表示灯株式会社
HYOJITO Co.. Ltd
名古屋市中村区名駅4丁目2-11
証券コード:73680
業界:サービス業
有価証券報告書の提出日:2023年6月26日

回次

第53期

第54期

第55期

第56期

第57期

決算年月

2019年3月

2020年3月

2021年3月

2022年3月

2023年3月

売上高

(千円)

12,116,179

13,065,401

13,237,395

売上収益

(千円)

9,676,056

9,960,242

経常利益

(千円)

1,129,509

1,204,513

1,460,018

754,246

621,019

当期純利益

(千円)

821,794

807,184

984,297

391,698

82,316

持分法を適用した場合の投資利益

(千円)

資本金

(千円)

153,236

153,236

153,236

923,761

923,761

発行済株式総数

(株)

777,449

777,449

3,887,245

4,720,245

4,720,245

純資産額

(千円)

4,567,311

5,173,580

6,031,800

7,490,993

7,292,198

総資産額

(千円)

11,250,326

12,065,055

12,778,823

13,512,765

13,762,244

1株当たり純資産額

(円)

1,174.95

1,330.91

1,551.69

1,587.01

1,544.89

1株当たり配当額

(円)

250.00

175.00

60.00

60.00

60.00

(うち1株当たり中間配当額)

(-)

(-)

(-)

(30.00)

(30.00)

1株当たり当期純利益

(円)

211.41

207.65

253.21

83.46

17.44

潜在株式調整後1株当たり当期純利益

(円)

自己資本比率

(%)

40.6

42.9

47.2

55.4

53.0

自己資本利益率

(%)

19.3

16.6

17.6

5.8

1.1

株価収益率

(倍)

15.11

76.26

配当性向

(%)

23.7

16.9

23.7

71.9

344.0

営業活動によるキャッシュ・フロー

(千円)

1,565,195

1,318,109

2,434,323

515,072

1,339,174

投資活動によるキャッシュ・フロー

(千円)

753,195

805,733

653,233

2,206,702

2,010,311

財務活動によるキャッシュ・フロー

(千円)

235,210

236,794

178,796

1,118,868

285,944

現金及び現金同等物の期末残高

(千円)

3,369,057

3,644,638

5,246,931

4,674,169

3,717,088

従業員数

(人)

417

434

445

456

457

(外、平均臨時雇用者数)

(121)

(122)

(96)

(92)

(102)

株主総利回り

(%)

(比較指標:-)

(%)

(-)

(-)

(-)

(-)

(-)

最高株価

(円)

3,375

1,696

最低株価

(円)

1,167

1,222

(注)1.当社は連結財務諸表を作成しておりませんので、連結会計年度に係る主要な経営指標等の推移については記載しておりません。

2.持分法を適用した場合の投資利益については、関連会社が存在しないため記載しておりません。

3.潜在株式調整後1株当たり当期純利益については、潜在株式が存在しないため記載しておりません。

4.株価収益率については、2021年4月7日をもって東京証券取引所市場第二部(現スタンダード市場)に株式を上場いたしましたので第53期から第55期については記載しておりません。

5.当社は、2020年12月17日開催の取締役会決議により2021年1月7日付で普通株式1株につき5株の割合で株式分割を行っております。第53期の期首に当該株式分割が行われたと仮定して1株当たり純資産額及び1株当たり当期純利益を算定しております。なお、発行済株式総数及び1株当たり配当額は、当該株式分割前の実際の株式数及び配当額を記載しております。

6.従業員数は就業人員(当社から他社への出向者を除き、他社から当社への出向者を含む)であり臨時雇用者数(パート社員、人材会社からの派遣社員を含む。)は年間の平均人数を( )外数で記載しております。

7.第53期から第57期の株主総利回り、比較指標については、2021年4月7日に東京証券取引所市場第二部(現スタンダード市場)に上場したため、記載しておりません。

8.最高株価及び最低株価は2022年4月4日より東京証券取引所スタンダード市場におけるものであり、それ以前については東京証券取引所市場第二部におけるものであります。なお、2021年4月7日をもって同取引所に株式を上場いたしましたので第55期以前の株価については記載しておりません。

9.「収益認識に関する会計基準」(企業会計基準第29号 2020年3月31日)等を第56期の期首から適用しており、第56期以降に係る主要な経営指標等については、当該会計基準等を適用した後の指標等となっております。

10.「売上高」については、「収益認識に関する会計基準」(企業会計基準第29号 2020年3月31日)等の適用を契機に、より適切な表示の観点から検討した結果、第56期から「売上収益」として表示することとしました。

 

2【沿革】

 当社は、創業者で取締役会長の吉田大士及び取締役副会長の栗本肇を中心に、「公共の分野において貢献できる事業をしたい」という思いの元、1967年2月に名古屋市中区において、市バスのバス停に交通広告を掲出する会社である日本交通表示灯株式会社として創業いたしました。

 そして同年12月に、当社の主力商品である駅周辺案内図「ナビタ」(詳細は「第1 企業の概況 3 事業の内容 (1)ナビタ事業」を参照のこと)の第1号機を名古屋鉄道株式会社上飯田駅に設置しました。その後、日本国有鉄道(現JR各社)を含めた大手電鉄各社に「ナビタ」の設置を行いつつ更に事業を拡大し、1977年に商号を表示灯株式会社に変更いたしました。

    年 月     概 要

1967年 2月

公共の分野で貢献することを目的として日本交通表示灯株式会社を設立(資本金5,000千円)

    12月

名古屋鉄道株式会社上飯田駅に駅付近優良商工案内図(現ナビタ)第1号機を設置

1968年 2月

ナビタ以外の各種広告を幅広く扱うアド・プロモーション事業を開始

1969年 7月

名古屋市営地下鉄へナビタの設置を開始

 

設置に施工が伴う広告、看板、案内板等を扱うサイン事業を開始し、名古屋市営地下鉄星ヶ丘駅バスターミナルに「広告付きバスシェルター」を設置

1970年 5月

東京支社を開設し、関東地区の大手電鉄(東武鉄道・小田急電鉄・西武鉄道・京浜急行電鉄)にナビタの設置を開始

1971年 7月

1972年 2月

    3月

    4月

    8月

1973年 5月

    9月

1976年 6月

1977年 5月

    11月

1978年 6月

1979年 9月

1981年 1月

    2月

1983年 5月

1986年 2月

 

1987年 2月

1989年 1月

    3月

    4月

1992年 10月

1993年 11月

1997年 5月

    6月

2004年 4月

2005年 4月

2007年 8月

2010年 2月

2011年 6月

2012年 5月

    11月

2013年 12月

2014年 9月

2017年 4月

 

    11月

    12月

日本国有鉄道(現JR各社)にナビタの設置開始

札幌支社を開設

大阪支社を開設

札幌市営地下鉄にナビタ設置開始

横浜市営地下鉄にナビタ設置開始

福岡支店(現福岡支社)を開設

名古屋本社「表示灯ビル」を竣工、本社を移転

東京支社を移転

商号を表示灯株式会社に変更

大阪「表示灯ビル(現ナビタ灯阪ビル)」を竣工、大阪支社を移転

仙台支店(現仙台支社)を開設

名古屋本社「表示灯伏見シティビル」を竣工、本社を移転

広島支店を開設

新潟支店を開設

金沢営業所(現金沢支店)を開設

東京「POSH表示灯ビル(現ナビタ東灯ビル)」を竣工

東京本部(現東京本社)、静岡営業所(現静岡支店)を開設

盛岡支店を開設

高松支店(現四国支店)を開設

都営地下鉄にナビタ設置開始

横浜営業所を開設

大阪市営地下鉄にナビタ設置開始

福岡市営地下鉄にナビタ設置開始

仙台市営地下鉄にナビタ設置開始

首都圏JR(山手線など)へナビタ設置開始

営団地下鉄(現東京メトロ)へナビタ設置開始

色弱者に優しいナビタへ、色覚バリアフリーマップ化がスタート

全株取得により、トー・ナビタ株式会社を完全子会社化

名古屋市天白区役所に地域の情報を提供する、自治体シティナビタ1号機を設置

大阪支社内に、表示灯株式会社建築事務所開設

名古屋市中村区に「ナビタ名灯ビル」を竣工、本社を移転

トー・ナビタ株式会社を関連会社化

大阪府内の3交番に公共ナビタ1号機を設置

インバウンド対応の推進に向けて日本政府観光協会(JNTO)と連携

東京、名古屋の2本社制を導入

関東支社を開設

トー・ナビタ株式会社を完全子会社化

トー・ナビタ株式会社を吸収合併

 

 

2018年 12月

2019年 8月

2021年 4月

2022年 4月

 

京都営業所を開設

長野営業所を開設

株式会社東京証券取引所(第二部)に上場

株式会社東京証券取引所の新市場区分化に伴い、スタンダード市場に上場市場を移行

盛岡支店を仙台支社に統合し、盛岡営業所を開設

3【事業の内容】

 当社は、主に全国の鉄道、自治体、運転免許センターなど公共的な施設を中心とするナビタ設置場所の所有者(以下ロケーションオーナーという)、協賛スポンサー、利用者の3者にとってメリットのある当社オリジナルのナビタ事業を展開しています。元々ナビタ事業のみでの展開でしたが、交通広告や屋外広告などナビタ事業の周辺領域もカバーすべくアド・プロモーション事業を開始し、加えて広告の設置工事まで自社で内製化するためにサイン事業も展開するに至りました。ナビタ事業、アド・プロモーション事業、サイン事業の3セグメント事業により、企画立案から設置まで自社で一気通貫で対応ができる体制を有しています。各事業の詳細について以下に記載いたします。

 

(1)ナビタ事業

 ナビタとは、全国の鉄道駅や路面電車の停留所、市(区)役所の自治体庁舎、交番、警察署、運転免許試験場などに設置された、自社開発の周辺案内図(地図)を基礎媒体とした連合広告(ひとつの広告媒体に複数のスポンサー広告を掲出する形式。下図を参照のこと)です。スポンサー数は、延べ約74,000件(2023年3月31日現在)と安定的な収益の基盤となっています。

 ナビタは、地図情報、公共施設情報はもとより災害時の避難場所の情報も盛り込んだ、公共性の高い媒体です。当社は自社内に地図とデジタルコンテンツ制作体制を有していることから、設置場所のエリア・用途にあわせたナビタの制作が可能になっています。

 

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 ナビタのロケーションオーナーは、ナビタの設置により周辺地図、掲出情報から施設利用者へのサービス向上に繋がるとともに、当社から支払われる広告納金、掲出料金、使用料、貸付料、賃料などロケーションオーナーにより名称は異なるもののナビタ設置に関連してロケーションオーナーに支払われる金銭(以下総称して広告納金という)により収入を得ることができます。協賛スポンサーは注目される好立地の場所へ安価に広告を掲出することができ、当社は協賛スポンサーからの広告収入を得ることができます。

 ナビタ事業は、連合広告により安価な価格設定で提供できるため、幅広い業種のスポンサーが広告を掲出しやすいこともあり複数年契約の継続スポンサーを中心に構成されており、安定的な収益の基盤となっています。特定の業種に依存することがない上、安価な価格設定のため全国の従業者10名以上の約128万事業所のみならず従業者10名未満の約389万事業所(令和3年経済センサス‐活動調査(速報集計))という大きな潜在顧客マーケットをターゲットとして新規スポンサーの開拓を推進しています。新規開拓営業と継続営業とを分けることで、新たな顧客の獲得と高い継続率を実現し、ナビタ顧客層を年々積み上げております。ナビタ事業は、ターゲット、設置場所により3種類のナビタに大別することができます。

 

①ステーションナビタ:JR各社、地下鉄、私鉄の全国2,473駅(うち、1日あたりの乗降者数が3万人以上の主要駅823駅)(2023年3月31日現在)の改札付近に設置され、掲出されている飲食業、医療関連、サービス業などのスポンサーの数は延べ約38,000件となっております。ナビタには、LED、液晶モニター、タッチパネルを利用した媒体を併設するなど、さまざまなタイプがあります。交通広告は鉄道会社の指定取扱代理店が担うことが慣例となっていますが、独自性のあるナビタ事業を端緒として当社は全国の主要駅やエリアで指定業者となっております。それに加え全国の多くの駅で既にナビタを設置済であることから、後発企業に対して高い優位性を有しております。ナビタは、交通広告の中でも立ち止まって閲覧する地図と併設する為、高い広告効果と共に以下の効果も期待できます。

・広告が掲載されると地図上に所在地が表示されますので、駅からの誘導が可視化されます。

・電話での道案内に費やしていた人件費(時間)の削減が可能です。

・公共性の高い駅地図に掲出される事で協賛スポンサーに対する安心性、信頼性のステータスアップが期待できます。

・スポンサーの企業のステータスがアップするとともに従業員のモチベーションアップも期待できます。

・多くの人が利用する駅に設置されている注目度の高い媒体なので、視認性が高く広告効果が期待できます。

・購買地点に近い場所で訴求することで消費者の購買意欲の高まりが期待できます(リーセンシー効果という)。

・連合広告形式なので、通常の駅看板などの駅広告と比べ低コストで掲出が可能です。

・ロケーションオーナーにとっても視認性の高い地図で駅利用者へのサービス向上に繋がると同時に、広告納金による収入を得ることができます。

 

 また、神社・寺院(神社・寺院については、2024年3月期からシティナビタでの集計に移行致します。一方で、シティナビタにて集計していましたコミュニティバスをステーションナビタでの集計に移行致します。)、サービスエリア、道の駅などにも同様のスキームで設置を進めています。その他専用ラックを設置し、各地、各エリアの周辺マップや路線図、観光情報を掲載するフリーペーパー「ペーパーナビタ」を発行しています。

 

②シティナビタ:市区町村などの自治体庁舎内に設置され、地図上で公共施設や避難場所情報などをお知らせすると共に、広告スペースでは市民が必要とする情報として民間商業施設を地域情報として紹介しています。設置する自治体にとっても、費用の負担なく税外収入(広告納金)が得られる、来庁者サービスの向上にもつながる、など多くのメリットがあります。庁舎内外へのナビタの設置などで、1,038自治体との取引実績(2023年3月31日現在)があります。また、以下の効果も期待できます。

・自治体の広告事業への参加で、より一層の企業のイメージアップが期待できます。

・広告モデル(「第1 企業の概況 3 事業の内容 (1)ナビタ事業」の図を参照ください)により、自治体がコストをかけず庁舎内外で行政情報や地域の観光情報などを提供することが可能となり、地域貢献や地域の活性化に繋がることが期待できます。

 

 その他市役所の順番待ち発券システム(番号案内)のタイアップ広告(番号案内画面の隣接モニターにスポンサー広告を表示)として、番号案内設備とモニター(行政情報及び広告動画を放映)を当社費用で設置しております。また、病院にはメディカルナビタとして自治体とも繋がりがある地域医療支援病院などにシティナビタと同様のスキームで設置を進めています。その他、ステーションナビタと同様のフリーペーパー「ペーパーナビタ」を発行しています。

 

③公共ナビタ:交番20ヵ所、警察署39ヵ所、運転免許センター76ヵ所、交通安全協会6ヵ所、合計141ヵ所(2023年3月31日現在)の警察関連の施設に設置される地図案内板を通してスポンサー情報を発信し、より地域に密着した広告効果を発揮すると共に以下の効果も期待できます。

・交番では夜間に周辺地図の裏側に設置されたLEDバックライトの照明で、地域防犯にも繋がることが期待できます。

・交番機能の充実に貢献できるため、スポンサーは地元警察への協力にもなり、企業イメージの向上に役立ちます。

・費用の負担なく自治体の税外収入(広告納金)が得られます。

・運転免許センターの案内板は来庁者へのサービス向上を図るほか、案内板内のモニターを通じて安全・安心に関わる情報発信を行っています。

 

(2)アド・プロモーション事業

 当社は独自性のあるナビタ事業を端緒として全国の主要駅やエリアで指定業者となっており交通媒体(車内・駅構内など)、マス媒体(テレビ・ラジオ・新聞・雑誌)、屋外媒体(看板・ボードなど)による広告各種を幅広く手がけております。広告目的に沿った最適な企画立案・プレゼンテーション・予算管理までを含めたトータルプランニングを提案しています。アド・プロモーション事業は、商品構成により6種類に大別することができます。

 

①駅広告:駅広告は、多くの人々が利用する駅構内に掲出される交通広告媒体です。駅看板、柱巻、駅ポスター、デジタルサイネージ(電子看板)など種類も豊富で、地域・暮らしに密着した「高い価値」をもった広告メディアとして定着しております。飲食店、不動産会社、医療機関など駅周辺エリアをターゲットにした展開から路線単位とした広範囲のエリアをターゲットにした広告展開も可能です。以下はその特徴です。

・路線単位の出稿により沿線でのブランディング効果が期待できます。

・媒体への接触率が高く、何度も目に触れるため認知度の向上効果が期待できます。

・購買行動の直前に接触するため、リーセンシー効果が期待できます。

・駅に広告が掲出されていることにより、駅利用者に対して終日広告を認知してもらうことができます。

 

②車両広告:電車内といった日常的に接触する空間に掲出される広告媒体です。また、広告主の目的に合わせた掲出エリア、位置、期間、料金が選べるため幅広いターゲット層へのアプローチができます。以下はその特徴となります。

・電車内のため強制的に視認される可能性が高く、企業、商品のブランド認知などの広告効果が期待できる媒体です。

・電車利用者が媒体に反復して接触するため情報の認知度の向上が期待できます。

・広範囲への訴求、告知が可能で、地域沿線へのブランディング効果が期待できます。

 

③屋外広告:屋外を通行する歩行者や車に乗車している人などの不特定多数を対象に訴求をする広告で、常時または一定期間、屋外に掲出される広告媒体です。屋上看板、大型ビジョン、野立看板などがあります。以下がその特徴となります。

・設置場所の特性、広告サイズ、掲出期間、予算にあわせた調査と提案が可能です。

・中長期的に掲出されるため反復性・接触率が高く、企業、商品のブランド認知などの広告効果が期待できる媒体です。

 

④バス広告:人々の生活の足でもあるバスに広告展開が可能な交通広告であり以下がその特徴となります。

・特定の地域を運行するため、地域に密着した広告展開が可能で、エリアによってターゲットを絞れるため、ビジネスマンや学生、中高齢者などへの広告の認知が可能です。

・他の交通広告と比較して、コストを抑えた展開が可能です。

 

⑤Webサービス:当社は従来現実社会における媒体(自社媒体含む)の提供をメインに進めてきましたが、ネットの普及によりネットとリアルの相乗効果も求められる状況に対応するため、ネット自社媒体の開発・運用を実施しております。ナビタのスポンサーをWebで紹介するe-ナビタ、地域中核病院の提携医療機関の検索サービスe-メディケアサーチ、免税店情報を紹介するTAXFREESHOPS.JP、及びQRコードを撮影することでモバイルで展開できる、ナビゲーションアプリの「ここからGO!」などのアプリの開発・運用も行っております。また、ネット広告に精通しているパートナー企業とのネットワークを生かし、他社媒体を含めたより効果のあるネット広告の提案を行っています。

 

⑥マス広告:マス広告は、主要な4つのメディア・媒体(テレビ広告、ラジオ広告、新聞広告、雑誌広告)です。近年では、新しいメディアであるインターネットの台頭に伴い、それぞれの媒体の特長を生かし、尚且つ、インターネットとの連動性を持たせた有効的な広告作りが重要になっています。

 

(3)サイン事業

 サイン事業は、ナビタ事業の取引先である鉄道会社、自治体とのネットワークを活かして、広告・看板・案内板などの企画設計から施工に至るサービスを提供しています。サイン事業は、取引先にとって利便性の高い、快適で機能的な生活空間の創造をコンセプトに提供しており、4種類に大別することができます。さらに、2023年4月より番号案内表示システムの販売を開始しました。

 

①交通サイン:JR各社をはじめ全国の地下鉄や私鉄各社の施工実績があります。鉄道会社による厳しい検査をクリアした製品を安全に配慮して施工しています。

 

②公共サイン:自治体などの個別案件に対し、企画設計から製品製作、施工までを行います。

 

③商業サイン:商業施設における自立式看板、外照式看板から施設内の案内表示まで、幅広いニーズに対応しています。

 

④避難誘導サイン:全国の自治体を中心に蓄光素材を活用した視認や誘導に効果的な避難誘導サインなどの調査や研究を行い、開発から施工までをトータルで提案できる体制を有しています。誰もが安心して生活できる街づくりを目指します。

 

⑤番号案内表示システム:2023年4月に西菱電機株式会社より当該システム製造販売事業(西菱電機株式会社の「発券機システム」事業を当社では「番号案内表示システム」と呼んでいます)を譲り受けました。自治体を中心に当該システム機器の販売、設置施工、運用管理受託を進めてまいります。

 

[事業系統図]

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(注)1.筐体機器とは、ナビタ本体のことです。表示機器とは、モニター関連の機材のことです。

2.ソフトウエア開発は、筐体機器、表示機器などで使用するデジタルサイネージの管理システムとアプリケーションソフトウエアのことです。

3.外注先の制作、印刷ですが、ナビタ事業では、繁忙期に外注を行っており、アド・プロモーション事業でも広告物の制作、印刷などを依頼しています。

4.広告納金は、ロケーションオーナーに筐体機器を設置していることに関連して支払われるものです。

 

 

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4【関係会社の状況】

 該当事項はありません。

 

5【従業員の状況】

(1)提出会社の状況

 

 

 

 

2023年3月31日現在

従業員数(人)

平均年齢(歳)

平均勤続年数(年)

平均年間給与(千円)

457

102

45.1

8.9

4,736

 

セグメントの名称

従業員数(人)

ナビタ事業

189

0

アド・プロモーション事業

25

1

サイン事業

27

0

全社(共通)

216

101

合計

457

102

(注)1.従業員数は事業部門に所属している就業人員(当社から他社への出向者を除き、他社から当社への出向者を含む)であり、臨時雇用者数(パート社員、人材会社からの派遣社員を含む。)は年間の平均人数を( )外数で記載しております。

2.平均年間給与は、賞与及び基準外賃金を含んでおります。

3.全社(共通)として記載されている従業員数は、総務及び経理等の管理部門の従業員数であります。

 

(2)労働組合の状況

 当社の従業員により、表示灯労働組合(組合員数149人)が組織されており、愛知一般同盟に加盟しています。また労使関係は円満に推移しており、特記すべき事項はありません。

 

(3)管理職に占める女性労働者の割合、男性労働者の育児休業取得率及び労働者の男女の賃金の差異

当事業年度

管理職に占める女性労働者の割合(%)

(注)1.

男性労働者の育児休業取得率(%)

(注)2.

男女の賃金の差異(%)

(注)1.

全従業員

うち正社員

うちパート・有期社員

4.1

0.0

62.1

72.2

46.3

(注)1.「女性の職業生活における活躍の推進に関する法律」(平成27年法律第64号)の規定に基づき算出したものであります。

2.「育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律」(平成3年法律第76号)の規定に基づき、「育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律施行規則」(平成3年労働省令第25号)第71条の4第1号における育児休業等の取得割合を算出したものであります。

 

 

1【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】

当社の経営方針、経営環境および対処すべき課題などは、以下のとおりです。なお、文中の将来に関する事項は、本書提出日現在において当社が判断したものです。

(1)経営方針

 「道を表し示す灯になりたい」

 当社の歴史は、地図・案内サインにその源流があります。

 駅の利用者・街の生活者の利便性・快適さそして豊かさを追求するため、地域の企業・事業主等のクライアント

の皆様とともに考え、歩んできました。

 当社は、広告を単なる商業広告として捉えず、地域社会のインフォメーション発信・コミュニケーション媒体として考えています。そして企業・事業主等クライアントの皆様のビジネスパートナーとして、地域社会に役立つ・生活者を豊かにする、情報・メッセージをクリエイトし発信します。

 一方、これまでの経験や実績を生かし、地図上の図形に模様を入れることにより、色弱者の方への色覚バリアフリーマップを開発しました。このマップは、国土交通省による平成19年度[バリアフリー整備ガイドライン]に、色覚障がい者に配慮した地図の手本として掲載され、現在も継承されています。また、災害時の避難誘導マップ、地域の特性が分かりやすいイラストマップや鳥瞰図(パノラマ図)を採用した観光マップを作成する等、社会のインフラ整備にもお役に立ちたいと考えています。更には当社の強みであるリアルなナビタ広告媒体とインターネットを活用する様々なWebサービスを連携させ、利用者の利便性の向上を追求してまいります。

 それが皆様に喜んでいただく、また、社会に貢献するための当社の使命だと信じています。

 

 ナビタとメディアとサイン、私たちの全ての事業を通して誓います。

 いつの時代にも「道を表し示す灯になりたい」

 灯を目指し続ける企業。私たちは表示灯です。

 

(2)経営戦略等

 「当社の強み」を更に強化してまいります。

①新規媒体の開発

 新規媒体の開発部門は、その対象とする業態により、「鉄道・空港などを担当する交通カテゴリー事業本部」、「自治体、市民センター、神社・寺院などを担当する自治体・寺社事業本部」、「病院医療、教育関係を担当するメディカル・教育事業本部」、「警察署、交番、運転免許センターなどを担当する公共事業本部」に分かれています。それぞれの担当組織が専門業種に特化した開発営業活動を行うことで早期の媒体開発を図ります。当社の今後のナビタ事業の成長は駅・自治体庁舎に比する新たなプラットフォームにおける広告媒体設置の拡大によるところが大きくなります。特に、以下のプラットフォームの開発に注力します。

・メディカルナビタの拡大

 大学病院などの特定機能病院や公立病院などの地域医療支援病院、200床以上の病床数を持つ病院の内、当該病院のHPあるいは当該病院の館内の登録医一覧等で確認した、おおむね100以上の登録医・提携医療機関を持つ754病院をターゲットとして2017年より本格的に設置を進めています。既に242病院(2023年3月31日現在)に設置済みです。

・神社、寺院ナビタの拡 大

 参拝者数が多くその一部は観光名所にもなっている183神社・寺院を開発ターゲットとして、2018年より本格的にデジタルサイネージ設置を進めています。既に122神社・寺院(2023年3月31日現在)に設置済みです。

 

②ナビタのデジタルサイネージ(電子看板)化・既存ナビタの更新

 今後のインバウンド来訪者数の回復も見据え、ナビタ利用者の利便性を図るために、ナビタのデジタルサイネージ化の推進を行います。また、既存のナビタのデジタルサイネージ化をはじめとした、設置場所の移設や筐体の更新、広告納金の適正化などにより、媒体価値を向上させ売上拡大にも結び付けます。

 

③制作関連のコストダウン

 最近の筐体は広告掲出面にモニターを使用するデジタルサイネージが多く、1機当たりの製造コストも従来に対して高額となるため、生産部門において、営業部門や開発部門と連携し、コストパフォーマンスを高める研究を行います。また新筐体の開発も含め、ナビタ関連製品の生産性向上に重点的に取り組みます。

 

④DX(デジタルトランスフォーメーション)による業務効率化・生産性の向上

 既存業務の自動化、デジタル管理の活用等により営業社員の非生産的業務をDX化し、生産的業務時間の拡充をはかります。また、DXを積極的に取り込むことにより、業務効率が向上し事業拡大における収益につなげたいと考えております。

 

「新たな強み」を開発してまいります。

⑤新規ビジネスへの取り組み

 更なる企業成長のために、自社開発にこだわらず、様々な企業との業務提携やM&Aを検討してまいります。サステナビリティを意識しそのリスク面ばかりではなく事業の機会にも目を配り、新たな成長へ向けて新規ビジネスの開発を進めてまいります。

 

(3)経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等

 当社では売上収益、営業利益を重要な指標と考え、目標管理しております。当社の主力事業であるナビタ事業とアド・プロモーション事業は、契約期間が複数月に亘ることから、社内での目標管理の徹底を図るため、財務会計ベースの月次計画と併せて管理会計ベースの目標設定も行い、全社、全部門への周知を行っています。毎月開催する経営会議、取締役会においても財務会計ベースの月次利益計画と併せて管理会計ベースの目標の単月、累計の利益計画の進捗度合いの報告、分析を行います。管理会計ベースの利益計画においては、売上内容をナビタの種類別、事業所別に分析することにより実態の把握をし易くしており、各事業所への指導にも使用しております。また、資本コストや株価を意識した経営のために、ROE(自己資本利益率)を重要な経営指標として位置付けており、収益力の改善を通じ早期に8%を超える水準に回復させたいと考えています。

 

(4)経営環境及び対処すべき課題

 当社は、今後持続的な成長を図っていくためには、事業の成長や業容の拡大に伴い、経営管理体制のさらなる充実・強化が課題であると認識しており、株主やその他ステークホルダーに信頼される企業となるために、コーポレート・ガバナンスへの積極的な取組みが不可欠であると考えております。そのため、優秀な人材の採用・育成により業務執行体制の充実を図り、コーポレート・ガバナンスが有効に機能するような仕組みを強化・維持していくとともに、業務の適正性および財務報告の信頼性を確保するための内部統制システムの適切な運用、さらに健全な倫理観に基づく法令遵守を徹底しております。

 今後の経営環境は「アフターコロナあるいはウィズコロナ」に移行し、国際情勢不安や金融引き締めによる海外景気減速の懸念はあるものの、国内景気は新型コロナウイルス感染症拡大の影響は一部には残っている中でも緩やかな回復基調になるものと予想しています。このような環境下で、当社が当面対処すべき課題は、収益力の回復と考えております。そのために、下記の具体的な事項に取り組んでまいります。

 

①Web商品の強化、開発

 ナビタ事業においても、デジタルサイネージ導入による多言語化(英語、中国語、韓国語など)、サービスの高機能化(動画による伝達情報量の拡大)、競争力の強化が必要と考え対応しております。特に多言語化については、インバウンド来訪者数の回復が見込める中で対応を進めたいと考えています。また、デジタルサイネージ化の流れの延長線上にあるWeb商品への対応も必要不可欠です。当社ではナビタと連動したe-ナビタから、業態に特化した

TAXFREESHOPS.JP、e-メディケア、目的地までの道案内機能を持つ「ここからGO!」などのサービスを提供していますが、Web商品の強化は喫緊の課題と考えております。交通検索機能を提供する他社(株式会社ナビタイムジャパン、株式会社駅探)との連携をはじめ、今後もWeb関連ビジネスの推進を目的に経験ある人材の登用により体制を強化していきます。

 

②人材の育成と活用

 今後、業績を維持・成長させていくためにも人材の採用・育成は不可欠です。適材適所に人員を配置し、多様な人材やスキルを組み合わせることで、更なる付加価値を追求していきます。営業担当社員へのOJTによる教育のみならず、ロールプレイング研修やモバイル端末を利用した営業ツールの共有、同行営業なども行い、営業力のボトムアップを図ります。また、業務管理担当社員に対しては、各自の業務処理能力に応じたスキルアップ研修などを行います。

 

③システム強化による業務効率化

 売上規模拡大、提供サービス増加に伴い管理部門の強化が必要となります。そのため、基幹システムの改修を進めています。システム強化による業務効率化を進めることで、人員の適正化も図ります。

 

④ナビタ事業における既存媒体の付加価値向上等

 収益性の低い既存媒体を刷新する取り組みを進めます。筐体のリニューアルや移設により広告媒体価値を高めると共に、ロケーションオーナーへの納金の適正化も進めていいきます。さらに、インサイドセールスによる他の商材のクロスセルも推進し、収益力の向上を図ります。

 

⑤ナビタ事業におけるスポンサーへのアド・プロモーション商材の提案営業

 アド・プロモーション事業は、現在も駅構内の看板や車両広告を中心に、全国規模のネットワークや、ナビタ事業におけるスポンサー・自治体とのつながりなど、当社独自の強みを生かし事業を進めています。特に、ナビタ事業におけるスポンサーへのアド・プロモーション商材の提案営業に一層注力していきます。今後、複数設置しているナビタ媒体へ一括して広告掲出を行うニーズなども想定されるため、従来の店舗単位の営業にとどまらず、本社向け営業を強化しナショナルクライアント(全国的な知名度、ブランドを持つ企業)の獲得を目指します。

 

⑥ナビタ事業におけるロケーションオーナーへのサイン営業

 サイン事業は、鉄道会社を中心とした受注活動を行っております。今後は、ナビタ事業におけるロケーションオーナーである自治体や地域の中核病院向けに施設利用者の利便性向上のみならず、地域の安心安全に資する避難・防災関連などのサイン商材の提案営業に注力していきます。

 

⑦テレワークの推進

 新型コロナウイルスなどの感染症の流行や自然災害の際にも、事業活動を継続するためテレワークに対応できる管理体制構築を進めています。VPN環境を設定したノートPCを標準化するなどの対応を行いました。また、技術職におけるテレワークについては適宜継続し、営業活動においてもWeb営業に対応できる体制を維持する予定です。

 

⑧販売・製造原価や一般販売管理費等のコストコントロール

 外注費用や仕入費用、業務委託費用などのついてはその調達先・委託先の多様化を図り、より有利なコスト構造を構築したいと考えています。

 

⑨プラットフォームを活かした新規ビジネス

 様々な業種に広がるナビタ事業におけるスポンサーとのネットワークや自治体・病院・鉄道会社などのロケーションオーナーとのネットワークを活かした新しいサービス提供を行うため、自社開発にこだわらず、様々な企業との業務提携やM&Aも検討してまいります。2023年4月には西菱電機株式会社より番号案内表示システム事業を譲り受けましたが、引き続きプラットフォーム内に蓄積された情報をもとに、他社との連携・事業譲受・新規ビジネス創出を進め、ライフスタイルナビゲーターとしての役割を担える存在を目指します。

 

⑩サステナビリティへの取り組み

 当社の持続的な成長には、サステナビリティの観点から事業に取り組む事が非常に重要と考えております。地域貢献はもとより、省エネルギー・再生素材を活用した筐体の製作、色覚バリアフリーを意識した地図作りをはじめ、子育て支援や女性活躍推進、残業時間削減などの働き方改革に注力し人的資本の一層の活用が可能な環境作りも進めてまいります(詳細は、前述「第1 企業の概要 5 従業員の状況」、および、次項の「第2 事業の状況 2 サステナビリティに関する考え方及び取組」をご参照ください。)。

3【事業等のリスク】

 本書に記載した「第2 事業の状況、第5 経理の状況」などに関する事項のうち、投資者の判断に重要な影響を及ぼす可能性のある主な事項には、以下のようなものがあります。当社は、これらのリスクを十分に認識したうえで、発生の回避および発生した場合の対応に努める方針です。なお、文中における将来に関する事項は、本書提出日現在において当社が判断したものであります。

 

(1)リスク管理体制について

 当社では、「企業経営へ影響を与える事象にはリスクと機会の両面がある」との思想のもと、当社の事業に関係するリスクおよび機会を管理するために代表取締役社長を委員長とするリスク管理委員会を、リスク管理規程に基づき、設置しています。同委員会は、当社に影響を与えるリスク項目を特定の上、リスクオーナー部で行われるリスクの評価および対策の策定に関してサポートする体制づくりを目指しています。また、代表取締役社長は、リスク管理に関する経営判断の最終責任を負います。取締役会は当該リスク管理委員会から最低、年に一度以上の報告を受け、その報告内容につき協議を行う体制を採用しています。加えて、内部監査部門からの社内におけるリスク管理活動に係る評価結果をふまえ、追加施策の策定指示などの措置を講ずることとしております。

 

 当社では、具体的なリスク管理のフレームワークとして、COSO「内部統制の統合的フレームワーク」の考え方を導入しております。所謂3つの防衛線の考え方ですが、その詳細は以下のとおりです。

①第1の防衛線

 各拠点・事業部門の管理者および当該部門の構成員です。各拠点・事業部門は、事業執行の担当者として、ビジネス推進に伴って発生するリスクの発生源となり、管理者にもなります。そのため、自らがリスクの所有者(リスクオーナー)であることを明確に意識し、かつ、これをコントロールする(重大なリスクを識別・評価する、低減させる、内部統制のプロセスを維持するなど)直接的な責任を持ちます。

 

②第2の防衛線

 リスクマネジメント、財務、法務およびコンプライアンスなどを含む間接管理部門です。各拠点・事業部門が導入したコントロールの手段やリスクマネジメントのプロセスが適切に設計されているか、また、確実な運用がなされているかを並行的にモニタリングして、必要な支援・助言・監督を行う責任を担います。

 

③第3の防衛線

 内部監査部門です。内部監査部門は、各拠点・事業部門および間接管理部門の行った業務を評価し、その適切性を保証するほか、必要な助言を提供します。

 

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 当社では、リスクマネジメントプロセスに関し、リスクイベント毎にリスク顕在化時の影響(リスクの重要度)、発生頻度(リスクの発生可能性)を分析し、優先順位付けを行います。(なお、このプロセスにおいてはマイナス面の「脅威」のみならず、プラス面の「機会」も含めた検討を行います。)これらのうち、優先度が比較的高いものについて、当社としての対応方針の策定、当該方針にもとづく具体策の策定・実施・結果検証を行い、検証結果を踏まえた具体策の見直しを行う体制づくりを目指しています。当該プロセスに関しては、上記リスク管理のフレームワークを通じ、その実効性を担保できるものと考えています。

 

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(2)経営管理体制に関するリスク

①内部管理体制の整備状況にかかるリスクについて

 当社では、企業価値を継続的かつ安定的に高めていくためには、コーポレート・ガバナンスが有効に機能するとともに、適切な内部管理体制の整備が必要不可欠であると認識しています。業務の適正性および財務報告の信頼性の確保のための内部統制システムの適切な整備・運用と、法令・定款・社内規程などの遵守を徹底しています。しかしながら事業の急速な拡大により、適切な業務運営が困難となった場合には、当社の業績および財務状況に悪影響を及ぼす可能性があります。

 

②人材の確保および育成について

 当社のナビタ事業の営業は、設置個所の多さから常に一定数の営業社員の確保が必要となります。また、原則として単独で営業を行うため、営業社員の育成は重要課題ですが、募集に対する応募件数は都道府県により大きく差があります。また、技術関連については専門分野に対応した人材の採用が必須となるため、採用活動に注力し、採用した社員への教育・研修体制の充実・強化を図り、早期戦力化と人材の定着に努めております。しかしながら、必要な人材の確保及び育成が計画通り進まない場合には、競争力の低下や事業拡大の制約要因が生じる可能性があり、当社の業績および財務状況に悪影響を及ぼす可能性があります。

 

③コンプライアンス体制について

 当社は、企業価値を高めていくためにはコンプライアンス体制が有効に機能することが重要と考えています。そのため、コンプライアンスに関する社内規程を策定し、全役員および全社員を対象に周知徹底を図り、併せてコンプライアンス体制の強化に取り組んでいます。しかしながら、当社の事業運営に関して法令などに抵触する事態が発生した場合、当社の業績および財務状況に悪影響を及ぼす可能性があります。

 

(3)事業環境に関するリスク

①情報システム・情報管理について

 当社では、複数のITシステムを使用して業務処理・管理を行っており、安定した運用を行うためのシステム強化及びセキュリティ対策に注力しています。しかしながら、これらのシステムについて事故・災害、人為的ミスなどにより、その機能に重大な障害が発生した場合、当社の事業運営に重大な影響を与え、当社の業績および財務状況に悪影響を及ぼす可能性があります。また、当社では、現在、業務効率化の準備のための基幹システムの一部刷新を進めております。しかしながら、この刷新が計画通りに進まない場合には、業務の効率化の遅れや事業拡大の制約要因が生じる可能性があり、当社の業績および財務状況に悪影響を及ぼす可能性があります。

 

②納品した制作物や製造販売した製品等に関連する瑕疵等について

 当社は、制作物の納品や製品の製造・出荷の過程で、制作内容・製品に不備や瑕疵、欠陥などの無いことの確認作業を実施しています。しかしながら、制作物や製品に品質上のなんらかの瑕疵や欠陥があり、それに起因して利用者などに損害が生じた場合、その規模により当社の業績および財務状況に悪影響を及ぼす可能性があります。

③サイン工事に関連する事故について

 当社は、一般建設業許可を取得しており、看板などの設置工事も行っております。安全のためのサインマニュアルを配備すると共に、施工にあたっては事故防止に向けた対策を行っております。しかしながら、当社が施工した看板の落下、倒壊などにより人的被害が発生した場合は、その事故の規模により当社の業績および財務状況に悪影響を及ぼす可能性があります。

 

④与信管理について

 当社は取引先に対し、必要に応じて与信調査の実施、与信限度額の設定など、与信管理に努めております。しかしながら、取引先の経営破綻または信用状況の悪化により当社が保有する債権が回収不能になる信用リスクがあります。このような事態が生じた場合、当社の業績および財務状況に悪影響を及ぼす可能性があります。

 

⑤経済状況について

 当社は、多様な媒体において広告代理業に従事しております。特定の業種及び取引先に依存することなく、市場の動向を注視し業績の拡大を図っております。しかしながら、マクロ経済の悪化・関連市場の動向・国内外の景気変動などは、当社の業績および財務状況に悪影響を及ぼす可能性があります。

 

⑥モバイル機器の普及について

 現在では視認性が高く地域が広範囲に把握できるナビタの有用性はスポンサーから支持されており、色弱者対応、多機能化など、更なる利便性の向上にも努めております。また、「ここからGO!」などのスマートフォン向けのアプリの開発にも注力しております。しかしながら、今後モバイル機器の地図ソフトが更に高性能化することにより、ナビタの顧客の獲得・維持が困難になる可能性があり、当社の業績および財務状況に悪影響を及ぼす可能性があります。

 

⑦法的規制等について

 当社は、ナビタ事業、アド・プロモーション事業の一部においては、屋外広告物法に基づく各地方公共団体の屋外広告物条例の規制を受け、サイン事業においては、一般建設業許可(有効期限2027年12月16日まで)を有し建設業法の規制を受けております。屋外広告物許可は、本社において許認可期間を管理することにより失効を未然に防止しています。また、サインマニュアルにより社員への法令遵守体制の構築と強化を図っております。しかしながら、法令に違反した場合は指名停止、許可の取り消しなどの処分を受ける場合があり、当社の業績および財務状況に悪影響を及ぼす可能性があります。

 

⑧個人情報の保護について

 当社は、「個人情報の保護に関する法律」に基づく「個人情報取扱事業者」として社員及び顧客の個人情報を保有しており、これらの個人情報については、適正な管理に努め万全を期しております。しかしながら、個人情報が外部へ漏えいするような事態が発生した場合には、社会的信用の失墜、損害賠償による費用の発生などにより、当社の業績や財務状況に悪影響を及ぼす可能性があります。

 

⑨大株主について

 2023年3月31日現在において、当社の取締役会長である吉田大士氏(同氏の資産管理会社である喜平会株式会社及び、TYシエル株式会社を含む)は、発行済株式総数の33.54%を所有しており、取締役副会長である栗本肇氏(同氏の資産管理会社であるHKO株式会社、YKT株式会社及びMKT株式会社を含む)は、発行済株式総数の31.69%を所有しております。両名が所有する株式は、発行済株式総数の65.23%であり、引き続き大株主となる見込みです。

両氏は、当社の創業者であり、当社の事業に関する豊富な知識と経験、人脈を有しており、当社の経営指針の検討において重要な役割を果たしております。両氏は、安定株主として引き続き一定の議決権を保有し、その議決権行使に当たっては、株主共同の利益を追求するとともに、少数株主の利益にも配慮する方針を有しております。当社といたしましても、両氏は安定株主であると認識しております。しかしながら、将来的に何らかの事情により両氏により当社株式が売却された場合には、当社株式の市場価格、流通状況及び議決権行使の状況に影響を及ぼす可能性があり、当社の業績および財務状況に悪影響を及ぼす可能性があります。

 

⑩他社との競合について

 アド・プロモーション事業、サイン事業には、多くの競合他社があります。当社におきましても媒体開発、カスタマーサービスの向上などにより競争優位性の維持・向上に努めてまいります。しかしながら、販売競争、価格競争により、当社が顧客を獲得・維持できず、当社の事業活動や業績および財務状況に悪影響を及ぼす可能性があります。

 

⑪訴訟について

 当社は、2023年5月31日現在において、重要な訴訟を提起されている事実はありません。また、コンプライアンス規程を定め、コンプライアンス委員会を四半期単位で開催することを通して全社において法令遵守の維持・向上に取り組んでおります。しかしながら、当社が事業活動を展開する中で、知的財産権、製造物責任、債権債務、労務など、様々な訴訟の対象となるリスクがあります。何らかの要因で訴訟を提起される可能性があり、当社の事業活動や業績および財務状況に悪影響を及ぼす可能性があります。

 

⑫固定資産の減損について

 当社では、支社・支店が保有する固定資産を事業部別にグルーピングしたものを一つの資産グループとして認識し、営業活動から生ずる損益、回収可能価額を著しく低下させる変化、経営環境の著しい悪化などを確認し、減損の兆候の有無を把握しております。しかしながら、減損の兆候がある資産グループが十分な将来キャッシュ・フローを創出できないと判断される場合には減損損失を計上することも予測され、当社の業績および財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。

 

⑬ビジネスモデルに関するリスク

 アド・プロモーション事業での壁面広告のデジタルサイネージ化、また、ナビタ事業における筐体表示部分のデジタルサイネージ化は、表示できる情報量が増加し利用者の利便性を高め顧客満足につながる反面、材料費、維持費などのコストが増加します。当社は設置箇所の市場性を勘案し設置コストの最適化を図ってスポンサーへの提案を行うことで、コストの増加抑制に努めております。しかしながら、コストの増加がスポンサーの掲出料金の値上げにつながり、スポンサー離れ、またはナビタ事業での契約の継続率低下につながる場合には、当社の業績および財務状況に悪影響を及ぼす可能性があります。

 

⑭納品の季節変動について

 当社のサイン事業での納品は、建設業界の慣習的な要因もあり年度末に集中する傾向があります。同様にナビタ事業に関しましても、自治体などロケーションオーナーの要請もあり年度末に設置が集中する傾向があります。こうした傾向に対し当社では、納期管理を徹底し計画通りに完成、納品ができるよう努めております。しかしながら、多くの企業が3月期決算であることから、期末に向けて受注、納品が活発になるという季節変動があり、仕入、制作などを含め業務が第4四半期に集中する傾向があります。ナビタ事業においては売上の期間計算を行うため、納品の集中がそのまま業績の集中にはなりませんが、何らかの理由により計画通りの納品ができない場合には、納期遅れ、工期遅れとなり、当社の業績および財務状況に悪影響を及ぼす可能性があります。

 

(4)自然災害・感染症等の発生に関するリスク

①自然災害について

 当社のナビタ事業、アド・プロモーション事業は、広告掲載料が売上構成比の多くを占めております。大規模な自然災害に備えて、当社では基幹システムのサーバーを災害に対して堅牢なソフトバンク株式会社のデータセンターへ移管するなど、防災対応に努めております。しかしながら災害が発生した際は、ナビタ筐体自体を含め広告の掲出施設、場所が被災し損壊することにより掲出の継続が困難となり、また、スポンサーが被災することにより一時的に事業が継続出来なくなる可能性があります。被災地ではない地域でも、節電施策が取られた際は、筐体のデジタルサイネージ、照明が使用できなくなることから所定の役務を提供できなくなる場合があり、当社の業績および財務状況に悪影響を及ぼす可能性があります。

 

②感染症拡大の影響について

 今般の新型コロナウィルス感染症拡大は、当社の業績に大きな影響を与えました。2023年5月以降、各種の制約も解除され、徐々に日常生活が戻ってきています。新型コロナウィルス感染症拡大の中で、当社ではテレワークの推進、Web営業の導入などの感染防止対策を行ってきました。しかしながら、新たな感染症の発生・拡大により営業活動の停止、事業所および広告媒体の設置施設の一時閉鎖などのリスクがあり、当社の業績および財務状況に悪影響を及ぼす可能性があります。

 

4【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

(1)経営成績等の状況の概要

①経営成績の状況

 当事業年度におけるわが国経済は、新型コロナウイルス感染症による影響からの持ち直しによる経済活動の正常化の動きがみられるものの、欧米各国の景気後退懸念の拡大、サプライチェーンの混乱やウクライナ情勢の影響等を背景とした各種価格の高騰、為替相場の不安定な動きによる物価上昇など、先行きは不透明な状況が続いております。

 広告業界においては、2022年の総広告費は国内外の様々な影響を受けつつも、過去最高を記録し、特にインターネット広告費は、社会のデジタル化を背景に継続して高い増加率を保っており、その成長に市場全体が支えられております。そのような状況の中、交通広告においては、鉄道においてポスター、デジタルサイネージとともに前年に続き、ネットワーク系媒体よりも主要駅で人流が多いロケーションに設定されたインパクト型OOH媒体に需要が集中して、全国的に大型デジタルサイネージは前年を上回りました。屋外広告においても人流回復が顕著になり、広告需要も高まってきました。

 当社におきましては、ナビタ事業では、病院・寺社などの新規プラットフォームの拡大、自治体との取引深耕、中核医療機関との取引拡大を図るとともに、既存媒体(広告)価値向上や「ナビタイムジャパン」や「駅探」との協働などによるWEBビジネスの拡大により収益力向上を図り、アド・プロモーション事業では、広告各種における最適な企画・プレゼンテーション等によるサービスの向上を図るとともに、新たな付加価値の創造による新商品の拡大に取り組み、サイン事業では、引き続き鉄道関連の設備投資需要補足に注力するとともに、自治体及び病院への取引拡大に努めてまいりましたが、本格回復には至らない状況となりました。

 以上の結果、当事業年度の売上収益は9,960百万円(前年同期比2.9%増)、営業利益は549百万円(同24.2%減)、経常利益は621百万円(同17.7%減)、減損損失439百万円を特別損失に計上した結果、当期純利益は82百万円(同79.0%減)となりました。

 なお、セグメントごとの経営成績は以下のとおりであります。

(ナビタ事業)

 ナビタ事業においては、既存ナビタの媒体(広告)の価値向上を図るとともに、WEB商材の販売強化や新規媒体開発による付加価値の向上、筐体の再利用による新たなナビタの設置、電子契約化促進などによるデジタル化やインサイドセールスの強化を進めてまいりましたが、ナビタ筐体償却費増加や前向き投資による事業部門負担の増加などから売上収益は8,019百万円(前年同期比0.6%増)、セグメント利益は1,020百万円(同6.6%減)となりました。

(アド・プロモーション事業)

 広告需要の回復の兆しが見られ、鉄道以外の媒体広告の拡販やマス媒体の強化及び自治体ビジネスさらにWEB商材の開発やデジタルサイネージによる配信システム販売強化に取り組んでまいりましたが、大口取引や利益率の高い案件の減少などにより、売上収益は603百万円(前年同期比0.8%減)、セグメント利益は32百万円(同39.1%減)となりました。

(サイン事業)

 自治体・病院などにおける営業の強化や既存取引先との取引拡大、新商材の開発を進め、自治体や企業等から大型案件を受注したものの利益率の低い案件もあり、売上収益は1,337百万円(前年同期比22.3%増)、セグメント損失は54百万円(前年同期はセグメント利益9百万円)となりました。

 

②財政状態の状況

 当事業年度末の総資産は13,762百万円(前年度末比249百万円増)となりました。

 資産、負債及び純資産の状況については以下のとおりであります。

a.資産

流動資産は、現金及び預金や売上債権の増加などにより、8,217百万円(同507百万円増)となりました。

固定資産は、ナビタ事業における設備投資が増加したものの、減価償却や減損損失の計上による有形・無形固定資産の減少により、5,544百万円(同258百万円減)となりました。

b.負債

流動負債は、仕入債務の増加や契約負債の増加などにより、6,261百万円(同436百万円増)となりました。

固定負債は、役員の退任等の役員退職慰労金の支払がある一方、退職給付引当金の増加などにより、208百万円(同11百万円増)となりました。

c.純資産

剰余金の配当を283百万円実施し、当期純利益82百万円を計上したことから純資産は7,292百万円(同198百万円減)となりました。

 

③キャッシュ・フローの状況

 当事業年度末における現金及び現金同等物は、3,717百万円(前年度末比957百万円減)となりました。

 現金及び現金同等物の主な変動要因については、次のとおりであります。

a.営業活動によるキャッシュ・フロー

 営業活動によるキャッシュ・フローは、税引前当期純利益157百万円に対し、法人税等の支払額が115百万円、売上債権及び契約資産の増加額が305百万円、支出を伴わない減価償却費の計上が755百万円、減損損失の計上が439百万円あったことなどから、1,339百万円の収入(前期比824百万円増)となりました。

b.投資活動によるキャッシュ・フロー

 投資活動によるキャッシュ・フローは、駅他周辺案内図その他広告媒体設備等の有形固定資産の取得による支出が619百万円、デジタルサイネージのソフトウェア等の無形固定資産の取得による支出が167百万円、定期預金の預入による支出が2,867百万円発生したことなどから、2,010百万円の支出(同196百万円増)となりました。

c.財務活動によるキャッシュ・フロー

 財務活動によるキャッシュ・フローは、配当金の支払額が283百万円発生したことなどから、285百万円の支出(同1,404百万円減)となりました。

 

④重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定

 財務諸表の作成に当たって用いた会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定のうち、重要なものについては、第5 経理の状況 1 財務諸表等 (1)財務諸表 注記事項(重要な会計上の見積り)に記載のとおりであります。

 

⑤生産、受注及び販売の実績

a.生産実績

 当社が提供するサービスの性格上、生産実績の記載になじまないため、記載を省略しております。

 

b.受注実績

 当社が提供するサービスの性格上、受注実績の記載になじまないため、記載を省略しております。

 

c.販売実績

 当事業年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

セグメントの名称

当事業年度

(自2022年4月1日

至2023年3月31日)

前年同期比(%)

ナビタ事業         (千円)

8,019,511

0.6

アド・プロモーション事業  (千円)

603,080

△0.8

サイン事業         (千円)

1,337,650

22.3

合計(千円)

9,960,242

2.9

(注)1.セグメント間の取引については該当事項はありません。

2.主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合については、総販売実績に対する割合が10%以上を占める相手先がいないため記載を省略しております。

 

(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容

 経営者の視点による当社の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。なお文中の将来に関する事項は、当事業年度末現在において判断したものであります。

 

①重要な会計方針及び見積り

 当社の財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められる会計基準に基づき作成されております。この財務諸表の作成に当たりまして、見積りが必要な事項につきましては、合理的な基準に基づき会計上の見積りを行っております。経営者は、これらの見積りについて過去の実績や現状等を勘案し合理的に判断しておりますが、実際の結果は見積りによる不確実性があるため、これらの見積りとは異なる場合があります。

 詳細につきましては、「第5 経理の状況 1 財務諸表等 (1) 財務諸表 注記事項 (重要な会計方針)、(重要な会計上の見積り)」に記載しております。

 

②経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容

(売上収益)

 当事業年度の売上収益は9,960百万円(前年同期比2.9%増)となりました。これはナビタ事業では、既存ナビタの媒体(広告)の価値向上を図ることに注力し、サイン事業では大型工事が完成したことによるものです。

(売上原価、売上総利益)

 当事業年度の売上原価は、4,725百万円(前年同期比8.8%増)となりました。これは主にナビタ事業における広告納金や減価償却費の負担が増加したことと、サイン事業における工事の増加により外注費も大きく増加したことによるものであります。この結果、売上総利益は5,234百万円(前年同期比1.9%減)となりました。

(販売費及び一般管理費、営業利益)

 当事業年度の販売費及び一般管理費は、4,684百万円(前年同期比1.7%増)となりました。これは主に人件費の増加や基幹システム開発費用、自社ビル修繕費用等の増加によるものです。この結果、営業利益は549百万円(前年同期比24.2%減)となりました。

(経常利益)

 当事業年度において、受取家賃等で営業外収益が81百万円、賃貸費用等で営業外費用が10百万円発生しております。この結果、経常利益は621百万円(前年同期比17.7%減)となりました

(当期純利益)

 当事業年度において、固定資産除却損24百万円や減損損失439百万円を特別損失に計上したことなどにより、当期純利益は82百万円(前年同期比79.0%減)となりました。

 

③財政状態の分析

 当事業年度末の総資産は13,762百万円(前年度末比249百万円増)となりました。

 資産、負債及び純資産の状況につきましては、「(1)経営成績等の状況の概要 ② 財政状態の状況」に記載のとおりであります。

 

④キャッシュ・フロー状況

 当事業年度末における現金及び現金同等物は、3,717百万円(前年度末比957百万円減)となりました。

 キャッシュ・フローの状況につきましては、「(1)経営成績等の状況の概要 ③ キャッシュ・フローの状況」に記載のとおりであります。

 

⑤当社の資本の財源及び資金の流動性について

a.資金需要

 当社の事業活動における運転資金需要の主なものは、広告納金、外注費、製造経費、販売費及び一般管理費等の営業費用であります。投資を目的とした資金需要は、設備投資によるものであります。また、株主還元については、財務の健全性等に留意しつつ、配当政策に基づき実施してまいります。

b.財政政策

 当社は、事業活動の維持拡大に必要な資金の流動性と資金の源泉を安定的に確保することを基本方針としております。運転資金及び投資を目的とした資金の調達につきましては、自己資金を基本としており、自己資金で補うことができない場合は金融機関からの借入を基本としております。

 

⑥経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等の分析

 当社では売上収益、営業利益を重要な経営指標として位置付けており当事業年度の計画値と実績値は以下のとおりであります。

経営指標

2023年3月期

(計画)

2023年3月期

(実績)

2023年3月期

(計画比)

売上収益   (百万円)

10,379

9,960

△418(4.0%減)

営業利益   (百万円)

597

549

△47(7.9%減)

当期純利益  (百万円)

456

82

△373(82.0%減)

(注)2023年3月期(計画)につきましては、2022年5月13日に公表した2022年3月期決算短信に記載した2023年3月期の業績予想数値であります。

 

 当社は、持続的な企業価値向上を目指すにあたり、売上収益・営業利益の成長性とともにROE(自己資本利益率)を重要な経営指標として位置づけ、既存媒体の価値向上(筐体リニューアル)と収益性の高い新規媒体開発、自治体ビジネスと医療関係ビジネスの強化、WEB商品強化、新商材の開発などの商品戦略や営業力強化、原価や経常的費用の抑制、さらには人的資本への投資、M&Aによる業務提携などを事業計画に基づき実現し、更なる事業成長を図ってまいります。

 売上収益、営業利益の分析につきましては、「(1)経営成績等の状況の概要 ① 経営成績の状況」に記載のとおりであります。

 

⑦経営成績に重要な影響を与える要因について

 経営成績に重要な影響を与える要因については、「第2 事業の状況 3 事業等のリスク」に記載のとおり、様々なリスク要因が当社の経営成績に重要な影響を与える可能性があると認識しております。

 そのため、当社は常に市場動向に留意しつつ、内部管理体制の強化、優秀な人材の確保、市場のニーズにあったサービスの展開等により、当社の経営成績に重要な影響を与えるリスク要因を分散・低減し、適切に対応してまいります。

 

5【経営上の重要な契約等】

 該当事項はありません。

2【主要な設備の状況】

当社における主要な設備は、以下のとおりであります。

  2023年3月31日現在

 

事業所名

(所在地)

セグメントの名称

設備の内容

帳簿価額

従業員数

(人)

建物及び
構築物

(千円)

工具、器具及び備品

(千円)

土地

(千円)

(面積㎡)

ソフト
ウエア

(千円)

その他

(千円)

合計

(千円)

本社

(名古屋市中村区)

(注)1

本社機能
生産設備

657,171

28,846

761,593

(545.7)

211,696

6,039

1,665,345

121

(67)

東京本社

(東京都港区)

(注)1

本社機能

111,549

16,022

850,458

(512.23)

3,993

982,022

157

(16)

大阪支社

(大阪市中央区)

(注)1

事務所

56,418

2,479

95,868

(171.1)

6,975

161,740

59

(6)

駅他周辺案内図設備

(東京都港区等)

ナビタ事業

筺体設備

2,022,424

63,868

31,103

2,117,395

(注)1.上記の本社、東京本社、大阪支社は、ナビタ事業、アド・プロモーション事業、サイン事業に属しております。

2.現在休止中の主要な設備はありません。

3.帳簿価額のうち「その他」は、機械及び装置、車両運搬具、リース資産、建設仮勘定の合計であります。

4.従業員数の( )は、臨時雇用者数を外書しております。

5.本社の延べ床面積3,434.13㎡のうち、床面積682.73㎡を賃貸しております。年間賃貸料は32,980千円であります。

 

①【株式の総数】

種類

発行可能株式総数(株)

普通株式

18,880,980

18,880,980

 

②【発行済株式】

種類

事業年度末現在発行数(株)

(2023年3月31日)

提出日現在発行数(株)

(2023年6月26日)

上場金融商品取引所名又は登録認可金融商品取引業協会名

内容

普通株式

4,720,245

4,720,245

東京証券取引所

スタンダード市場

完全議決権株式であり、権利内容に何ら限定のない当社における標準となる株式であります。

なお、単元株式数は100株であります。

4,720,245

4,720,245

 

①【ストックオプション制度の内容】

該当事項はありません。

 

②【ライツプランの内容】

 該当事項はありません。

(4)【発行済株式総数、資本金等の推移】

年月日

発行済株式総数

増減数(株)

発行済株式総数

残高(株)

資本金増減額

(千円)

資本金残高

(千円)

資本準備金増減額(千円)

資本準備金

残高(千円)

2021年1月7日

(注)1

普通株式

3,109,796

普通株式

3,887,245

153,236

8

2021年4月6日

(注)2

普通株式

650,000

普通株式

4,537,245

601,250

754,486

601,250

601,258

2021年5月7日

(注)3

普通株式

183,000

普通株式

4,720,245

169,275

923,761

169,275

770,533

(注)1.普通株式の777,449株について1株を5株に分割

2.有償一般募集(ブックビルディング方式による募集)

発行価格  1株につき 2,000円

引受価額  1株につき 1,850円

資本組入額 1株につき  925円

払込金総額    1,202,500千円

3.有償第三者割当(オーバーアロットメントによる売出しに関連した第三者割当増資)

割当価格  1株につき 1,850円

資本組入額 1株につき  925円

割当先   野村證券株式会社

 

(5)【所有者別状況】

 

 

 

 

 

 

 

2023年3月31日現在

区分

株式の状況(1単元の株式数100株)

単元未満

株式の状況

(株)

政府及び地方公共団体

金融機関

金融商品取引業者

その他の法人

外国法人等

個人その他

個人以外

個人

株主数(人)

2

17

30

13

11

2,649

2,722

所有株式数

(単元)

342

630

29,095

2,631

53

14,343

47,094

10,845

所有株式数

の割合(%)

0.72

1.33

61.78

5.58

0.11

30.45

100.00

(注)自己株式45株は、「単元未満株式の状況」に45株含まれております。

 

 

2023年3月31日現在

氏名又は名称

住所

所有株式数

(株)

発行済株式

(自己株式を除く。)の総数に対する所有株式数の割合(%)

喜平会株式会社

愛知県名古屋市瑞穂区岳見町4丁目26番地の4

1,024,020

21.69

HKO株式会社

大阪府大阪市西区靭本町1丁目19番16号

500,000

10.59

YKT株式会社

大阪府豊中市中桜塚3丁目2番21号

500,000

10.59

TYシエル株式会社

愛知県名古屋市昭和区車田町1丁目40番地の2

423,725

8.97

MKT株式会社

大阪府豊中市中桜塚3丁目2番21号

366,795

7.77

HSBC PRIVATE BANK(SUISS

E)SA GENEVA-SEGREG HK

IND1 CLT ASSET

(香港上海銀行東京支店 カストディ業務部 )

9-17 QUAI DES BERGUES 1201 GENEVA SWITZERLAND

(東京都中央区日本橋3丁目11番1号)

183,600

3.88

吉田 大士

愛知県名古屋市瑞穂区

135,345

2.86

野田 賢次郎

愛知県尾張旭市

130,000

2.75

栗本 肇

大阪府豊中市

129,000

2.73

株式会社ケシオン

兵庫県宝塚市美座2丁目13番2号

71,800

1.52

3,464,285

73.39

(注)2023年3月20日付で公衆の縦覧に供されている大量保有報告書において、重田光時氏が2023年3月13日現在で以下の株式を所有している旨が記載されているものの、当社として2023年3月31日現在における実質所有株式数の確認ができませんので、上記大株主の状況には含めておりません。

なお、その大量保有報告書の内容は次のとおりであります。

氏名又は名称

住所

所有株式数

(株)

発行済株式

(自己株式を除く。)の総数に対する所有株式数の割合(%)

重田 光時

香港、銅鑼灣、怡和街

237,200

5.03

 

①【貸借対照表】

 

 

(単位:千円)

 

前事業年度

(2022年3月31日)

当事業年度

(2023年3月31日)

資産の部

 

 

流動資産

 

 

現金及び預金

6,351,189

6,584,111

受取手形

24,961

57,178

電子記録債権

11,400

売掛金及び契約資産

※1 657,933

※1 919,702

棚卸資産

※2 107,271

※2 99,140

前渡金

39,047

45,868

前払費用

417,639

458,463

その他

118,667

50,927

貸倒引当金

6,631

9,069

流動資産合計

7,710,077

8,217,721

固定資産

 

 

有形固定資産

 

 

建物(純額)

840,600

835,025

構築物(純額)

6,973

6,276

機械及び装置(純額)

647

5

車両運搬具(純額)

9,045

6,033

工具、器具及び備品(純額)

2,137,886

1,673,396

土地

1,710,972

1,710,972

リース資産(純額)

10,546

10,967

建設仮勘定

23,546

31,102

有形固定資産合計

※4 4,740,218

※4 4,273,780

無形固定資産

 

 

ソフトウエア

203,597

256,459

その他

10,716

10,716

無形固定資産合計

214,313

267,176

投資その他の資産

 

 

投資有価証券

65,249

67,997

出資金

625

625

長期貸付金

244

290

破産更生債権等

84,924

83,554

長期前払費用

133,247

156,325

保険積立金

279,997

280,622

繰延税金資産

182,496

304,306

その他

※5 186,295

※5 193,399

貸倒引当金

84,924

83,554

投資その他の資産合計

848,156

1,003,565

固定資産合計

5,802,688

5,544,522

資産合計

13,512,765

13,762,244

 

 

 

 

(単位:千円)

 

前事業年度

(2022年3月31日)

当事業年度

(2023年3月31日)

負債の部

 

 

流動負債

 

 

買掛金

648,212

880,463

リース債務

3,830

4,006

未払金

167,353

197,665

未払費用

299,226

268,826

未払法人税等

55,679

121,716

未払消費税等

48,748

75,619

契約負債

4,386,491

4,518,239

前受金

4,746

3,131

預り金

25,191

25,138

賞与引当金

182,426

165,005

資産除去債務

1,111

1,111

その他

1,268

278

流動負債合計

5,824,286

6,261,203

固定負債

 

 

リース債務

8,755

9,077

退職給付引当金

79,559

91,764

役員退職慰労引当金

80,200

74,860

資産除去債務

13,400

14,670

その他

15,570

18,469

固定負債合計

197,486

208,842

負債合計

6,021,772

6,470,046

純資産の部

 

 

株主資本

 

 

資本金

923,761

923,761

資本剰余金

 

 

資本準備金

770,533

770,533

資本剰余金合計

770,533

770,533

利益剰余金

 

 

利益準備金

38,301

38,301

その他利益剰余金

 

 

利益積立金

50,000

50,000

別途積立金

703,500

703,500

繰越利益剰余金

4,979,142

4,778,247

利益剰余金合計

5,770,943

5,570,048

自己株式

85

85

株主資本合計

7,465,152

7,264,257

評価・換算差額等

 

 

その他有価証券評価差額金

25,840

27,940

評価・換算差額等合計

25,840

27,940

純資産合計

7,490,993

7,292,198

負債純資産合計

13,512,765

13,762,244

②【損益計算書】

 

 

(単位:千円)

 

 前事業年度

(自 2021年4月1日

 至 2022年3月31日)

 当事業年度

(自 2022年4月1日

 至 2023年3月31日)

売上収益

※1 9,676,056

※1 9,960,242

売上原価

4,342,771

4,725,870

売上総利益

5,333,284

5,234,371

販売費及び一般管理費

※2 4,608,369

※2 4,684,630

営業利益

724,915

549,741

営業外収益

 

 

受取利息

112

103

受取配当金

965

1,152

受取家賃

49,933

47,004

保険解約返戻金

2,112

20,387

その他

14,388

12,677

営業外収益合計

67,512

81,325

営業外費用

 

 

支払利息

61

賃貸費用

10,639

8,825

株式公開費用

26,577

その他

901

1,221

営業外費用合計

38,180

10,047

経常利益

754,246

621,019

特別損失

 

 

固定資産売却損

※3 129

固定資産除却損

※4 27,167

※4 24,726

減損損失

※5 11,712

※5 439,113

特別損失合計

39,009

463,840

税引前当期純利益

715,236

157,179

法人税、住民税及び事業税

227,953

197,020

法人税等調整額

95,584

122,158

法人税等合計

323,538

74,862

当期純利益

391,698

82,316

1.報告セグメントの概要

 当社の報告セグメントは、当社の構成単位のうち分離された財務情報が入手可能であり、取締役会が経営資源の配分の決定及び業績を評価するために、定期的に検討を行う対象となっているものであります。

 当社は、「地図広告」をはじめ、駅広告・車両広告・バス広告といった「交通広告」、新聞・雑誌、TV・ラジオ等の「メディア広告」や「ネット広告」と、環境・交通・公共施設・商業施設・誘導案内サインの企画・開発・設計・施工等の「トータルサイン」をご提供しています。従って、当社はこれを基にセグメントが構成されており、「ナビタ事業」、「アド・プロモーション事業」、「サイン事業」の3つをセグメントとしております。

 なお、各報告セグメントに含まれる主要な商品は以下のとおりであります。

事業内容

主要品目等

ナビタ事業

駅周辺案内図ナビタの企画、制作、取扱

自治体専用インフォメーションの企画、制作、取扱

交番、運転免許試験場へのインフォメーションの企画、制作、取扱

アド・プロモーション事業

交通広告、屋外広告、新聞雑誌広告、その他広告媒体の企画、制作、取扱

サイン事業

環境、交通、公共施設、商業施設、誘導案内サインの企画、開発、設計、施工