南海化学株式会社
(注)1.潜在株式調整後1株当たり当期純利益については、潜在株式は存在するものの、当社株式は非上場であったため、期中平均株価が把握できませんので記載しておりません。
2.株価収益率については、当社株式は非上場であったため、記載しておりません。
3.第70期以降の連結財務諸表については、金融商品取引法第193条の2第1項の規定に基づき、仰星監査法人の監査を受けております。
4.平均臨時雇用者数については、従業員数の100分の10未満のため記載を省略しております。
5.「収益認識に関する会計基準」(企業会計基準第29号 2020年3月31日)等を第71期の期首から適用しており、第71期以降に係る主要な経営指標等については、当該会計基準等を適用した後の指標等となっております。
6.第71期の親会社株主に帰属する当期純利益の増加は、土地売却に係る固定資産売却益の計上等によるものであります。
(注)1.潜在株式調整後1株当たり当期純利益については、潜在株式は存在するものの、当社株式は非上場であったため、期中平均株価が把握できませんので記載しておりません。
2.第68期の自己資本利益率は、当期純損失であるため記載しておりません。
3.株価収益率については、当社株式は非上場であったため、記載しておりません。
4.第68期における配当性向につきましては、当期純損失を計上しているため記載しておりません。
5.主要な経営指標等のうち、第68期及び第69期については会社計算規則(平成18年法務省令第13号)の規定に基づき算出した各数値を記載しており、金融商品取引法第193条の2第1項の規定に基づく仰星監査法人の監査を受けておりません。
6.第70期以降の財務諸表については、金融商品取引法第193条の2第1項の規定に基づき、仰星監査法人により監査を受けております。
7.平均臨時雇用者数については、従業員数の100分の10未満のため記載を省略しております。
8.「収益認識に関する会計基準」(企業会計基準第29号 2020年3月31日)等を第71期の期首から適用しており、第71期以降に係る主要な経営指標等については、当該会計基準等を適用した後の指標となっております。
9.第68期から第72期の株主総利回り及び比較指標、最高株価、最低株価については、2023年4月20日に東京証券取引所スタンダード市場に株式上場したため、記載しておりません。
当社は、和歌山県和歌山市において、1906年に前身である南海硫肥株式会社として創業いたしました。各種工業化学製品の製造を営み、一定の事業基盤を確立し、1920年2月には和歌山株取引所に株式を上場するまでに至りました。1939年9月には、シナジー効果の発揮を見込み、株式会社中山製鋼所と合併いたしました。その後、各種工業化学製品への広範かつ激増する需要へより迅速に応えるため、1951年6月に株式会社中山製鋼所より分離し、南海化学工業株式会社として設立され、株式会社中山製鋼所グループの一員として成長してまいりました。
当社と株式会社中山製鋼所とは引き続き資本関係は維持継続されたことから、事業面での相互連携を実施しておりましたが、株式会社中山製鋼所において「選択と集中」の考えのもと、保有する当社株式の売却方針が決定され、2013年2月、当社は、MBO(マネジメント・バイアウト:経営陣による当社株式の買収)により株式会社中山製鋼所から独立し、2023年4月に東京証券取引所スタンダード市場に上場しました。
南海硫肥株式会社設立以後の企業集団に係る経緯は、次のとおりであります。
当社グループは1906年の創業以来、化学品メーカーとして歩み続けてきました。現在は、「化学品事業を通じて地球環境と豊かな社会の創生に貢献する」を企業理念に掲げ、様々な製品の基礎原料として使われる苛性ソーダや殺菌、消毒に使われる次亜塩素酸ソーダをはじめとする「基礎化学品事業」、酢酸ナトリウム(食品用日持ち向上剤)、グルコサミンをはじめとする「機能化学品事業」、土壌殺菌剤として使われる農薬クロルピクリンをはじめとする「アグリ事業」、廃硫酸のリサイクルを中心とする「環境リサイクル事業」、及び塩の加工・販売に関する「各種塩事業」の5事業を展開しております。また、当社及び当社の関係会社は、当社及び国内外の連結子会社6社並びに持分法適用関連会社2社により構成されております。
当社グループの事業における報告セグメントの概要及び位置付けは次のとおりであり、以下の区分は「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1) 連結財務諸表 注記事項」に掲げるセグメント情報の区分と同一であります。
(注)1.報告セグメントについては、「化学品事業」と「各種塩事業」に区分しておりますが、「化学品事業」における取扱品目が多岐にわたることから、以下の説明においては、「化学品事業」を基礎化学品・機能化学品・アグリ・環境リサイクルに分類しております。
2.連結子会社である富士アミドケミカル㈱につきましては、2023年3月末で生産活動を終了し、今後は当社グループ外へ製造を委託します。2022年10月20日開催の当社取締役会において、会社清算に向けた固定資産の譲渡を決議し、2022年10月28日付けで不動産売買契約を締結いたしました。詳細は「第2 事業の状況 5 経営上の重要な契約等」に記載のとおりであります。
3.連結子会社である如皋新南海国際貿易有限公司につきましては、2022年4月19日開催の当社取締役会において、会社清算することを決議しており、2023年3月に事業を終了いたしました。
上記に掲げている報告セグメント別の事業の詳細は、次のとおりです。
[化学品事業]
(基礎化学品)
当事業は当社和歌山工場のほか、連結子会社である如皋市四友合成化工有限公司、如皋南海水処理剤有限公司及び如皋新南海国際貿易有限公司、持分法適用関連会社であるATNグラファイト・テクノロジー㈱にて行っております。
当事業では、塩水の電気分解により生成される苛性ソーダ(※1)を中心に、併産される塩素や水素を活用した各種製品の製造及び販売を行っております。具体的には、当社が長年取扱っている水資源関連・医療・食品等の分野で漂白や殺菌、中和用に利用されるクロール・アルカリ製品(※2)(合成塩酸(※3)、次亜塩素酸ソーダ(※4)など)、浄化槽やプール水及び魚肉の解体場、食品工場等の衛生管理に利用される塩素系殺菌・消毒剤(高度さらし粉など)、工場排水や下水排水などに利用される水処理凝集剤などのほかに、新たなラインナップとして、重亜硫酸ソーダ(※5)、含鉄バンド(※6)の取扱拡大を図っており、商社経由あるいはメーカー直販の商流にて、原料メーカーや中間製品メーカーといった製造業を中心に提供しております。製品の特性上や輸送コストの観点から、遠隔地への供給には適していないものが多く、関西地方を中心に供給を行っております。
(機能化学品)
当事業は当社のほか、連結子会社である富士アミドケミカル㈱にて行っております。
当社では、各種食品の日持ち向上剤として使用される酢酸ナトリウムなどの食品添加物やグルコサミンなどの健康食品の製造・販売と、長年に亘り培われた技術やノウハウを活かし、お客様のニーズに合わせたきめ細やかなオーダーメイド対応が可能な医薬・農薬・電子材料等の中間体の製造・販売及びスルホン化(※7)やクロル化(※8)技術を活用した受託製造業務を行っております。富士アミドケミカル㈱では、医薬・農薬・電子材料等の中間体の製造並びに受託製造業務を行っております。
当社は当該製品の販売業務について、商社経由あるいはメーカー直接の商流にて、原料メーカーや中間製品メーカーといった製造業を中心に提供しております。
(アグリ)
当事業は当社土佐工場にて行っております。当事業では、農薬の一種である土壌殺菌剤として使用されているクロルピクリン(※9)の製造・販売を行っております。クロルピクリンは液剤と錠剤があり、液剤は高濃度品(濃度99.5%)と低濃度品(濃度80%)、錠剤は液剤を特殊な方法で固型化した新しいタイプの商品となっております。クロルピクリンは液剤タイプが主流ではありますが、農業従事者の皆様により安全に安心してご使用いただくため、錠剤タイプの普及活動に重点を置き、営業活動を行っております。
クロルピクリンは、畑地をクリーンにする農薬の一つとして、1948年にたばこ向けに実用化されて以降、用途は野菜、花き等に広がっております。一般にクロルピクリンは、気化することにより目や喉の痛みや刺激臭を伴い、その使用には制約がありましたが、クロルピクリン液剤については、安全に使用される技術も確立されているほか、クロルピクリン錠剤については、錠剤化することにより使用時の気化を抑制することが可能となり、簡単に処理しやすい農薬として、農業従事者の皆様から好評をいただいております。
化学品事業における基礎化学品、機能化学品、アグリの事業系統図は、次のとおりであります。
[基礎化学品、機能化学品] [アグリ]

(注)基礎化学品、機能化学品の販売先メーカーは主に化学工業、鉄鋼・製紙、化粧品・洗剤等の業界になります。
(環境リサイクル)
当事業は連結子会社であるエヌシー環境㈱及び持分法適用関連会社であるサンワ南海リサイクル㈱が行っております。当事業では、石油精製業者などの廃硫酸供給業者より廃硫酸を引取り、硫酸を精製し各種メーカーへ販売しております。
化学品事業における環境リサイクルの事業系統図は、次のとおりであります。

[各種塩事業]
当事業は連結子会社である㈱エヌエムソルトが行っております。当事業では、オーストラリアやメキシコから輸入した原塩(天日塩)を、洗滌(せんでき)などの加工工程を経て、食品関係や融雪など様々な用途に用いられる塩を製造し、国内有数の梅干しの原産地である和歌山県南部地区の梅干加工業者や全国の食品メーカーをはじめとした各種メーカーに販売しております。また、融雪塩として、道路を維持管理する団体などに販売しております。
各種塩事業の事業系統図は、次のとおりであります。

[参考]用語の解説
(注)1.「主要な事業の内容」欄には、セグメント情報に記載された名称を記載しております。
2.「議決権の所有(又は被所有)割合」欄の( )内は、間接所有割合で内数であります。
3.特定子会社であります。
4.有価証券届出書又は有価証券報告書を提出している会社はありません。
5.㈱エヌエムソルトについては、売上高(連結会社相互間の内部売上高を除く)の連結売上高に占める割合が10%を超えております。
主要な損益情報等(単位:百万円)
売上高 3,182
経常利益 87
当期純利益 40
純資産額 338
総資産額 1,775
6.ATNグラファイト・テクノロジー㈱については、議決権の所有割合は100分の20未満ではありますが、実質的な影響力を持っているため、関連会社としております。
7.富士アミドケミカル㈱につきましては、2022年10月20日開催の当社取締役会において、会社清算に向けた固定資産の譲渡を決議し、2022年10月28日付けで不動産売買契約を締結いたしました。詳細は「第2 事業の状況 5 経営上の重要な契約等」に記載のとおりであります。
8.如皋新南海国際貿易有限公司につきましては、2023年3月13日付けで事業を終了、清算いたしました。
(注)1.従業員数は就業人員であり、受入出向者を含み、出向者を含んでおりません。なお、平均臨時雇用者数については、従業員数の100分の10未満のため記載を省略しております。
2.全社(共通)として記載されている従業員数は、管理部門に所属しているものであります。
(注)1.従業員数は就業人員であり、受入出向者を含み、出向者を含んでおりません。なお、平均臨時雇用者数については、従業員数の100分の10未満のため記載を省略しております。
2.平均年間給与は、賞与及び基準外賃金を含んでおります。
3.全社(共通)として記載されている従業員数は、管理部門に所属しているものであります。
当社の労働組合は、南海化学労働組合と称し、「JEC連合」に加盟しております。なお、労使関係については円滑な関係にあり、特記すべき事項はありません。
文中の将来に関する事項は、本書提出日現在において当社グループが判断したものであります。
(1) 経営方針
当社グループは1906年の創業以来、化学品メーカーとして歩み続けてきました。現在は、「化学品事業を通じて地球環境と豊かな社会の創生に貢献する」を企業理念に掲げ、様々な製品の基礎原料として使われる苛性ソーダや殺菌、消毒に使われる次亜塩素酸ソーダをはじめとする「基礎化学品事業」、酢酸ナトリウム(食品用日持ち向上剤)、グルコサミンをはじめとする「機能化学品事業」、土壌殺菌剤として使われる農薬クロルピクリンをはじめとする「アグリ事業」、廃硫酸のリサイクルを中心とする「環境リサイクル事業」、及び塩の加工・販売に関する「各種塩事業」の5事業を展開しています。
特に、2013年にそれまでの親会社であった㈱中山製鋼所から独立したタイミングを機に、それまでの化学品のシナジーを生かしたプロダクトアウト型から、顧客のニーズをふまえ商品開発を行うマーケットイン型の企業へと大きく企業体質を転換しており、顧客に近接した工場立地と、硫黄、水素などの原料を自社製造できるコスト競争力を強みに、商品提案力に磨きをかけ、さらなる発展に繋げていく方針です。
(2) 経営環境及び中長期的な経営戦略
当社グループを取り巻く経営環境は、新型コロナウイルス感染症との共存共生が進み、インバウンド需要の回復の兆しがありますが、米中の貿易摩擦、ロシアのウクライナ侵攻他に起因する国際情勢のかつてない緊張は依然世界経済に大きな影響をもたらしています。特に、国際市況の乱高下による原材料コストの不透明感や、人手不足による物流費の増加懸念が継続すると見込まれ、安定的な収益の確保が喫緊の課題となっています。
このような環境のもと、当社グループは2023年4月に東京証券取引所スタンダード市場に上場を果たし、上場企業として相応しいガバナンスの強化とコンプライアンスの徹底の下でステークホルダーの満足度向上に向けた施策を実施してまいります。
(3) 経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等
当社グループは、企業価値の向上と株主利益の増大を図るため、事業の収益性と設備投資を効果的に実施しながら成長性を高めるため、主な経営指標(KPI)として、売上高、経常利益及び資産効率を示すROE(自己資本利益率)を掲げております。2023年度の目標値は売上高20,700百万円、経常利益890百万円、ROE10.9%であります。当該KPIの各数値については有価証券報告書提出日現在において予測できる事情等を基礎とした合理的な判断に基づくものであり、その達成を保証するものではありません。
(4) 経営上及び財務上の対処すべき課題
当社グループでは、企業経営方針である「環境に貢献する新規ビジネスによる成長分野の確立」、「新たな事業投資ポートフォリオによる強靭な企業集団の構築」、「生産性の向上と原価率の低減による事業基盤の確立」を経営上及び財務上の対処すべき課題として認識しており、それぞれの課題の克服を目指し、以下のような取組みを実施しております。
①「環境に貢献する新規ビジネスによる成長分野の確立」
環境循環型ビジネスの深化と開発は、社会ニーズに応える会社使命として注力していきます。当社グループが手掛ける硫酸リサイクル事業の基盤を強化するとともに、当社持分法適用関連会社であるサンワ南海リサイクル㈱との連携を深めていきます。更に、セメント会社の資源リサイクル比率向上に寄与する脱塩事業を土佐工場にて稼働開始致します。併せて、二次電池分野でのリサイクル事業を中長期を見据えた新たな環境ビジネス領域とし、研究開発部門の充実を図ってまいります。
②「新たな事業投資ポートフォリオによる強靭な企業集団の構築」
当社グループ内事業ポートフォリオの見直しを継続していきます。戦略優位性の少ない事業は撤退も含めその方向性を確定し、成長市場に位置する事業はその拡大シナリオを確定していきます。また、当社持分法適用関連会社であるATNグラファイト・テクノロジー㈱の安定操業に貢献し、当社グループの発信力を高めていきます。
③「生産性の向上と原価率の低減による事業基盤の確立」
不安定な為替市況および国際市況に対処すべく、仕入先及び販売先との取組みを強化するとともに、生産性の向上に努め、適正な収益基盤を維持してまいります。特に、各種塩事業は天日塩調達の優位性を活かして、販売基盤の拡大を目指してまいります。
本書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、投資者の判断に重要な影響を及ぼす可能性のある事項には、以下のようなものがあります。
当社グループでは、これらのリスク発生の可能性を認識した上で、発生の回避や発生した場合の対応に最善を尽くす方針としております。
また、必ずしも事業上のリスクに該当しない事項であっても、投資者の判断に重要な影響を及ぼす可能性のある事項については、投資者に対する情報開示の観点から積極的に開示しております。
なお、文中の将来に関する事項は、提出日現在において当社グループが判断したものであり、当社グループに係る全てのリスクを網羅したものではなく、記載された事項以外にも予測が困難な事業等のリスクがあるものと考えられます。
(1) 突発的な事故や災害の発生 影響度:大、発生可能性:低、発生時期:特定時期なし
当社グループでは、全ての製造設備を対象とした定期的な点検や必要に応じての修繕を行うことにより、安全かつ安定的な工場設備の操業に努めておりますが、不具合や事故による製造設備の損壊に起因する生産活動の中断により、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
また、当社グループの製造拠点は主に和歌山県及び高知県に立地しており、南海トラフを震源とする地震災害の影響を受ける可能性があり、また台風による風水害の影響を受けやすいことからBCP策定ワーキンググループによる対策検討を実施し、その影響の最小化を図っておりますが、当該製造設備の損壊に起因する生産活動の中断により、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
(2) 競争の激化 影響度:中、発生可能性:低、発生時期:短期
当社グループでは、総合化学メーカーとして苛性ソーダ、次亜塩素酸ソーダ、水処理剤など各種無機化学工業製品を取り扱う基礎化学品事業、酢酸ナトリウム、グルコサミン、染料及び電子材料製品など有機化学工業製品を取り扱う機能化学品事業、農薬を取り扱うアグリ事業及び廃硫酸のリサイクルなどを取り扱う環境リサイクル事業、塩製品を取り扱う各種塩事業を営んでおり、古くからの関西地区をターゲットとした地域密着型の事業展開によって一定の存在感を確立しているという強みを有しております。しかしながら、近年の原材料や燃料等の高騰により、販売価格への転嫁が急務となっております。市況及び他社動向を注視しつつ適正な利潤を確保するため、販売先との価格交渉を継続的に実施しておりますが、調達価格と販売価格の価格変動にタイムラグが生じた場合は、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
(3) 原材料及び製商品に係る相場変動並びに原材料の減耗 影響度:中、発生可能性:大、発生時期:短期
当社グループでは、事業の特性上、恒久的に塩やニトロメタンを中心とした原材料の調達が必要となっております。このため、常時複数の調達チャネルを確保した上で調達価額の低廉化を主眼としつつ、全体最適を図りながら安定調達に努めておりますが、自助努力にてコントロールできない急激な為替変動や市況価格の変動により、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。とりわけ原材料のうち塩につきましては、岸壁の貯塩場に大量に保管しており、シート掛けを行うなどの措置を講じておりますが、風雨により流出し減耗することで当社グループの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
また、製造の過程において電力を大量に使用することから、電力価格の変動により、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があり、電力の安定的な供給が達成されない場合には、生産活動の中断により、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
(4) 製造拠点の稼働 影響度:大、発生可能性:低、発生時期:特定時期なし
当社グループでは、営業部門からの需要動向や原材料の調達状況を踏まえ、生産計画を策定のうえ、製造設備の稼働を実施しております。さらに計画的な保全計画を策定実施し安定稼働に取り組んでおりますが、製造設備のトラブル等により生産が停止した場合には、製品供給がされず、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
(5) 製品の品質 影響度:小、発生可能性:低、発生時期:特定時期なし
当社グループでは、品質管理体制を整備し品質の維持に努めておりますが、予期できない品質トラブルが発生した場合には、顧客からの信用の低下や当社グループの社会的信用の低下を招く可能性があります。これらに対しては、製造物責任保険に加入し、影響額を最小限にとどめる取組みを行っているものの、損害賠償や補償の履行により当社グループの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
(6) 知的財産の保護 影響度:大、発生可能性:低、発生時期:特定時期なし
当社グループでは、事業の優位性確保の観点から開発を通じて獲得した技術について、特許を出願するなど知的財産の保護に努めておりますが、開発した技術や各種ノウハウの外部への流出、知的財産権に係る係争案件や侵害の発生により、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
また当社グループでは、各種製品の研究開発段階において、当社研究開発本部にて他の者が所有する知的財産権を侵害していないか確認並びに調査を実施しておりますが、結果として他の者が所有する知的財産権を侵害するに至った場合やその他知的財産権に係る紛争が発生した場合には、当社グループの製品の生産活動が制約を受けたり、損害賠償金の支払が発生することにより、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
(7) 事業の前提となる許認可、届出並びに法令や規則の遵守
影響度:中、発生可能性:中、発生時期:特定時期なし
当社グループでは、各種工業化学製品の製造・販売を営んでおり、事業を遂行するために以下のような法令や規則に基づく許認可等を取得し、当該法令や規則の遵守徹底を基本として事業活動を行っております。
これらの許認可等については、各種法令にて定める手続きを適切に実施しなかった場合、その効力を喪失いたします。また、万が一各種法令に違反した場合、許認可等の取消や期間を定めて対象となる業務の全部若しくは一部の停止を命ぜられる旨が定められております。当社グループにおいては、現時点では許認可等の取消や業務の停止となる事実は存在しないものと認識しておりますが、将来許認可等の取消や業務の停止が命ぜられた場合、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
(主な許認可等の取消や業務の停止事由)
(許認可等の有効期限(注))
(注)当社グループの主要な製造拠点(当社和歌山工場及び土佐工場)と販売拠点(当社本社)につき、記載しています。
(8) 法的規制 影響度:中、発生可能性:中、発生時期:特定時期なし
「(7) 事業の前提となる許認可、届出並びに法令や規則の遵守」にも記載のとおり、当社グループは法令や規則の遵守徹底を基本として事業活動を行っておりますが、過失あるいは政策、実務慣行、解釈変更により発生する事態が、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。また、将来において当該法令や規制が強化されることも想定され、このような場合には事業活動に対する制約の拡大やコストの増加が発生し、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
(9) 環境規制 影響度:中、発生可能性:中、発生時期:特定時期なし
当社グループでは、化学物質を製造し、又は取り扱う事業者として、自己決定・自己責任の原則に基づき、化学物質の開発から製造・流通・使用・最終消費を経て廃棄に至る全ライフサイクルにわたって「環境・安全・健康」を確保することを経営方針として公約し、環境・安全・健康面の対策を実行し、改善を図っていく自己管理活動である「レスポンシブル・ケア活動」を推進しておりますが、万が一、有害物質が当社グループ外に流出した場合には、損失補償や損害賠償の発生や生産活動の中断により、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
また、当社グループは、土壌汚染・大気汚染・水質汚濁・産業廃棄物処理等各種の環境規制を遵守のうえ、業務を行っておりますが、これらの規制の動向により、過去、現在及び将来の当社グループの事業活動に関し、法的又は社会的責任の観点から対応を行う場合には、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
(10) 借入金と金利変動について 影響度:小、発生可能性:低、発生時期:特定時期なし
当社グループは、設備投資資金、運転資金を銀行からの借入により賄っており、業容拡大等に伴う設備投資、運転資金の増加は今後も想定されます。当社グループは借入金比率の低減を図り財務体質の強化に努めてまいりますが、金利の上昇傾向が続いた場合、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を与える可能性があります。
(11) 情報セキュリティ 影響度:中、発生可能性:中、発生時期:特定時期なし
当社グループでは、コンピュータシステムによって、販売・受注・出荷・生産・在庫・購買・給与・財務・経理といった事業活動に必要な業務情報の一元管理を行っており、当該管理体制には万全を期しております。さらに、情報セキュリティを含めたコンプライアンス研修などを実施しておりますが、予期せぬコンピュータシステムの停止、誤作動や不正使用、又は外部からのサイバー攻撃などにより、業務運営に支障をきたし、あるいは重要情報の漏えいや紛失による対外的信用の低下により、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を与える可能性があります。
(12) 人材の採用及び育成 影響度:中、発生可能性:低、発生時期:特定時期なし
当社グループは、今後の事業展開に応じて、積極的な人材の採用及び育成に取り組む方針であり、新卒社員向けのメンター制度や階層別研修の実施などに取り組んでいるものの、人材の採用及び技術の継承が順調に進まなかった場合や、既存の人材が当社グループ外に流出した場合には、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を与える可能性があります。
(13) 労働災害 影響度:小、発生可能性:中、発生時期:特定時期なし
当社グループでは、多くの生産設備や製造装置を用いて業務を行っており、従業員の安全管理が不可欠であると認識しております。このため、各製造拠点単位で安全衛生委員会を定期的に開催し、従業員への安全教育や危険予知活動といった啓発活動並びにトップ自らが点検パトロールを行い、事故防止の安全管理を徹底しております。しかしながら、万が一重大な事故や労働災害が発生し、一時的な復旧費用や補償金等の負担が生じた場合には、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を与える可能性があります。
(14) 内部管理体制 影響度:小、発生可能性:低、発生時期:特定時期なし
当社グループは、「化学品事業を通じて地球環境と豊かな社会の創生に貢献する」の企業理念のもと、企業価値の継続的な向上を図るため、コーポレート・ガバナンスが有効に機能することが不可欠であると認識しております。業務の適正性及び財務報告の信頼性の確保のための内部統制システムの適切な運用、さらに健全な倫理観に基づく法令遵守を徹底するにあたり、現時点では十分な体制を構築していると考えておりますが、将来において法規制等が厳格化された場合や、事業環境の変化により内部管理体制の構築が追いつかない場合には、適切な業務運営が困難となり、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を与える可能性があります。
(15) 固定資産の投資 影響度:中、発生可能性:中、発生時期:特定時期なし
当社グループでは、各製造拠点から提出され、予算編成の過程での検討手続きを経た上で作成された設備投資計画に基づき、工場の建物や製造設備、工具器具備品に至るまで生産活動の維持・向上に必要な固定資産の投資を計画的かつ継続的に行っておりますが、何らかの要因により当該固定資産の投資がスケジュールどおりに完了しなかった場合、生産計画に影響を及ぼすため、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
(16) 固定資産の減損 影響度:中、発生可能性:中、発生時期:特定時期なし
当社グループが保有する固定資産については、「固定資産の減損に関する会計基準」を適用しております。同会計基準では、減損の兆候が認められる資産又は資産グループについては、当該資産又は資産グループから得られる割引前将来キャッシュ・フローの総額が帳簿価額を下回った場合に、帳簿価額を回収可能価額(当該資産又は資産グループから得られる割引前将来キャッシュ・フローの総額若しくは当該資産又は資産グループの正味売却価額のいずれか高い方の金額)まで減額し、減額した当該金額を減損損失として計上することとなります。
また、当社グループは、キャッシュ・フローを生み出す資産又は資産グループの最小単位として、製造拠点単位を基本とした資産のグルーピングを行っております。
このため、当該資産又は資産グループが属する製造拠点の経営環境の著しい変化や収益状況の悪化等により、固定資産の減損損失を計上する必要が生じた場合には、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
(17) 経営成績の季節変動 影響度:小、発生可能性:低、発生時期:特定時期なし
当社グループの事業は、融雪などに用いられる各種塩や、農薬などの取扱製品の特性上、冬期から春先(11月から翌年5月頃)にかけて売上高及び利益が計上される結果、第1四半期(4~6月期)、第3四半期(10~12月期)及び第4四半期(翌1~3月期)が堅調に推移する一方で、夏場である第2四半期(7~9月期)は一時的に売上高及び利益が落ち込む傾向となっております。これに対応するため、夏場に需要の高まる水処理剤の営業強化に努め、年度を通じて売上高及び利益が安定するよう取り組んでおりますが、特定の四半期業績のみによって通期の経営成績を判断することは困難であります。さらに、先に述べた取扱製品の需要動向については、各年の気象条件にも左右されることから、特定の年度の四半期の経営成績をもって通期の業績見通しを判断することは困難であります。
なお、第72期(2023年3月期)連結会計年度の当社グループの経営成績は以下のとおりであります。
(注) 上記四半期連結会計期間の数値については、金融商品取引法第193条の2第1項に基づく仰星監査法人の四半期レビューは受けておりません。
(18) 訴訟等 影響度:中、発生可能性:中、発生時期:短期
当社グループは、事業又は企業活動に関連して、製造物責任、環境、労務、商取引等、様々な訴訟や紛争その他法的手段(以下、「訴訟等」という。)が提起される可能性があります。これに対応するため、当社グループではコンプライアンスの徹底が最重要かつ第一義であると役職員が認識した上で各自の職務にあたっております。具体的には、取引先と「取引基本契約書」を締結し、商取引のルールを明確化することにより、無用の訴訟等を生じさせない取組みを講じており、また不測の事態に備えて各種保険の付保を実施し、損失を最小限にとどめるよう努めておりますが、訴訟等が提起された場合は、その対応により当社グループの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
(19) 新株予約権(ストック・オプション)による希薄化 影響度:小、発生可能性:低、発生時期:特定時期なし
当社グループは、当社及び当社グループの役員及び従業員などに対するインセンティブを目的として、新株予約権(ストック・オプション)を付与しております。また、資金調達を目的として第三者に対し新株予約権を発行することがあります。当該新株予約権の発行については、必要最小限にとどめるなど、その影響を考慮した各種検討や取組みを実施しておりますが、これらの新株予約権が行使された場合、当社株式が新たに発行され、既存の株主が有する株式の価値及び議決権割合が希薄化する可能性があります。本書提出日現在、新株予約権の潜在株式数は71,500株にて、発行済株式総数2,330,330株の3.1%に相当しております。
(20) 繰延税金資産の取崩し 影響度:小、発生可能性:低、発生時期:特定時期なし
当社グループは、税務上の繰越欠損金及び将来減算一時差異に対して、将来の課税所得を合理的に見積り、回収可能性を検討した上で繰延税金資産を計上しておりますが、実際の課税所得が見積りと異なり、回収可能性の見直しが必要となった場合、又は税率変更を含む税制の改正等があった場合には、繰延税金資産の取崩しが必要となり、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
文中の将来に関する事項は、本書提出日現在において当社グループが判断したものであります。
(1) 経営成績等の状況の概要
当連結会計年度におけるわが国経済は、激動する世界の政治・経済に翻弄された一年でした。ロシアのウクライナ侵攻及び西側諸国のロシアへの経済制裁、更にこの数年続く米中対立により従来のグローバルベースのサプライチェーンは機能不全となり、資源価格の高騰と急激なインフレーションを誘引しました。特に米国の金利上昇はゼロ金利施策の日本に急激な円安をもたらし、深刻な人手不足、物流費高騰と相まって、景気の先行きの不透明感は一層高まりました。
かかる環境の中、2022年度は当社グループ中期経営計画「Fly Higher Nankai」の経営指針である、「想定力の向上で守りの成長と攻めの成長を実現する」の達成に向け、既存コア事業の基盤強化、顧客への取組強化による適正な価格設定、効率経営による生産性向上、成長分野への経営資源(ヒト・モノ・カネ)の重点配分の諸施策を適切に実施いたしました。
以上の結果、当連結会計年度の経営成績につきましては、売上高は19,601百万円(前期比12.4%増)となり、損益面につきましては、営業利益は796百万円(前期比7.8%増)、経常利益は886百万円(前期比23.7%増)、親会社株主に帰属する当期純利益は504百万円(前期比8.9%増)となりました。
なお、当連結会計年度におけるセグメントごとの経営成績は次のとおりであります。
<化学品事業>
基礎化学品につきましては、地域に根ざした販売体制のさらなる強化と、シェア拡大による殺菌剤の増加、苛性ソーダの値上げ浸透や、円安による輸出商材の増加等により、前連結会計年度実績を上回りました。
機能化学品につきましては、連結子会社である富士アミドケミカル㈱操業停止の影響により、前連結会計年度実績を下回りました。
アグリにつきましては、安定供給体制の構築に向けて、サプライチェーンの整備の継続に努めた結果、前連結会計年度実績を上回りました。
環境リサイクルにつきましては、廃硫酸リサイクルの新規顧客獲得推進により増加したことから、前連結会計年度実績を上回っての推移となりました。
以上の結果、化学品事業における当連結会計年度の売上高は16,499百万円(前期比16.6%増)、セグメント利益は1,577百万円(前期比3.8%増)となりました。
<各種塩事業>
各種塩事業には、塩の製造や加工、販売を営む各種塩事業が含まれております。梅用塩が豊作であり、受注量が増加しましたが、冬季の融雪塩が寒波の影響もあった前連結会計年度を下回ったことなどから、売上高は3,101百万円(前期比5.7%減)、セグメント利益107百万円(前期比11.2%減)となりました。
(2) 財政状態及び経営成績の状況
① 財政状態の状況
(資産)
当連結会計年度末の資産合計は18,346百万円となり、前連結会計年度末に比べ1,363百万円増加しました。流動資産につきましては、原材料及び貯蔵品が632百万円、未収入金が497百万円増加しましたが、売掛金が1,038百万円減少したことなどにより、前連結会計年度末に比べ215百万円増加し8,850百万円となりました。また固定資産につきましては、建物及び構築物が193百万円、建設仮勘定が445百万円、無形固定資産が386百万円、投資有価証券が44百万円増加したことなどにより、前連結会計年度末に比べ1,129百万円増加し9,476百万円となりました。
繰延資産につきましては、社債発行費が発生したことにより18百万円となりました。
(負債)
当連結会計年度末の負債合計は13,155百万円となり、前連結会計年度末に比べ848百万円増加しました。流動負債につきましては、設備工事に対する未払金が252百万円、預り金が424百万円、1年内償還予定の社債が100百万円増加しましたが、短期借入金が1,261百万円減少したことなどにより、前連結会計年度末に比べ389百万円減少し7,949百万円となりました。また固定負債につきましては、社債が900百万円、土地の売却に係る手付金収入である長期前受金が1,300百万円発生しましたが、長期借入金が1,018百万円減少したことなどにより、前連結会計年度末に比べ1,238百万円増加し5,205百万円となりました。
(純資産)
当連結会計年度末における純資産合計は5,191百万円となり、前連結会計年度末に比べ515百万円増加しました。これは主に親会社株主に帰属する当期純利益の計上等により利益剰余金が484百万円増加したことや、為替換算調整勘定が34百万円増加したことなどによるものであります。
② 経営成績の状況
当社グループの売上高、売上総利益、営業利益、経常利益及び親会社株主に帰属する当期純利益は以下のとおりとなりました。
(売上高)
当連結会計年度の売上高は19,601百万円(前期比12.4%増)となりました。殺菌剤のシェア拡大や苛性ソーダの値上げ浸透、円安による輸出商材の増加等により、増収となりました。
(売上原価、売上総利益)
当連結会計年度の売上原価は15,096百万円(前期比13.4%増)、売上総利益は4,504百万円(前期比9.1%増)となりました。売上高増加に伴う原材料使用数量等の増加、ニトロメタンや水酸化アルミの原材料価格高騰により、売上原価が増加しました。
(販売費及び一般管理費、営業利益)
当連結会計年度の販売費及び一般管理費は3,708百万円(前期比9.5%増)、営業利益は796百万円(前期比7.8%増)となりました。製品発送費をはじめとする販売費や、人件費が増加しました。
(営業外損益、経常利益)
当連結会計年度の経常利益は886百万円(前期比23.7%増)となりました。営業外損益におきましては、営業外収益は賃貸収入の増加や持分法投資利益30百万円の計上などにより前期比70百万円の増加、営業外費用は前連結会計年度に計上していた持分法による投資損失や寄付金が発生しなかったことにより前期比41百万円の減少となりました。
(特別損益、税金等調整前当期純利益)
当連結会計年度の税金等調整前当期純利益は663百万円(前期比43.1%増)となりました。特別損益におきましては、特別利益は固定資産売却益が減少したことなどにより前期比882百万円の減少、特別損失は固定資産除却損や減損損失、環境対策費の減少などにより、前期比913百万円の減少となりました。
(親会社株主に帰属する当期純利益)
当連結会計年度の親会社株主に帰属する当期純利益は504百万円(前期比8.9%増)となりました。法人税、住民税及び事業税123百万円、法人税等調整額29百万円の計上により法人税等合計は前期比162百万円増加しました。
③ キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度末における現金及び現金同等物(以下、「資金」という。)は1,301百万円となり、前連結会計年度末と比較して20百万円の増加となりました。当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は、次のとおりであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動により得られた資金は1,769百万円(前年同期は1,587百万円の収入)となりました。これは主に税金等調整前当期純利益663百万円、減価償却費1,005百万円などによるものであります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動により支出した資金は371百万円(前年同期は614百万円の支出)となりました。これは主に有形固定資産の売却に係る手付金収入1,300百万円、有形固定資産の取得による支出1,617百万円、関係会社株式の取得による支出60百万円などによるものであります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動により支出した資金は1,404百万円(前年同期は858百万円の支出)となりました。これは主に長期借入れによる収入271百万円、社債の発行による収入1,000百万円、短期借入金の純増減額の減少1,261百万円、長期借入金の返済による支出1,344百万円などによるものであります。
(3) 生産、受注及び販売の実績
① 生産実績
当連結会計年度における生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
(注)金額は製造原価によっており、セグメント間の取引については相殺消去しております。
② 受注実績
当社グループは見込生産を行っていることから、当該記載を省略しております。
③ 販売実績
当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
(注)セグメント間の取引については相殺消去しております。
(4) 経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は以下のとおりであります。文中の将来に関する事項は、本書提出日現在において当社グループが判断したものであります。
① 財政状態及び経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容
財政状態及び経営成績の状況につきましては、「(2) 財政状態及び経営成績の状況」に記載のとおりであります。
② キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容並びに資本の財源及び資金の流動性に係る情報
キャッシュ・フローの状況の分析につきましては、「(2) 財政状態及び経営成績の状況」に記載のとおりであります。
当社グループは、化学工業薬品の製造・販売業務を営んでおり、原材料の仕入れから製造工程を経て販売に至るまでにおいて支払と売上代金回収の間には一定期間タイムラグが生じることから、運転資金が必要となっております。また、製造においては設備投資が発生するため設備資金が必要となっており、これらの所要資金については、銀行からの借入を基本としております。
運転資金については、毎月月末に資金繰りを勘案した上で当座貸越により調達しております。また設備資金については、大規模な設備投資が発生した場合に設備投資の支払時期に長期借入金にて調達することを基本としております。
上記記載のとおり、当社グループの事業運営を円滑に遂行するための資金調達チャネルは十分に確保されており、適正な水準の資金の流動性を維持・確保できているものと認識しております。
③ 重要な会計方針及び見積り及び当該見積りに用いた仮定
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。この連結財務諸表の作成にあたっては、会計上の見積りを行う必要があり、固定資産の減損会計、繰延税金資産の回収可能性の判断、環境対策引当金等の検討や見積りについては、過去の実績や合理的な基準に基づいて実施しておりますが、見積りには不確実性があるため、実際の結果は、前提条件や事業環境の変化により見積りと将来の実績が異なる場合があります。会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定のうち、重要なものについては、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1) 連結財務諸表 注記事項(重要な会計上の見積り)」に記載のとおりであります。
④ 経営成績に重要な影響を与える要因
当社グループの経営成績に重要な影響を与える要因につきましては、「第2 事業の状況 3 事業等のリスク」に記載のとおりであります。
⑤ 経営戦略の現状と見通し
経営戦略の現状と見通しについては、「第2 事業の状況 1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等」をご参照ください。
⑥ 経営者の問題意識と今後の方針
当社の経営者は、「第2 事業の状況 1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等」に記載のとおり、当社グループが今後さらなる成長を遂げるためには、様々な課題に対処することが必要であると認識しております。
当社の経営上の重要な契約は以下のとおりであります。
(注) 中外製薬㈱との契約締結日に手付金20%が入金済みで、2025年9月30日の引渡しと引換えに残代金が入金される予定であります。当社として、一切の契約不適合責任は負わず、契約不履行による契約解除の場合は手付金相当額の売買代金20%を請求できることとなっております。
(注) 1.現在休止中の主要な設備はありません。
2.帳簿価額のうち「その他」は工具、器具及び備品、建設仮勘定の合計であります。
3.連結子会社以外に当社設備を賃貸しております。
(注) 1.現在休止中の主要な設備はありません。
2.帳簿価額のうち「その他」は工具、器具及び備品、建設仮勘定の合計であります。
(注) 1.「その他」は土地の使用権であり、「無形固定資産」に計上しております。また「土地」に記載している面積は当該使用権にて中華人民共和国政府から使用許可を受けている面積であります。
2.現在休止中の主要な設備はありません。
(注) 1.2023年4月20日をもって、当社株式は東京証券取引所スタンダード市場に上場しております。
2.提出日現在の発行数には、2023年6月1日からこの有価証券報告書提出日までの新株予約権の行使により発行された株式数は、含まれておりません。
当社は、新株予約権方式によるストック・オプション制度を採用しております。当該制度は、会社法に基づき新株予約権を発行する方法によるものであります。
当該制度の概要は次のとおりであります。
※ 当事業年度の末日(2023年3月31日)における内容を記載しております。当事業年度の末日から提出日の前月末現在(2023年5月31日)にかけて変更された事項については、提出日の前月末現在における内容を[ ]内に記載しており、その他の事項については当事業年度の末日における内容から変更はありません。
(注)1.新株予約権1個につき目的となる株式の数は、1株である。
ただし新株予約権の割当日後、当社が株式分割(当社普通株式の株式無償割当てを含む。以下、株式分割の記載につき同じ)又は株式併合を行う場合には、次の算式により付与株式数の調整を行い、調整の結果生じる1株未満の端数は、これを切り捨てる。
調整後付与株式数 = 調整前付与株式数 × 株式分割又は株式併合の比率
2.新株予約権発行後、当社が株式分割、株式併合を行う場合は、次の算式により払込金額を調整し、調整により生ずる1円未満の端数は切り上げる。
また、時価を下回る価額で新株式の発行又は自己株式の処分を行う場合は、次の算式により払込金額を調整し、調整により生ずる1円未満の端数は切り上げる。
3.新株予約権の行使により株式を発行する場合の株式の発行価格及び資本組入額については、以下のとおりであります。
(1) 新株予約権の行使により株式を発行する 場合における増加する資本金の額は、会社計算規則第17条第1項に従い算出される資本金等増加限度額の2分の1の金額とし、計算の結果生じる1円未満の端数は、これを切り上げる。
(2)新株予約権の行使により株式を発行する場合における増加する資本準備金の額は、上記(1)記載の資本金等増加限度額から上記(1)に定める増加する資本金の額を減じた額とする。
4.新株予約権の行使の条件は、以下のとおりであります。
・新株予約権者が新株予約権を放棄した場合には、当該新株予約権を行使することができない。
・当社普通株式にかかる株式公開があった場合に限り、新株予約権を行使することができる。
・新株予約権の相続はこれを認めない。
・新株予約権者は、権利行使時においても、当社、当社子会社又は当社関連会社の取締役、監査役又は従業員の地位にあることを要する。ただし、任期満了による退任、定年退職その他取締役会が正当な理由があると認めた場合はこの限りではない。
・その他の条件については、当社と新株予約権の割当を受けた者との間で締結した「新株予約権割当契約書」に定めるところによる。
5.当社が、合併(当社が合併により消滅する場合に限る)、吸収分割若しくは新設分割(それぞれ当社が分割会社となる場合に限る)又は株式交換若しくは株式移転(それぞれ当社が完全子会社となる場合に限る)(以上を総称して以下、「組織再編行為」という)をする場合には、組織再編行為の効力発生日(吸収合併につき吸収合併がその効力を生ずる日、新設合併につき新設合併設立株式会社の成立の日、吸収分割につき吸収分割がその効力を生ずる日、新設分割につき新設分割設立株式会社の成立の日、株式交換につき株式交換がその効力を生ずる日及び株式移転につき株式移転設立完全親会社の成立の日をいう。以下同じ)の直前において残存する新株予約権(以下、「残存新株予約権」という)を保有する新株予約権者に対し、それぞれの場合につき、会社法第236条第1項第8号イからホまでに掲げる株式会社(以下、「再編対象会社」という)の新株予約権をそれぞれ交付することとする。ただし、以下の各号に沿って再編対象会社の新株予約権を交付する旨を、吸収合併契約、新設合併契約、吸収分割契約、新設分割計画、株式交換契約又は株式移転計画において定めることを条件とする。
(1)交付する再編対象会社の新株予約権の数
新株予約権者が保有する残存新株予約権の数と同一の数をそれぞれ交付する。
(2)新株予約権の目的である再編対象会社の株式の種類
再編対象会社の普通株式とする。
(3)新株予約権の目的である再編対象会社の株式の数
組織再編行為の条件等を勘案の上決定する。
(4)新株予約権の行使に際して出資される財産の価額
交付される各新株予約権の行使に際して出資される財産の価額は、組織再編行為の条件等を勘案の上、行使価額(2,072円。但し「(注)2.」に記載の調整に服する)を調整して得られる再編後の行使価額に、上記(3)に従って決定される当該新株予約権の目的である再編対象会社の株式の数を乗じて得られる金額とする。
(5)新株予約権を行使することができる期間
2021年7月11日と組織再編行為の効力発生日のうちいずれか遅い日から、2029年6月27日までとする。
(6)新株予約権の行使により株式を発行する場合における増加する資本金及び資本準備金に関する事項
「新株予約権の行使により株式を発行する場合の株式の発行価格及び資本組入額」に記載のとおりとする。
(7)譲渡による新株予約権の取得の制限
譲渡による新株予約権の取得については、再編対象会社の取締役会の決議による承認を要する。
(8)新株予約権の取得条項
(1)以下の①、②、③、④又は⑤の議案につき当社株主総会で承認された場合(株主総会決議が不要の場合は、当社の取締役会決議がなされた場合)は、当社取締役会が別途定める日に、当社は無償で新株予約権を取得することができる。
① 当社が消滅会社となる合併契約承認の議案
② 当社が分割会社となる分割契約若しくは分割計画承認の議案
③ 当社が完全子会社となる株式交換契約若しくは株式移転計画承認の議案
④ 当社の発行する全部の株式の内容として譲渡による当該株式の取得について当社の承認を要することについての定めを設ける定款の変更承認の議案
⑤ 新株予約権の目的である種類の株式の内容として譲渡による当該種類の株式の取得について当社の承認を要すること若しくは当該種類の株式について当社が株主総会の決議によってその全部を取得することについての定めを設ける定款の変更承認の議案
(2)新株予約権者が権利行使をする前に、下記(9)に定める規定により新株予約権の行使ができなくなった場合は、当社は新株予約権を無償で取得することができる。
(9)その他の新株予約権の行使の条件
「新株予約権の行使の条件」に準じて決定する。
6.付与対象者の退職による権利の喪失により、本提出日現在の「付与対象者の区分及び人数」は、当社取締役5名、当社監査役1名、当社従業員12名、当社子会社取締役1名となっております。
該当事項はありません。
(注)2016年12月13日にSMBCベンチャーキャピタル1号投資事業有限責任組合より自己株式として全株取得し、2017年3月14日に全株消却したことによる減少であります。
(注)自己株式1,044,283株は、「個人その他」に10,442単元、「単元未満株式の状況」に83株を含めて記載しております。
2023年3月31日現在
当社の報告セグメントは、当社の構成単位のうち分離された財務情報が入手可能であり、取締役会が、経営資源の配分の決定及び業績を評価するために、定期的に検討を行う対象となっているものであります。
当社は、製品やサービスの特性や製造方法、製造過程に基づき、「化学品事業」及び「各種塩事業」を報告セグメントとしております。
「化学品事業」では、苛性ソーダ、合成塩酸、次亜塩素酸ソーダなどの水資源関連・医療・食品等の分野で漂白や殺菌用に利用されるクロール・アルカリ製品をはじめ、浄水場やプール水の衛生管理に利用される塩素系殺菌・消毒剤、工場排水や下水排水などに利用される水処理凝集剤、リサイクル技術によって生成され、様々な製造処理工程にて用いられる硫酸など、多種多様な無機工業製品を幅広く取り扱っております。有機ファインケミカルの分野においては、永年に亘り培われた技術やノウハウを活かし、医薬・農薬・電子材料等の中間体の製造、スルホン化技術やクロル化技術の活用を行っており、お客様のニーズに合わせたきめ細やかなオーダーメイド対応を行っております。健康食品や食品添加物の分野では、「健康と食の安心・安全」をテーマに、多種多様なアイテムの提供を推進しております。また、農薬の製造・販売分野では、土壌殺菌剤(くん蒸剤)として畑地をクリーンにする環境にやさしい農薬の一つとして、農作物の広い分野で使用され、特にクロルピクリン液剤は、安全に使用される技術も確立されています。またクロルピクリン錠剤は、簡単に処理しやすいといった付加価値のある農薬として安定的な供給に努めつつ、裾野の拡大に取り組んでおります。
「各種塩事業」では、食品をはじめとして生活や産業の様々な分野で利用されている「塩」の中でも高品質でコストパフォーマンスに優れた「天日塩」の製造・加工・販売を行っており、各種需要に応じた安定的な供給に努めております。