株式会社マイクロアド
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回次 |
第14期 |
第15期 |
第16期 |
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決算年月 |
2020年9月 |
2021年9月 |
2022年9月 |
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売上高 |
(千円) |
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経常利益 |
(千円) |
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親会社株主に帰属する当期純利益又は親会社株主に帰属する当期純損失(△) |
(千円) |
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△ |
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包括利益 |
(千円) |
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純資産額 |
(千円) |
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総資産額 |
(千円) |
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1株当たり純資産額 |
(円) |
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1株当たり当期純利益又は1株当たり当期純損失(△) |
(円) |
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△ |
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潜在株式調整後1株当たり当期純利益 |
(円) |
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自己資本比率 |
(%) |
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自己資本利益率 |
(%) |
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株価収益率 |
(倍) |
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営業活動によるキャッシュ・フロー |
(千円) |
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投資活動によるキャッシュ・フロー |
(千円) |
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△ |
△ |
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財務活動によるキャッシュ・フロー |
(千円) |
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現金及び現金同等物の期末残高 |
(千円) |
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従業員数 |
(人) |
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(外、平均臨時雇用者数) |
( |
( |
( |
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(注)1.第14期及び第15期の潜在株式調整後1株当たり当期純利益については、潜在株式は存在するものの、当社株式は非上場であり、期中平均株価が把握できないこと、及び当期純損失を計上しているため記載しておりません。また、第16期の潜在株式調整後1株当たり当期純利益については、当社株式が2022年6月29日に東京証券取引所グロース市場に上場したため、新規上場日から第16期末までの平均株価を期中平均株価とみなして算定しております。
2.第15期の親会社株主に帰属する当期純損失の発生要因は主にマイクロアド社におけるデータセンターの移行に伴う一時的な費用の発生により、当期純利益が非支配株主に帰属する当期純利益を下回ったことによるものとなっております。第16期以降、当該費用の発生予定は現時点ではありません。
3.第15期の自己資本利益率は親会社株主に帰属する当期純損失を計上しているため、記載しておりません。
4.第14期及び第15期の株価収益率については、当社株式は非上場であるため、記載しておりません。
5.第14期以降の連結財務諸表については、「連結財務諸表の用語、様式及び作成方法に関する規則」(昭和51年大蔵省令第28号)に基づき作成しており、金融商品取引法第193条の2第1項の規定に基づき、有限責任監査法人トーマツの監査を受けております。
6.従業員数は就業人員(当社グループからグループ外への出向者を除き、グループ外から当社グループへの出向者を含む。)であり、臨時雇用者数(派遣社員、契約社員、アルバイト、インターンを含む。)は、年間の平均人員を( )外数で記載しております。
7.当社は、2022年4月1日付で普通株式1株につき2株の株式分割を行っております。そこで、第14期の期首に当該株式分割が行われたと仮定し、1株当たり純資産額、1株当たり当期純利益又は1株当たり当期純損失(△)及び潜在株式調整後1株当たり当期純利益を算定しております。
8.「収益認識に関する会計基準」(企業会計基準第29号 2020年3月31日)等を当連結会計年度の期首から適用しており、当連結会計年度に係る主要な経営指標等については、当該会計基準等を適用した後の指標等となっております。
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回次 |
第12期 |
第13期 |
第14期 |
第15期 |
第16期 |
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決算年月 |
2018年9月 |
2019年9月 |
2020年9月 |
2021年9月 |
2022年9月 |
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売上高 |
(千円) |
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経常利益又は経常損失(△) |
(千円) |
△ |
△ |
△ |
△ |
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当期純利益又は当期純損失(△) |
(千円) |
△ |
△ |
△ |
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資本金 |
(千円) |
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発行済株式総数 |
(株) |
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純資産額 |
(千円) |
△ |
△ |
△ |
△ |
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総資産額 |
(千円) |
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1株当たり純資産額 |
(円) |
△ |
△ |
△ |
△ |
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1株当たり配当額 |
(円) |
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(1株当たり中間配当額) |
( |
( |
( |
( |
( |
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1株当たり当期純利益又は1株当たり当期純損失(△) |
(円) |
△ |
△ |
△ |
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潜在株式調整後1株当たり当期純利益 |
(円) |
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自己資本比率 |
(%) |
△ |
△ |
△ |
△ |
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自己資本利益率 |
(%) |
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株価収益率 |
(倍) |
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配当性向 |
(%) |
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従業員数 |
(人) |
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(外、平均臨時雇用者数) |
( |
( |
( |
( |
( |
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株主総利回り |
(%) |
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(比較指標:-) |
(%) |
( |
( |
( |
( |
( |
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最高株価 |
(円) |
- |
- |
- |
- |
1,308 |
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最低株価 |
(円) |
- |
- |
- |
- |
764 |
(注)1.1株当たり配当額及び配当性向については、配当を実施していないため、記載しておりません。
2.第12期から第15期までの潜在株式調整後1株当たり当期純利益については、潜在株式は存在するものの、当社株式は非上場であり、期中平均株価が把握できないため、記載しておりません。また、第16期の潜在株式調整後1株当たり当期純利益については、当社株式が2022年6月29日に東京証券取引所グロース市場に上場したため、新規上場日から第16期末までの平均株価を期中平均株価とみなして算定しております。
3.第11期、第12期の当期純損失の要因は主に減損損失を計上したことによるものです。第13期、第14期の当期純損失については当該減損損失の影響でソフトウエア開発等を即時費用計上したことにより原価率が高まったことが要因となります。
4.債務超過については、第11期、第12期の減損損失の影響によるものとなります。今後の見通しについては「第2事業の状況 2.事業等のリスク 10.損失の継続計上について」をご参照下さい。
5.第11期、第12期、第13期及び第14期の自己資本利益率については、当期純損失を計上しているため、第15期については債務超過であり、第16期は期首において債務超過であるため記載しておりません。
6.第12期から第15期までの株価収益率については、当社株式は非上場であるため、記載しておりません。
7.主要な経営指標等の推移のうち、第12期及び第13期について、「会社計算規則」(平成18年法務省令第13号)の規定に基づき算出した各数値を記載しており、金融商品取引法第193条の2第1項の規定による監査を受けておりません。
8.第14期以降の財務諸表については、「財務諸表等の用語、様式及び作成方法に関する規則」(昭和38年大蔵省令第59号)に基づき作成しており金融商品取引法第193条の2第1項の規定に基づき、有限責任監査法人トーマツの監査を受けております。
9.従業員数は就業人員(当社から社外への出向者を除き、社外から当社への出向者を含む。)であり、臨時雇用者数(派遣社員、アルバイトを含む。)は、年間の平均人員を( )外数で記載しております。
10.当社は、2022年4月1日付で普通株式1株につき2株の株式分割を行っております。そこで、第14期の期首に当該株式分割が行われたと仮定し、1株当たり純資産額、1株当たり当期純利益又は1株当たり当期純損失(△)及び潜在株式調整後1株当たり当期純利益を算定しております。
11.2022年6月29日付をもって東京証券取引所グロース市場に株式を上場いたしましたので、第12期から第16期までの株主総利回り及び比較指標については記載しておりません。
12.最高株価及び最低株価は東京証券取引所グロース市場におけるものであります。
なお、2022年6月29日付をもって同取引所に株式を上場いたしましたので、それ以前の株価については記載しておりません。
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年月 |
概要 |
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2007年7月 |
東京都渋谷区に資本金50百万円で株式会社マイクロアドを設立(当時は株式会社サイバーエージェント100%子会社) |
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2008年2月 |
東京本社を渋谷区道玄坂へ移転 |
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2008年3月 |
西日本での事業拡大を目的として大阪支社を開設 |
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2008年8月 |
研究開発拠点として京都研究開発所を開設 |
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2008年8月 |
中華圏での事業拡大を目的として微告香港集団有限公司(MicroAd Hong Kong Holdings, Ltd.)を設立(現地法人を100%子会社化) |
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2009年1月 |
台湾での事業拡大を目的として台湾微告有限公司(MicroAdTaiwan, Ltd.)を設立 |
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2009年2月 |
オフショア開発拠点として中国に微告科技(瀋陽)有限公司(MicroAdTechnologyDevelopment(Shenyang), Ltd.)を設立 |
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2010年1月 |
東京本社を渋谷区円山町へ移転 |
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2010年10月 |
SSP(注1)「MicroAdAdFunnel」の提供を開始 |
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2011年4月 |
販売強化販路拡大を目的として株式会社マイクロアドプラスを設立(注2) 九州地域での事業拡大を目的として福岡営業所を開設 |
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2011年6月 |
DSP(注3)「MicroAdBLADE」の提供を開始 |
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2012年8月 |
ASEAN地域での事業拡大を目的としてシンガポールにMicroAdSingaporePte.Ltd.を設立 |
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2013年8月 |
デジタルサイネージ関連事業の提供を目的として株式会社マイクロアドデジタルサイネージを設立 |
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2013年10月 |
東海地域での事業拡大を目的として名古屋営業所を開設 |
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2013年11月 |
世界のテクノロジーベンチャー企業Top100『2013 RedHerringGlobalTop100』を受賞 『IAIRAwardsfor“BestCompanyforInnovation & Leadership”』を受賞 |
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2014年4月 |
マイクロアドデジタルサイネージ、デジタルサイネージ向けアドネットワーク(注4)「MONOLITHS」の提供を開始 |
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2014年9月 |
スマホメディアの収益向上機能を強化したSSP「MicroAdCOMPASS」の提供を開始 |
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2014年12月 |
インターネットメディアの収益支援サービスの提供を目的として株式会社エンハンスを設立 |
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2015年4月 |
マイクロアドプラスとCCCマーケティング、Tポイントデータを活用した広告配信サービスの戦略的拡大に向けた資本業務提携 |
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2016年1月 |
ベトナムにアジア向け開発拠点としてMicroAd Technology Development Company Limitedを設立 |
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2016年4月 |
ソフトバンク株式会社と、ソフトバンクが保有するデータを活用したスマートデバイス向け広告事業の共同開発に向けた資本業務提携 |
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2016年12月 |
データを軸とした企業のマーケティング基盤構築サービス「UNIVERSE」の提供を開始 東京本社を渋谷区神泉町へ移転 |
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2018年10月 |
業種特化型マーケティングデータプラットフォームの第1弾として、自動車業界向けに「IGNITION」の提供を開始 |
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2018年11月 |
食品・飲料業界向けマーケティングプラットフォーム「Pantry」の提供を開始 |
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2019年1月 |
ビッグデータ時代に対応した新広告プラットフォーム「UNIVERSEAds」の提供を開始 |
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2019年7月 |
BtoB企業向けマーケティングデータプラットフォーム「シラレル」の提供を開始 製薬業界向けマーケティングデータプラットフォーム「IASO」の提供を開始 |
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2019年10月 |
エンターテインメント業界向けマーケティングプラットフォーム「Circus」の提供を開始 |
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2021年3月 |
SCSK株式会社と、双方が有するデータ分析のノウハウやリソースを活用したデジタルマーケティング、販促支援、DX支援などの様々な分野における競争力強化に向けた資本業務提携 |
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2021年7月 2022年2月 2022年3月 |
東京本社を渋谷区桜丘町へ移転 子会社、株式会社マイクロアドプラスを吸収合併 アジアパシフィックでの海外コンサルティングサービスの推進を目的に、台湾微告有限公司(MicroAd Taiwan, Ltd.)の子会社として奇碁數位股份有限公司 (Tiki Digital, Ltd.)を設立 |
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2022年6月 |
東京証券取引所グロース市場に株式を上場 |
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2022年8月 |
機関投資家向けの投資判断に活用するオルタナティブデータ(注5)の販売事業を開始 |
(注)1.SSP:Supply-Side Platformの略称。媒体側の広告枠販売や広告収益最大化等を支援するプラットフォーム。
2.株式会社マイクロアドプラスは、株式会社マイクロアドを存続会社とする吸収合併により消滅しております。詳細は「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項(企業結合等関係)」の「①共通支配下の取引等」をご参照ください。
3.DSP:Demand-Side Platformの略称。広告主側に対し、広告在庫の買付から配信、オーディエンスターゲティング等を一括して管理できるプラットフォーム。MicroAd BLADEについては2022年3月にサービスを終了しております。
4.アドネットワーク:複数の広告媒体によって作られたネットワークを通じて広告を配信するシステム。
5.オルタナティブデータ:機関投資家によって投資判断に利用するデータのうち、伝統的に用いられてきた決算情報等の一般的な公開・開示情報以外のデータ群の総称
当社グループ(当社、当社の子会社及び関連会社)は、当社、連結子会社10社(株式会社マイクロアドデジタルサイネージ、株式会社エンハンス、他8社)、非連結子会社1社で構成され、「Redesigning The Future Life」というビジョンのもと、データとテクノロジーの力によって、マーケティングを変革し、人々の生活をより良いものに、より充実したものにすることを目指して事業運営を行ってまいりました。
当社グループは、データプラットフォーム事業の単一セグメントである為、セグメントごとの記載はしておりません。セグメントを構成する主要なサービスとして、(1)データソリューションサービス、(2)海外コンサルティングサービス、(3)デジタルサイネージサービスの3つのサービスによって事業展開しております。
また、3つのサービスに対して、労働集約的なビジネスモデルである「コンサルティング」と、プロダクト販売による収穫逓増型のビジネスモデルである「データプロダクト」の二つに分類することで、それぞれのビジネスモデルに応じた経営戦略の立案や収益性の分析を行っております。それぞれのビジネスモデルと、提供するサービスの関係は下図のとおりです。特に当社では収益性の高い「データプロダクト」のビジネスモデルに属する「UNIVERSE」へ注力しており、当該領域のプロダクト開発への投資を積極的に行うことで、データプラットフォーム事業の拡大を目指してまいります。
ビジネスモデル「データプロダクト」は、企業のマーケティング課題を解決するための、デジタル広告ソリューション群になります。外部から仕入れたデータを活用し、消費者の行動特性をとらえ、その行動データに基づいた広告配信を行うことで、企業の様々なマーケティング課題の解決を目指します。「データプロダクト」のビジネスモデルの構造は下図の通りです。
ビジネスモデル「コンサルティング」は、企業のデジタルマーケティングにおける課題を解決する為に当社グループの製品に加え、他社の製品を組み合わせることで、企業のマーケティング活動における、より広範なソリューションを提供しております。「コンサルティング」のビジネスモデルの構造は下図の通りです。
当社のデータプラットフォーム事業を構成する、3つのサービスそれぞれの特徴は以下のとおりです。
(1)データソリューションサービス
データソリューションサービスは、1.UNIVERSE、2.国内コンサルティングサービスの二つのサービスを総称したものを指します。
1.UNIVERSE
消費者の購買行動や消費行動のプロセスは、業界や業種によって多種多様であり、消費者は多様なプロセスを経て、企業の製品やサービスの認知・購買に至ります。UNIVERSEは、そのような多様な購買・消費行動を分析し、その分析データを活用して、顧客企業の様々なマーケティングの課題解決を行うサービスです。UNIVERSEでは、自社開発した二つのプラットフォームによって構成されております。
一つ目がデータプラットフォームである「UNIVERSE DATA PLATFORM」になります。「UNIVERSE DATA PLATFORM」では、消費者のライフスタイルの変化をとらえるデータや、消費者の性別・年齢等を推定したデモグラフィックデータなどの一般的なデータ群と、様々な購買・消費行動をとらえるための、業界・業種に特化したデータ群が蓄積されております。具体的なデータ例としては、自動車購買までの消費行動を分析する際に活用するデータとして、各種自動車関連のインターネットメディアの閲覧履歴等のデータや、飲料・食品業界の消費行動を分析する際に活用するデータとして、コンビニ、スーパーマーケット等の実店舗での決済データやポイント利用データ等になります。これらのデータは、2022年9月時点で212の外部データ保有企業・メディアからデータを収集・集約して構成されております。その大量のデータを組み合わせて分析を行うことで、消費者の様々な購買消費行動の分析を行います。
二つ目が広告プラットフォームである「UNIVERSE Ads」になります。顧客企業のマーケティング課題を解決する為に「UNIVERSE DATA PLATFORM」によって分析されたデータを活用し、UNIVERSE Adsを通して適切な消費者に広告配信を行います。UNIVERSE Adsは「RTB(Real Time Bidding)」(注1)という技術を用いて、消費者毎にリアルタイムに最適な広告を選択し、オークション形式で広告配信を行うプラットフォームです。UNIVERSE Adsでは社内外の様々なSSP(注2)と接続することで、多くの消費者へ広告配信を行うことが可能です。広告配信技術であるRTBでは、オークションによって広告配信金額が決定する為、顧客企業のマーケティングの費用対効果を最大化する為には、最適な消費者に、最適な金額でオークションへの入札を行う必要があります。そこで、UNIVERSE Adsでは、AIを活用した最適化アルゴリズムを導入しております。AIによる分析では、企業の製品・サービスのカテゴリ、掲載面の品質やコンテンツの内容、配信を行う時間、広告クリエイティブ(注3)の種類(静止画・動画・ネイティブ広告(注4)等)など、広告の費用対効果を決定づける数十の変数を解析し、最適なアルゴリズムのモデルを構築することで、リアルタイムに最適解を導き出し、広告配信(入札)を行っております。この独自のAIアルゴリズムは配信・入札アルゴリズムを改善するための専任のデータサイエンティストが、様々なモデルの比較検討を行いながら日々改良を重ねております。加えて、UNIVERSE DATA PLATFORMとのリアルタイムなデータ連携によって、特定の製品カテゴリの比較検討を開始した消費者や、最終的な購買検討段階に移行した消費者、特定商品の購買意欲が急激に高まった瞬間など、消費者ひとりひとりの製品認知・購買プロセスの段階に応じて広告配信を行うことで、顧客企業のマーケティング課題を解決します。
顧客企業へのサービス提供を行う際には、業界・業種毎のプロダクトとして、二つのプラットフォームを組み合わせた製品を多数展開しております。主要なプロダクトとして、BtoB業種に特化した「シラレル」、飲料・食品業界に特化した「Pantry」、医療・製薬業界に特化した「IASO」、自動車業界に特化した「IGNITION」、エンタメ業界に特化した「Circus」などがあります。これらのプロダクトを顧客企業が利用し、広告配信を行う上で、「UNIVERSE」のアカウントを発行いたします。なお、当社プロダクトを利用する企業は、その企業が提供する製品ブランドやサービス毎に広告宣伝費を設定しているケースが多いため、単一企業であっても製品ブランドやサービス毎に複数のアカウントを発行しております。
UNIVERSEにおける、二つのプラットフォームと各プロダクトの構造を図示したものが下記になります。
また、2022年9月時点で、これらの業界業種毎のプロダクトは17業種まで拡大しております。それぞれの業種毎の売上シェアは下図の通りとなっております。特定の企業や業種に大きく依存することなく、様々な企業に対して、当社製品を提供しております。
※売上シェアは2022年度9月期実績
広告代理店との取引においては2022年度9月期実績で約480社の代理店と取引を行っております。
また、これらの販売チャネルを通じて開設された「UNIVERSE」のアカウント数は2022年度9月期実績で、2,007アカウントとなっております。
2.国内コンサルティングサービス
国内コンサルティングサービスは、メディア企業向けの広告収益最大化サービス「MicroAd COMPASS」と、企業の総合的なマーケティング課題の解決を行う「マーケティングコンサルティング」の二つのサービスがあります。
・「MicroAd COMPASS」
インターネット広告を掲載するメディア企業向けの広告収益最大化サービスとして、「MicroAd COMPASS」の提供を行っております。MicroAd COMPASSは2022年9月時点で2,100を超えるインターネットメディアに導入されており、RTBを通じて様々なDSP(注5)と接続しております。RTBによるオークションによってリアルタイムに最も収益が見込まれる広告を瞬時に選択することで、メディア企業の広告収益の拡大に貢献しております。MicroAd COMPASSでは、メディア企業へ支払われる広告収益の一部をプラットフォーム利用料として自社の収益としています。
・マーケティングコンサルティング
企業のデジタルマーケティングのコンサルティングサービスとして、株式会社マイクロアドと株式会社エンハンスがサービス提供を行っております。当社グループが提供する各種データソリューションを活用し、企業の課題解決に向けた総合的なデジタルマーケティングのコンサルティングを行うことで、企業の製品・サービスの売上拡大に貢献しております。株式会社マイクロアドでは、広告主企業に対するコンサルティングサービスを提供し、広告主企業から支払われる広告配信費の一部を販売代理手数料として収益を上げています。株式会社エンハンスでは、主にメディア企業の広告収益拡大に向けたコンサルティングサービスを提供し、コンサルティングフィーとして収益を上げています。
(2)海外コンサルティングサービス
企業のデジタルマーケティングにおける総合的な課題解決を行うコンサルティングサービスとして、海外子会社各社(台湾:台湾微告股份有限公司、中国:MicroAd (Shanghai) Advertising, Ltd.(注6)、ベトナム:MICROAD VIETNAM JOINT STOCK COMPANY(注7))が現地企業及び進出済日系企業にサービス提供を行っております。具体的な内容としては、各企業に対する現地でのプロモーション施策の立案、広告枠の買付け及び運用、広告クリエイティブの制作などになります。
また、台湾においては、そのサービスの一環として、独自のネイティブ広告プラットフォーム「COMPASS-FIT」の提供、及び自社運営の訪日インバウンドWebメディア「Japaholic」でのタイアップ広告などマーケティングサービスの提供を行っております。
海外コンサルティングサービスでは顧客企業に対するメディア買付業務、メディア運用業務、クリエイティブ制作業務などの各対価を収益としております。台湾での自社独自サービスは、デジタルマーケティングサービスを提供する競合他社に対しての営業上の差別化要因となる点、FacebookやGoogle及び台湾現地企業が提供するサービスを販売した場合と比較して自社サービスを販売した方が粗利率が高く収益性に優れる点を理由に展開しており、今後も強化していく方針であります。
(3)デジタルサイネージサービス
屋外広告や、交通広告のデジタル化の促進と、インターネットを通じたネットワーク化による一元的な広告配信サービスとして、株式会社マイクロアドデジタルサイネージによる「MONOLITHS」の提供を行っております。 「MONOLITHS」はデジタルサイネージ(注8)を設置しているロケーションオーナー(注9)向けのCMS(注10)で、ロケーションオーナーは「MONOLITHS」によりデジタルサイネージに掲出するコンテンツをWebブラウザよりリアルタイムで配信管理することができます。「MONOLITHS」の機能の一つとして広告配信機能があり、ロケーションオーナーは「MONOLITHS」の管理画面上より広告枠の設定が可能で、ロケーションオーナー独自でデジタルサイネージ広告事業を展開する際のアドサーバーとしての機能と、その広告枠をアドネットワーク(注11)の広告在庫として提供する機能を有しています。
株式会社マイクロアドデジタルサイネージは「MONOLITHS」を通じた広告在庫をアドネットワーク化しており、これらの広告枠を広告主企業や広告代理店に販売しております。「MONOLITHS」アドネットワークは、天気、気温などの外部データとの連携が可能で、従来の屋外広告・交通広告では実現が難しかった天気、気温などの変化によってサイネージに掲出する広告内容をリアルタイムに変更させるなどの配信管理が可能です。
また、広告業界の流れとしてPC,スマートフォンといったデバイスのみならずデジタルサイネージ広告枠への既存DSP経由での広告配信もスタートしており、その際には「MONOLITHS」はSSPとしての役割を果たします。
現在「MONOLITHS」は複数のDSPとの接続を果たしており、今後もその接続先を拡充していく計画です。
「MONOLITHS」を通じて広告配信可能なデジタルサイネージは、主要都市の大型屋外ビジョン、ドラッグストア、スーパー、美容サロン等の商業施設、バスやタクシーなどの交通広告と多様なロケーションで、2022年9月時点で13万面を超える規模に拡大しております。デジタルサイネージサービスにおいては、広告主及び広告代理店からロケーションオーナーへ支払われる広告収益の一部をプラットフォーム利用料とし、また、ロケーションオーナーからのCMS利用料を、自社の収益としています。
[事業系統図]
(注)1.RTB:Real Time Biddingの略称。広告主側でオーディエンスごとにリアルタイムに広告枠の入札を行うことが可能な仕組み。補足説明を参照。
2.SSP:Supply Side Platformの略称。RTBによる広告取引を行う際のメディア企業側のプラットフォーム。DSPからの入札のオークション機能と広告配信機能を備える。RTBの補足説明を参照。
3.クリエイティブ:広告として制作されたコンテンツ。
4.ネイティブ広告:デザイン、内容、フォーマットが、媒体社が編集する記事・コンテンツの形式や提供するサービスの機能と同様でそれらと一体化しており、ユーザーの情報利用体験を妨げない広告。
5.DSP:Demand Side Platformの略称。RTBによる広告取引を行う際の広告主側のプラットフォーム。SSPによるオークションへの入札機能と広告配信機能を備える。RTBの補足説明を参照。
6.当社が保有するMicroAd (Shanghai) Advertising, Ltd.は、2022年6月30日をもって株式を譲渡しております。詳細は、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項(企業結合等関係)」の「②子会社株式の譲渡」をご参照ください。
7.当社が保有するMICROAD VIETNAM JOINT STOCK COMPANYは、2022年8月1をもって事業を譲渡しております。詳細は、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項(企業結合等関係)」の「③子会社事業の譲渡」をご参照ください。
8.デジタルサイネージ:屋外・店頭・交通機関などあらゆる場所で、ディスプレイなどの電子的な表示機器
を使って情報を発信するメディアの総称
9.ロケーションオーナー:デジタルサイネージの設置場所を提供及びデジタルサイネージを管理運営する企
業等
10.CMS:Contents Management Systemの略称。デジタルサイネージに配信するコンテンツや広告の放映管理を
オンラインで提供するシステム
11.アドネットワーク:複数の企業の提供する広告枠をインターネットを通じてネットワーク化し、配信条件
に合致した広告枠に対して一斉に広告配信を可能にするシステム
<補足説明:RTBによるインターネット広告の配信の仕組み>
RTBによる広告配信は、広告枠が設置されたWEBサイトにユーザーがアクセスすると、その広告枠の1回表示毎にユーザーの興味関心に適した、広告掲載メディアにとって最も高単価な広告をオークション方式で選択し配信する仕組みです。
広告主企業はDSP(Demand Side Platform)と呼ばれるサービスに、オークションへの入札条件や、広告素材の入稿、どのようなユーザーに広告を配信すべきかといった条件を予め設定します。ユーザーが広告枠の設置されたWEBサイトを閲覧すると、SSP(Supply Side Platform)と呼ばれるサービスに広告リクエストが送信されます。SSPは広告リクエストを受け取ると、接続された複数のDSPへ入札リクエストを送信します。DSPはSSPから受け取った入札リクエストを基に、そのユーザーに最も適した広告を選択しSSPへ入札します。SSPは複数のDSPから入札された広告でオークションを行い、最も高い価格の広告をその広告枠とユーザーへ配信します。この一連の処理をおよそ0.1秒で実行します。
RTBによって、広告主は1回の広告配信毎に、最も適したユーザーへ広告配信が可能になり、広告効果の最大化が期待できます。メディア企業は、1回の広告表示毎に最も高単価な広告を配信することが可能になり、広告収益の最大化が期待できます。
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名称 |
住所 |
資本金 (千円) |
主要な事業の内容 |
議決権の所有割合又は被所有割合 (%) (注)1 |
関係内容 |
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(連結子会社) |
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株式会社マイクロアドデジタルサイネージ(注)2 |
東京都渋谷区 |
296,789 |
デジタルサイネージソリューション事業 |
66.6 |
営業取引 事務所の賃貸借 役員1名兼任 |
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株式会社エンハンス (注)2 |
東京都渋谷区 |
10,000 |
メディア収益化支援事業 |
100.0 |
営業取引 役員1名兼任 |
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MICROAD HONG KONG HOLDINGS LIMITED(注)2 |
中華人民共和国 香港特別行政区 |
HKD 14,300,000 |
インターネット 広告事業 |
100.0 |
営業取引 役員2名兼任 |
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MICROAD VIETNAM JOINT STOCK COMPANY(注)3 |
ベトナム社会主義共和国 ホーチミン市 |
VND 7,816,500,000 |
アドプラットフォーム事業 |
94.0 |
営業取引 役員1名兼任 |
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MicroAd Taiwan, Ltd. (注)2.4 |
中華民国 台北市 |
NTD 6,000,000 |
アドプラットフォーム事業 |
70.0 (70.0) |
営業取引 役員1名兼任 |
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MicroAd Technology Development(Shenyang), Ltd. |
中華人民共和国 瀋陽市 |
HKD 1,000,000 |
システム開発事業 |
100.0 (100.0) |
システム開発の委託 役員2名兼任 |
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MICROAD SINGAPORE PTE. LTD.(注)2 |
シンガポール共和国 |
SGD 4,750,000 |
インターネット 広告事業 |
100.0 |
営業取引 役員2名兼任 |
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MicroAd Technology Development Company Limited |
ベトナム社会主義共和国 ホーチミン市 |
VND 1,100,000,000 |
システム開発事業 |
100.0 (100.0) |
システム開発の委託 |
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MicroAd India Private Limited(注)5 |
インド共和国 デリー市 |
IDR 47,000,000 |
インターネット 広告事業 |
100.0 (99.0) |
営業取引 役員1名兼任 |
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Tiki Digital, Co., Ltd. |
中華民国 台北市 |
NTD 10,000,000 |
アドプラットフォーム事業 |
85.1 (85.1) |
営業取引 |
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(その他の関係会社) |
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株式会社サイバーエージェント (注)6 |
東京都渋谷区 |
7,239,279 |
メディア事業 インターネット 広告事業 ゲーム事業 投資育成事業 |
被所有 49.9 |
営業取引 |
(注)1.議決権の所有割合の( )内は、間接所有割合で内数であります。
2.特定子会社であります。
3.MICROAD VIETNAM JOINT STOCK COMPANYは2022年8月1日に事業譲渡を行っております。詳細は、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項(企業結合等関係)」の「③子会社事業の譲渡」をご参照ください。
4.MicroAd Taiwan, Ltd.については売上高(連結会社相互間の内部売上高を除く)の連結売上高に占める割合が10%を超えております。
主な損益情報等 (1)売上高 2,464,492千円
(2)経常利益 26,466千円
(3)当期純利益 15,239千円
(4)純資産額 687,473千円
(5)総資産額 1,028,573千円
5.MicroAd India Private Limitedは、清算中の連結子会社となります。
6.有価証券報告書の提出会社であります。
7.前連結会計年度末において連結子会社であった株式会社マイクロアドプラスについては、2022年2月1日付で当社を存続会社として吸収合併いたしました。
8.前連結会計年度末において連結子会社であったMicroAd (Shanghai) Advertising, Ltd.については、2022年6月30日付で当社が保有する株式を譲渡し、当社の保有持分が過半数を割ったことに伴い、連結の範囲から除外しております。また、それに伴いMicroAd (Shanghai) Advertising, Ltd.の持分法適用会社であるCroco Advertising Co., Ltd.を当社の関連会社から除外しております。
(1)連結会社の状況
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2022年9月30日現在 |
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セグメントの名称 |
従業員数(人) |
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データプラットフォーム事業 |
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( |
(注)1.従業員数は就業人員(当社グループからグループ外への出向者を除き、グループ外から当社グループへの出向者を含む。)であり、臨時雇用者数(派遣社員、契約社員、アルバイト、インターンを含む。)は、年間の平均人員を( )外数で記載しております。
2.当社グループはデータプラットフォーム事業の単一セグメントであるため、セグメント別の記載を省略しております。
(2)提出会社の状況
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2022年9月30日現在 |
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従業員数(人) |
平均年齢(歳) |
平均勤続年数(年) |
平均年間給与(千円) |
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( |
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(注)1.従業員数は就業人員(当社から社外への出向者を除き、社外から当社への出向者を含む。)であり、臨時雇用者数(派遣社員、アルバイトを含む。)は、年間の平均人員を( )外数で記載しております。
2.平均年間給与は、賞与及び基準外賃金を含んでおります。
3.当社はデータプラットフォーム事業の単一セグメントであるため、セグメント別の記載を省略しております。
(3)労働組合の状況
当社グループにおいて労働組合は結成されておりませんが、労使関係は円満に推移しております。
文中の将来に関する事項は、本書提出日現在において当社グループが判断したものであります。
(1)経営方針
当社グループは、「Redesigning The Future Life」というビジョンのもと、データとテクノロジーの力によって、マーケティングを変革し、人々の生活をより良いものに、より充実したものにすることを目指して事業を展開しております。スマートフォン等の個人携帯デバイスの進化や、IoT(Internet of Things)などによるセンシングデバイス(注1)の日常生活への浸透、5Gを始めとした通信インフラの劇的な能力の向上によって、人々の生活のデジタル化は急速に進んでおります。そのようなデジタル社会の到来によって、消費者の消費購買行動は常に変化・多様化しており、マーケティング施策においてもその変化に対応する様々なソリューションが日々新しく生み出され、急速に発展し続けております。これら多様化し分断されている各種マーケティング施策を、様々なデータとAIによる独自の分析基盤によって集約・統合することで、多様な消費行動やその変化を常に把握し、的確に企業の製品・サービスの情報を消費者に届け、人々の生活をより良いものに、より充実したものにすることが当社グループの使命であると考えております。
また、デジタルマーケティングの世界は、インターネットの誕生をきっかけに、様々な環境変化を経て進化してまいりました。特にその進化の過程において消費者の行動データをマーケティングに活用する動きが活発化しております。一方で、昨今、それらのデータ活用における消費者のプライバシー保護が社会問題化しております。当社グループでは創業来、独自に開発したテクノロジーによって、さまざまなデジタルマーケティングの環境変化に対応してまいりました。健全なデータ活用によるプライバシーの保護という社会問題に対しても、当社の積み上げたテクノロジーアセットを活用することで適切に対応し、様々な産業にデータドリブンなソリューションを提供したいと考えております。
(注)1.センシングデバイス:スマートフォンのGPSによる位置情報計測や、スマートウォッチなどによるラ
イフログの計測など、IoT(Internet of Things)と呼ばれるインターネットに接続された様々なデ
バイス及び、そのデバイスに内蔵される計測装置。
(2)経営戦略
当社グループは、データプラットフォーム事業として、(1)データソリューションサービス、(2)海外コンサルティングサービス、(3)デジタルサイネージサービスの3つのサービスによって事業展開しております。経営戦略の策定においては、3つのサービスに対して、労働集約的なビジネスモデルである「コンサルティング」と、プロダクト販売による収穫逓増型のビジネスモデルある「データプロダクト」の二つに分類し、収益性の分析を行うことで、経営戦略上注力すべきサービスを定めております。
これらビジネスモデル毎の売上総利益率は「コンサルティング」が約20%程度なのに対して、「データプロダクト」は約40%の高い水準を維持しております。(2022年9月期の平均実績)。「コンサルティング」は、労働集約型の広告代理店型ビジネスモデルであるため、人的リソースが豊富な競合他社の大手広告代理店との競争環境の中では、売上高の拡大や収益性の向上が相対的に困難であるのに対し、「データプロダクト」は当社の強みであるデータと分析力を生かし、業界業種に特化した多種多様なプロダクト展開によって、収穫逓増型の高い収益性のビジネスモデルを構築しております。このような収益性の違いから、当社は「データプロダクト」に属するサービスの拡大に注力しております。「データプロダクト」の2022年9月期第4四半期における、グループ連結売上高に占める割合は40%となっており、2022年9月期第4四半期における、グループ連結売上総利益に占める「データプロダクト」の割合は52%まで拡大しております。
以上から、当社グループでは、特に「データプロダクト」のビジネスモデルに属するデータソリューションサービスの「UNIVERSE」へ注力しており、当該領域のプロダクト開発や人的リソースへの投資を積極的に行うことで、データプラットフォーム事業全体の拡大を目指してまいります。
(3)経営上目標とする客観的な指標
当社グループの継続的な企業価値向上を達成するために、経営指標としては売上高、営業利益の成長を重視しております。データプラットフォーム事業の普及・拡大による売上高の拡大と、データとAI技術を活用したサービス性能や効率性の向上によって、高収益な事業を展開していく方針です。
経営指標を達成する為に「(2)経営戦略」に記載の二つのビジネスモデルにおける、データプロダクトの「UNIVERSE」の売上高拡大に注力しており、特にその売上高を構成する要素として、UNIVERSEの「稼働アカウント数(発注件数)」を重視しております。「UNIVERSE」を利用する企業は、一般的に当該企業が提供する製品ブランドやサービス毎に広告宣伝費を設定しているケースが多いため、単一企業であっても製品ブランドやサービス毎に複数のアカウントを開設・利用いたします。アカウント開設後、実際に製品のマーケティングを行う月ごとに発注申し込みを行うことで、当該アカウントによる広告配信が可能になります。この際の月ごとの発注~利用の件数を「稼働アカウント数(発注件数)」として経営指標を達成する為に重視する指標としております。
また、当社サービスの「UNIVERSE」は、消費行動データを蓄積・分析することで、様々な業界業種に特化したマーケティングプロダクトを提供しております。外部企業から提供される消費行動データの拡大によって、新たな業界業種へ向けたプロダクトを開発することで、取引企業数の拡大を実現してまいりました。
そのような背景から、データ契約数の拡大により新たな業界業種に特化したプロダクト開発を推進することで、取引企業数の拡大を行いながら、同時にその企業内の取引ブランド数の横展開を戦略的に実現していくことで、アカウント数の拡大を図ってまいります。
これらのUNIVERSEにおける、業界業種に特化したプロダクトの稼働アカウント数の推移は、以下の通りです。
2022年9月期第4四半期においては、前年同期比40%増の拡大となっております。
(4)経営環境
・当社グループのターゲットとする市場
当社グループが対象とする主要なマーケットとしては、インターネット広告市場になります。インターネット広告市場においては、2022年の広告費が前年度比で10.0%増と順調に拡大を見込んでおります。
(出典:日経広告研究所「2022年度の広告費予測」2022年7月)
当社グループにおいては、インターネット広告市場の中でも、特に「運用型ディスプレイ広告市場(注1)」が中期的なターゲット市場と判断しております。運用型ディスプレイ広告の市場規模は2021年に6,059億円となり、前年比134.1%の成長となっております。(出典:株式会社電通「2021年日本の広告費」)加えて、マスコミ四媒体広告費(新聞、雑誌、ラジオ、テレビ広告費)においてもデジタルマーケティングへのシフトが進んでおり、当社では、今後5年で2,640億円程度の規模になると予測しております。(注2)
また、屋外広告、交通広告、POP広告(注3)、折り込みチラシ、ダイレクトメールなどの、プロモーションメディアと呼ばれる広告市場は、2021年で1兆6,408億円の規模(出典:株式会社電通「2021年日本の広告費」)となっておりますが、この領域も今後デジタル化が進行していくと判断しております。その中でも特に、屋外広告、交通広告、POP広告などが当社のデジタルサイネージサービスにおけるターゲット市場と考えておりその規模は、2021年で5,659億円となっております。
以上を総計し、1兆4,358億円が当社グループのターゲット市場であると考えております。
・当社のポジショニング
当社グループは、広告・マーケティング市場における様々な事業を展開しておりますが、当社はその市場における企業の中でも、様々な消費購買データを活用した、プロダクト化による事業展開に特徴があると考えております。
専門人材の人的リソースによって、個々の企業の課題を解決する労働集約型の事業モデルに対して、当社は、それらの課題解決に向けたソリューションを自社のシステム開発によってプロダクト化することで、収穫逓増型のビジネスモデルを実現しております。
また、消費者の生活のデジタル化に伴って、広告・マーケティング領域においても、マスコミ四媒体(新聞、雑誌、ラジオ、テレビ広告)などをはじめとする、旧来型の広告モデルのデジタル化が進んでおります。特にデータを活用した、データドリブンなソリューションを開発することで、旧来型のマーケティングプロダクトでは実現が難しかった、消費者一人一人に適したマーケティング製品の提供を実現しております。
・新型コロナウイルス感染症の影響に関して
当社グループが事業を展開する広告市場においては、新型コロナウイルス感染症の拡大に起因する経済活動の停滞から、企業の広告出稿の出し控えの影響によって、提供するサービス毎に、一定の影響を及ぼす可能性があります。
データソリューションサービスにおいては、2020年4月に発令された初めての緊急事態宣言直後は、広告出稿の出し控えによって業績への影響が発生いたしましたが、2021年下半期にかけて新型コロナウイルス感染症の影響は減少し、2022年においてはその影響はほぼ確認できない状況まで回復いたしました。新型コロナウイルス感染症による広告出稿の出し控えの影響は、物理的移動を伴う、旅行業やイベント関連の広告などが直接的に影響を受ける一方で、各種インターネットサービスや、ゲーム関連などの広告出稿は増加する傾向にあり、様々な業界業種へのサービス提供を継続することで、新型コロナウイルス感染症の影響を最小限に止めるよう努めてまいります。
デジタルサイネージサービスにおいては、特にタクシー内に設置したデジタルサイネージの広告需要が新型コロナウイルス感染症の影響により減少し、業績への影響が発生しておりました。2021年後半にかけて、新型コロナウイルス感染症下の生活様式が確立されてきており、2022年においてはその影響はほぼ確認できない状況まで回復いたしました。また、ドラッグストアやスーパーマーケット等はコロナ禍においても人流減少が比較的少ないため、このような場所でのサイネージ広告の展開を加速することで、新型コロナウイルス感染症による影響を最小限に止めるよう努めてまいります。
海外コンサルティングサービスにおいては、中国、ベトナムでの事業が、新型コロナウイルスの影響を受け業績が低迷しております。これら、新型コロナウイルス感染症によって業績影響を受けやすい収益基盤の脆弱な海外拠点に関しては、法人及び事業売却による撤退を致しました。
(注)1.運用型ディスプレイ広告:インターネット広告の中でも、バナー(画像)型の広告で、広告を配信し
ながら広告効果に応じて配信設定や条件などを変更することで、広告効果を最大化させる運用が可能な
広告手法
2.電通発表の『日本の広告費』におけるマスコミ四媒体の新型コロナウイルスの影響を受けていない2017
年~2019年の平均成長率をもとに、向こう5年間でデジタル化される市場規模を独自に算定
3.POP広告:小売店舗の店頭や商品棚などに設置された製品広告
(5)優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題
① 自社サービスの継続的な強化
当社グループのデータプラットフォーム事業における各種サービスは、自社開発による当社グループでしか提供できない独自の価値創造に注力してまいりました。特に顧客企業の業界業種に特化したサービス展開を重視しており、業界・業種ごとに最適な消費行動データの拡充、特化したAIによるデータ分析モデルの構築、様々なデータ活用手段の開発など、顧客企業の業界・業種毎に最適なサービスを提供できるよう努めております。今後も継続的なサービスの拡大を実現するために、それぞれの業界・業種の課題を的確に把握し、消費行動に対する深い洞察と仮説設計を行い、AIによる特化した分析モデルの構築につなげ、最適なマーケティングソリューションを開発し続けることで、競争力の強化と企業価値向上に努めてまいります。
② 新サービス等の継続的な事業創出
当社グループのデータプラットフォーム事業においては、業界・業種に特化したサービス開発を推進していくことを事業戦略の中心に据えておりますが、より多くの顧客企業のマーケティングニーズに応え、事業を拡大していく上では、常に新しい業界・業種のサービス開発を行っていく必要があると考えております。また、人々の生活のデジタル化が促進され、インターネットがより身近になっていく環境において、時代に即した新しいデータの獲得手法の開発と、スマートフォンやPCに限らず、新しいデバイスを活用した情報伝達手法の開発も重要であると考えております。絶えず消費者の生活の変化、行動の変化を捉え、新しい事業・サービスの創出に努めてまいります。
③ プライバシー保護に配慮したデータの利活用
当社グループでは、データソリューションサービスを中心に、外部の提携企業から消費者の行動データの提供をうけ、独自の分析を行うことで様々なサービス提供を行っております。データの受領や利活用にあたっては、プライバシーに配慮した細心の注意を払って取り組む必要があると考えております。インターネット上のプライバシー保護にあたっては、継続的に様々な議論が行われており、その動向は将来に渡って変化していく状態にあります。当社グループとしては、「個人情報の保護に関する法律」に基づく規制を初めとして、諸外国の関連法制の動向把握を積極的に行っていくことで、その変化に迅速に対応してまいります。また、そのような規制に基づいた、社内のデータ利活用及び情報セキュリティに関する規律の強化、社員教育の徹底、プライバシー・バイ・デザインによるシステム設計を推進することで、プライバシー保護を前提としたサービス開発を推進してまいります。
④ 3rd Party Cookieの規制に向けた対応
当社グループでは、データソリューションサービスにおいて、外部の提携企業から消費者の行動データの提供をうける際に、WEBブラウザの3rd Party Cookieという技術を活用しております。現在、各WEBブラウザ提供企業において、プライバシー保護の目的の元、この3rd Party Cookieの利用を規制する動きがあります。具体的には、Google社が提供するChromeブラウザにおいて、2024年末に利用を停止する旨が公表されています。一方で、Google社からは、当社のような広告事業を行っている企業向けに、従来のビジネスモデルを継続する為の、代替技術が提供される予定です。すでに代替技術の技術仕様は公開されており、当社としては、その代替技術への対応を現在進めております。また、3rd Party Cookieに依存しない、新しいデータ活用技術や、広告配信技術の開発や提供も開始しております。当社のようなインターネット広告に関連する事業を行っている企業は、全世界で等しく同様の影響を受けるため、いち早く対応することで市場における優位性が獲得できると見込んでおります。
⑤ アドフラウド、ブランドセーフティへの対策
デジタル広告市場の急速な拡大に伴って、近年はアドフラウド(広告不正)問題や、不適切なメディアへの広告掲載による広告主企業のブランド毀損問題など、デジタル広告特有の問題が指摘されています。当社はこれらの問題を深刻に受け止めており、一般社団法人デジタル広告品質認証機構(JICDAQ)のガイドラインに準拠し、第三者による検証プロセスを経て、JICDAQのアドフラウド認証及びブランドセーフティ認証を取得しております。当社グループでは、引き続き迅速かつ継続的に適切な対策を講じる事で、安心安全なデジタルマーケティングサービスの実現を目指してまいります。
⑥ 人材の獲得及び、育成による生産性の向上
当社グループは、更なる事業拡大を実現していく上で、優秀な人材の採用と、継続的な人材育成および、組織への長期的な定着が必要不可欠であると考えております。引き続き、中途入社・新卒入社合わせて、積極的な採用活動による優秀な人材確保を推進してまいります。また、従業員の心理的安全性を重視した社内コミュニケーションの制度設計、教育制度の充実、個々人の能力開発の強化に取り組み、高い生産性を発揮できる組織体制の構築に努めてまいります。
⑦ 内部管理体制の強化
当社グループの更なる企業価値向上や事業拡大を実現する上で、各種業務プロセスの効率化や、適切なリスク管理を行うために、業容の拡大に応じて内部管理体制の強化が必要であると考えております。継続的な採用活動による管理部門の組織力強化を推進し、コーポレート・ガバナンスの充実に努めてまいります。
以下、当社グループの事業展開において、リスク要因となる可能性がある主な事項を記載しています。また、投資判断上重要であると考えられる事項については、積極的な情報開示の観点から追加しております。
なお、当該記載事項は、本書提出日現在において当社グループが判断したものであり、将来において発生の可能性があるすべてのリスクを網羅するものではありません。当社グループはこれらのリスク発生の可能性を認識した上で、発生の回避及び発生した場合の対応に努めてまいります。
1.業界動向について
当社グループでは、データプラットフォーム事業を展開しており、インターネット広告市場を主たる事業対象としております。近年、インターネット広告の市場規模は順調に成長を続けており、今後も堅調に推移するものと予想をしておりますが、広告市場は景気動向や社会情勢の変化の影響を受けやすい傾向があります。様々な業界業種の企業との取引を行うことで、それらの影響を最小限に止めるよう努めてまいりますが、今後、景気悪化に伴う広告主の広告予算削減が生じた場合は、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。
2.競合について
当社グループが展開するデータプラットフォーム事業は、データの収集・集約から、独自のAIによる分析基盤の構築、その分析結果を活用した各種サービスの提供と、そのサービス利活用にあたってのコンサルティングまで、データを活用した一連の事業活動を総合的に展開しております。今後も、当社グループでは、このような総合的なサービスの拡充を進めることによって、強い競争力の獲得と、事業の拡大を実現していく方針です。これらの取り組みが予測通りの成果をあげられない場合や、同様の事業を展開する競合他社の出現によって、当社グループの競争力が低下し、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。
3.技術革新について
当社グループは、インターネット関連技術に基づき事業展開しておりますが、当該分野は技術革新のスピードが速く、新たな技術に基づく新サービスが次々と生み出されております。当社グループにおいては、インターネット関連技術の最新動向を常に把握し、調査・研究を行う専門部署を設置することで、それらの技術革新へ対応してまいります。当社グループがこれらの変化への対応に遅れた場合、当社サービスの陳腐化や競争力の低下等が生じる場合があり、また、技術革新への対応のため、既存システムの改良、新規サービスの開発等のための費用支出が必要となる場合があります。これらによって当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。
4.データの取り扱いに関する法的規制等について
当社グループは、Cookie(ウェブサイトを閲覧したユーザーのコンピューターに保存され、ユーザーの識別に利用される識別子)や各種デバイスの端末識別子を用いて消費者の行動データを取得・分析し、マーケティング目的で利用していますが、これらのデータの利活用に関しては、「個人情報の保護に関する法律」に基づく規制が存在します。当社は当該法令を遵守するため、担当業務や職位等に応じた保有データへのアクセス制限の実施、社内での勉強会の実施、取引先との契約書フォーマットの整備、取引先のサービス利用規約やプライバシーポリシーの確認などを実施しております。現時点で、当社グループの事業活動が当該法律によって大きく阻害される状況は生じておりませんが、インターネット上のプライバシー保護の在り方とそれを踏まえた「個人情報の保護に関する法律」の改正については、3年ごとの見直し規定に基づき、継続して検討が行われている状態にあります。また、法的規制に限らず、OSやブラウザを提供するプラットフォーム事業者においても、ユーザーのプライバシーを保護する為の様々な機能の検討が継続的に行われております。これらの関連諸法令や、プラットフォーム事業者による機能追加等の動向は法務部門やシステム開発部門の専門部署が常に動向を把握し、調査・研究を行うことで、適切に各種サービスにおける対応を行う体制を整えております。一方、当該法律や関連諸法令の制定・改正の動向、各OSやブラウザのプライバシー保護機能の動向によっては、新たな法令遵守体制の構築や現在提供しているサービスの見直しが必要となり、当社グループの業績及び事業展開に影響を及ぼす可能性があります。
5.内部管理体制について
当社グループは、業務の適正及び財務報告の信頼性を確保するため、内部管理体制の整備を進めております。具体的には管理部門の人員の増員、会計・法務等に関する複数の外部専門家との契約、外部セミナーへの参加、専門雑誌の購読等による知見の蓄積などを行っております。現時点では一定の内部管理体制を整えており、業容の拡大に応じて今後も一層の充実を図る予定ですが、急速な新規事業の成長や海外での事業の拡大などにより、事業規模に応じた事業体制、内部管理体制の構築が追いつかない場合には、当社グループの業績及び事業展開に影響を及ぼす可能性があります。
6.特定の役職員への依存及び人材の確保について
当社グループの役員、幹部社員等は専門的な知識、技術、経験を有しており、当社グループの経営戦略の立案・決定や事業開発等において重要な役割を果たしております。このため、何らかの理由によりこれらの役職員が当社グループから離脱するという事態になった場合には、当社グループの業績及び事業展開に影響を与える可能性があります。
また、当社グループが今後更なる成長を遂げるには、優秀な人材を確保し、育成していくことが重要であると考えており、当社グループでは、人材採用と人材育成の強化に力を入れております。しかしながら、インターネットビジネスにおいては人材の流動性が高く、今後退職者の増加や採用の不振等が生じた場合には、将来の事業拡大に必要な人材を十分に確保できず、当社グループの業績及び事業展開に影響を及ぼす可能性があります。
7.システム障害について
当社グループは、サーバーその他のコンピュータシステムを利用し、インターネットを介してサービス提供を行っており、外部のデータセンターの利用や定期的バックアップ、稼働状況の監視等を行い、そのシステムトラブルの防止又は回避に努めております。しかしながら、外部事業者が提供するサービスの障害、役職員の過誤、ソフトウエア又はハードウエアの不具合、コンピュータウイルス、外部からのコンピュータネットワークへの不正アクセス、自然災害、偶発的事故、システムへの一時的な過負荷因等により、重要なデータの漏洩、コンピュータプログラムの不正改ざん、システムダウン、当社グループのサービス提供の停止等が発生する可能性があります。その結果、第三者からの損害賠償請求、当社グループの信用毀損、収益機会の損失等により、当社グループの業績及び事業展開に影響を及ぼす可能性があります。
8.適切な広告配信を行うための体制について
当社グループでは広告主向けのインターネット広告配信事業を提供しておりますが、配信される広告に関しては、「不当景品類及び不当表示防止法」、「医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律」等の各種法令や、監督官庁の指針、ガイドライン等による規制を受けております。また、広告主のブランドや信用を毀損しないよう、法令や公序良俗などに違反していない適切なメディアへと広告を配信する必要があります。
当社グループでは、法令に基づいた独自の基準を設け、営業部門から独立した監督部署をコーポレート本部内に設置し、適切な広告配信が行われるよう、当社のDSPを通じて配信されるすべての広告について配信前にチェックし、問題があると判断された広告については、問題点の修正が行われるまで配信されない仕組みを構築しております。しかしながら、これらの対応に不備が生じた場合、第三者からの損害賠償請求、当社グループの信用毀損等により、当社グループの業績及び事業展開に影響を及ぼす可能性があります。
9.季節変動について
当社グループの事業は、広告主の月ごとの広告予算に影響を受け、多くの企業の決算月である12月及び3月に集中し、平時よりも約3割程度売上が増加する傾向があります。
このため、安定的に月次業績が推移する業種に比べ、売上及び利益の変動が起こりやすい傾向があります。当社では、季節変動の過去実績を踏まえて計画を策定することで、通期業績への影響を最小限に止めるよう努めております。一方で、季節変動による下振れ幅が想定よりも顕著な場合には当社グループの業績に悪影響を与える可能性があります。
10.固定資産の減損について
当社は、有形固定資産及び無形固定資産等の固定資産を保有しており、これらの資産の取得にあたっては事前に必要性や収益性を十分に検証した上で決定しております。しかしながら、経営環境や事業の状況の著しい変化等により収益性が低下し、十分なキャッシュ・フローを創出できないと判断される場合は、対象資産に対する減損損失の計上により、当社の経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
11.海外展開について
当社グループでは、台湾、中国、ベトナムなどのアジア地域に子会社を有しております。海外事業においては、各国毎に存在する法規制、商慣習、政府規制への対応が必要になるほか、予期しえない政治・社会情勢の変化、為替変動等のリスクが存在しており、これらのリスクが顕在化した場合には、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。
12.配当政策について
当社グループは、設立以来配当を実施した実績はありませんが、株主に対する利益還元を重要な経営課題として認識しております。現在当社グループは成長過程にあると認識しており、内部留保の充実を図り、収益力強化や事業基盤整備のための投資に充当することにより、なお一層の事業拡大をめざすことが、将来において安定的かつ継続的な利益還元に繋がるものと考えております。将来的には各期の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況を勘案したうえで株主に対して利益還元を実施していく方針ではありますが、現時点において配当実施の可能性及びその時期等については未定であります。
13.株式価値の希薄化について
当社グループでは、株主価値の向上を意識した経営の推進を図るとともに、役員及び従業員の業績向上に対する意欲や士気を一層高めることを目的として、役員及び従業員に対して新株予約権を付与しております。
本書提出日現在における新株予約権による潜在株式数は789,000株であり、発行済株式総数の8.8%に相当します。権利行使についての条件が満たされ、これらの新株予約権が行使された場合には、株式価値の希薄化や株式売買需給への影響をもたらし、当社株価形成に影響を及ぼす可能性があります。
14.株式の流動性について
2022年9月末現在、当社株式についての、株式会社東京証券取引所の定める流通株式比率は26.8%にとどまっております。今後は、当社の事業計画に沿った成長資金の公募増資による調達、ストック・オプションの行使による流通株式数の増加分を勘案し、これらの組み合わせにより、流動性の向上を図っていく方針ではありますが、何らかの事情により流動性が低下する場合には、当社株式の市場における売買が停滞する可能性があり、それにより当社株式の需給関係にも悪影響を及ぼす可能性があります。
15.その他の関係会社との関係について
本書提出日現在、株式会社サイバーエージェントは当社発行済株式総数の49.9%を保有しており、同社は当社のその他の関係会社に該当します。サイバーエージェントグループは、2022年9月末現在、メディア事業、ゲーム事業、インターネット広告事業、投資育成事業、その他事業を運営しております。また、当社とサイバーエージェントグループとは以下②のとおり直接取引が発生しております。当社はこれらの取引において、他の企業の取引条件との比較等によって、取引の適正性を確保しておりますが、当該取引条件の設定によっては、当社の利益が当社の他の株主の利益と一致しない可能性があります。なお、当社グループの経営方針、事業展開等の重要事項の意思決定において、株式会社サイバーエージェントに対して事前承認を要する事項等はなく、当社グループの経営の独立性は確保されております。
① サイバーエージェントグループにおける当社グループの位置付けについて
サイバーエージェントグループにおいて当社と類似したインターネット広告事業を展開しているグループ企業は存在しますが、当社グループとサイバーエージェントグループでは、顧客へのサービス提供にあたり担っている役割や商品特性等が異なるため類似性が低く、サイバーエージェントグループによって、当社グループの自由な事業活動や経営判断が阻害されるような状況は生じておらず、当社グループは自らの意思決定により事業展開しております。また、サイバーエージェントグループから当社に対する役員や出向者の派遣はなく、人的関係は存在しません。
② サイバーエージェントグループとの取引関係について
本書提出日現在において、当社グループとサイバーエージェントグループとの間には、広告売上取引及び広告媒体の仕入取引が存在しており、今後もこれらの取引を継続していく方針です。当該取引については、他の企業の取引条件との比較等により取引の適正性を確保できております。また、新規の取引を行うにあたっては、関連当事者取引管理規程に従って、定型的な売上取引や仕入取引などの取引条件の適正性が明らかな取引を行う場合は、コーポレート本部長の承認の上取締役会で報告を行い、定型的な売上取引や仕入取引以外の取引や特殊な取引条件の売上取引や仕入取引を行う場合は、取引の内容、当該相手先と取引を行う理由、取引開始の経緯、取引条件の妥当性、などについて、事前に取締役会において承認を得た上で取引を実施いたします。
16.新型コロナウイルス感染症に係る事業等のリスク
当社グループが事業を展開する広告市場においては、新型コロナウイルス感染症の拡大に起因する経済活動の
停滞から、企業の広告出稿の出し控えの影響によって、当社グループの業績に一定の影響を及ぼす可能性があり
ます。以下、当社グループのサービス毎に説明します。
・データソリューションサービス
データソリューションサービスが対象とする主要なマーケットとしては、インターネット広告市場になります。
インターネット広告全体の市場規模は、2021年が2兆7,052億円となり、2020年より続く新型コロナウイルス感染 症拡大の影響が2021年下半期にかけて緩和した影響により、前年比121.4%の成長となっております。(出典:株式会社電通 「2021年日本の広告費」)当社グループのサービスにおいても、2020年4月に発令された、初めての緊急事態宣言直後は、大きく業績への影響が発生いたしましたが、市場全体の動向と同様に、2021年下半期にかけて新型コロナウイルス感染症の影響は緩和され、2022年においてはその影響はほぼ確認できない状況まで回復いたしました。
また、新型コロナウイルス感染症による広告出稿の出し控えの影響は、物理的移動を伴う、旅行業やイベント関連の広告などが直接的に影響を受ける一方で、各種インターネットサービスや、ゲーム関連などの広告出稿は増加する傾向にあります。このように、今後も様々な業界業種へのサービス提供を継続することで、新型コロナウイルス感染症の影響を最小限に止めるよう努めてまいります。
・デジタルサイネージサービス
デジタルサイネージサービスは、屋外広告や交通広告をデジタル化し、インターネットを通じて広告配信を行う事業となりますが、2021年においては、特にタクシー内に設置したデジタルサイネージの広告需要が新型コロナウイルス感染症の影響により減少し、前年度比で全体業績が落ち込んでおります。2021年後半にかけて、新型コロナウイルス感染症下の生活様式が確立されてきており、事業に及ぼす影響は減少し、2022年においてはその影響はほぼ確認できない状況まで回復いたしました。また、ドラッグストア内に設置するデジタルサイネージなどは、コロナ禍においても人流減少が比較的少ないため、このような場所でのサイネージ広告の展開を加速することで、事業全体への新型コロナウイルス感染症による影響を最小限に止めるよう努めてまいります。
・海外コンサルティングサービス
中国、ベトナムでの事業が、新型コロナウイルスの影響を受け業績が低迷しております。これら、新型コロナウイルス感染症によって業績が影響を受けやすい収益基盤の脆弱な海外拠点に関しては、法人及び事業売却による撤退を致しました。
いずれのサービスにおいても、新型コロナウイルス感染症の影響を最小限に止めるよう努めておりますが、変異株の拡大など不確定要素によって、当社グループの業績及び事業展開に影響を及ぼす可能性があります。
(1)経営成績等の状況の概要
① 経営成績の状況
当社グループの事業は、データプラットフォーム事業の単一セグメントでありますが、セグメントを構成する主要なサービスとして、データソリューションサービス、デジタルサイネージサービス、海外コンサルティングサービスの3つのサービスによって事業展開しております。当連結会計年度における、それぞれのサービスの経営状況は下記のとおりです。
データソリューションサービスは、特に「UNIVERSE」の販売に注力致しました。「UNIVERSE」とは企業のマーケティング活動を支援するデータプラットフォームです。様々な業界・業種に特化した多様なデータを保有し、それらを有機的に統合分析することで、消費者の購買プロセスの可視化と予測、そのデータを活用した広告配信から顧客属性等の分析レポート作成まで幅広く企業のマーケティング活動を支援しております。「UNIVERSE」の販売強化にあたっては、2021年10月より営業組織体制の見直しを実施したことで、より顧客のニーズや規模に合致したサービス提供を実現しております。加えて、リモートワーク中心に変化している顧客企業に対して、オンラインセミナーを通じた新しい商品販売体制を構築することでリモートワーク下における新しい販売・営業手法の構築ににも注力致しました。また、国内コンサルティングサービスに属する、当社が提供するSSP「MicroAd COMPASS」においても当社のサポート体制強化の結果、当初の見込み以上に伸長しました。
デジタルサイネージサービスは、株式会社マイクロアドデジタルサイネージが属しております。デジタルサイネージサービスにおいては、タクシー向けサイネージが安定的な推移を維持、リテールサイネージにおいても売上ベースライン引き上げに向けた活動を継続しました。サロン向けサイネージネットワークでは新しい取組みにも挑戦し、さらなる効果改善と拡大を狙ってまいりました。
海外コンサルティングサービスは海外子会社が属しております。当社グループが事業拠点を有する台湾、中国、ベトナムを主とする海外各国でデジタル広告市場の成長に乗じて業績の拡大を目指してまいりました。台湾においては大手顧客の取引額減少の影響を受け、前年度をやや下回る水準で業績推移しました。中国、ベトナムの両拠点においては当連結会計年度内において売却が完了しております。中国拠点の法人売却は当第3四半期で完了し、ベトナム拠点の事業売却は当第4四半期にそれぞれ完了しております。
以上の結果、当連結会計年度における売上高は12,227百万円(前年同期比4.8%増)、営業利益は626百万円(前年同期比236.6%増)、経常利益は592百万円(前年同期比285.9%増)、連結で119百万円の関係会社株式売却損を特別損失に、非連結子会社(MicroAd (Thailand)Co Ltd.)の清算結了に伴い、連結で37百万円の子会社清算益を特別利益に、それぞれ計上しております。この結果、親会社株主に帰属する当期純利益は496百万円(前連結会計年度は38百万円の親会社株主に帰属する当期純損失)となりました。
② 財政状態の状況
(資産)
当連結会計年度末における流動資産は5,029百万円となり、前連結会計年度末に比べて1,334百万円増加いたしました。流動資産の増加の主な要因は、東京証券取引所グロース市場への新規上場に伴う公募増資等により現金及び預金が1,133百万円増加したこと、並びに受取手形及び売掛金が179百万円増加したことによるものであります。固定資産は896百万円となり、前連結会計年度末に比べて361百万円増加いたしました。この結果、総資産は、5,925百万円となり、前連結会計年度末に比べ1,696百万円増加いたしました。
(負債)
当連結会計年度末における流動負債は2,996百万円となり、前連結会計年度末に比べて312百万円増加いたしました。流動負債の増加の主な要因は、支払手形及び買掛金が97百万円増加したことによるものであります。固定負債は56百万円となり、前連結会計年度末に比べて16百万円減少いたしました。この結果、負債合計は、3,052百万円となり、前連結会計年度末に比べ296百万円増加いたしました。
(純資産)
当連結会計年度末における純資産合計は2,872百万円となり、前連結会計年度末に比べ1,400百万円増加いたしました。これは主に、東京証券取引所グロース市場への新規上場に伴う公募増資等により資本金が439百万円増加したこと、及び資本剰余金が396百万円増加したことによるものであります。加えて利益剰余金も481百万円増加いたしました。この結果、自己資本比率は39.2%(前連結会計年度末は22.0%)となりました。
③ キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度末における現金及び現金同等物(以下「資金」という)は、前連結会計年度末に比べて1,133百万円増加し、3,295百万円となりました。当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりです。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動によるキャッシュ・フローは、713百万円の資金獲得(前年同期は31百万円の資金獲得)となりました。資金獲得の主な要因は、税金等調整前当期純利益の計上によるものであります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動によるキャッシュ・フローは、413百万円の資金減少(前年同期は185百万円の資金減少)となりました。資金使用の主な要因は、無形固定資産の取得による支出及び連結の範囲の変更を伴う子会社株式の売却による支出によるものであります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動によるキャッシュ・フローは、681百万円の資金獲得(前年同期は300百万円の資金獲得)となりました。資金獲得の主な要因は、株式の発行に伴う収入によるものであります。
④ 生産、受注及び販売の実績
a.生産実績
当社グループが提供するサービスの性格上、生産実績の記載になじまないため、記載を省略しております。
b.受注実績
当社グループが提供するサービスの性格上、受注実績の記載になじまないため、記載を省略しております。
c.販売実績
当連結会計年度における販売実績は次のとおりであります。なお、当社グループの事業セグメントは、データプラットフォーム事業の単一セグメントであるため、セグメント別の記載を行っておりません。
|
サービスの名称 |
当連結会計年度 (自 2021年10月1日 至 2022年9月30日) |
|
|
売上高(千円) |
前年同期比(%) |
|
|
データソリューションサービス |
7,458,804 |
109.1 |
|
デジタルサイネージサービス |
1,063,898 |
159.5 |
|
海外コンサルティングサービス |
3,704,554 |
88.8 |
|
合計 |
12,227,257 |
104.7 |
(注)1.データソリューションサービスとは、データプラットフォーム事業を構成する主要サービスである、株式会社マイクロアド、株式会社エンハンスの提供するサービスを総称した名称です。
2.各サービス間の内部売上高は、調整後の金額を記載しております。
3.外部顧客への売上高のうち、連結損益計算書の売上高の10%以上を占める相手先がいないため、記載を省略しております。
(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。なお、文中の将来に関する事項は、本書提出日現在において判断したものであります。
① 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
当社グループの連結財務諸表は、我が国において一般に公正妥当と認められる会計基準に基づいて作成されております。この連結財務諸表の作成にあたっては、経営者による会計方針の選択・適用、資産・負債及び収益・費用の報告金額並びに開示に影響を与える見積もりを必要としております。経営者は、これらの見積もりについて過去の実績や現状等を勘案し合理的に判断しておりますが、見積り特有の不確実性があるため、これらの見積りとは異なる場合があります。
なお、当社の財務諸表の作成にあたって採用する重要な会計方針につきましては、「第5 経理の状況」に記載しております。
② 経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容
a.売上高
当連結会計年度における総売上高は12,227百万円(前年同期比104.8%)となりました。
当社グループの事業は、データプラットフォーム事業の単一セグメントでありますが、セグメントを構成する主要なサービスとして、データソリューションサービス、デジタルサイネージサービス、海外コンサルティングサービスの3つのサービスによって事業展開しております。当事業年度における、それぞれのサービスの売上高の状況は下記のとおりです。
データソリューションサービスは、主力製品である「UNIVERSE」の販売に注力しており、当該領域のプロダクト開発や販売リソースへの投資を積極的に行っております。2021年10月より営業組織体制の見直しを実施し、下記の顧客属性毎に特化した営業組織へと改変することで、より顧客属性に応じた、機動的な製品開発や製品提供体制を整えております。
・顧客企業の製品やサービスの認知に重点を置くブランドマーケティング領域
・スマートフォンアプリやECサイトなどの直接的な広告効果を重視するダイレクトマーケティング領域
・その他の中小顧客を中心とした領域
これら3つの領域毎に製品開発~営業活動の戦略を策定し実行することで、より顧客のニーズや規模に合致したサービス提供を実現しております。加えて、リモートワーク中心に変化している顧客企業に対して、オンラインセミナーを通じた新しい商品販売体制を構築し、当連結会計年度においては全40回のオンラインセミナーを開催し、約6,600件の顧客問い合わせを獲得することができました。以上の施策により、当連結会計年度の「UNIVERSE」の売上高を構成する稼働アカウント数は7,000件となっており、前年比125%まで拡大致しました。新規のアカウント数が増加したことで、稼働アカウントの平均単価は前年比95%となり若干の低下となりましたが、単価の低下を上回る稼働アカウントの拡大により、売上高は前年比で増加しております。
デジタルサイネージサービスにおいては、屋外広告や交通広告をデジタル化し、インターネットを通じてネットワーク化することで、広告配信を行う事業となりますが、タクシー向けサイネージが安定的な推移を維持、リテールサイネージにおいても売上ベースライン引き上げに向けた活動を継続しました。サロン向けサイネージネットワークでは新しい取組みにも挑戦し、さらなる効果改善と拡大を狙ってまいりました。
海外コンサルティングサービスにおいては、当社グループが事業拠点を有する台湾、中国、ベトナムを主とする海外各国でデジタル広告市場の成長に乗じて業績の拡大を目指してまいりました。台湾においては大手顧客の取引額減少の影響を受け、前年度をやや下回る水準で業績推移しました。中国、ベトナムの両拠点においては当連結会計年度内において売却が完了しております。中国拠点の法人売却は当第3四半期で完了し、ベトナム拠点の事業売却は当第4四半期にそれぞれ完了しております。
b.売上原価、売上総利益
当連結会計年度の売上原価は8,441百万円(前年同期比97.3%)となりました。当連結会計年度は、利益率の高いデータプロダクトの売上に占める割合が拡大した結果、原価率は69.0%となりました。前連結会計年度の売上原価率74.3%より5.3ポイント減少しております。以上の結果、当連結会計年度における売上総利益は3,786百万円(前年同期比126.2%)となりました。
c.販売費及び一般管理費、営業利益
当連結会計年度の販売費及び一般管理費は3,159百万円(前年同期比112.3%)となりました。増加の主な要因は事業拡大により従業員が増加したことによる人件費の増加になります。売上高に対する割合は25.8%となり、前連結会計年度の24.1%より1.7ポイントの増加となりました。以上の結果、当連結会計年度における営業利益は626百万円(前年同期比336.6%)となりました。
d.営業外損益、経常利益
当連結会計年度において持分法による償却債権取立益等により営業外収益は15百万円、持分法による投資損失等により営業外費用は50百万円となりました。結果、当連結会計年度における経常利益は592百万円(前年同期比385.8%)となりました。
e.特別損益、親会社株主に帰属する当期純損失
当連結会計年度において主な特別利益として子会社清算益37百万円、主な特別損失として関係会社株式売却損119百万円を計上いたしました。結果、親会社株主に帰属する当期純利益は、繰延税金資産189百万円の計上に伴い496百万円(前連結会計年度は親会社株主に帰属する当期純損失38百万円)となりました。
③ 経営上目標とする客観的な指標について
当社グループの継続的な企業価値向上を達成するために、経営指標としては売上高、営業利益の成長を重視しております。これら経営指標を達成する為に、「第2 事業の状況 1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等」に記載のとおり、データソリューションサービスにおける「UNIVERSE」の稼働アカウント数の拡大を重視しております。UNIVERSEでは顧客企業のアカウント開設後、実際に製品やサービスのマーケティングを行う月ごとに発注申し込みを行うことで、当該アカウントによる広告配信が可能になります。この際の月ごとの発注~利用の件数を「稼働アカウント数」として経営指標を達成する為に重視する指標としております。
当該指標について、「② 経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容」に記載の通り、当連結会計年度においては、営業組織体制の見直し・強化によって稼働アカウント数(発注件数)は前年比125%の成長となり、順調に推移しているものと認識しております。
|
重視する指標 |
当連結会計年度 (自 2021年10月1日 至 2022年9月30日) |
|
|
稼働アカウント (発注件数) |
件数 |
前年同期比(%) |
|
7,000 |
125.4 |
|
④ 財政状態に関する認識及び分析・検討内容
財政状態の分析については、「第2 事業の状況 3 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・
フローの状況の分析 (1)経営成績等の状況の概要 ② 財政状態の状況」に含めて記載しております。
⑤ キャッシュ・フローの状況分析・検討内容並びに資本の財源及び資金の流動性に係る内容
a.キャッシュ・フローの状況分析
キャッシュ・フローの状況の詳細は、「第2 事業の状況 3 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1)経営成績等の状況の概要 ③ キャッシュ・フローの状況」に記載のとおりであります。
b.資本の財源及び資金の流動性についての分析
当社の運転資金需要のうち主なものは広告媒体の仕入れ費用及び人件費等の営業費用であります。当社は、運
転資金につきましては「営業活動によるキャッシュ・フロー」及び銀行借入金にて賄う方針であります。今後
は、借入金の総額を減少させつつも、資金需要の必要性に応じて柔軟に対応し、流動性リスクを適切にコントロ
ールしてまいります。
⑥ 経営成績に重要な影響を与える要因について
「第2事業の状況 2事業等のリスク」をご参照下さい。
(完全子会社の吸収合併)
当社は、2021年12月9日開催の当社取締役会において、当社の完全子会社である株式会社マイクロアドプラスを吸収合併することを決議し、2022年2月1日をもって吸収合併いたしました。
(子会社株式の譲渡)
当社は、連結子会社であるMicroAd (Shanghai) Advertising,Ltd.(以下、MAS社)の当社が保有する株式を譲渡することに関して、2022年5月5日に譲渡先と基本合意書を締結し、2022年6月30日に譲渡を完了いたしました。
なお、本件株式譲渡に伴い、MAS社は当社の連結子会社から除外するとともに、MAS社の持分法適用会社であるCroco Advertising Co.,Ltd.は当社の関連会社から除外しております。
(子会社事業の譲渡)
当社は、連結子会社であるMICROAD VIETNAM JOINT STOCK COMPANY(以下、MAV社)が運営する事業を譲渡することに関して、2022年7月18日に譲渡先と事業譲渡契約を締結し、2022年8月1日をもって事業譲渡いたしました。
詳細は、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項(企業結合等関係)」をご参照ください。
当社グループにおける主要な設備は、次のとおりであります。
(1)提出会社
|
2022年9月30日現在 |
|
事業所名 (所在地) |
設備の内容 |
帳簿価額 |
従業員数 (人) |
||||
|
建物及び構築物 (千円) |
工具、器具及び備品 (千円) |
ソフトウエア (千円) |
ソフトウエア 仮勘定 (千円) |
合計 (千円) |
|||
|
本社 (東京都渋谷区) |
事務所設備、ソフトウエア等 |
84,313 |
70,889 |
113,061 |
115,049 |
383,313 |
200(7) |
(注)1.建物は連結会社以外から賃借しており、年間賃借料は46,696千円であります。
2.現在休止中の設備はありません。
3.従業員数の( )は臨時雇用者数を外書しております。
4.当社グループは、データプラットフォーム事業の単一セグメントであるため、セグメント情報に関連付けた
記載をおこなっておりません。
(2)国内子会社
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2022年9月30日現在 |
|
会社名 |
事業所名 (所在地) |
設備の内容 |
帳簿価額 |
従業員数 (人) |
||||
|
建物及び構築物 (千円) |
工具、器具及び備品 (千円) |
ソフトウエア (千円) |
その他 (千円) |
合計 (千円) |
||||
|
株式会社マイクロアドデジタルサイネージ |
本社 (東京都渋谷区) |
事務所設備、ソフトウエア等 |
- |
2 |
93,664 |
7,981 |
101,648 |
1(3) |
(注)1.建物は提出会社から賃借しております。
2.現在休止中の設備はありません。
3.従業員数の( )は臨時雇用者数を外書しております。
4.当社グループは、データプラットフォーム事業の単一セグメントであるため、セグメント情報に関連付けた
記載をおこなっておりません。
(3)在外子会社
|
2022年9月30日現在 |
|
会社名 |
事業所名 (所在地) |
設備の内容 |
帳簿価額 |
従業員数 (人) |
||||
|
建物及び構築物 (千円) |
工具、器具及び備品 (千円) |
ソフトウエア (千円) |
その他 (千円) |
合計 (千円) |
||||
|
MicroAd Taiwan, Ltd. |
本社 (台湾松山市) |
事務所設備、ソフトウエア等 |
21,158 |
1,479 |
8,043 |
37,082 |
67,763 |
70(10) |
(注)1.現在休止中の設備はありません。
2.従業員数の( )は臨時雇用者数を外書しております。
3.当社グループは、データプラットフォーム事業の単一セグメントであるため、セグメント情報に関連付けた記載をおこなっておりません。
|
種類 |
発行可能株式総数(株) |
|
普通株式 |
32,000,000 |
|
計 |
32,000,000 |
|
種類 |
事業年度末現在発行数 (株) (2022年9月30日) |
提出日現在発行数(株) (2022年12月20日) |
上場金融商品取引所名又は登録認可金融商品取引業協会名 |
内容 |
|
|
|
|
東京証券取引所 グロース市場 |
1.完全議決権株式であり、株主として権利内容に何ら限定のない当社における標準となる株式であります。 2.単元株式数は100株であります。 |
|
計 |
|
|
- |
- |
(注)「提出日現在発行数」には、2022年12月1日からこの有価証券報告書提出日までの新株予約権の行使により発行
される株式数は含まれておりません。
ストックオプション制度の内容は「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 注記事項」の(ストック・オプション等関係)に記載しています。
該当事項はありません。
|
年月日 |
発行済株式総数増減数(株) |
発行済株式総数残高(株) |
資本金増減額 (千円) |
資本金残高 (千円) |
資本準備金増減額(千円) |
資本準備金残高(千円) |
|
2017年12月28日 (注)1 |
7,000 |
4,091,000 |
2,971 |
467,688 |
2,791 |
467,688 |
|
2018年12月10日 (注)1 |
7,000 |
4,098,000 |
2,971 |
470,659 |
2,791 |
470,659 |
|
2020年12月17日 (注)1 |
14,000 |
4,112,000 |
5,943 |
476,602 |
5,943 |
476,602 |
|
2021年12月13日 (注)1 |
14,000 |
4,126,000 |
5,943 |
482,545 |
5,943 |
482,545 |
|
2022年4月1日 (注)2 |
4,126,000 |
8,252,000 |
- |
482,545 |
- |
482,545 |
|
2022年6月28日 (注)3 |
669,000 |
8,921,000 |
433,913 |
916,459 |
433,913 |
916,459 |
(注)1.新株予約権の行使による増加であります。
2.株式分割(1:2)による増加であります。
3.有償一般募集(ブックビルディング方式による募集)
発行価格 1,410円
引受価額 1,297.20円
資本組入額 648.60円
払込金総額 867,826千円
4.2022年12月1日からこの有価証券報告書提出日までの新株予約権の行使による推移は記載しておりません。
|
|
|
|
|
|
|
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2022年9月30日現在 |
||
|
区分 |
株式の状況(1単元の株式数 |
単元未満株式の状況 (株) |
|||||||
|
政府及び地方公共団体 |
金融機関 |
金融商品取引業者 |
その他の法人 |
外国法人等 |
個人その他 |
計 |
|||
|
個人以外 |
個人 |
||||||||
|
株主数(人) |
|
|
|
|
|
|
|
|
- |
|
所有株式数(単元) |
|
|
|
|
|
|
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|
|
|
所有株式数の割合(%) |
|
|
|
|
|
|
|
100 |
- |
|
|
|
2022年9月30日現在 |
|
|
氏名又は名称 |
住所 |
所有株式数 (千株) |
発行済株式(自己株式を除く。)の総数に対する所有株式数の割合(%) |
|
|
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|
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|
|
|
|
|
|
|
東京都渋谷区神宮前6丁目23-4 桑野ビル2階 |
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計 |
- |
|
|
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|
|
(単位:千円) |
|
|
前連結会計年度 (2021年9月30日) |
当連結会計年度 (2022年9月30日) |
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資産の部 |
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流動資産 |
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現金及び預金 |
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受取手形及び売掛金 |
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商品 |
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短期貸付金 |
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その他 |
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貸倒引当金 |
△ |
△ |
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流動資産合計 |
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固定資産 |
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有形固定資産 |
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建物及び構築物 |
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減価償却累計額及び減損損失累計額 |
△ |
△ |
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建物及び構築物(純額) |
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工具、器具及び備品 |
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減価償却累計額及び減損損失累計額 |
△ |
△ |
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工具、器具及び備品(純額) |
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使用権資産 |
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減価償却累計額 |
△ |
△ |
|
使用権資産(純額) |
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有形固定資産合計 |
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無形固定資産 |
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ソフトウエア |
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|
|
その他 |
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|
無形固定資産合計 |
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投資その他の資産 |
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投資有価証券 |
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長期貸付金 |
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繰延税金資産 |
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|
その他 |
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貸倒引当金 |
△ |
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|
投資その他の資産合計 |
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固定資産合計 |
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資産合計 |
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(単位:千円) |
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前連結会計年度 (2021年9月30日) |
当連結会計年度 (2022年9月30日) |
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負債の部 |
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流動負債 |
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支払手形及び買掛金 |
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短期借入金 |
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リース債務 |
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未払法人税等 |
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|
その他 |
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流動負債合計 |
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固定負債 |
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リース債務 |
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資産除去債務 |
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繰延税金負債 |
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固定負債合計 |
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負債合計 |
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純資産の部 |
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株主資本 |
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資本金 |
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資本剰余金 |
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利益剰余金 |
△ |
△ |
|
株主資本合計 |
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その他の包括利益累計額 |
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為替換算調整勘定 |
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その他有価証券評価差額金 |
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その他の包括利益累計額合計 |
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非支配株主持分 |
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純資産合計 |
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負債純資産合計 |
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(単位:千円) |
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前連結会計年度 (自 2020年10月1日 至 2021年9月30日) |
当連結会計年度 (自 2021年10月1日 至 2022年9月30日) |
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売上高 |
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売上原価 |
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売上総利益 |
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販売費及び一般管理費 |
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営業利益 |
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営業外収益 |
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受取利息 |
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持分法による投資利益 |
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為替差益 |
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助成金収入 |
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償却債権取立益 |
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|
|
その他 |
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営業外収益合計 |
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|
営業外費用 |
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|
支払利息 |
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持分法による投資損失 |
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|
上場関連費用 |
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|
為替差損 |
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|
|
その他 |
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|
営業外費用合計 |
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経常利益 |
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特別利益 |
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投資有価証券売却益 |
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|
子会社清算益 |
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関係会社株式売却益 |
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|
|
その他 |
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|
特別利益合計 |
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|
特別損失 |
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|
関係会社株式売却損 |
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|
本社移転費用 |
|
|
|
その他 |
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|
特別損失合計 |
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|
税金等調整前当期純利益 |
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|
法人税、住民税及び事業税 |
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|
法人税等調整額 |
△ |
△ |
|
法人税等合計 |
|
△ |
|
当期純利益 |
|
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|
非支配株主に帰属する当期純利益 |
|
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|
親会社株主に帰属する当期純利益又は親会社株主に帰属する当期純損失(△) |
△ |
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|
(単位:千円) |
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前事業年度 (2021年9月30日) |
当事業年度 (2022年9月30日) |
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資産の部 |
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流動資産 |
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現金及び預金 |
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|
売掛金 |
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短期貸付金 |
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|
未収入金 |
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|
前払費用 |
|
|
|
その他 |
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|
貸倒引当金 |
△ |
△ |
|
流動資産合計 |
|
|
|
固定資産 |
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|
有形固定資産 |
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|
|
建物附属設備 |
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|
減価償却累計額及び減損損失累計額 |
△ |
△ |
|
建物附属設備(純額) |
|
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|
工具、器具及び備品 |
|
|
|
減価償却累計額及び減損損失累計額 |
△ |
△ |
|
工具、器具及び備品(純額) |
|
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|
有形固定資産合計 |
|
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|
無形固定資産 |
|
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|
ソフトウエア |
|
|
|
ソフトウエア仮勘定 |
|
|
|
無形固定資産合計 |
|
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|
投資その他の資産 |
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投資有価証券 |
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|
関係会社株式 |
|
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|
長期貸付金 |
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|
敷金及び保証金 |
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|
|
繰延税金資産 |
|
|
|
その他 |
|
|
|
貸倒引当金 |
△ |
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|
投資その他の資産合計 |
|
|
|
固定資産合計 |
|
|
|
資産合計 |
|
|
|
|
|
(単位:千円) |
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前事業年度 (2021年9月30日) |
当事業年度 (2022年9月30日) |
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負債の部 |
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流動負債 |
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買掛金 |
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短期借入金 |
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1年内返済予定の関係会社長期借入金 |
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未払金 |
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未払費用 |
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未払法人税等 |
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|
前受金 |
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|
預り金 |
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|
|
その他 |
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|
流動負債合計 |
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|
固定負債 |
|
|
|
関係会社長期借入金 |
|
|
|
資産除去債務 |
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|
|
固定負債合計 |
|
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|
負債合計 |
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純資産の部 |
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株主資本 |
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|
資本金 |
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|
|
資本剰余金 |
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資本準備金 |
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その他資本剰余金 |
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|
資本剰余金合計 |
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|
利益剰余金 |
|
|
|
その他利益剰余金 |
|
|
|
繰越利益剰余金 |
△ |
△ |
|
利益剰余金合計 |
△ |
△ |
|
株主資本合計 |
△ |
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|
評価・換算差額等 |
|
|
|
その他有価証券評価差額金 |
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|
評価・換算差額等合計 |
|
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|
純資産合計 |
△ |
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|
負債純資産合計 |
|
|
|
|
|
(単位:千円) |
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前事業年度 (自 2020年10月1日 至 2021年9月30日) |
当事業年度 (自 2021年10月1日 至 2022年9月30日) |
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売上高 |
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売上原価 |
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売上総利益 |
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販売費及び一般管理費 |
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営業利益又は営業損失(△) |
△ |
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営業外収益 |
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受取利息及び配当金 |
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経営指導料 |
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業務受託料 |
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|
|
その他 |
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営業外収益合計 |
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営業外費用 |
|
|
|
支払利息 |
|
|
|
為替差損 |
|
|
|
上場関連費用 |
|
|
|
その他 |
|
|
|
営業外費用合計 |
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経常利益又は経常損失(△) |
△ |
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特別利益 |
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関係会社株式売却益 |
|
|
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抱合せ株式消滅差益 |
|
|
|
特別利益合計 |
|
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|
特別損失 |
|
|
|
関係会社株式評価損 |
|
|
|
本社移転費用 |
|
|
|
関係会社株式売却損 |
|
|
|
その他 |
|
|
|
特別損失合計 |
|
|
|
税引前当期純利益 |
|
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法人税、住民税及び事業税 |
|
|
|
法人税等調整額 |
|
△ |
|
法人税等合計 |
|
△ |
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当期純利益 |
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