株式会社ストレージ王
(注)1.第9期における当期純損失は、債権放棄による特別損失等を計上したことによるものであります。
2.第10期における売上高増収は、新店舗6オープン及び大型分譲物件(ビルイン型トランクルーム3物件)売却を計上したことによるものであります。
3.第11期における売上高減収は、新店舗6オープン及び大型分譲物件(ビルイン型トランクルーム2物件)売却と物件売却が減少したことによるものであります。
4.第11期における営業活動によるキャッシュ・フローは、販売用不動産の一部を棚卸資産計上したことによるものであります。
5.潜在株式調整後1株当たり当期純利益金額については、第9期は、潜在株式が存在しないため、また、1株当たり当期純損失であるため記載しておりません。第10期及び第12期は、潜在株式は存在するものの、当社株式は非上場であるため期中平均株価を把握できませんので記載しておりません。第11期は潜在株式は存在するものの、当社株式は非上場であるため期中平均株価を把握できないため、また、1株当たり当期純損失であるため記載しておりません。
6.主要な経営指標等のうち、第9期については会社計算規則(平成18年法務省令第13号)の規定に基づき算出した各数値を記載しており、金融商品取引法第193条の2第1項の規定による監査証明を受けておりません。
7.第10期、第11期、第12期及び第13期の財務諸表については、金融証券取引法第193条の2第1項の規定に基づき、有限責任大有監査法人により監査を受けております。
8.第9期についてはキャッシュ・フロー計算書を作成しておりませんので、キャッシュ・フロー計算書に係る各項目については記載しておりません。
9.当社は、2021年12月24日開催の臨時取締役会の決議により、2022年1月12日付で普通株式1株につき500株の株式分割を行っております。第10期の期首に当該株式分割が行われたと仮定して1株当たり純資産額及び1株当たり当期純利益又は1株当たり当期純損失(△)を算定しております。
10.持分法を適用した場合の投資利益については、関連会社が存在しないため記載しておりません。
11.1株当たり配当額及び配当性向は配当を実施していないため記載しておりません。
12.第9期から第12期の株主総利回り及び比較指標、最高株価、最低株価、第13期の株主総利回り及び比較指標については、2022年4月27日に東京証券取引所グロースに上場したため、記載しておりません。
13.最高株価及び最低株価は、2022年4月27日より東京証券取引所グロース市場におけるものであります。
当社は2008年5月に東京都中央区において、株式会社デベロップ(以下「デベロップ」という)の子会社として、トランクルームの運営、管理を目的に設立されました。2007年2月創業のデベロップは、コンテナ建築を祖業とする会社で、トランクルームに適した借地案件を探し、土地所有者との借地契約と同時に、資金力のある投資家にトランクルーム投資事業を提案し、建設、完成後売却することで投資回収をする事業を展開しており、当社はそのトランクルームの運営会社として事業を拡大してまいりました。
その後、岡山県岡山市の株式会社アイトランク山陽(以下「アイトランク山陽」という)と合併し、関東地方の拠点に加え、岡山県の拠点を運営するようになりました。
2019年以降、在来建築型トランクルームの需要の高まりから、当社は都心における在来建築型トランクルームの企画、開発を開始し、コンテナ型の比重の低下に伴い、親会社への依存度も下がり、トランクルームの運営会社という位置づけから、トランクルームの企画、開発、運営会社へと成長して参りました。これに伴い、デベロップグループ内でセグメントを見直し、デベロップはトランクルームの企画、開発を停止し、当社に移管しました。ビジネスモデルとしても従来のトランクルーム運営受託に加え、土地を自社で購入、建築の上で、完成したトランクルームを投資家に売却した上で借上げ、自社運営する事業の比率を高めて参りました。
当社は、2022年4月27日付で東京証券取引所グロース市場に当社株式を上場するにあたり、当社株式の公募増資及びデベロップが当社株式の売出しを行ったこと等によりデベロップは当社の親会社に該当しないこととなりました。
設立以降の当社に係る経緯は次のとおりであります。
当社は、「顧客資産の持続的な価値向上を通じて、人々の暮らしや社会の未来を共創する」を経営理念に掲げ、セルフストレージ方式のトランクルームの企画、開発、運営、管理を行う事業を展開しております。
当社は、トランクルームの運営・管理を担うことにより規模の拡大を図って参りましたが、トランクルームはアパートや賃貸マンションに比して、面積当たりの区画数が多く、居住用の施設やオフィスに比べて、契約手続き件数が多く煩雑になりがちなことから、地主や物件オーナーにとってトランクルームの運営・管理を自身で遂行することは多くの手間がかかります。この煩わしい運営・管理を一手に引き受けることで、地主や物件オーナーにとって利便性をもたらすとともに、当社にとっても受託件数の増加による安定的な収入につながると考え事業をスタートいたしました。
管理室数の増加に伴い事業経験を積んでいく中で、当社は2015年7月にアイトランク山陽との合併に伴い、首都圏のみではなく、岡山を中心とする西日本での物件管理を視野に入れて、岡山支店(現岡山営業所)を設け、規模を拡大し事業を展開して参りました。またソーラーエナジーインヴェストメント株式会社との合併により会社としての財務基盤を強化いたしました。
当社の基本的なビジネスモデルは、トランクルームとして利用可能な不動産を賃借や自社開発で確保した上で、トランクルームとしての貸し出し、清掃を含む維持管理により利用者から利用料を徴収し、その収益で不動産コストや販売管理費を回収し利益を上げる単一のセグメントから成り立っております。セグメントの中で、トランクルームの自社開発を行い、収益不動産として投資家に売却する際に計上する利益を開発分譲による利益、開業後のトランクルームの運営による利益を運営管理の利益と区分しておりますが、2022年1月期では開発分譲による利益が82%、2023年1月期では80%を占めております。開発分譲後に当該物件を固定家賃でマスターリースする場合には、部屋の稼働が上がるまでの稼働率リスクは当社が負っております。稼働率の上昇が緩やかなため、開業後数年は当該物件の運営管理利益がマイナスとなる場合もあります。
トランクルームを建物の建築様式で大きく分類しますとコンテナ型とビルイン型に分けられます。
・コンテナ型
駐車場が確保できる道路沿いの敷地に建築用コンテナを設置しトランクルーム利用者が荷物を収納します。建築用コンテナは輸送の都合上、貨物用コンテナと同じサイズですが、柱と梁で強度を確保した建築専用の部材を使用しており、日本の建築基準法において建物として建築することが出来ます。コンテナを連結あるいはコンテナ内を仕切ることにより部屋サイズを調整することが出来ます。コンテナ自体を外気の環境に置くため、扉は雨風を通さない堅牢な作りとなっております。
・ビルイン型
在来建築(一部建築部材としてコンテナモジュールを利用したものを含む)による建物内に、間仕切りをすることで各個室を構成するものです。在来建築の建物全体で雨風を遮断する構造になっており、建物全体の入口は電子錠等で施錠されており、トランクルーム利用者以外入館することが出来ません。各利用者の個室の入口、間仕切りはコンテナ型に比べて簡易なもので、開け閉めが容易です。近年は、女性の利用者の増加や衣類や家財保管のために空調付施設へのニーズの高まりもあり、ビルイン型の増加率が高くなっております。なお、2022年1月末時点でコンテナ型及びビルイン型を併せて137店舗、2023年1月末時点で149店舗でございます。
また、事業分類として当社の物件は以下の2つに分類されます。この分類は事業主体による分類ですので、上記の建築様式で分類したコンテナ型とビルイン型が併存します。
(1)運営管理事業
運営管理事業は、トランクルームを利用者に貸し出すことにより利益を上げるものです。利用者から受領するトランクルームの利用料金が収入であり、当社がトランクルームを所有、あるいは賃借することでかかるコスト、トランクルーム運営に必要なコストが原価となり、その差額が当社の利益(又は損失)となります。
運営管理事業は、ア. 固定家賃型とイ. 変動家賃型に分けられます。
ア. 固定家賃型は、当社が事業主体となり、物件を所有すること、あるいは固定家賃で賃借することにより不動産コストが固定的に発生し、トランクルーム稼働状況により受領する利用料金の多寡が直接的に当社の利益(又は損失)に影響します。損益分岐稼働率は物件により異なりますが、概ね60%~70%程度であります。
イ. 変動家賃型は、当社が、事業主体である不動産所有者もしくは投資家からビルを賃借もしくは管理を受託し、当社は利用者からトランクルームの利用料を受領します。賃借の場合は、トランクルーム利用料を売上高とし、契約に定めた料率(10%程度の場合が多い)を差し引いた額を原価賃料として、不動産所有者もしくは投資家に賃料を支払います。管理受託の場合は、トランクルーム利用料を当社が預かり、当社の管理料(10%程度の場合が多い)を差し引いた金額を不動産所有者もしくは投資家に支払います。変動家賃型の場合、当社は稼働状況によるリスクを直接的には負わずトランクルーム利用者からの収入の増減による売上もしくは管理手数料の増減は、当社の収支に影響を与えますが、物件の所有、事業リスクは不動産所有者もしくは投資家が負うこととなります。
(2)開発分譲事業
開発分譲事業は、トランクルームを投資家へ売却する事により収益を上げます。開発分譲事業は、ウ.用地購入、ビルイン型建築の場合とエ.土地賃借、コンテナ型建築の場合に分けられます。
ウ. 当社が用地購入、ビルイン型建物の建築後、土地建物として売却します。
エ. 当社が借地上にコンテナ型建物の建築後、建物部分を売却します。
その他にトランクルームの内装部分のみを売却する場合もあります。
また、トランクルームその他不動産開発に関するコンサルティングフィーの受領、トランクルーム以外の不動産の売買を行った場合の収入も開発分譲事業に含めて管理しております。当社はトランクルームの企画、開発、運営管理を主な事業としておりますが、普段から不動産事業者、不動産を使用するテナント候補とも接点があり、トランクルーム以外の業態であっても売買やコンサルティングを行う可能性があります。また、トランクルーム用地として土地を購入した場合でも土地に対して引き合いがあった場合や開発のスケジュールが遅延した場合には不動産事業者として土地のまま売買をする可能性もあります。
2019年以降は、在来建築によるビルイン型のトランクルーム開発に注力する過程で、トランクルームの企画、開発機能をデベロップから当社が引き継ぐこととなりました。在来建築によるビルイン型トランクルームの用地取得とその後の建築業務も当社自らが施主となり、設計事務所、ゼネコンに外注して建築することを中心とするようになり、デベロップからの独立性を高めて参りました。
旺盛な需要がある首都圏エリアを中心として、借地の上にコンテナ型のトランクルームを設置する屋外タイプの開発は継続して行う一方、開発の主力としては、土地を取得しそこに在来建築によるビルイン型の建物を建ててトランクルームとするビルイン型の物件に注力してまいります。
2019年12月には当社最大規模の店舗として梶が谷トランクルーム(神奈川県川崎市高津区。184室)を開業。同トランクルームは用地買収から当社が行い、当社が施主として建物を建設、完成後に投資家に売却の上、建物を賃借して自社運営しております。以降、2020年8月に上石神井トランクルーム(東京都練馬区。100室)、2021年1月に中板橋トランクルーム(東京都板橋区。119室)、2023年1月に江戸川橋トランクルーム(東京都新宿区。190室)、尾山台トランクルーム(東京都世田谷区。165室)、本八幡トランクルーム(千葉県市川市。169室)を開業しております。
在来建築によるビルイン型のトランクルームは堅固な建物を建築するため、借地では無く所有権のある土地の上に建築することが求められ、一か所当たりの初期投資も土地建物を合わせおおむね3~6億円以上となっております。
梶が谷トランクルームを開発、売却するにあたり大口の投資家(法人)を開拓して参りました。当該投資家は、年間10億円以上の不動産購入意向のある投資家を含みます。当社の開発分譲事業は、売却先の目途があることから、開発当初の用地購入の際の銀行借入もスムーズに進むなどいわゆる投資のパイプラインが構築されつつあります。
当社では、企画・調査、開発、保守・管理を一貫して事業展開しており、不動産物件としての診断、事業性評価、不動産オーナーとの契約、その後のトランクルームの管理受託をスムーズに行うことができるため、不動産オーナーとの信頼関係に基づいた安定した事業基盤を構築しております。またコンテナ型でのトランクルームでは、可搬性・再活用といった特性があり、物件移動により市場を再選択して事業性を再構築することができることも大きな特徴だと考えています。
運営面においても、インターネット広告だけでなく、セルフストレージ専用ポータルサイトも利用して、集客の窓口を広げるとともに、Web決済システムを導入して、契約手続きの簡素化と期間短縮により契約獲得増を図っております。
事業系統図は次の通りであります。
<(1)運営管理事業 ア.固定家賃型>

①当社は、不動産所有者から建物を賃借し、あるいは土地を賃借の上、借地上に当社コンテナを設置します。
②当社は、不動産所有者に建物賃借料もしくは地代を支払います。
③当社は、利用者にトランクルームを貸し出します。
④当社は、トランクルーム利用者から利用料を受領します。
<(1)運営管理事業 イ.変動家賃型>

①当社は、不動産所有者もしくは投資家からトランクルームを賃借し、あるいは管理受託します。
②当社は、利用者にトランクルームを貸し出します。
③当社は、トランクルーム利用者から利用料を受領します。
④当社は、不動産所有者もしくは投資家に当社の管理料を差し引いて、残りを事業収益として支払います。
<(2)開発分譲事業 ウ.用地購入、ビルイン型建築の場合>

①当社は、土地所有者から土地(不動産)を購入します。
②当社は、購入用地上にビルイン型トランクルームを建築し、土地建物を投資家に売却し、売却後、建物を賃借(リースバック)します。
<(2)開発分譲事業 エ.土地賃借、コンテナ型建築の場合>

①当社は、土地所有者と借地契約をします。
②当社はその借地上にコンテナ型建物の建築後、建物部分を投資家に売却します。
③②と同時に当社が土地所有者と締結している借地契約を土地所有者、投資家間の借地契約に切替えます。
※その他、内装部分のみ売却の場合も同じです。
(注) 有価証券届出書又は有価証券報告書を提出している会社はありません。
(注) 1.従業員数は就業人員であります。
2.平均年間給与は、賞与及び基準外賃金を含んでおります。
3.当社は単一セグメントであるため、セグメント別の記載は省略しております。
当社には労働組合はありません。なお、労使関係については円満に推移しております。
文中の将来に関する事項は、当事業年度末において当社が判断したものであります。
トランクルームは、海外では「セルフストレージ」と呼ばれ、最も普及が進んでいるアメリカでは1970年代にその数が一気に増え、トランクルームを利用する世帯普及率が現在では、10%となっています。
また、トランクルームの世界市場規模は、約380億ドル(約5兆円)となっています。
(出典: Self-storage:How warehouses for personal junk become a $38billion industry-Curbed)
一方、日本は年々認知度が向上、収納サービス利用者が増加傾向ではありますが、全国で1世帯あたりのレンタル収納スペース数は0.0044室(2022年1月1日時点での「住民基本台帳に基づく人口」の総世帯数で換算)であり、約230世帯に1室とも言えます(2021年調査時点は約256世帯に1室レベル)。世帯数の伸び率は鈍化する中、東京圏(東京都、神奈川県、千葉県、埼玉県)の人口は3,670万6,866人(前年比7万3,650人減)で、全国人口に占める割合は29.15%(前年比0.11ポイント増)となり、依然として東京圏集中の構図となっています。また、東京圏の部屋数は増加が続いており、1世帯当たりのレンタル収納スペース数は今後も拡大傾向を見込むことができます。
2021年度の収納ビジネスの市場規模(レンタル収納+コンテナ収納)は、765.8億円(前期比4.1%増)、2022年度の同市場規模は797.0億円(前期比4.1%増)、2023年度は825.8億円(前期比3.6%増)と予想されています。2023年度以降は、大手事業者を中心に新規出店のペースが加速していくとみられ、これまで以上の供給状況になるとみられます。(出典:矢野経済研究所「拡大する収納ビジネス市場の徹底調査2023年版」)
日本におけるサービスの認知度・世帯普及率はまだ高いとは言えず、今後のさらなる市場拡大を見込むことができると考えています。また近年においては不動産価格が右肩上がりで上昇してきたため、ライフステージの変化に伴う住居(特にマンション)の買い替えを行うことができましたが、今後の不動産価格の大幅な上昇が期待できなくなったため、住居の買い替えが進まず一つの物件に長く住むケースが増えてきています。このため、それぞれのライフステージにおいて必要な荷物・家財等を外部のトランクルームを利用することにより、住まいの限られたスペースを調整することが増えてきています。新型コロナウイルス感染症による在宅勤務の増加に対応して室内を広くすることや、いわゆる巣ごもり消費の増加により家庭内に食品などの在庫が増えたことなどもトランクルーム業界にとっては追い風となってきていると考えています。
またトランクルームを不動産投資物件として考えた場合、トランクルームは水回り等がないため、建築費を通常の建物と比べて低く抑えることができるとともに、大規模修繕の頻度も低くなります。さらにアパート・マンションと比較しても経年による賃料の減少幅が小さいため投資物件としては優位性を持っています。これらのトランクルームの特性を活かして事業を発展、強化させるため、当社では以下の事項を重要な課題と認識し、その対応に引き続き取り組んでまいります。
(1)会社の経営の基本方針
当社は、「顧客資産の持続的な価値向上を通じて、人々の暮らしや社会の未来を共創する」を経営理念に掲げ、「不動産所有者の資産価値の向上と、トランクルーム利用者の利便性の向上と満足感を通じて、人々の暮らしや社会の未来を豊かにする」を経営理念に基づくミッションとして、セルフストレージ方式のトランクルームの企画、開発、運営及び管理を行う事業を展開しております。
上記の経営理念・ミッションを達成するために下記の戦略を推し進めてまいります。
① 旺盛な需要があるエリアへ、不動産物件開発力、建築企画力を通じて優良な収益不動産を建設する。また並行して対象地域でのトランクルーム利用者の利便性を高めるサービスを提供する。
② オペレーション能力の向上を通じて、管理受託物件の拡大を図る。
③ セルフストレージ専用ポータルサイト・Web決済システム等の開発・連携を図り、業務効率向上と販売機会の促進により、当社の認知度を向上させる。
④ 複数の大型案件の投資家に加え、小規模案件の投資家開拓も行い、多様な売却先を確保することにより安定的に投資資金が回収できるようにする。
(2)目標とする経営指標
当社は、下記の指標を重要な経営指標と考えております。
① 各物件開業後の稼働率
トランクルームは一般的に、開設当初は稼働率が高くはありませんが、そのマーケットでの認知度の向上等により時間を経るごとに徐々に稼働率が高まっていく特性があります。当社では、稼働率と経過年数に注目して物件ごとの管理を行っています。経過年数のわりに稼働率が上がっていない物件に対しては、稼働率を向上させる対策をとっています。
② 管理する物件の物件数と部屋数
当社は、当社が管理する物件数とその部屋数を特に意識しております。物件数と部屋数が増加することにより、ユーザー顧客に対する信頼感が獲得できると同時に、トランクルーム業界内での当社の地位向上に役立つものと考えております。
③ 物件への問合せ数と契約の成約率
物件に対する問合せがなければトランクルームの新規契約は進まないことから、問合せ数とその推移に注目しておりますが、それと同時にこれらの問合せが実際の契約に至る成約率も重要な指標と考えております。
(注)稼働率は、稼働室数÷総室数で算出しております。経過年数は建築2年以上経過物件を既存稼働率、2年未満を新規稼働率として区別しております。
(今後の戦略)
収益力強化、事業拡大のためには、トランクルーム利用者獲得、不動産物件開発力強化、運営力の強化と効率化が必要となります。
トランクルーム利用者獲得のためには、店舗内覧会の開催やチラシ、看板などにより店舗そのものの認知度を上げることに加え、新規にトランクルームを利用するお客様にトランクルームの利便性についてご理解頂くことが重要となります。そのため、ホームページを活用したトランクルームの利便性、利用方法の説明や問い合わせを頂いた際に、実際に施設を見学頂くご案内などにより新たなお客様の獲得に努めてまいります。
また、トランクルーム利用者の利便性を高めるため、清潔な環境の維持、温度・湿度管理などの通常の家財保管のための設備管理に加え、宅配ボックスの設置や荷物運搬サービスの提供などお客様がトランクルームをより利用しやすいサービスに努めてまいります。
不動産物件開発力強化のためには、不動産会社、金融機関などからの情報獲得を強化していくとともに、マンション用地を購入後、開発を見合わせている住宅系開発会社からの情報取得にも努めてまいります。また、2023年1月に提携したクリアル株式会社との協業により、新規物件開発の強化に加え、既存の事務所ビルなどの改装案件開拓にも努めてまいります。同時に物件開発に伴う資金調達力強化のため、金融機関との関係を強化してまいります。
また、安定的に物件開発を進めるため、従来の建築工事の実績を踏まえ設計・施工を工夫することによりコスト抑制を図るとともに、ゼネコン、設計事務所との協力関係構築により工事体制を強化してまいります。
運営力の強化、効率化については、2022年11月に提携した株式会社パルマとの協業により、お客様との契約手続きの効率化、内覧会開催の充実などを図り、店舗数、部屋数の増加に対し、運営コストが比例して増加しないように工夫し、安定的、効率的な運営体制を整備してまいります。
(3)中期的な経営戦略と会社の対処すべき課題
当社が対処すべき課題と致しましては次の7項目であると認識しており、主なものとしては、新規出店による事業規模の拡大と経営基盤の強化、サービス向上による競争力、収益力の強化が挙げられます。
① コーポレート・ガバナンスの整備・強化と人員体制の拡充
当社は、コーポレート・ガバナンスの整備・強化を最も重要な経営課題のひとつと位置付けております。ガバナンスを強化するため、社外役員の招聘、各種規程の整備などを行い、上場後は管理実務機能を高めるため管理部従業員の教育を行いました。
② 物件開発力の強化
既存事業拡大のためには、出店用地の確保、建設コストの抑制、集客力の強化が必要となります。出店用地の確保については、不動産業界における住宅系の新規開発が一部消極的になる中、既存の住宅系開発会社や仲介会社との連携などを密にしてまいります。建設コスト抑制については、設計・施工を工夫することで検討・推進してまいります。
また、新規物件獲得、開発力強化に向けて開発部の人員増員も行いました。
③ 既存物件、新規物件の稼働率向上策
各物件の集客力の強化については、新規開業時に建設時の現地看板・チラシ等での販促、内覧会の開催等により、物件周辺での認知度を高める策を講じております。開店後期間が経過した案件であっても、稼働率が不十分な案件については、利用料や手数料を一定期間に限り割り引くキャンペーン等を行い集客の強化を推進し、稼働率向上に努めます。また、物件全般にホームページの活用やWEB上の広告掲載もしくは仲介サイト等を活用して認知度を向上させてまいります。また、法人向け営業の強化も含めリーシング要員の増員も行う予定であります。
④ 財務体質の改善と資金調達力の強化
当社が新規物件を開発する際には、必要な資金を安定的に調達することが重要となります。そのため複数の金融機関と親密な取引関係を維持し、資金調達を安定性と財務基盤の安全性を高めるように努めております。
なお、今後は、資金調達の多様化を図り、収益不動産であるトランクルーム開発に長期的に対応できる資金調達を行うことで企業としての財務体質強化を目指してまいります。
⑤ 新規事業(サービス)の拡大
新事業、新サービスとしては、2022年12月に栃木県栃木市にトランクルームに併設して1階がガレージ、2階がオフィスのメゾネットで構成された「R9 OFFICE GARAGE藤岡」を開業いたしました。本案件は、地方における新たな起業やリモートワークなどに対応した新たなオフィス需要を取り込むものであり、今後多店舗展開を検討しております。また、本案件は、1億円前後の小規模案件として投資家の幅を広げる案件となります。2022年4月に千葉県ユーカリが丘の商業施設内に開業したトランクルームは当社初の商業施設内店舗となりますが、買物のついでに日用品の在庫を出し入れするなど、従来のトランクルームとは異なる利便性をお客様に提供できるものと思料しております。
⑥ 収益用不動産としてのトランクルーム投資市場における当社地位の確立と新規投資家層拡大
収益用不動産としてのトランクルーム投資市場における当社地位の確立施策としては、前述の新規出店やホームページによる一般消費者に対する認知度の向上策に加え、トランクルーム投資を行う投資家やその投資家に対し融資を行う金融機関へのアプローチも重要となります。経年による商品劣化が少なく、水回り機能が無いため、設備の維持費用も住宅に比べて安価であるトランクルームの特性をご理解いただくことで、投資商品としてのトランクルームの評価向上に向けて活動して参ります。
当社物件を購入する新規投資家層については、当社への問い合わせからの商談、トランクルームの取得を検討しているという情報からの投資家へのダイレクトなアプローチ等新規開拓に努めて参ります。
また、当社としましても、トランクルームを不動産流動化の対象資産として位置づける活動を展開して、投資家に対し、トランクルーム事業の収益用不動産市場での位置づけを高めていきたいと考えております。
⑦ 新規参入者・同業他社に対する施策
当社ビジネスモデルは特許権等により法的に他社を排除できる参入障壁を持っておらず、ビジネスモデル自体もシンプルなものであるため、新規参入者・同業他社による競争激化が起こる可能性があります。これに対し、当社としては、これまで作り上げた不動産仲介業者や各種金融機関との情報連携を基に物件情報に対する迅速な投資判断を行うことにより開発力を強化してまいります。
不動産投資家のニーズへの対応としては、トランクルーム以外の不動産をも投資対象とする不動産投資家も当社の取引先に多くみられることから、トランクルーム以外の不動産カテゴリーについても投資家のニーズに合わせた不動産の販売、仲介を行っていくことを目指しております。また、若者の車離れや高齢者の利用に備え、運送業者との連携による荷物の集配サービスの強化などお客様の利便性を高める取組みを強化してまいります。
本書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、投資者の判断に重要な影響を及ぼす可能性のある事項には、以下のようなものがあります。なお、本項の記載内容は当社株式の投資に関するすべてのリスクを網羅しているものではありません。当社は、これらのリスクの発生可能性を認識したうえで、発生の回避及び発生した場合の迅速な対応に最大限の努力をする方針であります。
なお、文中の将来に関する事項は、当事業年度末現在において当社が判断したものであります。
(1)顧客ニーズや不動産市況等事業を取り巻く経営環境リスクについて
当社が属する不動産業界は、景気動向、金利水準、地価の水準等のマクロ経済要因の変動と企業業績が強く関連しております。こうした経済状況の変化は、当社が貸し出すトランクルームの賃料及び稼働率、土地の購入代金、建築費等の変動要因となり、当社の経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
当社は、当該リスクへの対応策として、定期的に景気動向・不動産市況等のモニタリングを行うとともにエリア・規模・用途・物件特性に応じたマーケット状況の把握、投資判断力・リーシング力の強化等により、リスクの低減を図ります。
(2)開発用地仕入れリスクについて
当社は、不動産市況の動向により、開発用地の価格が変動することで取得が計画どおりに進まない場合や様々な調査を行い開発用地取得の意思決定をしたものの予想がつかない土壌汚染や地中埋設物等の瑕疵の発見による追加費用が発生した場合には、当社の経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
当社は、当該リスクへの対応策として、開発用地の仕入れに際して立地条件、面積、地盤、周辺環境及び仕入れ価格等について事前に十分調査し、それらを勘案のうえ用地仕入れを行ってまいります。
また、用地の仕入れに際し、他社と競合し、価格が上がった場合には、当社売却時の利益が減少することとなりますが、トランクルーム用地は鉄道の駅からの距離よりも自動車によるアクセスを重要視致しますので、可能な限りマンション開発業者と競合の少ない物件を探し、購入価格を抑える工夫をして参ります。さらに、信託銀行などから、不動産所有者により近い情報を入手することにより競合の少ない段階での用地開発を行うことで価格上昇リスクを低減いたします。
(3)販売用不動産が売却できないあるいは売却が遅延するリスクについて
当社は、開発分譲事業で利益の8割程度を確保しておりますので、開発分譲事業において、販売用不動産が売却できない、あるいは売却が遅延した場合には、経常赤字となる可能性があります。
開発分譲事業において、当社のマーケティングが不十分で、結果として想定の利用料や稼働率が確保できない場合、外部環境が変化し需要が減少する場合、あるいは周辺の賃料相場及び不動産価格相場が大きく変動した場合等は、想定した価格で売却できず、当社で保有する等により、当社の経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
当社は、当該リスクへの対応策として、建築確認申請が完了した時点で、納期が制約を受けやすい建築資材の先行手配や、建築会社と綿密なスケジュールの打ち合わせを行うなどの対策を行い、建築工事を発注して、物件完成の目途が立った段階から当該物件の販売活動を開始致します。加えて、複数の買主候補に対し、並行して商談を行うことで、より当社に有利な売却条件を模索するなど、物件が売却できないリスクを低減して参ります。
(4)マスターリース契約のリスクについて
当社が開発したトランクルームは、完成後に投資家へ売却した際に、当社と物件取得先との間でマスターリース契約を締結することがあります。この場合当社には、物件についてリース債務が発生いたします。
このマスターリース契約を締結した物件について、当初の計画より稼働率が低迷しマスターリース期間内で投資回収を見込めない場合には引当金を計上する可能性があります。その結果、当社の経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。(マスターリース契約に基づくリース取引残高については、第5「経理の状況」に記載した注記(リース取引関係)をご参照下さい。)
(5)建築費の高騰、建築資材の供給不足のリスクについて
建築費の高騰、建築資材の供給不足も利益の減少あるいは売却遅延リスクとなり、当社の経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
当社は、これらのリスクを回避するために、複数の建設業者、コンテナ製造者との付き合い、取引先を拡大すること等で対処してまいります。また、工事遅延その他の要因により販売遅延となった場合には、金融機関に対し、融資期間の延長などを事前に打診することによりリスクの軽減を図ります。
(6)資金調達について
当社は、物件の取得及び建築等の事業資金のため、金融機関から短期及び長期の有利子負債を調達しています。今後は、市場金利が上昇する局面において支払利息等の増加により、経営成績及び財政状態に営業を及ぼす可能性があります。
資金調達に当たっては、現地取得の商談が始まった時点から金融機関と協議し、必要な資金の確保に努めてまいります。また、手元資金の活用による十分な日程調整を踏まえて、調達活動により十分な流通性を確保し、安全資金の確保に努めてまいります。
(7)小規模組織であるリスクについて
当社は、少数の人員体制であり、効率性を重視した運営組織となっております。今後、急速な事業の拡大、新規事業への進出等があった場合や、突発的な事故や退職等による従業員の減少があった場合は、すみやかに適切かつ十分な組織的対応ができず、当社の事業の展開速度や社会的信用、経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
(8)自然災害・不測の事故・感染症のリスクについて
火災、落雷、水災、地震、津波、その他偶然不測の事故並びに暴動、騒乱、テロ等の災害により、当社が保有又は運営する物件が滅失、劣化又は毀損し、トランクルームの事業運営に支障をきたした場合、当社の経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。また、新型コロナウイルス感染症を含め感染症などで経済活動が停滞した場合も当社の経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
(9)個人情報の管理について
当社では、見込み客情報、取引顧客情報、事業を通して取得した個人情報を保有しており、個人情報の保護に関する法律等による規制を受けております。これらの個人情報については、当社にて細心の注意を払って管理しておりますが、万が一、外部漏洩等の事態が発生した場合、損害賠償や社会的信用の失墜等により、当社の経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
(10)競合激化のリスクについて
トランクルームの開発、運営等に関する事業は、特許権等により法的に他社を排除できる参入障壁を持っているものではなく、また事業自体も比較的シンプルなものであり参入障壁が高いとは言えませんので、他業種からの参入或いは同業他社間の競合激化により当社の経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
一方、トランクルーム事業は地域に密着した事業であり、顧客が利用する商圏も物件から半径2キロメートル程度と狭く、飲食店や一般消費財のような競争関係には通常なりません。当社としては、可能な範囲で近隣の他社物件の価格帯を下回る水準で価格設定ができるように、物件確保に係るコストの圧縮、空調、セキュリティなどで他の競合に勝る環境の提供を行うことでリスク回避に努めております。
(11)システムトラブルについて
当社は、ホームページを通じた店舗紹介、問合せ管理、決済サービスを行っております。またトランクルームの契約についてもシステムを利用して管理しております。当社ではセキュリティ対策やシステムの安定性確保に取り組んでおりますが、何らかの原因でシステムトラブルが発生した場合には、当社の経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
(12)保有株式に関するリスクについて
当社は、中長期的な企業価値の向上に資すると判断される他社株式を純投資目的以外の株式(政策保有株式)として保有しております。個別の政策保有株式については、「コーポレートガバナンス・コード(原則1-4)に則り、取締役会へ定期的に報告し保有意義の適否を検証するなど、適切に管理しておりますが、株式の市場価格が下落するなど、保有する株式の価値が大幅に下落した場合には、当社の経営成績等に影響を及ぼす可能性があります。
(13) その他の関係会社との関係について
① 特定の法人への依存について
当社は、2022年4月27日付で東京証券取引所グロース市場に上場以前は、現在、その他の関係会社に該当する株式会社デベロップの子会社でありました。当社と同社及び同社グループとは主力事業が異なり、事業の棲み分けがなされており、現在競合となりうる状況は発生しておらず、今後発生する見込みも現時点ではありません。しかしながら、今後、同社及び同社グループ各社の事業ならびに取引形態の見直しによっては、当社の事業に影響を及ぼす可能性があります。
2023年1月期における株式会社デベロップとの主な取引は、[関連当事者情報]に記載の通りです。株式会社保育王及び鶴亀不動産株式会社との主な取引は、下記の通りであります。なお、銀行借入に対する債務の被保証および当社不動産賃借に対する債務の被保証についてはありません。
(14) 当社株式の流動性に関するリスク
上場後、初回の上場維持基準に係る審査は、2023年1月末の基準日をもって行われました。当社の上場維持基準への適合状況は、株主数、流通株式数、流通株式比率については適合しておりましたが、流通株式時価総額については適合しておりませんでした。当社は、2024年1月末までに上場維持基準に適合しなければ上場廃止基準に該当いたします。
当社は、上場維持基準を充たすために、2024年1月末までを対象期間とする計画を策定し、その期間に上場維持基準に適合する取り組みを進めてまいります。「流通株式時価総額の向上」を基本方針として、流通株式時価総額の構成要素が「株価(企業価値)」と「流通株式数」であることから、「企業価値の向上」と「流通株式数の改善」に取り組みます。特に、流通株式数の改善については、大株主に対して保有株式の売却について協力を要請してまいります。また、その他の事業法人等に対しては、保有目的や保有方針等を確認し、政策保有目的で所有している株主に対しては全部又は一部の売却、純投資目的で保有している株主に対しては、保有株式の全部又は一部の売却や「保有状況報告書」の記載について協力要請を進めてまいります。
(1) 経営成績等の状況の概要
当事業年度(2022年2月1日~2023年1月31日)における我が国経済は、Withコロナに向けた新たな段階への移行、ウクライナ情勢の長期化、海外における金融環境のタイト化、インフレ圧力、円安基調の継続など、国際情勢や金融情勢に重大な影響を及ぼす事象が多く存在し、景気の先行きは依然として不透明な状況であります。
このような環境下において、当社は2022年4月に東証グロース市場に上場しました。事業においては、都心部におけるトランクルーム需要は引き続き堅調であること、不動産投資家も、ホテル物件などの購入検討が難しくなる状況下で、ボラティリティの少ないトランクルーム案件への投資が積極的であることから物件の開発を進めて参りました。
こうしたなか、当社は2022年2月に埼玉県八潮市に「八潮大曽根」、同年3月に山口県宇部市に「宇部昭和町」、茨城県猿島郡に「境町」、熊本県八代市に「八代西片」、同年4月に茨城県石岡市に「石岡北府中」、千葉県佐倉市に「ユーカリが丘」、同年7月に岡山県津山市に「津山院庄」、同年11月に岡山県倉敷市に「倉敷亀島」、同年12月に栃木県栃木市に「栃木藤岡」、「R9 OFFICE GARAGE藤岡」、岡山県倉敷市に「倉敷平田」、2023年1月に東京都新宿区に「江戸川橋」、世田谷区に「尾山台」、千葉県市川市に「本八幡」の各トランクルームを開業致しました。このうち、「宇部昭和町」、「境町」、「八代西片」、「石岡北府中」については、その他の関係会社である株式会社デベロップが運営するレスキューホテル「R9ザ・ヤード」に隣接する出店となります。また、「ユーカリが丘」は初の商業施設内出店であり、「R9 OFFICE GARAGE藤岡」は1階がガレージ、2階がオフィスのメゾネットタイプの賃貸ガレージ付きオフィスであります。
2022年11月には、トランクルーム開発、運営、保証事業を行う株式会社パルマと業務提携を締結しました。同社とはトランクルームの開発及び運営において連携して参ります。2023年1月には不動産ファンドオンラインマーケット「クリアル」を運営するクリアル株式会社と業務提携を締結しました。同社とはトランクルーム開発やファンド化で連携して参ります。
以上の結果、当事業年度の売上高は3,065,728千円(前年同期比99.9%)、営業利益は153,239千円(前年同期比99.7%)、経常利益は148,879千円(前年同期比94.0%)となりました。当期純利益は102,922千円(前年同期比83.1%)となりました。なお、当社はトランクルーム事業のみの単一セグメントであるため、セグメント別の業績の記載をしておりません。
(資産)
流動資産は、前事業年度末に比べて24.9%増加し、1,350,233千円となりました。これは、現金及び預金が831,508千円と前事業年度末に比べて113.5%増加したことによるものです。開発分譲事業の販売用不動産は、454,437千円と前事業年度末に比べて30.5%減少となりました。これは開発物件完成により売却したことによるものです。固定資産は、前事業年度末に比べて8.8%増加し、469,499千円となりました。これは建物(純額)が20,341千円と前事業年度末に比べて7.7%増加したことによるものです。敷金及び保証金が228,312千円と前事業年度末に比べて15.0%増加、また、投資有価証券30,800千円を計上したことによるものです。この結果、資産合計は前事業年度末に比べて20.3%増加し、1,819,733千円となりました。
(負債)
流動負債は、前事業年度末に比べて50.6%減少し、206,896千円となりました。これは、開発物件完成売却に伴い短期借入金を完済したことなどによるものです。固定負債は、前事業年度末に比べて56.2%増加し694,381千円となりました。これは、長期借入金が613,011千円と前事業年度末から75.5%増加したことなどによるものです。この結果、負債合計は前事業年度末に比べて4.5%増加し、901,277千円となりました。
(純資産)
純資産合計は、前事業年度末に比べて41.4%増加し、918,455千円となりました。これは、上場時の公募及び第三者割当増資により資本金が260,928千円、資本剰余金が208,368千円とそれぞれ前事業年度末に比べて90,928千円増加し、利益剰余金が465,096千円と前事業年度末に比べて102,922千円増加、その他有価証券評価差額金△15,937千円を計上したことなどによるものです。
当事業年度末における現金及び現金同等物の残高は、831,508千円となりました。
当事業年度における各キャッシュ・フローの状況及びこれらの要因は以下のとおりであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
当事業年度における営業活動の結果、得た資金は268,782千円の収入となりました。これは主に税引前当期純利益148,879千円、棚卸資産の減少197,726千円、法人税等の支払い△86,359千円等によるものです。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
当事業年度における投資活動の結果、使用した資金は102,359千円の支出となりました。これは有形固定資産の取得による支出△12,625千円、無形固定資産の取得による支出△6,200千円、投資有価証券取得による支出△53,630千円等によるものです。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
当事業年度における財務活動の結果、得た資金は275,632千円の収入となりました。これは長期借入れによる収入380,000千円、株式の発行による収入181,856千円等によるものです。
当社は生産を行っていないため、生産実績の記載はしておりません。
当社は受注生産を行っていないため、受注実績の記載はしておりません。
当社の事業セグメントはトランクルーム事業のみの単一セグメントでありますが、トランクルームの運営管理事業及び開発分譲事業別の売上高は以下の通りです。
(注)1.主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合は、以下のとおりであります。
経営者の視点による当社の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は、次のとおりであります。
①重要な会計方針及び見積り
当社の財務諸表は、我が国において一般に公正妥当と認められる企業会計の基準に基づき作成されております。この財務諸表の作成にあたって、経営者による会計方針の選択・適用、資産・負債及び収益・費用の報告金額及び開示に影響を与える見積りを必要としております。経営者は、これらの見積りについて、過去の実績等を勘案し合理的に判断しておりますが、実際の結果は、見積りによる不確実性のため、これらの見積りと異なる場合があります。
財務諸表の作成にあたって用いた会計上の見積り及び仮定のうち、重要なものは「第5 経理の状況 1財務諸表等 (1)財務諸表 注記事項(重要な会計上の見積り)」に記載しております。
②当事業年度の経営成績等の状況に関する認識及び分析・結果内容
(売上高、売上原価)
当事業年度における売上高は、3,065,728千円となりました。
その主な要因は、新大塚トランクルーム、江戸川橋トランクルーム、本八幡トランクルーム及び尾山台トランクルームの完成、売却等によるものです。
また、売上原価2,563,668千円となりました。これは、売上高同様開発事業の順調な開発によるものです。
その結果、売上総利益は、502,060千円となりました。
(販売費及び一般管理費)
当事業年度における販売費及び一般管理費は、348,820千円となりました。
その主な要因は、開発部、営業部共に従業員増加による人件費の増加によるものです。
その結果、営業利益は、153,239千円となりました。
(営業外損益)
当事業年度における営業外収益は、31,168千円となりました。これは、主に太陽光売電収入による収益28,812千円を計上したことによります。営業外費用は、35,529千円となりました。これは、主に太陽光売電原価による費用23,478千円を計上したことによります。
その結果、経常利益は、148,879千円となりました。
(特別損益及び当期純利益)
当事業年度における特別損益はありません。
以上の結果、税引前当期純利益は、148,879千円、当期純利益は、102,922千円となりました。
③経営成績に重要な影響を与える要因について
経営成績に重要な影響を与える要因につきましては、「2 事業等のリスク 」に記載のとおりであります。
④資金の財源及び資金の流動性
a.キャッシュフローの状況
「(1)経営成績等の状況の概要 ②キャッシュ・フローの状況」に記載のとおりであります。
b.資金の需要
当社における資金需要は、主として売上原価となります販売用不動産の仕入れ資金であります。これらは、短期
借入れ資金として銀行等の金融機関から調達を行っております。
今後も事業活動を支える資金調達については、低コストかつ安定的、機動的な資金の確保を主眼として多様な資金調達方法に取り組んでまいります。
なお、事業拡大に伴う多額の先行投資が見込まれる場合は、これらの資金需要に対応するため自己資金、金融機関からの借入れ及びエクイティファイナンス等で調達することを予定しております。
⑤経営方針・経営戦略・経営上の目標の達成状況を判断するための客観的指標
a.当社の経営目標
当社は、個人及び企業がユーザーとなるトランクルームの企画、開発、運営をしております。そのため下記の指標を経営上の管理目標としております。
・トランクルーム利用者の成約、解約の状況及び現在稼働している室数、全体室数に対する稼働室数(稼働率)
・トランクルーム開発及び売却時の、不動産としての物件の仕入れ高と完成後の売却金額による物件売却利益率
b.当社の4つ経営方針
イ.トランクルーム開発後の完売による利益率の確保及び向上を図る
ロ.既存物件及び大型マスターリース案件の稼働率アップによる収益拡大を図る
ハ.コンプライアンスの徹底による管理・運営体制の強化を図る
ニ.既存ビルへの出店や商業施設等への出店等への新たな営業戦略を推進する
(注) 1.現在休止中の主要な設備はありません。
2.一部の設備については他の者から賃借しており、主要な賃借中の設備は、下記のとおりであります。なお、年間賃借料には共益費も含んでおります。
3.TRはトランクルームの略称になります。
4.その他は、工具器具備品、構築物、一括償却資産、少額減価償却資産及び無形固定資産が含まれております。
(注)1.当社は、2022年4月27日をもって、当社株式は東京証券取引所グロース市場に上場しております。
2.提出日現在の発行数には、2023年4月1日からこの有価証券報告書提出日までの新株予約権の行使により発行された株式数は、含まれておりません。
※ 当事業年度の末日(2023年1月31日)における内容を記載しております。当事業年度の末日から提出日の前月末現在(2023年3月31日)にかけて変更された内容はありません。
(注) 1.新株予約権1個につき目的となる株式数は、当事業年度の末日においては500株であります。
ただし、新株予約権の割当日後、当社が株式分割又は株式併合を行う場合は、次の算式により目的である株式の数を調整するものとする。ただし、かかる調整は、新株予約権のうち、当該時点で行使されていない新株予約権の目的である株式の数について行われ、調整の結果生じる1株未満の端数は、これを切り捨てる。
2.新株予約権の割当日後、当社が株式分割、株式併合を行う場合は、次の算式により払込金額を調整し、調整により生ずる1円未満の端数は切り上げる。
また、新株予約権の割当日後に時価を下回る価額で新株式の発行または自己株式の処分を行う場合は、次の算式により払込金額を調整し、調整により生ずる1円未満の端数は切り上げる。
3.当社2021年12月24日開催の臨時取締役会の決議により、2022年1月12日付で普通株式1株につき500株の株式分割したことにより「新株予約権の目的となる株式の種類、内容及び数」、「新株予約権の行使時の払込金額」及び「新株予約権の行使により株式を発行する場合の株式の発行価格及び資本組入額」が調整されております。
4.当社が組織再編を実施する際の新株予約権の取扱いについて
当社が組織再編に際して定める契約書または計画書等に以下に定める株式会社の新株予約権を交付する旨を定めた場合には、当該組織再編の比率に応じて、次に定める株式会社の新株予約権を交付する。
(1) 合併(当社が消滅する場合に限る)
合併後存続する株式会社または合併により設立する株式会社
(2) 吸収分割
吸収分割をする株式会社がその事業に関して有する権利義務の全部または一部を承継する株式会社
(3) 新設分割
新設分割により設立する株式会社
(4) 株式交換
株式交換をする株式会社の発行済株式の全部を取得する株式会社
(5) 株式移転
株式移転により設立する株式会社
該当事項はありません。
(注)1.有償第三者割当増資 492株
発行価格 320,000円
資本組入額 162,601円
割当先 10社
主な割当先 寺田倉庫株式会社100株、株式会社細谷工業所100株、株式会社九州リースサービス78株
2.2021年12月24日開催の臨時取締役会決議により、2022年1月12日付で普通株式1株につき500株の株式分割を行っております。
3.2022年4月26日に、有償一般募集(ブックビルディング方式による募集)の払込により資本金が66,792千円及び資本準備金が66,792千円増加しております。
発行価格 660円
引受価額 607.2円
資本組入額 303.6円
4.2022年5月31日に、第三者割当による新株式発行(オーバーアロットメントによる当社株式の売出しに関連する第三者割当)により資本金が24,136千円及び資本準備金が24,136千円増加しております。
発行価格 607.2円
資本組入額 303.6円
割当先 大和証券株式会社79,500株
2023年1月31日現在
(注)1.その他の関係会社
2.2023年4月4日付で公衆の縦覧に供されている大量保有報告書の変更報告書において、株式会社デベロップが以下の株式を処分している旨が記載されているものの、当社として2023年1月31日現在における実質所有の状況が確認できないため、上記大株主の状況には含めておりません。なお、当該変更報告書の内容は次の通りであります。