株式会社サンクゼール
(注) 1.第39期及び第40期の潜在株式調整後1株当たり当期純利益金額については、潜在株式は存在するものの、当社株式は非上場であるため、期中平均株価が把握できませんので記載しておりません。
2.第39期及び第40期の株価収益率は当社株式が非上場であるため記載しておりません。
3.第39期から第41期の連結財務諸表については、金融商品取引法第193条の2第1項の規定に基づき、有限責任監査法人トーマツにより監査を受けております。
4.2022年1月11日付けで普通株式1株につき普通株式200株の割合で株式分割を行っております。第39期の期首に当該株式分割が行われたと仮定し、1株当たり純資産額及び1株当たり当期純利益金額を算定しております。
5.「収益認識に関する会計基準」(企業会計基準第29号 2020年3月31日)等を第40期の期首から適用しており、第40期以降に係る主要な経営指標等については、当該会計基準等を適用した後の指標等となっております。
(注) 1.第37期から第40期の潜在株式調整後1株当たり当期純利益金額については、潜在株式は存在するものの、当社株式は非上場であり期中平均株価が把握できないため記載しておりません。
2.第37期から第40期の株価収益率は当社株式が非上場であるため記載しておりません。
3.主要な経営指標等のうち、第37期及び第38期については会社計算規則(平成18年法務省令第13号)の規定に基づき算出した各数値を記載しており、金融商品取引法第193条の2第1項の規定に基づく監査を受けておりません。
4.第39期から第41期の財務諸表については、金融商品取引法第193条の2第1項の規定に基づき、有限責任監査法人トーマツにより監査を受けております。
5.第39期において当社における棚卸資産評価損の計上に係る誤謬の訂正を行った結果、第39期の財務諸表の数値と定時株主総会において承認された計算書類の数値が一部異なっております。
6.2022年1月11日付けで普通株式1株につき普通株式200株の割合で株式分割を行っております。第39期の期首に当該株式分割が行われたと仮定し、1株当たり純資産額及び1株当たり当期純利益を算定しております。
7.「収益認識に関する会計基準」(企業会計基準第29号 2020年3月31日)等を第40期の期首から適用しており、第40期以降に係る主要な経営指標等については、当該会計基準等を適用した後の指標等となっております。
8.第37期から第41期の株主総利回り及び比較指標は、2022年12月21日に東京証券取引所グロース市場に上場したため記載しておりません。
9.最高・最低株価は、東京証券取引所グロース市場における株価を記載しております。ただし、当社株式は2022年12月21日から東京証券取引所グロース市場に上場されており、それ以前の株価については該当事項がありません。
当社グループは、日本全国に158店舗(2023年3月末時点)の自社店舗(直営51店舗、フランチャイズ・チェーン(以下、「FC」と呼称。)107店舗)を有する食のSPAを展開する食品製造販売事業を行っております。また、自社店舗(直営及びFC)以外にも、自社で構築したオンラインショップ(以下、「自社公式ECサイト」という。)及び楽天サイトを通じた販売や地方の生産者と消費者をつなぐオンラインマーケットプレイスを運営するEC事業、大手食品卸企業や小売企業に対するホールセール事業、そして米国を中心とするグローバル事業など、様々なチャネルを通じて製商品の販売を行っております。
当社グループの事業の特徴は、マーケティング、製商品の企画・開発、調達・製造、店舗設計、販売までのプロセスを自社グループで制御することができる点にあり、製品提供の重要なプロセスを企業として備えている点であります。重要なプロセスを一気通貫で手掛けることにより、ブランド、製商品、店舗内装、店舗スタッフなどの店舗運営に必要な要素全てを共通の世界観の元で構築することができ、当社グループ独自のグロッサリーストア(食料品店)を作り上げることができております。
当社グループの商品は、その約90%は当社グループの製商品開発部門が企画・開発した製商品であり、各ブランドのコンセプトを体現した独自性のある製商品となっております。また、各店舗に置かれる製商品点数は、小規模店舗で600アイテム以上、大型店舗で1,200アイテム以上に及び、そのどれもが中身のおいしさ、購買者の意欲をそそるネーミング、パッケージデザインにおいてオリジナリティ溢れる商品であります。多種にわたる製商品を1つの店舗に置くために、当社グループ工場及び協力メーカー工場では、多品種少量生産に適した生産体制を構築し、各店舗からのきめ細かな発注に応えられるようになっております。このようなきめ細かな生産体制をとることにより、消費者の需要に合わせたこまめな生産調整を可能とし、必要な製商品を必要な量だけ作ることで、1つの店舗に無駄なく大量の製商品点数を陳列することが実現でき、独自性のあるグロッサリーストアを作り上げることができております。
当社グループ事業のバリューチェーンにおける特徴は以下のとおりです。

1. オリジナリティ溢れるブランド
当社グループでは、「サンクゼール」、「久世福商店」、及び「Kuze Fuku & Sons」の3つのブランドを展開しております。「サンクゼール」は、ジャム、パスタソース、ワインなどの洋食材を中心とするブランドであり、「久世福商店」はご飯のお供、だし、味噌及び醤油などの和食材を中心とするブランドであります。これら2つのブランドは、国内に各ブランドの自社店舗(直営及びFC)を展開しているほか(2023年3月末時点:サンクゼール業態 16店舗、久世福商店業態 142店舗)、ECやホールセールを通して、販売しております。一方、「Kuze Fuku & Sons」は、米国を中心とするグローバル展開を目的として開発された、米国メインストリームと和食のそれぞれの良さをハイブリッドした食材ブランドであり、米国や台湾の問屋や小売店に対する卸販売をメインに展開しております。ブランドごとにコンセプトを明確に分けており、ブランドごとに異なるお客様へ商品を提供することができております。
各ブランドのコンセプトと特徴は以下のとおりです。
2. お客様のフィードバックを直接取得するマーケティング
当社グループでは、お客様のフィードバックを素早く商品開発や売場改善に反映し、お客様の当社ブランドに対するロイヤルティの向上につなげていくことが食のSPAにおいて最も重要な要素であると考えております。当社は全国に有する「サンクゼール」及び「久世福商店」の自社店舗(直営及びFC)を通して、ご来店いただくお客様の声を直接聞き取り、その内容を「自社POS連動型ERPシステム」の「日報」機能を利用することで、遅滞なく本部に伝達する体制を整えております。また、2021年4月より開始した「久世福商店・サンクゼール公式アプリ」を用いて会員であるお客様の購買データの分析を行っており、お客様の購買行動の変化を通して、お客様のニーズに変化を把握することに努めております。
さらに、2023年3月期からは、当社のアプリ会員である一部のお客様に、当社が運営する「Fan-Based Community」というコミュニティプログラムに参加していただき、定期的なアンケートやインタビューを通じて、プログラム会員であるお客様から直接、商品開発や売場改善に対するフィードバックを得る取り組みを開始しております。当該プログラムの活動を通して当社ブランドに対するロイヤルティが高いお客様のニーズをより具体的に把握することで、プログラム会員以外のお客様にも当社ブランドのファンになっていただけるように取り組んでおります。
3. 独自性の高い商品開発力
当社グループは、「サンクゼール」、「久世福商品」及び「Kuze Fuku & Sons」の3つのブランドコンセプトに基づいて、自社グループ工場で製造した製品やOEMメーカーから仕入れた商品を独自性の高い商品に仕上げる商品の企画・開発力を有しております。当社グループは、「サンクゼール」、「久世福商店」及び「Kuze Fuku & Sons」のブランドごとに組織を分けており、各ブランドの商品開発チームが新商品の開発及び定番商品の改良の検討を行っております。商品の開発・改良に当たっては、当社グループが有する自社店舗を通じて、日々お客様と接する中で聞いているお客様の「声」を収集し、これを商品の開発・改良プロセスに反映することによって、お客様のニーズに合致した商品を開発することが可能となります。このように日本全国の自社店舗を通じてマーケティングを行い、その結果を商品開発に反映することで商品の成功可能性を高められることが当社の強みであります。
また、当社は、パッケージやラベルデザインを担当するデザイナーを自社で有しており、ブランドコンセプトやお客様のニーズに即したデザインをタイムリーに仕上げることができております。
4. 日米の自社製造拠点
当社グループは、長野県上水内郡飯綱町に有する国内工場の他、米国子会社であるSt.Cousair, Inc.が所在する米国オレゴン州の海外工場で製品を製造しております。
・国内工場(株式会社サンクゼール 長野県上水内郡飯綱町)
飯綱町の製造工場では、主にジャム、パスタソース、ドレッシングなどの食品を製造しております。また、同一エリア内に設置された自社ワイナリーでは、国内外及び近隣の農家から仕入れた果実を原料とするワイン、シードルの製造を行っております。さらに、飯綱町との取り組みを通じて、飯綱町の特産品であるりんごを使用したブランデーの蒸留を行っております。飯綱町のりんごの特徴でもある豊かな風味と芳醇な甘みを感じることができるブランデーとして、「いいづなアップルブランデー」という商品名で2017年より製造を開始しております。
・海外工場(St.Cousair, Inc. 米国オレゴン州)
2017年4月に米国オレゴン州の食品加工工場を買収し、米国子会社St. Cousair Oregon Orchards, Inc.(現St.Cousair, Inc.)を設立いたしました。オレゴン州は大規模な災害が少なく、年間を通して寒暖差が大きいことから、世界有数のベリー系果実原料の産地となっております。米国オレゴン州に工場を設置することにより、新鮮で高品質な果実原料を安価に調達することができ、当社グループの商品の品質向上及びコストメリットを生み出すことができております。また、2017年の同工場取得時にUSDA(United States Department of Agriculture)によるオーガニック認証を取得しており、以降は毎年当該認証を更新しております。当該認証を保持することで、USDAオーガニックのロゴの使用許諾とともに、USDAオーガニックの基準に基づく商品の製造・販売を行うことができます。オーガニック原料を使用したオーガニック製品を製造することが可能な点も当社グループにおける強みの1つであります。
5. 日本全国の仕入商品メーカーとのネットワーク
当社グループは、2023年3月末時点で各地500社を超える食品メーカーとのネットワークを有しております。各食品メーカーは、それぞれの地域に根差した独自性の高い商品を展開しており、それらの商品に当社グループが持つ「サンクゼール」及び「久世福商店」の両ブランドのエッセンスを加えることで、独自性の高い商品を開発することができております。当社グループにとっては、各食品メーカーの協力を得て、付加価値の高い商品を開発できる利点がある一方、地方に拠点を有する食品メーカーにとっては、当社グループの店舗を通じて、全国各地に商品を流通させることができるという利点があります。このように当社グループのブランドがプラットフォームとして機能し、各地域の食品メーカーとWin-Winの関係を構築することで、競合他社が模倣することが困難な強固なネットワークを構築することができております。
6. 多様な販売チャネル
当社グループは、国内外の多様な販売チャネルを通して製商品の販売を行っております。各チャネルの特徴は以下のとおりです。
① 直営及びFC
当社グループは、日本国内において直営及びFCでの自社小売店舗を有しております。
・本店(直営)
長野県飯綱町の本社エリアには、サンクゼール及び久世福商店の本店があります。エリア内には、レストランやイングリッシュガーデンが所在しており、長野県飯綱町を見渡せる小高い丘の頂上に位置していることから、「サンクゼールの丘」と親しみを込めて呼ばれており、毎年、近隣住民や観光客が多く訪れる場所になっております。この本社エリアは当社グループの創業の原点であり、創業者の想いを継いでいく場所、そして当社グループの経営理念を体現し、発信していく拠点として、当社グループの事業における重要な拠点であります。
・直営店
当社グループが店舗設備投資を実施し、当社グループの従業員が店舗を運営する形態であります。なお、直営店舗の中には、店舗運営業務のみを外部に委託する「OFC(オーナー・フランチャイズ・チェーン)」という形態の店舗も含まれております。
・FC加盟店
FC加盟企業と締結するパートナーシップ契約に基づき、店舗設備投資及び店舗スタッフの人件費を含む店舗運営に関わる全ての費用をFC加盟企業の負担により運営する形態であります。当社グループは、当社グループのブランド使用権及び本部サービス提供に対し、各FC加盟企業からロイヤリティ収入を収受しております。
自社小売店舗での販売の特徴①:多品種少量生産を可能とする商品供給体制
当社グループの自社店舗では、商品点数が多い店舗では、1つの店舗で1,200点を超える商品を販売しております。このように多数の商品点数を実現するために、当社グループの自社工場及び仕入商品メーカーの各工場では、多品種少量生産を可能とする生産体制が構築されており、必要なときに必要な量をタイムリーに仕入れることができております。多品種少量生産によるきめ細かな供給体制は、他社の参入を困難とする当社グループの強みになっております。
このように、自社工場での製造機能を持っていることに加えて、全国に158店舗(2023年3月末時点)の自社小売店舗(FCを含む)を展開することにより、全国各地500社を超えるそれぞれの仕入先メーカーから大きなロットでの調達が可能となり、安価な価格での仕入が実現できております。その結果、価格戦略を含む店舗運営上の競争優位性の源泉となっております。
自社小売店舗での販売の特徴②:魅力的な売り場、世界観が統一された内装什器
当社グループの自社店舗は、内装・什器などの店舗設計を全て自社の店舗設計チームが手掛けております。店舗設計を自社で行うことによって、店舗の内装や什器を含めてブランドを表現することが可能となります。そうして出来上がった店舗は、ブランドや商品と統一された内装什器を有する店舗となり、商品の魅力を最大限表現できる売り場を作り上げることができております。
自社小売店舗での販売の特徴③:教育された店舗スタッフと接客力
当社グループでは、お客様の信頼を第一と考えており、お客様に気持ちよく商品を購入していただけるよう、日々、店舗スタッフの接客力向上に取り組んでおります。当社グループの本部では、各店舗の店長及び店舗スタッフの教育を専門業務とする教育チームが存在しており、直営店及びFC加盟店の店長に対して毎月開催している店長会で、当社グループの経営方針や店舗営業戦略について伝達するとともに、教育チームのスタッフが店舗運営に関する研修を実施しております。また、全国各地に点在する店長や店舗スタッフが遠隔で店舗運営に関する学習を行うことができるように、グルー株式会社が提供する営業配信プラットフォーム「knowbuild(ノービル)」を利用したロールプレイング動画による研修を実施し、店長及び店舗スタッフの接客力の向上を図っております。
当社グループは、経営理念の中で「オンリーワンを目指し、お客様に感動を与えるサービスを提供する」という方針を掲げ、この考えが店舗スタッフ一人一人に浸透するよう、経営理念の教育を徹底して行っております。その結果、当社の店舗スタッフはお客様を喜ばせるために必要な対応をその場で判断し、実行に移すことができるように教育されており、それが店舗の世界観と相まって、お客様にとって居心地のよい空間を作り上げることにつながっております。
② EC
当社グループは、「サンクゼール」、「久世福商店」及び「Kuze Fuku & Sons」ブランドの商品を自社公式ECサイト及び楽天市場サイトで販売するほか、全国各地の生産者及び食品メーカーと消費者を直接結び付けるオンラインマーケットプレイス「旅する久世福e商店」の運営を行っております。
・自社公式ECサイト及び楽天市場サイトでの販売
当社グループは、自社公式ECサイトに加え、楽天市場へ出店しております。ECでの販売商品の特徴はギフト商品であり、ECの売上高の50%以上がギフト商品で構成されております。お客様のギフト商品に対するニーズにお応えするために、2022年4月より当社公式ECサイト限定で、お客様が作成したメッセージカードを添付することができるサービスを開始いたしました。
なお、2021年4月より「久世福商店・サンクゼール公式アプリ」を開始しており、店舗とECで会員であるお客様の顧客データベースを共通管理することで、自社店舗とECが相互に連携した販売促進を行っております。具体的には、アプリ会員であるお客様に対して、自社店舗で実施する販促キャンペーン情報を定期配信し、リアル店舗への集客を高める取り組み等を行っております。
・旅する久世福e商店
2020年10月より、全国各地の生産者及び食品メーカーと消費者を直接結び付けるオンラインマーケットプレイス「旅する久世福e商店」の運営を行っております。生産者及び食品メーカーは、それぞれが当社が開発したECサイトシステムにより自社ECサイトを構築し、同じく当社が開発したECプラットフォーム「旅する久世福e商店」に出店する形でオンラインマーケットに参加します。一方、消費者は、「旅する久世福e商店」に出店している生産者及び食品メーカーのそれぞれのECサイトを訪問し、好みの商品をマーケットプレイス上で購入すると、当該生産者及び食品メーカーから直接消費者の元へ購入した商品が届きます。その際、当社は、生産者及び食品メーカーの売上金額に対して販売手数料を収受いたします。
「旅する久世福e商店」のビジネスモデルを図で示すと以下の通りです。
(旅する久世福e商店ビジネスモデル)

③ ホールセール
当社グループの商品を食品卸企業及び小売企業へ販売するとともに、他社のPB商品について当社がOEMを行っております。当社は、自社商品開発チーム、自社工場製造チーム、卸営業チームを1つの組織にまとめており、それぞれのチームが緊密に連携することで開発・製造・販売のサイクルを高速回転させ、顧客ニーズに即した商品を素早く対応できる体制を構築しております。
④ グローバル
米国オレゴン州のSt.Cousair, Inc.がグローバル展開のヘッドクオーターとしての機能を持ち、米国内での販売に加えて、アジアやオセアニア地域の顧客に対する営業活動を行っております。前述のとおり、St.Cousair, Inc.の工場ではオーガニック製品の製造認証を得ており、近年、米国で拡大が続くオーガニック食品市場を重要なターゲット市場と位置付け、事業を行っております。同工場では現在、ジャム、パスタソース、ブルーベリーコンポート、飲む酢、スムージー、ドリンクベース、等を製造しています。なお、一部の商品カテゴリーについては、USDAの認証を得たオーガニック商品を製造しています。加えて、米国西海岸エリアは、世界の食のトレンドの最先端の地域であり、St.Cousair, Inc.での米国内マーケティングを通じて、最先端の食に関する情報収集を行うことができます。ここで入手した情報を素早く当社グループ内で共有し、新たな商品開発につなげることができる体制となっております。
7.食のSPAを支える内製化システム
前述の特徴を持ち、商品開発から販売までを一気通貫でコントロールする食のSPAを展開するためには、それを支える高度なシステムが必要になります。当社グループで使用する「在庫管理システム」、「自社POS連動型ERPシステム」、「旅する久世福e商店及び自社公式ECサイトシステム」、「会員アプリ及び会員顧客分析データシステム」及び「ECメッセージカードサービスシステム」等のシステムは、大部分が社内のエンジニアチームがゼロから作り上げたシステムであります。ゼロベースでシステムを開発することで事業運営に必要な機能を柔軟、かつ、効率的に設計することができ、商品開発から販売に至るプロセスのスムーズな連携及びコントロールを実現することができております。
なお、2023年3月末時点でシステムエンジニアとしての業務に従事する従業員は、11名在籍しております。
当社グループの事業系統図は以下の通りです。

(注) 1. 議決権の所有割合は、100分の50以下でありますが、実質的に支配しているため子会社としております。
2.議決権の所有割合の[ ]内は、緊密な者の所有割合で外数となっております。
3.1982年設立の㈱斑尾高原農場(現 当社)とは別法人であります。
4.特定子会社に該当しております。
5.有価証券届出書又は有価証券報告書を提出している会社はありません。
(注) 臨時従業員数(契約社員及びパートタイマーを含み、人材派遣会社からの派遣社員は除いております。)は、
年間平均人員を( )外数で記載しております。
(注) 1.臨時従業員数(契約社員及びパートタイマーを含み、人材派遣会社からの派遣社員は除いております。)は、年間平均人員を( )外数で記載しております。
2.平均年間給与は、賞与及び基準外賃金を含んでおります。
当社グループにおいて労働組合は結成されておりませんが、労使関係は円満であり、特記すべき事項はありません。
提出会社
(注) 1.「女性の職業生活における活躍の推進に関する法律」(平成27年法律第64号)の規定に基づき算出したものであります。
2.「育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律」(平成3年法律第76号)の規定に基づき、「育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律施行規則」(平成3年労働省令第25号)第71条の4第1号における育児休業等の取得割合を算出したものであります。
3.労働者の男女の賃金の差異について、次のとおり補足説明いたします。
・役職、年齢、勤続年数等の属性が同じ男女間では、賃金の差異はありません。
・「正規雇用労働者」について、管理監督者に占める男性の割合が高いこと、多様な働き方としての短時間労働を選択する女性が多いことから、賃金の差異が生じております。現在当社では、女性管理職比率の向上を図ると共に、さらなる多様な働き方が選択できるように、取り組みを進めております。
・「パート・有期労働者」について、女性が占める割合が高く、短時間労働を選択する女性が多いことから、賃金の差異が生じております。
文中の将来に関する事項は、本書提出日現在において当社グループが判断したものであります。
(1) 経営方針
当社グループは、「愛と喜びのある食卓をいつまでも」をコーポレートスローガンに掲げ、当社グループの商品を通じて、全世界に愛と喜びに満ちた食卓を増やすことを目指し、事業に取り組んでおります。
当社グループは、グローバルな視野に立ち、以下を経営理念として定めております。
・企業目的
私たちは、正しい経営活動により、顧客・株主・取引先・パートナー・及び地域社会に信頼される誠実な企業を目指します。
私たちは、互いの違いを認め合う、豊かな成熟した大人の文化を創造し、居心地のよい楽しい社会の実現に貢献します。
私たちは、世界中の人々に、おいしく健康で高品質な食をバリューを持って提案し、豊かな食卓と暮らしを楽しむ時間と、人と人が集いつながることのできる場を提供します。
・企業としてのあり方
私たちは、企業目的を果たすために、健全な企業活動を行い、長期に社会貢献できるGood Companyを目指します。
あらゆる人々に開かれたオープンな会社であり、経営理念を共有するパートナーたちによって運営される健全な会社を目指します。
パートナー、カスタマー、カンパニーの三方共に満足のいく関係を構築することに注力します。
私たちは、次世代に食文化を継承し、豊かな地球環境を手渡す努力を惜しみません。
当社グループは上記の経営理念の下、食のSPA企業(製造・小売企業)として、当社グループを取り巻くステークホルダーの皆様のライフスタイルを豊かなものとすることを目指し、事業活動に取り組んでおりこれらの活動が居心地のよい楽しい社会の実現につながり、当社グループにおける株主価値及び企業価値向上につながると考えております。
(2) 経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標
当社グループは、当社グループの製商品及びサービスに対するお客様の支持の大きさが将来の企業価値向上につながると考えております。お客様のご支持をいただけているかどうかについては、当社グループの製商品及びサービスの提供に必要な営業費用を上回って獲得することができる利益の額によって判断しております。そのため、当社グループでは、営業利益及び売上高営業利益率を重要指標としております。
(3) 経営戦略等
当社グループの特徴は、当社グループをプラットフォームとして、多くのビジネスパートナーとともに商品開発、製造、販売を一気通貫で行う「食のSPA」を実現している点にあります。「食のSPA」を国内からグローバルへ拡大し、より一層の事業成長に取り組んでいく所存です。
当社が中長期で目指す姿は以下のとおりです。
国内事業
・ お客様のロイヤルティが高まり、ロイヤル顧客の数・売上構成比が向上している。
・ 国内の協力工場や商品生産者とデジタルサプライチェーンシステムで連携されており、生産状況の可視化と効率的な供給体制が実現されている。
・ 新業態「MeKEL(メケル)」が「サンクゼール」、「久世福商店」に続く国内事業における第3の柱として確 立されている。
グローバル事業
・ 米国において、プレミアム日本食ブランドとして独自のポジションを確立し、十分に認知されている。
・ アジア地域(台湾、韓国、中国、その他)において、プレミアム日本食ブランドとして独自のポジションを確立し、十分に認知されている。
・ M&Aにより複数のブランドを傘下に持ち、ブランドポートフォリオが構築されている。
上記で掲げた中長期で目指す姿を実現するために、2024年3月期において注力する成長戦略は以下のとおりです。
① 国内事業の成長戦略
a. 顧客ロイヤルティの向上
当社のブランドが長期持続的に成長できるためには、それぞれのブランドのファンであるお客様の数を増やしていくことが最も重要な戦略であると考えております。当社ブランドの商品やサービスをご利用いただくお客様に当社ブランドのファンになっていただくために、以下に掲げる事項に注力いたします。
イ.ブランドごとの顧客価値の提供
当社の国内事業においては、これまで「店舗(直営・FC)」、「EC」、「ホールセール」の販売チャネルごとのお客様に対して、それぞれのお客様のニーズに合わせた商品やサービスを提供することに取り組んでまいりました。今後は、後述の「MeKEL(メケル)」の立ち上げとともに、「サンクゼール」、「久世福商店」及び「MeKEL(メケル)」と3つの国内ブランドが存在することになりますが、それぞれのブランドの商品特性やご家庭でのご利用シーンなどは異なっており、お客様のニーズもブランドごとに異なっております。そのため、これまでのチャネル別の視点から、ブランドごとのお客様に対して最適な商品・サービスを最適なチャネルでお届けできるように、ブランド視点で顧客価値の最大化に努めてまいります。
ロ.Fan-Based Community Program(FBCプログラム)の充実化
当社は、2022年より、当社の会員アプリに登録されているお客様から企画にご賛同いただいたお客様を対象とするコミュニティプログラム「Fan-Based Community Program(FBCプログラム)」によるマーケティングに取り組んでおります。当該プログラムは、プログラムにご参加いただいた会員の皆様に対するインタビューやアンケートを通じて、お客様の当社商品・サービスに対するご意見や潜在的なニーズを把握し、実際の商品・サービスの改善につなげていく取り組みです。会員の皆様から直接フィードバックをいただくことで、マーケット・インの視点で新商品や売場改善のご提案を行うことができるため、プログラム会員の皆様だけでなく、当社ブランドの全てのお客様のブランドロイヤルティ向上につながると考えております。2024年3月期において、FBCプログラム会員を2,500人規模に拡大し(前期は約500人)、さらに幅広いお客様からのお声を集めて、商品・サービスの改善に取り組んでまいります。
ハ.その他の顧客ロイヤルティ向上施策
その他の顧客ロイヤルティを向上するための施策として、「店舗接客力の向上」や「会員データの収集」に取り組んでまいります。当社の自社店舗は、お客様が当社ブランドを体験いただくことのできる場所です。そこで得た体験が、そのお客様にとっての当社ブランドに対する印象、その後のロイヤルティにつながるため、店長及びパートナー(注)の育成を図り、店舗ごとの接客力のバラつきを抑えることに努めてまいります。また、お客様の日々の購買行動を分析し、より良い商品・サービスのご提案につなげるためには、多くの会員データを収集し、分析を行うことが重要と考えております。会員データの分析を通してお客様が何を求めているかを把握し、お客様が価値を感じていただける商品・サービスの開発に取り組んでまいります。
(注) 当社は、従業員を「パートナー」と表現しております。
b. 商品付加価値の向上
当社は、新たに「MeKEL(メケル)」が加わり、「サンクゼール」、「久世福商店」及び「MeKEL(メケル)」の3ブランドでの国内展開を進めてまいります。「サンクゼール」はジャム、パスタソース及びワインなどの洋食材を中心としたブランドであり、「久世福商店」は出汁(だし)やご飯のお供などの和食材を中心としたブランドです。新たに加わった「MeKEL(メケル」)は冷凍食品やアジア等の地域の食品を中心とするブランドであり、3つのブランドがそれぞれ異なるカテゴリーの食品を対象としております。全てのブランドの商品開発において共通するのは、お客様の声やニーズに基づき、お客様に価値を感じていただける商品を開発することです。今後は、新たな技術を取り入れたお客様にとって付加価値の高い商品を開発するために、当社グループ内に商品開発ラボを設置し、商品開発業務を強化いたします。商品開発ラボの機能で「食のSPA」をさらに強化し、お客様がワクワクする魅力的な商品を開発できるように取り組んでまいります。
c. 生産・供給能力の拡大
付加価値の高い商品を開発し、お客様のロイヤルティを向上させていくことに伴う需要の高まりに対応できる供給力を確保することは、「食のSPA」を強化していく上で重要な要素の1つであります。現在、当社グループは、国内においては、長野県上水内郡飯綱町の自社工場と15社の協力工場を通して自社製品の製造を行っております。今後は、自社工場設備への投資による既存工場の生産能力の拡大、又は、食品工場の買収により、グループ全体の製造能力の拡大を図ってまいります。また、15社の協力工場に関しては、当社が開発した生産管理プラットフォームシステムを通じて、各商品の直近販売実績や在庫状況から素早く所要量を計算し、各協力工場の生産状況を踏まえた効率的な生産指示を行う体制づくりを進めております。自社工場の生産能力の向上と、デジタル化による生産性の向上により、高まる需要に対して十分な供給力を確保できるように取り組んでまいります。
d. 新業態店舗の拡大
「サンクゼール」、「久世福商店」に次ぐ新業態ブランドとして「MeKEL(メケル)」を立ち上げ、第1号店となる直営店を長野県長野市内に出店いたします。「MeKEL(メケル)」は、冷凍食品とアジア等の地域の食品を中心とする自社店舗を展開する小売事業であり、郊外型のアウトレットを中心に展開している「サンクゼール」及び地方のショッピングモールを中心に展開している「久世福商店」と異なり、地方都市のロードサイドを中心に店舗展開を行います。「MeKEL(メケル)」は、「サンクゼール」及び「久世福商店」と比べ低い価格帯で、より日常使いにフォーカスしたブランドであり、主なターゲットは、増加傾向にある共働き世帯やシニア世帯のお客様を想定しております。
そのほか、主な特徴は以下のとおりです。
イ.調理が簡便かつおいしい冷凍食品
共働き世帯のお客様は、仕事と家庭を両立する中で、忙しくて料理をする時間がない、といったお悩みを抱えていらっしゃいます。「MeKEL(メケル)」は、冷凍商品を数多く取り揃えることで調理が簡便かつおいしい食品を提供し、お客様のお悩みにお応えいたします。
ロ.アジア等の地域の海外食品
近年、韓国、タイ、ベトナムといったアジア等の地域の料理に対するニーズが高まっております。しかし、地方に住むお客様は、都心に住むお客様と比べると地方にこれらの料理を提供するレストランや食料品店の数が少なく、これらの地域の本格的な料理を食べたいと思ったときにアクセスしにくい環境にあります。「MeKEL(メケル)」は、海外現地の協力者を通じた直輸入や、当社の強みである食のSPAのノウハウを活かしたオリジナルレシピでの商品開発を行うことで、お客様のニーズにお応えいたします。
ハ.既存ブランドのサプライヤーネットワークを活かした商品調達
当社は長野県に本社を構えておりますが、都心と比べ、地方には食の専門店が少なく、加工食品に関して選択肢が少ない傾向にあることを感じております。当社は、「サンクゼール」及び「久世福商店」等の既存ブランドを通して築いた各地500社を超えるサプライヤーネットワークを有しており、「MeKEL(メケル)」においても、このサプライヤーネットワークを活かし、魅力的な冷凍食品や加工食品の商品ラインナップを実現し、地方に住むお客様のニーズにお応えいたします。
当社は「MeKEL(メケル)」を通して、お客様の日常の食におけるお悩みを解決すると共に、地方においても本格的な食を発見できる喜びや、ワクワク感のある楽しいお買い物体験の提供により「愛と喜びのある食卓」を実現してまいります。
② グローバル事業の成長戦略
a. 米国
グローバル事業における主力市場である米国は、今後も高い成長性が期待できる市場であります。2017年の米国進出以降、食品スーパーマーケットを始めとする小売店への直接販売を基本方針に据えて、グローバル展開用ブランドである「Kuze Fuku & Sons」のブランド認知の拡大と小売店からのフィードバックに基づく商品開発・改良に取り組んでまいりました。今後は、これまでに獲得したブランド認知や小売店での販売実績による信用力を基に、米国で次のステージへ進むべく、以下の方針により販売網の拡大に取り組んでまいります。
イ.ミドル~ハイエンドスーパーへの棚什器設置(Kuze Fuku Pro戦略)
米国における当社グループのターゲット顧客は、ミドルからハイエンドの価格帯の食品スーパーマーケットです。これらの価格帯のスーパーマーケットに来店されるお客様は、価格よりも質の高い商品をお求めになる傾向があり、当社グループの商品とも相性が良く、当社ブランド商品の主要な顧客層となっております。当該店舗においては、食品カテゴリーごとの棚の中に他社商品に並んで単品商品を陳列するよりも、同一ブランドの複数の商品を統一した世界観の中で販売していくことで、よりブランド認知の向上につながります。そこで、当社グループは、「Kuze Fuku & Sons」オリジナルの棚什器、又は、当社ブランド陳列用の一定のスペースの棚とともに20~30SKUの商品を陳列することでブランド認知の向上と販売促進を図る施策、通称「Kuze Fuku Pro」という施策を展開しております(注)。現在ターゲットとするのは、米国北西部や北東部に数店舗から30店舗程度のチェーン店を展開するミドルからハイエンドスーパーであり、2023年4月末時点でKuze Fuku Pro戦略を展開する店舗数は43店舗となっております。
(注) 当社オリジナルの棚什器を導入せずに、顧客店舗で一定のスペースの棚を確保し、同様の展開を行う場合も含みます。
ロ.ブローカーネットワークを利用した販売拡大
当社グループは、前述のとおり、食品スーパーマーケットを始めとする小売店への直接販売を基本方針に据えて、グローバル展開用ブランドである「Kuze Fuku & Sons」のブランド認知の拡大と小売店からのフィードバックに基づく商品開発・改良に取り組んでまいりました。これまでに培った米国市場での「Kuze Fuku & Sons」ブランドに対する信用力を基に、今後は米国内での販路獲得を加速するべく、米国食品流通において小売店との仲介をする役割を担うブローカーを活用した販路開拓に取り組んでまいります。
ハ. 業務用市場への参入
米国のレストラン・カフェ市場は、コロナ禍で一時的に縮小したものの、依然として巨大な市場であり、かつ、今後の継続的な成長が見込まれる市場です。当該市場に対して、当社グループの高品質・高付加価値の商品を業務用商品として展開することで、業務用市場への参入が可能になると考えております。業務用市場向けの第1号商品として「ゆずカクテルシロップ(Yuzu Cocktail Syrup)」を開発し、レストラン・カフェに販売しております。今後も新たな業務用商品を開発し、業務用市場での成長を図ってまいります。
ニ. M&A実行によるブランドポートフォリオ強化
米国の各地域に存在する加工食品ブランド企業を買収し、米国におけるブランドポートフォリオの構築を進めてまいります。当社グループは、これまで米国において「Kuze Fuku & Sons」の自社ブランド商品を展開しており、プレミアム日本食ブランドの市場を主力としていましたが、それに加えて、既存ブランドの買収によって米国食品のメインカテゴリーに参入することが可能となります。買収によって各ブランドが持つ既存販路及び新規顧客の獲得に加え、当社グループの既存販路と組み合わせたクロスセリングを実現することができ、また、各ブランドの商品群を当社グループの米国工場で製造することにより、製造ボリュームの拡大によるコストダウンを図ることができる等、米国に商品開発機能、製造工場、販売拠点を持つ当社の強みを活かしたシナジーを得ることができると考えております。
b. アジア、その他
米国以外にも、台湾を含むアジア地域は足元で大きく成長しており、今後も高い事業成長が期待できる地域です。それ以外の地域では、2023年3月期に新たにオーストラリアの顧客への販売が開始されており、今後はカナダの顧客との取引の開始も予定しております。これら北米、アジア、オセアニア地域をグローバル展開で注力するエリアに位置づけ、それぞれの地域において高い成長性を維持できるように取り組んでまいります。
③ ESGポリシー
当社グループは、企業の成長と社会の持続性を同時に実現するためにサステナブル経営の推進に取り組んでおります。そのために、当社グループはサステナビリティに関する7つの重点項目を設定し、それぞれの項目に従い、社会や地球環境の持続可能性につながる活動を行っております。
2024年3月期においては、特に以下の分野に注力いたします。
a. 気候変動対策
当社グループの事業活動に係る温暖化ガスの排出量の削減に取り組んでまいります。2030年までにScope1+2の50%削減を達成することを目標に掲げており、Scope3に関しても、高い精度で測定できる体制を早期に構築し、ホットスポットの特定と削減に向けたアクションの策定に取り組んでまいります。
b. 人的資本
企業を構成する資本の中でも最も重要な人的資本に対する投資を拡充いたします。賃金向上による平均年収の向上に加え、当社では従業員の7割強を占める女性従業員が活躍できる環境を整備してまいります。なお、2030年までに女性管理職比率を30%とすることを目標に掲げております。
c. 森林保護
当社信濃町センター(長野県上水内郡信濃町)のオフィスは森林に四方を囲まれた自然豊かなオフィスです。これらの森林は、人間の手が入らないと荒廃していってしまいます。森林の荒廃を防ぎ、また、森林と地域住民との共生を図るために、信濃町センターの森(通称「サンクゼールの森」)を保護及び活用するためのプロジェクトを開始いたしました。当該プロジェクトを通じて、豊かな自然との共生を実現できるように取り組んでまいります。
d. 食品ロス対策
全世界で食品ロス及び廃棄からの温室効果ガス(GHG)排出量は、人為起源総排出量の8-10%に及ぶといわれます(出所:IPCC「土地関係特別報告書」の概要, 2020年, 環境省)。日本国内における食品ロス量は年々減ってきているものの522万トン発生しており、そのうち食品関連事業者から発生する事業系食品ロス量は275万トンになります(出所:日本の食品ロスの状況(令和2年度), 2022年, 農林水産省)。当社グループは、食品関連事業者として食品ロスに関する現状を改善するために、当社グループの事業から発生する食品ロスの削減に取り組んでおり、2030年までに2021年比で50%削減することを目標に掲げております。
e. 格差のない平等な社会の実現
当社グループは、格差のない平等な社会の実現に向けた活動として、当社グループの事業活動で得られた資金の一部を、NPO法人「ムワンガザ・ファンデーション」を通じてタンザニアのNGO・SWACCO(ソンゲア女性と子どもの支援団体)へ寄付する活動を継続して行っております。SWACCOが運営する施設では現在、病気で両親を失った孤児、シングルマザーの母子ら約60名が生活しています。当施設の運営に必要な資金を確保し、タンザニアの子どもたちが未来に向かって歩みを続けられるよう、今後も支援活動に取り組んでまいります。
(4) 経営環境
食品製造及び食品小売業界においては、資源価格や原料価格の高騰及び急激な円安等の影響により食品メーカーである企業の費用負担が増しており、当該影響を緩和するため、食料品の小売価格は値上がりを続け、その傾向は留まる気配がありません。当社グループの主力市場である日本及び米国においても、食料品価格の高騰が続いており、各国で低価格路線のスーパーマーケットの業績が好調に推移するなど、お客様の中には食料品への支出を抑制するような動きも見られております。しかし、そのような環境にあるからこそ、お客様はそれぞれの商品に対する価値を厳しく評価をされており、価格相応の価値が無いと評価とされた商品は当然にお客様の支持を失いますが、一方、価格に見合う価値があると評価をいただけた商品に関しては、たとえ高価であってもお客様の支持を得られていると考えております。例を挙げると、現在、コンビニエンスストアやスーパーマーケットで売場面積を拡大している冷凍食品は、現代の時短ニーズに対して高い付加価値を提供している商品といえます。また、食を通じた健康に対する意欲の高いお客様には、添加物を抑制した商品などがお客様のニーズに対して価値のある商品になると考えられます。このように、個々のお客様が持つニーズを正確に把握し、それぞれのニーズを満たす価値のある商品を適切な価格で提供していくことが、これまで以上に重要になっていると考えております。
また、2020年以降の新型コロナウイルス感染症の感染拡大により、お客様の購買行動やニーズは大きく変化し、リアル店舗からECへの移行が急速に進み、EC化が遅れていた食品に関しても、日常的にECで購入されるようになっております。食品のEC化率は、今後もさらに上昇していくと考えられますが、一方で、新型コロナウイルス感染症の感染状況が落ち着き、経済活動の正常化に伴い、ECからリアル店舗へ戻るお客様の流れも一定数出てくることが予想されます。今後は、リアル店舗とECの各チャネルが持つ強みを活かし、相乗効果を持つ形でお客様へ提供する価値を向上させていくことが重要になると考えております。
お客様の食に対するニーズは多様化しており、よりおいしく、より高品質な、お客様にとっての付加価値が高い食品を求めるようになっております。コロナ禍において、親戚や友人と対面する機会が大幅に制限されたことで、直接会うことができない代わりにギフトを贈る習慣も一般的なものとなり、自分が食べて「おいしい」と感じたものを大切な親戚や友人にも共有するような、日常の楽しみからギフトへ、という食品に関する新たな流れもできていると考えております。
このように、食品に関するトレンドは大きく変化しており、この変化を機会と捉えて、当社グループの事業の特徴である食のSPAをより一層高度化し、お客様のニーズに適した商品を素早く開発、提供していくことに努めてまいります。
(5) 優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題
当社グループの対処すべき主な課題は以下のとおりです。
① ブランド力の向上
当社グループの更なる事業拡大と中長期的な成長を実現するためには、ブランド力を向上し続けることが必要不可欠と考えております。当社グループは製商品及び店舗ブランドの「サンクゼール」及び「久世福商店」、海外展開ブランドの「Kuze Fuku & Sons」、ECプラットフォームサービスの「旅する久世福e商店」、さらに今後立ち上げ予定の「MeKEL(メケル)」という複数のブランドを有しております。各ブランドの強みを活かし、ブランドごとに異なるお客様に最大限の価値を提供できるように、グループ全体でさらなるブランド力の向上に取り組んでまいります。
② 成長を支える人材の確保
当社グループは、製商品開発、製造、調達、販売の全ての機能を一気通貫で手掛ける食のSPAモデルを展開しております。この食のSPAモデルを支えるためには、多様な人材が密に連携し合う組織体制を構築する必要があります。また、当社グループは、過去から新規ブランド、新規事業の立ち上げを通じて、不連続な成長を実現してまいりました。外部環境が変化するスピードが速く、将来の不確実性が高い現在においては、環境変化に対応し不連続な成長の実現を支える人材を確保することが必要です。当社グループの成長を支える多様な人材を確保し、それぞれの人材が働きがいを感じて能力を最大限発揮できるよう、人材採用や教育の強化、オフィス環境の整備や人事制度の改定等、健康経営の促進に積極的に取り組んでまいります。
③ マーケティングの強化
当社グループは前述のとおり、「サンクゼール」、「久世福商店」、「Kuze Fuku & Sons」及び「旅する久世福e商店」というブランドを有しており、今後さらに「MeKEL(メケル)」ブランドの立ち上げを計画しております。各ブランドのお客様は、それぞれ異なる特徴を有しており、そのニーズも多岐にわたることから、ブランドごとに最適なマーケティング施策を実行していくことが必要になります。当該課題に対処するために、当社グループはブランドごとにビジネスユニット作り、それぞれのビジネスユニットにおいてマーケティング機能を持つ組織体制を採用しております。各ブランドのお客様に対する提供価値を最大化させるため、全てのビジネスユニットで継続的にマーケティング機能を強化してまいります。
④ 商品開発力の向上
ブランドや商品価値の陳腐化を防ぎ、常にお客様の支持をいただける独自性の高い製商品を開発し続けるために、製商品開発力の更なる向上が必要であると考えております。そのために、製商品開発部門の体制強化や人材育成、新製商品の研究開発を目的とした商品開発ラボの設置を進めるとともに、地方の食品メーカーとの友好な関係を構築してまいります。
⑤ 新規出店のための優良物件の確保
当社グループの事業拡大のためには、毎年一定数を新規出店することが必要であると考えております。新規出店する店舗の収益性を高められるように、競争力の高い優良物件を確保していくことができるよう、努めてまいります。
⑥ 新規事業開発やM&Aに関わる人材やノウハウの充実化
既存事業の成長だけでなく、継続的に不連続な成長を実現させていくためには、新規事業開発やM&Aが重要な戦略ととらえております。新規事業やM&Aの可能性を見つけるための探索とその後の実行の各フェーズを支える人材やノウハウの充実化に取り組んでまいります。
⑦ 生産性の向上とDX(注)
当社グループが持つ多種多様な顧客に提供する価値を最大化しながら、従業員一人一人の事務処理負担を軽減するためには、グループ全体で継続的に生産性を向上させていく必要があります。また、DXを推進するためのテクノロジーは日々進化しており、食のSPAにおけるお客様価値の最大化に資すると考えられるテクノロジーに関しては、適時、取り入れていくことが必要です。これまで食のSPAを支えるITインフラを整備してきた知見を活かして、グループ全体でDXを含む業務の見直しを継続的に実行し、人とITシステムを最適な形で配置し、生産性を最大限向上することに取り組んでまいります。
(注) DXはDigital Transformation(デジタルトランスフォーメーション)の略称であり、企業がビジネス環境の激しい変化に対応して、データとデジタル技術を活用して、顧客や社会のニーズをもとに、製品やサービス、ビジネスモデルを変革するとともに、業務そのものや、組織、プロセス、企業文化・風土を変革し、競争上の優位性を確立することであります。
⑧ グローバルサプライチェーンの進展
昨今の資源価格の上昇や物流コストの上昇は、当社グループの成長を阻害する要因であり、対処すべき課題であると考えております。当社グループが日米に有する各工場の生産力を最大限活用し、原料の国際調達を通じた製造コストの低減を図るとともに、米国を始めグローバルに商品を流通させていくために、調達と販売の両面において、グローバルサプライチェーンの更なる進展を図ってまいります。
⑨ 気候変動対策を含むサステナビリティに関する取り組みの推進
当社グループがコーポレートスローガンに掲げている「愛と喜びのある食卓」を多くの家庭で実現し、長期持続的なものとするためには、当社の事業戦略の中にサステナビリティ戦略がしっかりと組み込まれ、「社会の持続可能性」と「企業の持続的な成長」が同じ目線で追求されている状態をつくり、強力に推進していくことが必要になります。その中でも、食品業界における気候変動による影響は、主に原材料の調達等で深刻な影響を与える可能性があることから、気候変動の原因となる温室効果ガス(GHG)の排出量を抑制するために、当社グループのサプライチェーン全体のカーボンニュートラルの実現に向けて取り組んでまいります。また、食品業界におきましては、食品ロスやプラスチックごみなどの環境問題に適切に対処していくことが必要不可欠であると考えており、当社グループにおきましても、これらの環境問題の解決に向けた具体的な取組みを計画し、実行してまいります。
⑩ 内部管理体制の強化
当社グループの成長のためには、それを阻害するリスク要因を漏れなく把握し、各リスクへ適切に対処することが必要不可欠となります。当社グループといたしましては、個人情報管理や法規制への対応などのコンプライアンス体制の強化を含め、継続的に内部管理体制の強化に取り組んでまいります。
本書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、経営者が当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に重要な影響を与える可能性があると認識している主要なリスクは、以下のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、提出日現在において当社グループが判断したものであり、将来において発生の可能性があるすべてのリスクを網羅するものではありません。
(顕在化可能性:中 / 顕在化する時期:中長期 / 影響度:中)
当社グループが営む食のSPAは、商品開発、調達、製造及び販売に至るまで、サプライチェーンが多岐に及んでおります。当該サプライチェーンは、気候変動が進むことにより、従来と同様の方法で原材料や商品の調達が困難になる、お客様の趣向が変化して環境に対する負荷が小さい商品を好むようになる、といった事業環境の変化による影響を受ける可能性があります。また、事業の拡大とともに事業を通して発生する食品ロスが増加することになると、環境に与える負荷が増加するとともにお客様の当社ブランドに対するイメージが悪化する可能性があります。
当該リスクに対応するため、当社グループはサステナビリティに関する重要課題を設定し、当該重要課題に対する取り組みを行っております。
当該取り組みの内容は、「第2 事業の状況 2 サステナビリティに関する考え方及び取組」に記載しております。
(顕在化可能性:低 / 顕在化する時期:特定時期なし / 影響度:中)
当社グループは、国内における食品製造販売事業を主たる事業としております。日本の景気変動や政治情勢の変化により、当社グループの営む事業に影響を与える事象が発生した場合には、当社グループの業績及び財政状態に悪影響を与える可能性があります。
当該リスクに対応するため、当社グループは国内で複数のブランドや販売チャネルを通して事業を展開していくとともに、海外を成長領域の一つに位置づけ、グローバルの売上を伸ばすために必要な投資を継続的に実行してまいります。
(3) 業界環境、市場規模について
(顕在化可能性:低 / 顕在化する時期:特定時期なし / 影響度:中)
食品は人間にとって必須のものであることから販売チャネルが変わることがあってもなくなることはない環境です。しかしながら、消費者のニーズや生活スタイルの変化により、好まれる食品のタイプが変わるリスクが存在します。当社グループが環境の変化に機敏に対応できず、消費者のニーズを取り込むことができない場合、業績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。
当該リスクに対応するため、当社グループは、店舗やECでの販売動向や会員アプリを通じた顧客データの分析、その他マーケティングに必要な投資を継続的に実行し、消費者のニーズを把握できる体制の強化に努めてまいります。
(顕在化可能性:低 / 顕在化する時期:特定時期なし / 影響度:大)
食品の品質に対する消費者の要求は一段と高まっております。当社グループにおきましても「食の安全性」の確保を経営の最重要課題の一つと位置付けており、品質方針及び品質目標を掲げるとともに、品質保証部門を中心とした品質マネジメントシステムの構築・運用を通じて、製品の安全性と品質の確保に万全を期しております。しかしながら、当社グループの努力にも関わらず、偶発的な事象も含めて製品の品質を低下させる事象が発生する可能性があります。さらに当該事象の発生は、当社グループにおいて発生するのみならず、商品の仕入先や当社ブランド製品の製造委託先においても発生する可能性があります。これにより、多額の損害賠償金の負担やブランドイメージ低下による売上の減少など、当社グループの業績及び財政状態に悪影響を与える可能性があります。
当該リスクに対応するため、当社グループは、外注先工場を定期的に訪問し品質管理体制の確認また研修会を行うとともに、品質に関する重要な問題が発生した場合には、案件の規模に応じて、取締役会、経営会議及びリスク&コンプライアンスマネジメント委員会に報告し、リスクマネジメントに努めております。
(顕在化可能性:中 / 顕在化する時期:特定時期なし / 影響度:中)
当社グループは、食品製造販売事業を主たる事業としております。天候不順等により当社グループが取り扱う製商品の原材料である食材が不作となり、原材料の調達が困難となった場合、当社グループにおける商品の仕入量又は製品の生産量が減少し、業績及び財政状態に悪影響を与える可能性があります。
当該リスクに対応するため、当社グループは、今後、主力製商品の一部を当社グループの日本と米国の双方で製造できる体制を整えてまいります。また、万が一、特定の製商品の原材料の調達が困難となった場合に備えて、当該製商品の代替商品を同一製商品カテゴリーに加えるなど、製商品カテゴリーごとの商品点数を拡充することにより、リスク分散を図っております。
(顕在化可能性:低 / 顕在化する時期:特定時期なし / 影響度:大)
当社グループは長野県上水内郡飯綱町及び同信濃町に本社機能を有するとともに、全国各地に「サンクゼール」及び「久世福商店」の2つのブランドの店舗を展開しており、2023年3月末時点で合計158店舗(直営51店舗、FC107店舗)が存在しております。自然災害や新型インフルエンザ等の感染症の発生等、当社グループの予測できない事象が発生した場合、本社機能の停止、店舗の損壊及び原材料調達の阻害等の影響を招く可能性があります。
また、自社製造工場がある長野県上水内郡飯綱町及び同信濃町は、冬場の積雪量が多い地域であり、予想の範囲を超えた積雪によってやむをえず工場の稼働停止を行う必要が生じた場合には、製品の生産量の減少を招く可能性があります。
新型コロナウイルス感染症のような感染症の拡大が発生した場合、食品製造販売事業を営む当社グループでは原材料調達の遅延や生産活動の停滞等のリスク、感染拡大防止のための店舗休業等を含めた営業制限が懸念されますが、当社グループはグループ食品メーカーとして安定的な生産・供給に向けて取り組んでおります。
当該リスクに対応するため、当社グループは、多くの製商品を米国子会社及び各地500社を超えるサプライヤーネットワークから調達し、それを全国各地に点在する店舗、EC、ホールセール及びグローバルの複数の販売チャネルを通じて販売しており、特定の地域に過度に依存することのないサプライチェーンを構築しております。
(顕在化可能性:低 / 顕在化する時期:特定時期なし / 影響度:大)
当社グループでは、店舗運営を含む事業運営全般を当社グループ独自の基幹システムで運用・管理しており、情報システムに大きく依存しております。データ消失などのリスクに対しては適切なバックアップ体制を構築し、不正アクセスなどの外部からの攻撃に対しても適切な対抗策を講じております。しかしながら、万が一、システムダウンや不正アクセスによるデータの改ざん等が発生した場合には、事業運営の阻害や社会的信用の失墜を招くことになり、業績及び財政状態に悪影響を与える可能性があります。
当該リスクに対応するため、当社グループは、以下の3点に取り組んでおります。
1つ目は「稼働しているシステムのセキュリティ強化」です。基本的にすべてのシステムでユーザー認証を求めるとともに、攻撃を受けやすいECサイトなどは、外部専門機関による脆弱性診断を受け、サイバー攻撃に耐えられるか確認をしております。2つ目は「全従業員を対象としたセキュリティ教育の強化」です。セキュリティポリシーや個人情報の管理規程を整備し、それを基にしたセキュリティ教育を研修として実施しています。他社で発生した事例などを盛り込み、常に最新の危機意識を持って行動できるように指導しております。3つ目は「セキュリティ強化への投資」です。外部機関による脆弱性診断を始め、セキュリティ対策や強化に必要な投資を行っております。
(顕在化可能性:低 / 顕在化する時期:特定時期なし / 影響度:大)
当社グループでは、お客様、及び従業員の個人情報を収集・保管しており、個人情報漏洩のリスクに関しては適切な個人情報保護方針に従い適切な管理を徹底しております。しかしながら、万が一、これらの個人情報が社外に流出した場合には、多額の損害賠償金や当社グループの社会的信用の失墜による売上高の減少を招くことになり、業績及び財政状態に悪影響を与える可能性があります。
当該リスクに対応するため、当社グループは、2023年6月にプライバシーマークを取得、個人情報保護に関する社内体制の継続的な強化を図っております。
(顕在化可能性:低 / 顕在化する時期:特定時期なし / 影響度:大)
当社グループは事業遂行にあたり、食品衛生法、景品表示法、食品表示法、消費者安全法、労働基準法等の法的規制の適用を受けております。当社グループにおきましては、これらの法的規制の適用に当たり、法務主管部門である総務法務人事課が関連部門と連携して法令改正にも適宜対応し、関連法規の遵守を徹底しております。しかしながら、万が一、これら法的規制に違反する事象が発生した場合には、多額の損害賠償、行政処分並びに社会的信用の失墜を招き、業績及び財政状態に悪影響を与える可能性があります。また、原材料の表示においてアレルゲンの表示については特に注意を払っておりますが、記載漏れなどが発生した場合には、人的被害を及ぼす可能性があります。
当該リスクに対応するため、当社グループは、法務主管部門やその他の関連部門が顧問弁護士及び顧問弁理士と適時にコミュニケーションを図るとともに、必要に応じて社内勉強会を開催するなど、法的規制等の遵守に努めてまいります。
(10) 原料、製商品の仕入先、卸販売先との関係悪化や依存リスク
(顕在化可能性:低 / 顕在化する時期:特定時期なし / 影響度:大)
現在、当社グループは、原料及び製商品の仕入先、並びに卸販売先の各企業と良好な関係を構築しており、それら取引先数も着実に増加しております。しかし、今後もお取引を継続できる保証はなく、当初の計画とおりに原料や製商品が調達できない場合には、当社の業績及び財政状態に悪影響を与える可能性があります。また、原料メーカー、製商品の仕入先、及び卸販売先との間にトラブル等が発生した場合には、訴訟の提起等により、当社グループの業績及び財政状態に悪影響を与える可能性があります。
当該リスクに対応するため、当社グループは、今後も取引先各社と良好な関係を維持できるように十分なコミュニケーションを図っていき、双方Win-Winの関係を実現することに努めてまいります。
(顕在化可能性:低 / 顕在化する時期:特定時期なし / 影響度:大)
当社グループが属する食品流通業界には多くの競合企業が存在しており、競争関係はますます熾烈化しております。他社が当社グループと差別化した商品や出店戦略を展開し、当社グループの競争優位性が低下した場合には、業績及び財政状態に悪影響を与える可能性があります。
当該リスクに対応するため、当社グループは、店舗やECでの販売動向や会員アプリを通じた顧客データの分析、その他マーケティングに必要な投資を継続的に実行し、消費者のニーズを把握できる体制を強化していくことで、同業他社と差別化した商品やサービスの提供に努めてまいります。
(顕在化可能性:中 / 顕在化する時期:特定時期なし / 影響度:中)
当社グループでは、日本及び米国子会社の自社工場において製品の原材料である食材を調達しており、また日本国内において当社ブランド製品の製造委託先や商品の仕入先から製商品の仕入を行っております。天候不順、自然災害に加えて、仕入先における何らかの事情によりこれら原材料や製商品の調達が困難な状況が生じ、原材料や商品の市場価格が高騰する状況が生じた場合には、当社グループの業績及び財政状態に悪影響を与える可能性があります。
当該リスクに対応するため、当社グループは、多くの製商品を米国子会社及び全国各地500社を超えるサプライヤーネットワークから調達しており、特定の地域や特定の商品に過度に依存することのないサプライチェーンを構築しております。
(顕在化可能性:中 / 顕在化する時期:特定時期なし / 影響度:中)
当社グループは、国内物流業者の協力のもと、全国各地の店舗へ製商品を効率的に配送するための物流体制を構築しております。しかし、大規模災害等により物流配送網に支障が生じる場合には、店舗への製商品供給不足により当社グループの業績及び財政状態に悪影響を与える可能性があります。また、近年のインターネット通販の普及と配送ドライバーの人手不足等により、物流費用は上昇傾向にあります。今後、当社グループの予想する範囲を超えて物流費用が上昇する状況が生じた場合には、当社グループの業績及び財政状態に悪影響を与える可能性があります。
当該リスクに対応するため、当社グループは、多くの製商品を米国子会社及び全国各地500社を超えるサプライヤーネットワークから調達しており、また、複数の外部倉庫や運送会社と契約することで、物流網及び物流費用に関するリスクの分散化を図っております。
(顕在化可能性:低 / 顕在化する時期:特定時期なし / 影響度:中)
当社グループが属する食品流通業界におきましては、消費者の嗜好や流行の変化に影響を受けます。当社グループにおきましては、「サンクゼール」、「久世福商店」及び「Kuze Fuku & Sons」の3つの商品ブランドを通じて、1,500品目を超える製商品を販売しております。当社グループはお客様のニーズや時代変化に対応すべく国内外のマーケットより情報収集に努め、製商品の企画及び商品開発に注力しております。しかしながら、お客様の嗜好や食品マーケットトレンドが短期的かつ急激に変化する傾向にもあるため、当社グループが販売する製商品とお客様のニーズとの乖離が大きくなった場合には、当社グループの業績及び財政状態に悪影響を与える可能性があります。
当該リスクに対応するため、当社グループは、店舗やECでの販売動向や会員アプリを通じた顧客データの分析、その他マーケティングに必要な投資を継続的に実行し、消費者のニーズを把握できる体制を強化していくことで、お客様が求める製商品やサービスの提供につとめてまいります。
(顕在化可能性:低 / 顕在化する時期:特定時期なし / 影響度:中)
当社グループは、「サンクゼール」、「久世福商店」及び「Kuze Fuku & Sons」の3つのブランドにつきまして、原則、商標登録を行っており、各ブランドの製商品開発において、商標登録を行ったロゴ等をラベルやパッケージのデザインに使用しております。当社が保有する商標について、第三者の商標権等を侵害している事実はありませんが、商品のデザインを含めて、第三者の商標権等を侵害していると認定された場合には、損害賠償やブランドイメージの低下によって、当社グループの業績及び財政状態に悪影響を与える可能性があります。
また、当社グループは、第三者が当社のブランドロゴやデザインを模した商品が販売されている事例等がないかどうか、日常的に情報収集を行っておりますが、これらの商品等が市場に出回ることにより、当社の知的財産権の管理が十分に機能しない場合には、当社グループの業績及び財政状態に悪影響を与える可能性があります。
当該リスクに対応するため、当社グループは、法務主管部門やその他の関連部門が顧問弁理士と適時にコミュニケーションを図り、知的財産権の侵害の防止につとめてまいります。また、第三者による当社のブランドロゴやデザインを模した商品等が発見された場合には、法務主管部門やその他の関連部門が当社顧問弁理士とともに当該第三者と協議を行い、適切な措置を講じてまいります。
(顕在化可能性:低 / 顕在化する時期:特定時期なし / 影響度:大)
当社グループは事業を遂行するにあたり、各種法令、諸規則を遵守しております。また、第三者の知的財産権を侵害することのないように細心の注意をはらっており、現時点で当社グループの業績及び財政状態に重大な影響を及ぼす係争中の案件はありません。しかしながら、万が一、商標権の侵害等の訴訟が提起された場合には、その結果により、当社グループの業績及び財政状態に悪影響を与える可能性があります。
当該リスクに対応するため、当社グループは、法務主管部門やその他の関連部門が顧問弁護士及び顧問弁理士と適時にコミュニケーションを図るとともに、必要に応じて社内勉強会を開催するなど、法的規制等の遵守に努め、訴訟への発展を未然に防止できるように努めてまいります。
(顕在化可能性:低 / 顕在化する時期:特定時期なし / 影響度:中)
米国子会社であるSt.Cousair,Inc.では、日本向け製品の製造を行うとともに米国向け製品の製造・販売を行っております。米国の政治・経済・社会・法規制といったカントリーリスクによって、米国からの製品輸入や米国向けの販売が困難となった場合には、当社グループの業績及び財政状態に悪影響を与える可能性があります。
また、米国子会社からの製品輸入は米ドル建てで行うとともに、連結決算上は、米国子会社の決算数値を期中平均相場等の為替相場で換算しております。そのため、米ドル相場の急激な変動が当社グループの業績及び財政状態へ悪影響を与える場合があります。
当該リスクに対応するため、当社グループは、日々、米国を始めとする進出先国の政治・経済・社会・法規制等の情報収集を行い、事業に影響する事象の把握に努めております。また、一部の外貨建取引にかかる為替相場変動リスクに対しては、必要に応じて為替予約を行うなど、為替相場変動リスクの低減に努めております。
(顕在化可能性:低 / 顕在化する時期:特定時期なし / 影響度:低)
当社グループでは、「固定資産の減損に係る会計基準」を適用しております。当社グループは、直営店舗設備や本社設備などの様々な固定資産を保有しており、これらの固定資産に関して減損損失を認識する必要があると判断した場合には、多額の減損損失の計上により、業績及び財政状態に悪影響を与える可能性があります。
当該リスクに対応するため、当社グループは、ビジネスユニットごとに店舗別業績の動向を常に把握し、業績が悪化している店舗に関する原因分析と対策の早期立案・実行に努めております。
(顕在化可能性:低 / 顕在化する時期:特定時期なし / 影響度:中)
当社グループでは、M&A等を通じた成長可能性を積極的に検討しており、株式買収、事業買収、マイノリティ出資及び業務提携など様々な手法を通じて企業価値の向上を図ってまいります。2023年3月末時点においては、投資有価証券を172,186千円、過去に実施した買収に伴うのれんを102,459千円計上しております。M&A等に伴って取得した資産に関しては、M&A等の効果が当初想定した効果を下回った場合に、投資有価証券評価損やのれんの減損の計上により、業績及び財政状態に悪影響を与える可能性があります。
当該リスクに対応するため、当社グループは、投資先に対する助言や当社グループの経営資源の提供を通して、投資先の超過収益力の維持又は向上に努めてまいります。
(20) 新規事業について
(顕在化可能性:低 / 顕在化する時期:特定時期なし / 影響度:中)
当社グループは、中長期的な企業価値向上を目的として、継続して新規事業の可能性を検討しており、企業価値向上に資すると判断した場合には積極的に実行に移しております。これらの新規事業は、設備投資や人的資本投資など、多額の先行投資が必要になる可能性があります。また、事前に十分な検討を行った上で事業計画を策定し、経営会議や取締役会等における承認を経ておりますが、実際の業績が想定を下回った場合には、一時的に当社グループの業績及び財政状態に悪影響を与える可能性があります。
当該リスクに対応するため、当社グループは、事前段階においては、十分な情報収集を行った上で事業計画を策定するとともに、事後段階においては、新規事業に係る業績動向の分析を慎重に行ってまいります。
(顕在化可能性:低 / 顕在化する時期:特定時期なし / 影響度:低)
当社グループでは、将来減算一時差異等に対して、繰延税金資産を計上しております。繰延税金資産は、将来の課税所得に関する予測等に基づき回収可能性を検討して計上しておりますが、将来の課税所得が予測と異なり回収可能性の見直しが必要となった場合には、業績及び財政状態に悪影響を与える可能性があります。
当該リスクに対応するため、当社グループは、事業全体を通して収益性の向上を図っていき、将来の課税所得の蓋然性を高めてまいります。
(22) 棚卸資産の評価に関するリスク
(顕在化可能性:低 / 顕在化する時期:特定時期なし / 影響度:中)
当社グループの扱う製商品は加工食品が中心であり、多くの商品に賞味期限が設定されております。当社グループでは、賞味期限まで十分な期間を残してお客様に製商品を販売できるように、慎重に販売予測を行い商品の在庫管理を行っておりますが、賞味期限の到来が近い製商品が発生した場合においても、店頭での値引き販売やアウトレット店舗で通常価格よりも安価な価格にて販売することにより、食品ロスを最大限抑制できるように努めております。しかし、感染症の感染拡大により店舗の休業が余儀なくされる場合や需要予測を見誤った場合には、賞味期限内の販売が困難な製商品が発生し、当該製商品に対する棚卸資産評価損を計上することにより、当社グループの業績や財政状態に悪影響を与える可能性があります。
当該リスクに対応するため、当社グループは、ITによる自動化を含む需要予測や受発注プロセスの高度化を実現し、在庫管理の精度向上に努めてまいります。
(顕在化可能性:低 / 顕在化する時期:特定時期なし / 影響度:低)
当社グループでは、大部分の直営店舗が建物を賃借し、出店しております。賃借に際して差し入れる敷金及び差入保証金は、2023年3月末時点で305,695千円であります。賃借先は国内の大手不動産事業会社が中心であり、これらの賃借先に対しては当社グループで定めた与信管理規程に基づき与信判断を慎重に行っておりますが、万が一、賃借先の財政状態の悪化等の理由により敷金及び差入保証金の回収が困難となった場合には、業績及び財政状態に悪影響を与える可能性があります。
当該リスクに対応するため、当社グループは、与信管理規程に基づく与信判断の精度を向上し、リスクの低減に努めてまいります。
(顕在化可能性:低 / 顕在化する時期:特定時期なし / 影響度:中)
直営店舗による店舗展開を行う上では、優秀な店長人材の確保・育成が不可欠となりますが、適切な人材の確保・育成ができない場合又は優秀な店長人材が社外に流出した場合には、当社グループの業務運営や経営成績等に悪影響を与える可能性があります。
当該リスクに対応するため、当社グループは、経営理念や経営方針の伝達を通して、従業員一人一人が当社の目指す方向性を十分に理解できるように取り組んでおります。また、待遇面や福利厚生の充実化など、従業員が働きやすい環境の構築を進めております。これらの施策を通して、従業員一人一人の当社グループに対するエンゲージメントを高め、働きがいを感じながら、企業の成長と同時に従業員一人一人が成長を実感できるような組織を構築し、当該リスクの低減につなげてまいります。
(顕在化可能性:低 / 顕在化する時期:特定時期なし / 影響度:中)
当社グループにおいては、多店舗展開を行う上で多数のパートタイマーやアルバイト従業員を雇用しております。これらの人材が計画とおりに雇用できない場合、又は人口動態の変化により適正な労働力の確保が困難となった場合には、事業遂行を阻害する要因となり、業績及び財政状態に影響を与える可能性があります。また、これら有期契約従業員のうち、社会保険加入要件を満たす全ての従業員に社会保険への加入を義務付けております。今後社会保険制度の変更等により社会保険制度の適用対象の拡大や社会保険料の増額が生じた場合には、当社グループの業績及び財政状態に悪影響を与える可能性があります。
当該リスクに対応するため、当社グループは、直営だけでなく、FC、EC、ホールセール及びグローバルの販売チャネルを通じた事業を展開しており、直営店の運営に過度に依存することのない体制の構築に努めております。
(顕在化可能性:低 / 顕在化する時期:特定時期なし / 影響度:中)
当社グループは、高い集客力が見込める郊外の大規模ショッピングモールや都市部の主要駅周辺に出店しております。新規出店にあたっては、商圏人口、賃貸条件、収益性及び投資回収期間等を総合的に検討して決定しているため、これらの条件に合致する物件が見つからない場合には、当初計画とおりの出店が困難となり、業績及び財政状態に悪影響を与える可能性があります。また、当社グループの出店後に環境が変化した場合や、同業他社等から新規参入があった場合には、当初の計画とおりに店舗収益が確保できず、当社グループの業績及び財政状態に悪影響を与える可能性があります
加えて、当社グループの出店先商業施設は、特定の商業施設管理会社への依存度が高いため、これらの商業施設管理会社とのトラブル等が発生した場合、新規出店数の減少や既存店舗の契約解除等につながる可能性があり、当社グループの業績及び財政状態に悪影響を与える可能性があります。
当該リスクに対応するため、当社グループは、既存店の収益性を向上するとともに継続的に店舗の魅力を高めて、出店先商業施設の当社ブランド店舗に対する出店意欲を高く維持できるように努めてまいります。
(顕在化可能性:低 / 顕在化する時期:特定時期なし / 影響度:中)
当社グループでは直営店の営業展開のほか、FC展開の拡大を推進しております。当社グループはFC加盟店企業各社とパートナーシップ契約を締結しており、各FC店舗に対してサービスや衛生管理等の指導を行う義務が生じるとともに、当社グループはその対価としてロイヤリティ収入等を収受しております。
現在はFC加盟企業と良好な関係を構築しており、FC店舗数は着実に増加しております。しかし、今後も継続的にFC店舗を獲得できる保証はなく、当初計画とおりにFC店舗を獲得できない場合には、当社グループの業績及び財政状態に悪影響を与える可能性があります。また、FC加盟企業との間にトラブル等が発生した場合には、パートナーシップ契約の解除、訴訟の発生又は加盟店の法令違反、不祥事等により、当社グループの業績及び財政状態に悪影響を与える可能性があります。
当該リスクに対応するため、当社グループは、新たにFC加盟店企業となる企業に関しては、FC加盟店を運営するための能力や財務基盤を有しているかどうか、慎重に判断しております。また、既存のFC加盟店企業に関しては、今後もFC加盟店企業各社と良好な関係を維持できるように十分なコミュニケーションを図っていき、双方Win-Winの関係を実現することに努めてまいります。
(顕在化可能性:低 / 顕在化する時期:特定時期なし / 影響度:中)
当社グループが保有する商標等の不正利用やソーシャルメディアの急激な普及に伴うインターネット等への書き込みなどによる風評被害が発生・拡散した場合は、その内容の正確性にかかわらず、当社グループの事業、経営成績、財政状態、ブランドイメージ及び社会的信用に影響を及ぼす可能性があります。
また、当社グループの競合他社等に対する風評被害であっても、食品小売業界全体の社会的評価や評判が下落することにより、当社グループの事業、経営成績、財政状態、ブランドイメージ及び社会的信用にも影響を及ぼす可能性があります。
当該リスクに対応するため、当社グループは、ソーシャルメディアでの書き込みを定期的に分析し、当社グループに対する風評被害に発展するような書き込みの有無を検証しております。また、問題のある書き込みがあれば、必要に応じて経営会議やリスク&コンプライアンスマネジメント委員会において報告し、経営陣や幹部社員のインターネット等による風評被害のリスクに対する理解度を高めるように取り組んでおります。
(29) 特定人物への依存(会長、社長及び副社長の関係性等)について
(顕在化可能性:低 / 顕在化する時期:特定時期なし / 影響度:中)
当社の取締役会長(注)である久世良三は、当社の創業者であり、設立以来、事業を牽引し成長させてまいりました。また、代表取締役社長である久世良太は、当社グループ全体の経営方針や事業戦略の立案・決定及びその遂行において重要な役割を果たしております。加えて、代表取締役副社長(注)である久世直樹は、当社グローバル事業全般の事業戦略の立案・決定及びその遂行において重要な役割を果たしております。そのため、3名のうちいずれかが当社の業務を継続することが困難となった場合、業績及び財政状態に悪影響を与える可能性があります。
当該リスクに対応するため、当社グループは、取締役会、監査等委員会及び指名・報酬委員会等を通じて取締役間の相互の情報共有や経営体制の強化を図るとともに、ビジネスユニット組織を採用し、ビジネスユニット長への権限委譲を行うなど、取締役と経営幹部が一丸となって、特定の取締役に過度に依存しない経営管理体制の強化に努めております。
(注) 2023年6月27日開催の取締役会において、久世良三は取締役会長に、久世直樹は代表取締役副社長にそれぞれ就任しております。
(顕在化可能性:中 / 顕在化する時期:特定時期なし / 影響度:中)
当社は、株主に対する利益還元を重要な経営課題の一つとして認識しており、今後は経営成績及び財政状態等を総合的に勘案しながら、当社単体決算上の当期純利益の30%を目安に安定的かつ継続的な配当の実施を検討してまいります。しかし、重要な事業投資を行う場合やキャッシュ・フローが著しく悪化した場合においては、配当を行わない、又は配当を減額するといった判断を行う可能性があります。
(顕在化可能性:高 / 顕在化する時期:1~3年以内 / 影響度:中)
当社は、当社グループの役員及び従業員に対するインセンティブを目的とし、ストック・オプションを付与しております。これらのストック・オプションが権利行使された場合、当社株式が新たに発行され、既存の株主が有する株式の価値及び議決権所有割合が希薄化する可能性があります。2023年3月31日時点でこれらのストック・オプションによる潜在株式数は314,400株であり、発行済株式総数9,068,200株の3.5%に相当しております。
当社グループ(当社及び連結子会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。
① 財政状態の状況
(資産)
当連結会計年度の総資産は9,174,438千円となり、前連結会計年度末に比べ2,709,985千円増加いたしました。これは、2022年12月21日に東京証券取引所グロース市場へ上場したことに伴い、公募(ブックビルディング方式による募集)による新株式1,200,000株を発行したこと等の要因により現金及び預金が2,068,300千円増加したこと、売上高の増加により売掛金が319,524千円増加したこと等によるものであります。
(負債)
当連結会計年度末の負債合計は4,948,426千円となり、前連結会計年度末に比べ160,244千円減少いたしました。これは、借入返済により短期借入金が109,846千円、1年内返済含む長期借入金が353,934千円、それぞれ減少したこと等によるものであります。
(純資産)
当連結会計年度末の純資産合計は、前述の新株式の発行に伴い資本金が1,000,816千円、資本剰余金が1,000,787千円増加したことに加えて、親会社株主に帰属する当期純利益1,058,878千円の計上によって利益剰余金が791,478千円増加したこと等により、株主資本は前連結会計年度末に比べ2,793,082千円増加し、4,113,740千円となりました。また、為替相場が円安に推移した影響で、為替換算調整勘定は前連結会計年度末から87,392千円増加し、111,550千円となりました。以上の結果、純資産合計は、前連結会計年度末に比べ2,870,229千円増加し、4,226,011千円となり、自己資本比率は46.0%となりました。
② 経営成績の状況
当連結会計年度における我が国経済は、新型コロナウイルス感染症(以下、「コロナ」という。)による影響が落ち着き始めており、徐々に経済活動が正常化に向かう動きが見られました。しかし一方で、世界経済の混乱により、各国において資源価格や原料価格の高騰、物流の停滞等による物価高騰の影響が生じております。食品製造及び食品小売業界においては、資源価格や原料価格の高騰及び急激な円安に加えて、輸出入に係るサプライチェーンの混乱や人手不足による人件費の上昇等の影響が業界全体の収益性を押し下げる状況が続いています。そして、企業の費用負担上昇の影響は食品小売価格の値上げにつながっており、その傾向は留まる気配がありません。消費者の経済的負担の高まりによる消費低迷、ひいては日本全体の景気の悪化が懸念される状況にあり、依然として先行きが不透明な状況となっております。
当連結会計年度は、当社グループにおきましても、前述の資源価格や原料価格の高騰及び急激な円安等の影響を受けて、やむを得ず2022年9月、12月及び2023年3月に3度にわたって、商品の値上げを実施しており、一部の商品におきましては複数回の値上げを実施せざるを得ない状況も発生しました。心苦しい状況にはありますが、当社グループは、お客様にとって価格に見合う価値のある商品を提供することを第一と考え、引き続き、お客様のニーズに徹底的に耳を傾け、お客様が本当に欲しいと思っていただける商品の実現に取り組んでまいります。
サービス別の業績は、B to Cの販売チャネルである店舗(直営及びFC)につきましては、当社公式アプリ会員のデータから把握したお客様のニーズを商品開発・販売促進施策へとつなげていくことを継続的に実行し、既存店の収益性向上に努めてまいりました。当連結会計年度において、既存店客数は、コロナによる影響が落ち着き、旅行需要の回復など消費の動向が変化したことに加え、インフレの影響で食品支出を抑制しようとする動きが見られる中、軽微な減少にとどまりました。一方、既存店客単価につきましては、1購買当たり購入点数の増加、商品価格の値上げにより、前年同期を上回って推移した結果、既存店売上高は、前年同期を上回り、堅調に推移いたしました。なお、2022年12月の東京証券取引所グロース市場への上場や、上場前後に全国放送のテレビ番組で取り上げられたことが、お客様の当社ブランドに対する認知の向上につながりました。
新規出店につきましては、毎期10店舗程度の新規出店を目標に店舗数の安定拡大に努めており、2022年10月に
ふかや花園プレミアム・アウトレット(埼玉県深谷市)へ「サンクゼール」業態と「久世福商店」業態を各1店
舗ずつ同時出店するなど、当連結会計年度においては、直営とFCの合計で11店舗を新規出店いたしました。
(注) 当社グループでは、開店後18か月以上経過している店舗を「既存店」として客単価及び客数を集計しております。
その他の販売チャネルのうち、ECにつきましては、引き続きお客様からギフト用途として当社商品に対する高い支持をいただいており、当社公式ECサイトでメッセージカード添付機能を導入するなど、ギフト用途のさらなる利便性向上に努めました。また、2022年9月に久世福商店ブランドの商品が全国ネットのテレビ番組で取り上げられたことをきっかけとして、お客様の久世福商店ブランドの認知が高まり、その後のECサイトへのアクセス数の伸びにつながったことで、ECの売上高は前年同期比で伸長いたしました。B to Bの販売チャネルであるホールセールにつきましては、大手小売チェーンとの取引が継続して拡大しており、前連結会計年度の途中で採用された商品のその後の売上も堅調に推移していることから、前年同期比で売上高が伸長いたしました。グローバルにつきましては、米国及び台湾における大手小売チェーンに対する販売が伸びたことに加え、米国での新規顧客の開拓が進捗し、商品価格帯がミドル~ハイエンドの食品スーパーを中心に、複数の商品を当社オリジナルの棚什器とともに納品し、当社ブランドの世界観を表現した中で商品を販売する施策(当社において「Kuze Fuku Pro」と呼称。)が奏功し、新規顧客の開拓と既存顧客との取引拡大につながりました。この結果、前年同期比で売上高が伸長いたしました。
なお、当社グループのみならず、当社グループを取り巻く社会全体が長期的に持続可能なものになるように、当社グループが定めるサステナビリティ重点項目に従い、サステナビリティ経営に注力しております。サステナビリティ経営を推進する取り組みとして、2022年4月より当社飯綱本社(長野県上水内郡飯綱町)の食品製造工場及び関連施設において使用する電力の一部を、中部電力ミライズ株式会社が提供するCO2フリー電気「Greenでんき」へ切り替えました。また、2022年6月より国立大学法人信州大学の井田秀行教授の協力を得て、当社信濃町センター(長野県上水内郡信濃町)エリアの森を保護及び活性化することを目的としたプロジェクトを開始いたしました。これらの取り組みも含め、今後も持続可能で豊かな社会の実現のために、積極的に取り組んでまいります。
以上の結果、当連結会計年度における連結業績は、売上高は17,865,650千円(前期比26.1%増)となりました。営業損益は、売上高が増加したことに伴い、1,599,789千円の営業利益(前期比21.5%増)となりました。経常損益は、為替差益19,634千円及び当社子会社St. Cousair, Inc.において「給与保護プログラム(Paycheck Protection Program)」により返済免除を受けたことによる債務免除益37,073千円などの営業外収益88,446千円を計上した一方で、支払利息35,736千円などの営業外費用67,623千円を計上したことにより、1,620,612千円の経常利益(前期比22.5%増)となりました。親会社株主に帰属する当期純利益は、税金費用589,477千円を計上したことにより、1,058,878千円(前期比12.8%増)となりました。
出店政策に関しましては、当社グループでは、商圏人口、賃貸条件、ROIC等の指標を総合的に勘案し、新規出店を行っております。当連結会計年度におきましては、「サンクゼール」業態で1店舗、「久世福商店」業態で10店舗を新規出店いたしました。また、「久世福商店」業態の1店舗をFC加盟店から直営店へ、5店舗を直営店からFC加盟店へ、それぞれ運営主体の切り替えを行いました。その結果、当連結会計年度末における店舗は直営店51店舗、FC加盟店107店舗、計158店舗となりました。
当連結会計年度における業態別の店舗数は以下のとおりです。運営主体の切り替えを行った店舗については、
直営店の減少(又は増加)とFC加盟店の増加(又は減少)に含めて集計しております。
③ キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度における現金及び現金同等物の期末残高は2,068,300千円増加し3,317,671千円となりました。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度におきましては、税金等調整前当期純利益が1,648,448千円となった一方で、売上債権が302,810千円増加したこと等により、営業活動のキャッシュ・フローは1,055,311千円の収入(前連結会計年度は983,799千円の収入)となりました。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動によるキャッシュ・フローは、有形固定資産の取得による支出が239,679千円、投資有価証券の取得による支出が79,396千円となったこと等により、243,430千円の支出(前連結会計年度は510,081千円の支出)となりました。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動によるキャッシュ・フローは、2022年12月21日に東京証券取引所グロース市場へ上場したことに伴い、公募(ブックビルディング方式による募集)による新株式1,200,000株を発行したこと等による株式の発行による収入が2,001,604千円となった一方で、長期借入金の返済による支出が339,299千円となったこと等により、1,235,225千円の収入(前連結会計年度は640,617千円の支出)となりました。
当社グループは、需要予測に基づく見込み生産を行っているため、該当事項はありません。
当社グループは、食品製造販売事業の単一セグメントであるため、販売チャネル別に記載しております。
(注) 主な相手先別の販売実績及び総販売実績に対する割合
・直営
当連結会計年度における直営の既存店客単価は前述のとおり年度を通して堅調に推移いたしました。また、既存店客数に関しては、特に第4四半期において堅調に推移いたしました。新規出店に関しては、2022年10月にふかや花園プレミアム・アウトレットへ直営店2店舗を出店いたしました。一方、2022年4月に1店舗、2023年3月に4店舗をFCへ譲渡した結果、直営店は合計5店舗が減少しております。その結果、直営に係る売上高は6,547,112千円(前期比19.9%増)となりました。
・FC
当連結会計年度におけるFCの既存店客数及び客単価は、直営に記述したとおりの傾向で推移いたしました。また、年度を通じて、新たに9店舗のFC加盟店を出店したほか、2022年4月に1店舗、2023年3月に4店舗を直営からFCへ譲渡した結果、FC加盟店は合計で14店舗増加いたしました。その結果、FCに係る売上高は6,239,748千円(前期比23.0%増)となりました。
・EC
当連結会計年度におきましては、ギフト商品としての認知度が高まるとともに、テレビ番組への露出効果も奏功し、ECの利用者数が継続して増加したことで、売上は堅調に推移いたしました。その結果、ECに係る売上高は1,095,268千円(前期比20.5%増)となりました。
・ホールセール
当連結会計年度におきましては、大手小売チェーンとの取引が継続して拡大いたしました。前連結会計年度に採用された商品は、当連結会計年度においても売上は堅調に推移しており、売上増加に寄与しました。その結果、ホールセールに係る売上高は3,060,147千円(前期比29.7%増)となりました。
・グローバル
当連結会計年度におきましては、米国及び台湾において大手小売チェーンに対する販売が増加したことに加え、米国内での新規顧客開拓及び既存顧客との取引が堅調に拡大いたしました。以上の結果、グローバルに係る売上高は923,373千円(前期比153.9%増)となりました。国別の内訳は、米国顧客への売上高が624,688千円、台湾顧客への売上高が273,686千円、その他の地域への売上高が24,998千円であります。
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。なお、文中の将来に関する事項は、本書提出日現在において当社グループが判断したものであります。
① 経営成績等に関する認識及び分析・検討内容
(売上高)
当連結会計年度の売上高は、17,865,650千円(前期比26.1%増)となりました。サービス別では、直営、FC、EC、ホールセール及びグローバルの全てのチャネルで売上高が前期を上回り、堅調に推移いたしました。上半期、特に第2四半期において、原材料・商品調達価格の上昇及び円安等の影響で利益率が悪化したことから、やむを得ず2022年9月、12月及び2023年3月に3度にわたって、商品の値上げを実施いたしました。3度の値上げを通して値上げを行った商品点数は600点以上となり、そのうち、一部の商品に関しては複数回の値上げを実施せざるを得ない状況も発生いたしました。その結果、第3四半期以降は利益率が改善するとともに、当該値上げは売上高の増加要因となっております。
a. 直営及びFC
直営及びFCに関しては、直営が前期比19.9%増、FCが前期比23.0%増となり、いずれも20%前後の成長を遂げ、堅調に推移いたしました。
当社は、既存店売上高を継続的に向上するために、お客様のブランドロイヤルティの向上に取り組んでおります。具体的には、久世福商店・サンクゼール公式アプリ会員データの分析、Fan-Based Communityを通じたお客様へのアンケートやインタビュー、そしてSNSでの当社ブランドに関する投稿の収集・分析等を通じてお客様のニーズを把握し、商品開発や売場改善に反映することに注力しております。これらの取り組みを継続し、お客様にとって価値のある商品やサービスを提供することがお客様のブランドロイヤルティの向上、そして既存店売上高の継続的な成長につながると考えております。
当連結会計年度における直営及びFCの既存店売上高は、前期比11%増となりました。既存店(注)売上高を客数と客単価に分解すると、まず客数に関しては第3四半期までは、前年同期において新型コロナウイルス感染症の感染拡大への懸念から、海外旅行などの遠方への旅行よりもアウトレットモールなどの比較的アクセスしやすく郊外の商業施設への来客が多かったことから、当社店舗の客数も堅調に推移したことの反動により、伸び悩む傾向にありましたが、年末から第4四半期にかけて大きく回復いたしました。客単価に関しては、「1点当たり平均商品単価」と「平均購買点数」が過去より上昇傾向にあり、継続して堅調に伸びていたことに加え、第3四半期以降は商品価格の値上げも客単価の上昇要因となりました。
なお、当連結会計年度における新規出店は11店舗となり、こちらは計画とおりであります。
(注)当社グループでは、開店後18か月以上経過している店舗を「既存店」として客単価及び客数を集計しております。
b. EC
ECに関しては、前期比20.5%増と直営やFCと同様に堅調に伸びております。2021年4月に「久世福商店・サンクゼール公式アプリ」をリリースし、店舗とECで会員であるお客様のデータベースを共通化したことにより、店舗とECで相乗効果を発揮する販売施策を展開できるようになったことに加え、ECで高い需要があるギフト商品に関するサービス充実化のために、2022年4月より、自社公式ECサイトでオリジナルメッセージカードを作成できるサービスを開始したことが奏功したと考えております。
c. ホールセール
ホールセールに関しては、前期比29.7%と大きく成長いたしました。前連結会計年度の途中でホールセールの主要顧客である大手小売チェーンでの新規商品採用が決定し、それ以降、当連結会計年度を通じて高い売上高で推移いたしました。なお、当該大手小売チェーンに対しては、当連結会計年度においても新規商品採用が開始されており、こちらも売上高の増加要因となりました。
d. グローバル
グローバルに関しては、当社グループの連結子会社及び工場がある米国市場、近年成長著しい台湾市場の成長が売上高の成長をけん引し、前期比153.9%増と大きく伸びております。米国では、米系小売チェーンや日系小売チェーンでの売上が伸び、前期比154.5%の増加となり、台湾では、米系小売チェーンで実施する販促イベントで商品が採用され、前期比186.0%の増加となりました。
(売上原価、売上総利益)
当連結会計年度の売上原価は、売上高の増加に伴い、10,835,575千円(前期比29.2%増)となりました。
売上総利益率は、39.3%と前期比で1.5ポイント低下いたしましたが、その要因は、前述の原材料・商品調達価格の上昇及び円安等の影響による利益率の悪化に加え、売上総利益率が相対的に低いチャネル(FC、ホールセール及びグローバル)の売上高構成比が伸びたことによるものであります。売上総利益率の低下を当該要因別に分解すると、原材料・商品調達価格の上昇及び円安等の影響が1.0ポイントの低下、売上総利益率が相対的に低いチャネルの売上高構成比の伸びによる影響が0.5ポイントであります。
(販売費及び一般管理費、営業利益)
当連結会計年度の販売費及び一般管理費は、5,430,285千円(前期比21.6%増)となりました。その結果、当連結会計年度の営業利益は、1,599,789千円(前期比21.5%増)となり、売上高営業利益率は9.0%と前期比で0.3ポイント悪化いたしました。売上総利益率は前期比で1.5ポイント悪化いたしましたが、販売費及び一般管理費が相対的に小さいFCやホールセールの売上高が増加したことにより、売上高販管費率が30.4%と前期比で1.1ポイント低下、営業利益率の悪化は0.3ポイントの悪化にとどまりました。
(営業外収益、営業外費用、経常利益)
当連結会計年度の営業外収益は、主に債務免除益37,073千円や為替差益19,634千円を計上したことにより、88,446千円(前期比65.5%増)となりました。また、当連結会計年度の営業外費用は、主に支払利息35,736千円や株式交付費27,477千円を計上したことにより、67,623千円(前期比42.7%増)となりました。
以上の結果、当連結会計年度の経常利益は1,620,612千円(前期比22.5%増)となりました。
(特別利益、特別損失、法人税等、親会社株主に帰属する当期純利益)
当連結会計年度の特別利益は、直営店5店舗をFC加盟店へ売却した際に発生した固定資産売却益104,711千円を計上いたしました。また、当連結会計年度の特別損失は、当社が保有する一部の投資有価証券の実質価額が下落したことにより投資有価証券評価損76,874千円を計上いたしました。
以上に加えて、法人税、住民税及び事業税603,239千円、法人税等調整額(貸方)13,762千円、非支配株主に帰属する当期純利益92千円をそれぞれ計上した結果、親会社株主に帰属する当期純利益は1,058,878千円(前期比12.8%増)となりました。
② キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容並びに資本の財源及び資金の流動性に係る情報
キャッシュ・フローの状況の分析につきましては、「第2 事業の状況 4 経営者による財政状態及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1)経営成績等の状況の概要 ③ キャッシュ・フローの状況」に記載しております。
資本政策につきましては、経営基盤の強化及び積極的な事業展開のために内部留保を図り、財務体質の強化と事業拡大のための投資に充当するとともに、配当に関して、年間配当総額を前事業年度における当社単体決算上の当期純利益の30%を目安とした金額になるように実施してまいります。
また、当社における資金需要の主なものは、原材料費・労務費・製造経費・商品仕入高・販売費及び一般管理費等の事業に係る運転資金であります。当社は必要な資金については、主として自己資金及び金融機関からの借入金により対応してまいります。
資金の流動性に関しましては、2023年3月末時点で取引金融機関6行との間で合計1,450,000千円の当座貸越契約を締結しており、急な資金需要や不測の事態に備えております。
当社グループの連結財務諸表は、我が国において一般に公正妥当と認められる会計基準に基づき作成されております。この連結財務諸表の作成にあたって、経営者により、一定の会計基準の範囲内で、かつ合理的と考えられる見積りが行われている部分があり、資産・負債及び収益・費用の金額に反映されております。これらの見積りについては、過去の実績等を勘案し合理的に判断しておりますが、見積りには不確実性が伴うため、実際の結果と異なる場合があります。特に以下の事項は、経営者の会計上の見積りの判断が財政状態及び経営成績に重要な影響を及ぼす可能性があると考えております。
(繰延税金資産の回収可能性)
当社グループは、繰延税金資産について、将来の利益計画に基づいた課税所得を見積り、回収可能性があると判断した将来減算一時差異等について繰延税金資産を計上しております。繰延税金資産の回収可能性は将来の課税所得の見積りに依存するため、その見積りの前提とした条件や仮定に変更が生じ減少した場合、繰延税金資産が減額され税金費用が計上される可能性があります。
連結財務諸表の作成にあたって用いた会計上の見積り及び仮定のうち、重要なものは「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項 (重要な会計上の見積り)」に記載しております。
当社グループは、経営上の目標の達成状況を売上高営業利益率を重視して判断しております。
当連結会計年度は、直営、FC、EC、ホールセール及びグローバルの全てのチャネルで売上高が堅調に推移いたしましたが、原材料・商品調達価格の上昇及び円安等の影響を受けて、第2四半期において売上高営業利益率が悪化いたしました。第3四半期以降は、商品価格の値上げによって売上高営業利益率は改善傾向にあり、第4四半期会計期間における売上高影響利益率は、前期を上回っております。
その結果、通期の売上高営業利益率は9.0%となり、前期比で0.3ポイント低下する結果となりました。
経営成績に重要な影響を与える要因につきましては、「第2 事業の状況 3 事業等のリスク」に含めて記載しております。
経営者の問題意識と今後の方針につきましては、「第2 事業の状況 1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等」に記載しております。
(1) パートナーシップに関する契約
株式会社サンクゼールとFC加盟店企業とのパートナーシップに関する契約(以下、「本契約」という。)の要旨は、次のとおりであります。
① 当事者の間で、取り結ぶ契約
a.契約の名称
パートナーシップ契約
b.契約の本旨
FC加盟店企業が当社グループ商品の売買その他の業務を遂行し、各企業と当社グループの一層の繁栄を増進すること。
② 経営理念の遵守及び研修
本契約を締結する企業(以下、「パートナー企業」という。)とその役職員は、当社グループの経営理念その他当社グループが大切にする価値観を理解共有の上遵守すべく、誠実に努めなければならないものとしております。そのために、当社グループは、パートナー企業の役職員に当社グループの経営理念の遵守に必要な研修を実施しております。
③ 加盟に際し、徴収する加盟金、保証金に関する事項
a. 加盟金 1店舗につき100万円(税抜) パートナー企業の店舗がFCに加盟するための証拠金
b. 保証金 1店舗目500万円、2店舗目以降100万円 本契約を維持していくための預託金
④ 加盟者から定期的に徴収する金銭に関する事項
a. 卸原価
当社グループの商品ごとに設定した価額であり、パートナー企業は当該価額で当社グループ商品を買い受けるものとしております。
b. チャージ
本契約に基づく物販又は飲食業務に関して、パートナー企業の店舗粗利額または売上金額に一定率を乗じた金額を当社グループへお支払いいただくものとしております。
⑤ 加盟者に対する商品の販売条件に関する事項
パートナー企業は、本契約に関する金銭債務について、毎月末日締翌月末日支払にて、お支払いいただくものとしております。
⑥ 経営の指導に関する事項
経営の指導に関して、本契約において以下の内容を定めております。
・当社の営業指導、助言及び要請に対して、指摘された箇所を速やかに改めるものとする。
・当社は、本契約に基づく営業店舗へ随時臨店することができるものとする。
・臨店時の店舗チェックの結果、当社の求める基準を下回る等、店舗に問題があると当社グループが判断した場合、パートナー企業は当社又は当社指定業者の実施する監査を受けなければならないものとする。
⑦ 契約の期間等に関する事項
本契約の期間は、本契約締結後1年間とし、契約期間満了の6か月前までに、書面による申し出がない限り、本契約は1年間自動的に更新されるものとしております。
(注) 1.現在休止中の主要な設備はありません。
2.帳簿価額のうち「その他」は、工具、器具及び備品及び建設仮勘定の合計であります。
3.従業員数には、契約社員、パートタイマー及び人材派遣会社からの派遣社員を含んでおりません。
4.上記の他、連結会社以外から賃借している設備の内容は、下記のとおりであります。
(2) 国内子会社
(注) 1.現在休止中の主要な設備はありません。
2.帳簿価額のうち「その他」は、工具、器具及び備品及び建設仮勘定の合計であります。
3.従業員数には、契約社員、パートタイマー及び人材派遣会社からの派遣社員を含んでおりません。
(注)1.現在休止中の主要な設備はありません。
2.帳簿価額のうち「その他」は、工具、器具及び備品であります。
3.従業員数には、契約社員、パートタイマー及び人材派遣会社からの派遣社員を含んでおりません。
(注) 提出日現在の発行数には、2023年6月1日からこの有価証券報告書提出日までの新株予約権の行使により発行された株式数は、含まれておりません。
第1回新株予約権 2017年1月26日取締役会決議
※ 当事業年度の末日(2023年3月31日)における内容を記載しております。なお、当事業年度の末日から提出日の前月末現在(2023年5月31日)にかけて変更された事項については、提出日の前月末現在における内容を[ ]内に記載しており、その他の事項については当事業年度の末日における内容から変更はありません。
(注) 1.新株予約権1個につき目的となる株式数は200株であります。
ただし、新株予約権の割当日後、当社が株式分割、株式併合を行う場合は、次の算式により付与株式数を調整、調整の結果生じる1株未満の端数は、これを切り捨てる。
2.新株予約権の割当日後、当社が株式分割、株式併合を行う場合は、次の算式により払込金額を調整し、調整により生ずる1円未満の端数は切り上げる。
また、新株予約権の割当日後に時価を下回る価額で新株式の発行または自己株式の処分を行う場合は、次の算式により払込金額を調整し、調整により生ずる1円未満の端数は切り上げる。
3.2021年12月21日開催の取締役会決議により、2022年1月11日付で普通株式1株について200株の株式分割を行っております。これにより、「新株予約権の目的となる株式の種類、内容及び数」、「新株予約権の行使時の払込金額」及び「新株予約権の行使により株式を発行する場合の株式の発行価格及び資本組入額」が調整されております。
第2回新株予約権 2018年1月17日取締役会決議
※ 当事業年度の末日(2023年3月31日)における内容を記載しております。なお、当事業年度の末日から提出日の前月末現在(2023年5月31日)にかけて変更された事項については、提出日の前月末現在における内容を[ ]内に記載しており、その他の事項については当事業年度の末日における内容から変更はありません。
(注) 1.新株予約権1個につき目的となる株式数は200株であります。
ただし、新株予約権の割当日後、当社が株式分割、株式併合を行う場合は、次の算式により付与株式数を調整、調整の結果生じる1株未満の端数は、これを切り捨てる。
2.新株予約権の割当日後、当社が株式分割、株式併合を行う場合は、次の算式により払込金額を調整し、調整により生ずる1円未満の端数は切り上げる。
また、新株予約権の割当日後に時価を下回る価額で新株式の発行または自己株式の処分を行う場合は、次の算式により払込金額を調整し、調整により生ずる1円未満の端数は切り上げる。
3.2021年12月21日開催の取締役会決議により、2022年1月11日付で普通株式1株について200株の株式分割を行っております。これにより、「新株予約権の目的となる株式の種類、内容及び数」、「新株予約権の行使時の払込金額」及び「新株予約権の行使により株式を発行する場合の株式の発行価格及び資本組入額」が調整されております。
第3回新株予約権 2018年1月17日取締役会決議
※ 当事業年度の末日(2023年3月31日)における内容を記載しております。なお、提出日の前月末現在(2023年5月31日)において、記載すべき内容が当事業年度の末日における内容から変更がないため、提出日の前月末現在に係る記載を省略しております。
(注) 1.新株予約権1個につき目的となる株式数は200株であります。
ただし、新株予約権の割当日後、当社が株式分割、株式併合を行う場合は、次の算式により付与株式数を調整、調整の結果生じる1株未満の端数は、これを切り捨てる。
2.新株予約権の割当日後、当社が株式分割、株式併合を行う場合は、次の算式により払込金額を調整し、調整により生ずる1円未満の端数は切り上げる。
また、新株予約権の割当日後に時価を下回る価額で新株式の発行または自己株式の処分を行う場合は、次の算式により払込金額を調整し、調整により生ずる1円未満の端数は切り上げる。
3.2021年12月21日開催の取締役会決議により、2022年1月11日付で普通株式1株について200株の株式分割を行っております。これにより、「新株予約権の目的となる株式の種類、内容及び数」、「新株予約権の行使時の払込金額」及び「新株予約権の行使により株式を発行する場合の株式の発行価格及び資本組入額」が調整されております。
第4回新株予約権 2018年8月8日取締役会決議
※ 当事業年度の末日(2023年3月31日)における内容を記載しております。なお、当事業年度の末日から提出日の前月末現在(2023年5月31日)にかけて変更された事項については、提出日の前月末現在における内容を[ ]内に記載しており、その他の事項については当事業年度の末日における内容から変更はありません。
(注) 1.新株予約権1個につき目的となる株式数は200株であります。
ただし、新株予約権の割当日後、当社が株式分割、株式併合を行う場合は、次の算式により付与株式数を調整、調整の結果生じる1株未満の端数は、これを切り捨てる。
2.新株予約権の割当日後、当社が株式分割、株式併合を行う場合は、次の算式により払込金額を調整し、調整により生ずる1円未満の端数は切り上げる。
また、新株予約権の割当日後に時価を下回る価額で新株式の発行または自己株式の処分を行う場合は、次の算式により払込金額を調整し、調整により生ずる1円未満の端数は切り上げる。
3.2021年12月21日開催の取締役会決議により、2022年1月11日付で普通株式1株について200株の株式分割を行っております。これにより、「新株予約権の目的となる株式の種類、内容及び数」、「新株予約権の行使時の払込金額」及び「新株予約権の行使により株式を発行する場合の株式の発行価格及び資本組入額」が調整されております。
第5回新株予約権 2018年8月8日取締役会決議
※ 当事業年度の末日(2023年3月31日)における内容を記載しております。なお、提出日の前月末現在(2023年5月31日)において、記載すべき内容が当事業年度の末日における内容から変更がないため、提出日の前月末現在に係る記載を省略しております。
(注) 1.新株予約権1個につき目的となる株式数は200株であります。
ただし、新株予約権の割当日後、当社が株式分割、株式併合を行う場合は、次の算式により付与株式数を調整、調整の結果生じる1株未満の端数は、これを切り捨てる。
2.新株予約権の割当日後、当社が株式分割、株式併合を行う場合は、次の算式により払込金額を調整し、調整により生ずる1円未満の端数は切り上げる。
また、新株予約権の割当日後に時価を下回る価額で新株式の発行または自己株式の処分を行う場合は、次の算式により払込金額を調整し、調整により生ずる1円未満の端数は切り上げる。
3.2021年12月21日開催の取締役会決議により、2022年1月11日付で普通株式1株について200株の株式分割を行っております。これにより、「新株予約権の目的となる株式の種類、内容及び数」、「新株予約権の行使時の払込金額」及び「新株予約権の行使により株式を発行する場合の株式の発行価格及び資本組入額」が調整されております。
第7回新株予約権 2019年8月21日取締役会決議
※ 当事業年度の末日(2023年3月31日)における内容を記載しております。なお、当事業年度の末日から提出日の前月末現在(2023年5月31日)にかけて変更された事項については、提出日の前月末現在における内容を[ ]内に記載しており、その他の事項については当事業年度の末日における内容から変更はありません。
(注) 1.新株予約権1個につき目的となる株式数は200株であります。
ただし、新株予約権の割当日後、当社が株式分割、株式併合を行う場合は、次の算式により付与株式数を調整、調整の結果生じる1株未満の端数は、これを切り捨てる。
2.新株予約権の割当日後、当社が株式分割、株式併合を行う場合は、次の算式により払込金額を調整し、調整により生ずる1円未満の端数は切り上げる。
また、新株予約権の割当日後に時価を下回る価額で新株式の発行または自己株式の処分を行う場合は、次の算式により払込金額を調整し、調整により生ずる1円未満の端数は切り上げる。
3.2021年12月21日開催の取締役会決議により、2022年1月11日付で普通株式1株について200株の株式分割を行っております。これにより、「新株予約権の目的となる株式の種類、内容及び数」、「新株予約権の行使時の払込金額」及び「新株予約権の行使により株式を発行する場合の株式の発行価格及び資本組入額」が調整されております。
第8回新株予約権 2019年8月21日取締役会決議
※ 当事業年度の末日(2023年3月31日)における内容を記載しております。なお、提出日の前月末現在(2023年5月31日)において、記載すべき内容が当事業年度の末日における内容から変更がないため、提出日の前月末現在に係る記載を省略しております。
(注) 1.新株予約権1個につき目的となる株式数は200株であります。
ただし、新株予約権の割当日後、当社が株式分割、株式併合を行う場合は、次の算式により付与株式数を調整、調整の結果生じる1株未満の端数は、これを切り捨てる。
2.新株予約権の割当日後、当社が株式分割、株式併合を行う場合は、次の算式により払込金額を調整し、調整により生ずる1円未満の端数は切り上げる。
また、新株予約権の割当日後に時価を下回る価額で新株式の発行または自己株式の処分を行う場合は、次の算式により払込金額を調整し、調整により生ずる1円未満の端数は切り上げる。
3.2021年12月21日開催の取締役会決議により、2022年1月11日付で普通株式1株について200株の株式分割を行っております。これにより、「新株予約権の目的となる株式の種類、内容及び数」、「新株予約権の行使時の払込金額」及び「新株予約権の行使により株式を発行する場合の株式の発行価格及び資本組入額」が調整されております。
第9回新株予約権 2020年3月25日取締役会決議
※ 当事業年度の末日(2023年3月31日)における内容を記載しております。なお、提出日の前月末現在(2023年5月31日)において、記載すべき内容が当事業年度の末日における内容から変更がないため、提出日の前月末現在に係る記載を省略しております。
(注) 1.新株予約権1個につき目的となる株式数は200株であります。
ただし、新株予約権の割当日後、当社が株式分割、株式併合を行う場合は、次の算式により付与株式数を調整、調整の結果生じる1株未満の端数は、これを切り捨てる。
2.新株予約権の割当日後、当社が株式分割、株式併合を行う場合は、次の算式により払込金額を調整し、調整により生ずる1円未満の端数は切り上げる。
また、新株予約権の割当日後に時価を下回る価額で新株式の発行または自己株式の処分を行う場合は、次の算式により払込金額を調整し、調整により生ずる1円未満の端数は切り上げる。
3.2021年12月21日開催の取締役会決議により、2022年1月11日付で普通株式1株について200株の株式分割を行っております。これにより、「新株予約権の目的となる株式の種類、内容及び数」、「新株予約権の行使時の払込金額」及び「新株予約権の行使により株式を発行する場合の株式の発行価格及び資本組入額」が調整されております。
該当事項はありません。
(注) 1. 有償第三者割当 発行価格30,940円 資本組入額15,470円
割当先 従業員持株会
2. 株式分割(1:200)によるものであります。
3. 有償一般募集(ブックビルディング方式による募集)
発行価格 1,800円
引受価額 1,656円
資本組入額 828円
4.新株予約権(ストック・オプション)の権利行使による増加であります。
5.2023年4月1日から2023年5月31日までの間に、新株予約権の行使により、発行済株式総数が30,600株、資本金が900千円及び資本準備金897千円増加しております。
2023年3月31日現在
(注) 1.前事業年度末現在主要株主であった久世良太、久世直樹、ABRAHAM’S WAY FOUNDATION, LLCは、当事業年度末では主要株主ではなくなりました。
2.上記の所有株式数のうち、信託業務に係る株式数は、次のとおりであります。
株式会社日本カストディ銀行 342,900株
日本マスタートラスト信託銀行株式会社 194,100株


