として、すべての国民が十分な医療行為を受けられる体制が敷かれております。しかしながら、高齢化社会による昨今の医療費の増大を踏まえ、当該制度を維持すべく薬価改定を中心とした医療制度改革が実施されており、当社が予定している製品の販売価格に大きく影響する可能性があります。

 

⑧ 損害賠償責任について

医薬品の臨床試験の実施に際しては、治験薬による重篤な副作用が発生する可能性があります。当社は、当該リスクに対して損害賠償保険に加入しておりますが、当該保険の範囲外での賠償義務が生じる可能性があります。また、医薬品として販売の承認を受けた後も、同様の重篤な副作用の発生の可能性を否定することは困難であり、これに対しても損害賠償保険に加入する予定にしておりますが、当該保険の範囲外での賠償義務が生じる可能性があります。

 

(2) 製造に関するリスク
① 原材料等の不足

当社は、製造受託機関に委託して、臨床試験の治験薬製造を行っており、また、今後の医薬品の製造を行う予定であります。今後の医薬品製造に当たっては、汎用的ではない特殊な原材料等があるため、原材料等の不足が生じないように一定の原材料等の確保及び事前の原材料の確認、発注等一定の手当を行っておりますが、当該原材料が不足した場合、医薬品の安定的な供給に問題が生じる可能性があり、当社の業績及び財政状態に重大な影響を及ぼす可能性があります。

 

② 少数サプライヤーへの依存

当社は前述のように特殊な原材料、消耗品等を使用しているため、少数のサプライヤーに依存して製造を行っております。このため、サプライヤーサイドの事情により原材料等の供給が滞る可能性があります。当社はセカンドサプライヤーの検討や一定程度の在庫量の確保等を進めておりますが、前述のとおり、原材料や消耗品等の供給に不足が生じた場合、将来製品の製造に遅延が生じ、当社の業績及び財政状態に重大な影響を及ぼす可能性があります。

 

③ 製造の外部委託について

当社は原薬及び製剤の製造を外部委託することにより、製造に係る人件費や固定資産の減価償却費等、固定費を削減するとともに現預金残高を増加させ財務基盤を安定化させております。また、製造を外部委託することにより、機動的な製造も可能となると考えております。製造委託先との緊密な連絡体制や契約により当社製品の製造に支障が生じないようリスク管理を十分に行っておりますが、何らかの事情により委託先が当社が製造委託した原薬又は製剤を製造できなくなる可能性があります。また、当社及び委託先それぞれにおいて品質管理体制を構築して、一定の品質を確保した原薬及び製剤の製造を実行しておりますが、管理の不備により品質上問題のある原薬又は製剤が使用された場合には、当社の信頼性が担保されず、事業推進に支障が生じる可能性があります。

 

④ 技術・ノウハウの流出

組換えヒトHGFタンパク質を有効成分とする医薬品の製造に関しては、原薬の製造と凍結乾燥製剤の製造に分けることができますが、いずれも製造方法を特許として出願せず、ノウハウとして公表しない戦略をとっております。

当社役職員や製造委託先については、秘密保持契約等の締結によりこれらの製造に関する技術・ノウハウが流出しないような措置はとられているものの、何らかの理由により製造に関する技術・ノウハウが流出した場合、製造に関する優位性が失われ、他社により製造される可能性があります。

 

(3) 事業開発に係るリスク
① 提携先企業について
ア 製薬企業との提携について

丸石製薬株式会社とは、当社が開発中である脊髄損傷急性期を対象とした製品が製造販売承認を得た際に独占的販売権を許諾する契約を締結しております。この提携により同製品の販売網が構築されておりますが、何らかの事象(相手先企業の経営環境の悪化や経営方針の変更等)により、同社への販売が実現されない場合、同製品の売上が計画を下回る可能性があります。当社は、販売数の低下を回避するためのバックアップ体制の構築を想定しておりますが、一時的な売上低下を回避することは難しいと考えております。

 

イ 医薬品卸企業との提携について

東邦ホールディングス株式会社とは、当社が開発中である脊髄損傷急性期を対象とした製品が製造販売承認を得た際に独占的卸販売を行う契約を締結しております。この提携により同製品を市場に供給するためのサプライチェーンが構築されております。しかしながら、何らかの事象(相手先企業の経営環境の悪化や経営方針の変更等)により、提携先である同社による市場供給が困難になった場合、一時的に同製品の市場供給が難しくなる可能性があります。当社は、市場供給の停止を回避するためのバックアップ体制を構築しておりますが、一時的な供給停止を回避することは難しいと考えております。

 

ウ クラリス・バイオセラピューティクス社との提携について

当社は米国のクラリス・バイオセラピューティクス社とHGF原薬の供給契約を締結しております。しかしながら、何らかの事象(相手先企業の経営環境の悪化や経営方針の変更等)により同社が行っている医薬品開発が進捗しなかった場合、当社製品であるHGF原薬の供給がなくなり、売上が減少する可能性があります。

 

② 国内外への事業展開について
ア 国内での事業展開について

前述のとおり、開発が成功した場合の脊髄損傷急性期治療薬についての国内における独占的販売に関する契約については丸石製薬株式会社と、独占的卸売販売に関する契約については東邦ホールディング株式会社と締結しており、今後の製品供給に関するサプライチェーンが構築されております。しかしながら、現時点においては開発が成功した場合のALS治療薬についての販売に関する提携がなされておらず、今後の事業開発の状況によっては、有効なサプライチェーンの構築が困難になることも考えられます。

 

イ 海外での事業展開について

前述のとおり、国内市場において、脊髄損傷急性期治療薬についてのサプライチェーンの構築を含め、製造販売承認がなされた後の市場供給過程が設定されておりますが、海外においては、製薬会社等との提携により、臨床試験の設定から構築する必要が生じます。しかしながら、海外製薬会社等との提携が適時適切に行われない場合は、海外での事業展開が遅延する可能性が生じます。

 

 

(4) 会社組織に係るリスク
① 小規模組織について

当社組織は、取締役7名(非常勤取締役3名を含む。)、監査役3名(非常勤監査役2名を含む。)及び従業員12名から構成されております。これは、当社が社外組織や個人を活用することにより固定費を低減し、収益を獲得するまでの期間における費用を低く抑える経営戦略に沿った組織体制を構築したことによるものであります。

当社の研究開発を行う医薬開発部及び信頼性保証部は取締役2名と従業員6名で構成されております。今後の積極的な事業展開を踏まえて、人員の拡充を計画しておりますが、計画どおりの人材採用が行われない場合は、研究開発活動が遅延する可能性があります。

また、管理及び経営戦略業務を行う経営管理部及び経営戦略室は取締役1名と従業員5名で構成されております。今後は、事業拡大に応じた内部管理体制の充実を考慮し、人員の拡充を計画しておりますが、計画どおりの人材採用が行われない場合は、内部管理体制が十分に構築できない可能性があります。

新型コロナウイルス等感染症の拡大により、当社の役員及び従業員が感染し、事業活動に重大な支障が生じた場合、当社の業績に重要な影響を及ぼす可能性があります。なお、当社では、感染症対策の強化を図るとともに、リモートワークの導入など、柔軟に事業を継続できる体制整備に努めております。

 

② 資本構成について
ア ベンチャーキャピタル等の株式保有比率

2022年9月30日現在、当社発行済株式総数は5,380,700株(潜在株式を除く。)であり、うちベンチャーキャピタル及びベンチャーキャピタルが組成した投資事業組合等(以下、「VC等」という。)が所有する株式数は28.5%を占めております。

一般に、VC等の出資目的は、公開後に当該株式を売却することによるキャピタルゲインの獲得であることから、今後もVC等による所有株式の売却が想定されます。当該株式売却により、一時的に需給のバランスの悪化が生じる可能性があり、当社株式の市場価格が低下する可能性があります。

 

イ 新株予約権による希薄化

当社は、ストック・オプション制度を採用しており、取締役、従業員等に対して新株予約権を付与しており、今後も優秀な人材確保及び取締役、従業員等の企業価値向上への貢献意識を高めることを目的として、新株予約権を発行する可能性があります。

ストック・オプションを含めた新株予約権による潜在株式数は提出日の前月末現在で413,000株となり、発行済株式総数と潜在株式数を合計した株式数に対して7.1%を占めております。

新株予約権の行使が進んだ場合、発行済株式総数が増加し、当社株式の市場価格が低下する可能性があります。

 

③ 特定人物への依存

代表取締役社長の安達喜一は経営方針の決定及び当社の事業活動全般に重要な役割を果たしております。また、研究開発については専門的な知識が必要となるため特定の従業員に強く依存するところがあります。当社では特定人物への依存が強くなり過ぎないよう業務内容を複数で共有するとともに人材の確保及び育成に努めておりますが、人材の拡充が進まない、人材が流出する等の事態が生じた場合には、当社の事業活動に重大な影響を及ぼす可能性があります。

 

(5) 業績に係るリスク
① 経営成績について

当社は研究開発型の創薬バイオベンチャー企業であり、多額の研究開発費を先行投資するビジネスモデルであるため、継続して当期純損失を計上しております。計画どおりに開発を進め、当社製品が医薬品として承認されることにより早期に利益を計上することを目指しておりますが、研究開発の遅延により利益の計上が遅れる可能性があります。

 

② 配当政策について

当社は、本書提出日現在において、会社法上の配当可能利益がなく、創業以来、配当を実施しておりません。早期に利益を計上したのち、財務体質の強化及び研究開発への投資とともに株主への利益還元を行うべく利益配当を考えております。

しかしながら、研究開発の遅延や収益見込が下回る等により利益配当が十分になされない可能性があります。

 

③ 資金繰り及び資金調達について

当社のような創薬バイオベンチャー企業は、研究開発が先行して行われるため、研究開発期間中においては継続的に営業損失を計上し、営業活動によるキャッシュ・フローは通常マイナスとなります。現在、開発中であるKP-100ITが実用化され販売が本格的に開始されるまでの間、研究開発資金を含む事業資金は過去における増資資金、株式公開における調達資金で賄う予定でありますが、研究開発等、本格的な販売開始の遅延により資金がひっ迫する可能性があります。

この場合、新たな増資等によって追加の資金調達を行う必要が生じますが、適切なタイミングで資金調達ができなかった場合には、当社の事業継続に重要な懸念が生じる可能性があります。また、新たな増資を行った場合、発行済株式総数が増加することにより、1株当たりの株式価値が希薄化する可能性があります。

 

④ 多額の研究開発費の発生について

当社の第20期事業年度における研究開発費の総額は、398,518千円(販売費及び一般管理費の69.2%)、第21期事業年度においては、533,289千円(販売費及び一般管理費の73.1%)であります。

一般に、新薬の開発には、長期に渡る年月と多額の費用が必要になります。当社では現在、難治性神経疾患である脊髄損傷急性期及び声帯瘢痕を対象疾患とした臨床試験を実施中ですが、これら研究開発が当初計画よりも遅延する場合、又は当初期待していた結果が得られない場合、研究開発費用が当初計画よりも増大し、業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

 

(6) 新型コロナウイルス感染症の拡大・長期化による事業リスク

当社は、テレワークや時差出勤の実施等により、新型コロナウイルス感染症拡大・長期化の直接的な業績への影響を最小限に抑えております。

しかしながら、現在進めている脊髄損傷(SCI)第Ⅲ相試験において、外出や行動制限の長期化のため外傷を伴う転倒等の事故発生低下が対象患者の登録に影響する可能性があります。

また、海外でのロックダウン措置による世界的な工場稼働率の低下や新型コロナウイルスに対するワクチン製造への優先的な原材料供給等により、当社の製造開発に必要となる原材料等の供給量の低下、供給の遅延が起きるなどしており、十分な在庫の確保に努めてはいるものの、感染症対策の長期化によっては製造開発の進捗に影響を与える可能性があります。

 

3 【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】
(1) 経営成績等の状況の概要
① 経営成績の状況

製薬業界の概況としましては、高齢化に伴う医療費の増大に対応してジェネリック医薬品による代替が進むとともに、薬価改定期間が短縮され、高額医薬品の薬価が著しく低下しております。また、臨床試験の大規模化等に起因する新薬開発のためのコスト増大により、国内外での製薬企業の合従連衡が進みM&Aにより企業規模が拡大するとともに、自社創薬開発において重点領域の絞込みが行われており、社外から開発品目を導入する動きも活発化しております。

一方、新薬開発については、対象患者が多く将来安定した多額の収益が得られる、いわゆるブロックバスター医薬品から、特定の患者群に効果的な治療が行える医薬品の開発に移行しており、経営資源が特定分野に集中し短期に意思決定が行われる創薬ベンチャーが、その中心的役割を担うと言われております。これに対応すべく、政府は、厚生労働省や経済産業省の中央省庁を中心に、日本発の創薬を積極的に支援するため、特に、創薬ベンチャー支援の取り組みとして、医療系ベンチャー・トータルサポート事業(MEDISO)の開始や「伊藤レポート2.0バイオメディカル産業版」が作成されております。日本国内での創薬を促進するため、医薬品の条件付き早期承認制度や先駆的医薬品指定制度も法制化されました。

また、新型コロナウイルス感染症の拡大・長期化により製薬業界への社会的注目が増しているものの、製薬業界の経営資源が新型コロナウイルスに対するワクチンや治療薬開発に集中することにより、その他の医薬品開発が治験を含めて遅延する傾向がみられます。

このような事業環境下、当社は、組換えヒトHGFタンパク質(開発コード:KP-100)の研究開発によって創薬イ ノベーションを起こすことが事業機会の創出・獲得につながると考え、組換えヒトHGFタンパク質プロジェクトに 経営資源を集中して、以下の各事業活動を展開しました。

 

1.医薬開発活動について

(ア) 脊髄損傷(SCI)急性期

慶應義塾大学整形外科中村雅也教授を治験調整医師とする治験実施体制のもとで、脊髄損傷急性期患者を対象として第Ⅰ/Ⅱ相試験を実施し、安全性を確認するとともに有効性を示唆する結果を得ました。第Ⅰ/Ⅱ相試験で得られたPOC(プルーフ・オブ・コンセプト:研究開発中である新薬候補物質の有用性・効果が、ヒトに投与することによって認められること)を検証する目的で第Ⅲ相試験の計画を策定し、2020年6月9日付で医薬品医療機器総合機構(以下「PMDA」という。)に治験計画届書を提出しました。

2020年7月より第Ⅲ相試験を総合せき損センター、北海道せき損センター及び村山医療センターの3施設で開始しました。2021年3月より神戸赤十字病院及び愛仁会リハビリテーション病院を加えた合計5施設を治験実施医療機関としており、当事業年度においても患者組入れを継続しております。2022年5月には、新型コロナウイルス感染症の再拡大と長期化による受傷事故数の低減等の影響により、患者組入れが目標症例数に到達していなかったことから、治験期間を6か月延長することをPMDAに届出ました。この変更により、患者組入れ完了は2022年後半、最終症例の経過観察終了は2023年前半となる見込みです。

 

脊髄損傷急性期治療薬としての製造販売承認取得に向けて、組換えヒトHGFタンパク質の製造プロセスに関する各種試験も進めております。原薬製造につきましては、承認申請に必要とされる実製造と同様のプロセスで行う試験製造(プロセスバリデーション)を当事業年度に終了しました。製剤製造につきましては計画中であります。なお、新型コロナウイルス感染症拡大・長期化を原因とした世界的な工場稼働率の低下や新型コロナウイルスに対するワクチン製造への優先的な原材料供給等により、当社のHGF製造開発に必要となる原材料等の供給量の低下、供給の遅延などが発生し、前事業年度に完了を予定していた試験の一部は、当事業年度での完了となりました。

また、脊髄損傷を対象に、iPS細胞由来神経前駆細胞の移植技術などを組み合わせて、組換えヒトHGFタンパク質製剤のより効果的な投与方法や投与のタイミングを検討するために、2021年2月より慶應義塾大学医学部と共同研究を開始しております。本共同研究において、慢性期完全脊髄損傷モデル動物に対して、慶應義塾大学が保有するiPS細胞由来神経幹/前駆細胞と当社が開発するHGF及びスキャフォールド(足場基材)を併用することにより運動機能の回復が得られることを見出し、2022年3月に同大学と当社は共同で特許を出願いたしました。さらに、重度の脊髄損傷モデル動物に対して、急性期にHGFを投与することに加え、亜急性期にiPS細胞由来神経幹/前駆細胞を移植したところ、各単独投与群に比べ顕著な運動機能の回復がみられたことから、2022年9月に本共同研究に基づく2件目の特許共同出願を行いました。HGF及びiPS細胞由来神経幹/前駆細胞の単独治療は既にヒトでの臨床段階に進んでいることから、両者の併用治療は、急性期及び亜急性期の脊髄損傷に対する次世代複合治療法として早期の実用化が期待されます。

2021年6月には、アジア太平洋脊椎外科学会とアジア太平洋小児整形外科学会の第13回合同学会(APSS-APPOS 2021、2021年6月9日~12日、於神戸国際会議場)において、脊髄損傷急性期での第Ⅰ/Ⅱ相試験に関する発表が APSS CONGRESS Best Clinical Research Award(APSS会議最優秀臨床研究賞)を受賞しました。

2021年12月には、「神経疾患の治療に適したHGF製剤」の特許が欧州で登録されました。本製剤は脊髄損傷急性期のみならず、筋萎縮性側索硬化症及び声帯瘢痕に対する臨床試験においても治験薬として使用しており、HGF製剤の適応拡大の基盤となるものです。既に権利化されている日本、米国、カナダ、韓国に、欧州が加わることで、HGF医薬品のグローバルでの事業展開に有利な知財環境が構築できました。

 

(イ) 筋萎縮性側索硬化症(ALS)

2016年5月より東北大学神経内科青木正志教授による医師主導治験として、東北大学病院及び大阪大学医学部附属病院において第Ⅱ相試験(プラセボ対照二重盲検比較試験)が実施されました。2020年11月には患者組入れを終了し、2021年12月に最終症例の最終観察日が終了しております。その後、東北大学においてデータ解析が進められた結果、主要及び副次評価項目に関して実薬群とプラセボ群の間で統計的な有意差は認められませんでした。一方、実薬群において進行抑制が認められた症例もあり、本試験結果の解釈には、さらに詳細な解析が必要となります。なお、安全性に関しては、実薬群とプラセボ群で有害事象の発現率は同程度であり、忍容性が確認されました。今後の開発の方向性については、東北大学によるさらなる詳細な解析結果を踏まえ、東北大学と協議の上、決定してまいります。当社は、治験薬提供者の立場から、治験薬の提供に加え当該治験の運営・推進支援、治験薬の安定性試験等を継続して実施しており、当事業年度におきましても治験薬の安定性試験を実施しております。

また、2021年3月をもって国立研究開発法人日本医療研究開発機構(AMED)からの補助金が終了したことに伴う当該治験の停滞を回避するため、当事業年度においては、当社より医薬品開発業務受託機関(CRO)等に係る治験費用の負担を行いました。

2021年9月には、アジア―環太平洋ALSコンソーシアムにおいて、青木正志教授により組換えヒトHGFタンパク質によるALS治療薬の開発経緯に関して学会発表が行われました。

 

(ウ) 声帯瘢痕(VFS)

声帯粘膜が硬く変性(線維化)する疾患であるVFSを対象とした医師主導による第Ⅰ/Ⅱ相試験によって、KP-100製剤の声帯内投与の安全性が確認され、声帯の機能回復を示す症例も確認されました(J Tissue Eng Regen Med. 2018. 12:1031-1038.)。

なお、治験の実施費用並びに治験薬の製造及び市販製剤の開発費用の調達を目的として、2021年11月に新株予約権の発行を行っており、2022年7月には全ての行使が完了しました。さらに、本プロジェクトは国立研究開発法人日本医療研究開発機構(AMED)による「医療研究開発革新基盤創成事業(CiCLE)」課題として採択され、2022年4月より公的資金の活用も進めております。

 

(エ) クラリス・バイオセラピューティクス社への原薬供給

当社は、2020年4月に米国のクラリス・バイオセラピューティクス社とLicense and Supply Agreementを締結し、同社が米国において眼科疾患を対象に臨床開発を進めるためのHGF原薬の供給を行っております。

当事業年度においては、同社に対し治験薬製造等に必要となるHGF原薬を供給しました。一方、当社が提供した各種情報をもとに、同社は神経栄養性角膜炎を対象とする第Ⅰ/Ⅱ相試験を開始するためのIND申請を2021年5月に実施しており、同年8月には1例目の投与が開始されております。当社はこれを起点として、毎年定額の技術アクセスフィー(ロイヤリティ収入)を受領することになりました。同社はカナダにおいても本試験を開始するべく、2022年7月に、Health Canada(カナダ保健省)に治験申請を行い承認されました。今後、米国とカナダの両国において本試験が継続されるため、症例組入れのさらなる加速が期待されます。

米国食品医薬品局(FDA)に対する新薬治験開始申請

 

(オ) その他の共同研究

2022年7月には、京都大学と、HGFの再生医療への応用研究に関する共同研究契約を締結しました。バイオマテリアル技術を応用し、対象疾患に最適で効果的な次世代治療法の探索研究を行い、KP-100を他の難治性疾患に適応拡大することを目的としています。

また、当社は、2018年10月より、東京医科歯科大学と共同研究を実施しております。2022年7月、潰瘍性大腸炎の難治性潰瘍の修復を目指した、自家腸上皮オルガノイド移植による臨床研究において、同大学により1例目の移植が行われました。本移植治療に用いる腸上皮オルガノイドの作製には、当社のKP-100が用いられております。

2022年9月には、HGFタンパク質のさらなる可能性を追求するために、「HGFタンパク質を利活用した新しい研究テーマ」を幅広く多くの研究者から募集するオープンイノベーションを推進していくことを決定しました。

 

2.事業開発活動について

当事業年度においては、脊髄損傷急性期での海外展開を見据えて、海外製薬企業等との事業提携協議を中心に、事業開発活動を行いました。

また、2021年9月には、当社パイプラインの主成分である組換えヒトHGFタンパク質(5 アミノ酸欠損・糖鎖付加型、開発コード:KP-100)の国際一般名称が、「Oremepermin Alfa」(オレメペルミン アルファ)に決定されました。

 

以上の結果、当事業年度の業績は以下のとおりとなりました。

 

当事業年度における売上高は391,829千円(前事業年度比35.2%の増加)、営業損失は426,165千円(前事業年度は、357,880千円の営業損失)、経常損失は330,339千円(前事業年度は、299,676千円の経常損失)、当期純損失は331,829千円(前事業年度は、301,166千円の当期純損失)となりました。

なお、当社は医薬品開発事業のみの単一セグメントであるため、セグメント別の記載を省略しております。

 

② 財政状態の状況

(資産)

当事業年度末における流動資産は、前事業年度末に比べて573,057千円増加(前事業年度末比21.8%増)し、3,207,651千円となりました。これは主として、新株予約権の行使に伴う増資等による現金及び預金の増加618,900千円及び製造開発に伴う棚卸資産の増加34,780千円によるものであります。固定資産は大きな変動はなく、前事業年度末に比べて8千円増加(前事業年度末比0.9%増)し、1,040千円となりました。

この結果、資産合計は、前事業年度末に比べて573,066千円増加(前事業年度末比21.7%増)し、3,208,691千円となりました。

 

(負債)

当事業年度末における流動負債は、前事業年度末に比べて35,627千円増加(前事業年度末比28.0%増)し、162,824千円となりました。これは主として、未払金の増加21,896千円及び前受金の増加12,711千円によるものであります。固定負債は、前事業年度末に比べて254,400千円増加(前事業年度末は2,278千円)し、256,679千円となりました。これは主として、長期預り金の増加254,374千円によるものであります。

この結果、負債合計は、前事業年度末に比べて290,028千円増加(前事業年度末比224.0%増)し、419,504千円となりました。

 

(純資産)

当事業年度末における純資産は、前事業年度末に比べて283,037千円増加(前事業年度末比11.3%増)し、2,789,187千円となりました。これは主として、当期純損失が331,829千円計上された一方、新株予約権行使に伴う増資により、資本金及び資本準備金がそれぞれ305,765千円増加したことによるものです。

なお、2022年8月に資本金及び資本準備金の額の減少により、資本金297,708千円、資本準備金3,458千円をそれぞれ減少し、同額をその他資本剰余金に振り替えるとともに、当該その他資本剰余金301,166千円を繰越利益剰余金の欠損填補に充当しております。

この結果、資本金59,877千円、資本剰余金3,057,848千円、利益剰余金△331,829千円となりました。

 

③ キャッシュ・フローの状況

当事業年度末における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、2,502,046千円となり、前事業年度末と比較して364,525千円増加しました。

当事業年度におけるキャッシュ・フローの概況は下記のとおりです。

 

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

営業活動によるキャッシュ・フローは、15,796千円の収入(前事業年度は560,922千円の支出)となりました。これは主として、税引前当期純損失330,339千円による資金減少はあるものの、長期預り金の受入による収入254,374千円及び補助金の受取額80,000千円の資金増加によるものです。

 

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

投資活動によるキャッシュ・フローは254,383千円の支出(前事業年度は発生なし)となりました。これは主として、定期預金の預入による支出254,374千円によるものであります。

 

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

財務活動によるキャッシュ・フローは603,112千円の収入(前事業年度は595,904千円の収入)となりました。これは主として、新株予約権の行使による株式の発行による収入602,073千円によるものであります。

 

④ 生産、受注及び販売の実績
a.生産実績

該当事項はありません。

 

b.受注実績

当社は受注生産を行っていませんので、受注実績の記載はしておりません。

 

c.販売実績

当社は医薬品開発事業の単一セグメントであるため、セグメントごとの情報は記載しておりません。当事業年度の販売実績は以下のとおりです。

セグメントの名称

当事業年度

(自 2021年10月1日

至 2022年9月30日

前年度比(%)

医薬品開発事業(千円)

391,829

35.2

合計(千円)

391,829

35.2

 

(注) 主な相手先別の販売実績および当該販売実績の総販売実績に対する割合は以下のとおりです。

相手先

前事業年度

(自 2020年10月1日

至 2021年9月30日

当事業年度

(自 2021年10月1日

至 2022年9月30日

金額(千円)

割合(%)

金額(千円)

割合(%)

クラリス・バイオセラピューティクス社

289,756

100.0

391,829

100.0

 

 

(2) 経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容

経営者による当社の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。

なお、文中の将来に関する事項は、提出日現在において判断したものであります。

 

① 重要な会計方針及び見積り

当社の財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。また、財務諸表の作成に当たっては、財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に影響を与える可能性のある見積りや予測を行っており、見積りの不確実性による実績との差異が生じる場合があります。

当社の財務諸表の作成に係る重要な会計方針は、「第5 経理の状況 1財務諸表等(1)財務諸表  注記事項 重要な会計方針」に記載のとおりであります。

 

② 経営成績の分析

当事業年度におきましては、「(1) 経営成績等の状況の概要」に記載のとおり、売上高391,829千円(前事業年度比35.2%増加)、売上原価は88,413千円(前事業年度比23.5%増加)、販売費及び一般管理費729,581千円(前事業年度比26.7%増加)、営業外収益104,213千円(前事業年度比26.6%増加)、営業外費用8,387千円(前事業年度比65.2%減少)となりました。

この結果、当事業年度の営業損失は426,165千円(前事業年度は営業損失357,880千円)、経常損失は330,339千円(前事業年度は経常損失299,676千円)、当期純損失は331,829千円(前事業年度は当期純損失301,166千円)となりました。

(売上高)

当事業年度の売上高は、クラリス・バイオセラピューティクス社とのLicense and Supply Agreementに基づく原薬供給及び技術アクセスフィー収入による売上であります。

(売上原価)

当事業年度の売上原価は、クラリス・バイオセラピューティクス社への原薬供給によるものであります。

(販売費及び一般管理費)

当事業年度の販売費及び一般管理費は、主に脊髄損傷パイプライン治験費用及びALSパイプライン治験費用の増加、声帯瘢痕パイプラインの治験準備費用等の発生により、研究開発費が増加しております。

(営業外収益)

当事業年度の営業外収益は、主に補助金収入及び為替差益が発生したことにより増加しております。

(営業外費用)

当事業年度の営業外費用は、新株予約権発行費が発生したことによるものです

 

③ 財政状態の分析

当事業年度におきましては、当社は、「(1) 経営成績等の状況の概要」に記載のとおり、資産合計は、3,208,691千円となり、前事業年度末と比較して573,066千円増加し、負債合計は、419,504千円となり、前事業年度末と比較して290,028千円増加するとともに、純資産の残高は、2,789,187千円となり、前事業年度末と比較して283,037千円増加しました。

 

④ キャッシュ・フローの状況の分析

当事業年度におきましては、当社は、「(1) 経営成績等の状況の概要」に記載のとおり、営業活動によるキャッシュ・フローは15,796千円の収入、投資活動によるキャッシュ・フローは254,383千円の支出、財務活動によるキャッシュ・フローは603,112千円の収入となっております。

 

⑤ 経営成績に重要な影響を与える要因について

経営成績に重要な影響を与える要因については「第2 事業の状況 2.事業等のリスク」をご参照ください。

 

⑥ 資本の財源及び資金の流動性についての分析

当社は、複数のパイプラインの開発を行っておりますが、POCが確認されている脊髄損傷急性期の開発に優先的に資金を充当しております。当事業年度において、脊髄損傷パイプライン関連の研究開発費は、その製品化に必要な製造関連研究開発費を含めて、340,921千円を計上しております。また、医師主導治験であるALSについても、計画に遅延が生じないように支援を継続し、80,345千円を計上しております。

当社は、事業上必要な資金については、手元資金で賄う方針としており、売上高や営業外収益による収入が現時点では限定的であるため、第三者割当増資並びに補助金等により調達を行っております。手元資金については、資金需要に迅速かつ確実に対応するため、流動性の高い銀行預金により確保しております。

今後も、売上高、営業外収益による収入及び、補助金等による収入が生じることによる一定の財源は確保できる予定ですが、研究開発費の全額を賄うことは困難であるため、主要なパイプラインである神経疾患を中心に資金配分を行い、事業の黒字化を早急に達成するよう開発を進捗させる計画であります。

 

 

4 【経営上の重要な契約等】
(1) 技術受入契約

 

相手先の名称

相手先の
所在地

契約の名称

契約
締結日

契約期間

契約内容

株式会社
ニューロゲン

中村敏一

日本

マスターセルバンクの使用許諾およびアドバイザリー契約書

2017年
10月1日

2017年10月1日から当社が組換えヒトHGFタンパク質の商業化のための努力を継続している間

同社が同氏から使用許諾を受けている組換えヒトHGFタンパク質を産生するマスターセルバンクについて、当社に対し独占的に使用許諾する。

 

(注) 1.原契約は2005年4月20日付けで締結されております。

2.2019年9月8日付けの中村敏一氏から株式会社ニューロゲンへのマスターセルバンクの譲渡にかかる契約により、中村敏一氏は契約当事者としての地位から離脱しております。

 

(2) 脊髄損傷急性期を対象とした製品(KP-100IT)のバリューチェーンに関する契約

 

相手先の名称

相手先の
所在地

契約の名称

契約
締結日

契約期間

契約内容

東邦
ホールディングス
株式会社

日本

株式引受契約書

2020年
2月21日

2020年2月21日から当社株式を保有する期間中、右許諾は存続

出資契約の付帯条項として、同社及びそのグループ会社に対し、国内における本製品の独占的卸売販売権を許諾する。

丸石製薬株式会社

日本

KP-100ITの独占的販売許諾等に関する契約書

2020年
8月28日

2020年8月28日から本製品の発売開始後15年間

同社に対し、国内における本製品の販売及びプロモーションを行う独占的権利を許諾する。

当社は許諾の対価として、以下を収受する。

・契約一時金:契約締結時に受領済。

・開発マイルストーン収入:製造販売承認申請時、薬価収載時(先駆指定審査制度の対象品目に指定された場合は一部を先行して受領)及び適応追加承認時に受領する。

・販売マイルストーン収入:売上が年間で一定額を達成した際に受領する。

・販売後ロイヤリティ収入:年間売上に一定の料率を掛けた金額を本製品の販売日から15年が経過するまで受領する。

・当社は本製品を製造し、商業販売する全量を、薬価に一定率を乗じた単価で同社に販売する。

 

 

 

(3) 組換えヒトHGFタンパク質(KP-100)の供給契約

 

相手先の名称

相手先の
所在地

契約の名称

契約
締結日

契約期間

契約内容

クラリス・
バイオセラ
ピューティクス社

米国

License and Supply Agreement

2020年
4月13日

2020年4月13日から同社が技術アクセスフィーを支払っている期間中

同社に対し、眼科領域におけるKP-100を有効成分とした医薬品の開発、製造、販売、輸出入等を全世界で行うための独占的実施権を許諾する。

当社は許諾の対価として、以下を収受する。

・契約一時金(受領済)

・技術アクセスフィー収入:同社が実施する最初の臨床試験における初回投与を起点として、毎年定額を受領する。

・当社は同社による開発(非臨床及び臨床試験)に必要なKP-100を定額の単価で販売する。

 

 

2 【主要な設備の状況】

(2022年9月30日現在)

事業所名
(所在地)

設備の内容

帳簿価額(千円)

従業員数
(名)

建物

工具、器具
及び備品

合計

本社

(大阪府茨木市)

本社設備

12

 

(注) 1.当社は医薬品開発事業の単一セグメントのため、セグメントの名称を省略しております。

2.現在休止中の主要な設備はありません。

3.過年度において、全額減損損失を計上しております。

4.上記の他、他の者から賃借している設備の内容は下記のとおりであります。

 

事業所名(所在地)

設備の内容

年間賃借料(千円)

本社(大阪府茨木市)

本社事務所

4,950

本社(大阪府茨木市)

本社設備

1,606

 

 

① 【株式の総数】

 

種類

発行可能株式総数(株)

普通株式

20,000,000

20,000,000

 

(注)2022年12月23日開催の定時株主総会において定款の一部変更が行われ、発行可能株式総数は同日より13,000,000株増加し、20,000,000株となっております。

② 【発行済株式】

 

種類

事業年度末現在
発行数(株)
(2022年9月30日)

提出日現在
発行数(株)
(2022年12月26日)

上場金融商品取引所名又は登録認可金融商品取引業協会名

内容

普通株式

5,380,700

5,380,700

東京証券取引所
(グロース)

単元株式数は100株であります。

5,380,700

5,380,700

 

(注)提出日現在発行数には、2022年12月1日からこの有価証券報告書提出日までの新株予約権の行使により発行された株式数は、含まれておりません。

① 【ストックオプション制度の内容】

 第6回新株予約権、第8回新株予約権、第9回新株予約権及び第11回新株予約権

 

名称

第6回新株予約権

第8回新株予約権

決議年月日

2017年10月18日

2018年6月1日

付与対象者の区分及び人数

当社取締役3名
当社従業員2名

当社元取締役1名

当社元監査役1名

当社元従業員1名

(注)5

当社従業員1名

新株予約権の数(個)※

9,000(注)1

500(注)1

新株予約権の目的となる株式の種類、内容及び数(株)※

普通株式

180,000(注)1、4

普通株式

10,000(注)1、4

新株予約権の行使時の払込金額(円)※

260(注)2、4

同左

新株予約権の行使期間※

2019年10月20日~
2027年9月19日

2020年6月3日~
2028年5月2日

新株予約権の行使により株式を発行する場合の株式の発行価格及び資本組入額(円)※

発行価格  260(注)4

資本組入額 130(注)4

同左

新株予約権の行使の条件※

新株予約権者は、権利行使時においても、当社または当社子会社の取締役、監査役、従業員の地位を有していなければならない。ただし、新株予約権者が任期満了により退任または定年退職した場合、あるいは取締役会が正当な理由があると認めた場合は、この限りではない。

新株予約権者が死亡した場合、その相続人による新株予約権の権利行使は認めないものとする。ただし、取締役会が正当な理由があると認めた場合は、この限りではない。

同左

新株予約権の譲渡に関する事項※

当社取締役会の決議による承認を要するものとする。

同左

組織再編成行為に伴う新株予約権の交付に関する事項※

(注)3

同左

 

 

 

名称

第9回新株予約権

第11回新株予約権

決議年月日

2020年7月15日

2022年2月16日

付与対象者の区分及び人数

当社取締役3名

当社従業員9名

(注)6

当社従業員5名

新株予約権の数(個)※

9,100(注)1

290(注)1

新株予約権の目的となる株式の種類、内容及び数(株)※

普通株式

182,000(注)1、4

普通株式

29,000(注)1、4

新株予約権の行使時の払込金額(円)※

750(注)2、4

698(注)2、4

新株予約権の行使期間※

2022年7月30日~
2030年6月30日

2024年3月4日~
2032年2月16日

新株予約権の行使により株式を発行する場合の株式の発行価格及び資本組入額(円)※

発行価格  750(注)4

資本組入額 375(注)4

発行価格  698(注)4

資本組入額 349(注)4

新株予約権の行使の条件※

新株予約権者は、権利行使時において、当社の取締役、監査役、従業員もしくは関係協力者、関係協力法人のいずれかの地位を保有している場合に限り新株予約権を行使することができる。ただし、取締役会が正当な理由があると認めた場合は、この限りではない。

新株予約権者が死亡した場合は、その相続人は本新株予約権を行使できるものとする。

新株予約権者は、当社と新株予約権者との間で締結する「新株予約権割当契約書」に違反した場合には行使できない。

新株予約権者は、権利行使時において、当社の取締役、監査役又は従業員のいずれかの地位を保有している場合に限り新株予約権を行使することができる。ただし、当社取締役会が正当な理由があると認めた場合は、この限りではない。

その他の条件については,当社と新株予約権者との間で締結する「新株予約権割当契約書」に定めるところによる。

新株予約権の譲渡に関する事項※

当社取締役会の決議による承認を要するものとする。

同左

組織再編成行為に伴う新株予約権の交付に関する事項※

(注)3

同左

 

 

※当事業年度の末日(2022年9月30日)における内容を記載しております。提出日の前月末において変更はありません。

 

(注) 1.新株予約権1個につき目的となる株式数は、20株であります。

当社が株式分割(株式無償割当を含む。)または株式併合を行う場合、次の算式により目的となる株式の数を調整するものとする。ただし、かかる調整は、新株予約権のうち、当該時点で権利行使されていない新株予約権の目的となる株式の数について行われ、調整の結果生じる1株未満の端数については、これを切り捨てる。

 

調整後株式数 = 調整前株式数 × 分割・併合の比率

 

また、当社が吸収合併、新設合併、吸収分割、新設分割、株式交換もしくは株式移転を行う場合又はその他やむを得ない事由が生じた場合には、新株予約権の目的となる株式の数は、合理的な範囲で調整されるものとする。

2.当社が株式分割(株式無償割当を含む。)または株式併合を行う場合、次の算式により行使価額を調整し、1円未満の端数は切り上げる。

 

調整後行使価額

調整前行使価額

×

分割・併合の比率

 

 

また、当社が行使価額を下回る払込金額で募集株式の発行または自己株式の処分を行う場合(新株予約権の行使に基づく自己株式の譲渡及び株式交換による自己株式の移転の場合)は、次の算式により行使価額を調整し、調整により生じる1円未満の端数は切り上げる。

 

 

調整後
行使価額

 

既発行
株式数

×

調整前
行使価額

新規発行
株式数

×

1株当たり
払込金額

既発行株式数 + 新規発行株式数

 

 

 

上記算式において「既発行株式数」とは、当社の発行済株式総数から当社が保有する自己株式数を控除した数とし、自己株式の処分を行う場合には「新規発行」を「自己株式の処分」、「1株当たり払込金額」を「1株当たり処分金額」と読み替えるものとする。

さらに、上記のほか、当社が吸収合併、新設合併、吸収分割、新設分割、株式交換もしくは株式移転を行う場合又はその他やむを得ない事由が生じた場合には、行使価額は、合理的な範囲で調整されるものとする。

3.当社が合併(当社が合併により消滅する場合に限る。)、吸収分割、新設分割、株式交換又は株式移転(以上を総称して以下「組織再編行為」という。)をする場合において、組織再編行為の効力発生日において残存する新株予約権(以下「残存新株予約権」という。)の新株予約権者に対し、それぞれの場合につき、会社法第236条第1項第8号のイからホまでに掲げる株式会社(以下「再編対象会社」という。)の新株予約権を以下の条件に基づきそれぞれ交付することとする。この場合においては、残存新株予約権は消滅し、再編対象会社は新株予約権を新たに発行するものとする。ただし、以下の条件に沿って再編対象会社の新株予約権を交付する旨を、吸収合併契約、新設合併契約、吸収分割契約、新設分割計画、株式交換契約または株式移転計画において定めた場合に限るものとする。

① 交付する再編対象会社の新株予約権の数

組織再編行為の効力発生の時点において残存する募集新株予約権の新株予約権者が保有する新株予約権の数と同一の数をそれぞれ交付するものとする。

② 新株予約権の目的である再編対象会社の株式の種類

再編対象会社の普通株式とする。

③ 新株予約権の目的である再編対象会社の株式の数

組織再編行為の条件等を勘案のうえ、上記「新株予約権の目的となる株式の種類、内容及び数」に準じて決定する。

④ 新株予約権の行使に際して出資される財産の価額

交付される各新株予約権の行使に際して出資される財産の価額は、組織再編行為の条件等を勘案のうえ、上記の「新株予約権の行使時の払込金額」を調整して得られる再編後払込金額に上記③に従って決定される当該新株予約権の目的である再編対象会社の株式の数を乗じて得られる金額とする。

⑤ 新株予約権を行使することができる期間

上記の「新株予約権の行使期間」の開始日と組織再編行為の効力発生日のうちいずれか遅い日から、上記の「新株予約権の行使期間」の満了日までとする。

⑥ 新株予約権の行使の条件

上記の「新株予約権の行使の条件」に準じて決定する。

⑦ 増加する資本金及び資本準備金に関する事項

以下に準じて決定する。

ⅰ) 新株予約権の行使により株式を発行する場合において増加する資本金の額は、会社計算規則第17条第1項に従い算出される資本金等増加限度額の2分の1の金額とし、計算の結果1円未満の端数が生じたときは、その端数を切り上げるものとする。

本新株予約権の行使により株式を発行する場合において増加する資本準備金の額は、上記の資本金等増加限度額から上記に定める増加する資本金の額を減じた額とする。

⑧ 譲渡による新株予約権の取得の制限

譲渡による新株予約権の取得については、再編対象会社の承認を要するものとする。

⑨ 新株予約権の取得事由

以下に準じて決定する。

ⅰ) 新株予約権者が権利行使をする前に、当社が消滅会社となる合併契約承認の議案又は当社が完全子会社となる株式交換契約承認もしくは株式移転計画承認の議案につき株主総会で承認された場合(株主総会決議が不要の場合は、当社取締役会決議がなされた場合)は、当社取締役会が別途定める日をもって当社は無償で新株予約権を取得することができる。

ⅱ) 新株予約権者が権利行使をする前に、新株予約権の行使の条件の規定に該当しなくなった場合、及び新株予約権者が保有する新株予約権を放棄した場合には、当社取締役会が別途定める日をもって当社は無償で新株予約権を取得することができる。

4.2020年11月12日付で普通株式1株につき20株の株式分割を行っております。これにより「新株予約権の目的となる株式の種類、内容及び数」、「新株予約権の行使時の払込金額」及び「新株予約権の行使により株式を発行する場合の株式の発行価格及び資本組入額」が調整されております。

5.付与対象者の役員の就任により、本書提出日現在の「付与対象者の区分及び人数」は、当社取締役4名、当社従業員1名、元取締役1名、元監査役1名及び元従業員1名となっております。

6.付与対象者の役員の就任により、本書提出日現在の「付与対象者の区分及び人数」は、当社取締役4名及び、当社従業員8名となっております。

 

 

② 【ライツプランの内容】

該当事項はありません。

 

 

(4) 【発行済株式総数、資本金等の推移】

 

年月日

発行済株式
総数増減数
(株)

発行済株式
総数残高
(株)

資本金増減額
 
(千円)

資本金残高
 
(千円)

資本準備金
増減額
(千円)

資本準備金
残高
(千円)

2018年7月31日

(注)1

B種優先株式

8,000

普通株式

52,053

A種優先株式

61,000

B種優先株式

8,000

100,000

200,000

100,000

100,000

2018年9月26日

(注)2

普通株式

52,053

A種優先株式

61,000

B種優先株式

8,000

△100,000

100,000

100,000

200,000

2020年2月28日

(注)3

C種優先株式

31,664

普通株式

52,053

A種優先株式

61,000

B種優先株式

8,000

C種優先株式

31,664

474,960

574,960

474,960

674,960

2020年4月3日

(注)4

C種優先株式

24,668

普通株式

52,053

A種優先株式

61,000

B種優先株式

8,000

C種優先株式

56,332

370,020

944,980

370,020

1,044,980

2020年7月30日

(注)5

普通株式

52,053

A種優先株式

61,000

B種優先株式

8,000

C種優先株式

56,332

△844,980

100,000

844,980

1,889,960

2020年8月31日

(注)6

普通株式

5,000

普通株式

57,053

A種優先株式

61,000

B種優先株式

8,000

C種優先株式

56,332

200,000

300,000

200,000

2,089,960

2020年9月23日

(注)7

普通株式

125,332

A種優先株式

△61,000

B種優先株式

△8,000

C種優先株式

△56,332

普通株式

182,385

300,000

2,089,960

2020年11月20日

(注)8

普通株式3,465,315

普通株式

3,647,700

300,000

2,089,960

2020年12月27日

(注)9

普通株式

580,000

普通株式

4,227,700

266,800

566,800

266,800

2,356,850

 

 

年月日

発行済株式
総数増減数
(株)

発行済株式
総数残高
(株)

資本金増減額
 
(千円)

資本金残高
 
(千円)

資本準備金
増減額
(千円)

資本準備金
残高
(千円)

2021年1月26日

(注)10

普通株式

87,000

普通株式

4,314,700

40,020

606,820

40,020

2,396,870

2021年1月1日~

2021年3月31日

(注)11

普通株式

6,000

普通株式

4,320,700

780

607,600

780

2,397,560

2021年7月13日

(注)12

普通株式

4,320,700

△557,600

50,000

△207,881

2,189,678

2021年7月1日~

2021年9月30日

(注)13

普通株式

14,000

普通株式

4,334,700

1,820

51,820

1,820

2,191,498

2022年10月1日~

2022年8月18日

(注)14

普通株式

1,046,000

普通株式

5,380,700

305,765

357,585

305,765

2,497,264

2022年9月13日

(注)15

普通株式

5,380,700

△297,708

59,877

△3,458

2,493,805

 

(注) 1.有償第三者割当

割当先  :THVP-1号投資事業有限責任組合 8,000株

発行価格 :25,000円

資本組入額:12,500円

2.機動的かつ柔軟な資本政策を行うことを目的とする無償減資であります。

3.有償第三者割当

割当先

日本全薬工業株式会社

10,000株

東邦ホールディングス株式会社

3,333株

慶應イノベーション・イニシアティブ1号投資事業有限責任組合

3,333株

DBJキャピタル投資事業有限責任組合

3,333株

THVP-1号投資事業有限責任組合

3,333株

サイバニクス・エクセレンス・ジャパン1号投資事業有限責任組合

3,333株

エムスリー株式会社

2,333株

株式会社AMG

1,666株

POCクリニカルリサーチ株式会社

1,000株

 

発行価格 :30,000円

資本組入額:15,000円

4.有償第三者割当

割当先

OUVC1号投資事業有限責任組合

10,000株

千島土地株式会社

3,333株

りそなキャピタル4号投資事業組合

3,333株

MSFキャピタルパートナーズ合同会社

1,667株

ナントCVC2号投資事業有限責任組合

1,667株

Yitu Limited

1,667株

Hongtao Investment-I Ltd

1,667株

株式会社OKBキャピタル

1,000株

上田 力也

334株

 

発行価格 :30,000円

資本組入額:15,000円

5.機動的かつ柔軟な資本政策を行うことを目的とする無償減資であります。

 

6.有償第三者割当

割当先  :丸石製薬株式会社 5,000株

発行価格 :80,000円

資本組入額:40,000円

7.優先株式の取得及び消却

2020年9月23日付で普通株式を対価とする取得条項に基づき、発行済優先株式(A種優先株式、B種優先株式及びC種優先株式)の全てを当社が取得し、引き換えに、優先株主に対して当社普通株式の交付を行い、同日付で当社が取得した優先株式(A種優先株式、B種優先株式及びC種優先株式)の全てを消却しております。

8.株式1株につき20株とする株式分割によるものであります

9.有償一般募集(ブックビルディング方式による募集)

発行価格 :1,000円

引受価額 :920円

資本組入額:460円

払込金総額:533,600千円

10.有償第三者割当(オーバーアロットメントによる売出しに関連した第三者割当増資)

発行価格      920円

資本組入額    460円

割当先        野村證券株式会社

11.新株予約権の行使による増加であります。

12.2021年6月10日開催の臨時株主総会決議に基づき、財務体質の健全化等を目的として、資本金及び資本準備金の額を減少するとともに、これらをその他資本剰余金に振り替えるとともに、増加後のその他資本剰余金を利益剰余金に振り替えることにより、利益剰余金の欠損てん補に充当しております。

13. 新株予約権の行使による増加であります。

14. 新株予約権の行使による増加であります。

15. 2022年8月26日開催の臨時株主総会決議に基づき、財務体質の健全化等を目的として、資本金及び資本準備金の額を減少するとともに、これらをその他資本剰余金に振り替えるとともに、増加後のその他資本剰余金を利益剰余金に振り替えることにより、利益剰余金の欠損てん補に充当しております。

 

 

(5) 【所有者別状況】

 

 

 

 

 

 

2022年9月30日現在

区分

株式の状況(1単元の株式数100株)

単元未満
株式の状況(株)

政府及び
地方公共
団体

金融機関

金融商品
取引業者

その他の
法人

外国法人等

個人
その他

個人以外

個人

株主数
(人)

3

22

32

12

8

2,253

2,330

所有株式数
(単元)

372

3,864

14,828

1,832

24

32,857

53,777

3,000

所有株式数
の割合(%)

0.7

7.2

27.6

3.4

0.0

61.1

100.0

 

(注)自己株式87株は、「単元未満株式の状況」に含まれております。

 

(6) 【大株主の状況】

2022年9月30日現在

氏名又は名称

住所

所有株式数
(株)

発行済株式
(自己株式を
除く。)の
総数に対する
所有株式数
の割合(%)

日本全薬工業株式会社

福島県郡山市安積町笹川字平ノ上1-1

500,840

9.31

慶應イノベーション・イニシアティブ1号投資事業有限責任組合

東京都港区三田1丁目4番28号

369,060

6.86

DBJキャピタル投資事業有限責任組合

東京都千代田区大手町1丁目9番6号

314,800

5.85

THVP-1号投資事業有限責任組合

宮城県仙台市青葉区荒巻字青葉468-1

218,660

4.06

OUVC1号投資事業有限責任組合

大阪府吹田市山田丘2番8号

200,000

3.72

CYBERDYNE株式会社

茨城県つくば市学園南2丁目2番地1

200,000

3.72

五味 大輔

松本市小屋北

180,000

3.35

野村證券株式会社

東京都中央区日本橋1丁目13番1号

173,400

3.22

株式会社リプロセル

神奈川県横浜市港北区新横浜3丁目8-11

100,000

1.86

丸石製薬株式会社

大阪府大阪市鶴見区今津中2丁目4番2号

100,000

1.86

2,356,760

43.80

 

(注)前事業年度末において主要株主であった日本全薬工業株式会社は、当事業年度末現在では主要株主ではなくなりました。

① 【貸借対照表】

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

(単位:千円)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

前事業年度

(2021年9月30日)

当事業年度

(2022年9月30日)

資産の部

 

 

 

流動資産

 

 

 

 

現金及び預金

※3 2,137,520

※3 2,756,420

 

 

売掛金

6,717

 

 

商品及び製品

88,413

 

 

原材料及び貯蔵品

226,681

349,875

 

 

前渡金

77,965

19,173

 

 

前払費用

12,856

11,751

 

 

未収消費税等

76,684

67,941

 

 

その他

7,754

2,487

 

 

流動資産合計

2,634,594

3,207,651

 

固定資産

 

 

 

 

有形固定資産

※1 

※1 

 

 

投資その他の資産

 

 

 

 

 

差入保証金

1,031

1,040

 

 

 

投資その他の資産合計

1,031

1,040

 

 

固定資産合計

1,031

1,040

 

資産合計

2,635,625

3,208,691

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

(単位:千円)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

前事業年度

(2021年9月30日)

当事業年度

(2022年9月30日)

負債の部

 

 

 

流動負債

 

 

 

 

未払金

30,968

52,864

 

 

未払費用

3,049

2,959

 

 

未払法人税等

1,490

1,490

 

 

前受金

※2 89,200

※2 101,911

 

 

預り金

2,489

3,599

 

 

流動負債合計

127,196

162,824

 

固定負債

 

 

 

 

資産除去債務

2,278

2,305

 

 

長期預り金

※3 

※3 254,374

 

 

固定負債合計

2,278

256,679

 

負債合計

129,475

419,504

純資産の部

 

 

 

株主資本

 

 

 

 

資本金

51,820

59,877

 

 

資本剰余金

 

 

 

 

 

資本準備金

2,191,498

2,493,805

 

 

 

その他資本剰余金

564,042

564,042

 

 

 

資本剰余金合計

2,755,541

3,057,848

 

 

利益剰余金

 

 

 

 

 

その他利益剰余金

 

 

 

 

 

 

繰越利益剰余金

301,166

331,829

 

 

 

利益剰余金合計

301,166

331,829

 

 

自己株式

45

75

 

 

株主資本合計

2,506,149

2,785,820

 

新株予約権

3,366

 

純資産合計

2,506,149

2,789,187

負債純資産合計

2,635,625

3,208,691

 

② 【損益計算書】

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

(単位:千円)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

前事業年度

(自 2020年10月1日

 至 2021年9月30日)

当事業年度

(自 2021年10月1日

 至 2022年9月30日)

売上高

※1 289,756

※1 391,829

売上原価

 

 

 

製品期首棚卸高

88,413

 

当期製品製造原価

160,011

 

合計

160,011

88,413

 

製品期末棚卸高

88,413

 

製品売上原価

71,598

88,413

売上総利益

218,157

303,416

販売費及び一般管理費

※2, 576,038

※2, 729,581

営業損失(△)

357,880

426,165

営業外収益

 

 

 

受取利息

1

0

 

補助金収入

82,236

80,000

 

為替差益

21,923

 

還付加算金

207

 

その他

56

2,082

 

営業外収益合計

82,293

104,213

営業外費用

 

 

 

上場関連費用

16,282

 

株式交付費

6,607

 

新株予約権発行費

8,387

 

為替差損

1,030

 

その他

168

 

営業外費用合計

24,090

8,387

経常損失(△)

299,676

330,339

税引前当期純損失(△)

299,676

330,339

法人税、住民税及び事業税

1,490

1,490

法人税等合計

1,490

1,490

当期純損失(△)

301,166

331,829