湖北工業株式会社
(注) 1. 2019年8月23日付で普通株式1株につき100株の株式分割を行っております。第61期の期首に当該株式分割が行われたと仮定して1株当たり純資産額及び1株当たり当期純利益を算定しております。
2. 潜在株式調整後1株当たり当期純利益については、第61期及び第62期においては潜在株式は存在するものの、当社株式は非上場であったため、期中平均株価が把握できないため記載しておりません。また、第64期においては潜在株式が存在しないため記載しておりません。
3. 第61期及び第62期の株価収益率については、当社株式は非上場であったため記載しておりません。
4. 従業員数は就業人員(当社グループからグループ外への出向者を除き、グループ外から当社グループへの出向者を含む。)であります。臨時雇用者数(嘱託社員及びパート社員を含み、派遣社員を除く。)は年間の平均雇用人員を〔 〕内に外数で記載しております。
5. 第61期、第62期、第63期及び第64期の連結財務諸表については、「連結財務諸表の用語、様式及び作成方法に関する規則」(昭和51年大蔵省令第28号)に基づき作成しており、金融商品取引法第193条の2第1項の規定に基づき、有限責任監査法人トーマツにより監査を受けております。
6.「収益認識に関する会計基準」(企業会計基準第29号 2020年3月31日)等を当連結会計年度の期首から適用しており、当連結会計年度に係る経営指標等については、当該会計基準等を適用した後の指標となっております。
(注) 1. 2021年10月28日開催の取締役会決議により、2021年10月28日付で自己株式1,000,000株の消却を行っております。これにより、発行済株式総数は9,000,000株となっております。
2. 2019年8月23日付で普通株式1株につき100株の株式分割を行っております。第61期の期首に当該株式分割が行われたと仮定して1株当たり純資産額及び1株当たり当期純利益を算定しております。
3. 潜在株式調整後1株当たり当期純利益については、第60期、第61期及び第62期においては潜在株式は存在するものの、当社株式は非上場であり、期中平均株価が把握できないため、記載しておりません。また、第64期においては、潜在株式が存在しないため記載しておりません。
4. 第60期、第61期及び第62期の株価収益率については、当社株式は非上場であるため記載しておりません。
5. 従業員数は就業人員(当社から社外への出向者を除き、社外から当社への出向者を含む。)であります。臨時雇用者数(嘱託社員及びパート社員を含み、派遣社員を除く。)は年間の平均雇用人員を〔 〕内に外数で記載しております。
6. 第61期、第62期、第63期及び第64期の財務諸表については、「財務諸表等の用語、様式及び作成方法に関する規則」(昭和38年大蔵省令第59号)に基づき作成しており、金融商品取引法第193条の2第1項の規定に基づき、有限責任監査法人トーマツにより監査を受けておりますが、第60期の財務諸表については、「会社計算規則」(平成18年法務省令第13号)の規定に基づき算出した各数値を記載しており、金融商品取引法第193条の2第1項の規定に基づく、有限責任監査法人トーマツの監査を受けておりません。
7. 第60期から第63期の株主総利回り及び比較指標は、2021年12月21日に東京証券取引所市場第二部に上場したため、記載しておりません。第64期の株主総利回り及び比較指標は、2021年12月期末を基準として算定しております。
8. 最高株価及び最低株価は、2022年4月3日以前は東京証券取引所市場第二部におけるものであり、2022年4月4日以降は東京証券取引所スタンダード市場におけるものであります。ただし、当社株式は、2021年12月21日から東京証券取引所市場第二部に上場されており、それ以前の株価については該当事項がありません。
9.第63期の1株当たり配当額55円には、上場記念配当5円を含んでおります。
10. 「収益認識に関する会計基準(企業会計基準29号 2020年3月31日)等を当事業年度の期首から適用しており、当事業年度に係る主要な経営指標等については、当該会計基準等を適用した後の指標等となっております。
当社グループは、当社及び連結子会社5社により構成されております。
当社グループの主な事業は、リード端子事業(アルミ電解コンデンサ用リード端子の製造・販売)、光部品・デバイス事業(光ファイバ通信網用光部品の製造・販売等)であり、各事業の内容は以下のとおりであります。
なお、次の事業内容の区分は「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1) 連結財務諸表 注記事項」に掲げるセグメントと同一の区分であります。
当社は、リード端子の製造・販売を国内顧客向けに行っており、光部品・デバイスの製造・販売を国内顧客及び海外顧客向けに行っております。また当社は、リード端子の一部の製品をKOHOKU ELECTRONICS (S) PTE.LTD.及び蘇州瑚北光電子有限公司より購入しており、光部品・デバイスの一部の製品を蘇州瑚北光電子有限公司及びKOHOKU LANKA (PVT) LTD.より購入しております。
KOHOKU ELECTRONICS (S) PTE.LTD.は、リード端子の販売及び光部品・デバイスの販売を行っております。
KOHOKU ELECTRONICS (M) SDN.BHD.は、リード端子の製造・販売を行っております。
東莞瑚北電子有限公司は、リード端子の製造・販売を行っております。
蘇州瑚北光電子有限公司は、リード端子の製造・販売及び光部品・デバイスの製造・販売を行っております。
KOHOKU LANKA (PVT) LTD.は、光部品・デバイスの製造を行っております。
以上述べた事項を事業系統図によって示すと、次のとおりであります。

(2) 各セグメントの事業内容について
リード端子事業は、自動車(車載)・通信基地局等の情報通信機器・工場の自動化向け等の産業機器・家電製品等極めて広い用途に使用されるアルミ電解コンデンサ(*1)の主要構成部品であるリード端子(*2)の製造販売を行っております。リード端子事業は1959年設立当初からの祖業であり、今日では当社グループ全体で年間500億個余りを生産し、日系を中心とした主要アルミ電解コンデンサメーカーへの供給を行っております。
ⅰ. 当社の強みは、自社技術が凝縮された量産技術であります。当社は溶接・プレス・洗浄・化成の全ての製造工程において独自のコア技術を開発し、製造装置に凝縮しております。コア技術の中枢部分である溶接技術は、鉄・銅・錫・ビスマス・アルミといった、それぞれ融点が大きく異なる金属群を瞬間的に溶接することが可能であり、1秒間に5個のハイスピードでリード端子を生産しております。
また、当社製品は競争優位性の中枢部分である溶接強度に優れており、車載メーカーの要求強度が5ニュートンであることに対し、当社製品は30ニュートンを実現しております。
全ての製造工程について、車載メーカーからの品質要求を十分に満たし、シックスシグマ管理(不良品発生確率を極小まで低減することを目標とした品質活動)で実現する品質特性を顧客から評価頂いております。
ⅱ. アルミ電解コンデンサの更なる特性向上と品質向上に寄与するため、次のようなコアとなる技術開発を行い、いずれも国際特許を保有しております。
① アルミ電解コンデンサの構成部品であるアルミ箔や電解紙(セパレータ)(*3)の破損を防止するため、プレス工程を改善し、突起物等の発生を抑制する技術(ノーバリ技術)を開発いたしました。
② リード端子の表面に発生し、アルミ電解コンデンサの破損の原因となるウィスカ(金属結晶が針状に成長する現象)を抑制するため、樹脂コーティング技術を開発いたしました。
③ アルミ電解コンデンサのスリーブ破損(*4)と封口ゴム破損対策のため、Cp線(*5)の先端を丸目状に加工する技術を開発いたしました。
他のコア技術も含めグローバルで73件の特許を取得、保護・差別化を具現化しております。
ⅲ. 車載向け主要顧客と長期的かつ安定的な取引を継続、営業、技術・品質指導及び会議を通じ、製造工程における生産技術や品質管理の強化等のレベルアップを図っております。国際規格のISO9001、ISO14001に加え、車載メーカーの要請で自動車産業に特化した国際規格であるIATF 16949をグローバルで認証取得し、車載向け品質管理を徹底し顧客の信頼を得ております。
ⅳ. 通信基地局を中心とするICT市場向けは、5G通信基地局の大容量化に伴う使用数の増加、サーバー増強等に伴う使用数の増加、スマートフォン等向けのモバイルチャージャーの高性能化等により、出荷数が増加しております。更に、ロボットをはじめとする工場自動化や各種電源の産業機器向けにも、培った技術と品質の製品を納入しております。
ⅴ. 創業当初から、主要アルミ電解コンデンサメーカーの工場拠点に近い立地での生産を進めてまいりました。特に日系アルミ電解コンデンサメーカーのASEAN地域、中国等への海外進出に呼応し、マレーシア、中国・東莞、中国・蘇州の3拠点に子会社を設立して生産を行っております。各生産拠点においては、同一設備、同一生産方法で生産を行うと共に、BCP(事業継続計画)に対応する体制を構築しており、長きにわたり安定供給を継続しております。
ⅵ. 以上を総合し、当社グループのリード端子は、高いコア技術の開発と量産技術の確立の継続、コア技術の国際特許による保護、車載向け主要顧客と長期的な取引及びIATF 16949の認証取得による顧客からの信頼の確立を進めることにより、競合他社との差別化を図っております。
光部品・デバイス事業は、今日の情報通信に欠かせない光ファイバ通信の機器や光モジュール(*6)に使用される「光部品(*7)」及び「光デバイス(*8)」を製造販売しており、特に1995年より製造販売を始めた高信頼性(水深6,000メートルの海底で25年間故障せず機能し続けること)が要求される光アイソレータ(*9)が中核製品です。
ⅰ. 当社グループが製造販売する光部品・光デバイスは、長年培ってきた精密形状の石英ガラスの製造技術及び磁気光学材料の製造技術等のノウハウに基づく素子づくり、並びに光ファイバの高精度整列技術(*10)及び光学部品の高精度インテグラル(すり合わせ)技術(*11)に基づく精密組立の一貫生産を強みとし、競合他社との差別化を図っております。
ⅱ. 光デバイスにおいては、当社のファラデーローテータ(磁気光学材料)(*12)の応用製品として光アイソレータを開発し、関連した光フィルタ(*13)等と共に主に海底ケーブル向けに製造販売しております。海底ケーブル向け光アイソレータは、高信頼性(100万時間あたりの故障率が0.01%以下)が特長であり、海底ケーブルの通信手法が旧来の方式(光信号を電気信号に変換・増幅する方式)から現在の方式(光信号を増幅する方式)へと移り変わる最中であった1995年に販売を開始して以来、25年以上の実績があります。また、海底ケーブルの高速大容量化を実現する波長分割多重(*14)および空間分割多重(*15)のプラットフォーム開発に係わり、新たな光フィルタ等の製品も製造販売・開発しております。
ⅲ. 今日においては、移動体通信(*16)の大容量化、データセンタの大規模化等による世界的な情報通信量の増加等に伴い、海底ケーブルの投資や敷設が増加しております。当社グループは、光アイソレータ等の安定供給のために、国内とスリランカとの拠点間の垂直分業(磁気光学材料づくりと精密組立との分業)による一貫生産の体制をさらに強化しております。
ⅳ.光部品においては、高速光ファイバ通信を担う波長可変レーザ(ITLA)(*17)や光受信回路(ICR)(*18)用途に2008年頃から進出し、当社の精密形状の石英ガラスを用いた光部品が光モジュールの大手メーカーに採用される等、供給者としての関係を堅持しております。また、世界的な光ファイバ通信の投資と増設が近年活発化しております。これらの活動に牽引され大手光モジュールメーカーの増産が続いており、当社は高まる需要に対応するため、中国・蘇州とスリランカとの拠点間の水平分業、国内と海外拠点との垂直分業(精密形状石英ガラスづくりと高精度配列との分業)を推進することで、顧客が要求する数量・納期に柔軟な対応を可能とする光部品の製造販売体制を構築しております。
(用語解説)
(注) 1. 「主要な事業の内容」欄には、セグメントの名称を記載しております。
2. 特定子会社であります。
3. 有価証券届出書又は有価証券報告書を提出している会社はありません。
4. 「議決権の所有割合」欄の(内書)は間接所有であります。
5. 以下の各社については、売上高(連結会社相互間の内部売上高を除く。)の連結売上高に占める割合が10%を超えております。
(注) 1. 従業員数は就業人員(当社グループからグループ外への出向者を除き、グループ外から当社グループへの出向者を含む。)であります。臨時雇用者数(嘱託社員及びパート社員を含み、派遣社員を除く。)は最近1年間の平均雇用人員を( )内に外数で記載しております。
2. 全社(共通)は、当社グループの管理部門に所属しているものであります。
(注) 1. 従業員数は就業人員(当社から社外への出向者を除き、社外から当社への出向者を含む。)であります。臨時雇用者数(嘱託社員及びパート社員を含み、派遣社員を除く。)は最近1年間の平均雇用人員を( )内に外数で記載しております。
2. 平均年間給与は、賞与及び基準外賃金を含んでおります。
3. 全社(共通)は、当社の管理部門に所属しているものであります。
当社グループにおいて労働組合は結成されておりませんが、労使関係は円満であり、特記すべき事項はありません。
文中の将来に関する事項については、当連結会計年度末現在において、当社グループが判断したものであります。
(1) 経営方針
当社グループは、グローバルニッチトップの複合体を成す、すなわち国内外の小規模市場を一体的に捉えたグローバル市場において高いシェアと確固たる地位を築く、という成長シナリオに主眼を置き、次の指針に沿った事業活動を展開しております。
① 経営ビジョン
オンリーワン企業の実現に資する研究開発、技術開発等を遂行していき、高収益事業を構築していく。
② 中期経営基本方針
ⅰ. 基盤事業(リード端子)の収益力強化を実現する。
ⅱ. 成長事業(光デバイス)のシェア拡大と新製品開発を実現する。
ⅲ. コア技術を活用した次世代事業を育成する。
ⅳ. 全分野の新製品リリースを加速する。
ⅴ. 経営管理体制を強化し、強固な利益体質を構築する。
また、上記を含めたグループ中期経営計画に基づき、経営課題の解決を図りつつ、企業価値の最大化に努めております。
(2) 事業戦略
各事業セグメントにおいては、次のような方針にて事業の進展を図ってまいります。
① リード端子事業
ⅰ. 車載向け、産業機器向け等の高付加価値・高信頼性リード端子の営業戦略
(イ) 自動車関連市場
環境対応、自動運転に向けた「CASE」(Connected、Autonomous、Shared、Electric)等の新技術により、自動車業界は100年に1度の変革期にあるといわれています。電気自動車・ハイブリッド車等の環境対応自動車の普及や、自動運転や先進運転支援システムの実用化等を背景とした自動車(車載)全体の電装化が進み、小型アルミ電解コンデンサに対する小型化、耐振性、低漏れ電流等の要求水準が高くなっていることを受け、その主要部品であるリード端子のバリレス品(*1)、ノーバリ品(*2)、丸目品(*3)、化成品(低漏れ電流)(*4)等の技術開発品等の機能強化と溶接・プレス形状の品質向上を推進してまいります。近年では、低ESR・低漏れ電流・高リプル電流許容に優れているハイブリッドタイプ(電解質が液体と固体の複層)アルミ電解コンデンサ向けリード端子(*5)の増強拡大として、技術開発の深化・拡大の強化等、さらなる高付加価値製品の実現を図るべく、継続した製品開発の推進を進めております。アルミ電解コンデンサメーカー各社と技術会議を開催し、市場要求に対応した製品の開発と量産化を推進し、付加価値向上を進めていく予定であります。
以上を総合し、アルミ電解コンデンサ・ハイブリッドタイプ向けリード端子、電気二重層キャパシタ(EDLC)、リチウムイオンキャパシタ用(いずれも車載向け)リード端子の技術開発・品質高度化への対応を進めます。
同時に、既に認証取得しております車載向け品質規格IATF 16949での品質管理をグローバルで強化し、一層の車載品質の構築を展開してまいります。
(ロ) 通信基地局等ICT市場、産業機器(FA・ロボット、計測機器)市場
全世界でコンピュータ、スマートフォンの急増と、それに伴う高速大容量通信化の進展により、次世代通信規格5G(第5世代移動通信システム)の急速な普及、拡大が見込まれます。そのため5G対応基地局向けとして、導電性高分子(固体)タイプ(*6)のコンデンサが主に用いられ、銅線タイプのリード端子が使用されます。また、拡大するFA/計測機器には小型大容量コンデンサが主となるほか、大サイズタイプのリード端子が使用されます。ゲーム機器向けのチップタイプ(*7)、リード端子のノーバリ品が使用される小サイズタイプ等、市場の要求仕様に対応したリード端子の開発を進めていく予定をしております。
(ハ) ボリュームゾーンを対象とした営業戦略(生活家電市場向け戦略)
日系コンデンサメーカーの生活家電市場向けアルミ電解コンデンサに対応し、低コスト化については中国工場を中心に推進することで受注増量を目指しております。
同時に、中国系、台湾系メーカーが生活家電市場向けにボリュームゾーンとして大量生産しているアルミ電解コンデンサに対応するため、競合他社製品との比較(材料仕様等)による材料コストの見直し、新設備の導入による生産性向上を目指しております。
(ニ) 課題と対応
世界的な人件費高騰への対応として生産性の大幅な向上と歩留まり・品質の向上をプロセスイノベーションとして、製造工程、製造方法、製造装置を抜本的に革新し、装置の自動化、タクトアップ(*8)等を進めると共に、製造工程のIoT化で設備状態と生産状況を管理し、生産性向上(可動率90%以上)・品質の向上による収益性を底上げし、資源の効率使用を進めてまいります。
重点戦略として、装置のタクトを1.7倍にする1分あたり500個の超高速溶接・プレス機の開発を進め、洗浄・化成工程と検査工程では自動化やAI化による省人化を進めております。
カントリーリスク等のリスク管理対応とサプライチェーンの強靭化を推進する為、マレーシア子会社の生産基盤を強化し、海外3子会社の平準化を進めると共に、原材料においても韓国、中国、マレーシア等から安定的な調達を確保してまいります。これらのサプライチェーンの強靭化を進めASEANで生産強化される日系顧客からの受注に対応してまいります。
② 光部品・デバイス事業
ⅰ. 市場別重点施策
(イ) 海底ケーブル市場
クラウドコンピューティング、ソーシャルメディア等の新たなアプリケーションが世界的な情報通信量を増加させ、従来の通信事業者に加え拡大するクラウドサービス等に対応したGAFAM等の大手グローバルテック企業が新たな海底ケーブル網整備のための投資を牽引してきました。これら新たな海底ケーブルでは高速大容量化のために多値符号化(*9)、波長分割多重化、空間分割多重化等の技術が高度化され、光アイソレータ等の需要が大きく拡大しました。また、海底ケーブル内の光ファイバの多芯化(*10)において、光デバイスの高密度実装化を可能にするために、小型の光デバイスや複合機能の光デバイス等の要求が高まりました。
これらの市場や技術の動向に対して、海底ケーブルの多芯化に対応した小型の光アイソレータの開発に引続き、複合機能の光デバイス等の製品ラインアップの強化を推進してまいります。また、さらなる多芯化を先取りした新技術の製品開発、新たなマルチコアファイバ(*11)に対応した光デバイスの開発など、技術動向に対応してまいります。
市場の需要に対して、ファラデーローテータ等の素子づくり、及び光アイソレータ等の光デバイスの精密組立の設備投資による生産性向上を継続してまいります。さらに、光デバイスの精密組立においては多拠点化に向けた自動化ライン開発を進めてまいります。
(ロ) データセンタ市場
データセンタ市場においては、クラウドコンピューティングやネットワークとデジタルテクノロジを活用したDXが世界的にデータセンタ構築を増加させ、新たなデータセンタへの投資が拡大しました。これらの新たなデータセンタでは、高速大容量の情報を処理するために、データセンタ内およびデータセンタ間の光通信の需要が増加しました。
これらの市場や技術の動向に対して、データセンタ間の光通信に用いられる高速光モジュール(*12)向けに高精度光ファイバアレイ(*13)の製品ラインアップの強化を推進してまいります。特に、当社コア技術のスラリーキャスト法(高純度石英ガラスの製造技術)を適用した差別化製品を充実させてまいります。また、中国拠点の移転に関連し、生産の多拠点化を進めてまいります。
(ハ) ファラデーローテータ(磁気光学材料)市場
光アイソレータに使われるファラデーローテータは、海底ケーブルから移動体通信基地局にいたる幅広い光通信分野で用いられるものの、市場参加者が少ないニッチ分野であります。当社の強みである素子づくり(海底ケーブル用光デバイス製造技術(*14)等)を活かし、光ファイバ通信分野や産業機器分野のニッチ製品として製品ラインアップしてまいります。
ⅱ.研究開発
(イ) 次世代光デバイスの研究開発
海底ケーブルのさらなる多芯化を先取りする新技術の製品開発、マルチコアファイバの光デバイスの開発を強化してまいります。また、大学等の研究機関との共同により新たな製品の開発や技術の創造に取組んでまいります。
(ロ) 素材技術の研究開発
当社コア技術であるスラリーキャスト法(*15)は、「不純物が極めて少ない」「紫外線領域において透過特性が優れる」「自由度の高い形状が実現できる」といった複数の特性があります。
これらの特性を活かし、半導体産業分野、医療・分析機器分野、レーザー加工分野など、新しい分野への進出を目指してまいります。
(用語解説)
(3) 優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題
100年に一度の変革期になると言われる自動車業界では、環境対応車(電気自動車、ハイブリッド車)の登場や、自動運転に向けた先進運転支援システム等を背景とした自動車全体の電子化が進行しております。また、クラウドコンピューティング、ソーシャルメディア等の新たなアプリケーションが世界的な高速大容量通信を増加させ、データセンタにおいてデータ処理量の飛躍的な増加が見込まれております。
これらの社会変革に伴い増加する顧客のニーズに対し、当社は生産技術と工程の革新にて応え、より安定した製品供給を行うことが課題であると考え、上記「(1) 経営方針」に基づき対処方針を定め、次のとおり取り組んでおります。
① 研究開発の推進
当社グループの強みは、アルミ電解コンデンサの主要部品であるリード端子や、海底ケーブル、データセンタに使用される光デバイス製品等、世界的に競争できる製品を製造し、供給していることであります。
リード端子においては、全ての生産工程を自社開発・自社設計の装置にて行っており、高い品質と生産性を推進しております。鉄・銅・錫・ビスマス・アルミといった異金属を高速で溶接・プレスし、アルミ電解コンデンサの特性向上に寄与するコア技術を凝縮し、量産技術を誇っております。
光部品・デバイスにおいては、光アイソレータは原料の素子づくりから精密組立等を一貫して行うこと等により、極めて高い信頼性が要求される海底ケーブルにおいて、継続的に採用されております。こうした製品を創り出すための技術力は、長い実績に蓄積された経験や試行錯誤の末に得られるデータが基になっております。当社グループでは、顧客、ひいては社会の要請に応える製品を供給できるよう、研究開発を重要課題に据えております。
② 製品の安定供給
当社グループのリード端子事業及び光部品・デバイス事業の主要な生産拠点は、顧客への安定的な製品供給のため、国内のみならず海外にも展開しております。一方で、海外に拠点を展開することにより、政治、経済、社会環境、インフラ、公衆衛生、材料輸送及び製品輸送等の、新たに発生するリスクへの対応が求められております。
当社グループは、これらのリスクに対し短期的・中期的に対応することが重要であると考えており、これらのリスクを最小化しつつ、各工場の役割の最適化を行うことにより、製品の安定供給を推進してまいります。
③ 優秀な人材の確保と育成
当社グループの経営理念は、「豊かな個性を尊重する全員参加型の経営を実践し、新しい価値の創造を通じて、オンリーワン企業を目指す」であります。経営目標の実現を目指して、社員個々人の持ち味を活かした人材育成を行い、それぞれの役割意識を高め、個性が発揮できる場を創り出してまいります。
当社グループは、研究開発型企業として確かな技術に裏付けられた製品を生み出し、新たな価値を創造・付加し続けるために、人材の確保と育成が重要であると考えております。これらを実現するため、働く喜びを実感できる働きやすい職場環境の整備や、スキル向上のための研修機会の提供に努めております。
④ ガバナンス体制等
当社グループは、2021年12月期に上場会社となりましたがその社会的責任を果たすべく、引き続きガバナンス体制の充実化、内部管理体制の強化に懸命に取り組んでまいる所存でございます。
(4) 経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等
当社グループは、投資余力と利益還元のバランスに重点を置き、また持続的な成長の源泉として事業利益が重要であると考えていることから、経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標(KPI)として、事業別営業利益を評価軸に掲げております。
本書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、投資者の判断に重要な影響を及ぼす可能性のある事項には、以下のようなものがあります。ただし、以下の事項は当社グループに係る全ての事業等のリスクを網羅的に記載したものではなく、記載された事項以外にも予測し難い事業等のリスクが存在するものと考えております。また、必ずしもそのようなリスク要因に該当しない事項につきましても、投資判断、あるいは当社グループの事業活動を理解する上で重要と考えられる事項につきましては、投資者に対する積極的な開示の観点から記載しております。
以下の各事項において、当該リスクが顕在化する可能性の程度や時期、当該リスクが顕在化した場合に当社グループの財政状態及び経営成績に与える影響の内容につきましては、合理的に予見することが困難であることから記載しておりません。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
当社グループは、売上高全体に占める海外売上高の比率が高く、また、アジア地域に複数の生産拠点を設置しております。それに伴い、対象国の経済動向、社会情勢及び政治状況の変化、競合他社との競争激化、貿易、通商及び金融に係る社会制度等の政策の変更、もしくは近隣諸国等における戦争、内乱、クーデター、テロ、暴動及び治安悪化等のリスクが存在しております。想定を超える外部環境の変化が発生した場合には、当社の売上高の減少や、当社グループ子会社が営む事業の遅延、中断及び中止等によって、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
当社グループにおいては、当該リスクを軽減するために、非常時に備えた主要材料等の在庫保有を進めており、主要顧客への安定供給と事業保全の両立を図っております。
当社グループは、売上高全体に占める海外売上高の比率が高く、外貨保有、取引に伴う為替の変動リスクが発生いたします。急激な為替相場の変動が発生した場合には、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
当社グループは、当該リスクを軽減するために、外貨建の債権債務のポジションを掌握し、受取外貨による外貨支払いを基本線としつつ、必要に応じて外貨の円転及び外貨の購入等を機動的に実施しております。
当社グループは、アルミ線をはじめとした原材料等を仕入れておりますが、国際市況の影響を受けることにより、仕入価格上昇によるコストアップの可能性があります。原材料等の急激な価格高騰が生じた場合には、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
当社グループのリード端子事業においては、当該リスクを軽減するために、主要材料の相場変動に連動したスライド価格制度を導入しており、主要顧客への安定供給と事業保全の両立を図っております。
(4) 価格競争について
当社グループは、グローバルニッチ市場において製品を提供しておりますが、一定の競合他社が存在しており、価格の引き下げ圧力が生じた場合には、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
当社グループは、高付加価値の新商品の開発を進めると共に、高いシェアを維持し、非価格競争で経営成績等への影響を最小限にすべく対応しております。
当社グループは、多くの生産設備を有しており、地震や風水害等の予期せぬ自然災害等、また不測の事態や火災等の事故が発生した場合には、生産能力の著しい低下等が生じる可能性があり、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
当社グループは、当該リスクを軽減するために、各生産拠点において、生産設備の定期的な災害防止検査・点検を実施し、生産設備の保全に努めております。
(6) 研究開発について
当社グループは、既存製品及び新製品の研究開発等により技術力の向上を図っておりますが、研究開発費用に対して十分な製品開発等ができない場合には、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
(7) 製品の品質について
当社グループは、当社グループが定めた品質方針に基づき、IATF 16949やISO9001に準拠した品質管理基準に則って製品を製造しております。しかし、何らかの原因により当社製品に欠陥が生じた場合や、製造物責任による高額な賠償金の支払い義務、品質不良に起因する高額な間接的損害が発生した場合には、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
当社グループは、当該リスクを軽減するために、グループ全体の付保状況の見直しや、国内外PL(製造物賠償責任)保険への加入を鋭意進めております。
(8) 人材確保のリスクについて
当社グループが企業の価値を永続的に高めていくためには、研究開発・製造やマネジメントをはじめ各部署に必要な人材の確保が不可欠であります。企業間の採用動向や労働人口の変化が大きい場合があるため、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
当社グループは、当該リスクを軽減するために、新人・中途採用を問わず計画的・継続的な人材採用や育成を行っております。
当社グループは、創業以来培った技術の更なる研鑽に加え、新たな技術の獲得が必要と考えております。このため、新製品開発に注力する一方、M&Aや業務提携等による更なる拡充を図っております。しかし、M&Aの実現や業務提携等には、多額の投資が必要になる他、知的財産権や人的な問題等が発生する場合があります。効果的な他社との提携が成立しない場合には、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
当社グループは、当該リスクを軽減するために、M&Aや業務提携にあたりましては財務・法務等に係るデューデリジェンスを実施し、対象会社のリスクを適切に把握のうえ実行してまいります。
当社グループは、事業経営に関わる多岐にわたる重要機密情報を有しており、不測の事態による情報漏洩により、当社グループの信用失墜による売上高の減少または損害賠償による費用の発生等が生じる場合には、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
当社グループは、当該リスクを軽減するために、「情報セキュリティ基本方針」等の情報管理に関する規程を定め、また従業員に対して情報管理に関する教育を行う等、情報管理体制の強化を徹底しております。
(11) 知的財産権について
当社グループは、弛まぬ研究開発を重ね、競争優位性の源泉たる技術の蓄積を図り、知的財産権としての権利化を進め、法的保護に努めておりますが、出願した特許権等の知的財産権の特許査定を得られなかった場合、当社グループの知的財産権が不正目的で使用されたり外部により模倣された場合、当社グループが第三者の知的財産権を侵害していると司法判断された場合には、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
当社グループは、当該リスクを軽減するために、管理する知的財産権に関して、第三者による権利の侵害リスクを検知した場合には、遅滞なく所管部門長を経て技術部部門長に報告することと定めており、第三者の特許権等の侵害が疑われる場合には、顧問弁護士の意見を聴取して、詳細調査を行う体制を構築しております。
当社グループは、当社グループが事業を展開する国または地域において、環境法令等多くの法令・公的規制による影響を受けております。そのため、法令等の重要な変更が生じた場合、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。さらに、万一、各種法令諸規則に抵触する行為が発生し、コンプライアンス上の問題に直面した場合には、監督官庁等からの処分、訴訟の提起、係争中事案の進展、社会的信用の失墜等により、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
当社グループは、当該リスクを軽減するために、各種法令諸規則が遵守されるよう全ての役員及び従業員に対してコンプライアンスの徹底を行っております。具体的には、コンプライアンス研修等の実施や、コンプライアンス管理規程の制定、コンプライアンス委員会の設置・運営等により、コンプライアンスの風土醸成と全社的推進を図っております。
(13) 不正競争防止法に係る訴訟について
当社グループは、技術、営業その他事業にかかる営業秘密を多数有しております。情報管理に万全を期しておりますが、予期せぬ事態により営業秘密が流出し、第三者がこれを不正に取得、使用するような事態が生じた場合、あるいは当社グループ役員及び従業員が第三者の営業秘密を不正に取得、使用するような事態が生じた場合、当社グループの社会的評価が失墜し、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
当社グループは、当該リスクを軽減するために、情報管理体制の整備及び強化、全ての役員及び従業員に対する教育等を通じて、営業秘密のグループ外への漏洩を防ぐ方策を講じております。また、第三者の営業秘密を不正に取得、使用することがないよう、全ての役員及び従業員に対する教育等を徹底しております。
なお、当社グループの光部品・デバイス事業において、2019年8月に不正競争防止法における営業秘密の不正取得を理由とした訴訟が提起され、係争中となっております。当該訴訟については、原告に対して当社の主張を丁寧に説明するなど反論を行っております。
(14) 第三者による類似した商号との誤認について
当社グループは、「KOHOKU」と商標登録することでブランドを保護しておりますが、当社グループと資本関係を有さない第三者が類似した商号を使用することにより、当社グループ会社であると誤認されるリスクが存在しております。当該第三者が重大事故等の事態を引き起こし、それによって当社のブランド価値が毀損された場合、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
(15) 固定資産の減損について
当社グループは、工場、機械設備等多くの固定資産を保有しており、四半期毎に各拠点において当該資産の減損兆候の判定を行っております。業績変動等を理由に減損の兆候が生じ、固定資産の減損を行う必要が生じた場合には、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
当社は、2015年に実行されましたFDK株式会社の光部品事業(光部品事業を営む同社の子会社の株式、その他これらに付随又は関連する資産を含む。)の譲り受けを目的として、複数の金融機関とシンジケーション方式による長期貸出コミットメント契約を締結しております。シンジケートローン契約には財務制限条項が付されており、条項に抵触した場合は当社グループの資金繰りに影響を及ぼす可能性があります。
(17) 新型コロナウイルス感染症の感染拡大について
当社グループは、国内及び海外で生産活動を行っており、各拠点において健康や安全衛生に配慮した事業活動を行っております。
また、新型コロナウイルス感染防止策をすべての役員及び従業員に対して周知徹底しており、政府等からの要請を遵守のうえ、感染拡大防止に努めております。
当社の代表取締役である石井太は、当社グループの事業運営において極めて重要な役割を担っております。当社グループは、取締役会や経営会議等において役員及び従業員への情報共有を行うことで経営管理体制の強化を図り、同氏に過度に依存しない経営体制の整備を進めておりますが、何らかの理由により業務遂行が困難になった場合、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
(19) 大株主について
当社の代表取締役である石井太及び同氏の資産管理会社であるアイエフマネジメント株式会社が、本書提出日現在で発行済株式総数の63.6%を所有しております。同氏は、安定株主として一定の議決権を保有し、その議決権行使にあたっては、株主共同の利益を追求するとともに、少数株主の利益にも配慮する方針であります。同氏は、当社の代表取締役であることから、当社といたしましても安定株主であると認識しておりますが、将来的に何らかの事情により同氏により当社株式が売却された場合には、当社株式の市場価格及び流通状況に影響を及ぼす可能性があります。
① 経営成績の状況
当連結会計年度における世界経済は、ウィズコロナの流れの中、経済活動の回復が期待されたものの、中国における「ゼロコロナ政策」による景況悪化や、ウクライナ情勢に端を発したエネルギー価格の上昇、また欧米各国における金融引き締めによる景気後退懸念等から、厳しい状況が続きました。
わが国におきましては、新型コロナウイルス感染症の規制の緩和に合わせて国内消費については回復傾向となったものの、秋以降の急激な円安ドル高や継続的なエネルギー価格の高騰が原材料価格等の上昇をもたらし、本格的な景気回復には至りませんでした。
こうした中、当連結会計年度の経営成績は、売上高は円安の影響と、リード端子事業における原材料価格の販売価格への転嫁により15,673百万円(前年同期比7.2%増)となりました。営業利益については、主要向け先分野の一つである情報通信機器・民生機器市場の低迷により売上数量が減少したこと、また原材料価格の高騰によるコストアップを回収しきれなかったこと等により3,884百万円(前年同期比5.9%減)、経常利益は4,443百万円(前年同期比1.8%増)、親会社株主に帰属する当期純利益は3,066百万円(前年同期比3.6%増)となりました。当連結会計年度における期中平均レートは、1米ドルあたり131.64円となりました。
トピックスとして、光部品・デバイス事業では海底ケーブルの多芯化に対応した小型光アイソレータを業界に先駆けて販売したことに加えて、光ファイバ通信の大容量化に関連するマルチコアファイバ光デバイスの開発成果の国際会議での発表など、情報通信量の増大を見据えた製品開発を進めました。また、次世代事業として注力している高純度石英ガラス事業において近畿大学との共同研究を開始する等、将来に向けた研究開発を進めました。
リード端子事業では、自動車市場向け耐振動性と絶縁特性向上に資する新製品(※1)を開発し、サンプル出荷を始めるとともに、EV向け等への採用ニーズの高まりによる使用数の飛躍的な増加に備えて量産体制の整備を進めました。また、リード端子事業での収益構造の改善に向けて、販売価格の是正及び生産効率改善に向けた生産技術の開発に努めました。
加えてESG活動の一環として、滋賀県北部に位置する県内最大級の湿原である「山門水源の森」の環境保全活動の推進や、本社社屋へのソーラーパネルの設置等、2050年のカーボンニュートラルを目指したCO2削減等の活動に取組みました。
※1 新製品の特長
アルミ電解コンデンサの大容量化、高品質化のニーズに合わせて、コンデンサ内のアルミ箔の箔切れ防止効果の高いリード端子。耐振動性、絶縁特性が向上する。
セグメントごとの経営成績は、次のとおりであります。
(リード端子事業)
当連結会計年度におけるリード端子事業の売上高は8,384百万円(前年同期比10.3%増)、セグメント利益(営業利益)は原材料費の増加等により232百万円(前年同期比59.2%減)となりました。
自動車市場向けでは、EVの生産台数は大きく伸びましたが、自動車生産全体としては、半導体不足による減産や中国におけるロックダウンの影響により低迷が続き、リード端子の販売数量は微増にとどまりました。情報通信機器・民生機器市場については、新型コロナ感染に伴う関連需要の一巡等により、夏以降パソコン・家電製品向けの受注が急減し、その結果売上が前年に比べ売上数量ベースで大きく減少しました。販売数量面では2019年の大幅落ち込み以来の厳しい環境であったものの、原材料価格高騰の販売価格への転嫁や円安の影響もあり、売上高は増加となりました。
コスト面では、原材料であるアルミニウム・銅・錫といった非鉄金属価格相場(LME相場)が上半期において高騰、顧客への価格転嫁の時期ずれ等の影響で収益の圧迫を受けました。下半期に入り販売単価へ価格転嫁が進んだものの、夏以降の売上数量の大幅な減少により収益の改善は限定的なものとなりました。
当社においては、EVの普及などに伴い中長期的に大きな成長が期待できる自動車市場向けに、アルミ電解コンデンサの耐振強度向上・漏れ電流低減特性・絶縁特性等の信頼性向上や、アルミ電解コンデンサ製造工程での歩留まり改善等に寄与する各種新製品のラインアップ拡充に努めました。
(光部品・デバイス事業)
当連結会計年度における光部品・デバイス事業の売上高は7,289百万円(前年同期比3.9%増)、セグメント利益(営業利益)は3,652百万円(前年同期比2.7%増)となりました。
海底ケーブル用途の光デバイスでは、従来の通信事業者に加えてGAFAM等の大手グローバルテック企業が牽引する海底ケーブルの敷設により、光アイソレータの需要が堅調に推移し、新製品として海底ケーブルの多芯化に対応した小型光アイソレータを2022年5月に発売して順調に売上を伸ばしました。一方、大手顧客における部品不足による生産数量下方修正の影響を受け、売上数量が前年に比べ減少しました。また、光ファイバアレイ製品では、従来からの米中摩擦に伴う納入制限に加え、夏以降の情報通信機器市場の影響を受け、高速光トランシーバ用途が調整局面となりました。このような中にありましたが、為替レートが円安に推移したことが加わり、前年比増収増益を確保しました。
生産面においては、スリランカに立地する当社子会社のKOHOKU LANKA (PVT).LTD.におきまして、スリランカにおける政治・経済混乱の生産への影響が懸念されたものの、自家発電設備による停電対策や従業員への生活支援等の事業継続対策を講じることにより通常生産を継続、安定供給体制を維持しました。
研究開発等におきましては、情報通信量の飛躍的な拡大を背景とした海底ケーブルのさらなる多芯化を先取りした新製品の開発、光デバイスの生産効率改善のための生産システムの開発や、外部の研究機関と連携した取組み等を進めました。また、次世代事業として位置づけている高純度石英ガラス製品の研究開発及びサンプル展開に取組みました。
② 財政状態の状況
(資産)
流動資産は前連結会計年度末に比べ138百万円減少し、17,227百万円となりました。これは主に製品が354百万円増加、電子記録債権が237百万円増加、原材料及び貯蔵品が97百万円増加した一方で、現金及び預金が587百万円減少、受取手形及び売掛金が216百万円減少したこと等によるものであります。
固定資産は前連結会計年度末に比べ1,883百万円増加し、7,057百万円となりました。これは主にリース資産(純額)が1,236百万円増加、機械装置及び運搬具(純額)が442百万円増加したこと等によるものであります。
この結果、総資産は前連結会計年度末に比べ1,745百万円増加し、24,285百万円となりました。
(負債)
流動負債は前連結会計年度末に比べ1,938百万円減少し、3,375百万円となりました。これは主に短期借入金が1,132百万円減少、未払法人税等が444百万円減少、買掛金が213百万円減少、1年内返済予定の長期借入金が124百万円減少したこと等によるものであります。
固定負債は前連結会計年度末に比べ536百万円増加し、2,613百万円となりました。これは主に長期借入金が676百万円減少した一方で、リース債務が1,189百万円増加したこと等によるものであります。
この結果、負債合計は前連結会計年度末に比べ1,401百万円減少し、5,988百万円となりました。
(純資産)
純資産は前連結会計年度末に比べ3,146百万円増加し、18,296百万円となりました。これは主に利益剰余金が2,581百万円増加、為替換算調整勘定が508百万円増加したこと等によるものであります。
当連結会計年度末における現金及び現金同等物は9,362百万円となりました。
当連結会計年度における活動ごとのキャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動によるキャッシュ・フローは、2,755百万円の収入となりました。主な資金増加要因は税金等調整前当期純利益4,441百万円、減価償却費692百万円、主な資金減少要因は法人税等の支払額1,766百万円、棚卸資産の増加349百万円、仕入債務の減少266百万円であります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動によるキャッシュ・フローは、1,949百万円の支出となりました。主な資金減少要因は定期預金の預入による支出1,000百万円、有形固定資産の取得による支出866百万円、投資有価証券の取得による支出104百万円、主な資金増加要因は投資有価証券の売却による収入18百万円であります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動によるキャッシュ・フローは、2,585百万円の支出となりました。主な資金減少要因は配当金の支払額485百万円、長期借入金の返済による支出800百万円、短期借入金の減少1,210百万円、リース債務の返済による支出142百万円であります。
当連結会計年度における生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
(注) 金額は、製造原価によっております。
当連結会計年度における受注実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
(注) リード端子事業については、受注から出荷(売上計上)までの期間が数日と非常に短いことから
受注残高の集計には含めず、販売実績をもって受注高としております。
当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
(注) 最近2連結会計年度の主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合は、次のとおりであります。
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は、次のとおりであります。なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。
① 財政状態及び経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容
当連結会計年度における経営成績の状況の分析につきましては、「(1) 経営成績等の状況の概要 ① 経営成績の状況」に記載しております。また、当連結会計年度における財政状態の状況の分析につきましては、「(1) 経営成績等の状況の概要 ② 財政状態の状況」に記載しております。
② キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容並びに資本の財源及び資金の流動性に係る情報
a. キャッシュ・フロー
当連結会計年度のキャッシュ・フローの詳細につきましては、「(1) 経営成績等の状況の概要 ③ キャッシュ・フローの状況」に記載しております。
b. 資本の財源及び資金の流動性
当社グループの運転資金需要のうち主なものは、原材料等の仕入れ費用や生産子会社の製造費用並びに、販売費及び一般管理費の営業費用であります。また、投資を目的とした資金需要は生産施設における機械装置等の充実のための事業投資であります。
当社グループは、事業運営上必要な運転資金及び設備投資資金については、自己資金にて賄うことを基本方針としつつ、不足が生じる場合は金融機関からの短期・長期借入金により調達しております。また、一部はグループ会社間で融資を行っております。
③ 経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等の進捗について
当社グループでは、経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標を事業別営業利益と設定しております。前連結会計年度及び当連結会計年度の数値については、次のとおりとなっております。
④ 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められる企業会計の基準に準拠して作成しております。この連結財務諸表を作成するにあたって、資産、負債、収益及び費用の報告額に影響を及ぼす見積り及び仮定を用いておりますが、これらの見積り及び仮定に基づく数値は実際の結果と異なる可能性があります。
当社グループの連結財務諸表で採用する会計上の見積りについては、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1) 連結財務諸表 注記事項(重要な会計上の見積り)」に記載のとおりであります。
⑤ 経営成績に重要な影響を与える要因について
経営成績等に重要な影響を与える要因につきましては、「2 事業等のリスク」に記載しております。
⑥ 経営者の問題認識と今後の方針について
経営者の問題認識と今後の方針につきましては、「1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等」に記載しております。
該当事項はありません。
2022年12月31日現在
(注) 1. 現在休止中の主要な設備はありません。
2. 帳簿価額のうち「その他」は、リース資産、建設仮勘定及び無形固定資産であります。
3. 従業員数は就業人員(当社から社外への出向者を除き、社外から当社への出向者を含む。)であります。臨時雇用者数(嘱託社員及びパート社員を含み、派遣社員を除く。)は年間の平均雇用人員を( )内に外数で記載しております。
2022年12月31日現在
(注) 1. 現在休止中の主要な設備はありません。
2. KOHOKU ELECTRONICS (M) SDN.BHD.の工場用地は借地であり、借地権76,280千円として無形固定資産のその他に計上しております。
3. 帳簿価額のうち「その他」は、リース資産、建設仮勘定及び無形固定資産であります。
4. 従業員数は就業人員(当社から社外への出向者を除き、社外から当社への出向者を含む。)であります。臨時雇用者数(嘱託社員及びパート社員を含み、派遣社員を除く。)は年間の平均雇用人員を( )内に外数で記載しております。
該当事項はありません。
該当事項はありません。
(注) 1. 株式分割(1:100)によるものであります。
2. 2021年10月28日開催の取締役会決議により、2021年10月28日付で自己株式1,000,000株の消却を行っております。
(注) 1. 自己株式3,368株は「個人その他」に33単元「単元未満株式の状況」に68株含まれております。
2. 当社代表取締役社長石井太の資産管理会社であるアイエフマネジメント株式会社が所有する株式数は、石井太の実質所有として個人その他に含めて記載しております。
(注) 1.上記のほか、当社所有の自己株式3,368株があります。
2.上記日本マスタートラスト信託銀行株式会社(信託口)及び株式会社日本カストディ銀行(信託口)の所有株式数は、各行の信託業務に係るものであります。
3.2023年2月6日付で公衆の縦覧に供されている大量保有報告書において、シュローダー・インベストメント・マネジメント株式会社及びその共同保有者であるシュローダー・インベストメント・マネジメント・リミテッド(Schroder Investment Management Limited)が2023年1月31日現在でそれぞれ次の株式を所有している旨が記載されているものの、当社として2022年12月31日現在における実質所有株式数の確認ができませんので、上記大株主の状況には含めておりません。
なお、大量保有報告書の内容は、以下のとおりであります。
1. 報告セグメントの概要
当社グループの報告セグメントは、当社の構成単位のうち分離された財務情報が入手可能であり、取締役会が、経営資源の配分の決定及び業績を評価するために、定期的に検討を行う対象となっているものであります。
当社は、取り扱う製品について国内及び海外の包括的な戦略を立案し、事業活動を展開しております。
当社グループは製品別のセグメントから構成されており、リード端子事業、光部品・デバイス事業の2つを報告セグメントとしております。
リード端子事業は、主にアルミ電解コンデンサ用部品の製造及び販売をしております。
光部品・デバイス事業は、主に光通信用部品・デバイスの製造及び販売をしております。