ユミルリンク株式会社
渋谷区代々木二丁目2番1号
証券コード:43720
業界:情報・通信業
有価証券報告書の提出日:2023年3月31日

回次

第21期

第22期

第23期

第24期

第25期

決算年月

2018年12月

2019年12月

2020年12月

2021年12月

2022年12月

売上高

(千円)

1,248,531

1,453,291

1,629,752

1,929,357

2,181,206

経常利益

(千円)

176,526

233,325

326,340

398,573

520,441

当期純利益

(千円)

120,228

159,871

224,013

286,915

359,402

持分法を適用した場合の投資利益

(千円)

資本金

(千円)

118,281

118,281

118,281

273,853

273,853

発行済株式総数

(株)

35,544

35,544

35,544

3,892,600

3,892,600

純資産額

(千円)

713,204

873,075

1,097,089

1,695,148

1,936,144

総資産額

(千円)

901,402

1,183,419

1,443,273

2,097,711

2,376,330

1株当たり純資産額

(円)

20,065.40

245.63

308.66

435.48

508.45

1株当たり配当額

(円)

(うち1株当たり中間配当額)

(-)

(-)

(-)

(-)

(-)

1株当たり当期純利益

(円)

3,382.52

44.98

63.02

78.65

92.93

潜在株式調整後1株当たり

当期純利益

(円)

自己資本比率

(%)

79.12

73.78

76.01

80.81

81.48

自己資本利益率

(%)

18.41

20.16

22.74

20.55

19.79

株価収益率

(倍)

13.69

12.00

配当性向

(%)

営業活動によるキャッシュ・フロー

(千円)

326,598

330,897

341,542

444,468

投資活動によるキャッシュ・フロー

(千円)

269,689

281,167

687,838

117,761

財務活動によるキャッシュ・フロー

(千円)

294,975

118,701

現金及び現金同等物の期末残高

(千円)

139,111

188,841

1,513,197

1,721,203

従業員数

(人)

89

99

105

112

112

株主総利回り

(%)

(比較指標:-)

(%)

(-)

(-)

(-)

(-)

(-)

最高株価

(円)

1,847

1,677

最低株価

(円)

991

990

(注)1.当社は連結財務諸表を作成しておりませんので、連結会計年度に係る主要な経営指標等の推移については記載しておりません。

2.「収益認識に関する会計基準」(企業会計基準第29号 2020年3月31日)等を第25期の期首から適用しております。なお、主要な経営指標等に与える影響はありません。

3.持分法を適用した場合の投資利益については、関連会社を有していないため記載しておりません。

4.1株当たり配当額及び配当性向は、配当を実施していないため記載しておりません。

5.潜在株式調整後1株当たり当期純利益については、潜在株式が存在しないため記載しておりません。

6.第21期から第23期までの株価収益率については、当社株式は非上場であるため、記載しておりません。

7.第21期についてはキャッシュ・フロー計算書を作成しておりませんので、キャッシュ・フローに係る各項目については記載しておりません。

8.従業員数は就業人員数であります。なお、臨時雇用者数は、従業員数の100分の10未満であるため、記載を省略しております。

9.第22期以降の財務諸表については、「財務諸表等の用語、様式及び作成方法に関する規則」(昭和38年大蔵省令第59号)に基づき作成しており、金融商品取引法第193条の2第1項の規定に基づき、有限責任 あずさ監査法人の監査を受けております。

なお、第21期については、「会社計算規則」(平成18年法務省令第13号)の規定に基づき算出した各数値を記載しております。また、当該各数値については、金融商品取引法第193条の2第1項の規定に基づく、有限責任 あずさ監査法人の監査を受けておりません。

10.当社は、2021年4月30日付で普通株式1株につき100株の割合で株式分割を行っておりますが、第22期の期首に当該株式分割が行われたと仮定し、1株当たり純資産額及び1株当たり当期純利益を算定しております。

11.第21期から第24期の株主総利回り及び比較指標については、2021年9月22日に東京証券取引所マザーズに上場したため、記載しておりません。

12.最高株価及び最低株価は、2022年4月4日以降は東京証券取引所グロース市場における株価を記載しており、それ以前は東京証券取引所マザーズ市場における株価を記載しております。

なお、2021年9月22日をもって同取引所に株式を上場いたしましたので、それ以前の株価については記載しておりません。

 

2【沿革】

年月

概要

1999年7月

企業のホームページやWebシステムの制作業務の請負を目的として、東京都渋谷区恵比寿に有限会社ユミルリンクを設立

2000年6月

ユミルリンク株式会社へ組織変更

2002年1月

株式会社サイバーエージェントが親会社となる(サイバーエージェントグループ)

一般第二種電気通信事業者認定

2002年7月

メール配信システム(注1)開発

2003年2月

高速メール配信エンジンを独自開発

2003年7月

メール配信ASPサービス(現:Cuenote FC)の提供を開始

2005年9月

プライバシーマーク認定取得

2005年12月

サイボウズ株式会社が親会社となる(サイボウズグループ)

2006年7月

Perlのフレームワーク(注2)「TripletaiL」を公開

2006年12月

アイテック阪神株式会社(現:アイテック阪急阪神株式会社)と業務提携

2008年4月

Erlang言語(注3)を使用した高精度性能分析ツールを開発

2008年6月

メール配信のトラブルを改善するリレーサーバー「Cuenote SR-S」を発売

2009年3月

製品を「Cuenote」ブランドに統一

SaaSサービス「Cuenote FCプレミアム」を提供開始

2011年2月

「Cuenote FCプレミアム」がASP・SaaS安全・信頼性に係る情報開示認定を取得

アイテック阪急阪神株式会社が親会社となる(阪急阪神ホールディングスグループ)

2011年7月

大阪支店(大阪市福島区)を開設

2013年7月

アンケート・フォームシステム「Cuenote Survey」を発売

情報セキュリティマネジメントシステム「ISMS」認証を取得

2015年12月

業務拡大のため本社オフィスを東京都渋谷区代々木に移転

2016年7月

開発拠点として沖縄オフィス(沖縄県中頭郡北谷町)を開設

2016年9月

「Cuenote」シリーズの契約数が1,000契約を突破

2018年1月

開発拠点として福岡オフィス(福岡市博多区)を開設

2018年6月

開発拠点として北海道オフィス(札幌市中央区)を開設

2018年11月

SMS配信サービス「Cuenote SMS」を提供開始

2019年11月

「Cuenote 安否確認サービス」を提供開始

2020年3月

業務拡大のため大阪支店を大阪市北区に移転

2020年7月

「Cuenote SMS」が「楽天モバイル」の回線向けSMS配信に対応し、国内4キャリアと直接接続を開始

2021年9月

東京証券取引所マザーズに株式を上場

2022年4月

東京証券取引所の市場区分の見直しにより、東京証券取引所のマザーズ市場からグロース市場に移行

2022年5月

認証サービス「Cuenote Auth」を提供開始

2022年9月

「Cuenote」シリーズの契約数が2,000契約を突破

(注)1.企業や自治体がメールを活用して、消費者との関係を構築したり、販売促進を通じ消費者の購買意欲を高めたりといったマーケティング活動を行うためのシステムです。

2.Perlとは、Webアプリケーション、テキスト処理などのプログラムを書くのに広く用いられるプログラミング言語です。フレームワークとは、プログラミングにおいて、アプリケーションソフトウエアの標準構造を実装するのに使われるライブラリの集まりです。多くの再利用可能なコードをフレームワークにまとめることで、開発の手間を省き、定形的で標準的なコードを毎回コーディングしなくて済むように効率化する仕組みのことです。

3.Erlangは、コンピュータにおいて汎用的な用途に使うことができる並行処理指向言語です。

 

3【事業の内容】

当社は、「価値の高い情報サービスの創造と提供を通して社会に貢献し、常に期待される企業を目指す。」という企業理念を掲げ、消費者や社員等とのエンゲージメント向上を目的とした法人のマーケティング、コミュニケーション活動を支援するメッセージングプラットフォーム「Cuenote(キューノート)」を開発し、提供しております。なお、当社の事業は、「Cuenote」シリーズによる「メッセージングソリューション事業」の単一セグメントであります。

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当社では、自社で開発したソフトウエアをデータセンターに設置したサービス基盤上で稼働させ、クラウドサービスとして提供するSaaS形式と、顧客が指定するサーバ機材にソフトウエアを設置し利用環境を提供するソフトウエア形式の2形式で主に企業や自治体(以降「顧客」と記載します)にサービスを提供しております。 SaaSとは「Software as a Service」の略でソフトウエアをインターネット経由でサービスとして提供するビジネスモデルまたはその活用方式で、利用者はインターネットに接続可能な端末とブラウザ(インターネット閲覧ソフト)があれば目的とするサービスや機能を短期間で利用開始でき、利用期間中においては提供者からシステム保守やソフトウエア更新など専門性の高いサービスが提供されます。
SaaSの収益は、利用開始時の初期設定売上と毎月のサービス利用売上により構成され、顧客がサービスを利用し続ける限りサービス利用売上が計上されるサブスクリプション型収益であり、新規顧客獲得や既存顧客のプラン追加等によるサービス利用売上の増加額が解約やプラン変更による減少額を下回らない限り、毎月の収益が増加し安定的な収益基盤となることから、定期契約額(SaaSのサービス利用売上や買取型ソフトウエアの保守売上など、一定期間の役務や利用を定めた契約に基づく収益:月次経常収益)を重要な経営指標として定め、この指標に影響する期末の定期契約額(月次経常収益)とメールサービスの解約率の推移を管理しております。

なお、当社がデータセンター事業者からデータセンターラック及びインターネット接続回線の供給を受けているデータセンターは、2022年12月31日現在において6箇所(東京都3箇所、大阪府2箇所、福岡県1箇所)となります。

 

<「Cuenote」とは>

「Cuenote」は、顧客のマーケティング、コミュニケーション活動を支援するソフトウエアシリーズで、「安全・信頼性」「利便性」「経済的合理性」の向上を踏まえ、企画、設計、開発、運用、販売、保守を一気通貫でサービス提供できるノウハウを有する垂直統合型のビジネスモデルにより手掛けております。

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「Cuenote」シリーズには、メールマガジンやニュース速報など数百万件~数千万件の宛先にもメールを高速配信する性能とマーケティングのための各種機能を搭載した「Cuenote FC」、ECサイトや会員サイトにおける通知や認証など即時性と確実性を求められるトランザクションメールに効果的な「Cuenote SR-S」、SMS(ショートメッセージサービス)による本人認証や通知、督促、プロモーションを実現する「Cuenote SMS」、マウスやキーボードの容易な操作でセキュリティに配慮されたWebアンケートやWebフォームを作成できる「Cuenote Survey」、地震・自然災害発生時に従業員やスタッフの安否確認や緊急参集をするための「Cuenote 安否確認サービス」などがあり、SaaSやソフトウエア形式で提供しております。

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<「Cuenote」シリーズの主なサービスラインナップ>
「Cuenote」シリーズは、主に次のサービスによって構成されています。

製品名

特徴

主な用途

提供形式

(課金方式)

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数百~数千万件の大規模なメール配信を高速・円滑に配信する性能とマーケティングのための各種機能を搭載したサービス。当社売上の65.2%を占める主力製品(2022年12月期実績)。

販売・来店促進、リマインドメールマガジン、料金通知、防災防犯情報、株価通知など

SaaS

ソフトウエア

(定額・従量制)

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顧客の既存システムから送信されるメールを受信し、通信キャリア毎の通信条件に応じ円滑に転送(SMTPリレー)する、暗号化通信(TLS)や送信者署名(DKIM)にも対応したサービス。

決済や約定、商品出荷通知など

 

SaaS

ソフトウエア

(定額制)

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国内携帯電話事業者と直接接続し、企業から個人向けにSMS(ショートメッセージサービス)を確実に配信するサービス。

本人認証、料金通知や業務連絡、販売・来店促進、リマインドなど

SaaS

(従量制)

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HTMLやプログラミングの知識がなくとも、比較的容易なマウス、キーボード操作でセキュリティに配慮されたWebアンケートやWebフォームを作成できるサービス。

アンケート(公開・限定)、資料請求や採用応募などの受付用フォーム

SaaS

(従量制)

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気象情報と連動し、地震や自然災害発生時に従業員やスタッフの安否確認や緊急参集が行えるサービス。

緊急連絡網、安否確認、参集可否確認

SaaS

(従量制)

 

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SMSやIVRを利用し、APIにリクエストするだけで、確認コードの生成、通知、認証の処理を簡単に実装でき、電話番号による認証を行えるセキュアな認証サービス。

本人認証、ECサイトの転売対策、不正アクセス対策

SaaS

(従量制)

 

[Cuenoteの活用事例]
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「Cuenote FC」(メール配信システム)

「Cuenote FC」は、企業がメールを活用して、消費者との関係を構築したり、販売促進を通じ消費者の購買意欲を高めたりといったマーケティング活動を行うために用いるメール配信システムで、SaaS形式及びソフトウエア形式で提供しております。
主な用途としては、ECサイトや会員サイトなど、消費者に対してプロモーション情報や商品の情報を伝えるためのメールマガジン、自治体が災害や防災情報等を住民のスマートフォンや携帯電話に対して、メールで一斉に伝える緊急速報メール、法人が潜在顧客に対して、見込み顧客の購買意欲を高めるためのリードナーチャリング(注1)など、大量のメール配信を行う場面に活用されております。
また、メールを「いつ・誰が開封・クリックしたか」、「メール経由で購入したか(コンバージョン)」といったメールマーケティング効果を測定・把握し、蓄積されたメールの行動データを次のマーケティング施策に活用することで、マーケティング活動を効果的、効率的に実施できると考えております。
さらに、メールの行動履歴(開封・クリックなど)やWebサイトでの行動、購入履歴データなどを利用したセグメントやシナリオメール、顧客属性に合わせたパーソナライズ配信に加え、メールの開封率やクリック率、コンバージョン率を高めるためのABテスト(注2)、お客様システムやマーケティングツールとのデータ連携を可能とするAPI(注3)を活用することで、より効果的なメールマーケティングを実現します。
主な特徴としては、メールを高速配信する処理性能を有することで、大量の会員に対してタイムリーかつ確実に情報を届けられること、豊富な機能でメールマーケティングを実行するうえで、幅広い業界や分野で利用できること、操作性が高く業務の効率化が可能であることなどがあります。
また、「Cuenote FC」の提供形式は、SaaSとソフトウエアがあり、どちらの形式においても提供できることが特徴です。SaaSには以下の提供形式があります。
 ・パブリック型
  アプリケーション及び稼働環境を複数の顧客で共有する方式です。システム資源を複数顧客で利用するた
  め、専用環境を利用する場合に比べ安価に利用いただけます。
 ・プライベート型
  顧客がアプリケーション及び稼働環境を専有する方式です。システムリソースの保証やメール送信時のIP
  アドレスの専有など安定した品質を利用できることから、大規模なメール配信に適しております。また、
  顧客固有ニーズに基づくカスタマイズ等も適用することが可能です。


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「Cuenote SR-S」(メールリレーシステム)

「Cuenote SR-S」は、既存のメール配信システムからSMTPリレー(注4)し、メールを代行して配信することで、メールの遅延や不達を解消するメールリレーシステムです。
メールをSMTPリレーして配信するだけではなく、APIによるメール配信も可能とし、企業側のシステムでMTA(注5)を用意しなくとも円滑なメール配信を実現することも可能です。
主な用途として、ECサイトや会員サイトにおける商品発送、登録完了、購入完了などの重要な通知メールなど、トランザクションメールを高速・確実に届けるために活用されております。
大量の宛先に一斉に送るマーケティングメールには「Cuenote FC」、通知メールなどのトランザクションメールには「Cuenote SR-S」を活用することができ、企業から消費者に送るメールに関する幅広いソリューションを提供しています。

 

「Cuenote SMS」(SMS配信サービス)

「Cuenote SMS」は、企業から個人向けにSMSを配信するサービスです。SMSは、スマートフォンや携帯電話を所有する人に対して、個人が特定されている携帯電話番号へ送信することが可能であること、ナンバーポータビリティにより携帯電話番号自体の変更がされにくいことから、本人認証、重要な通知、業務連絡、督促通知、予約のリマインド、プロモーションなどの用途に利用されております。
当社が提供するSMS配信サービスは、国内の4キャリアと直接接続し、携帯電話事業者が認める正規配信ルートを通じて配信することで、大量・確実にSMSを配信できます。
また、企業の利用用途に応じて、SMS配信サービスを管理画面から操作することで配信を行う手動配信、企業のシステムからAPIを通じて配信の指示を行う自動配信の双方で、SMSを配信できます。
SMSは、電話番号のみでメッセージを送信でき、開封率が高いことから、重要な通知や本人認証の用途において利用が広まっており、メールとSMS双方のメッセージチャネルに対応している「Cuenote」を利用する顧客においては、用途に応じて最適なメッセージチャネルを使って、消費者に情報を届けられるようになります。

 

「Cuenote Survey」(Webアンケートシステム)

「Cuenote Survey」は、HTMLやプログラミングなどの知識が不要で、比較的容易なマウスとキーボード操作でスマートフォンやPCに対応し、セキュリティに配慮されたWebアンケートや問い合わせWebフォームを作成できるシステムです。
主な用途として、消費者や企業に対する顧客満足度調査、消費者に対するアンケート、Webサイトで利用される問い合わせ・申し込みフォームなどで利用されております。

 

「Cuenote 安否確認サービス」(安否確認サービス)

「Cuenote 安否確認サービス」は、地震・自然災害発生時に従業員やスタッフに対して、自動で安否確認や緊急参集が行えるサービスです。地震や津波などの気象災害時に気象データと連携して、自動で安否確認メールを配信します。従業員やスタッフが回答した安否状況に関する情報は、管理者がリアルタイムに確認でき、従業員の安否確認や緊急参集などの用途で利用されております。

 

「Cuenote Auth」(認証サービス)

「Cuenote Auth」は、認証コードの自動生成、SMS・IVR(音声自動応答)を活用した認証をAPIで提供し、本人認証の仕組みを「簡単・短期間で」導入することができます。

Cuenote AuthのAPIにリクエストするだけで、「認証コードの生成」、「SMS・IVRによる認証コードの通知」、「認証画面の表示及び認証処理」、「認証結果の取得」など、一連のプロセスを実行させることができます。また、APIはRESTful形式(注6)を採用し、容易に連携可能なことから導入における開発工数が低減できます。

また、IVR連携機能(オプション)をご利用いただくことで、SMSの受信をサポートしない電話番号(固定電話回線)へ音声発信により認証コードを通知することができます。認証に利用する電話番号をCuenote Auth側で判定し、IVRによる音声通知に自動で切り替わるため、幅広いユーザー・端末における本人認証をサポートします。

さらに、最後に認証を行ってから一定期間は同一端末からの再度の認証手続(認証コードの発行~ユーザーでの番号入力)を不要とすることができます。認証コードの通知に利用するSMSやIVRは、送信数に応じてコストが掛かりますが、一定の期間「再認証不要」とすることで、ユーザービリティを低下させることなくコストを抑えることができます。

 

(注)1.リードナーチャリングとは獲得したリード(見込み顧客)に対してメールや電話などを利用し、有益な情報を提供することで見込み顧客の購買意欲を高めていく手法やプロセスであり、主にBtoB(法人向け)のマーケティング手法です。

2.ウェブサイトやメールなどにおいて、画像やコンテンツ、メールの件名など、AパターンとBパターンの2パターンを用意して、どちらがより良い成果を出せるのかを検証するための手法の一つです。
それぞれの成果を比較し、より高い成果を得られるパターンを見つけるために利用されます。

3.Application Programming Interfaceの略で、あるサービスの提供者が、そのサービスを利用するために提供するインターフェースです。APIを利用することで、同じ機能のサービスを開発する必要がないため、開発効率の向上・開発費用の低減が期待できます。

4.SMTP(Simple Mail Transfer Protocol)リレーとはメールを中継して配信する方法です。

5.Message Transfer Agent。メールソフトより受信したメールを宛先ごとに振り分けて配送機能に渡す機能を持ちます。配送機能も含めたメールサーバ全体を指すこともあります。

6.APIの種類のひとつで、「REST」(レスト)と呼ばれる設計原則に従って策定されたものです。

 

[事業系統図]

当社の事業系統図は以下のとおりであります。

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当社では、事業拡大にあたり販売代理店を活用する場合があり、その際には当社サービス提供の対価の受領は販売代理店を経由して行われております。

 

4【関係会社の状況】

 関係会社は次のとおりであります。

名称

住所

資本金
(千円)

主要な

事業の内容

議決権の所有
又は被所有
割合(%)

関係内容

(親会社)

阪急阪神ホールディングス株式会社 (注)1

大阪市北区

 

大阪府池田市

(登記上)

 

99,474,946

持株会社

 

被所有

52.1

(52.1)

(親会社)

阪神電気鉄道株式会社

大阪市福島区

29,384,485

鉄道事業

賃貸事業

分譲・その他事業

スポーツ事業

被所有

52.1

(52.1)

(親会社)

アイテック阪急阪神株式会社

大阪市福島区

200,000

情報・通信事業

被所有

52.1

役員の兼任 2名

 

同社データセンターの利用

当社サービスの代理店販売

(注)1.有価証券報告書を提出しております。

2.議決権の所有又は被所有割合欄の( )内は、間接被所有割合で内数であります。

 

5【従業員の状況】

(1)提出会社の状況

 

 

 

2022年12月31日現在

従業員数(人)

平均年齢(歳)

平均勤続年数(年)

平均年間給与(円)

112

39.5

7.7

5,915,448

 

事業部門の名称

従業員数(人)

技術本部

41

カスタマー本部

27

マーケティング本部

6

セールス本部

20

コーポレート本部

10

経理財務本部

7

内部監査室

1

合計

112

(注)1.平均年間給与は、賞与及び基準外賃金を含んでおります。

2.当社はメッセージングソリューション事業の単一セグメントであるため、事業部門別の従業員数を記載しております。

3.従業員数は就業人員数であります。

4.臨時雇用者数は、従業員数の100分の10未満であるため、記載を省略しております。

 

(2)労働組合の状況

労働組合は結成されておりませんが、労使関係は円満に推移しております。

 

1【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】

文中の将来に関する事項は、本書提出日現在において当社が判断したものであります。

(1)経営方針・経営環境

当社は「価値の高い情報サービスの創造と提供を通して社会に貢献し、常に期待される企業を目指す。」という企業理念の下、「技術と情熱をもってお客様に楽しさと満足を提供するサービスを創造するとともに、社員一人ひとりの個性を尊重し社員の成長を支援する。」ことを企業指針とし、メッセージングプラットフォーム「Cuenote(キューノート)」を、クラウドサービス(SaaS)形式、ソフトウエア形式で提供しております。
2022年5月27日に公表された総務省の「令和3年通信利用動向調査の結果」によりますと、調査対象企業におけるクラウドコンピューティングサービスの導入割合は7割を超えております。場所や機器を選ばない簡便さや、サーバ等の資産を持たず、保守体制のアウトソーシング化も可能であり、それらがメリットとして認識され、経営面で「非常に効果があった」又は「ある程度効果があった」とする評価は、導入企業全体の88.2%に上っていることが示されております。

また、当社の推進するメッセージングソリューション事業は、継続率の高いサービス利用料が収入の大半を占めるストック型ビジネス(サブスクリプションモデル)であり、収益・投資等の計画を立てやすく、スケールメリットを得やすいビジネスモデルのため、基本的には堅調な事業推進が可能となっております。

 

(2)経営戦略等

このような経営方針・経営環境の下、「SaaS事業成長」「顧客価値向上」を通じて、健全な事業拡大のため、次のような取り組みを行っております。

① 提供サービスの拡充

「Cuenote 安否確認サービス」については、2022年4月に安否確認を行いたい従業員・職員への通知手段として、従来のメールに加えオプションサービスとしてSMS(ショートメッセージサービス)を利用できるように機能拡張を行い提供を開始しております。携帯電話番号宛てに送信されるSMSは高い開封率を有し、受信者に対し確実に通知を届けられる特徴があり、複数手段(メール、SMS)を利用した通知が行えることから、より確実に安否確認が行えます。

また、2022年5月には、認証コードの自動生成、SMS・IVR(音声自動応答)を活用した認証をAPIで提供し、本人認証の仕組みを「簡単・短期間で」導入可能な認証サービス「Cuenote Auth」を提供開始しております。

更に、「Cuenote Survey」については、2022年7月にGoogle アナリティクス 4(GA4)連携機能を追加した最新版を提供開始しております。

加えて、「Cuenote SMS」については、2022年12月にハードウェア、ソフトウェアトークンを利用した多要素認証に対応した新バージョンを提供開始しております。

当社では2003年にMTAを独自に開発して以降、メッセージング領域における技術力とノウハウを蓄積し、顧客ニーズに応じたサービスや機能を拡充し続けてまいりました。
生活様式が多様化する現在において、情報通信技術やデジタルデバイスの進展により企業と消費者の
コミュニケーション手段もまた多様化しております。
複数のコミュニケーション手段を統合的に管理でき、個々に対し最適な手法を用いメッセージングする
基盤の構築は、マーケティング効果や業務効率の向上、良質な顧客体験の提供を実現する上で効果的
かつ不可欠な手段になると捉え、統合基盤(プラットフォーム)化を進めてまいります。

 

② 開発力の強化

安定的かつ着実な事業拡大を図る上では、既存顧客の契約を継続することのみならず、案件数等が増加した場合においても、収益率を高水準に維持し、かつ顧客サービスのパフォーマンスを維持・向上することが重要であると考えております。

当事業年度においても新規サービスやCuenoteサービスの機能開発など、開発力向上のため技術者の採用に注力いたしました。なお、優秀な技術者を採用するため、東京、大阪、福岡、沖縄及び北海道に拠点を有しており、継続的に開発力強化のための基盤整備を推進してまいります。

 

③ 基盤設備の増強

国内に新たなSaaS用のサービス基盤設備を2020年3月に開設いたしました。新基盤では新技術を採用し、システムの可用性、拡張性の向上にあわせ高いデータの堅牢性を実現しております。2018年12月期より提供するDR(ディザスタリカバリ)拠点間分散サービス(注1)とともに顧客からは事業継続の観点から高い評価を得られていると考えております。

なお、当事業年度における各サービスの稼働率(注2)は次のとおりとなりました。

Cuenote FC(注3)        : 99.9986%

Cuenote FC Premium(注4):100.0000%

Cuenote SR-S              : 99.9996%

Cuenote Survey1           :100.0000%

Cuenote Survey2           : 99.8949%

Cuenote SMS               :100.0000%

引き続き、適時適切な設備投資により基盤設備を強化し、データの堅牢性の維持確保、提供サービスの安定運用を図ってまいります。

 

④ サービスの認知・理解向上のためのプロモーション、セミナー活動

オンラインでのプロモーション活動の強化や展示会への出展、また、サービス活用セミナーの実施により、Cuenoteブランドの認知、営業機会の創出にあわせ、既存顧客に対してもサービスの効果的な活用方法を提示してまいりました。

今後も継続的に、ブランド力の維持・強化並びにメッセージングソリューションサービスの認知・理解の向上を推進してまいります。

⑤ 内部管理体制の強化

当社は、適時適切なリスク管理並びに業務運営の効率化を通じた企業価値向上のため、コーポレート・ガバナンスの強化が重要な課題であると考えております。

企業の持続的な成長と中長期的な企業価値の向上のために、効率性の優れた透明性の高い経営を実現させ、適切な資源配分、意思決定の迅速化、コンプライアンスの徹底を推進することは、健全な企業統治体制の確立の視点からも極めて重要であると強く認識しており、コーポレート・ガバナンスの強化に努めております。

引き続き、企業価値の維持・向上を目指し、経営の公正性・透明性を確保するとともに、より強固な内部管理体制の構築に取り組んでまいります。

(注1)大規模災害などによるデータセンターの壊滅的被害を想定し、東京・北九州など遠隔拠点に設置する複数設備を用いサービスを提供するオプションサービスです。

(注2)稼働率とは、システムやサービスが稼働すべきであった時間の内、正常に稼働していた時間の割合を求めたもので、次の算式により求めます。
稼働率=(全時間-システム停止時間)/全時間

(注3)Cuenote FCは、プライベート型のSaaSとなります。

(注4)Cuenote FC Premiumは、パブリック型のSaaSとなります。

 

(3)優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題

① 優秀な人材の確保

事業成長のため、優秀な人材の獲得は不可欠であると考えており、積極的な採用と共に研修等による人材の育成、職場環境の整備に取り組んでまいります。

 

② SaaSの付加価値の向上

当社事業には競合する企業が存在しておりこれまで性能面や機能面などにおいて競争力を高めてまいりましたが、今後も継続し機能開発や設備投資によりサービスの付加価値の向上に努めてまいります。

 

③ サービスの安定稼働

いつでも安心して利用できることは、SaaSにおいて不可欠であり、顧客が継続利用を判断する重要な要素であると考えております。今後も顧客増加や通信量の増加を見据え計画的な設備投資や増強、予防交換に取り組んでまいります。

 

          ④ 当社及びサービスの認知度の向上

当社はこれまで販売促進を目的にインターネット広告を活用してまいりましたが、今後のサービス拡販や人材獲得のためさらなる認知度の向上が必要であると考えており、インターネット以外のメディア活用や出稿量の増加により露出を高め認知度の向上に努めてまいります。

 

⑤ 情報管理体制の強化

当社ではプライバシーマークやISMSなど外部認証を取得し、規程に基づく運用及び定期監査、見直しの実施や役職員への定期的な啓蒙、訓練、物理的・技術的対策への投資により情報管理体制を強化してまいります。

 

以上が、当社が優先的に対処すべき主要な課題であると認識しております。

 

(4)経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等

当社は持続的な成長と企業価値の向上を目標としており、主な経営指標として売上高、営業利益、営業利益率にあわせ定期契約額(月次経常収益)とメールサービスの解約率を重視しております。

 

以上のとおり、事業運営上必要な施策を適時適切に実行することにより定期契約額を増加させ、事業規模を拡大し経営の効率性を高めてまいります。

また、内部統制を有効的に機能させることによりコーポレート・ガバナンスを強化し、企業倫理を遵守しながら企業市民としての社会的責任を果たし、定量的にも定性的にも健全な経済活動を展開してまいります

 

2【事業等のリスク】

当社では、事業等のリスクについて、リスク管理委員会を定期的及び必要に応じて臨時に開催しており、事業活動におけるリスクを抽出し、発生可能性と影響度から重点対策テーマを定め、その対応策の策定並びに対策状況の評価・検証を行っております。

以下、当社事業においてリスク要因となる可能性があると考えられる主な事項を記載しております。
また、必ずしも重要なリスクに該当しない事項についても、投資家の投資判断上、重要と判断した場合には、投資家に対する情報開示の観点から積極的に開示しております。当社はこれらのリスクの可能性を考慮した上で、リスクの発生の回避や分散、又は問題が発生した場合の対応について最大限努めてまいりますが、当社株式に関する投資判断は、本項及び本書中の本項以外の記載事項を慎重に検討した上で行われる必要があると考えております。なお、文中の将来に関する事項は、特段の記載のない限り、本書提出日現在において当社が判断したものであり、将来において発生の可能性があるすべてのリスクを網羅するものではありません。

 

(1)事業に係るリスク

① 経営環境の変化について

当社はインターネット業界において、メッセージングソリューション事業を中心に、顧客企業に対し、ASP、SaaSを主要な基盤としたサービスを提供しております。現在は顧客企業のIT関連投資マインドの持続的な上昇を背景として当社事業は順調に拡大しておりますが、今後国内外の政治・経済情勢を背景とした、顧客企業におけるIT関連投資を減退するような環境が発生した場合においては、当社の事業及び業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

② 競合他社による影響について

当社のASP、SaaS事業では先行者メリットを活かしつつ、顧客のニーズに合ったサービスの開発を行うことで優位性を高めております。しかしながらASP、SaaSサービスの新規参入の法的規制や技術的な障壁は必ずしも高いものとは言えず、資金力、ブランド力を有する大手企業をはじめとする競合他社により類似したサービスが開発され価格競争が激化した場合には、当社の業績に影響を及ぼす可能性があります。
当社では、顧客のニーズに合わせ、新機能の開発及び改善を進めていくことで、競合他社との差別化を図り、本リスクの低減に努めております。

 

③ 特定の製品への依存について

当社の売上高のうち、主要製品であるメール配信システム「Cuenote FC」の売上高は、売上高全体の65.2%(当事業年度)と過半を占めております。当社はメッセージングソリューションに関するサービスを提供する企業でありますが、競合製品との競争激化及び市場環境等の変化により「Cuenote FC」の売上が大幅に減少した場合には、当社の業績に大きく影響を及ぼす可能性があります。
当社では、引き続き、「Cuenote FC」の売上拡大を図る方針に変わりはありませんが、SMS配信サービス「Cuenote SMS」の売上拡大に取り組むことで、本リスクの低減に努めております。

④ 技術革新への対応について

当社が各種サービスを提供するインターネット事業領域においては新技術の開発及びそれに基づく新サービスの導入が頻繁に行われており、非常に変化の激しい業界となっております。そのため、当社のこれまでの経験が生かせないような技術革新があり、適時に対応ができない場合、当社が提供するサービスの競争力が低下する可能性があります。また、新技術への対応のため予定していないシステムへの投資が必要となった場合、当社の事業及び業績に影響を及ぼす可能性があります。
当社では、新機能開発やサービスの提供に関する新しい技術情報の収集及び習得を行い、積極的に導入することで、技術的優位性を維持することに努めております。

 

⑤ 取引先との取引が継続されないリスクについて

現在、売上高依存度が総売上実績の10%を超えるような顧客は無く、当社の顧客層は分散されております。しかしながら、比較的取引額の大きな取引先との解約等が発生し、解約率が上昇した場合及び販売代理店との関係悪化が発生した場合、当社の業績に影響を及ぼす可能性があります。
当社では、新機能の開発及び改善を進めサービスの市場価値を高めることにより、取引額の大きな取引先の解約を防ぐとともに、販売代理店との良好な関係を強化して顧客数の増加を図ることで、本リスクの低減に努めております。

 

⑥ システムトラブルによるサービス障害について

当社のASP・SaaS事業はインターネットを通じサービスを提供しております。利用者に質の高いサービスを提供するためサービスの監視やバックアップ、定期的なメンテナンス等を実施し、高い稼働率を維持するよう努めておりますが、次のような障害やトラブルが生じた場合に一時的にサービスが停止し、収益の低下、ユーザーからの信用低下、ブランドイメージの毀損及び開発業務の停滞等により、当社の事業及び業績に影響を及ぼす可能性があります。

a.インターネット回線の通信障害

当社ではサービスを提供する上でのインターネット回線は回線事業者より供給を受けております。インターネット接続回線の多重化や複数回線事業者を採用することで、一部のネットワークの通信切断による全サービスの停止リスクに備えております。また各回線事業者の保守など作業実施に際しては事前に実施日や内容を確認の上、当社のシステムやネットワークの設定変更によりサービス停止などの影響を回避するよう努めておりますが、自然災害や事故等により広い範囲で通信が切断された場合には、サービスの提供に支障が生じる可能性があります。

b.ショートメッセージ送受信用回線・設備の障害

SMS(ショートメッセージ)配信サービスにおいては、携帯電話事業者の提供する通信経路を活用しております。当社システムと携帯電話事業者間の通信については、複数経路で通信できるよう対策を講じております。また各回線事業者の保守など作業実施に際しては事前に実施日や内容を確認の上、当社のシステムやネットワークの設定変更によりサービス停止などの影響を回避するよう努めておりますが、携帯電話事業者の通信設備や通信網に障害が生じた場合には、ショートメッセージの送信が不能となりサービスの提供に支障が生じる可能性があります。

c.サービス機材の故障、停止

サービスを提供するためのサーバやネットワーク機器については、事前にその性能や安全性、安定性を評価の上採用し、システム構成時には機材を多重化することで単一機材故障時によるシステム障害に備えております。併せて定期的なバックアップや点検、増強、更新によりシステム稼働率の向上に努めておりますが、複数機材の故障や電源供給停止など予測不能な要因によりシステムが停止した場合にサービスの提供に支障が生じる可能性があります。

d.プログラム不具合

当社では新サービスや機能の開発にあたり、機能の企画設計から開発、テストまで十分に管理するとともに、プログラムのバージョンアップに際しては、複数システムに対して順次に適用することにより複数システムの同時トラブルの発生に対処しておりますが、しかしながら、想定しえない理由により予期せぬプログラムの不具合が生じた際にはサービスの提供に支障が生じる可能性があります。

e.外部からの不正アクセスやコンピューターウィルスの感染

サービスを提供するためのシステムやプログラムに対しては外部からの不正アクセスやコンピューターウィルスへの感染に対する物理的・技術的対策を講じるとともに定期的な脆弱性検査による点検を実施しております。しかしながら、オペレーションシステムにおける未知の脆弱性や未知のコンピューターウィルスへの感染等によりシステムが正常に機能しなくなる可能性があり、サービスの提供に支障が生じる可能性があります。

 

⑦ 法的規制について

当社は電子メールを取り扱うASP、SaaS事業を営んでいることから、「電気通信事業法」に基づき電気通信事業者の届出を行っており、通信の秘密等の保護の義務を課せられております。
また、インターネットの普及に伴い「特定電子メールの送信の適正化等に関する法律」「特定商取引に関する法律」「特定電気通信役務提供者の損害賠償責任の制限及び発信者情報の開示に関する法律」等を始め、インターネット事業領域に関する法令整備が進んでおり、今後新たに関連事業者を対象とした法的規制等が制定された場合、業務が一部制約を受け、当社の事業及び業績に影響を及ぼす可能性があります。また、万が一適用される法令等に違反した場合、当社の業績、事業運営及び社会的信用に重大な影響を及ぼす可能性があります。

当社システムでは多数のメールアドレスや電話番号に対してプログラム処理を行うことから、2013年にISMSの認証を取得し、全社的な情報管理・業務フローの適正化の監視監督を担う情報セキュリティ委員会の活動を通じて個人情報保護に関するフローの見直し、従業員教育、システムのセキュリティ強化、個人情報取扱状況の内部監査等を実施し、個人情報管理の強化に努めております。
また、当社では、関係諸法令を遵守する体制の整備及び役職員の研修を実施するとともに、事前の情報収集を実施することで、本リスクの低減に努めております。

・主要な事業活動の前提となる事項(電気通信事業者)の内容

 電気通信事業者(旧一般第二種電気通信事業者)、2002年9月取得、届出番号:A-13-04991

・許認可等の有効期間

 届出についての有効期限の定めはありません。

・許認可等の取消解約事由

 届出についての取消解約の定めはありません。

・継続に支障を来たす要因が発生していない旨及び重大な影響を及ぼす旨

 届出の継続に支障を来たす要因の発生及び重大な影響を及ぼす事象はありません。

 なお、届出事項に変更があった場合に変更の届出を行わないと罰則(3年以下の懲役若しくは200万円 以下の罰金または両方)が科されます。(電気通信事業法 第9条、第177条)

 

⑧ 特定の人物への依存について

代表取締役社長である清水亘は、会社経営の最高責任者として経営方針や事業戦略の決定をはじめ、当社の事業推進において重要な役割を果たしております。当社は、同氏に過度に依存しない経営体制を整備するため、取締役会における役員間の相互の情報共有や社外取締役、社外監査役の積極参加による経営組織の強化を図っております。しかしながら、何らかの理由により同氏が業務を継続することが困難になった場合には、当社の事業及び業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

⑨ 人材の採用・育成について

当社は、持続的で長期的な事業発展のため、多様な専門技術に精通した人材の確保が重要であると認識しており、人材採用を積極的に実施しております。しかしながら、国内における少子高齢化に伴う労働人口の減少や産業構造の変化を背景に、必要な人材を継続的に確保するための環境は日々厳しさを増しております。同時に人材確保のための採用費及び人件費も高騰しております。今後の競争激化により、必要な人材の確保が計画通りに進まなかった場合や人件費が高騰し続けた場合、また在職している技術者の社外流出が大きく生じた場合、当社の事業展開、業績及び財政状態等に影響を及ぼす可能性があります。
当社では、様々な媒体、手法による人材の採用及び育成を積極的に行うことで、本リスクの低減に努めております。

 

⑩ 情報管理体制について

当社が提供するサービスは、顧客の有する個人情報や機密情報が登録されることがあります。重要な情報資産が外部に漏洩した場合には、企業イメージの悪化、社会的信用の失墜、損害賠償請求の発生等により、当社の事業展開、業績及び財政状態等に影響を及ぼす可能性があります。

このため当社ではこれらの情報資産を保護するために個人情報保護方針、情報取扱規程を定め、この方針、規程に従って情報資産を適切に管理、保護を図っております。また、ISMS認証取得によるマネジメントプロセスを導入するとともに、ファイアウォールや対策機器等のシステム的な対策を施し、多層的な情報セキュリティ対策強化を推進しております。

 

⑪ 知的財産権の侵害について

当社は、自社の事業活動が他社の知的財産権等を侵害していないかの確認を実施しております。また、第三者の有する知的財産権の侵害を防ぐ体制として、自社及び外部専門家への委託等による事前調査を行っております。
既存のサービスについても調査可能な範囲で第三者の知的財産権侵害の可能性の調査を行っており、当社が事業活動を行うプロセスにおいて使用しているシステムは第三者の知的財産権等を侵害するものではないと認識しております。しかしながら不測の事態、例えば外部に委託した調査の不備により第三者の知的財産権等の侵害が生じた場合、その紛争の解決のための費用又は損失が発生する可能性は否定できないものと認識しております。この場合、当社の経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
当社では、第三者の知的財産権等の侵害可能性については、専門家と連携を取り調査可能な範囲で対応を行うことで、本リスクの低減に努めております。

 

⑫ 訴訟リスクについて

当社が事業の継続・拡大を行っていく上で、製品販売先若しくは各種取引先との間で紛争等が生じ、これにより訴訟等が提起され、当社が想定外の損害賠償金を支払うような事態が生じる可能性は常に存在します。上記「⑪知的財産権の侵害について」に記載のとおり、当社は第三者の知的財産権の侵害についての確認を実施しており、また、製品の開発等においても法的規制・製品の安全性の確認を実施することで、第三者の権利を侵害しないよう努めておりますが、第三者からの訴訟の提起を受ける可能性はゼロではなく、訴訟の提起を受けた場合、当社の経営成績及び財政状態に影響が生じる可能性があります。

 

⑬ 自然災害等について

地震、台風、津波等の自然災害、火災、各種感染症の拡大等が発生した場合、当社の事業運営に深刻な影響を及ぼす可能性があります。特に大規模な自然災害が多発したような場合には、当社の営業活動が制限されたり、取引先において正常な事業運営が行えなくなるなど悪影響が生じ、正常な事業運営が行えない場合、当社の経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
当社では、サービスを提供するための重要な事業基盤である情報資産が格納されているサーバを複数の拠点で分散配置、運用を行うことで、本リスクの低減に努めております。

 

⑭ 配当政策について

当社は財務体質の強化と事業の成長のための投資が重要であると考え、配当を実施しておりませんが、株主への利益還元は重要な経営課題と認識しております。
今後、将来の財務体質の強化と事業拡大のために必要な内部留保を確保しつつ、当社を取り巻く事業環境を勘案して、株主に対して安定的かつ継続的な利益還元を実施する方針ですが、現時点において配当実施の可能性及びその実施時期等については未定であります。

⑮ 新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の当社事業におけるリスクについて

当社においてはリモート業務推進環境の整備やオンラインを中心とした販売、サポート体制への移行により、事業活動への悪影響を低減しております。しかしながら新型コロナウイルス感染症の終息時期は不透明であり、最終的な影響については予測が困難であることから、経済活動が停滞する場合には、新規受注の減少や延期、また既存顧客の解約など、財政状態及び経営成績に悪影響を及ぼす可能性があります。

 

⑯ 調達資金の使途について

株式上場時における公募増資による調達資金の使途については、当社事業のさらなる成長のための設備投資、採用活動費、広告宣伝費等による費用に充当する計画としております。しかしながら当社の属する業界の環境変化や、それに伴う今後の事業計画の見直し等により、投資による期待通りの効果が上げられなくなる可能性や、場合によっては充当先の変更が生ずる可能性があります。この場合、当社の経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

 

(2)親会社との関係について

本書提出日現在、当社の支配株主(親会社)であるアイテック阪急阪神株式会社は、当社株式の52.1%を所有しておりますが、アイテック阪急阪神株式会社は阪神電気鉄道株式会社が55.7%及び阪急阪神ホールディングス株式会社が14.2%を保有する阪神電気鉄道株式会社の子会社であり、阪神電気鉄道株式会社は阪急阪神ホールディングス株式会社の完全子会社(連結対象)であることから、上記3社はいずれも当社の親会社に該当します。
なお、これら親会社とは法令等(東京証券取引所の定める有価証券上場規程を含む)に基づく開示に必要な情報のみを事前報告事項とする旨の契約を結び、独立性・自立性を確保しております。

 

① 親会社における当社の位置付けについて

アイテック阪急阪神株式会社は、阪急阪神ホールディングス株式会社の連結子会社であり、情報通信業としてインターネット、医療システム、社会システム等の事業を展開しています。当社は、メッセージングプラットフォーム「Cuenote」を開発し、メール配信システムやSMS配信システム等をクラウドサービスとして展開しています。

現在、アイテック阪急阪神株式会社及び阪神電気鉄道株式会社を含む阪急阪神ホールディングス株式会社のグループ(以下、「親会社グループ」という。)において当社と同じ業務を行う企業はなく、当社と親会社グループ各社との間には事業の棲み分けがなされ、競合関係もありません。

 

② 取引関係について

当社は現在アイテック阪急阪神株式会社との取引として、主にデータセンターの転借取引やCuenoteの代理店販売の委託を行っています。これらの取引については、親会社グループ各社からの独立性確保の観点も踏まえ、第三者である他社と同等の条件により取引を行っています。

当社は、Cuenoteの代理店販売を除き、親会社グループとの取引削減を進める方針ですが、今後も継続する取引及び新たに取引を行う場合は、その取引の合理性及び条件の妥当性について事業上の必要性及び他社との取引条件等を比較し検証を行った上で、当社にとって不利益となる場合は条件の見直し、解約を親会社と交渉を行い、取締役会で承認を行うこととしています。

現在においての当社と同社との間の主要な取引については、後記「第5 経理の状況 1 財務諸表等 (1)財務諸表 (注記事項) 関連当事者情報」に記載のとおりであります。

また、当社は、非常勤取締役として事業運営に知見を有する斎田 誠氏を、非常勤監査役として宇仁菅 亮介氏を同社から招聘しておりますが、出向者の受入れ等その他の人的関係はありません。当社は同社の承認を必要とする取引や業務は存在せず、事業における制約もなく、当社の経営方針及び事業戦略等の重要事項の意思決定において、当社は同社からの独立性・自立性は保たれているものと考えております。

同社は、今後も中長期的に当社株式を保有する方針ですが、将来的に、同社をその傘下に置く阪急阪神ホールディングス株式会社におけるコア事業体制の見直し等による、事業戦略変更・基盤事業再編を受け、市場で当該株式の売却が行われた場合や売却の可能性が生じた場合には、当社株式の市場価格に影響を及ぼす可能性があります。さらに、市場での売却ではなく特定の相手先へ譲渡を行った場合には、当該譲渡先の保有株数や当社に対する方針によっては、当社の経営戦略等に影響を与える可能性があります。

 

3【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

(1)経営成績等の状況の概要

当社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。なお、文中の将来に関する事項は、本書提出日現在において判断したものであります。

また、当社はメッセージングソリューション事業の単一セグメントであるため、セグメントごとの記載はしておりません。

 

① 財政状態の状況

(資産)

当事業年度末の資産合計は、前事業年度末に比べて、278,618千円増加し2,376,330千円となりました。これは主に当期純利益の計上に伴う現金及び預金の増加208,005千円、売掛金の増加27,155千円、設備投資による建物が6,026千円増加、工具、器具及び備品が19,301千円増加したこと及び前払費用の増加15,795千円等によるものです。

 

(負債)

当事業年度末の負債合計は、前事業年度末に比べて、37,623千円増加し440,185千円となりました。

これは主にデータセンター用機材取得等に伴う未払金4,845千円の減少及び賞与等に係る未払費用4,453千円の減少の一方で、未払法人税等45,001千円の増加及び未払消費税等3,757千円の増加等によるものです。

 

(純資産)

当事業年度末の純資産合計は、前事業年度末に比べて240,995千円増加し1,936,144千円となりました。これは自己株式の取得により118,406千円が減少した一方で、当期純利益の計上による利益剰余金の増加359,402千円によるものです。

 

② 経営成績の状況

当事業年度におけるわが国の経済は、新型コロナウイルス感染症の変異株による感染から回復の動きが見られ、経済活動が正常化へ向かう兆しがあるものの、ロシア・ウクライナ情勢の長期化による半導体の供給不足や資源価格の上昇、急激な円安など、依然として先行き不透明な状況が続いております。

一方、2022年12月12日に内閣府・財務省が発表した内閣府・財務省の法人企業景気予測調査(2022年10~12月期調査)によれば、今年度における国内の設備投資のスタンスを見ると、全産業における大企業の「情報化への対応」が重要度第2位の45.3%、中堅企業では第3位の43.9%と上位を占め、強く意識されており、当社が属する情報通信業界及び非接触型ビジネスモデルでは、マーケットの拡大や収益機会の増加が続くことを物語っております。

当社においても2022年12月にメッセージ配信サービスの過去最高配信数を更新、月間70億通の配信を記録しております。

このような状況の中、当社は引き続き「SaaS事業成長」「顧客価値向上」に向け、積極的に取組みを行いました。

当事業年度におきましては、次のような提供サービスの拡充を行っております。

・「Cuenote 安否確認サービス」:

2022年4月 安否確認を行いたい従業員・職員への通知手段として、従来のメールに加えオプションサービスとしてSMS(ショートメッセージサービス)を利用できるように機能拡張を行い提供を開始しております。携帯電話番号宛てに送信されるSMSは高い開封率を有し、受信者に対し確実に通知を届けられる特徴があり、複数手段(メール、SMS)を利用した通知が行えることから、より確実に安否確認が行えます。

・「Cuenote Auth」:

2022年5月 認証コードの自動生成、SMS・IVR(音声自動応答)を活用した認証をAPIで提供し、本人認証の仕組みを「簡単・短期間で」導入可能な認証サービスを提供開始しております。

・「Cuenote Survey」:

2022年7月 Google アナリティクス 4(GA4)連携機能を追加した最新版を提供開始しております。

・「Cuenote SMS」:

2022年12月 ハードウェア、ソフトウェアトークンを利用した多要素認証に対応した新バージョンを提供開始しております。

 

サービス提供種別の売上高の概況は以下のとおりであります。

・ストック型収益:Cuenote SaaSのサブスクリプション(サービス利用)売上並びにソフトウエア保守売上が含まれます。当事業年度は高価格帯プランの獲得及びショートメッセージ顧客数の増加によりストック型収益は2,132,482千円、当事業年度末定期契約額は187,377千円(前年同期末比6.4%増)となりました。

・スポット型収益:Cuenote SaaSの初期売上(初期利用登録、カスタマイズ、セキュリティ証明書などの取得代行)並びにソフトウエアライセンス売上(オンプレミス)が含まれます。当事業年度の売上高はSaaSの新規受注が堅調に推移したことから、48,723千円となりました。
以上の結果、当事業年度の売上高は2,181,206千円(前期比13.1%増)となりました。

売上原価は、726,049千円(前期比16.6%増)となりました。これは主にSMSの配信数増に伴う通信費や労務費の増加によるものです。

売上総利益は1,455,156千円(前期比11.4%増)となり、販売費及び一般管理費は、934,509千円(前期比4.7%増)となりました。これは主に各種広告施策に伴う広告宣伝費の増加、採用教育費の増加及び各種支払手数料の増加によるものです。

この結果、営業利益は520,647千円(前期比25.7%増)、経常利益は520,441千円(前期比30.6%増)、当期純利益は359,402千円(前期比25.3%増)となりました。

 

③ キャッシュ・フローの状況

当事業年度における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)の期末残高は、前事業年度末に比べて208,005千円増加し、1,721,203千円となりました。

当事業年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。

 

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

営業活動の結果獲得した資金は444,468千円となりました。収入の主な内訳は、税引前当期純利益520,441千円、減価償却費77,669千円等であり、支出の主な内訳は、売上債権の増減額△27,155千円、前払費用の増減額△15,795千円、法人税等の支払額117,696千円等によるものであります。

 

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

投資活動の結果使用した資金は117,761千円となりました。これはデータセンター用機材やWEB商談ブースなどの有形固定資産の取得による支出104,151千円及びサーバ仮想化ソフトなどの無形固定資産の取得による支出13,609千円により資金が減少したことによるものです。

 

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

財務活動の結果使用した資金は118,701千円となりました。これは自己株式の取得による支出118,701千円により資金が減少したことによるものです。

 

④ 生産、受注及び販売の実績

a.生産実績

当社の提供するサービスの性格上、生産実績の記載になじまないため、記載を省略しております。

 

b.受注実績

当社の提供するサービスの性格上、受注実績の記載になじまないため、記載を省略しております。

 

c.販売実績

当事業年度の販売実績は、次のとおりであります。なお、当社はメッセージングソリューション事業の単一セグメントであるため提供サービス別に記載しております。

 

サービスの名称

当事業年度

(自 2022年1月1日

至 2022年12月31日)

(千円)

前年同期比(%)

Cuenoteシリーズ

2,180,498

113.1

その他

708

59.2

合  計

2,181,206

113.1

(注)主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合については、

総販売実績に対する割合が10%以上の相手先がいないため記載を省略しております。

(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容

経営者の視点による当社の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。

なお、文中の将来に関する事項は、本書提出日現在において判断したものであります。

① 財政状態及び経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容

a.財政状態の分析

「(1)経営成績等の状況の概要 ①財政状態の状況」に記載のとおりであります。

b.経営成績の分析

(売上高)

当事業年度の売上高は前事業年度に比べ251,848千円増加し、2,181,206千円(前期比13.1%増)となりました。これは主にCuenote FCシリーズの受注が引き続き順調に推移したことによるものであります。なお、経営指標として重視しております、Cuenoteシリーズの期末月の定期契約額は前事業年度に比べ11,396千円増加し、187,377千円(前期比6.4%増)となりました。

(売上原価、売上総利益)

当事業年度における売上原価は前事業年度に比べ103,481千円増加し、726,049千円(前期比16.6%増)となりました。これは主に、配信数増による通信費の59,033千円増加及び技術者増員による労務費29,894千円増加等によるものです。

この結果、売上総利益は前事業年度に比べ148,367千円増加し、1,455,156千円(前期比11.4%増)となりました。

(販売費及び一般管理費、営業利益)

当事業年度における販売費及び一般管理費は、前事業年度から42,074千円増加し、934,509千円(前期比4.7%増)となりました。これは主に採用活動に伴う採用教育費の8,205千円増加、広告施策に伴う広告宣伝費の23,939千円増加及び持株会運営、各種メディア一括記事検索等に伴う支払手数料の7,634千円増加等によるものです。

この結果、営業利益は前事業年度に比べ106,292千円増加し、520,647千円(前期比25.7%増となりました。

(営業外収益、営業外費用、経常利益)

当事業年度における営業外収益は298千円減少し、88千円(前期比77.1%減)となりました。これは主にポイント収入額の74千円増加及びCMS解約に伴う受取利息の347千円減少等によるものであります。

また、当事業年度における営業外費用は15,874千円減少し、294千円(前期比98.2%減)となりました。これは前事業年度は上場関連費用16,168千円を計上していたため、当事業年度では同費用16,168千円減少及び自己株式取得のための支払手数料294千円増加によるものであります。

この結果、経常利益は、前事業年度から121,868千円増加し、520,441千円(前期比30.6%増)となりました。

(当期純利益)

当事業年度において、税引前当期純利益は520,441千円(前期比30.6%増)となりました。また、法人税、住民税及び事業税161,721千円、法人税等調整額△681千円を計上した結果、当期純利益は、前事業年度から72,486千円増加し、359,402千円(前期比25.3%増)となりました。

 

② キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容並びに資本の財源及び資金の流動性に関する情報

a.キャッシュ・フローの状況の分析

キャッシュ・フローの状況の分析につきましては「(1)経営成績等の状況の概要 ③キャッシュ・フローの状況」に記載のとおりであります。

b.資本の財源及び資金の流動性に関する情報

資本の財源及び資金の流動性については、当社の資金需要の主なものは、運転資金、法人税等の支払等であり、その資金の源泉といたしましては、営業活動によるキャッシュ・フロー等、自己資金により、必要とする資金を調達しております。

 

③ 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定

当社の財務諸表は、我が国において一般に公正妥当と認められる会計基準に基づき作成されております。この財務諸表の作成にあたって、経営者による会計方針の選択・適用、資産・負債及び収益・費用の報告金額並びに開示に影響を与える見積りを必要としております。これらの見積りについては過去の実績や現状等を勘案し、合理的に判断しておりますが、実際の結果は見積り特有の不確実性があるため、これらの見積りと異なる可能性があります。

なお、当社の財務諸表で採用されている重要な会計方針については、「第5 経理の状況 1 財務諸表等 (1)財務諸表 注記事項(重要な会計方針)」に記載のとおりです。

また、財務諸表の作成に当たって用いた会計上の見積り及び仮定のうち、重要なものは以下のとおりであります。

(繰延税金資産)

当社は、将来の利益計画に基づいた課税所得が十分に確保でき、回収可能性があると判断した将来減算一時差異について繰延税金資産を計上しております。繰延税金資産の回収可能性は将来の課税所得の見積りに依存するため、その見積りの前提とした条件や仮定に変更が生じ減少した場合、繰延税金資産及び法人税等調整額に影響を及ぼす可能性があります。

 

④ 経営方針、経営戦略、経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等

経営方針、経営戦略、経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標につきましては、「第2 事業の状況 1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等 (4)経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等」に記載のとおり、主な経営指標として売上高、営業利益、営業利益率にあわせ期末の定期契約額(月次経常収益)とメールサービスの解約率を重視しております。各指標の推移は以下のとおりであり、持続的な成長と企業価値の向上に向け順調に推移しているものと認識しております。今後も新規契約の獲得や解約抑制により期末定期契約額を積み上げることで売上や営業利益の拡大に努めてまいります。

 

 

前事業年度

当事業年度

売上高

1,929,357千円

2,181,206千円

営業利益

414,354千円

520,647千円

営業利益率

21.5%

23.9%

期末定期契約額(注)1

175,981千円

187,377千円

メールサービス解約率(注)2

0.38%

0.37%

(注)1.期末月の定期契約売上(期間利用を定めた契約に基づく収益:月次経常収益)となります。

2.メールサービス解約率は、メールサービスの金額基準の月次解約率の該当期間の平均値(小数点第3位を四捨五入)となります。

なお、「Cuenote SMS」「Cuenote Survey」「安否確認」は、含めておりません。

 

⑤ 経営成績に重要な影響を与える要因

経営成績に重要な影響を与える要因については、「第2 事業の状況 2 事業等のリスク」に記載のとおりであります。

 

⑥ 経営者の問題意識と今後の方針

当社は「価値の高い情報サービスの創造と提供を通して社会に貢献し、常に期待される企業を目指す」という企業理念のもと「SaaS事業の成長」「顧客価値向上」を通じ、事業を拡大してまいりました。
今後も持続的に成長するためには「第2 事業の状況 1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等」に記載の課題に対し、事業環境の変化を捉えつつ最善の経営方針を立案することが必要であると認識しております。

 

4【経営上の重要な契約等】

該当事項はありません。

 

2【主要な設備の状況】

当社における主要な設備は、次のとおりであります。

2022年12月31日現在

 

事業所名

(所在地)

設備の内容

帳簿価額

従業員数

(人)

建物

(千円)

工具、器具及び備品

(千円)

ソフトウエア

(千円)

合計

(千円)

本社

(東京都渋谷区)

本社機能

開発機能

28,283

104,654

23,849

156,786

93

大阪支店

(大阪市北区)

支社機能

開発機能

4,208

19,262

720

24,190

12

北海道オフィス

(札幌市中央区)

開発機能

-

115

-

115

4

福岡オフィス

(福岡市博多区)

開発機能

-

68

-

68

1

沖縄オフィス

(沖縄県中頭郡北谷町)

開発機能

-

206

-

206

2

(注)1.従業員数は就業人員数であります。なお、臨時雇用者数は、従業員数の100分の10未満であるため、記載を省略しております。

2.当社は、メッセージングソリューション事業の単一セグメントであるためセグメント別の記載を省略しております。

3.各事業所の建物はすべて賃貸物件であり、年間賃借料は以下のとおりであります。

 

2022年12月31日現在

事業所名

(所在地)

設備の内容

年間賃借料

(千円)

本社
(東京都渋谷区)

本社オフィス

開発拠点

102,408

大阪支店
(大阪市北区)

支社オフィス

開発拠点

7,480

北海道オフィス
(札幌市中央区)

開発拠点

3,366

福岡オフィス
(福岡市博多区)

開発拠点

1,143

沖縄オフィス
(沖縄県中頭郡北谷町)

開発拠点

2,880

 

①【株式の総数】

種類

発行可能株式総数(株)

普通株式

14,200,000

14,200,000

 

②【発行済株式】

種類

事業年度末現在発行数

(株)

(2022年12月31日)

提出日現在発行数(株)

(2023年3月31日)

上場金融商品取引所名又は登録認可金融商品取引業協会名

内容

普通株式

3,892,600

3,892,600

東京証券取引所

(グロース市場)

完全議決権株式であり、権利内容に何ら限定のない当社における標準となる株式であります。なお、単元株式数は100株であります。

3,892,600

3,892,600

 

①【ストックオプション制度の内容】

該当事項はありません。

 

②【ライツプランの内容】

該当事項はありません。

 

(4)【発行済株式総数、資本金等の推移】

年月日

発行済株式総数

増減数(株)

発行済株式総

数残高(株)

資本金増減額

(千円)

資本金残高

(千円)

資本準備金増

減額(千円)

資本準備金残

高(千円)

2021年4月30日

(注)1

3,518,856

3,554,400

-

118,281

-

35,779

2021年9月21日

(注)2

338,200

3,892,600

155,572

273,853

155,572

191,351

(注)1.株式分割(1:100)によるものであります。

2.有償一般募集(ブックビルディング方式による募集)

発行価格    1,000円

引受価額     920円

資本組入額    460円

払込金総額  311,144千円

 

(5)【所有者別状況】

 

 

 

 

 

 

 

2022年12月31日現在

区分

株式の状況(1単元の株式数100株)

単元未満

株式の状況

(株)

政府及び地方公共団体

金融機関

金融商品

取引業者

その他の

法人

外国法人等

個人その他

個人以外

個人

株主数(人)

-

2

20

17

20

3

1,570

1,632

-

所有株式数

(単元)

-

1,685

1,167

21,318

4,723

5

10,014

38,912

1,400

所有株式数の割合(%)

-

4.33

3.00

54.79

12.14

0.01

25.73

100

-

(注)1.自己株式84,637株は「個人その他」欄に846単元、「単元未満株式の状況」欄に37株含めております。

2.株主数には単元未満株式のみを所有する株主の人数を含めております

(6)【大株主の状況】

 

 

2022年12月31日現在

氏名又は名称

住所

所有株式数

(株)

発行済株式(自己株式を除く。)の総数に対する所有株式数の割合(%)

アイテック阪急阪神株式会社

大阪府大阪市福島区海老江一丁目1番31号

1,985,300

52.14

BNYM AS AGT/CLTS NON

TREATY JASDEC

(常任代理人 株式会社三菱UFJ銀行)

240 GREENWICH STREET

, NEW YORK, NEW YORK

10286 U.S.A.

(東京都千代田区丸の内二丁目7-1)

370,100

9.72

清水 亘

東京都世田谷区

260,700

6.85

株式会社日本カストディ銀行

(信託口)

東京都中央区晴海一丁目8-12

165,900

4.36

光通信株式会社

東京都豊島区西池袋一丁目4-10

114,900

3.02

及川 英夫

東京都品川区

84,600

2.22

JPモルガン証券株式会社

東京都千代田区丸の内二丁目7-3

35,600

0.93

BBH LUX/BROWN BROTHERS HARRIMAN (LUXEMBOURG) SCA CUSTODIAN FOR SMD-AM FUNDS - DSBI JAPAN EQUITY SMALL CAP ABSOLUTE VALUE

(常任代理人 株式会社三井住友銀行)

80 ROUTE D’ESCH LUXE

MBOURG LUXEMBOURG L-

1470

(東京都千代田区丸の内一丁目1番2号)

30,000

0.79

一般社団法人全国水産業団体共助会

東京都千代田区神田小川町二丁目3-6

23,000

0.60

株式会社SBIネオトレード証券

東京都港区六本木一丁目6-1

20,600

0.54

3,090,700

81.16

(注)1.発行済株式(自己株式を除く。)の総数に対する所有株式数の割合は、小数点以下第3位を四捨五入しております。

2.上記のほか、当社が所有している自己株式84,637株があります。

3.2022年5月23日付で公衆の縦覧に供されている大量保有報告書(変更報告書)において、ミリ・キャピタル・マネジメント・エルエルシーが2022年5月16日現在で以下の株式を所有している旨が記載されているものの、当社として当事業年度末現在における実質所有株式数の確認ができませんので、上記大株主の状況には含めておりません。なお、その大量保有報告書の内容は次のとおりであります。

氏名又は名称住所

住所

保有株券等の数

(株)

株券等保有割合

(%)

ミリ・キャピタル・マネジメント・エルエルシー

(MIRI CapitalManagement LLC)

アメリカ合衆国マサチューセッツ州

02116ボストン、ボイルトン・ストリート745、スイート301

株式 364,100

9.56

 

①【貸借対照表】

 

 

(単位:千円)

 

前事業年度

(2021年12月31日)

当事業年度

(2022年12月31日)

資産の部

 

 

流動資産

 

 

現金及び預金

1,513,197

1,721,203

売掛金

※1 269,714

※1 296,870

原材料

1,026

236

前払費用

33,583

49,379

その他

3,617

3,194

貸倒引当金

266

592

流動資産合計

1,820,874

2,070,292

固定資産

 

 

有形固定資産

 

 

建物

49,387

58,573

減価償却累計額

22,922

26,081

建物(純額)

26,464

32,491

工具、器具及び備品

446,808

528,709

減価償却累計額

341,803

404,402

工具、器具及び備品(純額)

105,005

124,306

有形固定資産合計

131,470

156,798

無形固定資産

 

 

ソフトウエア

20,206

24,569

その他

93

93

無形固定資産合計

20,299

24,662

投資その他の資産

 

 

敷金及び保証金

89,559

89,559

長期前払費用

8,944

7,771

繰延税金資産

26,563

27,245

投資その他の資産合計

125,067

124,577

固定資産合計

276,837

306,037

資産合計

2,097,711

2,376,330

 

 

 

 

(単位:千円)

 

前事業年度

(2021年12月31日)

当事業年度

(2022年12月31日)

負債の部

 

 

流動負債

 

 

買掛金

※1 13,400

※1 14,216

未払金

76,628

71,782

未払費用

173,747

169,294

前受金

32,052

27,548

未払法人税等

69,172

114,173

未払消費税等

29,790

33,548

その他

7,770

9,621

流動負債合計

402,562

440,185

負債合計

402,562

440,185

純資産の部

 

 

株主資本

 

 

資本金

273,853

273,853

資本剰余金

 

 

資本準備金

191,351

191,351

資本剰余金合計

191,351

191,351

利益剰余金

 

 

利益準備金

280

280

その他利益剰余金

 

 

繰越利益剰余金

1,229,663

1,589,065

利益剰余金合計

1,229,943

1,589,345

自己株式

-

118,406

株主資本合計

1,695,148

1,936,144

純資産合計

1,695,148

1,936,144

負債純資産合計

2,097,711

2,376,330

 

 

②【損益計算書】

 

 

(単位:千円)

 

 前事業年度

(自 2021年1月1日

 至 2021年12月31日)

 当事業年度

(自 2022年1月1日

 至 2022年12月31日)

売上高

1,929,357

2,181,206

売上原価

622,568

726,049

売上総利益

1,306,789

1,455,156

販売費及び一般管理費

※1 892,434

※1 934,509

営業利益

414,354

520,647

営業外収益

 

 

受取利息

361

14

その他

25

74

営業外収益合計

387

88

営業外費用

 

 

支払手数料

-

294

上場関連費用

16,168

-

営業外費用合計

16,168

294

経常利益

398,573

520,441

特別損失

 

 

固定資産除却損

※2 0

-

特別損失合計

0

-

税引前当期純利益

398,573

520,441

法人税、住民税及び事業税

114,345

161,721

法人税等調整額

2,688

681

法人税等合計

111,657

161,039

当期純利益

286,915

359,402