株式会社クラシコム
国立市東1丁目16番地17
証券コード:71100
業界:小売業
有価証券報告書の提出日:2023年10月30日

 

回次

第13期

第14期

第15期

第16期

第17期

決算年月

2019年7月

2020年7月

2021年7月

2022年7月

2023年7月

売上高

(千円)

2,748,235

3,472,464

4,532,154

5,163,136

6,060,836

経常利益

(千円)

413,638

561,214

797,311

850,469

968,145

当期純利益

(千円)

292,571

374,607

570,990

561,349

695,339

持分法を適用した場合の

投資利益

(千円)

資本金

(千円)

8,000

8,000

8,000

8,000

432,841

発行済株式総数

(株)

840

840

840

6,720,000

7,370,400

純資産額

(千円)

807,631

1,182,238

1,753,229

2,314,578

4,277,592

総資産額

(千円)

1,376,303

1,993,789

2,480,635

2,987,236

5,020,119

1株当たり純資産額

(円)

1,009,539.12

184.72

273.94

361.65

580.38

1株当たり配当額

(円)

45.00

(1株当たり中間配当額)

()

(―)

(―)

(―)

(―)

1株当たり当期純利益

(円)

365,713.96

58.53

89.22

87.71

94.81

潜在株式調整後
1株当たり当期純利益

(円)

自己資本比率

(%)

58.7

59.3

70.7

77.5

85.2

自己資本利益率

(%)

44.2

37.7

38.9

27.6

21.1

株価収益率

(倍)

16.1

配当性向

(%)

47.5

営業活動による
キャッシュ・フロー

(千円)

490,418

444,324

535,533

732,814

投資活動による
キャッシュ・フロー

(千円)

7,600

15,504

99,468

65,338

財務活動による
キャッシュ・フロー

(千円)

65,350

87,543

70,142

1,283,781

現金及び現金同等物
の期末残高

(千円)

1,647,272

2,019,559

2,385,482

4,336,738

従業員数

(名)

55

65

72

79

87

株主総利回り

(%)

(比較指標:―)

(%)

(―)

(―)

(―)

(―)

(―)

最高株価

(円)

1,801

最低株価

(円)

991

 

 

(注) 1.当社は連結財務諸表を作成しておりませんので、連結会計年度に係る主要な経営指標等の推移については記載しておりません。

2.持分法を適用した場合の投資利益については、関連会社がないため記載しておりません。

3.潜在株式調整後1株当たり当期純利益は、潜在株式が存在しないため記載しておりません。

4.第13期から第16期の株価収益率については、2022年8月5日に東京証券取引所グロース市場に上場したため記載しておりません。

5.第13期から第16期の1株当たり配当額及び配当性向については、無配のため記載しておりません。

6.「収益認識に関する会計基準」(企業会計基準第29号 2020年3月31日)等を第16期の期首から適用しており、第16期以降に係る主要な経営指標等については、当該会計基準等を適用した後の指標等となっております。

7.第14期以降の財務諸表については、「財務諸表等の用語、様式及び作成方法に関する規則」(昭和38年大蔵省令第59号)に基づき作成しており、金融商品取引法第193条の2第1項の規定に基づき、有限責任監査法人トーマツにより監査を受けております。なお、第13期の財務諸表については、「会社計算規則」(平成18年法務省令第13号)の規定に基づいて算出した各数値を記載しており、金融商品取引法第193条の2第1項の規定に基づく監査を受けておりません。

8.第13期についてはキャッシュ・フロー計算書を作成しておりませんので、キャッシュ・フローに係る各項目については記載しておりません。

9.当社は、2022年3月14日開催の取締役会決議により、2022年4月8日付で普通株式1株につき8,000株の割合で株式分割を行っております。第14期の期首に当該株式分割が行われたと仮定し、1株当たり純資産額及び1株当たり当期純利益を算出しております。

10.従業員数は就業人員(契約社員を含む。)であり、産休等による休職者を含んでおります。臨時雇用者数(パート・アルバイトを含む。)は、従業員数の100分の10未満であるため、記載を省略しております。

11.当社株式は2022年8月5日付で東京証券取引所グロース市場へ上場したため、株主総利回り及び比較指標については記載しておりません。

12.最高株価及び最低株価については、東京証券取引所グロース市場における株価を記載しております。なお、2022年8月5日付けで同取引所に株式を上場いたしましたので、それ以前の株価については記載しておりません。

 

 

2 【沿革】

当社の沿革は次のとおりであります。

年月

概要

2006年9月

東京都港区において、不動産関連事業を目的として、株式会社クラシコム(資本金800万円)を設立

2007年7月

不動産関連事業を閉鎖

2007年9月

東京都国立市に移転して、D2Cドメインとして自社ECサイト「北欧、暮らしの道具店」を開設し、北欧ヴィンテージ食器の販売を開始

2008年8月

北欧ヴィンテージ食器に加えて、北欧雑貨などの現行品の取り扱いを開始

2009年3月

楽天市場にECモール店を開店

2010年2月

物流業務のアウトソーシングを開始し、埼玉県戸田市に配送拠点を設置

2011年11月

楽天市場のECモール店を閉店し、自社ECサイトに開発資源投入

2012年9月

北欧テイスト以外の商品の取り扱いを開始

2015年7月

ブランドソリューションドメインとして、「北欧、暮らしの道具店」上で、クライアント企業のブランディング支援を開始

2017年3月

オリジナルブランド(KURASHI&Trips PUBLISHING)のアパレル・雑貨の販売を本格化

2019年11月

「北欧、暮らしの道具店」iOS版アプリリリース

2020年4月

「北欧、暮らしの道具店」Android版アプリリリース

2022年8月

東京証券取引所グロース市場に株式を上場

 

(注) 当事業年度末日後、有価証券報告書提出日までに以下の事象が発生しております。

2023年8月 完全子会社㈱foufouを設立

当該完全子会社がアパレルブランド「foufou」事業を吸収分割により承継した会社の全株式を取得し子会社化(当社の完全孫会社化)

2023年10月 完全子会社㈱foufou(存続会社)による完全孫会社(消滅会社)の吸収合併

 

 

3 【事業の内容】

当社は「フィットする暮らし、つくろう。」をミッションとして掲げております。このミッションは、当社の持つ世界観に共感する人たちのWell-beingを実現することを意味しております。当社は、Well-beingに欠かせない価値観の一つとして「自分の生き方を自分らしいと感じ、満足できること」=「フィットする暮らし」が重要だと考えております。当社は事業活動を通じて多くの人の「フィットする暮らし」づくりに貢献し、Well-beingな人が大勢いる「心地よい社会」の実現の一助になることを目指しております。

当社の運営する「北欧、暮らしの道具店」は、2007年にヴィンテージの北欧食器等を扱うECサイトとして始まりました。北欧に関係するものが占める割合は小さくなりましたが、販売する商品だけでなく、ユーザーとのつながりをつくり、深めるために提供しているコンテンツについても、すべて「暮らしを自分らしく、美しいものにすること」、「日常のささやかな幸せを大事にすること」といった、当社が強く共感した北欧カルチャーの本質に根ざしてつくられております。

このような当社の世界観を「ライフカルチャー」と称し、「北欧、暮らしの道具店」を通じて、ライフカルチャープラットフォーム事業という単一のセグメントで事業を展開しております。

当社はビジネスラインとして「D2Cドメイン」「ブランドソリューションドメイン」を有しており、「カルチャーアセット」「エンゲージメントチャネル」がビジネスラインを支える構造となっております。

 

(1) ビジネスラインについて
① D2Cドメイン

「北欧、暮らしの道具店」の提供している世界観に共感するユーザーに対し、暮らしにフィットする商品を販売しております。当社の収益の大半を生み出しているのは当ドメインであります。

当社とユーザーとの間にはECモールやECプラットフォームが介在しておらず、自社サイトを通じて直接商品を提供しております。

このように、ユーザーと直接接点を持ち、直接商品を提供することで関係性を築いている状態であることから、当ドメインの事業活動を「D2C(Direct to Consumer)」と表現しております。

取扱商品は、アパレル・キッチン・インテリア雑貨が主力であり、自社企画のオリジナル商品(※)が売上高の約53%を占めております。現在は、北欧関連商品の割合は少なくなっているものの、「北欧」の価値観に影響を受けて始めた事業であり、今もその精神は受け継がれていることから、サイト名に「北欧」を冠しております。

(※) オリジナル商品:オリジナルブランド「KURASHI&Trips PUBLISHING」「NORMALLY」の商品

 

② ブランドソリューションドメイン

「北欧、暮らしの道具店」の強いブランドとコアな顧客基盤に加え、商品を紹介する読み物をはじめとした多様なコンテンツ制作で培った高い企画制作能力を活用し、クライアント企業のブランドが「選ばれ続けるブランド」になるためのソリューションを提供し、全国で自社の製品を販売し、大規模に販促や宣伝活動に力を入れている広告主が展開しているブランドを中心に、多くのブランドを継続的に支援しております。2023年7月末時点での取り組み実績は、209ブランドとなりました。

主な取り組みとしては、クライアントのブランドや商品を「北欧、暮らしの道具店」サイト上で、当社の読み物の一つとして掲載する「BRAND NOTE」があります。当社のスタッフ等が実際にブランドの商品を暮らしに取り入れている様子などを紹介するコンテンツを作成しております。

その他に、動画コンテンツとしてブランドを紹介する「BRAND MOVIE」や、D2Cドメインの商品発送時に、クライアントの商品を同梱する「BRAND GIFT」などの取り組みを行っております。

 

(2) 「北欧、暮らしの道具店」の強みの源泉

当社は、事業開始以来ユーザーとのダイレクトなつながりを大切にし、「北欧、暮らしの道具店」サイトをはじめとした様々な媒体で、WEB記事、オリジナルドラマやドキュメンタリー、ラジオ番組や音楽プレイリスト、全国劇場公開されたオリジナルの映画など、多様なコンテンツを生み出し、発信し続けており、この活動をコンテンツパブリッシャーと呼んでおります。ライフカルチャー(世界観)の源泉として、「北欧、暮らしの道具店」の世界観を表現する多様なコンテンツを生み出し、様々なチャネルから発信し続けるコンテンツパブリッシャーとしての活動が、当社の強みとなっております。

 

ライフカルチャープラットフォームの構造としては、3つの層で構成されており、「ビジネスライン」は「カルチャーアセット」と「エンゲージメントチャネル」によって支えられております。

カルチャーアセットは、コンテンツパブリッシャーとしての活動を行うことによって生み出されたコンテンツやブランド、データという蓄積された無形の資産の集まりを表しており、ライフカルチャープラットフォーム事業を行うために最も重要な資産と考えております。

コンテンツについては後述しますが、ユーザーに当社のライフカルチャー(世界観)を浸透させ、長期にわたるロイヤルティを醸成する強力な資産であります。ブランドとは、当社との関わりを通して、「北欧、暮らしの道具店」を認知する人の頭の中につくり上げられたイメージであります。またデータとは、お買い物をするときのユーザーの行動履歴や購買履歴などのデータであり、あらゆる事業活動の効率を高める羅針盤として意思決定に活用しております。

エンゲージメントチャネルは、SNS(Earnedチャネル)から、アプリ、WEBサイト、メールマガジンといった自社チャネル(Ownedチャネル)にいたる多様なチャネルを指します。上記チャネルを通じて当社とユーザーがダイレクトにつながっております。

 

「フィットする暮らし」づくりに貢献するようなコンテンツが蓄積され、エンゲージメントチャネルによってユーザーへ発信することで、ユーザーからのエンゲージメント(=好きでいてくれること、支持してくれること)が高まり、ユーザーが「フォロー」という形で当社とコミュニケーションする機会を提供してくれます。これにより毎日のようにコンテンツを提供することでエンゲージメントの高まったユーザーがD2Cドメインの商品の購入に至り、収益が生まれます。

 

ビジネスラインであるD2Cドメイン、ブランドソリューションドメインの2つの事業領域は、幅広いチャネルと蓄積されたカルチャーアセットの土台の上で展開しております。ライフカルチャー(世界観)によってユーザーと繋がり、その土台の上でビジネスを展開しているため、当社の事業をライフカルチャープラットフォームと表現しております。

 


 

当社がユーザーに提供しているコンテンツは、具体的には下記のとおりであります。

 

(商品とそれにまつわるユーザー体験

当社では、「お客様に自分自身のものさしで商品を選んでほしい」という想いを伝え、共感したお客様に、購入した商品を生活に取り入れていただくことが「フィットする暮らし」づくりにつながると考えております。

例えば当店でお気に入りのグラスを見つけて購入する際、お客様自身の生活にどのように取り入れられるのか想像を膨らませてもらう。お買い物をして手元に届いたあとは、単に水を飲むための器としてだけでなく、そのグラスを使う瞬間は特別な気持ちになっている。商品の提供とは、お客様にこのような価値を提供していることと考えており、サイト上でのお買い物体験だけでなく、お買い物いただいた商品をお客様の暮らし、ファッション、インテリアに取り入れていただくという行為も、広義のコンテンツだと考えております。

 

(読み物)

平日は毎日3~4本程度、月間で70~80本程度の記事を読み物として「北欧、暮らしの道具店」サイトで提供しております。読み物の内容には、ECで取り扱っている商品について、バイヤーやプランナーが込めた想いを紹介するもの、スタッフが自身の生活について綴るコラム、何らかのテーマに沿った特集記事などがあります。特集記事では、食事にまつわるものや、レシピを紹介するもの、インテリアを取り上げたものなど、「暮らし」を軸にしながら、多岐にわたったテーマを扱っております。記事には当社スタッフが作成するものと、スタッフは記事の企画を行い、外部のライターに指示することで作成するものがあります。「北欧、暮らしの道具店」サイトなどインターネット上の読み物だけではなく、お買い物いただいたお客様に小冊子の提供をすることもあります。

 

(動画)

少し変わった家族構成の4人のまわりの出来事をドラマにした「青葉家のテーブル」や、一人暮らしの女性が「自分のお城」のワンルームの部屋を好きな雑貨でいっぱいにし、テーマミュージックとともに料理をする「ひとりごとエプロン」などを通して、「北欧、暮らしの道具店」の「世界観」を詰め込んだ短編ドラマを制作しております。また、様々な人たちの朝の習慣を動画として収めた「モーニングルーティン」や、生き様に迫る「うんともすんとも日和」などのドキュメンタリーも制作し、公開しております。これらの動画はYouTube上に無料で公開されており、2023年7月現在、チャンネル登録者数は57万人に達しております。オリジナルドラマである「青葉家のテーブル」については映画化し、2021年6月に全国の劇場で公開されました。一部動画からは収益を得ております。

 

(SNS)

当社では、LINE公式アカウント、Instagram、FacebookなどのSNSやメールマガジンの運営を、マーケティングの手段としてだけでなく、コンテンツの形態の一つであると考えております。SNSの投稿内容は、「北欧、暮らしの道具店」のサイト上のコンテンツを、各媒体に合わせた形に編集して紹介しているものや、各媒体独自の記事を作成することもあります。

 

(ラジオ)

当社取締役で「北欧、暮らしの道具店」店長の佐藤と、スタッフのよしべこと青木がお届けするインターネットラジオ「チャポンと行こう!」や、過去に記事として紹介していたエッセイをスタッフが朗読する「エッセイラジオ」をSpotifyやApple musicなどの音楽サービス上で公開しております。

 

(音楽)

SpotifyやApple music内に提供されている音楽プレイリストの作成機能を利用して、音楽が好きなスタッフが中心となって、「わたしの朝習慣」や「仕事と、音楽と。」などのテーマに即したプレイリストを作成して公開しております。

 

 

「北欧、暮らしの道具店」は、独自のライフカルチャー(世界観)があふれる温泉を体験できるリゾートパークのようなプラットフォームです。温泉を楽しむために訪れたお客様に、リゾートパークでさらに素晴らしい体験をしていただくことで、「もっと長く滞在したい」「この体験を持ち帰りたい」というニーズが生まれ、そのニーズに応えるべく旅館やお土産屋さん(ビジネスライン)が賑わい、さらに気軽にお越しいただけるように交通網(エンゲージメントチャネル)が整えられていきます。たとえ、リゾートパークが賑わったとしても、肝心の温泉が枯れてしまっては元も子もありません。一番大切なのは、お客様が入りたいと思えるような温泉を枯らさないことであります。これからも、当社はこの「温泉」=ライフカルチャーを大事に守りながら、よりお客様の日常に寄り添えるよう利便性を強化して、さらに長い時間をともに過ごしたいと思われるリゾートパーク=プラットフォームに成長させていきたいと考えております。

 

エンゲージメントアカウント数の増加は、多くのユーザーからエンゲージメントを獲得していることを示しております。そのエンゲージメントが、一段深まった形で蓄積されていることが、累積会員数(※)の増加に現れております。そして、会員が購入することにより、D2Cドメインの収益につながります。

(※) 会員:「北欧、暮らしの道具店」での商品購入時に必要なユーザー情報を登録した状態のこと

 

エンゲージメントアカウント数とは、公式SNSのフォロワー数、YouTubeチャンネル登録数、アプリのダウンロード数、メルマガ会員数等の合計であり、定期的に当社がリーチできる状態のユーザー数に相当するものと考えております。なお、一人のユーザーが複数登録している場合は、重複してカウントされます。

「北欧、暮らしの道具店」のエンゲージメントアカウント数推移、累計会員数推移、年間購入者数推移は、それぞれ以下のとおりであります。

 

[エンゲージメントアカウント数推移]


 

 

[累計会員数推移]


(注) 退会済みのユーザーを除いた累積の会員数となります。

 

 

[年間購入者数推移]


(注) ユニークの購入者数であり、複数回購入者は1人とカウントしております。

 

 

 

(3) 事業の特徴・強み
① 低い顧客創造・リテンションコスト

ユーザー獲得のために広告媒体に支払う「広告費」やユーザー育成のために支払う「販促費」が少なく、自社チャネル(Ownedチャネル)である「北欧、暮らしの道具店」及びSNS等(Earnedチャネル)で発信する各種コンテンツの提供を通じて効率的にユーザーを獲得することができております。

 

② 長期に伸長するLTV

「北欧、暮らしの道具店」でのお買い物に限らず、読み物や動画を楽しむためにサイトを訪問するという多様な訪問動機を提供することで、長期にわたってお買い物を継続的にしてもらえております。結果として平均LTV(※)が長期で伸長し続けております。初購入年度が2020年7月期のユーザーについては、3年LTVは1年LTVの約2倍となっております。ユーザーを年齢、性別等の基準で分類しておらず、「フィットする暮らし」の実現を望む全年代のユーザーを対象とした、幅広いユーザーに支持されるエイジレスな「卒業のないブランド」となっております。

(※) LTV:ある会計年度に初購入を行ったユーザー全員について、特定期間の購入金額の平均値を算出したもの

 

③ 高い効率性

「北欧、暮らしの道具店」の運営を通じて獲得したデータを活用し、精度の高い商品企画、適正な発注、在庫コントロールが可能となることで、商品回転率10.2回(※)を実現し、効率性の高い経営を実現しております。

(※) 商品仕入高(2023年7月期)÷商品在庫(2023年7月期中平均)により算出しております。

 

④ 独自性の高い事業構造

当社のライフカルチャープラットフォームは、前述のカルチャーアセットとエンゲージメントチャネルを基礎として成立しております。このため、同様の優位性を発揮し得る事業構造は、資金や人的リソースを投じたとしても、容易に手に入れることはできないと考えております。

 

⑤ 拡張性、可変性

ライフカルチャープラットフォーム上で、多様なビジネスを展開できる拡張性があります。商品の販売に限らず、広告の出稿や動画コンテンツの提供をこれまでに実施してきております。また、特定のエンゲージメントチャネルに依存せず、複数チャネルでユーザーのエンゲージメントを獲得しているため、SNSプラットフォーマーが方針変更等を行った場合にも、変化への対応が容易に可能となります。

 

⑥ 価格決定を主導

D2Cドメインにおいては、販促負担がなく、ほぼすべての注文において送料を受領し、定価消化率は約97%(2023年7月期実績)を実現しております。ブランドソリューションドメインにおいては、代理店等ではなく当社の設定した価格でサービス提供を行っていることから、高い利益率を実現しております。

 

⑦ 従業員の大半が元ユーザー

ブレないライフカルチャー(世界観)をつくり続けるためには、従業員自らがその文化圏の一員である組織づくりにこだわることが必要であると考えております。そのために、ユーザーを従業員として採用し、採用された従業員が生み出したコンテンツが、さらにユーザーを増やす好循環が生まれ、ライフカルチャープラットフォームの世界観を従業員全員で支える組織づくりを実現しております。

 

 

[事業系統図]

 


 

 

4 【関係会社の状況】

該当事項はありません。

 

 

5 【従業員の状況】
(1) 提出会社の状況

2023年7月31日現在

従業員数(名)

平均年齢(歳)

平均勤続年数(年)

平均年間給与(千円)

87

34.9

4.6

6,476

 

(注) 1.従業員数は就業人員(契約社員を含む。)であり、産休等を含んでおります。臨時雇用者数(パート・アルバイトを含む。)は、従業員数の100分の10未満であるため、記載を省略しております。

2.平均年間給与は、賞与及び基準外賃金を含んでおります。

3.当社は、ライフカルチャープラットフォーム事業の単一セグメントであるため、セグメント別の記載を省略しております。

 

(2) 労働組合の状況

労働組合は結成されておりませんが、労使関係は円満に推移しております。

 

 

1 【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】

文中の将来に関する事項は、当事業年度末現在において、当社が判断したものであります。

 

(1) 会社経営の基本方針

当社は「フィットする暮らし、つくろう。」をミッションとして掲げ、「北欧、暮らしの道具店」を通じてライフカルチャープラットフォーム事業を展開しております。事業を持続的に成長させることを通じて、より多くの様々なステークホルダーの「フィットする暮らし」づくりに貢献することに努めてまいります。

そのために、クラシコムがあるべき姿=ビジョンは、「自由」「平和」「希望」としております。他者に支配されない「自由」を獲得する力、ユニークなポジションを築いて望まない競争に巻き込まれない「平和」を維持する力、未来は今よりも良いものだと無理なく思える「希望」を生み出す力、という三つの力を獲得・維持することが重要であると考えております。

 

(2) 経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等

当社は、ライフカルチャー(世界観)によってユーザーと結びついており、共感してくださるユーザーがSNSをフォローしてくれたり商品購入といった行動に至ることで収益化できております。そのため、ユーザーとの関係の蓄積を表すと考えているエンゲージメントアカウント数及び累計会員数、また会計期間において購買に至った結果としての年間購入者数を重視しております。

同時に収益性、効率性及び安全性を重視した経営を行っているため、売上高、売上総利益率、営業利益率、経常利益率といった収益指標とともに、商品回転率や自己資本比率などを重要指標として活用することで、健全な収益力の向上及び経営基盤の構築を進めております。

 

(3) 経営環境

経済産業省による電子商取引に関する市場調査報告書(※)によりますと、物販系分野のBtoC-EC市場規模は2022年に13.9兆円(前年比5.4%増)となりました。2020年、2021年は新型コロナウイルス感染症拡大に伴う巣ごもり需要の影響でECの利用が拡大しましたが、2022年に入り消費者の本格的な実店舗回帰の様子が見られ、需要が一服したこと等が増加率鈍化の主な背景と考えられます。単年度の成長率推移には一時的な環境変化による影響が出ているものの、EC市場は右肩上がりで拡大しており、EC化率はまだ9.1%のため今後も成長が期待されます。また利用端末としては「スマートフォン」が伸び続けており、物販系ECの売上高のスマートフォン比率は56.0%、7.6兆円に達しております。

このような市場環境のもと、当社はライフカルチャープラットフォーム事業としてD2Cドメインを展開し、コンテンツパブリッシャーとしての活動によりユーザーからのエンゲージメントを得ることで市場平均を超える売上高の成長率を続けておりますが、ユーザーの「フィットする暮らし」に貢献する様々なコンテンツを提供することが必要であると認識しております。

(※) 出典:経済産業省 商務情報政策局 情報経済課「令和4年度 電子商取引に関する市場調査 報告書」

 

(4) 経営戦略等

当社のライフカルチャープラットフォーム事業は、カルチャーアセットとエンゲージメントチャネルが土台となり、D2Cドメインとブランドソリューションドメインというビジネスラインを展開しております。

ユーザーに興味をもって貰える(リーチするに値すると思われる)価値あるコンテンツを提供することにより、エンゲージメントを最大化し、エンゲージしたユーザーに各エンゲージメントチャネルを通じて高頻度にコンテンツを提供することで、購買動機につながる機会を増やすことが可能になります。その結果としてユーザーが購入会員化していくとともに、購入後も毎日のようにエンゲージメントチャネルを通じてコンテンツを提供することでリテンション(再訪問を促すこと)を図っております。このように価値あるコンテンツの提供によってプラットフォームが拡大していく構造となっております。

 

 

そのため、ビジネスライン、カルチャーアセット、エンゲージメントチャネルという3つの層ごとに経営戦略を考えております。

ビジネスラインについては、既存ビジネスラインの拡大と新規ビジネスラインの開発を行ってまいります。D2Cドメインでは、引き続きカバレッジする商品カテゴリを拡充すること(当社ではこれは「カテゴリの花束戦略」と呼んでおります。)で、長期的成長を目指します。ブランドソリューションドメインでは、タイアップ等のより高単価なメニューを開発し、さらなる案件単価の向上とプレゼンスの向上で成長を図ります。また、ライフカルチャープラットフォームの拡大に伴って生まれた事業機会を活かし、順次新たなビジネスラインを開発し、展開を目指します。

カルチャーアセットについては、継続して投資を続けてまいります。当社のプラットフォームにとっての最重要戦略は、ユーザーと当社とを結びつけるライフカルチャー(世界観)に対する強いエンゲージメントを生み出し続けることであります。コンテンツ、デザインへ継続的に投資し、魅力的な世界観を醸成し広げることによって、ブランド及びデータも蓄積されていきます。このようにカルチャーアセットを積み重ねることがプラットフォーム上で取り組む事業の成長と収益性の向上にも繋がります。

エンゲージメントチャネルについては、拡大を図ります。エンゲージメントアカウント数を増やすことによって、潜在顧客群を形成することが当社の一つの成長モデルであります。現在はアプリとYouTubeがエンゲージメントアカウント数の増加を牽引しております。特にアプリは、さらなる伸長の余地があり、中期的なエンゲージメントチャネル拡大の牽引役として期待しております。

 

(5) 優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題

当社の優先的に対処すべき主な課題は以下のとおりであります。なお、優先的に対処すべき財務上の課題につきましては、資金需要は自己資金及び営業活動によるキャッシュ・フローを源泉とした手元資金にて対応してまいりましたので、現時点ではございません。

① 提供するコンテンツ、商品などの強化

当社は、「北欧、暮らしの道具店」に来店していただいたユーザーに、良質なコンテンツや商品を提供することを通して収益機会を得ております。お客様の本質的なニーズを捉えながら、提供するコンテンツの品質を高めるとともに映像コンテンツなど幅を広げる取り組みも継続しております。商品についても、オリジナル商品の企画力強化や新商品の開発に挑戦することで、商品とそれにまつわるユーザー体験をはじめとした提供する全てのコンテンツを通して、多くの人のフィットする暮らしづくりに貢献できるよう努めてまいります。

 

② 集客方法の強化

当社は、各種SNS、メルマガ、アプリといった様々な導線をつくり、それを活用することで効率的な集客を実現しております。既存チャネルにおいて使用する広告素材(クリエイティブ)の改善などによる効率化をさらに進めるとともに、消費者の行動変化を見通しながら新たなチャネルの開発にも取り組むことで、集客力の強化と効率性の維持に努めてまいります。

 

③ 有能な人材確保 

ミッションを実現し、今後の健やかな成長を目指す上で、有能な人材の獲得が重要であると考えております。当社のミッションやビジョンに共感し、今後の事業に必要な能力や求める資質を有する人材を惹きつけられるように、外部ノウハウの活用にも積極的に取り組み、採用活動を強化することで中長期での企業価値向上に必要となる適切な人材リソースの確保に努めてまいります。

 

④ ステークホルダーの期待に応えるコーポレート・ガバナンスの実現

事業の継続的な発展を実現させるためには各方面のステークホルダーの期待に応えられるよう、コーポレート・ガバナンス機能の強化は必須であると認識しております。そのために、常にミッション及びビジョンを念頭に置きながら経営状況を捉え、ステークホルダーとの対話の機会を通じて、自らのガバナンス上の課題の有無を十分に把握した上で、適切に対応してまいります。

3 【事業等のリスク】

当社の事業の状況及び経理の状況等に関する事項のうち、当社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に重要な影響を与える可能性があると認識している主な事項及びその他投資者の判断に重要な影響を与えると認識している事項を記載しております。当社は、これらのリスク発生の可能性を十分に認識した上で、発生の回避及び発生した場合の対応に努める方針ではありますが、当社株式に関する投資判断は、本項及び本書中の本項以外の記載事項を慎重に検討した上で行われる必要があると考えております。

当社のリスク管理体制については、「第4 提出会社の状況 4 コーポレート・ガバナンスの状況等 (1) コーポレート・ガバナンスの概要 ④ 企業統治に関するその他の事項 a 内部統制システム及びリスクマネジメント体制の整備の状況」に記載のとおりであります。

なお、以下の記載のうち将来に関する事項は、別段の記載がない限り、当事業年度末現在において当社が判断したものであり、不確実性を内在しているため、実際の結果と異なる可能性があります。

 

(1) 事業環境に関するリスク
① 業界動向について

BtoC-ECやインターネットメディアの市場規模は今後も拡大傾向であると認識しておりますが、インターネットの利用を制約するような法規制、電子商取引やオンライン決済への新たな規制やユーザーからの信頼性の棄損、個人情報管理の安全性を中心としたプライバシーに対する問題意識の拡がり等の外部要因、景気動向、過度な競争等により、当社の事業と関係のある市場の成長が鈍化した場合、当社の経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があるため、重要なリスクと認識しておりますが、顕在化の可能性は高くないと認識しております。

顕在化に備え収益性や健全性を確保するとともに、業界動向の把握に努め、必要な対応を適時に取れる体制を構築してまいります

 

② ライフカルチャープラットフォームの優位性について

当社は「北欧、暮らしの道具店」を通じて、ライフカルチャープラットフォーム事業という単一のセグメントで事業を展開しております。

当社はビジネスラインとして「D2Cドメイン」「ブランドソリューションドメイン」を有しており、「カルチャーアセット」「エンゲージメントチャネル」がビジネスラインを支える構造となっております。

当社では、各種コンテンツの発信、商品の品質管理や法規制への対応、リスク管理の実施、内部統制の充実などあらゆる企業活動においてステークホルダーからの信頼に応えられるように努めております。しかしながら予測できない事象により、ブランド価値をはじめとするカルチャーアセットが毀損され、ユーザーのエンゲージメントを失うことによって、ライフカルチャープラットフォームが有効に機能しない状況になった場合、当社の経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があるため、特に重要なリスクと認識しておりますが、顕在化の可能性は高くないと認識しております。

今後も経営方針、成長戦略に従って、プラットフォームの強化や拡充、ユーザーのエンゲージメントを高めるための施策を行ってまいります。

 

③ 特定ドメインへの高い依存度について

「北欧、暮らしの道具店」のユーザーに対して生活雑貨等をインターネットで直接販売するD2Cドメインの売上高が、当社の売上高の大半を占めております。国内EC市場が拡大していることに加え、ユーザー数の増加や注文件数の増加、取扱商品の拡充等により、今後もD2Cドメインは拡大していくものと考えておりますが、ユーザーの減少や市場規模の縮小等の要因によりD2Cドメインの売上高が減少した場合には、当社の財政状態や経営成績に影響を及ぼす可能性があるため、特に重要なリスクと認識しておりますが、顕在化の可能性は高くないと認識しております。

当社の重要な収益基盤であるユーザーからのエンゲージメントをさらに高めるため、ニーズを捉えた各種コンテンツの提供や商品展開を進めてまいります。またブランドソリューションドメインなど、D2Cドメイン以外による収益獲得方法の開発・成長に継続的に取り組んでまいります。

 

④ 競合について

当社の売上高の大半を占めるD2Cドメインについては、多くの企業がアパレルや生活雑貨等のECをサービス展開している状況にあります。今後も、資本力や知名度、新規サービスの開発力等を有する企業等が新規参入又はサービス規模の拡大をする可能性はあり、その場合には競争の激化やその対策のためのコスト負担等によって、売上高の減少や広告宣伝費等のコスト増加など当社の経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があるため、重要なリスクと認識しておりますが、顕在化の可能性は高くないと認識しております。

今後も当社の特徴であるライフカルチャープラットフォームの強化や拡充を行うことで、単なるEC事業者ではない立ち位置を守り競争力を維持できるよう努めてまいります。

 

⑤ ユーザーの獲得について

当社の大きな収益源であるD2Cドメインの売上高は、「北欧、暮らしの道具店」に集まるユーザー数、注文件数、平均注文単価により変動し、事業の成長はユーザー数の増加と注文件数に影響されます。また、当社はSNS等を活用した効果的なマーケティングを自社リソースで行うことにより、効率的にユーザーの集客をしております。上記に挙げた各種KPIについてはこれまで安定的に推移・改善してきておりますが、社会・経済情勢によるユーザーニーズの変化、他の事業者との競争の激化、新たなユーザーとの接点となるデバイスや技術への対応が遅れ集客力が低下するなどの要因によって訪れるユーザー数が従来と比べて少なくなった場合には、売上高の増加ペースが鈍ること、もしくはマーケティング費用が上昇することにより、当社の財政状態や経営成績に影響を及ぼす可能性があるため、特に重要なリスクと認識しております。

ユーザーニーズの深掘りを行い、コンテンツなどの供給面及びアプリやSNSなどの集客面の両方において、新たな取り組みに継続してチャレンジすることで今後も効果的・効率的なマーケティングを行うことに努めてまいります。

 

⑥ システムトラブルについて

当社の事業はインターネットを介して行われており、そのサービス基盤はインターネットに接続するための通信ネットワークに依存をしております。アクセスの急激な増加等による負荷の拡大、地震等の自然災害や事故、サイバー攻撃等の予期せぬトラブルが発生し、大規模なシステム障害が起こった場合には、当社の財政状態や経営成績に影響を及ぼす可能性があるため、特に重要なリスクと認識しております。

安定的なサービス運営を行うために、サーバー設備等の強化や社内体制の構築、障害発生時対応への備えを行い、さらなるリスク低減に努めてまいります。

 

⑦ 配送コストについて

当社の主力であるD2Cドメインでは、商品販売に際し運送会社に商品配送業務を委託しており、購入者からは固定の配送料を受け取っております。今後配送コストが上昇し、その価格転嫁が行える環境でない場合には、当社の財政状態や経営成績に影響を及ぼす可能性があるため、重要なリスクと認識しております。

引き続き配送業務効率化のための投資や業務プロセスの改善を進めるなど、配送コストの上昇に備えた対策に努めてまいります。

 

(2) 事業体制に関するリスク
① 特定経営者への依存及び人材確保に係るリスクについて

当社の設立者である、代表取締役社長青木耕平は経営方針や経営戦略において、取締役佐藤友子は事業推進の中心人物として、当社の事業活動全般における重要な役割を果たしており、何らかの理由によって退任、退職し、後任者の採用が困難となった場合、当社の業績及び今後の事業展開に影響を与える可能性があります。これらにつき、重要なリスクと認識しておりますが、顕在化の可能性は高くないと認識しております。

両氏に過度に依存しない経営体制を構築すべく、他の取締役や従業員への権限委譲を進め育成を図ることで依存を薄めることに努めてまいります。

 

② 人材確保に係るリスクについて

当社は、ミッションやビジョンにフィットした人材採用を重要な経営課題と位置づけております。事業の成長に合わせた採用とフィットした人材の確保という両面を叶えるために、人材採用に関する各種施策を継続的に講じております。しかしながら、十分な人材確保が困難となった場合には、当社の業績及び財政状態に影響を与える可能性があります。

各職種に合わせた最適な採用方法の模索による採用強化と当社に合った働き方や人事制度の運用により定着を進めてまいります。

 

③ 商品の品質管理について

当社の提供する商品については、関連法規の遵守及びその品質向上に取り組み安全な商品の供給に努めております。しかしながら、販売した商品及びその広告表現等において、安全上の問題や表示上の問題が発生する可能性はあります。このような問題が発生した場合、大規模な返品、多額の対応費用の発生や当社のイメージ低下による売上高の減少等が想定され、当社の業績と財務状況に影響を及ぼす可能性があるため、重要なリスクと認識しておりますが、顕在化の可能性は高くないと認識しております。

仕入先や製造委託先の選定における基準、個々の商品に関する検査基準につき、安全性や消費者の要求水準を考慮して必要な対応を行っていくことに努めてまいります。

 

④ 物流機能の強化について

当社の商品取扱量の増加に応じて、業務システムの改善、委託先である倉庫業者における当社利用スペースの拡大や在庫管理スタッフを確保する必要があります。また将来的には効率的かつ安定的な物流機能を確保するために拠点の分散化も含めた物流機能強化に取り組む必要が出てくる可能性があります。これらの対応が商品取扱量の増加に追いつかない場合には、意図的に商品在庫数や「北欧、暮らしの道具店」で紹介するアイテム数を物流が対応可能な業務量に合わせてコントロールする必要がありますが、これらが販売機会のロスにつながる場合には、当社の成長を阻害し経営成績に影響を及ぼす可能性があるため、重要なリスクと認識しておりますが、顕在化の可能性は高くないと認識しております。

中期的な商品取扱量の予測に基づく物流機能の強化を今後も継続するとともに、事業規模の見通しや物流環境などを考慮しつつ大規模な投資も含めた長期的な対応の検討にも今後取り組んでいく予定であります。

 

⑤ 内部管理体制の構築について

当社の継続的な成長のためには、コーポレート・ガバナンスが適切に機能することが必要不可欠であると認識しております。業務の適正性及び財務報告の信頼性の確保、各社内規程及び法令の遵守を徹底してまいりますが、事業の拡大・変化に対応した内部管理体制を適時に構築することができず、コーポレート・ガバナンスが有効に機能しない場合には、適切な業務運営を行うことができず、当社の財政状態や経営成績に影響を及ぼす可能性があるため、重要なリスクと認識しておりますが、顕在化の可能性は高くないと認識しております。

ガバナンスの重要性を社内で共通認識とし、今後の事業規模の拡大に応じて管理、内部監査の体制を強化するなど、内部管理体制の一層の充実を図っていく方針であります。

 

⑥ 新商品開発、新規事業等について

当社では、ユーザー拡大と収益源の多様化を図るため、新商品の開発、新規事業に取り組んでいくとともに、新たなユーザーとの接点となるメディア開発を継続してまいります。これにより人材、システム投資等の先行投資が発生し、経営成績が悪化する可能性があります。また、新商品の開発や新規事業を開始した際には、想定とは異なる状況・リスクが発生することにより当初の計画通りに進まない場合、当社の事業及び経営成績に影響を与える可能性があります。これらについて重要なリスクと認識しておりますが、顕在化の可能性は高くないと認識しております。

新たな取り組みについては、リスクを許容可能なレベルに抑えた上で迅速かつ可逆的に進めることを基本方針としており、今後もその方針のもとで持続的な成長のため積極的に取り組んでまいります。

 

(3) 法的規制に関するリスク
① ECに関連する法的規制について

当社は、主にインターネットでユーザーに商品を直接販売するD2Cドメインから収益を得ております。そのため、「特定商取引に関する法律」、「不当景品類及び不当表示防止法」、「医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律」、「家庭用品品質表示法」等の販売に関する法規制に基づいて事業を運営しております。管理体制の構築によりこれら法令を遵守する体制を整備しておりますが、これらの法令に違反する行為が行われた場合、法令の改正又は新たな法令の制定が行われた場合には、当社の事業及び業績に影響を及ぼす可能性があるため、重要なリスクとして認識しておりますが、顕在化の可能性は高くないと認識しております。

必要に応じて顧問弁護士からの助言を受けながら、法務担当による、社内運用ルールの法令適合性の確認、契約書の法務チェック等を行い、コンプライアンス体制の強化に努めてまいります。

 

② 個人情報の保護について

当社は、会員登録情報をはじめとする個人情報を保有しており、「個人情報の保護に関する法律」の適用を受けております。これらの個人情報については、個人情報保護に関する基本方針及び個人情報保護基本規程を定めており、社内教育と管理体制の構築を行っております。しかしながら、何らかの理由でこれらの個人情報が外部に流出し、悪用されるといった事態が発生した場合には、当社の財政状態及び経営成績並びに企業としての社会的信用に影響を及ぼす可能性があるため、特に重要なリスクと認識しております。

個人情報保護に関する基本方針を定め、適正な入手と入手情報の管理体制を構築しております。また、個人情報保護法の改正動向やユーザーの個人情報に関する意識などを見極めながら、適切な運用が行えるよう社内体制の整備と教育を行ってまいります。

なお、2023年8月16日にプライバシーマークを取得しております。

 

③ 知的財産権について

当社は、当社が運営する事業やコンテンツに関する知的財産権を確保するとともに、「著作権法」等を遵守し、第三者の知的財産権を侵害しない体制の構築に努めております。しかしながら、当社の認識していない知的財産権が既に成立していることにより当社の事業運営が制約を受ける場合や、第三者の知的財産権侵害が発覚した場合においては、当社の財政状態や経営成績に影響を及ぼす可能性があるため、重要なリスクと認識しておりますが、顕在化の可能性は高くないと認識しております。

知的財産権の生じる契約では必要に応じて顧問弁護士からの助言を受けた上で、当社の事業運営に必要な権利を確保するよう努めております。またコンテンツ等の制作時には第三者の知的財産権侵害を回避するための対策を実施しております。

 

(4) その他
① 気候変動及び自然災害等について

当社の本社及び物流拠点は首都圏にあり、当地域内において地震、水害等の大規模災害が発生することにより拠点が被害を受けた場合、当社施設内や取引先において、パンデミックが発生した場合等、当社の想定を超える異常事態が発生した場合には、商品の調達に影響が出る可能性、物流機能が停滞する可能性、通常勤務が困難になることによるサービスレベルが低下する可能性等があり、その内容及び結果によっては当社の事業及び経営成績に影響を及ぼす可能性があるため、重要なリスクと認識しております。

仕入先や勤務場所の分散化、リモートワーク時における安否確認方法の確立など異常事態が生じた場合でもできる限り業務への影響を低減することに引き続き努めてまいります。

 

② カントリーリスクについて

当社が取り扱う商品の一部は生産国が中国など日本国外となっており、諸外国政府による規制や法令の改正、政治的、経済的な不安定さ等に起因したカントリーリスクが存在します。これらカントリーリスクは回避が困難であり、リスクが顕在化した場合には、為替変動による商品の仕入れ価格への影響や納品が遅延するなど商品調達に支障が出ることにより当社の業績が影響を受ける可能性があるため、重要なリスクと認識しております。

既に仕入先を分散することでリスクヘッジしておりますが、今後新たに主要な仕入先が生じる場合には、当該リスクについても充分考慮した上で仕入先の選定を行ってまいります。

 

③ 風評について

当社は広報、IRなどあらゆる情報発信において、適時かつ慎重な発信を心がけることで、情報の信頼性の維持・向上を図り、風評リスク顕在化の未然防止に努めております。しかしながら、正確な情報に基づかない、又は憶測に基づいた情報の流布が、インターネット上の書き込みや報道で広まった場合、それらの内容の正確性や当社の該当有無に関わらず、当社サービスの利用者や投資者等の認識又は行動に影響を及ぼす可能性が考えられます。これらの報道や情報の流布の内容、規模等によっては、当社の事業、経営成績及び株価に影響を及ぼす可能性があるため、重要なリスクと認識しておりますが、顕在化の可能性は高くないと認識しております。

日頃から風評の発見及び影響の極小化に努めており、当社又は当社サービスについて否定的な風評が拡大した場合には、代表取締役社長が必要な関係者を集め対応にあたる方針となっております。

 

④ 資金使途について

株式上場時における公募増資による調達資金の使途については、当社事業のさらなる拡大のため、広告宣伝費及び事業成長のための採用費用、人員増による人件費などに充当する予定であります。しかしながら、上述のとおり様々なリスク・不確実性のなかで事業運営を行っており、事業環境が変化することも考えられるため、当初の計画に沿って資金を使用した場合においても、想定通りの投資効果を得られない可能性があります。また、市場環境の変化により、計画の変更を迫られ調達資金を上記以外の目的で使用する可能性が発生した場合には、速やかに資金使途の変更について開示を行う予定であります。

 

⑤ 大株主について

当社の設立者である代表取締役社長青木耕平及び取締役佐藤友子は当社の大株主であり、当事業年度末現在で発行済株式総数の66.9%を所有しております。

両氏は、中長期的に安定株主として引き続き一定の議決権比率を維持するとともに、その議決権行使にあたっては、株主共同の利益を追求するとともに、少数株主の利益にも配慮する方針を有しております。

当社は両氏が安定株主であると認識しておりますが、何らかの事情により大株主である両氏の議決権比率が低下した場合には、当社株式の市場価格及び議決権行使の状況等に影響を及ぼす可能性があります。さらに、特定の相手先へ当社株式の譲渡を行った場合には、当該譲渡先の方針により、当社の事業戦略等に影響を与える可能性があります。

 

 

 

4 【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】
(1) 経営成績等の状況の概要

当社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という)の状況の概要は次のとおりであります。

 

① 財政状態
(資産)

当事業年度末における資産総額は、5,020,119千円と前事業年度末に比べて2,032,883千円の増加となりました。これは主に、現金及び預金が1,951,256千円、商品が20,071千円増加したこと、及び倉庫投資等に関連して固定資産が34,600千円増加したことによるものであります。

 

(負債)

当事業年度末における負債総額は、742,527千円と前事業年度末に比べて69,869千円の増加となりました。これは主に、未払金が35,752千円増加したこと、及び長期借入金(1年内返済予定含む)が36,689千円増加したことによるものであります。

 

(純資産)

当事業年度末における純資産は、4,277,592千円と前事業年度末に比べて1,963,013千円の増加となりました。これは主に、株式上場による新株発行及び自己株式の処分により資本金が424,841千円、資本剰余金が706,189千円増加したこと、及び当期純利益695,339千円を計上したことによるものであります。

自己資本比率は85.2%と財務的健全性を維持しております。

 

② 経営成績の状況

当事業年度は、国内の社会経済活動の正常化が進み、財とサービスの消費の偏りは解消してきているものの、物価上昇が続いている事から、毎月勤労統計調査によると実質賃金はマイナスが続いており、家計調査(2人以上の世帯)の月次結果からは、2023年3月以降は実質消費支出もマイナスが続いているため、今後の消費動向については予断を許さない状況となっております。海外においては、アメリカでの銀行破綻や中国の景気不安などがあり、金融政策の相違などによる円安も長期化するなど、先行き不透明な状況が続いております。このような状況にはありますが、ミッションと真摯に向き合い、堅実な経営を行ってまいりました。

 

「北欧、暮らしの道具店」は、2022年9月18日に開店15周年を迎え、当店を訪れてくださるユーザーの皆様に心からの感謝の気持ちをこめて、15周年のさまざまな企画を用意し運営してまいりました。

15周年記念のコンテンツの配信や、D2Cドメインにおける15周年記念商品の展開、送料無料キャンペーンなどをきっかけに多くのユーザーが当店を訪れてくださり、オリジナルブランド「KURASHI & Trips PUBLISHING」の新作商品等が好評で、売上高は好調に推移しました。4月には報道番組『カンブリア宮殿』(テレビ東京系列)にて当社を特集いただき、放送後は大きな反響を呼びました。春夏アパレルをはじめとした人気の定番商品、コラボ商品を、これまで以上に多くの新規ユーザー、既存ユーザーの皆様にご購入いただける機会となりました。第4四半期にかけては、アパレルカテゴリにおける週末発売や豊富なサイズ展開、コスメカテゴリの育成等にも注力し、ユーザーの潜在的な需要に応える商品展開を行いました。

これらの取り組みやエンゲージメントチャネルへの継続投資によって、エンゲージメントアカウント数は順調に増加し、公式スマートフォンアプリ(iOS/Android)は、当事業年度末日現在、累計約311万ダウンロードとなりました。当事業年度におけるアプリ経由の注文数は既に「北欧、暮らしの道具店」全体の約64%を占めております。

ブランドソリューションドメインでは、パナソニック「はやうま冷凍」搭載冷蔵庫、ワイヤレスイヤホン「ambie(アンビー)」、アクティブウェア「DANSKIN」等、新たなカテゴリにおけるお取り組みを行ったほか、La CASTA「アロマエステ シリーズ」、積水ハウス株式会社との新たなお取り組み等、新規顧客との新たなチャレンジと既存顧客からのリピート受注により案件数、売上高はともに堅調に推移しました。

 

 

以上の理由から、売上高についてはD2Cドメイン、ブランドソリューションドメインともに堅調に推移し6,060,836千円(前期比17.4%増)となりました。

売上総利益は2,628,041千円(前期比16.2%増)となり、公式スマートフォンアプリ(iOS/Android)ダウンロード訴求のための広告施策等の結果、販売費及び一般管理費を1,662,361千円(前期比17.1%増)計上したものの、営業利益は965,680千円(前期比14.7%増)、経常利益は968,145千円(前期比13.8%増)、当期純利益は695,339千円(前期比23.9%増)となりました。今後もコンテンツを拡大し、「ひとさじの非日常(Trips)」を「私たち」みたいな「誰か」に届けることを進めてまいります。

なお、当社は、ライフカルチャープラットフォーム事業の単一セグメントであるため、セグメント別の記載を省略しております。

 

③ キャッシュ・フローの状況

当事業年度末における現金及び現金同等物(以下、「資金」という。)は、前事業年度末と比べ1,951,256千円増加し、4,336,738千円となりました。当事業年度におけるキャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。

 

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

当事業年度において営業活動により獲得した資金は、732,814千円(前事業年度は535,533千円の獲得)となりました。これは主に、税引前当期純利益の計上968,145千円、未払金の増加額65,114千円等による増加要因と、法人税等の支払額296,050千円等の減少要因によるものであります。

 

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

当事業年度において投資活動により支出した資金は、65,338千円(前事業年度は99,468千円の支出)となりました。これは主に、倉庫投資等に関連した有形固定資産の取得による支出16,994千円、無形固定資産の取得による支出23,335千円によるものであります。

 

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

当事業年度において財務活動により獲得した資金は、1,283,781千円(前事業年度は70,142千円の支出)となりました。これは主に、株式の発行による収入849,682千円、自己株式の処分による収入418,048千円によるものであります。

 

④ 生産、受注及び販売の実績

当社は、「第5 経理の状況 1 財務諸表等 (1) 財務諸表 注記事項 (セグメント情報等)」に記載のとおりライフカルチャープラットフォーム事業の単一セグメントでありますが、以下の販売実績については、事業ドメイン区分で記載しております。

 

a 生産実績

当社で行う事業は、提供する商品・サービスの性格上、生産実績の記載になじまないため、当該記載を省略しております。

 

b 受注実績

当社で行う事業は、提供する商品・サービスの性格上、受注実績の記載になじまないため、当該記載を省略しております。

 

 

c 販売実績

当事業年度の販売実績は、次のとおりであります。

 

ドメインの名称

販売高(千円)

前期増減率(%)

D2Cドメイン

5,851,254

20.4

ブランドソリューションドメイン

209,582

△30.8

合計

6,060,836

17.4

 

(注) 主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合については、その割合が100分の10以上に該当する相手先がないため記載を省略しております。

 

(2) 経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容

経営者の視点による当社の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は、次のとおりであります。なお、文中の将来に関する事項は、当事業年度末現在において当社が判断したものであります。

 

① 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定

当社の財務諸表は、我が国において一般に公正妥当と認められる会計基準に基づき作成されております。

この財務諸表の作成にあたって、見積り、判断並びに仮定を用いることが必要となりますが、これらは期末日における資産・負債の金額、開示期間の収益・費用の金額及び開示情報に影響を与えます。ただし、これらの見積り、判断並びに仮定は、実際の結果とは異なる場合があります。

当社の財務諸表の作成にあたって採用している会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定のうち、重要なものについては、「第5 経理の状況 1 財務諸表等 (1) 財務諸表 注記事項 (重要な会計上の見積り)」に記載しております。

 

② 経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容

経営成績

(売上高)

当事業年度における売上高は、6,060,836千円(前期比17.4%増)となりました。当社は、ライフカルチャープラットフォーム事業の単一セグメントであるため、セグメント別の記載を省略しておりますが、売上高については、D2Cドメインとブランドソリューションドメインの2ドメインに区分しております。

ドメインの名称

前事業年度(千円)

当事業年度(千円)

D2Cドメイン

4,860,060

5,851,254

ブランドソリューションドメイン

303,075

209,582

合計

5,163,136

6,060,836

 

 

(D2Cドメイン)

「北欧、暮らしの道具店」は、2022年9月18日に開店15周年を迎えました。15周年記念のコンテンツの配信や記念商品の展開、送料無料キャンペーン等をきっかけにオリジナルブランド「KURASHI&Trips PUBLISHING」の新作商品が好評を博したこと、また、2023年4月に報道番組『カンブリア宮殿』(テレビ東京系列)にて当社を特集いただいき認知拡大に繋がったこと等により、当事業年度における売上高は5,851,254千円(前期比20.4%増)となりました。

また、流入経路においても「北欧、暮らしの道具店」の公式スマートフォンアプリ(iOS/Android)は、当事業年度末日現在、累計約311万ダウンロードとなりました。当事業年度におけるアプリ経由の注文数は既に「北欧、暮らしの道具店」全体の約64%を占めております。

 

 

(ブランドソリューションドメイン)

パナソニック「はやうま冷凍」搭載冷蔵庫、ワイヤレスイヤホン「ambie(アンビー)」、アクティブウェア「DANSKIN」等、新たなカテゴリにおけるお取り組みを行ったほか、La CASTA「アロマエステ シリーズ」、積水ハウス株式会社との新たなお取り組み等、新規顧客との新たなチャレンジと既存顧客からのリピート受注により、当事業年度における売上高は209,582千円(前期比30.8%減)となりました。

 

(売上総利益)

アパレルを中心にオリジナルブランド「KURASHI&Trips PUBLISHING」が成長しており、売上高が堅調に推移していること、仕入商品より相対的に原価率の低いオリジナル商品取扱高の増加等により、原価率が改善したことにより、売上総利益率が43.4%(前期比0.4%減)となりました。

そのため、売上総利益は前事業年度から366,073千円増加し、2,628,041千円(前期比16.2%増)となりました。

 

(販売費及び一般管理費、営業利益)

ユーザビリティの向上・システムの安定性のためのエンジニアの採用等で給料手当及び賞与を473,978千円(前年同期395,600千円)、アプリダウンロード訴求等のための広告宣伝費を458,455千円(前年同期391,826千円)計上し、事業規模の拡大に合わせた健全な体制、環境の整備を図ったことで、販売費及び一般管理費は1,662,361千円(前期比17.1%増)となりました。

そのため、営業利益は前事業年度から123,825千円増加し、965,680千円(前期比14.7%増)となりました。

 

(経常利益、法人税等、当期純利益)

経常利益は968,145千円(前期比13.8%増)と増加したのに対し、賃上げ・生産性向上のための税制による税額控除が適用となったことや外形標準課税の適用等により法定実効税率が下がったことから法人税等は272,806千円(前期比5.6%減)と減少しました。以上の結果、当期純利益は695,339千円(前期比23.9%増)となりました。

 

③ 財政状態に関する認識及び分析・検討内容

財政状態の分析・検討内容については、「(1) 経営成績等の状況の概要」に含めて記載しております。

 

④ キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容並びに資本の財源及び資金の流動性に係る情報

キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容については、「(1) 経営成績等の状況の概要」に含めて記載しております。

当社は、事業運営上、必要な流動性と資金を安定的に確保することを基本方針としております。

当社の主な資金需要は、仕入資金、事業規模の拡大に係る人件費、物流費及び広告宣伝費に係る運転資金となります。これらの資金需要につきましては、自己資金によることを基本としておりますが、必要に応じて銀行借入で調達する方針であります。

成長投資については、本社移転を計画しております。設備投資計画の詳細については、「第3 設備の状況 3 設備の新設、除却等の計画」をご参照ください。また、株主還元については、安定した経営に必要なキャッシュポジションの観点から還元可否及び還元規模の判断を行っております。株主還元方針の詳細については、「第4 提出会社の状況 3 配当政策」をご参照ください。

 

⑤ 経営成績に重要な影響を与える要因について

経営成績に重要な影響を与える要因については、「第2 事業の状況 3 事業等のリスク」に記載のとおりでありますが、今後収益を拡大するためには、既存の事業のさらなる拡大、知名度向上のための広告活動の展開、新規事業及び新サービスの開発が必要であると認識しております。

そのためには、優秀な人材の確保や組織体制の整備を引き続き行い、これらの課題に対して最善の事業戦略を立案するよう、努めていく所存であります。

 

 

⑥ 経営方針、経営戦略又は経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等の分析

「1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等」に記載のとおり、当社はユーザーとの関係の蓄積を判断するための指標として、エンゲージメントアカウント数、累積会員数及び年間購入者数といった指標を利用しております。経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標として、売上高、売上総利益率、営業利益率といった収益指標とともに、商品回転率や自己資本比率なども重要指標を位置付けております。

当該指標については、2023年7月末時点でエンゲージメントアカウント数は686万人(前期比21.5%増)、累積会員数は60万人(前期比17.6%増)、年間購入者数も20万人(前期比8.6%増)となり、売上高は6,060,836千円(前期比17.4%増)、売上総利益率は43.4%(前期比0.4%減)、営業利益率は15.9%(前期比0.4%減)、経常利益率は16.0%(前期比0.5%減)、商品回転率は10.2回(前事業年度末は10.1回)、自己資本比率は85.2%(前事業年度末は77.5%)となっております。

これらの指標は、堅調に推移しているものと認識しております。

 

5 【経営上の重要な契約等】

当社は、2023年6月23日開催の取締役会において、2023年8月1日に子会社を設立するとともに、当該子会社を通じて株式会社ステイト・オブ・マインドが運営するアパレルブランド「foufou」事業を、吸収分割により承継する会社の全株式を取得し、子会社化することを決議し、同日付で株式譲渡契約を締結いたしました。

詳細は、「第5 経理の状況 1 財務諸表等 (1) 財務諸表 注記事項(重要な後発事象)」に記載のとおりであります。

 

2 【主要な設備の状況】

2023年7月31日現在

事業所名

(所在地)

設備の内容

帳簿価額(千円)

従業員数(名)

建物

機械及び装置

工具、

器具

及び備品

ソフト

ウエア

建設

仮勘定

その他

合計

本社オフィス

(東京都国立市)

事務所用

設備等

20,757

5,718

31,361

66,942

5,082

7,169

137,031

87

 

(注) 1.現在休止中の主要な設備はありません。

2.帳簿価額のうち「その他」は商標権であります。

3.建物は賃借しており、本社オフィスの年間賃借料は、30,673千円であります。

4.従業員数は就業人員(契約社員を含む。)であり、産休等を含んでおります。臨時雇用者数(パート・アルバイトを含む。)は、従業員数の100分の10未満であるため、記載を省略しております。

5.当社はライフカルチャープラットフォーム事業の単一セグメントであるため、セグメント別の記載は省略しております。

 

 

① 【株式の総数】

 

種類

発行可能株式総数(株)

普通株式

26,880,000

26,880,000

 

 

 

② 【発行済株式】

 

種類

事業年度末現在
発行数(株)
(2023年7月31日)

提出日現在
発行数(株)
(2023年10月30日)

上場金融商品取引所名

又は登録認可金融商品

取引業協会名

内容

普通株式

7,370,400

7,370,400

東京証券取引所
(グロース市場)

完全議決権株式であり、権利内容に何ら限定のない当社における標準となる株式であります。なお、1単元の株式数は100株であります。

7,370,400

7,370,400

 

 

 

① 【ストックオプション制度の内容】

該当事項はありません。

 

② 【ライツプランの内容】

該当事項はありません。

 

 

(4) 【発行済株式総数、資本金等の推移】

 

年月日

発行済株式
総数増減数
(株)

発行済株式
総数残高
(株)

資本金

増減額
(千円)

資本金

残高
(千円)

資本準備金
増減額
(千円)

資本準備金
残高
(千円)

2022年4月8日

(注)1

6,719,160

6,720,000

8,000

136,700

2022年8月4日

(注)2

350,000

7,070,000

228,620

236,620

228,620

365,320

2022年9月6日

(注)3

300,400

7,370,400

196,221

432,841

196,221

561,541

 

(注) 1.株式分割(1:8,000)によるものであります。

2.有償一般募集(ブックビルディング方式による募集)

  発行価格          1,420円

  引受価格        1,306.40円

  資本組入額        653.20円

3.有償第三者割当(オーバーアロットメントによる売出しに関連した第三者割当増資)

  発行価格        1,306.40円

  資本組入額        653.20円

  割当先     みずほ証券株式会社

 

(5) 【所有者別状況】

 

2023年7月31日現在

区分

株式の状況(1単元の株式数100株)

単元未満
株式の状況
(株)

政府及び
地方公共
団体

金融機関

金融商品
取引業者

その他の
法人

外国法人等

個人
その他

個人以外

個人

株主数
(人)

3

20

14

23

11

2,609

2,680

所有株式数
(単元)

5,278

2,557

268

6,139

26

59,401

73,669

3,500

所有株式数の割合(%)

7.16

3.47

0.36

8.33

0.04

80.63

100

 

(注) 自己株式46株は、「個人その他」に含まれております。

 

 

 

(6) 【大株主の状況】

2023年7月31日現在

氏名又は名称

住所

所有株式数
(株)

発行済株式

(自己株式を除く。)

の総数に対する

所有株式数の割合

(%)

青木 耕平

東京都国立市

4,047,000

54.91

佐藤 友子

東京都国立市

885,000

12.01

株式会社日本カストディ銀行(信託口)

東京都中央区晴海一丁目8番12号

494,400

6.71

BNY GCM CLIENT ACCOUNT JPRD AC ISG(FE-AC)
(常任代理人 株式会社三菱UFJ銀行)

PETERBOROUGH COURT 133
FLEET STREET LONDON EC4A
2BB UNITED KINGDOM
(東京都千代田区丸の内二丁目7番1号) 

137,200

1.86

GOLDMAN SACHS INTERNATIONAL
(常任代理人 ゴールドマン・サックス証券株式会社)

PLUMTREE COURT, 25 SHOE LANE, LONDON EC4A 4AU, U.K.
(東京都港区六本木六丁目10番1号) 

106,300

1.44

GOLDMAN,SACHS & CO.REG
(常任代理人 ゴールドマン・サックス証券株式会社)

200 WEST STREET NEW YORK, NY, USA
(東京都港区六本木六丁目10番1号) 

101,400

1.38

MSCO CUSTOMER SECURITIES
(常任代理人 モルガン・スタンレーMUFG証券株式会社)

1585 BROADWAY NEWYORK,NY,USA
10036, U.S.A.
(千代田区大手町一丁目9番7号)

95,600

1.30

楽天証券株式会社

東京都港区南青山二丁目6番21号

81,700

1.11

西 甲太郎

東京都足立区

62,700

0.85

モルガン・スタンレーMUFG証券株式会社

東京都千代田区大手町一丁目9番7号

58,800

0.80

6,070,100

82.36

 

(注)1.発行済株式(自己株式を除く。)の総数に対する所有株式数の割合は、小数点以下第3位を四捨五入しております。

2.2023年2月22日付で公衆の縦覧に供されている大量保有報告書において、アセットマネジメントOne株式会社が2023年2月15日現在で以下の株式を所有している旨が記載されているものの、当社として2023年7月31日現在における実質所有株式数の確認ができませんので、上記大株主の状況には含めておりません。なお、その大量保有報告書の内容は次のとおりであります。

 

氏名又は名称

住所

保有株券等の数(株)

株券等保有割合

(%)

アセットマネジメントOne

株式会社

東京都千代田区丸の内一丁目8番2号

384,700

5.22

 

 

 

① 【貸借対照表】

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

(単位:千円)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

前事業年度

(2022年7月31日)

当事業年度

(2023年7月31日)

資産の部

 

 

 

流動資産

 

 

 

 

現金及び預金

2,385,482

4,336,738

 

 

売掛金

157,663

159,915

 

 

商品

251,266

271,337

 

 

仕掛品

16,125

744

 

 

前渡金

11,693

 

 

前払費用

14,406

34,110

 

 

その他

6,013

14,698

 

 

流動資産合計

2,830,957

4,829,240

 

固定資産

 

 

 

 

有形固定資産

 

 

 

 

 

建物(純額)

22,985

20,757

 

 

 

機械及び装置(純額)

5,718

 

 

 

工具、器具及び備品(純額)

2,322

31,361

 

 

 

建設仮勘定

43,087

5,082

 

 

 

有形固定資産合計

※1 68,395

※1 62,920

 

 

無形固定資産

 

 

 

 

 

ソフトウエア

2,425

66,942

 

 

 

ソフトウエア仮勘定

48,212

 

 

 

商標権

7,980

7,169

 

 

 

無形固定資産合計

58,618

74,111

 

 

投資その他の資産

 

 

 

 

 

敷金

10,693

35,247

 

 

 

長期前払費用

2,148

 

 

 

繰延税金資産

12,921

10,801

 

 

 

その他

5,650

5,650

 

 

 

投資その他の資産合計

29,264

53,847

 

 

固定資産合計

156,279

190,879

 

資産合計

2,987,236

5,020,119

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

(単位:千円)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

前事業年度

(2022年7月31日)

当事業年度

(2023年7月31日)

負債の部

 

 

 

流動負債

 

 

 

 

買掛金

135,711

108,700

 

 

1年内返済予定の長期借入金

76,633

63,332

 

 

未払金

125,446

161,199

 

 

未払費用

18,356

22,376

 

 

預り金

19,745

30,251

 

 

未払法人税等

157,544

156,311

 

 

未払消費税等

32,582

46,752

 

 

その他

※2 3,850

※2 825

 

 

流動負債合計

569,870

589,750

 

固定負債

 

 

 

 

長期借入金

102,787

152,777

 

 

固定負債合計

102,787

152,777

 

負債合計

672,657

742,527

純資産の部

 

 

 

株主資本

 

 

 

 

資本金

8,000

432,841

 

 

資本剰余金

 

 

 

 

 

資本準備金

136,700

561,541

 

 

 

その他資本剰余金

281,348

 

 

 

資本剰余金合計

136,700

842,889

 

 

利益剰余金

 

 

 

 

 

その他利益剰余金

 

 

 

 

 

 

繰越利益剰余金

2,306,578

3,001,918

 

 

 

利益剰余金合計

2,306,578

3,001,918

 

 

自己株式

136,700

56

 

 

株主資本合計

2,314,578

4,277,592

 

純資産合計

2,314,578

4,277,592

負債純資産合計

2,987,236

5,020,119

 

② 【損益計算書】

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

(単位:千円)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

前事業年度

(自 2021年8月1日

 至 2022年7月31日)

当事業年度

(自 2022年8月1日

 至 2023年7月31日)

売上高

※1 5,163,136

※1 6,060,836

売上原価

2,901,167

3,432,794

売上総利益

2,261,968

2,628,041

販売費及び一般管理費

※2 1,420,113

※2 1,662,361

営業利益

841,854

965,680

営業外収益

 

 

 

受取利息及び配当金

25

35

 

助成金収入

1,200

 

配信料収入

13,220

17,497

 

その他

2,382

1,576

 

営業外収益合計

16,828

19,109

営業外費用

 

 

 

支払利息

1,055

1,063

 

上場関連費用

7,038

15,542

 

その他

118

36

 

営業外費用合計

8,212

16,643

経常利益

850,469

968,145

税引前当期純利益

850,469

968,145

法人税、住民税及び事業税

272,127

270,686

法人税等調整額

16,993

2,119

法人税等合計

289,120

272,806

当期純利益

561,349

695,339