株式会社ノバック
(注) 1.当社は連結財務諸表を作成しておりませんので、連結会計年度に係る主要な経営指標等の推移については記載しておりません。
2.持分法を適用した場合の投資利益については、関連会社がないため、記載しておりません。
3.潜在株式調整後1株当たり当期純利益金額については、潜在株式が存在しないため、記載しておりません。
4.第55期から第57期の株価収益率については、当社株式は非上場であるため、記載しておりません。
5.当社は、第56期よりキャッシュ・フロー計算書を作成しておりますので、第55期のキャッシュ・フロー計算書に係る各項目については記載しておりません。
6.第56期から第59期の財務諸表については、「財務諸表等の用語、様式及び作成方法に関する規則」(昭和38年大蔵省令第59号)に基づき作成しており、金融商品取引法第193条の2第1項の規定に基づき、有限責任 あずさ監査法人により監査を受けております。
なお、第55期については、「会社計算規則」(平成18年法務省令第13号)の規定に基づき算出した各数値を記載しております。また、当該各数値については、金融商品取引法第193条の2第1項の規定に基づく、有限責任 あずさ監査法人の監査を受けておりません。
7.第55期から第58期の株主総利回り及び比較指標は、2022年3月31日に東京証券取引所市場第二部に上場したため、記載しておりません。第59期の株主総利回り及び比較指標は、2022年4月期末を基準として算定しております。
8.最高・最低株価は、2022年4月3日以前は東京証券取引所市場第二部におけるものであり、2022年4月4日以降は東京証券取引所スタンダード市場におけるものであります。
ただし、当社株式は、2022年3月31日から東京証券取引所市場第二部に上場されており、それ以前の株価については該当事項がありません。
当社は、土木工事、建築工事を主な事業として取り組んでおります。当社の事業とセグメントとの関連は、次のとおりであります。なお、以下に示す区分は、セグメント情報に記載された区分と同一の区分であります。
(1) 土木工事事業
当社の土木工事事業は、国土交通省各地方整備局中心の中央官庁、東京都・姫路市を含む地方自治体、西日本高速道路㈱を含む高速道路会社の官公庁発注工事を中心とした社会インフラストラクチャー建設工事(道路工事、河川工事、上下水道工事、土地造成工事等)を展開しております。
昨今頻発する台風や集中豪雨による河川の氾濫・洪水などの自然災害の増加に伴う災害復旧工事や堤防の強化及び予測されている東南海地震に備えての道路ネットワーク整備事業等での国土交通省各地方整備局・各地方自治体・各高速道路会社の工事を受注展開、拡大することで事業を進めております。当社は、本社(姫路)以外に、東京本店、支店8拠点(東北支店、横浜支店、名古屋支店、京都支店、大阪支店、広島支店、四国支店、九州支店)を開設し、年間15件前後の工事を首都圏・関西圏を中心に東北地方・中部地方・中国地方・四国地方・九州地方等の各方面で受注し施工しております。その中で主な施工実績は、首都圏・関西圏・中部地方では洪水対策事業のシールド工事(注1)や高速道路の新設及び4車線化整備事業のための橋梁下部工事・遮音壁工事や長命化事業の耐震補強工事を数多く手掛け、本社のある兵庫県では沿川を洪水から守る(治水)と農業用水の確保(利水)や河川環境の保全(環境)を目的としたダム工事を施工しております。また、東北地方・中国地方では東日本大震災や広島豪雨災害など自然災害に伴う災害復旧工事や河川堤防の強化としての築堤護岸工事や堰堤工事(注2)及び北海道新幹線のトンネル工事にも積極的に取り組んでおります。
国土交通省近畿地方整備局工事において、当社は、「工事成績優秀企業(ゴールドカード)認定(注3)」を2014年度から9年連続で認定されております。また、工事毎にも「優良工事等施工者(工事)局長・事務所長表彰」をいただいており、品質向上に特化した技術力の向上に努めております。また、当社の元請比率は、直近5期で100%(当社規定による5,000万円以上の工事を対象)であり、全国平均61.8%(2022年度)(注4)と比較して高い水準であり、高水準を維持することで大規模案件及び高い利益率の獲得に取り組んでおります。さらに、当社の従業員数に占める監理技術者資格者証の保有者数の割合は51.7%(2023年4月末時点)(注5)であり、25%程度である全国平均(2023年4月末時点)(注6)と比較して高い水準であり、最適な人員配置や施工効率化による品質確保、向上に努め、全国的な施工体制を構築しております。
(注1)シールド工事
地中にトンネルを作るため、シールドマシン(トンネル掘削で用いる強固な鉄製円筒状の機械)を使用して行われる工事。トンネルの主な用途は、共同溝(上下水道、ガス管、電気・通信ケーブルなど複数の埋設物を一緒に収める地下施設)、雨水幹線(洪水対策等のための雨水の排水路)等であります。
(注2)堰堤(えんてい)工事
河川、渓谷を横断して水流や土砂をせきとめるための堤防を設置する工事。
(注3)工事成績優秀企業(ゴールドカード)認定
公共工事の透明性の確保や民間事業者の技術力の向上を一層促進するため、過去2ヶ年に完成した土木工事実績を3件以上有し、請負工事成績評定の結果を基に、企業毎の平均点を算出し順位付けを行い、その平均点が80点以上である優秀な成績をおさめた企業が表彰される認定制度。令和4年度認定優秀企業は2021・2022年度競争参加資格有資格業者4,360社のうち146社認定(3.3%)。
(注4)2023年3月31日に国土交通省 総合政策局 情報政策課 建設経済統計調査室から公表されている「建設工事
施工統計調査報告」における元請比率(元請完成工事高(767,373億円)÷完成工事高(1,242,031億円)であります。なお、当社の元請比率算定においては当社規定による5,000万円以上の工事を対象としておりますが、全国平均の算定において当該条件は考慮しておりません。
(注5)当社の従業員数288名(2023年4月末時点)に対する監理技術者資格者証の保有者数149名(2023年4月末
時点)の割合として算定しております。
(注6)総務省統計局が公表している労働力調査 長期時系列データ 表6「職業別就業者数」の「建設・採掘従事
者」総数276万人(2022年次)に対する、一般財団法人建設業技術者センターが公表している「監理技術者資格者証の保有者数」690,509名(2023年4月末時点)の割合として算定しております。
(2) 建築工事事業
当社の建築工事事業は、民間企業発注の共同住宅工事を主として、学校・福祉施設・庁舎、事務所・高速道路のサービスエリア工事などの官公庁発注工事を手掛けております。
民間企業発注の共同住宅工事について、本社、東京本店及び大阪支店において、年間15件前後の工事を首都圏・関西圏・中部圏を中心に受注しております。様々な事業主物件の実績があることから、長期にわたって培われた技術力及び経験、ノウハウを生かして、事業主に応じた要望への対応が可能であり、品質向上と事業主に喜ばれる対応に努めております。例えば、顧客の事業の立ち上げ時から参画し、現地調査、概算見積書の早期提出、コスト低減提案など、顧客のニーズを的確に捉えた営業活動に取り組んでおります。共同住宅工事以外の施工実績として、高速道路での西日本最大級サービスエリアの休憩施設新設工事、小・中・高等学校の新設工事や耐震補強工事、特別養護老人ホームなどの高齢者福祉施設、庁舎の建替工事、医療施設関係や物流倉庫、商業施設などを手掛けております。非住宅分野の建築物にも積極的に取り組むとともに、リニューアル・耐震補強等既設建物の改修等の分野も視野に事業展開をしております。
なお、土木工事事業と同様に、当社の元請比率は直近5期で100%(当社規定による5,000万円以上の工事を対象)であり、全国平均と比較して高い水準であり、高水準を維持し大型案件の獲得及び高収益体制の確立に取り組んでおります。また、当社の従業員数に占める監理技術者資格者証の保有者数の割合は、全国平均と比較して高い水準であり、最適な人員配置や施工効率化による品質確保、向上に努め、施工体制を構築しております。
(3) その他
当社が保有する不動産の賃貸事業を法人顧客に対して行っております。
事業の系統図は次のとおりであります。

該当事項はありません。
(注) 1.従業員は就業人員数であります。
2.従業員数には、契約社員を含み、派遣社員は除いております。
3.従業員数欄の(外書)は、臨時従業員の年間平均雇用人員であります。
4.臨時従業員は、派遣社員であります。
5.平均年間給与は、賞与及び基準外賃金を含んでおります。
6.全社(共通)は、特定のセグメントに区分できない管理部門等の従業員であります。
労働組合は結成されておりませんが、労使関係は円滑に推移しております。
(3) 管理職に占める女性労働者の割合、男性労働者の育児休業取得率及び労働者の男女の賃金の差異
(注)「女性の職業生活における活躍の推進に関する法律」(平成27年法律第64号)の規定に基づき算出したもの であります(2023年4月30日時点)。
(男女賃金差異についての補足説明)
全労働者のうち非正規雇用労働者の割合は8.6%となっています。非正規雇用労働者において、男性は正社員からの継続雇用労働者が約7割を占めているのに対して、女性は地域限定の短期雇用労働者のみであることから、男女差異指標を押し下げる要因となっております。
男女雇用機会均等法等の改正に伴い、女性正規労働者の採用を拡大しておりますが、女性正社員の平均勤続年数が男性正社員との比較で約2倍の隔たりがあり、多くの女性正社員が管理職層に達しておらず、賃金差異に繋がっております。
労働者に占める女性の割合が建設業では他業種に比べ少なく、当社も同様となっております。また、当社においては女性労働者の多くが事務補助に従事していることにより、男女間賃金差異が生じております。
今後、当社においては女性総合職の採用に積極的に取り組むことにより、将来的には差異は縮小してゆくと考えております。
また、技術系正規雇用労働者(施工管理)従事者の同一世代間賃金の男女比は95.9%となっており、差異はありません。
文中の将来に関する事項は、当事業年度末現在において、当社が判断したものであります。
(1) 経営方針等
当社は、会社の基盤や想像力、技術の研鑽を主体とした「人」「力」「技術」を社是として、経営をいたしております。また、当社のロゴマークは「人」という文字をあしらっており、左の赤は個々の社員の情熱と実力主義を表し、右の青は会社(組織)の包容力と和、そして天に向かって躍進する可能性を意味しております。二つが合わさり社員と会社がともに支えあって互いに伸び栄え、社業を通じて社会に貢献することを表現しております。
また、当社の経営理念は「社員と会社が一体となって、人のために、次世代のために今できることを真剣に考え、社業を通じて社会に貢献する」としております。
この、「社是」と「経営理念」のもと、当社は「より良いものを、より早く、より確実に造る。お客様に対し、信頼感、安心感、満足感を与える」をモットーとして経営を進めてまいります。
(2) 経営環境と中長期的な経営戦略
建設業界全体の動向につきましては、図1のとおり、2023年度は新型コロナウイルス感染症の感染症法上の位置付けが5類感染症への引き下げに伴い、ウィズコロナの下で、各種政策の効果や行動制限の緩和により、経済活動は正常化に向けた動きが進み、名目建設投資は前年度比2.6%の増加となる見通しとなります。
その中で、公共建設投資は防災・減災をはじめとする国土強靭化計画のインフラ対策等、また民間建設投資も企業の設備投資意欲の高まりにより堅調に推移することが見込まれます。その一方で、長期化するウクライナ情勢による原油・建設資材価格等の高騰や受注競争の激化、労務者不足等が顕在化しており、引き続き経営環境への影響を注視する必要があります。
このような市場環境の下、当社は、景気変動の影響が少ない公共工事を軸とした土木工事事業、及び、景気に左右されるものの投資額の多い民間工事を軸とした建築工事事業の二大セグメントを推進することにより、事業の安定化を図っております。
また、2024年4月期から2027年4月期を対象とする「中期経営計画2024-2027」を策定し、2027年4月期をターゲットとした「NOVAC VISION」を掲げております。その目標の実現に向け各施策を実行することで、「企業価値の向上」「人的資本経営の推進」を図るため、外部環境や内部環境などの変化に対応し、持続的な事業成長を目指すため、ブランディングによる知名度向上やエンゲージメント向上・働き方改革による職場環境の改善などを図り、事業や収益基盤の安定化及び人財の確保・育成の推進等に取り組んでまいります。
図1 建設投資額の推移(年度)
(単位:億円)
出典:一般財団法人建設経済研究所(2023年4月12日付発表)
(3) 経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等
当社は、経営目標を下記のとおり定め、持続的な成長と高収益体制及び安定配当の確立による企業価値向上に
向けて取り組んでまいります。
中期経営計画(2024年4月期-2027年4月期)における経営目標
(4) 優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題
2023年度のわが国経済につきましては、新型コロナウイルス感染症の感染症法上の位置付けが「5類感染症」への引き下げに伴い、ウィズコロナの下で、各種政策の効果や行動制限の緩和により、経済活動は正常化に向けた動きが進み、景気は堅調に推移することが期待されます。
建設業界におきましては、公共建設投資は国土強靭化計画のインフラ対策等、また民間建設投資も企業の設備投資意欲の高まりにより、堅調に推移することが見込まれます。その一方で、長期化するウクライナ情勢による原油・建設資材価格等の高騰や受注競争の激化、労務者不足等が顕在化しており、引き続き経営環境への影響を注視する必要があります。それに対処するため、景気変動の影響が少ない公共工事の受注拡大や、従来からの顧客を大切にすることにより受注機会を保つこと、また、利益の向上が期待できる好物件を受注するとともに、会社一体となり、原価管理及び販売管理等の適正化を一層追求し、高収益体制の維持及び人材の確保と育成を図るため、以下の対策を検討しております。
① 長期化するウクライナ情勢や世界的金融引き締め政策などによる景気悪化懸念への対策
(土木工事事業)
・土木工事発注が多い首都圏、関西圏を中心に人材投入を行い、受注の拡大を図る。
・昨今頻発している自然災害が発生した地域の災害復旧工事の受注及び災害を予防する対策工事の受注拡大を
図る。
・受注環境が激化する中で、競争に勝ち抜く技術提案力の強化を図る。
・構造物の長命化、補強工事等今後の市場環境において伸長が見込まれる分野へ進出する。
(建築工事事業)
・住宅分野以外の多分野工事や景気変動の影響が少ない公共工事案件の受注拡大を図る。
・3大都市圏(首都圏・関西圏・中部圏)以外の商圏を拡大する。
・リニューアル、耐震補強等既設建物の改修等の分野へ進出する。
・設計施工物件を手掛け、設計段階から一貫した受注獲得を目指す。
また、ウクライナ情勢や世界的金融引き締め政策などに起因する資材価格の高騰や不足については、予断を許さない状況と考えております。当社においては市場環境を見極め、早期の発注を行うこと、価格が高騰した場合には請負金額に適正に反映されるよう発注者様との交渉を行う等の対応を図ります。
② 働き方改革の推進
建設業界は少子高齢化による若年層の減少に加え、就労者が少なくなる傾向があります。人財を確保していく上で、働き方改革の推進は重要な課題であると認識しております。当社は現在、システム投資やICT技術の活用等DXの推進による生産性の向上を図り、業務の効率化及び施工の効率化、省力化の推進による労働時間の短縮に取り組んでおります。今後も更なる労働環境の改善に向けて取り組んでまいります。
③ コーポレート・ガバナンスの強化
株主をはじめとするステークホルダーに対して社会的責任を果たすこと、また持続的な成長及び企業価値の向上を図る観点から、コンプライアンスの遵守体制、意思決定・業務執行体制、及び適正な監督・監視体制を構築することを通じて、コーポレート・ガバナンス強化の重要性を認識し、継続的に企業価値の向上に取り組んでまいります。
本書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、経営者が財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に重要な影響を与える可能性があると認識している主要なリスクは、以下のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当事業年度末現在において、当社が判断したものであります。
(1) 建設市場の動向
民間景気の減速や建設市場が縮小した場合等による受注環境が悪化した場合には、当社の業績に影響を及ぼす可能性があります。
このリスクの低減を図るための対応については、「1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等 (4) 優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題」の記載をご参照下さい。
(2) 労務単価及び資材価格の高騰
労務単価や原材料の価格が高騰した際、請負金額に反映することが困難な場合には、当社の業績に影響を与える可能性があります。
当社は、地域の主要単価を統計的に把握するとともに価格高騰を予見し早めの発注を行うことや、既存の取引先にとらわれず新規取引先の開拓に努めることにより、価格変動の影響を抑制し、リスクの低減に努めております。
(3) 取引先の信用リスク
建設業界においては、1件当たりの請負金額が多額であり、また支払条件によっては工事代金の回収に期間を要する場合があります。万一、発注者、協力会社、共同施工会社等の取引先に信用不安が顕在化し、資金の回収不能や工期の遅延等が発生した場合には、当社の業績に影響を及ぼす可能性があります。
当社は、与信管理規程及び債権管理規程に基づき、取引先の状況把握を定期的に実施し、回収懸念の早期把握や軽減を図り、リスクの低減に努めております。
(4) 人材確保
建設業界においては、建設技術者・技術労働者の高齢化が進み、計画的な人員確保の重要性が高まってきております。当社では、計画的な人員確保に向けて採用の強化に努めておりますが、需給関係の急激な逼迫により人員確保が困難となった場合には、受注機会の喪失や納期遅延等の問題が発生する恐れがあり、当社の業績に影響を与える可能性があります。
当社は、働き方改革を推進した労働環境の構築や、採用後の資格取得への積極的な支援、及び左記に基づく採用活動の実施により、リスクの低減に努めております。
(5) 施工物の瑕疵
継続的な社員教育の実施や、ISOなどの品質管理手法を活用した施工管理の徹底により、品質管理には万全を期しておりますが、万一施工物に重大な瑕疵(契約不適合)があった場合には、当社の業績に影響を及ぼす可能性があります。
当社は、品質安全部を設置し、ISO規格に基づく徹底した品質管理を実施するとともに、社員教育の充実による施工技術の更なる向上を図り、リスクの低減に努めております。
(6) 建設活動に伴う事故
建設業界は、作業環境や作業方法の特性より危険性を伴うことが多く、他の産業と比べると事故発生率が高くなっております。万一、人身や施工物などに関わる重大な事故が発生した場合、当社の業績に影響を及ぼす可能性があります。
当社は、工事着手に際し、施工計画を策定し、安全な作業環境を整え施工しております。また、徹底した安全教育の実施、危険予知活動や安全パトロールなどを実施し事故を撲滅するための活動を実施することで、リスクの低減に努めております。
(7) 法的規制等
当社の事業運営上、建設業法、建築基準法、建築士法、宅地建物取引業法、独占禁止法他多数の法的規制を受けております。当社では、特定建設業許可、一級建築士事務所登録、宅地建物取引業の許認可を受けております。将来、何らかの理由により法令違反の発生、許認可等の取消又は更新が認められない場合、若しくはこれらの法律等の改廃又新たな法的規制の新設、適用基準の変更によっては、当社の業績に影響を及ぼす可能性があります。
当社が取得している許認可等は、下表のとおりであります。
当社は、上記許認可等の諸条件や各法令の遵守に努めております。法改正については国土交通省、その他関係各所から発信されている情報にアクセスし、早期に対応を検討し対策することで、リスクの低減に努めており、継続に支障を来す要因は発生しておりません。
(8) 訴訟等に関するリスク
当社の事業等に関連して予期せぬ問題や紛争が生じて、これによる訴訟等を提起、あるいは提訴された際に当社の主張や予測と相違する結果となった場合は、当社の業績に影響を及ぼす可能性があります。
当社は、訴訟等について、顧問弁護士等外部の専門家と緊密に連携し対応できる体制を構築することで、リスクの低減に努めております。
(9) 外壁タイル剥離に係るクレーム等発生リスク
建物の外壁タイルに剥離が生じたとして、建物の所有者が施工者に対して不法行為に基づく損害金の支払を求める訴訟は、近時、建築関係訴訟の中で多くみられる類型の一つといわれております。当社は建築工事事業においてマンションを施工しており、発注者から指定された仕様書を遵守した施工は当然として、(5)に記載したとおり品質管理を徹底するとともに、タイルの接着効果を増大させる方法を取り入れて対策しております。ただし、外壁タイルの剥離現象の発生原因を解明するのは困難であり、クレームの発生や訴訟を提起された場合には、当社の施工に起因する剥離ではなかったとしても、風評への影響や経済的な負担等が発生し、当社の業績に影響を及ぼす可能性があります。
なお、本書提出日現在、訴訟中の事案は2件であります。
当社において、クレームの発生や訴訟を提起された場合には、個別に誠実かつ適正に対応する方針であります。クレームの発生等を事前に把握することは困難でありますが、完成後2年経過後の自社点検を実施するとともに、その後も竣工後5年目の自主的調査を行うこととし、所有者においても3年、6年の検査と10年目の打診調査が行われます。当社点検調査の結果、剥離の可能性を検知した場合には、所有者、管理者に報告し適切な保全を促す等の対応をとることで、自社で行い得るクレーム等発生の抑止を図り、リスクの低減に努めております。
(10) 災害リスク
地震等の天災、人災等が発生したことにより、事業継続に深刻な支障をきたした場合には、当社の業績に影響を及ぼす可能性があります。
当社は、事業継続計画を定め、大規模災害発生時の役職員の安否の早期確認や、適正な初動活動が行えるように準備することで、リスクの低減に努めております。
(11) 情報セキュリティ
事業活動を通して得た取引先の情報や、営業上・技術上の機密情報等に対して、サイバー攻撃、不正アクセス、コンピューターウイルスの侵入等による情報流出、重要データの破壊、改ざん、システム停止等が生じた場合には、信用が低下し、当社の業績に影響を及ぼす可能性があります。
当社は、情報の取扱い等に関する情報管理規程を整備・充実し役職員への周知・徹底を図るとともに、適正な情報セキュリティ強化を図ることで、リスクの低減に努めております。
(12) レピュテーションリスク
ソーシャルメディアの普及に伴い、インターネット上の書き込み等で事実とは異なった情報や誹謗中傷による風評被害が発生・拡散した場合には、社会的信用が毀損し、当社の業績に影響を及ぼす可能性があります。
当社は、風評被害の恐れのある情報を監視するとともに、リスクが認識された場合に迅速な対応を行う体制を構築することで、リスクの低減に努めております。
(13) 履行義務を充足するにつれて一定の期間にわたり収益を認識する方法による収益認識
当社は、工事契約に係る収益認識について、少額又は期間がごく短い工事等を除いて、履行義務を充足するにつれて一定の期間にわたり収益を認識する方法を適用しております。当該方法は、工事の進捗率に応じて収益を計上する方法であり、具体的には見積総工事原価に対する発生原価の割合をもって完成工事高を計上しております。工事ごとに継続的に見積総工事原価の見直しを実施する等適切な原価管理に取り組んでおりますが、想定していなかった状況の変化が生じて見直しが必要になった場合には、当社の業績に影響を及ぼす可能性があります。
当社は、工事原価の見積りの精度向上を図り、適宜決算に反映することで、リスクの低減に努めております。
当社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という)の状況の概要は次のとおりであります。
a. 経営成績
当事業年度におけるわが国の経済動向は、新型コロナウイルス感染症の影響が続くなか、各種政策の効果や行動制限の緩和により、経済活動は正常化に向けた動きが進み、景気は緩やかな回復傾向がみられました。その一方で、長期化するウクライナ情勢による原油・原材料価格等の高騰や不足によるサプライチェーンの混乱等や世界的な金融引き締め政策などによる懸念材料が見込まれ、依然として景気の先行きは予断を許さない状況が続いております。
建設業界におきましては、公共建設投資は引き続き防災・減災をはじめとした国土強靭化計画のインフラ対策等により底堅さを維持し、また民間建設投資も企業の設備投資意欲の高まりにより持ち直しの動きがみられ、一般財団法人建設経済研究所発表による2022年度の名目建設投資は666,900億円となり、対2021年度比は0.1%増の見通しとなっております。2023年度の見通しは684,300億円となっており、対2022年度比2.6%増の見通しとなっております。その一方で、建設資材価格の高騰や受注競争の激化、労務者不足等が顕在化しており、引き続き経営環境への影響を注視する必要があります。
このような状況の下、当事業年度の受注高は37,665,077千円(前年同期比14.2%増)となりました。売上高は、31,948,341千円(前年同期比9.7%減)、営業利益は2,607,839千円(前年同期比11.7%減)、経常利益は2,585,710千円(前年同期比11.0%減)、当期純利益は2,054,563千円(前年同期比2.5%減)となりました。なお、営業利益率は前事業年度が8.3%に対して当事業年度は8.2%となり、0.1pt低下しました。
セグメントごとの経営成績を示すと、次のとおりであります。
(土木工事事業)
受注高は13,107,118千円(前年同期比24.5%減)、売上高は14,072,081千円(前年同期比13.6%減)、セグメント利益(営業利益)は2,172,529千円(前年同期比20.8%増)となりました。なお、営業利益率は前事業年度が11.0%に対して当事業年度は15.4%となり、4.4pt上昇しました。
(建築工事事業)
受注高は24,557,958千円(前年同期比57.2%増)、売上高は17,863,564千円(前年同期比6.4%減)、セグメント利益(営業利益)は429,218千円(前年同期比62.6%減)となりました。なお、営業利益率は前事業年度が6.0%に対して当事業年度は2.4%となり、3.6pt低下しました。
(その他)
売上高は12,695千円(前年同期比6.8%増)、セグメント利益(営業利益)は6,091千円(前年同期比3.1%減)となりました。なお、営業利益率は前事業年度が52.9%に対して当事業年度は48.0%となり、4.9pt低下しました。
b. 財政状態
(資産)
当事業年度末の資産合計は、28,202,497千円と前事業年度末と比べ775,512千円(2.7%)の減少となりました。主な要因は、現金預金が2,639,284千円、土地が1,960,076千円増加したものの、完成工事未収入金及び契約資産が5,235,196千円減少したことによるものです。
(負債)
当事業年度末の負債合計は、9,393,121千円と前事業年度末と比べ2,015,381千円(17.7%)の減少となりました。主な要因は、支払手形が621,100千円、工事未払金が871,145千円減少したことによるものです。
(純資産)
当事業年度末の純資産合計は、18,809,376千円と前事業年度末と比べ1,239,868千円(7.1%)の増加となりました。主な要因は、当期純利益の計上2,054,563千円、剰余金の配当824,098千円などによるものです。
当事業年度末における現金及び現金同等物は、前事業年度末比2,639,284千円増加し、14,447,034千円となりました。各キャッシュ・フローの状況とそれらの主な要因は次のとおりであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動によるキャッシュ・フローは、5,053,802千円の収入(前事業年度末は894,449千円の収入)となりました。主な要因は、売上債権及び契約資産の減少5,351,083千円があったことによるものです。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動によるキャッシュ・フローは、1,583,901千円の支出(前事業年度末は417,698千円の収入)となりました。主な要因は、保険積立金の解約による収入が441,250千円あったものの、有形及び無形固定資産の取得による支出が2,017,325千円あったことによるものです。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動によるキャッシュ・フローは、830,616千円の支出(前事業年度末は1,423,263千円の収入)となりました。主な要因は、配当金の支払額が824,098千円あったことによるものです。
受注実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
b. 売上実績
売上実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
(注) 生産実績を定義することが困難であるため、記載しておりません。
なお、土木工事事業及び建築工事事業の受注高及び売上高の実績は次のとおりであります。
a) 受注高、売上高及び繰越高
(単位:千円)
(注) 1.前事業年度以前に受注した工事で、契約の変更により請負金額の増減がある場合は、当期受注高にその増減額を含めております。したがって、当期売上高にも係る増減額が含まれております。
2.期末繰越高は、(期首繰越高+当期受注高-当期売上高)であります。
3.工事規模別の受注件数は次のとおりであります。
(単位:件)
b) 受注工事高の受注方法別比率
工事受注方法は、特命と競争に大別されます。
(単位:%)
(注) 1.百分比は請負金額比であります。
2.特命は、民間工事の契約締結までの過程において、発注者が特定の業者に契約交渉の優先権を与える方法
であります。
3.競争は、発注者が入札情報を公告・提示し、入札に参加した複数の業者の中から選定された業者が契約締
結に至る方法であります。
c) 完成工事高
(単位:千円)
(注) 1.完成工事のうち主なものは、次のとおりであります。
第58期事業年度 請負金額20億円以上の工事
西日本高速道路㈱ 湯浅御坊道路 水尻高架橋南(下部工)工事
㈱ミライト (仮称)浪速区幸町ビル計画新築工事
東京都下水道局 蛇崩川増強幹線工事
第59期事業年度 請負金額20億円以上の工事
西日本高速道路㈱ 新名神高速道路 山城谷川橋(下部工)工事
東京都下水道局 蛇崩川増強幹線その3工事
㈱日本ネットワークサポート 高砂臨海工場建設工事に関する建物工事契約並びに機械装置基礎他工事
契約について
2.売上高総額に対する割合が100分の10以上の相手先別の売上高及びその割合は、次のとおりであります。
第58期事業年度
国土交通省 5,152,387千円 14.6%
西日本高速道路㈱ 4,163,451千円 11.8%
第59期事業年度
国土交通省 4,056,071千円 12.7%
東京都下水道局 3,679,318千円 11.5%
和田興産㈱ 3,467,543千円 10.9%
d) 期末繰越高(2023年4月30日現在)
(単位:千円)
(注) 期末繰越高のうち請負金額30億円以上の主なものは、次のとおりであります。
ひめじ手柄山PFI㈱ 手柄山スポーツ施設整備運営事業
東京都財務局 都営住宅30H-102東(足立区新田一丁目)工事
西日本高速道路㈱ 中国自動車道 福崎IC他1箇所高速道路事務所改築工事
東京都下水道局 蛇崩川増強幹線その4工事
和田興産㈱ (仮称)ワコーレ神戸市中央区下山手通8丁目計画
(2) 経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
経営者の視点による当社の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は、次のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当事業年度末現在において、当社が判断したものであります。
① 財政状態及び経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容
財政状態及び経営成績の状況につきましては、「(1)経営成績等の状況の概要 ①財政状態及び経営成績の状況」に記載のとおりであります。
② キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容並びに資本の財源及び資金の流動性に係る情報
キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容につきましては、「(1)経営成績等の状況の概要 ②キャッシュ・フローの状況」に記載のとおりであります。なお、営業活動によるキャッシュ・フローが、前事業年度は894,449千円の収入、当事業年度は5,053,802千円の収入となり乖離が大きくなっております。これは、前事業年度においては大型工事及び追加工事に係る材料費、外注費等の支払が先行しておりましたが、当事業年度は工事の竣工等に伴う請負代金の入金が多くあったことによるものです。
このように、手持ち工事の規模、進捗度や追加工事の発生状況等がキャッシュ・フローに重要な影響を及ぼしております。当社は、各部署からの報告に基づき経理部が月次で資金繰計画を作成・更新するとともに、月末支払後の現金預金残高として、月間支払相当額の1ヶ月以上の残高を維持する方針とし、流動性リスクを管理しております。なお、運転資金の効率的な調達を行うため、取引銀行10行と極度額60億円のコミットメントライン契約を締結しております。
資金の配分について、自己資金で上述の残高を超える部分が、成長投資、株主還元等への原資となります。
成長投資について、設備投資は「第3 設備の状況 3設備の新設、除却等の計画 (1)重要な設備の新設等」をご参照下さい。また、「第2 事業の状況 1経営方針、経営環境及び対処すべき課題等 (2)経営環境と中長期的な経営戦略」に記載のとおり、「NOVAC VISION」を掲げ、「企業価値の向上」「人的資本経営の推進」を図り、持続的な事業成長を目指してまいります。株主還元について、当社は継続的かつ安定的な配当を行うことを基本方針としており、配当政策については「第4 提出会社の状況 3配当政策」をご確認下さい。
③ 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
当社の財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。この財務諸表を作成するにあたって、資産、負債、収益及び費用の報告額に影響を及ぼす見積り及び仮定を用いておりますが、これらの見積り及び仮定に基づく数値は実際の結果と異なる可能性があります。
財務諸表の作成にあたって用いた会計上の見積り及び仮定のうち、重要なものは「第5 経理の状況 1財務諸表等 (1)財務諸表 注記事項 (重要な会計上の見積り)」に記載しております。
該当事項はありません。
(注) 1.大半の設備は共通的に使用されているため、セグメントごとに分類せず、主要な事業所ごとに一括して記載しております。
2. 帳簿価額のうち「その他」は、車両運搬具及び工具器具・備品であります。
3.建物の一部を賃借しております。年間賃借料は69,766千円であります。
該当事項はありません。
該当事項はありません。
(注)1.有償一般募集(ブックビルディング方式による募集)
発行価格 3,000円
引受価額 2,760円
資本組入額 1,380円
2.有償第三者割当(オーバーアロットメントによる売出しに関連した第三者割当増資)
発行価格 2,760円
資本組入額 1,380円
割当先 東海東京証券㈱
(注) 自己株式52,211株は、「個人その他」に522単元、「単元未満株式の状況」に11株含まれております。
2023年4月30日現在
1.報告セグメントの概要
当社の報告セグメントは、当社の構成単位のうち分離された財務情報が入手可能であり、取締役会が、経営資源の配分の決定及び業績を評価するために、定期的に検討を行う対象となっているものであります。
当社は、土木工事及び建築工事に関する事業を展開していることから、「土木工事事業」及び「建築工事事業」の2つを報告セグメントとしております。
「土木工事事業」は、官公庁発注工事を中心とした、社会インフラストラクチャー建設工事(道路工事、河川工事、上下水道工事、土地造成工事)を行っております。「建築工事事業」は、民間企業発注の共同住宅工事を主とし、学校・福祉施設・庁舎、事務所・高速道路のサービスエリア工事などの官公庁発注工事を行っております。












